説明

健康データ収集装置

【課題】 簡易なユーザーインターフェースを維持しつつ、より質の高い健康管理が行える健康データ収集装置を提供すること。
【解決手段】 健康データ収集装置の医者端末1は、設問データに対してマイク16で入力した医者の音声等である音声データやCCDカメラ17で入力した医者の画像等である画像データを付加して通信ネットワーク4上のセンターサーバー3に送信して記憶させる。患者端末1は設問データとそれに付加された音声データや画像データダウンロードし、液晶表示器18等で患者に報知する。患者端末2は、設問データに対する回答データに患者の音声データや画像データを付加し、センターサーバー3に送信して記憶させる。医師端末は、回答データとそれに付加された音声データや画像データをダウンロードし、液晶ディスプレー等33で再生する。医師側からの情報量が増え、詳細な問診設問の設定と、設問に対する患者の誤解減少を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は在宅の患者等の健康管理対象者の健康情報を医師等の健康管理提供者が遠隔的に収集し、その健康状態の把握するために利用する健康データ収集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような健康データ収集装置には通信ネットワークにより接続することにより健康管理提供者と健康管理対象者がそれぞれ遠隔地に存在する場合の健康管理を実現するものがあった(特許文献1参照)。
【0003】
図10は前記特許文献1に記載された健康データ収集装置である。この健康データ収集装置は、大別すると健康管理対象者である患者側に設置される患者端末101、患者端末101により収集されたデータを蓄積するための蓄積手段であるデータベースサーバー111を備えたセンターサーバー103、及びセンターサーバー103に蓄積されたデータ健康管理提供者である医師等が参照するための医師端末102を備える。患者端末101、医者端末102、及びセンターサーバー103は、通信ネットワーク104により接続されている。患者端末101は、体温計や血圧計等の患者の生体データを収集するための測定手段としてのバイタルセンサ105、バイタルセンサ105で収集されたデータを記憶する記憶手段、患者が操作するための操作手段、記憶手段で記憶したデータを通信ネットワーク104によりセンターサーバー103に伝送するための通信手段を備えた通信制御装置106を備えている。また、センターサーバー103は、データベースサーバ111に加え、アプリケーションサーバー110を備える。さらに、医師端末102は、センターサーバー103と通信を行う通信手段108と医師がデータを参照するために表示を行う出力手段とを備えている。
【0004】
図11に患者端末101の一例の外観図を示す。患者端末101は、患者に対し表示を行うための液晶表示器118と、液晶表示器118の前面に配置された患者が操作をするための操作部としてのタッチパネル115とを備え、測定手段であるバイタルセンサ105の一例である体温計113が接続されている。
【0005】
図12に患者端末101の液晶表示器118に表示される操作メニューのイメージ図を示す。この患者端末101では前述した体温計113等のバイタルセンサ105を用いて生体情報を収集する測定以外にも種々の機能が使用できるようになっている。中でも生体情報を収集することに次いで健康管理に役立つ機能として、問診機能がある。図12に示すメインメニュー中において問診キー109が表示されている画面に触れると、タッチパネル115により操作が受け付けられて問診機能が動作する。図13に問診機能が動作しているときの画面の一例を示す。医師が予め設定した設問150が表示されており、それに対する回答の選択肢151〜153が表示されている。画面の設問150に対する回答の選択肢151〜153のいずれか、たとえば「2.あまり眠れなかった」という内容の選択肢152に患者が触れれば、その回答が患者端末101に受け付けられる。受け付けられた回答は、患者端末101の通信制御装置108により通信ネットワーク104を経由して送信され、センターサーバー103内のデータベースサーバー111に蓄えられる。
【0006】
医師はデータベースサーバー111に蓄えられた問診データを医師端末102により通信ネットワーク104を経由して引き出して閲覧することにより、患者の状態を把握することができる。図14に医師端末2側で問診回答を表示している状態の画面を示す。左欄に問診の設問番号154が表示されており、右欄にその患者が回答した内容155が表示されている。医師はこの画面をみるとたとえば設問「Q1」についての回答が「2」であったことが分かり、患者があまりよく眠れていないことが分かる。このように、従来の健康データ収集装置は医師と患者に物理的距離がある場合でも問診機能を用いて患者の健康状態を医師が把握でき、遠隔地でも健康管理ができる環境を提供することができる。
【0007】
しかしながら、前記従来の健康データ収集装置では設問に用いるデータとして文字情報を用いているため、次の問題点がある。
【0008】
問診機能において、医師は図13に示すように予め設定した設問150を用意している。設問150は文字情報を用いている。多くの場合、画面に表示される文字数が非常に多くなると読むのが煩雑になるため、設問150は極力簡潔な文章で記載されている。また、健康管理対象者は高齢者である場合が多く、画面上に表示される文字を大きくしなければならないため、文章はさらに短くしなければならない。しかしながら、高齢者は電子メール等の文字情報だけを用いたコミュニケーションに慣れていないため、表情、声の調子等の欠落した状態の文字情報だけの簡潔な質問では医師側の設問意図等が十分に伝わらず、質問内容の誤解等が発生し、その結果として回答の信憑性に影響を与えてしまう可能性もある。
【0009】
また、医師側が体の一部を指し示してその部位の状態を確認したい場合等においては、文字情報では、例えば「腕の付け根の内側の腋から5cmくらいのところにしこりはありませんか?」等と表現するが、患者が過去にそのような部位に触れたことがない場合等はその部位を特定するのは相当困難で、異なった部位の状態を確認して回答してしまう等の事態が起こりうる。医師側はそのような事態を避けるために、簡単に理解できる答えやすい簡単な質問しか行わなくなってしまうので、効果的な問診ができなくなってしまう。
【0010】
さらに、文字情報だけでは医師の表情、声の調子等が伝わらないので問診に回答することが無味乾燥な行為となってしまい、患者側の答える意欲が減退してしまいがちである。
【0011】
【特許文献1】特開2002−83066号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は、高齢者でも扱いやすいユーザーインターフェースを維持しながら、健康管理提供者側から詳細な情報発信を可能とすることにより遠隔地での健康管理をより簡単にし、さらに、患者と医師の間のコミュニケーションを円滑にしてより健康管理の質を高めることができる健康データ収集装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、本発明の健康データ収集装置は、健康管理提供者が問診の設問データを設定する設問設定手段と、前記設問データに対して音声データ又は画像データの少なくともいずれか一方を付加するデータ付加手段と、前記音声データ又は画像データが付加された前記設問データを送信する提供者側送信手段と、前記提供者側送信手段から送信された前記設問データを健康管理対象者側で受信する対象者側受信手段と、前記対象者側受信手段で受信した前記設問データを健康管理対象者に報知する設問報知手段と、報知された設問に対し健康管理対象者が回答データを設定する回答設定手段と、前記回答データを送信する対象者側送信手段と、前記対象者側送信手段からの前記回答データを健康管理提供者側で受信する提供者側受信手段と、前記提供者側受信手段で受信した前記回答データを健康管理提供者に報知する回答報知手段とを備える。
【0014】
これによって健康管理提供者が設定する設問データに音声又は画像による情報を加えることができるため、健康管理提供者側からの情報量が増え、より詳細な問診設問を設定できる。健康管理対象者は、音声又は画像データが付加されて情報量が増加した設問データに基づいて健康管理提供者側の設問意図をよりよく理解して設問に対して正確な回答を行うことができ、健康管理対象者の設問に対する誤解による回答ミス等は大幅に減少する。また、文字情報である設問データは簡潔な内容とすることができるので、高齢者等の文字によるコミニュケーションに不慣れな健康管理対象者が長い文章を読むことを強いられない。また、健康管理提供者は設問意図がよりよく理解され正確な問診回答に基づいて、診断を行うことができる。従って、健康管理対象者側のユーザーインターフェースは簡易なものに維持しつつ、遠隔地での健康管理の質を高めることができる。
【0015】
健康データ収集装置は、健康管理提供者の音声が入力され、入力された音声を音声データに変換する音声データ入力手段をさらに備え、前記データ付加手段は、前記健康管理提供者により入力された音声から前記音声データ入力手段が生成した前記音声データを前記設問データに付加する。健康管理提供者が直接音声を入力し、それを設問データに付加できるので、健康管理提供者の判断によりその意向に沿った音声による情報付加することができ、健康管理対象者に設問意図をより明確に伝えることができるため、問診の回答をより確実にすることができる。
【0016】
健康データ収集装置は、健康管理提供者により実画像が入力され、入力された実画像を画像データに変換する画像データ入力手段をさらに備え、前記データ付加手段は、前記健康管理提供者により入力された実画像から前記画像データ入力手段が生成した前記画像データを前記設問データに付加する。健康管理提供者が直接画像を入力し、それを設問データに付加できるので、健康管理提供者の判断によりその意向に沿った画像による情報付加することができ、健康管理対象者に設問意図をより明確に伝えることができるため、問診の回答をより確実にすることができる。
【0017】
健康データ収集装置は、前記音声データ又は画像データを予め複数記憶する記憶手段を備え、前記データ付加手段は、前記記憶手段に記憶された前記音声データ又は画像データのうち入力手段により選択されたものを前記設定データに付加する。健康管理提供者は、予め用意した複数の音声データ又は画像データの中から健康管理提供者が必要なものを判断して設問に付加することができるので、多数の健康管理対象者を抱えている場合でも、一定の決まったパターンの音声データ又は画像データを予め用意しておき、それを選択的に使用することで、設問に対し効率的に音声データ又は画像データを付加することができ、健康管理提供者にかかる負担を低減することができる。
【0018】
前記データ付加手段により前記設問データに付加される前記画像データが動画データであれば、健康管理提供者の身振りや表情の動き等がよりわかりやすく伝えられるので健康管理提供者の意図を明確に健康管理対象者に伝えることができ、確実な問診を行うことができる。
【0019】
健康データ収集装置は、前記回答設定手段で設定された回答データに音声データ又は画像データの少なくともいずれか一方を付加する対象者側データ付加手段をさらに備えてもよい。健康管理対象者の回答に対して音声データ又は画像データを付加できるので、健康管理対象者からの回答に対する情報量を増やすことができ、健康管理対象者からより細かい状況を伝達することができるので、健康管理対象者が健康管理提供者とが遠隔地にいても充実した問診を行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の健康データ収集装置によれば、健康データ収集装置の問診機能の設問データに音声又は画像による情報を付加することにより、従来から使用されている文字による問診データに比べて格段に多くの情報量で設問あるいは回答をすることができるので、健康管理提供者側では質問意図をより正確に伝えられたり、文字情報だけでは設問にしにくい内容まで設問とすることができるほか、健康管理対象者側では文字だけでは理解しにくい内容でも理解しやすくなるためストレスが少なくスムースに問診機能を使用することができる。さらに文字情報だけでは伝えられない医師や看護士の表情や声の調子等の情報も同時に伝わるため患者は安心感を得ることができるため、精神的な安定をも与えることができる。このように医師側、患者側双方のコミュニケーションが円滑に行え、信頼関係をより密にすることができる等、遠隔での健康管理の質を格段に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の健康データ収集装置を実施例に基づいて説明する。図1に本発明の実施形態に係る健康データ収集装置のブロック図を示す。この健康データ収集装置は、大別すると健康管理対象者である患者側に設置される患者端末1、患者端末1により収集されたデータを蓄積するための蓄積手段であるデータベースサーバー1を備えたセンターサーバー3、及びセンターサーバー3に蓄積されたデータを健康管理提供者である医師等が参照するための医師端末2を備える。患者端末1、センターサーバー3、及び医師端末2は、通信ネットワーク4により互いに接続されている。
【0022】
医師端末2は、キーボード30を入力装置として用いる設問設定手段35、音声データ入力手段としてのマイク31と音声入力回路36、画像データ入力手段としてのCCDカメラ32と画像入力回路37、音声入力回路36からの音声信号と画像入力回路37からの画像データを記憶する記憶手段としてのハードディスク40、及びハードディスク40で記憶した音声データや画像データを設問設定手段35で設定した設問データに付加するデータ付加手段41を備える。キーボード30は、医師等が後述する送信命令及び受信命令を含む種々の命令を医師端末2に入力する入力手段としても機能する。設問設定手段35とデータ付加手段41の機能は、CPU45により実現される。後に詳述するように、データ付加手段41は、キーボード30から入力される設問者の医師等の選択に応じて、ハードディスク40に記憶された音声データや画像データのうち当該選択されたデータを設問データに付加する。また、医師端末2は、音声データ及び画像データが付加された設問データを通信ネットワーク4を通じて送信する提供者側送信手段42としてのADSLモデム44を備える。このADSLモデム44は、提供者側受信手段43としても機能し、健康管理対象者である患者からの設問に対する回答データを通信ネットワーク4から受信する。さらに、医師端末2は、受信した回答データを医師等に報知するための回答報知手段として、画像出力回路38を通じて文字情報を表示する液晶ディスプレー33と、音声出力回路39を通じて音声情報を出力するスピーカー34を備える。
【0023】
一方、患者端末1は、対象者側受信手段27として医師端末2により設定された設問データを通信ネットワーク4を通じて受信するADSLモデム28を備える。このADSLモデム28は、対象者側送信手段26としても機能し、設問に対する患者からの回答データを通信ネットワーク4を通じて送信する。また、患者端末1は、ADSLモデム28により受信した設問データを患者に報知するための設問報知手段として、画像出力回路23を通じて文字情報を表示する液晶表示器18と、音声出力回路24を通じて音声情報を出力するスピーカー19を備える。さらに、患者端末1は、報知された設問データに対する患者からの回答を設定するためのタッチパネル15を入力手段とする回答設定手段20、患者が音声を入力する音声入力手段としてのマイク16及び音声入力回路21、並びに患者が画像を入力する画像入力手段としてのCCDカメラ17及び画像入力回路22を備える。タッチパネル15は、患者が後述する送信命令及び受信命令を含む種々の命令を患者端末2に入力する入力手段としても機能する。さらにまた、患者端末1は、回答設定手段20で設定された回答データに音声データと画像データを付加するデータ付加手段25を備える。回答設定手段20及びデータ付加手段25の機能はCPU29により実現される。
【0024】
センターサーバー3は、通信制御手段10とデータベースサーバー11を備える。通信制御手段10は、通信ネットワーク4を介して患者端末1及び医師端末2との間でデータの送受信を行う。詳細には、通信制御手段10は医師端末2から設問データを受信し、医師端末2に対して回答データを送信する。また、通信制御手段10は患者端末1に対して設問データを送信し、患者端末1から回答データを受信する。データベースサーバー11は、医師端末2から受信した設問データと患者端末から受信した回答データを記憶する。
【0025】
本実施形態の健康データ収集装置は、患者端末1と医師端末2がデータ付加手段25,41を備え、問診の設問データや問診に対する回答データに音声データや画像データを付加できるようにした点で従来の健康収集データ装置と大きく異なる。
【0026】
以下、図2から図5のフローチャートと図6から図9の画面の例を参照しつつ、本実施形態の健康データ収集装置の動作を説明する。
【0027】
図2は、医師端末2で実行される処理を示す。図6は医師端末1の液晶ディスプレー33で表示される初期画面の一例を示す。この初期画面には、3つの選択肢、すなわち設問設定51A、閲覧51B、終了51Cを含み、キーボード30の操作でこれらの選択肢のいずれかを選択することができる。図2のステップS2−1で設問51Aを選択すると、ステップS2−2の設問設定処理が実行される。また、ステップS2−3で閲覧51Bを選択すると、ステップS2−4の回答閲覧処理が実行される。ステップS2−5で終了が選択されるまで、ステップS2−1〜S2−4の処理が繰り返される。
【0028】
図3は、設問設定処理(図2のステップS2−2)の詳細を示し、関連するセンターサーバー3の処理も併せて示している。まず、ステップS3−1において、問診の設問を設定するための設問設定編集画面が表示される。図7は設問設定編集画面の一例を示し、入力項目に関するメニュー60(選択項目61A〜61Eを含む。)、設問表示欄62、及び回答選択肢63A〜63Cの表示領域64を備える。ステップS3−2においてメニュー60からキーボード30で設問入力61Aを選択すると、ステップS3−3において設問表示欄62にキーボード30で文字情報を入力することができる。この例では「腕を回すと痛みは感じませんか」と設問表示欄62入力されている。
【0029】
図7の例では、回答選択肢63A〜63Cとして「1.痛くない」、「2.少し痛い」、及び「3.かなり痛い」が設定されている。図3のステップS3−3において回答選択肢編集61Eを選択すると、これらの回答選択肢63A〜63Cの変更、削除、追加等の編集をキーボード30の操作で実行することができる。ステップS3−2〜S3−4の処理により、医師端末2の内部では、設問設定手段35によって設問データが生成される。
【0030】
続いて、ステップS3−5においてメニュー60から動画入力61Dを選択すると、ステップS3−6において動画が音声と共に入力できる状態となる。例えば、医師はマイク31に向かいながら「こんにちは、○○さん。問診をはじめます。まず、右手の状態を確認したいと思います。腕を伸ばして大きな円を描くように回すと、痛みを感じませんか?痛みの程度を教えてください。」と話しかける口調で語りながら、CCDカメラ32の前で手本を見せるように腕を回してみせる動作を行う。このとき音声はマイク31から音声入力回路36に入力されて音声データに変換され、動画像はCCDカメラ32から画像入力回路37に入力されて動画像データに変換される。音声データと動画像データはいったん記憶手段としてのハードディスク40に記憶される。ステップS3−7においてメニュー60から静止画入力61Bを選択すると、ステップS3−8において静止画を入力できる状態となり、CCDカメラ32で撮影された静止画が画像入力回路37で静止画データに変換され、ハードディスク40に記憶される。また、ステップS3−9においメニュー60から音声入力61Cを選択すると、ステップS3−10において音声データを入力できる状態となり、音声はマイク31から音声入力回路36に入力され、音声データに変換後ハーディスク40に記憶される。ステップS3−11において、メニュー60から終了61Fが選択されるまで、ステップS3−2〜S3−10の処理が繰り返される。
【0031】
ハードディスク40には、前述のように画像データ(動画像データと静止画データがある。)と音声データが記憶されている。以下、これらのデータを必要に応じて補助データと総称する。
【0032】
ステップS3−12において、該当する補助データを選択すると、ステップS3−13においてCPU45内のデータ付加手段41により設問設定手段35で生成された設問データに選択された補助データが付加される。設問データに付加する補助データは、設問の設定時に入力した動画像データ、静止画データ、又は音声データであってもよいが、設問の設定前に既に入力済みでハードディスク40に記憶されている複数の音声データや画像データから選択してもよい。一定の決まったパターンの複数の音声データや画像データを予めハードディスク40に記憶させておき、その中から医師が必要なものを判断して設問データに付加することで、多数の患者を抱えている場合でも、設問データに対して効率的に補助データを付加することができ、医師にかかる負担を低減することができる。
【0033】
前述の例では、設問データは「腕を回すと痛みは感じませんか」という文字データであり、この文字データに音声データとして「こんにちは、○○さん。問診をはじめます。まず、右手の状態を確認したいと思います。腕を伸ばして大きな円を描くように回すと、痛みを感じませんか?痛みの程度を教えてください。」というメッセージが付加され、さらに医師が手本をみせるように腕を回す動画データが付加される。
【0034】
ステップS3−15において設問データの送信命令が医師端末2に入力されると、ステップS3−16において、設問データと、それに付加された補助データがADSLモデム44により通信ネットワーク4を介してセンターサーバー3に送信される。ステップS3−17において、センターサーバー3は通信制御手段10により医師端末2から送信された設問データ及び補助データを受信する。ステップS3−18において、データベースサーバー3は受信した設問データ及び補助データをデータベースサーバー11に記憶する。
【0035】
次に、図4を参照して患者端末1で実行される処理を説明する。ステップS4−1においてタッチパネル15により受信命令が入力されると、ステップS4−2において患者端末1がADSLモデム28により通信ネットワーク4を介してセンターサーバー3に対して設問データ及びそれに付加された補助データの送信要求を送信する。ステップS4−3において、センターサーバー3は通信制御手段10で送信要求を受信する。ステップS4−4においてセンターサーバー3はデータベースサーバー11に記憶された設問データとそれに付加された補助データを通信制御手段10により通信ネットワーク4を介して患者端末1に送信する。ステップS4−5において、患者端末1は対象者側受信手段27によりセンターサーバー3からの設問データ及び補助データを通信ネットワークを介して受信する。ステップS4−6において、患者端末1では設問データの文字データ及び補助データに含まれる画像データが画像出力回路23により液晶表示器18の回答作成画面中に表示される。また、補助データに含まれる音声データは、音声出力回路24を経てスピーカー19から出力される。図8は回答作成画面の一例を示し、設問の文字情報65、回答の選択肢66A〜66C、及び医師の動画像67を含む。回答作成画面の表示と同時にスピーカー19からは医師のメッセージである「こんにちは、○○さん。問診をはじめます。まず、右手の状態を確認したいと思います。腕を伸ばして大きな円を描くように回すと、痛みを感じませんか?痛みの程度を教えてください。」という音声が流れる。患者はその内容を確認した上で医師の動画像67と同じ動作を行ってみて自分の体調を確認し、問診に回答することができる。
【0036】
ステップS4−7において、タッチパネル15の操作により回答の選択肢66A〜66Cのうちいずれかを選択すると、ステップS4−8において選択された選択肢66A〜66Cが患者端末1に入力され、回答設定手段20が問診に対する回答データを作成する。例えば、図8の「かなり痛い」という選択肢66Cを選択すると、それに対応する回答データが生成される。このとき、ステップS4−9において動画入力を選択すると、ステップS4−10において医師端末2の場合と同じように動画が入力できるようになる。例えば、患者はCCDカメラ17とマイク16に向かい、「この部分が、しびれるように痛いですが、先日よりだいぶ楽になっています。」と話しながら具体的にその部位を指し示す動作を行う。マイク16からの音声は音声入力回路21を経て入力され、CCDカメラ17からの画像は動画として画像入力回路22から入力される。ステップS4−11で静止画入力を選択すれば、ステップS4−12でCCDカメラ17及び画像入力回路22による静止画の入力が可能となる。また、ステップS4−13で音声入力を選択すれば、ステップS4−14でマイク16及び音声入力回路21による音声の入力が可能となる。ステップS4−15において終了が選択されるまで、ステップS4−7〜S4−14の処理が繰り返される。動画入力選択(ステップS4−9)、静止画入力選択(ステップS4−11)、音声入力選択(ステップS4−13)、及び終了の選択(ステップS4−15)は、例えば液晶表示器18で表示された画面上のアイコンをタッチパネル15で選択することで実行することができる。
【0037】
続いて、ステップS4−16において、データ付加手段25が回答設定手段20により生成された回答データに対して入力された音声データと画像データを付加する。ステップS4−17においてタッチパネル15の操作等により送信命令が入力されると、患者端末2はADSLモデム28により通信ネットワーク4を介して回答データとそれに付加された補助データをセンターサーバー3に送信する。ステップS4−19において、センターサーバー3は通信制御手段10により患者端末1からの回答データ及び補助データを受信する。また、ステップS4−20において、センターサーバー3は受信した回答データ及び補助データをデータベースサーバー11に蓄積する。
【0038】
図5は、医師端末2で実行される回答閲覧処理(図2のステップS2−4)の詳細を示す。ステップS5−1においてキーボード30等により医師端末2に受信命令が入力されると、ステップS5−2において医者端末2は回答データ及びそれに付加されている補助データの送信要求をADSLモデム44により通信ネットワーク4を介してセンターサーバー3に送信する。ステップS5−3において通信制御手段10により送信要求を受信したセンターサーバー3は、ステップS5−4においてデータベースサーバー11に記憶されている回答データ(当該回答データに対応する設問データを含む)及びそれに付加されている補助データを通信制御手段10により通信ネットワーク4を介して医師端末2に送信する。ステップS5−5において、医師端末2は提供者側受信手段43によりセンターサーバー3から回答データ及び補助データを通信ネットワーク4を介して受信する。ステップS5−6において、医師端末2では回答データの文字データ及び補助データに含まれる画像データが画像出力回路33により液晶ディスプレー33の回答閲覧画面中に表示される。また、補助データに含まれる音声データは、音声出力回路39を経てスピーカー34から出力される。
【0039】
図9は回答閲覧画面の一例を示し、設問の文字情報75とそれに対する回答の文字情報76を含み、さらに患者の動画像66を含む。回答閲覧画面には回答データである「かなり痛い」という文字情報75と患者が腕を回して痛いところを指し示している動画76が表示され、それと同時に「この部分が、しびれるように痛いですが、先日よりだいぶ楽になっています。」という患者の音声がスピーカー34から出力される。医師は、回答の文字情報75だけではなく、動画と音声を参考にして患者の状態を判断することができる。
【0040】
本実施形態の健康データ収集装置は、問診の設問データに音声データや画像データを補助データとして付加するようにしたので、問診の設問の情報量が格段に増加する。患者は豊富な情報を基にして的確に設問を理解し、確実な回答をすることができる。また、文字情報である設問データは簡潔な内容とすることができるので、高齢者等の文字によるコミニュケーションに不慣れな患者が長い文章を読むことを強いられない。一方、患者が確実な回答をすることで、医師は本当に得たい患者の状態に関する情報を的確に得ることができ、より適切な判断を下すことができる。
【0041】
従来の問診機能で前述の例の問診を行うと、「腕を回すと痛みは感じませんか」の設問に対して「かなり痛い」という回答しか帰ってこない。患者は腕を曲げたまま回してしまっていてもわからないし小さく回してしまうかもしれない。しかし、本実施形態によれば、医師が画像によって腕の回し方を音声を交えてジェスチャーで教えているので、患者はそれを見ながら真似するだけで医師が考えたとおりに腕をまわしてくれ、さらに、それに対する回答も「しびれるように痛い」という情報と「先日よりもだいぶ楽」という情報が増えている。「かなり痛い」だけなら痛み止めの処置をする必要があるように思えるが、回復の兆しがあるのでもう少し様子をみる等といった判断も可能となる。また、医師が自らジェスチャーで腕を回している姿を見せながら、語りかけるような音声が流れてくるため、文字情報だけの問診にくらべてより実際の受診状態に近づき、患者は安心感を得ることができる。このように問診に対する情報量が格段に増えることで、医師側、患者側双方のコミュニケーションが円滑に行え、信頼関係をより密にすることができる等、遠隔での健康管理の質を格段に向上させることができる。
【0042】
なお、本実施形態においては医師端末と患者端末がネットワーク上に設置されたサーバーを介してデータを授受しているが、医師端末と患者端末がそれぞれデータを授受できる状態であればサーバーを介さずにデータ授受を行うピアツーピア方式であってもよく、場合によってはネットワークを介さずに直接データを送受信できる構成でも本発明を実現できる。
【0043】
また、設問データには設問番号と選択肢だけを設定し、文字による設問のメッセージを入力しない状態で音声データもしくは画像データ自身を設問のように使用する方法も考えられ、必ずしも文字による設問メッセージが存在することは必須ではない。これは回答データについても同じ考え方ができ、必ずしも選択肢データが必要ではなく、患者の音声や画像データを回答として使用することもできる。
【0044】
さらに、本実施形態では音声データとして医師や患者の肉声を用いたが、音声データの種類は特に限定されない、例えば、音声データは、聴診音等の例や各種医療機器の動作状態を示す音でもよい。また、医師からの設問データは肉声に限定されず、音声合成により発声した音声であってもよい。さらに、患者をリラックスさせるための音楽を付加してもよい。
【0045】
本実施形態では、画像データとしてカメラで撮影した実画像を用いたが、静止画はイラスト等でもよいし、動画としてアニメーション等を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態にかかる健康データ収集装置のブロック図
【図2】医師端末で実行される処理を示すフローチャート。
【図3】図2のステップS2−2の詳細を示すフローチャート。
【図4】患者端末で実行される処理を示すフローチャート。
【図5】図2のステップS2−4の詳細を示すフローチャート。
【図6】医師端末で表示される初期画面の一例を示す図。
【図7】医師端末で表示される設問設定編集画面の一例を示す図。
【図8】患者端末で表示される回答作成画面の一例を示す図。
【図9】医師端末で表示される回答閲覧画面の一例を示す図。
【図10】従来の健康データ収集装置のブロック図。
【図11】従来の健康データ収集装置の外観図。
【図12】従来の健康データ収集装置の患者端末のメニュー画面の一例を示す図。
【図13】従来の健康データ収集装置の問診機能動作時の患者端末の画面の一例を示す図。
【図14】従来の健康データ収集装置の医師端末の画面の一例を示す図。
【符号の説明】
【0047】
1 患者端末
2 医師端末
3 センターサーバー
4 通信ネットワーク
11 データベースサーバー
15 タッチパネル
16,31 マイク
17,32 CCDカメラ
18 液晶表示器
19,34 スピーカー
20 回答設定手段
21,36 音声入力回路
22,37 画像入力回路
23,38 画像出力回路
24,39 音声出力回路
25,41 データ付加手段
28,44 ADSLモデム
30 キーボード
33 液晶ディスプレー
35 設問設定手段
40 ハードディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
健康管理提供者が問診の設問データを設定する設問設定手段と、
前記設問データに対して音声データ又は画像データの少なくともいずれか一方を付加するデータ付加手段と、
前記音声データ又は画像データが付加された前記設問データを送信する提供者側送信手段と、
前記提供者側送信手段から送信された前記設問データを健康管理対象者側で受信する対象者側受信手段と、
前記対象者側受信手段で受信した前記設問データを健康管理対象者に報知する設問報知手段と、
報知された設問に対し健康管理対象者が回答データを設定する回答設定手段と、
前記回答データを送信する対象者側送信手段と、
前記対象者側送信手段からの前記回答データを健康管理提供者側で受信する提供者側受信手段と、
前記提供者側受信手段で受信した前記回答データを健康管理提供者に報知する回答報知手段と
を備えた健康データ収集装置。
【請求項2】
健康管理提供者の音声が入力され、入力された音声を音声データに変換する音声データ入力手段をさらに備え、
前記データ付加手段は、前記健康管理提供者により入力された音声から前記音声データ入力手段が生成した前記音声データを前記設問データに付加する請求項1記載の健康データ収集装置。
【請求項3】
健康管理提供者により実画像が入力され、入力された実画像を画像データに変換する画像データ入力手段をさらに備え、
前記データ付加手段は、前記健康管理提供者により入力された実画像から前記画像データ入力手段が生成した前記画像データを前記設問データに付加する請求項1又は請求項2に記載の健康データ収集装置。
【請求項4】
前記音声データ又は画像データを予め複数記憶する記憶手段を備え、
前記データ付加手段は、前記記憶手段に記憶された前記音声データ又は画像データのうち入力手段により選択されたものを前記設定データに付加する請求項1記載の健康データ収集装置。
【請求項5】
前記データ付加手段により前記設問データに付加される前記画像データは動画データである、請求項1から請求項4のいずれかに記載の健康データ収集装置。
【請求項6】
前記回答設定手段で設定された回答データに音声データ又は画像データの少なくともいずれか一方を付加する対象者側データ付加手段をさらに備える請求項1から請求項5のいずれかに記載の健康データ収集装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−155462(P2006−155462A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−348305(P2004−348305)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】