説明

健康リスク値の決定及び/又は提示

健康リスク値を決定する合成器(シンセサイザ)は、健康に関連した情報に基づいて第1の健康リスク値を生成するパラメータ決定器を含み、当該第1の健康リスク値は被験者の関心領域の第1の健康状態を示している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、被験者の健康リスク値を決定及び/又は提示することに関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
患者に対する健康リスクを抽出するために、様々な情報が使われてきた。例えば、侵襲性ではないCT撮像に基づく手法である心臓のカルシウムのスコアが、概して冠状動脈疾患の生体マーカであるカルシウムの沈着物を識別することによって、冠状動脈に構築されたプラークを識別するために使われることが出来る。即ち、プラーク沈着物が動脈中に構築されるので血管が狭くなり、心臓への血流及び酸素がより少なくなる。カルシウムのスコアがカルシウム化したプラークの量を定量化し、近未来における心筋梗塞の可能性を予測することを助けるか、又は少なくとも心筋梗塞に対する低いリスク、中程度のリスク、若しくは高いリスクなどの人口統計的なプロフィールにおいて被験者をクラス分けする。例えばスコアがゼロの場合はプラーク及び心筋梗塞の可能性が無いか無きに等しいことを示し、一方スコアが400の場合は大量のプラークがあることを示し、この数年以内に冠状動脈疾患及び心筋梗塞の起こる可能性が高いことを示す。両者の範囲内にあるスコアは、最低から中位までの冠状動脈疾患の程度を示す。
【0003】
多くの他のマーカも冠状動脈の疾患を示すために使われている。例えば冠状動脈疾患は、炎症、脂肪の蓄積、プラークの断裂、血栓症、本来の脈管の再生、及び/又は移植された導管(例えば、頚動脈、大動脈、冠状動脈、大脳、腎臓、末梢神経等)等の1つ以上のものに関与する。このように、このようなファクタの指標となる情報が冠状動脈疾患の可能性を示すためにも使われている。文献は、局所的な血行動態のストレス及び心臓疾患の進行に伴う脈管のジオメトリなどの生体構造的な特徴も関連付けている。生態学的なファクタ、構造的なファクタ、環境、ライフスタイル、ダイエット、遺伝子等々の他のファクタがマーカに含まれる。斯様な情報は採血テストの形態であったり、ストレス・テスト、様々な医療用撮像装置からの画像、家族の歴史、遺伝子、プロフィール、性別、体重、年齢、人種、品行等の形態であったりする。残念ながら、これらのファクタの数及びタイプが、種々異なるファクタに付随するリスクをまとめることを基本的に不可能ではないにしろ、難しくしている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の態様は、上で引用した事項及び他の事項に取り組んでいる。
【0005】
1つの態様では、パラメータの合成装置(シンセサイザ)は、健康に関する情報に基づいて第1の健康リスク値を生成するパラメータ決定器を含み、当該第1の健康リスク値は被験者の第1の関心領域の第1の健康状態を示している。
【0006】
別の態様では、被験者の健康状態の指標となる情報を得るステップと、当該情報の少なくともサブセットを合成するステップと、合成に基づいて被験者に対する健康リスク値の少なくとも1つを生成するステップと、当該少なくとも1つの健康リスク値を提示するステップとを含む方法がある。
【0007】
別の態様では、被験者の健康状態についての情報に基づいて、当該被験者に対する第1の健康リスク値を生成するステップと、被験者の健康状態について及び医薬の健康に関する周知の効果についての情報に基づいて被験者に対する第2の健康リスク値を生成するステップと、第1の健康リスク値及び第2の健康リスク値に基づいて当該医薬の効果を予測するステップとを含む方法がある。
【0008】
別の態様では、被験者の健康状態についての情報に基づいて、当該被験者に対する第1の健康リスク値を生成するステップと、被験者の健康状態について及び移植の健康に関する周知の効果についての情報に基づいて、当該被験者に対する第2の健康リスク値を生成するステップと、第1の健康リスク値及び第2の健康リスク値に基づいて当該移植の効果を予測するステップとを含む方法がある。
【0009】
別の態様では、被験者に対する複数の健康リスク値をシミュレートするステップを含む方法があり、各々のパラメータは種々異なる治療に対応する情報に基づいており、シミュレートされた複数の健康リスク値に基づいて被験者に対する治療法を選択する。
【0010】
別の態様では、被験者の局所的な領域に対する健康リスク値を決定するステップと、処置用の医療器具を被験者の局所的な領域へと自動的に案内するために、当該健康リスク値を使用するステップとを含む方法がある。
【0011】
本発明は様々なコンポーネント及びコンポーネントの配置の形態をとり、様々なステップ及びステップの配置の形態をとる。図は好ましい実施例を例示する目的であるに過ぎず、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】撮像装置に接続されたデータ・シンセサイザを例示している。
【図2】データ・シンセサイザの例を例示している。
【図3】データ・シンセサイザによる方法の例を例示している。
【図4】時刻t1での、画像に重ね合わせたリスクを例示している。
【図5】時刻t2での、画像に重ね合わせたリスクを例示している。
【図6】画像に重ね合わせたリスクのサマリーのマップを例示している。
【図7】本発明による方法を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、撮像システム102と接続されたデータ・シンセサイザ100を例示している。当該データ・シンセサイザ100は、患者、別の人間及び/又は母集団、シミュレートされたデータ、モデル化されたデータ、理論データ等についての情報などの画像情報及び/又は画像ではない情報を含む様々な情報を合成し、これらに基づいて1つ以上の健康リスク値を生成する。
【0014】
一例では、1つ以上の健康リスク値のうちの少なくとも1つは、血管の特定の部位、肺、肝臓、骨等などの組織の特定の一部分又は局所的な一部分に対応する局所的な健康リスク値である。限定されることのない例の態様で、斯様な健康リスク値は、ある冠状動脈の一部分に対する局所的なものであり、過去、現在及び/又は未来にわたる冠状動脈や他の組織の異常な生理学的状態などの可能性の指標、及び/又は患者の一般的な健康の指標となる。
【0015】
別の健康リスク値の1つが、異なる組織の一部分、異なる組織、及び/又は異なる状態に関していてもよい。加えて又は代替的に、1つ以上の健康リスク値のうちの、組織の一部分に対するかなり局所的な少なくとも1つのパラメータが全体的なパラメータを表してもよく、患者の一般的な状態の指標となる情報を提供する。加えて又は代替的に、1つ以上の健康リスク値のうちの少なくとも1つのパラメータが状態の変化を表してもよい。健康リスクの1つ以上のものがメモリに記憶されてもよく、別のシステムに提供されてもよく、及び/又は様々に提示されてもよい。
【0016】
以下に詳細に説明されているように1つ以上の健康リスク値が、患者をスクリーニングするため、介入の結果を予測するため、患者を診断するため、患者に対する治療を計画するため、患者を治療するため、及び/又は患者の治療後をモニタするため、薬品、移植、ディスポ等の効果を予測及び/又はモニタするため、器具等を案内するため、臨床医を教育するため等に使われても良い。1つ以上の健康リスク値によって伝えられる相対リスクは、傷害は治療するべきか、医療セラピーを開始すべきか/増すべきか/減らすべきか、介入を伴う/伴わない急性の症状の可能性は、どのような変化が相対リスクに経緯的に生じたか、等々などの特定の臨床的な疑問の中で当該相対リスク対受ける利益の比率を重み付けするためにも使われることができる。
【0017】
例示されている撮像システム102は、コンピュータ断層撮像(CT)スキャナである。しかしながらシンセサイザ100が、ポジトロン放射形断層撮影(PET)、単一光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)、磁気共鳴映像法(MRI)、超音波(US)、X線、スペクトルCT等の1つ以上の他の画像装置と接続され、追加で又は代替的に使われてもよい点を理解されたい。別の例では撮像システム102が省略されている。1つ以上の健康リスク値を生成/提示するために、撮像システム102からの情報がデータ・シンセサイザ100によって使われることが出来る。
【0018】
例示されているCTスキャナ102は静止ガントリ104と、当該静止ガントリ104によって回転可能に支持されている回転ガントリ106とを含む。当該回転ガントリ106は試験領域108の周りを縦軸又はZ軸を中心に回転する。X線管などの照射源110が回転ガントリ106によって支持され、回転し、放射線を照射する。放射線源コリメータ112は、検査領域108を横断する通常、扇形、楔形、又は円錐形の放射線を形成するよう放射線をコリメートする。放射線感応型の検出器アレー114は、検査領域108を横断する放射線源110により発された光子を検出し、検出放射線の指標となる投影データを生成する。例示されている放射線感応型の検出器アレー114は、1つ以上の行をもつ放射線感応型のセンサ画素を含んでいる。
【0019】
再構築器116が投影データを再構築し、検査領域108の指標となり、当該検査領域に配置された物体又は被験者の何らかの領域を含む体積測定の画像データを生成する。寝台などの支持部118が、物体又は被験者を検査領域108内に支持している。当該支持部118は、螺旋状、軸方向、又は他の所望するスキャン軌道を容易に実現するよう、回転ガントリ106の回転と協同してz-軸に沿って移動可能である。汎用のコンピュータ・システムがオペレータ・コンソール120として役に立ち、当該システムは、ディスプレイ及び/又はプリンタなどの人間が読み取れる出力デバイス、及びキーボード及び/又はマウスなどの入力デバイスを含む。コンソール120上に常駐するソフトウェアは、例えばオペレータが走査プロトコルを選択すること、スキャンを開始し停止すること、体積測定された画像データを観察及び/若しくは処理すること、並びに/又は、さもなければシステム102と対話することを許容することによって、オペレータがシステム102の操作を制御することを許容する。
【0020】
図2を見ると、データ・シンセサイザ100は1つ以上の健康リスク値を生成するメトリック生成器202を含む。例示された実施例では当該メトリック生成器202は、画像ではないデータ及びスキャナ102からのデータを含む画像データを受け取る。斯様な情報は、局所的な、遠隔の、及び/又は携帯用の記憶装置を含むPACS(画像保管通信システム)、HIS(病院情報システム)、RIS(放射線医学情報システム)及び/又は他のデータ記憶システムから得られることが出来る。バンク204は、1つ以上の健康リスク値を生成するために使うことができる1つ以上のパラメータ生成ツール206を含む。1つ以上の当該ツール206は、暗黙のうちに及び/又は明確に調整された分類器、ベイジアン・ネットワーク、支持ベクトル・マシン、推論エンジン、費用関数、統計、確率、発見教授法、歴史情報、モデル、数学方程式、コンピュータ・シミュレーション、理論、規則等を含むが、これらに限定されることはない。
【0021】
例の態様にて、比較的単純な実装により、メトリック生成器202は1つ以上の健康リスク値を作るために個々のリスク・ファクタを合計するツール206を用いる。比較的より複雑な(又は、より単純ではない)実装により、マシン学習法が、1つ以上の健康リスク値を生成するために用いられる。しばらくの間図3を見ると、限定されてはいない例が、脈管のリスクのパラメータを決定することに関して例示されている。図示するように、脈管のリスクのパラメータ306を生成するために、マーカ又はファクタなどの様々な入力302がニューラル・ネットワーク304により処理されている。この例では、様々な入力302は、プロフィール、挙動、組織ジオメトリ、血行動態、プラーク組成物、遺伝子、及び代謝活動を含む。斯様なデータが入力レイヤ308へと提供され、隠れ(中間)レイヤ310において合成され、出力レイヤ312で組み合わされて出力される。
【0022】
もちろん、追加されたファクタ又は代替のファクタが、脈管のリスクのパラメータ306を決定するために使われてもよい。例えば他のファクタには、プラークの進行又は衰退の割合、プラークの破裂するリスク、狭窄症の程度、分岐のパターン、湾曲度、ねじれ、偏心、プラークの組成物、脈管の再生、血行動態(例えば、ずれ応力、流量特性)、コントラストの動力学(例えば、コントラストの取り込み、目標となる造影剤のプロフィール等)、代謝活性度(例えば、大食細胞の活性度等)、炎症の経路、プロフィール(例えば、年齢、性、人種、肥満指数等)、生活様式又は挙動、影響を受ける血管の数、及び他の診断用及び予後のリスク(例えば、脈管のコンプライアンス、伸展性、脈管形成の程度、運動、カルシウムのスコア、フレイミンガムのリスク等)のマーカ、及び/又は他の情報を含むが、これらに限定されるものではない。
【0023】
図2に戻ると、データ・シンセサイザ100はパラメータの提示器208も含み、当該提示器は、1つ以上の健康リスク値の指標となる情報を提示する。当該パラメータ提示器208は、パラメータを提示するために、様々な提示技術を用いることが出来る。例えば、パラメータ提示器208はパラメータを提示すために、視覚技術210、聴覚技術212、及び/又は触覚技術214を使用できる。視覚技術の例には、限定されるものではないが、カラーマップ、テクスチャー・マップ、表面描画、ボリューム描画、仮想描画等が含まれ、聴覚技術の例には、限定されるものではないが、警告音のパターン、様々なトーン、コンピュータ・シミュレーションされた音声、音声録音の再生等が含まれ、触覚技術の例には、限定されるものではないが、振動、力、温度の変化、テクスチャ、その他が含まれる。
【0024】
パラメータ提示器208は、斯様な情報を有線及び/又は無線の伝送路を介して1つ以上のデバイスへと様々に分配し、及び/又は伝達することもできる。これは、情報をコンソール120、モニタ、コンピュータ、ワークステーション、ウェブ・ベースのアプリケーション、ウェブ・クライアント、携帯電話、ページャ、個人データ・アシスタント、ラップトップ、携帯型端末、TV、セットトップボックス、ラジオ、分散システム、データベース、サーバ、アーカイバ、及び/又は他の目的物へと提供することを含む。(視覚、聴覚、及び/又は触覚の)情報のフォーマットは、目的デバイスの提示能力に依存する。斯様な情報の受取人は、医師、患者、及び/又は他の認可された個人を含むが、これに限定されるものではない。
【0025】
例の態様で、図4、図5、及び図6は、スキャナ102及び/又は他のスキャナからの画像データに関連して提示された健康リスク値を示す。最初に図4を参照すると、局所的な健康リスク値が、対応する血管の部分を含むボクセルへとマッピングされたパラメータと共に、対象となる血管の一部の描画に重畳されている。本実施例では、画像中の各ボクセルに対するリスクの程度を示すために、異なるパターンが用いられている。代替の実施例では、グレイスケール(例えば8ビット又は256通りの灰色の陰影)が、異なるリスクの程度を示すために使うことができる。さらに別の実施例では、カラーマップを使うことができる。同実施例では、グレイスケール値の予め定められた範囲に対して異なる色がマッピングされることができる。例えば、様々な赤色の色合いが、高いリスクに相当するグレイスケールの範囲の値にそれぞれマッピングされてもよく、様々な緑色の色合いが、高いリスクよりも低いリスクに相当するグレイスケールの範囲の値にそれぞれマッピングされることができる。
【0026】
図5では、図4に対して種々異なる時刻でマッピングされた局所的なリスクが付随している。このリスクは、種々異なる時刻でのリスクの値を表してもよく、又は以前の時刻からのパラメータの差などの変化を表してもよい。当該変化は、挙動、介入処置、治療、手術、治癒、移植、医薬等々の実際の変化又はシミュレーションされた変化の結果でもよい。図6は別の表現を示しており、当該表現は、リスクの高い局所的な領域とリスクの低い局所的な領域とが、対応するリスクの程度と共に同一画面で表されたサマリーのマップを提供する。一例を挙げると、予め定められた閾値が、健康リスク値を高いリスク又は低いリスクへと分類するために使われている。別の例では、サマリーマップは被験者のより小さな部分、又は被験者全体を含むより大きな部分を含み、パラメータは異なる疾患、病理、状態、条件、治療、処置等に関することがある点を理解されたい。
【0027】
図7は、健康リスク値を生成する方法を例示している。ステップ702で、健康リスク又は患者の状態に関する利用可能な情報が取得される。これまでに記したように、斯様な情報は画像情報を含むことができ、さらに、試験結果、挙動、遺伝子、性別、年齢、体重、治療履歴、既往症、等々などの画像ではない情報、母集団に基づく情報、医薬、移植、治療及び/若しくは介入についての周知の及び/又はシミュレーションされた効果のような患者に特定の情報、並びに/又は他の情報を含むことが出来る。
【0028】
ステップ704では、この情報の少なくとも一部が合成される。上記のように、様々なアルゴリズム、技術、方法等が、データを合成するために使われることができる。全ての情報又は下位の情報が合成されることができる点にも留意されたい。加えて、異なる情報のセットが合成されることができる。一例を挙げると、特定のセットの選択が臨床医によって手動で決定され、一方、別の例では、何らかの特定のセットに対する情報が、規則及び/又は他の技術に基づいて自動的に決定される。
【0029】
ステップ706では、1つ以上の局所的なパラメータが1つ以上の合成された情報のセットに基づいて生成される。少なくとも2つのパラメータが組織の同じ下位部分に対応することがある点を理解されたい。例えば、利用可能な情報の少なくとも2つの異なるセットが、組織の下位部分に局所化されたパラメータを別々に且つ独立して決定するために使われることができる。異なる情報のセットに対して、様々な違いが存在してもよい。例えば、あるセットが介入処置に対する周知の反応を含んでもよく、一方、他のセットが外科的処置の周知の結果を含んでもよい。このように、パラメータは2つ以上の行動方針を決定すること、又は選択を容易にすることができる。別のパラメータが、少なくとも2つのパラメータに基づいている下位部分に対して、例えば当該少なくとも2つのパラメータを様々に組み合わせることにより決定されることができる。代替的には、複数のパラメータが同じ組織又は異なる組織、例えば2つの異なる解剖学的構造の異なる下位部分に対応してもよい。
【0030】
オプションでステップ708において、1つ以上の全体的なパラメータが生成されることができる。斯様なパラメータは局所的なパラメータに基づくことができるか、又は局所的なパラメータから独立して決定されることができる。局所的なパラメータとは対照的に、全体的なパラメータは一般的な健康リスクの情報を患者に対して提供する。例えば、全体的なパラメータが、患者は虚血性心疾患のリスクがあることを示し、一方、局所的なパラメータは、冠状動脈の下位部分の状態が患者を虚血性心疾患のリスクがある状態に置いていることを示してもよい。臨床医は、患者に対して一方又は両方の指標を使用できる。
【0031】
ステップ710に示すように、1つ以上の局所的なパラメータ及び/又は全体的なパラメータを様々に使うことができる。これは、スクリーニング、介入、診断、治療計画、治療、及び/又は治療後の監視のために当該パラメータを使用することを含む。当該パラメータが医薬の臨床前試験のために使われることもできる。例えば、患者への医薬の投与の結果をシミュレーション又は予測するために、患者に関する情報が医薬に関する周知の情報と合成されることができる。斯様な情報が、医薬情報なしで生成されるパラメータと連動して比較されることが出来、及び/又は、さもなければ使われることが出来る。この事は、医薬がリスクを増減しそうかどうかについて決定するのを容易にする。医薬の効果を予測するために、上記が医薬開発者及び製造業者、医薬開発者及び製造業者を代行する当事者、及び/又は他の関係者によって使われることができる。パラメータが、患者への医薬の投与の後に患者をモニタするために使われることもできる。
【0032】
同様にパラメータは、移植又はディスポが患者に与える影響をシミュレーション、予測、モニタ等をするために使うことができる。この例では、合成された情報が移植又はディスポに関する周知の情報を含んでもよい。実際の移植若しくはディスポの前後、又はシミュレーションされた移植若しくはディスポの前後で生成されたパラメータが、リスクの変化のために比較されることができる。当該パラメータが教育のため、訓練のため、挙動の変化に起因するリスクの変化を予測するために使われてもよい。上で説明した例は、明快さ、簡潔さ、及び説明目的のために提供されており、限定するものではないことを理解されたい。
【0033】
処置の間に得られた情報に基づいて、1つ以上のパラメータが当該処置の間に更新されることができることも理解されたい。一例ではこれは、処置を継続させるべきか又は終了させるべきかを判断するのを容易にする。別の例では、パラメータが関心領域の位置を決めることを容易にする。これは変化する映像、音、及び/又は抗力を、健康リスクがある関心対象に付随する領域へと通り抜けるガイドワイヤなどの器具として提供することを含む。一例では、斯様な情報がガイドワイヤを自動的に関心領域へと導くために使われることができる。映像パターン、音、及び/又は抗力は、健康リスク値の変化に連れて処置の間に変化してもよい。斯様なフィードバックが、例えばシミュレーションされた仮想の疾患及び/又は実際の患者に対する訓練と関連して使われることもできる。
【0034】
データ・シンセサイザ100は、本願明細書において記されたシステムを含む様々なデータ記憶装置又はアーカイブシステムから得られた情報、データ・シンセサイザ100及び/又は別のシステムにより生成されたリスク・パラメータ、リスク・サマリーマップ等々、並びに/又は他の情報を連携し、合成し、提示し、記憶し、操作する等々を理解されたい。斯様な連携は、このようなリスク情報を管理できる連携レイヤ及び/又は連携サービス及び/又はハードウェアのプラットフォームを通じて提供される。連携レイヤ、連携サービス、及び/又はプラットフォームは、データ・シンセサイザ100とは別でもよい。
【0035】
上記がコンピュータで読み取り可能な命令の態様にて実行されてもよく、実行された場合、コンピュータのプロセッサは説明されたアクションを当該プロセッサに実行させる。斯様な場合、命令は専用のワークステーション、ホームコンピュータ、分散型のコンピューティング・システム、コンソール120、及び/又は他のコンピュータなど、関連したコンピュータに付随するか又はアクセス可能なコンピュータで読み取り可能な記憶媒体中に記憶される。アクションがデータ収集と並行して実行される必要はない。
【0036】
本発明が、様々な実施例を引用して本願明細書において説明された。本願明細書の説明を読むと、修正及び変更が第三者に生じるかも知れない。修正及び変更が添付の請求項の範囲又は等価物の範囲内にある限り、本発明は全ての斯様な修正及び変更を含むものとして解釈されるよう意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
健康に関する情報に基づいて第1の健康リスク値を生成するメトリック生成器を有する健康リスク値を決定する合成装置であって、
当該第1の健康リスク値が、被験者の小領域である第1の局所的な関心領域の第1の健康状態を示すことを特徴とする、合成装置。
【請求項2】
前記健康に関する情報が、画像情報及び画像ではない情報の両方を含むことを特徴とする、請求項1に記載の合成装置。
【請求項3】
前記メトリック生成器が、前記被験者の全体的な状態の指標である少なくとも1つの全体的な健康リスク値を生成することを特徴とする、請求項1又は2に記載の合成装置。
【請求項4】
前記第1の健康状態が、前記第1の局所的な領域に関する健康リスクの程度に対応することを特徴とする、請求項1乃至3の何れか一項に記載の合成装置。
【請求項5】
前記メトリック生成器が、前記被験者の第2の局所的な関心領域の第2の健康状態を示す少なくとも第2の健康リスク値を生成することを特徴とする、請求項1乃至4の何れか一項に記載の合成装置。
【請求項6】
前記第1の健康リスク値及び前記第2の健康リスク値が、同じ局所的な関心領域に対応しており、前記健康に関する情報の異なるセットを用いて生成されることを特徴とする、請求項5に記載の合成装置。
【請求項7】
前記第1の局所的な関心領域及び前記第2の局所的な関心領域が、前記被験者の異なる関心領域であることを特徴とする、請求項5に記載の合成装置。
【請求項8】
前記合成装置が、前記第1の健康リスク値を、視覚、聴覚、又は触覚による提示手法のうちの少なくとも1つを介して提示するパラメータ提示器を更に含むことを特徴とする、請求項1乃至7の何れか一項に記載の合成装置。
【請求項9】
前記視覚による提示手法が、前記第1の健康リスク値を画像上に重畳することを含む、請求項8に記載の合成装置。
【請求項10】
前記第1の健康リスク値が、前記第1の局所的な関心領域に対応する前記画像の1つ以上のボクセルに重畳されることを特徴とする、請求項9に記載の合成装置。
【請求項11】
前記第1の健康リスク値が、当該第1の健康リスク値に対応するリスクの程度の指標となるパターン、グレイスケール、及び色のうちの少なくとも1つにより表示されることを特徴とする、請求項8乃至10の何れか一項に記載の合成装置。
【請求項12】
前記第1の健康リスク値が、シミュレーション、介入、治療、又は挙動の変化のうちの少なくとも1つに関する健康リスクの変化に対応することを特徴とする、請求項8乃至11の何れか一項に記載の合成装置。
【請求項13】
前記触覚による提示手法が、力、振動、テクスチャ、又は温度の変化のうちの少なくとも1つを有する触覚のフィードバックを含むことを特徴とする、請求項8に記載の合成装置。
【請求項14】
被験者の健康状態の指標となる情報を得るステップと、
前記情報の少なくとも1つのサブセットを合成するステップと、
当該合成に基づいて前記被験者に対する少なくとも1つの健康リスク値を生成するステップと、
当該少なくとも1つの健康リスク値を提示するステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの健康リスク値を、追加の情報を得ることに応答して動的に更新するステップを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの健康リスク値に基づいて、前記被験者のスクリーニング、診断、治療の計画、治療、治療後の監視のうちの少なくとも1つを行うステップを更に含む、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの健康リスク値が、前記被験者の対象となる組織の小領域に対する局所的なものであることを特徴とする、請求項14乃至16の何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの健康リスク値が、前記被験者に対する全体的なものであることを特徴とする、請求項14乃至16の何れか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記健康に関する情報が、画像情報及び画像ではない情報の両方を含むことを特徴とする、請求項14乃至18の何れか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの健康リスク値を、視覚、聴覚、又は触覚による提示手法のうちの少なくとも1つを介して提示するステップを更に含む、請求項14乃至19の何れか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの健康リスク値を、前記被験者の画像にマッピングするステップを更に含む、請求項14乃至20の何れか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記マッピングが、前記少なくとも1つの健康リスク値に関するリスクの相対的な程度を示すマッピング指示を含むことを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
医薬に関する情報を用い、前記少なくとも1つの健康リスク値に基づいて前記被験者に対する当該医薬の効果を予測して、前記少なくとも1つの健康リスク値を生成するステップを更に含む、請求項14乃至21の何れか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記被験者への医薬の投与の後に、投与後に入手可能な情報と共に決定された健康リスク値に基づいて、当該被験者に投与された医薬の効果をモニタするステップを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
移植に関する情報を用いて前記少なくとも1つの健康リスクを生成するステップと、当該少なくとも1つの健康リスクに基づいて前記被験者に対する当該移植の効果を予測するステップとを更に含む、請求項14乃至24の何れか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記被験者に移植された前記移植部位の効果を、当該被験者への当該移植部位の移植の後に、当該移植後に入手可能な情報と共に決定された前記健康リスク値に基づいてモニタするステップを更に含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記被験者に対する前記少なくとも1つの第2の健康リスク値を、異なる時刻に生成するステップと、
前記少なくとも1つのパラメータ、及び前記少なくとも1つの第2の健康リスク値の間の差を提示するステップと、
を更に含む、請求項14乃至26の何れか一項に記載の方法。
【請求項28】
医薬の効果を予測する方法であって、
被験者の健康状態に関する情報に基づいて当該被験者における第1の健康リスク値を生成するステップと、
前記被験者の健康状態に関する情報、及び医薬についての周知の健康に関する効果に基づいて、当該被験者における第2の健康リスク値を生成するステップと、
前記第1の健康リスク値及び前記第2の健康リスク値に基づいて当該医薬の効果を予測するステップと、
を含む、方法。
【請求項29】
前記第1の健康リスク値及び前記第2の健康リスク値を比較するステップと、
前記医薬が当該健康リスク値を増減させるだろうかどうか予測するステップと、
を更に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
インプラントの効果を予測する方法であって、
被験者の健康状態に関する情報に基づいて当該被験者における第1の健康リスク値を生成するステップと、
前記被験者の健康状態に関する情報、及びインプラントについての周知の健康に関する効果に基づいて、当該被験者における第2の健康リスク値を生成するステップと、
前記第1の健康リスク値及び前記第2の健康リスク値に基づいて、前記インプラントの効果を予測するステップと、
を含む、方法。
【請求項31】
前記第1の健康リスク値及び前記第2の健康リスク値を比較するステップと、
前記移植が前記健康リスク値を増減させるだろうかどうか予測するステップと、
を更に含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
患者に対する治療を選択するための方法であって、
異なる治療に対応する情報に基づく、被験者における複数の健康リスク値をシミュレーションするステップと、
前記複数の健康リスク値に基づいて、前記被験者における治療を選択するステップと、
を含む、方法。
【請求項33】
被験者の局所的な領域における健康リスク値を決定するステップと、
手術のために、器具を前記被験者の局所的な領域へと自動的に導くために、前記健康リスク値を使用するステップと、
を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−505007(P2012−505007A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530607(P2011−530607)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【国際出願番号】PCT/IB2009/054367
【国際公開番号】WO2010/041197
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】