健康管理システム
【課題】健康管理対象者の健康状態に関する主観的情報を収集し、管理するシステムにおいて、健康管理対象者が健康状態に関する主観的情報を簡単に入力できるようにする。
【解決手段】健康管理対象者に関連付けられた電話機3と、電話機3とネットワーク1を介して接続されるセンタ装置2とを有する。センタ装置2は、所定の日時に電話機3に対して呼び出しを行う配信サーバ11と、健康管理対象者により電話機3から入力された音声情報を記録する通話録音サーバ12と、記録された音声情報を認識してテキスト化するとともに、そのテキスト中に健康状態に関する所定のキーワードがあるか否かを判定し、判定結果を記録する音声認識サーバ13と、健康管理対象者に診断が必要か否かを判断する健康管理サーバ14とを有する。
【解決手段】健康管理対象者に関連付けられた電話機3と、電話機3とネットワーク1を介して接続されるセンタ装置2とを有する。センタ装置2は、所定の日時に電話機3に対して呼び出しを行う配信サーバ11と、健康管理対象者により電話機3から入力された音声情報を記録する通話録音サーバ12と、記録された音声情報を認識してテキスト化するとともに、そのテキスト中に健康状態に関する所定のキーワードがあるか否かを判定し、判定結果を記録する音声認識サーバ13と、健康管理対象者に診断が必要か否かを判断する健康管理サーバ14とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢者等の健康管理対象者の健康状態に関する情報を収集し、管理する健康管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者等の生活情報を収集し、把握するシステムとして、特許文献1に開示された生活見守りシステムがある。この生活見守りシステムは、見守り対象者の住宅に設置して、宅内環境、宅内設備、宅内機器、居住者の生活状況・生活環境、居住者の生体情報を検知するセンシング機能を有する宅内装置と、宅内装置からの生活情報を収集、管理して各種のサービス提供を行う見守りセンタと、見守り対象者を見守る見守り者が居住する見守り者宅と、宅内装置、見守りセンタ及び見守り者宅をインターネットなどのネットワークで接続しデータを送受信するネットワーク網とを備えて構成される。
【0003】
この生活見守りシステムでは、トイレや風呂の使用時間、外出及び帰宅の状況、特定の部屋の滞在時間、起床時刻や就寝時刻などの客観的な生活情報に加えて、見守り対象者の主観的な日記情報を収集する。そして、日記情報に対してキーワード検索を行い、抽出されたキーワード(「つらいことがあった」、「何となく疲れる」、「気分が良い」、「楽しいことがあった」など)を評価することにより、客観的な生活情報から得られる見守り対象者の行動に加えて、見守り対象者の気分や健康状態に関する情報を得ることができる。
【0004】
また、電子カルテ、医事会計システム、医療計測、患者日誌などを統合し、患者に関する医療情報をいつでもどこでも誰でも安心して利用できる医療情報システムであって、蓄積された医学情報に基づいて患者個人に対する対処法を提示可能にした医療総合情報システムがある(特許文献2参照)。
【0005】
この医療総合情報システムにおける患者日誌システムでは、患者、患者の家族、看護師または第三者が主に患者の日々の、主訴、健康状態、飲酒および喫煙などの生活習慣、食事便通、顔色、気分、あるいは起床就寝時刻、外出先・スポーツクラブにおける運動量などの事項について自由にかつ自発的に記入し蓄積しておくことが可能である。また、それらの事項を通じて医師が診断を下すための情報を提供することができる。医師らの言葉ではなく患者自らの主訴などを記録しておくことが可能である。
【0006】
さらに、医師、患者または患者の家族が操作するパーソナルコンピュータなどの端末装置と、WAN(Wide Area Network)と、端末装置からの患者情報、治療情報等をデータベースに格納し、また端末装置からの問い合わせ等に応答可能な医療情報支援装置とを有する医療情報支援システムがある(特許文献3参照)。
【0007】
この医療情報支援システムによれば、患者が端末装置から、食事、睡眠、行動、気分、痛みなどの項目について、○×式で患者個人サイトから入力すると、医療情報支援装置内の患者情報データベースに記憶される。医療情報支援装置では、例えば、1週間にいくつ○がついているかをカウントすることによってQOL(Quality of Life)を評価する。
【0008】
これらの各文献に記載されたシステムでは、利用者が入力した主観的情報を検査データなどの客観的データと併せて用いることにより、利用者の健康状態などをより的確に把握することが期待できる。
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載されている生活見守りシステムでは、日記情報の入力をコンピュータのキー操作により行うため、コンピュータの操作に慣れていない人には入力が面倒である。
【0010】
また、特許文献2に記載されている医療総合情報システムにおいても、患者日誌システムに対するアクセス及び記入をコンピュータのキー操作により行うため、コンピュータの操作に慣れていない患者には困難である。
【0011】
また、特許文献3に記載されている医療情報支援システムにおいても、患者は上述した各項目を入力する際、パーソナルコンピュータなどの端末装置を用いて医療情報支援装置にアクセスすることが必要であるため、コンピュータの操作に慣れていない患者には困難である。
【0012】
つまり、上記各文献に記載されたどのシステムでも、利用者が主観的情報を入力するには、コンピュータのキー操作を行うことが必要であるため、コンピュータの操作に慣れていない人には入力が困難であるという問題がある。
換言すれば、これらのシステムは、健常者であり、健康で意識もしっかりしており、かつIT(Information Technology)機器の知識を備えた人しか利用することができないから、生まれながらもしくは病気により身体が不自由になった人が利用することは現実的に不可能である。
つまり、高齢者、生活弱者及び医療弱者はこれらのシステムを十分に利用することができないから、これらのシステムのメリットを享受できないことは容易に想定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2005−115413号公報
【特許文献2】WO2005/122033号公報
【特許文献3】特開2006−221471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その第1の目的は、健康管理対象者の健康状態に関する主観的情報をネットワーク経由で収集し、管理する健康管理システムにおいて、コンピュータの操作に慣れていない健康管理対象者でも健康状態に関する主観的情報を簡単に入力できるようにすることであり、第2の目的は、入力された主観的情報に基づいて健康管理対象者の体調変化の予兆を検知し、治療の遅れによる病状の悪化を防止可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、健康管理対象者の健康状態に関する主観的情報をネットワーク経由で収集し、管理する健康管理システムであって、健康管理対象者に関連付けられた電話機と、前記電話機とネットワークを介して接続されるセンタ装置とを有し、前記センタ装置は、予め設定された日時に前記電話機に対する呼び出しを行う呼び出し手段と、該呼び出しに応じて通信確立された電話機に対して音声による案内情報を送信する案内情報送信手段と、該案内情報に応じて前記電話機から入力された前記健康管理対象者の音声情報を受信する受信手段と、その音声情報を認識してテキスト化する音声認識手段と、そのテキスト中に健康状態に関する所定のキーワードがあるか否かを判定する判定手段と、その判定手段の判定結果を基に、前記健康管理対象者に診断が必要か否かを判断する判断手段とを有することを特徴とする健康管理システムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、健康管理対象者の健康状態に関する主観的情報をネットワーク経由で収集し、管理する健康管理システムにおいて、固定電話機や携帯電話機といった日常生活の中で使用している機器を用いることで、コンピュータの操作に慣れていない健康管理対象者でも健康状態に関する主観的情報を簡単に入力することができる。
また、健康管理対象者の電話機に対する呼び出しを行うとともに、呼び出しに応答した健康管理対象者に対し音声による案内情報を送信するので、主観的情報を自発的に入力することが困難な健康管理対象者に対して情報入力を支援することができる。
さらに、健康管理対象者の、体調変化の予兆を検知し、診断の要否を判断することができるので、治療の遅れによる病状の悪化を防止することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態の健康管理システムの全体構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態の健康管理システムにおけるサービス利用者からの音声情報の記録、認識及びキーワード検索処理のフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態の健康管理システムにおける日記テーブルを示す図である。
【図4】本発明の実施形態の健康管理システムにおける特定用語テーブルを示す図である。
【図5】本発明の実施形態の健康管理システムにおける診断が必要なサービス利用者を検出する処理のフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態の健康管理システムにおける健康管理テーブルを示す図である。
【図7】本発明の実施形態の健康管理システムにおけるキーワード集計テーブルを示す図である。
【図8】本発明の実施形態の健康管理システムにおける医学的法則性テーブルを示す図である。
【図9】本発明の実施形態の健康管理システムにおけるサービス利用者別日記集計テーブルを示す図である。
【図10】本発明の実施形態の健康管理システムにおいて、診断情報を医療機関へ送信する処理のフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態の健康管理システムにおける病院テーブルを示す図である。
【図12】本発明の実施形態の健康管理システムにおける診断テーブルを示す図である。
【図13】本発明の実施形態の健康管理システムにおいて、医療機関に対して診断情報を送信する処理のフローチャートである。
【図14】本発明の実施形態の健康管理システムにおいて、医学的法則性テーブル上の病名に近い症状を有するサービス利用者に対して問い合わせを行い、結果を記録する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
〈健康管理システムの全体構成〉
本発明の実施形態の健康管理システムは、図1に示すように、IP網や公衆網などのネットワーク1に接続されたセンタ装置2、電話機3及び医療機関4により構成されている。ここで、医療機関4は病院などであり、電話機、通信機能を備えたパーソナルコンピュータ(以下、PC)等が設けられている。
【0019】
電話機3は、この健康管理システムのサービス利用者に関連付けられた固定電話機や携帯電話機、つまりサービス利用者の住居に設置された固定電話機やサービス利用者が所持する携帯電話機である。便宜上、ここには、電話機3を三台のみ図示したが、実際はサービス利用者全員の電話機がネットワーク1に接続される。
【0020】
センタ装置2はセンタコンピュータ5、センタDB(データベース)6、ルータ7、及びPC8を備えている。また、センタコンピュータ5は配信サーバ11、通話録音サーバ12、音声認識サーバ13、健康管理サーバ14、診断情報管理サーバ15などのサーバ群を備えており、センタDB6は配信情報テーブル21、日記テーブル22、健康管理テーブル23、サービス利用者別日記集計テーブル24、キーワード集計テーブル25、診断テーブル26、病院テーブル27、医学的法則性テーブル28、特定用語テーブル29などのテーブル群を備えている。ここで、センタコンピュータ5は一台又は複数台のPCにより構成されており、センタDB6は一台又は複数台のHDD(Hard Disk Drive)により構成されている。
【0021】
センタコンピュータ5及びPC8はルータ7のLAN(Local Area Network)側に接続されており、互いにデータ通信が可能である。また、センタDB6内の各テーブルはセンタコンピュータ5内の各サーバによるアクセスが可能となるように構成されている。
【0022】
ルータ7はセンタ装置2がネットワーク1を介して電話機3、医療機関4と通信を行う際のルーチングを行う装置である。PC8は、オペレータがこのセンタ装置2を操作するための装置である。
【0023】
配信サーバ11は定期的又は必要に応じて不定期に、サービス利用者の電話機3に対し各種情報を配信する。全てのサービス利用者の電話機3の電話番号データ、及び配信する各種情報の音声データは配信情報テーブル21に予め登録(記憶)されており、配信サーバ11は配信情報テーブル21からこれらの音声データを読み出し、一斉配信を行う。
【0024】
また、配信サーバ11はサービス利用者の電話機3から送信された音声情報、即ちサービス利用者が電話機3の受話器に向けて発した音声に対応する電気信号を受信したとき、その音声情報の受信日時及びサービス利用者の識別番号を通話録音サーバ12へ送る。
【0025】
通話録音サーバ12は、配信サーバ11で受信された電話機3からの音声情報、及び受信日時をサービス利用者の識別番号に対応付けて日記テーブル22に記録する。音声認識サーバ13は、日記テーブル22に記録された音声情報を読み出し、音声認識してテキスト情報に変換し、さらにそのテキスト情報中に、予め特定用語テーブル29に登録(記憶)されている特定のキーワードがあるか否かを調べ、その結果を日記テーブル22に記録する。
【0026】
健康管理サーバ14は、日記テーブル22に記録されたキーワードの検出結果をサービス利用者毎に集計して健康管理テーブル23及びキーワード集計テーブル25に記録するとともに、その集計結果と医学的法則性テーブル28とに基づいて、診断が必要なサービス利用者を検出し、その結果をサービス利用者別日記集計テーブル24に記録する。また、その結果をPC8のディスプレイに表示させる。
【0027】
診断情報管理サーバ15は、サービス利用者別日記集計テーブル24に診断が必要であることが記録されているサービス利用者について、病院テーブル27を用いて診断テーブル26を作成するとともに、作成した診断テーブル26に記載されているデータ(診断情報)をサービス利用者に対して音声及びメールで通知する。また、医療機関4からサービス利用者の健康状態に関する情報提供の要請を受けた場合、サービス利用者別日記集計テーブル24の内容を医療機関4へ送信する。
【0028】
以上の構成を備えた健康管理システムの動作について説明する。
〈音声情報の記録、認識及びキーワード検索〉
サービス利用者の電話機3からの音声情報の記録、認識及びキーワード検索のフローチャートを図2に示す。
【0029】
まず配信サーバ11は、サービス利用者の電話機3からの連絡の有無を判断する(ステップS1)。連絡がある場合(S1:あり)、配信サーバ11は、受信した音声情報、サービス利用者の識別番号、及び受信日時を通話録音サーバ12へ送り、通話録音サーバ12は、識別番号に対応付けて音声情報及びその受信日時を日記テーブル22に記録する(ステップS4)。音声情報の記録は通話が終了するまで続ける。
【0030】
図3に日記テーブル22の一例を示す。図示のように、日記テーブル22には、サービス利用者情報として、識別番号、氏名、電話番号、年齢の記録欄があり、日記情報として、受信日時、音声情報、キーワード情報、及び確認フラグの記録欄がある。識別番号、氏名、電話番号、年齢は予め登録(記録)されており、ステップS4では、受信日時と音声情報のみが記録される。キーワード情報及び確認フラグについては後述する。音声情報はデジタルデータとして記録(デジタル録音)される。
【0031】
連絡がない場合(S1:なし)、配信サーバ11は、サービス利用者へ送信する各種情報があるタイミングを待ち(ステップS2)、ある時(S2:あり)に全てのサービス利用者の電話機3を一斉に呼び出し、オフフックにより通信確立された電話機3に対して情報を配信する(ステップS3)。このとき送信する情報はインフルエンザ防止策の連絡、定期検診の案内、健康状態の問い合わせ等、健康管理に関する案内情報である。この案内情報送信の後、ステップS4へ進み、案内情報に対する応答としてサービス利用者が電話機3から入力した音声情報及びその受信日時を日記テーブル22に記録する。例えば、健康状態の問い合わせとして“胃腸の調子はいかがですか?”という音声メッセージを送信したときに、“最近食欲がありません”との応答の音声情報が返ってきた場合、その応答を日記テーブル22に記録する。
【0032】
次いで音声認識サーバ13は、日記テーブル22に記録された音声情報を読み出し、音声認識してテキストに変換する処理を開始する(ステップS5)。このテキスト変換処理は、音声情報の記録(ステップS4)と並行して行われる。
【0033】
次に音声認識サーバ13は、特定用語テーブル29を参照し、テキスト変換された音声情報中に、特定用語テーブル29に登録されているキーワードと一致する用語があるか否かを判断する(ステップS6)。図4に特定用語テーブルの一例を示す。
【0034】
特定用語テーブル29に登録されているキーワードと一致する用語がある場合(S6:あり)、音声認識サーバ13は、そのキーワードを抽出し、抽出後、日記テーブル22に記録し(ステップS7)、次に確認フラグを日記テーブル22にセットする(ステップS8)。
【0035】
次いで、通話録音サーバ12は電話機3との間の電話が終了したか否かを、配信サーバ11から音声情報が供給されているか否かに基づいて判断する(ステップS9)。そして、終了していない場合(S9:NO)は、ステップS5に戻り、音声認識サーバ13が音声テキスト変換処理を実行し、終了していた場合(S9:YES)は、音声録音処理を終了し(ステップS10)、このフローを終了する。ステップS6で、一致する用語がないと判断した場合(S6:なし)は、ステップS5に戻り、音声テキスト変換処理を実行する。
【0036】
図3に示した日記テーブル22では、例えば識別番号001のサービス利用者の場合、2009年1月3日の18時11分に受信した音声情報から、キーワードとして「アキレス腱」、「バット」、「殴られた」、「足首」、「痛い」が抽出され、確認フラグがセット(=1)されている。また、識別番号002のサービス利用者の場合、2009年1月1日の13時15分に受信した音声情報から「腹痛」が、同年同月2日の12時50分に受信した音声情報から「へそ」、「腹痛」が、同年同月3日の16時36分に受信した音声情報から「へそ」、「差し込む」、「右下」、「腹痛」、「急激」、「汗」がキーワードとして抽出され、確認フラグがセットされている。
【0037】
〈診断が必要なサービス利用者を検出する処理〉
健康状態に問題があるため、診断が必要なサービス利用者を検出する処理のフローを図5に示す。
【0038】
まず健康管理サーバ14は、日記テーブル22を参照し(ステップS11)、確認フラグがセットされているか否かをサービス利用者毎かつ受信日時毎に判断する(ステップS12)。確認フラグがセットされていた場合(S12:YES)は、その確認フラグに対応するキーワードを健康管理テーブル23に記録する(ステップS13)。図6に健康管理テーブル23の一例を示す。
【0039】
次いで、健康管理サーバ14は、健康管理テーブル23に記録されたキーワードをサービス利用者毎に集計し、キーワード集計テーブル25に記録する(ステップS14)。図7にキーワード集計テーブル25の一例を示す。ここには、例として7日分の集計を行った結果を示した。
【0040】
次に、健康管理サーバ14は、医学的法則性テーブル28を参照して、キーワード集計テーブル25に記録されたキーワードに該当する病名の有無を判断する(ステップS15)。ここで、病名の有無の判断は、医学的法則性テーブル28上の任意の病名に対応する全てのキーワードがキーワード集計テーブル25に記録されているか否かを基に行う。
図8に医学的法則性テーブル28の一例を示す。この医学的法則性テーブル28は、複数のキーワードと、それらに対応する病名、その病気に対する応急処置、その病気を診療する部門、及び治療の緊急度合との対応関係を記載したテーブルであり、例えばキーワードが「アキレス腱」、「バット」、「殴られた」、「足首」、「痛い」の場合、病名は「アキレス腱断裂」、応急処置は「足首の固定」、診療部門は「整形外科」、緊急度合は「4」である。なお、緊急度合は5段階で表され、数値が多い程緊急度合が高い。
【0041】
キーワード集計テーブル25に記録されたキーワードに該当する病名がある、即ち医学的法則性テーブル28上の任意の病名に対応する全てのキーワードがキーワード集計テーブル25に記録されていると判断された場合(S15:病名有り)、健康管理サーバ14は、サービス利用者別日記集計テーブル24の「診断要フラグ」をセットし、PC8にアラーム情報を表示させ(ステップS16)、ステップS17に進む。図9にサービス利用者別日記集計テーブル24の一例を示す。ここで、図9A、Bはそれぞれ識別番号001、002のサービス利用者の日記集計テーブルである。該当する病名が無いと判断した場合(S15:NO)は、そのままステップS17に進む。
【0042】
ここで、PC8に表示されるアラーム情報には、診断が必要なサービス利用者の識別番号、キーワードとともに、医療機関や担当医への連絡を要請するメッセージがある。
【0043】
ステップS17では、全てのサービス利用者について、ステップS15の判断(確認)が終了したか否かを判断し(ステップS17)、終了していない場合(S17:NO)は、次のサービス利用者に対して、キーワード集計テーブル25に記録されたキーワードに該当する病名が有るか否かを判断し(ステップS18→S15)、終了していた場合(S17:YES)は、この図のフローを終了する。
【0044】
図7に示したキーワード集計テーブル25の場合、識別番号001のサービス利用者については、キーワードとして「アキレス腱」、「バット」、「殴られた」、「足首」、「痛い」が有るから、医学的法則性テーブル28には「アキレス腱断裂」が該当する病名として存在し、識別番号002のサービス利用者については、キーワードとして「へそ」、「差し込む」、「右下」、「腹痛」、「急激」、「汗」が有るから、医学的法則性テーブル28には「虫垂炎」が該当する病名として存在する。
【0045】
〈診断が必要なサービス利用者に関する情報を本人及び医療機関へ通知する処理〉
診断が必要なサービス利用者に関する情報を本人及び医療機関に通知する処理のフローを図10に示す。この処理は、PC8のディスプレイにアラームなどが表示されているとき(図5のステップS16)に、オペレータが所定のキー操作を行うことに応じて開始される。
【0046】
診断情報管理サーバ15は、サービス利用者別日記集計テーブル24を参照して、「診断要フラグ」がセットされているか否かを判断する(ステップS21)。「診断要フラグ」がセットされている場合(S21:YES)は、医学的法則性テーブル28及び病院テーブル27を用いて診断テーブル26を作成する(ステップS22)。
【0047】
図11、図12はそれぞれ病院テーブル27、診断テーブル26の一例を示す図である。図12において、「取得キーワード」はサービス利用者別日記集計テーブル24の「キーワード情報」から取得されたものであり、「病名」、「応急処置」、「診療部門」、及び「緊急度合」は、「取得キーワード」に応じて医学的法則性テーブル28から取得されたものである。また、「病院名」は「診療部門」に応じて病院テーブル27から取得されたものである。
【0048】
図10の説明に戻る。次いで診断情報管理サーバ15は、ステップS22で作成した診断テーブル26の内容を配信サーバ11を介してサービス利用者の電話機3に通知する(ステップS23)。ここで、電話機3がメール受信機能を備えている場合は、音声又はメールの少なくとも一方により通知し、メール受信機能を備えていない場合は音声により通知する。通知するメッセージは、例えば識別番号001のサービス利用者の場合、“アキレス腱が断裂しています。足首を固定して○○時間以内にG病院の整形外科へ行って下さい。”となる。
【0049】
次に診断情報管理サーバ15は、病院側からの送信するための閲覧許可コードを生成し、配信サーバ11を介してサービス利用者の電話機3へメールで送信する(ステップS24)。電話機3がメール受信機能を備えていない場合は、音声メッセージが記録されるように制御する。
【0050】
次いで診断情報管理サーバ15は、診断情報の内容を医療機関へ通知することが、予めサービスの申し込み時に承諾されているか否かに応じて、医療機関へ通知することが可能か否かを判断する(ステップS25)。そして、可能であると判断した場合は、サービス利用者別日記集計テーブル24の内容を、診断テーブル26に記載されている医療機関4に配信サーバ11を介して送信する(ステップS26)。なお、このとき、識別番号に加えて、住所、氏名、電話番号等を送信することが望ましい。こうすることで、ステップS23の通知を受けたサービス利用者が何らかの理由で医療機関へ行かなかった場合に、医療機関4側から呼び出しなどを行うことができる。
【0051】
次に全てのサービス利用者について、ステップS21の判断(確認)が終了したか否かを判断し(ステップS27)、終了していない場合(S27:NO)は、次のサービス利用者に対して、ステップS21〜S26を実行し、終了していた場合(S27:YES)は、この図のフローを終了する。
【0052】
図13は、センタ装置2が医療機関4に対して診断情報を送信する処理のフローチャートである。図示のように、診断情報管理サーバ14は、医療機関4から閲覧許可コードを配信サーバ11を介して受信すると(ステップS31:YES)、サービス利用者別日記集計テーブル24から、閲覧許可コードに対応するサービス利用者のデータを読み出し、医療機関4へ配信サーバ11を介して送信する(ステップS32)。
【0053】
この処理は、ステップS24(図10)で閲覧許可コードを受け取ったサービス利用者が医療機関4へ行って、閲覧許可コードを提示すると、医師などがPCを用いてセンタ装置2にアクセスし、閲覧許可コードを送信した場合に実行される。これにより、医師はサービス利用者の日記集計データを見ることができるので、サービス利用者の症状などを的確に把握し、適切な治療の決定・実行が可能となる。
【0054】
〈医学的法則性テーブル上の病名に近い症状を有するサービス利用者に対する問い合わせ・結果の記録処理〉
図10に示すフローでは、「診断要フラグ」がセットされている場合のみ診断テーブルを作成する(S21:YES→S22)。ここで、「診断要フラグ」がセットされるのは、医学的法則性テーブル28上の任意の病名に対応する全てのキーワードがキーワード集計テーブル25に記録されている場合である。このため、例えば虫垂炎に関しては、仮に「差し込む」、「右下」、「腹痛」、及び「汗」がキーワード集計テーブル25に記録されているにも拘わらず、「へそ」及び「急激」が記録されていない場合、虫垂炎とは診断されないため、「診断要フラグ」がセットされない。この結果、虫垂炎の予兆を見逃してしまうおそれがある。
【0055】
そこで、本実施形態のシステムでは、医学的法則性テーブル28上の任意の病名に対応する全てのキーワードがキーワード集計テーブル25に記録されていないものの、所定数又は所定比率(例、過半数)記録されている場合は、サービス利用者に対して症状の確認を行うことができるようにした。この確認動作の実行の有無は、オペレータがPC8を操作することで設定することができる。
【0056】
図14に、この確認動作の処理のフローを示す。
まず、診断情報管理サーバ14は、日記テーブル22及びサービス利用者別日記集計テーブル24を参照し、「確認フラグ」がセットされており、かつ「診断要フラグ」がセットされていないか否かを判断する(ステップS41)。
【0057】
ステップS41で“YES”との判断を行った場合、サービス利用者の症状に近いと考えられる病名があるか否かを判断する(ステップS42)。即ち、医学的法則性テーブル28上の任意の病名に対応する所定数又は所定比率(例えば過半数)のキーワードがキーワード集計テーブル25に記録されているか否かを判断する。
【0058】
そして、病名があると判断した場合(S42:YES)は、健康管理サーバ14は医学的法則性テーブル28から病名に対応するキーワードを読み出す(ステップS43)。次いで配信サーバ11を介してサービス利用者の電話機3に電話をかけ、キーワードに関する問い合わせのための連絡を開始し(ステップS44)、次に通話録音サーバ12はサービス利用者からの回答の音声録音を開始する(ステップS45)。このステップの動作は図2のステップS4と同様である。
【0059】
次に健康管理サーバ14は配信サーバ11を介して、サービス利用者に対して、ステップS43で読み出されたキーワードに関する問い合わせの音声を送信する(ステップS46)。問い合わせの内容は、例えば虫垂炎の場合、“(1)次の箇所に違和感を覚えますか? 「へそ」 「はい」、「いいえ」でお答え下さい。” “(2)急激な腹痛がありますか? 「はい」、「いいえ」でお答え下さい。”などである。このとき、病名に対応する全てのキーワードについて問い合わせてもよいし、キーワード集計テーブル25に記録されていないもののみ問い合わせてもよい。
【0060】
次に音声認識サーバ13は、日記テーブル22に録音された回答の音声をテキスト変換し(ステップS47)、音声送信されたキーワードに対する回答が“はい”であるか“いいえ”であるかを判断する(ステップS48)。回答が“はい”であった場合(ステップS48:はい)は、キーワードを日記テーブル22に記録する(ステップS49)。次いで確認フラグを日記テーブル22にセットし(ステップS50)、ステップS51に進む。回答が“いいえ”であった場合(ステップS48:いいえ)は、そのままステップS51に進む。
【0061】
ステップS51では、全ての問い合わせ対象のキーワードについて確認終了か否かを判断し、終了していない場合(ステップS51:NO)は、ステップS46〜S50の処理を繰り返す。そして、終了した場合(ステップS51:YES)に、サービス利用者との間の通話を終了させ(ステップS52)、このフローの処理を終える。ステップS41又はS42で“NO”と判断した場合はなにもせずに処理を終える。
【0062】
このようにして、医学的法則性テーブル28上の病名に近い症状を有するサービス利用者の症状を確認することで、病気の予兆を見逃さずにすむ。即ち、例えば「差し込む」、「右下」、「腹痛」、及び「汗」がキーワード集計テーブル25に記録されているにも拘わらず、「へそ」及び「急激」が記録されていないサービス利用者に対して、図14のフローを実行した結果、日記テーブルに「へそ」及び「急激」が記録されれば、キーワード集計テーブル25に「へそ」及び「急激」が追加される。このため、病名が虫垂炎と判断され、サービス利用者別日記集計テーブル24に「診断要フラグ」がセットされる。
【0063】
以上詳細に説明したように、本発明の実施形態の健康管理システムは下記(1)〜(6)の効果を有する。
(1)センタ装置2は、各サービス利用者の電話機3から入力された音声を認識してテキスト化し、予め定められたキーワードの有無に基づいて、体調変化の予兆を検知し、診断の要否を判断するので、各サービス利用者は、固定電話機や携帯電話機といった日常生活の中で使用している機器を用いることで、健康状態に関する主観的情報を簡単に入力することができる。従って、高齢者、生活弱者あるいは医療弱者であっても、サービスを利用することができる。
(2)センタ装置2は、予め定められた日時に各サービス利用者の電話機3に対して呼び出しを行い、応答した電話機に対して、健康状態の問い合わせなど、健康状態に関する主観的情報の入力を促すメッセージなどを送信することで情報入力を支援するので、自発的な入力が困難なサービス利用者から容易に情報を収集することができる。
(3)センタ装置2は、診断が必要なサービス利用者に対し、病名、応急処置、病院名、診察部門、緊急度合などを音声またはメールで送信するので、診断が必要なサービス利用者は、迅速に該当する病院の診察部門へ行き、診断及び治療を受けることができる。また、病院へ行く前に応急処理を施すことで、病気の進行を抑えることができる。
(4)センタ装置2は、サービス利用者の日記集計テーブル16の内容を病院から閲覧可能にしたので、サービス利用者が自分の健康状態を正確に把握していなくても、病院側ではサービス利用者の症状などを的確に把握し、適切な治療の決定・実行が可能となる。
(5)診断が必要なサービス利用者を病院から呼び出せるようにしたので、サービス利用者が何らかの原因で指定された病院へ行かず、診断・治療が遅れることによる病状の悪化を防止することができる。
(6)医学的法則性テーブル28上の病名に近い症状を有するサービス利用者、即ち病気の可能性が高いサービス利用者に対して症状などの問い合わせを行えるようにしたので、病気の予兆をより確実に検知し、診断・治療が遅れることによる病状の悪化を防止することができる。
【符号の説明】
【0064】
1…ネットワーク、2…センタ装置、3…電話機、4…医療機関、5…センタコンピュータ、6…センタDB、11…配信サーバ、12…通話録音サーバ、13…音声認識サーバ、14…健康管理サーバ、15…診断情報管理サーバ、21…配信情報テーブル、22…日記テーブル、23…健康管理テーブル、24…サービス利用者別日記集計テーブル、25…キーワード集計テーブル、26…診断テーブル、27…病院テーブル、28…医学的法則性テーブル、29…特定用語テーブル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢者等の健康管理対象者の健康状態に関する情報を収集し、管理する健康管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者等の生活情報を収集し、把握するシステムとして、特許文献1に開示された生活見守りシステムがある。この生活見守りシステムは、見守り対象者の住宅に設置して、宅内環境、宅内設備、宅内機器、居住者の生活状況・生活環境、居住者の生体情報を検知するセンシング機能を有する宅内装置と、宅内装置からの生活情報を収集、管理して各種のサービス提供を行う見守りセンタと、見守り対象者を見守る見守り者が居住する見守り者宅と、宅内装置、見守りセンタ及び見守り者宅をインターネットなどのネットワークで接続しデータを送受信するネットワーク網とを備えて構成される。
【0003】
この生活見守りシステムでは、トイレや風呂の使用時間、外出及び帰宅の状況、特定の部屋の滞在時間、起床時刻や就寝時刻などの客観的な生活情報に加えて、見守り対象者の主観的な日記情報を収集する。そして、日記情報に対してキーワード検索を行い、抽出されたキーワード(「つらいことがあった」、「何となく疲れる」、「気分が良い」、「楽しいことがあった」など)を評価することにより、客観的な生活情報から得られる見守り対象者の行動に加えて、見守り対象者の気分や健康状態に関する情報を得ることができる。
【0004】
また、電子カルテ、医事会計システム、医療計測、患者日誌などを統合し、患者に関する医療情報をいつでもどこでも誰でも安心して利用できる医療情報システムであって、蓄積された医学情報に基づいて患者個人に対する対処法を提示可能にした医療総合情報システムがある(特許文献2参照)。
【0005】
この医療総合情報システムにおける患者日誌システムでは、患者、患者の家族、看護師または第三者が主に患者の日々の、主訴、健康状態、飲酒および喫煙などの生活習慣、食事便通、顔色、気分、あるいは起床就寝時刻、外出先・スポーツクラブにおける運動量などの事項について自由にかつ自発的に記入し蓄積しておくことが可能である。また、それらの事項を通じて医師が診断を下すための情報を提供することができる。医師らの言葉ではなく患者自らの主訴などを記録しておくことが可能である。
【0006】
さらに、医師、患者または患者の家族が操作するパーソナルコンピュータなどの端末装置と、WAN(Wide Area Network)と、端末装置からの患者情報、治療情報等をデータベースに格納し、また端末装置からの問い合わせ等に応答可能な医療情報支援装置とを有する医療情報支援システムがある(特許文献3参照)。
【0007】
この医療情報支援システムによれば、患者が端末装置から、食事、睡眠、行動、気分、痛みなどの項目について、○×式で患者個人サイトから入力すると、医療情報支援装置内の患者情報データベースに記憶される。医療情報支援装置では、例えば、1週間にいくつ○がついているかをカウントすることによってQOL(Quality of Life)を評価する。
【0008】
これらの各文献に記載されたシステムでは、利用者が入力した主観的情報を検査データなどの客観的データと併せて用いることにより、利用者の健康状態などをより的確に把握することが期待できる。
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載されている生活見守りシステムでは、日記情報の入力をコンピュータのキー操作により行うため、コンピュータの操作に慣れていない人には入力が面倒である。
【0010】
また、特許文献2に記載されている医療総合情報システムにおいても、患者日誌システムに対するアクセス及び記入をコンピュータのキー操作により行うため、コンピュータの操作に慣れていない患者には困難である。
【0011】
また、特許文献3に記載されている医療情報支援システムにおいても、患者は上述した各項目を入力する際、パーソナルコンピュータなどの端末装置を用いて医療情報支援装置にアクセスすることが必要であるため、コンピュータの操作に慣れていない患者には困難である。
【0012】
つまり、上記各文献に記載されたどのシステムでも、利用者が主観的情報を入力するには、コンピュータのキー操作を行うことが必要であるため、コンピュータの操作に慣れていない人には入力が困難であるという問題がある。
換言すれば、これらのシステムは、健常者であり、健康で意識もしっかりしており、かつIT(Information Technology)機器の知識を備えた人しか利用することができないから、生まれながらもしくは病気により身体が不自由になった人が利用することは現実的に不可能である。
つまり、高齢者、生活弱者及び医療弱者はこれらのシステムを十分に利用することができないから、これらのシステムのメリットを享受できないことは容易に想定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2005−115413号公報
【特許文献2】WO2005/122033号公報
【特許文献3】特開2006−221471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その第1の目的は、健康管理対象者の健康状態に関する主観的情報をネットワーク経由で収集し、管理する健康管理システムにおいて、コンピュータの操作に慣れていない健康管理対象者でも健康状態に関する主観的情報を簡単に入力できるようにすることであり、第2の目的は、入力された主観的情報に基づいて健康管理対象者の体調変化の予兆を検知し、治療の遅れによる病状の悪化を防止可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、健康管理対象者の健康状態に関する主観的情報をネットワーク経由で収集し、管理する健康管理システムであって、健康管理対象者に関連付けられた電話機と、前記電話機とネットワークを介して接続されるセンタ装置とを有し、前記センタ装置は、予め設定された日時に前記電話機に対する呼び出しを行う呼び出し手段と、該呼び出しに応じて通信確立された電話機に対して音声による案内情報を送信する案内情報送信手段と、該案内情報に応じて前記電話機から入力された前記健康管理対象者の音声情報を受信する受信手段と、その音声情報を認識してテキスト化する音声認識手段と、そのテキスト中に健康状態に関する所定のキーワードがあるか否かを判定する判定手段と、その判定手段の判定結果を基に、前記健康管理対象者に診断が必要か否かを判断する判断手段とを有することを特徴とする健康管理システムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、健康管理対象者の健康状態に関する主観的情報をネットワーク経由で収集し、管理する健康管理システムにおいて、固定電話機や携帯電話機といった日常生活の中で使用している機器を用いることで、コンピュータの操作に慣れていない健康管理対象者でも健康状態に関する主観的情報を簡単に入力することができる。
また、健康管理対象者の電話機に対する呼び出しを行うとともに、呼び出しに応答した健康管理対象者に対し音声による案内情報を送信するので、主観的情報を自発的に入力することが困難な健康管理対象者に対して情報入力を支援することができる。
さらに、健康管理対象者の、体調変化の予兆を検知し、診断の要否を判断することができるので、治療の遅れによる病状の悪化を防止することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態の健康管理システムの全体構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態の健康管理システムにおけるサービス利用者からの音声情報の記録、認識及びキーワード検索処理のフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態の健康管理システムにおける日記テーブルを示す図である。
【図4】本発明の実施形態の健康管理システムにおける特定用語テーブルを示す図である。
【図5】本発明の実施形態の健康管理システムにおける診断が必要なサービス利用者を検出する処理のフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態の健康管理システムにおける健康管理テーブルを示す図である。
【図7】本発明の実施形態の健康管理システムにおけるキーワード集計テーブルを示す図である。
【図8】本発明の実施形態の健康管理システムにおける医学的法則性テーブルを示す図である。
【図9】本発明の実施形態の健康管理システムにおけるサービス利用者別日記集計テーブルを示す図である。
【図10】本発明の実施形態の健康管理システムにおいて、診断情報を医療機関へ送信する処理のフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態の健康管理システムにおける病院テーブルを示す図である。
【図12】本発明の実施形態の健康管理システムにおける診断テーブルを示す図である。
【図13】本発明の実施形態の健康管理システムにおいて、医療機関に対して診断情報を送信する処理のフローチャートである。
【図14】本発明の実施形態の健康管理システムにおいて、医学的法則性テーブル上の病名に近い症状を有するサービス利用者に対して問い合わせを行い、結果を記録する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
〈健康管理システムの全体構成〉
本発明の実施形態の健康管理システムは、図1に示すように、IP網や公衆網などのネットワーク1に接続されたセンタ装置2、電話機3及び医療機関4により構成されている。ここで、医療機関4は病院などであり、電話機、通信機能を備えたパーソナルコンピュータ(以下、PC)等が設けられている。
【0019】
電話機3は、この健康管理システムのサービス利用者に関連付けられた固定電話機や携帯電話機、つまりサービス利用者の住居に設置された固定電話機やサービス利用者が所持する携帯電話機である。便宜上、ここには、電話機3を三台のみ図示したが、実際はサービス利用者全員の電話機がネットワーク1に接続される。
【0020】
センタ装置2はセンタコンピュータ5、センタDB(データベース)6、ルータ7、及びPC8を備えている。また、センタコンピュータ5は配信サーバ11、通話録音サーバ12、音声認識サーバ13、健康管理サーバ14、診断情報管理サーバ15などのサーバ群を備えており、センタDB6は配信情報テーブル21、日記テーブル22、健康管理テーブル23、サービス利用者別日記集計テーブル24、キーワード集計テーブル25、診断テーブル26、病院テーブル27、医学的法則性テーブル28、特定用語テーブル29などのテーブル群を備えている。ここで、センタコンピュータ5は一台又は複数台のPCにより構成されており、センタDB6は一台又は複数台のHDD(Hard Disk Drive)により構成されている。
【0021】
センタコンピュータ5及びPC8はルータ7のLAN(Local Area Network)側に接続されており、互いにデータ通信が可能である。また、センタDB6内の各テーブルはセンタコンピュータ5内の各サーバによるアクセスが可能となるように構成されている。
【0022】
ルータ7はセンタ装置2がネットワーク1を介して電話機3、医療機関4と通信を行う際のルーチングを行う装置である。PC8は、オペレータがこのセンタ装置2を操作するための装置である。
【0023】
配信サーバ11は定期的又は必要に応じて不定期に、サービス利用者の電話機3に対し各種情報を配信する。全てのサービス利用者の電話機3の電話番号データ、及び配信する各種情報の音声データは配信情報テーブル21に予め登録(記憶)されており、配信サーバ11は配信情報テーブル21からこれらの音声データを読み出し、一斉配信を行う。
【0024】
また、配信サーバ11はサービス利用者の電話機3から送信された音声情報、即ちサービス利用者が電話機3の受話器に向けて発した音声に対応する電気信号を受信したとき、その音声情報の受信日時及びサービス利用者の識別番号を通話録音サーバ12へ送る。
【0025】
通話録音サーバ12は、配信サーバ11で受信された電話機3からの音声情報、及び受信日時をサービス利用者の識別番号に対応付けて日記テーブル22に記録する。音声認識サーバ13は、日記テーブル22に記録された音声情報を読み出し、音声認識してテキスト情報に変換し、さらにそのテキスト情報中に、予め特定用語テーブル29に登録(記憶)されている特定のキーワードがあるか否かを調べ、その結果を日記テーブル22に記録する。
【0026】
健康管理サーバ14は、日記テーブル22に記録されたキーワードの検出結果をサービス利用者毎に集計して健康管理テーブル23及びキーワード集計テーブル25に記録するとともに、その集計結果と医学的法則性テーブル28とに基づいて、診断が必要なサービス利用者を検出し、その結果をサービス利用者別日記集計テーブル24に記録する。また、その結果をPC8のディスプレイに表示させる。
【0027】
診断情報管理サーバ15は、サービス利用者別日記集計テーブル24に診断が必要であることが記録されているサービス利用者について、病院テーブル27を用いて診断テーブル26を作成するとともに、作成した診断テーブル26に記載されているデータ(診断情報)をサービス利用者に対して音声及びメールで通知する。また、医療機関4からサービス利用者の健康状態に関する情報提供の要請を受けた場合、サービス利用者別日記集計テーブル24の内容を医療機関4へ送信する。
【0028】
以上の構成を備えた健康管理システムの動作について説明する。
〈音声情報の記録、認識及びキーワード検索〉
サービス利用者の電話機3からの音声情報の記録、認識及びキーワード検索のフローチャートを図2に示す。
【0029】
まず配信サーバ11は、サービス利用者の電話機3からの連絡の有無を判断する(ステップS1)。連絡がある場合(S1:あり)、配信サーバ11は、受信した音声情報、サービス利用者の識別番号、及び受信日時を通話録音サーバ12へ送り、通話録音サーバ12は、識別番号に対応付けて音声情報及びその受信日時を日記テーブル22に記録する(ステップS4)。音声情報の記録は通話が終了するまで続ける。
【0030】
図3に日記テーブル22の一例を示す。図示のように、日記テーブル22には、サービス利用者情報として、識別番号、氏名、電話番号、年齢の記録欄があり、日記情報として、受信日時、音声情報、キーワード情報、及び確認フラグの記録欄がある。識別番号、氏名、電話番号、年齢は予め登録(記録)されており、ステップS4では、受信日時と音声情報のみが記録される。キーワード情報及び確認フラグについては後述する。音声情報はデジタルデータとして記録(デジタル録音)される。
【0031】
連絡がない場合(S1:なし)、配信サーバ11は、サービス利用者へ送信する各種情報があるタイミングを待ち(ステップS2)、ある時(S2:あり)に全てのサービス利用者の電話機3を一斉に呼び出し、オフフックにより通信確立された電話機3に対して情報を配信する(ステップS3)。このとき送信する情報はインフルエンザ防止策の連絡、定期検診の案内、健康状態の問い合わせ等、健康管理に関する案内情報である。この案内情報送信の後、ステップS4へ進み、案内情報に対する応答としてサービス利用者が電話機3から入力した音声情報及びその受信日時を日記テーブル22に記録する。例えば、健康状態の問い合わせとして“胃腸の調子はいかがですか?”という音声メッセージを送信したときに、“最近食欲がありません”との応答の音声情報が返ってきた場合、その応答を日記テーブル22に記録する。
【0032】
次いで音声認識サーバ13は、日記テーブル22に記録された音声情報を読み出し、音声認識してテキストに変換する処理を開始する(ステップS5)。このテキスト変換処理は、音声情報の記録(ステップS4)と並行して行われる。
【0033】
次に音声認識サーバ13は、特定用語テーブル29を参照し、テキスト変換された音声情報中に、特定用語テーブル29に登録されているキーワードと一致する用語があるか否かを判断する(ステップS6)。図4に特定用語テーブルの一例を示す。
【0034】
特定用語テーブル29に登録されているキーワードと一致する用語がある場合(S6:あり)、音声認識サーバ13は、そのキーワードを抽出し、抽出後、日記テーブル22に記録し(ステップS7)、次に確認フラグを日記テーブル22にセットする(ステップS8)。
【0035】
次いで、通話録音サーバ12は電話機3との間の電話が終了したか否かを、配信サーバ11から音声情報が供給されているか否かに基づいて判断する(ステップS9)。そして、終了していない場合(S9:NO)は、ステップS5に戻り、音声認識サーバ13が音声テキスト変換処理を実行し、終了していた場合(S9:YES)は、音声録音処理を終了し(ステップS10)、このフローを終了する。ステップS6で、一致する用語がないと判断した場合(S6:なし)は、ステップS5に戻り、音声テキスト変換処理を実行する。
【0036】
図3に示した日記テーブル22では、例えば識別番号001のサービス利用者の場合、2009年1月3日の18時11分に受信した音声情報から、キーワードとして「アキレス腱」、「バット」、「殴られた」、「足首」、「痛い」が抽出され、確認フラグがセット(=1)されている。また、識別番号002のサービス利用者の場合、2009年1月1日の13時15分に受信した音声情報から「腹痛」が、同年同月2日の12時50分に受信した音声情報から「へそ」、「腹痛」が、同年同月3日の16時36分に受信した音声情報から「へそ」、「差し込む」、「右下」、「腹痛」、「急激」、「汗」がキーワードとして抽出され、確認フラグがセットされている。
【0037】
〈診断が必要なサービス利用者を検出する処理〉
健康状態に問題があるため、診断が必要なサービス利用者を検出する処理のフローを図5に示す。
【0038】
まず健康管理サーバ14は、日記テーブル22を参照し(ステップS11)、確認フラグがセットされているか否かをサービス利用者毎かつ受信日時毎に判断する(ステップS12)。確認フラグがセットされていた場合(S12:YES)は、その確認フラグに対応するキーワードを健康管理テーブル23に記録する(ステップS13)。図6に健康管理テーブル23の一例を示す。
【0039】
次いで、健康管理サーバ14は、健康管理テーブル23に記録されたキーワードをサービス利用者毎に集計し、キーワード集計テーブル25に記録する(ステップS14)。図7にキーワード集計テーブル25の一例を示す。ここには、例として7日分の集計を行った結果を示した。
【0040】
次に、健康管理サーバ14は、医学的法則性テーブル28を参照して、キーワード集計テーブル25に記録されたキーワードに該当する病名の有無を判断する(ステップS15)。ここで、病名の有無の判断は、医学的法則性テーブル28上の任意の病名に対応する全てのキーワードがキーワード集計テーブル25に記録されているか否かを基に行う。
図8に医学的法則性テーブル28の一例を示す。この医学的法則性テーブル28は、複数のキーワードと、それらに対応する病名、その病気に対する応急処置、その病気を診療する部門、及び治療の緊急度合との対応関係を記載したテーブルであり、例えばキーワードが「アキレス腱」、「バット」、「殴られた」、「足首」、「痛い」の場合、病名は「アキレス腱断裂」、応急処置は「足首の固定」、診療部門は「整形外科」、緊急度合は「4」である。なお、緊急度合は5段階で表され、数値が多い程緊急度合が高い。
【0041】
キーワード集計テーブル25に記録されたキーワードに該当する病名がある、即ち医学的法則性テーブル28上の任意の病名に対応する全てのキーワードがキーワード集計テーブル25に記録されていると判断された場合(S15:病名有り)、健康管理サーバ14は、サービス利用者別日記集計テーブル24の「診断要フラグ」をセットし、PC8にアラーム情報を表示させ(ステップS16)、ステップS17に進む。図9にサービス利用者別日記集計テーブル24の一例を示す。ここで、図9A、Bはそれぞれ識別番号001、002のサービス利用者の日記集計テーブルである。該当する病名が無いと判断した場合(S15:NO)は、そのままステップS17に進む。
【0042】
ここで、PC8に表示されるアラーム情報には、診断が必要なサービス利用者の識別番号、キーワードとともに、医療機関や担当医への連絡を要請するメッセージがある。
【0043】
ステップS17では、全てのサービス利用者について、ステップS15の判断(確認)が終了したか否かを判断し(ステップS17)、終了していない場合(S17:NO)は、次のサービス利用者に対して、キーワード集計テーブル25に記録されたキーワードに該当する病名が有るか否かを判断し(ステップS18→S15)、終了していた場合(S17:YES)は、この図のフローを終了する。
【0044】
図7に示したキーワード集計テーブル25の場合、識別番号001のサービス利用者については、キーワードとして「アキレス腱」、「バット」、「殴られた」、「足首」、「痛い」が有るから、医学的法則性テーブル28には「アキレス腱断裂」が該当する病名として存在し、識別番号002のサービス利用者については、キーワードとして「へそ」、「差し込む」、「右下」、「腹痛」、「急激」、「汗」が有るから、医学的法則性テーブル28には「虫垂炎」が該当する病名として存在する。
【0045】
〈診断が必要なサービス利用者に関する情報を本人及び医療機関へ通知する処理〉
診断が必要なサービス利用者に関する情報を本人及び医療機関に通知する処理のフローを図10に示す。この処理は、PC8のディスプレイにアラームなどが表示されているとき(図5のステップS16)に、オペレータが所定のキー操作を行うことに応じて開始される。
【0046】
診断情報管理サーバ15は、サービス利用者別日記集計テーブル24を参照して、「診断要フラグ」がセットされているか否かを判断する(ステップS21)。「診断要フラグ」がセットされている場合(S21:YES)は、医学的法則性テーブル28及び病院テーブル27を用いて診断テーブル26を作成する(ステップS22)。
【0047】
図11、図12はそれぞれ病院テーブル27、診断テーブル26の一例を示す図である。図12において、「取得キーワード」はサービス利用者別日記集計テーブル24の「キーワード情報」から取得されたものであり、「病名」、「応急処置」、「診療部門」、及び「緊急度合」は、「取得キーワード」に応じて医学的法則性テーブル28から取得されたものである。また、「病院名」は「診療部門」に応じて病院テーブル27から取得されたものである。
【0048】
図10の説明に戻る。次いで診断情報管理サーバ15は、ステップS22で作成した診断テーブル26の内容を配信サーバ11を介してサービス利用者の電話機3に通知する(ステップS23)。ここで、電話機3がメール受信機能を備えている場合は、音声又はメールの少なくとも一方により通知し、メール受信機能を備えていない場合は音声により通知する。通知するメッセージは、例えば識別番号001のサービス利用者の場合、“アキレス腱が断裂しています。足首を固定して○○時間以内にG病院の整形外科へ行って下さい。”となる。
【0049】
次に診断情報管理サーバ15は、病院側からの送信するための閲覧許可コードを生成し、配信サーバ11を介してサービス利用者の電話機3へメールで送信する(ステップS24)。電話機3がメール受信機能を備えていない場合は、音声メッセージが記録されるように制御する。
【0050】
次いで診断情報管理サーバ15は、診断情報の内容を医療機関へ通知することが、予めサービスの申し込み時に承諾されているか否かに応じて、医療機関へ通知することが可能か否かを判断する(ステップS25)。そして、可能であると判断した場合は、サービス利用者別日記集計テーブル24の内容を、診断テーブル26に記載されている医療機関4に配信サーバ11を介して送信する(ステップS26)。なお、このとき、識別番号に加えて、住所、氏名、電話番号等を送信することが望ましい。こうすることで、ステップS23の通知を受けたサービス利用者が何らかの理由で医療機関へ行かなかった場合に、医療機関4側から呼び出しなどを行うことができる。
【0051】
次に全てのサービス利用者について、ステップS21の判断(確認)が終了したか否かを判断し(ステップS27)、終了していない場合(S27:NO)は、次のサービス利用者に対して、ステップS21〜S26を実行し、終了していた場合(S27:YES)は、この図のフローを終了する。
【0052】
図13は、センタ装置2が医療機関4に対して診断情報を送信する処理のフローチャートである。図示のように、診断情報管理サーバ14は、医療機関4から閲覧許可コードを配信サーバ11を介して受信すると(ステップS31:YES)、サービス利用者別日記集計テーブル24から、閲覧許可コードに対応するサービス利用者のデータを読み出し、医療機関4へ配信サーバ11を介して送信する(ステップS32)。
【0053】
この処理は、ステップS24(図10)で閲覧許可コードを受け取ったサービス利用者が医療機関4へ行って、閲覧許可コードを提示すると、医師などがPCを用いてセンタ装置2にアクセスし、閲覧許可コードを送信した場合に実行される。これにより、医師はサービス利用者の日記集計データを見ることができるので、サービス利用者の症状などを的確に把握し、適切な治療の決定・実行が可能となる。
【0054】
〈医学的法則性テーブル上の病名に近い症状を有するサービス利用者に対する問い合わせ・結果の記録処理〉
図10に示すフローでは、「診断要フラグ」がセットされている場合のみ診断テーブルを作成する(S21:YES→S22)。ここで、「診断要フラグ」がセットされるのは、医学的法則性テーブル28上の任意の病名に対応する全てのキーワードがキーワード集計テーブル25に記録されている場合である。このため、例えば虫垂炎に関しては、仮に「差し込む」、「右下」、「腹痛」、及び「汗」がキーワード集計テーブル25に記録されているにも拘わらず、「へそ」及び「急激」が記録されていない場合、虫垂炎とは診断されないため、「診断要フラグ」がセットされない。この結果、虫垂炎の予兆を見逃してしまうおそれがある。
【0055】
そこで、本実施形態のシステムでは、医学的法則性テーブル28上の任意の病名に対応する全てのキーワードがキーワード集計テーブル25に記録されていないものの、所定数又は所定比率(例、過半数)記録されている場合は、サービス利用者に対して症状の確認を行うことができるようにした。この確認動作の実行の有無は、オペレータがPC8を操作することで設定することができる。
【0056】
図14に、この確認動作の処理のフローを示す。
まず、診断情報管理サーバ14は、日記テーブル22及びサービス利用者別日記集計テーブル24を参照し、「確認フラグ」がセットされており、かつ「診断要フラグ」がセットされていないか否かを判断する(ステップS41)。
【0057】
ステップS41で“YES”との判断を行った場合、サービス利用者の症状に近いと考えられる病名があるか否かを判断する(ステップS42)。即ち、医学的法則性テーブル28上の任意の病名に対応する所定数又は所定比率(例えば過半数)のキーワードがキーワード集計テーブル25に記録されているか否かを判断する。
【0058】
そして、病名があると判断した場合(S42:YES)は、健康管理サーバ14は医学的法則性テーブル28から病名に対応するキーワードを読み出す(ステップS43)。次いで配信サーバ11を介してサービス利用者の電話機3に電話をかけ、キーワードに関する問い合わせのための連絡を開始し(ステップS44)、次に通話録音サーバ12はサービス利用者からの回答の音声録音を開始する(ステップS45)。このステップの動作は図2のステップS4と同様である。
【0059】
次に健康管理サーバ14は配信サーバ11を介して、サービス利用者に対して、ステップS43で読み出されたキーワードに関する問い合わせの音声を送信する(ステップS46)。問い合わせの内容は、例えば虫垂炎の場合、“(1)次の箇所に違和感を覚えますか? 「へそ」 「はい」、「いいえ」でお答え下さい。” “(2)急激な腹痛がありますか? 「はい」、「いいえ」でお答え下さい。”などである。このとき、病名に対応する全てのキーワードについて問い合わせてもよいし、キーワード集計テーブル25に記録されていないもののみ問い合わせてもよい。
【0060】
次に音声認識サーバ13は、日記テーブル22に録音された回答の音声をテキスト変換し(ステップS47)、音声送信されたキーワードに対する回答が“はい”であるか“いいえ”であるかを判断する(ステップS48)。回答が“はい”であった場合(ステップS48:はい)は、キーワードを日記テーブル22に記録する(ステップS49)。次いで確認フラグを日記テーブル22にセットし(ステップS50)、ステップS51に進む。回答が“いいえ”であった場合(ステップS48:いいえ)は、そのままステップS51に進む。
【0061】
ステップS51では、全ての問い合わせ対象のキーワードについて確認終了か否かを判断し、終了していない場合(ステップS51:NO)は、ステップS46〜S50の処理を繰り返す。そして、終了した場合(ステップS51:YES)に、サービス利用者との間の通話を終了させ(ステップS52)、このフローの処理を終える。ステップS41又はS42で“NO”と判断した場合はなにもせずに処理を終える。
【0062】
このようにして、医学的法則性テーブル28上の病名に近い症状を有するサービス利用者の症状を確認することで、病気の予兆を見逃さずにすむ。即ち、例えば「差し込む」、「右下」、「腹痛」、及び「汗」がキーワード集計テーブル25に記録されているにも拘わらず、「へそ」及び「急激」が記録されていないサービス利用者に対して、図14のフローを実行した結果、日記テーブルに「へそ」及び「急激」が記録されれば、キーワード集計テーブル25に「へそ」及び「急激」が追加される。このため、病名が虫垂炎と判断され、サービス利用者別日記集計テーブル24に「診断要フラグ」がセットされる。
【0063】
以上詳細に説明したように、本発明の実施形態の健康管理システムは下記(1)〜(6)の効果を有する。
(1)センタ装置2は、各サービス利用者の電話機3から入力された音声を認識してテキスト化し、予め定められたキーワードの有無に基づいて、体調変化の予兆を検知し、診断の要否を判断するので、各サービス利用者は、固定電話機や携帯電話機といった日常生活の中で使用している機器を用いることで、健康状態に関する主観的情報を簡単に入力することができる。従って、高齢者、生活弱者あるいは医療弱者であっても、サービスを利用することができる。
(2)センタ装置2は、予め定められた日時に各サービス利用者の電話機3に対して呼び出しを行い、応答した電話機に対して、健康状態の問い合わせなど、健康状態に関する主観的情報の入力を促すメッセージなどを送信することで情報入力を支援するので、自発的な入力が困難なサービス利用者から容易に情報を収集することができる。
(3)センタ装置2は、診断が必要なサービス利用者に対し、病名、応急処置、病院名、診察部門、緊急度合などを音声またはメールで送信するので、診断が必要なサービス利用者は、迅速に該当する病院の診察部門へ行き、診断及び治療を受けることができる。また、病院へ行く前に応急処理を施すことで、病気の進行を抑えることができる。
(4)センタ装置2は、サービス利用者の日記集計テーブル16の内容を病院から閲覧可能にしたので、サービス利用者が自分の健康状態を正確に把握していなくても、病院側ではサービス利用者の症状などを的確に把握し、適切な治療の決定・実行が可能となる。
(5)診断が必要なサービス利用者を病院から呼び出せるようにしたので、サービス利用者が何らかの原因で指定された病院へ行かず、診断・治療が遅れることによる病状の悪化を防止することができる。
(6)医学的法則性テーブル28上の病名に近い症状を有するサービス利用者、即ち病気の可能性が高いサービス利用者に対して症状などの問い合わせを行えるようにしたので、病気の予兆をより確実に検知し、診断・治療が遅れることによる病状の悪化を防止することができる。
【符号の説明】
【0064】
1…ネットワーク、2…センタ装置、3…電話機、4…医療機関、5…センタコンピュータ、6…センタDB、11…配信サーバ、12…通話録音サーバ、13…音声認識サーバ、14…健康管理サーバ、15…診断情報管理サーバ、21…配信情報テーブル、22…日記テーブル、23…健康管理テーブル、24…サービス利用者別日記集計テーブル、25…キーワード集計テーブル、26…診断テーブル、27…病院テーブル、28…医学的法則性テーブル、29…特定用語テーブル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
健康管理対象者の健康状態に関する主観的情報をネットワーク経由で収集し、管理する健康管理システムであって、
健康管理対象者に関連付けられた電話機と、前記電話機とネットワークを介して接続されるセンタ装置とを有し、
前記センタ装置は、
予め設定された日時に前記電話機に対する呼び出しを行う呼び出し手段と、
該呼び出しに応じて通信確立された電話機に対して音声による案内情報を送信する案内情報送信手段と、
該案内情報に応じて前記電話機から入力された前記健康管理対象者の音声情報を受信する受信手段と、
その音声情報を認識してテキスト化する音声認識手段と、
そのテキスト中に健康状態に関する所定のキーワードがあるか否かを判定する判定手段と、
その判定手段の判定結果を基に、前記健康管理対象者に診断が必要か否かを判断する判断手段とを有することを特徴とする健康管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載された健康管理システムにおいて、
前記判定手段により所定のキーワードがあると判定された場合、前記健康管理対象者、前記日時、及び前記所定のキーワードを対応付けて記録する症状記録手段を有することを特徴とする健康管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載された健康管理システムにおいて、
前記判断手段は、医学的法則性テーブルに基づいて、診断情報として病名及び診療部門を示す情報を生成する診断情報生成手段を有することを特徴とする健康管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載された健康管理システムにおいて、
前記診断情報生成手段は、病名及び診療部門に加えて、応急処置または診療の緊急度合を示す情報を生成することを特徴とする健康管理システム。
【請求項5】
請求項3または4に記載された健康管理システムにおいて、
前記診断情報生成手段により生成された診断情報を前記健康管理対象者に関連付けられた電話機に対して送信する診断情報通知手段を有することを特徴とする健康管理システム。
【請求項6】
請求項5に記載された健康管理システムにおいて、
前記診断情報通知手段は、前記症状記録手段により記録された前記各情報を、前記ネットワークを介して読み出すことを可能にするための情報を前記診断情報とともに送信することを特徴とする健康管理システム。
【請求項7】
請求項1に記載された健康管理システムにおいて、
前記センタ装置は、前記診断情報生成手段の出力に基づいて、治療に適した医療機関名情報を医療機関テーブルから取得する医療機関名情報取得手段と、該医療機関名情報取得手段により取得された医療機関名情報を前記健康管理対象者に送信する手段を有することを特徴とする健康管理システム。
【請求項8】
請求項7に記載された健康管理システムにおいて、
前記症状記録手段により記録された前記各情報及び/又は前記診断情報生成手段により生成された病名情報を、前記医療機関名情報取得手段により名称情報が取得された医療機関へ送信する手段を有することを特徴とする健康管理システム。
【請求項9】
請求項3に記載された健康管理システムにおいて、
前記センタ装置は、
前記医学的法則性テーブル上の任意の病名に対応する全てではない所定数又は所定比率のキーワードが前記症状記録手段により記録されている場合に、健康管理対象者に対して、その病名に対応するキーワードに関する問い合わせの音声をその健康管理対象者の電話機へ送信する問い合わせ手段と、
その問い合わせに対する回答として前記電話機から入力された前記健康管理対象者の音声情報を受信する回答受信手段と、
その音声情報を認識してテキスト化する回答音声認識手段と、
そのテキスト中の回答を基に、前記病名に対応するキーワードを記録する回答キーワード記録手段とを有することを特徴とする健康管理システム。
【請求項1】
健康管理対象者の健康状態に関する主観的情報をネットワーク経由で収集し、管理する健康管理システムであって、
健康管理対象者に関連付けられた電話機と、前記電話機とネットワークを介して接続されるセンタ装置とを有し、
前記センタ装置は、
予め設定された日時に前記電話機に対する呼び出しを行う呼び出し手段と、
該呼び出しに応じて通信確立された電話機に対して音声による案内情報を送信する案内情報送信手段と、
該案内情報に応じて前記電話機から入力された前記健康管理対象者の音声情報を受信する受信手段と、
その音声情報を認識してテキスト化する音声認識手段と、
そのテキスト中に健康状態に関する所定のキーワードがあるか否かを判定する判定手段と、
その判定手段の判定結果を基に、前記健康管理対象者に診断が必要か否かを判断する判断手段とを有することを特徴とする健康管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載された健康管理システムにおいて、
前記判定手段により所定のキーワードがあると判定された場合、前記健康管理対象者、前記日時、及び前記所定のキーワードを対応付けて記録する症状記録手段を有することを特徴とする健康管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載された健康管理システムにおいて、
前記判断手段は、医学的法則性テーブルに基づいて、診断情報として病名及び診療部門を示す情報を生成する診断情報生成手段を有することを特徴とする健康管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載された健康管理システムにおいて、
前記診断情報生成手段は、病名及び診療部門に加えて、応急処置または診療の緊急度合を示す情報を生成することを特徴とする健康管理システム。
【請求項5】
請求項3または4に記載された健康管理システムにおいて、
前記診断情報生成手段により生成された診断情報を前記健康管理対象者に関連付けられた電話機に対して送信する診断情報通知手段を有することを特徴とする健康管理システム。
【請求項6】
請求項5に記載された健康管理システムにおいて、
前記診断情報通知手段は、前記症状記録手段により記録された前記各情報を、前記ネットワークを介して読み出すことを可能にするための情報を前記診断情報とともに送信することを特徴とする健康管理システム。
【請求項7】
請求項1に記載された健康管理システムにおいて、
前記センタ装置は、前記診断情報生成手段の出力に基づいて、治療に適した医療機関名情報を医療機関テーブルから取得する医療機関名情報取得手段と、該医療機関名情報取得手段により取得された医療機関名情報を前記健康管理対象者に送信する手段を有することを特徴とする健康管理システム。
【請求項8】
請求項7に記載された健康管理システムにおいて、
前記症状記録手段により記録された前記各情報及び/又は前記診断情報生成手段により生成された病名情報を、前記医療機関名情報取得手段により名称情報が取得された医療機関へ送信する手段を有することを特徴とする健康管理システム。
【請求項9】
請求項3に記載された健康管理システムにおいて、
前記センタ装置は、
前記医学的法則性テーブル上の任意の病名に対応する全てではない所定数又は所定比率のキーワードが前記症状記録手段により記録されている場合に、健康管理対象者に対して、その病名に対応するキーワードに関する問い合わせの音声をその健康管理対象者の電話機へ送信する問い合わせ手段と、
その問い合わせに対する回答として前記電話機から入力された前記健康管理対象者の音声情報を受信する回答受信手段と、
その音声情報を認識してテキスト化する回答音声認識手段と、
そのテキスト中の回答を基に、前記病名に対応するキーワードを記録する回答キーワード記録手段とを有することを特徴とする健康管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−206342(P2011−206342A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78227(P2010−78227)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(503015178)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(503015178)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】
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