健康管理支援システム
【課題】健保健指導の質的低下を伴うことなく保健指導用画面を自動的に逐次表示でき、もって保健指導の迅速化と充実化の両立を図ることがきる健康管理支援技術を提供すること。
【解決手段】本発明に係る健康管理支援システム1(図1参照)では、検査項目および検査結果を示した健診データと、各検査項目に対する健診受診者の意識レベルを示した意識レベル推定データとが記録可能に設けられる健診データベース103と、その健診データに示される検査項目ごとに測定値と基準値との差を算出し、この差に基づいて各検査項目の正常/異常を判定する異常判定部104と、この異常判定部104により異常が判定された検査項目に対し、意識レベル推定データに示される健診受診者の意識レベルに応じて異なる説明優先度を割り当てる説明優先度設定部106と、説明優先度設定部により高い説明優先度が割り当てられた検査項目に関わる保健指導用画面から逐次表示していく表示制御部105と、を備えるようにした。
【解決手段】本発明に係る健康管理支援システム1(図1参照)では、検査項目および検査結果を示した健診データと、各検査項目に対する健診受診者の意識レベルを示した意識レベル推定データとが記録可能に設けられる健診データベース103と、その健診データに示される検査項目ごとに測定値と基準値との差を算出し、この差に基づいて各検査項目の正常/異常を判定する異常判定部104と、この異常判定部104により異常が判定された検査項目に対し、意識レベル推定データに示される健診受診者の意識レベルに応じて異なる説明優先度を割り当てる説明優先度設定部106と、説明優先度設定部により高い説明優先度が割り当てられた検査項目に関わる保健指導用画面から逐次表示していく表示制御部105と、を備えるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康管理を支援する技術に係り、特に、健康診断の検査項目ごとに作成された保健指導用画面を表示部に表示し、その保健指導用画面に従った保健指導を可能にする健康管理支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業や公共機関に在籍する従業者等を対象として定期的な健康診断が行われると共にその健康診断による検査結果に基づき疾患の予防・治療に関わる保健指導が実施され、従業員等の健康管理支援が行われている。
【0003】
従来、健診受診者ごとに適切な保健指導を行えるよう、以下に列挙する健康管理支援技術が提案されている。
【0004】
(1) 問診結果に示される健診受診者の健康状態に基づき保健指導内容を作成する健康管理支援技術(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
(2) 問診結果に示される健診受診者の生活行動習慣や生活習慣改善に対する意識レベルを指標とした行動科学に基づき、健診受診者に対する保健指導内容および保健指導スケジュールを作成する健康管理支援技術(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
従来の健康管理支援技術は、健康診断の各検査項目に関わる保健指導内容を作成するための作業円滑化に有効である。また、作成した保健指導内容の説明画面(以下、保健指導用画面)を表示部に表示し、その説明画面に従った保健指導が可能となっている。
【特許文献1】特開2006-11494号公報
【特許文献2】特開2002-358372号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、保健指導は限られた時間内で実施されることから、保健指導の効率化すなわち保健指導の迅速化と充実化との両立が求められている。近年は、メタボリックや糖尿病など、様々な生活習慣病の予防・改善を目的とした健康診断ならびに保健指導の増加傾向にあり、この健診・指導の対象者は日本国内で5,600万人(2008年)と推定され、保健指導の効率化に対する要求が高まっている。そのため、保健指導用画面は、すべての検査項目を対象としたものではなく、問診結果に示される既往歴等に照らして健診受診者ごとに適切な保健指導を行える有用なものを選択することが望まれている。
【0008】
従来、保健指導用画面は保険指導者の経験により手動で選択されており、この選択作業が保健指導迅速化に対する1つの阻害要因となっていた。一方、保健指導の迅速化を重視し、保健指導用画面を自動的に逐次表示させる方法も考えられる。この場合、たとえば、異常の度合いを指標として検査項目に関わる保健指導用画面を選択すれば、その検査項目に関わる疾患は既に加療中であったという場合もある。これでは、健診受診者にとって有意義な保健指導用画面、例えば、健診受診者が認識していない疾患に関わる保健指導用画面を表示することは困難となり、時間的制約のある中、健診受診者にとっての保健指導の内容充実化は望めない。また、すべての検査項目に関わる保健指導用画面を逐次表示させれば、1つひとつの検査項目に関わる保健指導が短縮され、各検査項目に関わる保健指導の質的低下を招来しうる。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、保健指導の質的低下を伴うことなく保健指導用画面を自動的に表示でき、もって保健指導の迅速化と充実化の両立を図ることがきる健康管理支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成するため、本発明に係る健康管理支援システムでは、健康診断の検査項目ごとに作成された保健指導用画面を表示部に表示し、その保健指導用画面に従った保健指導を可能にする健康管理支援システムにおいて、検査項目および検査結果を示した健診データと、各検査項目に対する健診受診者の意識レベルを示した意識レベル推定データとが記録可能に設けられる健診データベースと、前記健診データに示される検査項目ごとに測定値と基準値との差を算出し、この差に基づいて各検査項目の正常/異常を判定する異常判定部と、前記異常判定部により異常が判定された検査項目に対し、意識レベル推定データに示される健診受診者の意識レベルに応じて異なる説明優先度を割り当てる説明優先度設定部と、前記説明優先度設定部により高い説明優先度が割り当てられた検査項目に関わる保健指導用画面から前記表示部に表示していく表示制御部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、健診受診者の意識レベルに応じた保健指導が可能になり、保健指導の質的低下を伴うことなく保健指導用画面を自動的に表示でき、もって保健指導の迅速化と充実化の両立を図ることがきる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る健康管理支援システムの実施形態を、添付図面を参照して説明する。
【0013】
[第1実施形態]
図1は本発明に係る健康管理支援システムの第1実施形態を示す図であり、(a)はシステム構成図、(b)は機能ブロック図である。
【0014】
本実施形態の健康管理支援システム1は、健康診断の検査項目ごとに作成された保健指導用画面を表示部に表示し、その保健指導用画面に従った保健指導を可能にする健康管理支援システムである。この健康管理支援システム1は、図1(a)に示すように、サーバ2ならびにこのサーバ2とネットワーク接続される複数のクライアント端末3から成るクライアント/サーバシステムにより構成される。
【0015】
健康管理支援システム1は、図1(b)に示すように、入力部101と、表示部102と、健診データベース103と、異常判定部104と、表示制御部105と、説明優先度設定部106と、を備える。なお、健診データベース103、異常判定部104および表示制御部105はサーバ2に割り当てられ、表示部102および入力部101はクライアント端末3に割り当てられる。
【0016】
〔入力部〕
健康管理支援システム1の入力部101は、健康管理支援システム1の操作者が選択した各データを健診データベース103や表示制御部105に入力する。この入力部101は、各クライアント端末3に設けられるポインティングデバイス或いはキーボードなどの入力支援手段(不図示)を用いて構成される。
【0017】
〔表示部〕
健康管理支援システム1の表示部102は、健康診断で取得された検査結果など、健診受診者の健康管理に必要な情報を表示する。この表示部102は、各クライアント端末に設けられるPCディスプレイを用いて構成される。
【0018】
〔健診データベース〕
健康管理支援システム1の健診データベース103は、健診受診者の「識別データ」、「健診データ」、「問診データ」などの健康管理用データを記録する。この健診データベース103は、サーバ2に設けられるハードディスク、MOディスクなどの大容量記録装置(不図示)を用いて構成される。また、健診データベース103は、健康診断で用いられるX線診断装置や超音波診断装置などの各種の診断装置4とネットワーク接続され、健診データベース103に検査項目ごとの測定値が入力される。
【0019】
「識別データ」は、健診受診者ID、健診受診者の氏名、住所、性別、年齢、面談日、健診IDなどの個人情報に関わる項目により構成される。
【0020】
「健診データ」は、健康管理の有効性・利便性を考慮して項目設定され、健診データベース103にて健診受診者の識別データと関連付けられて記録される。
【0021】
図2は健診データベースに記録される健診データの説明図(例示)である。
【0022】
健診データは、たとえば、検査項目の「ID」、健康診断で実施される「検査項目」、測定値の「基準値との差」、各検査項目の測定値から抽出される「疑いのある疾患」、基準値との差に応じて対処方針を示す「判定」とにより構成される。なお、健診データの「基準値との差」、「疑いのある疾患」および「判定」は、健康管理支援システム1の異常判定部104により設定される。
【0023】
なお、健診データには、検査項目ごとに基準値との差、疑いのある疾患および判定が設定される。図2に例示する健診データは、GOT/GPT(検査項目ID=6)の状態から肝臓障害の疑いが認められ且つこの肝臓障害に関して再度の治療が必要である、といった情報を保有する。
【0024】
「問診データ」は、健診受診者が現在までに罹った疾患およびその処置状態に係る既往歴に関するものであり、疾患およびその処置状態の把握可能性を考慮して項目設定される。この問診データは、健診データベース103にて健診受診者の識別データに関連付けられて記録される。
【0025】
図3は健診データベース103に記録される問診データの説明図(例示)である。
【0026】
問診データは、たとえば、健診受診者がこれまでに患った「疾患」、その疾患の現在の「処置状態」により構成される。問診データの「処置状態」は、健診受診者の回答に基づくものであり、操作者が入力部101を介して該当するチェックカラム201にフラグ立てすることで設定される。図3に例示する問診データは、健診受診者は投薬などで高血圧の加療中であると共に肝臓障害が未治療である、といった情報を保有する。
【0027】
〔異常判定部〕
異常判定部104は、健診データベース103に記録された健診データに示される検査項目ごとに、測定値と基準値との差を算出し、この差に基づき各検査項目の正常/異常を判定する。
【0028】
この異常判定部104は、先ず、健診データベース103に記録されている健診データを参照し、健診受診者の年齢および性別を取得する。次いで、健診データベース103を参照し、健診受診者の年齢および性別に対応する健診データを特定すると共に健診データに記録されている各検査項目の検査結果と基準値との差を算出する。異常判定部104は、算出した検査結果の基準値との差が所定の閾値を超過するごとに、図2に示すように、健診データの「基準値との差」の項目に、「Normal(異常なし)」、「H(やや高い)」、「HH(高い)」、「HHH(非常に高い)」、或いは、「L(やや低い)」、「LL(低い)」、「LLL(非常に低い)」を記録する。また、健診データの「疾患」の項目に、検査結果の基準値との差から疑われる疾患名、たとえば、「高血圧」や「肝臓障害」などを記録する。さらに、健診データの「判定」の項目に、検査結果と基準値との差に応じて疾患の対処方針、「要経過観察」や「要治療」などを記録する。
【0029】
〔説明優先度設定部〕
説明優先度設定部106は、異常判定部104により異常が判定された検査項目に対し、問診データ(図2参照)に示される「対応疾患」の処置状態に応じて異なる説明優先度を割り当てる。以下、「対応疾患」とは、問診データに示される疾患のうち、異常判定部104により異常が判定された検査項目から疑われる疾患と同一の疾患をいうものとする。
【0030】
図4は健康管理支援システム1の説明優先度設定部106にて実行される説明優先度設定処理の流れを示すフローチャートである。以下、この説明優先度設定処理における各ステップについて説明する。
【0031】
ステップS101は、健診データベース103に記録されている健診データを参照し、ID=1の「疑いのある疾患」を読み込むステップである。
【0032】
ステップS102は、ID=1の疑いのある疾患は「該当なし」であるか否か(Yes/No)を判断するステップである。<Yes>と判断した場合は、ステップS116→ステップS101という流れで処理を実行する。ステップS116は、ID=2(ID+1)を設定するステップである。
【0033】
ステップS103は、健診データベース103に記録されている問診データを参照し、ID=1の対応疾患を読み込むステップである。
【0034】
ステップS104は、問診データに示されるID=1の対応疾患に関わる処置状態が「治療中」であるか否か(Yes/No)を判断するステップである。<Yes>と判断した場合はステップS109に移行し、健診データのID=1に対して説明優先度=1を設定する。
【0035】
ステップS109に移行した場合は、続いて、ステップS115→ステップS116→ステップS101という流れで処理を実行する。ステップS115は、ID=1に関わる説明優先度を優先度データとして健診データベース103に記録するステップである。
【0036】
ステップS105は、ステップS104で<No>と判断した場合に実行されるステップである。このステップS105では、問診データに示されるID=1の対応疾患に関わる処置状態が「該当なし」であるか否か(Yes/No)を判断するステップである。<Yes>と判断した場合はステップS110に移行して説明優先度=2を設定した後、ステップS115→ステップS116→ステップS101という流れで処理を実行する。
【0037】
ステップS106は、ステップS105で<No>と判断した場合に実行されるステップである。このステップS106では、問診データに示されるID=1の対応疾患に関わる処置状態が治療の「中断」であるか否か(Yes/No)を判断するステップである。<Yes>と判断した場合はステップS111に移行して説明優先度=3を設定した後、ステップS115→ステップS116→ステップS101という流れで処理を実行する。
【0038】
ステップS107は、ステップS106で<No>と判断した場合に実行されるステップである。このステップS107では、問診データに示されるID=1の対応疾患に関わる処置状態が「経過観察中」であるか否か(Yes/No)を判断するステップである。<Yes>と判断した場合はステップS112に移行して説明優先度=4を設定した後、ステップS115→ステップS116→ステップS101という流れで処理を実行する。
【0039】
ステップS108は、ステップS107で<No>と判断した場合に実行されるステップである。このステップS108では、問診データに示されるID=1の対応疾患に関わる処置状態が「加療中」であるか否か(Yes/No)を判断するステップである。<Yes>と判断した場合はステップS113に移行して説明優先度=5を設定した後、ステップS115→ステップS116→ステップS101という流れで処理を実行する。ステップS108で<No>と判断した場合はステップS114に移行して説明優先度=6を設定した後、ステップS115→ステップS116→ステップS101という流れで処理を実行する。
【0040】
優先度データは、図5に示すような配列を有して健診データベース103に記録され、値が小さいほど優先度が高く定義される。なお、図5は、図2に示す健診データおよび図3に示す問診データに示す例による優先度データであり、優先度はID=6(検査項目「GOT/GPT」)が最も高く、次いでID=5(検査項目「血糖」)、ID=1(検査項目「血圧」)の順となる。
【0041】
ここで、説明優先度設定処理にあっては、説明優先度を設定する処理に代えて、図6に示す配列を有する優先度テーブルを健診データベース103にあらかじめ記録しておき、健診データベース103に記録されている問診データから「処置状態」を読み込み、この優先度テーブルから該当する説明優先度を取得する処理を行うようにしても良い。
【0042】
〔表示制御部〕
表示制御部105は、基本画面ならびに検査項目に関わる保健指導用画面を表示部102に表示する。この表示制御部105は、通常モードと説明モードから成る2種類の表示モードにより異なった方法で保健指導用画面を表示する。
【0043】
図7は表示制御部105により表示される基本画面を示す図である。この基本画面には、過去数回分の健康診断で取得された検査結果やその基準値からの差などが表示される。なお、基本画面中の記号「H」は検査結果の基準値からの高低度合いであり、異常判定部104により記録された健診データの「基準値との差」に基づき設定される。
【0044】
通常モードにあっては、操作者により選択された検査項目に関わる保健指導用画面を表示する。たとえば、図7に示す基本画面において、操作者が項目「BMI指数202」をポインティングデバイスなどによりクリックすると、表示制御部105はBMI指数に関わる保健指導用画面を表示する。図8は表示制御部105により表示されたBMI指数に関わる保健指導用画面を示す図である。
【0045】
説明モードは、操作者が基本画面上のアイコン「説明モード203」をポインティングデバイスなどによりクリックした場合に有効となる。説明モードが有効となった場合、表示制御部105は説明優先度設定部106により高い説明優先度が割り当てられた検査項目に関わる保健指導用画面から逐次表示していく。すなわち、表示制御部105は、説明モードが有効となった場合、健診データベース103に記録されている優先度データを参照する。次いで、健診データに示される各ID(検査項目)に関わる保健指導用画面を、優先度データに示される説明優先度に従った順序で表示していく。
【0046】
次に、健康管理支援システム1の作用を説明する。
【0047】
健康管理支援システム1では、操作者が基本画面(図7参照)から説明モードを選択したとき、表示制御部105により説明優先度設定部106により高い説明優先度が割り当てられた検査項目に関わる保健指導用画面から逐次表示される。たとえば、図5に示す優先度データの例にあっては、ID=6すなわち検査項目「GOT/GPT」(図2参照)の説明優先度は「1」であり、最も説明優先度が高い。ID=5すなわち検査項目「血糖」の説明優先度は「2」であり、ID=6に次いで説明優先度が高い。ID=1すなわち検査項目「血圧」の説明優先度は「5」であり、ID=6に次いで説明優先度が高い。なお、ID=2、3、4についは、健診データに示される「疑いのある疾患」が「異常なし」であるため、ステップS102の処理により説明優先度は記録されない。このため、表示部102上にて、検査項目「GOT/GPT(ID=6)」→検査項目「血糖(ID=5)」→検査項目「血圧(ID=1)」の順序で、各検査項目に関わる保健指導用画面が表示されていく。
【0048】
ここで、健診受診者においては、健診受診者の問診データに「加療中」と示される疾患よりも、その問診データに「未治療」と示される疾患の方が、日頃よく意識していると考えられる。というのは、たとえば、加療中であれば、通院による医師の説明等で病状を把握し日頃意識していると考えられ、未治療であれば、その疾患について普段は忘れているということもあり得ると考えられるからである。
【0049】
健康管理支援システム1にあっては、上述したように、問診データに「加療中」と示される疾患に関わる保健指導用画面よりも、問診データに「未治療」と示される疾患に関わる保健指導用画面の方が優先して表示される。つまり、保健指導用画面の表示順序は、単に検査結果の基準値からの差ないし疑われる疾患の種類に基づき設定されたものではなく、健診受診者の意識レベルの高低に応じて設定される。このため、検査結果を提示した保健指導を行うにあたり、健診受診者自身が気付いていない或いは意識していない(いわば、意識レベルが低い)疾患から優先的に保健指導を行うことができる。言い換えれば、すでに加療中である疾患等、健診受診者が日頃よく意識している(いわば、意識レベルが高い)疾患についての説明を積極的に省略することができるようになる。したがって、時間的制約があっても、保健指導に対する健診受診者の満足度も高いものにできる。
【0050】
なお、図5に示す説明優先度は、例示であって必要に応じて説明優先度の設定基準を変更できる。図5は異常判定部により異常が判定された検査項目に対し、問診データに示される対応疾患の処置状態が「未治療」である場合に最も高い説明優先度を割り当てた例であるが、問診データに示される対応疾患の処置状態が「該当なし」である場合に最も高い説明優先度を割り当てるようにしてもよい。
【0051】
次に、健康管理支援システム1の効果を説明する。
【0052】
健康管理支援システム1にあっては、
(1) 検査項目および検査結果を示した健診データと、各検査項目に対する健診受診者の意識レベルを示した意識レベル推定データとが記録可能に設けられる健診データベースと、その健診データに示される検査項目ごとに測定値と基準値との差を算出し、この差に基づいて各検査項目の正常/異常を判定する異常判定部104と、異常判定部104により異常が判定された検査項目に対し、意識レベル推定データに示される健診受診者の意識レベルに応じて異なる説明優先度を割り当てる説明優先度設定部106と、説明優先度設定部106により高い説明優先度が割り当てられた検査項目に関わる保健指導用画面から前記表示部に表示していく表示制御部105とを備える。このため、健診受診者の意識レベルに応じた保健指導が可能になり、保健指導の質的低下を伴うことなく保健指導用画面を自動的に逐次表示でき、もって保健指導の迅速化と充実化の両立を図ることがきる。
【0053】
(2) 意識レベル推定データは、健診受診者が現在までに罹った疾患およびその処置状態に係る既往歴を示した問診データにより構成され、問診データに示される疾患のうち、異常判定部104により異常が判定された検査項目から疑われる疾患と同一の疾患を対応疾患と定義したとき、説明優先度設定部106は、異常判定部104により異常が判定された検査項目に対し、問診データに示される対応疾患の処置状態に応じて異なる説明優先度を割り当てる。このため、保健指導の迅速化と充実化の両立がより実効的なものとなる。
【0054】
(3) 説明優先度設定部106は、異常判定部104により異常が判定された検査項目に対し、問診データに示される対応疾患の処置状態が「未治療」である場合に、その処置状態が「加療中」である場合よりも高い説明優先度を割り当てる。このため、保健指導の迅速化と充実化の両立がより実効的なものとなる。
【0055】
[第2実施形態]
第2実施形態は、第1実施形態の健康管理支援システム1において説明優先度設定部106の構成を変更した例である。なお、第1実施形態と同様の構成は、同一符号を付して説明を省略し、第1実施形態の構成を変更し或いは新たに追加した構成は、符号末尾に「A」を付して説明する。
【0056】
本実施形態の健康管理支援システム1A(図1(b)参照)における説明優先度設定部106Aは、異常判定部104により異常が判定され且つ問診データに示される対応疾患の処置状態が同じ検査項目に対しては、疾患の重度が高い検査項目ほど高い説明優先度を割り当てる。なお、第1実施形態と同様に、「対応疾患」とは、問診データに示される疾患のうち、異常判定部104により異常が判定された検査項目から疑われる疾患と同一の疾患をいうものとする。
【0057】
図9は説明優先度設定部106Aにて実行される説明優先度設定処理の流れを示すフローチャートである。以下、この説明優先度設定処理における各ステップについて説明する。なお、図9(a)におけるステップS201〜S214、S227は、それぞれ図4におけるステップS101〜S114、S116と同様であるので説明を省略する。
【0058】
図9(a)におけるステップS209〜S214の何れかに移行した場合は、図9(b)におけるステップS215に移行する。このステップS215は、健診データベース103に記録されている健診データ(図2参照)を参照し、ID=1の「判定」を読み込むステップである。
【0059】
ステップS216は、健診データに示されるID=1の判定が「要治療」であるか否か(Yes/No)を判断するステップである。<Yes>と判断した場合はステップS220に移行し、健診データのID=1に設定された説明優先度(ステップS209〜S214参照)に「0」を加えて説明優先度を改定するステップである。
【0060】
ステップS220に移行した場合は、続いて、ステップS225→ステップS226→ステップS201(図9(a)参照)という流れで処理を実行する。ステップS225は、ID=1に関わる改定後の説明優先度を優先度データとして健診データベースに記録するステップである。ステップS226は、ID=2(ID+1)を設定するステップである。
【0061】
ステップS217は、ステップS216で<No>と判断した場合に実行されるステップである。このステップS217は、健診データに示されるID=1の判定が「要精密検査」であるか否か(Yes/No)を判断するステップである。<Yes>と判断した場合はステップS221に移行し、健診データのID=1に設定された説明優先度(ステップS209〜S214参照)に「10」を加えて説明優先度を改定した後、ステップS225→ステップS226→ステップS201(図9(a)参照)という流れで処理を実行する。
【0062】
ステップS218は、ステップS217で<No>と判断した場合に実行されるステップである。このステップS218は、健診データに示されるID=1の判定が「要再検査」であるか否か(Yes/No)を判断するステップである。<Yes>と判断した場合はステップS222に移行し、健診データのID=1に設定された説明優先度(ステップS209〜S214参照)に「20」を加えて説明優先度を改定した後、ステップS225→ステップS226→ステップS201(図9(a)参照)という流れで処理を実行する。
【0063】
ステップS219は、ステップS218で<No>と判断した場合に実行されるステップである。このステップS219は、健診データに示されるID=1の判定が「要経過観察」であるか否か(Yes/No)を判断するステップである。<Yes>と判断した場合はステップS223に移行し、健診データのID=1に設定された説明優先度(ステップS209〜S214参照)に「30」を加えて説明優先度を改定した後、ステップS225→ステップS226→ステップS201(図9(a)参照)という流れで処理を実行する。ステップS219で<No>と判断した場合(図2に示す健診データにあっては、「異常を認めるが心配なし」を判断した場合)は、ステップS224に移行し、健診データのID=1に設定された説明優先度(ステップS209〜S214参照)に「40」を加えて説明優先度を改定した後、ステップS225→ステップS226→ステップS201(図9(a)参照)という流れで処理を実行する。
【0064】
ステップS220〜S224による改定後の説明優先度に関わる優先度データは、図10に示す配列を有して健診データベース103に記録され、値が小さいほど説明優先度が高く定義される。なお、図10は、図2に示す健診データおよび図3に示す問診データに示す例による優先度データであり、説明優先度「2」、「21」、「35」は、それぞれ健診データのID=5(検査項目「血糖」)、ID=6(検査項目「GOT/GPT」)、ID=1(検査項目「血圧」)に関するものである。
【0065】
ここで、説明優先度設定処理にあっては、説明優先度を設定する処理に代えて、図11に示すような配列を有する優先度テーブルを健診データベース103にあらかじめ記録しておき、健診データベース103に記録されている問診データおよび健診データから「処置状態」および「判定」を読み込み、優先度テーブルから該当する説明優先度を取得する処理を行うようにしても良い。
【0066】
次に、健康管理支援システム1Aの作用を説明する。
【0067】
健康管理支援システム1では、操作者が基本画面(図7参照)から説明モードを選択したとき、表示制御部105により説明優先度設定部106により高い優先度が割り当てられた検査項目に関わる保健指導用画面から逐次表示される点は、第1実施形態と同様である。
【0068】
本実施形態では、図10に示す優先度データの例において、ID=5すなわち検査項目「血糖」の説明優先度は「2」であり、最も説明優先度が高くなる。ID=5すなわち検査項目「GOT/GPT」の説明優先度は「21」であり、ID=5に次いで説明優先度が高くなる。ID=1すなわち検査項目「血圧」の説明優先度は「35」でありID=5に次いで説明優先度が高くなる。なお、ID=2、3、4についは、健診データの「判定」が「異常なし」すなわち「疑いのある疾患」が「該当なし」であるため、ステップS216の処理により説明優先度は記録されない。このため、表示部102上にて、検査項目「血糖(ID=5)」→検査項目「GOT/GPT(ID=6)」→検査項目「血圧(ID=1)」の順序で、各検査項目に関わる保健指導用画面を表示され、第1実施形態とは表示順序が異なる。
【0069】
健康管理支援システム1Aでは、問診データに示される対応疾患の「処置状態(図3参照)」が同一であっても各検査項目の判定(図2参照)によって、説明優先度が割り当てられる。このため、保健指導の時間的制約下、それぞれの検査項目に関わる保健指導用画面の表示順序を設定した場合であっても、健診受診者にとってより一層有意義な保健指導を行えるようになる。なお、他の作用は、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0070】
次に、健康管理支援システム1Aの効果を説明する。
【0071】
健康管理支援システム1Aにあっては、第1実施形態の(1)〜(3)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
【0072】
(4) 健康管理支援システム1Aの説明優先度設定部106Aは、問診データに示される対応疾患の処置状態が同じ検査項目に対しては、疾患の重度が高い検査項目ほど高い説明優先度を割り当てる。このため、保健指導用画面の表示順序を健診受診者の健康状態に応じてより詳細に設定でき、保健指導の迅速化と充実化の両立がより実効的なものとなる。
【0073】
[第3実施形態]
第3実施形態は、第1実施形態の健康管理支援システム1において説明優先度設定部106の構成を変更した例である。なお、第1実施形態と同様の構成は、同一符号を付して説明を省略し、第1実施形態の構成を変更し或いは新たに追加した構成は、符号末尾に「B」を付して説明する。
【0074】
本実施形態の健康管理支援システム1B(図1参照)において、説明優先度設定部106Bは、異常判定部104により異常が判定された検査項目に対し、過去の健康診断における「対応検査項目」について異常が疑われた連続回数が多いほど、高い説明優先度を割り当てる。加えて、過去の健康診断において対応する検査項目について異常が疑われた連続回数が同じ検査項目に対しては、疾患の重度が高い検査項目ほど高い説明優先度を割り当てる。なお、「対応検査項目」とは、過去の健康診断の検査項目のうち、異常判定部104により異常が判定された検査項目と同一の検査項目をいうものとする。
【0075】
図12は説明優先度設定部106Bにて実行される説明優先度設定処理の流れを示すフローチャートである。以下、この説明優先度設定処理における各ステップについて説明する。なお、図12(b)におけるステップS316〜S327は、図9(b)におけるステップS215〜S226と同様であるので説明を省略する。
【0076】
ステップS301は、健診データベース103に記録されている健診データを参照し、ID=1の「判定」を読み込むステップである。
【0077】
ステップS302は、健診データに示されるID=1の判定が「異常なし」であるか否か(Yes/No)を判断するステップである。<Yes>と判断した場合はステップS302に移行した後、ステップS301に移行してID=2の「判定」を読み込む。
【0078】
ステップS304は、健診データベース103に記録されている「過去の健診データ」の5年分を参照し、ID=1の「判定」を読み込むステップである。なお、過去の健診データは、5年分に限らず、それ以上或いはそれ以下を適宜設定できる。また、「過去の健診データ」は、他の健康管理実施機関の健康管理支援システムから受け取るようにしても良い。
【0079】
ステップS305は、過去の健診データの5年分においてID=1に関わる判定が「異常なし」以外たとえば「要経過観察」や「要治療」を読み込んだ回数をカウントし、そのカウント数が5回であるか否か(Yes/No)を判定するステップである。<Yes>と判断した場合は、ステップS310に移行して説明優先度=1を設定した後、ステップS316に移行する。ステップS316に移行した場合は、図9(b)と同様の流れに従った処理を行う。
【0080】
ステップS306は、ステップS305で<No>と判断した場合に行うステップである。このステップS306は、ステップS305と同様に「異常なし以外」を読み込んだ回数をカウントし、そのカウント数が4回であるか否か(Yes/No)を判定するステップである。<Yes>と判断した場合は、ステップS311に移行して説明優先度=2を設定した後、ステップS316に移行する。ステップS316に移行した場合は、図9(b)と同様の流れに従った処理を行う。
【0081】
ステップS307は、ステップS306で<No>と判断した場合に行うステップである。このステップS306は、ステップS305と同様に「異常なし以外」を読み込んだ回数をカウントし、そのカウント数が3回であるか否か(Yes/No)を判定するステップである。<Yes>と判断した場合は、ステップS312に移行して説明優先度=3を設定した後、ステップS316に移行する。ステップS316に移行した場合は、図9(b)と同様の流れに従った処理を行う。
【0082】
ステップS308は、ステップS307で<No>と判断した場合に行うステップである。このステップS307は、ステップS305と同様に「異常なし以外」を読み込んだ回数をカウントし、そのカウント数が2回であるか否か(Yes/No)を判定するステップである。<Yes>と判断した場合は、ステップS313に移行して説明優先度=4を設定した後、ステップS316に移行する。ステップS316に移行した場合は、図9(b)と同様の流れに従った処理を行う。
【0083】
ステップS309は、ステップS308で<No>と判断した場合に行うステップである。このステップS308は、ステップS305と同様に「異常なし以外」を読み込んだ回数をカウントし、そのカウント数が1回であるか否か(Yes/No)を判定するステップである。<Yes>と判断した場合は、ステップS314に移行して説明優先度=5を設定した後、ステップS316に移行する。ステップS316に移行した場合は、図9(b)と同様の流れに従った処理を行う。<No>と判断した場合は、ステップS314に移行して説明優先度=6を設定した後、ステップS316に移行する。
【0084】
この優先度データは、図13に示すような配列を有して健診データベース103に記録され、値が小さいほど優先度が高く定義される。なお、図13は、図2に示す健診データに対し、ID=1についてカウント数=1、ID=5についてカウント数3、ID=6についてカウント数5と仮定した場合の優先度データである。優先度は、ID=5(検査項目「血糖」)が最も高く、次いでID=6(検査項目「GOT/GPT」)、ID=1(検査項目「血圧」)の順となる。
【0085】
ここで、説明優先度設定処理にあっては、説明優先度を設定する処理に代えて、図14に示すような配列を有する優先度テーブルを健診データベース103にあらかじめ記録しておき、健診データベース103に記録されている問診データおよび健診データから「処置状態」および「判定」を読み込み、優先度テーブルから該当する説明優先度を取得する処理を行うようにしても良い。
【0086】
また、説明優先度は、過去の健診データにおいて「異常なし」以外の判定の連続カウント数ではなく単なるカウント数に基づき設定しても良いし、カウント数が少ないほど高いレベルを設定するようにしても良い。各設定事項は、健診受診者ごとに適切な保健指導を行える有用な保健指導画面を選択できるよう適宜調節される。たとえば、説明優先度設定部106Bは、異常判定部104により異常が判定された検査項目に対し、過去の健康診断における対応検査項目について異常が疑われたカウント数が0の場合はそのカウントが1の場合よりも高い説明優先度を割り当て、そのカウント数が1以上の場合はそのカウント数が多いほど高い説明優先度を割り当てるようにしてもよい。
【0087】
すなわち、(i)異常が判定されたのが今回が初回である検査項目については、健診受診者において意識レベルは低いと考え、説明優先度を高く設定し、(ii)異常が判定されたのが今回で2回目である検査項目については、その判定が初回である検査項目よりも意識レベルは高いと考え、説明優先度を初回よりも低く設定し、(iii)異常が判定されたのが今回で2回目以上である検査項目については、健診受診者において経年的に意識レベルが低下してくるという経験則を踏まえ、説明優先度を異常の判定回数と共に高くなるよう設定するようにしてもよい。
【0088】
次に、健康管理支援システム1Bの作用を説明する。
【0089】
健康管理支援システム1Bでは、操作者が基本画面(図7参照)から説明モードを選択したとき、表示制御部105により説明優先度設定部106Bにより高い優先度が割り当てられた検査項目に関わる保健指導用画面から逐次表示される点は、第1実施形態と同様である。
【0090】
本実施形態では、図13に示す優先度データの例において、ID=5すなわち検査項目「血糖」の説明優先度は「2」であり、最も説明優先度が高い。ID=5すなわち検査項目「GOT/GPT」の説明優先度は「21」であり、ID=5に次いで説明優先度が高い。ID=1すなわち検査項目「血圧」の説明優先度は「35」でありID=5に次いで説明度が高い。なお、ID=2、3、4についは、健診データの「判定」が「異常なし」すなわち「疑いのある疾患」が「該当なし」であるため、ステップS216の処理により説明優先度は記録されない。このため、表示部102上にて、検査項目「血糖(ID=5)」→検査項目「GOT/GPT(ID=6)」→検査項目「血圧(ID=1)」の順序で、各検査項目に関わる検査結果の説明画面を表示されていく。
【0091】
健康管理支援システム1Bでは、健診データ(図2参照)に示される疾患の「判定」が同一の場合であっても、過去の健診データに示される対応する検査項目の異常判定回数により説明優先度が割り当てられる。このため、保健指導の時間的制約下、検査項目に関わる保健指導用画面の表示順序を設定した場合であっても、健診受診者にとってより一層有意義な保健指導を行えるようになる。
【0092】
次に、健康管理支援システム1Bの効果を説明する。
【0093】
健康管理支援システム1Bにあっては、第1実施形態の(1)〜(3)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。健康管理支援システム1Bにあっては、
(5) 説明優先度設定部106Bは、異常判定部104により異常が判定された検査項目に対し、過去の健康診断における対応検査項目について異常が疑われた回数或いは連続回数が多いほど高い説明優先度を割り当てる。一般に、医療機関や健診機関にあっては、過去5年分以上のカルテや健康診断の結果が記録されることが多い。このため、健診受診者に対して問診を行うことなく、保健指導の迅速化と充実化の両立を図ることができるようになる。
【0094】
(6) 説明優先度設定部106Bは、過去の健康診断における対応検査項目について異常が疑われた回数或いは連続回数が同じ検査項目に対しては、疾患の重度が高い検査項目ほど高い説明優先度を割り当てる。このため、保健指導用画面の表示順序を健診受診者の健康状態に応じてより詳細に設定でき、保健指導の迅速化と充実化の両立がより実効的なものとなる。
【0095】
以上、本発明に係る健康管理支援システムを第1実施形態〜第3実施形態に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0096】
たとえば、本実施形態では、説明モードにおいて異常のある検査項目に関わる保健指導用画面に限定して表示する例を示したが、健診データの判定に「異常なし」が示されている検査項目についても表示させるようにしても良い。この場合において、説明優先度設定部は、異常判定部により異常が判定されない検査項目に対し、異常が判定された何れの検査項目よりも低い説明優先度を割り当てるようにすると、保健指導の迅速化と充実化の両立の効果を損なわないものとなる。
【0097】
また、互いに関連する検査項目を示した関連検査項目テーブルを健診データベースにあらかじめ記録しておき、異常が判定された検査項目に関わる保健指導用画面を表示する際に、関連検査項目テーブルから関連検査項目を取得し、その関連検査項目が正常であるか否かを示す情報画面を表示させるようにしても良い。この場合、異常が認められた検査項目の関連検査項目は、図14に示すような「区分」に従って分類できる。このようにすれば、異常が判定された検査項目と関連する検査項目について、即時に異常の有無を確認できるようになる。
【0098】
また、本実施形態では、問診データに示される既往疾患の「処置状態」、健診データに示される「判定」、過去の健診データに示される異常判定のカウント数を意識レベル推定データとし、この意識レベル推定データに基づき説明優先度を設定する例を示した。ただし、この意識レベル推定データは、健診受診者が自己の疾患に対してどの程度意識しているかとった意識レベルを反映したものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明に係る健康管理支援システムの第1実施形態を示す図であり、(a)はシステム構成図、(b)は機能ブロック図。
【図2】第1実施形態の健診データベースに記録される健診データの説明図。
【図3】第1実施形態の健診データベースに記録される問診データの説明図。
【図4】第1実施形態に関するもので説明優先度設定部にて実行される説明優先度設定処理の流れを示すフローチャート
【図5】第1実施形態の健診データベースに記録される優先度データの説明図。
【図6】第1実施形態の健診データベースに記録される優先度テーブルの説明図。
【図7】第1実施形態の表示制御部により表示される基本画面を示す図。
【図8】第1実施形態の表示制御部により表示されるBMI指数に関わる保健指導用画面を示す図。
【図9】第2実施形態の説明優先度設定部にて実行される説明優先度設定処理の流れを示すフローチャートであり、(a)は前半部分、(b)は後半部分。
【図10】第2実施形態の健診データベースに記録される優先度データの説明図。
【図11】第2実施形態の健診データベースに記録される優先度テーブルの説明図。
【図12】第2実施形態の説明優先度設定部にて実行される説明優先度設定処理の流れを示すフローチャートであり、(a)は前半部分、(b)は後半部分。
【図13】第3実施形態の健診データベースに記録される優先度データの説明図。
【図14】第3実施形態の健診データベースに記録される優先度テーブルの説明図。
【図15】互いに関連する検査項目の分類例を示す図。
【符号の説明】
【0100】
103 健診データベース
104 異常判定部
105 表示制御部
106 説明優先度設定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康管理を支援する技術に係り、特に、健康診断の検査項目ごとに作成された保健指導用画面を表示部に表示し、その保健指導用画面に従った保健指導を可能にする健康管理支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業や公共機関に在籍する従業者等を対象として定期的な健康診断が行われると共にその健康診断による検査結果に基づき疾患の予防・治療に関わる保健指導が実施され、従業員等の健康管理支援が行われている。
【0003】
従来、健診受診者ごとに適切な保健指導を行えるよう、以下に列挙する健康管理支援技術が提案されている。
【0004】
(1) 問診結果に示される健診受診者の健康状態に基づき保健指導内容を作成する健康管理支援技術(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
(2) 問診結果に示される健診受診者の生活行動習慣や生活習慣改善に対する意識レベルを指標とした行動科学に基づき、健診受診者に対する保健指導内容および保健指導スケジュールを作成する健康管理支援技術(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
従来の健康管理支援技術は、健康診断の各検査項目に関わる保健指導内容を作成するための作業円滑化に有効である。また、作成した保健指導内容の説明画面(以下、保健指導用画面)を表示部に表示し、その説明画面に従った保健指導が可能となっている。
【特許文献1】特開2006-11494号公報
【特許文献2】特開2002-358372号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、保健指導は限られた時間内で実施されることから、保健指導の効率化すなわち保健指導の迅速化と充実化との両立が求められている。近年は、メタボリックや糖尿病など、様々な生活習慣病の予防・改善を目的とした健康診断ならびに保健指導の増加傾向にあり、この健診・指導の対象者は日本国内で5,600万人(2008年)と推定され、保健指導の効率化に対する要求が高まっている。そのため、保健指導用画面は、すべての検査項目を対象としたものではなく、問診結果に示される既往歴等に照らして健診受診者ごとに適切な保健指導を行える有用なものを選択することが望まれている。
【0008】
従来、保健指導用画面は保険指導者の経験により手動で選択されており、この選択作業が保健指導迅速化に対する1つの阻害要因となっていた。一方、保健指導の迅速化を重視し、保健指導用画面を自動的に逐次表示させる方法も考えられる。この場合、たとえば、異常の度合いを指標として検査項目に関わる保健指導用画面を選択すれば、その検査項目に関わる疾患は既に加療中であったという場合もある。これでは、健診受診者にとって有意義な保健指導用画面、例えば、健診受診者が認識していない疾患に関わる保健指導用画面を表示することは困難となり、時間的制約のある中、健診受診者にとっての保健指導の内容充実化は望めない。また、すべての検査項目に関わる保健指導用画面を逐次表示させれば、1つひとつの検査項目に関わる保健指導が短縮され、各検査項目に関わる保健指導の質的低下を招来しうる。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、保健指導の質的低下を伴うことなく保健指導用画面を自動的に表示でき、もって保健指導の迅速化と充実化の両立を図ることがきる健康管理支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成するため、本発明に係る健康管理支援システムでは、健康診断の検査項目ごとに作成された保健指導用画面を表示部に表示し、その保健指導用画面に従った保健指導を可能にする健康管理支援システムにおいて、検査項目および検査結果を示した健診データと、各検査項目に対する健診受診者の意識レベルを示した意識レベル推定データとが記録可能に設けられる健診データベースと、前記健診データに示される検査項目ごとに測定値と基準値との差を算出し、この差に基づいて各検査項目の正常/異常を判定する異常判定部と、前記異常判定部により異常が判定された検査項目に対し、意識レベル推定データに示される健診受診者の意識レベルに応じて異なる説明優先度を割り当てる説明優先度設定部と、前記説明優先度設定部により高い説明優先度が割り当てられた検査項目に関わる保健指導用画面から前記表示部に表示していく表示制御部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、健診受診者の意識レベルに応じた保健指導が可能になり、保健指導の質的低下を伴うことなく保健指導用画面を自動的に表示でき、もって保健指導の迅速化と充実化の両立を図ることがきる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る健康管理支援システムの実施形態を、添付図面を参照して説明する。
【0013】
[第1実施形態]
図1は本発明に係る健康管理支援システムの第1実施形態を示す図であり、(a)はシステム構成図、(b)は機能ブロック図である。
【0014】
本実施形態の健康管理支援システム1は、健康診断の検査項目ごとに作成された保健指導用画面を表示部に表示し、その保健指導用画面に従った保健指導を可能にする健康管理支援システムである。この健康管理支援システム1は、図1(a)に示すように、サーバ2ならびにこのサーバ2とネットワーク接続される複数のクライアント端末3から成るクライアント/サーバシステムにより構成される。
【0015】
健康管理支援システム1は、図1(b)に示すように、入力部101と、表示部102と、健診データベース103と、異常判定部104と、表示制御部105と、説明優先度設定部106と、を備える。なお、健診データベース103、異常判定部104および表示制御部105はサーバ2に割り当てられ、表示部102および入力部101はクライアント端末3に割り当てられる。
【0016】
〔入力部〕
健康管理支援システム1の入力部101は、健康管理支援システム1の操作者が選択した各データを健診データベース103や表示制御部105に入力する。この入力部101は、各クライアント端末3に設けられるポインティングデバイス或いはキーボードなどの入力支援手段(不図示)を用いて構成される。
【0017】
〔表示部〕
健康管理支援システム1の表示部102は、健康診断で取得された検査結果など、健診受診者の健康管理に必要な情報を表示する。この表示部102は、各クライアント端末に設けられるPCディスプレイを用いて構成される。
【0018】
〔健診データベース〕
健康管理支援システム1の健診データベース103は、健診受診者の「識別データ」、「健診データ」、「問診データ」などの健康管理用データを記録する。この健診データベース103は、サーバ2に設けられるハードディスク、MOディスクなどの大容量記録装置(不図示)を用いて構成される。また、健診データベース103は、健康診断で用いられるX線診断装置や超音波診断装置などの各種の診断装置4とネットワーク接続され、健診データベース103に検査項目ごとの測定値が入力される。
【0019】
「識別データ」は、健診受診者ID、健診受診者の氏名、住所、性別、年齢、面談日、健診IDなどの個人情報に関わる項目により構成される。
【0020】
「健診データ」は、健康管理の有効性・利便性を考慮して項目設定され、健診データベース103にて健診受診者の識別データと関連付けられて記録される。
【0021】
図2は健診データベースに記録される健診データの説明図(例示)である。
【0022】
健診データは、たとえば、検査項目の「ID」、健康診断で実施される「検査項目」、測定値の「基準値との差」、各検査項目の測定値から抽出される「疑いのある疾患」、基準値との差に応じて対処方針を示す「判定」とにより構成される。なお、健診データの「基準値との差」、「疑いのある疾患」および「判定」は、健康管理支援システム1の異常判定部104により設定される。
【0023】
なお、健診データには、検査項目ごとに基準値との差、疑いのある疾患および判定が設定される。図2に例示する健診データは、GOT/GPT(検査項目ID=6)の状態から肝臓障害の疑いが認められ且つこの肝臓障害に関して再度の治療が必要である、といった情報を保有する。
【0024】
「問診データ」は、健診受診者が現在までに罹った疾患およびその処置状態に係る既往歴に関するものであり、疾患およびその処置状態の把握可能性を考慮して項目設定される。この問診データは、健診データベース103にて健診受診者の識別データに関連付けられて記録される。
【0025】
図3は健診データベース103に記録される問診データの説明図(例示)である。
【0026】
問診データは、たとえば、健診受診者がこれまでに患った「疾患」、その疾患の現在の「処置状態」により構成される。問診データの「処置状態」は、健診受診者の回答に基づくものであり、操作者が入力部101を介して該当するチェックカラム201にフラグ立てすることで設定される。図3に例示する問診データは、健診受診者は投薬などで高血圧の加療中であると共に肝臓障害が未治療である、といった情報を保有する。
【0027】
〔異常判定部〕
異常判定部104は、健診データベース103に記録された健診データに示される検査項目ごとに、測定値と基準値との差を算出し、この差に基づき各検査項目の正常/異常を判定する。
【0028】
この異常判定部104は、先ず、健診データベース103に記録されている健診データを参照し、健診受診者の年齢および性別を取得する。次いで、健診データベース103を参照し、健診受診者の年齢および性別に対応する健診データを特定すると共に健診データに記録されている各検査項目の検査結果と基準値との差を算出する。異常判定部104は、算出した検査結果の基準値との差が所定の閾値を超過するごとに、図2に示すように、健診データの「基準値との差」の項目に、「Normal(異常なし)」、「H(やや高い)」、「HH(高い)」、「HHH(非常に高い)」、或いは、「L(やや低い)」、「LL(低い)」、「LLL(非常に低い)」を記録する。また、健診データの「疾患」の項目に、検査結果の基準値との差から疑われる疾患名、たとえば、「高血圧」や「肝臓障害」などを記録する。さらに、健診データの「判定」の項目に、検査結果と基準値との差に応じて疾患の対処方針、「要経過観察」や「要治療」などを記録する。
【0029】
〔説明優先度設定部〕
説明優先度設定部106は、異常判定部104により異常が判定された検査項目に対し、問診データ(図2参照)に示される「対応疾患」の処置状態に応じて異なる説明優先度を割り当てる。以下、「対応疾患」とは、問診データに示される疾患のうち、異常判定部104により異常が判定された検査項目から疑われる疾患と同一の疾患をいうものとする。
【0030】
図4は健康管理支援システム1の説明優先度設定部106にて実行される説明優先度設定処理の流れを示すフローチャートである。以下、この説明優先度設定処理における各ステップについて説明する。
【0031】
ステップS101は、健診データベース103に記録されている健診データを参照し、ID=1の「疑いのある疾患」を読み込むステップである。
【0032】
ステップS102は、ID=1の疑いのある疾患は「該当なし」であるか否か(Yes/No)を判断するステップである。<Yes>と判断した場合は、ステップS116→ステップS101という流れで処理を実行する。ステップS116は、ID=2(ID+1)を設定するステップである。
【0033】
ステップS103は、健診データベース103に記録されている問診データを参照し、ID=1の対応疾患を読み込むステップである。
【0034】
ステップS104は、問診データに示されるID=1の対応疾患に関わる処置状態が「治療中」であるか否か(Yes/No)を判断するステップである。<Yes>と判断した場合はステップS109に移行し、健診データのID=1に対して説明優先度=1を設定する。
【0035】
ステップS109に移行した場合は、続いて、ステップS115→ステップS116→ステップS101という流れで処理を実行する。ステップS115は、ID=1に関わる説明優先度を優先度データとして健診データベース103に記録するステップである。
【0036】
ステップS105は、ステップS104で<No>と判断した場合に実行されるステップである。このステップS105では、問診データに示されるID=1の対応疾患に関わる処置状態が「該当なし」であるか否か(Yes/No)を判断するステップである。<Yes>と判断した場合はステップS110に移行して説明優先度=2を設定した後、ステップS115→ステップS116→ステップS101という流れで処理を実行する。
【0037】
ステップS106は、ステップS105で<No>と判断した場合に実行されるステップである。このステップS106では、問診データに示されるID=1の対応疾患に関わる処置状態が治療の「中断」であるか否か(Yes/No)を判断するステップである。<Yes>と判断した場合はステップS111に移行して説明優先度=3を設定した後、ステップS115→ステップS116→ステップS101という流れで処理を実行する。
【0038】
ステップS107は、ステップS106で<No>と判断した場合に実行されるステップである。このステップS107では、問診データに示されるID=1の対応疾患に関わる処置状態が「経過観察中」であるか否か(Yes/No)を判断するステップである。<Yes>と判断した場合はステップS112に移行して説明優先度=4を設定した後、ステップS115→ステップS116→ステップS101という流れで処理を実行する。
【0039】
ステップS108は、ステップS107で<No>と判断した場合に実行されるステップである。このステップS108では、問診データに示されるID=1の対応疾患に関わる処置状態が「加療中」であるか否か(Yes/No)を判断するステップである。<Yes>と判断した場合はステップS113に移行して説明優先度=5を設定した後、ステップS115→ステップS116→ステップS101という流れで処理を実行する。ステップS108で<No>と判断した場合はステップS114に移行して説明優先度=6を設定した後、ステップS115→ステップS116→ステップS101という流れで処理を実行する。
【0040】
優先度データは、図5に示すような配列を有して健診データベース103に記録され、値が小さいほど優先度が高く定義される。なお、図5は、図2に示す健診データおよび図3に示す問診データに示す例による優先度データであり、優先度はID=6(検査項目「GOT/GPT」)が最も高く、次いでID=5(検査項目「血糖」)、ID=1(検査項目「血圧」)の順となる。
【0041】
ここで、説明優先度設定処理にあっては、説明優先度を設定する処理に代えて、図6に示す配列を有する優先度テーブルを健診データベース103にあらかじめ記録しておき、健診データベース103に記録されている問診データから「処置状態」を読み込み、この優先度テーブルから該当する説明優先度を取得する処理を行うようにしても良い。
【0042】
〔表示制御部〕
表示制御部105は、基本画面ならびに検査項目に関わる保健指導用画面を表示部102に表示する。この表示制御部105は、通常モードと説明モードから成る2種類の表示モードにより異なった方法で保健指導用画面を表示する。
【0043】
図7は表示制御部105により表示される基本画面を示す図である。この基本画面には、過去数回分の健康診断で取得された検査結果やその基準値からの差などが表示される。なお、基本画面中の記号「H」は検査結果の基準値からの高低度合いであり、異常判定部104により記録された健診データの「基準値との差」に基づき設定される。
【0044】
通常モードにあっては、操作者により選択された検査項目に関わる保健指導用画面を表示する。たとえば、図7に示す基本画面において、操作者が項目「BMI指数202」をポインティングデバイスなどによりクリックすると、表示制御部105はBMI指数に関わる保健指導用画面を表示する。図8は表示制御部105により表示されたBMI指数に関わる保健指導用画面を示す図である。
【0045】
説明モードは、操作者が基本画面上のアイコン「説明モード203」をポインティングデバイスなどによりクリックした場合に有効となる。説明モードが有効となった場合、表示制御部105は説明優先度設定部106により高い説明優先度が割り当てられた検査項目に関わる保健指導用画面から逐次表示していく。すなわち、表示制御部105は、説明モードが有効となった場合、健診データベース103に記録されている優先度データを参照する。次いで、健診データに示される各ID(検査項目)に関わる保健指導用画面を、優先度データに示される説明優先度に従った順序で表示していく。
【0046】
次に、健康管理支援システム1の作用を説明する。
【0047】
健康管理支援システム1では、操作者が基本画面(図7参照)から説明モードを選択したとき、表示制御部105により説明優先度設定部106により高い説明優先度が割り当てられた検査項目に関わる保健指導用画面から逐次表示される。たとえば、図5に示す優先度データの例にあっては、ID=6すなわち検査項目「GOT/GPT」(図2参照)の説明優先度は「1」であり、最も説明優先度が高い。ID=5すなわち検査項目「血糖」の説明優先度は「2」であり、ID=6に次いで説明優先度が高い。ID=1すなわち検査項目「血圧」の説明優先度は「5」であり、ID=6に次いで説明優先度が高い。なお、ID=2、3、4についは、健診データに示される「疑いのある疾患」が「異常なし」であるため、ステップS102の処理により説明優先度は記録されない。このため、表示部102上にて、検査項目「GOT/GPT(ID=6)」→検査項目「血糖(ID=5)」→検査項目「血圧(ID=1)」の順序で、各検査項目に関わる保健指導用画面が表示されていく。
【0048】
ここで、健診受診者においては、健診受診者の問診データに「加療中」と示される疾患よりも、その問診データに「未治療」と示される疾患の方が、日頃よく意識していると考えられる。というのは、たとえば、加療中であれば、通院による医師の説明等で病状を把握し日頃意識していると考えられ、未治療であれば、その疾患について普段は忘れているということもあり得ると考えられるからである。
【0049】
健康管理支援システム1にあっては、上述したように、問診データに「加療中」と示される疾患に関わる保健指導用画面よりも、問診データに「未治療」と示される疾患に関わる保健指導用画面の方が優先して表示される。つまり、保健指導用画面の表示順序は、単に検査結果の基準値からの差ないし疑われる疾患の種類に基づき設定されたものではなく、健診受診者の意識レベルの高低に応じて設定される。このため、検査結果を提示した保健指導を行うにあたり、健診受診者自身が気付いていない或いは意識していない(いわば、意識レベルが低い)疾患から優先的に保健指導を行うことができる。言い換えれば、すでに加療中である疾患等、健診受診者が日頃よく意識している(いわば、意識レベルが高い)疾患についての説明を積極的に省略することができるようになる。したがって、時間的制約があっても、保健指導に対する健診受診者の満足度も高いものにできる。
【0050】
なお、図5に示す説明優先度は、例示であって必要に応じて説明優先度の設定基準を変更できる。図5は異常判定部により異常が判定された検査項目に対し、問診データに示される対応疾患の処置状態が「未治療」である場合に最も高い説明優先度を割り当てた例であるが、問診データに示される対応疾患の処置状態が「該当なし」である場合に最も高い説明優先度を割り当てるようにしてもよい。
【0051】
次に、健康管理支援システム1の効果を説明する。
【0052】
健康管理支援システム1にあっては、
(1) 検査項目および検査結果を示した健診データと、各検査項目に対する健診受診者の意識レベルを示した意識レベル推定データとが記録可能に設けられる健診データベースと、その健診データに示される検査項目ごとに測定値と基準値との差を算出し、この差に基づいて各検査項目の正常/異常を判定する異常判定部104と、異常判定部104により異常が判定された検査項目に対し、意識レベル推定データに示される健診受診者の意識レベルに応じて異なる説明優先度を割り当てる説明優先度設定部106と、説明優先度設定部106により高い説明優先度が割り当てられた検査項目に関わる保健指導用画面から前記表示部に表示していく表示制御部105とを備える。このため、健診受診者の意識レベルに応じた保健指導が可能になり、保健指導の質的低下を伴うことなく保健指導用画面を自動的に逐次表示でき、もって保健指導の迅速化と充実化の両立を図ることがきる。
【0053】
(2) 意識レベル推定データは、健診受診者が現在までに罹った疾患およびその処置状態に係る既往歴を示した問診データにより構成され、問診データに示される疾患のうち、異常判定部104により異常が判定された検査項目から疑われる疾患と同一の疾患を対応疾患と定義したとき、説明優先度設定部106は、異常判定部104により異常が判定された検査項目に対し、問診データに示される対応疾患の処置状態に応じて異なる説明優先度を割り当てる。このため、保健指導の迅速化と充実化の両立がより実効的なものとなる。
【0054】
(3) 説明優先度設定部106は、異常判定部104により異常が判定された検査項目に対し、問診データに示される対応疾患の処置状態が「未治療」である場合に、その処置状態が「加療中」である場合よりも高い説明優先度を割り当てる。このため、保健指導の迅速化と充実化の両立がより実効的なものとなる。
【0055】
[第2実施形態]
第2実施形態は、第1実施形態の健康管理支援システム1において説明優先度設定部106の構成を変更した例である。なお、第1実施形態と同様の構成は、同一符号を付して説明を省略し、第1実施形態の構成を変更し或いは新たに追加した構成は、符号末尾に「A」を付して説明する。
【0056】
本実施形態の健康管理支援システム1A(図1(b)参照)における説明優先度設定部106Aは、異常判定部104により異常が判定され且つ問診データに示される対応疾患の処置状態が同じ検査項目に対しては、疾患の重度が高い検査項目ほど高い説明優先度を割り当てる。なお、第1実施形態と同様に、「対応疾患」とは、問診データに示される疾患のうち、異常判定部104により異常が判定された検査項目から疑われる疾患と同一の疾患をいうものとする。
【0057】
図9は説明優先度設定部106Aにて実行される説明優先度設定処理の流れを示すフローチャートである。以下、この説明優先度設定処理における各ステップについて説明する。なお、図9(a)におけるステップS201〜S214、S227は、それぞれ図4におけるステップS101〜S114、S116と同様であるので説明を省略する。
【0058】
図9(a)におけるステップS209〜S214の何れかに移行した場合は、図9(b)におけるステップS215に移行する。このステップS215は、健診データベース103に記録されている健診データ(図2参照)を参照し、ID=1の「判定」を読み込むステップである。
【0059】
ステップS216は、健診データに示されるID=1の判定が「要治療」であるか否か(Yes/No)を判断するステップである。<Yes>と判断した場合はステップS220に移行し、健診データのID=1に設定された説明優先度(ステップS209〜S214参照)に「0」を加えて説明優先度を改定するステップである。
【0060】
ステップS220に移行した場合は、続いて、ステップS225→ステップS226→ステップS201(図9(a)参照)という流れで処理を実行する。ステップS225は、ID=1に関わる改定後の説明優先度を優先度データとして健診データベースに記録するステップである。ステップS226は、ID=2(ID+1)を設定するステップである。
【0061】
ステップS217は、ステップS216で<No>と判断した場合に実行されるステップである。このステップS217は、健診データに示されるID=1の判定が「要精密検査」であるか否か(Yes/No)を判断するステップである。<Yes>と判断した場合はステップS221に移行し、健診データのID=1に設定された説明優先度(ステップS209〜S214参照)に「10」を加えて説明優先度を改定した後、ステップS225→ステップS226→ステップS201(図9(a)参照)という流れで処理を実行する。
【0062】
ステップS218は、ステップS217で<No>と判断した場合に実行されるステップである。このステップS218は、健診データに示されるID=1の判定が「要再検査」であるか否か(Yes/No)を判断するステップである。<Yes>と判断した場合はステップS222に移行し、健診データのID=1に設定された説明優先度(ステップS209〜S214参照)に「20」を加えて説明優先度を改定した後、ステップS225→ステップS226→ステップS201(図9(a)参照)という流れで処理を実行する。
【0063】
ステップS219は、ステップS218で<No>と判断した場合に実行されるステップである。このステップS219は、健診データに示されるID=1の判定が「要経過観察」であるか否か(Yes/No)を判断するステップである。<Yes>と判断した場合はステップS223に移行し、健診データのID=1に設定された説明優先度(ステップS209〜S214参照)に「30」を加えて説明優先度を改定した後、ステップS225→ステップS226→ステップS201(図9(a)参照)という流れで処理を実行する。ステップS219で<No>と判断した場合(図2に示す健診データにあっては、「異常を認めるが心配なし」を判断した場合)は、ステップS224に移行し、健診データのID=1に設定された説明優先度(ステップS209〜S214参照)に「40」を加えて説明優先度を改定した後、ステップS225→ステップS226→ステップS201(図9(a)参照)という流れで処理を実行する。
【0064】
ステップS220〜S224による改定後の説明優先度に関わる優先度データは、図10に示す配列を有して健診データベース103に記録され、値が小さいほど説明優先度が高く定義される。なお、図10は、図2に示す健診データおよび図3に示す問診データに示す例による優先度データであり、説明優先度「2」、「21」、「35」は、それぞれ健診データのID=5(検査項目「血糖」)、ID=6(検査項目「GOT/GPT」)、ID=1(検査項目「血圧」)に関するものである。
【0065】
ここで、説明優先度設定処理にあっては、説明優先度を設定する処理に代えて、図11に示すような配列を有する優先度テーブルを健診データベース103にあらかじめ記録しておき、健診データベース103に記録されている問診データおよび健診データから「処置状態」および「判定」を読み込み、優先度テーブルから該当する説明優先度を取得する処理を行うようにしても良い。
【0066】
次に、健康管理支援システム1Aの作用を説明する。
【0067】
健康管理支援システム1では、操作者が基本画面(図7参照)から説明モードを選択したとき、表示制御部105により説明優先度設定部106により高い優先度が割り当てられた検査項目に関わる保健指導用画面から逐次表示される点は、第1実施形態と同様である。
【0068】
本実施形態では、図10に示す優先度データの例において、ID=5すなわち検査項目「血糖」の説明優先度は「2」であり、最も説明優先度が高くなる。ID=5すなわち検査項目「GOT/GPT」の説明優先度は「21」であり、ID=5に次いで説明優先度が高くなる。ID=1すなわち検査項目「血圧」の説明優先度は「35」でありID=5に次いで説明優先度が高くなる。なお、ID=2、3、4についは、健診データの「判定」が「異常なし」すなわち「疑いのある疾患」が「該当なし」であるため、ステップS216の処理により説明優先度は記録されない。このため、表示部102上にて、検査項目「血糖(ID=5)」→検査項目「GOT/GPT(ID=6)」→検査項目「血圧(ID=1)」の順序で、各検査項目に関わる保健指導用画面を表示され、第1実施形態とは表示順序が異なる。
【0069】
健康管理支援システム1Aでは、問診データに示される対応疾患の「処置状態(図3参照)」が同一であっても各検査項目の判定(図2参照)によって、説明優先度が割り当てられる。このため、保健指導の時間的制約下、それぞれの検査項目に関わる保健指導用画面の表示順序を設定した場合であっても、健診受診者にとってより一層有意義な保健指導を行えるようになる。なお、他の作用は、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0070】
次に、健康管理支援システム1Aの効果を説明する。
【0071】
健康管理支援システム1Aにあっては、第1実施形態の(1)〜(3)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
【0072】
(4) 健康管理支援システム1Aの説明優先度設定部106Aは、問診データに示される対応疾患の処置状態が同じ検査項目に対しては、疾患の重度が高い検査項目ほど高い説明優先度を割り当てる。このため、保健指導用画面の表示順序を健診受診者の健康状態に応じてより詳細に設定でき、保健指導の迅速化と充実化の両立がより実効的なものとなる。
【0073】
[第3実施形態]
第3実施形態は、第1実施形態の健康管理支援システム1において説明優先度設定部106の構成を変更した例である。なお、第1実施形態と同様の構成は、同一符号を付して説明を省略し、第1実施形態の構成を変更し或いは新たに追加した構成は、符号末尾に「B」を付して説明する。
【0074】
本実施形態の健康管理支援システム1B(図1参照)において、説明優先度設定部106Bは、異常判定部104により異常が判定された検査項目に対し、過去の健康診断における「対応検査項目」について異常が疑われた連続回数が多いほど、高い説明優先度を割り当てる。加えて、過去の健康診断において対応する検査項目について異常が疑われた連続回数が同じ検査項目に対しては、疾患の重度が高い検査項目ほど高い説明優先度を割り当てる。なお、「対応検査項目」とは、過去の健康診断の検査項目のうち、異常判定部104により異常が判定された検査項目と同一の検査項目をいうものとする。
【0075】
図12は説明優先度設定部106Bにて実行される説明優先度設定処理の流れを示すフローチャートである。以下、この説明優先度設定処理における各ステップについて説明する。なお、図12(b)におけるステップS316〜S327は、図9(b)におけるステップS215〜S226と同様であるので説明を省略する。
【0076】
ステップS301は、健診データベース103に記録されている健診データを参照し、ID=1の「判定」を読み込むステップである。
【0077】
ステップS302は、健診データに示されるID=1の判定が「異常なし」であるか否か(Yes/No)を判断するステップである。<Yes>と判断した場合はステップS302に移行した後、ステップS301に移行してID=2の「判定」を読み込む。
【0078】
ステップS304は、健診データベース103に記録されている「過去の健診データ」の5年分を参照し、ID=1の「判定」を読み込むステップである。なお、過去の健診データは、5年分に限らず、それ以上或いはそれ以下を適宜設定できる。また、「過去の健診データ」は、他の健康管理実施機関の健康管理支援システムから受け取るようにしても良い。
【0079】
ステップS305は、過去の健診データの5年分においてID=1に関わる判定が「異常なし」以外たとえば「要経過観察」や「要治療」を読み込んだ回数をカウントし、そのカウント数が5回であるか否か(Yes/No)を判定するステップである。<Yes>と判断した場合は、ステップS310に移行して説明優先度=1を設定した後、ステップS316に移行する。ステップS316に移行した場合は、図9(b)と同様の流れに従った処理を行う。
【0080】
ステップS306は、ステップS305で<No>と判断した場合に行うステップである。このステップS306は、ステップS305と同様に「異常なし以外」を読み込んだ回数をカウントし、そのカウント数が4回であるか否か(Yes/No)を判定するステップである。<Yes>と判断した場合は、ステップS311に移行して説明優先度=2を設定した後、ステップS316に移行する。ステップS316に移行した場合は、図9(b)と同様の流れに従った処理を行う。
【0081】
ステップS307は、ステップS306で<No>と判断した場合に行うステップである。このステップS306は、ステップS305と同様に「異常なし以外」を読み込んだ回数をカウントし、そのカウント数が3回であるか否か(Yes/No)を判定するステップである。<Yes>と判断した場合は、ステップS312に移行して説明優先度=3を設定した後、ステップS316に移行する。ステップS316に移行した場合は、図9(b)と同様の流れに従った処理を行う。
【0082】
ステップS308は、ステップS307で<No>と判断した場合に行うステップである。このステップS307は、ステップS305と同様に「異常なし以外」を読み込んだ回数をカウントし、そのカウント数が2回であるか否か(Yes/No)を判定するステップである。<Yes>と判断した場合は、ステップS313に移行して説明優先度=4を設定した後、ステップS316に移行する。ステップS316に移行した場合は、図9(b)と同様の流れに従った処理を行う。
【0083】
ステップS309は、ステップS308で<No>と判断した場合に行うステップである。このステップS308は、ステップS305と同様に「異常なし以外」を読み込んだ回数をカウントし、そのカウント数が1回であるか否か(Yes/No)を判定するステップである。<Yes>と判断した場合は、ステップS314に移行して説明優先度=5を設定した後、ステップS316に移行する。ステップS316に移行した場合は、図9(b)と同様の流れに従った処理を行う。<No>と判断した場合は、ステップS314に移行して説明優先度=6を設定した後、ステップS316に移行する。
【0084】
この優先度データは、図13に示すような配列を有して健診データベース103に記録され、値が小さいほど優先度が高く定義される。なお、図13は、図2に示す健診データに対し、ID=1についてカウント数=1、ID=5についてカウント数3、ID=6についてカウント数5と仮定した場合の優先度データである。優先度は、ID=5(検査項目「血糖」)が最も高く、次いでID=6(検査項目「GOT/GPT」)、ID=1(検査項目「血圧」)の順となる。
【0085】
ここで、説明優先度設定処理にあっては、説明優先度を設定する処理に代えて、図14に示すような配列を有する優先度テーブルを健診データベース103にあらかじめ記録しておき、健診データベース103に記録されている問診データおよび健診データから「処置状態」および「判定」を読み込み、優先度テーブルから該当する説明優先度を取得する処理を行うようにしても良い。
【0086】
また、説明優先度は、過去の健診データにおいて「異常なし」以外の判定の連続カウント数ではなく単なるカウント数に基づき設定しても良いし、カウント数が少ないほど高いレベルを設定するようにしても良い。各設定事項は、健診受診者ごとに適切な保健指導を行える有用な保健指導画面を選択できるよう適宜調節される。たとえば、説明優先度設定部106Bは、異常判定部104により異常が判定された検査項目に対し、過去の健康診断における対応検査項目について異常が疑われたカウント数が0の場合はそのカウントが1の場合よりも高い説明優先度を割り当て、そのカウント数が1以上の場合はそのカウント数が多いほど高い説明優先度を割り当てるようにしてもよい。
【0087】
すなわち、(i)異常が判定されたのが今回が初回である検査項目については、健診受診者において意識レベルは低いと考え、説明優先度を高く設定し、(ii)異常が判定されたのが今回で2回目である検査項目については、その判定が初回である検査項目よりも意識レベルは高いと考え、説明優先度を初回よりも低く設定し、(iii)異常が判定されたのが今回で2回目以上である検査項目については、健診受診者において経年的に意識レベルが低下してくるという経験則を踏まえ、説明優先度を異常の判定回数と共に高くなるよう設定するようにしてもよい。
【0088】
次に、健康管理支援システム1Bの作用を説明する。
【0089】
健康管理支援システム1Bでは、操作者が基本画面(図7参照)から説明モードを選択したとき、表示制御部105により説明優先度設定部106Bにより高い優先度が割り当てられた検査項目に関わる保健指導用画面から逐次表示される点は、第1実施形態と同様である。
【0090】
本実施形態では、図13に示す優先度データの例において、ID=5すなわち検査項目「血糖」の説明優先度は「2」であり、最も説明優先度が高い。ID=5すなわち検査項目「GOT/GPT」の説明優先度は「21」であり、ID=5に次いで説明優先度が高い。ID=1すなわち検査項目「血圧」の説明優先度は「35」でありID=5に次いで説明度が高い。なお、ID=2、3、4についは、健診データの「判定」が「異常なし」すなわち「疑いのある疾患」が「該当なし」であるため、ステップS216の処理により説明優先度は記録されない。このため、表示部102上にて、検査項目「血糖(ID=5)」→検査項目「GOT/GPT(ID=6)」→検査項目「血圧(ID=1)」の順序で、各検査項目に関わる検査結果の説明画面を表示されていく。
【0091】
健康管理支援システム1Bでは、健診データ(図2参照)に示される疾患の「判定」が同一の場合であっても、過去の健診データに示される対応する検査項目の異常判定回数により説明優先度が割り当てられる。このため、保健指導の時間的制約下、検査項目に関わる保健指導用画面の表示順序を設定した場合であっても、健診受診者にとってより一層有意義な保健指導を行えるようになる。
【0092】
次に、健康管理支援システム1Bの効果を説明する。
【0093】
健康管理支援システム1Bにあっては、第1実施形態の(1)〜(3)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。健康管理支援システム1Bにあっては、
(5) 説明優先度設定部106Bは、異常判定部104により異常が判定された検査項目に対し、過去の健康診断における対応検査項目について異常が疑われた回数或いは連続回数が多いほど高い説明優先度を割り当てる。一般に、医療機関や健診機関にあっては、過去5年分以上のカルテや健康診断の結果が記録されることが多い。このため、健診受診者に対して問診を行うことなく、保健指導の迅速化と充実化の両立を図ることができるようになる。
【0094】
(6) 説明優先度設定部106Bは、過去の健康診断における対応検査項目について異常が疑われた回数或いは連続回数が同じ検査項目に対しては、疾患の重度が高い検査項目ほど高い説明優先度を割り当てる。このため、保健指導用画面の表示順序を健診受診者の健康状態に応じてより詳細に設定でき、保健指導の迅速化と充実化の両立がより実効的なものとなる。
【0095】
以上、本発明に係る健康管理支援システムを第1実施形態〜第3実施形態に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0096】
たとえば、本実施形態では、説明モードにおいて異常のある検査項目に関わる保健指導用画面に限定して表示する例を示したが、健診データの判定に「異常なし」が示されている検査項目についても表示させるようにしても良い。この場合において、説明優先度設定部は、異常判定部により異常が判定されない検査項目に対し、異常が判定された何れの検査項目よりも低い説明優先度を割り当てるようにすると、保健指導の迅速化と充実化の両立の効果を損なわないものとなる。
【0097】
また、互いに関連する検査項目を示した関連検査項目テーブルを健診データベースにあらかじめ記録しておき、異常が判定された検査項目に関わる保健指導用画面を表示する際に、関連検査項目テーブルから関連検査項目を取得し、その関連検査項目が正常であるか否かを示す情報画面を表示させるようにしても良い。この場合、異常が認められた検査項目の関連検査項目は、図14に示すような「区分」に従って分類できる。このようにすれば、異常が判定された検査項目と関連する検査項目について、即時に異常の有無を確認できるようになる。
【0098】
また、本実施形態では、問診データに示される既往疾患の「処置状態」、健診データに示される「判定」、過去の健診データに示される異常判定のカウント数を意識レベル推定データとし、この意識レベル推定データに基づき説明優先度を設定する例を示した。ただし、この意識レベル推定データは、健診受診者が自己の疾患に対してどの程度意識しているかとった意識レベルを反映したものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明に係る健康管理支援システムの第1実施形態を示す図であり、(a)はシステム構成図、(b)は機能ブロック図。
【図2】第1実施形態の健診データベースに記録される健診データの説明図。
【図3】第1実施形態の健診データベースに記録される問診データの説明図。
【図4】第1実施形態に関するもので説明優先度設定部にて実行される説明優先度設定処理の流れを示すフローチャート
【図5】第1実施形態の健診データベースに記録される優先度データの説明図。
【図6】第1実施形態の健診データベースに記録される優先度テーブルの説明図。
【図7】第1実施形態の表示制御部により表示される基本画面を示す図。
【図8】第1実施形態の表示制御部により表示されるBMI指数に関わる保健指導用画面を示す図。
【図9】第2実施形態の説明優先度設定部にて実行される説明優先度設定処理の流れを示すフローチャートであり、(a)は前半部分、(b)は後半部分。
【図10】第2実施形態の健診データベースに記録される優先度データの説明図。
【図11】第2実施形態の健診データベースに記録される優先度テーブルの説明図。
【図12】第2実施形態の説明優先度設定部にて実行される説明優先度設定処理の流れを示すフローチャートであり、(a)は前半部分、(b)は後半部分。
【図13】第3実施形態の健診データベースに記録される優先度データの説明図。
【図14】第3実施形態の健診データベースに記録される優先度テーブルの説明図。
【図15】互いに関連する検査項目の分類例を示す図。
【符号の説明】
【0100】
103 健診データベース
104 異常判定部
105 表示制御部
106 説明優先度設定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
健康診断の検査項目ごとに作成された保健指導用画面を表示部に表示し、その保健指導用画面に従った保健指導を可能にする健康管理支援システムにおいて、
検査項目および検査結果を示した健診データと、各検査項目に対する健診受診者の意識レベルを示した意識レベル推定データとが記録可能に設けられる健診データベースと、
前記健診データに示される検査項目ごとに測定値と基準値との差を算出し、この差に基づいて各検査項目の正常/異常を判定する異常判定部と、
前記異常判定部により異常が判定された検査項目に対し、意識レベル推定データに示される健診受診者の意識レベルに応じて異なる説明優先度を割り当てる説明優先度設定部と、
前記説明優先度設定部により高い説明優先度が割り当てられた検査項目に関わる保健指導用画面から前記表示部に表示していく表示制御部と、
を備えたことを特徴とする健康管理支援システム。
【請求項2】
前記意識レベル推定データは、健診受診者が現在までに罹った疾患およびその処置状態に係る既往歴を示した問診データにより構成され、
前記問診データに示される疾患のうち、異常判定部により異常が判定された検査項目から疑われる疾患と同一の疾患を対応疾患と定義したとき、
前記説明優先度設定部は、異常判定部により異常が判定された検査項目に対し、問診データに示される対応疾患の処置状態に応じて異なる説明優先度を割り当てることを特徴とする請求項1に記載の健康管理支援システム。
【請求項3】
前記説明優先度設定部は、異常判定部により異常が判定された検査項目に対し、問診データに示される対応疾患の処置状態が「未治療」である場合に、その処置状態が「加療中」である場合よりも高い説明優先度を割り当てることを特徴とする請求項2に記載の健康管理支援システム。
【請求項4】
前記異常判定部は、異常を判定した検査項目を、その検査項目の異常から疑われる疾患の重度により複数の区分に分類し、
前記説明優先度設定部は、問診データに示される対応疾患の処置状態が同じ検査項目に対しては、前記疾患の重度が高い検査項目ほど高い説明優先度を割り当てることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の健康管理支援システム。
【請求項5】
前記説明優先度設定部は、異常判定部により異常が判定された検査項目に対し、過去の健康診断における対応検査項目について異常が疑われた回数或いは連続回数に応じて異なる説明優先度を割り当てることを特徴とする請求項1に記載の健康管理支援システム。
【請求項6】
前記説明優先度設定部は、異常判定部により異常が判定された検査項目に対し、過去の健康診断における対応検査項目について異常が疑われた回数或いは連続回数が多いほど高い説明優先度を割り当てることを特徴とする請求項5に記載の健康管理支援システム。
【請求項7】
前記説明優先度設定部は、異常判定部により異常が判定された検査項目に対し、過去の健康診断における対応検査項目について異常が疑われた回数が0回の場合はその回数が1回の場合よりも高い説明優先度を割り当て、その回数が1回以上の場合はその回数が多いほど高い説明優先度を割り当てることを特徴とする請求項6に記載の健康管理支援システム。
【請求項8】
前記異常判定部は、異常を判定した検査項目を、その検査項目の異常から疑われる疾患の重度により複数の区分に分類し、
前記説明優先度設定部は、過去の健康診断における対応検査項目について異常が疑われた回数或いは連続回数が同じ検査項目に対しては、前記疾患の重度が高い検査項目ほど高い説明優先度を割り当てることを特徴とする請求項6に記載の健康管理支援システム。
【請求項9】
前記説明優先度設定部は、前記異常判定部により異常が判定されない検査項目に対し、異常が判定された何れの検査項目よりも低い説明優先度を割り当てることを特徴とする請求項1に記載の健康管理支援システム。
【請求項10】
前記表示制御部は、異常判定部により異常が判定された検査項目に関わる保健指導用画面を表示するときは、その検査項目の関連検査項目が正常であるか否かを示す情報画面を表示することを特徴とする請求項1に記載の健康管理支援システム。
【請求項1】
健康診断の検査項目ごとに作成された保健指導用画面を表示部に表示し、その保健指導用画面に従った保健指導を可能にする健康管理支援システムにおいて、
検査項目および検査結果を示した健診データと、各検査項目に対する健診受診者の意識レベルを示した意識レベル推定データとが記録可能に設けられる健診データベースと、
前記健診データに示される検査項目ごとに測定値と基準値との差を算出し、この差に基づいて各検査項目の正常/異常を判定する異常判定部と、
前記異常判定部により異常が判定された検査項目に対し、意識レベル推定データに示される健診受診者の意識レベルに応じて異なる説明優先度を割り当てる説明優先度設定部と、
前記説明優先度設定部により高い説明優先度が割り当てられた検査項目に関わる保健指導用画面から前記表示部に表示していく表示制御部と、
を備えたことを特徴とする健康管理支援システム。
【請求項2】
前記意識レベル推定データは、健診受診者が現在までに罹った疾患およびその処置状態に係る既往歴を示した問診データにより構成され、
前記問診データに示される疾患のうち、異常判定部により異常が判定された検査項目から疑われる疾患と同一の疾患を対応疾患と定義したとき、
前記説明優先度設定部は、異常判定部により異常が判定された検査項目に対し、問診データに示される対応疾患の処置状態に応じて異なる説明優先度を割り当てることを特徴とする請求項1に記載の健康管理支援システム。
【請求項3】
前記説明優先度設定部は、異常判定部により異常が判定された検査項目に対し、問診データに示される対応疾患の処置状態が「未治療」である場合に、その処置状態が「加療中」である場合よりも高い説明優先度を割り当てることを特徴とする請求項2に記載の健康管理支援システム。
【請求項4】
前記異常判定部は、異常を判定した検査項目を、その検査項目の異常から疑われる疾患の重度により複数の区分に分類し、
前記説明優先度設定部は、問診データに示される対応疾患の処置状態が同じ検査項目に対しては、前記疾患の重度が高い検査項目ほど高い説明優先度を割り当てることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の健康管理支援システム。
【請求項5】
前記説明優先度設定部は、異常判定部により異常が判定された検査項目に対し、過去の健康診断における対応検査項目について異常が疑われた回数或いは連続回数に応じて異なる説明優先度を割り当てることを特徴とする請求項1に記載の健康管理支援システム。
【請求項6】
前記説明優先度設定部は、異常判定部により異常が判定された検査項目に対し、過去の健康診断における対応検査項目について異常が疑われた回数或いは連続回数が多いほど高い説明優先度を割り当てることを特徴とする請求項5に記載の健康管理支援システム。
【請求項7】
前記説明優先度設定部は、異常判定部により異常が判定された検査項目に対し、過去の健康診断における対応検査項目について異常が疑われた回数が0回の場合はその回数が1回の場合よりも高い説明優先度を割り当て、その回数が1回以上の場合はその回数が多いほど高い説明優先度を割り当てることを特徴とする請求項6に記載の健康管理支援システム。
【請求項8】
前記異常判定部は、異常を判定した検査項目を、その検査項目の異常から疑われる疾患の重度により複数の区分に分類し、
前記説明優先度設定部は、過去の健康診断における対応検査項目について異常が疑われた回数或いは連続回数が同じ検査項目に対しては、前記疾患の重度が高い検査項目ほど高い説明優先度を割り当てることを特徴とする請求項6に記載の健康管理支援システム。
【請求項9】
前記説明優先度設定部は、前記異常判定部により異常が判定されない検査項目に対し、異常が判定された何れの検査項目よりも低い説明優先度を割り当てることを特徴とする請求項1に記載の健康管理支援システム。
【請求項10】
前記表示制御部は、異常判定部により異常が判定された検査項目に関わる保健指導用画面を表示するときは、その検査項目の関連検査項目が正常であるか否かを示す情報画面を表示することを特徴とする請求項1に記載の健康管理支援システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−72866(P2010−72866A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238587(P2008−238587)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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