説明

健診データ管理装置、健診データ管理方法およびプログラム

【課題】複数の市町村間で健診データのデータベースおよび集計処理を共通化することが容易になる。
【解決手段】健診データ管理装置100において、データ変換部12は、健診データ入力部21から入力される各サイトの健診データについて、そのサイトごとに定められたフィールド形式を、フィールド名称変換テーブル16およびフィールド値変換テーブル17を用いて、複数の市町村間で共通化されたフィールド形式を有する健診データに変換し、データベース管理部11を介して健診結果データベース19に登録する。集計条件テーブル18には、複数の市町村間で共通化された集計条件が格納されており、集計処理部13は、集計条件テーブル18に格納された集計条件に該当する健診データを健診結果データベース19から取得し、集計し、その集計結果を、集計データ出力部23を介してプリンタ26などへ出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地方自治体などで使用するのに好適な健診データ管理装置、健診データ管理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
市町村などの地方自治体は、がん健診など各種の健康診断サービスを住民に提供する場合には、しばしば、その健康診断(以下、健診という)の結果を集計して国(厚生労働省など)へ報告することが求められる。ところが、各地方自治体で実施された健診で用いられている健診の項目名や診断コードは、国へ報告するときに用いられるものと異なる場合が多い。従って、市町村の健診データの管理者は、国へ報告する集計データの作成に手間取ることが多かった。
【0003】
特許文献1には、受信した医療機関ごとに異なる健診項目や診断コードからなる各個人の健診データを標準化し、その標準化した健診データを所定のデータベースに蓄積し、そのデータベースに蓄積された健診データを用いて、各種の医療集計データを取得することが可能な医療検査データ集計システムの例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06−337901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1には、その医療検査データ集計システムを複数の市町村で共通に利用する技術については、何ら記載されていない。また、各市町村がこの医療検査データ集計システムを採用することは、現に各市町村で用いられている健診データ管理システムを全面的にリプレースする必要があることを意味する。そのリプレースには、大きなコストがかかる。
【0006】
そこで、本発明は、各市町村などで現用されている健診データ管理システムをほとんど変更することなく、複数の市町村間で健診データのデータベースおよび集計処理を共通化することが容易な健診データ管理装置、健診データ管理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る健診データ管理装置は、処理装置と記憶装置とを少なくとも備え、第1のフィールド形式(サイトごとに定められたフィールド形式)を有する各個人の健診データを、第2のフィールド形式(共通化されたフィールド形式)を有する健診データに変換して、前記記憶装置上に構成された健診結果データベースに登録する健診データ管理装置であって、次のような特徴を有する。
【0008】
前記記憶装置に、あらかじめ、
(1−1)前記第1のフィールド形式を有する健診データにおけるフィールド名を、前記第2のフィールド形式を有する健診データにおけるフィールド名に対応付けて変換する第1の変換テーブルと、
(1−2)前記第1のフィールド形式を有する健診データのフィールドで用いられる値を、前記第2のフィールド形式を有する健診データのフィールドで用いられる値に対応付けて変換する第2の変換テーブルと、
(1−3)前記健診結果データベースから特定のレコードを取得するための集計条件テーブルと、を格納しておく。
そして、前記処理装置は、
(2−1)前記第1のフィールド形式を有する健診データの入力を受付ける健診データ入力部と、
(2−2)前記受付けた第1のフィールド形式を有する健診データを、前記第1の変換テーブルと前記第2の変換テーブルとを用いて、前記第2のフィールド形式の健診データに変換するデータ変換部と、
(2−3)前記変換した第2のフィールド形式の健診データを前記健診結果データベースに登録するデータベース管理部と、
(2−4)前記集計処理の依頼を受け付けたときには、前記集計条件テーブルを参照して、その集計条件テーブルによって指定される集計条件に該当するレコードを、前記健診結果データベースから取得し、前記取得した集計条件に該当するレコードを集計する集計処理部と、
(2−5)前記集計された処理結果を出力装置に出力する集計結果出力部と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、各市町村などで現用されている健診データ管理システムをほとんど変更することなく、複数の市町村間で健診データのデータベースおよび集計処理を共通化することが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る健診データ管理装置の構成の例を示した図。
【図2】健診結果データベースに含まれる胃がん健診マスタテーブルおよび大腸がん健診マスタテーブルの構成の例を示した図。
【図3】サイトA(市町村A)で用いられている胃がん受診データおよび大腸がん受診データの構成の例を示した図。
【図4】サイトB(市町村B)で用いられている胃がん健診データおよび大腸がん健診データの構成の例を示した図。
【図5】フィールド名称変換テーブルおよびフィールド値変換テーブルの構成の例を示した図。
【図6】集計条件テーブルの構成の例を示した図。
【図7】本発明の実施形態に係る健診データ管理装置における健診データ登録処理および健診データ集計処理の処理フローの例を示した図。
【図8】健診データの集計結果をプリントした文書の例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る健診データ管理装置の構成の例を示した図である。図1に示すように、本発明の実施形態に係る健診データ管理装置100は、健診データベース管理装置1と、1つまたは複数の健診データ管理端末2と、を含んで構成される。
【0013】
健診データベース管理装置1は、処理装置10と記憶装置15とを少なくとも有する、いわゆるコンピュータによって構成される。そして、記憶装置15には、フィールド名称変換テーブル16、フィールド値変換テーブル17、集計条件テーブル18、健診結果データベース19などが構成されており、また、処理装置10には、データ変換部12、データベース管理部11、集計処理部13などの機能ブロックが構成されている。なお、これらの機能ブロック(データ変換部12、データベース管理部11、集計処理部13)の機能は、いずれも、処理装置10の図示しない演算処理部が、記憶装置15にあらかじめ格納されたプログラムを読み出して、実行することによって実現される。
【0014】
健診データ管理端末2は、処理装置20、図示しない記憶装置、入力装置25(キーボード、マウスなど)、表示装置24(液晶ディスプレイなど)、プリンタ26を含んで構成されたパーソナルコンピュータなどによって構成される。そして、処理装置20には、健診データ入力部21、集計処理依頼部22、集計データ出力部23などの機能ブロックが構成されている。なお、これらの機能ブロック(健診データ入力部21、集計処理依頼部22、集計データ出力部23)の機能は、いずれも、処理装置20の図示しない演算処理部が、図示しない記憶装置に格納されているプログラムを読み出して実行することによって実現される。
【0015】
ここで、健診データベース管理装置1と健診データ管理端末2とは、図示しない通信バスまたは通信ネットワークで通信可能に接続されているものとする。また、健診データベース管理装置1と健診データ管理端末2とは、1つのコンピュータで構成されていてもよく、また、1つの筐体などに収納された複数のコンピュータによって構成されていてもよい。
【0016】
健診結果データベース19は、個々人のがん健診など健康診断の結果のデータ(以下、単に、健診データという)が登録されたデータベースであり、健診データの種類に応じ、それぞれ異なる複数のテーブルによって構成される。以下、本実施形態では、健診結果データベース19を構成するテーブルをマスタテーブルという。なお、本明細書において、マスタテーブルと称するテーブルは、複数のサイト、すなわち、複数の市町村で共通化されたテーブルであることを意味するものとする。
【0017】
続いて、図2〜図4を参照して、健診結果データベース19におけるマスタテーブルの構成の例について説明する。図2は、健診結果データベース19に含まれる胃がん健診マスタテーブル191および大腸がん健診マスタテーブル192の構成の例を示した図である。
【0018】
最初に、図2(a)に示すように、胃がん健診マスタテーブル191は、「受診者コード」、「受診年月日」、「医療機関」、「胃がん健診結果」の各フィールドを含んで構成される。また、図2(b)に示すように、大腸がん健診マスタテーブル192は、「受診者コード」、「受診年月日」、「医療機関」、「大腸がん健診結果」の各フィールドを含んで構成される。なお、これら胃がん健診マスタテーブル191、大腸がん健診マスタテーブル192が、他のフィールド、例えば、「受診者年齢」などのフィールドを含んでいていてもよい。
【0019】
図3は、サイトA(市町村A)で用いられている胃がん受診データおよび大腸がん受診データの構成の例を示した図である。また、図4は、サイトB(市町村B)で用いられている胃がん健診データおよび大腸がん健診データの構成の例を示した図である。なお、これらのデータは、入力装置健診データ入力部21(図1参照)を介してデータ変換部12へ入力されるデータである。
【0020】
図3(a)に示すように、「サイトA」における胃がん受診データ211は、「受診者コード」、「受診日」、「病院名」、「受診結果」などのフィールドを含んで構成される。また、図3(b)に示すように、「サイトA」における大腸がん健診データ212は、「受診者コード」、「受診日」、「病院名」、「受診結果」などのフィールドを含んで構成される。
【0021】
同様に、図4(a)に示すように、「サイトB」における胃がん健診データ211bは、「受診者」、「健診病院」、「健診日」、「胃がん判定」などのフィールドを含んで構成される。また、図4(b)に示すように、「サイトB」における大腸がん健診データ212bは、「受診者」、「健診病院」、「健診日」、「大腸がん判定」などのフィールドを含んで構成される。
【0022】
以上、図3および図4の例から分かるように、各サイトで用いられる健診データは、そのサイトごと、あるいは健診データの種別ごとに、健診データの名称、健診データを構成するフィールドの名称、フィールドの順序、さらには、各フィールド内で用いられているデータ(値)がそれぞれ微妙に相違している。
【0023】
そこで、本実施形態に係る健診データベース管理装置1においては、データ変換部12は、健診データ入力部21を介して入力した胃がん受診データ211、大腸がん受診データ212などの健診データのフィールド形式を、あらかじめ共通化(標準化)したフィールド形式に変換した上で、データベース管理部11を介して、健診結果データベース19の各健診結果のマスタテーブルに登録する。ここで、健診データのフィールド形式とは、健診データを構成するフィールドの名称、フィールドの並びの順序、フィールドで用いられている値などを総称したものである。
【0024】
図5は、フィールド名称変換テーブル16およびフィールド値変換テーブル17の構成の例を示した図である。フィールド名称変換テーブル16は、健診データ入力部21から入力される健診データのフィールド名称と、健診結果データベース19内のマスタテーブルのフィールド名称と、を対応付けるためのテーブルである。また、フィールド値変換テーブル17は、健診データ入力部21から入力される健診データのフィールドで用いられる値と、その健診データのフィールドに対応するマスタテーブルのフィールドで用いられる値と、を対応付けるためのテーブルである。
【0025】
すなわち、サイトAについてのフィールド名称変換テーブル16は、図5(a)に示すように、「マスタテーブル名称」、「入力データ名称」、「マスタテーブル・フィールド名称(#1)」、「入力データ・フィールド名称(#1)」、・・・、「マスタテーブル・フィールド名称(#4)」、「入力データ・フィールド名称(#4)」の各フィールドを含んで構成される。なお、ここでは、レコードの構成が縦方向に示されている。
【0026】
そして、そのレコード構成では、「マスタテーブル名称」および「入力データ名称」のフィールドにより、「入力データ名称」に対応するマスタテーブルを選択することが可能になる。また、それに後続する「マスタテーブル・フィールド名称(#j)」および「入力データ・フィールド名称(#j)」(j=1,…,4)のフィールドにより、マスタテーブルのフィールド名称と入力データのフィールド名称との対応付けがされる。なお、図5(a)では、フィールド数は、4となっているが、4に限定されるわけではない。
【0027】
同様に、フィールド値変換テーブル17は、健診結果のマスタテーブルのフィールドごとに、そのマスタテーブルのフィールドに登録される値と、そのマスタテーブルのフィールドに対応する入力データのフィールドの値と、を対応付けるテーブルである。
【0028】
すなわち、サイトAについてのフィールド値変換テーブル17は、図5(b)に示すように、「マスタテーブル名称」、「入力データ名称」、「マスタテーブル・フィールド名称」、「入力データ・フィールド名称」、「マスタテーブル値(#1)」、「入力データ値(#1)」、「マスタテーブル値(#2)」、「入力データ値(#2)」、「マスタテーブル値(#3)」、「入力データ値(#3))」の各フィールドを含んで構成される、なお、ここでは、レコードの構成が縦方向に示されている。
【0029】
そして、そのレコード構成において「マスタテーブル名称」および「入力データ名称」のフィールド、ならびに、「マスタテーブル・フィールド名称」および「入力データ・フィールド名称」のフィールドにより、マスタテーブルのフィールドと、入力データのフィールドとが対応付けられる。さらに、「入力データ値(#k)」および「マスタテーブル値(#k)」(k=1,…,3)のフィールドにより、前記対応付けられたマスタテーブルのフィールドと入力データのフィールドのそれぞれで用いられる値が対応付けられる。なお、図5(b)では、kの最大値は、「3」となっているが、「3」に限定されるわけではない。
【0030】
ちなみに、図5(b)のフィールド値変換テーブル17の第1レコード(縦方向)によれば、入力データである胃がん受診データ211(図3(a)参照)の「受診結果」フィールドで用いられている「異常なし」、「要精密検査」、「胃がん」という値は、それぞれ、胃がん健診マスタテーブル191(図2(a)参照)の「胃がん健診結果」フィールドで用いられている「1」、「2」、「3」という値に対応することが示されている。なお、「1」、「2」、「3」という値は、それぞれ、「正常」、「要精検」、「胃がん」などのテキスト値であってもよい。
【0031】
また、同様に、第2レコード(縦方向)によれば、大腸がん受診データ212(図3(b)参照)の「受診結果」フィールドで用いられている「正常」、「要精検」、「大腸がん」という値は、それぞれ、大腸がん健診マスタテーブル192(図2(b)参照)の「胃がん健診結果」フィールドで用いられている「1」、「2」、「3」という値に対応することが示されている。なお、「1」、「2」、「3」という値は、それぞれ、「正常」、「要精検」、「大腸がん」などのテキスト値であってもよい。
【0032】
そこで、データ変換部12は、フィールド名称変換テーブル16およびフィールド値変換テーブル17を参照することによって、健診データ入力部21から入力される健診データのフィールド形式を、その健診データの名称に対応付けられた名称を有するマスタテーブルのフィールド形式に変換する。そして、データベース管理部11は、その変換された健診データを、その健診データに対応付けられた健診結果データベース19内のマスタテーブルに登録する。
【0033】
なお、フィールド値変換テーブル17において、入力される健診結果データの「入力データ名称」および「入力データ・フィールド名称」に対して、「マスタテーブル名称」および「マスタテーブル・フィールド名称」が存在しない場合には、そのフィールドの値は変換されないものとする。
【0034】
例えば、入力データが胃がん受診データ211(図3(a)参照)であったとする。そのとき、図5(b)のフィールド値変換テーブル17には、「入力データ名称」が「胃がん受診」で、かつ、「入力データ・フィールド名称」が「受診結果」に該当するレコードが存在する。従って、胃がん受診データ211の「受診結果」フィールドの値は、そのレコードの「入力データ値(#k)」および「マスタテーブル値(#k)」(k=1,…,3)の対応付けに従って変換される。一方、図5(b)のフィールド値変換テーブル17には、「入力データ名称」が「胃がん受診」で、かつ、「入力データ・フィールド名称」が「健診病院」に該当するレコードは存在しない。従って、胃がん受診データ211の「健診病院」フィールドの値は、変換されない。
【0035】
以上、本実施形態によれば、健診データ管理装置100は、例えば、サイトごとに任意に定義されたフィールド形式を有する健診結果データを、複数のサイトで共通化されたマスタテーブルのフィールド形式に容易に変換して、健診結果データベース19に蓄積することができる。従って、例えば、ある市町村(サイト)が本実施形態に係る健診データ管理装置100を採用しても、現用の健診データ管理をとくに変更する必要はない。
【0036】
なお、健診データ管理装置100は、それぞれのサイトごとに1セットずつ用意するのが好ましいが、健診データ管理装置100の健診データベース管理装置1の部分を複数のサイトで共用化することも可能である。その場合には、フィールド名称変換テーブル16、フィールド値変換テーブル17および健診結果データベース19は、サイト別に設けるものとする。
【0037】
図6は、集計条件テーブル18の構成の例を示した図である。図6に示すように、集計条件テーブル18は、「マスタテーブル名称」、「フィールド名称(#1)」、「フィールド値(#1)」、「フィールド名称(#2)」、「フィールド値(#2)」の各フィールドによって構成される。
【0038】
ここで、「マスタテーブル名称」フィールドは、集計対象のマスタテーブルを指定する情報である。また、「フィールド名称(#m)」および「フィールド値(#m)」フィールド(m=1,2)は、「マスタテーブル名称」フィールドで指定されたマスタテーブルの「フィールド名称(#m)」で指定されたフィールドの値が「フィールド値(#m)」であることを意味する条件情報である。この条件情報は、ここでは、m=1,2の2つ条件が設けられているが、その条件数は、「2」に限定されない。
【0039】
ちなみに、図6の例の集計条件テーブル18が表す条件情報は、『胃がん健診マスタテーブル191(図2(a)参照)における、「受診年月日」のフィールドの値が「10****」で、かつ、「胃がん健診結果」のフィールドの値が「3」であるレコード数と、大腸がん健診マスタテーブル192(図2(b)参照)における、「受診年月日」のフィールドの値が「10****」(すなわち、「受診年月日」が「2010」年)で、かつ、「大腸がん健診結果」のフィールドの値が「3」であるレコード数と、を集計する。』を意味する。なお、「受診年月日」のフィールドにおける****は、ワイルドカードであることを意味する。
【0040】
以上のように、集計条件テーブル18の各フィールドの値は、複数のサイトで共通化された健診結果データベース19に含まれるマスタテーブルに含まれるテーブル名称、フィールド名称、フィールド値を用いて表される。従って、複数のサイトで同様の内容の集計をする場合には、その集計条件テーブル18の内容は、その複数のサイトで同じものとなる。すなわち、集計条件テーブル18は、複数のサイトで共通化されることになる。
【0041】
なお、このような集計条件テーブル18は、1つに限定されず、複数種類のものがあらかじめ作成され、健診データベース管理装置1の記憶装置15に記憶されていてもよい。従って、集計処理部13は、記憶装置15に記憶されている各種の集計条件テーブル18を、適宜、用いることによって、例えば、国が各地方自治体に提出を求める健診データに関する集計データを容易に求めることができる。
【0042】
また、その場合、その集計条件テーブル18は、各サイトで共通化されているので、国が求める健診データの集計の仕方が変更されたとしても、本実施形態では、いずれか1つのサイトで集計条件テーブル18の内容を変更すれば、その内容を他のサイトの集計条件テーブル18へそのまま適用することができる。すなわち、本実施形態では、サイト間で、集計条件テーブル18の一元化が行われたことになる。
【0043】
図7は、本発明の実施形態に係る健診データ管理装置100における健診データ登録処理および健診データ集計処理の処理フローの例を示した図である。以下、図1などの図面をも参照しつつその処理フローについて説明する。
【0044】
医療機関などで健診が行われると、その健診結果を表す健診データは、まず、入力装置25を介して健診データ管理端末2へ入力される。一般に、医療機関の健診データは、紙のシートなどに記載されていることが多いので、その場合には、作業者がその記載内容をキーボードなどから入力する。あるいは、医療機関の健診データがマークシートで構成されている場合には、入力装置25としてOCR(Optical Card Reeder)などを用いる。
【0045】
なお、市町村などで何らかの健診データの管理システムが存在し、健診データがすでにハードディスク装置などにデータベースのテーブルの形で保管されている場合には、その入力装置25は、ハードディスク装置から保管されている健診データを直接に読み出すものであってもよい。
【0046】
そこで、図7(a)に示すように、健診データ管理端末2の処理装置20(健診データ入力部21)は、まず、入力装置25を介して入力される健診データを読み込み(ステップS11)、その読み込んだ健診データを健診データベース管理装置1へ転送する。なお、その健診データを読み込むときに用いられる健診データのフィールド形式は、図3および図4に示したように、健診データの種別ごとに異なっていても、また、サイトごとに異なっていても構わない。
【0047】
次に、健診データベース管理装置1の処理装置10(データ変換部12)は、転送されてきた健診データをマスタテーブルのフィールド形式に変換する(ステップS12)。ここで、マスタテーブルは、前記したように、健診結果データベース19内で健診データを登録したテーブル(例えば、図2(a)胃がん健診マスタテーブル191、(b)大腸がん健診マスタテーブル192など参照)である。
【0048】
次に、処理装置10(データベース管理部11)は、マスタテーブルのフィールド形式に変換された健診データを、その健診データに応じたマスタテーブルに登録する(ステップS13)。
【0049】
ここで、ステップS12における健診データのフィールド形式の変換の処理について、以下、簡単に補足する。ステップS12では、処理装置10は、当該変換対象の入力データの入力データ名称を用いて、フィールド名称変換テーブル16(例えば、図5(a)参照)を参照し、フィールド名称の変換(つまり、フィールドの対応付け)に用いるレコードを取得する。また、処理装置10は、当該変換対象の入力データの入力データ名称およびフィールド名称を用いて、フィールド値変換テーブル17(例えば、図5(b)参照)を参照し、当該フィールドにおける値の変換に用いるレコードを取得する。
【0050】
次に、処理装置10は、取得したフィールド名称変換用のレコードのデータ、および、フィールド値変換用のレコードのデータを用いて、健診データ(入力データ)のフィールド形式(フィールドの名称、順序、フィールドの値)を、マスタテーブルのフィールド形式に変換する。
【0051】
以上の健診データ登録処理により、入力装置25などから入力された健診データは、そのフィールド形式が健診データの種別やサイトごとに異なっていても、複数サイトで共通化されたマスタテーブルのフィールド形式に変換され、健診結果データベース19に登録される。
【0052】
一方、図7(b)に示した健診データ集計処理では、健診データ管理端末2の処理装置20(集計処理依頼部22)は、まず、入力装置25を介して入力される集計処理要求を受付け(ステップS21)、健診データベース管理装置1に対して、集計条件を指定して、健診データの集計を要求する。
【0053】
健診データベース管理装置1の処理装置10(集計処理部13)は、健診データ管理端末2からの集計要求を受けると、指定された集計条件に応じた集計条件テーブル18を取得し(ステップS22)、データベース管理部11を介して、その集計条件テーブル18で指定されるマスタテーブルから集計条件に適合する健診データを取得する(ステップS23)。そして、処理装置10(集計処理部13)は、その取得した健診データを集計し(ステップS24)、その集計結果を健診データ管理端末2へ返送する。
【0054】
次に、健診データ管理端末2の処理装置20(集計処理依頼部22)は、健診データベース管理装置1から集計結果を受け取ると、その集計結果をプリンタ26または表示装置24などの出力装置に出力する(ステップS25)。
【0055】
図8は、健診データの集計結果をプリントした文書の例を示した図である。図8に示すように、健診結果は、それぞれの健診の種別ごとに、例えば、胃がん健診の結果が、それぞれ「正常」、「要精検」または「胃がん」であった人数が記載されて構成される。なお、ここで用いられている「正常」、「要精検」、「胃がん」などの項目名は、マスタテーブルで用いられているフィールド名称やフィールド値に合わせることによって、複数のサイトでプリントされた文書を容易に共通化することができる。
【0056】
以上、本実施形態によれば、各サイトで入力される健診データのフィールド名とその健診データが登録される健診結果データベース19内のマスタテーブルのフィールド名とを対応付けたフィールド名称変換テーブル16、および、各サイトで入力される健診データのフィールドで用いられるフィールド値とそのフィールドに対応するマスタテーブルで用いられるフィールド値とを対応付けたフィールド値変換テーブル17を用いることによって、各サイトで入力データのフィールド形式が相違しても、それらのフィールド形式を容易に共通化することができる。
【0057】
また、本実施形態では、集計条件テーブル18を用意し、その集計条件テーブル18で表される集計条件に該当するマスタテーブルおよびそのレコードを、健診結果データベース19から容易に抽出することができる。しかも、その集計条件は、健診結果データベース19内のマスタテーブルで用いられるフィールド名やフィールド値が用いられている。そのため、複数のサイトで集計条件、すなわち、集計処理の共通化が容易となる。
【0058】
以上の通り、本実施形態では、複数のサイト間で共通化されたフィールド形式を有するマスタテーブルからなる健診結果データベース19を構築することが容易となる。さらに、複数のサイト間で共通化された集計条件テーブル18を用意しておくことにより、複数のサイト間で行う集計処理を共通化することが容易になる。
【符号の説明】
【0059】
1 健診データベース管理装置
2 健診データ管理端末
10 処理装置
11 データベース管理部
12 データ変換部
13 集計処理部
15 記憶装置
16 フィールド名称変換テーブル
17 フィールド値変換テーブル
18 集計条件テーブル
19 健診結果データベース
20 処理装置
21 健診データ入力部
22 集計処理依頼部
23 集計データ出力部
24 表示装置
25 入力装置
26 プリンタ
100 健診データ管理装置
191 胃がん健診マスタテーブル
192 大腸がん健診マスタテーブル
211 胃がん受診データ(健診データ)
211b 胃がん健診データ(健診データ)
212 大腸がん受診データ(健診データ)
212b 大腸がん健診データ(健診データ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の処理装置と記憶装置とを少なくとも備え、第1のフィールド形式を有する各個人の健診データを、第2のフィールド形式を有する健診データに変換して、前記記憶装置上に構成された健診結果データベースに登録する健診データ管理装置であって、
前記記憶装置は、あらかじめ、
前記第1のフィールド形式を有する健診データにおけるフィールド名を、前記第2のフィールド形式を有する健診データにおけるフィールド名に対応付けて変換する第1の変換テーブルと、
前記第1のフィールド形式を有する健診データのフィールドで用いられる値を、前記第2のフィールド形式を有する健診データのフィールドで用いられる値に対応付けて変換する第2の変換テーブルと、
前記健診結果データベースから特定のレコードを取得するための集計条件テーブルと、
を格納しておき、
前記処理装置は、
前記第1のフィールド形式を有する健診データの入力を受付ける健診データ入力部と、
前記受付けた第1のフィールド形式を有する健診データを、前記第1の変換テーブルと前記第2の変換テーブルとを用いて、前記第2のフィールド形式の健診データに変換するデータ変換部と、
前記変換した第2のフィールド形式の健診データを前記健診結果データベースに登録するデータベース管理部と、
前記集計処理の依頼を受け付けたときには、前記集計条件テーブルを参照して、その集計条件テーブルによって指定される集計条件に該当するレコードを、前記健診結果データベースから取得し、前記取得した集計条件に該当するレコードを集計する集計処理部と、
前記集計された処理結果を出力装置に出力する集計データ出力部と、
を備えたこと
を特徴とする健診データ管理装置。
【請求項2】
1つ以上の処理装置と記憶装置とを少なくとも備えたコンピュータにより、第1のフィールド形式を有する各個人の健診データを、第2のフィールド形式を有する健診データに変換して、前記記憶装置上に構成された健診結果データベースに登録する健診データの健診データ管理方法であって、
前記記憶装置に、あらかじめ、
前記第1のフィールド形式を有する健診データにおけるフィールド名を、前記第2のフィールド形式を有する健診データにおけるフィールド名に対応付けて変換する第1の変換テーブルと、
前記第1のフィールド形式を有する健診データのフィールドで用いられる値を、前記第2のフィールド形式を有する健診データのフィールドで用いられる値に対応付けて変換する第2の変換テーブルと、
前記健診結果データベースから特定のレコードを取得するための集計条件テーブルと、
を格納しておき、
前記処理装置は、
前記第1のフィールド形式を有する健診データの入力を受付ける処理と、
前記受付けた第1のフィールド形式を有する健診データを、前記第1の変換テーブルと前記第2の変換テーブルとを用いて、前記第2のフィールド形式の健診データに変換する処理と、
前記変換した第2のフィールド形式の健診データを前記健診結果データベースに登録する処理と、
前記集計処理の依頼を受け付けたときには、前記集計条件テーブルを参照して、その集計条件テーブルによって指定される集計条件に該当するレコードを、前記健診結果データベースから取得し、前記取得した集計条件に該当するレコードを集計処理と、
前記集計した処理結果を出力装置に出力する処理と、
を実行すること
を特徴とする健診データ管理方法。
【請求項3】
請求項2に記載の健診データ管理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−203548(P2012−203548A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66202(P2011−66202)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000153443)株式会社日立情報制御ソリューションズ (359)