説明

偏光板用アクリル系感圧性粘着剤組成物

本発明は、偏光板用アクリル系感圧性粘着剤組成物に関するものであって、互いに異なるホモポリマーガラス転移温度を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体を共重合したアクリル系共重合体を含むアクリル系感圧性粘着剤組成物を提供する。本発明のアクリル系感圧性粘着剤組成物は、粘着耐久性、切断性などの主要特性が優れていると同時に、応力緩和能力が非常に優れていて、液晶表示板に付着された偏光板の収縮又は膨脹による光漏れ現象を最小化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は偏光板用アクリル系粘着剤組成物に係り、より詳しくは、光漏れ現象を改善することができる偏光板用粘着剤組成物、これから製造された偏光板及びこれを適用した液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に液晶表示装置を製造するためには、基本的に、液晶を含んでいる液晶セルと偏光板が必要であり、これを接合するための適切な接着層又は感圧性粘着層が使用される。また、液晶表示装置の機能を向上させるために、位相差板、広視野角補償板又は輝度向上フィルムなどを付加的に偏光板に付着して使用することができる。
【0003】
液晶表示装置を形成する主要な構造は、一定に配列されている液晶層;透明電極層を含む透明なガラス板、又はプラスチック系板状素材で構成されている液晶セルを基準にし、粘着層又は感圧性接着層で合体されている多層構造の偏光板;位相差板;そして追加の機能性フィルム層などを含むものが一般的にある。
【0004】
この時、偏光板は、一定の方向に配列されたヨード系化合物又は二色性偏光物質を含む構造であって、これら偏光素子を保護するために、両面にトリアセチルセルロース(TAC)系などの保護フィルムを使用して多層を構成する。また、偏光板は、異方性分子配列を有する形状の位相差フィルムや、液晶型フィルムなどの広視野角補償フィルムを付加的に含むことができる。
【0005】
上記各フィルムは、互いに異なる分子構造及び組成を有する材料で製造されるため、互いに相違した物理的特性を有している。特に、熱又は湿熱条件の下では、異方性分子配列を有する材料等の収縮又は膨脹による寸法安定性が不足している。したがって、偏光板が粘着剤によって固定されている場合、熱又は湿熱環境による剪断応力が残留した状態で残るようになり、これによって応力の集中した部分で光漏れが発生する。
【0006】
前記の光漏れ現象を改善するための一つの方法は、熱又は湿熱条件下での偏光板の収縮現象を減らすことであるが、互いに異なる物理的特性を有する物質で構成された偏光板が付着された液晶パネルで発生する応力を除去するのは非常に難しい。
【0007】
一般的に、感圧性粘着剤は、ゴム系、アクリル系、そしてシリコン系などがあるが、この中でアクリル系感圧性粘着剤が、その特性において高機能感圧性粘着剤組成物の製造に最も広く使用されている。
【0008】
しかし、前記感圧性粘着層を付着して偏光板を製造し、これを液晶表示装置に付着して長時間使用(熱又は湿熱)すると、偏光板の収縮による応力が集中する現象が現れ、これを解決するためには、粘着剤層の応力緩和機能が必要となる。
【0009】
これを解決するために、下記特許文献1では、粘着剤層に可塑剤を添加して、感圧性粘着剤に応力を緩和させる機能を付与した。しかし、前記の可塑剤の添加のみでは光漏れ現象を大きく改善することができず、また、これらの表面移行特性のために、粘着剤の性能を大きく損傷することが問題点として現れ、気泡や剥離現象のように、耐久信頼性を満足させないという短所がある。
【0010】
また、下記特許文献2は、高分子量アクリル系ポリマーと分子量30,000以下の低分子量アクリル系ポリマーとを混合して、偏光板から発生する応力に対する緩和特性を付与することによって光漏れ現象を改善する方法を提案した。しかし、前記の解決手段と同様に、光漏れ改善効果は微々たるものであり、長時間使用すると、表面移行特性による粘着耐久信頼性が著しく減少し、切断特性が悪くなるという短所がある。
【0011】
また、粘着剤の応力緩和特性を付与するために、化学結合による架橋密度を調節する方法も考えられるが、これらだけでは偏光板の応力集中を解消するのに不充分であり、架橋密度を過度に低くする場合には耐久性の問題が発生する。また、可塑剤や低分子量物質を添加することによって未架橋部分で粘着剤の流動特性を付与する方法があるが、これらの表面移行特性のため、粘着剤の性能が大きく損傷する問題点がある。
【0012】
したがって、粘着耐久性、切断性などの偏光板製品の主要特性をほとんど変化させずに光漏れ現象を改善することができる新たな偏光板用粘着剤の開発、及びこれを適用した偏光板が切実に要求されているのが実情である。
【特許文献1】米国特許第5,795,650号明細書
【特許文献2】特開平10−279907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このような従来の問題点を解決するために、本発明の目的は、従来の粘着剤の粘着耐久性、切断性などの主要特性を変化させないと同時に、光漏れ現象を改善することができる偏光板用アクリル系感圧性粘着剤組成物を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、前記特性を有するアクリル系感圧性粘着剤組成物を利用した偏光板を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、前記特性を有するアクリル系感圧性粘着剤組成物から製造された偏光板を含む液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するために本発明は、a)−45℃〜10℃のガラス転移温度を有するホモポリマー製造用(メタ)アクリル酸エステル単量体35〜94.9重量部;−90℃〜−50℃のガラス転移温度を有するホモポリマー製造用(メタ)アクリル酸エステル単量体5〜50重量部;架橋可能な官能基を含むビニル系単量体、アクリル系単量体、又はこれらの混合物0.1〜15重量部を共重合して得たアクリル系共重合体100重量部;及び
b)多官能性架橋剤0.01〜10重量部
を含む偏光板用アクリル系感圧性粘着剤組成物を提供する。
【0017】
また、本発明は、偏光フィルムの一面又は両面に、前記アクリル系感圧性粘着剤組成物を粘着剤層として含む偏光板を提供する。
【0018】
前記偏光板は、保護層、反射層、位相差板、広視野角補償フィルム、及び輝度向上フィルムからなる群より1種以上選択される層を追加的に含むことができる。
【0019】
また、本発明は、前記偏光板を液晶セルの一面又は両面に接合した液晶パネルを含む液晶表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、粘着耐久性、切断性などの主要特性を変化させずに、熱又は湿熱下で長期間使用時、偏光板の収縮によって発生する応力を緩和させて、光漏れ改善に効果がある偏光板用アクリル系感圧性粘着剤組成物を提供することができる。したがって、本発明は、前記感圧性粘着剤組成物を液晶表示装置の偏光板に適用し、長時間使用しても応力集中による光漏れ現象を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0022】
本発明は、互いに異なる特性を有し相違するガラス転移温度範囲を有するホモポリマー製造用単量体を共重合したアクリル系共重合体を含む、応力緩和能力に優れたアクリル系粘着剤組成物及びこれを適用して製造された偏光板に関する。
【0023】
本発明は、粘着剤高分子鎖に流動特性を付与して、液晶表示装置を長期間使用しても、液晶表示板に付着された偏光板の収縮又は膨脹によって発生する応力の集中による光漏れ現象を最小化する特徴がある。
【0024】
本発明は、粘着剤の構造を調整したものであって、化学結合によって架橋密度は必要な程度に維持しながら、物理的に鎖間のもつれ(entanglement)構造と柔軟性の制御によって耐久性、切断性などの諸般物性を維持し、同時に光漏れ現象を改善したものである。つまり、本発明は、低いガラス転移温度を有するホモポリマー製造用単量体(柔軟性の高い共重合単量体)とこれより高いガラス転移温度を有するホモポリマー製造用単量体(柔軟性が低い共重合単量体)とを適切に使用することにより、耐久性と切断性を維持しながら、粘着剤の残留応力を最小化させて光漏れ現象を改善する。この時、低いガラス転移温度を有するホモポリマー製造用単量体のみを使用した粘着剤の場合は光漏れ改善には効果があるが、粘着剤の結合力が脆弱であって耐久性と切断性に問題が発生するので、これらの結合力補強のために、これらより高いガラス転移温度を有するホモポリマー製造用単量体を使用することによって、耐久性、切断性などの諸般物性を害しないようにした。また、高いガラス転移温度を有するホモポリマー製造用単量体のみを使用した粘着剤の場合は、耐久性と切断性は優れているが、柔軟性が低くて光漏れ改善の効果が微々たるものであるので、これらの柔軟性を高めるために、低いガラス転移温度を有するホモポリマー製造用単量体を使用することにより、耐久性と切断性を維持しながら光漏れ現象を改善するようにした。
【0025】
本発明の偏光板用粘着剤組成物は、いろいろな形態のアクリル系、シリコン系、ゴム系、ウレタン系、ポリエステル系、エポキシ系などの光学的に使用される諸般粘着、感圧性接着素材に制限なく適用できるが、その中でアクリル系粘着剤が好ましい。
【0026】
本発明のアクリル系感圧性粘着剤組成物は、a)−45℃〜10℃のガラス転移温度を有するホモポリマー製造用(メタ)アクリル酸エステル単量体;−90℃〜−50℃のガラス転移温度を有するホモポリマー製造用(メタ)アクリル酸エステル単量体;及び架橋可能な官能基を含むビニル系単量体、アクリル系単量体、又はこれらの混合物を共重合して得たアクリル系共重合体;並びにb)多官能性架橋剤を含む。
【0027】
以下では、前記粘着剤組成物の各成分を具体的に説明する。
【0028】
前記−45℃〜10℃のガラス転移温度を有するホモポリマー製造用(メタ)アクリル酸エステル単量体は、結合力を補強することによって粘着耐久性と切断性などを維持することができる。前記単量体の含量は、アクリル系共重合体100重量部内に35乃至94.9重量部が用いられ、45乃至90重量部を投入して共重合させるのが好ましい。この時、前記単量体の含量が94.9重量部を超えると、残留応力緩和効果が相対的に低くなり、35重量部未満であると、粘着剤の結合力が小さくなって粘着耐久性及び切断性の物性が悪くなる。前記−45℃〜10℃のガラス転移温度を有するホモポリマー製造用(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、プロピルアクリレート、エチルアクリレート、メチルアクリレート、3−メチルブチルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−テトラデシルメタクリレートなどがあり、これら単量体は、単独又は2種以上混合して使用することができる。
【0029】
前記−90℃〜−50℃のガラス転移温度を有するホモポリマー製造用(メタ)アクリル酸エステル単量体は、高分子鎖に柔軟性を増進させることによって応力緩和効果を与え、光漏れ現象の改善のために使用される。前記単量体の含量は、アクリル系共重合体100重量部内で5乃至50重量部が用いられ、10乃至40重量部を投入して共重合させるのが好ましい。この時、前記単量体の使用量が50重量部を超えると、残留応力緩和効果は高まるが、結合力が低くなって耐久信頼性に問題になる虞があり、5重量部未満であると、残留応力緩和効果が低くなる結果を招く。前記−90℃〜−50℃のガラス転移温度を有するホモポリマー製造用(メタ)アクリル酸エステル単量体の例としては、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、ノニルアクリレート、ペンチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、n−デシルメタクリレート、n−ドデシルメタクリレートなどがあり、これら単量体は、単独又は2種以上混合して使用することができる。
【0030】
前記架橋可能な官能基を含むビニル系単量体、アクリル系単量体、又はこれらの混合物において、水酸基を含む官能性ビニル系単量体の場合、架橋剤と反応して高温又は高湿の条件で粘着剤の結合力が低下しないように、化学結合による結合力を付与する。また、架橋可能な官能基を含むアクリル系単量体は、α、β不飽和カルボン酸単量体を用いることができ、この成分は接着強度又は結合力を付与する。
【0031】
前記架橋可能な官能基を含むビニル系単量体、アクリル系単量体、又はこれらの混合物の含量は、0.1〜15重量部が好ましい。この時、前記架橋可能な官能基を含む単量体の使用量が0.1重量部未満であると、高温又は高湿の条件で凝集破壊が起こりやすく、接着力向上効果が低下する。また、前記単量体の含量が15重量部を超えると、流動特性を減少させ、結合力上昇によって粘着力が低下する。
【0032】
前記架橋可能な官能基を含むビニル系単量体の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどを含むが、これらに限られるわけではない。本発明は、その他にも水酸基を含むビニル系単量体であれば全て用いることができる。前記で言及された成分は必要に応じて単独又は混合して使用することができる。
【0033】
また、前記架橋可能な官能基を含むアクリル系単量体は、α、β不飽和カルボン酸単量体であるのが好ましい。前記α、β不飽和カルボン酸単量体の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸二量体、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸無水物などが含まれるが、これらに限られるわけではない。前記単量体は単独又は混合して用いることができる。
【0034】
本発明は、前記組成の単量体を共重合してアクリル系共重合体を製造することができ、このようなアクリル系共重合体は、粘着特性及びコーティング性などを考慮して分子量200,000乃至2,000,000範囲の値を有するのが好ましい。前記アクリル系共重合体の製造方法は特に限定されず、溶液重合法、光重合法、バルク重合法、サスペンション重合法又はエマルジョン重合法によって製造されることができる。好ましくは、アクリル系共重合体は溶液重合法を使用して製造し、重合温度は50〜140℃であるのが好ましく、単量体を均一に混合した状態で開始剤を添加するのが好ましい。
【0035】
また、本発明の粘着剤組成物において、前記架橋剤は、カルボキシル基及び水酸基と反応することによって粘着剤の結合力を高める役割を果たす。前記架橋剤の含量は、アクリル系共重合剤100重量部に対して0.01乃至10重量部が好ましい。前記架橋剤は、イソシアネート系、エポキシ系、アジリジン系、金属キレート系架橋剤などを用いることができ、この中でイソシアネート系が使用上容易である。前記イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホルムジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、及びこれらのトリメチロールプロパンなどのポリオールとの付加体などがある。また、エポキシ系架橋剤としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N,N,N´,N´−テトラグリシジルエチレンジアミン、グリセリンジグリシジルエーテルなどが挙げられる。前記アジリジン系架橋剤としては、N,N´−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシド)、N,N´−ジフェニルメタン−4,4´−ビス(1−アジリジンカルボキシド)、トリエチレンメラミン、トリ−1−アジリジニルホスフィンオキシドなどがある。前記金属キレート系架橋剤としては、アルミニウム、鉄、亜鉛、錫、チタン、アンチモン、マグネシウム、バナジウムなどの多価金属がアセチルアセトン又はアセト酢酸エチルに配位した化合物などが挙げられる。
【0036】
本発明の感圧性粘着剤組成物の製造方法は特に限定されず、前記アクリル系共重合体と架橋剤を通常の方法で混合して得ることができる。
【0037】
この時、多官能性架橋剤は、粘着層の形成のために実施する過程で、架橋剤の官能基架橋反応がほとんど起こさないことによって均一なコーティング作業ができる。前記コーティング作業が終わって乾燥及び熟成過程を経れば、架橋構造が形成されて、弾性があり結合力の強い粘着層を得ることができる。この時、粘着剤の強い結合力により、粘着剤品の耐久信頼性などの粘着物性及び切断性が向上する。
【0038】
本発明によるアクリル系感圧性粘着剤組成物は、最適の物理的均衡を考慮すれば、粘着剤の架橋密度は5乃至95%、より好ましくは15乃至80%の範囲を有することである。前記架橋密度は、一般的に知られたアクリル系感圧性粘着剤のゲル含量測定法によって溶媒に溶解されない架橋構造を形成した部分の量を重量%に得た数値を言う。
【0039】
また、本発明の組成物は、シラン系カップリング剤を追加的に含むことができ、これは、ガラス板と接着する場合に接着安定性を向上させて、耐熱耐湿特性をより向上させることができる。前記シラン系カップリング剤は、特に高温高湿下で長時間放置された場合に接着信頼性を向上させるのに役に立つ役割を果たし、その含量は、アクリル共重合体100重量部に対して0.005乃至5重量部で使用することができる。前記シラン系カップリング剤化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、又はγ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランなどであり、これらを単独又は混合して使用することができる。
【0040】
また、本発明は、粘着性能を調節するために粘着性付与樹脂をさらに添加することができ、その含量は、アクリル系共重合体100重量部に対して1乃至100重量部の範囲で使用することができる。この時、前記粘着性付与樹脂が過剰になると、粘着剤の相溶性又は結合力を減少させる虞があるので、注意して適切に添加しなければならない。前記粘着性付与樹脂の例としては、(含水)ヒドロカーボン系樹脂、(含水)ロジン樹脂、(含水)ロジンエステル樹脂、(含水)テルペン樹脂、(含水)テルペンフェノール樹脂、重合ロジン樹脂、重合ロジンエステル樹脂などが挙げられ、これらを単独又は2種以上混合して使用することができる。
【0041】
その他にも、本発明は、特定の目的のために可塑剤、エポキシレジン、及び硬化剤などを追加的に混合して使用することができ、紫外線安定剤、酸化防止剤、調色剤、補強剤、充填剤などを一般的な目的に従って適切に添加することができる。
【0042】
また、本発明は、前記アクリル系感圧性粘着剤組成物を偏光フィルムの粘着層として含む偏光板を提供する。
【0043】
本発明の偏光板は、偏光フィルムの一側又は両側面に前記粘着剤組成物から形成される粘着剤層を含み、偏光板を構成する偏光フィルム又は偏光素子は特に制限されない。
【0044】
前記偏光フィルムの好ましい例としては、ポリビニルアルコール系樹脂からなるフィルムに、ヨード又は二色性染料などの偏光成分を含有させて延伸することにより得られたフィルムなどがあり、これら偏光フィルムの厚さも特に制限されず、通常の厚さで形成することができる。この時、前記ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、及びエチレン、酢酸ビニル共重合体などが用いられる。
【0045】
前記偏光フィルムの両面には、トリアセチルセルロースなどのセルロース系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルム、ポリエーテルスルホン系フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系やノルボルネン構造を有するポリオレフィン系、エチレンプロピレン共重合体のようなポリオレフィン系などの保護フィルムが積層された多層フィルムなどを形成することができる。この時、これら保護フィルムの厚さも特に制限されず、通常の厚さで形成することができる。
【0046】
本発明において、偏光フィルムに感圧性粘着剤層を形成する方法は特別の制限はなく、この偏光フィルム表面に直接バーコーターなどを使用して前記感圧性粘着剤を塗布して乾燥させる方法、又は前記粘着剤を一応剥離性基材表面に塗布して乾燥させた後、この剥離性基材表面に形成された粘着剤層を偏光フィルム表面に転写し、熟成させる方法を適用することができる。
【0047】
また、本発明の偏光板には、保護層、反射層、防眩層、位相差板、広視野角補償フィルム、及び輝度向上フィルムなどの追加機能を提供する層が1種以上積層されることができる。
【0048】
本発明の感圧性粘着剤が適用された偏光板は通常の液晶表示装置に全て適用可能であり、その液晶パネルの種類は特に限定されない。好ましくは、本発明は、前記粘着偏光板を液晶セルの一面又は両面に接合した液晶パネルを含んで液晶表示装置を構成することができる。
【0049】
以上、本発明の粘着剤組成物は、物性において粘着耐久性、切断性などの主要特性を変化させないと同時に、熱又は湿熱の条件で長期間使用しても、偏光板の収縮によって発生する応力を緩和させて、光漏れ改善に大きな効果がある。
【実施例】
【0050】
以下では、実施例及び比較例を通じて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲が実施例に限られるわけではない。
【0051】
[実施例1]
<アクリル系共重合体の製造>
冷却装置を設置した1Lの反応器に、下記表1に示した組成の通りに、n−ブチルアクリレート(BA)69.5重量部、n−オクチルアクリレート(n−OA)28.0重量部、アクリル酸(AA)1.0重量部、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(2−HEMA)1.5重量部で構成される単量体の混合物を投入した。そして、溶剤として、酢酸エチル(EAc)120重量部を投入した。酸素を除去するために窒素ガスを60分間パージングした後、温度は60℃に維持し、反応開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.03重量部を45%濃度になるよう酢酸エチルで希釈して投入し、8時間反応させて最終のアクリル系共重合体を製造した。
【0052】
<配合過程>
下記表2の通りに、前記で得たアクリル系共重合体100重量部に、架橋剤としてイソシアネート系トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物(TDI−1)2.0重量部を投入し、コーティング性を考慮して適正の濃度に希釈し、均一に混合した後、離型紙にコーティングして乾燥して、30ミクロンの均一な粘着層を得た。
【0053】
<積層過程>
前記で製造された粘着層を、厚さ185ミクロンのヨード系偏光板に積層加工した。得られた偏光板を適切な大きさに切断して評価用に使用し、前記粘着剤が適用された偏光板に関し、以下の評価をした結果を下記の表2に示した。
【0054】
<評価試験>
耐久信頼性
前記で製造された粘着剤がコーティングされた偏光板(90mm×170mm)を、ガラス基板(110mm×190mm×0.7mm)に両面に光学吸収軸がクロスされた状態で付着させた。この時に加えられた圧力は約5kg/cmであり、気泡や異物が生じないようにクリーンルーム作業をした。この試片を、耐湿熱特性を把握するために、60℃、90%の相対湿度の条件下で1000時間放置した後、気泡や剥離が発生したか否かを観察した。耐熱特性は、80℃で1000時間放置した後、気泡や剥離が発生したか否かを観察した。試片の状態を評価する直前に、常温で24時間放置した後で実施した。信頼性に対する評価基準は次の通りである。
○:気泡や剥離現象無し
△:気泡や剥離現象多少有り
×:気泡や剥離現象有り
【0055】
光透過均一性(光漏れ)
前記と同一の試片を使用して光透過度の均一性を調査するために、バックライトを利用して暗室から光が漏れる部分があるか否かを観察した。光透過均一性を実験する方法としては、コーティングされた偏光板(200mm×200mm)をガラス基板(210mm×210mm×0.7mm)に90度に交差させ、両面に付着して観察する方法を採択した。光透過の均一性は次のような基準で評価した。
○:光漏れ現象を肉眼で判断し難しい
△:光漏れ現象が多少有り
×:光漏れ現象有り
【0056】
切断性
前記の粘着剤が適用された偏光板を、トムソンカッターを利用して切断性を試験した。粘着層の切断された断面を観察し、次のような基準で評価した。
○:切断面へ粘着剤の移動程度がひくい(0.2mm未満)
△:切断面へ粘着剤が少し移動する(0.2mm〜0.5mm)
×:切断面へ粘着剤がかなり移動する(0.5mm超)
【0057】
[実施例2乃至4]
下記表1の通りの組成に従って共重合し、表2の組成比の通りに、架橋剤の量を変更したことを除いては、前記実施例1と同様にしてクリル系共重合体の製造、配合、積層過程を実施した。その後、実施例1と同様な方法で耐久信頼性、光透過均一性、切断性を評価し、その結果は表2に示した。
【0058】
[比較例1〜4]
下記表1の通りの組成に従って共重合し、表2の組成比の通りに、粘着剤組成物の組成から架橋剤の量を変更したことを除いては、前記実施例1と同様にしてクリル系共重合体の製造、配合、積層過程を実施した。その後、実施例1と同様な方法で耐久信頼性、光透過均一性、切断性を評価し、その結果は表2に示した。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
前記表2の結果から見れば、本発明の実施例1乃至4の場合、耐久信頼性、光透過均一性、及び切断性が良好であるが、比較例1乃至4の場合、耐久信頼性、光透過均一性、及び切断性が多少又は酷く不良であることが確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)−45℃〜10℃のガラス転移温度を有するホモポリマー製造用(メタ)アクリル酸エステル単量体35〜94.9重量部;
−90℃〜−50℃のガラス転移温度を有するホモポリマー製造用(メタ)アクリル酸エステル単量体5〜50重量部;
架橋可能な官能基を含むビニル系単量体、アクリル系単量体、又はこれらの混合物0.1〜15重量部を共重合して得たアクリル系共重合体100重量部;及び
b)多官能性架橋剤0.01〜10重量部
を含む偏光板用アクリル系感圧性粘着剤組成物。
【請求項2】
前記−45℃〜10℃のガラス転移温度を有するホモポリマー製造用(メタ)アクリル酸エステル単量体が、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、プロピルアクリレート、エチルアクリレート、メチルアクリレート、3−メチルブチルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、及びn−テトラデシルメタクリレートからなる群より1種以上選択される、請求項1に記載のアクリル系感圧性粘着剤組成物。
【請求項3】
前記−90℃〜−50℃のガラス転移温度を有するホモポリマー製造用(メタ)アクリル酸エステル単量体が、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、ノニルアクリレート、ペンチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、n−デシルメタクリレート、及びn−ドデシルメタクリレートからなる群より1種以上選択される、請求項1に記載のアクリル系感圧性粘着剤組成物。
【請求項4】
前記架橋可能な官能基を含むビニル系単量体は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、及び2−ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートからなる群より1種以上選択される、請求項1に記載のアクリル系感圧性粘着剤組成物。
【請求項5】
前記架橋可能な官能基を含むアクリル系単量体は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸二量体、イタコン酸、マレイン酸、及びマレイン酸無水物からなる群より1種以上選択される、請求項1に記載のアクリル系感圧性粘着剤組成物。
【請求項6】
前記アクリル系共重合体の分子量が20万乃至200万である、請求項1に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項7】
前記多官能性架橋剤が、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物、及び金属キレート系化合物からなる群より1種以上選択される、請求項1に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項8】
前記アクリル系粘着剤組成物の架橋密度は5乃至95%である、請求項1に記載のアクリル系感圧性粘着剤組成物。
【請求項9】
偏光フィルムの一面又は両面に、請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載のアクリル系感圧性粘着剤組成物を含む偏光板。
【請求項10】
前記偏光板は、保護層、反射層、位相差板、広視野角補償フィルム、及び輝度向上フィルムからなる群より1種以上選択される層を更に含む、請求項9に記載の偏光板。
【請求項11】
請求項9に記載の偏光板を、液晶セルの一面又は両面に接合した液晶パネルを含む液晶表示装置。

【公表番号】特表2006−521418(P2006−521418A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518783(P2005−518783)
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【国際出願番号】PCT/KR2005/000178
【国際公開番号】WO2005/068521
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド  (1,221)
【Fターム(参考)】