説明

偏心ソケットおよび水洗便器

【課題】水洗便器の排水口と床面の排水管のずれが大きい場合でも、偏心ソケットを配置可能で、他の機器からの排水を受けられる偏心ソケットの提供をする。
【解決手段】水洗便器の排水口と、床面40まで起立状に配管された排水管との接続に用いられ、他の機器からの排水を受けられる排水合流部51aを有し、排水管の中心軸に対して回転して配置が可能な偏心ソケット50であって、排水合流部51aを、水洗便器のトラップに干渉しない部位に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗便器と床の排水口を接続する偏心ソケットに関し、特に他の機器からの排水を合流させる偏心ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
水洗便器と手洗器が併設されているトイレにおいては、水洗便器からの排水と手洗器からの排水を合流させて床面まで起立状に立ち上げられた1本の排水配管に排出することが行われている。(例えば、特許文献1参照) この偏心ソケットは偏心量Hの範囲で、床の排水管位置と水洗便器の排水口の位置がずれている場合の排水心のずれをカバーできて大変便利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−336890号公報(図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された偏心ソケットでは、偏心量Hがフランジ部の範囲に限定されるため、排水心のずれをカバーできる範囲が限定されている。
【0005】
本発明の目的は、水洗便器の排水口と床面の排水管のずれが大きい場合でも、偏心ソケットを回転して配置可能であって、このソケットに他の機器からの排水を受けられる偏心ソケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明によれば、水洗便器の排水口と、床面まで起立状に配管された排水管との接続に用いられ、他の機器からの排水を受けられる排水合流部を有し、前記排水管の中心軸に対して回転して配置が可能な偏心ソケットであって、 前記排水合流部を、前記便器のトラップに干渉しない部位に形成されていることを特徴とする偏心ソケットの提供を可能とした。
排水合流部を水洗便器のトラップ部側以外にくるように形成しているので、排水合流部に接続されるホースなどの接続部がトラップ部と干渉することがない。よって、偏心ソケットの配置を前後にする2パターンの使い方に制限を加えずに、トラップとの干渉を防止することができる。
【0007】
また、請求項2記載の発明によれば、水洗便器の排水口と、床面まで起立状に配管された排水管との接続に用いられ、他の機器からの排水を受けられる排水合流部を有し、前記排水管の中心軸に対して回転して配置が可能な偏心ソケットであって、前記排水合流部を、前記偏心ソケットの偏心方向に対して側面側に形成されていることを特徴とする偏心ソケットが提供できる。
これにより、排水合流部を水洗便器のトラップ部側以外にくるように形成しているので、排水合流部に接続されるホースなどの接続部がトラップ部と干渉することがない。よって、偏心ソケットの配置を前後にする2パターンの使い方に制限を加えずに、トラップとの干渉を防止することができる。
【0008】
また、請求項3記載の発明によれば、水洗便器の排水口と、床面まで起立状に配管された排水管との接続に用いられ、他の機器からの排水を受けられる排水合流部を有し、前記排水管の中心軸に対して回転して配置が可能な偏心ソケットであって、 前記偏心ソケットは、少なくとも前記水洗便器の排水口に連通される接続部と、前記接続部につながる第一管部と、前記第一管部と中心軸を異にし前記第一管部からの排水を受ける第二管部と、前記第二管部につながり床固定する固定部とからなり、前記他の機器からの排水を受ける排水合流部を前記第一管部または第二管部の偏心方向の側面側に形成されていることを特徴とする偏心ソケットが提供できる。
これにより、排水合流部を水洗便器のトラップ部側以外にくるように形成しているので、排水合流部に接続されるホースなどの接続部がトラップ部と干渉することがない。よって、偏心ソケットの配置を前後にする2パターンの使い方に制限を加えずに、トラップとの干渉を防止することができる。
【0009】
また、請求項4記載の発明によれば、水洗便器の排水口と、床面まで起立状に配管された排水管との接続に用いられ、他の機器からの排水を受けられる排水合流部を有し、前記排水管の中心軸に対して回転して配置が可能な偏心ソケットであって、前記偏心ソケットは、少なくとも前記水洗便器の排水口に連通される接続部と、前記接続部につながる第一管部と、前記第一管部と中心軸を異にし前記第一管部からの排水を受ける第二管部と、前記第二管部につながり床固定する固定部とからなり、前記排水合流部が前記第一管部または前記第二管部に少なくとも2個以上形成されていることを特徴とする偏心ソケットが提供できる。
これにより、偏心ソケットを回転させて配置させた場合、少なくとも1個以上の排水合流部がトラップ部側以外にくるように形成しているため、排水合流部を自由に配置することができる。
【0010】
また、請求項5記載の発明によれば、床面まで起立状に配管された排水管との接続に偏心ソケットを用い、前記偏心ソケットに他の機器からの排水合流部を有する水洗便器であって、前記偏心ソケットが請求項1から請求項5のいずれかに記載の偏心ソケットであることを特徴とする水洗便器が提供できる。
これにより、水洗便器を排水管から偏心距離を半径とする円上に設置することができ、水洗便器の排水口と排水管のずれが大きい場合でも、水洗便器の後端とトイレルームの後壁との隙間の調整が容易となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、排水合流部を偏心方向の側面側あるいは複数形成することでソケットを180度回転させた場合でも水洗便器のトラップ部側以外にくるようになるので、排水合流部に接続されるホースなどの接続部がトラップ部と干渉することがない。よって、偏心ソケットの配置に制限を加えずに、トラップとの干渉を防止することができるという効果がある。また、水洗便器においては、水洗便器の排水口と排水管のずれが大きい場合でも、水洗便器の後端とトイレルームの後壁との隙間の調整が容易となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第一実施例の全体図を示す図である。
【図2】図1の上面図の概略図である。
【図3】図1の偏心ソケットを拡大した図である。
【図4】本発明の第一実施例の斜視図である。
【図5】本発明の第一実施例の概略を示した図である。
【図6】本発明の第一実施例の概略を示した図である。
【図7】本発明の第二実施例の斜視図である。
【図8】本発明の第二実施例の概略を示した図である。
【図9】本発明の第二実施例の概略を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は水洗便器と手洗器の排水を合流させる本発明の第一実施例の全体を示す図である。図1において、水洗便器1、手洗器2が設置されて、手洗器2は手洗キャビネット3上に設置されたものである。床面40には水洗便器1から配管100に排水するための偏心ソケット50が固定されており、偏心ソケット50には後述する側面に突出した排水合流部51aがある。手洗器2からの排水は手洗排水トラップ8と排水合流部51aに排水ホース7を接続し、偏心ソケット50に合流させている。排水合流部51aは手洗器2からの排水を合流させるために中空形状になっている。また、手洗器キャビネット3から壁面30に沿って水平方向に箱体の横引き配管カバー4が設けられ、この横引き配管カバー4の上面にはカウンター5が設けられており、横引き配管カバー4の右端から、縦に配管キャビネット6が垂設されたものとなっている。排水ホース7は横引き配管カバー4、配管キャビネット6内に隠蔽状に通され、手洗排水トラップ8、排水合流部51aに接続されている。
【0014】
図2に示すように、排水ホース7は回り込んで排水合流部51aに接続されている。このように配管100への水洗便器1からの排水経路に対し、手洗器2の排水経路を接続して、手洗器2を設置することができるものであり、手洗器2を設置する際に、手洗器2用の排水管を別個に配管する手間がかからず、コストを低減させて、水洗便器1と共に手洗器2を設置することができるものである。
【0015】
本発明の第一実施例を図3から図6を用いて説明する。
図3に示すように、本発明の第一実施例の偏心ソケット50は、水洗便器1のトラップ21を接続するための接続部52と、水洗便器1からの排水を配管100へ排水するための円管状の第一管部53、第二管部54と、偏心ソケットを床面40に固定するための固定部55で構成されている。また、固定部55にはボルトで床面40に固定するための貫通した固定穴56が四隅にある。また、第一管部53には偏心量Aの偏心方向の側面に突出した合流部51aがある。排水合流部51aは第二管部54の偏心方向の側面に突出していてもよい。
【0016】
図4に示すように、排水合流部51aは固定部55の中心軸201上にある。接続部52の中心軸200は固定部55の中心軸201とは距離Aだけ偏心している。また、このソケットは、床面まで起立状に配管された排水管101に対して回転させて配置可能であり、図5、図6に示すように固定部55の中心軸201を軸に180度回転させた場合でも、固定部55の中心軸201上にあって、接続部52の中心軸200と距離Aだけ偏心させることができるものである。
【0017】
尚、図5は接続部52が壁面30側に近付いた場合、図6は図5で示した偏心ソケット50を固定部55の中心軸201を軸に反転させた場合であり、以下それぞれを後側に偏心したパターン、前側に偏心したパターンと呼ぶ。このように偏心ソケット50は前側に偏心したパターン、後側に偏心したパターンのいずれにおいても排水合流部51aが偏心方向の側面側に突出しているため、排水ホース7と排水合流部51aを接続させても、トラップ21に干渉することがない。
【0018】
本発明の第二実施例を図7から図9を用いて説明する。
本発明の第二実施例は、第一実施例とは排水合流部の位置と数が異なる。
偏心ソケット150の第一管部には図7に示すように水洗便器1側、壁面30側それぞれに排水合流部151a、151bが設けられている。排水合流部は第一管部、第二管部であれば、自由に配置されていてもよい。
【0019】
図8、9に示すように接続部152の中心軸200と固定部155の中心軸201は距離Aだけ偏心しており、固定部155の中心軸201を軸に180度回転させた場合でも接続部152の中心軸200と距離Aだけ偏心させることが可能である。
【0020】
そのため前側に偏心したパターン、後側に偏心したパターンのいずれにおいても壁面30側に排水合流部が突出しているため、排水ホース7を接続することができる。このように偏心ソケット150が前側に偏心したパターン、後側に偏心したパターンのいずれにおいても排水合流部が壁面30側に突出しているため、壁面30側の排水合流部と排水ホース7を接続させても、トラップ21に干渉することがない。また、排水合流部は手洗器2からの排水を合流させるために中空形状になっているが、排水ホース7を接続しない水洗便器1側の排水合流部は円柱形状の部材で塞いでおくことで排水が漏れることがない。
【0021】
また、本実施例では排水合流部を円柱形状で示したが、排水ホース7を差し込むことができる穴でもよい。その場合も排水ホース7を差し込まない排水合流部は穴を塞いでおくことで排水が漏れることがない。
【符号の説明】
【0022】
1…水洗便器
2…手洗器
3…手洗キャビネット
4…横引き配管カバー
5…カウンター
6…配管カバー
7…排水ホース
8…手洗排水トラップ
21…トラップ
30…後壁
40…床面
50…偏心ソケット
51a、151a、b…排水合流部
52、152…トラップ接続部
53、153…第一管部
54、154…第二管部
55、155…固定部
56、156…固定穴
100…配管
101…排水管
200…トラップ接続部の中心軸
201…固定部の中心軸
A…偏心距離


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水洗便器の排水口と、床面まで起立状に配管された排水管との接続に用いられ、他の機器からの排水を受けられる排水合流部を有し、前記排水管の中心軸に対して回転して配置が可能な偏心ソケットであって、
前記排水合流部を、前記水洗便器のトラップに干渉しない部位に形成されていることを特徴とする偏心ソケット。
【請求項2】
水洗便器の排水口と、床面まで起立状に配管された排水管との接続に用いられ、他の機器からの排水を受けられる排水合流部を有し、前記排水管の中心軸に対して回転して配置が可能な偏心ソケットであって、
前記排水合流部を、前記偏心ソケットの偏心方向に対して側面側に形成されていることを特徴とする偏心ソケット。
【請求項3】
水洗便器の排水口と、床面まで起立状に配管された排水管との接続に用いられ、他の機器からの排水を受けられる排水合流部を有し、前記排水管の中心軸に対して回転して配置が可能な偏心ソケットであって、
前記偏心ソケットは、少なくとも前記水洗便器の排水口に連通される接続部と、前記接続部につながる第一管部と、前記第一管部と中心軸を異にし前記第一管部からの排水を受ける第二管部と、前記第二管部につながり床固定する固定部とからなり、
前記他の機器からの排水を受ける排水合流部を前記第一管部または第二管部の偏心方向の側面側に形成されていることを特徴とする偏心ソケット。
【請求項4】
水洗便器の排水口と、床面まで起立状に配管された排水管との接続に用いられ、他の機器からの排水を受けられる排水合流部を有し、前記排水管の中心軸に対して回転して配置が可能な偏心ソケットであって、
前記偏心ソケットは、少なくとも前記水洗便器の排水口に連通される接続部と、前記接続部につながる第一管部と、前記第一管部と中心軸を異にし前記第一管部からの排水を受ける第二管部と、前記第二管部につながり床固定する固定部とからなり、
前記排水合流部が前記第一管部または前記第二管部に少なくとも2個以上形成されていることを特徴とする偏心ソケット。
【請求項5】
床面まで起立状に配管された排水管との接続に偏心ソケットを用い、前記偏心ソケットに他の機器からの排水合流部を有する水洗便器であって、
前記偏心ソケットが請求項1から請求項5のいずれかに記載の偏心ソケットを用いたことを特徴とする水洗便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−72187(P2013−72187A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210435(P2011−210435)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】