説明

健康補助食品

【課題】抗腫瘍作用に優れるとともに飲食用として安全であり、しかも、樺のあな茸が有する生理活性作用を単品に比べてより効果的に発揮することのできる健康補助食品を提供すること。
【解決手段】樺のあな茸の粉末と乳酸菌マイクロ熟成エキスとを混合する。樺のあな茸の粉末と乳酸菌マイクロ熟成エキスの混合比率が、乾燥重量比で95:5乃至60:40の範囲にあることが好ましい。樺のあな茸の有する抗腫瘍作用が乳酸菌マイクロ熟成エキスにより強くなり、その結果、抗腫瘍作用に優れるとともに飲食用として安全であり、しかも、樺のあな茸並びに乳酸菌マイクロ熟成エキスがそれぞれ有する生理活性作用を各単品に比べてより効果的に発揮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗腫瘍作用のある健康補助食品の技術分野に属し、詳しくは、樺のあな茸を含有する健康補助食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガン(腫瘍)に対する治療法として、ガン細胞を切除する手術のほかに、インターフェロンなどの抗ガン剤の投与や放射線照射など、ガン細胞に直接働きかける治療方法が多く採用されている。これらの治療方法は、何れも人体に多大な負担をかけることになり、患者の免疫機能の低下や肝臓機能の低下などの副作用を伴う恐れが大きいため、感染症を併発しやすいなど、患者にとっては肉体的、精神的負担が大きいという問題を抱えている。そのため、副作用が少なくて十分な抗腫瘍作用が期待できる健康補助食品の開発が盛んに行われている。
【0003】
そこで、キノコ類を用いた健康補助食品が種々開発されており、中でも抗腫瘍作用をはじめとして種々の作用のある「樺のあな茸(一般名:チャーガ、学名:Inonotus obliquus)」を用いたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−9223号公報
【特許文献2】特開2002−229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の健康補助食品は、主に樺のあな茸の菌核及び子実体が有する抗腫瘍効果を発揮させるとともに、それ以外の生理活性作用をも併せて狙ったものであるが、主目的である抗腫瘍作用については十分な効果が得られるとは言いがたく、それ以外の生理活性作用については往々にして十分に発揮されていないものであった。
【0006】
本発明は、従来技術に存した上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、抗腫瘍作用に優れるとともに飲食用として安全であり、しかも、樺のあな茸が有する生理活性作用を単品に比べてより効果的に発揮することのできる健康補助食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の健康補助食品は、樺のあな茸の粉末と乳酸菌マイクロ熟成エキスとを混合したことを特徴とする。
【0008】
そして、樺のあな茸の粉末と乳酸菌マイクロ熟成エキスの混合比率が、乾燥重量比で95:5乃至60:40の範囲にあることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、樺のあな茸の有する抗腫瘍作用が乳酸菌マイクロ熟成エキスにより強くなり、その結果、抗腫瘍作用に優れるとともに飲食用として安全であり、しかも、樺のあな茸並びに乳酸菌マイクロ熟成エキスがそれぞれ有する生理活性作用を各単品に比べてより効果的に発揮する健康補助食品が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の健康補助食品は、上記したように、樺のあな茸の粉末と乳酸菌マイクロ熟成エキスとを含んでいる。
【0011】
樺のあな茸とは、ロシアのシベリア地方や北海道の十勝北部などの一部の寒冷地で、白樺などの樺の木類に着生してその樹液を吸って育つ希少なキノコのことである。樺の木類の立木の幹に塊状で大形の菌核を形成するが、この菌核は径が10〜20cmで、表面に亀裂が走り、一見したところ石炭のように黒くて硬く内部は黄褐色である。子実体は、脊着性で樹皮下に平たく広がり、厚さは2〜8mmほどで、全面に管孔が並んでおり、剛毛体が多数あり、茶褐色である。また、胞子は淡褐色である。
【0012】
樺のあな茸は糖質が主成分で、次いで繊維と灰含有量が高く、ミネラルの中ではマンガン含有量が高い。他にはフラボノイド、トリテルペノイド、アルカロイド、ブリテン、アガリチン酸、イノシトール等の存在が言われている。そして、これまでに樺のあな茸についての研究が様々行われており、樺のあな茸には、他のキノコ類と比較して、免疫賦活作用を有するβ−グルカンや活性酸素除去機能をもつSOD(Superoxide dismutase)が豊富に含まれていることが確認されている。特にSODに関しては、アガリクスや山伏茸の約30倍と言われている。また、その他多くの生理活性物質が含まれていることも分かり、抗腫瘍作用、抗酸化作用、免疫賦活作用、抗糖尿作用、抗菌作用、抗ウイルス作用などが報告されている。
【0013】
一方、本発明で用いる「乳酸菌マイクロ熟成エキス」は、有胞子性乳酸菌を含む数十種類の有用微生物(有用菌群)を長期発酵・熟成させて抽出したエキスのことで、具体的には、国産の無農薬有機栽培の丸大豆と岐阜の天然水(1億年前の地層から湧き出る「高賀の森水」)を原料に使用し、数十種類の発酵微生物を用いて、2年以上かけて熟成・発酵させたものであり、生理活性ペプチド、フラボノイドなどの生理活性物質をはじめ、酵素、抗菌性物質(天然の抗生物質)、有機酸、ビタミン、ミネラル、アミノ酸などを含んでいる。
【0014】
本発明では樺のあな茸の菌核及び子実体を使用するが、その細胞壁を破壊した粉末状のものを用いる。また、本発明では、樺のあな茸の粉末と乳酸菌マイクロ熟成エキスともに乾燥したものを用いるのが好ましい。
【0015】
そして、樺のあな茸の粉末単体よりも大きな抗腫瘍効果を発揮させるため、樺のあな茸の粉末と乳酸菌マイクロ熟成エキスとを、乾燥重量比が95:5乃至60:40の範囲にあるように混合したものであることが好ましい。
【実施例】
【0016】
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0017】
<抗腫瘍試験>
樺のあな茸の粉末と乳酸菌マイクロ熟成エキスの配合物を準備し、これの抗腫瘍効果を検討する試験を行った。
【0018】
〔検体〕
抗腫瘍試験の検体には、樺のあな茸の粉末と乳酸菌マイクロ熟成エキスの配合物より得られた熱水抽出エキスを用いた。
【0019】
〔試験動物〕
試験動物は、5週齢のICR/Slc系雌性マウスとし、馴化させるため、搬入後1週間、予備飼育し、健常なマウスのみを実験に用いた。腫瘍は、1970年より三重大学医学部・薬理学教室でICR/Slc系マウスに継代維持中のSarcoma−180(移植7日目)を用いた。
【0020】
〔試験手順〕
表1に示した実験群(1〜21)について、各群ごとに5週齢のICR/Slc系雌性マウスをそれぞれ4匹ずつ用い、これらに移植後7日目のマウスから採取したSarcoma−180腫瘍細胞(5×106 個)を皮下に移植し、24時間後から、各検体の一定量(体重10g当たり0.2mlになるように生理食塩水に懸濁したもの)を毎日1回、連日10日間、強制的に腹腔内投与を行った。そして、移植後21日目に腫瘍を摘出し、その重量を測定し、対照群(生理食塩水のみ投与)と比較した腫瘍抑制率を次式により算出した。
腫瘍抑制率(%)=(1−T/C)×100
但し、T:検体投与群の腫瘍の重量、C:対照群の腫瘍の重量
【0021】
【表1】

【0022】
〔試験結果〕
この表1から分かるように、実験群1の樺のあな茸の粉末のみでは、腫瘍抑制率が60%であるが、樺のあな茸の粉末と乳酸菌マイクロ熟成エキスとを、乾燥重量比が95:5乃至60:40の範囲にあるように混合したもの(実験群2〜9)については、腫瘍抑制率が60%を越えることが判明した。特に、実験群4の樺のあな茸の粉末85%と乳酸菌マイクロ熟成エキス15%を配合比率とした実験群4において腫瘍増殖抑制率83%と、もっとも高い抗腫瘍効果が確認された。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
樺のあな茸の粉末と乳酸菌マイクロ熟成エキスとを混合したことを特徴とする健康補助食品。
【請求項2】
樺のあな茸の粉末と乳酸菌マイクロ熟成エキスの混合比率が、乾燥重量比で95:5乃至60:40の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の健康補助食品。


【公開番号】特開2011−200178(P2011−200178A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71394(P2010−71394)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(510083924)株式会社アタシオン (2)
【Fターム(参考)】