説明

偏平フィラメントからなる布地を使用する水流交絡法

水流交絡処理によって不織布を製造する際に支持布地として使用するための偏平フィラメントが組み込まれている布地及びこのような布地を使用する水流交絡法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、不織布の製造に関するものであり、更に詳しくは水流交絡法の使用による不織布の製造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
不織布は、布地の設計品質を有利に使用することのできる広範囲の用途で使用されている。これらの種類の布地は、布地の繊維あるいはフィラメントが伝統的な繊維素材織込処理によることなく凝集性ウェブの中に一体化される点で、伝統的な織地あるいは編地とは異なっている。布地の繊維状要素の水流交絡処理によれば、布地をパターン化して所望の美的感覚を達成することのできる選択された水流交絡法で、所望の結合度のある布地が提供される。
【0003】
不織布は一般に、たいていは結合剤あるいはフィラメント溶融の必要なしに、強い凝集性構造をもたらすために繊維の相互作用によって定位置に固定された繊維から作り上げられる。製品には、布地の平均的な面積密度(単位面積当たりの重量)よりも高い面積密度の絡んだ繊維の領域の繰り返しパターンと、密に絡んだ領域同士の間に延びているとともに密に絡んだ領域において互いにランダムに絡んでいる相互結合繊維とがあってもよい。局部的な絡み領域は、隣接する高密度領域の面積密度よりも低い面積密度の領域を規定するために、隣接する絡み領域同士の間に延びている繊維によって相互結合されていてもよい。実質的に繊維がない開口のパターンは、高密度の絡み領域と相互結合繊維との内部にあるいはこれらの間に規定されていてもよい。いくつかの製品では、高密度の領域は、従来の織布の外観に類似した外観のある繊維をもたらすために、規則的なパターンに配置されているとともに、整然とした繊維群によって結合されているが、繊維は絡み領域から絡み領域まで布地を通って延びている。整然とした繊維群は、互いにほぼ平行に配置されていてもよく、あるいは互いにランダムに配置されていてもよい。いくつかの実施形態には、ドレス商品とスーツ材料とが含まれる衣服に特に適した布地と拭き取り布のような工業用布地との相異なる厚さ帯域に配置された整然とした繊維群によって相互結合された絡み繊維領域が備わり、複雑な繊維構造のある布地が含まれている。
【0004】
上記のように、繊維は繊維の相互作用によって布地の中において定位置に固定される。「定位置に固定」とは、構造体の個々の繊維がパターン化された構造におけるそれぞれの位置から移動する傾向がないばかりか、それら自体及び/又は布地の他の繊維との相互作用によってそのような移動が実際には物理的に抑制されることを意味している。繊維は、布地の平均面積密度よりも高い面積密度の絡み繊維領域において定位置に固定され、そのような繊維相互作用はどこか他のところでも起きるであろう。
【0005】
「相互作用」とは、布地が応力を受けると繊維が互いに結合する入り組んだ交絡状態で、繊維が構造のあらゆる方向に回り、絡み付き、前後へねじれ、そして互いに通り抜けることを意味している。
【特許文献1】米国特許第6,163,943号明細書
【特許文献2】米国特許第4,345,730号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
機械的な交絡処理によって、繊維の1つの層あるいは複数の層が、それ自体に結合されるかあるいは固定され、又は、ニードル織機あるいは繊維ロッカーと称される装置の中における多数の有棘針で芯を突き刺すことによって、基材にも結合されるかあるいは固定される。この作用によって、繊維は、繊維層表面から芯の大部分の中へかつ貫通するように押し付けられる。芯の内部での繊維のこのような絡み付きによって強度特性が改善されるが、この処理はゆっくり行われて、針は繊維を傷付けるとともにそれ自体が急速にすり減るため、この処理は本質的に、重量のある基材の交絡にだけ適している。
【0007】
これらの問題点を防止するために、直径が小さくて凝集性が高い高圧水のジェットのエネルギーを使用して古いニードル織機の交絡作用を模倣する水流交絡(あるいは「スパンレーシング」)方法が開発された。この方法には、繊維が極めて細いウォータージェットによって高圧下で絡み合わされた後に、乾いているかあるいは湿っているかのいずれかである繊維ウェブを形成することが含まれている。ウォータージェットのいくつかの列が、可動性のワイヤあるいは布地によって支持されている繊維ウェブへ導かれる。絡み合った繊維ウェブは、次いで乾燥される。この材料に使用されている繊維は、合成あるいは再生の人造繊維、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、レーヨン等、パルプ繊維又はパルプ繊維と人造繊維との混合物である。スパンレース材料は、高品質であまり高くないコストに製造することができ、また、高い吸収能を有している。これらは、家庭用あるいは工業用の拭い取り材料として、医療における使い捨て材料として、また、衛生目的等に使用することができる。
【0008】
水流交絡処理は、使用される初期材料及び/又はベルト/パターン化部材を変更することによって相異なる多数の製品を製造するために、使用することができる。初期材料は、互いにランダムな関係にあるいはある程度の整合関係に配置された遊離繊維からなる任意のウェブ、マット、芯等から構成されている。この明細書に使用された用語「繊維」は、天然に製造されたか合成的に製造されたかにかかわりなく、紙の繊維、繊維素材の人造繊維及び連続フィラメントからなる全ての種類の繊維性材料を含むことを意味している。改善された諸特性は、短繊維及び長繊維を適切に混合させて得ることができる。強化布地は、主要な長さの繊維と実質的に連続する繊維性撚り糸との混合によってもたらされるが、ここで、用語「撚り糸」には、真っ直ぐであるかあるいは縮れた形態にある連続状フィラメント及びさまざまな通常の繊維素材の繊維が含まれ、また、他の所望製品は、初期材料の中に強く縮れた繊維及び/又は弾性繊維を使用することで得られる。とりわけ、パターン化された望ましい不織布は、引き延ばし、ひだをつけ、縮ませあるいは長さを変える潜在能力を有している繊維を含む初期材料を使用し、次いで、パターン化された不織構造を処理して繊維の自由長を変えるように繊維の潜在特性を発揮させることによって、用意される。この初期材料は、1種類の繊維の潜在特性を活性化させる際に特有の効果を得るために、相異なる種類の繊維、例えば収縮性繊維と非収縮性繊維とを含んでいてもよい。
【0009】
まず、開口した表面に支持され、その結果、そのウェブ材料で水の流れが導かれる予備成形された乾燥繊維性ウェブ材料の使用が含まれるウォータージェット処理工程で、繊維が移動しあるいは分離されて、密度を変えるとともにその中における開口さえも変えるパターンが引き起こされる。たいていの場合、結果として生じたウェブでは、予備成形されたシート材料における繊維の再配列は、再配列された繊維が実際の繊維交絡をたとえあるとしてもほとんど呈していないことが簡単に立証された。圧力をかけた水の使用から生じた再配列は、繊維を横向きに移動させるのには充分であるものの、それらを効果的に絡み合わせるには不充分である。これらの繊維再配列状・開口状ウェブ材料は往々にして、シート材料の更に別の扱いが可能なような充分な強度を付与するために結合剤の量がかなり必要であった。
【0010】
例示的な水流交絡システムが、図3に示されているとともに、米国特許第6,163,943号明細書の第2欄第25行〜第4欄第3行(同特許における図1として示されている)に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の発明者によれば、偏平フィラメントが組み込まれている布地に水流交絡処理を実施することによって結果物としての不織製品が改善されることが分かった。
【0012】
従って、この発明によれば、水流交絡処理によって不織製品を支持布地として使用する偏平フィラメントが組み込まれている布地と、このような布地を使用する水流交絡方法とが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下の詳細な説明は、例示として与えられ、かつこの発明を単にそれに限定することを意図するものではなく、同様な参照符号が同様な要素を示す添付図面と組み合わせると、最も良く理解される。
【0014】
この発明の水流交絡用支持布地は、米国特許第6,163,943号明細書の第2欄第25行〜第4欄第3行で図1のように詳しく記載されている図3に示されたような水流交絡システムに適用することができる。図3に示されたようなシステムに使用されると、この発明の布地は連続ベルトの中に形成されるであろうし、また、そのベルトはワイヤ12の位置を占めるであろう。
【0015】
この発明による水流交絡用支持布地は、縦糸方向と横糸方向との両方におけるモノフィラメントから織られるのが好ましい。当業者にとってよく知られているように、縦糸のモノフィラメントは、エンドレス織込かあるいは修正エンドレス織込かのいずれかによって製造された布地の幅方向(CD)に存在しており、布地が平織りであれば長さ方向(MD)に存在している。これに対して、横糸のモノフィラメントは、エンドレス織込かあるいは修正エンドレス織込かのいずれかによって製造された布地の長さ方向(MD)に、しかし、平織り布地の幅方向(CD)に存在している。
【0016】
モノフィラメントは、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリプロピレン、ポリオレフィン及びポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂のような製紙業者用布地に使用するためのモノフィラメントを製造する当業者によって一般に使用されるポリマー樹脂材料のいずれかから、抽出することができ、さもなければ製造することができる。当業界において一般に知られた縒り合わせモノフィラメント、縒り合わせマルチフィラメント等のような他の種類のフィラメントを使用することができる。
【0017】
この発明を説明するために用語「フィラメント」及び「モノフィラメント」が使用されているが、この発明は、厳密な意味で定義されたような用語「フィラメント」及び「モノフィラメント」に限定されることはない、ということに留意すべきである。そうではなくて、用語「フィラメント」及び/又は「モノフィラメント」は、繊維、縒り糸、紡ぎ糸、フィラメント、モノフィラメント、マルチフィラメント等を意味するために使用されている。従って、この発明のベルト布地は、これらの種類の材料の1つから、あるいはこれらの種類の材料の任意の混合から織り込むことができる。更に、布地を織り込むのに使用された材料は天然素材であってもよく、あるいは合成的なものであってもよい、更にまた、ベルトの形成における材料として金属を使用することも可能である。例えば、金属糸あるいは焼結金属糸を使用することができ、あるいは単一芯に焼結金属シースを有している紡ぎ糸を使用することができる。ベルトの形成にさまざまな種類の金属材料の組み合わせを使用することも可能である。
【0018】
いずれにしても、この発明の支持布地には偏平モノフィラメントが含まれている。偏平モノフィラメントは、CDモノフィラメントの全てあるいはいくつか、MDモノフィラメントの全てあるいはいくつか、又はCDモノフィラメント及びMDモノフィラメントのいくつかの混合であってよい。図1及び図2は、偏平モノフィラメントのない単一層織物と偏平モノフィラメントのある単一層織物とを比較するのに役立つ。図から分かるように、図1は、丸い1つのMDモノフィラメント2と、丸いいくつかのCDモノフィラメント4とを示している。図2は、丸い単一のMDモノフィラメント6と、偏平ないくつかのCDモノフィラメント8とを示している。このように、図2に示された実施形態は全てのCDモノフィラメントが偏平である実施形態である。偏平なCDモノフィラメントの使用によって、図2の織物に、図1の織物の厚さTよりも薄い厚さT’が与えられる。更に、偏平なモノフィラメントの使用によって、図2の織物に、CDモノフィラメントが置かれている平面に対して垂直かあるいは実質的に垂直な方向における水流に対するいっそうの抵抗性がもたらされる。影のつけられた区域A及びA’は、視覚的比較を容易にするためだけの理由で提供されている。
【0019】
この発明の布地は、単一層、二重層あるいは三重層の織物として形成することができる。偏平モノフィラメントは、いずれか1つの層の中に、あるいは層のいずれかの組み合わせの中に、そして所定の層の内部における任意の構成体に組み込むことができる。好ましい実施形態では、三重層に、布地の着用側面(不織布の繊維が被覆される側面の反対側面)にだけ組み込まれた偏平モノフィラメントが設けられ、布地の形成側面(不織繊維が被覆される側面)を規定している層に限って丸いモノフィラメントが使用されている。このような実施形態では、不織布の繊維は形成側面の丸いモノフィラメントによって支持されており、偏平モノフィラメントによって、反射性のより大きい水流がもたらされ、それによって、反射性のより大きい交絡エネルギーがもたらされる。反射性のより大きい交絡エネルギーがもたらされると、布地は不織布を作り上げる繊維のより大きい交絡をもたらし、それによって、より強い仕上げ不織布がもたらされる。すなわち、水が、偏平紡ぎ糸の存在する平面に対して垂直あるいは実質的に垂直な方向に導かれると、いくらかの水は、形成表面層及び中間層を通過し、着用側層で反射し、そして繊維を更に絡ませる。
【0020】
代わりの実施形態では、二重層の布地には、布地の着用側を規定する層の中にだけ組み込まれる偏平モノフィラメントが設けられており、丸いモノフィラメントが他方の層の中にもっぱら使用されている。三重層の実施形態におけるように、不織布の繊維は形成側面の丸いモノフィラメントによって支持され、偏平モノフィラメントによって、より大きい反射性の水流がもたらされ、従って、反射性のより大きい交絡エネルギーがもたらされる。
【0021】
更に別である代わりの実施形態では、二重層の布地あるいは三重層の布地に、布地の形成側面層の構成にだけ含まれる偏平モノフィラメントが設けられ、それによって、形成側面におけるより大きい繊維支持がもたらされる。
【0022】
それぞれの実施形態では、布地の通気率は350cfmよりも大きい。
【0023】
いずれにしても、この発明の偏平フィラメントは、それらが層の中に織り込まれる前かあるいは織り込まれた後に形成することができ、また、偏平化はいくつかの方法で達成することができる。偏平フィラメントを形成する1つの方法は、それらを、仕上げフィラメントに対して「偏平な」断面を付与する方法で抽出することである。所望の偏平化を達成する他の2つの方法は、カレンダー成形と研磨であり、これらの双方は、フィラメントが層の中に織り込まれる前かあるいは織り込まれた後に実施することができ、また、これらの双方は、フィラメントの全長に沿った輪郭/断面を、あるいはそれらの長さに沿った局部区域における輪郭/断面を変化させるために、使用することができる。
【0024】
この発明による改造に適した1つの布地は、図4A及び図4Bに示されており、フォームテック(FormTech)103A布地あるいはフレックス(Flex)310K布地と称されている。図4Aは、未改造布地の長い縦糸のナックル側面の断面図である。図4Bは、未改造布地の長い横糸のナックル側面の断面図である。図5は、図4A及び図4Bに示された布地の斜視図である。布地の長い横糸のナックル側面は、図5において顕著であり、参照符号30によって表示されており、長い縦糸のナックル側面は、参照符号32によって表示されている。
【0025】
図6は、図4A及び図4Bに示された布地の長い縦糸のナックル側面の拡大図である。図6の拡大図は未改造布地を示しており、ここで、布地表面の「有効偏平区域」が複数の円形印34及び楕円形印34によって表示されている。図7は、布地がこの発明によってカレンダー成形された後の、図4A及び図4Bに示された布地の長い縦糸のナックル側面の拡大図である。図7の布地では、カレンダー成形は長い縦糸のナックル側面だけに適用されており、また、円形区域36及び楕円形区域36は、カレンダー成形された後の長い縦糸のナックル側面の有効偏平区域を表示している。図6と図7とを比較すれば分かるように、布地をカレンダー成形すると、長い縦糸のナックル側面における有効偏平区域が実質的に増大する。有効偏平区域の同様な増大は、カレンダー成形が長い横糸のナックル側面にだけ適用されたときに、長い横糸のナックル側面において実現される。更に別の実施形態では、長い縦糸のナックル側面と長い横糸のナックル側面との双方がカレンダー成形されて、両側面の有効偏平区域が増大している。図7に関連して考察されるカレンダー成形は不織布のカレンダー成形であり、このようなカレンダー成形によって、布地の全てのフィラメント/紡ぎ糸の少なくとも一部の偏平化がもたらされる、ということに留意すべきである。図7のカレンダー成形によって、未カレンダー成形状態のものに比較して布地の厚さが約15%減少し、未カレンダー成形状態のものに比較して布地を通る空気流が約20%減少する、ことにも更に留意すべきである。
【0026】
図8は、図7のカレンダー成形布地を使用する水流交絡処理を実施するのに適した水流交絡機の一部を示している。図8から分かるように、水流交絡機の断面図には、図7に示された布地のような水流交絡用布地38、複数の水流交絡用布地ガイドロール40a〜c、第1ロール42、第2ロール50、圧縮用布地44、複数の圧縮布地ガイドロール46a〜e、第1ウォータージェット47、及び第2ウォータージェット48が含まれている。繊維織布と、この機械によって製造された結果物である不織布とは、参照符号52によって表示されている。作動時において、繊維織布は、水流交絡用布地38の上に形成され、水流交絡用布地38と圧縮用布地44との間で圧縮され、第1ウォータージェット47によって作用され、その後、主要交絡用ウォータージェットである第2ウォータージェット48とによって作用される。交絡織布は、交絡織布が第2ロール50によって取り外される取り外し箇所54で、水流交絡用布地38から取り外される。一般に図8に関して、同図は水流交絡機の「断面」を示しているものとして考察されているが、同図の諸要素は水流交絡機の全体を形成することができる点に気付くべきである。
【0027】
この発明による水流交絡法の利点は、図8の構造を組み込んだ機械に図4A及び図4Bの布地の改造物を使用することで確認された。とりわけ、この発明によれば、布地表面への繊維の交絡が減少し、ウォータージェットの反射(あるいは「フラッシュバック」)が改善される。更に、この発明によれば、交絡の後における水流交絡用布地からの繊維織布の取り外しが改善されるとともに、MD/CD引張比が改善される。より具体的には、図8による機械を使用する試験によれば、水流交絡用布地からの繊維織布の取り外しは、引き出しが約8%から0%に減少するように改善されたことと、MD/CD比の改善は約10%〜40%であることとが示された。
【0028】
更にまた、この発明が、図4A及び図4Bに示されたような布地をカレンダー成形することで実施されると、この発明の利点は、布地の両面がカレンダー成形されるかあるいは布地の片面だけがカレンダー成形されるかどうかに関わりなく、また、単一側面カレンダー成形の場合にはどちらかの側面がカレンダー成形されるかに関わりなく、実現された。加えて、このようなカレンダー成形された布地によれば、水流交絡機の作動性が改善され、ライン速度が増大し、更に、抜き勾配及びMD方位が減少する。
【0029】
この発明はその好ましい実施形態について具体的に示されかつ説明されてきたが、この発明の精神及び範囲から逸脱することなくさまざまな変更を施すことができることは当業者にとって容易に認識されるであろう。例えば、この発明は、らせん環型の水流交絡用の布地/ベルトに実施することができる。らせん環型の布地/ベルトは、引用によってこの明細書に組み込まれる米国特許第4,345,730号明細書において全体として考察されている。
【0030】
図9は、この発明による改造に適しているらせん環布地60の一例の断面図を示している。図9から分かるように、らせん環布地は複数のらせん状モノフィラメント62と複数の環状モノフィラメント64とから形成されている。MD/CD紡ぎ糸の実施形態の場合と同じように、らせん状モノフィラメントと環状モノフィラメントとは、製紙業者の布地に使用するためのモノフィラメントを製造する分野における当業者によって広く使用される任意のポリマー樹脂材料から、抽出されるかさもなければ製造される。更に、用語「モノフィラメント」及び「モノフィラメント」は、MD/CD紡ぎ糸の実施形態を説明するために使用されるのと同じ広い意味に使われる。
【0031】
図9の布地がこの発明によって改造された後、布地には偏平モノフィラメントが含まれている。偏平モノフィラメントは、全てあるいはいくつかのらせん状モノフィラメント、全てあるいはいくつかの環状モノフィラメント、又はらせん状モノフィラメントと環状モノフィラメントとのいくつかの組み合わせであってよい。多くの場合、この発明の偏平フィラメントは、それらがらせん環布地の中に組み込まれる前かあるいは組み込まれた後に形成することができ、また、偏平化は、MD/CD紡ぎ糸の実施形態に関して考察されたいくつかの技術のうちの任意の1つによって達成することができる。すなわち、偏平フィラメントは、仕上げフィラメントに対して「偏平な」断面を付与する方法にそれらを抽出することによって、カレンダー成形によって、あるいは研磨によって形成することができる。MD/CD紡ぎ糸の実施形態の場合と同じように、カレンダー成形及び研磨の操作は、フィラメントが布地の中に組み込まれる前かあるいは組み込まれた後に実施することができ、また、フィラメントの全長に沿ったフィラメントの輪郭/断面を、あるいはそれらの長さに沿った局部区域における輪郭/断面を変化させるために、使用することができる。
【0032】
図9の偏平モノフィラメントによれば、反射性のより大きい水流がもたらされ、それによって、不織布を作り上げる繊維のより大きい交絡をもたらし、従って、より強い仕上げ不織布がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】偏平フィラメントが組み込まれていない単一層織込パターンを示している。
【図2】この発明による偏平フィラメントが組み込まれている単一層織込パターンを示している。
【図3】この発明を使用するのに適した水流交絡システムの正面図である。
【図4】この発明による改造に適した布地の一例における断面図を示している。
【図5】図4A及び図4Bの布地の斜視図である。
【図6】この発明による改造の前における図4A及び図4Bの布地の拡大断面図である。
【図7】この発明による改造の後における図4A及び図4Bの布地の拡大断面図である。
【図8】この発明による水流交絡処理を実施するのに適した水流交絡機の一部の平面図である。
【図9】この発明による改造に適したらせん環型の布地/ベルトの一例の断面図である。
【符号の説明】
【0034】
2 丸いMDモノフィラメント
4 丸いCDモノフィラメント
6 丸いMDモノフィラメント
8 偏平なCDモノフィラメント
30 横糸
32 縦糸
34 円形印及び楕円形印
36 円形区域及び楕円形区域
38 水流交絡用布地
40a〜c 水流交絡用布地ガイドロール
42 第1ロール
44 圧縮用布地
46a〜e 圧縮布地ガイドロール
47 第1ウォータージェット
48 第2ウォータージェット
50 第2ロール
52 不織布
60 らせん環布地
62 らせん状モノフィラメント
64 環状モノフィラメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏平フィラメントを備えている、水流交絡用支持布地。
【請求項2】
前記布地が、長さ方向(MD)フィラメントと幅方向(CD)フィラメントとを含んでおり、かつ、前記偏平フィラメントが、前記MDフィラメントの一部だけを含んでいる、請求項1に記載の水流交絡用支持布地。
【請求項3】
前記布地が、MDフィラメントとCDフィラメントとを含んでおり、かつ、前記偏平フィラメントが、前記MDフィラメントの全てを含んでいる、請求項1に記載の水流交絡用支持布地。
【請求項4】
前記布地が、MDフィラメントとCDフィラメントとを含んでおり、かつ、前記偏平フィラメントが、前記CDフィラメントの一部だけを含んでいる、請求項1に記載の水流交絡用支持布地。
【請求項5】
前記布地が、MDフィラメントとCDフィラメントとを含んでおり、かつ、前記偏平フィラメントが、前記CDフィラメントの全てを含んでいる、請求項1に記載の水流交絡用支持布地。
【請求項6】
前記布地が、MDフィラメントとCDフィラメントとを含んでおり、かつ、前記偏平フィラメントが、前記MDフィラメントと前記CDフィラメントとの混合物を含んでいる、請求項1に記載の水流交絡用支持布地。
【請求項7】
前記布地が、二重層の布地であり、かつ、前記偏平フィラメントが、1つの層の中にだけ組み込まれている、請求項1に記載の水流交絡用支持布地。
【請求項8】
前記1つの層が着用側層である、請求項7に記載の水流交絡用支持布地。
【請求項9】
前記1つの層が形成側層である、請求項7に記載の水流交絡用支持布地。
【請求項10】
前記布地が、三重層の布地であり、かつ、前記偏平フィラメントが、1つの層の中にだけ組み込まれている、請求項1に記載の水流交絡用支持布地。
【請求項11】
前記1つの層が着用側層である、請求項10に記載の水流交絡用支持布地。
【請求項12】
前記1つの層が形成側層である、請求項10に記載の水流交絡用支持布地。
【請求項13】
前記布地の通気率が350cfmよりも大きい、請求項1に記載の水流交絡用支持布地。
【請求項14】
前記布地がらせん環型の布地である、請求項1に記載の水流交絡用支持布地。
【請求項15】
水流交絡処理用支持布地の製造方法であって、前記支持布地の製造中に前記支持布地の内部に偏平フィラメントを組み込む工程を備えている、水流交絡処理用の支持布地の製造方法。
【請求項16】
前記偏平フィラメントが、前記支持布地の織り込みに先立つ抽出によって形成される、請求項15に記載の水流交絡処理用支持布地の製造方法。
【請求項17】
前記偏平フィラメントが、前記支持布地の織り込みに先立つ非偏平フィラメントのカレンダー成形によって形成される、請求項15に記載の水流交絡処理用支持布地の製造方法。
【請求項18】
前記偏平フィラメントが、原料布のカレンダー成形によって形成される、請求項15に記載の水流交絡処理用支持布地の製造方法。
【請求項19】
前記カレンダー成形が、前記原料布の一方側面にだけ施される、請求項18に記載の水流交絡処理用支持布地の製造方法。
【請求項20】
前記カレンダー成形が、前記原料布の両側面に施される、請求項18に記載の水流交絡処理用支持布地の製造方法。
【請求項21】
前記偏平フィラメントが、原料布の研磨によって形成される、請求項15に記載の水流交絡処理用支持布地の製造方法。
【請求項22】
前記布地が、らせん環型の布地である、請求項15に記載の水流交絡処理用支持布地の製造方法。
【請求項23】
前記支持布地の製造中に前記支持布地の内部に偏平フィラメントを組み込むことによって製造された、水流交絡処理用支持布地。
【請求項24】
前記偏平フィラメントが、前記支持布地の織り込みに先立つ抽出によって形成される、請求項23に記載の水流交絡処理用支持布地。
【請求項25】
前記偏平フィラメントが、前記支持布地の織り込みに先立つ非偏平フィラメントのカレンダー成形によって形成される、請求項23に記載の水流交絡処理用支持布地。
【請求項26】
前記偏平フィラメントが、原料布のカレンダー成形によって形成される、請求項23に記載の水流交絡処理用支持布地。
【請求項27】
前記カレンダー成形が、前記原料布の一方側面にだけ施される、請求項26に記載の水流交絡処理用支持布地。
【請求項28】
前記カレンダー成形が、前記原料布の両側面に施される、請求項26に記載の水流交絡処理用支持布地。
【請求項29】
前記偏平フィラメントが、原料布の研磨によって形成される、請求項23に記載の水流交絡処理用支持布地。
【請求項30】
前記布地がらせん環型の布地である、請求項23に記載の水流交絡処理用支持布地。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−509928(P2006−509928A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−565260(P2004−565260)
【出願日】平成15年12月8日(2003.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2003/038968
【国際公開番号】WO2004/061183
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(591097414)アルバニー インターナショナル コーポレイション (110)
【氏名又は名称原語表記】ALBANY INTERNATIONAL CORPORATION
【Fターム(参考)】