説明

健康支援システム

【課題】生体情報に基づいて人の健康を支援するシステムにおいて、建物や車両にて取得された生体情報を好適に管理する。
【解決手段】玄関出入口21の玄関ドア22には施錠装置25が設けられており、その施錠装置25はスマートキーKにより遠隔操作される。スマートキーKは、施錠装置25に加えて車両Cの車両ドアに設けられたドアロック装置C10の遠隔操作が可能となっている。建物10には、建物内空間にて人の生体情報を取得する建物内測定機器41が設けられており、車両Cには、車両C内にて人の生体情報を取得する車載測定機器が設けられている。建物内測定機器41及び車載測定機器C14により検出された生体情報は、スマートキーKにて受信され、スマートキーKからID情報とともにコントローラ31に対して送信され、ID情報に関連付けて主記憶部35に記憶される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
人の生活情報を取得し、その生体情報に基づいて人の健康を支援する技術が提案されている。例えば特許文献1には、生体情報を測定する測定装置と、利用者の識別に用いる指紋等の個人データを利用者が入力する入力装置と、健康支援に関する情報を利用者に知らせる出力装置とが制御装置と電気的に接続されている構成が記載されている。この構成において制御装置は、個人データに基づいて認証処理を行って利用者を特定し、測定装置により測定された現在の生体情報や過去の生体情報を利用者に対応させて出力装置にて表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−279181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されている構成では、測定装置により測定された生体情報がどの人の生体情報であるか特定するには、測定のたびに利用者が入力装置に個人データをいちいち入力する必要がある。したがって、生体情報の測定に際して利用者に煩わしさを感じさせることが懸念される。
【0005】
本発明は、生体情報に基づいて人の健康を支援するシステムにおいて、建物や車両にて取得された生体情報を好適に管理することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、第1の発明の健康支援システムは、建物の出入口に設けられた建物ドアの施解錠と車両に設けられた車両ドアの施解錠とが携帯用の電子キーから送信される信号により行われる防犯システムに適用され、前記建物に設けられ、該建物内での人の生体情報を建物側生体情報として取得する建物側取得手段と、前記車両に設けられ、該車両内での人の生体情報を車両側生体情報として取得する車両側取得手段と、前記電子キーに設けられ、前記建物側取得手段により取得された建物側生体情報及び前記車両側取得手段により取得された車両側生体情報を受信するキー受信部と、前記キー受信部が受信した前記建物側生体情報及び前記車両側生体情報を、前記電子キーが有する所有者情報に関連付けて記憶装置に記憶させる記憶実行手段と、前記記憶装置に記憶された建物側生体情報及び車両側生体情報の少なくとも一方に基づいて人の健康を支援する健康支援処理を行う制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0007】
第1の発明によれば、電子キーのキー受信部にて受信された建物側生体情報や車両側生体情報といった生体情報が所有者情報に関連付けて記憶装置に記憶される。ここで、電子キーが所有者情報を有しているため、施解錠を管理する防犯システムにおいて電子キーの所有者が特定されることになる。したがって、例えば生体情報が電子キーを介さずに記憶装置に記憶される構成とは異なり、生体情報にどの所有者情報を関連付けるかを判定する必要がない。これにより、建物及び車両にて生体情報が取得されるたびに例えば認証処理のための入力操作をその都度行うという煩わしさを解消できる。以上の結果、生体情報に基づいて人の健康を支援するシステムにおいて、建物や車両にて取得された生体情報を好適に管理することができる。
【0008】
なお、建物側生体情報及び車両側生体情報としては、体温や心拍数など都度の体調や環境によって変動する可能性のある情報を想定している。
【0009】
第2の発明では、前記電子キーは、前記キー受信部が受信した前記車両側生体情報を記憶するキー記憶部と、前記キー記憶部に記憶された前記車両側生体情報を前記所有者情報とともに前記記憶装置に記憶させるために送信するキー送信部とを備えている。
【0010】
第2の発明によれば、キー受信部にて受信された車両側生体情報が電子キーのキー記憶部に記憶される。このため、取得のたびに車両側生体情報を記憶装置に記憶させなくても、キー記憶部に一旦蓄積してその後まとめて所定のタイミングで記憶装置に記憶させることができる。
【0011】
なお、前記キー記憶部には、前記キー受信部が受信した前記建物側生体情報が記憶され、前記キー送信部は、前記キー記憶部に記憶された前記建物側生体情報を前記所有者情報とともに前記記憶装置に記憶させるために送信する構成とすることが好ましい。例えば、キー送信部は、健康支援処理を実行する場合に建物側生体情報及び所有者情報を送信する構成とする。
【0012】
第3の発明では、前記電子キーは、前記建物ドアの解錠のための解錠信号を送信する際に前記キー送信部から前記車両側生体情報及び前記所有者情報を送信させる。
【0013】
第3の発明によれば、建物ドア用の解錠信号を送信するタイミングに合わせてキー送信部から車両側生体情報が送信される。このため、電子キーから送信される信号や情報が建物側受信部にて受信可能となっている場合に車両側生体情報を建物側受信部に対して送信することができる。この場合、建物側受信部にて受信されない状況であるにもかかわらず車両側生体情報が送信されるということを回避できる。
【0014】
第4の発明では、前記制御手段は、前記車両側取得手段により前記車両側生体情報が取得された後に、それに続いて前記建物側取得手段により前記建物側生体情報が取得されるまでの期間で、前記建物側生体情報及び前記車両側生体情報のうち前記車両側生体情報に基づいて前記健康支援処理を行う手段と、前記車両側取得手段により前記車両側生体情報が取得された後に、前記建物側取得手段により前記建物側生体情報が取得されてからの期間で、前記建物内において前記建物側生体情報及び前記車両側生体情報の両方に基づいて前記健康支援処理を行う手段とを備えている。
【0015】
第4の発明によれば、人が車両から建物に移動し、建物に移動した直後において建物側生体情報が取得されていない場合、その情報取得が行われていなくても車両側生体情報によりその人の車両での体調に合わせて健康支援を行うことができる。また、建物での情報取得が行われれば車両側生体情報及び建物側生体情報により、建物での人の体調だけでなくそれ以前の車両での体調も加味して健康支援を行うことができる。つまり、人が車両から建物に移動した場合、車両側生体情報と建物側生体情報とを適宜使い分けることにより健康支援を好適に行うことができる。
【0016】
第5の発明では、前記制御手段は、前記車両側取得手段による前記車両側生体情報の取得が行われてからの経過時間が所定時間に達したか否かを判定する手段と、前記経過時間が所定時間に達していない場合に、前記建物内において前記建物側生体情報及び前記車両側生体情報の両方に基づいて前記健康支援処理を行う手段と、前記経過時間が所定時間に達した場合に、前記建物内において前記建物側生体情報及び前記車両側生体情報のうち前記建物側生体情報に基づいて前記健康支援処理を行う手段とを備えている。
【0017】
第5の発明によれば、人が車両から建物に移動し、その人を対象として建物側生体情報が取得された場合、所定時間が経過するまでは建物側生体情報及び車両側生体情報の両方に合わせて健康支援が行われ、所定時間が経過してからは車両側生体情報に関係なく建物側生体情報に基づいて健康支援が行われる。したがって、移動した人が建物の環境に慣れるまでは建物での体調だけでなくそれ以前の車両での体調も加味して健康支援を行うことができ、建物の環境に慣れてからは車両での体調を加味せずに健康支援を行うことができる。つまり、建物の環境に対する人の慣れを考慮して健康支援処理の内容を再調整することができる。
【0018】
第6の発明では、前記建物側取得手段及び前記車両側取得手段により取得される前記建物側生体情報及び前記車両側生体情報にはそれぞれ共通の生体情報項目が含まれており、前記制御手段は、前記建物側生体情報に含まれている前記共通の生体情報項目と前記車両側生体情報に含まれている前記共通の生体情報項目とを比較してその比較結果に基づいて前記健康支援処理を行う。
【0019】
第6の発明によれば、共通の生体情報項目について建物側生体情報と車両側生体情報との比較結果に基づいて健康支援が行われる。ここで、共通の生体情報項目としては体温や心拍数などが挙げられ、これら生体情報項目は車両と建物とで環境の違いなどに起因して数値が異なると想定される。したがって、車両と建物とを移動した際の体調の変化を数値の差異に基づいて推定することが可能となる。これにより、車両と建物とを移動した人にとって都合の良い内容の健康支援処理を行うことができる。
【0020】
第7の発明では、前記建物側取得手段は複数の建物内空間にそれぞれ設けられており、前記複数の建物内空間に設けられた各建物側取得手段により取得された建物側生体情報にはそれぞれ共通の生体情報項目が含まれており、前記制御手段は、各建物側生体情報のそれぞれに含まれている共通の生体情報項目を比較してその比較結果に基づいて前記健康支援処理を行う。
【0021】
第7の発明によれば、共通の生体情報項目について複数の建物内空間で取得された複数の建物側生体情報の比較結果に基づいて健康支援が行われる。ここで、共通の生体情報項目としては体温や心拍数などが挙げられ、これら生体情報項目は建物内空間ごとの環境の違いなどに起因して数値が異なると想定される。したがって、複数の建物内空間を移動した際の体調の変化を数値の差異に基づいて推定することが可能となる。これにより、複数の建物内空間を移動した人にとって都合の良い内容の健康支援処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態における健康支援システムの概略構成を示す図。
【図2】健康支援制御処理の処理手順を示すフローチャート。
【図3】別の健康支援システムについて説明するための図。
【図4】別の健康支援システムについて説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した本実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、本発明を建物において人の健康を支援する健康支援システムとして具体化している。図1は健康支援システムの概略構成を示す図である。
【0024】
図1に示すように、住宅等の建物10には、玄関11、脱衣室12、浴室13、寝室14、トイレ15が設けられており、これらはそれぞれ建物内空間となっている。建物10の外壁23のうち玄関11と屋外空間とを仕切る部分には建物出入口としての玄関出入口21が設けられている。玄関出入口21には開き戸等の玄関ドア22が設けられており、建物ドアとしての玄関ドア22により玄関出入口21が開閉される。玄関出入口21には、玄関ドア22の施錠及び解錠を行う施錠装置25が設けられている。施錠装置25は玄関ドア22に取り付けられており、玄関ドア22を施錠する施錠状態と、玄関ドア22を解錠する解錠状態とに移行可能になっている。
【0025】
施錠装置25は、無線通信が可能であって車両C用のスマートキーKにより遠隔操作される。具体的には、建物10には制御手段としてのコントローラ31と、スマートキーKに対して無線通信が可能な建物側通信装置33とが設けられている。コントローラ31は、CPUや各種メモリ等からなるマイクロコンピュータを含んで構成されており、施錠装置25及び建物側通信装置33と電気的に接続されている。コントローラ31は、建物側通信装置33を通じて受信したスマートキーKからの信号に基づいて指令信号を出力し、施錠装置25の動作制御を行う。コントローラ31は各種情報を記憶する記憶装置としての主記憶部35を有している。なお、コントローラ31及び建物側通信装置33は例えば玄関11の壁面に取り付けられている。また、コントローラ31及び建物側通信装置33が情報端末を構成していることになる。
【0026】
スマートキーKは、人に携帯される携帯機としての電子キーとなっており、信号等を送信するキー送信部と、信号等を受信するキー受信部とを有している。スマートキーKは、コントローラ31と同様に、CPUや各種メモリ等からなるマイクロコンピュータを含んで構成されており、認証処理のためのID情報と解錠のための解錠信号とを建物側通信装置33に対して送信する。ID情報は、スマートキーKの所有者に関する所有者情報となっており、ID番号などを有している。なお、所有者情報は所有者を識別するための情報であればよく、所有者情報は、所有者の名前や、ID認証用のID情報とは異なる識別番号、識別コードなどであってもよい。
【0027】
コントローラ31は、スマートキーKからID情報及び解錠信号を受信した場合、ID情報が正規のID情報であるか否かを判定する処理を認証処理として行い、正規のID情報であればスマートキーKが正規のキーであるとして、施錠装置25を解錠状態に移行させる。なお、コントローラ31の主記憶部35には登録情報が記憶されており、コントローラ31はスマートキーKのID情報と登録情報とを照合し、それら情報が一致する場合にID情報が正規のID情報であると判定する。
【0028】
コントローラ31は建物側通信装置33を通じて定期的にリクエスト信号を送信しており、スマートキーKは、リクエスト信号を受信した場合にそのリクエスト信号に応答してID情報及び解錠信号を送信し、上記のようにコントローラ31はそのID情報に基づいて認証処理を行う。ここで、建物側通信装置33は玄関出入口21周辺のエリアに対してリクエスト信号を送信しており、そのエリアがスマートキーKにとってリクエスト信号を受信可能な受信エリアとなっている。この場合、スマートキーKの携帯者が玄関出入口21に近づくとスマートキーKが受信エリアに進入して認証処理が行われることになる。そして、認証処理の結果、スマートキーKが正規のキーであると判定されれば、コントローラ31は解錠信号により施錠装置25を解錠状態に移行させる。したがって、携帯者が玄関出入口21に近づくだけで玄関ドア22が解錠される。
【0029】
なお、スマートキーKが人に操作される操作部を有しており、認証処理により施錠装置25の解錠が許可され、さらに操作部に対して解錠操作が行われたことを条件として、玄関ドア22が解錠される構成としてもよい。
【0030】
スマートキーKは、玄関11の施錠装置25に加えて、車両Cに搭載されたドアロック装置C10を遠隔操作することが可能となっている。具体的には、ドアロック装置C10は車両ドアに取り付けられており、車両ドアを施錠する施錠状態と、車両ドアを解錠する解錠状態とに移行可能になっている。車両Cには、車載機器の動作制御を行うECUC11と、スマートキーKとの無線通信が可能な車載通信装置C12とが搭載されている。ECUC11はCPUや各種メモリ等からなるマイクロコンピュータを含んで構成されており、ドアロック装置C10及び車載通信装置C12と電気的に接続されている。ECUC11は、車載通信装置C12を通じて受信したスマートキーKからの信号に基づいて指令信号を出力し、ドアロック装置C10の動作制御を行う。ECUC11は各種情報を記憶する車載記憶部C13を有している。
【0031】
ECUC11は、建物10のコントローラ31と同様に、スマートキーKからID情報及び解錠信号を受信した場合に認証処理を行い、スマートキーKが正規のキーである場合にドアロック装置C10を解錠状態に移行させる。ここで、ECUC11からは、車両C周辺を受信エリアとしてリクエスト信号が送信されており、スマートキーKの携帯者が車両Cに近づいた場合に認証処理が行われ、解錠信号により車両ドアが解錠される。ちなみに、車載記憶部C13には登録情報が記憶されており、ECUC11はその登録情報を用いて認証処理を行う。なお、車両Cのドアロック装置C10は、スマートキーKにおいて解錠操作が行われたことを条件として解錠されてもよい。
【0032】
なお、車両Cには、車両Cの運転時間を計測するタイマや、車両Cの走行距離を計測する走行距離計測装置が搭載されており、それらタイマや走行距離計測装置は計測結果をECUC11に対して送信する。ECUC11は、それら計測結果を運転情報としてスマートキーKに対して送信する。
【0033】
本実施形態では、人の健康を支援する健康支援システムが構築されており、その健康支援システムはスマートキーKを含んで構成されている。このシステムにおいては、建物10及び車両Cの両方において人の生体情報がそれぞれ検出されるとともに、検出された生体情報がID情報とともにスマートキーKからコントローラ31に対して送信され、生体情報とID情報とがセットで主記憶部35に記憶される。これにより、スマートキーKごとに生体情報が管理されるようになっている。
【0034】
建物10において、脱衣室12や浴室13、寝室14、トイレ15といった建物内空間には、人の身体を対象とした測定を行う建物側取得手段としての建物内測定機器41が設けられている。建物内測定機器41は、人の生体情報を検出する生体センサを含んで構成されており、生体情報のうち生体センサの設置場所に合わせた生体情報項目を検出することが可能となっている。例えば脱衣室12においては、建物内測定機器41は体重計及びカメラとして床部及び洗面台の鏡に内蔵されており、床部に乗った人の体重を検出するとともに、鏡の前に立った人を撮像して体型を検出する。浴室13においては浴槽に内蔵されており、浴槽にて湯に浸かっている人の体温や体脂肪率、肌保湿を検出する。寝室14においてはベッドに内蔵されており、ベッドで寝ている人の心拍数や血圧、呼吸回数などを検出する。トイレ15においては便器に内蔵されており、糖尿検査等のために尿を検出する。
【0035】
建物内測定機器41は、スマートキーKと無線通信が可能な建物側送信手段としての機器通信部42を有している。機器通信部42は、建物内測定機器41により検出された生体情報をスマートキーKに対して送信する。
【0036】
なお、建物内測定機器41は、生体センサの電源をON/OFFに切り替える電源スイッチと、電源スイッチの動作制御を行う制御部とを有しており、制御部は機器通信部42を通じて定期的に電源信号を送信している。スマートキーKは電源信号を受信した場合にその電源信号に応答して電源ON信号を送信する。そして、制御部は、機器通信部42が電源ON信号を受信した場合に電源スイッチにより生体センサの電源をONさせる。ここで、機器通信部42は建物内測定機器41が設置されている建物内空間(例えば脱衣室12や浴室13)内に電源信号を送信している。この場合、建物内空間がスマートキーKにとって電源信号を受信可能なエリアとなっており、携帯者がスマートキーKとともに建物内空間に入ると建物内測定機器41の生体センサが電源ONされることになる。これにより、人が建物内空間にいない時に生体センサの電源がOFF状態にある分だけ省エネルギ効果を得ることができる。
【0037】
車両Cには、車両C内で人の身体を対象とした測定を行う車両側取得手段としての車載測定機器C14が搭載されている。車載測定機器C14は、建物内測定機器41と同様に生体センサを含んで構成されており、例えば座席に内蔵されている。車載測定機器C14は、座席に座っている人の体重や体温、心拍数、血圧、呼吸数など、生体情報のうち車両C内に合わせた生体情報項目を検出することが可能となっている。また、車載測定機器C14により検出される生体情報項目には、建物内測定機器41により検出される生体情報項目と同一の項目が共通項目として含まれている。
【0038】
車載測定機器C14は、建物内測定機器41と同様に、スマートキーKと無線通信が可能な車両側送信手段としての機器通信部C15を有している。機器通信部C15は、車載測定機器C14により検出された生体情報をスマートキーKに対して送信する。
【0039】
なお、本実施形態においては、体温や心拍数など人の体調や環境によって数値や状態が変化する可能性のある情報を生体情報としている。したがって、身長や指紋など人の体調や環境によって数値や状態が変化しない人が有する身体的な特有情報は生体情報には含まないこととしている。
【0040】
スマートキーKは、建物内測定機器41や車載測定機器C14から受信した生体情報を記憶するキー記憶部K10を有している。キー記憶部K10には生体情報が脱衣室12や車両Cなど検出場所に関連付けて記憶され、スマートキーKは、キー記憶部K10に記憶された生体情報をコントローラ31(建物側通信装置33)に対して送信する。また、スマートキーKは生体情報に加えてID情報を送信する。なお、生体情報にはその生体情報の検出場所を示す情報が含まれている。
【0041】
スマートキーKは、建物内測定機器41から生体情報を受信した場合、受信したことをトリガとして、その生体情報をキー記憶部K10に記憶するとともに生体情報をコントローラ31に対して送信する。一方、車載測定機器C14から生体情報を受信した場合、その生体情報をキー記憶部K10に記憶させた後、リクエスト信号を受信したことをトリガとして生体情報をコントローラ31に対して送信する。つまり、認証処理のためにID情報を送信する際に、そのID情報と一緒に生体情報をコントローラ31に対して送信する。
【0042】
なお、スマートキーKは、ECUC11から運転情報を受信した場合、その運転情報をキー記憶部K10に記憶させた後、生体情報とともに運転情報をコントローラ31に対して送信する。
【0043】
コントローラ31の主記憶部35にはデータベースが記憶されており、コントローラ31はスマートキーKから送信された生体情報をデータベースに格納する。データベースにおいて、生体情報はスマートキーKのID情報とセットで格納されている。データベースにおいて生体情報は、脱衣室12や車両Cなどの検出場所に対応させて、体温や心拍数などといった生体情報項目ごとに時系列で並べられている。コントローラ31は、データベースに格納されている過去の生体情報に基づいて今後の生体情報を推定情報として推定する。例えば生体情報項目のうち体温について、過去(例えば6時間前)から現在までの体温変化に基づいて今後の体温変化を推定する。
【0044】
コントローラ31には、人により入力操作が行われる操作装置51と、報知動作を行う報知装置52とが電気的に接続されている。操作装置51は、建物10に設けられており、例えば玄関11の壁面において人が操作可能な位置に取り付けられている。操作装置51は、入力操作により入力された各種情報をコントローラ31に対して送信し、コントローラ31は受信した各種情報を主記憶部35に記憶させる。操作装置51から入力される情報には、認証処理に用いられる登録情報、人の健康状態(例えば持病の有無)、嗜好に関する情報などが含まれている。
【0045】
報知装置52は、音声を出力するスピーカや報知画面を表示する表示モニタなどを含んで構成されており、建物10内において例えば玄関11の壁面に取り付けられている。
【0046】
コントローラ31は、建物10において人の健康を支援する処理を健康支援制御処理として行う。ここでは、健康支援制御処理の処理手順について、図2のフローチャートを参照しつつ説明する。なお、健康支援制御処理は所定周期で繰り返し実行される。
【0047】
図2において、ステップS11では、スマートキーKからID情報や解錠信号、生体情報を受信したか否かを判定する。受信していない場合はそのまま本処理を終了し、受信した場合はステップS12に進み、車両C内の体調を推定するか否かを判定する。ここでは、スマートキーKから受信した信号に検出場所が車両Cである生体情報が含まれているか否かを判定し、含まれている場合に車両C内の体調を推定するとして、ステップS13に進む。
【0048】
ステップS13では、車両Cにて取得された生体情報をスマートキーKのID情報に関連付けて生体情報項目ごとに主記憶部35のデータベースに格納する。ステップS14では、検出場所が車両Cの生体情報に基づいて車両Cでの人の体調を推定する。ここでは、生体情報項目ごとに判定基準となる正常値又は正常な変化態様の許容範囲を設定しておき、車両Cにおける生体情報の検出値や実変化態様が許容範囲に含まれているか否かを生体情報項目ごとに判定する。そして、全ての生体情報項目が許容範囲に含まれていれば車両C内の体調が良好であったと推定し、許容範囲に含まれない生体情報項目があれば車両C内の体調が良好でなかったと推定する。また、車両Cでの人の体調の推定結果を主記憶部35に記憶させる。
【0049】
なお、生体情報のうち許容範囲に含まれない生体情報項目が一部である場合や、生体情報項目が許容範囲に含まれていなくてもその外れ量が小さい場合などは、全ての生体情報項目が許容範囲に含まれていなくても人の体調が良好であったと推定してもよい。
【0050】
ステップS15では、車両C内の体調に合わせて人の健康を支援する健康支援処理を行う。ここでは、車両Cでの人の体調を報知装置52から音声や表示画面などにより報知する。また、車両Cでの人の体調に合わせてアドバイス情報を設定し、そのアドバイス情報を報知する。なお、照明器具や空調装置といった建物設備が制御対象となっていれば、健康支援処理において建物設備の動作制御を行ってもよい。この場合、建物内空間の環境を車両Cでの人の体調に合わせて整えることができる。
【0051】
車両C内の体調推定を実行しない場合(ステップS12がNO判定の場合)、ステップS16に進み、人が車両Cから建物内空間に移動した場合の体調を推定するか否かを判定する。ここでは、スマートキーKから受信した信号に検出場所が建物内空間の生体情報が含まれているか否かを判定し、含まれている場合に、検出場所が車両Cの生体情報を受信してから検出場所が建物内空間の生体情報を受信するまでの経過時間が所定時間(例えば3時間)以内であるか否かを判定する。そして、経過時間が所定時間以内である場合に、車両Cから建物内空間に移動した人の体調を推定するとして、ステップS17に進む。
【0052】
ステップS17では、建物内空間にて取得された生体情報をスマートキーKのID情報に関連付けて生体情報項目ごとに主記憶部35のデータベースに格納する。なお、この処理を実行する場合、車両Cにて取得された生体情報を主記憶部35のデータベースに格納する処理(ステップS13の処理)は既に実行されており、データベースには建物内空間で検出された最新の生体情報と車両Cで検出された最新の生体情報とが格納されている。
【0053】
ステップS18では、生体情報のうち車両C及び建物10の両方にて検出される体温や心拍数といった共通の生体情報項目について、車両Cと建物内空間とでそれぞれの検出値や実変化態様を比較する。ここでは、建物内空間で検出された最新の生体情報と車両Cで検出された最新の生体情報とを比較する。
【0054】
ステップS19では、建物内空間及び車両Cにおいて共通の生体情報項目の比較結果に基づいて、車両Cから建物内空間へ移動した人の体調を推定する。ここでは、車両Cと建物内空間とでの検出値や実変化態様の実差異を算出し、その差異に基づいて人の体調を判定する。ここで、人が車両Cを運転している時の生体情報は、運転によるストレスや疲労、運転時間、走行距離などの理由により、同じ人が建物内空間にいる時の生体情報とは異なると考えられるため、人の体調が良好である場合の差異を正常差異としてあらかじめ算出又は推定して定めておく。そして、実差異と正常差異とを比較して、実差異が正常差異に含まれていれば人の体調が良好であると推定する。また、車両Cから建物内空間に移動した人の体調の推定結果を主記憶部35に記憶させる。
【0055】
ステップS15では、車両Cから建物内空間に移動した人の体調に合わせて健康支援処理を実行する。ここでは、車両C内での体調に合わせて健康支援処理を実行する処理と同様に、車両Cから建物内空間に移動した人の体調を報知する処理や、その人の体調に合わせてアドバイス情報を報知する処理を行う。
【0056】
人が車両Cから建物内空間に移動した場合の体調推定を実行しない場合(ステップS16がNO判定の場合)、ステップS20に進み、建物内空間での体調を推定するか否かを判定する。ここでは、車両Cから建物内空間に移動した人の体調推定実行の判定と同様に、スマートキーKから受信した信号に検出場所が建物内空間の生体情報が含まれているか否かを判定し、含まれている場合に、検出場所が車両Cの生体情報を受信してから検出場所が建物内空間の生体情報を受信するまでの経過時間が所定時間(例えば3時間)以内であるか否かを判定する。そして、経過時間が所定時間より大きい場合に、建物内空間にいる場合の体調を推定するとして、ステップS21に進む。
【0057】
ステップS21では、建物内空間にて取得された生体情報をスマートキーKのID情報に関連付けて生体情報項目ごとに検出場所に対応させて主記憶部35のデータベースに格納する。ステップS22では、検出場所が建物内空間である生体情報に基づいて建物10での人の体調を推定する。ここでは、車両C内での体調を推定する場合と同様に、生体情報項目ごとに判定基準となる正常値又は正常な変化態様の許容範囲を設定しておき、建物内空間における生体情報の検出値や実変化態様が許容範囲に含まれているか否かを生体情報項目ごとに判定する。そして、全ての生体情報項目が許容範囲に含まれていれば建物内空間での体調が良好であると推定し、許容範囲に含まれない生体情報項目があれば建物内空間での体調が良好であると推定する。また、建物内空間での人の体調の推定結果を主記憶部35に記憶させる。
【0058】
ステップS15では、建物内空間での人の体調に合わせて健康支援処理を行う。ここでは、車両C内での体調に合わせて健康支援処理を実行する処理と同様に、建物内空間での人の体調を報知装置52から報知する処理や、その人の体調に合わせてアドバイス情報を報知する処理を行う。
【0059】
次に、スマートキーKを携帯するユーザの移動に合わせてそのユーザの健康支援が行われる例について説明する。
【0060】
ユーザが車両運転後、車両Cを降りて玄関出入口21に近づいた場合、スマートキーKを対象とした認証処理が行われて玄関ドア22が解錠されるとともに、車両C内で検出た生体情報がスマートキーKからコントローラ31に送信される。この場合、車両C内でのユーザの体調が良好だったのであればその旨が報知され、良好でなかったのであればその旨が報知される。また、その体調の対処方法などがアドバイス情報として報知される。
【0061】
ユーザが玄関出入口21から建物10に入った後、それに続いて所定時間(例えば3時間)が経過するまでの期間で脱衣室12や浴室13、トイレ15など建物内空間で生体情報が検出された場合、その生体情報がスマートキーKを介してコントローラ31に送信され、車両Cでの生体情報と建物内空間での生体情報との両方に基づいて報知処理が行われる。この場合、建物内空間での体調が良好であっても車両Cでの体調が良好でなかったのであれば、その旨が報知され、さらにその場合の対処方法などがアドバイス情報として報知される。
【0062】
また、この場合、建物内空間での体調が良好でなければ、建物内空間での体調や車両Cでの体調、運転状況に合わせて報知処理が行われる。例えば、心拍数が高め、尿に関する検出数値が異常値(例えば塩分に関する数値が高い)、肌保湿程度が低いという生体情報が取得された場合、長時間の運転により疲労していること、夏期であれば寝室14の温度をやや低め(例えば28℃)となるようにエアコンを運転させて快眠による疲労回復を推奨することなどが報知される。
【0063】
ユーザが帰宅してから所定時間(例えば3時間)以上が経過した後、建物内空間で生体情報が検出された場合、その生体情報がスマートキーKを介してコントローラ31に送信される。この場合、建物内空間での体調が良好であればその旨が報知され、良好でなければその旨が報知される。また、その体調の対処方法などがアドバイス情報として報知される。例えば、体重が増加、尿に関する検出数値が異常値、体脂肪率が増加という生体情報が取得された場合、体重及び体脂肪率が増加したこと、冬期であればカロリーを抑えた食事と温かい飲み物を用意するなどの食事制限を推奨することなどが報知される。
【0064】
なお、ユーザの行動予定がスケジュール情報として主記憶部35に記憶されている場合、帰宅後のユーザの行動予定に合わせてアドバイス情報が設定される。例えば、ユーザが昼間に帰宅した場合、帰宅後に運動する予定であればカロリーの高い食事の摂取を許容する旨のアドバイス情報が設定される。また、ユーザが深夜に帰宅した場合、帰宅後に運動せずに就寝する予定であればカロリーの低い食事の摂取を推奨する旨のアドバイス情報が設定される。
【0065】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0066】
建物内測定機器41や車載測定機器C14により検出された生体情報はスマートキーKに対して送信されるとともに、スマートキーKから生体情報及びID情報がコントローラ31に対して送信され、生体情報とID情報とがセットでコントローラ31の主記憶部35に記憶される。ここで、ID情報はスマートキーKの所有者に関する所有者情報となっているため、生体情報と人とが関連付けられていることになる。したがって、建物内測定機器41や車載測定機器C14にて検出された生体情報がスマートキーKを介さずに主記憶部に記憶される構成とは異なり、建物内測定機器41や車載測定機器C14、コントローラ31などが生体情報とスマートキーKの携帯者とを関連付ける認証処理などを行う必要がない。これにより、測定機器41,C14にて人が関連付けのための入力操作を行うなどといった煩わしさを解消できる。
【0067】
以上の結果、生体情報に基づいて人の健康を支援するシステムにおいて、建物10や車両Cにて取得された生体情報を好適に管理することができる。
【0068】
車載測定機器C14により検出された生体情報はスマートキーKのキー記憶部K10に記憶され、スマートキーKにより玄関ドア22が解錠される際にコントローラ31に対して送信される。この場合、車両Cにて検出された生体情報を一旦蓄積して任意のタイミングでスマートキーKからまとめて送信させることができる。このため、スマートキーKの携帯者が車両Cに乗って外出している場合に、スマートキーKと建物側通信装置33とが通信不能になっていても、車両Cにて検出された生体情報が携帯者の帰宅に伴って主記憶部35に記憶される。したがって、スマートキーKと建物側通信装置33とが通信不能な状況であるにもかかわらずスマートキーKから生体情報が送信されるということを回避できる。つまり、車両Cでの人の生体情報をコントローラ31の主記憶部35に記憶できないといった不都合を回避できる。
【0069】
建物内測定機器41により検出された生体情報は、スマートキーKのキー記憶部K10に記憶されるとともにスマートキーKからコントローラ31に対して送信される。この場合、建物内空間にて検出された生体情報を一旦蓄積して任意のタイミングでスマートキーKからまとめて送信することができる。このため、仮に、建物内測定機器41がスマートキーKと建物側通信装置33とが通信不能なエリアに設置されていても、携帯者が通信可能なエリアに移動した際にスマートキーKから建物側通信装置33に対して生体情報を送信することができる。したがって、スマートキーKと建物側通信装置33とが通信不能であるにもかかわらずスマートキーKから生体情報が送信されるということを回避できる。つまり、建物10での人の生体情報をコントローラ31の主記憶部35に記憶できないといった不都合を回避できる。
【0070】
人が車両Cから建物10に移動した場合、人が建物10に入った直後など建物10で生体情報が検出されていなくても、車両Cで検出された生体情報に基づいて人の体調を推定することができる。また、建物10で生体情報が検出された後は、建物10で検出された生体情報だけでなくそれ以前に車両Cで検出された生体情報を加味して人の体調を推定することができる。したがって、建物10で検出された生体情報を車両Cで検出された生体情報を適宜使い分けることにより、車両Cから建物10に移動した人の健康支援を好適に行うことができる。
【0071】
また、この場合、車両Cでの体調に合わせた報知処理と、車両Cから建物10に移動した後の体調の変化に合わせた報知処理との両方を行うことができる。すなわち、スマートキーKの携帯者が車両Cから建物10に移動した場合、携帯者の体調が車両での体調のまま保たれている間はその体調に合わせて報知処理を行い、携帯者が建物10内にいる時間が長くなるにしたがって携帯者の体調が建物10に合わせて変化し始めたらその変化に合わせて報知処理行うことができる。したがって、車両Cから建物10に移動した人の体調に変化を考慮して健康支援の内容を再調整することができる。
【0072】
人が車両Cから建物10に移動し、建物10で生体情報が検出された場合、建物10における人の滞在時間が所定時間に達するまでは車両Cで検出された生体情報及び建物10で検出された生体情報の両方に基づいて人の体調が推定され、滞在時間が所定時間に達した後は車両Cで検出された生体情報にかかわらず建物10で検出された生体情報に基づいて人の体調が推定される。このため、車両Cから建物10に移動した人が建物10の環境に慣れるまでは建物10での体調だけでなく車両Cでの体調を加味して報知処理を行うことができ、建物10の環境に慣れてからは車両Cでの体調を加味せずに報知処理を行うことができる。つまり、建物10の環境に対する人の慣れを考慮して健康支援の内容を再調整することができる。
【0073】
建物内空間で検出された生体情報と車両Cで検出された生体情報とが両方に含まれる共通の項目について比較され、その比較結果に基づいて人の体調が取得される。このため、人が車両Cと建物10とを移動した場合に、温度や湿度といった空気環境の違いや運転によるストレスや疲労といった生活状況の違いなどによる体調の変化を把握することができる。したがって、車両Cから建物10に移動した人の体調にとって都合の良いアドバイス情報を報知することができる。
【0074】
(他の実施形態)
本発明は上記各実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0075】
(1)人が有する身体的な特有情報に基づいて玄関ドア22や車両ドアの施解錠が行われる構成としてもよい。例えば、身長、顔面の輪郭などの特有情報を検出する特有情報センサが設けられており、コントローラ31がスマートキーKのID情報と特有情報センサにより検出された特有情報とに基づいて認証処理を行う構成とする。この構成において特有情報センサは、外壁23における玄関出入口21周辺の屋外面に取り付けられており、人が屋外において玄関出入口21に近づいた場合にその人の特有情報を検出する。
【0076】
コントローラ31は、玄関出入口21に近づいた人を対象としてスマートキーKのID情報に基づいて認証処理を行い、スマートキーKが正規のキーであれば、特有情報センサにより検出された特有情報があらかじめ登録された登録情報と一致するか否かを判定する。一致する場合、携帯者が登録者であると判定し、玄関ドア22を解錠させる。したがって、人の特有情報を用いて認証処理を行うことにより、建物10の防犯性を高めることができる。
【0077】
(2)建物10から出てから戻ってくるまでの屋外における人の行動を示す行動情報に基づいて玄関ドア22の施解錠が行われる構成としてもよい。例えば、図3に示すように、人の歩きや走りに伴う歩数を検出する歩数計K11がスマートキーKに設けられている構成とする。この構成においてスマートキーKには操作スイッチK12が設けられており、スマートキーKは操作スイッチK12が解錠操作されることで解錠信号を送信する。ここで、スマートキーKは解錠信号に加えて、歩数計K11により検出された歩数を歩数情報として送信し、コントローラ31は解錠信号及び歩数情報に基づいて玄関ドア22の施解錠を行う。なお、歩数計K11は、スマートキーKにより玄関ドア22の施錠が行われてから解錠が行われるまでの間において歩数を検出する。つまり、人の外出中において歩数を検出する。
【0078】
コントローラ31は、図4(a)に示すように人がスマートキーKから解錠信号が送信され、その解錠信号を受信した場合に、歩数計K11により検出された歩数が所定値(例えば3000歩)より大きいか否かを判定する。歩数が所定値より大きい場合、図4(b)に示すように玄関ドア22を解錠させる。一方、歩数が所定値より大きくない場合、図4(c)に示すように玄関ドア22を解錠させない。なお、この場合、「設定歩数まであと1000歩足りません」といった解錠を行わない理由等を音声アナウンスにより報知させる。また、歩数が所定値より大きくなくても強制解錠の操作が操作スイッチK12に対して行われた場合、図4(d)に示すように玄関ドア22を解錠させる。なお、この場合、「設定歩数に足りません」といった歩数に関する情報を音声アナウンスにより報知させる。
【0079】
この構成によれば、外出中の人に歩いたり走ったりすることを促すことができる。したがって、建物10の防犯性を高めつつ、運動不足解消を図ることができる。
【0080】
なお、歩数計K11の検出結果はコントローラ31において主記憶部35に記憶される。この場合、報知装置52において過去の歩数情報をグラフ等にて人に知らせることにより、日々の健康管理を行うことができる。
【0081】
(3)上記実施形態では、生体情報のうち車両C及び建物10の両方にて検出される共通の項目を比較して人の体調を推定する構成としたが、複数の建物内空間のそれぞれにおいて検出される共通の項目を比較して人の体調を推定する構成としてもよい。例えば、複数の建物内空間に設けられた各建物内測定機器41により検出された検出値や実変化態様を比較し、その比較結果に基づいて複数の建物内空間を移動した人の体調を推定する。これにより、建物10内を移動した人にとって都合の良い内容の健康支援処理を行うことができる。
【0082】
また、この場合、所定時間(例えば24時間)の間に検出された全ての生体情報について生体情報項目を建物内空間ごとに比較することが好ましい。これにより、建物10内において所定時間での体調変化を取得し、その体調変化に合わせて健康支援処理を行うことができる。
【0083】
(4)上記実施形態では、建物内測定機器41や車載測定機器C14により検出された生体情報は、玄関ドア22や車両ドアの施解錠に用いられるID情報とセットでコントローラ31の主記憶部35に記憶されるが、ID情報とは異なる専用情報とセットで主記憶部35に記憶されてもよい。例えば、スマートキーKのキー記憶部K10にID情報と専用情報とが記憶されており、スマートキーKは生体情報及びID情報に加えて専用情報をコントローラ31に対して送信することが可能な構成とする。この構成では、スマートキーKが生体情報を送信する場合、その生体情報とセットで専用情報を送信する。
【0084】
なお、スマートキーKに操作部が設けられている場合、その操作部に対して送信操作が行われたことを条件としてスマートキーKから生体情報が送信される構成としてもよい。
【0085】
(5)上記実施形態では、コントローラ31の主記憶部35が記憶装置とされていたが、スマートキーKのキー記憶部K10が記憶装置とされていてもよい。例えば、コントローラ31に主記憶部35が設けられておらず、コントローラ31がキー記憶部K10に記憶された生体情報に基づいて人の体調を推定する構成とする。この構成においては、スマートキーKが、生体情報をスマートキーKのID情報とセットで格納しているデータベースをキー記憶部K10に記憶させ、データベースに格納しているデータをコントローラ31に対して送信することが好ましい。また、
(6)人の体調に合わせた健康支援処理として車載機器の動作制御が行われてもよい。例えば、スマートキーKから生体情報及びID情報が車両CのECUC11に対して送信され、ECUC11が生体情報に基づいて人の体調を推定するとともに、体調に合わせて車載エアコンや車載視聴覚機器といった車載機器の動作制御を行う構成とする。これにより、車両C内にいる人の体調に合わせて車両C内の環境を整えることができる。なお、この場合、ECUC11が制御手段に相当する。また、車載記憶部C13に生体情報が記憶される構成であれば、車載記憶部C13が記憶装置に相当する。
【0086】
(7)上記実施形態では、建物内測定機器41により生体情報が検出された場合、検出されるたびに生体情報がスマートキーKからコントローラ31に対して送信される構成としたが、スマートキーKからコントローラ31に対する生体情報の送信が所定のタイミングで行われる構成としてもよい。例えば、コントローラ31が定期的に人の体調を推定する構成である場合に、体調推定の実行時にスマートキーKからコントローラ31に対して生体情報が送信される構成とする。これにより、複数回にわたって検出された生体情報をまとめてスマートキーKからコントローラ31に対して送信させ、主記憶部35にまとめて記憶させることができる。
【符号の説明】
【0087】
10…建物、21…建物の出入口としての玄関出入口、22…建物ドアとしての玄関ドア、31…記憶実行手段及び制御手段としてのコントローラ、35…記憶装置としての主記憶部、41…建物側取得手段としての建物内測定機器、C…車両、C14…車両側取得手段としての車載測定機器、K…電子キーとしてのスマートキー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の出入口に設けられた建物ドアの施解錠と車両に設けられた車両ドアの施解錠とが携帯用の電子キーから送信される信号により行われる防犯システムに適用され、
前記建物に設けられ、該建物内での人の生体情報を建物側生体情報として取得する建物側取得手段と、
前記車両に設けられ、該車両内での人の生体情報を車両側生体情報として取得する車両側取得手段と、
前記電子キーに設けられ、前記建物側取得手段により取得された建物側生体情報及び前記車両側取得手段により取得された車両側生体情報を受信するキー受信部と、
前記キー受信部が受信した前記建物側生体情報及び前記車両側生体情報を、前記電子キーが有する所有者情報に関連付けて記憶装置に記憶させる記憶実行手段と、
前記記憶装置に記憶された建物側生体情報及び車両側生体情報の少なくとも一方に基づいて人の健康を支援する健康支援処理を行う制御手段と、
を備えていることを特徴とする健康支援システム。
【請求項2】
前記電子キーは、
前記キー受信部が受信した前記車両側生体情報を記憶するキー記憶部と、
前記キー記憶部に記憶された前記車両側生体情報を前記所有者情報とともに前記記憶装置に記憶させるために送信するキー送信部と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の健康支援システム。
【請求項3】
前記電子キーは、前記建物ドアの解錠のための解錠信号を送信する際に前記キー送信部から前記車両側生体情報及び前記所有者情報を送信させることを特徴とする請求項2に記載の健康支援システム。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記車両側取得手段により前記車両側生体情報が取得された後に、それに続いて前記建物側取得手段により前記建物側生体情報が取得されるまでの期間で、前記建物側生体情報及び前記車両側生体情報のうち前記車両側生体情報に基づいて前記健康支援処理を行う手段と、
前記車両側取得手段により前記車両側生体情報が取得された後に、前記建物側取得手段により前記建物側生体情報が取得されてからの期間で、前記建物内において前記建物側生体情報及び前記車両側生体情報の両方に基づいて前記健康支援処理を行う手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の健康支援システム。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記車両側取得手段による前記車両側生体情報の取得が行われてからの経過時間が所定時間に達したか否かを判定する手段と、
前記経過時間が所定時間に達していない場合に、前記建物内において前記建物側生体情報及び前記車両側生体情報の両方に基づいて前記健康支援処理を行う手段と、
前記経過時間が所定時間に達した場合に、前記建物内において前記建物側生体情報及び前記車両側生体情報のうち前記建物側生体情報に基づいて前記健康支援処理を行う手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の健康支援システム。
【請求項6】
前記建物側取得手段及び前記車両側取得手段により取得される前記建物側生体情報及び前記車両側生体情報にはそれぞれ共通の生体情報項目が含まれており、
前記制御手段は、前記建物側生体情報に含まれている前記共通の生体情報項目と前記車両側生体情報に含まれている前記共通の生体情報項目とを比較してその比較結果に基づいて前記健康支援処理を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の健康支援システム。
【請求項7】
前記建物側取得手段は複数の建物内空間にそれぞれ設けられており、
前記複数の建物内空間に設けられた各建物側取得手段により取得された建物側生体情報にはそれぞれ共通の生体情報項目が含まれており、
前記制御手段は、各建物側生体情報のそれぞれに含まれている共通の生体情報項目を比較してその比較結果に基づいて前記健康支援処理を行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の健康支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−216026(P2011−216026A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85535(P2010−85535)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】