説明

健康検査システム

【課題】ユーザが健康検査を望むときに、最寄の場所で検査キットを容易に入手でき、匿名で検査の申込み手続きができ、かつ、検査結果を時間と場所に制約なく取得できる。
【解決手段】この発明は、検査キットが収納された検査キット缶9を販売する自動販売機1と、この自動販売機1で購入した検査キットでユーザが採取した血液、尿、大便などを郵送で受け取り、その各検査を行う検査センター2と、自動販売機1で購入した検査キットに付された申し込み登録用の個別の取引番号を受信して登録するとともに、検査センター2の検査結果を配信する運営サーバ3aと、を備えている。運営サーバ3aは、取引番号を受信の際にユーザ識別情報を受信するようにし、その受信したユーザ識別情報毎に検査結果をファイル化するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液などを検査する検査キットを自動販売機で購入し、この購入した検査キットを用いて血液などをユーザが採取し、この採取した血液を検査センターに郵送すれば、その後に検査結果をネットワークを利用して取得できるようにした健康検査システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の健康度チェックは、一般に医療機関に出かけて行なう「健康診断」「検診」や「血液、尿検査」などである。
しかし、病気でもなく、自分の現在の健康度を簡単に知りたい受検者にとっては、いちいち医療機関まで出向いたり、待ち時間を費やしたり、また高い料金を払う必要があるなど、これら大きな負担がある。
【0003】
このため、検査から遠ざかるようになり、予防的なチェックができずに本当の病気になってしまうことも多く、個人や家族のリスクやまた国家的な医療コストの増大につながっていた。このように、従来の健康度チェックでは、制度の使い勝手上とコスト上の課題を持っていた。
また、事業所によっては、集団検診ができるようなレントゲン装置を積んだ検診用車両すなわち「集団検診車」を用意することもあるが、年間でも1〜2回の回数が多く、受診者が好きな時に受診できなくて不便であるのが実態であった。
【0004】
ところで、本人識別情報と関連付けた健康診断結果を迅速に集計できる、健康診断システムや検査方法に関する発明が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この発明では、車両設備一式が相当に高額になるので、公共的な場所に定常的に設置できるようなものではなく、利用者が予防的にマイペースで使用できる健康チェックの装置には採用が難しい。
【0005】
また、最近の事例では、「コンビニ検診」というサービスがネット上で始まっている。このサービスは、各種の検診をネットで申込み、コンビニで料金を支払えば検診キットが自宅に郵送され、このキットのテストピースに血液、尿、また便などを採取し、検診ビジネス運営企業の検査センターに返送する。すると、2週間くらいで結果が送られてくる仕組みである。
【0006】
この場合、検査そのものは精度も高く信頼性もかなり高いが、このような知られたくない検査を受けていることや検査内容が家族や勤務先などに知られるおそれがある。これが無用な心配をかけることになり、プライバシー保護には対応できないという課題があった。また、単身世帯の増加などで留守宅の場合には、検査キットの受取りや郵送物の検査結果の受取りができない場合が多いというような問題もあった。
【0007】
このような背景の下では、利用者が健康検査を望むときに、最寄の場所で検査キットを容易に入手でき、匿名で検査の申込み手続きができ、かつ、検査結果を時間と場所に制約されることなく取得できるようにした新規なシステムの出現が望まれる。
【特許文献1】特開2004−237084号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記の点に鑑み、利用者が健康検査を望むときに、最寄の場所で検査キットを容易に入手でき、匿名で検査の申込み手続きができ、かつ、検査結果を時間と場所に制約されることなく取得できる健康検査システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決し本発明の目的を達成するために、各発明は以下のように構成するようにした。
すなわち、請求項1に係る発明は、検査キットが収納された検査キット缶を販売する自動販売機と、この自動販売機で購入した検査キットを使用してユーザが採取した血液を郵送で少なくとも受け取り、ユーザが申し込んだ検査項目の検査を行う検査センターと、この自動販売機で購入した検査キット缶に付されている申し込み登録用の個別の取引番号を受信して登録するとともに、前記検査センターの検査結果を配信する運営サーバと、を備え、少なくとも前記運営サーバはネットワークに接続され、かつ、前記運営サーバは、前記取引符号を受信の際にユーザ識別情報を受信するようにし、その受信したユーザ識別情報に関連付けて前記検査結果を登録するようになっている。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の健康検査システムにおいて、前記自動販売機は、前記検査キット缶の他に飲料用缶を併せて販売するようになっており、前記検査キット缶は、外形が前記飲料用缶と類似であるとともに、販売時の重量が飲料用缶の販売時の重量とほぼ同一である。
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の健康検査システムにおいて、前記運営サーバと前記ネットワークを介して双方向通信が可能な端末装置を、さらに備え、前記運営サーバは、前記端末装置から前記取引番号を受信して登録した時点で、前記端末装置に対して閲覧用パスワードおよび料金領収データを送信するようにした。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の健康検査システムにおいて、前記端末装置は、取得した閲覧用パスワードとユーザ識別情報を使用して前記運営サーバから検査結果を受信するようになっている。
請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のうちの何れかに記載の健康検査システムにおいて、前記ユーザ識別情報は、ユーザのメールアドレスおよびユーザのニックネームのうちの何れかである。
請求項6係る発明は、請求項3、請求項4、または請求項5に記載の健康検査システムにおいて、前記端末装置は携帯電話である。
【発明の効果】
【0012】
このような構成からなる本発明によれば、自動販売機を適当な公共的な場所に設置しておけば、誰もがいつでも簡単に自分の手で、自分の健康検査に使用する検査キットを入手できる。
また、本発明によれば、入手した検査キットに対応する検査の申し込みを自己の携帯電話などを使用して行えるので、医療機関で検診などを受ける前に他人に知られたくない予備的検診が行なえる。
さらに、本発明によれば、利用者のメールアドレスやニックネームなどの識別情報を用いて、検査データと関連付けがされるので、利用者のプライバシーが保護できる。
また、本発明によれば、検査データを携帯電話などを使用して閲覧できるので、その検査データを時間と場所に制約されることなく取得できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の健康検査システムの実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の健康検査システムの実施形態の全体の構成を示す図である。
(健康検査システムの構成)
この健康検査システムは、例えば健康診断会社などが主体となって運営されるものであり、図1に示すように、検査キット缶自動販売機1と、検査センター2の検査サーバ2aと、データセンター3の運営サーバ3aと、検査キット缶自動販売機1の管理サーバ4と、パーソナルコンピュータなどの端末装置5と、無線基地局6とを含み、これらがネットワーク7にそれぞれ接続されている。
【0014】
ここで、検査センター2およびデータセンター3は例えば健康診断会社が所有し、検査サーバ2aや運営サーバ3aも健康診断会社が所有するものとする。
検査キット缶自動販売機1は、公共的な場所に設置され、ユーザ8が健康検査(健康診断)が必要であると感じたときにその健康検査に必要な検査キット缶9を購入するためのものであり、ネットワーク7を介して管理サーバ4などと双方向の通信ができるようになっている。
【0015】
検査センター2は、検査キット缶9を購入した検査キットを使用してユーザ8が採取した血液、尿、大便などの各サンプルを郵送で受け取り、そのユーザが申し込んだ検査項目の各検査を行う。そして、その検査結果は、検査サーバ2aのデータベース2bに登録されるようになっている。
運営サーバ3aは、ユーザ8が購入した検査キット缶9に付されている申し込み登録用の個別の取引番号、およびユーザを識別するためのユーザ識別情報(メールアドレスまたはニックネームなど)が携帯電話11などから送信されてくると、それを受信してデータベース2bに登録するようになっている。
【0016】
また、運営サーバ3aは、検査があったときに検査センター2から検査データを取得し、この取得した検査データをユーザ識別情報に関連付けてデータベース2bに登録しておき、この登録してある検査データをユーザ8からの閲覧要求に応じて配信できるようになっている。
管理サーバ4は、検査キット缶自動販売機1を管理するためのサーバであり、ネットワーク7を介して検査キット缶自動販売機1と双方向の通信ができるようになっている。この管理サーバ4は、例えば検査キット缶メーカ12が所有している。
【0017】
端末装置5は、ユーザ8の自宅10などに設置されるものであり、ユーザ8が必要に応じて、ネットワーク7を介して運営サーバ3aと双方向通信できるようになっている。
無線基地局6は、ユーザ8の所有する携帯電話11と無線通信を行うものである。従って、携帯電話11は、無線基地局6を経由し、ネットワーク7上の運営サーバ3aと双方向通信を行うことができるようになっている。
検査キット缶9は、その内部に購入したユーザが健康診断のために使用する検査キットが収納されている。検査キットは、血液、尿、大便などを採取する用具と、その採取したサンプルを収納する容器などからなる。
【0018】
(健康検査システムの運営例の概要)
次に、このような構成からなる健康検査システムの運営例の概要について、図1を参照して説明する。
ユーザ8は、検査キット缶自動販売機1で検査キット缶9を購入すると、その検査キット缶9などに取引番号や運営者のメールアドレスが付されている。そこで、ユーザ8は、携帯電話11などの端末を使用してデータセンター3に健康検査の申し込みを行うが、この申し込みは、データセンター3の運営サーバ3aにその取引番号を送信することにより行う。このときには、ユーザ8はユーザ識別情報として、メールアドレスも送信する。その送信された取引番号とメールアドレスは、データセンター3のデータベース3bに登録される。
【0019】
それが登録された時点で、運用サーバ3aは、ユーザ8の携帯電話11に対して、閲覧用パスワードおよび料金領収データを送信する。これにより、ユーザ8は閲覧用パスワードおよび料金領収データを取得する。
その後、ユーザ8は、検査キット缶9の内容物である検査キットを使用して血液、尿、大便など採取し、その採取した各サンプルを所定の容器に入れて、その各容器を郵便物13にして検査センター2に郵送する。
【0020】
その郵便物13を受け取った検査センター2は、その郵便物13を開封して各容器からサンプルをそれぞれ取り出し、その各検査を行い検査データを取得する。この取得した検査データは、検査サーバ2aのデータベース2bに登録する。
また、その検査データは、運営サーバ3aのデータベース3bに登録する。この登録の際には、運営サーバ3aは、すでに受信済みであるユーザのメールアドレスを用いてその検査データをファイル化し、そのファイルをデータベース3bに登録する。
【0021】
その後、ユーザ8は、端末装置5または携帯電話11を利用することにより、データセンター3から検査データを取得する。この場合には、端末装置5または携帯電話11を用いて運営サーバ3aに接続し、メールアドレスおよび取得済みの閲覧用パスワードを使用することにより、ユーザ8はデータベース3bに登録される自己の健康検査の結果を示す検査データを閲覧する。
【0022】
(検査キット缶自動販売機の外観構成)
図2は、図1に示す検査キット缶自動販売機1の外観構成を示す斜視図である。
この検査キット缶自動販売機1は、検査キット缶9の他に従来からの飲料水が充填された飲料水缶を併せて販売するようになっている。
換言すると、この検査キット缶自動販売機1は、従来の飲料用自動販売機の自動販売機能を活用し、従来の飲料用缶の他に、その缶と外観構成および重量が類似の検査キット缶9を併せて販売できるようにしたものである。そして、この検査キット缶自動販売機1の各構成要素は、筐体21内に収納されている。
【0023】
筐体21のフロント側の上部側には、販売するための飲用水缶および検査キット缶9を陳列するための陳列部22が設けられ、その陳列部22の一部に例えば3種類の検査キット缶9が陳列され、その各缶ごとに設けられた操作ボタンをユーザが操作することにより、任意の検査キット缶9などを購入できるようになっている。
また、筐体21のフロント側の中央部の右寄りの位置には、紙幣投入口23、コイン投入口24、返却レバー25、釣り銭取り出し口26などが設けられている。さらに、筐体21のフロント側の下部には、缶を取り出すための缶取り出し口27が開口されている。また、筐体21の背面側には、通信ケーブル28および電源コンセント29が設けられている。
【0024】
(検査キット缶自動販売機の構成)
図3は、図1に示す検査キット缶自動販売機1の構成例を示すブロック図である。
この検査キット缶自動販売機1は、図3に示すように、制御部31と、缶繰り出し部32と、陳列用照明部33と、コイン処理部34と、紙幣処理部35と、操作部36と、冷却コンプレッサ37とを少なくとも含んでいる。
制御部31は、CPUやメモリなどから構成されるとともに、上記の各部が接続され、その各部は所定の手順により制御されるようになっている。また、制御部31は、ネットワークを介して図1に示す管理サーバ4と双方向通信を行うための通信部38と、各部に所定の電圧を供給する電源部39とを含んでいる。
【0025】
缶繰り出し部32は、図4に示すように、収納ラック321内に収納される検査キット缶9を1つずつ缶取り出し口27に排出するものである。このため、缶繰り出し部32は、検査キット缶9を収納する収納ラック321と、収納ラック321の排出口から検査キット缶9を1つずつ取り出すためのストッパ322a,322bと、その取り出した検査キット缶9を缶取り出し部324まで案内する傾斜板323と、を備えている。
【0026】
ここで、傾斜板323や缶取り出し部324は、検査キット缶9の他に飲用水缶も共通に使用するようになっている。
陳列照明部33は、陳列部22に陳列される検査キット缶9などの照明を行うものであり、例えば、夜間にその照明を行うようになっている。
コイン処理部34は、コイン投入口24から投入されるコインの金額の算出などの処理を行うものであり、その算出された投入金額を制御部31に通知するようになっている。紙幣処理部35は、紙幣投入口23から投入される紙幣の金額の算出などの処理を行うものであり、その算出された投入金額を制御部31に通知するようになっている。
【0027】
操作部36は、その陳列部22に陳列される飲料用缶または検査キット缶9を購入するために必要な複数の操作ボタンからなり、その各操作ボタンはその各缶ごとに陳列部22に配置されている。そして、その操作ボタンをユーザが操作すると、その旨が制御部31に通知され、その操作した操作ボタンに対応する缶が缶取り出し口27に排出されるようになっている。
冷却コンプレッサ37は、検査キット缶自動販売機1内に収納される飲料用缶や検査キット缶9を所定温度に冷やして維持するためのものであり、制御部31によりその温度制御が行われるようになっている。
【0028】
(検査キット缶の構成例)
図5は、検査キット缶自動販売機1から販売される検査キット缶9の構成例を示す斜視図である。
この検査キット缶9は、図5に示すように、その外観構成が従来の飲料用缶と類似であり、その内容物として検査キット93と重量調整用の錘94とがそれぞれ収納され、その上部側の開口部がタブ92の付いた蓋91により塞がれている。
また、この検査キット缶9は、タブ92を利用することにより、ユーザが蓋91を開けて内容物である検査キット93を容易に取り出すことができるようになっている。さらに、検査キット缶9の本体の表面側にはラベル95が貼り付けてあり、そのラベル95には図示のように運営者のメールアドレスや取引番号などが表示されている。
【0029】
検査キット93は、紙などからできた収納箱に収納され、その収納箱の表面に取引番号などが表示されている。また、検査キット93は、例えば採血キット、採尿キット、および採便キットなどからなり、その各キットの他に検査キットの使用説明書、郵送用封筒、申し込み書(ユーザのメールアドレス、取引番号、検査項目などを記入するようになっている)などを含んでいる。
【0030】
採血キットは、採血用針、この採血用針で採血した血液を入れる血液収納容器、および消毒用布などからなる。採尿キットは、採尿した尿を入れる尿収納容器などからなる。採便キットは、大便を採取する用具、この用具で採取した大便を入れる大便収納容器などからなる。
そして、この検査キット93では、上記のように採取した血液、尿、および大便の各サンプルを収納した血液収納容器、尿収納容器、および大便収納容器を、郵便用封筒を利用して検査会社2に郵送できるようになっている。
【0031】
検査キット缶9に収納される重量調整用の錘94は、検査キット缶9の販売時の全体の重量を、同じ自動販売機で販売される飲料用缶の販売時の全体の重量と同一またはほぼ同一にして、販売時における自重による落下や滑降の際の詰まりを防止するためのものである(図4参照)。このようにすると、検査キット缶9と飲料用缶の缶繰り出し部などの構成を共通にすることができる。
ここで、上記の錘94は、図5の例では1つの塊とし、これを検査キット缶9の底部側に収納するようにした。しかし、錘94を2以上に分割し、その分割したものを検査キット缶9内の適宜位置にそれぞれ分散して固定配置するようにしても良い。
【0032】
(健康検査システムの運営例の詳細)
次に、このような構成からなる健康検査システムの運営例の詳細について、図1および図6などを参照して説明する。
検査キット缶自動販売機1は、ユーザにより検査キット缶9が選択されると(ステップS1)、料金表示を行い(ステップS2)、ユーザがその表示料金を投入したか否かを判定する(ステップS3)。そして、料金が投入されたことが確認されると、検査キット缶自動販売機1は、ユーザが選択した検査キット缶9を缶取り出し口27に排出する(ステップS4)。
【0033】
このように検査キット缶9が販売されると、検査キット缶自動販売機1は、随時または必要に応じて、その販売された検査キット缶9の種類、販売個数、販売金額などの販売データを管理サーバ4に送信する(ステップS5)。管理サーバ4は、その送信された販売データを受信して所定の処理を行うともに(ステップS6)、売り上げデータを運営サーバ3aに送信する(ステップS7)。
【0034】
運営サーバ3aは、その送信された売り上げデータを受信して所定の処理を行うとともに(ステップS8)、その売り上げデータに基づき、随時または必要に応じて検査キット缶9を検査キット缶自動販売機1に補充する依頼を、管理サーバ4に対して送信する(ステップS9)。
管理サーバ4は、その補充依頼を受信すると(ステップS10)、管理サーバ4の指示に基づき、検査キット缶メーカ12は、検査キット缶自動販売機1に検査キット缶9を補充したり、使用料金の回収を行う。
【0035】
上記のように、検査キット缶自動販売機1で販売された検査キット缶9は、ユーザが取得する(ステップS11)。この取得した検査キット缶9は、そのラベル95などに運営者のメールアドレスや取引番号が表示されている。
そこで、ユーザは、携帯電話11などを使用してデータセンター3に健康検査の申し込みを行う。この申し込みは、携帯電話11でデータセンター3の運営サーバ3aにその取引番号を送信することにより行う(ステップS12)。このときに携帯電話11で送信するメールの表示内容の一例を示すと、図7に示すようになる。また、このときには、ユーザは、ユーザ(申し込み人)を識別するための識別情報として、メールアドレスまたはニックネームなどを送信する。
【0036】
その送信された取引番号とメールアドレスは、運営サーバ3aで受信されてデータベース3bに登録される(ステップS13)。それが登録された時点で、運用サーバ3aは、ユーザの携帯電話11に対して、閲覧用パスワードおよび料金領収データを送信する(ステップS14)。
携帯電話11は、その送信されたデータを受信し(ステップS15)、その受信内容を表示画面に表示する。このときの表示画面の一例を示すと、図8に示すようになる。これにより、ユーザは閲覧用パスワードおよび料金領収データを取得する。
【0037】
その後、ユーザは、自宅10において検査キット缶9の内容物である検査キット93を使用して血液、尿、大便などを採取し、その採取した各サンプルを所定の各容器に収納させる。そして、ユーザは、図1に示すように、その各容器を所定の郵便封筒に入れて検査センター2に郵便物13として郵送する(ステップS16)。
その郵便物13を受け取った検査センター2は、その郵便物13を開封して各容器からサンプルをそれぞれ取り出し、ユーザが申し込んだ検査項目の各検査を行う(ステップS17)。その検査により取得した検査データは、例えばその郵便物13の申し込み用紙に記入されていたユーザのメールアドレスに関連付けて検査サーバ2aのデータベース2bに登録する(ステップS18)。
【0038】
さらに、検査サーバ2aは、検査データをユーザのメールアドレスとともに運営サーバ3aに送信する。運営サーバ3aは、その受信した検査データについて、すでに登録済みのメールアドレスを用いて検査データファイルを作成し、この作成した検査データファイルをデータベース3bに登録する(ステップS19)。
その後、ユーザは、端末装置5または携帯電話11を利用することにより、データセンター3から検査データを取得する。この場合には、端末装置5または携帯電話11を用いて運営サーバ3aに閲覧請求を行う(ステップS20)。この閲覧請求には、自己のメールアドレスおよび取得済みの閲覧用パスワードが使用される。
【0039】
そして、閲覧が可能な場合には、運営サーバ3aは、データベース3bに登録される検査データをそのメールアドレスを用いて検索し、検索した検査データを端末装置5または携帯電話11に送信する(ステップS21)。このため、ユーザはその検査データを受信して閲覧することができ、必要であればプリントアウトすることができる。
以上説明したように、この実施形態によれば、検査キット缶自動販売機1を適当な公共的な場所に設置しておけば、誰もがいつでも簡単に自分の手で、自分の健康診断に使用する検査キットが収納される検査キット缶9を入手できる。
【0040】
また、この実施形態によれば、入手した検査キット缶に付されている取引番号を使用することにより、検査の申し込みを自己の携帯電話などで行えるので、医療機関で検診などを受ける前に他人に知られたくない予備的検診が行なえる。
また、この実施形態によれば、ユーザのメールアドレスやニックネームを使用して検査データと関連付けがされるので、ユーザのプライバシーが保護できる。
【0041】
さらに、この実施形態によれば、検査データを携帯電話などを使用して閲覧できるので、その検査データを時間と場所に制約されることなく取得できる。
また、この実施形態では、検査キット缶自動販売機1が従来の飲料用缶自動販売機を活用できるので、従来のものを部分的に改良するだけでそのまま使用できる。また、飲料用缶自動販売機は、全国の至る所に配置されており、24時間稼働している。このため、実施形態のような新しいビジネスを展開する場合に、設備投資などを最小限に抑えて比較的容易に展開できるという利点がある。
【0042】
(その他)
上記の実施形態では、検査センター2に検査サーバ2aを設け、データセンター3に運営サーバ3aを設けるようにしたが、両センターを1カ所に統合し、両サーバを1つのサーバに統合して運用するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の健康検査システムの実施形態の構成を示す説明図である。
【図2】図1に示す検査キット缶自動販売機の外観構成を示す斜視図である。
【図3】その検査キット缶自動販売機の構成例を示すブロック図である。
【図4】缶繰り出し部の構成例を示す図である。
【図5】検査キット缶の外観構成を示す斜視図である。
【図6】実施形態の具体的な運営例を説明するフローチャートである。
【図7】携帯電話による検査申し込み時の送信画面の一例を示す図である。
【図8】その検査申し込み時の受信画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
1 検査キット缶自動販売機
2 検査センター
2a 検査サーバ
3 データセンター
3a 運営サーバ
4 管理サーバ
5 端末装置
7 ネットワーク
9 検査キット缶
11 携帯電話
93 検査キット
94 重量調整用の錘

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査キットが収納された検査キット缶を販売する自動販売機と、
この自動販売機で購入した検査キットを使用してユーザが採取した血液を郵送で少なくとも受け取り、ユーザが申し込んだ検査項目の検査を行う検査センターと、
この自動販売機で購入した検査キット缶に付されている申し込み登録用の個別の取引番号を受信して登録するとともに、前記検査センターの検査結果を配信する運営サーバと、を備え、
少なくとも前記運営サーバはネットワークに接続され、
かつ、前記運営サーバは、前記取引符号を受信の際にユーザ識別情報を受信するようにし、その受信したユーザ識別情報に関連付けて前記検査結果を登録するようになっていることを特徴とする健康検査システム。
【請求項2】
前記自動販売機は、前記検査キット缶の他に飲料用缶を併せて販売するようになっており、
前記検査キット缶は、外形が前記飲料用缶と類似であるとともに、販売時の重量が飲料用缶の販売時の重量とほぼ同一であることを特徴とする請求項1に記載の健康検査システム。
【請求項3】
前記運営サーバと前記ネットワークを介して双方向通信が可能な端末装置を、さらに備え、
前記運営サーバは、前記端末装置から前記取引番号を受信して登録した時点で、前記端末装置に対して閲覧用パスワードおよび料金領収データを送信するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の健康検査システム。
【請求項4】
前記端末装置は、取得した閲覧用パスワードとユーザ識別情報を使用して前記運営サーバから検査結果を受信するようになっていることを特徴とする請求項3に記載の健康検査システム。
【請求項5】
前記ユーザ識別情報は、ユーザのメールアドレスおよびユーザのニックネームのうちの何れかであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちの何れかに記載の健康検査システム。
【請求項6】
前記端末装置は携帯電話であることを特徴とする請求項3、請求項4、または請求項5に記載の健康検査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−90466(P2008−90466A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−268704(P2006−268704)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000165974)古河機械金属株式会社 (211)