説明

健康食品

【課題】 葛花の新たな機能を見出すことにより、葛花の用途拡大を図ること。
【解決手段】 本発明の食品および抗肥満剤は、葛花処理物と食物繊維とを含有する。食物繊維としては、難消化性デキストリンが好ましく用いられる。本発明の食品および抗肥満剤は、抗肥満効果および湿度に対する安定性に優れている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、葛花処理物と食物繊維とを含有する健康食品に関する。
【背景技術】
【0002】
葛は、マメ科の大形蔓性の植物であり、その根から採取される葛澱粉は、古くから和菓子の原料として用いられている。その根および花は、それぞれ葛根および葛花と称し、解熱薬、鎮痛薬、鎮痙薬、発汗などの症状に対する薬などの漢方薬の原料として用いられている。特に、葛花は、他のマメ科植物とは異なり、肝障害改善作用、二日酔い予防作用、尿窒素代謝改善作用など様々な作用を有することが明らかとなってきている(特許文献1〜3)。
【0003】
葛花は、フラボノイドなどの有用と思われる様々な成分を含有している。しかし、ごく限られた機能しか明らかになっていないため、現状では十分に利用されていない。
【特許文献1】特許第3454718号公報
【特許文献2】特公平8−32632号公報
【特許文献3】特開昭64−68318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、葛花の新たな機能を見出すことにより、葛花の用途拡大を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、葛花の用途について様々な検討をしたところ、葛花処理物と食物繊維とを組み合わせると、相乗的に優れた抗肥満効果を示すことを見出した。
【0006】
本発明は、葛花処理物と食物繊維とを含有する、食品を提供する。
【0007】
さらに、本発明は、葛花処理物と食物繊維とを含有する、抗肥満剤を提供する。
【0008】
好ましい実施態様においては、上記食物繊維は、難消化性デキストリンである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の食品および抗肥満剤は、優れた抗肥満効果を示す。そして、本発明の食品および抗肥満剤は、保管の点で、湿度に対する安定性に優れている。したがって、本発明によれば、葛花が抗肥満作用を有するという新たな機能を見出したことにより、葛花の用途を拡大できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の食品および抗肥満剤は、葛花処理物と食物繊維とを含有し、必要に応じて、添加剤などを含有する。以下、本発明の食品の構成要素について個別に説明する。本発明は、下記実施形態により限定して解釈されるべきでなく、特許請求の範囲の記載における範囲内において、種々の変更が可能である。
【0011】
(葛花処理物)
葛の花部である葛花は、フラボノイド、サポニン、およびトリプトファン配糖体を含有している。葛花とは、蕾から全開した花までの段階で採取した花を含む。本発明においては、特に、蕾を用いることが好ましい。
【0012】
本発明の食品および抗肥満剤に用いられる葛花処理物は、葛花の処理物であれば、特に制限されない。本明細書において、「葛花処理物」とは、葛花に乾燥処理、粉砕処理、および抽出処理のうちの少なくとも1種の処理を施して得られるものをいう。
【0013】
本明細書において、特に、「葛花乾燥物」と記載する場合は、葛花を乾燥して得られた物、葛花を乾燥後破砕して得られた乾燥粉末などをいい、以下の葛花抽出物を含まない。
【0014】
本明細書において、「葛花抽出物」と記載する場合は、葛花の搾汁、葛花から抽出された抽出液、これらの搾汁または抽出液を濃縮した濃縮液、これらの搾汁または抽出液を乾燥して得られる乾燥粉末(抽出物粉末)などをいう。
【0015】
以下、葛花処理物である葛花乾燥物、葛花粉末(乾燥粉末および抽出物粉末)、および葛花抽出物の調製方法について説明する。
【0016】
葛花乾燥物は、葛花、好ましくは蕾の段階の葛花を、日干し、熱風乾燥などの方法により乾燥することにより得られる。好ましくは、水分含有量が、10質量%またはそれ以下となるまで乾燥される。
【0017】
葛花粉末(乾燥粉末)は、上記葛花乾燥物を粉砕して得られる。粉末化は、当業者が通常用いる方法、例えば、ボールミル、ハンマーミル、ローラーミルなどを用いて行う。
【0018】
あるいは、葛花粉末(乾燥粉末)は、採取した葛花を、マスコロイダー、スライサー、コミトロールなどを用いて破砕して葛花破砕物を得、この葛花破砕物を乾燥することによって得られる。
【0019】
葛花抽出物は、例えば、葛花、葛花破砕物、葛花乾燥物、または葛花粉末(乾燥粉末)、好ましくは葛花乾燥粉末などの葛花乾燥物に溶媒を添加し、必要に応じて加温して、抽出を行い、遠心分離または濾過により抽出液を回収することによって得られる。
【0020】
葛花抽出物を得るために用い得る溶媒としては、水、有機溶媒、含水有機溶媒などが挙げられる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,2−トリクロロエテンなどが挙げられる。これらの中で、好ましくは極性有機溶媒、より好ましくはエタノール、n−ブタノール、メタノール、アセトン、プロピレングリコール、および酢酸エチルであり、最も好ましくはエタノールである。
【0021】
抽出方法としては、加熱還流などの加温抽出法、超臨界抽出法などが挙げられる。これらの抽出方法において、必要に応じて加圧して加温を行ってもよい。加温する場合、葛花に添加した溶媒が揮発するのを防ぐ必要がある。加温する場合、抽出温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上であり、好ましくは130℃以下、より好ましくは100℃以下である。
【0022】
抽出時間は、抽出原料から十分に可溶性成分が抽出される時間であればよく、抽出温度などに応じて適宜設定すればよい。好ましくは30分〜48時間である。例えば、抽出温度が50℃未満の場合は、6時間〜48時間であり得、50℃以上の場合は、30分〜24時間であり得る。
【0023】
得られた抽出液は、必要に応じて、減圧濃縮、凍結乾燥などの方法により濃縮または乾燥して、液状、ペースト状、または粉末(抽出物粉末)としてもよい。
【0024】
このようにして得られた葛花処理物は、イソフラボン類、サポニンなどを含有し得る。葛花処理物に含有されるイソフラボン類は、抽出物の乾燥質量に対し、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%〜90質量%である。含有されるサポニンは、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%〜50質量%である。
【0025】
(食物繊維)
本発明の食品および抗肥満剤に用いられる食物繊維としては、不溶性食物繊維、水溶性食物繊維、およびこれらの食物繊維の誘導体が挙げられる。不溶性食物繊維としては、具体的には、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、寒天、キチン、コラーゲン、カラギーナンなどが挙げられる。水溶性食物繊維としては、具体的には、ペクチン、グアガム、サイリウム、ガラクトマンナン、キシログルカン、ローカストビーンガム、グルコマンナン、アルギン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸、低分子アルギン酸、低分子グアガム、難消化性デキストリン、プルラン、ファイパロンなどが挙げられる。これらの食物繊維の誘導体としては、具体的には、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースのようなセルロースの誘導体、キチンまたはキトサンのカルボキシメチル化物、リン酸化物、硫酸化物、ジヒドロキシプロピル化物などの誘導体、ポリデキストロースのようなデンプンの誘導体が挙げられる。本明細書において、単に「食物繊維」と記載する場合は、特に断わらない限り、食物繊維の誘導体を含む。
【0026】
本発明において、好ましく用いられる難消化性デキストリンは、デンプンから得られる難消化性の多糖類であり、例えば、デンプンを加熱により加水分解した後、アミラーゼにより加水分解して得られる。その難消化性は、デンプンが有するα−1,4結合に由来する。難消化性デキストリンは、血糖上昇抑制作用、血中脂質の改善作用、および整腸作用を有する。難消化性デキストリンは、粉末、細粒、顆粒などの形態で市販されており、本発明においては、いずれの形態のものも使用可能である。難消化性デキストリンは水溶性であるため、水溶液の形態のものを用いてもよい。
【0027】
本発明においては、食物繊維として、上記不溶性食物繊維、水溶性食物繊維、これらの食物繊維の誘導体などを含有する食品素材を用いてもよい。これらの食物繊維を含有する食品素材としては、例えば、ジャイアントケルプを含む褐藻類の抽出物およびこの抽出物の熱分解物、カニ、エビなどの殻の加水分解物、とうもろこしの外皮、米糠、米の籾殻、小麦フスマ、大豆フスマ、カラス麦フスマ、ハト麦フスマ、ライ麦フスマ、オート麦フスマ、マイロ外皮、エン麦外皮などの穀類の外皮、大豆、小豆、えんどう豆、落花生の薄皮など豆類の外皮、インドオオバコなどの食物種子の外皮、コンニャク芋、コンニャク粉、糖分抽出後のビート(甜菜糖大根)、りんごなどの果実などから調製される素材;こんにゃくマンナン;ビール酵母食物繊維;パインファイバー;バナナ繊維;柑橘繊維;植物種子繊維;果実野菜繊維;根菜繊維などが挙げられる。
【0028】
食物繊維を含有する食品素材としては、麦若葉、ケールなどから調製される素材を食物繊維含有素材として用いることもできる。このような素材としては、大麦、小麦、えん麦など麦類の若葉の乾燥粉末が挙げられる。このような麦類の乾燥粉末は、例えば、以下の製法により調製される。
【0029】
分けつ開始期から出穂開始期(背丈が20cm〜40cm程度)に収穫した麦若葉を、水洗し、適切な長さ(例えば、10cm程度)に切断する。必要に応じて、素材の変質(緑色の褪色および風味の変化)を防ぐために、ブランチング(熱水)処理、マイクロウェーブ処理、水蒸気処理などを施してもよい。次いで、水分含量が5質量%以下となるように乾燥し、粉末化して得られる。
【0030】
ブランチング処理を施す場合、その時間は、栄養保持の点から、短時間が好ましく、好ましくは0.5〜10分間、より好ましくは0.5〜5分間である。乾燥は、凍結乾燥または70℃以下の低温加熱乾燥(例えば、温風乾燥)が好ましい。この麦若葉の乾燥粉末は、麦若葉を搾汁して麦若葉に含まれる大部分の食物繊維を除去した麦若葉エキスとは異なり、麦若葉をそのまま粉末化して得られる。したがって、麦若葉の乾燥粉末は、豊富に食物繊維(セルロース、ヘミセルロース、リグニンなど)を含むため、食物繊維を含有する素材として好適に用いられ得る。さらに、麦若葉自体も、ビタミン、ミネラルなどを豊富に含んでいるため、葛花処理物と組み合わせることにより、抗肥満効果以外にも相乗的に便通改善効果などが得られる。
【0031】
ケールは、アブラナ科植物の一種であり、ビタミンU、ビタミンCなどのビタミン類およびミネラル類以外に、食物繊維(セルロース、ペクチンなど)を豊富に含み、健康食品の素材として注目されている。ケール乾燥粉末は、麦若葉末と同様の製法により調製され得る。
【0032】
上記食物繊維を含む食品素材のうち、褐藻類の抽出物または抽出物の熱分解物から調製される食品素材は、例えば、褐藻類を炭酸ナトリウム水溶液で抽出した後、塩酸または塩化カルシウムで沈殿させることにより得られるアルギン酸画分として得られる。さらに、このアルギン酸画分を、酵素分解、酸加水分解、加圧熱分解、熱分解などによって低分子量化したものを用いてもよい。
【0033】
上記の食物繊維を含む食品素材のうち、カニ、エビなどの殻の加水分解物から調製される食品素材は、カニ、エビなどの殻を、塩酸を用いて脱灰した後、カセイソーダを用いて脱タンパクして得られるキチン画分として得られる。具体的には、塩酸を用いた脱灰は、CaCOの分解除去であり、例えば2NのHClを用いて、常温で2日間処理して行う。カセイソーダを用いた脱タンパクは、例えば1NのNaOHで100℃、36時間処理して行う。
【0034】
上記の食物繊維を含む食品素材のうち、穀類の外皮、豆類の外皮、植物の種子の外皮などから調製される食品素材としては、これらの外皮に酵素処理、化学的処理、物理的処理などを単独で、または適宜併用して施した素材が挙げられる。酵素処理は、例えばα−アミラーゼ、グルコアミラーゼなどのデンプン分解酵素、プロテアーゼなどのタンパク質分解酵素、リパーゼなどの脂質分解酵素、またはセルラーゼなどの繊維素分解酵素を、pH3〜9、温度30〜100℃の条件下で、これらの外皮に添加して、酵素反応させることにより行われる。化学的処理は、例えば、これらの外皮に、鉱酸または有機酸の水溶液を添加し、pH2〜5の条件下で加熱処理することにより行われる。また、これらの外皮に食品用界面活性剤を添加し、pH3〜8の条件下で熱処理することにより行ってもよい。物理的処理は、例えば、これらの外皮をホモジナイザー、ハンマーミルなどの粉砕機で粉砕した後、篩別することにより行われる。
【0035】
上記の食物繊維を含む素材のうち、コンニャク芋またはコンニャク粉から調製される素材は、コンニャク芋の細片またはコンニャク粉そのものでもよい。これらのコンニャク芋の細片またはコンニャク粉を原料としては、水またはアルコールで分離精製して得られる素材が挙げられる。
【0036】
上記の食物繊維を含む素材のうち、糖分抽出後のビート(甜菜糖大根)から調製される素材は、糖分抽出後のビートコゼットを脱水し、乾燥した後、粉砕加工することにより得られる。あるいは、糖分抽出後のビートコゼットを、加水下で、剪断力を利用してコロイド状に摩砕してもよい。
【0037】
上記の食物繊維を含む素材のうち、リンゴなどの果実から調製される素材は、リンゴなどの果実から果汁を搾汁した後に得られる副生物(残渣)を、乾燥し、粉末化することにより得られる。
【0038】
(その他の添加剤)
なお、本発明の食品および抗肥満剤には、必要に応じて、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、他の食品原料、調味料、医薬品原料などを添加してもよい。さらに、用途に応じて、顆粒、錠剤などの形態に成形してもよい。本発明の食品の形態については、特に限定はないが、必要に応じて、ハードカプセル、ソフトカプセルなどのカプセル剤、錠剤、もしくは丸剤などに成形してもよく、あるいは粉末状、顆粒状、茶状、ティーバッグ状、もしくは飴状などの形態であってもよく、そのまま飲料の形態でもよい。これらの形状または好みに応じて、本発明の食品および抗肥満剤は、そのまま食してもよく、あるいは水、湯、牛乳などに溶いて飲んでも良い。例えば、粉末化してティーバッグ状とし、成分を浸出させてから飲んでも良い。
【0039】
本発明の食品に添加可能な食品原料としては、例えば、ローヤルゼリー、プロポリス、ビタミン類(A、C、D、E、K、葉酸、パントテン酸、ビオチン、これらの誘導体など)、ミネラル(鉄、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、セレンなど)、α−リポ酸、レシチン、ポリフェノール(フラボノイド類、これらの誘導体など)、カロテノイド(リコピン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、ルテインなど)、キサンチン誘導体(カフェインなど)、脂肪酸、タンパク質(コラーゲン、エラスチンなど)、ムコ多糖類(ヒアルロン酸など)、アミノ糖(グルコサミン、アセチルグルコサミン、ガラクトサミン、アセチルガラクトサミン、ノイラミン酸、アセチルノイラミン酸、ヘキソサミン、それらの塩など)、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、環状オリゴ糖など)、リン脂質およびその誘導体(フォスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、セラミドなど)、含硫化合物(アリイン、セパエン、タウリン、グルタチオン、メチルスルホニルメタンなど)、糖アルコール、リグナン類(セサミンなど)、これらを含有する動植物抽出物、根菜類(ウコン、ショウガなど)などが挙げられる。
【0040】
特に、本発明の食品に脂質吸収抑制成分および/または脂質代謝促進成分を添加すれば、相乗的に脂質蓄積抑制効果または体脂肪低減効果を得ることができる。その結果、肥満により生ずる様々な症状を予防する効果などが期待し得る。
【0041】
脂質吸収抑制成分としては、例えば、胆汁酸を排泄する作用を有する成分(キトサンおよびその誘導体、サイリウム、プロアントシアニジンなど)およびリパーゼ阻害作用を有する成分(ガロタンニンなど)が挙げられる。本発明においては、これらの成分の代わりに、これらの成分を含む原料を用いてもよい。このような原料としては、植物抽出物、ビワ葉などが挙げられ、好ましくは松樹皮抽出物、ビワ葉抽出物などが挙げられる。
【0042】
脂質代謝促進成分としては、リボフラビン類、茶カテキン類、異性化リノール酸、カフェイン、カプサイシン、カルニチン、コエンザイムQ10、大豆ペプチド、分岐アミノ酸、ホスファチジルコリン、アリルスルフィド化合物、フォルスコリン、ベルゲニン、ケルセチン、アスチルビン、ヒドロキシクエン酸、これらの塩などが挙げられる。本発明においては、これらの成分の代わりに、これらの成分を含む原料を用いてもよい。このような原料としては、例えば、茶、コレウスフォコリ、アカショウマ、黄杞、大豆、唐辛子、ソバ、ニンニク、タマネギ、コーヒーなどの抽出物が挙げられる。
【0043】
上記脂質吸収抑制成分および脂質代謝促進成分は、目的に応じて本発明の食品および抗肥満剤に適宜配合される。これらの成分は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0044】
(抗肥満剤)
本発明の抗肥満剤は、葛花処理物および食物繊維を含有し、必要に応じて、添加剤などを含有する。
【0045】
これらの各成分の含有量には特に制限はない。例えば、葛花抽出物(乾燥質量)の含有量については、成人一日あたりにおける葛花抽出物(乾燥質量)の摂取量が、好ましくは10mg以上となるように配合されるのがよく、好ましくは3000mg以下、より好ましくは1000mg以下となるように配合されるのがよい。
【0046】
葛花乾燥物の場合は、成人一日あたりにおける葛花乾燥物の摂取量が、好ましくは0.1g以上となるように配合されるのがよく、好ましくは30g以下、より好ましくは10g以下となるように配合されるのがよい。
【0047】
葛花処理物の含有量は、その形態または剤形によって異なるため、適宜調整されればよい。例えば、葛花抽出物の場合、抗肥満剤中に、葛花抽出物(乾燥質量)は、好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上とするのがよく、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下とするのがよい。葛花乾燥物の場合、抗肥満剤中に、葛花乾燥物は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上とするのがよく、好ましくは80質量%以下、より好ましくは50質量%以下とするのがよい。
【0048】
本発明の抗肥満剤中の食物繊維の含有量は、特に制限はない。例えば、葛花処理物100質量部に対して、食物繊維は、好ましくは50質量部以上、より好ましくは100質量部以上とするのがよく、好ましくは30,000質量部以下、より好ましくは20,000質量部以下とするのがよい。上記の食物繊維を含む食品素材を用いる場合は、食品素材中の食物繊維の含有量が、上記の範囲内となるように食品素材を用いればよい。
【0049】
(食品)
本発明の食品は、葛花処理物および食物繊維を含有し、必要に応じて、添加剤などを含有する。好ましくは、上記の抗肥満剤を本発明の食品として用い得る。
【0050】
本発明の食品中の葛花処理物および食物繊維の含有量は、特に制限されない。したがって、葛花処理物および食物繊維の含有量は、上記の範囲内であればよい。
【0051】
さらに、本発明の食品は、本発明の抗肥満剤を含む植物発酵ジュース、野菜ジュース(例えば、人参ジュース)、植物抽出物、果汁などの飲料形態であってもよい。このような形態とすることによって、これらの飲料の機能性または栄養価を高めるだけでなく、嗜好性も良くなる。これらの飲料は、糖液、糖アルコール、調味料などを加えて、甘味を強くすることもできる。
【実施例】
【0052】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は、この範囲に限定されるものではない。
【0053】
(実施例1:抗肥満効果の検討)
本発明の食品について、以下の方法により体重の増加に対する効果を検討した。
【0054】
7週齢の雌性のICR系マウス21匹を、標準飼料(MF飼料、オリエンタル酵母工業株式会社)を与えて1週間馴化した。次いで、1群あたりの平均体重が均一となるように1群7匹の3群にわけた。
【0055】
次いで、葛花抽出物(イソフラボン類を10質量%およびサポニンを1質量%含有、株式会社太田胃散)を5質量%、難消化性デキストリンを4質量%、牛脂を40質量%、およびグラニュー糖を9質量%の割合で含有するように標準飼料に添加して試験飼料1を調製した。
【0056】
葛花抽出物を添加しないこと以外は、上記試験飼料1と同様の手順で比較飼料1を調製した。
【0057】
葛花抽出物および難消化性デキストリンを添加しないこと以外は、上記試験飼料1と同様の手順で、対照飼料1を調製した。
【0058】
1群のマウスには試験飼料1を、もう1群のマウスには比較飼料1を、そして残りの1群のマウスには対照飼料1を自由摂取させた。
【0059】
自由摂取開始から25日目に各マウスの体重を測定した。測定後、下記式(I)から体重増加率(%)を算出した。結果を表1に示す。
【0060】
【数1】

【0061】
【表1】

【0062】
表1に示すように、試験飼料1を摂取した群のマウスは、対照飼料1を摂取した群のマウスおよび比較飼料1を摂取した群のマウスに比べて、体重増加が抑制されていることがわかる。したがって、本発明の食品は、抗肥満作用を有することがわかる。
【0063】
(実施例2:体脂肪低減効果の検討)
実施例1で調製した試験飼料1について、以下の方法により皮下脂肪および内臓脂肪における脂肪の蓄積に対する影響を検討した。
【0064】
7週齢の雌性のICR系マウス14匹を、標準飼料(MF飼料、オリエンタル酵母工業株式会社)を与えて1週間馴化した。次いで、1群あたりの平均体重が均一となるように1群7匹の2群に分けた。1群のマウスには、実施例1で調製した試験飼料1を、そして残りの1群のマウスには、実施例1で調製した対照飼料1を自由摂取させた。
【0065】
自由摂取開始から25日目に各マウスの皮下脂肪を実験動物用X線CT(商品名:LATheata、アロカ社製)で測定した。次いで、各マウスを解剖して、後腹膜脂肪および子宮周囲脂肪を摘出した。これらの脂肪の合計質量、すなわち内臓脂肪の質量を測定した。結果を表2に示す。
【0066】
【表2】

【0067】
表2に示すように、試験飼料1を摂取した群のマウスは、対照飼料1を摂取した群のマウスに比べて、皮下脂肪および内臓脂肪の蓄積がともに抑制されていることがわかる。したがって、本発明の食品は、優れた体脂肪の低減作用を有するため、優れた抗肥満効果を示すことがわかった。
【0068】
(製造例1)
下記の原料を用いて、錠剤(一錠当たり200mg)を製造した。
【0069】
<錠剤の配合成分> 配合量(質量%)
葛花抽出物(株式会社太田胃散) 5
松樹皮抽出物(株式会社東洋新薬) 1
アスコルビン酸 10
結晶セルロース 14
ショ糖エステル 4
還元麦芽糖 30
二酸化ケイ素 1
トレハロース 25
難消化性デキストリン 10
【0070】
(製造例2)
下記の原料を用いて、顆粒を製造した。
【0071】
<顆粒の配合成分> 配合量(質量%)
葛花抽出物(株式会社太田胃散) 2
大豆ペプチド 25
茶カテキン 10
結晶セルロース 10
還元麦芽糖 20
難消化性デキストリン 33
【0072】
(比較製造例1)
下記の原料を用いて、比較錠剤(一錠当たり200mg)を製造した。
【0073】
<顆粒品の配合成分> 配合量(質量%)
葛花抽出物(株式会社太田胃散) 5
松樹皮抽出物(株式会社東洋新薬) 1
アスコルビン酸 10
結晶セルロース 24
ショ糖エステル 4
還元麦芽糖 30
二酸化ケイ素 1
トレハロース 25
【0074】
(実施例3:湿度に対する安定性の評価)
上記製造例1で得られた試験錠剤1および上記比較製造例1で得られた難消化性デキストリンを含まない比較錠剤1について、湿度に対する安定性を以下の方法により評価した。
【0075】
各錠剤10個ずつをアルミパウチに密閉し、恒温恒湿器内(50℃、相対湿度75%)で保存した。2週間後、各錠剤の外観の変化を観察した。その結果、試験錠剤1は、形状に変化が見られなかった。しかし、難消化性デキストリンを含まない比較錠剤1は、吸湿が見られ、形状が変化していた。したがって、本発明の食品(試験錠剤1)は、湿度に対する安定性に優れていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の食品および抗肥満剤は、優れた抗肥満効果を示すため、肥満により生ずる様々な症状の予防などに有用である。さらに、本発明の食品および抗肥満剤は、湿度に対する安定性に優れているため、長期保存が可能であり、日常的に使いやすい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
葛花処理物と食物繊維とを含有する、食品。
【請求項2】
葛花処理物と食物繊維とを含有する、抗肥満剤。
【請求項3】
前記食物繊維が、難消化性デキストリンである、請求項1または2に記載の食品もしくは抗肥満剤。

【公開番号】特開2006−262888(P2006−262888A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−208992(P2005−208992)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【出願人】(398028503)株式会社東洋新薬 (182)
【Fターム(参考)】