説明

健康状態判断装置

【課題】ユーザの健康状態の改善に有効であって且つユーザの意思により実施可能な具体的な改善活動を、ユーザに提示するための技術を提供する。また、日常生活における身体活動や生活習慣の改善が総合的な健康状態にどのように影響するのかを可視化するための技術を提供する。
【解決手段】健康状態判断装置は、身体活動若しくは生活習慣に関する指標である生活指標と、身体の生理的な状態に関する指標である生体指標と、を含む複数項目の指標のそれぞれについて、評価対象者から測定又は入力されたデータを蓄積する。そして、健康状態判断装置は、評価対象者の健康状態の評価を低下させている1又は複数の生体指標を、注目指標として、選択し、蓄積された生活指標及び生体指標の過去のデータを比較することにより、注目指標との相関が最も高い1又は複数の生活指標を改善可能因子として抽出し、評価対象者の健康状態の評価とともに前記改善可能因子を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康な人または疾病予備群に該当する人を主な対象とした、個人的かつ能動的な自己健康管理を支援するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、健康への関心が高まりをみせており、血圧や体重、摂取カロリーなどを日頃から管理したり、ジョギングやウォーキングなどの運動を積極的に行う人が増えはじめている。従来より、個人向け・家庭向けの健康関連機器としては血圧計、血糖計、体重計、体組成計、体温計などのさまざまな種類の計測装置が普及し、また運動を支援するための機器としては歩数計や活動量計などが提供されており、これらは健康管理ツールの一つとして活用されている。しかしながら、これらの機器で得ることができる情報は、あくまでも単なる数値(しかも測定した時点のスポット的な数値)でしかなく、その数値をどのように健康管理に生かすかはユーザ次第であるのが現状であった。
【0003】
上記のような実情に鑑み、本発明者らは、個人や家庭における健康管理のあるべき姿とそのために必要な要素技術について鋭意検討を重ねてきた。
【0004】
従来のシステムは、疾病管理や診断のために必要な数値情報(血圧値、血糖値など)を与えることを目的とするものが殆どであった。しかしながら、個人や家庭における健康管理の対象となるユーザには、疾病をもつ人だけでなく、健康な人や疾病予備群(発症してはいないが身体のどこかに兆候が現れ得る状態)の人も多く含まれる。健康な人や疾病予備群の人の場合は、計測装置で得られる測定値は正常範囲にあるため、そのような値だけでは自分の健康状態(疾病リスク度)を把握することはできない。また、どのような疾病を発症する虞があるかわからない段階では、ユーザは具体的に何の数値をどのように注意し管理すべきかを明確に特定することができない。つまり、各種の計測装置を利用すれば、家庭でも血圧値、血糖値、体重、体組成、体温など、さまざまな生体指標を計測できるものの、殆どのユーザは個別の測定値をどのように健康管理に役立てればよいかわからないのである。将来的には、さまざまな種類の計測装置が普及し、家庭で多種類の生体指標を日常的に計測する環境が実現するものと期待されるが、計測等により得られる生データの数が膨大になり情報過多になるほど、一般のユーザはそこから有意な情報、つまり自己の健康管理に有益な情報を得ることが難しくなるものと懸念される。
【0005】
健康な人や疾病予備群の人が知りたい情報は、ある一時点における個別の測定値ではなく、たとえば、自分は人と比べて健康なのかどうなのか、健康であるとしてもどの程度健康なのか、あるいは健康でないとしたらどれくらい深刻なのか、といった総合的な評価であったり、さらには、その評価を維持するには又はその評価を改善するにはどのようなアクションを採るべきなのか、といった具体的な指針であると考えられる。
【0006】
また、個人や家庭における健康管理を支援するために欠くことのできない観点として「継続性」が挙げられる。健康な状態を保つため、あるいは、疾病の発症リスクを下げるためには、日常的に生体指標を計測し評価したり、定期的な運動を心がけたりといった習慣が最も効果的であるし、また長期の測定値が蓄積されるほど有益な情報を提供できるからである。このような継続性を実現するには、ユーザのモチベーションを向上し維持する仕掛けが必要であり、さらにその仕掛けを実現するには、納得性及び信頼性のある情報をいかに分かり易い形でユーザに提供できるかが一つの鍵になるものと思われる。なお別の見方をすれば、個人用・家庭用の計測装置は、一回だけのスポット的な計測というよりも、ユーザ本人が気軽に定期的・日常的に生体指標を計測し蓄積できるところにこそ存在意義
がある。したがって、継続という点に実現性及び付加価値がなければ、個人や家庭における健康管理は成立しないともいえる。
【0007】
なお、個人の健康状態を評価したり、健康改善のための目標を提案したりするシステムとしては、例えば特許文献1〜4に開示されたものが知られている。しかしながら、特許文献1では、ユーザ自身が評価対象となる指標の有効・無効を設定し、システムの出力を制御できてしまうため、客観的な評価が阻害されるリスクがある。また、特許文献2のように、問診結果からユーザの生活習慣を把握し、改善項目や目標を決定する方法では、生活習慣と生体指標と健康状態との間の因果関係を客観的に評価できないので、信頼性のある改善提案を提供することができない。さらに、特許文献3(図10参照)や特許文献4(図8参照)のように、改善目標として血圧値や総コレステロールのような生体指標の値が提示されたとしても、この種の指標はユーザの意思で自由にコントロールできるものではないため、ユーザとしては目標達成のためにどのようなアクションを具体的にとればよいのか理解できないという問題がある。
【特許文献1】特開2006−65752号公報
【特許文献2】特開2006−119985号公報
【特許文献3】特開2006−163932号公報
【特許文献4】特開2007−122182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図14は、本発明者らが想定する健康管理システムのコンセプトモデルを示している。同システムは、大きく分けて、「CHECK」、「PLAN」、「ACTION」の3つのカテゴリの機能を備え、生体から情報を収集し(CHECK)、その情報に基づき健康を維持・改善するための計画を立て(PLAN)、その計画の実施を支援する(ACTION)というサイクル(以下、CPAサイクルという)を総合的にサポートするものである。このようなCPAサイクルの提供により、個人や家庭における能動的な自己健康管理の継続実施が実現されるものと期待できる。
【0009】
本出願に係る発明は、上記コンセプトモデルの中のPLAN機能に関わる要素技術を提供することを目的とするものである。具体的には本発明の目的の一つは、ユーザの健康状態の改善に有効であって且つユーザの意思により実施可能な具体的な改善活動を、ユーザに提示するための技術を提供することにある。また本発明の目的の一つは、日常生活における身体活動や生活習慣の改善が総合的な健康状態にどのように影響するのかを可視化するための技術を提供することである。また本発明の目的の一つは、ユーザにとって無理のない範囲で実現できる適切な改善目標の設定を支援するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は次の構成を採用する。すなわち、本発明に係る健康状態判断装置は、身体活動若しくは生活習慣に関する指標である生活指標と、身体の生理的な状態に関する指標である生体指標と、を含む複数項目の指標のそれぞれについて、評価対象者から測定又は入力されたデータを蓄積する記憶手段と、前記生体指標を含む複数の指標に基づいて前記評価対象者の健康状態を評価する評価手段と、前記評価手段の評価に用いられた生体指標の中から、前記評価対象者の健康状態の評価を低下させている1又は複数の生体指標を、注目指標として、選択する注目指標選択手段と、前記記憶手段に蓄積された生活指標及び生体指標の過去のデータを比較することにより、前記選択された注目指標との相関が最も高い1又は複数の生活指標を改善可能因子として抽出する改善可能因子抽出手段と、前記評価対象者の健康状態の評価とともに前記改善可能因子を表示する表示手段と、を備える。
【0011】
本発明では、測定又は入力により得られる、人の健康に直接的又は間接的に影響を及ぼし得る各種の指標を、その特性に従って「生体指標」と「生活指標」に分類している。生体指標は身体の生理的な状態を示すものであり、人の健康状態を客観的・定量的に評価するための情報として有用である。本発明においては、健康状態の評価に主に生体指標を利用することで、信頼性の高い評価結果を得ることができる。また、その評価を低下させている要因である生体指標(注目指標)についても、高い妥当性をもって抽出可能である。
【0012】
ただし、生体指標そのものは、身体の生理的な状態を表すものであるため、人が自分の意思によって自由に制御することは困難である。それゆえ、健康改善のためのアドバイスとして、例えば「血圧値をxxまで下げましょう」のように生体指標の改善を提示するのは適切でない。提示された目標値を実現するために具体的にどのようなアクションをとればよいのか評価対象者(ユーザ)にはわからないからである。
【0013】
そこで本発明では、注目指標との相関が最も高い生活指標を改善可能因子として選び出し、その改善可能因子をユーザに提示する。生活指標、つまり身体活動や生活習慣は、基本的に人の意思によって制御することが可能であるため、ユーザとしては具体的な改善活動に結び付けやすい。しかも本発明では、記憶手段に蓄積されたユーザ自身の過去のデータを用いて生活指標と生体指標の間の相関(因果関係)を評価するため、注目指標の改善ひいては健康状態の改善に有効な生活指標を抽出することが可能である。
【0014】
本発明において、前記改善可能因子に対する改善目標を評価対象者に設定させる改善目標設定手段と、前記改善目標設定手段により改善目標が設定されると、その改善目標が達成された場合に前記注目指標に現れる改善効果を予測する改善効果演算手段と、をさらに備え、前記評価手段が、前記注目指標の改善効果を考慮することによって改善後の健康状態を評価し、前記表示手段が、前記改善可能因子の改善目標及び前記改善後の健康状態の評価をさらに表示することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、日常生活における身体活動や生活習慣の改善が総合的な健康状態にどのように影響するのかを可視化し、シミュレーションすることできる。これにより、納得性の高い情報をユーザに提供でき、健康改善に対するモチベーションの維持・向上を図ることができる。
【0016】
前記改善目標設定手段は、前記記憶手段に蓄積された前記改善可能因子の値の分布に基づいて、改善目標として設定可能な値の上限を決定することが好ましい。
【0017】
このように、ユーザ自身の改善可能因子の値の分布(変動)に基づき上限を決定することにより、ユーザにとって無理のない範囲で実現できる適切な改善目標の設定を支援できる。またユーザ自身も現時点での現実的な健康状態の改善量を把握できるという利点もある。
【0018】
前記改善効果演算手段は、前記記憶手段に蓄積された前記改善可能因子及び前記注目指標の過去のデータに基づいて前記改善可能因子の値又はその変化が前記注目指標の値に与える影響をモデル化し、そのモデルを用いて前記注目指標の改善効果を算出することが好ましい。
【0019】
このように、ユーザ自身の過去のデータを用いることにより、改善効果の予測の信頼性を向上することができる。ただし、装置の使用初期など、前記記憶手段に蓄積されている過去のデータが少ない(所定量に満たない)場合は、前記改善効果演算手段は、前記記憶手段に予め用意されているデータ(例えば、同年代かつ同性別の者の平均的なデータ)も
利用して、前記モデルを生成してもよい。
【0020】
前記表示手段は、前記評価対象者と同年代かつ同性別の者における、健康状態の評価及び改善可能因子の平均値をさらに表示することが好ましい。
【0021】
平均値との比較により、ユーザは自分の健康状態の良し悪しや生活習慣の良し悪しを直感的に把握できる。また比較対象を表示することで、ユーザのモチベーションを維持・向上する効果も期待できる。
【0022】
前記改善可能因子が複数ある場合に、前記表示手段は、それぞれの改善可能因子が前記注目指標に及ぼす影響の強度をさらに表示することが好ましい。
【0023】
これにより、ユーザは、改善可能因子それぞれに期待できる改善効果を把握できるので、改善の取り組みやすさと期待できる改善効果とを考慮しながら、自分の生活習慣に合った最適な改善目標を設定することが容易になる。
【0024】
本発明は、上記手段の少なくとも一部を有する健康状態判断装置として捉えてもよいし、その健康状態判断装置と1以上の計測装置とを備える健康状態判断システムとして捉えてもよい。また、本発明は、上記処理の少なくとも一部を含む健康状態判断方法、または、かかる方法をコンピュータに実行させるためのプログラムやそのプログラムを記録した記録媒体として捉えることもできる。なお、上記手段および処理の各々は可能な限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ユーザの健康状態の改善に有効であって且つユーザの意思により実施可能な具体的な改善活動を、ユーザに提示することができる。また、本発明によれば、日常生活における身体活動や生活習慣の改善が総合的な健康状態にどのように影響するのかを可視化することができる。また、本発明によれば、ユーザにとって無理のない範囲で実現できる適切な改善目標の設定を支援することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。まずは図1及び図2を参照して本発明の概要を説明した後で、具体的な実施形態の説明を行う。
【0027】
(健康管理システムの概要)
図1は、本発明に関わる健康管理システムの全体的な構成を示している。この健康管理システムは、前述したCPAサイクルをサポートするためのシステムである。「CHECK」に関わる機能として、日々の健康状態を測定するための「生体情報測定機能」と、測定で得られた情報から将来のリスクを推定したり総合的な健康状態を評価するための「リスク推定機能」を備える。また、「PLAN」に関わる機能として、CHECKで得られた結果に基づきリスクの要因となる因子を抽出するための「リスク因子抽出機能」と、改善目標の設定や改善計画の提案を行うための「改善計画支援機能」を備える。また、「ACTION」に関わる機能として、PLANで得られた改善目標・計画に従って生活改善活動(運動)の実施を支援するための「改善効果確認機能」と、必要に応じて計画・目標を修正するための「改善計画修正機能」を備える。
【0028】
これらのCHECK、PLAN、ACTIONの各機能が有機的に結びつき、そのサイクルを繰り返すことで、複数の生体指標に基づく総合的な健康状態の判断、将来的な健康リスクの評価、及び当該リスクと日常生活における活動との関係を可視化することができ
、個人や家庭における能動的な自己健康管理の継続実施を支援することができるものと期待できる。
【0029】
(指標と影響伝播モデル)
図2は、本発明が採用する指標間の影響伝播モデルを示す図である。本発明では、測定又は入力により得られる、人の健康に直接的又は間接的に影響を及ぼし得る各種の指標を、その特性に従って「属性指標」「生活指標」「生体指標」の3つのカテゴリに分類する。そして、指標間の影響の伝播を考慮して、カテゴリ同士の階層構造(因果構造)を決定する。さらに、本発明では、人の健康状態を表す指標として、複数種類の「複合指標」を導入するとともに、それらの複合指標を総合的に評価することで得られる「総合健康指標」を導入する。
【0030】
ここで「属性指標」とは、個人の属性を客観的に識別するための尺度、およびその数値であり、例えば性別、年齢、身長、病歴などが該当する。属性指標は基本的に自身の意思により制御することはできない。「生活指標」とは、日常の身体活動や生活習慣(運動、睡眠、食事など)を示す尺度、およびその数値である。例えば、運動関連指標(単位時間における断続歩行時間、連続歩行時間、連続歩行回数、歩行パターンの規則性等)、睡眠関連指標(睡眠時間、寝返り回数、呼吸回数等)、食事関連指標(摂取カロリー量、夕食の時間、アルコール摂取頻度等)、その他の情報(喫煙習慣の有無等)が生活指標に該当する。生活指標は基本的に自身の意思により制御することが可能であり、健康維持・改善のための制御対象(改善可能因子)となりうる。「生体指標」とは、身体の生理的な状態を示す尺度、およびその数値である。例えば血圧関連指標(最高血圧値、最低血圧値)、血糖関連指標(空腹時血糖値、随時血糖値)、体組成関連指標(体重、体脂肪率、筋肉率)、血清総コレステロール等が生体指標に該当する。生体指標は、人の健康状態を客観的・定量的に示す情報として有用である。ただし、生体指標は、自身の意思により制御することが困難であり、生活指標の制御により間接的に影響を受けるものである。
【0031】
「複合指標」とは、生体指標、生活指標、および属性指標の中から選ばれた複数の指標と、統計的に得られた疫学情報(死亡率等)との関係に基づいた、特定の疾病に対するリスク又は特定の身体器官若しくは身体機能の状態を示す尺度、およびその数値である。例えば、特定の疾病に対するリスクを示す複合指標には、脳卒中リスク、心血管系リスク、冠動脈系リスク等が該当する。特定の身体器官若しくは身体機能の状態を示す複合指標には、血管年齢、血圧年齢、体力年齢、筋力年齢等が該当する。これらの複合指標は、直接的に制御することが困難であり、生活指標の制御により間接的に影響を受けるものである。「総合健康指標」とは、複数の複合指標と大規模な母集団の実年齢との傾向との対応に基づいた、母集団における個人の相対的な健康状態を示す尺度、およびその数値である。例えば、健康年齢、健康偏差値等が総合健康指標に該当する。
【0032】
図1のCHECK機能(リスク推定機能)により健康状態を評価する際は、影響伝播モデルに沿って、生体指標の測定値等からまず複合指標を算出し、複合指標の算出結果から総合健康指標を求めることとなる。一方、PLAN機能(リスク因子抽出機能)では、影響伝播モデルを逆方向にたどることで、総合健康指標や複合指標を低下させる要因となっている生体指標を特定し、さらにその生体指標を改善するのに有効な生活指標を抽出することができる。またPLAN機能(改善計画支援機能)において生活指標の改善目標が与えられた場合には、影響伝播モデルに沿って生活指標の値の変化による影響の伝播を順に評価していくことによって、生体指標、複合指標、総合健康指標それぞれの改善効果を予測することができる。このように、本発明では図2のような影響伝播モデルを採用したことにより、健康状態の客観的・定量的な評価が可能であるとともに、日常生活における身体活動や生活習慣が健康状態にどのように影響するのかを可視化することができるという利点がある。
【0033】
(総合健康状態判断システム)
では次に、本発明の具体的な一実施形態について説明を行う。図3は、本発明の実施形態に係る総合健康状態判断システム(以下、単に「システム」ともいう。)の一構成例を示す図である。このシステムは、図1に示した健康管理システムの構成のうちのCHECK機能及びPLAN機能を担う要素技術として位置づけられるものである。
【0034】
このシステムは、総合健康状態判断装置1と、1以上の計測装置2〜6とから構成される。計測装置としては、人の身体から生体指標を測定するための装置や、人の身体活動や生活習慣などの生活指標を測定するための装置などを用いることができる。生体指標の計測装置としては、たとえば、体重、体組成(体脂肪、筋肉など)、BMIなどを測定可能な体重体組成計、血糖値を測定する血糖計、血圧及び脈拍数を測定する血圧計、体温を測定する体温計、心拍数を測定する心拍計などがある。また生活指標の計測装置としては、たとえば、身体活動量や運動強度を測定する活動量計、歩数を測定する歩数計、睡眠の状態を測定する睡眠センサ、食事のカロリー計算を行うカロリー計などがある。図3に示す本実施形態のシステムでは、体重体組成計(2)、血糖計(3)、血圧計(4)、睡眠センサ(5)、及び活動量計(6)が用いられている。
【0035】
総合健康状態判断装置1と各計測装置2〜6とは、有線または無線によりデータ通信可能である。各計測装置で得られた測定値は、総合健康状態判断装置に送られ集約される。なお総合健康状態判断装置と計測装置とが常に接続されている場合には、測定が行われるたび若しくは予め決められたタイミングで、計測装置から総合健康状態判断装置へのデータ送信が行われるとよい。これにより両装置間のデータの同期が図られる。一方、総合健康状態判断装置と計測装置とが常時接続でない場合には、計測装置または総合健康状態判断装置が接続の有無を監視し、接続を検知したときに自動的にデータの同期をとるとよい。もちろん、ユーザ自身の操作により、測定値を健康状態判断装置に転送してもよい。
【0036】
(総合健康状態判断装置のハードウエア構成)
図4は、総合健康状態判断装置1のハードウエア構成を模式的に示すブロック図である。
【0037】
図4に示すように、総合健康状態判断装置1は、CPU(中央演算処理装置)101、ボタン102及びユーザI/F(インターフェイス)制御部103、通信コネクタ104及び機器通信制御部105、RTC(リアルタイムクロック)106及びRTC制御部107、パネル108及び表示制御部109、音源装置110及び音制御部111、ROM(リードオンリーメモリ)112・RAM(ランダムアクセスメモリ)113及び記憶媒体制御部114、電源115及び電源制御部116を備えている。この装置は、専用の機器として構成することもできるし、パーソナルコンピュータなどの汎用機器に必要なハードウエア(例えば計測機器との通信コネクタ)及び必要なプログラムを実装することで構成してもよい。
【0038】
ボタン102は、総合健康状態判断装置1に情報や指示を入力するための入力手段である。ボタン102の操作により入力された情報や指示はユーザI/F制御部103を介してCPU101に通知される。
【0039】
通信コネクタ104及び機器通信制御部105は、各種計測装置との間のデータ通信を実現するための通信手段である。通信方式としては、USB、IEEE1394などの有線通信でもよいし、Bluetooth、ZigBee、IrDA、無線LANなどの無線通信でもよい。
【0040】
RTC106及びRTC制御部107は、計時機能を提供する部分である。
【0041】
パネル108及び表示制御部109は、後述する各種の指標を表示するための表示手段である。パネル108としては、たとえば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどを好適に用いることができる。
【0042】
音源装置110及び音制御部111は、アラートや音声ガイドなどを出力する出力手段である。
【0043】
ROM112は、総合健康状態判断装置1としての機能を提供するプログラム、各種設定値、各計測装置2〜6から取得した測定値、入力手段から入力された情報、後述する各種の指標などが格納される記憶媒体である。EEPROM(Erasable Programmable ROM
)のように書き換え可能なメモリで構成される。RAM113は、プログラム実行時のワークメモリとして利用される記憶媒体である。ROM112及びRAM113へのアクセスは記憶媒体制御部114によって制御される。なお、EEPROMに加えて、あるいはEEPROMの代わりに、ハードディスクなどの記憶媒体を設けてもよい。
【0044】
電源115及び電源制御部116は、総合健康状態判断装置1に電力を供給する機能である。電源115としては電池でもよいしAC電源でもよい。
【0045】
(総合健康状態判断装置の機能構成)
図5は、総合健康状態判断装置1の機能を模式的に示す機能構成図である。
【0046】
図5に示すように、総合健康状態判断装置1は、その機能として、機能遷移制御機能130、初期設定機能140、生体情報測定機能150、リスク推定機能160、リスク因子抽出機能170、改善計画支援機能180を備える。ここで、初期設定機能140は、日付・時刻設定機能141、属性情報設定機能142を備える。また、生体情報測定機能150は、生活習慣設定機能151、測定値通信機能152、測定値信頼性評価機能153、測定値記録機能154を備える。リスク推定機能160は、健康状態抽出機能161と健康状態表示機能164を備え、さらに健康状態抽出機能161は疾病リスク評価機能162と健康年齢変換機能163を備え、健康状態表示機能164は健康年齢表示機能165と健康プロファイル表示機能166を備える。また、リスク因子抽出機能170は、リスク寄与度合い演算機能171、改善可能因子抽出機能172、リスク因子表示機能173を備える。また、改善計画支援機能180は、リスク因子目標設定機能181、生活改善効果演算機能182、生活改善効果表示機能183を備える。これらの機能は、CPU101がROM112に格納されたプログラムを読み込み実行することにより実現されるものである。
【0047】
(機能遷移制御機能)
機能遷移制御機能130は、ユーザの操作、計測装置との通信、実行中のプログラムなどで発生したイベント(割り込み)に従って、初期設定機能140、生体情報測定機能150、リスク推定機能160、リスク因子抽出機能170、改善計画支援機能180の切り替えを統括制御する機能である。
【0048】
(初期設定機能)
日付・時刻設定機能141は、現在日時(ローカルタイム)を装置に設定するための機能である。日付・時刻設定機能は、「年月日?______」のような設定画面をパネル108に表示し、ユーザに現在日時の設定を促す。ボタン102などの入力手段の操作により現在日時が設定されると、その値がRTC106に書き込まれる。以降は、RTC106が現在日時を計時する。
【0049】
属性情報設定機能142は、ユーザに属性指標を入力させるための機能である。ここでは属性指標として、「年齢」及び「性別」を入力させる。属性情報設定機能142は、「年齢?__」のように属性指標の入力画面をパネルに表示し、ユーザに属性指標の入力を促す。ボタンなどの入力手段の操作により属性指標が入力されると、その情報がROM112内のユーザ情報DBに記録される。
【0050】
(生体情報測定機能)
生活習慣設定機能151は、ユーザに生活指標を入力させるための機能である。ここでは生活指標として、「喫煙習慣の有無」を入力させる。生活習慣設定機能151は、「喫煙習慣?あり/なし」のような入力画面をパネル108に表示し、ユーザに入力を促す。ボタン102などの入力手段の操作により生活指標が入力されると、その情報がROM112内のユーザ情報DBに記録される。
【0051】
測定値通信機能152は、通信コネクタ104を介して、各種の計測装置から測定値を取得する機能である。取得した測定値は、測定値記録機能154によって、ROM112に蓄積される。このとき、測定値の測定日時又は取得日時を表すタイムスタンプとともに測定値が記録される。ここでは、生体指標として、血圧計から取得した「最高血圧値」、血糖計から取得した「血糖値」、体重体組成計から取得した「体重」及び「体脂肪率」がそれぞれ記録されるものとする。また、生活指標として、睡眠センサから取得した「睡眠時間」及び「睡眠深度」、活動量計から取得した「断続歩行時間」、「連続歩行時間」、「連続歩行回数」、及び「歩行パターンばらつき」がそれぞれ記録されるものとする。なお連続歩行時間とは所定の時間以上連続して歩行した時間の一日あたりの累積値であり、断続歩行時間とは1日の総歩行時間から連続歩行時間を引いたものである。また連続歩行回数とは、一日に連続歩行を行った回数である。
【0052】
測定値信頼性評価機能153は、測定値の信頼性を評価する機能である。測定値の信頼性とは、測定値に見込まれるばらつきの程度を表す情報(尺度)である。測定値の不確かさ(あるいは確かさ)と言い換えることもできる。測定値の信頼性は、計測装置の精度、計測環境、計測モード、その他の外乱などに影響を受ける。たとえば同じ血圧計でも手首式と上腕式では精度が異なる可能性があるし、ハイエンド機と普及機でも精度が異なる可能性がある。また同じ装置を用いても、計測する場所や外気温などの影響で測定値にばらつきがでる可能性がある。計測モードとは、たとえば、電子体温計の予測モードと実測モードが該当する。予測モードのほうが実測モードよりも精度が劣る。それ以外にも、測定の体勢や他の外乱要因により測定値にばらつきがでる可能性がある。測定値信頼性評価機能153は、計測装置から測定値の精度を取得できるのであればそれを測定値の信頼性として用いることができる。また、測定値は測定対象者自身の状態(体調、疲労、睡眠、食事等)によってもばらつくため、測定値信頼性評価機能153は、過去の所定期間の測定値の分布やばらつきを評価し、それを測定値の信頼性として用いることもできる。
【0053】
測定値の信頼性を表す情報の表現手法はさまざまなものが考えられ、そのいずれを採用してもよい。例えば、「最高血圧値:135±6」のようにばらつきの範囲により信頼性を表現してもよいし、「最高血圧値:128〜139」のように値域により信頼性を表現してもよい。また、平均値と分散により測定値の分布やばらつきを表現してもよい。あるいは、「最高血圧値:135±約6」とか「最高血圧値:約128〜約139」のようにファジィ集合によりばらつきの範囲や値域の境界を曖昧にすることも可能である。以下、「値が幅をもつ」という表現を、「値が信頼性を表す情報を含んでおり、1つの確定的な数値に定まらない」という意味で用いる。
【0054】
以上述べた生体情報測定機能150によって、各種計測装置から随時測定値が収集され
、必要に応じて、測定値の信頼性を表す情報とともに、ROM112内のユーザ情報DBに蓄積されていく。すなわち、ROM112内のユーザ情報DBが、本発明における、複数項目の指標のそれぞれについて、評価対象者から測定又は入力されたデータを蓄積する記憶手段に対応する。
【0055】
(リスク推定機能:健康状態抽出機能)
健康状態抽出機能161は、疾病リスク評価機能162と健康年齢変換機能163とから構成される。本実施形態では、健康状態抽出機能161が、本発明における、生体指標を含む複数の指標に基づいて評価対象者の健康状態(疾病リスク及び健康年齢)を評価する評価手段に対応する。
【0056】
((疾病リスク評価機能))
疾病リスク評価機能162は、ユーザ情報DBに蓄積された生体指標、生活指標、属性指標(以下、これらのユーザ情報DBに蓄積された情報を元指標とよぶ。)を用いて、複合指標たる疾病リスクを推定する機能である。
【0057】
図6は、本実施形態における影響伝播モデルの具体例を示すものである。ここでは、属性指標として、「性別G」、「年齢A」が用いられ、生体指標として、「最高血圧値BP」、「血糖値BG」、「体重WT」、「体脂肪率FR」が用いられる。生活指標としては、「睡眠時間T」、「睡眠深度D」、「断続歩行時間TWI」、「連続歩行時間TWC」、「連続歩行回数NWC」、「歩行パターンばらつきVWP」、「喫煙習慣の有無S」が用いられる。また図示しないが、「アルコール摂取頻度」、「夕食の時間」なども生活指標として用いられる。また、複合指標としては、「脳卒中リスクRCE」、「冠動脈系リスクRAC」、「心血管系リスクRCV」の3つが用いられる。ただし、これらの指標は一例であり、これよりも少ない又は多い数の指標を用いることも可能である。また複合指標として、他の疾病に関するリスクを用いてもよいし、血管年齢や筋力年齢のように身体器官や身体機能に関する指標を用いてもよい。元指標と複合指標の間の因果関係は、疫学の知見から人が設計してもよいし、公知の因果構造推定手法を利用して自動的に生成してもよい。
【0058】
疾病リスク評価機能162は、図6に示すように、性別G、年齢A、最高血圧値BP、血糖値BG、体重WT、体脂肪率FR、及び喫煙習慣の有無Sの7つの指標(影響因子)から各疾病リスクを求める。本実施形態では、疾病リスクを算出するためのリスク評価モデルとして比例ハザードモデルを用いる。すなわち、ある時点tにおける疾病KのリスクRは、式(1)のように、時間の関数であるR(t)と各影響因子xの線形和の指数関数との積で表される。

疾病リスクのモデル:
=R(t)×exp(ΣαjK+ε) (1)

【0059】
ここで、R(t)は、疾病Kによる時間t後の統計的な死亡率であり、基準ハザードとよばれる。例えば、当初の母数が100人である場合、t=0の時点では100人全員が生存しているため、R(0)=0%である。もし、t=t1の時点で、9人が疾病Kで死亡し、10人が他の原因による死亡や移住等により生存が確認できない場合、母数は90人(=100人−10人)と考え、R(t1)=(9/90)×100%=10%となる。このように、時間の経過とともに疾病K以外の原因による死亡者数(生存が確認できない者含む)を母数から除外していくことで、疾病Kによる純粋な死亡率を表現することができる。なお、ここでは、死亡率を基準ハザードR(t)に選んだが、もちろん、死亡以外のイベントの発生率を基準ハザードR(t)に選んでもよい。例えば、疾病K
に起因する入院、障害、重度の症状などの、日常生活に支障をきたすようなイベントの発生率などが考えられる。
【0060】
αjKは、各因子xがR(t)に及ぼす影響強度を示すパラメータ(重み)である。またεは、因子x以外の因子によるR(t)への影響を示すパラメータである。パラメータαjK、εの生成手法としては、Exact法(モンテカルロ正確確率検定)、Breslow法、Efron法(ブートストラップ)、離散法等を利用することができる。
【0061】
本実施形態では、リスク評価モデルの基準ハザードR(t)及びパラメータαjK、εを算出するための基礎データとして、大規模疫学研究の成果である疫学データを利用する。疫学研究の代表的なものとしては、NIPPON DATA80、Framingham study(フラミンガム・スタディ)、大迫研究、久山町研究、吹田研究等がある。このような疫学データに基づき、因子間の影響強度や各時点での死亡率を求めることで、リスク評価モデルに高い精度を実現することができる。また、疫学データをエビデンスとすることで、本システムの出力する評価指標に対するユーザの納得性及び信頼性を高め、健康管理のモチベーションを向上することができると期待できる。
【0062】
((健康年齢変換機能))
健康年齢変換機能163は、疾病リスク評価機能162によって求めた複数の疾病リスクを総合的に評価し、ユーザの健康状態を年齢に換算した指標である「健康年齢」を算出する機能である。
【0063】
本実施形態では、式(2)に示すように、脳卒中リスクRCE、冠動脈系リスクRAC、及び心血管系リスクRCVの線形和モデルを用いて健康年齢Aを算出する。βは、各疾病リスクが健康年齢に及ぼす影響強度を示すパラメータである。またεは、RCE、RAC、RCV以外の因子による健康年齢への影響を示すパラメータである。これらのパラメータβ、εは、前述した疫学データを利用して、回帰分析等の手法により算出することができる。疾病リスクの値が値域や分布などの信頼性の情報をもつ場合は、健康年齢Aの値も幅をもつ。

健康年齢のモデル:
=βCE+βAC+βCV+ε (2)

【0064】
(リスク推定機能:健康状態表示機能)
健康状態表示機能164は、上述したリスク推定機能で求めた各種の指標をパネル108に表示するための機能であって、健康年齢表示機能165と健康プロファイル表示機能166から構成される。健康年齢表示機能165は、総合健康指標である「健康年齢」と複合指標である「疾病リスク」の表示を担う機能であり、健康プロファイル表示機能166は、疾病リスクの算出に用いた各因子(主に生体指標)が疾病リスクや健康年齢にどの程度影響しているか、つまり各因子の影響強度を表示する機能である。
【0065】
図7は、画面表示の一例を示している。画面の上段左が「健康年齢」の表示例である。この例では、ユーザと同年代かつ同性別の集団における健康年齢分布200(横軸:健康年齢、縦軸:人口比)に重ねて、当該ユーザの健康年齢201が示されている。また比較対象として、同年代の平均値202も表示されている。なお健康年齢分布200及び平均値202については、疫学データに基づき年代ごと・性別ごとに予め算出されているものを用いる。このような表示を見ることにより、ユーザは、自分自身の健康状態が同年代の平均に比べてどの程度良いのか(悪いのか)を直感的に把握することができる。なお、健
康年齢を数値表示することも好ましい。そうすれば、ユーザは健康年齢と自分自身の実年齢との比較により、自分自身の健康状態の良し悪しを直感的に理解できるからである。ここで、確定的な値ではなく、信頼性(不確かさ)に応じた幅をもつ値として健康年齢を表示することも好ましい。
【0066】
図7の画面の上段中央は「疾病リスク」の表示例である。この例では、健康年齢の算出根拠である3つの疾病リスクのリスク分布210がレーダーチャートを用いて表示されている。このレーダーチャートの各軸は、ユーザと同年代かつ同性別の人の平均的な疾病リスクの値で規格化されており、比較対象としてその平均的な疾病リスクの分布211も表示される。このようなレーダーチャートをみることで、ユーザは、自分自身の疾病リスクが平均からどの程度乖離しているのか、また自分の健康年齢に最も大きく影響しているリスク要因はどれなのか、を容易に把握することができる。
【0067】
図7の画面の上段右は、健康プロファイル表示機能166による「健康プロファイル」の表示例である。この例では、各疾病リスクの算出に共通に用いられた4つの生体指標(最高血圧値BP、血糖値BG、体重WT、体脂肪率FR)それぞれの影響強度がレーダーチャートを用いて表されている。レーダーチャートの中心から順に、冠動脈系リスクに対する影響強度分布220、心血管系リスクに対する影響強度分布221、脳卒中系リスクに対する影響強度分布222が累積されている。つまり、その最外郭は、健康年齢に対する各生体指標の影響強度分布を表していることになる。このような健康プロファイルをみることで、ユーザは自分自身の健康を管理・改善するにあたって、どの生体指標に気をつけるべきかを容易に把握できる。なお、疾病リスクに対する影響強度については、次に述べるリスク寄与度合い演算機能171によって算出される。
【0068】
(リスク因子抽出機能:リスク寄与度合い演算機能)
リスク寄与度合い演算機能171は、各疾病リスクに対する各生体指標の影響強度(リスク寄与度合い)を算出する機能である。本実施形態では、疾病リスクの算出に比例ハザードモデル(式(1)参照)を用いているので、下記の式(3)により、特定の因子xの影響強度を逆算することができる。E(K)は、疾病Kの疾病リスクRに対する因子xの影響強度を表している。

疾病リスクに対する影響強度算出モデル:
(K)=log{R/R(t)}×{αJK/(ΣαjK+ε)}
(3)

【0069】
さらに、特定の因子xが総合健康指標(健康年齢)に及ぼす影響強度Eは、式(4)のように、個々の疾病リスクに対する影響強度の総和として算出できる。なお、E(CE)は脳卒中リスクRCEに対する影響強度であり、E(AC)は冠動脈系リスクRACに対する影響強度であり、E(CV)は心血管系リスクRCVに対する影響強度である。

健康年齢に対する影響強度算出モデル:
=E(CE)+E(AC)+E(CV) (4)

【0070】
このようにして算出された個々の生体指標の影響強度は、健康プロファイルの表示(図7参照)に利用される。影響強度が大きい生体指標ほど、健康状態の評価の低下(つまり、健康年齢の上昇若しくは疾病リスクの上昇)に対する寄与度合いが大きいことを表している。したがって、健康改善のためには、影響強度の大きい生体指標の値を改善するのが
効果的であるといえる。図7の例では、「最高血圧」を下げることが最も効果的であることがわかる。
【0071】
しかしながら、最高血圧、血糖値、体重といった生体指標は、人が自分の意思によって自由に制御することは困難である。それゆえ、健康改善のためのアドバイスとして、例えば「血圧値をxxまで下げましょう」のように生体指標の改善を提示するのは適切でない。提示された目標値を実現するために具体的にどのようなアクションをとればよいのかユーザにはわからないからである。
【0072】
そこで本実施形態では、次に述べるリスク因子抽出機能によって、生活指標の中から改善すべき因子を選び出している。生活指標、つまり身体活動や生活習慣は、基本的に人の意思によって制御することが可能であるため、ユーザとしては具体的な改善活動に結び付けやすいからである。
【0073】
(リスク因子抽出機能:改善可能因子抽出機能)
改善可能因子抽出機能172は、ユーザの健康状態を改善するためにどの因子を改善するのが効果的かを評価し、改善効果が期待でき且つユーザの意思により改善することが可能なものを改善可能因子として抽出する。図8及び図9のフローチャートを参照して、改善可能因子抽出機能172による改善可能因子の抽出処理の流れを説明する。
【0074】
改善可能因子抽出機能172は、まず、ユーザ情報DBを参照して、データが蓄積されている生活指標の種類を調べる(S80)。このときデータの蓄積がない生活指標については、改善可能因子の候補から排除される。
【0075】
次に、生体指標の中から影響強度の累計(式(4)のE)が最も大きいものが、注目指標として選択される(S81)。例えば図7の上段右の表示例の場合は、「最高血圧」がまず注目指標として選択されることとなる。
【0076】
次に、S80で選ばれた複数の生活指標を「食事」、「運動」、「睡眠」の3つのカテゴリに分類し(S82)、各カテゴリから1つずつ改善可能因子を抽出する(S83)。図9はS83の改善可能因子抽出処理の詳細を示すフローチャートである。改善可能因子抽出機能172は、ユーザ情報DBから、注目指標のデータを読み込む(S90)。また、1つ目のカテゴリに属する生活指標のそれぞれについて、ユーザ情報DBから、データが読み込まれる(S91)。S90及びS91では、生活指標と注目指標の相関を評価するのに必要な期間分のデータが読み込まれる。ここでは、直近数週間分のデータが読み込まれるものとする。そして、改善可能因子抽出機能172は、生活指標の変化量と注目指標(生体指標)の変化量との相関を評価する(S92)。なお生活指標の変化と注目指標の変化との間に所定の時間遅れがあることが予めわかっている場合には、その時間遅れを考慮して相関を評価してもよい。カテゴリに属する生活指標それぞれの相関を算出したら、改善可能因子抽出機能172は、その中で最も相関の高い生活指標を当該カテゴリの改善可能因子に決定する(S93)。S91〜S93の処理が各カテゴリについて実行され(S94)、各カテゴリの改善可能因子が決定したら、図8のS84に進む。
【0077】
S84では、改善可能因子抽出機能172が、各改善可能因子の過去の値(相関の演算に用いたデータと同じでよい)から標準偏差σを算出する。そして、すべての改善可能因子が標準偏差分ずつ改善された場合の個々の疾病リスクの低減度合いを計算し、すべての疾病リスク低減度合いを合算する(S85)。なお疾病リスクの低減度合いは、S92で得られた相関に基づいて計算してもよいし、後述する生活改善効果の演算と同様の手法で計算してもよい。
【0078】
疾病リスクの低減度合いの総計が所定の閾値に達するか(S86;YES)、改善可能因子として抽出可能な生活指標が無くなるか(S87;NO)、注目指標として選択可能な生体指標が無くなるまで(S88;NO)、S81〜S85の処理を繰り返す。
【0079】
以上の処理により、1つ又は複数の改善可能因子が抽出される。本実施形態においては、ユーザ情報DBに蓄積されたユーザ自身の過去のデータを用いて生活指標と注目指標の間の相関(因果関係)を評価するため、注目指標の改善ひいては疾病リスクや健康年齢の改善に有効な生活指標を抽出することが可能である。しかも、カテゴリ別に改善可能因子を抽出することにより、日常生活の中の様々な活動若しくは習慣に関する改善提案を行うことができるので、ユーザの選択肢を広げることが可能である。
【0080】
なお本実施形態では、改善可能因子抽出機能172のS81の処理が本発明の注目指標選択手段に対応し、改善可能因子抽出機能172のS90〜S93の処理が本発明の改善可能因子抽出手段に対応する。
【0081】
(リスク因子抽出機能:リスク因子表示機能)
リスク因子表示機能173は、改善可能因子抽出機能172により選び出された改善可能因子(生活指標)をパネル108に表示するための機能である。図7の画面の下段が、改善可能因子の表示例である。この例では、運動カテゴリの生活指標として「連続歩行回数」と「連続歩行時間」、睡眠カテゴリの生活指標として「睡眠時間」と「睡眠深度」、食事カテゴリの生活指標として「アルコール摂取頻度」が表示されている。なお食事カテゴリの「夕食の時間」についてはユーザ情報DBへのデータ蓄積が無かったため、非アクティブ状態となっている。また「タバコの本数」は、改善可能因子抽出機能172により選び出された因子ではないが、疾病リスクへの影響が大きいことが既知であるため、デフォルトで改善可能因子に選ばれている。
【0082】
図7の例では、個々の改善可能因子がバー表示されている。「連続歩行時間」を例にとり、バー230を構成する各部品の説明を行う。バー230の縦軸が生活指標の値を表し、上にいくほど良好な値となる。バー230の色(濃淡)は、過去一定期間(例えば数週間)の生活指標の値のばらつきを示している。つまりバー230の色が最も濃い部分が過去一定期間の平均μを表している。またバー230の幅は、それぞれの改善可能因子が生体指標(注目指標)に及ぼす影響の強度を表している。つまり幅の広い改善可能因子ほど、改善効果を期待できることがわかる。バー230に重ねて配置された黒いライン231は、直近の測定値(一番新しい測定値でもよいし、直近の複数の測定値の平均でもよい)を示している。黒いライン231の上に存在する白いライン232は、ユーザにより設定された改善目標を示している。なおバー230の上部に表示された数値「+0.5h」は、改善目標の値を示している。バー230の左側に配置された黒い三角233は、ユーザと同年代かつ同性別の集団における平均値を表している。
【0083】
バー230の右側に配置された第2のバー234は、改善目標の設定可能な範囲(ライン232の移動可能範囲)を示している。この第2のバー234の上端の位置、つまり改善目標として設定可能な値の上限は、改善可能因子抽出機能172にて計算された改善可能因子の過去一定期間の値の平均μと標準偏差σを用いて、μ+Nσ(Nは2以上の整数)に設定される。また第2のバー234の下端、つまり改善目標として設定可能な値の下限は、直近の測定値(ライン231)と同じに設定される。このように、ユーザ自身の改善可能因子の値の分布(変動)に基づき改善目標の上限を決定することにより、ユーザにとって無理のない範囲で実現できる適切な改善目標の設定を支援できる。またユーザ自身も第2のバー234の長さをみることで、現時点での現実的な健康状態の改善量を把握することができる。
【0084】
なお図7の表示例はあくまでも一例にすぎず、改善目標を設定可能なGUIを備えていればどのような表示形式で改善可能因子を表示してもよい。図10は改善可能因子の別の表示例を示している。図10では、同年代かつ同性別の集団における平均値がバーのちょうど中央にくるように、バーの上下の位置を調整している。この場合は、図7の黒い三角233のような部品を表示する必要がない。
【0085】
(改善計画支援機能:リスク因子目標設定機能)
リスク因子目標設定機能181は、改善可能因子に対する改善目標をユーザに設定させる機能(改善目標設定手段)である。具体的には、図7に示すように、バー230上の白いライン232を移動するか、直接数値を入力することにより、改善目標を設定する。
【0086】
(改善計画支援機能:生活改善効果演算機能)
生活改善効果演算機能182は、改善可能因子の改善目標が達成された場合に生体指標に現れる改善効果を予測する機能である。以下、図11〜図13を参照して、改善効果の予測手法について説明する。
【0087】
図11は、ある生活指標Iの変化が生体指標Jの値に与える影響をモデル化する手法を模式的に示している。生活改善効果演算機能182は、まずユーザ情報DBに蓄積されたデータ(測定値又は入力値)を用いて、生活指標Iの変化量Δaと生体指標Jの変化量Δxの関係を2次元分布としてマッピングする。そして、この2次元分布を正規分布で近似したモデルを生成する。なおユーザ個人のデータが十分に蓄積されておらず、所定量に満たない場合には、生活改善効果演算機能182は、ROM内に予め用意されている初期的なデータセットを上記モデルの生成に利用する。このデータセットは、大規模な追跡調査から得られた、ユーザと同年代かつ同性別の集団の統計的な値を示すものである。システムの使用初期のように個人データの蓄積が少ない場合には、このようなデータセットを利用し、所定量の個人データが得られた段階で、個人データに切り替えていく。これにより使用初期からある程度妥当なモデル構築が可能となり、改善効果の予測精度を保証することができる。そして個人データが蓄積されるにしたがってモデルが更新されていき、改善効果の予測精度を高めることが可能である。
【0088】
図12は、図11のモデルから改善効果を求める手法を模式的に示している。改善目標の値としてΔaが設定された場合、生活改善効果演算機能182は、その目標値Δaを事前条件として、上記モデルから条件付確率分布P(Δx|Δa)を求める。この条件付確率分布が、生活指標IをΔaだけ改善した場合に生体指標Jに期待される改善効果を表している。
【0089】
図13は、複数の生活指標に改善目標を設定した場合の改善効果の予測手法を模式的に示している。生活指標T、D、T、…のそれぞれに改善目標が与えられたら、生活改善効果演算機能182は、図11及び図12で述べたと同様に、各生活指標の目標値に従った条件付確率分布を算出する。そして、それら条件付確率分布を合算し、その合算値を生活指標の母数Nで正規化する。続いて、正規化した確率分布を正規分布として近似し、その平均μと標準偏差σとを改善効果として定義する。
【0090】
(改善計画支援機能:生活改善効果表示機能)
生体指標Iの改善効果μ±Nσが得られたら、疾病リスク評価機能162がその改善効果を考慮することにより、各疾病リスクRを算出する。さらに、健康年齢変換機能163が上記疾病リスクRを用いて、健康年齢Aを推定する。これにより、改善目標を達成した場合の期待される疾病リスク及び健康年齢を予測することができる。
【0091】
このようにして得られた改善後の疾病リスク及び健康年齢は、生活改善効果表示機能1
83により画面表示される。図7の例では、上段左の健康年齢分布に重ねて、改善後の健康年齢203を表示し、上段中央のレーダーチャートにおいて、改善後の疾病リスク分布212を表示している。
【0092】
以上述べた構成によれば、改善可能因子に対して改善目標を設定するとリアルタイムに疾病リスク及び健康年齢の改善効果が示される。よって、日常生活における身体活動や生活習慣の改善が総合的な健康状態にどのように影響するのかを可視化し、シミュレーションすることができる。これにより、納得性の高い情報をユーザに提供でき、健康改善に対するモチベーションの維持・向上を図ることができる。
【0093】
上述した実施形態の構成は本発明の一具体例を例示したものにすぎない。本発明の範囲は上記実施形態に限られるものではなく、その技術思想の範囲内で種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】図1は、本発明に関わる健康管理システムの全体的な構成を示す図である。
【図2】図2は、本発明が採用する指標間の影響伝播モデルを示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態に係る総合健康状態判断システムの一構成例を示す図である。
【図4】図4は、総合健康状態判断装置のハードウエア構成を模式的に示すブロック図である。
【図5】図5は、総合健康状態判断装置の機能を模式的に示す機能構成図である。
【図6】図6は、影響伝播モデルの具体例を示す図である。
【図7】図7は、画面表示の一例を示す図である。
【図8】図8は、改善可能因子の抽出処理を示すフローチャートである。
【図9】図9は、改善可能因子の抽出処理の詳細を示すフローチャートである。
【図10】図10は、改善可能因子の別の表示例を示す図である。
【図11】図11は、ある生活指標Iの変化が生体指標Jの値に与える影響をモデル化する手法を模式的に示す図である。
【図12】図12は、図11のモデルから改善効果を求める手法を模式的に示す図である。
【図13】図13は、複数の生活指標に改善目標を設定した場合の改善効果の予測手法を模式的に示す図である。
【図14】図14は、健康管理システムのコンセプトモデルを示す図である。
【符号の説明】
【0095】
1 総合健康状態判断装置
2〜6 計測装置
130 機能遷移制御機能
140 初期設定機能
141 日付・時刻設定機能
142 属性情報設定機能
150 生体情報測定機能
151 生活習慣設定機能
152 測定値通信機能
153 測定値信頼性評価機能
154 測定値記録機能
160 リスク推定機能
161 健康状態抽出機能
162 疾病リスク評価機能
163 健康年齢変換機能
164 健康状態表示機能
165 健康年齢表示機能
166 健康プロファイル表示機能
170 リスク因子抽出機能
171 リスク寄与度合い演算機能
172 改善可能因子抽出機能
173 リスク因子表示機能
180 改善計画支援機能
181 リスク因子目標設定機能
182 生活改善効果演算機能
183 生活改善効果表示機能
200 健康年齢分布
201 健康年齢
202 平均値
203 改善後の健康年齢
210 疾病リスク分布
211 平均的な疾病リスク分布
212 改善後の疾病リスク分布
220 冠動脈系リスクに対する影響強度分布
221 心血管系リスクに対する影響強度分布
222 脳卒中系リスクに対する影響強度分布
230 バー
231 直近の測定値を示すライン
232 改善目標を示すライン
233 同年代・同性別の集団における平均値を示す三角
234 改善目標の設定可能な範囲を示す第2のバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体活動若しくは生活習慣に関する指標である生活指標と、身体の生理的な状態に関する指標である生体指標と、を含む複数項目の指標のそれぞれについて、評価対象者から測定又は入力されたデータを蓄積する記憶手段と、
前記生体指標を含む複数の指標に基づいて前記評価対象者の健康状態を評価する評価手段と、
前記評価手段の評価に用いられた生体指標の中から、前記評価対象者の健康状態の評価を低下させている1又は複数の生体指標を、注目指標として、選択する注目指標選択手段と、
前記記憶手段に蓄積された生活指標及び生体指標の過去のデータを比較することにより、前記選択された注目指標との相関が最も高い1又は複数の生活指標を改善可能因子として抽出する改善可能因子抽出手段と、
前記評価対象者の健康状態の評価とともに前記改善可能因子を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする健康状態判断装置。
【請求項2】
前記改善可能因子に対する改善目標を評価対象者に設定させる改善目標設定手段と、
前記改善目標設定手段により改善目標が設定されると、その改善目標が達成された場合に前記注目指標に現れる改善効果を予測する改善効果演算手段と、をさらに備え、
前記評価手段が、前記注目指標の改善効果を考慮することによって改善後の健康状態を評価し、前記表示手段が、前記改善可能因子の改善目標及び前記改善後の健康状態の評価をさらに表示することを特徴とする請求項1に記載の健康状態判断装置。
【請求項3】
前記改善目標設定手段は、前記記憶手段に蓄積された前記改善可能因子の値の分布に基づいて、改善目標として設定可能な値の上限を決定することを特徴とする請求項2に記載の健康状態判断装置。
【請求項4】
前記改善効果演算手段は、前記記憶手段に蓄積された前記改善可能因子及び前記注目指標の過去のデータに基づいて前記改善可能因子の値又はその変化が前記注目指標の値に与える影響をモデル化し、そのモデルを用いて前記注目指標の改善効果を算出することを特徴とする請求項2又は3に記載の健康状態判断装置。
【請求項5】
前記記憶手段に蓄積されている前記評価対象者の過去のデータが所定量に満たない場合に、前記改善効果演算手段は、前記記憶手段に予め用意されているデータも利用して、前記モデルを生成することを特徴とする請求項4に記載の健康状態判断装置。
【請求項6】
前記表示手段は、前記評価対象者と同年代かつ同性別の者における、健康状態の評価及び改善可能因子の平均値をさらに表示することを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の健康状態判断装置。
【請求項7】
前記改善可能因子が複数ある場合に、前記表示手段は、それぞれの改善可能因子が前記注目指標に及ぼす影響の強度をさらに表示することを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の健康状態判断装置。
【請求項8】
請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の健康状態判断装置と、
前記評価対象者から前記指標を測定する1又は複数の計測装置と、
を備えることを特徴とする健康状態判断システム。
【請求項9】
コンピュータが、
身体活動若しくは生活習慣に関する指標である生活指標と、身体の生理的な状態に関す
る指標である生体指標と、を含む複数項目の指標のそれぞれについて、評価対象者から測定又は入力されたデータを記憶手段に蓄積する記憶ステップと、
前記生体指標を含む複数の指標に基づいて前記評価対象者の健康状態を評価する評価ステップと、
前記評価ステップでの評価に用いられた生体指標の中から、前記評価対象者の健康状態の評価を低下させている1又は複数の生体指標を、注目指標として、選択する注目指標選択ステップと、
前記記憶手段に蓄積された生活指標及び生体指標の過去のデータを比較することにより、前記選択された注目指標との相関が最も高い1又は複数の生活指標を改善可能因子として抽出する改善可能因子抽出ステップと、
前記評価対象者の健康状態の評価とともに前記改善可能因子を表示手段に表示する表示ステップと、
を実行することを特徴とする健康状態判断方法。
【請求項10】
請求項9に記載の健康状態判断方法における各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−122901(P2010−122901A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295910(P2008−295910)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ZIGBEE
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】