説明

健康補助食品

【課題】 本発明の目的は、例えば高速移動時の疲労を軽減するための健康補助食品を提供することにある。
【解決手段】 本発明の健康補助食品は、イチョウ葉抽出エキスと、冬虫夏草と、を含む。本発明のイチョウ葉抽出エキスは、フラボノイド類の含有量が好ましくは22重量%以上であり、テルペノイド類の含有量が好ましくは5重量%以上である。また、本発明の冬虫夏草は、好ましくはこうもり蛾に寄生して得られるもの、もしくは有効成分をバイオテクノロジーで量産したものである。
本発明によれば、例えば、高速移動時の疲労を軽減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、例えば高速で移動をする際の疲労を軽減する健康補助食品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、活性酸素は、動脈硬化、糖尿病、老化障害等の疾病に関与していることが明らかにされてきている。この活性酸素の消去剤としては、抗酸化作用を有するもので、SOD、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシタ−ゼ等の酵素、香辛料等の植物抽出物、トコフェロール、アスコルビン酸、カロテノイド、フラボノイド、尿酸、その他BHA、BHT、プロブコール等の合成化合物などが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
活性酸素は、呼吸に伴って生じるものであるが、喫煙、飲酒、精神的ストレス、激しい運動等が要因となりより多くの活性酸素が発生することがある。例えば、人間が飛行機や車両で移動するとき、すなわち高速で移動する際、強いストレスをうけることにより体内に大量の活性酸素が発生する。このことが原因になり飛行機で移動する場合には、いわゆるエコノミークラス症候群が引き起こされたり、自動車や新幹線で移動する場合には、強い疲労を生じることがある。このような症状や疲労を軽減するために、活性酸素の消去、血液循環を良くすることおよび血液の凝固を防ぐことが重要であると考えられる。
【0004】
本発明の目的は、前述のような例えば高速移動時の疲労を軽減するための健康補助食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の健康補助食品は、イチョウ葉抽出エキスと、冬虫夏草と、を含む。
【0006】
本発明のイチョウ葉抽出エキスは、フラボノイド類の含有量が好ましくは22重量%以上であり、テルペノイド類の含有量が好ましくは5重量%以上であることができる。
【0007】
また、本発明の冬虫夏草は、好ましくはこうもり蛾に寄生して得られるものであることができる。本発明の健康補助食品においては、さらに、抗酸化剤を含むことができる。
【0008】
本発明の健康補助食品は、例えば高速移動時の疲労の軽減などに使用することができる。本発明によれば、後述する実験例からわかるように、例えば、高速移動時の疲労を軽減することができる。血液循環を良くし血液の凝固を防ぐ働きを有するイチョウ葉抽出エキスおよび冬虫夏草を併用することで、抗酸化剤の効力が単独で使用する場合以上に引き出されると考えられる。すなわち、本発明は、飛行機などで移動する際に起こりうるエコノミークラス症候群の防止や、高速の移動を伴う職業に従事する者(パイロット、スチュワーデス、長距離運送のドライバー等)などの疲労を軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の健康補助食品について詳細に説明する。
【0010】
(イチョウ葉抽出エキス)
イチョウ葉抽出エキスは、周知の適宜方法によりイチョウ葉から抽出された有効成分、例えばフラボノイド類、テルペノイド類などを含むエキスである。イチョウ葉抽出エキスに含まれるフラボノイド類は、活性酸素を除去し、血管を丈夫にすることが知られている。またテルペノイド類の一種であるギンコライドは、血小板活性化因子(PAF)の働きを抑制する効果があり、血小板の凝集を抑えて血液の粘度を下げることにより血液循環を良くし、血液凝固を防止できることが知られている。抽出方法は、特に限定されず、有効成分が所定の量含まれていればよい。
【0011】
(冬虫夏草)
冬虫夏草は、一般に昆虫に寄生するキノコ類(菌類)のことを示す。その種類は300種類以上あるが、バッカクキン科の菌がこうもり蛾の幼虫に寄生したものが効果が高いとされている。本発明においても、このこうもり蛾から得られるものを使用することができる。あるいは、有効成分がバイオテクノロジーを用いて量産されたものを使用することができる。
【0012】
(抗酸化剤)
本発明の健康補助食品においては、さらに活性酸素を消す作用を有する抗酸化剤を含むことができ、この抗酸化剤としては、以下のものがあげられる。
ビタミンA類およびそれらの誘導体、ビタミンB類およびそれらの誘導体、ビタミンC類およびそれらの誘導体、ビタミンD類およびそれらの誘導体、ビタミンE類およびそれらの誘導体、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、グルタチオンおよびその誘導体、マグネシウム、セレン、鉄、銅、亜鉛、マンガン、クロムなど抗酸化酵素の材料もしくは代謝に関与する微量元素等:
本発明では、これらの中から、一種または二種以上含むことができる。
【0013】
(その他)
イチョウ葉抽出エキスおよび冬虫夏草と同様に血液循環を良くし血液の凝固を防ぐ働きを有するものとしてさらに以下のものを加えることができる。
DHA、EPA コリン(レシチン、フォスファティディールコリンを含む)、タウリン、リノール酸、葉酸、パンテント酸、ビタミンB6、ナイアシン、ビタミンQ(ユビキノン、Co−Q10を含む)、γ―リノレイン酸、イソロイシン、ゴマ種エキス(セサミノール、セサナイド、リグナンを含む)、ナットウキナーゼ、ラミニン(ワカメ、のり、)パパイン(パパイヤ抽出エキス)、プロメリン(パイナップル抽出エキス)、クエン酸、核酸および核酸加工物、フラボノイド、ポリフェノール等:
ボリジ、アイスランドゴケ、アニシード、センテラ、パースリー、マレイン、ヤーバサンタ、リコリス、バジル、ウマゴヤシ、野菊、朝鮮人参、キナバオウギ、ビャクジュツ、
イブニングプリムローズ、ガーリックなどユリ科の植物、シベリアジンセン、ダンデライオン、トウキ、ギンコ、ブッチャーズブルーム、ホーソンベリー、オニオン、ソロモンシール、ターメリック、ダイズ等の植物:
本発明では、上記成分の中から一種または二種以上を含むことができる。
【0014】
また、本発明の健康補助食品は、日常生活での健康維持のために用いることもできる。
【0015】
[実験例]
次に、以下の本発明の実験例を参照しつつ、本発明の作用効果について説明する。なお、本発明は、以下の実験例に限定されることなく、本発明の要旨の範囲内で適宜変形が可能である。
【0016】
(健康補助食品の組成)
まず、以下の実施例で用いた健康補助食品の組成について説明する。本実施例では、イチョウ葉抽出エキス100mgと、冬虫夏草1000mgとを混合し錠剤に加工、あるいはカプセルに収めることにより、サプリメントを調整した。イチョウ葉抽出エキスは、ギンコライド含有量が27重量%およびテルペンラクトン含有量が7重量%であり、ギンコール酸を除去したものを用いた。冬虫夏草としては、コルディセピン含有のものを用いた。
【0017】
(第1の実験例)
まず、参考実験1として、日本国内で行なわれるカーレースにおいて、本実施例にかかるサプリメントを摂取しない場合のドライバーA〜Eの走行前、走行直後、走行終了2時間後の疲労度を調査した。その結果を表1に示す。なお、各ドライバーの疲労度は、以下の基準に基づき評価した(この評価基準は、以下の実験でも同様の基準を用いた)。
【0018】
0 : 疲労感なし
+ : 軽い疲労感あり
++ : 疲労感あり
+++ : かなり疲労している
++++: 立つことができない程の疲労あり
【0019】
【表1】

【0020】
次に、参考実験2として、日本国内で行なわれるカーレースにおいて、抗酸化作用のあるマルチビタミンミネラルのサプリメントを走行前に摂取した場合のドライバーA〜Eの走行前、走行直後、走行終了2時間後の疲労度を調査した。その結果を、表2に示す。なお、マルチビタミンミネラルの具体的な成分は、下記の通りである。
【0021】
βカロチン:5000IU、ビタミンC:500mg、ビタミンE:100IU、ビタミンB1:1.5mg、ビタミンB2:1.5mg、ビタミンB6:1mg、葉酸:200μg、ビタミンB12:10μg、パンテント酸:10mg、マグネシウム:100mg、クロム:200μg
【0022】
【表2】

【0023】
表1および表2から分かるように、参考実験1、2では、走行後および走行2時間後の疲労感はほとんど消えないことが確認された。
【0024】
次に、本実験として、走行前に本実施例にかかるサプリメントを摂取した以外は、参考実験と同様の条件で、各ドライバーの疲労を測定した。その結果を表3に示す。
【0025】
【表3】

【0026】
表3から明らかなように、本実施例にかかるサプリメントを走行前に摂取することで、飛躍的に走行後および走行終了2時間後の疲労を軽減できることが確認された。とくに、虚血再環流が要因の1つと考えられるが、走行終了2時間後は、疲労感が上がることがあるが、走行終了2時間後の疲労感の上昇がほとんど見られないことも確認された。
【0027】
(第2の実験例)
まず、参考実験として、カーレースの最高峰の1つであるF1のテスト走行において、本実施例のサプリメントを摂取することなく、4〜5時間の連続走行を行った。被験者であるドライバーAの走行前、走行直後、走行終了2時間後の疲労を測定した。その結果を表4に示す。
【0028】
【表4】

【0029】
次に、走行前に、本実施例にかかるサプリメントを摂取した以外は、同様の条件で連続走行を行い、ドライバーAの疲労を測定した。その結果を表5に示す。
【0030】
【表5】

【0031】
表4と表5を比較して明らかなように、本実施例のサプリメントを摂取することにより、走行後および走行2時間後の疲労を飛躍的に軽減できることが分かった。これにより、本実施例にかかるサプリメントの高速移動時の疲労軽減効果を確認することができた。
【0032】
(第3の実験例)
フランスで行なわれるルマン24時間レースに出場したドライバーを被験者とした。ルマン24時間レースは、平均時速200km/h以上で24時間2名または3名のドライバーで交代しながら走り、最速を競うレースである。本実験例では、このレースに出場したドライバーのうちの一人であるドライバーAを被験者とした。ドライバーAは、2時間毎に他のドライバーと交代して、一人で合計16時間走行を行った。まず、参考実験として、本実施例にかかるサプリメントを摂取することなく、レースに出場した場合の疲労を測定した。その結果を表6に示す。
【0033】
【表6】

【0034】
次に、運転を交代する1時間前に本実施例のサプリメントを摂取し、その後、8時間連続で走行した場合の疲労を測定した。その結果を表7に示す。
【0035】
【表7】

【0036】
表6、7から明らかなように、本実施例にかかるサプリメントを摂取してレースに出場した場合には、飛躍的に疲労を軽減することができた。また、ドライバーAからは、レースの終了後においても、さらに数時間走ることが可能であるというコメントが得られる程の疲労低減効果を確認することができた。
【0037】
(第4の実験例)
第4の実験例では、CARTレース選手権に出場している、ドライバーAを被験者とし、本実施例によるサプリメントを摂取した後、CARTレースに出場した後の、疲労度を測定した。その結果を表8に示す。
【0038】
【表8】

【0039】
表8より、ドライバーAは、走行後および走行2時間後ともに、疲労を感じていないことが分かった。CARTレースでは、楕円形のコースを高速で周回するレースであり、最高時速400km、平均時速350kmという驚異的な超高速移動を何時間も連続するレースである。そのため、F1やルマンのような極端な前後左右のGの変化には乏しいが、楕円コースのカーブを高速で通過するために、コースに傾斜角度がついている。この傾斜角のある場所を通過する瞬間、横方向のGが縦方向のGに変化し、血液が急激に下半身に集まり、コーナーを抜けると、また元に戻るという極端な虚血再環流状態に置かれる。そのため、ドライバーは激しい疲労をうけることになる。しかし、このような過酷なレースにおいても、本実施例のサプリメントを摂取することで、平常に近い状態を維持できたことが確認され、これは、本実施例にかかるサプリメントの疲労低減効果を如実に示したものといえる。
【0040】
(第5の実験例)
第5の実験例では、日本と欧州の都市(飛行時間は12時間〜14時間)との間を飛行した男性商社マンを中心としたビジネスマンA〜Jにおいて、本実施例にかかるサプリメントを3時間毎に摂取したときの疲労度を評価した。疲労度の測定は、下記基準に従って行った。その結果を表9に示す。なお、比較のために、本実施例にかかるサプリメントを摂取しなかった場合の疲労度を測定し、その結果を表9に示す。
【0041】
0:全く疲労を感じない
1:少し疲労を感じる
2:疲労感あり
3:非常に疲労した
*上記評価に加えて、具体的症状がある場合には、「+」「++」を表示し、 その症状を併記した。
【0042】
【表9】

【0043】
表9から分かるように、被験者A〜Jは、いずれもサプリメントの摂取による疲労の軽減の効果を充分に体感できており、本実施例にかかるサプリメントの摂取により飛躍的に疲労を軽減できることが分かった。さらに、「むくみ」のある被験者のすべてにおいて、「むくみ」が解消していることから、血液やリンパ液の流れが多いに改善されていることも証明された。このことは、エコノミークラス症候群の原因の1つとされる血流の低下が抑制されているためと考えられる。また、3時間毎の摂取により、その効果を発揮できることも確認された。なお、本実験例では、3時間毎の摂取を行った場合を示したが、これに限定されない。サプリメントの成分の割合を変えることで、一回の摂取での効果の持続時間を調整することができる。また、喫煙や飲酒によってもその効果の持続時間は変化することがあるが、本実施例のサプリメントの効果を確認できることに間違いはない。
【0044】
以上、述べたように、本発明によれば、たとえば高速移動時などの過酷な条件下で人間がうける疲労の低減することができ、有効な健康補助食品を提供することができる。特に、本発明の健康補助食品によれば、上記の実験例からも分かるように、一回の摂取でその効果が長時間持続するという利点を有する。そのため、高速移動時の疲労軽減および高速移動に起因する症状や疾病の予防、具体的には、長時間にわたる飛行機での移動による疲労の低減、エコノミークラス症候群の発生の防止にも有用である。また、イチョウ葉抽出エキスおよび冬虫夏草は、天然由来の成分であるため、副作用がないという利点も有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イチョウ葉抽出エキスと、冬虫夏草と、を含む、健康補助食品。
【請求項2】
請求項1において、
前記イチョウ葉抽出エキスは、フラボノイド類の含有量が22重量%以上である、健康補助食品。
【請求項3】
請求項1または請求項2のいずれかにおいて、
前記イチョウ葉抽出エキスは、テルペノイド類の含有量が5重量%以上である、健康補助食品。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかにおいて、
前記冬虫夏草は、こうもり蛾に寄生して得られるものである、健康補助食品。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかおいて、
さらに、抗酸化剤を含む、健康補助食品。
【請求項6】
請求項5において、
前記抗酸化剤は、ビタミンA類およびそれらの誘導体、ビタミンB類およびそれらの誘導体、ビタミンC類およびそれらの誘導体、ビタミンD類およびそれらの誘導体、ビタミンE類およびそれらの誘導体、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、グルタチオンおよびその誘導体、マグネシウム、セレン、鉄、銅、亜鉛、マンガン、クロムなど抗酸化酵素の材料もしくは代謝に関与する微量元素よりなる群から選ばれる一種または二種以上含む、健康補助食品。
【請求項7】
高速移動時の疲労の軽減などに用いられる、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の健康補助食品。

【公開番号】特開2006−158351(P2006−158351A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−358228(P2004−358228)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(500457519)
【Fターム(参考)】