説明

側溝の施工方法

【課題】曲線路に複数埋設された側溝ブロック間に間詰コンクリートを打設すべき空間を簡単に区画することができる側溝の施工方法を提供する。
【解決手段】隣り合う側溝ブロック4の端面同士に挟まれて形成された隙間15内に間詰コンクリートCを打設する間詰コンクリート打設工程では、弾性復元力と可撓性を有し、長さが側溝ブロック4内の流路8の断面の全周長さに合わせて切断され、幅が隙間15の幅よりも大きく切断された内枠体20を隣り合う流路8の両方の口8a内に跨る状態であって尚且つその内周面に接した状態で装着して、間詰コンクリートCを打設すべき空間S1を内枠体20の外側表面よりも外側に区画し、この空間S1内に、隣り合う側溝ブロック4の導水開口7同士を接続する接続導水開口17となる非打設空間S2を除いた部分に間詰コンクリートCを打設し、この間詰コンクリートCが固まった後に、非打設空間S2から内枠体20を引き出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側溝の施工方法、特に、側溝ブロックを曲線路に複数埋設して行われる側溝の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路に設けられる側溝は、予め流路が内部に形成された側溝ブロックを複数連結して構成されており、隣り合う側溝ブロックの間には、パッキンを介在させたり間詰コンクリートを打設したりして、側溝ブロック同士を液密状態で接合している。
【0003】
曲線路(例えば、カーブする道路や交差点の角)の側溝の施工においては、複数の側溝ブロックを曲線路に沿って並べて埋設し、隣り合う側溝ブロックの間に上方から見て楔状の隙間を形成する。そして、隙間に間詰コンクリートを打設するための専用の施工治具を流路の口(流路断面)の内周面に接する外形で予め製作して準備しておき、この施工治具を、隙間を挟んで互いに対向する流路の口に亘って嵌合し、この状態で間詰コンクリートを隙間へ打設して間詰コンクリートの流路内への流入を阻止することが行われている。また、楔状の隙間に合わせて形成された楔状のパッキン(目地部材)を挿入して、複数の側溝ブロックを曲線状に連結することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−188077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、側溝の流路が円形以外の独特な断面形状を呈する場合には、流路の口に合う施工治具を製造したり、パッキンに流路の口と同じ形状の開口を開設したりする作業を側溝の施工前に予め行う必要があり、手間が掛かってしまう。また、流路の断面形状が異なる毎に施工治具やパッキンを準備しなければならない。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、流路の断面形状が独特な側溝ブロックを曲線路に複数埋設する施工であったとしても、側溝ブロック間に間詰コンクリートを打設すべき空間を簡単に区画することができ、作業効率を向上させることができる側溝の施工方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載のものは、スリット状の導水開口を上面に有し、内部には前記導水開口に連通した流路を長手方向に貫通させて両端面に開口した状態で形成した側溝ブロックを曲線路に複数埋設する側溝の施工方法において、
側溝ブロック埋設用の溝を掘削する溝掘削工程と、
前記溝の底部に基礎層を形成する基礎層形成工程と、
該基礎層上に、複数の側溝ブロックを、隣り合う側溝ブロックの対向する端面同士が曲線路の曲がりに応じて非平行となる状態で載置する側溝ブロック載置工程と、
隣り合う側溝ブロックの端面同士に挟まれて形成された隙間内に間詰コンクリートを打設する間詰コンクリート打設工程と、を含み、
前記間詰コンクリート打設工程は、
弾性復元力と可撓性を有し、長さが前記流路の断面の全周長さに合わせて切断され、幅が前記隙間の幅よりも大きく切断された内枠体を隣り合う流路の両方の口内に跨る状態であって尚且つその内周面に接した状態で装着して、間詰コンクリートを打設すべき空間を内枠体の外側表面よりも外側に区画し、
この空間内に、隣り合う側溝ブロックの導水開口同士を接続する接続導水開口となる非打設空間を除いた部分に間詰コンクリートを打設し、
この間詰コンクリートが固まった後に、前記非打設空間から内枠体を引き出すことを特徴とする側溝の施工方法である。
【0008】
請求項2に記載のものは、内枠体を長さの途中から折り返して二つ折りとし、この折り返した状態で前記非打設空間から流路内に差し込み、その後、内枠体の弾性復元力により流路の両方の口内に跨る状態で流路の内周面に装着することを特徴とする請求項1に記載の側溝の施工方法である。
【0009】
請求項3に記載のものは、予め、流路の一方の口内に内枠体を装着して片半を口から突出させておき、
この後、隣の側溝ブロックの流路の口内に、前記した内枠体の突出した片半を挿入することを特徴とする請求項1に記載の側溝の施工方法である。
【0010】
請求項4に記載のものは、前記内枠体が、発泡合成樹脂材から構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の側溝の施工方法である。
【0011】
請求項5に記載のものは、前記内枠体の表面に離型剤を塗布することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の側溝の施工方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、以下のような優れた効果を奏する。
請求項1に記載の発明によれば、スリット状の導水開口を上面に有し、内部には前記導水開口に連通した流路を長手方向に貫通させて両端面に開口した状態で形成した側溝ブロックを曲線路に複数埋設する側溝の施工方法において、側溝ブロック埋設用の溝を掘削する溝掘削工程と、前記溝の底部に基礎層を形成する基礎層形成工程と、該基礎層上に、複数の側溝ブロックを、隣り合う側溝ブロックの対向する端面同士が曲線路の曲がりに応じて非平行となる状態で載置する側溝ブロック載置工程と、隣り合う側溝ブロックの端面同士に挟まれて形成された隙間内に間詰コンクリートを打設する間詰コンクリート打設工程と、を含み、前記間詰コンクリート打設工程は、弾性復元力と可撓性を有し、長さが前記流路の断面の全周長さに合わせて切断され、幅が前記隙間の幅よりも大きく切断された内枠体を隣り合う流路の両方の口内に跨る状態であって尚且つその内周面に接した状態で装着して、間詰コンクリートを打設すべき空間を内枠体の外側表面よりも外側に区画し、この空間内に、隣り合う側溝ブロックの導水開口同士を接続する接続導水開口となる非打設空間を除いた部分に間詰コンクリートを打設し、この間詰コンクリートが固まった後に、前記非打設空間から内枠体を引き出すので、流路の断面形状が独特な側溝ブロックを曲線路に複数埋設して側溝を施工する場合であったとしても、断面形状に合った治具等を断面形状が異なる度に予め準備する必要がなく、側溝ブロック間に間詰コンクリートを打設すべき空間を簡単に区画することができる。また、間詰コンクリートの硬化後に、非打設空間から内枠体を容易に取り外すことができる。したがって、曲線路に側溝を施工する作業の効率を向上させることができる。また、内枠体が流路の口の内周面にフィットし易く、間詰コンクリートが流路に漏れ出す不都合を阻止し易い。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、内枠体を長さの途中から折り返して二つ折りとし、この折り返した状態で前記非打設空間から流路内に差し込み、その後、内枠体の弾性復元力により流路の両方の口内に跨る状態で流路の内周面に装着するので、側溝ブロックを位置決めした後で、内枠体を流路の内周面に装着する作業を迅速に行うことができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、予め、流路の一方の口内に内枠体を装着して片半を口から突出させておき、この後、隣の側溝ブロックの流路の口内に、前記した内枠体の突出した片半を挿入するので、側溝ブロックの位置決め作業と、内枠体を流路の内周面に装着する作業とを並行して行うことができ、作業効率を一層向上させることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、前記内枠体が、発泡合成樹脂材から構成されているので、簡単な構成で内枠体を実現することができる。また、内枠体が軽量となって扱い易い。さらに、内枠体が硬化後の間詰コンクリートや側溝ブロックに衝突したとしても、間詰コンクリートや側溝ブロックが損傷する虞がない。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、前記内枠体の表面に離型剤を塗布するので、固まった間詰コンクリートから内枠体を剥がし易くすることができ、内枠体の除去作業、ひいては側溝の施工作業の効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】側溝の概略図である。
【図2】側溝ブロックの説明図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
【図3】(a)は溝掘削工程において掘削された溝の断面図、(b)は基礎層形成工程において底部に基礎層が形成された溝の断面図である。
【図4】側溝ブロック載置工程において、基礎層上に側溝ブロックを載置した溝の説明図であり、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【図5】側溝ブロックに内枠体を装着する手順の説明図であり、(a)は内枠体を二つ折りにして側溝ブロックへ挿入する前の状態の断面図、(b)は内枠体を二つ折りにして側溝ブロックへ挿入している状態の断面図、(c)は内枠体を流路内で開き始めた状態の断面図、(d)内枠体の端部を側溝ブロック内に押し込んだ状態の断面図、(e)は内枠体を流路の内周面に装着した状態の断面図、(f)は内枠体を流路の内周面に装着した状態の平面図である。
【図6】内枠体、外枠体、非打設キャップを装着して非打設空間に間詰コンクリートを打設した状態の説明図であり、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【図7】間詰コンクリートの打設後に内枠体、外枠体、非打設キャップを外した状態の説明図であり、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【図8】一方の側溝ブロックの流路の口内に内枠体を予め装着しておく施工手順の説明図であり、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
曲線路(例えば、カーブする道路や交差点の角)に施工される側溝1は、図1に示すように、曲線路に沿って湾曲した溝2の底部にコンクリートを打設して基礎層3(図3(b)参照)を形成し、この基礎層3上に側溝ブロック4を曲線路に沿って一列に並ぶ状態で複数埋設し、隣り合う側溝ブロック4間に間詰コンクリートCを打設して側溝ブロック4同士を接合して概略構成されている。また、側溝1が歩道と車道との間に設けられる場合には、歩道と車道との境界となる複数の縁石ブロック(図示せず)が側溝1に沿って並んで、あるいは側溝ブロック4上に一体化された状態で配置される。
【0019】
側溝ブロック4は、図2(a)〜(c)に示すように、外形が直方体状を呈するコンクリートブロックであり、当該側溝ブロック4の上面のうち幅方向の中央部分には、スリット状の導水開口7を側溝ブロック4の長手方向に沿って開設している。また、側溝ブロック4の内部には、断面形状(開口形状)が上下異形の長円状となる流路8を導水開口7よりも広い幅で形成し、この流路8を側溝ブロック4の長手方向に貫通させて、側溝ブロック4の長手方向の両端面に流路8の両端(上流端および下流端)を開放して口8aを開設している。さらに、流路8の上部と導水開口7の下部とを連通し、路面上を側溝1へ向けて流れてきた水(雨水など)が導水開口7を通って流路8へ流れ込むように構成されている。
【0020】
また、図2(a)に示すように、側溝ブロック4の一端面には、パッキン(図示せず)が装着され得るU字状のパッキン溝10を流路8の口8aの底部および両側部を囲む状態で形成し、側溝ブロック4を直線路に並べて複数連結する場合には、パッキン溝10に装着されたパッキンを介して隣り合う側溝ブロック4同士を接合し、流路8内の水が側溝ブロック4間から下方へ漏れ出ることを阻止できるように構成されている。なお、側溝ブロック4を曲線路に並べて複数連結する場合においても、パッキン溝10にパッキンを装着しても構わないが、本実施形態では、パッキンを装着せずに側溝ブロック4を曲線路に並べて液密状態で接合する手順を後で詳細に説明する。
【0021】
さらに、図2(c)に示すように、側溝ブロック4の側面の両端下部には、段差部分にナットが埋設された取付部11を設け、この取付部11に吊り下げ用金具(図示せず)を取り付けたり、あるいはジョイント12(図4(b)参照)を取り付けて隣り合う側溝ブロック4同士を連結したりできるようにしている。
【0022】
次に、曲線路における側溝1の施工手順について説明する。
まず、図1および図3(a)に示すように、側溝ブロック埋設用の溝2を曲線路に沿って湾曲した状態、尚且つ側溝ブロック4の幅(長手方向とは直交する方向に沿う幅)よりも広い幅で掘削する(溝掘削工程)。さらに、図3(b)に示すように、この溝2の底部にコンクリートを打設して、側溝ブロック4が載置される基礎層3を形成する(基礎層形成工程)。基礎層形成工程においては、基礎層3を上面が側溝1に設けられる集水桝(図示せず)へ向けて下り傾斜する状態で打設し、側溝ブロック4を基礎層3上へ載置すると流路8が集水桝へ向けて下り傾斜するように構成する。
【0023】
溝2内に基礎層3を形成したならば、図4に示すように、基礎層3上に複数の側溝ブロック4を載置する(側溝ブロック載置工程)。具体的に説明すると、側溝ブロック載置工程においては、複数の側溝ブロック4を流路8および導水開口7が曲線路(溝2)の接線方向に沿って延在し、尚且つ導水開口7が上方へ向けて開放した姿勢とする。さらに、隣り合う側溝ブロック4の対向する端面同士(流路8の口8aが開設された端面同士)を曲線路の曲がりに応じて非平行となる状態とし、この状態で基礎層3上へ載置する。また、隣り合う側溝ブロック4の取付部11に短冊状のジョイント12を接続して、複数の側溝ブロック4を連結する(図4(b)参照)。すると、隣り合う側溝ブロック4は、その間に楔状の隙間15を互いに対向する側溝ブロック4の端面同士で挟んで形成する。そして、隙間15のうち、隣り合う側溝ブロック4の導水開口7間に位置する箇所を接続導水開口17とし、隣り合う側溝ブロック4の流路8の口8a間に位置する箇所を接続流路18とし、接続導水開口17を介して導水開口7同士を接続(連通)し、接続流路18を介して流路8の口8a同士を接続(連通)する。
【0024】
複数の側溝ブロック4を溝2内に載置した状態で連結したならば、隙間15内に間詰コンクリートCを打設する(間詰コンクリート打設工程)。間詰コンクリート打設工程では、間詰コンクリートCが流路8内または接続流路18内へ侵入することを阻止するための内枠体20を側溝ブロック4へ装着する。具体的に説明すると、弾性復元力と可撓性を有する発泡合成樹脂材を、厚さが導水開口7の横幅(導水開口7の長手方向とは直交する方向の幅)の半分以下となるシート形状あるいはマット形状で準備し、この発泡合成樹脂材を流路8の断面の全周長さに合う長さ、尚且つ隙間15の幅(詳しくは隙間15のうち溝2の外周側に位置する箇所の幅)よりも大きい幅で切断して、帯状の内枠体20を作成する。そして、図5(a)に示すように、内枠体20を隙間15の上方で長さの途中から折り返して二つ折りとするとともに、折り返し部20aを下方の隙間15側へ向けた姿勢、且つ折り返し部20aが内枠体20の弾性復元力で流路8の長手方向とは直交する方向(図5(a)中、左右方向)へ開き得る姿勢とする。
【0025】
さらに、この折り返した状態で折り返し部20aを接続導水開口17へ挿入して、内枠体20のうち約半幅分(詳しくは溝2の長手方向の一方(図4(b)中、左側方)に臨ませた側縁部)を一方(図4(b)中、左側)の導水開口7の端部内へ嵌合するとともに、残りの半幅分(詳しくは溝2の長手方向の他方(図4(b)中、右側方)に臨ませた側縁部)を他方(図4(b)中、右側)の導水開口7の端部内へ嵌合し、この状態で内枠体20を接続導水開口17からさらに下降して下半部分を流路8内および接続流路18内へ差し込む(図5(b)参照)。すると、内枠体20は、両方の導水開口7の幅狭な端部により左右から挟まれた状態となり、折り返し部20aが弾性復元力で元に戻って広がろうとすることを規制される。この後、引き続き内枠体20を流路8内および接続流路18内へ差し込むと、図5(c)に示すように、内枠体20のうち折り返し部20aから接続導水開口17および導水開口7までの部分(接続導水開口17および導水開口7を通過した部分)が復元の規制を解除されて、弾性復元力により流路8内および接続流路18内で広がり、また、折り返し部20aであった箇所(内枠体20の下部)が流路8内および接続流路18内を降下して隣り合う流路8の両方の口8aの下縁部へ当接する。
【0026】
さらに内枠体20を流路8内および接続流路18内へ差し込むと、図5(d)に示すように、内枠体20が流路8の口8aの下縁部へ当接したまま流路8の幅方向へさらに広がり、流路8の口8aの側縁部に当接する。そして、内枠体20の上端部を接続導水開口17および導水開口7へ通して流路8内および接続流路18内へ押し込むと、図5(e)および(f)に示すように、内枠体20が流路8の口8aの上縁部にも当接し、内枠体20の長手方向の端部同士を接続導水開口17に臨ませた状態で突き合わせて環状となる。この結果、内枠体20は、隣り合う流路8の両方の口8a内に跨る状態であって尚且つその内周面に接した状態で装着されて、間詰コンクリートCを打設すべき空間(打設空間)S1を当該内枠体20の外側表面よりも外側に区画する。
【0027】
また、図6に示すように、隣り合う側溝ブロック4の側面に跨って縦向き短冊状の外枠体22を装着して隙間15の側部を被覆し、基礎層3および外枠体22により打設空間S1の外側を区画して、間詰コンクリートCが隙間15の外方へ漏れ出すことを阻止するように設定する。さらに、接続導水開口17には非打設キャップ23を詰めて、接続導水開口17を間詰コンクリートCが打設されない非打設空間S2とし、非打設キャップ23と外枠体22との間を開放して間詰コンクリートCの打設口とする。
【0028】
そして、打設口から間詰コンクリートCを打設空間S1のうち非打設空間S2(接続導水開口17)を除いた部分へ打設し、間詰コンクリートCが固まったならば、その後に、非打設キャップ23および外枠体22を側溝ブロック4から外し、内枠体20の両端部を非打設空間S2(接続導水開口17)へ露出させる。さらに、内枠体20の端部をつまんで内枠体20を打設空間S1から引き出す。すると、図7に示すように、隣り合う側溝ブロック4が間詰コンクリートCにより液密状態で接合され、流路8同士を接続する接続流路18、および導水開口7同士を接続する接続導水開口17が間詰コンクリートCにより区画される。
【0029】
このようにして、間詰コンクリートCを打設すべき打設空間S1を流路8内から区画する作業において、弾性復元力と可撓性を有する内枠体20を用いたので、流路8の断面形状が独特な側溝ブロック4を曲線路に複数埋設して側溝1を施工する場合であったとしても、断面形状に合った治具等を断面形状が異なる度に予め準備する必要がなく、側溝ブロック4間に打設空間S1を簡単に区画することができる。また、間詰コンクリートCの硬化後に、非打設空間S2から内枠体20を容易に取り外すことができる。したがって、曲線路に側溝1を施工する作業の効率を向上させることができる。さらに、内枠体20を長さの途中から折り返して二つ折りとし、この折り返した状態で非打設空間S2から流路8内に差し込み、その後、内枠体20の弾性復元力により流路8の両方の口8a内に跨る状態で流路8の内周面に装着するので、側溝ブロック4を位置決めした後で、内枠体20を流路8の内周面に装着する作業を迅速に行うことができる。また、内枠体20が流路8の口8aの内周面にフィットし易く、間詰コンクリートCが流路8に漏れ出し難い。
【0030】
そして、内枠体20を発泡合成樹脂材から構成しているので、簡単な構成で内枠体20を実現することができる。また、内枠体20が軽量となって扱い易い。さらに、内枠体20が硬化後の間詰コンクリートCや側溝ブロック4に衝突したとしても、間詰コンクリートCや側溝ブロック4が損傷する虞がない。
【0031】
隙間15に間詰コンクリートCを打設して隣り合う側溝ブロック4を接合した後には、溝2と側溝ブロック4との間隙を土砂やコンクリートなどで埋め戻して、側溝1の施工を完了する。そして、必要に応じて側溝1の側方にアスファルト舗装を施工する。なお、導水開口7および接続導水開口17にグレーチングを嵌合したり、雨水通過孔が開設された蓋を嵌合して閉成したり、あるいは、側溝ブロック4上および間詰コンクリートC上に縁石ブロックを載置して導水開口7および接続導水開口17を上方から覆い、縁石ブロックに開設された雨水通過孔を導水開口7および接続導水開口17へ連通させたりしてもよい(何れも図示せず)。
【0032】
ところで、上記実施形態では、隣り合う側溝ブロック4を連結してから内枠体20を装着したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図8に示す第2実施形態においては、側溝ブロック4の流路8の口8aに予め内枠体20を装着しておき、この後で隣の側溝ブロック4の流路8の口8aへ内枠体20を挿入する手順を採用している。
【0033】
具体的に説明すると、まず、複数の側溝ブロックを溝2内に並べる前に、一の側溝ブロック4′の流路8の一方の口8a内に内枠体20を環状にして口8aの内周面に接した状態で装着し、内枠体20の片半を口8a(一の側溝ブロック4′の端面)から外方へ突出させる。このとき、内枠体20の両端部を、互いに突き合わせた状態で導水開口7に臨ませておく。一の側溝ブロック4′に内枠体20を装着したならば、一の側溝ブロック4′と、一の側溝ブロック4′に隣り合う他の側溝ブロック4″とを基礎層3上に載置して溝2内に並べ、一の側溝ブロック4′に装着された内枠体20が他の側溝ブロック4″の端面に当接しない程度に離間する。そして、一の側溝ブロック4′を溝2の長手方向に沿って移動して他の側溝ブロック4″に近づけて(あるいは他の側溝ブロック4″を溝2の長手方向に沿って移動して一の側溝ブロック4′に近づけて)、隣り合う側溝ブロック4′,4″の互いに対向する端面同士の間に楔状の隙間15を形成するとともに、内枠体20の突出した片半(詳しくは片半のうち他の側溝ブロック4″側に位置する部分)を他の側溝ブロック4″の流路8の口8a内(一の側溝ブロック4′の端面に対向する口8a内)へ挿入する。すると、内枠体20は、隣り合う流路8の両方の口8a内に跨る状態であって尚且つその内周面に接した状態で装着されて、打設空間S1を当該内枠体20の外側表面よりも外側に区画する(図5(e)および(f)参照)。このようにして、一方の側溝ブロック4に予め内枠体20を装着しておき、この側溝ブロック4と隣の側溝ブロック4とを近づけて打設空間S1の内側を区画すれば、側溝ブロック4の位置決め作業と、内枠体20を流路8の内周面に装着する作業とを並行して行うことができ、作業効率を一層向上させることができる。
【0034】
ところで、上記各実施形態では、内枠体20を発泡合成樹脂材から切り出して構成したが、本発明はこれに限定されない。要は、弾性復元力と可撓性を有し、流路8の口8aの内周面に接した状態で装着できれば、どのような材質で内枠体20を構成してもよい。なお、内枠体20を側溝ブロック4へ装着する前に、予め離型剤を内枠体20の表面へ塗布しておけば、固まった間詰コンクリートCから内枠体20を剥がし易くすることができ、内枠体20の除去作業、ひいては側溝1の施工作業の効率を高めることができる。さらに、内枠体20の全表面に離型剤を塗布するのではなく、少なくとも流路8の口8aの内周面に接する箇所、および間詰コンクリートCが触れる箇所(言い換えると打設空間S1に露出する箇所)に塗布すれば、離型剤の塗布量が必要以上に多くなることを抑えることができて好適である。
【0035】
また、上記実施形態では、流路8の断面形状を上下が異形の長円状としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、流路の断面形状を円状、楕円状、矩形状等にしてもよい。さらに、隣り合う側溝ブロック4を短冊状のジョイント12で連結したが、本発明はこれに限定されない。要は、隣り合う側溝ブロック4の相対位置がずれないように基礎層3上に載置することができれば、どのような手段で側溝ブロック4を位置決めしてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 側溝
2 溝
3 基礎層
4 側溝ブロック
7 導水開口
8 流路
8a 口
10 パッキン溝
11 取付部
12 ジョイント
15 隙間
17 接続導水開口
18 接続流路
20 内枠体
20a 折り返し部
22 外枠体
23 非打設キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリット状の導水開口を上面に有し、内部には前記導水開口に連通した流路を長手方向に貫通させて両端面に開口した状態で形成した側溝ブロックを曲線路に複数埋設する側溝の施工方法において、
側溝ブロック埋設用の溝を掘削する溝掘削工程と、
前記溝の底部に基礎層を形成する基礎層形成工程と、
該基礎層上に、複数の側溝ブロックを、隣り合う側溝ブロックの対向する端面同士が曲線路の曲がりに応じて非平行となる状態で載置する側溝ブロック載置工程と、
隣り合う側溝ブロックの端面同士に挟まれて形成された隙間内に間詰コンクリートを打設する間詰コンクリート打設工程と、を含み、
前記間詰コンクリート打設工程は、
弾性復元力と可撓性を有し、長さが前記流路の断面の全周長さに合わせて切断され、幅が前記隙間の幅よりも大きく切断された内枠体を隣り合う流路の両方の口内に跨る状態であって尚且つその内周面に接した状態で装着して、間詰コンクリートを打設すべき空間を内枠体の外側表面よりも外側に区画し、
この空間内に、隣り合う側溝ブロックの導水開口同士を接続する接続導水開口となる非打設空間を除いた部分に間詰コンクリートを打設し、
この間詰コンクリートが固まった後に、前記非打設空間から内枠体を引き出すことを特徴とする側溝の施工方法。
【請求項2】
内枠体を長さの途中から折り返して二つ折りとし、この折り返した状態で前記非打設空間から流路内に差し込み、その後、内枠体の弾性復元力により流路の両方の口内に跨る状態で流路の内周面に装着することを特徴とする請求項1に記載の側溝の施工方法。
【請求項3】
予め、流路の一方の口内に内枠体を装着して片半を口から突出させておき、
この後、隣の側溝ブロックの流路の口内に、前記した内枠体の突出した片半を挿入することを特徴とする請求項1に記載の側溝の施工方法。
【請求項4】
前記内枠体が、発泡合成樹脂材から構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の側溝の施工方法。
【請求項5】
前記内枠体の表面に離型剤を塗布することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の側溝の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−117134(P2011−117134A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273274(P2009−273274)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(391052264)新興工材株式会社 (11)
【Fターム(参考)】