偏分波器
【課題】 所望の電気性能の得るためのセプタム板調整や加工性の容易性が担保された偏分波器を得る。
【解決手段】 円形導波管の軸方向に配置され、円形導波管の内径よりも短い長さの短辺を有する方形導波管と円形導波管とを接続する接続導波管と、この接続導波管と円形導波管とに亘って形成され、方形導波管の長辺が延在する方向に対して平行に配置された円形導波管及び接続導波管の内部を分割する平板状の導体壁と、この導体壁の一方の面に対向する位置における接続導波管の内壁に形成され、方形導波管側に向かうにつれ、導体壁側に傾斜した第1傾斜面と、導体壁の他方の面に対向する位置における接続導波管の内壁に形成され、方形導波管側に向かうにつれ、導体壁側に傾斜した第2傾斜面と、円形導波管に形成され、円形導波管が伝播する電磁波のうち、導体壁により偏分波された一方を取り出す結合孔とを備える。
【解決手段】 円形導波管の軸方向に配置され、円形導波管の内径よりも短い長さの短辺を有する方形導波管と円形導波管とを接続する接続導波管と、この接続導波管と円形導波管とに亘って形成され、方形導波管の長辺が延在する方向に対して平行に配置された円形導波管及び接続導波管の内部を分割する平板状の導体壁と、この導体壁の一方の面に対向する位置における接続導波管の内壁に形成され、方形導波管側に向かうにつれ、導体壁側に傾斜した第1傾斜面と、導体壁の他方の面に対向する位置における接続導波管の内壁に形成され、方形導波管側に向かうにつれ、導体壁側に傾斜した第2傾斜面と、円形導波管に形成され、円形導波管が伝播する電磁波のうち、導体壁により偏分波された一方を取り出す結合孔とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主に、VHF帯,UHF帯,マイクロ波帯,ミリ波帯など、直交した偏波を分離するために用いられる偏分波器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、直交偏分波器には、直交した偏波を伝送する円形主導波管、円形主導波管を分岐するために径方向に設けられた結合孔、結合孔を介して円形主導波管の直交方向に直交偏波の垂直成分電磁波を取り出す矩形副導波管、円形主導波管の共軸方向に直交偏波の水平成分電磁波を取り出す矩形副導波管、その共軸方向の矩形副導波管と円形主導波管の整合をとるためのステップ変換部、円形主導波管の結合孔に対して、共軸方向の矩形副導波管側の円形主導波管に形成された直交偏波の水平成分と平行に設けられたセプタム板(短絡板)、又は、ステップ変換部に形成された直交偏波の水平成分と平行に設けられたセプタム板(短絡板)を有するものがある(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
特許文献1〜3に記載の直交偏分波器は、円形主導波管を伝送する直交偏波はセプタム板により共軸方向と、直交方向に分波される。セプタム板と平行な偏波成分は、セプタム板により反射され、結合孔を介して直交分岐された矩形副導波管に取り出される。また、セプタム板と直交する垂直成分の偏波は、セプタム板の影響をあまり受けずにステップ変換部を介して共軸の矩形副導波管から取り出される。この際、ステップ変換部で円形主導波管のモードから矩形副導波管のモードへとモード変換が行われている。
【0004】
このような直交偏分波器においては、セプタム板と直交する成分の偏波を取り出す際、電波の一部はセプタム板の端で反射を起こし、反射した電波の一部がさらに逆側のセプタム板の端で反射する。そして、ある周波数においてこの多重反射した波が重なって強めあい、セプタム板の区間内にエネルギーを閉じ込めてしまう場合がある。このような場合、結果として、方形導波管から取り出される電波では、板共振と呼ばれる周期的な共振が生じる。この周期及び板共振が生じる周波数は、共軸方向におけるセプタム板の長さに依存するものである。したがって、直交偏分波器では、所望の帯域で効率よくエネルギーを取り出すために、セプタム板の長さを調整することが不可欠である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−273401号公報(全文、第1図、第2図)
【特許文献2】特開平6−140810号公報(段落番号0005、第5図)
【特許文献3】特開平8−162804号公報(段落番号0002〜0004、第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1〜3に記載の偏分波器は、円形主導波管と接続されるステップ変換部が、径の異なる導波管となり、円形主導波管に対して側壁に段差が生じるために、円形主導波管側又はステップ変換部側のいずれか一方にしかセプタム板を配置されていないので、セプタム板の長さを調整する調整しろが極端に少なく、所望の性能が得られない場合があるという課題があった。
【0007】
特許文献1及び2に記載の偏分波器では、円形主導波管側にセプタム板を配置しているので、円形主導波管側とステップ変換部との段差部分を避けて、セプタム板を長くすると、セプタム板の長さ分だけ円形主導波管が長くなってしまい、軸方向に長い大型な構造となってしまう。
【0008】
特許文献3に記載の偏分波器では、円形主導波管と接続される共軸側矩形副導波管の間をつなぐステップ変換部側にセプタム板を配置しているので、円形主導波管側とステップ変換部との段差部分を避けて、セプタム板を長くすることができる範囲がステップ変換部の長さに依存してしまう。
【0009】
また、特許文献3に記載の偏分波器では、結合孔から離れたステップ変換部にセプタム板が設置しているので、セプタム板と平行な成分の偏波を取り出す際に、円形主導波管から結合孔を介して直接直交側矩形副導波管に入る電波と、セプタム板で反射された後、結合孔を介して直交側矩形副導波管に入る電波の位相が大きく異なってしまい、広い帯域で整合をとれることが困難である。
【0010】
円形主導波管側とステップ変換部との段差部分に跨ったセプタム板を配置するためには、偏分波器を製造する上での加工作業が増えるという課題があった。なお、加工自体が困難という場合もある。さらに、円形主導波管側とステップ変換部との段差部分に跨ったセプタム板を配置する加工ができたとしても、円形主導波管側及びステップ変換部の段差部分とセプタム板が密着せず所望の性能が得られない、又は、逆に余分な導体が残ってしまい所望の性能が得られないという課題もあった。
【0011】
この発明は、上記のような課題を解消するためになされたもので、軸方向に短く小型な構造で、加工が容易であるとともに、セプタム板の長さに対する受容性が高く、直交した2つの偏波それぞれで良好な特性を実現することができる偏分波器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明に係る偏分波器は、円形導波管と、この円形導波管の軸方向に配置され、前記円形導波管の内径よりも短い長さの短辺を有する方形導波管と、この方形導波管と前記円形導波管とを接続する接続導波管と、この接続導波管と前記円形導波管とに亘って形成され、前記方形導波管の長辺が延在する方向に対して平行に配置された前記円形導波管及び前記接続導波管の内部を分割する平板状の導体壁と、この導体壁の一方の面に対向する位置における前記接続導波管の内壁に形成され、前記方形導波管側に向かうにつれ、前記導体壁側に傾斜した第1傾斜面と、前記導体壁の他方の面に対向する位置における前記接続導波管の内壁に形成され、前記方形導波管側に向かうにつれ、前記導体壁側に傾斜した第2傾斜面と、前記円形導波管に形成され、前記円形導波管が伝播する電磁波のうち、前記導体壁により偏分波された一方を取り出す結合孔とを備えたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項2の発明に係る偏分波器は、前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面が、階段状の形状を有するものである請求項1に記載のものである。
【0014】
請求項3の発明に係る偏分波器は、前記結合孔が、前記導体壁の一方又は他方の面の一部と対向する位置に形成されるものである請求項1又は2に記載のものである。
【0015】
請求項4の発明に係る偏分波器は、前記導体壁が、前記一方の面及び前記他方の面が長方形状の形状を有するものである請求項1〜3のいずれかに記載のものである。
【0016】
請求項5の発明に係る偏分波器は、前記接続導波管が、円弧状の第1壁面及びこの第1壁面と対向する円弧状の第2壁面と前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面とから構成されるものである請求項1〜4のいずれかに記載のものである。
【0017】
請求項6の発明に係る偏分波器は、前記接続導波管が、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第1壁面及びこの第1壁面と対向し、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第2壁面と前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面とから構成されるものである請求項1〜4のいずれかに記載のものである。
【0018】
請求項7の発明に係る偏分波器は、前記接続導波管が、前記円形導波管と接続する部分では、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第1壁面及びこの第1壁面と対向し、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第2壁面と前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面とから構成され、前記円形導波管側から前記方形導波管側に向かうにつれ、前記第1壁面及び前記第2壁面の径が大きくなっていくものである請求項1〜4のいずれかに記載のものである。
【0019】
請求項8の発明に係る偏分波器は、前記方形導波管の長辺が前記円形導波管の内径よりも短いものである請求項1〜3のいずれかに記載のものである。
【0020】
請求項9の発明に係る偏分波器は、前記導体壁が、前記接続導波管における前記一方の面及び前記他方の面が台形状の形状を有するものである請求項1〜3、8のいずれかに記載のものである。
【0021】
請求項10の発明に係る偏分波器は、前記接続導波管が、前記円形導波管と接続する部分では、円弧状の第1壁面及びこの第1壁面と対向する円弧状の第2壁面と前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面とから構成され、前記円形導波管側から前記方形導波管側に向かうにつれ、前記第1壁面及び前記第2壁面の距離が狭まっていくものである請求項8又は9に記載のものである。
【0022】
請求項11の発明に係る偏分波器は、前記接続導波管が、前記円形導波管と接続する部分では、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第1壁面及びこの第1壁面と対向し、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第2壁面と前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面とから構成され、前記円形導波管側から前記方形導波管側に向かうにつれ、前記第1壁面及び前記第2壁面の距離が狭まっていくものである請求項8又は9に記載のものである。
【0023】
請求項12の発明に係る偏分波器は、前記接続導波管が、前記円形導波管と接続する部分では、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第1壁面及びこの第1壁面と対向し、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第2壁面と前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面とから構成され、前記円形導波管側から前記方形導波管側に向かうにつれ、前記第1壁面及び前記第2壁面の距離が狭まっていくと共に、前記第1壁面及び前記第2壁面の径が大きくなっていくものである請求項8又は9に記載のものである。
【0024】
請求項13の発明に係る偏分波器は、前記導体壁が、前記第1壁面と前記第2壁面とに形成され、前記接続導波管の内部を分割するものである請求項5〜7、10〜12のいずれかに記載のものである。
【0025】
請求項14の発明に係る偏分波器は、前記円形導波管と前記接続導波管とが、一体である請求項1〜13のいずれかに記載のものである。
【0026】
請求項15の発明に係る偏分波器は、前記導体壁が、前記円形導波管及び前記方形導波管と一体である請求項14に記載のものである。
【0027】
請求項16の発明に係る偏分波器は、円形導波管と、この円形導波管の一方の開口と連通する接続導波管と、この接続導波管と前記円形導波管とに亘って形成され、前記円形導波管及び前記接続導波管の内部を分割する平板状の導体壁と、この導体壁の一方の面に対向する位置における前記接続導波管の内壁に形成され、前記円形導波管と反対側に向かうにつれ、前記導体壁側に傾斜した第1傾斜面と、前記導体壁の他方の面に対向する位置における前記接続導波管の内壁に形成され、前記円形導波管と反対側に向かうにつれ、前記導体壁側に傾斜した第2傾斜面と、前記円形導波管に形成され、前記円形導波管が伝播する電磁波のうち、前記導体壁により偏分波された一方を取り出す結合孔とを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、請求項1に係る発明によれば、所望の電気性能の得るための導体壁(セプタム板)調整や加工性の容易性が担保され、セプタム板を設けるのが製造上容易かつ、セプタム板の長さを調整可能な範囲が大きくなり広帯域化など電気性能を向上できる偏分波器を得ることができる。
【0029】
請求項2に係る発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加え、接続導波管の第1傾斜面及び前記第2傾斜面の斜面形状が階段状なので、より加工し易い偏分波器を得ることができる。
【0030】
請求項3に係る発明によれば、請求項1又は2に係る発明の効果に加え、結合孔を接続導波管側に近づけて設置するので、共軸方向の長さ短くすることができ、より小型化した偏分波器を得ることができる。
【0031】
請求項4に係る発明によれば、請求項1〜3のいずれかに係る発明の効果に加え、円形導波管と接続導波管との接続部分における導体壁に段差がない偏分波器を得ることができる。
【0032】
請求項5に係る発明によれば、請求項1〜4のいずれかに係る発明の効果に加え、円形導波管と接続導波管との接続部分の管内に段差が生じにくい偏分波器を得ることができる。
【0033】
請求項6に係る発明によれば、請求項1〜4のいずれかに係る発明の効果に加え、円形導波管と接続導波管との接続部分の管内に段差が生じない偏分波器を得ることができる。
【0034】
請求項7に係る発明によれば、請求項1〜4のいずれかに係る発明の効果に加え、円形導波管と接続導波管との接続部分の管内に段差が生ず、方形導波管の断面形状とも親和性が高い接続導波管を有する偏分波器を得ることができる。
【0035】
請求項8に係る発明によれば、請求項1〜3のいずれかに係る発明の効果に加え、円形導波管の内径よりも短い長辺の長さを有する方形導波管の断面形状とも親和性が高い接続導波管を有する偏分波器を得ることができる。
【0036】
請求項9に係る発明によれば、請求項1〜3、8のいずれかに係る発明の効果に加え、円形導波管と接続導波管との接続部分における導体壁に大きな段差がない偏分波器を得ることができる。
【0037】
請求項10に係る発明によれば、請求項8又は9に係る発明の効果に加え、円形導波管と接続導波管との接続部分の管内に段差が生じない偏分波器を得ることができる。
【0038】
請求項11に係る発明によれば、請求項8又は9に係る発明の効果に加え、円形導波管の内径よりも短い長辺の長さを有する方形導波管と親和性が高い接続導波管を有する偏分波器を得ることができる。
【0039】
請求項12に係る発明によれば、請求項8又は9に係る発明の効果に加え、円形導波管の内径よりも短い長辺の長さを有する方形導波管の断面形状とも親和性が高い接続導波管を有する偏分波器を得ることができる。
【0040】
請求項13に係る発明によれば、請求項5〜7、10〜12のいずれかに係る発明の効果に加え、第1壁面及び第2壁面に導体壁を形成するので、外形に大きな段差が生じにくい導体壁を有する偏分波器を得ることができる。
【0041】
請求項14に係る発明によれば、請求項1〜13のいずれかに係る発明の効果に加え、結合孔と導体壁との位置調整が容易な偏分波器を得ることができる。
【0042】
請求項15に係る発明によれば、請求項14のいずれかに係る発明の効果に加え、導体壁を接続導波管と円形導波管とに亘って、より形成しやすい偏分波器を得ることができる。
【0043】
請求項16に係る発明によれば、方形導波管が接続可能であって、所望の電気性能の得るための導体壁(セプタム板)調整や加工性の容易性が担保され、セプタム板を設けるのが製造上容易かつ、セプタム板の長さを調整可能な範囲が大きくなり広帯域化など電気性能を向上できる偏分波器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の実施の形態1に係る偏分波器の構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る偏分波器の透視斜視図(立体図)である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る偏分波器の透視側面図及び側方図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る偏分波器の透視上面図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る偏分波器の透視上面図及び断面図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る偏分波器の透視上面図及び断面図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る偏分波器の透視側面図及び側方図並びに断面図である。
【図8】この発明の実施の形態2に係る偏分波器の透視斜視図(立体図)である。
【図9】この発明の実施の形態2に係る偏分波器の透視側面図及び側方図である。
【図10】この発明の実施の形態2に係る偏分波器の透視上面図である。
【図11】この発明の実施の形態2に係る偏分波器透視上面図である。
【図12】この発明の実施の形態2に係る偏分波器の透視側面図及び側方図並びに断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について図1〜7を用いて説明する。図1(a)は偏分波器の上面図、図1(b)は偏分波器の上面図(導体壁(セプタム板)を点線で表示)、図1(c)は図1(a)に記載の一点鎖線AAによる偏分波器の断面図であり、図1における二点鎖線BBは円形導波管と接続導波管との機能の境目を示している。図3(a)は偏分波器に透視側面図(導体壁(セプタム板)を点線で表示)、図3(b)は図3(a)に記載の矢印Bから見た偏分波器の側方図である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0046】
図5(a)は偏分波器の透視上面図(結合孔及び方形副導波管を省略している)、図5(b)(e)は図5(a)に記載の一点鎖線AAによる偏分波器の断面図、図5(c)(f)は図5(a)に記載の一点鎖線BBによる偏分波器の断面図、図5(d)(g)は図5(a)に記載の一点鎖線CCによる偏分波器の断面図、図6(a)は偏分波器の透視上面図(結合孔及び方形副導波管を省略している)、図6(b)(e)は図6(a)に記載の一点鎖線AAによる偏分波器の断面図、図6(c)(f)は図6(a)に記載の一点鎖線BBによる偏分波器の断面図、図6(d)(g)は図6(a)に記載の一点鎖線CCによる偏分波器の断面図、図7(a)は偏分波器の透視側面図(導体壁(セプタム板)を点線で表示)、図7(b)は図7(a)に記載の矢印Bから見た偏分波器の側方図、図7(c)は図7(a)に記載の点線AAによる偏分波器の断面図である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0047】
図1〜7において、1は円形導波管(円形主導波管)、2は円形導波管1が延在する軸方向(共軸方向)に配置され、円形導波管1の内径よりも短い長さの短辺を有する方形導波管(矩形導波管,方形主導波管,矩形主導波管,共軸側矩形副導波管)、3は方形導波管2と円形導波管1とを接続する接続導波管、4は接続導波管3と円形導波管1とに亘って形成され、方形導波管2の長辺が延在する方向に対して平行に配置された円形導波管1及び接続導波管3の内部を分割する平板状の導体壁(セプタム板,短絡板)、3aは導体壁(セプタム板)4の一方の面に対向する位置における接続導波管3の内壁に形成され、方形導波管2側に向かうにつれ、導体壁4側に傾斜した第1傾斜面、3bは導体壁(セプタム板)4の他方の面に対向する位置における接続導波管3の内壁に形成され、方形導波管2側に向かうにつれ、導体壁4側に傾斜した第2傾斜面である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0048】
なお、図1〜図3、図5、図7において、円形導波管1は、略真円のもので、円周に亘って内径が一定で、方形導波管2の長辺の長さが円形導波管1の内径と略同じ又は円形導波管1の内径よりも長いものを図示している(接続導波管3においては、第1傾斜面3a、第2傾斜面3b以外の部分の内径に相当する。換言すると、後述する第1壁面3cと第2壁面3dとによる径に相当する。)。これは、円形導波管1の内径をaとし、方形導波管2の長辺の長さをbしたとき、b=a+αとなる。ここで、αは、円形導波管1(接続導波管3)と方形導波管2との接続に支障がない程度のものであればよい。もちろん、図4に記載のように、円形導波管1は、略真円のもので、円周に亘って内径が一定で、方形導波管2の長辺の長さが円形導波管1の内径と略同じ又は円形導波管1の内径よりも短いものでもよい(接続導波管3においては、第1傾斜面3a、第2傾斜面3b以外の部分の内径に相当する。換言すると、後述する第1壁面3cと第2壁面3dとによる径に相当する。)。つまり、円形導波管1の内径をaとし、方形導波管2の長辺の長さをbしたとき、b+α=aとなる。αは前述のものと同じ定義である。但し、αが許容範囲を超えている場合は、図6に記載のとおり、接続導波管3における後述する第1壁面3cと第2壁面3dの部分を傾斜状にすればよい。図6では、接続導波管3における後述する第1壁面3cと第2壁面3dによる径のうち、方形導波管2と接する部分又はその近傍の径は、方形導波管2の長辺の長さよりも短いものを図示しているが、逆でもよいが、その差は前述のαの範囲である必要がある。円形導波管1が楕円の場合に関しては後述する。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0049】
続いて、図1〜7において、5は円形導波管1に形成され、円形導波管1が伝播する電磁波のうち、導体壁4により偏分波された一方を取り出すために、円形導波管1を分岐し、円形導波管1の径方向に設けられた結合孔である。結合孔5は導体壁4の一方又は他方の面の一部と対向する位置に形成されている。6は結合孔5を介して円形主導波管の直交方向に電磁波を取り出す方形副導波管(矩形副導波管,直交側矩形副導波管)、3cは接続導波管2を構成する円弧状の第1壁面、3dは接続導波管2を構成し、第1壁面3cと対向する円弧状の第2壁面である。第1壁面3cと第2壁面3dとは、ぞれぞれ、円弧の中心点側を向かえ合わせにした状態で対向している。なお、接続導波管2は第1壁面3c及び第1壁面3cと対向する円弧状の第2壁面3dと第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bとから構成されるものである。
【0050】
導体壁4は第1壁面3cと第2壁面3dとに形成され、接続導波管3の内部を分割するものである。導体壁4,第1壁面3c,第2壁面3dにより、接続導波管3はH字状の形状を成している。さらに、第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bも加えると、接続導波管3はΘ字のような形状を成している。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。図1以外の図においては、構造や位置関係(特に、実施の形態1に係る偏分波器の導波管構造の内壁構造)の分かり易さを優先して、円形導波管1,方形導波管2,接続導波管3,方形副導波管6の導体厚を線分で表記している。
【0051】
図1〜5を用いて実施の形態1に係る偏分波器を説明する。図1〜3には、円形導波管1は、共軸方向に小判状を分割したような双曲線状の外形を有する面を持つ第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bを有する接続導波管3と接続されているものが記載されている。第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bは、直線状の傾斜(テーパ)を有する面であるが、テーパ(傾斜)は直線形状でなくとも、コサインやサインの三角関数などにより定義される曲線形状であってもよい。接続導波管3は、方形導波管2と接続されている。また、円形導波管1は直交方向に結合孔5が設けられ、結合孔5は方形副導波管6と接続される。
【0052】
導体壁4は、円形導波管1から接続導波管3に跨って導波管(実施の形態1に係る偏分波器の導波管構造)内に配置されている。なお、図1〜3から、結合孔5は導体壁4の一方(他方)の面の一部と対向する位置に形成されていることが分かる。図1(a)(b)に記載の方形副導波管6の開口から導体壁4の一部が見える。同様に、図3(b)に記載の方形導波管2の開口から、方形導波管2の長辺が延在する方向であって、方形導波管2の短辺が延在する方向に直交する方向に、延在する導体板4が、見える。
【0053】
次に、図4及び図5(図1(b))を用いて、接続導波管3の第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bを結ぶ側壁である第1壁面3c及び第2壁面3dに関して説明を行う。なお、図4に記載の偏分波器は、円形導波管1の内径(a)が方形導波管2の長辺の長さ(b)よりも長いものを示しており、図5に記載の偏分波器は、円形導波管1の内径(a)が方形導波管2の長辺の長さ(b)よりも短いものを示している。まず、図1(b),図4,図5(a)から導体壁4は、一方の面及び他方の面が長方形状の形状を有するものであることが分かる。つまり、実施の形態1に係る偏分波器の導波管構造においては、導体壁4が段差状の外形を有する平板ではないことが分かる。これは、第1壁面3c及び第2壁面3dの構造・形状が寄与している。図4及び図5(a)並びに図5(b)〜(d)から、接続導波管3は、図5(b)に示す円(円形導波管1)の上下を平行な線で切り取った小判型の断面形状を有し、円形導波管1と同じ径のままで、上下の平行線の間隔を変化させていくものであることがわかる(図5(c)(d))。
【0054】
つまり、図4及び図5(a)並びに図5(b)〜(d)から、接続導波管3は、円形導波管1の内径と同じ径の円弧状の第1壁面3c及び第1壁面3cと対向し、円形導波管1の内径と同じ径の円弧状の第2壁面3dと第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bとから構成されるものであるといえる。よって、第1壁面3c及び第2壁面3dの対向する円弧の中心に渡す(円弧の中心をつなぐ)ような形で、導体壁4を接続導波管3と円形導波管1とに亘って形成することで、導体壁4が段差状の外形を有する平板ではなく、長方形状の形状を有するものにすることができる。
【0055】
図5(b)〜(d)には、第1壁面3c及び第2壁面3dが、共軸方向に亘って同じ形状のものを記載したが、共軸方向に亘って同じ形状でなくても、接続導波管3と円形導波管1とに亘って形成しても、導体壁4が段差状の外形を有する平板ではなく、長方形状の形状を有するものにすることができる場合を図4及び図5(a)並びに図5(e)〜(g)を用いて説明する。
【0056】
図5(e)〜(g)には、接続導波管3は、円形導波管1と接続する部分では、円形導波管1の内径と同じ径の円弧状の第1壁面3c及び第1壁面3cと対向し、円形導波管1の内径と同じ径の円弧状の第2壁面3dと第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bとから構成され、円形導波管1側から方形導波管2側に向かうにつれ、第1壁面3c及び第2壁面3dの円弧の径が大きくなっていくものが記載されている。このような構造でも、第1壁面3c及び第2壁面3dの対向する円弧の中心間の距離が、図5(b)〜(d)に記載の第1壁面3c及び第2壁面3dと同様に、一定とすることが容易となる。
【0057】
これまでは、導体壁4が長方形状の形状を有するものを説明したが、円形導波管1と接続導波管3との接続部分であって、導体壁4が形成されている部分に、大きな段差が生じなれば、実施の形態1に係る偏分波器は実施可能である。つまり、方形導波管2の長辺が円形導波管1の内径よりも短いものである場合も、実施の形態1に係る偏分波器に含まれるといえる。この場合について、図6を用いて説明する。図6を用いて説明するものは、導体壁4が、円形導波管1における一方の面及び他方の面が長方状の形状を有し、接続導波管3における一方の面及び他方の面が台形状の形状を有するものである。
【0058】
図6(a)〜(g)は、前述の図5(a)〜(g)にそれぞれ対応する。なお、図6に記載の偏分波器は、円形導波管1の内径(a)が方形導波管2の長辺の長さ(b)よりも長いものを示している。図6(a)並びに図6(b)〜(d)から、接続導波管3は、図6(b)に示す円(円形導波管1)の上下を平行な線で切り取った小判型の断面形状を有し、円形導波管1の接続部分では、円形導波管1と同じ径で、上下の平行線の間隔を変化させていくと共に、第1壁面3c及び第2壁面3dが近づいていくものであることがわかる(図6(c)(d))。よって、接続導波管3は、円形導波管1と接続する部分では、円弧状の第1壁面3c及び第1壁面と3c対向する円弧状の第2壁面4dと第1傾斜面3a及び第2傾斜面3dとから構成され、円形導波管1側から方形導波管2側に向かうにつれ、第1壁面3c及び第2壁面3dの距離が狭まっていくことから(図6(c)(d))、結果的に、導体壁4が接続導波管3におけて、一方の面及び他方の面が台形状の形状となる。
【0059】
つまり、図6(a)並びに図6(b)〜(d)から、接続導波管3は、円形導波管1と接続する部分では、円形導波管1の内径と同じ径の円弧状の第1壁面3c及び第1壁面3cと対向し、円形導波管1の内径と同じ径の円弧状の第2壁面3dと第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bとから構成され、円形導波管1側から方形導波管2側に向かうにつれ、第1壁面3c及び第2壁面3dの距離が狭まっていくものであるといえる。よって、第1壁面3c及び第2壁面3dの対向する円弧の中心に渡す(円弧の中心をつなぐ)ような形で、導体壁4を接続導波管3と円形導波管1とに亘って形成することで、導体壁4が段差状の外形を有する平板ではなく、長方形状及び台形状を組み合わせた形状を有するものにすることができる。なお、図示は省略するが、偏分波器において、円形導波管1の内径(a)が方形導波管2の長辺の長さ(b)よりも短い、つまり、b=a+αであって、前述のαが許容範囲を超えている場合は、接続導波管3が、円形導波管1と接続する部分では、円形導波管1の内径と同じ径の円弧状の第1壁面3c及び第1壁面3cと対向し、円形導波管1の内径と同じ径の円弧状の第2壁面3dと第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bとから構成され、円形導波管1側から方形導波管2側に向かうにつれ、第1壁面3c及び第2壁面3dの距離が拡がっていくものとするとよい。この場合、接続導波管3における第1壁面3cと第2壁面3dによる径のうち、方形導波管2と接する部分又はその近傍の径は、方形導波管2の長辺の長さよりも長くても短くてもよいが、その差は前述のαの範囲である必要がある。
【0060】
図6(b)〜(d)には、第1壁面3c及び第2壁面3dが、共軸方向に亘って同じ形状のものを記載したが、共軸方向に亘って同じ形状でなくても、接続導波管3と円形導波管1とに亘って形成しても、導体壁4が段差状の外形を有する平板ではなく、長方形状及び台形状を組み合わせた形状を有するものにすることができる場合を図6(a)並びに図6(e)〜(g)を用いて説明する。
【0061】
図6(e)〜(g)には、接続導波管3が、円形導波管1と接続する部分では、円形導波管1の内径と同じ径の円弧状の第1壁面3c及び第1壁面3cと対向し、円形導波管1の内径と同じ径の円弧状の第2壁面3dと第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bとから構成され、円形導波管1側から方形導波管2側に向かうにつれ、第1壁面3c及び第2壁面3dの距離が狭まっていくと共に、第1壁面3c及び第2壁面3dの円弧の径が大きくなっていくものが記載されている。このような構造でも、第1壁面3c及び第2壁面3dの対向する円弧の中心間の距離における縮小率が、図6(b)〜(d)に記載の第1壁面3c及び第2壁面3dと同様にすることが容易となる。なお、図示は省略するが、偏分波器において、円形導波管1の内径(a)が方形導波管2の長辺の長さ(b)よりも短い、つまり、b=a+αであって、前述のαが許容範囲を超えている場合は、接続導波管3が、円形導波管1と接続する部分では、円形導波管1の内径と同じ径の円弧状の第1壁面3c及び第1壁面3cと対向し、円形導波管1の内径と同じ径の円弧状の第2壁面3dと第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bとから構成され、円形導波管1側から方形導波管2側に向かうにつれ、第1壁面3c及び第2壁面3dの距離が拡がっていくと共に、第1壁面3c及び第2壁面3dの円弧の径が大きくなっていくものとするとよい。この場合、接続導波管3における第1壁面3cと第2壁面3dによる径のうち、方形導波管2と接する部分又はその近傍の径は、方形導波管2の長辺の長さよりも長くても短くてもよいが、その差は前述のαの範囲である必要がある。
【0062】
次に、実施の形態1に係る偏分波器の動作を説明する。実施の形態1に係る偏分波器は、直交した偏波を伝送可能な円形主導波管1と径方向に結合孔5を介して接続された方形副導波管6と、円形主導波管1と共軸方向に接続導波管3を介して接続された方形導波管2とから構成されている。接続導波管3は、円形導波管3の上下を平行な直線で切り取った小判状の断面をもち上下の高さがテーパ状に変化し、円形導波管1と接続導波管3にまたがった領域で配置された導体壁(セプタム板)4を具備している。
【0063】
円形導波管1は直交した偏波を伝送し、接続導波管3を介して方形導波管2に、若しくは結合孔5を介し方形副導波管6に電波(電磁波)を伝送する。また、方形導波管2からの電波は円形導波管1端に出力される。方形副導波管6からの電波は円形導波管1端に出力される。接続導波管3は円形導波管1と方形導波管2との整合を行う。
【0064】
このような構造から、例えば、図7のように(方形導波管2は接続されていない)、接続導波管3を前述した小判型とすることで、外形が円形となる範囲では、導波管の幅(または径)が変化しないため円形導波管1と接続導波管3とを跨って薄い板状のセプタム板(導体壁)4を容易に配置又は加工することができる。また、外形が円形となる範囲では、導波管の幅(または径)の変化が少ないので、円形導波管1と接続導波管3とを跨って薄い板状のセプタム板(導体壁)4を容易に配置又は加工することができる。
【0065】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2について図8〜12を用いて説明する。図9(a)は偏分波器に透視側面図(導体壁(セプタム板)を点線で表示)、図9(b)は図9(a)に記載の矢印Bから見た偏分波器の側方図、図11(a)は偏分波器の透視上面図(結合孔及び方形副導波管を省略している)、図11(b)は偏分波器の透視上面図(結合孔及び方形副導波管を省略している)、図12(a)は偏分波器の透視側面図(導体壁(セプタム板)を点線で表示)、図12(b)は図12(a)に記載の矢印Bから見た偏分波器の側方図、図12(c)は図12(a)に記載の点線AAによる偏分波器の断面図である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0066】
図8〜12を用いて実施の形態2に係る偏分波器を説明する。実施の形態2においては、実施の形態1と異なる点(第1傾斜面3a,第2傾斜面3b)に関して説明するが、共通する部分の説明は省略する。実施の形態2に係る偏分波器は、実施の形態1に係る偏分波器において、直線状の傾斜(テーパ)や、コサインやサインの三角関数などにより定義される曲線形状の傾斜を有する面であった第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bが、階段状の形状を有するものとなっている点が異なる。第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bの階段状の傾斜は、実施の形態1における第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bの斜面を模擬したものとなっている。つまり、第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bによる階段部分の一段一段を直線又は曲線で結ぶと概略の形状が、実施の形態1における第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bに近似したものとなる。
【0067】
図8〜10は、実施の形態1に係る偏分波器の説明に用いた図2〜4に、それぞれ対応する。図8〜10には、円形導波管1は、共軸方向に小判状を分割したような双曲線状の外形を有する面の双曲線部分をピラミッド状の段差を持つ第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bを有する接続導波管3と接続されているものが記載されている。第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bは、直線状の傾斜(テーパ)を有する面や、コサインやサインの三角関数などにより定義される曲線形状を模擬した階段状の形状を有しており、加工が容易となっている。なお、階段状の形状は前述のように直線状の傾斜や三角関数などにより定義される曲線形状を模擬しても良いし、1/4波長整合器のようなインピーダンス整合器による階段形状を成してもかまわない。なお、1/4波長とは偏分波器(導波管)の使用周波数(波長)に対するものであることはいうまでもない。
【0068】
図11(a)及び図11(b)は、実施の形態1に係る偏分波器の説明に用いた図5(a)及び図6(a)に、それぞれ対応する。図11から、実施の形態2に係る偏分波器においても、導体壁4の形状が長方形状の形状を有するものと、導体壁4の形状が長方形状及び台形状の形状を有するものの両方が許容されることが分かる。
【0069】
よって、実施の形態2に係る偏分波器は、直交した偏波を伝送可能な円形主導波管1と径方向に結合孔を介して接続された方形副導波管6と、円形導波管1と軸方向に接続導波管3を介して接続された方形導波管2とから構成されていることは、実施の形態1に係る偏分波器と同様であることはいうまでもない。実施の形態2と実施の形態1との相違点は、実施の形態2に係る偏分波器が、接続導波管3の上下を平行な直線で切り取った小判状の断面を有し、上下の高さがステップ状(階段状)に変化することである。
【0070】
実施の形態1及び2.
実施の形態1及び2に係る偏分波器において、円形導波管1及び接続導波管3は、切削加工やダイキャスト鋳造などの一般的な加工方法で一体成形することが好適である。導体壁4も、円形導波管1及び接続導波管3と共に、切削加工やダイキャスト鋳造などの一般的な加工方法で一体成形することが好適である。また、接続導波管3と方形導波管2との接続は、一般的な導波管接続手法を用いればよい。
【0071】
円形導波管1及び接続導波管3が一体である場合は、実施の形態1においては、接続導波管3が円形導波管1の方形導波管2と接続される側の端部に設けられたテーパ変換部と解することができ、導体壁(セプタム板)4は、円形導波管1と円形導波管1のテーパ変換部に跨った領域に配置される。実施の形態2においては、接続導波管3が円形導波管1の方形導波管2と接続される側の端部に設けられたステップ変換部と解することができ、導体壁(セプタム板)4は、円形導波管1と円形導波管1のステップ変換部に跨った領域に配置される。
【0072】
実施の形態1及び2においては、円形導波管1は、略真円のもので、円周に亘って内径が一定で、方形導波管2の長辺の長さが円形導波管1の内径と略同じもの(前述のαの範囲内の径の違い)又は、方形導波管2の長辺の長さが円形導波管1の内径よりも短いもの(前述のαを超える径の違い)を説明したが、円形導波管1が楕円の場合は、内径のうち、長い方に方形導波管2の長辺を合わせ、短い方に方形導波管2の長辺を合わせて、円形導波管1と方形導波管2とを接続すれば(もちろん、接続導波管3を介して接続すれば)、実施の形態1及び2に係る偏分波器が適用できる。具体的には、本願に係る発明における偏分波器の導体壁(セプタム板)4の構造が再現できるので、実施の形態1及び2に係る偏分波器が適用できる。よって、本願に係る発明の趣旨から逸脱していないことは明らかである。
【0073】
つまり、本願(実施の形態1及び2)に係る偏分波器は、円形導波管1と、この円形導波管1の一方の開口と連通する(接続された、又は、一体の)接続導波管3(円形導波管1と一体の場合は、前述のとおり、円形導波管1のテーパ変換部又は円形導波管1のステップ変換部となる)と、この接続導波管3と円形導波管1とに亘って形成され、円形導波管1及び接続導波管3の内部を分割する平板状の導体壁4と、この導体壁4の一方の面に対向する位置における接続導波管3の内壁に形成され、円形導波管1と反対側に向かうにつれ、導体壁4側に傾斜した第1傾斜面3aと、導体壁4の他方の面に対向する位置における接続導波管3の内壁に形成され、円形導波管1と反対側に向かうにつれ、導体壁4側に傾斜した第2傾斜面4bと、円形導波管1に形成され、円形導波管1が伝播する電磁波のうち、導体壁4により偏分波された一方を取り出す結合孔5とを備えたものであるといえる。よって、接続導波管3における円形導波管1との連通している部分の形状(断面)は、円形導波管1の断面形状と同じもの(円、又は、楕円)である。また、接続導波管3における方形導波管2と接続可能な側の形状(断面)は、楕円、若しくは、方形で角部分(四隅)が円弧状のものとなる。なお、導体壁4は、接続導波管3(円形導波管1)に接続されうる方形導波管2の長辺が延在する方向に対して平行に配置されるものである。円形導波管1のテーパ変換部又は円形導波管1のステップ変換部は、円形導波管1における円形導波管1に接続されうる方形導波管2側に形成されるものである。
【符号の説明】
【0074】
1・・円形導波管(円形主導波管)、2・・方形導波管(矩形導波管,方形主導波管,矩形主導波管,共軸側矩形副導波管)、3・・接続導波管、3a・・第1傾斜面、3b・・第2傾斜面、3c・・第1壁面、3d・・第2壁面、4・・導体壁(セプタム板,短絡板)、5・・結合孔、6・・方形副導波管(矩形副導波管,直交側矩形副導波管)。
【技術分野】
【0001】
この発明は、主に、VHF帯,UHF帯,マイクロ波帯,ミリ波帯など、直交した偏波を分離するために用いられる偏分波器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、直交偏分波器には、直交した偏波を伝送する円形主導波管、円形主導波管を分岐するために径方向に設けられた結合孔、結合孔を介して円形主導波管の直交方向に直交偏波の垂直成分電磁波を取り出す矩形副導波管、円形主導波管の共軸方向に直交偏波の水平成分電磁波を取り出す矩形副導波管、その共軸方向の矩形副導波管と円形主導波管の整合をとるためのステップ変換部、円形主導波管の結合孔に対して、共軸方向の矩形副導波管側の円形主導波管に形成された直交偏波の水平成分と平行に設けられたセプタム板(短絡板)、又は、ステップ変換部に形成された直交偏波の水平成分と平行に設けられたセプタム板(短絡板)を有するものがある(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
特許文献1〜3に記載の直交偏分波器は、円形主導波管を伝送する直交偏波はセプタム板により共軸方向と、直交方向に分波される。セプタム板と平行な偏波成分は、セプタム板により反射され、結合孔を介して直交分岐された矩形副導波管に取り出される。また、セプタム板と直交する垂直成分の偏波は、セプタム板の影響をあまり受けずにステップ変換部を介して共軸の矩形副導波管から取り出される。この際、ステップ変換部で円形主導波管のモードから矩形副導波管のモードへとモード変換が行われている。
【0004】
このような直交偏分波器においては、セプタム板と直交する成分の偏波を取り出す際、電波の一部はセプタム板の端で反射を起こし、反射した電波の一部がさらに逆側のセプタム板の端で反射する。そして、ある周波数においてこの多重反射した波が重なって強めあい、セプタム板の区間内にエネルギーを閉じ込めてしまう場合がある。このような場合、結果として、方形導波管から取り出される電波では、板共振と呼ばれる周期的な共振が生じる。この周期及び板共振が生じる周波数は、共軸方向におけるセプタム板の長さに依存するものである。したがって、直交偏分波器では、所望の帯域で効率よくエネルギーを取り出すために、セプタム板の長さを調整することが不可欠である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−273401号公報(全文、第1図、第2図)
【特許文献2】特開平6−140810号公報(段落番号0005、第5図)
【特許文献3】特開平8−162804号公報(段落番号0002〜0004、第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1〜3に記載の偏分波器は、円形主導波管と接続されるステップ変換部が、径の異なる導波管となり、円形主導波管に対して側壁に段差が生じるために、円形主導波管側又はステップ変換部側のいずれか一方にしかセプタム板を配置されていないので、セプタム板の長さを調整する調整しろが極端に少なく、所望の性能が得られない場合があるという課題があった。
【0007】
特許文献1及び2に記載の偏分波器では、円形主導波管側にセプタム板を配置しているので、円形主導波管側とステップ変換部との段差部分を避けて、セプタム板を長くすると、セプタム板の長さ分だけ円形主導波管が長くなってしまい、軸方向に長い大型な構造となってしまう。
【0008】
特許文献3に記載の偏分波器では、円形主導波管と接続される共軸側矩形副導波管の間をつなぐステップ変換部側にセプタム板を配置しているので、円形主導波管側とステップ変換部との段差部分を避けて、セプタム板を長くすることができる範囲がステップ変換部の長さに依存してしまう。
【0009】
また、特許文献3に記載の偏分波器では、結合孔から離れたステップ変換部にセプタム板が設置しているので、セプタム板と平行な成分の偏波を取り出す際に、円形主導波管から結合孔を介して直接直交側矩形副導波管に入る電波と、セプタム板で反射された後、結合孔を介して直交側矩形副導波管に入る電波の位相が大きく異なってしまい、広い帯域で整合をとれることが困難である。
【0010】
円形主導波管側とステップ変換部との段差部分に跨ったセプタム板を配置するためには、偏分波器を製造する上での加工作業が増えるという課題があった。なお、加工自体が困難という場合もある。さらに、円形主導波管側とステップ変換部との段差部分に跨ったセプタム板を配置する加工ができたとしても、円形主導波管側及びステップ変換部の段差部分とセプタム板が密着せず所望の性能が得られない、又は、逆に余分な導体が残ってしまい所望の性能が得られないという課題もあった。
【0011】
この発明は、上記のような課題を解消するためになされたもので、軸方向に短く小型な構造で、加工が容易であるとともに、セプタム板の長さに対する受容性が高く、直交した2つの偏波それぞれで良好な特性を実現することができる偏分波器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明に係る偏分波器は、円形導波管と、この円形導波管の軸方向に配置され、前記円形導波管の内径よりも短い長さの短辺を有する方形導波管と、この方形導波管と前記円形導波管とを接続する接続導波管と、この接続導波管と前記円形導波管とに亘って形成され、前記方形導波管の長辺が延在する方向に対して平行に配置された前記円形導波管及び前記接続導波管の内部を分割する平板状の導体壁と、この導体壁の一方の面に対向する位置における前記接続導波管の内壁に形成され、前記方形導波管側に向かうにつれ、前記導体壁側に傾斜した第1傾斜面と、前記導体壁の他方の面に対向する位置における前記接続導波管の内壁に形成され、前記方形導波管側に向かうにつれ、前記導体壁側に傾斜した第2傾斜面と、前記円形導波管に形成され、前記円形導波管が伝播する電磁波のうち、前記導体壁により偏分波された一方を取り出す結合孔とを備えたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項2の発明に係る偏分波器は、前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面が、階段状の形状を有するものである請求項1に記載のものである。
【0014】
請求項3の発明に係る偏分波器は、前記結合孔が、前記導体壁の一方又は他方の面の一部と対向する位置に形成されるものである請求項1又は2に記載のものである。
【0015】
請求項4の発明に係る偏分波器は、前記導体壁が、前記一方の面及び前記他方の面が長方形状の形状を有するものである請求項1〜3のいずれかに記載のものである。
【0016】
請求項5の発明に係る偏分波器は、前記接続導波管が、円弧状の第1壁面及びこの第1壁面と対向する円弧状の第2壁面と前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面とから構成されるものである請求項1〜4のいずれかに記載のものである。
【0017】
請求項6の発明に係る偏分波器は、前記接続導波管が、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第1壁面及びこの第1壁面と対向し、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第2壁面と前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面とから構成されるものである請求項1〜4のいずれかに記載のものである。
【0018】
請求項7の発明に係る偏分波器は、前記接続導波管が、前記円形導波管と接続する部分では、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第1壁面及びこの第1壁面と対向し、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第2壁面と前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面とから構成され、前記円形導波管側から前記方形導波管側に向かうにつれ、前記第1壁面及び前記第2壁面の径が大きくなっていくものである請求項1〜4のいずれかに記載のものである。
【0019】
請求項8の発明に係る偏分波器は、前記方形導波管の長辺が前記円形導波管の内径よりも短いものである請求項1〜3のいずれかに記載のものである。
【0020】
請求項9の発明に係る偏分波器は、前記導体壁が、前記接続導波管における前記一方の面及び前記他方の面が台形状の形状を有するものである請求項1〜3、8のいずれかに記載のものである。
【0021】
請求項10の発明に係る偏分波器は、前記接続導波管が、前記円形導波管と接続する部分では、円弧状の第1壁面及びこの第1壁面と対向する円弧状の第2壁面と前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面とから構成され、前記円形導波管側から前記方形導波管側に向かうにつれ、前記第1壁面及び前記第2壁面の距離が狭まっていくものである請求項8又は9に記載のものである。
【0022】
請求項11の発明に係る偏分波器は、前記接続導波管が、前記円形導波管と接続する部分では、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第1壁面及びこの第1壁面と対向し、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第2壁面と前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面とから構成され、前記円形導波管側から前記方形導波管側に向かうにつれ、前記第1壁面及び前記第2壁面の距離が狭まっていくものである請求項8又は9に記載のものである。
【0023】
請求項12の発明に係る偏分波器は、前記接続導波管が、前記円形導波管と接続する部分では、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第1壁面及びこの第1壁面と対向し、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第2壁面と前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面とから構成され、前記円形導波管側から前記方形導波管側に向かうにつれ、前記第1壁面及び前記第2壁面の距離が狭まっていくと共に、前記第1壁面及び前記第2壁面の径が大きくなっていくものである請求項8又は9に記載のものである。
【0024】
請求項13の発明に係る偏分波器は、前記導体壁が、前記第1壁面と前記第2壁面とに形成され、前記接続導波管の内部を分割するものである請求項5〜7、10〜12のいずれかに記載のものである。
【0025】
請求項14の発明に係る偏分波器は、前記円形導波管と前記接続導波管とが、一体である請求項1〜13のいずれかに記載のものである。
【0026】
請求項15の発明に係る偏分波器は、前記導体壁が、前記円形導波管及び前記方形導波管と一体である請求項14に記載のものである。
【0027】
請求項16の発明に係る偏分波器は、円形導波管と、この円形導波管の一方の開口と連通する接続導波管と、この接続導波管と前記円形導波管とに亘って形成され、前記円形導波管及び前記接続導波管の内部を分割する平板状の導体壁と、この導体壁の一方の面に対向する位置における前記接続導波管の内壁に形成され、前記円形導波管と反対側に向かうにつれ、前記導体壁側に傾斜した第1傾斜面と、前記導体壁の他方の面に対向する位置における前記接続導波管の内壁に形成され、前記円形導波管と反対側に向かうにつれ、前記導体壁側に傾斜した第2傾斜面と、前記円形導波管に形成され、前記円形導波管が伝播する電磁波のうち、前記導体壁により偏分波された一方を取り出す結合孔とを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、請求項1に係る発明によれば、所望の電気性能の得るための導体壁(セプタム板)調整や加工性の容易性が担保され、セプタム板を設けるのが製造上容易かつ、セプタム板の長さを調整可能な範囲が大きくなり広帯域化など電気性能を向上できる偏分波器を得ることができる。
【0029】
請求項2に係る発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加え、接続導波管の第1傾斜面及び前記第2傾斜面の斜面形状が階段状なので、より加工し易い偏分波器を得ることができる。
【0030】
請求項3に係る発明によれば、請求項1又は2に係る発明の効果に加え、結合孔を接続導波管側に近づけて設置するので、共軸方向の長さ短くすることができ、より小型化した偏分波器を得ることができる。
【0031】
請求項4に係る発明によれば、請求項1〜3のいずれかに係る発明の効果に加え、円形導波管と接続導波管との接続部分における導体壁に段差がない偏分波器を得ることができる。
【0032】
請求項5に係る発明によれば、請求項1〜4のいずれかに係る発明の効果に加え、円形導波管と接続導波管との接続部分の管内に段差が生じにくい偏分波器を得ることができる。
【0033】
請求項6に係る発明によれば、請求項1〜4のいずれかに係る発明の効果に加え、円形導波管と接続導波管との接続部分の管内に段差が生じない偏分波器を得ることができる。
【0034】
請求項7に係る発明によれば、請求項1〜4のいずれかに係る発明の効果に加え、円形導波管と接続導波管との接続部分の管内に段差が生ず、方形導波管の断面形状とも親和性が高い接続導波管を有する偏分波器を得ることができる。
【0035】
請求項8に係る発明によれば、請求項1〜3のいずれかに係る発明の効果に加え、円形導波管の内径よりも短い長辺の長さを有する方形導波管の断面形状とも親和性が高い接続導波管を有する偏分波器を得ることができる。
【0036】
請求項9に係る発明によれば、請求項1〜3、8のいずれかに係る発明の効果に加え、円形導波管と接続導波管との接続部分における導体壁に大きな段差がない偏分波器を得ることができる。
【0037】
請求項10に係る発明によれば、請求項8又は9に係る発明の効果に加え、円形導波管と接続導波管との接続部分の管内に段差が生じない偏分波器を得ることができる。
【0038】
請求項11に係る発明によれば、請求項8又は9に係る発明の効果に加え、円形導波管の内径よりも短い長辺の長さを有する方形導波管と親和性が高い接続導波管を有する偏分波器を得ることができる。
【0039】
請求項12に係る発明によれば、請求項8又は9に係る発明の効果に加え、円形導波管の内径よりも短い長辺の長さを有する方形導波管の断面形状とも親和性が高い接続導波管を有する偏分波器を得ることができる。
【0040】
請求項13に係る発明によれば、請求項5〜7、10〜12のいずれかに係る発明の効果に加え、第1壁面及び第2壁面に導体壁を形成するので、外形に大きな段差が生じにくい導体壁を有する偏分波器を得ることができる。
【0041】
請求項14に係る発明によれば、請求項1〜13のいずれかに係る発明の効果に加え、結合孔と導体壁との位置調整が容易な偏分波器を得ることができる。
【0042】
請求項15に係る発明によれば、請求項14のいずれかに係る発明の効果に加え、導体壁を接続導波管と円形導波管とに亘って、より形成しやすい偏分波器を得ることができる。
【0043】
請求項16に係る発明によれば、方形導波管が接続可能であって、所望の電気性能の得るための導体壁(セプタム板)調整や加工性の容易性が担保され、セプタム板を設けるのが製造上容易かつ、セプタム板の長さを調整可能な範囲が大きくなり広帯域化など電気性能を向上できる偏分波器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の実施の形態1に係る偏分波器の構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る偏分波器の透視斜視図(立体図)である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る偏分波器の透視側面図及び側方図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る偏分波器の透視上面図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る偏分波器の透視上面図及び断面図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る偏分波器の透視上面図及び断面図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る偏分波器の透視側面図及び側方図並びに断面図である。
【図8】この発明の実施の形態2に係る偏分波器の透視斜視図(立体図)である。
【図9】この発明の実施の形態2に係る偏分波器の透視側面図及び側方図である。
【図10】この発明の実施の形態2に係る偏分波器の透視上面図である。
【図11】この発明の実施の形態2に係る偏分波器透視上面図である。
【図12】この発明の実施の形態2に係る偏分波器の透視側面図及び側方図並びに断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について図1〜7を用いて説明する。図1(a)は偏分波器の上面図、図1(b)は偏分波器の上面図(導体壁(セプタム板)を点線で表示)、図1(c)は図1(a)に記載の一点鎖線AAによる偏分波器の断面図であり、図1における二点鎖線BBは円形導波管と接続導波管との機能の境目を示している。図3(a)は偏分波器に透視側面図(導体壁(セプタム板)を点線で表示)、図3(b)は図3(a)に記載の矢印Bから見た偏分波器の側方図である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0046】
図5(a)は偏分波器の透視上面図(結合孔及び方形副導波管を省略している)、図5(b)(e)は図5(a)に記載の一点鎖線AAによる偏分波器の断面図、図5(c)(f)は図5(a)に記載の一点鎖線BBによる偏分波器の断面図、図5(d)(g)は図5(a)に記載の一点鎖線CCによる偏分波器の断面図、図6(a)は偏分波器の透視上面図(結合孔及び方形副導波管を省略している)、図6(b)(e)は図6(a)に記載の一点鎖線AAによる偏分波器の断面図、図6(c)(f)は図6(a)に記載の一点鎖線BBによる偏分波器の断面図、図6(d)(g)は図6(a)に記載の一点鎖線CCによる偏分波器の断面図、図7(a)は偏分波器の透視側面図(導体壁(セプタム板)を点線で表示)、図7(b)は図7(a)に記載の矢印Bから見た偏分波器の側方図、図7(c)は図7(a)に記載の点線AAによる偏分波器の断面図である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0047】
図1〜7において、1は円形導波管(円形主導波管)、2は円形導波管1が延在する軸方向(共軸方向)に配置され、円形導波管1の内径よりも短い長さの短辺を有する方形導波管(矩形導波管,方形主導波管,矩形主導波管,共軸側矩形副導波管)、3は方形導波管2と円形導波管1とを接続する接続導波管、4は接続導波管3と円形導波管1とに亘って形成され、方形導波管2の長辺が延在する方向に対して平行に配置された円形導波管1及び接続導波管3の内部を分割する平板状の導体壁(セプタム板,短絡板)、3aは導体壁(セプタム板)4の一方の面に対向する位置における接続導波管3の内壁に形成され、方形導波管2側に向かうにつれ、導体壁4側に傾斜した第1傾斜面、3bは導体壁(セプタム板)4の他方の面に対向する位置における接続導波管3の内壁に形成され、方形導波管2側に向かうにつれ、導体壁4側に傾斜した第2傾斜面である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0048】
なお、図1〜図3、図5、図7において、円形導波管1は、略真円のもので、円周に亘って内径が一定で、方形導波管2の長辺の長さが円形導波管1の内径と略同じ又は円形導波管1の内径よりも長いものを図示している(接続導波管3においては、第1傾斜面3a、第2傾斜面3b以外の部分の内径に相当する。換言すると、後述する第1壁面3cと第2壁面3dとによる径に相当する。)。これは、円形導波管1の内径をaとし、方形導波管2の長辺の長さをbしたとき、b=a+αとなる。ここで、αは、円形導波管1(接続導波管3)と方形導波管2との接続に支障がない程度のものであればよい。もちろん、図4に記載のように、円形導波管1は、略真円のもので、円周に亘って内径が一定で、方形導波管2の長辺の長さが円形導波管1の内径と略同じ又は円形導波管1の内径よりも短いものでもよい(接続導波管3においては、第1傾斜面3a、第2傾斜面3b以外の部分の内径に相当する。換言すると、後述する第1壁面3cと第2壁面3dとによる径に相当する。)。つまり、円形導波管1の内径をaとし、方形導波管2の長辺の長さをbしたとき、b+α=aとなる。αは前述のものと同じ定義である。但し、αが許容範囲を超えている場合は、図6に記載のとおり、接続導波管3における後述する第1壁面3cと第2壁面3dの部分を傾斜状にすればよい。図6では、接続導波管3における後述する第1壁面3cと第2壁面3dによる径のうち、方形導波管2と接する部分又はその近傍の径は、方形導波管2の長辺の長さよりも短いものを図示しているが、逆でもよいが、その差は前述のαの範囲である必要がある。円形導波管1が楕円の場合に関しては後述する。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0049】
続いて、図1〜7において、5は円形導波管1に形成され、円形導波管1が伝播する電磁波のうち、導体壁4により偏分波された一方を取り出すために、円形導波管1を分岐し、円形導波管1の径方向に設けられた結合孔である。結合孔5は導体壁4の一方又は他方の面の一部と対向する位置に形成されている。6は結合孔5を介して円形主導波管の直交方向に電磁波を取り出す方形副導波管(矩形副導波管,直交側矩形副導波管)、3cは接続導波管2を構成する円弧状の第1壁面、3dは接続導波管2を構成し、第1壁面3cと対向する円弧状の第2壁面である。第1壁面3cと第2壁面3dとは、ぞれぞれ、円弧の中心点側を向かえ合わせにした状態で対向している。なお、接続導波管2は第1壁面3c及び第1壁面3cと対向する円弧状の第2壁面3dと第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bとから構成されるものである。
【0050】
導体壁4は第1壁面3cと第2壁面3dとに形成され、接続導波管3の内部を分割するものである。導体壁4,第1壁面3c,第2壁面3dにより、接続導波管3はH字状の形状を成している。さらに、第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bも加えると、接続導波管3はΘ字のような形状を成している。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。図1以外の図においては、構造や位置関係(特に、実施の形態1に係る偏分波器の導波管構造の内壁構造)の分かり易さを優先して、円形導波管1,方形導波管2,接続導波管3,方形副導波管6の導体厚を線分で表記している。
【0051】
図1〜5を用いて実施の形態1に係る偏分波器を説明する。図1〜3には、円形導波管1は、共軸方向に小判状を分割したような双曲線状の外形を有する面を持つ第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bを有する接続導波管3と接続されているものが記載されている。第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bは、直線状の傾斜(テーパ)を有する面であるが、テーパ(傾斜)は直線形状でなくとも、コサインやサインの三角関数などにより定義される曲線形状であってもよい。接続導波管3は、方形導波管2と接続されている。また、円形導波管1は直交方向に結合孔5が設けられ、結合孔5は方形副導波管6と接続される。
【0052】
導体壁4は、円形導波管1から接続導波管3に跨って導波管(実施の形態1に係る偏分波器の導波管構造)内に配置されている。なお、図1〜3から、結合孔5は導体壁4の一方(他方)の面の一部と対向する位置に形成されていることが分かる。図1(a)(b)に記載の方形副導波管6の開口から導体壁4の一部が見える。同様に、図3(b)に記載の方形導波管2の開口から、方形導波管2の長辺が延在する方向であって、方形導波管2の短辺が延在する方向に直交する方向に、延在する導体板4が、見える。
【0053】
次に、図4及び図5(図1(b))を用いて、接続導波管3の第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bを結ぶ側壁である第1壁面3c及び第2壁面3dに関して説明を行う。なお、図4に記載の偏分波器は、円形導波管1の内径(a)が方形導波管2の長辺の長さ(b)よりも長いものを示しており、図5に記載の偏分波器は、円形導波管1の内径(a)が方形導波管2の長辺の長さ(b)よりも短いものを示している。まず、図1(b),図4,図5(a)から導体壁4は、一方の面及び他方の面が長方形状の形状を有するものであることが分かる。つまり、実施の形態1に係る偏分波器の導波管構造においては、導体壁4が段差状の外形を有する平板ではないことが分かる。これは、第1壁面3c及び第2壁面3dの構造・形状が寄与している。図4及び図5(a)並びに図5(b)〜(d)から、接続導波管3は、図5(b)に示す円(円形導波管1)の上下を平行な線で切り取った小判型の断面形状を有し、円形導波管1と同じ径のままで、上下の平行線の間隔を変化させていくものであることがわかる(図5(c)(d))。
【0054】
つまり、図4及び図5(a)並びに図5(b)〜(d)から、接続導波管3は、円形導波管1の内径と同じ径の円弧状の第1壁面3c及び第1壁面3cと対向し、円形導波管1の内径と同じ径の円弧状の第2壁面3dと第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bとから構成されるものであるといえる。よって、第1壁面3c及び第2壁面3dの対向する円弧の中心に渡す(円弧の中心をつなぐ)ような形で、導体壁4を接続導波管3と円形導波管1とに亘って形成することで、導体壁4が段差状の外形を有する平板ではなく、長方形状の形状を有するものにすることができる。
【0055】
図5(b)〜(d)には、第1壁面3c及び第2壁面3dが、共軸方向に亘って同じ形状のものを記載したが、共軸方向に亘って同じ形状でなくても、接続導波管3と円形導波管1とに亘って形成しても、導体壁4が段差状の外形を有する平板ではなく、長方形状の形状を有するものにすることができる場合を図4及び図5(a)並びに図5(e)〜(g)を用いて説明する。
【0056】
図5(e)〜(g)には、接続導波管3は、円形導波管1と接続する部分では、円形導波管1の内径と同じ径の円弧状の第1壁面3c及び第1壁面3cと対向し、円形導波管1の内径と同じ径の円弧状の第2壁面3dと第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bとから構成され、円形導波管1側から方形導波管2側に向かうにつれ、第1壁面3c及び第2壁面3dの円弧の径が大きくなっていくものが記載されている。このような構造でも、第1壁面3c及び第2壁面3dの対向する円弧の中心間の距離が、図5(b)〜(d)に記載の第1壁面3c及び第2壁面3dと同様に、一定とすることが容易となる。
【0057】
これまでは、導体壁4が長方形状の形状を有するものを説明したが、円形導波管1と接続導波管3との接続部分であって、導体壁4が形成されている部分に、大きな段差が生じなれば、実施の形態1に係る偏分波器は実施可能である。つまり、方形導波管2の長辺が円形導波管1の内径よりも短いものである場合も、実施の形態1に係る偏分波器に含まれるといえる。この場合について、図6を用いて説明する。図6を用いて説明するものは、導体壁4が、円形導波管1における一方の面及び他方の面が長方状の形状を有し、接続導波管3における一方の面及び他方の面が台形状の形状を有するものである。
【0058】
図6(a)〜(g)は、前述の図5(a)〜(g)にそれぞれ対応する。なお、図6に記載の偏分波器は、円形導波管1の内径(a)が方形導波管2の長辺の長さ(b)よりも長いものを示している。図6(a)並びに図6(b)〜(d)から、接続導波管3は、図6(b)に示す円(円形導波管1)の上下を平行な線で切り取った小判型の断面形状を有し、円形導波管1の接続部分では、円形導波管1と同じ径で、上下の平行線の間隔を変化させていくと共に、第1壁面3c及び第2壁面3dが近づいていくものであることがわかる(図6(c)(d))。よって、接続導波管3は、円形導波管1と接続する部分では、円弧状の第1壁面3c及び第1壁面と3c対向する円弧状の第2壁面4dと第1傾斜面3a及び第2傾斜面3dとから構成され、円形導波管1側から方形導波管2側に向かうにつれ、第1壁面3c及び第2壁面3dの距離が狭まっていくことから(図6(c)(d))、結果的に、導体壁4が接続導波管3におけて、一方の面及び他方の面が台形状の形状となる。
【0059】
つまり、図6(a)並びに図6(b)〜(d)から、接続導波管3は、円形導波管1と接続する部分では、円形導波管1の内径と同じ径の円弧状の第1壁面3c及び第1壁面3cと対向し、円形導波管1の内径と同じ径の円弧状の第2壁面3dと第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bとから構成され、円形導波管1側から方形導波管2側に向かうにつれ、第1壁面3c及び第2壁面3dの距離が狭まっていくものであるといえる。よって、第1壁面3c及び第2壁面3dの対向する円弧の中心に渡す(円弧の中心をつなぐ)ような形で、導体壁4を接続導波管3と円形導波管1とに亘って形成することで、導体壁4が段差状の外形を有する平板ではなく、長方形状及び台形状を組み合わせた形状を有するものにすることができる。なお、図示は省略するが、偏分波器において、円形導波管1の内径(a)が方形導波管2の長辺の長さ(b)よりも短い、つまり、b=a+αであって、前述のαが許容範囲を超えている場合は、接続導波管3が、円形導波管1と接続する部分では、円形導波管1の内径と同じ径の円弧状の第1壁面3c及び第1壁面3cと対向し、円形導波管1の内径と同じ径の円弧状の第2壁面3dと第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bとから構成され、円形導波管1側から方形導波管2側に向かうにつれ、第1壁面3c及び第2壁面3dの距離が拡がっていくものとするとよい。この場合、接続導波管3における第1壁面3cと第2壁面3dによる径のうち、方形導波管2と接する部分又はその近傍の径は、方形導波管2の長辺の長さよりも長くても短くてもよいが、その差は前述のαの範囲である必要がある。
【0060】
図6(b)〜(d)には、第1壁面3c及び第2壁面3dが、共軸方向に亘って同じ形状のものを記載したが、共軸方向に亘って同じ形状でなくても、接続導波管3と円形導波管1とに亘って形成しても、導体壁4が段差状の外形を有する平板ではなく、長方形状及び台形状を組み合わせた形状を有するものにすることができる場合を図6(a)並びに図6(e)〜(g)を用いて説明する。
【0061】
図6(e)〜(g)には、接続導波管3が、円形導波管1と接続する部分では、円形導波管1の内径と同じ径の円弧状の第1壁面3c及び第1壁面3cと対向し、円形導波管1の内径と同じ径の円弧状の第2壁面3dと第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bとから構成され、円形導波管1側から方形導波管2側に向かうにつれ、第1壁面3c及び第2壁面3dの距離が狭まっていくと共に、第1壁面3c及び第2壁面3dの円弧の径が大きくなっていくものが記載されている。このような構造でも、第1壁面3c及び第2壁面3dの対向する円弧の中心間の距離における縮小率が、図6(b)〜(d)に記載の第1壁面3c及び第2壁面3dと同様にすることが容易となる。なお、図示は省略するが、偏分波器において、円形導波管1の内径(a)が方形導波管2の長辺の長さ(b)よりも短い、つまり、b=a+αであって、前述のαが許容範囲を超えている場合は、接続導波管3が、円形導波管1と接続する部分では、円形導波管1の内径と同じ径の円弧状の第1壁面3c及び第1壁面3cと対向し、円形導波管1の内径と同じ径の円弧状の第2壁面3dと第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bとから構成され、円形導波管1側から方形導波管2側に向かうにつれ、第1壁面3c及び第2壁面3dの距離が拡がっていくと共に、第1壁面3c及び第2壁面3dの円弧の径が大きくなっていくものとするとよい。この場合、接続導波管3における第1壁面3cと第2壁面3dによる径のうち、方形導波管2と接する部分又はその近傍の径は、方形導波管2の長辺の長さよりも長くても短くてもよいが、その差は前述のαの範囲である必要がある。
【0062】
次に、実施の形態1に係る偏分波器の動作を説明する。実施の形態1に係る偏分波器は、直交した偏波を伝送可能な円形主導波管1と径方向に結合孔5を介して接続された方形副導波管6と、円形主導波管1と共軸方向に接続導波管3を介して接続された方形導波管2とから構成されている。接続導波管3は、円形導波管3の上下を平行な直線で切り取った小判状の断面をもち上下の高さがテーパ状に変化し、円形導波管1と接続導波管3にまたがった領域で配置された導体壁(セプタム板)4を具備している。
【0063】
円形導波管1は直交した偏波を伝送し、接続導波管3を介して方形導波管2に、若しくは結合孔5を介し方形副導波管6に電波(電磁波)を伝送する。また、方形導波管2からの電波は円形導波管1端に出力される。方形副導波管6からの電波は円形導波管1端に出力される。接続導波管3は円形導波管1と方形導波管2との整合を行う。
【0064】
このような構造から、例えば、図7のように(方形導波管2は接続されていない)、接続導波管3を前述した小判型とすることで、外形が円形となる範囲では、導波管の幅(または径)が変化しないため円形導波管1と接続導波管3とを跨って薄い板状のセプタム板(導体壁)4を容易に配置又は加工することができる。また、外形が円形となる範囲では、導波管の幅(または径)の変化が少ないので、円形導波管1と接続導波管3とを跨って薄い板状のセプタム板(導体壁)4を容易に配置又は加工することができる。
【0065】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2について図8〜12を用いて説明する。図9(a)は偏分波器に透視側面図(導体壁(セプタム板)を点線で表示)、図9(b)は図9(a)に記載の矢印Bから見た偏分波器の側方図、図11(a)は偏分波器の透視上面図(結合孔及び方形副導波管を省略している)、図11(b)は偏分波器の透視上面図(結合孔及び方形副導波管を省略している)、図12(a)は偏分波器の透視側面図(導体壁(セプタム板)を点線で表示)、図12(b)は図12(a)に記載の矢印Bから見た偏分波器の側方図、図12(c)は図12(a)に記載の点線AAによる偏分波器の断面図である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0066】
図8〜12を用いて実施の形態2に係る偏分波器を説明する。実施の形態2においては、実施の形態1と異なる点(第1傾斜面3a,第2傾斜面3b)に関して説明するが、共通する部分の説明は省略する。実施の形態2に係る偏分波器は、実施の形態1に係る偏分波器において、直線状の傾斜(テーパ)や、コサインやサインの三角関数などにより定義される曲線形状の傾斜を有する面であった第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bが、階段状の形状を有するものとなっている点が異なる。第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bの階段状の傾斜は、実施の形態1における第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bの斜面を模擬したものとなっている。つまり、第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bによる階段部分の一段一段を直線又は曲線で結ぶと概略の形状が、実施の形態1における第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bに近似したものとなる。
【0067】
図8〜10は、実施の形態1に係る偏分波器の説明に用いた図2〜4に、それぞれ対応する。図8〜10には、円形導波管1は、共軸方向に小判状を分割したような双曲線状の外形を有する面の双曲線部分をピラミッド状の段差を持つ第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bを有する接続導波管3と接続されているものが記載されている。第1傾斜面3a及び第2傾斜面3bは、直線状の傾斜(テーパ)を有する面や、コサインやサインの三角関数などにより定義される曲線形状を模擬した階段状の形状を有しており、加工が容易となっている。なお、階段状の形状は前述のように直線状の傾斜や三角関数などにより定義される曲線形状を模擬しても良いし、1/4波長整合器のようなインピーダンス整合器による階段形状を成してもかまわない。なお、1/4波長とは偏分波器(導波管)の使用周波数(波長)に対するものであることはいうまでもない。
【0068】
図11(a)及び図11(b)は、実施の形態1に係る偏分波器の説明に用いた図5(a)及び図6(a)に、それぞれ対応する。図11から、実施の形態2に係る偏分波器においても、導体壁4の形状が長方形状の形状を有するものと、導体壁4の形状が長方形状及び台形状の形状を有するものの両方が許容されることが分かる。
【0069】
よって、実施の形態2に係る偏分波器は、直交した偏波を伝送可能な円形主導波管1と径方向に結合孔を介して接続された方形副導波管6と、円形導波管1と軸方向に接続導波管3を介して接続された方形導波管2とから構成されていることは、実施の形態1に係る偏分波器と同様であることはいうまでもない。実施の形態2と実施の形態1との相違点は、実施の形態2に係る偏分波器が、接続導波管3の上下を平行な直線で切り取った小判状の断面を有し、上下の高さがステップ状(階段状)に変化することである。
【0070】
実施の形態1及び2.
実施の形態1及び2に係る偏分波器において、円形導波管1及び接続導波管3は、切削加工やダイキャスト鋳造などの一般的な加工方法で一体成形することが好適である。導体壁4も、円形導波管1及び接続導波管3と共に、切削加工やダイキャスト鋳造などの一般的な加工方法で一体成形することが好適である。また、接続導波管3と方形導波管2との接続は、一般的な導波管接続手法を用いればよい。
【0071】
円形導波管1及び接続導波管3が一体である場合は、実施の形態1においては、接続導波管3が円形導波管1の方形導波管2と接続される側の端部に設けられたテーパ変換部と解することができ、導体壁(セプタム板)4は、円形導波管1と円形導波管1のテーパ変換部に跨った領域に配置される。実施の形態2においては、接続導波管3が円形導波管1の方形導波管2と接続される側の端部に設けられたステップ変換部と解することができ、導体壁(セプタム板)4は、円形導波管1と円形導波管1のステップ変換部に跨った領域に配置される。
【0072】
実施の形態1及び2においては、円形導波管1は、略真円のもので、円周に亘って内径が一定で、方形導波管2の長辺の長さが円形導波管1の内径と略同じもの(前述のαの範囲内の径の違い)又は、方形導波管2の長辺の長さが円形導波管1の内径よりも短いもの(前述のαを超える径の違い)を説明したが、円形導波管1が楕円の場合は、内径のうち、長い方に方形導波管2の長辺を合わせ、短い方に方形導波管2の長辺を合わせて、円形導波管1と方形導波管2とを接続すれば(もちろん、接続導波管3を介して接続すれば)、実施の形態1及び2に係る偏分波器が適用できる。具体的には、本願に係る発明における偏分波器の導体壁(セプタム板)4の構造が再現できるので、実施の形態1及び2に係る偏分波器が適用できる。よって、本願に係る発明の趣旨から逸脱していないことは明らかである。
【0073】
つまり、本願(実施の形態1及び2)に係る偏分波器は、円形導波管1と、この円形導波管1の一方の開口と連通する(接続された、又は、一体の)接続導波管3(円形導波管1と一体の場合は、前述のとおり、円形導波管1のテーパ変換部又は円形導波管1のステップ変換部となる)と、この接続導波管3と円形導波管1とに亘って形成され、円形導波管1及び接続導波管3の内部を分割する平板状の導体壁4と、この導体壁4の一方の面に対向する位置における接続導波管3の内壁に形成され、円形導波管1と反対側に向かうにつれ、導体壁4側に傾斜した第1傾斜面3aと、導体壁4の他方の面に対向する位置における接続導波管3の内壁に形成され、円形導波管1と反対側に向かうにつれ、導体壁4側に傾斜した第2傾斜面4bと、円形導波管1に形成され、円形導波管1が伝播する電磁波のうち、導体壁4により偏分波された一方を取り出す結合孔5とを備えたものであるといえる。よって、接続導波管3における円形導波管1との連通している部分の形状(断面)は、円形導波管1の断面形状と同じもの(円、又は、楕円)である。また、接続導波管3における方形導波管2と接続可能な側の形状(断面)は、楕円、若しくは、方形で角部分(四隅)が円弧状のものとなる。なお、導体壁4は、接続導波管3(円形導波管1)に接続されうる方形導波管2の長辺が延在する方向に対して平行に配置されるものである。円形導波管1のテーパ変換部又は円形導波管1のステップ変換部は、円形導波管1における円形導波管1に接続されうる方形導波管2側に形成されるものである。
【符号の説明】
【0074】
1・・円形導波管(円形主導波管)、2・・方形導波管(矩形導波管,方形主導波管,矩形主導波管,共軸側矩形副導波管)、3・・接続導波管、3a・・第1傾斜面、3b・・第2傾斜面、3c・・第1壁面、3d・・第2壁面、4・・導体壁(セプタム板,短絡板)、5・・結合孔、6・・方形副導波管(矩形副導波管,直交側矩形副導波管)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形導波管と、この円形導波管の軸方向に配置され、前記円形導波管の内径よりも短い長さの短辺を有する方形導波管と、この方形導波管と前記円形導波管とを接続する接続導波管と、この接続導波管と前記円形導波管とに亘って形成され、前記方形導波管の長辺が延在する方向に対して平行に配置された前記円形導波管及び前記接続導波管の内部を分割する平板状の導体壁と、この導体壁の一方の面に対向する位置における前記接続導波管の内壁に形成され、前記方形導波管側に向かうにつれ、前記導体壁側に傾斜した第1傾斜面と、前記導体壁の他方の面に対向する位置における前記接続導波管の内壁に形成され、前記方形導波管側に向かうにつれ、前記導体壁側に傾斜した第2傾斜面と、前記円形導波管に形成され、前記円形導波管が伝播する電磁波のうち、前記導体壁により偏分波された一方を取り出す結合孔とを備えた偏分波器。
【請求項2】
前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面は、階段状の形状を有するものである請求項1に記載の偏分波器。
【請求項3】
前記結合孔は、前記導体壁の一方又は他方の面の一部と対向する位置に形成されるものである請求項1又は2に記載の偏分波器。
【請求項4】
前記導体壁は、前記一方の面及び前記他方の面が長方形状の形状を有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の偏分波器。
【請求項5】
前記接続導波管は、円弧状の第1壁面及びこの第1壁面と対向する円弧状の第2壁面と前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面とから構成されるものである請求項1〜4のいずれかに記載の偏分波器。
【請求項6】
前記接続導波管は、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第1壁面及びこの第1壁面と対向し、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第2壁面と前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面とから構成されるものである請求項1〜4のいずれかに記載の偏分波器。
【請求項7】
前記接続導波管は、前記円形導波管と接続する部分では、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第1壁面及びこの第1壁面と対向し、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第2壁面と前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面とから構成され、前記円形導波管側から前記方形導波管側に向かうにつれ、前記第1壁面及び前記第2壁面の径が大きくなっていくものである請求項1〜4のいずれかに記載の偏分波器。
【請求項8】
前記方形導波管は、その長辺が前記円形導波管の内径よりも短いものである請求項1〜3のいずれかに記載の偏分波器。
【請求項9】
前記導体壁は、前記接続導波管における前記一方の面及び前記他方の面が台形状の形状を有するものである1〜3、8のいずれかに記載の偏分波器。
【請求項10】
前記接続導波管は、前記円形導波管と接続する部分では、円弧状の第1壁面及びこの第1壁面と対向する円弧状の第2壁面と前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面とから構成され、前記円形導波管側から前記方形導波管側に向かうにつれ、前記第1壁面及び前記第2壁面の距離が狭まっていくものである請求項8又は9に記載の偏分波器。
【請求項11】
前記接続導波管は、前記円形導波管と接続する部分では、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第1壁面及びこの第1壁面と対向し、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第2壁面と前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面とから構成され、前記円形導波管側から前記方形導波管側に向かうにつれ、前記第1壁面及び前記第2壁面の距離が狭まっていくものである請求項8又は9に記載の偏分波器。
【請求項12】
前記接続導波管は、前記円形導波管と接続する部分では、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第1壁面及びこの第1壁面と対向し、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第2壁面と前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面とから構成され、前記円形導波管側から前記方形導波管側に向かうにつれ、前記第1壁面及び前記第2壁面の距離が狭まっていくと共に、前記第1壁面及び前記第2壁面の径が大きくなっていくものである請求項8又は9に記載の偏分波器。
【請求項13】
前記導体壁は、前記第1壁面と前記第2壁面とに形成され、前記接続導波管の内部を分割するものである請求項5〜7、10〜12のいずれかに記載の偏分波器。
【請求項14】
前記円形導波管と前記接続導波管とは、一体である請求項1〜13のいずれかに記載の偏分波器。
【請求項15】
前記導体壁は、前記円形導波管及び前記方形導波管と一体である請求項14に記載の偏分波器。
【請求項16】
円形導波管と、この円形導波管の一方の開口と連通する接続導波管と、この接続導波管と前記円形導波管とに亘って形成され、前記円形導波管及び前記接続導波管の内部を分割する平板状の導体壁と、この導体壁の一方の面に対向する位置における前記接続導波管の内壁に形成され、前記円形導波管と反対側に向かうにつれ、前記導体壁側に傾斜した第1傾斜面と、前記導体壁の他方の面に対向する位置における前記接続導波管の内壁に形成され、前記円形導波管と反対側に向かうにつれ、前記導体壁側に傾斜した第2傾斜面と、前記円形導波管に形成され、前記円形導波管が伝播する電磁波のうち、前記導体壁により偏分波された一方を取り出す結合孔とを備えたことを特徴とする偏分波器。
【請求項1】
円形導波管と、この円形導波管の軸方向に配置され、前記円形導波管の内径よりも短い長さの短辺を有する方形導波管と、この方形導波管と前記円形導波管とを接続する接続導波管と、この接続導波管と前記円形導波管とに亘って形成され、前記方形導波管の長辺が延在する方向に対して平行に配置された前記円形導波管及び前記接続導波管の内部を分割する平板状の導体壁と、この導体壁の一方の面に対向する位置における前記接続導波管の内壁に形成され、前記方形導波管側に向かうにつれ、前記導体壁側に傾斜した第1傾斜面と、前記導体壁の他方の面に対向する位置における前記接続導波管の内壁に形成され、前記方形導波管側に向かうにつれ、前記導体壁側に傾斜した第2傾斜面と、前記円形導波管に形成され、前記円形導波管が伝播する電磁波のうち、前記導体壁により偏分波された一方を取り出す結合孔とを備えた偏分波器。
【請求項2】
前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面は、階段状の形状を有するものである請求項1に記載の偏分波器。
【請求項3】
前記結合孔は、前記導体壁の一方又は他方の面の一部と対向する位置に形成されるものである請求項1又は2に記載の偏分波器。
【請求項4】
前記導体壁は、前記一方の面及び前記他方の面が長方形状の形状を有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の偏分波器。
【請求項5】
前記接続導波管は、円弧状の第1壁面及びこの第1壁面と対向する円弧状の第2壁面と前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面とから構成されるものである請求項1〜4のいずれかに記載の偏分波器。
【請求項6】
前記接続導波管は、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第1壁面及びこの第1壁面と対向し、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第2壁面と前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面とから構成されるものである請求項1〜4のいずれかに記載の偏分波器。
【請求項7】
前記接続導波管は、前記円形導波管と接続する部分では、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第1壁面及びこの第1壁面と対向し、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第2壁面と前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面とから構成され、前記円形導波管側から前記方形導波管側に向かうにつれ、前記第1壁面及び前記第2壁面の径が大きくなっていくものである請求項1〜4のいずれかに記載の偏分波器。
【請求項8】
前記方形導波管は、その長辺が前記円形導波管の内径よりも短いものである請求項1〜3のいずれかに記載の偏分波器。
【請求項9】
前記導体壁は、前記接続導波管における前記一方の面及び前記他方の面が台形状の形状を有するものである1〜3、8のいずれかに記載の偏分波器。
【請求項10】
前記接続導波管は、前記円形導波管と接続する部分では、円弧状の第1壁面及びこの第1壁面と対向する円弧状の第2壁面と前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面とから構成され、前記円形導波管側から前記方形導波管側に向かうにつれ、前記第1壁面及び前記第2壁面の距離が狭まっていくものである請求項8又は9に記載の偏分波器。
【請求項11】
前記接続導波管は、前記円形導波管と接続する部分では、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第1壁面及びこの第1壁面と対向し、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第2壁面と前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面とから構成され、前記円形導波管側から前記方形導波管側に向かうにつれ、前記第1壁面及び前記第2壁面の距離が狭まっていくものである請求項8又は9に記載の偏分波器。
【請求項12】
前記接続導波管は、前記円形導波管と接続する部分では、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第1壁面及びこの第1壁面と対向し、前記円形導波管の内径と同じ径の円弧状の第2壁面と前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面とから構成され、前記円形導波管側から前記方形導波管側に向かうにつれ、前記第1壁面及び前記第2壁面の距離が狭まっていくと共に、前記第1壁面及び前記第2壁面の径が大きくなっていくものである請求項8又は9に記載の偏分波器。
【請求項13】
前記導体壁は、前記第1壁面と前記第2壁面とに形成され、前記接続導波管の内部を分割するものである請求項5〜7、10〜12のいずれかに記載の偏分波器。
【請求項14】
前記円形導波管と前記接続導波管とは、一体である請求項1〜13のいずれかに記載の偏分波器。
【請求項15】
前記導体壁は、前記円形導波管及び前記方形導波管と一体である請求項14に記載の偏分波器。
【請求項16】
円形導波管と、この円形導波管の一方の開口と連通する接続導波管と、この接続導波管と前記円形導波管とに亘って形成され、前記円形導波管及び前記接続導波管の内部を分割する平板状の導体壁と、この導体壁の一方の面に対向する位置における前記接続導波管の内壁に形成され、前記円形導波管と反対側に向かうにつれ、前記導体壁側に傾斜した第1傾斜面と、前記導体壁の他方の面に対向する位置における前記接続導波管の内壁に形成され、前記円形導波管と反対側に向かうにつれ、前記導体壁側に傾斜した第2傾斜面と、前記円形導波管に形成され、前記円形導波管が伝播する電磁波のうち、前記導体壁により偏分波された一方を取り出す結合孔とを備えたことを特徴とする偏分波器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−110456(P2013−110456A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251663(P2011−251663)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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