説明

健康状態診断システム

【課題】特に生体に負荷をかけることなく、簡易に継続的に健康状態を測定する。
【解決手段】生体情報を含んでいる対象物を撮像する撮像部31と、撮像により得られる画像情報に基づき生体の健康状態に関する特徴量を抽出する画像処理手段27と、抽出された特徴量に基づき生体の健康状態を判定する判定手段28とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像処理により健康状態を診断する健康状態診断システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自分の健康を自ら管理するセルフメディケーションが進行してきており、簡易に継続して自己の健康状態を把握する健康補助器具の要望が高まっている。従来より、体重計、体脂肪計、血圧計などが用いられて健康状態の把握がなされている。
【0003】
また、画像を用いた健康状態の測定装置としては、例えば特許文献1に記載されたシステムが知られている。この特許文献1には、舌の色情報などを用いて健康度を判定することが記載されている。
【特許文献1】特開2005−137756号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、特に生体に負荷をかけることなく、簡易に継続的に健康状態を測定でき、複数の人から単身で暮らす人まで、適切に健康状態を管理可能となる健康状態診断システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る健康状態診断システムは、生体情報を含んでいる対象物を撮像する撮像手段と、撮像により得られる画像情報に基づき生体の健康状態に関する特徴量を抽出する画像処理手段と、抽出された特徴量に基づき生体の健康状態を判定する判定手段とを具備することを特徴とする。
【0006】
本発明に係る健康状態診断システムは、判定手段による判定結果を表示する表示手段と、判定手段による判定結果を記憶する記憶手段と、要求に応じて現在または過去の情報を前記表示手段に表示させる表示制御手段とを具備することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る健康状態診断システムは、ネットワークを介して通信するための通信手段を備え、所要情報の送受を行うことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る健康状態診断システムは、センサを備え、判定手段は前記センサの情報を用いて判定を行うことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る健康状態診断システムは、生体情報を含んでいる対象物を照射する照明手段を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る健康状態診断システムは、個人を特定する情報を入力する個人特定情報入力手段が備えられていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る健康状態診断システムでは、判定手段が色情報と形状情報に基づき判定を行うことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る健康状態診断システムでは、判定手段が健康状態を判定するための画像を取得するタイミングを、撮像により得られる画像情報に基づき決定するタイミング決定手段を具備することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る健康状態診断システムは、画像処理に基づき照明手段による光量を変更する光量制御手段が備えられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る健康状態診断システムは、生体情報を含んでいる対象物を撮像して、画像情報に基づき生体の健康状態に関する特徴量を抽出し、特徴量に基づき生体の健康状態を判定するので、人への負担が少なく、簡易に継続的に健康状態を測定できる。本発明に係る健康状態診断システムは、判定結果を記憶し、要求に応じて現在または過去の情報を表示させるので、履歴も含めて目視でき、健康状態の把握管理を容易とする。また、本発明に係る健康状態診断システムは、ネットワークを介して通信するための通信手段を備えて所要情報の送受を行うことができる。また、本発明に係る健康状態診断システムは、センサを備え、センサの情報を用いて判定を行うことができ、より適切な判定を可能とする。本発明に係る健康状態診断システムは、照明手段を備えるので、必要な輝度の画像を取り込んで画像処理可能である。本発明に係る健康状態診断システムは、個人を特定する情報を入力することができ、複数人の使用に対し対応可能である。本発明に係る健康状態診断システムでは、色情報と形状情報に基づき判定を行うので、より適切な判定を可能とする。本発明に係る健康状態診断システムでは、健康状態を判定するための画像を取得するタイミングを、撮像により得られる画像情報に基づき決定するので、判定するために十分な画像を取得して判定できる。本発明に係る健康状態診断システムは、画像処理に基づき照明手段による光量を変更するので、対象物の照明状態を適切にすることができ、必要な輝度の画像を取り込んで画像処理可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下添付図面を参照して、本発明に係る健康状態診断システムの実施例を説明する。各図において、同一の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1は、本発明に係る健康状態診断システムの実施例を示す構成図である。本体部10は、例えばパーソナルコンピュータにより構成される制御部20を中心として構成され、制御部20に、撮像部31、照明部32が接続されている。撮像部31は、カラー画像信号を得るCCDやCMOSの撮像素子であり、照明部32と共に図2に示されるように、便座101の内部であって、排泄物を撮像可能な位置に設置される。照明部32は、調光制御可能であり必要な光量で対象物を照射するLEDなどにより構成される。
【0016】
更に、図1に示すように制御部20には、CRTやLCD等により構成される表示部21と、外部記憶装置33を接続するための外部記憶インタフェース22、センサ34を接続するためのセンサインタフェース23、更に、個人を特定する情報を入力する入力部24が、それぞれ接続されている。更に、通信インタフェースを含む通信部25が接続され、ネットワーク40を介して例えば病院などのコンピュータ41に接続され、所要情報の送受を行うことが可能となっている。
【0017】
上記の入力部24は、トイレ入口などに配置され、入力部24としてはキーボードを用いることができるが、生体認証装置を用いることも可能である。また、センサ34としては、着座を検出する圧力センサや、H2Sなどの主にガス臭を検出する臭気センサなどが用いられる。
【0018】
制御部20には、メモリ26、画像処理手段27、判定手段28が備えられている。メモリ26には、色を特定するための色サンプル情報や、図4、図5に示すような健康状態情報に色、形状情報が対応付けられた分析テーブルなどが格納されている。
【0019】
画像処理手段27は、撮像により得られる画像情報に基づき生体の健康状態に関する特徴量を抽出するもので、排泄物から色と形状を特徴量として検出する。色検出には、例えば、メモリ26に記憶された色サンプル情報との比較を行い、類似度が最も高い色サンプルの情報を検出する。形状の特定には、画像処理で知られているエッジ検出を行い、エッジによる輪郭による面積、全体の広がり面積、高さの閾値を、図3に示す形状毎に定めて、図3の形状のいずれに該当するかを検出する。高さについては、撮像部31が旋回などにより動くように構成し、制御部20からの制御により撮像位置を変化させて高さ検出を行う。
【0020】
判定手段28は、画像処理手段27により抽出された特徴量に基づき生体の健康状態を判定するものである。ここでは、色と形状に基づき、図4、図5に示すテーブルから、「健康」、「水分の取り過ぎ」などの判定を行う。
【0021】
以上の構成を有する健康状態診断システムは、図6、図7に示すフローチャートにより動作を行うので、このフローチャートに基づき動作説明を行う。制御部20では、入力があるかを検出しており(S11)、入力がなされると分析を行って(S12)、着座であるかを検出する(S13)。
【0022】
ステップS11において着座でないことが検出されると、履歴情報の表示やネットワーク40を介しての送信など、入力部24から要求された内容に基づき処理を行う(S14)。また、ステップS11において着座であることが検出されると、画像処理手段27と判定手段28を起動する(S15)。
【0023】
図7のフローチャートは、画像処理手段27と判定手段の動作に対応するものである。起動された画像処理手段27は、撮像部31から送られる画像を取り込みディジタル化して(S21)、輝度レベルを求め、適切な光量(輝度レベル)であるかを予め設定されている閾値に基づき検出する(S22)。ステップS22において、適切な光量に達していなければ照明部32の光量制御を行う(S23;光量制御手段)。
【0024】
ステップS22において、適切な光量に達していることが検出されると、判定手段28が健康状態を判定するための画像を取得するタイミングを、撮像により得られる画像情報に基づき決定する(S24;タイミング決定手段)。例えば、画像の変化がなくなったとき、或いは、水洗されてしまう直前を背景差分などにより捕らえてどの画像について処理するかを決定する。次に、決定された特徴量の抽出を行う(S25)。このステップS25においては、メモリ26に記憶された色サンプル情報との比較を行い、類似度が最も高い色サンプルの情報を検出する。また、画像処理で知られているエッジ検出を行い、エッジによる輪郭による面積、全体の広がり面積、高さの閾値を、図3に示す形状毎に定め情報を用いて、図3の形状のいずれに該当するかを検出することで形状の特定を行う。
【0025】
ステップS25に続いて、判定手段28へ特徴量が送られる(S26)。判定手段28は、特徴量である色と形状に基づき、図4、図5に示すテーブルから求め、例えば色が黄土色で形状が半ねり粘土状であれば「健康」とし、形状が細くて柔らかい場合に「水分の取り過ぎ」などの判定を行う(S27)。なお、臭気センサを用いる場合には、その検出情報に対応させて健康状態(腸炎の可能性)などを対応づけて判定を行う。各特徴量及びセンサによる判定結果は、例えば全て採用し、例えば、図3のテーブルにおける「111」対応する場合は、図4に示すテーブルからは「健康」、図5に示すテーブルからは「食物繊維不足の可能性」となるから、これらを合わせて「健康ですが、食物繊維不足の可能性があります」などとする。判定結果は表示部21に表示し、外部記憶装置33に個人識別情報と共に記憶する(S28)。
【0026】
上記以外に、制御部20は、外部記憶装置33に個人識別情報と共に記憶された情報を元に、常態情報を作成し、これと同じ特徴量が得られるときには判定手段28が「健康」と判断する情報を作成して判定を行うこともできる。更に、タイミング決定手段としては、着座センサにより着座から退座となったときを検出して、このときの画像を用いるようにしても良い。
【0027】
また、水洗の水の色が影響するような場合には、この成分を画像処理に除去してから特徴抽出を行い、また、照明部32として分光特性の異なる光を出力する複数の照明部を備えて、それぞれの照明時或いは一方の照明時における画像について処理を行うようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る健康状態診断システムの実施例を示す構成図。
【図2】本発明に係る健康状態診断システムの実施例における要部部材の取り付け状態を示す図。
【図3】本発明に係る健康状態診断システムの実施例に用いられる、形状と色から健康状態を取り出すために使用されるテーブルの内容を示す図。
【図4】本発明に係る健康状態診断システムの実施例に用いられる、色と健康状態が対応付けられたテーブルの内容を示す図。
【図5】本発明に係る健康状態診断システムの実施例に用いられる、形状と健康状態が対応付けられたテーブルの内容を示す図。
【図6】本発明に係る健康状態診断システムの実施例における動作を説明するためのフローチャート。
【図7】本発明に係る健康状態診断システムの実施例における動作を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0029】
10 本体
20 制御部
21 表示部
22 外部記憶インタフェース
23 センサインタフェース
24 入力部
25 通信部
26 メモリ
27 画像処理手段
28 判定手段
31 撮像部
32 照明部
40 ネットワーク
41 コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報を含んでいる対象物を撮像する撮像手段と、
撮像により得られる画像情報に基づき生体の健康状態に関する特徴量を抽出する画像処理手段と、
抽出された特徴量に基づき生体の健康状態を判定する判定手段と
を具備することを特徴とする健康状態診断システム。
【請求項2】
判定手段による判定結果を表示する表示手段と、
判定手段による判定結果を記憶する記憶手段と、
要求に応じて現在または過去の情報を前記表示手段に表示させる表示制御手段と
を具備することを特徴とする請求項1に記載の健康状態診断システム。
【請求項3】
ネットワークを介して通信するための通信手段を備え、所要情報の送受を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の健康状態診断システム。
【請求項4】
センサを備え、
判定手段は前記センサの情報を用いて判定を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の健康状態診断システム。
【請求項5】
生体情報を含んでいる対象物を照射する照明手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の健康状態診断システム。
【請求項6】
個人を特定する情報を入力する個人特定情報入力手段が備えられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の健康状態診断システム。
【請求項7】
判定手段は、色情報と形状情報に基づき判定を行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の健康状態診断システム。
【請求項8】
判定手段が健康状態を判定するための画像を取得するタイミングを、撮像により得られる画像情報に基づき決定するタイミング決定手段を具備することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の健康状態診断システム。
【請求項9】
画像処理に基づき照明手段による光量を変更する光量制御手段が備えられていることを特徴とする請求項5に記載の健康状態診断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−54835(P2008−54835A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−233805(P2006−233805)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】