健康維持増進支援システム
【課題】自治体や健康保険組合などの団体の構成員を集団的に指導することによって、構成員の心身の健康維持及び健康増進を実現するための健康維持増進支援システムを提供することを課題とする。
【解決手段】健康維持増進支援システム1によれば、指導情報出力部7は、身体活動記録部4に記録された構成員それぞれの身体活動データと構成員情報記録部5に記録された個人情報とを、集団指導論理記録部6に記録されている集団指導論理に基づいて解析したうえ、構成員の健康維持及び健康増進を指導するための指導情報を評価・指導ペーパー9にプリントアウトすることができる。これにより、自治体や健康保険組合などの団体の構成員を集団的に指導して、それぞれの構成員の心身の健康維持及び健康増進を実現することが可能となる。
【解決手段】健康維持増進支援システム1によれば、指導情報出力部7は、身体活動記録部4に記録された構成員それぞれの身体活動データと構成員情報記録部5に記録された個人情報とを、集団指導論理記録部6に記録されている集団指導論理に基づいて解析したうえ、構成員の健康維持及び健康増進を指導するための指導情報を評価・指導ペーパー9にプリントアウトすることができる。これにより、自治体や健康保険組合などの団体の構成員を集団的に指導して、それぞれの構成員の心身の健康維持及び健康増進を実現することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自治体や健康保険組合などの団体を構成する構成員の心身の健康維持及び健康増進を集団的に指導し、支援する場合に使用する健康維持増進支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィットネスクラブなどの健康増進施設を利用し、施設利用者個人の健康改善をするために用いられる身体活動評価システム(特許文献1参照)が提案されている。この身体活動評価システムは、健康改善を目的とするそれぞれの個人に対して、それぞれの個人に適した身体活動のアドバイスをするためのシステムである。
【0003】
上記従来の身体活動評価システムは、健康改善を目的とするそれぞれの個人に対して、身体活動のアドバイスをするものであるが、近年、自治体や健康保険組合などが、その構成員を集団的に指導し、構成員の心身の健康維持及び健康増進を実現することによって、自治体や健康保険組合などの団体が医療機関等に支払う医療費を節約したいという要望が強くなっている。
【特許文献1】特開2005−31941号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明では、自治体や健康保険組合などの団体の構成員を集団的に指導し、支援することによって、それぞれの構成員の心身の健康維持及び健康増進を実現するための健康維持増進支援システムを提供することを解決すべき課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、特許請求の範囲の欄に記載した健康維持増進支援システムにより解決することができる。
請求項1に記載の健康維持増進支援システムによれば、指導情報出力手段は、身体活動記録手段に記録された構成員それぞれの身体活動データと構成員情報記録手段に記録された個人情報とを集団指導論理に基づいて解析したうえ、それぞれの構成員の健康維持及び健康増進を指導するための指導情報を出力することができる。これにより、自治体や健康保険組合などの団体の構成員を集団的に指導し、支援して、それぞれの構成員の心身の健康維持及び健康増進を実現することが可能となり、自治体や健康保険組合などから医療機関等に支払う医療費を節約することができる。
【0006】
また、請求項2に記載の健康維持増進支援システムによれば、指導情報出力手段は、スクリーニングされた構成員に対して、高齢者の自立維持介護予防情報、生活習慣病予防情報、心の健康維持情報、及び筋骨格系疾患予防情報を出力することができるため、各構成員が介護状態になることを予防したり、疾患の予防をすることができる。
【0007】
また、請求項3に記載の健康維持増進支援システムによれば、指導情報出力手段は、構成員に対する身体活動量の目標値を時節により変更することができるため、構成員に対して適切な指導をすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、団体を構成する構成員を指導することにより、集団的にそれぞれの構成員の心身の健康維持及び健康増進を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の実施の形態について説明する。
健康維持増進支援システムは、例えば自治体や健康保険組合などの団体を構成する構成員を指導者が集団的に指導し、支援することによって、それぞれの構成員の心身の健康維持及び健康増進を実現する場合に使用される。具体的には、自治体の高齢者を指導することにより介護予防をする場合、あるいは、自治体の高齢者以外の人の健康増進を「健康日本21」などに基づいて実現する場合などに使用される。また、健康保険組合の構成員の健康増進や心の健康維持、あるいは生活習慣病の予防などを指導し、支援する場合に使用される。
【0010】
以下、図1を参照しながら健康維持増進支援システム1の構成について説明する。
図1は、健康維持増進支援システム1の構成を示したブロック図である。
図1に示した身体活動記録器2は、心身の健康維持や健康増進を目的として指導される上記それぞれの構成員に装着される。この身体活動記録器2は、図示していない加速度センサを内蔵しており、歩数、強度別活動時間(後述の中等度運動時間も、この強度別活動時間から算出する。)及び4秒間の身体活動検出データを2分単位で加算したデータを身体活動データとしてメモリに記録する。尚、4秒間の身体活動検出データを2分単位で加算する理由は、生活のリズムや活動の強さ(質)を見るためと、外出回数などを見るためである。
【0011】
所定期間に身体活動記録器2に記録された身体活動データは、身体活動記録器2から、本システムの中枢となるコンピュータ3にオフラインで伝送される。この場合、身体活動記録器2とコンピュータ3とをケーブルで接続してもよいし、あるいは身体活動記録器2のメモリをコンピュータ3にセットすることによって、メモリに記録されている身体活動データをコンピュータ3に伝送してもよい。尚、インターネット等を介してコンピュータ3に身体活動データをオンラインで伝送する事が可能であるが、図1ではオフライン伝送の例を示している。
【0012】
コンピュータ3には、それぞれの身体活動記録器2から伝送された身体活動データを記録する身体活動記録部4と、構成員それぞれのアンケートなどにより得られた年齢、男女別、既往症などの健康状態などの個人情報を記録しておく構成員情報記録部5と、構成員の健康維持及び健康増進を集団的に指導するために予め研究された集団指導論理を記録しておく集団指導論理記録部6とが設けられている。また、身体活動記録部4に記録されたそれぞれの構成員の身体活動データと、構成員情報記録部5に記録されたそれぞれの構成員の個人情報とを、集団指導論理記録部6に記録されている集団指導論理に基づいて解析することによって、構成員の健康維持及び健康増進を指導するためのコメント、あるいは指導者に対する指導コメントなどの指導情報を出力する指導情報出力部7がコンピュータ3に設けられている。尚、構成員の健康維持及び健康増進を集団的に指導するための集団指導論理は、標準的な自治体の住民の環境や身体活動等を長期間に亘って研究して得られた科学的な根拠に基づいた論理を採用している。具体的な例として、東京都老人総合研究所の研究による中之条スタディに基づく論理を採用する。また、身体活動記録部4に記録されたそれぞれの身体活動記録器2の身体活動データは、データベースへ記録され、それぞれの構成員の経過的な健康や疾病の評価に使用される。
上記コメントは、それぞれの身体活動記録器2のデータやアンケート、検診などの結果、及び過去のシステム解析の結果などから求めるので、それぞれの構成員の過去の解析結果なども構成員情報記録部5に記録される。
【0013】
上記指導情報出力部7から出力された指導情報は、プリンタ8に伝送され、プリンタ8から、前述の指導者がそれぞれの構成員の健康維持及び健康増進を指導するための評価・指導ペーパー9としてプリントアウトされる。尚、上記指導情報出力部7から出力された指導情報、即ち、それぞれの構成員向けの評価やアドバイスは、コンピュータ3の図示していないディスプレイにも表示されるとともに、当該構成員の身体活動記録器2の表示器2aにも表示される。
【0014】
次に、健康維持増進支援システム1の作用について説明する。
図2は、前述の構成員の健康維持及び健康増進を集団的に指導する場合に用いられる集団指導論理を示した表図である。この集団指導論理は、構成員それぞれの身体活動記録器2に記録された歩行の「歩数」と、健康に効果があるといわれている強さの運動、いわゆる中等度運動(3METS以上)をした場合の「中等度運動時間」との関係から解析された内容を示したものである。尚、図2の表図は身体活動記録器2に記録された全データのうちの有効性データで解析された内容であり、有効性データとは、1日のうち、所定時間以上の身体活動データが身体活動記録器2に記録された場合のデータをいう。有効性データを解析する理由は、1日のうち、所定時間に満たない身体活動データを除外することによって、それぞれの構成員に対して正しい評価をするためである。尚、有効性データが不足している場合は、後述するように、その旨を該当する構成員に伝える。
【0015】
図2に示した集団指導論理によれば、1日の「歩数」は、A:(4000歩未満)、B:(6000歩未満)、C:(8000歩未満)、D:(8000歩以上)の4段階に区分されており、「中等度運動時間」は、1:(5分未満)、2:(10分未満)、3:(20分未満)、4:(20分以上)の4段階に区分されている。
【0016】
上記集団指導論理によれば、ある構成員の1日の身体活動データにおいて、1日の「歩数」がA:(4000歩未満)に該当し、「中等度運動時間」が1:(5分未満)に該当した場合、即ち、A1に該当した場合、「心の健康に効果がある活動レベルが不足しているので、少しでも活動を増やす。」旨の評価コメントを出力する。また、1日の「歩数」がA:(4000歩未満)に該当し、「中等度運動時間」が2:(10分未満)、3:(20分未満)、又は4:(20分以上)に該当した場合、即ち、A2,A3,A4に該当した場合、当該構成員に対して「中等度の運動は実施しているが、日常生活における活動が少ないため、統計的に心の健康に効果があると言われている歩数を満たしていない。そのため、中等度運動を減らしてでも歩数を増やす。」旨の評価コメントを出力する。
【0017】
また、1日の「歩数」がB:(6000歩未満)に該当し、「中等度運動時間」が1:(5分未満)に該当した場合、即ちB1に該当すれば、当該構成員に対して「歩数は、心の健康に効果がある量を満たしているが、中等度運動時間がないため、心の健康に効果がある活動レベルを充たしていないので、中等度運動時間を増やしていく。」という旨の評価コメントを出力する。また、B2,B3,B4に該当すれば、「心の健康」に効果がある旨の評価コメントを出力する。尚、「心の健康」の活動レベルが維持ステージであると認められれば「心・血管系疾患に効果がある活動レベルを目指す。」という旨のコメントを付加する。
【0018】
1日の「歩数」がC:(8000歩未満)に該当し、「中等度運動時間」が1:(5分未満)即ちC1に該当すれば、当該構成員に対して「歩数は、心の健康に効果がある量を満たしているが、中等度運動時間がないため、心の健康に効果がある活動レベルを充たしていない。そのため、中等度運動時間を増やしていく。」という旨の評価コメントを出力する。
また、C2に該当すれば、当該構成員に対して、歩数は「心の健康」に効果がある旨の評価コメントを出力する。尚、「心の健康」の活動レベルが維持ステージであると認められれば「心・血管系疾患に効果がある活動レベルを目指す。」という旨のコメントを付加する。
また、C3,C4に該当すれば、当該構成員に対して「心の健康」と「心・血管系疾患」に効果がある旨の評価コメントを出力する。尚、心・血管系疾患の活動レベルが維持ステージにあると認められれば「筋・骨格系疾患に効果がある活動レベルを目指す。」という旨のコメントを付加する。
【0019】
また、1日の「歩数」がD:(8000歩以上)に該当し、「中等度運動時間」が1:(5分未満)、即ちD1に該当すれば、当該構成員に対してC1の場合と同じ評価コメントを出力する。また、D2に該当すれば、当該構成員に対してC2の場合と同じ評価コメントを出力する。また、D3に該当すれば、当該構成員に対して「心・血管系疾患に効果があり、中等度運動時間を増やすことで、筋・骨格系疾患の効果も期待できる。」という旨の評価コメントを出力する。更に、D4に該当すれば、当該構成員に対して「筋・骨格系疾患(骨粗鬆、サルコペニアなど)に効果あり。」という評価コメントを出力する。
【0020】
上記以外の評価コメントとして、例えば「外出回数」、「1回あたりの連続運動時間」、「1日身体活動リズム」、「特定期間内の歩数、中等度運動時間などの身体活動リズム」なども当該健康維持増進支援システム1で求め、これらの内容を構成員の指導に取り入れる。この場合、例えば肥満を無くしたい構成員には、早朝や午前中の運動を提案し、その時間帯の運動を、より評価する。
【0021】
健康維持増進支援システム1は、一地域のみならず、複数地域等の集団指導用健康統計機能を格納することができるため、複数の自治体や健康保険組合の集団的な統計データを比較することができる。
【0022】
また、構成員の全員に十分な時間をかけることができないため、運動内容を満たしていない人、運動習慣が崩れてきている人などの、健康上、注意を要する構成員を抽出するスクリーニング機能を有している。このような場合、図2に示すような評価コメントを該当する構成員に提示する。
【0023】
各構成員からのアンケート情報をより正確にするため、各構成員の身体活動データに基づいてコンピュータ3のディスプレイに指導者が知りたい項目を出力し、質問した結果を入力する。例えば、中等度運動時間が減った場合には整形外科的要因である膝や腰の痛みがないか、歩数が少なくなった場合には転倒していないか、体調を崩していないか、仕事が忙しすぎないかなどの質問結果を入力する。
【0024】
また、ある構成員に対して「心の健康」に効果があるといわれている歩数及び中等度運動時間を共に満たしていないと評価した場合には、「xx月xx日に、心の健康教室があるので、参加してみてはいかがでしょうか。」、「何か悩みがある場合には健康相談室にお越しください。」などのコメントを出力する。また、歩数は満たしているが中等度運動時間がない場合、「腰痛・膝痛予防教室、腰痛・膝痛改善教室があるので参加してはいかがでしょうか。」などの自治体や健康保険組合が実施する取組を、その取組が必要な構成員に対してコメントを追加する。
【0025】
健康維持増進支援システム1は、集団指導を受ける構成員に対して運動習慣をつけ、維持させるための評価機能も有している。これは、日常生活での活動量(運動量)を増やすことをベースにして、健康を維持するための知識啓蒙をするとともに、実際に活動量を増やす場合には無理を感じさせず、挫折させないようにすることを目的とする。
【0026】
健康維持増進支援システム1により上述の構成員が健康維持、健康増進の集団指導を受ける場合、季節により運動しやすい時期とし難い時期とがあるため、前述の「歩数」と「中等度運動時間」が減少するときには、減少する割合を踏まえて構成員に対する身体活動評価を実施する。これにより、各構成員に対して無理な目標を与えないようにすることができるため、各構成員がやる気を喪失しないようにすることができる。尚、このような場合の減少割合や時期は、例えば前述の中之条スタディによる統計データに基づいて決定する。
【0027】
また、身体活動量が増える時期の前には、身体活動量を上げやすい時期になることを各構成員に知らせることにより、各構成員の身体活動量を増加させるように指導する。一方、安全性を保つためには、例えば「暑い時期は、涼しい時間帯に運動してください。」、「気温の低い時期で積雪や道路凍結がある場合、転倒に気をつけてください。」というようなアドバイスコメントを出力する。
【0028】
尚、健康維持増進支援システム1は、前述の構成員それぞれの身体活動記録器2に記録された身体活動データを解析する場合、各構成員の身体活動データのバラツキやリズムにより、行動変容レベルである「準備ステージ以前」、「準備ステージ」、「実行ステージ」、「維持ステージ」のどのステージであるかを判断したうえ、実行ステージに満たない人には「身体活動量が不足しているので運動量を増やしなさい。」というようなコメントよりも、疾患との関係を説明することによって、運動の重要性を認識させるコメントを出力する。また、実行ステージであると判断した場合でも、その目標に対して運動維持ができているということを判断するまで、次の目標に進ませない。また、「維持ステージ」と判断した場合には、運動習慣が崩れるという逆戻り前兆を見つけて運動習慣を継続させるアドバイスをする。
【0029】
また、それぞれの構成員に対して、運動効果を気づかせるコメントを出力することによって、運動効果を実感させる。この場合、前述の構成員情報記録部5に予め、構成員の病気、既往症、整形外科的疾患を記録しておき、構成員がその疾患に効果がある運動レベルに達したときに、「その疾患はいかがですか」というようなコメントを出すことにより、運動の効果を実感させる。あるいは、ある程度の運動量が増えたときに、生活状態のアンケートで家族と同居しているような場合、「家族から変化があったといわれませんか。」などのコメントを出すことにより、運動の効果を実感させる。
【0030】
尚、指導者が各構成員の身体活動量を上げる指導をする場合、量→質→量→質と上げていく。ただし、身体活動内容によっては、量と質を同時に上げたり、先に質から上げていく。
【0031】
各構成員を指導する場合、「歩数、中等度運動時間を増やしてください」という内容のコメントではなく、それぞれの構成員の環境状況を踏まえ、かつ、実情に即したコメントとする。例えば、「1日1回散歩をしてください。」、「通勤時には少し早歩きに変えてみてください。」、「外出回数を増やしてみてはいかがでしょうか。ショッピングなどでも歩数は増えます。」などのコメントを出す。
【0032】
次に、健康維持増進支援システム1から出力されて、指導者が各構成員に対して提示する評価・指導コメントの例を示す。
図3は、健康維持増進支援システム1を構成するコンピュータ3のディスプレイに表示されるとともに、前述のプリンタ8からプリントアウトされる評価・指導コメントの種類を示したものである。図3に示すように評価・指導コメントの種類は、1:実施数値表示、2:有効性データ不足時の付加コメント、3:中之条エビデンスによる評価コメント、4:補足コメント、5:経過コメント、6:警告コメントなどである。
【0033】
図4は、上記の1:実施数値表示例を示している。また、図5は、上記の2:有効性データ不足時の付加コメント例を示している。また、図6は、上記の3:中之条エビデンスによる評価コメントを出す際のコメント区分をフローチャートで示したもので、目標とする疾患閾値、即ち、心の健康や心血管系疾患、あるいは筋骨格系疾患の閾値となる「歩数」及び「中等度運動時間」を超しているか否かを判断するものである。
【0034】
図7、図8及び図9は、前述の構成員が、目標とする疾患閾値を超すような運動をしていると判断した場合のコメント例を示したものである。
【0035】
図10は、上記の3:中之条エビデンスによる評価コメントを出す際のコメント区分をフローチャートで示したもので、目標とする疾患閾値を超していない場合のコメント区分を示している。図11〜図19はそれぞれのコメント例を示している。
【0036】
図20は、上記の4:補足コメントの種類を示したものであり、4−1:逆転現象時(前述の運動習慣が崩れるという逆戻り現象)コメントと、4−2:先月からの増加コメントと、4−3:翌月季節変動コメントなどがある。図21〜図25は、それぞれの補足コメント例を示している。
【0037】
図26及び図27は、上記の5:経過コメント例を示したものである。また、図28、図29及び図30は上記の6:警告コメント例である。図28は各構成員に対する警告コメント例であり、図29は指導者が構成員に膝腰痛があることを認識した場合にコンピュータ3に入力する膝腰痛フラグについて示したものである。また、図30は、指導者が、構成員のうちから要注意者をスクリーニングするような場合の条件を示している。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】健康維持増進支援システムの構成を示したブロック図である。
【図2】集団指導論理を示した表図である。
【図3】評価・指導コメントの種類を示した説明図である。
【図4】実施数値表示コメント説明図である。
【図5】有効性データ不足時の付加コメント説明図である。
【図6】中之条エビデンスによる評価コメントを出す際のコメント区分を示したフローチャートである。
【図7】構成員が目標とする疾患閾値を超す運動をした場合のコメント説明図である。
【図8】構成員が目標とする疾患閾値を超す運動をした場合のコメント説明図である。
【図9】構成員が目標とする疾患閾値を超す運動をした場合のコメント説明図である。
【図10】構成員の運動が目標とする疾患閾値を超していない場合のコメント区分を示したフローチャートである。
【図11】構成員の運動が目標とする疾患閾値を超していない場合のコメント説明図である。
【図12】構成員の運動が目標とする疾患閾値を超していない場合のコメント説明図である。
【図13】構成員の運動が目標とする疾患閾値を超していない場合のコメント説明図である。
【図14】構成員の運動が目標とする疾患閾値を超していない場合のコメント説明図である。
【図15】構成員の運動が目標とする疾患閾値を超していない場合のコメント説明図である。
【図16】構成員の運動が目標とする疾患閾値を超していない場合のコメント説明図である。
【図17】構成員の運動が目標とする疾患閾値を超していない場合のコメント説明図である。
【図18】構成員の運動が目標とする疾患閾値を超していない場合のコメント説明図である。
【図19】構成員の運動が目標とする疾患閾値を超していない場合のコメント説明図である。
【図20】補足コメントの種類を示した説明図である。
【図21】補足コメントのコメント説明図である。
【図22】補足コメントのコメント説明図である。
【図23】補足コメントのコメント説明図である。
【図24】補足コメントのコメント説明図である。
【図25】補足コメントのコメント説明図である。
【図26】経過コメント例の説明図である。
【図27】経過コメント例の説明図である。
【図28】構成員に対する警告コメント例の説明図である。
【図29】膝腰痛フラグ入力説明図である。
【図30】指導者が、構成員のうちから要注意者をスクリーニングする場合の説明図である。
【符号の説明】
【0039】
1 健康維持増進支援システム
2 身体活動記録器
3 コンピュータ
4 身体活動記録部
5 構成員情報記録部
6 集団指導論理記録部
7 指導情報出力部
8 プリンタ
9 評価・指導ペーパー
【技術分野】
【0001】
本発明は、自治体や健康保険組合などの団体を構成する構成員の心身の健康維持及び健康増進を集団的に指導し、支援する場合に使用する健康維持増進支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィットネスクラブなどの健康増進施設を利用し、施設利用者個人の健康改善をするために用いられる身体活動評価システム(特許文献1参照)が提案されている。この身体活動評価システムは、健康改善を目的とするそれぞれの個人に対して、それぞれの個人に適した身体活動のアドバイスをするためのシステムである。
【0003】
上記従来の身体活動評価システムは、健康改善を目的とするそれぞれの個人に対して、身体活動のアドバイスをするものであるが、近年、自治体や健康保険組合などが、その構成員を集団的に指導し、構成員の心身の健康維持及び健康増進を実現することによって、自治体や健康保険組合などの団体が医療機関等に支払う医療費を節約したいという要望が強くなっている。
【特許文献1】特開2005−31941号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明では、自治体や健康保険組合などの団体の構成員を集団的に指導し、支援することによって、それぞれの構成員の心身の健康維持及び健康増進を実現するための健康維持増進支援システムを提供することを解決すべき課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、特許請求の範囲の欄に記載した健康維持増進支援システムにより解決することができる。
請求項1に記載の健康維持増進支援システムによれば、指導情報出力手段は、身体活動記録手段に記録された構成員それぞれの身体活動データと構成員情報記録手段に記録された個人情報とを集団指導論理に基づいて解析したうえ、それぞれの構成員の健康維持及び健康増進を指導するための指導情報を出力することができる。これにより、自治体や健康保険組合などの団体の構成員を集団的に指導し、支援して、それぞれの構成員の心身の健康維持及び健康増進を実現することが可能となり、自治体や健康保険組合などから医療機関等に支払う医療費を節約することができる。
【0006】
また、請求項2に記載の健康維持増進支援システムによれば、指導情報出力手段は、スクリーニングされた構成員に対して、高齢者の自立維持介護予防情報、生活習慣病予防情報、心の健康維持情報、及び筋骨格系疾患予防情報を出力することができるため、各構成員が介護状態になることを予防したり、疾患の予防をすることができる。
【0007】
また、請求項3に記載の健康維持増進支援システムによれば、指導情報出力手段は、構成員に対する身体活動量の目標値を時節により変更することができるため、構成員に対して適切な指導をすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、団体を構成する構成員を指導することにより、集団的にそれぞれの構成員の心身の健康維持及び健康増進を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の実施の形態について説明する。
健康維持増進支援システムは、例えば自治体や健康保険組合などの団体を構成する構成員を指導者が集団的に指導し、支援することによって、それぞれの構成員の心身の健康維持及び健康増進を実現する場合に使用される。具体的には、自治体の高齢者を指導することにより介護予防をする場合、あるいは、自治体の高齢者以外の人の健康増進を「健康日本21」などに基づいて実現する場合などに使用される。また、健康保険組合の構成員の健康増進や心の健康維持、あるいは生活習慣病の予防などを指導し、支援する場合に使用される。
【0010】
以下、図1を参照しながら健康維持増進支援システム1の構成について説明する。
図1は、健康維持増進支援システム1の構成を示したブロック図である。
図1に示した身体活動記録器2は、心身の健康維持や健康増進を目的として指導される上記それぞれの構成員に装着される。この身体活動記録器2は、図示していない加速度センサを内蔵しており、歩数、強度別活動時間(後述の中等度運動時間も、この強度別活動時間から算出する。)及び4秒間の身体活動検出データを2分単位で加算したデータを身体活動データとしてメモリに記録する。尚、4秒間の身体活動検出データを2分単位で加算する理由は、生活のリズムや活動の強さ(質)を見るためと、外出回数などを見るためである。
【0011】
所定期間に身体活動記録器2に記録された身体活動データは、身体活動記録器2から、本システムの中枢となるコンピュータ3にオフラインで伝送される。この場合、身体活動記録器2とコンピュータ3とをケーブルで接続してもよいし、あるいは身体活動記録器2のメモリをコンピュータ3にセットすることによって、メモリに記録されている身体活動データをコンピュータ3に伝送してもよい。尚、インターネット等を介してコンピュータ3に身体活動データをオンラインで伝送する事が可能であるが、図1ではオフライン伝送の例を示している。
【0012】
コンピュータ3には、それぞれの身体活動記録器2から伝送された身体活動データを記録する身体活動記録部4と、構成員それぞれのアンケートなどにより得られた年齢、男女別、既往症などの健康状態などの個人情報を記録しておく構成員情報記録部5と、構成員の健康維持及び健康増進を集団的に指導するために予め研究された集団指導論理を記録しておく集団指導論理記録部6とが設けられている。また、身体活動記録部4に記録されたそれぞれの構成員の身体活動データと、構成員情報記録部5に記録されたそれぞれの構成員の個人情報とを、集団指導論理記録部6に記録されている集団指導論理に基づいて解析することによって、構成員の健康維持及び健康増進を指導するためのコメント、あるいは指導者に対する指導コメントなどの指導情報を出力する指導情報出力部7がコンピュータ3に設けられている。尚、構成員の健康維持及び健康増進を集団的に指導するための集団指導論理は、標準的な自治体の住民の環境や身体活動等を長期間に亘って研究して得られた科学的な根拠に基づいた論理を採用している。具体的な例として、東京都老人総合研究所の研究による中之条スタディに基づく論理を採用する。また、身体活動記録部4に記録されたそれぞれの身体活動記録器2の身体活動データは、データベースへ記録され、それぞれの構成員の経過的な健康や疾病の評価に使用される。
上記コメントは、それぞれの身体活動記録器2のデータやアンケート、検診などの結果、及び過去のシステム解析の結果などから求めるので、それぞれの構成員の過去の解析結果なども構成員情報記録部5に記録される。
【0013】
上記指導情報出力部7から出力された指導情報は、プリンタ8に伝送され、プリンタ8から、前述の指導者がそれぞれの構成員の健康維持及び健康増進を指導するための評価・指導ペーパー9としてプリントアウトされる。尚、上記指導情報出力部7から出力された指導情報、即ち、それぞれの構成員向けの評価やアドバイスは、コンピュータ3の図示していないディスプレイにも表示されるとともに、当該構成員の身体活動記録器2の表示器2aにも表示される。
【0014】
次に、健康維持増進支援システム1の作用について説明する。
図2は、前述の構成員の健康維持及び健康増進を集団的に指導する場合に用いられる集団指導論理を示した表図である。この集団指導論理は、構成員それぞれの身体活動記録器2に記録された歩行の「歩数」と、健康に効果があるといわれている強さの運動、いわゆる中等度運動(3METS以上)をした場合の「中等度運動時間」との関係から解析された内容を示したものである。尚、図2の表図は身体活動記録器2に記録された全データのうちの有効性データで解析された内容であり、有効性データとは、1日のうち、所定時間以上の身体活動データが身体活動記録器2に記録された場合のデータをいう。有効性データを解析する理由は、1日のうち、所定時間に満たない身体活動データを除外することによって、それぞれの構成員に対して正しい評価をするためである。尚、有効性データが不足している場合は、後述するように、その旨を該当する構成員に伝える。
【0015】
図2に示した集団指導論理によれば、1日の「歩数」は、A:(4000歩未満)、B:(6000歩未満)、C:(8000歩未満)、D:(8000歩以上)の4段階に区分されており、「中等度運動時間」は、1:(5分未満)、2:(10分未満)、3:(20分未満)、4:(20分以上)の4段階に区分されている。
【0016】
上記集団指導論理によれば、ある構成員の1日の身体活動データにおいて、1日の「歩数」がA:(4000歩未満)に該当し、「中等度運動時間」が1:(5分未満)に該当した場合、即ち、A1に該当した場合、「心の健康に効果がある活動レベルが不足しているので、少しでも活動を増やす。」旨の評価コメントを出力する。また、1日の「歩数」がA:(4000歩未満)に該当し、「中等度運動時間」が2:(10分未満)、3:(20分未満)、又は4:(20分以上)に該当した場合、即ち、A2,A3,A4に該当した場合、当該構成員に対して「中等度の運動は実施しているが、日常生活における活動が少ないため、統計的に心の健康に効果があると言われている歩数を満たしていない。そのため、中等度運動を減らしてでも歩数を増やす。」旨の評価コメントを出力する。
【0017】
また、1日の「歩数」がB:(6000歩未満)に該当し、「中等度運動時間」が1:(5分未満)に該当した場合、即ちB1に該当すれば、当該構成員に対して「歩数は、心の健康に効果がある量を満たしているが、中等度運動時間がないため、心の健康に効果がある活動レベルを充たしていないので、中等度運動時間を増やしていく。」という旨の評価コメントを出力する。また、B2,B3,B4に該当すれば、「心の健康」に効果がある旨の評価コメントを出力する。尚、「心の健康」の活動レベルが維持ステージであると認められれば「心・血管系疾患に効果がある活動レベルを目指す。」という旨のコメントを付加する。
【0018】
1日の「歩数」がC:(8000歩未満)に該当し、「中等度運動時間」が1:(5分未満)即ちC1に該当すれば、当該構成員に対して「歩数は、心の健康に効果がある量を満たしているが、中等度運動時間がないため、心の健康に効果がある活動レベルを充たしていない。そのため、中等度運動時間を増やしていく。」という旨の評価コメントを出力する。
また、C2に該当すれば、当該構成員に対して、歩数は「心の健康」に効果がある旨の評価コメントを出力する。尚、「心の健康」の活動レベルが維持ステージであると認められれば「心・血管系疾患に効果がある活動レベルを目指す。」という旨のコメントを付加する。
また、C3,C4に該当すれば、当該構成員に対して「心の健康」と「心・血管系疾患」に効果がある旨の評価コメントを出力する。尚、心・血管系疾患の活動レベルが維持ステージにあると認められれば「筋・骨格系疾患に効果がある活動レベルを目指す。」という旨のコメントを付加する。
【0019】
また、1日の「歩数」がD:(8000歩以上)に該当し、「中等度運動時間」が1:(5分未満)、即ちD1に該当すれば、当該構成員に対してC1の場合と同じ評価コメントを出力する。また、D2に該当すれば、当該構成員に対してC2の場合と同じ評価コメントを出力する。また、D3に該当すれば、当該構成員に対して「心・血管系疾患に効果があり、中等度運動時間を増やすことで、筋・骨格系疾患の効果も期待できる。」という旨の評価コメントを出力する。更に、D4に該当すれば、当該構成員に対して「筋・骨格系疾患(骨粗鬆、サルコペニアなど)に効果あり。」という評価コメントを出力する。
【0020】
上記以外の評価コメントとして、例えば「外出回数」、「1回あたりの連続運動時間」、「1日身体活動リズム」、「特定期間内の歩数、中等度運動時間などの身体活動リズム」なども当該健康維持増進支援システム1で求め、これらの内容を構成員の指導に取り入れる。この場合、例えば肥満を無くしたい構成員には、早朝や午前中の運動を提案し、その時間帯の運動を、より評価する。
【0021】
健康維持増進支援システム1は、一地域のみならず、複数地域等の集団指導用健康統計機能を格納することができるため、複数の自治体や健康保険組合の集団的な統計データを比較することができる。
【0022】
また、構成員の全員に十分な時間をかけることができないため、運動内容を満たしていない人、運動習慣が崩れてきている人などの、健康上、注意を要する構成員を抽出するスクリーニング機能を有している。このような場合、図2に示すような評価コメントを該当する構成員に提示する。
【0023】
各構成員からのアンケート情報をより正確にするため、各構成員の身体活動データに基づいてコンピュータ3のディスプレイに指導者が知りたい項目を出力し、質問した結果を入力する。例えば、中等度運動時間が減った場合には整形外科的要因である膝や腰の痛みがないか、歩数が少なくなった場合には転倒していないか、体調を崩していないか、仕事が忙しすぎないかなどの質問結果を入力する。
【0024】
また、ある構成員に対して「心の健康」に効果があるといわれている歩数及び中等度運動時間を共に満たしていないと評価した場合には、「xx月xx日に、心の健康教室があるので、参加してみてはいかがでしょうか。」、「何か悩みがある場合には健康相談室にお越しください。」などのコメントを出力する。また、歩数は満たしているが中等度運動時間がない場合、「腰痛・膝痛予防教室、腰痛・膝痛改善教室があるので参加してはいかがでしょうか。」などの自治体や健康保険組合が実施する取組を、その取組が必要な構成員に対してコメントを追加する。
【0025】
健康維持増進支援システム1は、集団指導を受ける構成員に対して運動習慣をつけ、維持させるための評価機能も有している。これは、日常生活での活動量(運動量)を増やすことをベースにして、健康を維持するための知識啓蒙をするとともに、実際に活動量を増やす場合には無理を感じさせず、挫折させないようにすることを目的とする。
【0026】
健康維持増進支援システム1により上述の構成員が健康維持、健康増進の集団指導を受ける場合、季節により運動しやすい時期とし難い時期とがあるため、前述の「歩数」と「中等度運動時間」が減少するときには、減少する割合を踏まえて構成員に対する身体活動評価を実施する。これにより、各構成員に対して無理な目標を与えないようにすることができるため、各構成員がやる気を喪失しないようにすることができる。尚、このような場合の減少割合や時期は、例えば前述の中之条スタディによる統計データに基づいて決定する。
【0027】
また、身体活動量が増える時期の前には、身体活動量を上げやすい時期になることを各構成員に知らせることにより、各構成員の身体活動量を増加させるように指導する。一方、安全性を保つためには、例えば「暑い時期は、涼しい時間帯に運動してください。」、「気温の低い時期で積雪や道路凍結がある場合、転倒に気をつけてください。」というようなアドバイスコメントを出力する。
【0028】
尚、健康維持増進支援システム1は、前述の構成員それぞれの身体活動記録器2に記録された身体活動データを解析する場合、各構成員の身体活動データのバラツキやリズムにより、行動変容レベルである「準備ステージ以前」、「準備ステージ」、「実行ステージ」、「維持ステージ」のどのステージであるかを判断したうえ、実行ステージに満たない人には「身体活動量が不足しているので運動量を増やしなさい。」というようなコメントよりも、疾患との関係を説明することによって、運動の重要性を認識させるコメントを出力する。また、実行ステージであると判断した場合でも、その目標に対して運動維持ができているということを判断するまで、次の目標に進ませない。また、「維持ステージ」と判断した場合には、運動習慣が崩れるという逆戻り前兆を見つけて運動習慣を継続させるアドバイスをする。
【0029】
また、それぞれの構成員に対して、運動効果を気づかせるコメントを出力することによって、運動効果を実感させる。この場合、前述の構成員情報記録部5に予め、構成員の病気、既往症、整形外科的疾患を記録しておき、構成員がその疾患に効果がある運動レベルに達したときに、「その疾患はいかがですか」というようなコメントを出すことにより、運動の効果を実感させる。あるいは、ある程度の運動量が増えたときに、生活状態のアンケートで家族と同居しているような場合、「家族から変化があったといわれませんか。」などのコメントを出すことにより、運動の効果を実感させる。
【0030】
尚、指導者が各構成員の身体活動量を上げる指導をする場合、量→質→量→質と上げていく。ただし、身体活動内容によっては、量と質を同時に上げたり、先に質から上げていく。
【0031】
各構成員を指導する場合、「歩数、中等度運動時間を増やしてください」という内容のコメントではなく、それぞれの構成員の環境状況を踏まえ、かつ、実情に即したコメントとする。例えば、「1日1回散歩をしてください。」、「通勤時には少し早歩きに変えてみてください。」、「外出回数を増やしてみてはいかがでしょうか。ショッピングなどでも歩数は増えます。」などのコメントを出す。
【0032】
次に、健康維持増進支援システム1から出力されて、指導者が各構成員に対して提示する評価・指導コメントの例を示す。
図3は、健康維持増進支援システム1を構成するコンピュータ3のディスプレイに表示されるとともに、前述のプリンタ8からプリントアウトされる評価・指導コメントの種類を示したものである。図3に示すように評価・指導コメントの種類は、1:実施数値表示、2:有効性データ不足時の付加コメント、3:中之条エビデンスによる評価コメント、4:補足コメント、5:経過コメント、6:警告コメントなどである。
【0033】
図4は、上記の1:実施数値表示例を示している。また、図5は、上記の2:有効性データ不足時の付加コメント例を示している。また、図6は、上記の3:中之条エビデンスによる評価コメントを出す際のコメント区分をフローチャートで示したもので、目標とする疾患閾値、即ち、心の健康や心血管系疾患、あるいは筋骨格系疾患の閾値となる「歩数」及び「中等度運動時間」を超しているか否かを判断するものである。
【0034】
図7、図8及び図9は、前述の構成員が、目標とする疾患閾値を超すような運動をしていると判断した場合のコメント例を示したものである。
【0035】
図10は、上記の3:中之条エビデンスによる評価コメントを出す際のコメント区分をフローチャートで示したもので、目標とする疾患閾値を超していない場合のコメント区分を示している。図11〜図19はそれぞれのコメント例を示している。
【0036】
図20は、上記の4:補足コメントの種類を示したものであり、4−1:逆転現象時(前述の運動習慣が崩れるという逆戻り現象)コメントと、4−2:先月からの増加コメントと、4−3:翌月季節変動コメントなどがある。図21〜図25は、それぞれの補足コメント例を示している。
【0037】
図26及び図27は、上記の5:経過コメント例を示したものである。また、図28、図29及び図30は上記の6:警告コメント例である。図28は各構成員に対する警告コメント例であり、図29は指導者が構成員に膝腰痛があることを認識した場合にコンピュータ3に入力する膝腰痛フラグについて示したものである。また、図30は、指導者が、構成員のうちから要注意者をスクリーニングするような場合の条件を示している。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】健康維持増進支援システムの構成を示したブロック図である。
【図2】集団指導論理を示した表図である。
【図3】評価・指導コメントの種類を示した説明図である。
【図4】実施数値表示コメント説明図である。
【図5】有効性データ不足時の付加コメント説明図である。
【図6】中之条エビデンスによる評価コメントを出す際のコメント区分を示したフローチャートである。
【図7】構成員が目標とする疾患閾値を超す運動をした場合のコメント説明図である。
【図8】構成員が目標とする疾患閾値を超す運動をした場合のコメント説明図である。
【図9】構成員が目標とする疾患閾値を超す運動をした場合のコメント説明図である。
【図10】構成員の運動が目標とする疾患閾値を超していない場合のコメント区分を示したフローチャートである。
【図11】構成員の運動が目標とする疾患閾値を超していない場合のコメント説明図である。
【図12】構成員の運動が目標とする疾患閾値を超していない場合のコメント説明図である。
【図13】構成員の運動が目標とする疾患閾値を超していない場合のコメント説明図である。
【図14】構成員の運動が目標とする疾患閾値を超していない場合のコメント説明図である。
【図15】構成員の運動が目標とする疾患閾値を超していない場合のコメント説明図である。
【図16】構成員の運動が目標とする疾患閾値を超していない場合のコメント説明図である。
【図17】構成員の運動が目標とする疾患閾値を超していない場合のコメント説明図である。
【図18】構成員の運動が目標とする疾患閾値を超していない場合のコメント説明図である。
【図19】構成員の運動が目標とする疾患閾値を超していない場合のコメント説明図である。
【図20】補足コメントの種類を示した説明図である。
【図21】補足コメントのコメント説明図である。
【図22】補足コメントのコメント説明図である。
【図23】補足コメントのコメント説明図である。
【図24】補足コメントのコメント説明図である。
【図25】補足コメントのコメント説明図である。
【図26】経過コメント例の説明図である。
【図27】経過コメント例の説明図である。
【図28】構成員に対する警告コメント例の説明図である。
【図29】膝腰痛フラグ入力説明図である。
【図30】指導者が、構成員のうちから要注意者をスクリーニングする場合の説明図である。
【符号の説明】
【0039】
1 健康維持増進支援システム
2 身体活動記録器
3 コンピュータ
4 身体活動記録部
5 構成員情報記録部
6 集団指導論理記録部
7 指導情報出力部
8 プリンタ
9 評価・指導ペーパー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
団体を構成する構成員の心身の健康維持及び健康増進を集団的に支援するための健康維持増進支援システムであって、
前記構成員に装着されて当該構成員それぞれの身体活動を活動時間とともに検出した身体活動データを記録する身体活動記録手段と、前記構成員の個人情報を予め記録しておく構成員情報記録手段と、前記構成員の健康維持及び健康増進を集団的に指導するために予め研究された集団指導論理を記録しておく集団指導論理記録手段と、前記集団指導論理に基づいて前記身体活動記録手段に記録された前記構成員それぞれの身体活動データと前記構成員情報記録手段に記録された個人情報とを解析したうえ前記構成員の健康維持及び健康増進を指導するための指導情報を出力する指導情報出力手段とを備えたことを特徴とする健康維持増進支援システム。
【請求項2】
前記指導情報出力手段は、前記構成員に対して高齢者の自立維持介護予防情報、生活習慣病予防情報、心の健康維持情報、及び筋骨格系疾患予防情報を出力することを特徴とする請求項1に記載の健康維持増進支援システム。
【請求項3】
前記指導情報出力手段は、前記構成員に対する身体活動及び活動時間の目標値を、時節により変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の健康維持増進支援システム。
【請求項1】
団体を構成する構成員の心身の健康維持及び健康増進を集団的に支援するための健康維持増進支援システムであって、
前記構成員に装着されて当該構成員それぞれの身体活動を活動時間とともに検出した身体活動データを記録する身体活動記録手段と、前記構成員の個人情報を予め記録しておく構成員情報記録手段と、前記構成員の健康維持及び健康増進を集団的に指導するために予め研究された集団指導論理を記録しておく集団指導論理記録手段と、前記集団指導論理に基づいて前記身体活動記録手段に記録された前記構成員それぞれの身体活動データと前記構成員情報記録手段に記録された個人情報とを解析したうえ前記構成員の健康維持及び健康増進を指導するための指導情報を出力する指導情報出力手段とを備えたことを特徴とする健康維持増進支援システム。
【請求項2】
前記指導情報出力手段は、前記構成員に対して高齢者の自立維持介護予防情報、生活習慣病予防情報、心の健康維持情報、及び筋骨格系疾患予防情報を出力することを特徴とする請求項1に記載の健康維持増進支援システム。
【請求項3】
前記指導情報出力手段は、前記構成員に対する身体活動及び活動時間の目標値を、時節により変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の健康維持増進支援システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2007−286854(P2007−286854A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−112796(P2006−112796)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(000132194)株式会社スズケン (12)
【出願人】(506116728)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(000132194)株式会社スズケン (12)
【出願人】(506116728)
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