側溝改修部材及び側溝改修部材を使用した側溝の修繕工法
【課題】側溝ブロックの構造体として必要な強度を確保し、固定作業を簡単にし、工期の短縮とコストの低減、周辺環境への配慮などの点を実現する。
【解決手段】上部の梁及び側壁2を所定高さに切除した門型側溝ブロックの側壁2の切除面とほぼ同じ幅で、該側壁の切除面に乗載される平板状の基板51の外側端縁52に長手方向に沿い蓋押さえ部53をほぼ垂直に立設し、内側端縁54に側壁の内側壁に対応して側壁内側に接するように傾斜させた内壁保持体55を一体設し、左右側壁切除面上部に対向位置に一対を単位として複数箇所配置される。
【解決手段】上部の梁及び側壁2を所定高さに切除した門型側溝ブロックの側壁2の切除面とほぼ同じ幅で、該側壁の切除面に乗載される平板状の基板51の外側端縁52に長手方向に沿い蓋押さえ部53をほぼ垂直に立設し、内側端縁54に側壁の内側壁に対応して側壁内側に接するように傾斜させた内壁保持体55を一体設し、左右側壁切除面上部に対向位置に一対を単位として複数箇所配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両側壁の内壁上端部間を梁で連結した門型側溝ブロックにおける側溝改修部材及び側溝改修部材を使用した側溝の修繕工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(1)道路上に設置されている側溝としては、落とし蓋形のコンクリート製U形側溝や底部が開放され上面に梁を有する逆U字形の自由勾配側溝(門型側溝ブロック)などが設置されている。
【0003】
これらの側溝の上端部は、車両の通行や除雪作業時の除雪車のブレードによって損傷を受ける。また、近年では、側溝の上端部は、酸性雨によるコンクリートの劣化、寒冷地においては凍結防止剤の散布により、凍害による劣化が促進されたりしている。
【0004】
さらに、高齢者や身体にハンディキャップを持つ人たちが移動時障害とならないために、歩道と車道間にある段差をなくすバリヤフリー化が進められており、これに伴ない側溝における上端部の高さ調整を行う改修工事も行われている。
【0005】
このような側溝の改修や修繕を行う場合、従来は改修や修繕を行わずに側溝全体を新製品の側溝に入れ替えることが一般に行われてきたが、工事期間の短縮や費用の低減、周辺環境への配慮などの点から、側溝上部を切除し、切除後の側溝上部修繕用のブロックを載置する修繕方法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−273382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(1) 側溝上部を切除し、切除後の側溝上部に修繕用のブロックを載置する従来の改修方法は、U形側溝には適用できるが、逆U字形の自由勾配側溝に用いることはできないという問題点がある。すなわち、逆U字形の自由勾配側溝では、左右の側壁が側溝上面の梁によって一体結合している構造のため、側溝上部(梁部)を切除する修繕方法では、左右側壁とその上に載置する修繕用蓋ブロックとを結合して、構造体として必要な強度を確保しなければならないという問題がある。
【0008】
(2)左右の側壁とその上部に載置する修繕用蓋ブロックとを固定する方法としては、左右側壁の切除面にハンマードリルなどで孔をあけ、その孔にアンカーボルトを差し込みエポキシ樹脂などで固定するか、打ち込みアンカーを打ち込み、これらのアンカーボルトにより左右側壁と修繕用蓋ブロックとを固定する方法があるが、非常に固定作業が煩雑であり、工事時間も長くなり、更には工事費用も高価になるという問題点がある。
【0009】
(3)また、一般的に工場で制作されるコンクリート製品は、その部材厚が薄いため、左右の側壁を切除した切除面にハンマードリル等を用いて孔を開ける際に、側壁が破損するおそれがある。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑みて、側溝ブロックの構造体として必要な強度を確保し、固定作業を簡単にし、工期の短縮とコストの低減、周辺環境への配慮などの点で優れた側溝改修部材及び側溝改修部材を使用した側溝の修繕工法に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の側溝改修部材における主たる構成は、
上部の梁及び側壁を所定高さに切除した門型側溝ブロックの側壁の切除面とほぼ同じ幅で、該側壁の切除面に乗載される平板状の基板の外側端縁に長手方向に沿い蓋押さえ部をほぼ垂直に立設し、内側端縁に側壁の内側壁に対応して側壁内側に接するように傾斜させた内壁保持体を一体設し、左右側壁切除面上部に対向位置に一対を単位として複数箇所配置されることを特徴とする鋼製のもの、としている。
【0012】
本発明の側溝改修部材における第2の主たる構成は、
上部の梁及び側壁を所定高さに切除した門型側溝ブロックの側壁の切除面とほぼ同じ幅で、該側壁の切除面に乗載される平板状の基板の上面長手方向両端に修繕用蓋ブロック固定支柱をほぼ垂直に立設し、該基板の長手方向両端に側壁の上部を被覆するコ字上に固定体を垂下設し、左右側壁の対向位置に一対を単位として複数箇所配置されることを特徴とする鋼製のもの、としている。
【0013】
本発明の側溝改修部材における第2のその他の構成は、請求項2に記載の鋼製の側溝改修部材において、
基板には、内側端縁に側壁の内側壁に対応して内壁保持体を一体設した鋼製の側溝改修部材、としている。
【0014】
次に、側溝の修繕工法の主たる構成は、
両側壁の長手方向両端上部を梁で一体に成形され、開放底部にコンクリートを現場打設して水路を形成した門型側溝ブロックの
(1) 両側壁間に伸縮自在な切梁を水平に配置する側壁保持工程と、
(2) 該梁を切除する梁切除工程と
(3) 両側壁を所定高さに切除する側壁切除工程と、
(4) 請求項1の側溝改修部材を両側壁の対向位置に一対を単位として複数箇所配置し、前記側溝改修部材を両側壁の切除面に乗載する側溝改修部材設置工程と、
(5) 両側壁に対向位置に配置した側溝改修部材の蓋押え部の間に修繕用蓋ブロックを載置し組み付ける修繕用蓋ブロック組み付け工程と、
(6) 前記切梁を撤去する切梁撤去工程
からなる構成にされている。
【0015】
さらに、側溝の修繕工法の別の主たる工法は、
両側壁の長手方向両端上部を梁で一体に成形され、開放底部にコンクリートを現場打設して水路を形成した門型側溝ブロックの
(1) 両側壁間に伸縮自在な切梁を水平に配置する側壁保持工程と、
(2) 該梁を切除する梁切除工程と
(3) 両側壁を所定高さに切除する側壁切除工程と、
(4) 請求項2又は3のいずれかの側溝改修部材を両側壁の上面対向位置に一対を単位として複数箇所配置、前記側溝改修部材を両側壁の切除面に乗載する側溝改修部材設置工程と、
(5) 両側壁に対向配置した側溝改修部材の蓋固定支柱の対応位置に取付孔を設けた修繕用蓋ブロックを載置し組み付ける修繕用蓋ブロック組み付け工程と、
(6) 前記切梁を撤去する切梁撤去工程
から構成されている
【発明の効果】
【0016】
本発明は、上記構成となっているので、以下に示す効果を奏する、
(1) 本発明によれば、側溝改修部材と修繕用蓋ブロックの組み合わせで構成されているため、側溝改修部材と修繕用蓋ブロックにより修繕用蓋ブロックのズレ止め固定と両側壁の倒れ(拝み)の防止を短時間の作業で容易にでき、堅固な構造に形成できる。
【0017】
(2) 本発明によれば、鋼製の修繕用部材を側壁に取り付ける構造であるため修繕用部材は軽量であり、作業効率がよく、また、金属性の修繕用部材を使用することにより切除された側壁の補強効果を高くできる。
【0018】
(3) 本発明の側溝の修繕工法によれば、門型側溝ブロックの側壁上部の梁を切除した後に側壁上面に修繕用蓋ブロックを載置し組み付けるために、側壁の切除面にアンカーボルト埋込み用の孔を削孔する等の作業が不要であり、その結果、工期の短縮とコストの低減、側壁の破損防止を図ることが出来る。
【0019】
(4) 本発明によれば、側壁上部が破損や劣化した、或いは高さ調整が必要な自由勾配側溝を新しい製品に入れ替えることなく、改修・修繕出来る。また、その結果、施工時間の短縮と施工費用の低減を図ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の側溝改修部材の第1実施例の斜視図。
【図2】本発明の第1実施例の側溝改修部材を門型側溝ブロックの上端部に配置した状態及び上部に修繕用蓋ブロックを配置したときの斜視図。
【図3】本発明の第1実施例の側溝改修部材を使用した場合の施工手順説明図。
【図4】本発明の第1実施例の側溝改修部材を使用した場合の側面図。
【図5】本発明の側溝改修部材の第2実施例の斜視図。
【図6】本発明の側溝改修部材の第3実施例の斜視図。
【図7】本発明の第2実施例の側溝改修部材の完成正面図。
【図8】本発明の第3実施例の側溝改修部材の完成正面図。
【図9】本発明の修繕用蓋ブロックの斜視図。
【図10】本発明の別の修繕用蓋ブロックの斜視図。
【図11】本発明の別の修繕用蓋ブロックの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の、側溝改修部材及び側溝改修部材を使用した側溝の修繕工法を図1から図11を参照して説明する。
【0022】
先ず、第1実施例の側溝改修部材は鋼製で曲げ加工で作制されてあり、図1〜4に示したように、上部の梁24及び側壁を所定高さに切除した門型側溝ブロック1の側壁21,22の切除面とほぼ同じ幅で、該側壁21,22の切除面に乗載される平板状の基板51の外側端縁52に長手方向に沿い蓋押さえ部53をほぼ垂直に立設し、内側端縁54に側壁の内側壁に対応して側壁内側に接するように傾斜させた内壁保持体55を一体設し、左右側壁上端部に対向位置に一対を単位として複数個所配置されるように構成されている。
【0023】
また、第2実施例の側溝改修部材は鋼製で曲げ加工されてあり、図5、7に示したように、上部の梁24及び側壁を所定高さに切除した門型側溝ブロック1の側壁21,22の切除面とほぼ同じ幅で該側壁21,22の切除面に乗載される平板状の基板61の上面長手方向両端に蓋修繕用蓋ブロック固定支柱63がほぼ垂直に立設されている。
【0024】
また、該基板61の両端に側壁の上部を被覆するコ字状に固定体62を垂下設し、左右側壁21,22の対向位置に一対を単位として複数個所配置されるように構成されている。側壁上部の切除面を鋼製の側溝改修部材で被覆することで、側壁の補強効果をより高くすることができる。
【0025】
第3実施例の側溝改修部材は鋼製で曲げ加工で制作されてあり、これは第2実施例の改良型で、図6、8に示したように、基板61には、内側端縁54側のみに側壁21の内側壁に対応して内壁保持体82が一体設されている。
【0026】
次に、側溝の修繕工法は図3〜7により説明する。両側壁21,22の長手方向両端上端部を梁24で一体に形成され、開放底部にコンクリートを現場打設して水路を形成した門型側溝ブロック1(図3ア参照)を修繕するものである。
【0027】
先ず、第1の工程は、前記門型側溝ブロック1の両側壁21,22間に、螺子棒34一方端に押圧板31を回転自在に取り付け、回転ハンドル32を螺合させたパイプジャッキの該螺子棒34の他方端側をパイプ33に挿着させた伸縮自在な切梁3を両側壁の内壁間に水平に配置固定する、側壁保持工程(図3ロ)である。
【0028】
第2の工程は、該梁24を所定の切除手段で切除する梁切除工程(図3ハ)である。このとき、切除した梁が落下しないように梁落下防止サーポート4を設置するのが望ましい。
【0029】
第3の工程は、両側壁21,22を所定高さに切除する側壁切除工程(図3ニ)である。
【0030】
第4の工程は、請求項1又は請求項2、あるいは請求項3のいずれかの側溝改修部材を両側壁21,22の対向位置に一対を単位として複数箇所設置し、両側壁の切除面に乗載する側溝改修部材設置工程(図3ホ)である。
【0031】
前記側溝改修部材を両側壁の切除面に乗載する際、両側壁の切除面と側溝改修部材とをエポキシ樹脂などで接着してもよい。また、高さ調整が必要な場合、高さ調整用モルタルを切除面に塗布し、前記側溝改修部材を設置する場合もある。
【0032】
また、第1実施例の側溝改修部材5(請求項1)は、図2に示すように側溝改修部材を例えば約2倍の長さに長く制作し、側溝と側溝の接続部を跨ぐように配置してもよい。
【0033】
また、改修の始点と終点に用いる側溝改修部材は、中間区間に用いる側溝改修部材の1/2の長さとしてもよい。
【0034】
第5の工程において、第1実施例の側溝改修部材5(請求項1)を用いた場合は、両側壁に乗載した側溝改修部材5の蓋押え部53間に修繕用蓋ブロック7を載置し組み付ける、修繕用蓋ブロック組み付け工程(図3へ)である。
【0035】
また、第5の工程において、の第2実施例の側溝改修部材6(請求項2)又は第3実施例の側溝改修部材8のいずれかを用いた場合は、両側壁に乗載した側溝改修部材6又は側溝改修部材8の蓋固定支柱63の対応位置に取付孔72を設けた修繕用蓋ブロック71を載置し組み付ける、修繕用蓋ブロック組み付け工程である。
【0036】
第2実施例の側溝改修部材6又は第3実施例の側溝改修部材8を用いて修繕用蓋ブロックを組み付けたときには、蓋固定支柱63を挿通した取付孔72内に無収縮モルタル、あるいはエポキシ樹脂などを流し込んで固定してもよい。
【0037】
また、蓋固定支柱をボルトとして側溝改修部材と修繕用蓋ブロックとをナットで固定する方法もある。
【0038】
第6の工程は、前記切梁24を撤去する切梁撤去工程で側溝修繕工法の最終工程となる。
【0039】
この側溝修繕工法に使用する修繕用蓋ブロック7は、施工現場の状況に合わせて使い分けるのがよい。
例えば、図9に示したような、長手方向に沿い歩道側端部に凸条を設けた修繕用蓋ブロック71の場合は、排水部分以外を舗装(アスファルト等舗装)74することで、修繕用蓋ブロック71の上面が道路面上に露出しないため、歩行や車椅子使用者に障害となる隙間や段差がなくなり、側溝の存在を感じさせないバリヤフリー効果の高い歩道を構築できる。
【0040】
また、側溝の管理上暗渠化ができない場合には、図10に示したような修繕用蓋ブロック75を設置し、その開口部76に通常の側溝蓋77を配置することで、修繕前の側溝と同じ状態にすることもできる。あるいは、図11のような平板状の修繕用蓋ブロック78を側溝21,21の長手方向に配置してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 門型側溝ブロック
2 側壁
21 一方側壁
22 他方右側壁
23 底版
24 梁
25 空間部
3 切梁
31 押圧板
32 回転ハンドル
33 パイプ
34 螺子部
4 梁落下防止サポート
5、6、8 側溝改修部材
51 基板
52 外縁部
53 蓋押さえ部
54 内縁部
62 固定体
63 蓋固定支柱
7、71 修繕用蓋ブロック
72 孔
82 内側保持体
【技術分野】
【0001】
本発明は、両側壁の内壁上端部間を梁で連結した門型側溝ブロックにおける側溝改修部材及び側溝改修部材を使用した側溝の修繕工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(1)道路上に設置されている側溝としては、落とし蓋形のコンクリート製U形側溝や底部が開放され上面に梁を有する逆U字形の自由勾配側溝(門型側溝ブロック)などが設置されている。
【0003】
これらの側溝の上端部は、車両の通行や除雪作業時の除雪車のブレードによって損傷を受ける。また、近年では、側溝の上端部は、酸性雨によるコンクリートの劣化、寒冷地においては凍結防止剤の散布により、凍害による劣化が促進されたりしている。
【0004】
さらに、高齢者や身体にハンディキャップを持つ人たちが移動時障害とならないために、歩道と車道間にある段差をなくすバリヤフリー化が進められており、これに伴ない側溝における上端部の高さ調整を行う改修工事も行われている。
【0005】
このような側溝の改修や修繕を行う場合、従来は改修や修繕を行わずに側溝全体を新製品の側溝に入れ替えることが一般に行われてきたが、工事期間の短縮や費用の低減、周辺環境への配慮などの点から、側溝上部を切除し、切除後の側溝上部修繕用のブロックを載置する修繕方法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−273382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(1) 側溝上部を切除し、切除後の側溝上部に修繕用のブロックを載置する従来の改修方法は、U形側溝には適用できるが、逆U字形の自由勾配側溝に用いることはできないという問題点がある。すなわち、逆U字形の自由勾配側溝では、左右の側壁が側溝上面の梁によって一体結合している構造のため、側溝上部(梁部)を切除する修繕方法では、左右側壁とその上に載置する修繕用蓋ブロックとを結合して、構造体として必要な強度を確保しなければならないという問題がある。
【0008】
(2)左右の側壁とその上部に載置する修繕用蓋ブロックとを固定する方法としては、左右側壁の切除面にハンマードリルなどで孔をあけ、その孔にアンカーボルトを差し込みエポキシ樹脂などで固定するか、打ち込みアンカーを打ち込み、これらのアンカーボルトにより左右側壁と修繕用蓋ブロックとを固定する方法があるが、非常に固定作業が煩雑であり、工事時間も長くなり、更には工事費用も高価になるという問題点がある。
【0009】
(3)また、一般的に工場で制作されるコンクリート製品は、その部材厚が薄いため、左右の側壁を切除した切除面にハンマードリル等を用いて孔を開ける際に、側壁が破損するおそれがある。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑みて、側溝ブロックの構造体として必要な強度を確保し、固定作業を簡単にし、工期の短縮とコストの低減、周辺環境への配慮などの点で優れた側溝改修部材及び側溝改修部材を使用した側溝の修繕工法に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の側溝改修部材における主たる構成は、
上部の梁及び側壁を所定高さに切除した門型側溝ブロックの側壁の切除面とほぼ同じ幅で、該側壁の切除面に乗載される平板状の基板の外側端縁に長手方向に沿い蓋押さえ部をほぼ垂直に立設し、内側端縁に側壁の内側壁に対応して側壁内側に接するように傾斜させた内壁保持体を一体設し、左右側壁切除面上部に対向位置に一対を単位として複数箇所配置されることを特徴とする鋼製のもの、としている。
【0012】
本発明の側溝改修部材における第2の主たる構成は、
上部の梁及び側壁を所定高さに切除した門型側溝ブロックの側壁の切除面とほぼ同じ幅で、該側壁の切除面に乗載される平板状の基板の上面長手方向両端に修繕用蓋ブロック固定支柱をほぼ垂直に立設し、該基板の長手方向両端に側壁の上部を被覆するコ字上に固定体を垂下設し、左右側壁の対向位置に一対を単位として複数箇所配置されることを特徴とする鋼製のもの、としている。
【0013】
本発明の側溝改修部材における第2のその他の構成は、請求項2に記載の鋼製の側溝改修部材において、
基板には、内側端縁に側壁の内側壁に対応して内壁保持体を一体設した鋼製の側溝改修部材、としている。
【0014】
次に、側溝の修繕工法の主たる構成は、
両側壁の長手方向両端上部を梁で一体に成形され、開放底部にコンクリートを現場打設して水路を形成した門型側溝ブロックの
(1) 両側壁間に伸縮自在な切梁を水平に配置する側壁保持工程と、
(2) 該梁を切除する梁切除工程と
(3) 両側壁を所定高さに切除する側壁切除工程と、
(4) 請求項1の側溝改修部材を両側壁の対向位置に一対を単位として複数箇所配置し、前記側溝改修部材を両側壁の切除面に乗載する側溝改修部材設置工程と、
(5) 両側壁に対向位置に配置した側溝改修部材の蓋押え部の間に修繕用蓋ブロックを載置し組み付ける修繕用蓋ブロック組み付け工程と、
(6) 前記切梁を撤去する切梁撤去工程
からなる構成にされている。
【0015】
さらに、側溝の修繕工法の別の主たる工法は、
両側壁の長手方向両端上部を梁で一体に成形され、開放底部にコンクリートを現場打設して水路を形成した門型側溝ブロックの
(1) 両側壁間に伸縮自在な切梁を水平に配置する側壁保持工程と、
(2) 該梁を切除する梁切除工程と
(3) 両側壁を所定高さに切除する側壁切除工程と、
(4) 請求項2又は3のいずれかの側溝改修部材を両側壁の上面対向位置に一対を単位として複数箇所配置、前記側溝改修部材を両側壁の切除面に乗載する側溝改修部材設置工程と、
(5) 両側壁に対向配置した側溝改修部材の蓋固定支柱の対応位置に取付孔を設けた修繕用蓋ブロックを載置し組み付ける修繕用蓋ブロック組み付け工程と、
(6) 前記切梁を撤去する切梁撤去工程
から構成されている
【発明の効果】
【0016】
本発明は、上記構成となっているので、以下に示す効果を奏する、
(1) 本発明によれば、側溝改修部材と修繕用蓋ブロックの組み合わせで構成されているため、側溝改修部材と修繕用蓋ブロックにより修繕用蓋ブロックのズレ止め固定と両側壁の倒れ(拝み)の防止を短時間の作業で容易にでき、堅固な構造に形成できる。
【0017】
(2) 本発明によれば、鋼製の修繕用部材を側壁に取り付ける構造であるため修繕用部材は軽量であり、作業効率がよく、また、金属性の修繕用部材を使用することにより切除された側壁の補強効果を高くできる。
【0018】
(3) 本発明の側溝の修繕工法によれば、門型側溝ブロックの側壁上部の梁を切除した後に側壁上面に修繕用蓋ブロックを載置し組み付けるために、側壁の切除面にアンカーボルト埋込み用の孔を削孔する等の作業が不要であり、その結果、工期の短縮とコストの低減、側壁の破損防止を図ることが出来る。
【0019】
(4) 本発明によれば、側壁上部が破損や劣化した、或いは高さ調整が必要な自由勾配側溝を新しい製品に入れ替えることなく、改修・修繕出来る。また、その結果、施工時間の短縮と施工費用の低減を図ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の側溝改修部材の第1実施例の斜視図。
【図2】本発明の第1実施例の側溝改修部材を門型側溝ブロックの上端部に配置した状態及び上部に修繕用蓋ブロックを配置したときの斜視図。
【図3】本発明の第1実施例の側溝改修部材を使用した場合の施工手順説明図。
【図4】本発明の第1実施例の側溝改修部材を使用した場合の側面図。
【図5】本発明の側溝改修部材の第2実施例の斜視図。
【図6】本発明の側溝改修部材の第3実施例の斜視図。
【図7】本発明の第2実施例の側溝改修部材の完成正面図。
【図8】本発明の第3実施例の側溝改修部材の完成正面図。
【図9】本発明の修繕用蓋ブロックの斜視図。
【図10】本発明の別の修繕用蓋ブロックの斜視図。
【図11】本発明の別の修繕用蓋ブロックの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の、側溝改修部材及び側溝改修部材を使用した側溝の修繕工法を図1から図11を参照して説明する。
【0022】
先ず、第1実施例の側溝改修部材は鋼製で曲げ加工で作制されてあり、図1〜4に示したように、上部の梁24及び側壁を所定高さに切除した門型側溝ブロック1の側壁21,22の切除面とほぼ同じ幅で、該側壁21,22の切除面に乗載される平板状の基板51の外側端縁52に長手方向に沿い蓋押さえ部53をほぼ垂直に立設し、内側端縁54に側壁の内側壁に対応して側壁内側に接するように傾斜させた内壁保持体55を一体設し、左右側壁上端部に対向位置に一対を単位として複数個所配置されるように構成されている。
【0023】
また、第2実施例の側溝改修部材は鋼製で曲げ加工されてあり、図5、7に示したように、上部の梁24及び側壁を所定高さに切除した門型側溝ブロック1の側壁21,22の切除面とほぼ同じ幅で該側壁21,22の切除面に乗載される平板状の基板61の上面長手方向両端に蓋修繕用蓋ブロック固定支柱63がほぼ垂直に立設されている。
【0024】
また、該基板61の両端に側壁の上部を被覆するコ字状に固定体62を垂下設し、左右側壁21,22の対向位置に一対を単位として複数個所配置されるように構成されている。側壁上部の切除面を鋼製の側溝改修部材で被覆することで、側壁の補強効果をより高くすることができる。
【0025】
第3実施例の側溝改修部材は鋼製で曲げ加工で制作されてあり、これは第2実施例の改良型で、図6、8に示したように、基板61には、内側端縁54側のみに側壁21の内側壁に対応して内壁保持体82が一体設されている。
【0026】
次に、側溝の修繕工法は図3〜7により説明する。両側壁21,22の長手方向両端上端部を梁24で一体に形成され、開放底部にコンクリートを現場打設して水路を形成した門型側溝ブロック1(図3ア参照)を修繕するものである。
【0027】
先ず、第1の工程は、前記門型側溝ブロック1の両側壁21,22間に、螺子棒34一方端に押圧板31を回転自在に取り付け、回転ハンドル32を螺合させたパイプジャッキの該螺子棒34の他方端側をパイプ33に挿着させた伸縮自在な切梁3を両側壁の内壁間に水平に配置固定する、側壁保持工程(図3ロ)である。
【0028】
第2の工程は、該梁24を所定の切除手段で切除する梁切除工程(図3ハ)である。このとき、切除した梁が落下しないように梁落下防止サーポート4を設置するのが望ましい。
【0029】
第3の工程は、両側壁21,22を所定高さに切除する側壁切除工程(図3ニ)である。
【0030】
第4の工程は、請求項1又は請求項2、あるいは請求項3のいずれかの側溝改修部材を両側壁21,22の対向位置に一対を単位として複数箇所設置し、両側壁の切除面に乗載する側溝改修部材設置工程(図3ホ)である。
【0031】
前記側溝改修部材を両側壁の切除面に乗載する際、両側壁の切除面と側溝改修部材とをエポキシ樹脂などで接着してもよい。また、高さ調整が必要な場合、高さ調整用モルタルを切除面に塗布し、前記側溝改修部材を設置する場合もある。
【0032】
また、第1実施例の側溝改修部材5(請求項1)は、図2に示すように側溝改修部材を例えば約2倍の長さに長く制作し、側溝と側溝の接続部を跨ぐように配置してもよい。
【0033】
また、改修の始点と終点に用いる側溝改修部材は、中間区間に用いる側溝改修部材の1/2の長さとしてもよい。
【0034】
第5の工程において、第1実施例の側溝改修部材5(請求項1)を用いた場合は、両側壁に乗載した側溝改修部材5の蓋押え部53間に修繕用蓋ブロック7を載置し組み付ける、修繕用蓋ブロック組み付け工程(図3へ)である。
【0035】
また、第5の工程において、の第2実施例の側溝改修部材6(請求項2)又は第3実施例の側溝改修部材8のいずれかを用いた場合は、両側壁に乗載した側溝改修部材6又は側溝改修部材8の蓋固定支柱63の対応位置に取付孔72を設けた修繕用蓋ブロック71を載置し組み付ける、修繕用蓋ブロック組み付け工程である。
【0036】
第2実施例の側溝改修部材6又は第3実施例の側溝改修部材8を用いて修繕用蓋ブロックを組み付けたときには、蓋固定支柱63を挿通した取付孔72内に無収縮モルタル、あるいはエポキシ樹脂などを流し込んで固定してもよい。
【0037】
また、蓋固定支柱をボルトとして側溝改修部材と修繕用蓋ブロックとをナットで固定する方法もある。
【0038】
第6の工程は、前記切梁24を撤去する切梁撤去工程で側溝修繕工法の最終工程となる。
【0039】
この側溝修繕工法に使用する修繕用蓋ブロック7は、施工現場の状況に合わせて使い分けるのがよい。
例えば、図9に示したような、長手方向に沿い歩道側端部に凸条を設けた修繕用蓋ブロック71の場合は、排水部分以外を舗装(アスファルト等舗装)74することで、修繕用蓋ブロック71の上面が道路面上に露出しないため、歩行や車椅子使用者に障害となる隙間や段差がなくなり、側溝の存在を感じさせないバリヤフリー効果の高い歩道を構築できる。
【0040】
また、側溝の管理上暗渠化ができない場合には、図10に示したような修繕用蓋ブロック75を設置し、その開口部76に通常の側溝蓋77を配置することで、修繕前の側溝と同じ状態にすることもできる。あるいは、図11のような平板状の修繕用蓋ブロック78を側溝21,21の長手方向に配置してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 門型側溝ブロック
2 側壁
21 一方側壁
22 他方右側壁
23 底版
24 梁
25 空間部
3 切梁
31 押圧板
32 回転ハンドル
33 パイプ
34 螺子部
4 梁落下防止サポート
5、6、8 側溝改修部材
51 基板
52 外縁部
53 蓋押さえ部
54 内縁部
62 固定体
63 蓋固定支柱
7、71 修繕用蓋ブロック
72 孔
82 内側保持体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部の梁及び側壁を所定高さに切除した門型側溝ブロックの側壁の切除面とほぼ同じ幅で、該側壁の切除面に乗載される平板状の基板の外側端縁に長手方向に沿い蓋押さえ部をほぼ垂直に立設し、内側端縁に側壁の内側壁に対応して側壁内側に接するように傾斜させた内壁保持体を一体設し、左右側壁切除面上部に対向位置に一対を単位として複数箇所配置されることを特徴とする鋼製の側溝改修部材。
【請求項2】
上部の梁及び側壁を所定高さに切除した門型側溝ブロックの側壁の切除面とほぼ同じ幅で、該側壁の切除面に乗載される平板状の基板の上面長手方向両端に修繕用蓋ブロック固定支柱をほぼ垂直に立設し、該基板の長手方向両端に側壁の上部を被覆するコ字上に固定体を垂下設し、左右側壁の対向位置に一対を単位として複数箇所配置されることを特徴とする鋼製の側溝改修部材。
【請求項3】
基板には、内側端縁に側壁の内側壁に対応して内壁保持体を一体設したことを特徴とする請求項2に記載の鋼製の側溝改修部材。
【請求項4】
両側壁の長手方向両端上部を梁で一体に成形され、開放底部にコンクリートを現場打設して水路を形成した門型側溝ブロックの
(1) 両側壁間に伸縮自在な切梁を水平に配置する側壁保持工程と、
(2) 該梁を切除する梁切除工程と
(3) 両側壁を所定高さに切除する側壁切除工程と、
(4) 請求項1の側溝改修部材を両側壁の対向位置に一対を単位として複数箇所配置し、前記側溝改修部材を両側壁の切除面に乗載する側溝改修部材設置工程と、
(5) 両側壁に対向位置に配置した側溝改修部材の蓋押え部の間に修繕用蓋ブロックを載置し組み付ける修繕用蓋ブロック組み付け工程と、
(6) 前記切梁を撤去する切梁撤去工程
からなる側溝の修繕工法。
【請求項5】
両側壁の長手方向両端上部を梁で一体に成形され、開放底部にコンクリートを現場打設して水路を形成した門型側溝ブロックの
(1) 両側壁間に伸縮自在な切梁を水平に配置する側壁保持工程と、
(2) 該梁を切除する梁切除工程と
(3) 両側壁を所定高さに切除する側壁切除工程と、
(4) 請求項2又は3のいずれかの側溝改修部材を両側壁の上面対向位置に一対を単位として複数箇所配置、前記側溝改修部材を両側壁の切除面に乗載する側溝改修部材設置工程と、
(5) 両側壁に対向配置した側溝改修部材の蓋固定支柱の対応位置に取付孔を設けた修繕用蓋ブロックを載置し組み付ける修繕用蓋ブロック組み付け工程と、
(6) 前記切梁を撤去する切梁撤去工程
からなる側溝の修繕工法。
【請求項1】
上部の梁及び側壁を所定高さに切除した門型側溝ブロックの側壁の切除面とほぼ同じ幅で、該側壁の切除面に乗載される平板状の基板の外側端縁に長手方向に沿い蓋押さえ部をほぼ垂直に立設し、内側端縁に側壁の内側壁に対応して側壁内側に接するように傾斜させた内壁保持体を一体設し、左右側壁切除面上部に対向位置に一対を単位として複数箇所配置されることを特徴とする鋼製の側溝改修部材。
【請求項2】
上部の梁及び側壁を所定高さに切除した門型側溝ブロックの側壁の切除面とほぼ同じ幅で、該側壁の切除面に乗載される平板状の基板の上面長手方向両端に修繕用蓋ブロック固定支柱をほぼ垂直に立設し、該基板の長手方向両端に側壁の上部を被覆するコ字上に固定体を垂下設し、左右側壁の対向位置に一対を単位として複数箇所配置されることを特徴とする鋼製の側溝改修部材。
【請求項3】
基板には、内側端縁に側壁の内側壁に対応して内壁保持体を一体設したことを特徴とする請求項2に記載の鋼製の側溝改修部材。
【請求項4】
両側壁の長手方向両端上部を梁で一体に成形され、開放底部にコンクリートを現場打設して水路を形成した門型側溝ブロックの
(1) 両側壁間に伸縮自在な切梁を水平に配置する側壁保持工程と、
(2) 該梁を切除する梁切除工程と
(3) 両側壁を所定高さに切除する側壁切除工程と、
(4) 請求項1の側溝改修部材を両側壁の対向位置に一対を単位として複数箇所配置し、前記側溝改修部材を両側壁の切除面に乗載する側溝改修部材設置工程と、
(5) 両側壁に対向位置に配置した側溝改修部材の蓋押え部の間に修繕用蓋ブロックを載置し組み付ける修繕用蓋ブロック組み付け工程と、
(6) 前記切梁を撤去する切梁撤去工程
からなる側溝の修繕工法。
【請求項5】
両側壁の長手方向両端上部を梁で一体に成形され、開放底部にコンクリートを現場打設して水路を形成した門型側溝ブロックの
(1) 両側壁間に伸縮自在な切梁を水平に配置する側壁保持工程と、
(2) 該梁を切除する梁切除工程と
(3) 両側壁を所定高さに切除する側壁切除工程と、
(4) 請求項2又は3のいずれかの側溝改修部材を両側壁の上面対向位置に一対を単位として複数箇所配置、前記側溝改修部材を両側壁の切除面に乗載する側溝改修部材設置工程と、
(5) 両側壁に対向配置した側溝改修部材の蓋固定支柱の対応位置に取付孔を設けた修繕用蓋ブロックを載置し組み付ける修繕用蓋ブロック組み付け工程と、
(6) 前記切梁を撤去する切梁撤去工程
からなる側溝の修繕工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−246947(P2011−246947A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−120719(P2010−120719)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000224215)藤村ヒューム管株式会社 (24)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000224215)藤村ヒューム管株式会社 (24)
【Fターム(参考)】
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