説明

健康食品工業向けのおからを含むタンパク質に富む粉末プレミックス

製造の間に本質的にいかなる毒性又は有害な物質とも接触していない天然材料から成り、タンパク質、食物繊維で富化されており、且つコレステロールを含まない、健康食材製造において使用されるタンパク質に富む粉末である、安定なおから濃縮物が提供される。食品工業又は家庭での使用に有用なプレミックスも提供される。この濃縮物は、大豆加工において得られる副生成物から作製することができる。おから濃縮物を含む食品も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豆乳製造の副生成物として得られるおからを利用する食品の製造に関する。本発明は、特に、タンパク質、食物繊維やリシンに富み、且つコレステロール、乳糖、ミルクタンパク質や毒性及び有害な大豆成分を含まない健康食材を製造するために工業的に使用される、貯蔵中安定で取り扱いやすい、大豆栄養素を含有するおからに基づく粉末プレミックスを提供し、前記食材、例えばベーカリー及びパスタは、本質的に天然材料から成り、その製造の間に如何なる毒性又は有害な物質とも接触していない。
【背景技術】
【0002】
人は常にそのエネルギー及び栄養素の必要性の一部分を、食物の中に様々な種子を含めることによって補ってきたが、その重要性は1万年を超える昔に狩猟や採集を組織的な農業に置き換えたのでさらに増した。今では、一部の地域では種子が1日のカロリー摂取量の80%超をさえ構成しており、米、トウモロコシ及び小麦が世界の食物エネルギー摂取量の約3分の2を提供している。遺伝子及び代謝構成の進化は、人の食事に影響する革命的な文明の変化に追いついておらず、多くの必須栄養素がその他の源から供給されなければならない。被子植物門の単子葉植物綱のイネ科植物である米、トウモロコシ、小麦のタンパク質含有量は、それぞれ7、10及び13%のみであり、食物が魚又は肉からのタンパク質で富化されなければ、クワシオルコルなどの欠乏障害が現れる。経済的な理由に加えて、タンパク質欠乏症は文化的な理由からも生じ、中でも菜食主義などの特殊な食物の流行が広く行き渡っている。穀類中の比較的低いタンパク質含有量は、同じく種子ではあるがタンパク質含有量がより高い食用豆類を含めることによって部分的に補完できることがあり得る。被子植物門の双子葉植物綱の豆類である大豆は、今日では最もよく使われる豆類であり、40%を超えるタンパク質を含有する。
【0003】
大豆は、東アジアの台所の伝統的な材料であり、20世紀初頭以来西洋の国々で、タンパク質富化又は味の富化添加物として、及び肉又は乳食品の代用において広まった。世界の大豆生産量は2005年には2億トンを超え、米国が最大の生産国である。大豆は最大の植物タンパク質源となるかもしれず(米、コーン、又は小麦の各生産量は2005年に6億トンを幾分超えたが、これらは大豆の3分の1乃至6分の1しかタンパク質を含まない)、その現在の生産量は理論的には世界の全住民が日々必要とするタンパク質部分を供給する能力がある。しかし、これまでは大豆のタンパク質のわずかな部分だけしか人の栄養素には利用されておらず、大豆は大部分が油の製造に使用され、大豆油は世界最大の食用油であり、油抽出後の残渣は大部分が動物飼料中で鳥肉、肉、乳、及び卵の生産において使用されている。
【0004】
飽和脂肪及びコレステロールの消費に付随するリスクの高まりつつある認識の観点から、並びに非動物性タンパク質に対する増加しつつある需要の観点から、大豆製品の潜在能力がますます認識されており、したがって本発明の目的は食品中のタンパク質バランスを改善するためのすべて天然の製品を提供することである。全粒大豆は通常、乾燥重量に対して、タンパク質40%、炭水化物35%、及び脂質20%を含有し、水分は約12%である。一方豆は、必須脂肪酸及び必須アミノ酸を含めて必要な栄養素の大部分を含有しており、比較的高量のリシンを有し、他の有用な物質をも提供するが、食物中では必ずしも望ましくない生物学的に活性な成分、例えば酵素阻害剤又は植物エストロゲン、及び腹部膨満の原因となる毒性の炭水化物などを含有する。したがって未処理の豆の直接消費は忌避される。さらに、大豆製品はしばしば苦味及び不快な「豆臭い」香味又は味を呈する。
【0005】
上に述べたように、大豆生産量の大部分は、通常ヘキサンを用いる抽出に続く脱脂残渣の動物飼料としての利用又は脱脂大豆粉の製造のための利用を含む、製油工業によって加工される。大豆生産量のわずかな部分は、全脂肪大豆粉及び大豆タンパク質濃縮物などの特殊な製品の製造に使用される。食品添加物として使用する大豆タンパク質濃縮物又は単離物は、最終材料をタンパク質で富化するために糖類を抽出除去することによって製造され、抽出には酸、水酸化物、及び低級アルコールなどの様々な化学品を使用する。抽出には、油抽出であれ糖類抽出であれ、常に成長しつつある「化学品を含まない」食材を求める市場から異議が呈される可能性がある様々な化学品を含み、さらに化学品の使用には、例えば水酸化物などのように無毒性であっても、有害な反応又は製品の品質を低下させる反応に導く可能性があり、例としてはタンパク質をアルカリ性環境に置く場合の必須のシステインの分解、及び毒性の可能性のあるリジノアラニンの形成である。したがって、本発明の別の目的は、毒性又は有害な化学品を使用せずに得られるタンパク質富化製品を提供することである。前記全脂肪大豆粉は、脱皮され熱処理された豆から油抽出を行わずに製造され、ベーカリー工業で使用されるが、これはタンパク質添加物として使用するには脂肪が多過ぎ、さらに、言及した天然毒性成分を含む可能性がある。本発明は、無毒性のタンパク質添加物であり、一態様においては脂質含有量が低減された、好ましくは大豆脂質製品製造後の残留材料を利用する添加物を目標とする。
【0006】
市場にある重要な大豆製品は豆乳、すなわち全粒大豆の水抽出物であり、これは牛乳を模倣するように調整することができ、また牛乳のタンパク質又は糖類に関連する代謝障害若しくはアレルギー異常に悩む人が牛乳の代用品として使用することができる。豆乳の製造のための多数の技術があり、脱皮、リポキシゲナーゼの不活性化、腹部膨満の原因となるサッカリドの除去、沈降性固形物の除去などを含む様々な段階が含まれる。豆乳はさらに、豆腐と呼ばれるビーンカードを含むミルク様製品を作るために使用することができる。遠心分離によって除去可能な残留固形物(例えば米国特許第4307118号参照)は、おからと呼ばれる。元の大豆タンパク質の約37%を含有するおからは動物飼料に加工する。本発明のもう1つの目的は、大豆加工の副生成物であるおからを、リシンに富み、コレステロールを含んでおらず、乳糖を含んでおらず、哺乳動物乳のアレルゲンを含んでおらず、また強塩基、酸、有機溶媒を使用する抽出を行わずに大豆から調製される、工業的に使用可能なタンパク質富化添加物の製造のために利用することである。米国特許第4505942号は、おから、穀粉、及びデンプンを含むスナック食品を作るためのケーキ様シート基材に関し、おからが約26〜約38%を構成し、このシートは水含有量13〜20%まで乾燥されている。米国特許第5128165号は、おから粉末、ベーキングパウダー、及び卵をおから粉末1部に対して液卵3〜5部の量で含む焼き菓子を調製する方法に関する。生で手に入れたおからは不安定であり、さらに大抵は不快と感じられる豆臭い香味を呈したり直ぐに臭うようになったりし、微生物の増殖又はおから自体が持つ酵素のために迅速に劣化して酸っぱくなる。
【0007】
米国特許第6541058号は、少なくとも70%の水を含有する湿潤なおからを滅菌し、続いて冷却及び無菌密封することによって、安定なおからを製造する方法を開示している。米国特許第2006/0062890号は、大豆の加工及びおからの取得のときに二酸化炭素の雰囲気を取り入れることによって、強い豆臭い匂いのないおからを得る方法を記載している。米国特許第6235337号は、豆乳抽出の間に低い酸素レベルが確保される、豆乳及び豆腐を製造する方法を開示している。米国特許第2006/0034977号は、窒素雰囲気中又は低温の真空下で加工された湿潤なおからを含む食品を提供している。本発明のさらにもう1つの目的は、室温における長期貯蔵安定性を有し、タンパク質及びリシンで富化され、化学品及び哺乳動物乳の成分を含まない食品の工業的製造において使用することができる、おからに基づく製品を調製する方法であって、場合により低い酸素濃度で貯蔵した後での、おからの乾燥を含む方法を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的及び利点は、説明が進むにつれて明らかになるであろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は健康的な食品及び食物を調製するための、粉末化されたタンパク質に富む濃縮物を提供する。70メッシュの標準ふるいを通過し、i)新鮮な全粒大豆からの豆乳の除去後に、好ましくは遠心分離による前記豆乳の分離後に、得られる乾燥され粉砕されたおから、ii)少なくとも10重量%の乾燥グルテンを含有するグルテン供与体、及びiii)3〜15重量%の水を含み、混合物中のグルテン/おからの乾燥重量基準の比率が1/12〜1/3であるおから濃縮物を提供する。前記濃縮物は、大豆タンパク質を10重量%〜30重量%の量で、全タンパク質を15重量%〜50重量%の量で含有する。本発明の好ましい一実施形態において、前記濃縮物中のグルテン/おから比は約1/10である。他の一実施形態において、前記比率は約1/3である。
【0010】
前記グルテン供与体は、グルテン濃縮物、穀粉、及びこれらの混合物から選択され、前記穀粉は、小麦、オーツ麦、ライ麦、大麦、及びこれらの混合物から選択すればよい。前記濃縮物は、普通は豆臭い香味及び苦味がなく流動性のよい軽い粉末である。本発明の濃縮物はコレステロールを含んでおらず、乳糖も含まない。普通は、1重量%を上回るリシンを含む濃縮物が、食物をリシンで富化するため又は比較的リシンに乏しい穀類タンパク質を補完するために適当である。本発明の濃縮物は、処理されていない湿潤おからとはっきり対照的に、室温における長期貯蔵においてさえ安定であることが分かっており、また流動性のよい粉末であるので、取り扱い及び使用が容易であり、食材の工業的な製造に直に使用できる、濃縮された健康によいタンパク質及び他の有用な栄養素の理想的な貯蔵物である。
【0011】
本発明は、化学品を含まず、乳糖も含まず、牛乳のアレルゲンも含まず、コレステロールも含まない健康食品を製造するための、天然大豆の毒性成分を全く含まない大豆成分源としての工業的使用のためのおから濃縮物を対象とし、前記成分にはタンパク質、必須アミノ酸、特にリシン、食物繊維、及びビタミンが含まれる。
【0012】
本発明はさらに、i)湿潤おからの原材料を準備する段階と、ii)前記湿潤おからを70〜110℃、好ましくは80〜100℃の温度で乾燥して水分3〜15重量%に到達させ、このとき熱伝達及び物質移動の条件は前記水分を4時間以内に達成することを可能にしなければならず、それによって乾燥おからの材料を得る段階と、iii)粉末グルテン供与体を、グルテン/おから質量比が乾燥重量基準で1/12〜1/3となる量で、前記乾燥おからの材料に加え、前記グルテン供与体が、10重量%以上のグルテン及び15重量%以下の水を含有する材料である段階と、iv)前記乾燥おからの材料を、前記グルテン供与体はなしで又はこれと共にのいずれかで粉砕して70メッシュの標準ふるいを通過する粉末を得る段階と、v)前記乾燥おからの材料と前記グルテン供与体の混合物をホモジナイズする段階とを含み、前記段階iii)は、前記グルテン供与体が70メッシュの標準ふるいを通過する粉末の形態である場合は、前記段階iv)の後に行ってもよい、おから濃縮物を調製する方法を提供する。前記湿潤おからを提供する段階は、好ましくは痛んでいない全粒大豆から豆乳を調製する段階を含み、すなわち、湿潤おからは、好ましくは豆乳製造の副生成物として、又は豆乳製造の技術と類似の技術において得られる。好ましくは前記湿潤おからの材料が遠心分離による前記豆乳の分離後に得られる沈降物である。本発明の一態様において、前記乾燥の段階は、前記湿潤おからの材料を得た直後に行う。本発明の他の一態様において、前記乾燥の段階は、前記湿潤おからの材料を貯蔵した後に、10℃未満、好ましくは5℃未満の温度で、より低い酸素分圧の条件下で行い、前記沈降物として得られた新鮮な湿潤おからを10℃未満、好ましくは5℃未満の温度に冷却し、この温度でより低い酸素分圧の条件下で包装し、次いで貯蔵され、本発明のおから濃縮物を製造するための将来の乾燥を待つか、又は湿潤のままで、もしかすると本発明のおから濃縮物と共に、食材中で混合物として使用されるのを待つ。前記より低い酸素分圧は、気体の全圧を下げることによって又は他の気体で酸素を希釈することによって達成することができる。かくして、本発明の濃縮物を作る方法は、健全で、脱皮され、磨砕された大豆の、加熱を使用し、通常95〜120℃の温度での水抽出、遠心分離によるおからの分離、70〜110℃での乾燥、グルテン供与体材料との混合、及び粒子寸法70メッシュを達成するための粉砕を含む。
【0013】
本発明はまた、記載した通り、おから濃縮物を穀粉、グルテン、デンプン、ベーキングパウダー、重炭酸カルシウム、種子、大豆タンパク質濃縮物又は単離物、乾燥豆乳、スクロース、甘味料、乾燥酵母、スパイス、及び香味料から成る群から選択された他の成分と一緒に含む粉砕されたプレミックスを対象とする。本発明の好ましい一実施形態において、前記粉末プレミックスは、前記おから濃縮物及び乾燥豆乳を含み、この混合物は、豆乳及びおからの製造中に分離された大豆タンパク質を再統合し補完するが、すでに除去されている天然の毒性の大豆成分は有さず、さらに濃縮され、粉末化された形態であって、このプレミックスを理想的なタンパク質源とする。本発明は、本発明によるおから濃縮物の使用、及び本発明によるおからプレミックスの、食品製造のための基材としての、又は食品をタンパク質、食物繊維、又は大豆成分で富化させる添加物としての使用を対象とする。本発明のおから濃縮物は、食品工業及び家庭の両方において焼く又は煮る、又は他の方法で調製される製品又は食物の調製における使用を意図されている。
【0014】
本発明は、上記おから濃縮物の健康食品の製造における使用に関し、その使用はi)前記濃縮物を水と別の成分と質量比1/10〜10/1で混合し、前記成分が、穀粉、グルテン、デンプン、種子、乾燥豆乳、及びこれらの混合物から成る群から選択される段階と、ii)場合により、ベーキングパウダー、重炭酸カルシウム、スクロース、甘味料、乾燥酵母、スパイス、香味料、保存料、及びこれらの任意の混合物から成る群から選択される成分の必要に応じた量を加える段階と、iii)焼く、煮る、及び乾燥する又はこれらの組合せから選択される段階とを含む。前記段階iii)は、揚げるなどの他の種類の熱処理を含むことができる。前記水は、部分的に例えば湿潤おからなどの湿潤な食品で置き換えてもよい。本発明のおから濃縮物は、栄養的にバランスの取れた食品ブレンドの製造において多目的に使用可能な構成材料である。おから濃縮物は、様々な焼いたか茹でたか乾燥されたか又はその他の製品で、タンパク質含有量を増すこと、炭水化物含有量を下げることが望ましいもの、及び/又は健康的な製品としての販売を意図されるもの、及び/又は乳糖不耐性及び/又は牛乳アレルギーの人々のための製品、及び/又は菜食主義者の食物のための製品、及び/又は肉若しくは牛乳を、これらだけには限定されないがパン、ペストリー、ベーグル、スナック、クラッカー、グラノーラバー、エネルギーバー、トルティーヤ、パスタ、シリアル製品、パンケーキ、ワッフル、パテ、ミートボール、ソーセージ、フィッシュスティック、及び飲料から成る群から選択される製品で置き換える場合、の製造において使用することができる。また、意図される目的のために必要な他の成分、並びにテクスチャー、外見、及び味を調節する他の添加物と混合されたおから濃縮物を含むプレミックスは、上述の製品群から選択された食材の製造における使用を意図されている。本発明は、模造肉製品の製造において役立ち得る。
【0015】
本発明は、本発明の方法によって調製されたおから濃縮物を含む食品をも提供し、その製品は以後の製造において原料又は中間体として使用するミックス又はプレミックスから選択することができ、或いは製品はパン、ベーグル、スナック、クラッカー、グラノーラバー、トルティーヤ、パスタ、シリアル製品、パテ、ミートボール、ソーセージ、フィッシュスティック、及び飲料などの直接消費用製品から選択することができる。
【0016】
好ましい一実施形態において、本発明による食品は、これだけには限定されないが、おからクラッカーを含み、これはグルテン/おからの比率が1/3のおから濃縮物約30重量%、穀粉、例えば小麦粉、約20〜25重量%、塩及び砂糖などの添加物、及び水約45重量%から成るペーストを焼くことによって調製される。他の好ましい実施形態において、食品は、おからベーグルであり、このベーグルはグルテン/おからの比率が1/3のおから濃縮物約30重量%、小麦粉約23重量%、水約46重量%、砂糖、塩、及び酵母約0.5重量%から成るペーストを焼くことによって調製される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
今回、おからは、容易に貯蔵され且つ取り扱われ、また最終的に高品質の健康食品の工業的製造のために使用される安定な材料としての、おから濃縮物を提供するように加工することができることが分かった。本発明によるおから濃縮物は、好ましくは豆乳製造の後に、普通は遠心分離後の湿潤な沈降物として得られるおからから調製される。本発明のおから濃縮物を製造する方法は、湿潤なおからを乾燥する段階と、粉末化されたおからと粉末化されたグルテン供与体を混合する段階と、おからを含む粉末を粉砕する段階とを含む。本発明の方法は、湿潤なおからを70〜110℃の温度で乾燥して水分3〜15重量%を達成する段階を含み、その際、熱伝達及び物質移動の条件は、4時間以内で前記水分を達成することが可能になるように調節する。水分という用語と水含有量という用語は、本出願を通じて相互交換可能に使用される。おから中に存在する栄養素の豊富な混合物は、前記乾燥段階によって濃縮されるが、使用されるよりも高い温度及び低い水含有量では起こりうる有害な変化は起こらない。本発明の方法においては、前記湿潤なおからの取得と前記乾燥の間のいかなる時間間隔も、材料の官能特性を悪化させる微生物学的又は生物化学的な過程が起こらない限り許容される。本発明の一実施形態では、乾燥段階は湿潤おからを豆乳から分離した直後に行い、可能なら豆乳製造とおから製造の工程を一体化する。本発明の他の一実施形態では、乾燥段階は湿潤おからを10℃未満、好ましくは5℃未満の温度で貯蔵した後に、より低い酸素分圧の条件下で行い、その際より低い部分濃度は気体の全圧を下げるか又は酸素を他の気体、例えば窒素で希釈することによって達成することができる。本発明によるおから濃縮物を製造する方法は、乾燥おからを粉末化されたグルテン供与体(本明細書で使用するグルテン供与体という用語は、グルテンを栄養的に十分な量で含有するあらゆる可食物質を意味し、好ましくは少なくとも10重量%の乾燥グルテンを含有する供与体を含むと解釈するものとする)と混合し、ホモジナイズして混合物中のグルテン/おからの乾燥重量基準での比1/12〜1/3が達成されるようにし、その際前記供与体が少なくとも10重量%の乾燥グルテン及び15重量%以下の水を含有する段階をさらに含む。もちろん、混合物に多過ぎる水又は無用の成分、又は微生物学的に又は化学的に汚染されている恐れのある材料を持ち込まないように注意しなければならない。本発明の方法は、70メッシュの標準ふるいを通過する粉末をもたらす粉砕及びホモジナイズの段階を含み、前記粒子サイズを達成するために、ふるい分け及び/又は粉砕を繰り返すことがある。本発明の一実施形態では、前記粉砕は粉末おからと粉末グルテン供与体の混合物を用いて行い、本発明の他の一実施形態では、粉末おからを粉砕し、それから粉末グルテン供与体と混合し、ホモジナイズして70メッシュの標準ふるいを通過する粉末をもたらす。約200μmよりも大きい粒子の存在は、製品のテクスチャーの質を低下させ、ドウの調製及びその取り扱いが面倒になることが分かった。本発明によるおから濃縮物は、工業的使用のための取り扱いが容易な粉末であり、室温で長時間安定であり、様々な食品の調製にいつでも使用できる大きな在庫量で保管するのに適当である。一態様において、おから濃縮物はドウ及び食品を調製するときに直接使用することができ、他の一態様においては、おから濃縮物は粉末又は湿潤のどちらででも食品プレミックス又は既製ミックスの調製で使用され、この混合物は本発明の重要な一態様である。
【0018】
一態様において、おから濃縮物は、ペースト及び食品を配合するときに直接使用することができ、他の一態様において、おから濃縮物は、粉末又は湿潤のどちらも、食品プレミックス又は既製ミックスの調製において使用され、この混合物は本発明の極めて有用な一態様である。こうして、本発明は、例えば、食品を大豆栄養素で富化する添加物、又は水及びスパイスと混合すれば直ぐに使用できるペースト/ドウを提供する添加物として使用される粉末を提供する。
【0019】
本発明のおから濃縮物は、好ましくは健康食品市場向けの食材を作るために利用され、それ故に、本発明のおから濃縮物を作るために使用する湿潤おからは、好ましくは油抽出のための一部の技法で使用されるヘキサンや炭水化物抽出のための一部の技法で使用される水酸化物などの毒性又は有害である可能性のある化学品を含まない方法で得られる。したがって、脱脂されていない新鮮な大豆から豆乳を製造する間に得られるおからが好ましく、さらには、副生成物であるおからが好ましく、こうしてそうしなければ動物に食べさせる材料に付加価値を加える。しかし、本発明に関与する技法は、大豆が化学的抽出によってではなく圧搾によって脱脂された場合は、脱脂大豆から得られるおからなどの他の方法で得られたおからを加工するためにも使用することができる。或いは、おからは、新鮮な大豆から高品質のおからを作ることを主に意図し、他の生成物はすべて副生成物となる方法で製造することもできる。本発明のおから濃縮物を製造するために使用する大豆は、好ましくは植物の病気又は寄生虫による影響を受けたり、収穫の前後に微生物感染症に感染したりしていない痛んでいない大豆である。好ましい一実施形態では、本発明のおから濃縮物の製造に使用する大豆は有機農業によって得る。
【0020】
本発明の好ましい一実施形態では、約9%のグルテン含有量に相当する、乾燥重量基準のグルテン/おから比1/11を有するおから濃縮物が提供される。かかる濃縮物は、ペストリー粉と混合して、ペストリー粉のいかなる所望の部分でも置き換えてペストリーの調製に使用することができる。
【0021】
他の一実施形態では、おから濃縮物のグルテン/おから比は1/7であり、この濃縮物は大豆栄養素で富化されたパン様のベーカリー製品の作成において、パン粉の所望の部分を置き換えるために使用することができる。好ましい一実施形態では、おから濃縮物を穀粉と混合して、水、並びに場合によりスパイス及び添加物と混合すれば直ちに使用できる粉末プレミックスを提供するが、スパイス及び添加物は、濃縮物と穀粉に混ぜ込んで水を加えれば直ぐに使用できる混合物を作ることもできる。前記添加物は、ベーキングパウダー、香味料、ビタミン、塩、必須栄養素などを含むことができる。
【0022】
本発明は、穀粉及び1/9〜1/7のグルテン/おから比を有するおから濃縮物を含有するおからフレークを調製するための粉末プレミックスを提供し、この濃縮物はプレミックス質量の50〜66%を構成し、穀粉は小麦、コーン、オーツ麦、及び米から選択すればよい。このプレミックスは、ベーキングパウダー、砂糖又は甘味料、塩、スパイス、及び香味料から選択された添加物を場合により含むことができる。フレークを調製する場合は、プレミックスをプレミックス質量の12〜54%の量で加えられた水と共に撹拌して、焼くか又は乾燥するが、焼くためには乾燥するときよりも多く水を加える。
【0023】
本発明はさらに、大豆栄養素で富化された食品を調製するための粉末プレミックスを提供する。一実施形態では、本発明は、小麦粉及び約1/3のグルテン/おから比を有するおから濃縮物(本明細書において以後OC1/3と表示する)を含有するおからベーグルを調製するための粉末プレミックスを提供し、ここでの濃縮物はプレミックス質量の40〜60%を構成し、プレミックスは例えば乾燥酵母、塩、スパイス、及び砂糖から選択される添加物を場合により含む。ベーグルを調製する場合は、プレミックスをプレミックス質量の約45%の量で加えられた水と共に撹拌し、まだ存在していない場合は添加物を加え、混合物を成形して焼く。他の実施形態において、本発明は、小麦粉及び濃縮物OC1/3を含有するおからパスタ調製用の粉末プレミックスを提供し、ここでの濃縮物はプレミックス質量の25〜35%を構成する。パスタを調製する場合は、プレミックスをプレミックス質量の約53%の量で加えられた水と共に撹拌し、混合物を成形して乾燥する。
【0024】
粉末おから濃縮物は、好ましくは元の湿潤おからよりも高濃度の栄養素を含有し、食品を栄養素で富化することができるが、その品質に関連する他の特徴に悪影響を及ぼすことはない。他の成分又はその一部分を置き換えるために、或いはパン又はマカロニ用などのペーストを調製する場合に、濃縮物を使用するときは、濃縮物は製品及び中間物の両方の品質が本質的に影響されないか又は高められるような方法で使用する。ペースト/ドウなどの中間物を特徴付ける重要な物理的パラメーターが調べ上げられ、満足なものであることが分かっており、レオロジー特性、吸水量、押出し挙動が含まれ、同様に製品を特徴付けるパラメーターとしては味、テクスチャー、外見が含まれる。本発明のプレミックスは、工業及び家庭における使用に適当である。本発明のおから濃縮物を含むプレミックス及び既製ミックスは、多数の用途及び製品向けに配合される。好ましい一実施形態では、おから濃縮物を含有し、且つ重要な栄養素を含む安定で均質な粉末は、室温で長時間、又は乾燥した冷たい環境ではさらに長時間貯蔵することができ、この粉末はさらに他のタンパク質源又は脂肪源又は炭水化物源を含み、さらに追加の塩、ビタミン、又は必須栄養素で富化されていてもよい。好ましい一実施形態では、前記源は乾燥豆乳を含む。もう1つの好ましい実施形態では、前記源はデンプンを含む。前記タンパク質濃縮物は大豆タンパク質濃縮物又は単離物を含むことができる。本発明のおから濃縮物、同じくそれを含むミックス及びプレミックスは、健康食品の製造において適応性のある手段を提供する。熟練者はこの濃縮物及びプレミックスを、含まれる栄養素のいかなる所望の組合せでも達成するためのビルディングブロックとして、これらの粉末をグルテン、穀粉、デンプンなどの粉末と組み合わせて使用するであろう。本発明の粉末は、前記健康食品をタンパク質、カルシウム、必須アミノ酸、特にリシンで富化させ、前記食品が乳糖を含まず、牛乳アレルゲンを含まず、コレステロールを含まないことを確実にし、ここで前記食品はパン、ベーグル、スナック、クラッカー、グラノーラバー、トルティーヤ、パスタ、シリアル製品、パテ、ミートボール、ソーセージ、フィッシュスティック、及び強化ジュースなどの飲物を含むことができる。
【0025】
本発明は、おから、乾燥おから基準で約8.3〜約33.3重量%の量のグルテン、及び3〜15%の量の水を含むおから濃縮物の、食品製造における使用を対象とし、ここでのおからは豆乳調製後の沈降物から得て、さらに80〜100℃で4時間以内で乾燥させ、グルテン供与体と共にホモジナイズし、70メッシュ以下の粒子寸法を得るように粉砕する。このおから濃縮物は、大豆タンパク質、食物繊維、必須アミノ酸、特にリシン、必須脂肪酸、炭水化物、ビタミン、カルシウムなどを含む大豆栄養素を含有する。この濃縮物は、天然毒性成分又は有害である可能性がある大豆の生物活性成分を含有せず、濃縮物は全製造手順の間に毒性又は有害な化学品との接触もしていない。おからの分離及び加工の条件は、有害であり得る化合物の形成を除外しており、メイラード反応などの望ましくない反応を排除している。さらに、おから濃縮物は、タンパク質及び脂肪を含有してはいるが、多くの健康問題に関与する動物性脂肪及びコレステロールは含有していない。したがって、おから濃縮物は、消費者の間でますます人気のある健康食品を製造するのに適当である。牛乳成分の不在はおから濃縮物を、牛乳アレルギーに悩まされている多くの消費者にとって非アレルゲン性にも、また乳糖不耐性の消費者にとって安全にもする。前記グルテンは、グルテン濃縮物又は単離物から選択される任意のグルテン供与体、又は小麦、大麦、オーツ麦、及びライ麦から選択される穀粉によっておから濃縮物にもたらされる。熟練者は、乾燥グルテン8%を有する麦類などの低グルテン含有量を有する供与体は、あるおから/グルテン比を達成するために、乾燥グルテン80%を含有する粗グルテンよりも大きい質量を加えなければならないことを理解するであろうし、前記熟練者は混合しなければならない原料の質量を容易に計算するであろう。本発明の一態様において、食品製造に使用されるおから濃縮物は、おから、グルテン濃縮物又は単離物、及び水を含有すればよく、例えば、グルテン/おから比1/10を目指す場合は、成分(おから+グルテン+水)の重量は、100グラムあたりのグラム数で、83+8+9でよい。他の一態様において、おから濃縮物は、おから、グルテン10%を含有する穀粉、及び水を含有することができ、例えば、グルテン/おから比1/10を目指す場合は、成分(おから+穀粉+水)の比率は、100グラムあたりのグラム数で、45+46+9でよい。通常、おから濃縮物は、約7〜約33%の大豆タンパク質を含有し、好ましくは10〜30%の大豆タンパク質、及び約13〜約50%の全タンパク質を含む。前記グルテン供与体は、10〜80重量%の量でグルテンを通常含有する。好ましい一実施形態では、おから濃縮物は乾燥おからのグルテン及び穀粉との混合物を含有する。本発明によるおから濃縮物の使用は、食品製造のための或いは食品をタンパク質若しくはリシン、食物繊維、又は他の大豆栄養素で富化させるための基材として働くプレミックスを調製する段階を含む。本発明の使用は、水を加えることだけを必要とする安定な既製プレミックス、又はさらに追加の成分と混合される中間混合物を調製する段階を含む。本発明のおから濃縮物、並びにプレミックス及びこれを含有する既製ミックスは、パン、ベーグル、スナック、クラッカー、グラノーラバー、トルティーヤ、パスタ、シリアル製品、パテ、ミートボール、ソーセージ、フィッシュスティック、及び飲物の製造において有利に使用される。
【0026】
大豆は、数多くの栄養価の高いタンパク質及び脂質を含み、これらは大豆加工の間に様々な画分に分配され、有用な成分の大部分は豆乳とおからの間で分けられる。有害な成分は中和されるか、又はホエー中に除去され、例えば毒性の炭水化物がそうである。おからと豆乳を合わせると、有害なものを除いて大部分の大豆物質が再構成される。おから濃縮物を豆乳と混合することによっておから濃縮物を食品の製造に使用することは、本発明の好ましい一実施形態である。本発明の好ましいプレミックスの1つは、おから濃縮物と乾燥豆乳を含む。他の好ましい一実施形態では、食品中に乾燥された大豆タンパク質濃縮物又は単離物をさらに含めることによって、おから濃縮物が食品の調製するために使用される。おから濃縮物は、栄養的にバランスの取れた食品ブレンドの製造において、又は無脂乳固形物の代替品として使用される。好ましい一実施形態では、おから濃縮物は、模造肉製品の製造で使用される。
【0027】
本発明は、多くの大豆栄養素を、毒性又は有害な化合物を含有することなく、濃縮しておから粉末を製造する方法を提供し、この方法は、i)豆乳を除去した後の湿潤沈降物としておからを得る段階と、ii)湿潤おからを70〜110℃の温度で4時間以内を掛けて乾燥して水含有量を3〜15重量%に下げ、このとき前記湿潤おからは得られた直後に乾燥してもよく、又は10℃未満の温度でより低い酸素分圧の条件下で長時間貯蔵後に乾燥してもよい段階と、iii)おからに少なくとも10重量%のグルテンを含有するグルテン供与体を加えてホモジナイズし、このとき供与体の量は混合物中のグルテン/おからの乾燥重量比が1/12〜1/3であるように選択され、水は3〜15%である段階と、iv)おからを含有する粉末を粉砕して70メッシュの標準ふるいを通過する粉末をもたらす段階とを含み、段階iii)及びiv)は、粉砕された70メッシュのおから粉末が70メッシュのグルテン供与体粉末と混合されるように、時を入れ替えてもよい。得られた流動性のよい粉末は、貯蔵及び取り扱いがしやすい。本発明の一実施形態において、前記湿潤おからは、例えば3カ月間10℃未満の温度で、より低い酸素分圧の条件下で長期間貯蔵した後に乾燥してもよい。前記得られた流動性のよい粉末は、常に低い湿度が保たれている場合は、室温でさえも品質が低下することなく長期間貯蔵することができる。前記粉末の貯蔵期間は、貯蔵温度が4〜10℃の場合は、例えば、1年、又はそれ以上になってもよい。
【0028】
本発明は、以下の実施例によってさらに詳細に記載され、且つ例示される。
【実施例】
【0029】
(実施例1)
おからの調製及び分析
熱処理され、豆乳製造後に得られたおからを遠心分離によって分離し、直ちに又はより低い温度(約4℃)で、且つより低い酸素圧力で(窒素)貯蔵後に加工した。
【0030】
湿潤おからをベルトコンベア上に拡げ約90〜110℃の熱風中で、3時間未満で約10%の水分に達するように乾燥した。この塊の多い材料を穀物粉砕機で磨砕して70メッシュのふるいを通過する微粉を得た。粒子サイズはすべて210μm未満であった。
【0031】
栄養素及びエネルギーの含有量を食品分析室で分析した。乾燥おからバッチの分析値を表1に示す。
表1 乾燥おからの材料の分析値
【表1】

【0032】
(実施例2)
おから濃縮物
タンパク質75%及び水分9%を含有する小麦グルテン133gを、水分9%を含有する乾燥おから1000gと混合し、混合物を約200μmのふるいに通してグルテン/おから比が1/10の濃縮物(OC1/10)を準備した。サンプルを密閉ボトル中の室温(20〜30℃)で貯蔵し、分析値の変化、並びに味及び嗅覚及び可視変化を調べた。この濃縮物は、安定であり、少なくとも12カ月間は、いかなる観察可能な変化もなかった。
【0033】
(実施例3)
おからフレークのシリアル
OC1/10(実施例1で調製された濃縮物)425g、大豆粉250g、及びベーキングパウダー14gを水325gと共に混合し、、このドウをこねて一様なテクスチャーにした。このドウを小さな断片に分け、次いでこれをローラーで延ばして薄いフレークにした。次いでフレークを140℃のオーブンに約30分間入れた。得られた製品は朝食用シリアルとして消費することができる。
【0034】
(実施例4)
甘味を付けたおからフレークのシリアル
OC1/10を425g、大豆粉250g、ベーキングパウダー14g及びグルテン50gを、水325gと合わせ、次いで砂糖30gを加え(サッカリンなど、熱安定性の強力甘味料の等価な量を使用することもできる)、このドウをこねて一様なテクスチャーにした。このドウを小さな断片に分け、これをローラーで延ばして薄いフレークにした。フレークを140℃のオーブンに約45分間入れた。得られた製品は朝食用シリアルとして食べることができる。
【0035】
(実施例5)
おからパスタ
濃縮物OC1/10(38.7重量%)、セモリナ粉(57重量%)、炭酸カルシウム(0.3重量%)、90%大豆タンパク質単離物(4重量%)を一緒に混合し、所望の形状のパスタ片(押出機又はプレス)に成形して乾燥した。
【0036】
(実施例6)
おからベーグル
グルテン/おから比1/3及び水分約10重量%である本発明によるおから濃縮物(OC1/3)30.5重量%、小麦粉約22.9重量%、水45.8重量%、塩0.2重量%、酵母0.2重量%、及び砂糖0.4重量%を合わせ、混合して一様なドウにした。このドウを押出機に挿入して所望のベーグル形状に成形し、次いでベーキングソーダを入れた水中に漬け、所望の香味料又は被覆物(塩、ゴマ)で被覆し、次いでオーブン中で焼いた。
【0037】
(実施例7)
おからクラッカー
水分が約10重量%のOC1/3を30.5重量%、小麦粉22.9重量%、水45.8重量%、塩0.2重量%、酵母0.2重量%、及び砂糖0.4重量%を合わせ、混合して一様なドウにした。このドウをローラーで延ばして薄い層にし、所望の形状に切断し、所望の被覆物(塩、ゴマ)によって被覆し、次いでオーブン中で焼いた。
【0038】
(実施例8)
おからヌードル
低炭水化物含有量を有するヌードルを、本発明のおから濃縮物を使用して調製した。ヌードルは穀粉を使用することなく調製した。OC1/10(実施例1に記載のおから濃縮物)60gを含む混合物をデンプン16g及び水と混合して一様なドウとし、ローラーで延ばして薄い層にし、乾燥し、切断してヌードルにした。別の実験において、51gのOC 1/10をデンプン22g及び水と混合して一様なドウとし、ローラーで延ばして薄い層とし、乾燥し、切断してヌードルにし、茹でた。分析は、2つのバッチでそれぞれタンパク質54.3重量%及び45.8重量%を示した。二番目のバッチは良好で、安定なヌードルをもたらし、本発明のおから濃縮物を低炭水化物、高タンパク質の健康的なヌードルの製造に使用することができることを示していた。
【0039】
本発明を一部の具体的実施例を使用して説明したが、多くの変更及び変形が可能である。したがって、本発明は付帯の特許請求の範囲の範囲以外のものによって限定されることを意図されるものでは決してないことを理解されたい。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
70メッシュの標準ふるいを通過する粉末おから濃縮物であって、
i)乾燥され粉砕されたおから、
ii)少なくとも10重量%の乾燥グルテンを含有するグルテン供与体、及び
iii)3〜15重量%の量の水
を含み、混合物中のグルテン/おから比が乾燥重量基準で1/12〜1/3であり、且つ前記乾燥おからが傷んでいない大豆からの豆乳の抽出後の残渣である湿潤おからの材料を乾燥することによって得られる粉末おから濃縮物。
【請求項2】
前記湿潤おからの材料が前記豆乳から遠心分離によって分離された沈降物として得られる、請求項1に記載の濃縮物。
【請求項3】
大豆タンパク質を10重量%〜30重量%の量で、及び全タンパク質を15〜50重量%の量で含む、請求項1に記載の濃縮物。
【請求項4】
前記グルテン供与体が、グルテン濃縮物又は単離物、穀粉、及びこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の濃縮物。
【請求項5】
前記穀粉が、小麦粉、オーツ麦粉、ライ麦粉、大麦粉、及びこれらの混合物から選択される、請求項4に記載の濃縮物。
【請求項6】
豆臭い香味又は苦味を有さない粉末である、請求項1に記載の濃縮物。
【請求項7】
コレステロールを含まない、請求項1に記載の濃縮物。
【請求項8】
乳糖及び牛乳タンパク質を含まない、請求項1に記載の濃縮物。
【請求項9】
少なくとも1重量%のリシンを含む、請求項1に記載の濃縮物。
【請求項10】
室温における長期貯蔵の間に安定である、請求項1に記載の濃縮物。
【請求項11】
乳糖を含まず、牛乳のアレルゲンを含まず、コレステロールを含まない健康食品を製造するための、天然大豆の毒性成分を全く含まない大豆成分源としての工業的使用のための安定で取り扱いやすい粉末であり、前記成分が、タンパク質、食物繊維、及び必須アミノ酸、特にリシンを含む、請求項1に記載の濃縮物。
【請求項12】
おから濃縮物を調製する方法であって、
i)湿潤おからの材料を準備する段階と、
ii)前記湿潤おからを70〜110℃の温度で乾燥して水分3〜15重量%に到達させ、このとき熱伝達及び物質移動の条件は前記水分を4時間以内に達成することを可能にしなければならず、それによって乾燥おからの材料を得る段階と、
iii)粉末グルテン供与体を、グルテン/おから比が乾燥重量基準で1/12〜1/3となる量で、前記乾燥おからの材料に加え、前記グルテン供与体が、10重量%以上のグルテン及び15重量%以下の水を含有する材料である段階と、
iv)前記乾燥おからの材料を、前記グルテン供与体なしで又はこれと共にのいずれかで粉砕して70メッシュの標準ふるいを通過する粉末を得る段階と、
v)前記乾燥おからの材料と前記グルテン供与体の混合物をホモジナイズする段階と
を含み、前記段階iii)は、前記グルテン供与体が70メッシュの標準ふるいを通過する粉末である場合は、前記段階iv)の後に行ってもよい方法。
【請求項13】
前記湿潤おからを準備する段階が傷んでいない全粒大豆から豆乳を調製することを含み、且つ前記湿潤おからの材料が前記豆乳の遠心分離による分離の後の沈降物である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記乾燥の段階が前記湿潤おからの材料を得た直後に行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記乾燥の段階が前記湿潤おからの材料を10℃未満、好ましくは5℃未満の温度で、より低い酸素分圧の条件下で貯蔵した後に行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記沈降物として得た新鮮な湿潤おからを冷却し、10℃未満、好ましくは5℃未満の温度で、より低い酸素分圧の条件下で包装し、次いで貯蔵する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記より低い部分濃度が気体の全圧を低下させるか又は酸素を他の気体で希釈することによって達成されてよい、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
i)傷んでいない、脱皮され、磨砕された大豆を水抽出し、85〜120℃の温度で加熱する段階と、
ii)遠心分離によっておからを分離する段階と、
iii)70〜110℃で乾燥する段階と、
iv)グルテン供与体材料と混合する段階と、
v)粉砕して70メッシュの粒子サイズを達成する段階と
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
請求項1に記載のおから濃縮物、並びに穀粉、グルテン、デンプン、ベーキングパウダー、炭酸カルシウム、全粒又は粉砕された種子、乾燥豆乳、スクロース、甘味料、乾燥酵母、スパイス、及び香味料から成る群から選択される別の成分を含む粉末プレミックス。
【請求項20】
請求項1に記載のおから濃縮物及び乾燥豆乳を含む、請求項19に記載の粉末プレミックス。
【請求項21】
食品を製造するための基材としての使用のための、請求項1に記載のおから濃縮物又は請求項19に記載のおからプレミックス。
【請求項22】
タンパク質、食物繊維、又は大豆成分で富化するための食品用添加物としての使用のための、請求項1に記載のおから濃縮物又は請求項19に記載のおからプレミックス。
【請求項23】
焼いた又は茹でた製品及び食物の調製における食品工業及び家庭での、請求項1に記載のおから濃縮物の使用。
【請求項24】
請求項1に記載のおから濃縮物の健康食品の製造における使用であって、
i)前記濃縮物を水及び別の成分と質量比1/10〜10/1で混合し、前記成分が、穀粉、グルテン、デンプン、全粒又は粉砕された種子、乾燥豆乳、及びこれらの混合物から成る群から選択される段階と、
ii)場合により、ベーキングパウダー、炭酸カルシウム、スクロース、甘味料、乾燥酵母、スパイス、香味料、及びこれらの混合物から成る群から選択される成分の必要に応じた量を加える段階と、
iii)焼く、茹でる、及び乾燥する又はこれらの組合せから選択される段階と
を含む使用。
【請求項25】
請求項1に記載のおから濃縮物の、栄養的にバランスの取れた食品ブレンドの製造における使用。
【請求項26】
パン、ベーグル、スナック、クラッカー、グラノーラバー、トルティーヤ、パスタ、シリアル製品、パテ、ミートボール、ソーセージ、フィッシュスティック、及び飲物から成る群から選択される食材の製造における、請求項24に記載の使用。
【請求項27】
パン、ベーグル、スナック、クラッカー、グラノーラバー、トルティーヤ、パスタ、シリアル製品、パテ、ミートボール、ソーセージ、フィッシュスティック、及び飲物から成る群から選択される食材の製造における、請求項19に記載のプレミックスの使用。
【請求項28】
模造肉製品の製造における、請求項24に記載の使用。
【請求項29】
以後の製造における原料又は中間体として使用されるミックス及びプレミックスから選択される、請求項12によって調製されたおから濃縮物を含む食品。
【請求項30】
パン、ベーグル、スナック、クラッカー、グラノーラバー、トルティーヤ、パスタ、シリアル製品、パテ、ミートボール、ソーセージ、フィッシュスティック、及び飲物から選択される、請求項12によって調製されたおから濃縮物を含む食品。
【請求項31】
前記グルテン/おから比が約1/10である、請求項1に記載のおから濃縮物。
【請求項32】
前記グルテン/おから比が約1/3である、請求項1に記載のおから濃縮物。
【請求項33】
水分約10重量%を含有する請求項32に記載のおから濃縮物約30重量%、小麦粉約23重量%、酵母を含む添加物約1重量%、及び水約46重量%から成るペーストを焼くことによって調製されたおからベーグルである食品。
【請求項34】
水分約10重量%を含有する請求項32に記載のおから濃縮物約30重量%、小麦粉約20〜25重量%、及び水約45重量%を含むペーストを焼くことによって調製されたおからクラッカーである食品。

【公表番号】特表2009−507512(P2009−507512A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530748(P2008−530748)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【国際出願番号】PCT/IL2006/001065
【国際公開番号】WO2007/032000
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(508078488)ロテムズ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】