説明

健康管理支援システム

【課題】 医療機関に出向かなくとも日常の健康管理を確実に行い得るようにしたシステムが求められている。
【解決手段】 センターサーバーと医療機関端末と利用者端末とを通信回線網を介して接続した健康管理支援システムであって、センターサーバーは、医療機関別に利用者のバイタルデータを記録するバイタル情報データベースとASP機能とを備え、医療機関端末は、センターサーバーのASP機能を利用してバイタル情報データベースを参照するための参照手段と、健康管理に関するアドバイスを作成し、センターサーバーのメール交換サービスを利用して利用者に電子メールで送信する手段とを備え、利用者端末は、センターサーバーのメール交換サービスを利用して、医療機関から自分宛に送信された健康管理に係る電子メールを受信する手段とを備えた構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の日々の生体情報をネットを介して収集蓄積しておき、それを医師が参照して健康管理に関するアドバイス等を患者に送るようにした健康管理支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
わが国には、軽度の肥満や高血圧、高血糖値の予備軍も含めると、生活習慣病患者が全人口の約10%、1300万人余りいるとされ、日常の健康管理を必要とする人が大勢いる。
【0003】
そして、生活習慣病の場合、血圧や血糖値等の日々の変化を見ることが治療に有効なので、生活習慣病患者が自ら測定した日常のバイタルデータを、通信回線を介してサーバーに送信して保存しておき、患者が医療機関を受診した際に、医療機関の医師がサーバーにアクセスしてバイタルデータを参照し、治療に役立てるようにした健康管理支援システムが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
生活習慣病患者は、日常の健康管理を推し進めることで症状を緩和したり進行を抑えることができるので、その分、医療機関で治療を受ける度合いを減らすことができ、国民医療費の抑制の観点からも日常の健康管理は有効である。
【特許文献1】特開2003−122847
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
医療機関を定期的に受診して治療している患者にとっては、毎日のバイタルデータの測定とサーバーへの登録を簡便にし、かつ、親しみあるユーザーインターフェースを持った上記従来技術は有効である。
【0006】
しかし、医療機関での治療までには至っていない軽症の患者予備軍は、通常は治療のために受診する機会が当面ないので、その日々の測定データを次回の受診時に役立てるという明確な目標、目的がない。そのため、バイタルデータの日々の測定を継続する意識が希薄となり、日常の健康管理は重要であると分っていても、毎日測定を続けることは難しい。
【0007】
そこで、医療機関に出向かなくても、健康維持・増進に関する専門家のアドバイスを得ることができ、それにより日々のバイタル測定の動機付けが得られるようにし、ひいては日常の健康管理を確実に行い得るようにしたシステムが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、センターサーバーと医療機関端末と利用者端末とを通信回線網を介して接続した健康管理支援システムであって、センターサーバーは、医療機関の情報と医療機関別の利用者の会員情報を記録する会員情報データベースと、医療機関別に利用者のバイタルデータを記録するバイタル情報データベースとを格納した記憶装置と、会員相互の電子メールの交換を支援するメール交換サービス手段と、通信回線を介してアプリケーションプログラムをユーザにレンタルするASP機能とを備え、医療機関端末は、センターサーバーのASP機能を利用してバイタル情報データベースを参照するための参照手段と、参照したバイタル情報に基づく健康管理に関するアドバイスを作成し、センターサーバーのメール交換サービスを利用して利用者に電子メールで送信する手段とを備え、利用者端末は
、センターサーバーのメール交換サービスを利用して、会員となっているかかりつけ医療機関から自分宛に送信された健康管理に係る電子メールを受信する手段とを備えることで、上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の健康管理支援システムによれば、バイタルデータの日々の測定を継続する意識が希薄となりがちな患者予備軍であっても、医療機関に出向かなくとも健康維持・増進に関する専門家のアドバイスを得ることができるようになる。また、それにより日々のバイタル測定の動機付けが得られるとともに、日常の健康管理を確実に行い得るようになることが期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は本発明の実施形態の健康管理支援システムの構成を示すブロック図である。図に示すように本実施形態ではセンターサーバー10と、医療機関端末20と、利用者端末30とがインターネット等の通信回線網40で結ばれた構成である。
【0011】
センターサーバー10は、健康管理サービスを提供するサービス機関が使用するASP(Application Service Provider:インターネットを介してアプリケーションソフトをユーザにレンタルすること。)機能を有するサーバーコンピュータであり、会員情報データベース11と、バイタル情報データベース12と、健康アドバイス情報データベース13と、通信回線網40を介してデータを送受信する通信手段16と、受信したデータをデータベースに登録するデータベース管理手段14と、医療機関と利用者間での電子メールの交換を支援するメール交換サービス手段15とを備える。
【0012】
医療機関端末20は、医療機関の主に医師が使用するコンピュータであり、CRT表示装置等の表示手段21と、キーボード等の入力手段22と、通信回線網を介してデータを送受信する通信手段23と、センターサーバー10のASP機能を利用してデータベースの内容等を表示手段に表示する参照手段24とを備える。この参照手段24は汎用のウエブブラウザが利用できる。また、この参照手段24は、センターサーバーのメール交換サービスを利用して、当該医療機関の利用者に対する健康管理に係る電子メールを送信することができる。
【0013】
利用者端末30は、健康管理サービスを受ける患者等の在宅利用者が使用するコンピュータであり、CRT表示装置等の表示手段31と、キーボード等の入力手段32と、外部の測定器からバイタルデータを取り込むバイタルデータ取得手段33と、通信回線網40を介してデータを送受信する通信手段34と、センターサーバー10のASP機能を利用してデータベースにバイタルデータを登録し、また、データベースの内容等を表示手段に表示する参照手段35とを備える。この参照手段35は医療機関端末20同様に汎用のウエブブラウザが利用できる。また、センターサーバーのメール交換サービスを利用して、会員となっているかかりつけ医療機関から自分宛に送信された健康管理に係る電子メールを受信することができる。
【0014】
そして、これらセンターサーバー10、医療機関端末20及び利用者端末30はいずれも、記憶したプログラムをCPUが実行して各種機能を果たす処理装置と、記憶装置とを備えている。
【0015】
センターサーバー10の会員情報データベース11は、本健康管理サービスの会員である医療機関及び在宅利用者双方の会員情報を記憶する。会員情報としては氏名または施設名、住所、電話番号、電子メールアドレス、及び会員IDとパスワード等を記憶する。
【0016】
このように本システムでは診療所や病院といった医療機関も会員である。医療機関は自院の患者等に利用者IDと初期パスワードを発行し、サービス機関のASPサーバー上に構築された自院のバイタル情報データベース12及び健康アドバイス情報データベース13を利用させるものである。
【0017】
また、センターサーバー10のバイタル情報データベース12は、会員利用者のバイタルデータを記憶する。バイタルデータとしては血圧や血糖値、体重、体脂肪率等がある。これらは医療機関毎に設定できるので、利用者はそれぞれの医療機関固有のバイタルデータの登録画面を参照することになる。
【0018】
また、健康アドバイス情報データベース13は、医療機関の医師等が自院の会員向けに公開した健康に関する情報やアドバイスを記憶する。会員利用者は利用者端末30からこのアドバイス情報をいつでも参照できる。
【0019】
センターサーバー10のメール交換サービス手段15は、医療機関が自院の特定の会員向けにメールを送信するときに利用する。逆に、利用者が医療機関にメールを送るときにも利用する。これは例えば、利用者が登録したバイタルデータを参照した医師が、利用者に健康管理に関するアドバイスあるいは指示を記した電子メールを送るときに利用する。また、利用者がかかりつけ医師、即ち会員となっている医療機関の医師に対して、健康に関する相談をするときにも利用でき、一方、医療機関はその返事を送るときに利用する。その際、医療機関にも利用者にも相手のメールアドレスは見えないようになっている。この機能を利用することで、医療機関と利用者とはお互いのメールアドレスを知らなくてもコミュニケーションが取れるようになっている。
【0020】
図2は、利用者端末30からバイタルデータをセンターサーバー10のデータベースに登録する動作を示している。利用者は血圧や血糖値といったバイタルデータを、専用または汎用の測定器を使って日々測定し、そのデータを利用者端末30に取り込む(ステップS21)。次に、センターサーバー10にアクセスして、支給された利用者IDとパスワードで健康管理サービスにログインし、データベース登録画面を表示させる。そして、取り込んでおいたバイタルデータを入力・送信する(同S22)。センターサーバー10では送られてきたバイタルデータを受信し(同S23)、データベース管理手段14がバイタル情報データベース12に登録する(同S24)。
【0021】
尚、バイタルデータは、専用の測定器を利用者端末30に接続して直接取り込むこともできる。この場合、一度利用者端末30に記憶したバイタルデータのファイルをセンターサーバー10に送信すればよい。また、データを直接、利用者端末30に取り込めない汎用の測定器で測った場合は、その測定値を利用者自身がデータベース登録画面から入力すればよい。
【0022】
図3は、医療機関の医師が自院の会員利用者のバイタルデータを参照し、それに基づいて何らかの健康管理に関するアドバイスを電子メールで当該利用者に送る動作を示している。医師は、センターサーバー10にアクセスしてログインすると、対象の利用者の会員IDを入力し、バイタル情報データベースに登録されているその会員のバイタルデータを指定して参照する。バイタルデータは利用者自らが測定した日常のデータが蓄積されているので、その変化を読み取って傾向と対策を立てることができる。そこで医師は、必要であれば健康管理に関するアドバイスを作成し、それをメール交換サービスを利用して当該利用者に送信する。その際、宛先一覧には、その医療機関の会員利用者のみが表示される。但し、利用者の電子メールアドレスは医師には見えないようになっている。
【0023】
次に、図4と図5は、利用者と医療機関とが健康管理に関する質問メールとその返答で
あるアドバイスメールを交換する動作を示している。先ず、利用者から質問メールを送る場合、利用者は健康管理サービスにログインしてメール交換サービスを呼び出し(ステップS41)、健康相談のメールを作成してかかりつけの医師を宛先にして送信する(同S43)。このとき、その利用者がメール送信できる医師や医療機関の名前だけが一覧表示されるので、そこから宛先を選択するようになっている。尚、表示されるのは医師名や医療機関名、診療科等であり、メールアドレスは表示されない。また、利用者宛の着信メールの有無が表示されるので、利用者はそれを開封して医師からの健康管理に係るアドバイスを参照することができる(同S44)。
【0024】
一方、医療機関や医師は、健康管理サービスにログインしてメール交換サービスを呼び出すことで、自院宛あるいは医師宛のメールの有無を確認できるので(図5、ステップS53)、それに対する応答メールを作成・送信することができる(同S54)。尚、その際、相手利用者の氏名や利用者IDは画面に表示されるが、メールアドレスは表示されない。このように、会員登録している利用者とそのかかりつけ医療機関の間ではお互いのメールアドレスを開示することなく、健康相談などのサービスの提供と利用が図れるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態のシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態の動作を示す流れ図である。
【図3】実施形態の動作を示す流れ図である。
【図4】実施形態の動作を示す流れ図である。
【図5】実施形態の動作を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0026】
10 センターサーバー 11 会員情報データベース 12 バイタル情報データベース 13 健康アドバイス情報データベース 14 データベース登録手段 15 メール交換サービス手段 20 医療機関端末 21 表示手段 22 入力手段 23 通信手段 24 参照手段 30 利用者端末 31 表示手段
32 入力手段 33 バイタルデータ取得手段 34 通信手段 35 参照手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センターサーバーと医療機関端末と利用者端末とを通信回線網を介して接続した健康管理支援システムであって、
センターサーバーは、医療機関の情報と医療機関別の利用者の会員情報を記録する会員情報データベースと、医療機関別に利用者のバイタルデータを記録するバイタル情報データベースとを格納した記憶装置と、会員相互の電子メールの交換を支援するメール交換サービス手段と、通信回線を介してアプリケーションプログラムをユーザにレンタルするASP機能とを備え、
医療機関端末は、センターサーバーのASP機能を利用してバイタル情報データベースを参照するための参照手段と、参照したバイタル情報に基づく健康管理に関するアドバイスを作成し、センターサーバーのメール交換サービスを利用して利用者に電子メールで送信する手段とを備え、
利用者端末は、センターサーバーのメール交換サービスを利用して、会員となっているかかりつけ医療機関から自分宛に送信された健康管理に係る電子メールを受信する手段とを備えたことを特徴とする健康管理支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の健康管理支援システムにおいて、
利用者端末は、センターサーバーのASP機能を利用してバイタルデータをセンターサーバーに送信する手段をさらに備え、
センターサーバーは、利用者端末から送信されたバイタル情報を受信する受信装置と、受信したバイタル情報をバイタル情報データベースに登録するデータベース管理手段とをさらに備えたことを特徴とする健康管理支援システム。
【請求項3】
センターサーバーと医療機関端末と利用者端末とを通信回線網を介して接続した健康管理支援システムであって、
センターサーバーは、医療機関の情報と医療機関別の利用者の会員情報を記録する会員情報データベースと、医療機関別に利用者のバイタルデータを記録するバイタル情報データベースと、健康アドバイス情報データベースとを格納した記憶装置と、利用者端末から送信されたバイタル情報を受信する受信装置と、受信したバイタル情報をバイタル情報データベースに登録する手段と、医療機関端末から送信された健康アドバイス情報を受信する受信装置と、受信した健康アドバイス情報を健康アドバイス情報データベースに登録するデータベース管理手段と、会員相互の電子メールの交換を支援するメール交換サービス手段と、通信回線を介してアプリケーションプログラムをユーザにレンタルするASP機能とを備え、
医療機関端末は、センターサーバーのASP機能を利用して、バイタル情報データベースを参照するための参照手段と、参照したバイタル情報に基づいて作成した健康管理に関するアドバイス情報をセンターサーバーに送信する手段とを備え、
利用者端末は、センターサーバーのASP機能を利用して、バイタルデータをセンターサーバーに送信する手段と、健康アドバイス情報データベースを参照するための参照手段とを備えたことを特徴とする健康管理支援システム。
【請求項4】
通信回線網を介して医療機関端末や利用者端末と接続して健康管理支援システムを構成するセンターサーバーであって、
医療機関の情報と医療機関別の利用者の会員情報を記録する会員情報データベースと、医療機関別に利用者のバイタルデータを記録するバイタル情報データベースと、健康アドバイス情報データベースとを格納した記憶装置とを格納した記憶装置と、利用者端末から送信されたバイタル情報を受信する受信装置と、受信したバイタル情報をバイタル情報データベースに登録する手段と、医療機関端末から送信された健康アドバイス情報を受信する受信装置と、受信した健康アドバイス情報を健康アドバイス情報データベースに登録す
るデータベース管理手段と、会員相互の電子メールの交換を支援するメール交換サービス手段と、を備えたことを特徴とするセンターサーバー。
【請求項5】
通信回線網を介してセンターサーバーと接続し、利用者端末とともに健康管理支援システムを構成する医療機関端末であって、
センターサーバーのバイタル情報データベースを参照するための参照手段と、参照したバイタル情報に基づく健康管理に関するアドバイスを作成し、センターサーバーのメール交換サービスを利用して利用者に電子メールで送信する手段とを備えたことを特徴とする医療機関端末。
【請求項6】
通信回線網を介してセンターサーバーと接続し、医療機関端末とともに健康管理支援システムを構成する利用者端末であって、
センターサーバーのASP機能を利用してバイタルデータをセンターサーバーに送信する手段と、センターサーバーのメール交換サービスを利用して、かかりつけ医療機関から自分宛に送信された健康管理に係る電子メールを受信する手段とを備えたことを特徴とする利用者端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−33779(P2008−33779A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208409(P2006−208409)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】