偏波モード分散発生装置
【課題】本発明は、任意の波長プロファイルを有する偏波モード分散を発生させる。
【解決手段】本発明は、入力光信号の有する直交偏波の相互間の遅延差を、入力光信号の有する波長に依存するように、入力光信号に付与する(遅延差T1(λ))第1遅延差付与装置1Aと、第1遅延差付与装置1Aからの出力光信号の有する偏波面を回転させる(回転角Ψ)偏波面回転装置2と、偏波面回転装置2からの出力光信号の有する直交偏波の相互間の遅延差を、偏波面回転装置2からの出力光信号の有する波長に依存するように、偏波面回転装置2からの出力光信号に付与する(遅延差T2(λ))第2遅延差付与装置1Bと、を備えることを特徴とする偏波モード分散発生装置である。
【解決手段】本発明は、入力光信号の有する直交偏波の相互間の遅延差を、入力光信号の有する波長に依存するように、入力光信号に付与する(遅延差T1(λ))第1遅延差付与装置1Aと、第1遅延差付与装置1Aからの出力光信号の有する偏波面を回転させる(回転角Ψ)偏波面回転装置2と、偏波面回転装置2からの出力光信号の有する直交偏波の相互間の遅延差を、偏波面回転装置2からの出力光信号の有する波長に依存するように、偏波面回転装置2からの出力光信号に付与する(遅延差T2(λ))第2遅延差付与装置1Bと、を備えることを特徴とする偏波モード分散発生装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏波モード分散特性を模擬する偏波モード分散発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
データ通信需要の増大に伴い、大容量トラヒックの伝送を可能とする光信号変調技術や光信号多重技術を用いた光伝送ネットワークが普及しつつある。一方で、データ伝送速度の増大に伴い、光ファイバ伝送路が有する偏波モード分散の、光信号波形劣化への影響が懸念される。この影響を分析するに当たり、自然に発生する偏波モード分散を制御する技術は困難であり、偏波モード分散を人工的に発生させる技術が重要である。
【0003】
従来技術の偏波モード分散発生装置の構成を図1に示す(例えば、非特許文献1を参照)。偏波モード分散発生装置は、第1遅延差付与装置1A、偏波面回転装置2及び第2遅延差付与装置1Bから構成される。第1遅延差付与装置1Aは、第1遅延差付与部11A’及び第1偏波分離部12Aから構成される。第2遅延差付与装置1Bは、第2遅延差付与部11B’及び第2偏波分離部12Bから構成される。
【0004】
第1遅延差付与装置1A(例えば、偏波保持ファイバ)は、入力光信号の有する直交偏波の相互間の遅延差を、入力光信号に付与する(遅延差T1)。第1遅延差付与装置1Aにおいて、第1偏波分離部12Aは、入力光信号について、直交する偏波を有する光信号に分離し、第1遅延差付与部11A’は、第1偏波分離部12Aの各出力光信号の相互間で、第1偏波分離部12Aの各出力光信号の有する偏波に対応して遅延差を付与する。
【0005】
偏波面回転装置2(例えば、可変ファラデー回転子)は、第1遅延差付与装置1Aからの出力光信号の有する偏波面を回転させる(回転角Ψ)。
【0006】
第2遅延差付与装置1B(例えば、偏波保持ファイバ)は、偏波面回転装置2からの出力光信号の有する直交偏波の相互間の遅延差を、偏波面回転装置2からの出力光信号に付与する(遅延差T2)。第2遅延差付与装置1Bにおいて、第2偏波分離部12Bは、偏波面回転装置2からの出力光信号について、直交する偏波を有する光信号に分離し、第2遅延差付与部11B’は、第2偏波分離部12Bの各出力光信号の相互間で、第2偏波分離部12Bの各出力光信号の有する偏波に対応して遅延差を付与する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】味村裕、池田和浩、畑野達也、高木武史、輪湖杉生、松浦寛、「PMD補償器およびPMDエミュレータ」、古河電工時報、第112号(平成15年7月)、pp.21−25。
【非特許文献2】磯野秀樹、「分散補償デバイスの現状と展望」、レーザー研究、第30巻第10号(2002年10月)、pp.593−597。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術のDGD及びPCDの波長依存性を図2に示す。DGDは、PMDベクトルの大きさであり、PCDは、PMDベクトルの波長λに対する変化率のうちPMDベクトルと同一の方向の成分である。DGDは、波長に依存せず、PCDは、0である。よって、任意の波長プロファイルを有する偏波モード分散を発生させることができない。しかし、光ファイバ伝送路が有する偏波モード分散は、一般に複雑な波長依存性を示す。
【0009】
そこで、前記課題を解決するために、本発明は、任意の波長プロファイルを有する偏波モード分散を発生させる偏波モード分散発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、光信号の有する直交偏波の相互間の遅延差を、光信号の有する波長に依存するように、光信号に付与することとした。
【0011】
具体的には、本発明は、入力光信号の有する直交偏波の相互間の遅延差を、前記入力光信号の有する波長に依存するように、前記入力光信号に付与する第1遅延差付与装置と、前記第1遅延差付与装置からの出力光信号の有する偏波面を回転させる偏波面回転装置と、前記偏波面回転装置からの出力光信号の有する直交偏波の相互間の遅延差を、前記偏波面回転装置からの出力光信号の有する波長に依存するように、前記偏波面回転装置からの出力光信号に付与する第2遅延差付与装置と、を備えることを特徴とする偏波モード分散発生装置である。
【0012】
この構成によれば、任意の波長プロファイルを有する偏波モード分散を発生させる偏波モード分散発生装置を提供することができる。
【0013】
また、本発明は、光信号の有する波長λ、前記第1遅延差付与装置の付与する遅延差T1(λ)、前記偏波面回転装置の付与する回転角Ψ、前記第2遅延差付与装置の付与する遅延差T2(λ)、PMD(Polarization Mode Dispersion)ベクトルの所望の大きさDGD(Differential Group Delay)、PMDベクトルの波長λに対する変化率のうちPMDベクトルと同一の方向の所望の成分PCD(Polarization−dependent Chromatic Dispersion)、及びPMDベクトルの波長λに対する変化率のうちPMDベクトルと垂直な方向の所望の成分Depol(Depolarization)について、
【数1】
の3式が成立するように、前記第1遅延差付与装置が遅延差T1(λ)を付与し、前記偏波面回転装置が回転角Ψを付与し、前記第2遅延差付与装置が遅延差T2(λ)を付与することを特徴とする偏波モード分散発生装置である。
【0014】
この構成によれば、遅延差T1(λ)、回転角Ψ及び遅延差T2(λ)を制御して、所望の波長プロファイルを有する偏波モード分散を発生させることができる。
【0015】
また、本発明は、前記第1遅延差付与装置は、前記入力光信号について、直交する偏波を有する光信号に分離するとともに、異なる波長を有する光信号に分離する第1偏波波長分離部と、前記第1偏波波長分離部の各出力光信号の相互間で、前記第1偏波波長分離部の各出力光信号の有する偏波及び波長に対応して遅延差を付与する第1遅延差付与部と、を備え、前記第2遅延差付与装置は、前記偏波面回転装置からの出力光信号について、直交する偏波を有する光信号に分離するとともに、異なる波長を有する光信号に分離する第2偏波波長分離部と、前記第2偏波波長分離部の各出力光信号の相互間で、前記第2偏波波長分離部の各出力光信号の有する偏波及び波長に対応して遅延差を付与する第2遅延差付与部と、を備えることを特徴とする偏波モード分散発生装置である。
【0016】
この構成によれば、任意の波長プロファイルを有する偏波モード分散を発生させる偏波モード分散発生装置を提供することができる。
【0017】
また、本発明は、前記第1偏波波長分離部のうちの波長分離部分及び前記第2偏波波長分離部のうちの波長分離部分の少なくともいずれかは、回折格子であることを特徴とする偏波モード分散発生装置である。
【0018】
この構成によれば、回折格子を用いて、波長分離を行なうことができる。
【0019】
また、本発明は、前記第1偏波波長分離部のうちの波長分離部分及び前記第2偏波波長分離部のうちの波長分離部分の少なくともいずれかは、VIPA(Virtual Imaging Phased Array)ガラス板であることを特徴とする偏波モード分散発生装置である。
【0020】
この構成によれば、VIPAガラス板を用いて、波長分離を行なうことができる。
【0021】
また、本発明は、前記第1遅延差付与部及び第2遅延差付与部の少なくともいずれかは、LCoS(Liquid Crystal on Silicon)であることを特徴とする偏波モード分散発生装置である。
【0022】
この構成によれば、LCoSを用いて、遅延差付与を行なうことができる。
【0023】
また、本発明は、前記第1遅延差付与部及び第2遅延差付与部の少なくともいずれかは、三次元ミラーであることを特徴とする偏波モード分散発生装置である。
【0024】
この構成によれば、三次元ミラーを用いて、遅延差付与を行なうことができる。
【0025】
また、本発明は、前記第1偏波波長分離部のうちの波長分離部分及び前記第1遅延差付与部の組み合わせ、並びに前記第2偏波波長分離部のうちの波長分離部分及び前記第2遅延差付与部の組み合わせのうち、少なくともいずれかの組み合わせは、FBG(Fiber Bragg Grating)であることを特徴とする偏波モード分散発生装置である。
【0026】
この構成によれば、FBGを用いて、波長分離及び遅延差付与を行なうことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、任意の波長プロファイルを有する偏波モード分散を発生させる偏波モード分散発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】従来技術の偏波モード分散発生装置の構成を示す図である。
【図2】従来技術のDGD及びPCDの波長依存性を示す図である。
【図3】本発明の偏波モード分散発生装置の構成を示す図である。
【図4】本発明のDGD及びPCDの波長依存性を示す図である。
【図5】本発明の遅延差付与の概略を示す図である。
【図6】本発明の遅延差付与の概略を示す図である。
【図7】実施形態1の偏波モード分散発生装置の構成を示す図である。
【図8】実施形態2の偏波モード分散発生装置の構成を示す図である。
【図9】実施形態3の偏波モード分散発生装置の構成を示す図である。
【図10】実施形態4の偏波モード分散発生装置の構成を示す図である。
【図11】実施形態5の偏波モード分散発生装置の構成を示す図である。
【図12】実施形態6の偏波モード分散発生装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0030】
(本発明の概略)
本発明の偏波モード分散発生装置の構成を図3に示す。偏波モード分散発生装置は、第1遅延差付与装置1A、偏波面回転装置2及び第2遅延差付与装置1Bから構成される。第1遅延差付与装置1Aは、第1波長分離遅延差付与部11A及び第1偏波分離部12Aから構成される。第2遅延差付与装置1Bは、第2波長分離遅延差付与部11B及び第2偏波分離部12Bから構成される。
【0031】
第1遅延差付与装置1Aは、入力光信号の有する直交偏波の相互間の遅延差を、入力光信号の有する波長に依存するように、入力光信号に付与する(遅延差T1(λ))。第1遅延差付与装置1Aにおいて、第1偏波分離部12Aは、入力光信号について、直交する偏波を有する光信号に分離し、第1波長分離遅延差付与部11Aは、第1偏波分離部12Aの各出力光信号について、異なる波長を有する光信号に分離し、波長分離後の各光信号の相互間で、波長分離後の各光信号の有する偏波及び波長に対応して遅延差を付与する。
【0032】
偏波面回転装置2(例えば、可変ファラデー回転子)は、第1遅延差付与装置1Aからの出力光信号の有する偏波面を回転させる(回転角Ψ)。
【0033】
第2遅延差付与装置1Bは、偏波面回転装置2からの出力光信号の有する直交偏波の相互間の遅延差を、偏波面回転装置2からの出力光信号の有する波長に依存するように、偏波面回転装置2からの出力光信号に付与する(遅延差T2(λ))。第2遅延差付与装置1Bにおいて、第2偏波分離部12Bは、偏波面回転装置2からの出力光信号について、直交する偏波を有する光信号に分離し、第2波長分離遅延差付与部11Bは、第2偏波分離部12Bの各出力光信号について、異なる波長を有する光信号に分離し、波長分離後の各光信号の相互間で、波長分離後の各光信号の有する偏波及び波長に対応して遅延差を付与する。
【0034】
本発明のDGD及びPCDの波長依存性を図4に示す。DGDは、PMDベクトルの大きさであり、PCDは、PMDベクトルの波長λに対する変化率のうちPMDベクトルと同一の方向の成分である。DGDは、波長に依存して、PCDも、波長に依存する。よって、任意の波長プロファイルを有する偏波モード分散を発生させることができる。
【0035】
次に、制御パラメータについて説明する。光信号の有する波長をλとする。必要な制御パラメータは、第1遅延差付与装置1Aの付与する遅延差T1(λ)、偏波面回転装置2の付与する回転角Ψ、及び第2遅延差付与装置1Bの付与する遅延差T2(λ)である。所望のPMDパラメータは、PMDベクトルの大きさDGD、PMDベクトルの波長λに対する変化率のうちPMDベクトルと同一の方向の成分PCD、及びPMDベクトルの波長λに対する変化率のうちPMDベクトルと垂直な方向の成分Depolである。
【0036】
必要な制御パラメータ(T1(λ)、Ψ、T2(λ))及び所望のPMDパラメータ(DGD、PCD、Depol)は、数2の関係を満たす。
【数2】
T1(λ)=T2(λ)=T(λ)が成立するとき、数3及び数4が成立する。
【数3】
【数4】
よって、遅延差T1(λ)、回転角Ψ及び遅延差T2(λ)を制御して、所望の波長プロファイルを有する偏波モード分散を発生させることができる。
【0037】
次に、遅延差付与の概略について説明する。本発明の遅延差付与の概略を図5及び図6に示す。ここで、LCoSは、シリコン基板上にセル状に液晶を配置したデバイスであり、各セルに電圧を印加することで、液晶の屈折率を位置に応じて変化させるデバイスである。そして、三次元ミラーは、曲面の曲率を位置に応じて変化させるミラーである。
【0038】
図5は、異なる波長を有する光信号が、LCoS又は三次元ミラーの異なる位置で反射するときに、異なる位相差及び遅延差を付与されることを示す。位相差、遅延差及び波長分散の波長プロファイルは、例えば、図5の下図のようになる。図6は、異なる偏波及び波長を有する光信号が、LCoS又は三次元ミラーの異なる位置で反射するときに、異なる位相差及び遅延差を付与されることを示す。位相差及び遅延差の波長プロファイルは、例えば、図6の上図及び中図のようになり、DGDの波長プロファイルは、例えば、図6の下図のようになる。ここで、TEモードに付与する遅延差の最大値をTeとしており、TMモードに付与する遅延差の最小値をTmとするため、DGDの最大値はTe−Tmとなる。
【0039】
(実施形態1)
実施形態1の偏波モード分散発生装置の構成を図7に示す。実施形態1では、T1(λ)=T2(λ)であり、第1遅延差付与装置1A及び第2遅延差付与装置1Bは、同一の装置により実現されている。波長分離遅延差付与部のうち、波長分離手段として回折格子が利用されており、遅延差付与手段としてLCoSが利用されている。
【0040】
光信号は、入力端子及び光サーキュレータ3を経て、空間光学系に入射し、レンズ4において平行光線となり、偏波分離部12においてTEモード及びTMモードに分離する。
【0041】
TEモードは、4枚のミラー111を経由するが、TMモードは、4枚のミラー111を経由しない。よって、TEモード及びTMモードの間に、波長に依存しない遅延差Taが付与される。ここで、4枚のミラー111の間の距離を調整することにより、TEモード及びTMモードの間の遅延差Taを調整することができる。
【0042】
TEモード及びTMモードは、回折格子112において反射し、異なる波長を有する光信号に分離する。ここで、波長の分離の方向は、紙面に垂直な方向である。異なる偏波及び波長を有する光信号は、LCoS113の異なる位置において反射する。よって、異なる偏波の間に波長に依存する遅延差Tb(λ)が付与される。
【0043】
TEモード及びTMモードは、回折格子112において再度反射し、異なる波長を有する光信号を合波し、偏波分離部12において自身を合波する。
【0044】
光信号は、可変ファラデー回転子21において、偏波面の回転角Ψ/2を付与され、ミラー22において反射し、可変ファラデー回転子21において、再度偏波面の回転角Ψ/2を付与される。よって、光信号に偏波面の回転角Ψが付与される。
【0045】
光信号は、上述と逆の方向を辿って、出力端子に到達する。よって、遅延差T1(λ)=T2(λ)=T(λ)=Ta+Tb(λ)及び回転角Ψが、光信号に付与される。
【0046】
(実施形態2)
実施形態2の偏波モード分散発生装置の構成を図8に示す。実施形態2では、T1(λ)≠T2(λ)であり、第1遅延差付与装置1A及び第2遅延差付与装置1Bは、異なる装置により実現されている。波長分離遅延差付与部のうち、波長分離手段として回折格子が利用されており、遅延差付与手段としてLCoSが利用されている。
【0047】
光信号は、入力端子及び第1光サーキュレータ3Aを経て、空間光学系に入射し、第1レンズ4Aにおいて平行光線となり、第1偏波分離部12AにおいてTEモード及びTMモードに分離する。
【0048】
TEモードは、4枚の第1ミラー111Aを経由するが、TMモードは、4枚の第1ミラー111Aを経由しない。よって、TEモード及びTMモードの間に、波長に依存しない遅延差T1a/2が付与される。ここで、4枚の第1ミラー111Aの間の距離を調整することにより、TEモード及びTMモードの間の遅延差T1a/2を調整することができる。
【0049】
TEモード及びTMモードは、第1回折格子112Aにおいて透過し、異なる波長を有する光信号に分離する。ここで、波長の分離の方向は、紙面に垂直な方向である。異なる偏波及び波長を有する光信号は、第1LCoS113Aの異なる位置において反射する。よって、異なる偏波の間に波長に依存する遅延差T1b(λ)が付与される。
【0050】
光信号は、第1波長分離遅延差付与部11A及び第1偏波分離部12Aにおいて、上述と逆の方向を辿って、偏波面回転装置2において、偏波面の回転角Ψを付与され、第2波長分離遅延差付与部11B及び第2偏波分離部12Bにおいて、上述と同じそして逆の方向を辿って、出力端子に到達する。
【0051】
ここで、第2光サーキュレータ3B、第2レンズ4B、第2偏波分離部12B、4枚の第2ミラー111B、第2回折格子112B及び第2LCoS113Bは、それぞれ第1光サーキュレータ3A、第1レンズ4A、第1偏波分離部12A、4枚の第1ミラー111A、第1回折格子112A及び第1LCoS113Aに相当する。
【0052】
ただし、4枚の第2ミラー111Bによる遅延差はT2a/2であり、第2LCoS113Bによる遅延差はT2b(λ)である。よって、遅延差T1(λ)=T1a/2+T1b(λ)+T1a/2=T1a+T1b(λ)、遅延差T2(λ)=T2a/2+T2b(λ)+T2a/2=T2a+T2b(λ)及び回転角Ψが、光信号に付与される。
【0053】
(実施形態3)
実施形態3の偏波モード分散発生装置の構成を図9に示す。実施形態3では、T1(λ)=T2(λ)であり、第1遅延差付与装置1A及び第2遅延差付与装置1Bは、同一の装置により実現されている。波長分離遅延差付与部のうち、波長分離手段としてVIPAガラス板が利用されており、遅延差付与手段として三次元ミラーが利用されている。ここで、VIPAガラス板は、薄板の両面に反射膜をコーティングし、その多重反射を利用して仮想点光源による高角度分散素子を実現するものである(例えば、非特許文献2を参照)。
【0054】
光信号は、入力端子及び光サーキュレータ3を経て、空間光学系に入射し、レンズ4において平行光線となり、偏波分離部12においてTEモード及びTMモードに分離する。
【0055】
TEモードは、4枚のミラー111を経由するが、TMモードは、4枚のミラー111を経由しない。よって、TEモード及びTMモードの間に、波長に依存しない遅延差Taが付与される。ここで、4枚のミラー111の間の距離を調整することにより、TEモード及びTMモードの間の遅延差Taを調整することができる。
【0056】
TEモード及びTMモードは、VIPAガラス板114において反射し、異なる波長を有する光信号に分離する。ここで、波長の分離の方向は、紙面に垂直な方向である。異なる偏波及び波長を有する光信号は、三次元ミラー115の異なる位置において反射する。よって、異なる偏波の間に波長に依存する遅延差Tb(λ)が付与される。
【0057】
TEモード及びTMモードは、VIPAガラス板114において再度反射し、異なる波長を有する光信号を合波し、偏波分離部12において自身を合波する。
【0058】
光信号は、可変ファラデー回転子21において、偏波面の回転角Ψ/2を付与され、ミラー22において反射し、可変ファラデー回転子21において、再度偏波面の回転角Ψ/2を付与される。よって、光信号に偏波面の回転角Ψが付与される。
【0059】
光信号は、上述と逆の方向を辿って、出力端子に到達する。よって、遅延差T1(λ)=T2(λ)=T(λ)=Ta+Tb(λ)及び回転角Ψが、光信号に付与される。
【0060】
(実施形態4)
実施形態4の偏波モード分散発生装置の構成を図10に示す。実施形態4では、T1(λ)≠T2(λ)であり、第1遅延差付与装置1A及び第2遅延差付与装置1Bは、異なる装置により実現されている。波長分離遅延差付与部のうち、波長分離手段としてVIPAガラス板が利用されており、遅延差付与手段として三次元ミラーが利用されている。
【0061】
光信号は、入力端子及び第1光サーキュレータ3Aを経て、空間光学系に入射し、第1レンズ4Aにおいて平行光線となり、第1偏波分離部12AにおいてTEモード及びTMモードに分離する。
【0062】
TEモードは、4枚の第1ミラー111Aを経由するが、TMモードは、4枚の第1ミラー111Aを経由しない。よって、TEモード及びTMモードの間に、波長に依存しない遅延差T1a/2が付与される。ここで、4枚の第1ミラー111Aの間の距離を調整することにより、TEモード及びTMモードの間の遅延差T1a/2を調整することができる。
【0063】
TEモード及びTMモードは、第1VIPAガラス板114Aにおいて透過し、異なる波長を有する光信号に分離する。ここで、波長の分離の方向は、紙面に垂直な方向である。異なる偏波及び波長を有する光信号は、第1三次元ミラー115Aの異なる位置において反射する。よって、異なる偏波の間に波長に依存する遅延差T1b(λ)が付与される。
【0064】
光信号は、第1波長分離遅延差付与部11A及び第1偏波分離部12Aにおいて、上述と逆の方向を辿って、偏波面回転装置2において、偏波面の回転角Ψを付与され、第2波長分離遅延差付与部11B及び第2偏波分離部12Bにおいて、上述と同じそして逆の方向を辿って、出力端子に到達する。
【0065】
ここで、第2光サーキュレータ3B、第2レンズ4B、第2偏波分離部12B、4枚の第2ミラー111B、第2VIPAガラス板114B及び第2三次元ミラー115Bは、それぞれ第1光サーキュレータ3A、第1レンズ4A、第1偏波分離部12A、4枚の第1ミラー111A、第1VIPAガラス板114A及び第1三次元ミラー115Aに相当する。
【0066】
ただし、4枚の第2ミラー111Bによる遅延差はT2a/2であり、第2三次元ミラー115Bによる遅延差はT2b(λ)である。よって、遅延差T1(λ)=T1a/2+T1b(λ)+T1a/2=T1a+T1b(λ)、遅延差T2(λ)=T2a/2+T2b(λ)+T2a/2=T2a+T2b(λ)及び回転角Ψが、光信号に付与される。
【0067】
(実施形態5)
実施形態5の偏波モード分散発生装置の構成を図11に示す。実施形態5では、T1(λ)=T2(λ)であり、第1遅延差付与装置1A及び第2遅延差付与装置1Bは、同一の装置により実現されている。波長分離遅延差付与部としてFBGが利用されている。ここで、FBGは、可変デバイスではないため、付与する遅延差は、可変値に制御できず、一定値に固定されるが、空間光学系を使用しなくてもよくなる。なお、偏波分離部12は、光導波路を用いたものでもよく、空間光学系を用いたものでもよい。
【0068】
光信号は、入力端子及び光サーキュレータ3を経て、偏波分離部12においてTEモード及びTMモードに分離する。
【0069】
TEモードは、遅延線116、FBG117及び光サーキュレータ118を経由するが、TMモードは、遅延線116、FBG117及び光サーキュレータ118を経由しない。よって、TEモード及びTMモードの間に、波長に依存しない遅延差Ta及び波長に依存する遅延差Tb(λ)が付与される。TEモード及びTMモードは、偏波分離部12において自身を合波し、光サーキュレータ23に到達し、可変ファラデー回転子21において偏波面の回転角Ψを付与される。
【0070】
光信号は、上述と逆の方向を辿って、出力端子に到達する。よって、遅延差T1(λ)=T2(λ)=T(λ)=Ta+Tb(λ)及び回転角Ψが、光信号に付与される。
【0071】
(実施形態6)
実施形態6の偏波モード分散発生装置の構成を図12に示す。実施形態6では、T1(λ)≠T2(λ)であり、第1遅延差付与装置1A及び第2遅延差付与装置1Bは、異なる装置により実現されている。波長分離遅延差付与部としてFBGが利用されている。
【0072】
光信号は、入力端子を経て、第1偏波分離部12AにおいてTEモード及びTMモードに分離する。
【0073】
TEモードは、第1遅延線116A、第1FBG117A及び第1光サーキュレータ118Aを経由するが、TMモードは、第1遅延線116A、第1FBG117A及び第1光サーキュレータ118Aを経由しない。よって、TEモード及びTMモードの間に、波長に依存しない遅延差T1a及び波長に依存する遅延差T1b(λ)が付与される。TEモード及びTMモードは、第1偏波分離部12Aにおいて自身を合波し、偏波面回転装置2において偏波面の回転角Ψを付与される。
【0074】
第2遅延線116B、第2FBG117B及び第2光サーキュレータ118Bは、それぞれ第1遅延線116A、第1FBG117A及び第1光サーキュレータ118Aに相当する。ただし、第2遅延線116Bによる遅延差はT2aであり、第2FBG117Bによる遅延差はT2b(λ)である。よって、遅延差T1(λ)=T1a+T1b(λ)、遅延差T2(λ)=T2a+T2b(λ)及び回転角Ψが、光信号に付与される。
【0075】
(変形例)
実施形態1、2では、波長分離手段として回折格子を利用しており、遅延差付与手段としてLCoSを利用している。実施形態3、4では、波長分離手段としてVIPAガラス板を利用しており、遅延差付与手段として三次元ミラーを利用している。ここで、第1の変形例として、波長分離手段として回折格子を利用してもよく、遅延差付与手段として三次元ミラーを利用してもよい。そして、第2の変形例として、波長分離手段としてVIPAガラス板を利用してもよく、遅延差付与手段としてLCoSを利用してもよい。
【0076】
実施形態1−6では、第1遅延差付与装置1A及び第2遅延差付与装置1Bは、同様な波長分離遅延差付与手段を用いて実現されている。ここで、第3の変形例として、第1遅延差付与装置1A及び第2遅延差付与装置1Bは、異なる波長分離遅延差付与手段を用いて実現されてもよい。実施形態1−6では、遅延差付与装置は2段である。ここで、第4の変形例として、遅延差付与装置は多段でもよく、光サーキュレータを用いて多段連結が可能である。実施形態1−6では、第1遅延差付与装置1A及び第2遅延差付与装置1Bは、偏波分離を行なった後に波長分離を行なっている。ここで、第5の変形例として、第1遅延差付与装置1A及び第2遅延差付与装置1Bは、波長分離を行なった後に偏波分離を行なってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明に係る偏波モード分散発生装置は、偏波モード分散を模擬的に発生させるにあたり、偏波依存性及び波長依存性を含む複雑な偏波モード分散を模擬的に発生できる。
【符号の説明】
【0078】
1A:第1遅延差付与装置
1B:第2遅延差付与装置
2:偏波面回転装置
3:光サーキュレータ
4:レンズ
11:波長分離遅延差付与部
12:偏波分離部
21:可変ファラデー回転子
22:ミラー
23:光サーキュレータ
111:ミラー
112:回折格子
113:LCoS
114:VIPAガラス板
115:三次元ミラー
116:遅延線
117:FBG
118:光サーキュレータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏波モード分散特性を模擬する偏波モード分散発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
データ通信需要の増大に伴い、大容量トラヒックの伝送を可能とする光信号変調技術や光信号多重技術を用いた光伝送ネットワークが普及しつつある。一方で、データ伝送速度の増大に伴い、光ファイバ伝送路が有する偏波モード分散の、光信号波形劣化への影響が懸念される。この影響を分析するに当たり、自然に発生する偏波モード分散を制御する技術は困難であり、偏波モード分散を人工的に発生させる技術が重要である。
【0003】
従来技術の偏波モード分散発生装置の構成を図1に示す(例えば、非特許文献1を参照)。偏波モード分散発生装置は、第1遅延差付与装置1A、偏波面回転装置2及び第2遅延差付与装置1Bから構成される。第1遅延差付与装置1Aは、第1遅延差付与部11A’及び第1偏波分離部12Aから構成される。第2遅延差付与装置1Bは、第2遅延差付与部11B’及び第2偏波分離部12Bから構成される。
【0004】
第1遅延差付与装置1A(例えば、偏波保持ファイバ)は、入力光信号の有する直交偏波の相互間の遅延差を、入力光信号に付与する(遅延差T1)。第1遅延差付与装置1Aにおいて、第1偏波分離部12Aは、入力光信号について、直交する偏波を有する光信号に分離し、第1遅延差付与部11A’は、第1偏波分離部12Aの各出力光信号の相互間で、第1偏波分離部12Aの各出力光信号の有する偏波に対応して遅延差を付与する。
【0005】
偏波面回転装置2(例えば、可変ファラデー回転子)は、第1遅延差付与装置1Aからの出力光信号の有する偏波面を回転させる(回転角Ψ)。
【0006】
第2遅延差付与装置1B(例えば、偏波保持ファイバ)は、偏波面回転装置2からの出力光信号の有する直交偏波の相互間の遅延差を、偏波面回転装置2からの出力光信号に付与する(遅延差T2)。第2遅延差付与装置1Bにおいて、第2偏波分離部12Bは、偏波面回転装置2からの出力光信号について、直交する偏波を有する光信号に分離し、第2遅延差付与部11B’は、第2偏波分離部12Bの各出力光信号の相互間で、第2偏波分離部12Bの各出力光信号の有する偏波に対応して遅延差を付与する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】味村裕、池田和浩、畑野達也、高木武史、輪湖杉生、松浦寛、「PMD補償器およびPMDエミュレータ」、古河電工時報、第112号(平成15年7月)、pp.21−25。
【非特許文献2】磯野秀樹、「分散補償デバイスの現状と展望」、レーザー研究、第30巻第10号(2002年10月)、pp.593−597。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術のDGD及びPCDの波長依存性を図2に示す。DGDは、PMDベクトルの大きさであり、PCDは、PMDベクトルの波長λに対する変化率のうちPMDベクトルと同一の方向の成分である。DGDは、波長に依存せず、PCDは、0である。よって、任意の波長プロファイルを有する偏波モード分散を発生させることができない。しかし、光ファイバ伝送路が有する偏波モード分散は、一般に複雑な波長依存性を示す。
【0009】
そこで、前記課題を解決するために、本発明は、任意の波長プロファイルを有する偏波モード分散を発生させる偏波モード分散発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、光信号の有する直交偏波の相互間の遅延差を、光信号の有する波長に依存するように、光信号に付与することとした。
【0011】
具体的には、本発明は、入力光信号の有する直交偏波の相互間の遅延差を、前記入力光信号の有する波長に依存するように、前記入力光信号に付与する第1遅延差付与装置と、前記第1遅延差付与装置からの出力光信号の有する偏波面を回転させる偏波面回転装置と、前記偏波面回転装置からの出力光信号の有する直交偏波の相互間の遅延差を、前記偏波面回転装置からの出力光信号の有する波長に依存するように、前記偏波面回転装置からの出力光信号に付与する第2遅延差付与装置と、を備えることを特徴とする偏波モード分散発生装置である。
【0012】
この構成によれば、任意の波長プロファイルを有する偏波モード分散を発生させる偏波モード分散発生装置を提供することができる。
【0013】
また、本発明は、光信号の有する波長λ、前記第1遅延差付与装置の付与する遅延差T1(λ)、前記偏波面回転装置の付与する回転角Ψ、前記第2遅延差付与装置の付与する遅延差T2(λ)、PMD(Polarization Mode Dispersion)ベクトルの所望の大きさDGD(Differential Group Delay)、PMDベクトルの波長λに対する変化率のうちPMDベクトルと同一の方向の所望の成分PCD(Polarization−dependent Chromatic Dispersion)、及びPMDベクトルの波長λに対する変化率のうちPMDベクトルと垂直な方向の所望の成分Depol(Depolarization)について、
【数1】
の3式が成立するように、前記第1遅延差付与装置が遅延差T1(λ)を付与し、前記偏波面回転装置が回転角Ψを付与し、前記第2遅延差付与装置が遅延差T2(λ)を付与することを特徴とする偏波モード分散発生装置である。
【0014】
この構成によれば、遅延差T1(λ)、回転角Ψ及び遅延差T2(λ)を制御して、所望の波長プロファイルを有する偏波モード分散を発生させることができる。
【0015】
また、本発明は、前記第1遅延差付与装置は、前記入力光信号について、直交する偏波を有する光信号に分離するとともに、異なる波長を有する光信号に分離する第1偏波波長分離部と、前記第1偏波波長分離部の各出力光信号の相互間で、前記第1偏波波長分離部の各出力光信号の有する偏波及び波長に対応して遅延差を付与する第1遅延差付与部と、を備え、前記第2遅延差付与装置は、前記偏波面回転装置からの出力光信号について、直交する偏波を有する光信号に分離するとともに、異なる波長を有する光信号に分離する第2偏波波長分離部と、前記第2偏波波長分離部の各出力光信号の相互間で、前記第2偏波波長分離部の各出力光信号の有する偏波及び波長に対応して遅延差を付与する第2遅延差付与部と、を備えることを特徴とする偏波モード分散発生装置である。
【0016】
この構成によれば、任意の波長プロファイルを有する偏波モード分散を発生させる偏波モード分散発生装置を提供することができる。
【0017】
また、本発明は、前記第1偏波波長分離部のうちの波長分離部分及び前記第2偏波波長分離部のうちの波長分離部分の少なくともいずれかは、回折格子であることを特徴とする偏波モード分散発生装置である。
【0018】
この構成によれば、回折格子を用いて、波長分離を行なうことができる。
【0019】
また、本発明は、前記第1偏波波長分離部のうちの波長分離部分及び前記第2偏波波長分離部のうちの波長分離部分の少なくともいずれかは、VIPA(Virtual Imaging Phased Array)ガラス板であることを特徴とする偏波モード分散発生装置である。
【0020】
この構成によれば、VIPAガラス板を用いて、波長分離を行なうことができる。
【0021】
また、本発明は、前記第1遅延差付与部及び第2遅延差付与部の少なくともいずれかは、LCoS(Liquid Crystal on Silicon)であることを特徴とする偏波モード分散発生装置である。
【0022】
この構成によれば、LCoSを用いて、遅延差付与を行なうことができる。
【0023】
また、本発明は、前記第1遅延差付与部及び第2遅延差付与部の少なくともいずれかは、三次元ミラーであることを特徴とする偏波モード分散発生装置である。
【0024】
この構成によれば、三次元ミラーを用いて、遅延差付与を行なうことができる。
【0025】
また、本発明は、前記第1偏波波長分離部のうちの波長分離部分及び前記第1遅延差付与部の組み合わせ、並びに前記第2偏波波長分離部のうちの波長分離部分及び前記第2遅延差付与部の組み合わせのうち、少なくともいずれかの組み合わせは、FBG(Fiber Bragg Grating)であることを特徴とする偏波モード分散発生装置である。
【0026】
この構成によれば、FBGを用いて、波長分離及び遅延差付与を行なうことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、任意の波長プロファイルを有する偏波モード分散を発生させる偏波モード分散発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】従来技術の偏波モード分散発生装置の構成を示す図である。
【図2】従来技術のDGD及びPCDの波長依存性を示す図である。
【図3】本発明の偏波モード分散発生装置の構成を示す図である。
【図4】本発明のDGD及びPCDの波長依存性を示す図である。
【図5】本発明の遅延差付与の概略を示す図である。
【図6】本発明の遅延差付与の概略を示す図である。
【図7】実施形態1の偏波モード分散発生装置の構成を示す図である。
【図8】実施形態2の偏波モード分散発生装置の構成を示す図である。
【図9】実施形態3の偏波モード分散発生装置の構成を示す図である。
【図10】実施形態4の偏波モード分散発生装置の構成を示す図である。
【図11】実施形態5の偏波モード分散発生装置の構成を示す図である。
【図12】実施形態6の偏波モード分散発生装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0030】
(本発明の概略)
本発明の偏波モード分散発生装置の構成を図3に示す。偏波モード分散発生装置は、第1遅延差付与装置1A、偏波面回転装置2及び第2遅延差付与装置1Bから構成される。第1遅延差付与装置1Aは、第1波長分離遅延差付与部11A及び第1偏波分離部12Aから構成される。第2遅延差付与装置1Bは、第2波長分離遅延差付与部11B及び第2偏波分離部12Bから構成される。
【0031】
第1遅延差付与装置1Aは、入力光信号の有する直交偏波の相互間の遅延差を、入力光信号の有する波長に依存するように、入力光信号に付与する(遅延差T1(λ))。第1遅延差付与装置1Aにおいて、第1偏波分離部12Aは、入力光信号について、直交する偏波を有する光信号に分離し、第1波長分離遅延差付与部11Aは、第1偏波分離部12Aの各出力光信号について、異なる波長を有する光信号に分離し、波長分離後の各光信号の相互間で、波長分離後の各光信号の有する偏波及び波長に対応して遅延差を付与する。
【0032】
偏波面回転装置2(例えば、可変ファラデー回転子)は、第1遅延差付与装置1Aからの出力光信号の有する偏波面を回転させる(回転角Ψ)。
【0033】
第2遅延差付与装置1Bは、偏波面回転装置2からの出力光信号の有する直交偏波の相互間の遅延差を、偏波面回転装置2からの出力光信号の有する波長に依存するように、偏波面回転装置2からの出力光信号に付与する(遅延差T2(λ))。第2遅延差付与装置1Bにおいて、第2偏波分離部12Bは、偏波面回転装置2からの出力光信号について、直交する偏波を有する光信号に分離し、第2波長分離遅延差付与部11Bは、第2偏波分離部12Bの各出力光信号について、異なる波長を有する光信号に分離し、波長分離後の各光信号の相互間で、波長分離後の各光信号の有する偏波及び波長に対応して遅延差を付与する。
【0034】
本発明のDGD及びPCDの波長依存性を図4に示す。DGDは、PMDベクトルの大きさであり、PCDは、PMDベクトルの波長λに対する変化率のうちPMDベクトルと同一の方向の成分である。DGDは、波長に依存して、PCDも、波長に依存する。よって、任意の波長プロファイルを有する偏波モード分散を発生させることができる。
【0035】
次に、制御パラメータについて説明する。光信号の有する波長をλとする。必要な制御パラメータは、第1遅延差付与装置1Aの付与する遅延差T1(λ)、偏波面回転装置2の付与する回転角Ψ、及び第2遅延差付与装置1Bの付与する遅延差T2(λ)である。所望のPMDパラメータは、PMDベクトルの大きさDGD、PMDベクトルの波長λに対する変化率のうちPMDベクトルと同一の方向の成分PCD、及びPMDベクトルの波長λに対する変化率のうちPMDベクトルと垂直な方向の成分Depolである。
【0036】
必要な制御パラメータ(T1(λ)、Ψ、T2(λ))及び所望のPMDパラメータ(DGD、PCD、Depol)は、数2の関係を満たす。
【数2】
T1(λ)=T2(λ)=T(λ)が成立するとき、数3及び数4が成立する。
【数3】
【数4】
よって、遅延差T1(λ)、回転角Ψ及び遅延差T2(λ)を制御して、所望の波長プロファイルを有する偏波モード分散を発生させることができる。
【0037】
次に、遅延差付与の概略について説明する。本発明の遅延差付与の概略を図5及び図6に示す。ここで、LCoSは、シリコン基板上にセル状に液晶を配置したデバイスであり、各セルに電圧を印加することで、液晶の屈折率を位置に応じて変化させるデバイスである。そして、三次元ミラーは、曲面の曲率を位置に応じて変化させるミラーである。
【0038】
図5は、異なる波長を有する光信号が、LCoS又は三次元ミラーの異なる位置で反射するときに、異なる位相差及び遅延差を付与されることを示す。位相差、遅延差及び波長分散の波長プロファイルは、例えば、図5の下図のようになる。図6は、異なる偏波及び波長を有する光信号が、LCoS又は三次元ミラーの異なる位置で反射するときに、異なる位相差及び遅延差を付与されることを示す。位相差及び遅延差の波長プロファイルは、例えば、図6の上図及び中図のようになり、DGDの波長プロファイルは、例えば、図6の下図のようになる。ここで、TEモードに付与する遅延差の最大値をTeとしており、TMモードに付与する遅延差の最小値をTmとするため、DGDの最大値はTe−Tmとなる。
【0039】
(実施形態1)
実施形態1の偏波モード分散発生装置の構成を図7に示す。実施形態1では、T1(λ)=T2(λ)であり、第1遅延差付与装置1A及び第2遅延差付与装置1Bは、同一の装置により実現されている。波長分離遅延差付与部のうち、波長分離手段として回折格子が利用されており、遅延差付与手段としてLCoSが利用されている。
【0040】
光信号は、入力端子及び光サーキュレータ3を経て、空間光学系に入射し、レンズ4において平行光線となり、偏波分離部12においてTEモード及びTMモードに分離する。
【0041】
TEモードは、4枚のミラー111を経由するが、TMモードは、4枚のミラー111を経由しない。よって、TEモード及びTMモードの間に、波長に依存しない遅延差Taが付与される。ここで、4枚のミラー111の間の距離を調整することにより、TEモード及びTMモードの間の遅延差Taを調整することができる。
【0042】
TEモード及びTMモードは、回折格子112において反射し、異なる波長を有する光信号に分離する。ここで、波長の分離の方向は、紙面に垂直な方向である。異なる偏波及び波長を有する光信号は、LCoS113の異なる位置において反射する。よって、異なる偏波の間に波長に依存する遅延差Tb(λ)が付与される。
【0043】
TEモード及びTMモードは、回折格子112において再度反射し、異なる波長を有する光信号を合波し、偏波分離部12において自身を合波する。
【0044】
光信号は、可変ファラデー回転子21において、偏波面の回転角Ψ/2を付与され、ミラー22において反射し、可変ファラデー回転子21において、再度偏波面の回転角Ψ/2を付与される。よって、光信号に偏波面の回転角Ψが付与される。
【0045】
光信号は、上述と逆の方向を辿って、出力端子に到達する。よって、遅延差T1(λ)=T2(λ)=T(λ)=Ta+Tb(λ)及び回転角Ψが、光信号に付与される。
【0046】
(実施形態2)
実施形態2の偏波モード分散発生装置の構成を図8に示す。実施形態2では、T1(λ)≠T2(λ)であり、第1遅延差付与装置1A及び第2遅延差付与装置1Bは、異なる装置により実現されている。波長分離遅延差付与部のうち、波長分離手段として回折格子が利用されており、遅延差付与手段としてLCoSが利用されている。
【0047】
光信号は、入力端子及び第1光サーキュレータ3Aを経て、空間光学系に入射し、第1レンズ4Aにおいて平行光線となり、第1偏波分離部12AにおいてTEモード及びTMモードに分離する。
【0048】
TEモードは、4枚の第1ミラー111Aを経由するが、TMモードは、4枚の第1ミラー111Aを経由しない。よって、TEモード及びTMモードの間に、波長に依存しない遅延差T1a/2が付与される。ここで、4枚の第1ミラー111Aの間の距離を調整することにより、TEモード及びTMモードの間の遅延差T1a/2を調整することができる。
【0049】
TEモード及びTMモードは、第1回折格子112Aにおいて透過し、異なる波長を有する光信号に分離する。ここで、波長の分離の方向は、紙面に垂直な方向である。異なる偏波及び波長を有する光信号は、第1LCoS113Aの異なる位置において反射する。よって、異なる偏波の間に波長に依存する遅延差T1b(λ)が付与される。
【0050】
光信号は、第1波長分離遅延差付与部11A及び第1偏波分離部12Aにおいて、上述と逆の方向を辿って、偏波面回転装置2において、偏波面の回転角Ψを付与され、第2波長分離遅延差付与部11B及び第2偏波分離部12Bにおいて、上述と同じそして逆の方向を辿って、出力端子に到達する。
【0051】
ここで、第2光サーキュレータ3B、第2レンズ4B、第2偏波分離部12B、4枚の第2ミラー111B、第2回折格子112B及び第2LCoS113Bは、それぞれ第1光サーキュレータ3A、第1レンズ4A、第1偏波分離部12A、4枚の第1ミラー111A、第1回折格子112A及び第1LCoS113Aに相当する。
【0052】
ただし、4枚の第2ミラー111Bによる遅延差はT2a/2であり、第2LCoS113Bによる遅延差はT2b(λ)である。よって、遅延差T1(λ)=T1a/2+T1b(λ)+T1a/2=T1a+T1b(λ)、遅延差T2(λ)=T2a/2+T2b(λ)+T2a/2=T2a+T2b(λ)及び回転角Ψが、光信号に付与される。
【0053】
(実施形態3)
実施形態3の偏波モード分散発生装置の構成を図9に示す。実施形態3では、T1(λ)=T2(λ)であり、第1遅延差付与装置1A及び第2遅延差付与装置1Bは、同一の装置により実現されている。波長分離遅延差付与部のうち、波長分離手段としてVIPAガラス板が利用されており、遅延差付与手段として三次元ミラーが利用されている。ここで、VIPAガラス板は、薄板の両面に反射膜をコーティングし、その多重反射を利用して仮想点光源による高角度分散素子を実現するものである(例えば、非特許文献2を参照)。
【0054】
光信号は、入力端子及び光サーキュレータ3を経て、空間光学系に入射し、レンズ4において平行光線となり、偏波分離部12においてTEモード及びTMモードに分離する。
【0055】
TEモードは、4枚のミラー111を経由するが、TMモードは、4枚のミラー111を経由しない。よって、TEモード及びTMモードの間に、波長に依存しない遅延差Taが付与される。ここで、4枚のミラー111の間の距離を調整することにより、TEモード及びTMモードの間の遅延差Taを調整することができる。
【0056】
TEモード及びTMモードは、VIPAガラス板114において反射し、異なる波長を有する光信号に分離する。ここで、波長の分離の方向は、紙面に垂直な方向である。異なる偏波及び波長を有する光信号は、三次元ミラー115の異なる位置において反射する。よって、異なる偏波の間に波長に依存する遅延差Tb(λ)が付与される。
【0057】
TEモード及びTMモードは、VIPAガラス板114において再度反射し、異なる波長を有する光信号を合波し、偏波分離部12において自身を合波する。
【0058】
光信号は、可変ファラデー回転子21において、偏波面の回転角Ψ/2を付与され、ミラー22において反射し、可変ファラデー回転子21において、再度偏波面の回転角Ψ/2を付与される。よって、光信号に偏波面の回転角Ψが付与される。
【0059】
光信号は、上述と逆の方向を辿って、出力端子に到達する。よって、遅延差T1(λ)=T2(λ)=T(λ)=Ta+Tb(λ)及び回転角Ψが、光信号に付与される。
【0060】
(実施形態4)
実施形態4の偏波モード分散発生装置の構成を図10に示す。実施形態4では、T1(λ)≠T2(λ)であり、第1遅延差付与装置1A及び第2遅延差付与装置1Bは、異なる装置により実現されている。波長分離遅延差付与部のうち、波長分離手段としてVIPAガラス板が利用されており、遅延差付与手段として三次元ミラーが利用されている。
【0061】
光信号は、入力端子及び第1光サーキュレータ3Aを経て、空間光学系に入射し、第1レンズ4Aにおいて平行光線となり、第1偏波分離部12AにおいてTEモード及びTMモードに分離する。
【0062】
TEモードは、4枚の第1ミラー111Aを経由するが、TMモードは、4枚の第1ミラー111Aを経由しない。よって、TEモード及びTMモードの間に、波長に依存しない遅延差T1a/2が付与される。ここで、4枚の第1ミラー111Aの間の距離を調整することにより、TEモード及びTMモードの間の遅延差T1a/2を調整することができる。
【0063】
TEモード及びTMモードは、第1VIPAガラス板114Aにおいて透過し、異なる波長を有する光信号に分離する。ここで、波長の分離の方向は、紙面に垂直な方向である。異なる偏波及び波長を有する光信号は、第1三次元ミラー115Aの異なる位置において反射する。よって、異なる偏波の間に波長に依存する遅延差T1b(λ)が付与される。
【0064】
光信号は、第1波長分離遅延差付与部11A及び第1偏波分離部12Aにおいて、上述と逆の方向を辿って、偏波面回転装置2において、偏波面の回転角Ψを付与され、第2波長分離遅延差付与部11B及び第2偏波分離部12Bにおいて、上述と同じそして逆の方向を辿って、出力端子に到達する。
【0065】
ここで、第2光サーキュレータ3B、第2レンズ4B、第2偏波分離部12B、4枚の第2ミラー111B、第2VIPAガラス板114B及び第2三次元ミラー115Bは、それぞれ第1光サーキュレータ3A、第1レンズ4A、第1偏波分離部12A、4枚の第1ミラー111A、第1VIPAガラス板114A及び第1三次元ミラー115Aに相当する。
【0066】
ただし、4枚の第2ミラー111Bによる遅延差はT2a/2であり、第2三次元ミラー115Bによる遅延差はT2b(λ)である。よって、遅延差T1(λ)=T1a/2+T1b(λ)+T1a/2=T1a+T1b(λ)、遅延差T2(λ)=T2a/2+T2b(λ)+T2a/2=T2a+T2b(λ)及び回転角Ψが、光信号に付与される。
【0067】
(実施形態5)
実施形態5の偏波モード分散発生装置の構成を図11に示す。実施形態5では、T1(λ)=T2(λ)であり、第1遅延差付与装置1A及び第2遅延差付与装置1Bは、同一の装置により実現されている。波長分離遅延差付与部としてFBGが利用されている。ここで、FBGは、可変デバイスではないため、付与する遅延差は、可変値に制御できず、一定値に固定されるが、空間光学系を使用しなくてもよくなる。なお、偏波分離部12は、光導波路を用いたものでもよく、空間光学系を用いたものでもよい。
【0068】
光信号は、入力端子及び光サーキュレータ3を経て、偏波分離部12においてTEモード及びTMモードに分離する。
【0069】
TEモードは、遅延線116、FBG117及び光サーキュレータ118を経由するが、TMモードは、遅延線116、FBG117及び光サーキュレータ118を経由しない。よって、TEモード及びTMモードの間に、波長に依存しない遅延差Ta及び波長に依存する遅延差Tb(λ)が付与される。TEモード及びTMモードは、偏波分離部12において自身を合波し、光サーキュレータ23に到達し、可変ファラデー回転子21において偏波面の回転角Ψを付与される。
【0070】
光信号は、上述と逆の方向を辿って、出力端子に到達する。よって、遅延差T1(λ)=T2(λ)=T(λ)=Ta+Tb(λ)及び回転角Ψが、光信号に付与される。
【0071】
(実施形態6)
実施形態6の偏波モード分散発生装置の構成を図12に示す。実施形態6では、T1(λ)≠T2(λ)であり、第1遅延差付与装置1A及び第2遅延差付与装置1Bは、異なる装置により実現されている。波長分離遅延差付与部としてFBGが利用されている。
【0072】
光信号は、入力端子を経て、第1偏波分離部12AにおいてTEモード及びTMモードに分離する。
【0073】
TEモードは、第1遅延線116A、第1FBG117A及び第1光サーキュレータ118Aを経由するが、TMモードは、第1遅延線116A、第1FBG117A及び第1光サーキュレータ118Aを経由しない。よって、TEモード及びTMモードの間に、波長に依存しない遅延差T1a及び波長に依存する遅延差T1b(λ)が付与される。TEモード及びTMモードは、第1偏波分離部12Aにおいて自身を合波し、偏波面回転装置2において偏波面の回転角Ψを付与される。
【0074】
第2遅延線116B、第2FBG117B及び第2光サーキュレータ118Bは、それぞれ第1遅延線116A、第1FBG117A及び第1光サーキュレータ118Aに相当する。ただし、第2遅延線116Bによる遅延差はT2aであり、第2FBG117Bによる遅延差はT2b(λ)である。よって、遅延差T1(λ)=T1a+T1b(λ)、遅延差T2(λ)=T2a+T2b(λ)及び回転角Ψが、光信号に付与される。
【0075】
(変形例)
実施形態1、2では、波長分離手段として回折格子を利用しており、遅延差付与手段としてLCoSを利用している。実施形態3、4では、波長分離手段としてVIPAガラス板を利用しており、遅延差付与手段として三次元ミラーを利用している。ここで、第1の変形例として、波長分離手段として回折格子を利用してもよく、遅延差付与手段として三次元ミラーを利用してもよい。そして、第2の変形例として、波長分離手段としてVIPAガラス板を利用してもよく、遅延差付与手段としてLCoSを利用してもよい。
【0076】
実施形態1−6では、第1遅延差付与装置1A及び第2遅延差付与装置1Bは、同様な波長分離遅延差付与手段を用いて実現されている。ここで、第3の変形例として、第1遅延差付与装置1A及び第2遅延差付与装置1Bは、異なる波長分離遅延差付与手段を用いて実現されてもよい。実施形態1−6では、遅延差付与装置は2段である。ここで、第4の変形例として、遅延差付与装置は多段でもよく、光サーキュレータを用いて多段連結が可能である。実施形態1−6では、第1遅延差付与装置1A及び第2遅延差付与装置1Bは、偏波分離を行なった後に波長分離を行なっている。ここで、第5の変形例として、第1遅延差付与装置1A及び第2遅延差付与装置1Bは、波長分離を行なった後に偏波分離を行なってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明に係る偏波モード分散発生装置は、偏波モード分散を模擬的に発生させるにあたり、偏波依存性及び波長依存性を含む複雑な偏波モード分散を模擬的に発生できる。
【符号の説明】
【0078】
1A:第1遅延差付与装置
1B:第2遅延差付与装置
2:偏波面回転装置
3:光サーキュレータ
4:レンズ
11:波長分離遅延差付与部
12:偏波分離部
21:可変ファラデー回転子
22:ミラー
23:光サーキュレータ
111:ミラー
112:回折格子
113:LCoS
114:VIPAガラス板
115:三次元ミラー
116:遅延線
117:FBG
118:光サーキュレータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力光信号の有する直交偏波の相互間の遅延差を、前記入力光信号の有する波長に依存するように、前記入力光信号に付与する第1遅延差付与装置と、
前記第1遅延差付与装置からの出力光信号の有する偏波面を回転させる偏波面回転装置と、
前記偏波面回転装置からの出力光信号の有する直交偏波の相互間の遅延差を、前記偏波面回転装置からの出力光信号の有する波長に依存するように、前記偏波面回転装置からの出力光信号に付与する第2遅延差付与装置と、
を備えることを特徴とする偏波モード分散発生装置。
【請求項2】
光信号の有する波長λ、前記第1遅延差付与装置の付与する遅延差T1(λ)、前記偏波面回転装置の付与する回転角Ψ、前記第2遅延差付与装置の付与する遅延差T2(λ)、PMD(Polarization Mode Dispersion)ベクトルの所望の大きさDGD(Differential Group Delay)、PMDベクトルの波長λに対する変化率のうちPMDベクトルと同一の方向の所望の成分PCD(Polarization−dependent Chromatic Dispersion)、及びPMDベクトルの波長λに対する変化率のうちPMDベクトルと垂直な方向の所望の成分Depol(Depolarization)について、
【数5】
の3式が成立するように、前記第1遅延差付与装置が遅延差T1(λ)を付与し、前記偏波面回転装置が回転角Ψを付与し、前記第2遅延差付与装置が遅延差T2(λ)を付与することを特徴とする、請求項1に記載の偏波モード分散発生装置。
【請求項3】
前記第1遅延差付与装置は、
前記入力光信号について、直交する偏波を有する光信号に分離するとともに、異なる波長を有する光信号に分離する第1偏波波長分離部と、
前記第1偏波波長分離部の各出力光信号の相互間で、前記第1偏波波長分離部の各出力光信号の有する偏波及び波長に対応して遅延差を付与する第1遅延差付与部と、を備え、
前記第2遅延差付与装置は、
前記偏波面回転装置からの出力光信号について、直交する偏波を有する光信号に分離するとともに、異なる波長を有する光信号に分離する第2偏波波長分離部と、
前記第2偏波波長分離部の各出力光信号の相互間で、前記第2偏波波長分離部の各出力光信号の有する偏波及び波長に対応して遅延差を付与する第2遅延差付与部と、を備える
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の偏波モード分散発生装置。
【請求項4】
前記第1偏波波長分離部のうちの波長分離部分及び前記第2偏波波長分離部のうちの波長分離部分の少なくともいずれかは、回折格子であることを特徴とする、請求項3に記載の偏波モード分散発生装置。
【請求項5】
前記第1偏波波長分離部のうちの波長分離部分及び前記第2偏波波長分離部のうちの波長分離部分の少なくともいずれかは、VIPA(Virtual Imaging Phased Array)ガラス板であることを特徴とする、請求項3に記載の偏波モード分散発生装置。
【請求項6】
前記第1遅延差付与部及び第2遅延差付与部の少なくともいずれかは、LCoS(Liquid Crystal on Silicon)であることを特徴とする、請求項3に記載の偏波モード分散発生装置。
【請求項7】
前記第1遅延差付与部及び第2遅延差付与部の少なくともいずれかは、三次元ミラーであることを特徴とする、請求項3に記載の偏波モード分散発生装置。
【請求項8】
前記第1偏波波長分離部のうちの波長分離部分及び前記第1遅延差付与部の組み合わせ、並びに前記第2偏波波長分離部のうちの波長分離部分及び前記第2遅延差付与部の組み合わせのうち、少なくともいずれかの組み合わせは、FBG(Fiber Bragg Grating)であることを特徴とする、請求項3に記載の偏波モード分散発生装置。
【請求項1】
入力光信号の有する直交偏波の相互間の遅延差を、前記入力光信号の有する波長に依存するように、前記入力光信号に付与する第1遅延差付与装置と、
前記第1遅延差付与装置からの出力光信号の有する偏波面を回転させる偏波面回転装置と、
前記偏波面回転装置からの出力光信号の有する直交偏波の相互間の遅延差を、前記偏波面回転装置からの出力光信号の有する波長に依存するように、前記偏波面回転装置からの出力光信号に付与する第2遅延差付与装置と、
を備えることを特徴とする偏波モード分散発生装置。
【請求項2】
光信号の有する波長λ、前記第1遅延差付与装置の付与する遅延差T1(λ)、前記偏波面回転装置の付与する回転角Ψ、前記第2遅延差付与装置の付与する遅延差T2(λ)、PMD(Polarization Mode Dispersion)ベクトルの所望の大きさDGD(Differential Group Delay)、PMDベクトルの波長λに対する変化率のうちPMDベクトルと同一の方向の所望の成分PCD(Polarization−dependent Chromatic Dispersion)、及びPMDベクトルの波長λに対する変化率のうちPMDベクトルと垂直な方向の所望の成分Depol(Depolarization)について、
【数5】
の3式が成立するように、前記第1遅延差付与装置が遅延差T1(λ)を付与し、前記偏波面回転装置が回転角Ψを付与し、前記第2遅延差付与装置が遅延差T2(λ)を付与することを特徴とする、請求項1に記載の偏波モード分散発生装置。
【請求項3】
前記第1遅延差付与装置は、
前記入力光信号について、直交する偏波を有する光信号に分離するとともに、異なる波長を有する光信号に分離する第1偏波波長分離部と、
前記第1偏波波長分離部の各出力光信号の相互間で、前記第1偏波波長分離部の各出力光信号の有する偏波及び波長に対応して遅延差を付与する第1遅延差付与部と、を備え、
前記第2遅延差付与装置は、
前記偏波面回転装置からの出力光信号について、直交する偏波を有する光信号に分離するとともに、異なる波長を有する光信号に分離する第2偏波波長分離部と、
前記第2偏波波長分離部の各出力光信号の相互間で、前記第2偏波波長分離部の各出力光信号の有する偏波及び波長に対応して遅延差を付与する第2遅延差付与部と、を備える
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の偏波モード分散発生装置。
【請求項4】
前記第1偏波波長分離部のうちの波長分離部分及び前記第2偏波波長分離部のうちの波長分離部分の少なくともいずれかは、回折格子であることを特徴とする、請求項3に記載の偏波モード分散発生装置。
【請求項5】
前記第1偏波波長分離部のうちの波長分離部分及び前記第2偏波波長分離部のうちの波長分離部分の少なくともいずれかは、VIPA(Virtual Imaging Phased Array)ガラス板であることを特徴とする、請求項3に記載の偏波モード分散発生装置。
【請求項6】
前記第1遅延差付与部及び第2遅延差付与部の少なくともいずれかは、LCoS(Liquid Crystal on Silicon)であることを特徴とする、請求項3に記載の偏波モード分散発生装置。
【請求項7】
前記第1遅延差付与部及び第2遅延差付与部の少なくともいずれかは、三次元ミラーであることを特徴とする、請求項3に記載の偏波モード分散発生装置。
【請求項8】
前記第1偏波波長分離部のうちの波長分離部分及び前記第1遅延差付与部の組み合わせ、並びに前記第2偏波波長分離部のうちの波長分離部分及び前記第2遅延差付与部の組み合わせのうち、少なくともいずれかの組み合わせは、FBG(Fiber Bragg Grating)であることを特徴とする、請求項3に記載の偏波モード分散発生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−68670(P2013−68670A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205204(P2011−205204)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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