説明

健康食品

【課題】 この出願発明は、タラ肝油を含む健康食品を提供することにより心血管疾患、2型糖尿病及び癌など肥満を病因とする生活習慣病を解消すること、また体力を増強することを目的とする。
【解決手段】 この出願発明は、タラ肝油を含む健康食品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願発明はタラ肝油を含む健康食品に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、心血管疾患、2型糖尿病及び癌など肥満を病因とする生活習慣病が、全世界の病気による死因の約60%を占め、2020年には73%に増加するであろうとWorld Health Organization(WHO)により予測されている。
生活習慣病とは、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」と定義され、2型糖尿病、肥満、高脂血症(家族性のものを除く)、循環器病(先天性のものを除く)、高血圧症などがある。
最近、複数の危険因子(耐糖能異常、高血圧症、肥満、脂質代謝異常など) が一個人に重積し、致死的心血管イベントを高頻度に発症するメタボリックシンドロームという概念も注目されている。
日本においてもライフスタイルの欧米化に伴い、740万人の糖尿病患者を含め、高血圧症及び高脂血症など、生活習慣病全体での患者数が1,000万人から2,000万人にのぼることが明らかになっている。それに伴い、死亡者の3分の2近くが、これら生活習慣病が原因である。
さらに、これら生活習慣病による死者は、先進国だけでなく開発途上国でも急増しており、2004年5月にジェノヴァで行われたWHOの年次総会では、生活習慣病の原因となる肥満を防止するための「食事、運動、健康に関する世界戦略」が採択され、その中で脂肪、食塩、砂糖の摂取制限、果物や野菜の摂取増加、運動レベルの増加などが強調された。
事実、肥満の増加は世界的に起こっており、National Audit Office(NAO)によると、イギリスでは肥満者の数は20年前の3倍でまあり、このままのペースで増え続けると2010年までには4人に1人が肥満になるといわれている。
また、Centers for Disease Control and Prevention(CDC)の発表では、1991年以降、アメリカで肥満者の割合は57%も増え、毎年、約30万人が肥満に関連した疾患で死亡しているといわれている。
このように、現在、肥満は世界的に最も深刻な社会問題の一つであり、肥満対策は世界的な課題となっている。
肥満は脂肪細胞数の増加及び脂肪細胞の肥大化により形成されることから、脂肪細胞の肥大化あるいは異常な分化・増殖を抑制することは、生活習慣病の治療や予防に結びつく。
肥大化した脂肪細胞を小型の正常な脂肪細胞に置き換える作用を有する薬剤として、pioglitazoneとrosiglitazoneがある。これらはPPARγアゴニストであり、pioglitazoneは日本において糖尿病の治療薬として臨床応用されている薬剤である。
これらPPARγアゴニストは、PPARγを高度に活性化することにより脂肪前駆細胞の分化を促進させ、小型脂肪細胞を増加させることにより、adiponectinの産生を促進し、その結果としてinsulinに対する抵抗性を改善させる。
さらに、insulin抵抗性惹起因子(TNF−α、遊離脂肪酸など)を過剰産生する肥大化した脂肪細胞をアポトーシスなどにより減少させる。
また、組織への中性脂肪の取り込みに重要な役割を果たすタンパク質の発現を脂肪組織において増加させ、脂肪酸の脂肪組織への流入を強力に推進することにより、骨格筋や肝臓への脂肪酸の流入を相対的に減少させ、骨格筋や肝臓におけるinsulin抵抗性を改善させる。
しかし、同時にPPARγアゴニストの有する分化促進作用に伴う体重の増加や肥満を招く危険性もあり、理想的な糖尿病治療薬とは言い難い。一方、脂肪前駆細胞の分化抑制を目的とした健康食品は現在まだ存在しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この出願発明はこのような問題を解決することを目的とする。
漢方薬は、アジアでは2000年以上に渡り汎用されている多成分系の薬剤である。西洋薬にはない生体の自然治癒力を高める作用を有するものが多く、欧米でも最近herbal medicinesとして人気の高まりを見せている。
しかし、その使用が経験的なものであること、また作用メカニズムが十分明らかでないことが西洋医学における漢方薬の普及の大きな障害となっている。
evidence−based medicine(EBM)なる言葉が盛んに言われているように、漢方薬においてもエビデンスの集積による漢方EBMの確立が重要である。digitalisのように作用機序が明らかとなったハーブは西洋医学でも大きな位置を占めていることからも、漢方薬使用の科学的な根拠の解明が重要と言える。
漢方医学では、元々「証」に基づいて治療方針を決定するが、近年、漢方薬の西洋医学への普及に伴い、「病名」に基づいて漢方薬を処方するようになってきた。
しかし、元来漢方医学には肥満という概念はないので、肥満症が適応症の漢方薬は防風通聖散と防已黄耆湯のみである。
これらの漢方薬も、古典の記載を強引に適応症に当てはめたものであり、本当の意味での肥満症に用いる漢方薬はない。
このように漢方医学には肥満症という概念はないが、生活習慣病に近い疾患に適応する漢方薬は多くある。例えば、高血圧症、高脂血症、糖尿病に種々の漢方薬が使用されている。これらの漢方薬の作用メカニズムは不明であるが、これらの中には、肥満を改善することによって生活習慣病を改善しているものも存在する可能性がある。
この出願発明者等は、このような問題を解決するためにいろいろ検討した結果、これまでなかった脂肪前駆細胞の分化過程をターゲットにした健康食品をタラ肝油を利用することにより新たな健康食品として開発した。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この出願発明は、タラ肝油を含む健康食品に関する。
【発明の効果】
【0005】
この出願発明は、タラ肝油を含む健康食品に関するものであり、とくに心血管疾患、2型糖尿病及び癌など肥満を病因とする生活習慣病に優れた効果をもつ肥満を防ぎ、体力増強に有用な健康食品を提供することができる。
肥満を防ぐことにより、肥満に基づく病気の予防、治療を同時に達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
この出願発明は、扶正作用のある生薬、ニンジン、トウジン、タイシジン、オウギ、サンヤク、タイソウ、カンゾウ、コウイ、オウセイ、ジュクジオウ、カシュウ、トウキ、ビャクシャク、クコシ、リュウガンニク、ソウジンが含まれていることが好ましく、ジュクジオウ、トウキ、ビャクシャク、クコシ、リュウガンニクがより好ましく、ニンジン、トウジン、オウギ、サンヤク、タイソウ、カンゾウがとくに好ましい。
これらの生薬によって生理機能を賦活化し、新陳代謝を盛んにする。
【0007】
この出願発明は、利水作用のある生薬、ビャクジュツ、ブクリョウ、チョレイ、タクシャ、インチンコウ、モクボウイ、ボウイ、カッセキ、トウカニン、モクツウ、シャゼンシ、セキショウズ、ハンペンレン、ケイシ(ケイヒ)が含まれていることが好ましく、インチンコウ、ボウイ、カッセキ、セキショウズがより好ましく、ビャクジュツ、ブクリョウ、チョレイ、タクシャ、モクツウ、シャゼンシがとくに好ましい。
ビャクジュツの利水作用により、体内の余分な水を排出することができる。
【0008】
この出願発明は、オウレン、オウバク、マオウ、レンギョウ、ケイガイ、緑茶、ウーロン茶、紅茶、コーヒー、キダチアロエ、テングサ、カンテン、トウガラシ、ショウガ、コショウの1種以上が含まれていることが好ましく、レンギョウ、ケイガイ、テングサがより好ましく、オウレン、オウバク、マオウ、緑茶、ウーロン茶、紅茶、キダチアロエがとくに好ましい。
これらの生薬の脂肪細胞の分化抑制作用により、さらに脂肪細胞の肥大化あるいは異常な分化・増殖を抑制することができる。
【0009】
この出願発明は、イソフラボンおよびイソフラボン配糖体が含まれていることが好ましく、イソフラボンおよびイソフラボン配糖体は、大豆に含まれる大豆イソフラボンおよび大豆イソフラボン配糖体がとくに好ましい。
【0010】
大豆に含まれるこの目的のための有効成分はダイズイン(Daidzin)、グリシチン(Glycitin)、ゲニスチン(Genistin)などの数種のイソフラボン配糖体であり、また、そのアグリコンであるダイゼイン(Daidzein)、グリシテイン(Glycitein)、ゲニステイン(Genistein)などの数種のイソフラボンである。
大豆は大豆油の製造原料であるが、大豆油の需要量は大きく、その副産物である大豆粕は同時に大量に生産される。大豆粕の一部は食品原料となる大豆蛋白などの製造原料となるが主として肥料、飼料として使われその価格は極めて低い。産業廃棄物に近い大豆粕を原料として大豆イソフラボンおよび大豆イソフラボン配糖体を高い純度で廉価に製造することができる。
【0011】
この出願発明の生薬は、そのまま使用してもよいし、抽出したものを使用してもよい。
また、この出願発明の健康食品の剤形としては、とくに限定されないが、錠剤、カプセル剤、粉末剤、固形剤、液剤その他として食する。
また、食する場合には、とくに限定されないが、一日2回食することが好ましい。
【0012】
コール酸の一日の投与量は、1〜1000mgが好ましく、2〜300mgがより好ましく、10〜100mgがとくに好ましい。
シムノールおよび/またはシムノールエステルの一日の投与量は、0.1〜100mgが好ましく、0.1〜50mgがより好ましく、0.3〜10mgがとくに好ましい。
【0013】
タラ肝油の一日の投与量は、0.1〜5000mgが好ましく、1〜3000mgがより好ましく、2〜1500mgがとくに好ましい。
【0014】
イソフラボンおよびイソフラボン配糖体の一日の量は、1〜500mgが好ましく、5〜300mgがより好ましく、10〜200mgがとくに好ましい。
【0015】
ニンジン、ビャクジュツ、オウレンなど生薬の1日量は、それぞれ1〜20gが好ましく、1.5〜5gがとくに好ましい。
生薬を煎じたエキス量は、100〜600mgが好ましく、200〜400mgがとくに好ましい。
以下、実施例により具体的に説明する。
【実施例1】
【0016】
散剤
タラ肝油 100mg
大豆イソフラボン配糖体 125mg
朝鮮人参エキス 300mg
白朮エキス 300mg
黄蓮エキス 300mg
乳糖 2460mg
トウモロコシデンプン 400mg
軽質無水ケイ酸 5mg
ステアリン酸マグネシウム 10mg
合計 4000mg
(1包1g、1回2包、1日2回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用して散剤を製造した。
【実施例2】
【0017】
顆粒剤
タラ肝油 100mg
大豆イソフラボン配糖体 125mg
朝鮮人参エキス 300mg
白朮エキス 300mg
黄蓮エキス 300mg
乳糖 1800mg
トウモロコシデンプン 800mg
結晶セルロース 260mg
軽質無水ケイ酸 5mg
ステアリン酸マグネシウム 10mg
合計 4000mg
(1包1g、1回2包、1日2回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用して顆粒剤を製造した。

【実施例3】
【0018】
球形顆粒
タラ肝油 100mg
大豆イソフラボン配糖体 125mg
朝鮮人参エキス 300mg
白朮エキス 300mg
黄蓮エキス 300mg
乳糖 500mg
トウモロコシデンプン 1500mg
寒梅粉 475mg
結晶セルロース 400mg
合計 4000mg
(1包1g、1回2包、1日2回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用して球形顆粒剤を製造した。

【実施例4】
【0019】
錠剤
タラ肝油 200mg
大豆イソフラボン配糖体 125mg
朝鮮人参エキス 300mg
白朮エキス 300mg
黄蓮エキス 300mg
乳糖 3100mg
カルボキシメチルセルロースカルシウム 320mg
ヒドロキシプロピルセルロース 75mg
結晶セルロース 840mg
カープレックス 30mg
ステアリン酸マグネシウム 10mg
合計 5600mg
(1錠560mg、1回5錠、1日2回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用して錠剤を製造した。
【実施例5】
【0020】
ハードカプセル剤
タラ肝油 65mg
大豆イソフラボン配糖体 125mg
朝鮮人参エキス 200mg
白朮エキス 200mg
黄蓮エキス 200mg
トウモロコシデンプン 1000mg
ステアリン酸マグネシウム 10mg
合計 1800mg
(1カプセル300mg、1回3カプセル、1日2回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用してハードカプセル剤を製造した。
【実施例6】
【0021】
ソフトカプセル剤
タラ肝油 1000mg
大豆イソフラボン配糖体 125mg
朝鮮人参エキス 200mg
白朮エキス 200mg
黄蓮エキス 200mg
ミツロウ 75mg
合計 1800mg
(1カプセル300mg、1回3錠、1日2回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりにアセチル大豆イソフラボン、大豆イソフラボンを使用してソフトカプセル剤を製造した。
【実施例7】
【0022】
ドリンク剤
タラ肝油 100mg
大豆イソフラボン配糖体 125mg
朝鮮人参エキス 300mg
白朮エキス 300mg
黄蓮エキス 300mg
ローヤルゼリー 150mg
リン酸リボフラビンナトリウム 10mg
エタノール 1.2ml
パラオキシ安香酸 4mg
精製水 適量
合計 50ml
(1本50ml、1回1本、1日1回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用してドリンク剤を製造した。
【実施例8】
【0023】
散剤
シムノール硫酸エステルNa 1mg
大豆イソフラボン配糖体 125mg
乳糖 800mg
トウモロコシデンプン 1064mg
ステアリン酸マグネシウム 10mg
合計 2000mg
(1包1g、1回1包、1日2回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用して散剤を製造した。
【実施例9】
【0024】
顆粒剤
コール酸 60mg
大豆イソフラボン配糖体 125mg
乳糖 2700mg
トウモロコシデンプン 800mg
結晶セルロース 300mg
軽質無水ケイ酸 5mg
ステアリン酸マグネシウム 10mg
合計 4000mg
(1包1g、1回2包、1日2回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用して顆粒剤を製造した。
【実施例10】
【0025】
錠剤
シムノール硫酸エステルNa 1mg
大豆イソフラボン配糖体 125mg
乳糖 140mg
結晶セルロース 845mg
ステアリン酸マグネシウム 6mg
タルク 3mg
合計 1120mg
(1錠280mg、1回2錠、1日2回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用して錠剤を製造した。
【実施例11】
【0026】
ソフトカプセル剤
シムノール硫酸エステルNa 1mg
大豆イソフラボン配糖体 125mg
タラ肝油 815mg
酢酸トコフェロール 5mg
人参エキス 200mg
ミツロウ 54mg
合計 1200mg
(1カプセル300mg、1回2カプセル、1日2回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用してソフトカプセル剤を製造した。
【実施例12】
【0027】
ハードカプセル剤
コール酸 60mg
大豆イソフラボン配糖体 125mg
トウモロコシデンプン 1005mg
ステアリン酸マグネシウム 10mg
合計 1200mg
(1カプセル300mg、1回2カプセル、1日2回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用してハードカプセル剤を製造した。
【実施例13】
【0028】
ソフトカプセル剤
コール酸 60mg
大豆イソフラボン配糖体 125mg
ミツロウ 55mg
食用油 960mg
合計 1200mg
(1カプセル300mg、1回2カプセル、1日2回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用してソフトカプセル剤を製造した。
【実施例14】
【0029】
ソフトカプセル剤
コール酸 60mg
大豆イソフラボン 75mg
タラ肝油 805mg
酢酸床フェロール 5mg
人参エキス 200mg
ミツロウ 55mg
合計 1200mg
(1カプセル300mg、1回2カプセル、1日2回)
同様に、大豆イソフラボンの代わりに大豆イソフラボン配糖体を使用してソフトカプセル剤を製造した。
【実施例15】
【0030】
ソフトカプセル剤
シムノール硫酸エステルNa 1mg
大豆イソフラボン配糖体 125mg
タラ肝油 814mg
酢酸床フェロール 5mg
人参エキス 200mg
ミツロウ 55mg
合計 1200mg
(1カプセル300mg、1回2カプセル、1日2回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用してソフトカプセル剤を製造した。
【実施例16】
【0031】
ドリンク剤
シムノール硫酸エステルNa 1mg
大豆イソフラボン配糖体 125mg
朝鮮人参エキス 10mg
ジオウエキス 10mg
ローヤルゼリー 100mg
硝酸チアミン 10mg
リン酸リボフラビンナトリウム 5mg
塩酸ピリドキシン 10mg
無水カフェイン 50mg
エタノール 1.2ml
パラオキシ安香酸 4mg
精製水 適量
合計 50ml
(1本50ml、1回1本、1日1回)
同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用してドリンク剤を製造した。
【0032】
参考例
3T3−L1細胞は、分化誘導剤を加え、約6日間培養すると脂肪細胞に分化する前駆細胞である。
この出願発明では、コンフルエントな状態の3T3−L1細胞を、分化誘導培地(3-isobutyl-1-methylxanthine:IBMX、dexamethasone:DEX、insulin)で2日間、insulin (5μg/mL)含有脂肪細胞培地で2日間、及びinsulinを含まない通常の脂肪細胞培地で2日間培養し分化誘導を行った。この間(6日間)、被検食品を種々の濃度で添加し、3T3−L1細胞の分化に及ぼす影響を検討した。
分化の指標としてOil Red O染色及びglycerol−3−phosphate dehydrogenase活性の測定を行った。被検食品の細胞毒性効果を調べるためにMTT assayを行い、また、ウエスタンブロット法を用いて、分化抑制作用のメカニズムを検討した。
その結果はつぎのとおりである。
Oil Red O染色を指標にスクリーニングを行ったところ、タラ肝油に、被検食品無添加コントロール群と比べて有意な分化抑制作用が認められた。
タラ肝油は脂肪細胞への分化を濃度依存的に抑制し、10μg/mLの濃度においては、未分化コントロール群とほぼ同程度まで抑制した。
なお、MTT assayを用いて検討した結果、細胞毒性効果は認められなかった。
次に、タラ肝油の作用メカニズムについて検討した。これまでの研究によると、3T3−L1細胞の分化過程は以下のように考えられている。すなわち、分化誘導剤IBMX及びDEXにより、核内において、まず、一過性にCCAAT/enhancer−binding protein(C/EBP)β及びδの著明な発現誘導が起こる。次いで、この2つの転写因子はperoxisome proliferator−activated receptor(PPAR)γ及びC/EBPαの発現を増加させる。生成したPPARγとC/EBPαは相互の発現を誘導しこれら因子の生成量を維持する機構を働かせると共に、PPARγはretinoid X receptor αと二量体を形成し分化を誘導する。
そこで、PPARγ、C/EBPα、β及びδの発現に及ぼすタラ肝油の影響をウエスタンブロット法を用いて検討した。その結果、タラ肝油は、分化を抑制する濃度において、PPARγとC/EBPαの発現をほぼ完全に抑制するのに対して、C/EBPβ及びδの発現にはほとんど影響を示さないことが明らかになった。
以上の結果より、黄連解毒湯の分化抑制作用はタラ肝油に起因すること、及びタラ肝油の主たる作用メカニズムは、PPARγ及びC/EBPαの発現抑制であることが理解された。
【産業上の利用可能性】
【0033】
この出願発明は、タラ肝油を含む健康食品を提供することにより肥満を病因とする生活習慣病を解消すること、また体力を増強することを目的とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タラ肝油を含むことを特徴とする健康食品。
【請求項2】
扶正作用を有する生薬を含むことを特徴とする請求項1に記載の健康食品。
【請求項3】
利水作用を有する生薬を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の健康食品。
【請求項4】
オウレン、オウバク、マオウ、レンギョウ、ケイガイ、緑茶、ウーロン茶、紅茶、コーヒー、キダチアロエ、テングサ、カンテン、トウガラシ、ショウガ、コショウの1種以上を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の健康食品。
【請求項5】
イソフラボンまたはイソフラボン配糖体を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の健康食品。
【請求項6】
イソフラボンまたはイソフラボン配糖体、シムノールおよび/またはシムノールエステル、またはコール酸を含むことを特徴とする抗肥満、体力増強に有用な健康食品。

【公開番号】特開2007−312630(P2007−312630A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−143625(P2006−143625)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【出願人】(501072197)有限会社大長企画 (28)
【Fターム(参考)】