説明

偏心コーン形振動板を備える動電型スピーカー

【課題】 振動板の断面経路長が長い方向に強い指向特性を有し、特に、分割振動が著しいさらに高い周波数帯域においても、ボイスコイルが振動する中心軸の方向に対して同様の偏った指向特性を実現する偏心コーン形振動板を備える動電型スピーカーを提供する。
【解決手段】 偏心したボイスコイル取付部と、内形中心点Pから外形中心点Oに向かう方向に規定される第1振動板部と、第1振動板部とは略反対の方向に規定される第2振動板部と、を有する偏心コーン形振動板と、ボイスコイル取付部に取り付けられるボビンおよびコイル有するボイスコイルと、ボイスコイルのボビンの端部に取り付けられるダストキャップと、を備える、動電型スピーカーであって、偏心コーン形振動板の第2振動板部が、ボイスコイルの中心軸Qと、内形中心点Pと、外形中心点Oと、を含む断面Xにおいて、前面側凹状の断面形状を有する曲面である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外形に対して偏心したボイスコイル取付部を有する偏心コーン形振動板を備える動電型スピーカーであって、振動板の断面経路長が長い方向に強い指向特性を有し、特に、分割振動が著しいさらに高い周波数帯域においても、ボイスコイルが振動する中心軸の方向に対して同様の偏った指向特性を実現する偏心コーン形振動板を備える動電型スピーカーに関する。
【背景技術】
【0002】
音声を再生するスピーカーでは、取り付けに要する空間を小型化することが要望されている。特に、細長形(矩形、長円形(楕円形、トラック形を含む))の動電型スピーカーは、短径方向に振動板面積が限られる、細長形のスピーカー振動板に特有な分割振動の影響が大きくて平坦な再生音圧周波数特性を得ることが難しい、磁気空隙の磁束密度が高いスピーカー用磁気回路を採用しようとすると、磁気回路の幅がスピーカー振動板よりも広くなり小型化できない、といった様々な理由から音声再生能力において不利な点がある。
【0003】
また、例えば、車両に取り付けるスピーカー、あるいは、ディスプレイ等の音響機器においては、スピーカーが放射する音波を任意の方向に強めた、偏った指向特性を有することが要望される場合がある。ディスプレイのスピーカーの場合、従来には、偏心コーン形振動板(オブリコーン形振動板)を用いて、これを解決しようとするものがある(特許文献1および特許文献2)。外形に対して偏心したボイスコイル取付部を有する偏心コーン形振動板を備える動電型スピーカーは、ボイスコイルが振動する中心軸の方向に対して指向特性の中心軸を傾斜させることができる(特許文献3)。偏心コーン形振動板は、最低共振周波数f0よりも高い周波数帯域で、コーン振動板の断面経路長が長い方向の指向特性が強まり、反対側の短い方向の指向性が弱まる特性を有している。一方で、偏心コーン形振動板は、ボイスコイルの中心軸から見て非対称な形状で重量バランスも偏るので、動作不良を生じやすいという問題を有する場合があり、例えば、バランサーを設けてこれを解決しようとするものがある(特許文献4)。
【0004】
また、従来の偏心コーン形振動板を含むコーン形振動板の形状については、様々な形状のものが提案されている。例えば、凹形の辺よりなる大体角形の外周をもつ全体的に角コーンの形状に形成され、このコーンの頂点から外周の角部に向けて凹形の辺部に向けて凸形曲円錐面を形成し、両曲円錐面を滑らかに接続した形状をもつスピーカー振動板がある(特許文献5)。あるいは、コーン状振動板の中心線に対して左右のコーン面半径が等しく、かつ、コーンカーブの曲率を左右非対称として、更にコーンカーブの曲率が大なる部分を受聴点側として設置するスピーカーがある(特許文献6)。さらに、コーン形状をしたスピーカー用振動板において、それらのコーン断面形状が凸状と直線、又は凸状と凹状、又は直線と凹状を呈する屋根部、谷部を円周方向に各々3カ所以上設け、それらの尾根部、谷部の間を連続的に変化させたスピーカー振動板がある(特許文献7)。
【0005】
【特許文献1】実公平7−9485号公報
【特許文献2】特開2007−288767号公報
【特許文献3】特許第3646406号公報
【特許文献4】特許第3405160号公報
【特許文献5】実公昭49−27242号公報
【特許文献6】特許第2952920公報
【特許文献7】実開昭63−181095号公報
【0006】
偏心コーン形振動板を備える動電型スピーカーでは、最低共振周波数f0よりも高い周波数帯域で、コーン振動板の断面経路長が長い方向の指向特性を強め、反対側の短い方向の指向性を弱めることができる。しかしながら、特に、分割振動が著しいさらに高い周波数帯域においても、同様の方向に偏った指向特性を実現するのは困難な場合がある。偏心コーン形振動板が分割振動する高域限界周波数fh(例えば、約12kHz)以上では、ボイスコイルが取り付けられている取付部の周辺のみが大きく振動し、また、ボイスコイルのボビンに取り付けられているダストキャップが大きく振動するからである。したがって、高域限界周波数fh以上の周波数帯域では、振動板の断面経路長が長い方向の指向特性が弱まり、反対側の短い方向の指向性が強まる場合があり、全帯域に渡って一定の方向に強い指向性を実現できないという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の従来技術が有する問題を解決するためになされたものであり、その目的は、振動板の断面経路長が長い方向に強い指向特性を有し、特に、分割振動が著しいさらに高い周波数帯域においても、ボイスコイルが振動する中心軸の方向に対して同様の偏った指向特性を実現する偏心コーン形振動板を備える動電型スピーカーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の動電型スピーカーは、外形に対して偏心した内形中心点Pにより規定されるボイスコイル取付部と、内形中心点Pから外形中心点Oに向かう方向に規定される第1振動板部と、第1振動板部とは略反対の方向に規定される第2振動板部と、を有する偏心コーン形振動板と、ボイスコイル取付部に取り付けられるボビンと、ボビンに巻回されて磁気回路の磁気空隙に配置されるコイルと、を有するボイスコイルと、ボイスコイルのボビンの端部に取り付けられるダストキャップと、を備える、動電型スピーカーであって、偏心コーン形振動板の第2振動板部が、ボイスコイルの中心軸Qと、内形中心点Pと、外形中心点Oと、を含む断面Xにおいて、前面側凹状の断面形状を有する曲面である。
【0009】
好ましくは、本発明の動電型スピーカーは、偏心コーン形振動板の第1振動板部が、断面Xにおいて、前面側凸状の断面形状を有する曲面である。
【0010】
また、好ましくは、本発明の動電型スピーカーは、偏心コーン形振動板の第1振動板部と、第2方向振動部とが、断面Xと直交して内形中心点Pを含む断面Yにおいて、直線部を形成して連結する。
【0011】
好ましくは、本発明の動電型スピーカーは、偏心コーン形振動板の外形が、内形中心点Pから外形中心点Oに向かう方向を長径方向とするトラック形である。
【0012】
さらに好ましくは、本発明の動電型スピーカーは、ボイスコイルと、偏心コーン形振動板のボイスコイル取付部とが、それぞれ内形中心点Pから外形中心点Oに向かう方向を長径方向とするトラック形である。
【0013】
さらに好ましくは、本発明の動電型スピーカーは、ダストキャップが、断面Xにおいて、前面側凹状の断面形状を有する中央凹部と、中央凹部の周囲に形成されて、前面側凹状の断面形状を有する周囲凹部と、周囲凹部の周囲に形成されて、ボイスコイルと連結する連結部と、を有する。
【0014】
以下、本発明の作用について説明する。
【0015】
本発明の動電型スピーカーは、外形に対して偏心した内形中心点Pにより規定されるボイスコイル取付部と、内形中心点Pから外形中心点Oに向かう方向に規定される第1振動板部と、第1振動板部とは略反対の方向に規定される第2振動板部と、を有する偏心コーン形振動板を備える。つまり、偏心コーン形振動板は、ボイスコイル取付部を挟んで、指向特性が強まる振動板の断面経路長が長い方向に第1振動板部を備え、指向性が弱まる反対側の短い方向に第2振動板部を備えるオブリコーン振動板である。したがって、第1振動板部は、第2振動板部よりも傾斜が緩やかな曲面になり、第2振動板部は、第1振動板部よりも狭い表面積を有している。
【0016】
本発明の動電型スピーカーは、さらに、偏心コーン形振動板のボイスコイル取付部に取り付けられるボビンと、ボビンに巻回されて磁気回路の磁気空隙に配置されるコイルと、を有するボイスコイルと、ボイスコイルのボビンの端部に取り付けられるダストキャップと、を備える。ボイスコイルの中心軸Qは、偏心コーン形振動板の内形中心点Pを通過する軸であり、ボイスコイルが磁気回路から駆動力を受けて振動する正面方向を表す軸である。したがって、偏心コーン形振動板の指向特性が強まる方向Rは、中心軸Qに対して外形中心点Oを含む第1振動板部の方に角度θ(約5°〜約45°(さらに好ましくは、約10°〜約40°))だけ傾斜した方向になる。
【0017】
ここで、偏心コーン形振動板の第2振動板部は、ボイスコイルの中心軸Qと、内形中心点Pと、外形中心点Oと、を含む断面Xにおいて、前面側凹状の断面形状を有する曲面である。高域限界周波数fh以上においては、第2振動板部の前面側凹状の断面の長さの方が、音波の波長よりも長くなるので、深く傾斜した前面側凹状の曲面である第2振動板部は、分割振動が著しいボイスコイルが取り付けられているボイスコイル取付部の周辺から放射される音波を、正面方向に対して偏った角度θの方向Rに反射させる。ボイスコイルのボビンに取り付けられているダストキャップが大きく振動する場合についても、同様である。その結果、高域限界周波数fh以上での指向特性が、高域限界周波数fh以下の場合と一致するようになるので、偏心コーン形振動板の指向特性をより改善することができる。
【0018】
なお、好ましくは、偏心コーン形振動板の第1振動板部は、断面Xにおいて、前面側凸状の断面形状を有する曲面であり、また、これらの第1振動板部と、第2方向振動部とは、断面Xと直交して内形中心点Pを含む断面Yにおいて、直線部を形成して連結する。傾斜が緩やかな曲面である前面側凸状の第1振動板部は、偏心コーン形振動板の指向特性が強まる方向Rと、より平行になる関係に近づくので、ボイスコイル取付部の周辺から放射される音波の反射が減少するからである。また、第1振動板部と第2振動板部とが直線部を介して滑らかに連結すると、振動モードの影響が少なくて、再生音質に優れた動電型スピーカーを実現することができる。
【0019】
さらに断面Xにおいて、ダストキャップが、前面側凹状の断面形状を有する中央凹部と、中央凹部の周囲に形成されて、前面側凹状の断面形状を有する周囲凹部と、周囲凹部の周囲に形成されて、ボイスコイルと連結する連結部と、を有していれば、ダストキャップの剛性が向上する結果、高域限界周波数fh以上での分割振動が抑制される。高域限界周波数fh以上では、音波の波長がダストキャップの寸法よりも小さくなるので、ダストキャップの分割振動を抑制し、放射音が減少すれば、偏心コーン形振動板が方向Rへ強い指向性を発揮することができ、一方、指向性を弱めたい方向への音波の再生レベルを更に低くすることができる。
【0020】
なお、本発明の動電型スピーカーでは、好ましくは、偏心コーン形振動板の外形が、内形中心点Pから外形中心点Oに向かう方向を長径方向とするトラック形である。あるいは、ボイスコイルと、偏心コーン形振動板のボイスコイル取付部とが、それぞれ内形中心点Pから外形中心点Oに向かう方向を長径方向とするトラック形である。長径方向とは、矩形、長円形、楕円形、あるいは、トラック形を含む細長形を規定する長軸が延びる方向であり、短径方向とは、長軸と直交する短軸が延びる方向である。したがって、本発明の動電型スピーカーは、方向Rへ強い指向性を発揮する偏心コーン形振動板を備えていても、取り付けに要する空間を小型化することができる。
【発明の効果】
【0021】
振動板の断面経路長が長い方向Rに強い指向特性を有し、特に、分割振動が著しいさらに高い高域限界周波数fh以上の周波数帯域においても、ボイスコイルが振動する中心軸の方向に対して同様の偏った指向特性を実現する偏心コーン形振動板を備える動電型スピーカーを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
振動板の断面経路長が長い方向Rに強い指向特性を有し、特に、分割振動が著しいさらに高い高域限界周波数fh以上の周波数帯域においても、ボイスコイルが振動する中心軸の方向に対して同様の偏った指向特性を実現する偏心コーン形振動板を備える動電型スピーカーを提供するという目的を、外形に対して偏心した内形中心点Pにより規定されるボイスコイル取付部と、内形中心点Pから外形中心点Oに向かう方向に規定される第1振動板部と、第1振動板部とは略反対の方向に規定される第2振動板部と、を有する偏心コーン形振動板と、ボイスコイル取付部に取り付けられるボビンと、ボビンに巻回されて磁気回路の磁気空隙に配置されるコイルと、を有するボイスコイルと、ボイスコイルのボビンの端部に取り付けられるダストキャップと、を備える、動電型スピーカーであって、偏心コーン形振動板の第2振動板部が、ボイスコイルの中心軸Qと、内形中心点Pと、外形中心点Oと、を含む断面Xにおいて、前面側凹状の断面形状を有する曲面であるようにすることにより、実現した。
【0023】
以下、本発明の好ましい実施形態による偏心コーン形振動板を備える動電型スピーカーについて説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【実施例1】
【0024】
図1は、本発明の好ましい実施形態による動電型スピーカー1を説明する斜視図である。また、図2は、動電型スピーカー1のA−A’断面図であり、図3は、動電型スピーカー1のC−C’断面図である。なお、後述するように、動電型スピーカー1の一部の構造や、内部構造等は、省略している。また、点O−Aを結ぶ直線(長軸)が延びる方向が長径方向であり、また、点O−B
を結ぶ直線(短軸)が延びる方向が短径方向である。また、動電型スピーカー1では、スピーカー振動板2が露出する図示する上方が前面側であり、磁気回路10が取り付けられている図示する下方が背面側である。
【0025】
本実施例の動電型スピーカー1は、長径方向の長さが約52.0mm、短径方向の長さが約32.0mmのトラック形のスピーカー振動板2を有する細長形の動電型スピーカーであり、細長形であっても口径が約4.2cmの円形振動板と同等の振動板面積を有するスピーカーである。スピーカー振動板2は、偏心コーン形振動板であって、エッジ3によってその外周端を支持されており、エッジ3の外周端は、フレーム6に固定されている。また、スピーカー振動板2の背面側には、ボイスコイル4が連結しており、ダンパー5により振動可能に支持されている。本実施例の場合には、丸形のボイスコイル4のボイスコイル径は、約20mmである。また、フレーム6は、トラック形のスピーカー振動板2に対応した細長形状であり、フレーム6に偏心して固定される磁気回路10は、フレーム6の短径方向の長さ以下の幅が狭い丸形状を有している。したがって、動電型スピーカー1は、車両のシート、あるいは、ディスプレイ等の機器が有する表示部の側面など、スピーカーを取り付ける幅が少ない機器に適するスピーカーである。
【0026】
偏心コーン形振動板であるスピーカー振動板2は、パルプ材を抄紙および切断して形成した紙コーン振動板であり、外形中心点Oを中心とするトラック形状の外周端にトラック形状のエッジ3の内周側が接着されている。また、スピーカー振動板2は、このトラック形状の外形に対して偏心した位置にある内形中心点Pを同心円の中心とするボイスコイル取付部20を有する。ボイスコイル取付部20は、コーン形振動板のネック部分であって、ボイスコイル4を構成する丸形の円筒状のボビン4aが接着される。ボイスコイル4の中心軸Qは、内形中心点Pを通過する軸であり、ボイスコイル4が振動する正面方向(角度θ=0°)を規定する。したがって、偏心コーン形振動板であるスピーカー振動板2では、外形中心点Oと内形中心点Pとが、長径方向に中心軸Qに直交する平面上での距離で約9mm離隔している。
【0027】
また、スピーカー振動板2は、内形中心点Pから外形中心点Oに向かう方向に規定される第1振動板部21と、第1振動板部とは略反対の方向に規定される第2振動板部22と、を有する偏心コーン形振動板である。図2の長径方向の断面図に示すように、第1振動板部21は、第2振動板部22よりも傾斜が緩やかな曲面であり、第2振動板部22は、第1振動板部21よりも狭い表面積を有している。また、図3の短径方向の断面図に示すように、第1振動板部21と第2振動板部22とは、直線部23を介して滑らかに連続するように連結する。
【0028】
なお、第1振動板部21と第2振動板部22を連結する直線部23は、第1振動板部21と第2振動板部22の境界線を規定する。本実施例の場合には、直線部23は、図3に示す短径方向の断面を含む平面上で直線であるが、このような場合のみに限られなくてよい。直線部23は、ボイスコイルの中心軸Qと、内形中心点Pと、外形中心点Oと、を含む図2に示す長径方向の断面に対して、内形中心点Pを含んで直交するいずれかの平面上において直線であればよい。
【0029】
エッジ3は、本実施例では、柔軟性を有する発泡ゴムを金型内に注入して加熱発泡して形成したものである。スピーカー振動板2の長径方向に直線状に延びるトラック形の長辺では、スピーカー振動板2を自由支持するように直線状の薄肉のコルゲーション(またはロール)によるフリーエッジが形成され、トラック形の短辺では、短径方向に円弧状になるフリーエッジが形成される。
【0030】
ボイスコイル4は、円筒形に形成したボビン4aと、その一端側に巻回されて音声電流が供給されるコイル4bと、から形成される。ボビン4aは、その円筒外面側がスピーカー振動板2のボイスコイル取付部20に接着剤により連結される。コイル4bは、後述する磁気回路10の円形の磁気空隙13に配置される。なお、錦糸線9は、フレーム6に固定されるターミナル7と、ターミナル7からコイル4bの引出線とを、ハンダづけして導通させて、コイル4bに音声電流を供給する。ただし、錦糸線9は、スピーカー振動板2に金属ハトメを設けてターミナル7まで導通させるようにしてもよい。
【0031】
ダンパー5は、柔軟性を有する繊維の織布を基材としてフェノール樹脂を含浸して成形する円形のコルゲーションダンパーである。ダンパー5の内周端は、ボビン4aの円筒外面側と連結してスピーカー振動板2のボイスコイル取付部20を支持する。ダンパー5の外周端側は、フレーム6の固定部に固定される。なお、ダンパー5は、他の形状のコルゲーションダンパーであっても良く、また、他の材料で形成するものであってもよく、内周側リングと外周側リングを連結するアームを有し、金属または樹脂で形成する蝶ダンパーであってもよい。
【0032】
本実施例のダストキャップ8は、パルプ材を抄紙および切断して形成した円形碗状の部材であり、ボイスコイル4のボビン4aの端部に接着剤で取り付けられる。ダストキャップ8は、円筒形の断面を有するボイスコイル4に対応する円形のダストキャップであり、前面側凹状の断面形状を有する中央凹部8aと、中央凹部8aの周囲に形成されて、前面側凹状の断面形状を有する周囲凹部8bと、周囲凹部8bの周囲に形成されて、ボイスコイル4と連結する連結部8cと、を有する。
【0033】
フレーム6は、スピーカー振動板2の形状に対応して細長形のバスケット状にプレス成型された鉄板フレームであり、エッジ3を固定する略矩形の固定部と、ダンパー5ならびに磁気回路10を固定する偏心した固定部と、これらの固定部を連結する連結部と、複数の連結部の間に規定される窓と、ターミナル7を取り付ける取付孔と、を備える。したがって、スピーカー振動板2、エッジ3、ボイスコイル4、ダストキャップ8、および、ダンパー5からなるスピーカー振動系は、フレーム6に対して振動可能に支持される。
【0034】
磁気回路10は、フレーム6に固定される円環形のトッププレート11と、円筒形状であってトッププレート11の中央に形成された円形孔に挿入されるセンターポールおよび平板状のアンダープレートを有するポール12と、円環状のマグネット15と、から構成される。トッププレート11およびポール12は、均等な幅を有する円形の磁気空隙13を形成する。マグネット15は、トッププレート11およびポール12のアンダープレートの間に狭持されるように接着される。本実施例の主マグネット15は、フェライト系磁石であり、残留磁化および保磁力がさらに大きく、小さい体積でも保磁力の強いNd−Fe−B系の希土類磁石であってもよい。なお、希土類磁石とは、Nd−Fe−B系のネオジウム磁石、もしくは、Sm−Co系のサマリウムコバルト磁石であって、磁石の最大エネルギー積(BH)maxが大きな値をとる磁石である。磁気回路10は、ボイスコイル4のコイル4bを平面視した場合に投影する領域の外部に磁石が配置される外磁型磁気回路であり、磁気回路10の最大幅を小さくすれば、細長形のフレーム6を前面視した場合に形成される領域内に磁気回路10が収まる。
【0035】
したがって、軽量なスピーカー振動板2を採用することを含めて、能率の高い動電型スピーカー1が実現される。ボイスコイル4のコイル4bに音声電流が供給されると、磁気空隙13に配置されたボイスコイル4には駆動力が作用し、ボイスコイル4は前後方向(図における上下方向)に振動し、連結されたスピーカー振動板2も前後方向に振動する。本実施例の動電型スピーカー1の場合には、偏心コーン形振動板であるスピーカー振動板2を備えているので、その高域限界周波数fh(=約12kHz)以下では、ボイスコイル取付部20を挟んで、断面経路長が長い第1振動板部21の方に指向特性が強まり、反対側の断面経路長が短い第2振動板部22の方向に指向性が弱まる。偏心コーン形振動板2の指向特性が強まる方向Rは、偏心した位置に取り付けられるボイスコイル4の中心軸Qに対して第1振動板部21の方に角度θ(約10°〜約40°)だけ傾斜した方向になる。
【0036】
図4は、本実施例の動電型スピーカー1の長径方向断面形状および指向性パターンを示すグラフである。具体的には、図4(a)は、動電型スピーカー1の振動系を構成するスピーカー振動板2と、ボイスコイル4のボビン4aと、ダストキャップ8と、について、長径方向でのA−A’断面の形状を説明する図であり、その他の構成は、省略している。また、図4(b)は、高域限界周波数fh以上の周波数帯域である約15.5kHzでの指向特性パターンを示すグラフであり、図4(c)は、約16.2kHzでの指向特性パターンを示すグラフであり、図4(d)は、約18kHzでの指向特性パターンを示すグラフである。
【0037】
指向特性パターンは、正面方向の角度θ=0°を基準として、その周波数での正弦波の音圧レベルの角度θにおける相対変化を示すグラフである。したがって、本実施例の動電型スピーカー1の指向特性パターンでは、指向特性が強まる方向R、すなわち、中心軸Qに対して外形中心点Oを含む第1振動板部21の方向である角度θが約0°〜約90°の方向で、大きなビーム状の領域が図示される。一方、指向性が弱まる第2振動板部22の方向である角度θが約270°〜約360°の方向では、音圧再生レベルが低下するので、ビーム状の領域が小さくなる。また、本実施例の動電型スピーカー1では、その背面側である角度θが約150°〜約270°の方向で、音圧再生レベルを正面方向に対して相対的にかなり小さくすることができる。
【0038】
スピーカー振動板2の第2振動板部22は、偏心コーン形振動板のボイスコイル4の中心軸Qと、内形中心点Pと、外形中心点Oと、を含む断面、すなわち、図示する長径方向の断面において、前面側凹状の断面形状を有する曲面である。また、スピーカー振動板2の第1振動板部21は、同じ長径方向の断面において、前面側凸状の断面形状を有する曲面である。したがって、音波の波長がより短くなる高域限界周波数fh以上においては、第2振動板部22が、ボイスコイル取付部20の周辺から放射される音波を、正面方向に対して偏った角度θの方向Rに反射させる。
【0039】
その結果、スピーカー振動板2は、全ての周波数帯域において、正面方向に対して偏った角度θの方向Rに強い指向特性を発揮する。偏心コーン形振動板であるスピーカー振動板2は、高域限界周波数fh以下で方向Rに強い指向特性を有していて、さらに、高域限界周波数fh以上でも方向Rに強い指向特性を有する。したがって、動電型スピーカー1は、指向性を弱めたい方向への音波の再生レベルを低くすることができ、方向Rへ強い指向性をより改善することができる。また、本実施例のスピーカー振動板2は、第1振動板部21と第2振動板部22とが、直線部23を介して滑らかに連結しているので、振動モードの影響が少なくて、再生音質に優れた動電型スピーカー1を実現することができる。
【実施例2】
【0040】
図5は、本実施例の他の動電型スピーカー31の長径方向断面形状および指向性パターンを示すグラフである。具体的には、図5(a)は、動電型スピーカー31の振動系を構成するスピーカー振動板2と、ボイスコイル4のボビン4aと、ダストキャップ81と、について、長径方向でのA−A’断面の形状を説明する図であり、その他の構成は、省略している。また、図5(b)は、高域限界周波数fh以上の周波数帯域である約15.5kHzでの指向特性パターンを示すグラフであり、図5(c)は、約16.2kHzでの指向特性パターンを示すグラフであり、図5(d)は、約18kHzでの指向特性パターンを示すグラフである。
【0041】
本実施例の他の動電型スピーカー31は、先の実施例の動電型スピーカー1において、剛性が高い形状を有するダストキャップ8を、従来の略ドーム形状のダストキャップ81に置き換えた場合の実施例である。ダストキャップ81は、ダストキャップ8と同じ材料で形成されたものであり、前面側凸状の断面形状を有する中央凸部81aと、周囲凹部8bの周囲に形成されて、ボイスコイルと連結する連結部81cと、を有している。
【0042】
したがって、動電型スピーカー31は、先述のスピーカー振動板2を備えており、スピーカー振動板2は、内形中心点Pから外形中心点Oに向かう方向に規定される第1振動板部21と、第1振動板部とは略反対の方向に規定される第2振動板部22と、を有する偏心コーン形振動板である。その結果、動電型スピーカー31は、高域限界周波数fh以下で中心軸Qに対して傾斜した方向Rへ強い指向性を示す。
【0043】
また、図示するように、本実施例の動電型スピーカー31は、従来の略ドーム形状のダストキャップ81を備えていても、偏心コーン形振動板であるスピーカー振動板2を備えているので、高域限界周波数fh以上においても、中心軸Qに対して傾斜した方向Rへ強い指向性を示す。動電型スピーカー31は、角度θが約0°〜約90°の方向で、大きなビーム状の領域が図示され、強い指向性を示す。一方、動電型スピーカー31は、先の動電型スピーカー1の場合に及ばないものの、角度θが約270°〜約360°の方向では、音圧再生レベルが低下して、ビーム状の領域を小さくすることができる。また、本実施例の動電型スピーカー31では、その背面側である角度θが約150°〜約270°の方向で、音圧再生レベルを正面方向に対して相対的に小さくすることができる。
【0044】
これは、先の実施例のダストキャップ8が、前面側凹状の断面形状を有する中央凹部8aと、中央凹部8aの周囲に形成されて、前面側凹状の断面形状を有する周囲凹部8bと、周囲凹部8bの周囲に形成されて、ボイスコイルと連結する連結部8cと、を有しているので、前面側に凸状の断面のダストキャップ81よりも、その剛性が向上し、その結果、ダストキャップ8は、ダストキャップ81よりも高域限界周波数fh以上での分割振動を抑制することができるからである。高域限界周波数fh以上では、音波の波長がダストキャップ8の寸法よりも小さくなるので、ダストキャップ8のような断面構造を採用することで分割振動を抑制し、その放射音を減少すれば、偏心コーン形振動板2が方向Rへ強い指向性を発揮することができ、一方、指向性を弱めたい方向への音波の再生レベルを更に低くすることができる。
【0045】
図6は、比較例の動電型スピーカー61の長径方向断面形状および指向性パターンを示すグラフである。具体的には、図6(a)は、動電型スピーカー61の振動系を構成するスピーカー振動板62と、ボイスコイル4のボビン4aと、ダストキャップ81と、について、長径方向でのA−A’断面の形状を説明する図であり、その他の構成は、省略している。また、図6(b)は、高域限界周波数fh以上の周波数帯域である約15.5kHzでの指向特性パターンを示すグラフであり、図6(c)は、約16.2kHzでの指向特性パターンを示すグラフであり、図6(d)は、約18kHzでの指向特性パターンを示すグラフである。
【0046】
比較例の動電型スピーカー61は、従来形状の偏心コーン形振動板62を備え、かつ、先の実施例の動電型スピーカー31と同様のダストキャップ81を備える場合の比較例である。つまり、偏心コーン形振動板62は、内形中心点Pを同心円の中心とするボイスコイル取付部70と、内形中心点Pから外形中心点Oに向かう方向に規定される第1振動板部71と、第1振動板部71とは略反対の方向に規定される第2振動板部72と、を有し、第1振動板部71が、前面側凸状の断面形状を有する曲面であり、第2振動板部72が前面側凹状の断面形状を有する曲面である。したがって、比較例の動電型スピーカー61は、高域限界周波数fh以下の周波数帯域において、角度θが約0°〜約90°の方向で、強い指向性を示す。
【0047】
ただし、比較例の動電型スピーカー61は、高域限界周波数fh以上において、中心軸Qに対して傾斜した方向Rへ強い指向性を示すものの、方向R以外の方向にも強い指向性を示す。図示するように、比較例の動電型スピーカー61は、高域限界周波数fh以上の周波数帯域において、本実施例の場合に比較して、角度θが約270°〜約360°の方向では、音圧再生レベルが高く上昇してビーム状の領域が大きくなっている。また、動電型スピーカー61では、その背面側である角度θが約150°〜約270°の方向で、音圧再生レベルが正面方向に対して小さくなりにくくなる。その結果、高域限界周波数fh以上での指向特性が、高域限界周波数fh以下の場合と一致しなくなるので、指向性を弱めたい方向への音波の再生レベルが上昇してしまう。
【実施例3】
【0048】
図7は、本実施例の他の動電型スピーカー41の正面形状、および、長径方向断面形状を説明する図である。具体的には、図7(a)は、動電型スピーカー41の振動系を構成するスピーカー振動板42と、ダストキャップ48と、の平面形状を説明する図であり、図7(b)は、さらにボイスコイル44のボビン44aについて、長径方向でのA−A’断面の形状を説明する図であり、その他の構成は、省略している。
【0049】
スピーカー振動板42は、内形中心点Pから外形中心点Oに向かう方向を長径方向として、その外形が、長径方向の長さが短径方向の長さよりも長いトラック形である。また、偏心コーン形振動板であるスピーカー振動板42は、パルプ材を抄紙および切断して形成した紙コーン振動板であり、外形中心点Oを中心とするトラック形状の外周端にトラック形状の(図示しない)エッジの内周側が接着されている。また、スピーカー振動板42は、このトラック形状の外形に対して偏心した位置にある内形中心点Pを中心とするトラック形状のボイスコイル取付部50を有し、ボイスコイル取付部50は、コーン形振動板のネック部分であって、ボイスコイル44を構成するトラック形のボビン44aが接着される。
【0050】
ボイスコイル44は、トラック形状のボイスコイル取付部50に対応するトラック形の円筒状のボビン44aを備える。ボイスコイル44の中心軸Qは、内形中心点Pを通過する軸であり、ボイスコイル44が振動する正面方向(角度θ=0°)を規定する。したがって、偏心コーン形振動板であるスピーカー振動板42では、外形中心点Oと内形中心点Pとが、長径方向に中心軸Qに直交する平面上で離隔している。ボビン44aには、トラック形状の(図示しない)コイルが巻回されて、(図示しない)磁気回路の磁気空隙にコイルは配置される。
【0051】
また、スピーカー振動板42は、先の実施例のスピーカー振動板2と同様に、内形中心点Pから外形中心点Oに向かう方向に規定される第1振動板部51と、第1振動板部とは略反対の方向に規定される第2振動板部52と、を有する偏心コーン形振動板である。図7(b)の長径方向の断面図に示すように、第1振動板部51は、第2振動板部52よりも傾斜が緩やかな曲面であり、第2振動板部52は、第1振動板部51よりも狭い表面積を有している。また、スピーカー振動板42の第2振動板部52は、ボイスコイル44の中心軸Qと、内形中心点Pと、外形中心点Oと、を含む断面、すなわち、図示する長径方向の断面において、前面側凹状の断面形状を有する曲面である。また、スピーカー振動板42の第1振動板部51は、同じ長径方向の断面において、前面側凸状の断面形状を有する曲面である。
【0052】
また、本実施例のダストキャップ48は、パルプ材を抄紙および切断して形成したトラック形状の部材であり、ボイスコイル44のボビン44aの端部に接着剤で取り付けられる。ダストキャップ48は、トラック形の断面を有するボイスコイル44に対応するトラック形のダストキャップであり、前面側凹状の断面形状を有する中央凹部48aと、中央凹部48aの周囲に形成されて、前面側凹状の断面形状を有する周囲凹部48bと、周囲凹部48bの周囲に形成されて、ボイスコイル4と連結する連結部48cと、を有する。ダストキャップ48は、前面凸状のドーム部のみからなる従来のダストキャップよりも、高域限界周波数fh以上での分割振動を抑制することができる。
【0053】
したがって、偏心コーン形振動板であるスピーカー振動板42は、高域限界周波数fh以下で方向Rに強い指向特性を有していて、さらに、高域限界周波数fh以上でも方向Rに強い指向特性を有する。スピーカー振動板42は、音波の波長がより短くなる高域限界周波数fh以上においても、第2振動板部52が、ボイスコイル取付部50の周辺から放射される音波を、正面方向に対して偏った角度θの方向Rに反射させる。
【0054】
その結果、本実施例のトラック形状のボイスコイル44を備える動電型スピーカー41は、全ての周波数帯域において、正面方向に対して偏った角度θの方向Rに強い指向特性を発揮する。したがって、動電型スピーカー41は、指向性を弱めたい方向への音波の再生レベルを低くすることができ、方向Rへ強い指向性をより改善することができる。取り付けに要する空間を小型化することができる。
【0055】
なお、本実施例の(図示しない)スピーカー用磁気回路は、トラック形状の磁気空隙を有する磁気回路であっても良く、また、他の形状の磁気空隙を有するものであっても良い。トラック形状のボイスコイル44は、2つの平行な直線部を含むコイルからなるので、これらの直線部に対応する部分に磁気空隙を有する磁気回路であればよい。また、動電型スピーカー41は、トラック形の偏心コーン形振動板であるスピーカー振動板42に限らず、楕円形、長円形、長方形、矩形といった長径寸法と短径寸法との比が大きい細長形の動電型スピーカーであればよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の動電型スピーカーは、車両、あるいは、ディスプレイ等の映像・音響機器に内蔵するスピーカーとしてのみならず、音声を再生するスピーカーを内蔵するキャビネットを有するゲーム機、スロットマシン等の遊戯機にも適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の好ましい実施形態による動電型スピーカー1を説明する斜視図である。(実施例1)
【図2】本発明の好ましい実施形態による動電型スピーカー1のA−A’断面図である。(実施例1)
【図3】本発明の好ましい実施形態による動電型スピーカー1のC−C’断面図である。(実施例1)
【図4】本発明の好ましい実施形態による動電型スピーカー1の長径方向断面形状および指向性パターンを示すグラフである。(実施例1)
【図5】本発明の他の好ましい実施形態による動電型スピーカー31の長径方向断面形状および指向性パターンを示すグラフである。(実施例2)
【図6】比較例の動電型スピーカー61の長径方向断面形状および指向性パターンを示すグラフである。(実施例2)
【図7】本発明の他の好ましい実施形態による動電型スピーカー41の正面形状、および、長径方向断面形状を説明する図である。(実施例3)
【符号の説明】
【0058】
1、31、41、61 動電型スピーカー
2、42、62 スピーカー振動板
20、50、70 ボイスコイル取付部
21、51、71 第1振動板部
22、52、72 第2振動板部
23 直線部
3 エッジ
4 ボイスコイル
5 ダンパー
6 フレーム
7 ターミナル
8 ダストキャップ
9 錦糸線
10 磁気回路
11 トッププレート
12 ポール
13 磁気空隙
15 マグネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外形に対して偏心した内形中心点Pにより規定されるボイスコイル取付部と、該内形中心点Pから外形中心点Oに向かう方向に規定される第1振動板部と、該第1振動板部とは略反対の方向に規定される第2振動板部と、を有する偏心コーン形振動板と、
該ボイスコイル取付部に取り付けられるボビンと、該ボビンに巻回されて磁気回路の磁気空隙に配置されるコイルと、を有するボイスコイルと、
該ボイスコイルの該ボビンの端部に取り付けられるダストキャップと、
を備える、動電型スピーカーであって、
該偏心コーン形振動板の該第2振動板部が、該ボイスコイルの中心軸Qと、該内形中心点Pと、該外形中心点Oと、を含む断面Xにおいて、前面側凹状の断面形状を有する曲面である、
動電型スピーカー。
【請求項2】
前記偏心コーン形振動板の前記第1振動板部が、前記断面Xにおいて、前面側凸状の断面形状を有する曲面である、
請求項1に記載の動電型スピーカー。
【請求項3】
前記偏心コーン形振動板の前記第1振動板部と、前記第2方向振動部とが、前記断面Xと直交して前記内形中心点Pを含む断面Yにおいて、直線部を形成して連結する、
請求項1または2に記載の動電型スピーカー。
【請求項4】
前記偏心コーン形振動板の前記外形が、前記内形中心点Pから前記外形中心点Oに向かう方向を長径方向とするトラック形である、
請求項1から3のいずれかに記載の動電型スピーカー。
【請求項5】
前記ボイスコイルと、前記偏心コーン形振動板の前記ボイスコイル取付部とが、それぞれ前記内形中心点Pから前記外形中心点Oに向かう方向を長径方向とするトラック形である、
請求項1から4のいずれかに記載の動電型スピーカー。
【請求項6】
前記ダストキャップが、前記断面Xにおいて、前面側凹状の断面形状を有する中央凹部と、該中央凹部の周囲に形成されて、前面側凹状の断面形状を有する周囲凹部と、該周囲凹部の周囲に形成されて、前記ボイスコイルと連結する連結部と、を有する、
請求項1から5のいずれかに記載の動電型スピーカー。

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate