説明

側溝構造、及び、側溝構造の施工方法

【課題】施工する道路の状態に合わせて側溝構造を異ならせる場合であっても、容易に施工できる側溝構造、及び、側溝構造の施工方法を提供する。
【解決手段】内部に排水路が形成されると共に、幅方向の一側端部に上面から一段下がった嵌合段部が設けられ、道路の車道と歩道の境界に沿って複数配置される側溝ブロック1と、側溝ブロック1の嵌合段部に一側端部が載置される境界ブロックと、を備えた側溝構造の施工方法であって、側面及び上面の傾斜角、並びに、高さが異なる複数種類の境界ブロックの中から少なくとも一種類の境界ブロックを選択する選択工程と、側溝ブロック1を嵌合段部が一連に接続した状態で配置する側溝ブロック施工工程と、側溝ブロック1の嵌合段部に境界ブロックの一側端部を嵌合して載置する境界ブロック載置工程と、を含ませた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路に沿ってその脇に埋設される側溝構造、及び、側溝構造の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般道路や高速道路などの舗装路では、雨水が路面上に滞留することを防ぐために、車道と歩道との境界部分に側溝などの排水施設が設けられている。この側溝は、一部に開口した開口部から雨水等を流入し、内部に設けられた水路を通じて排水することができる。これらの側溝を敷設した道路には、側溝の側部に車道と歩道とを分ける境界ブロックを載置した構造のものがある(例えば、特許文献1参照)。また、境界ブロックと側溝とを一体として形成したもの、すなわち、排水路と縁石部分とを備えた境界ブロックを道路に敷設したものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−092503号公報
【特許文献2】特開2001−279607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載する側溝および境界ブロックでは、これらを道路に連設する際に、一直線上に連設するための調整(通り調整)がそれぞれ必要となっていた。例えば、側溝を敷設する際に、側溝を連設する始点と終点に糸を張り、この糸に沿って側溝を配置する。同様に境界ブロックを敷設する際も、境界ブロックを連設する始点と終点に糸を張り、この糸に沿って境界ブロックを配置する。このように、特許文献1に記載する側溝構造では、通り調整が2回必要となり、作業が煩雑になっていた。
【0005】
一方、特許文献2に記載する境界ブロックでは、境界ブロック自体に排水路を備えているため、境界ブロックを連設する際の通り調整を一回で済ませることができる。しかしながら、この境界ブロックでは、施工する道路の状態に合わせて側溝構造を変更する場合(例えば、縁石部分の高さや排水路の深さを変更する場合)に、各構造ごとにそれぞれ境界ブロックを準備する必要があり、境界ブロックの製造コストおよび製造労力を要していた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、施工する道路の状態に合わせて側溝構造を異ならせる場合であっても、容易に施工できる側溝構造、及び、側溝構造の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記した目的を達成するために提案されたもので、請求項1に記載のものは、歩道側となる幅方向の一側端部に上面から一段下がった嵌合段部が設けられ、内部に排水路が形成された側溝ブロックと、
前記側溝ブロックの嵌合段部に載置される境界ブロックと、
を備えた側溝構造の施工方法であって、
側面及び上面の傾斜角、並びに、高さが異なる複数種類の境界ブロックの中から少なくとも一種類の境界ブロックを選択する選択工程と、
車道と歩道の境界に沿って複数の側溝ブロックを、予め予定した線上に各嵌合段部が一連に接続した状態で配置する側溝ブロック施工工程と、
前記側溝ブロックの嵌合段部に前記境界ブロックの一側端部を嵌合して載置する境界ブロック載置工程と、
を含むことを特徴とする側溝構造の施工方法である。
【0008】
請求項2に記載のものは、前記選択工程は、排水路の内部空間の断面積が異なるが、排水路の上面開口幅及び嵌合段部の形状が揃えられた複数種類の側溝ブロックの中から少なくとも一種類の側溝ブロックを選択することを特徴とする請求項1に記載の側溝構造の施工方法である。
【0009】
請求項3に記載のものは、前記選択工程は、集水枡に向けて排水路の深さが段階的に深くなるように少なくとも二種類の側溝ブロックを選択したことを特徴とする請求項2に記載の側溝構造の施工方法である。
【0010】
請求項4に記載のものは、前記側溝ブロックの嵌合段部は、水平な載置面と、該載置面の車道側の端部から載置面に対して起立した規制面と、を有し、
前記境界ブロックの側溝ブロック側の側面は、前記載置面に一側端部が載置された状態において、上端縁が当該規制面とは反対側に位置する方向に傾斜し、
前記境界ブロック載置工程の後に前記規制面と前記境界ブロックの側溝ブロック側の前記傾斜側面との間に形成された隙間に接合材を充填する接合工程を含むことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の側溝構造の施工方法である。
【0011】
請求項5に記載のものは、歩道側となる幅方向の一側端部に上面から一段下がった嵌合段部が設けられ、内部に排水路が形成された側溝ブロックと、
前記側溝ブロックの嵌合段部に載置される境界ブロックと、
を備え、
車道と歩道の境界に沿って複数の側溝ブロックを、予め予定した線上に各嵌合段部が一連に接続した状態で配置し、各側溝ブロックの嵌合段部に前記境界ブロックの一側端部を嵌合して載置して構成したことを特徴とする側溝構造である。
【0012】
請求項6に記載のものは、前記境界ブロックの車道側の側面に反射面材を備えたことを特徴とする請求項5に記載の側溝構造である。
【0013】
請求項7に記載のものは、前記側溝ブロックの車道側上面に、車両の通行により振動を発生するための凸部が設けらた警告発生面を備え、
該警告発生面を車道の路面と連続する面としたことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の側溝構造である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、歩道側となる幅方向の一側端部に上面から一段下がった嵌合段部が設けられ、内部に排水路が形成された側溝ブロックと、
前記側溝ブロックの嵌合段部に載置される境界ブロックと、
を備えた側溝構造の施工方法であって、
側面及び上面の傾斜角、並びに、高さが異なる複数種類の境界ブロックの中から少なくとも一種類の境界ブロックを選択する選択工程と、
車道と歩道の境界に沿って複数の側溝ブロックを、予め予定した線上に各嵌合段部が一連に接続した状態で配置する側溝ブロック施工工程と、
前記側溝ブロックの嵌合段部に前記境界ブロックの一側端部を嵌合して載置する境界ブロック載置工程と、
を含むので、側溝ブロックを敷設してしまえば境界ブロックを予め予定した線上に容易に並べることができる。これにより、側溝構造を施工する際の作業を簡略化することができる。また、施工する道路の状態に合わせて境界ブロックの形状を変える場合においても、共通に使用される側溝ブロックについては大量生産できるため、境界ブロックの製造コストおよび製造労力を減らすことができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、選択工程は、排水路の内部空間の断面積が異なるが、排水路の上面開口幅及び嵌合段部の形状が揃えられた複数種類の側溝ブロックの中から少なくとも一種類の側溝ブロックを選択したので、施工する道路の状態に合わせて側溝ブロックの排水路の形状を変えることができる。また、複数種類の境界ブロックおよび側溝ブロックの中から1組の境界ブロックおよび側溝ブロックを適宜に選択し、組み合わせることで、様々な道路の状態に対応した側溝構造を容易に施工することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、選択工程は、集水枡に向けて排水路の深さが段階的に深くなるように少なくとも二種類の側溝ブロックを選択したので、集水枡に向けて雨水等をスムーズに排水する側溝構造を提供することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、側溝ブロックの嵌合段部は、水平な載置面と、該載置面の車道側の端部から載置面に対して起立した規制面と、を有し、
前記境界ブロックの側溝ブロック側の側面は、前記載置面に一側端部が載置された状態において、上端縁が当該規制面とは反対側に位置する方向に傾斜し、
前記境界ブロック載置工程の後に前記規制面と前記境界ブロックの側溝ブロック側の前記傾斜側面との間に形成された隙間に接合材を充填する接合工程を含むことを特徴とする施工方法を採用したので、境界ブロックを側溝ブロックに強固に固定した側溝構造を提供することができる。特に、接合材が楔状に形成されるため、境界ブロックの浮き上がりやガタつきを防止することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、歩道側となる幅方向の一側端部に上面から一段下がった嵌合段部が設けられ、内部に排水路が形成された側溝ブロックと、
前記側溝ブロックの嵌合段部に載置される境界ブロックと、
を備え、
車道と歩道の境界に沿って複数の側溝ブロックを、予め予定した線上に各嵌合段部が一連に接続した状態で配置し、各側溝ブロックの嵌合段部に前記境界ブロックの一側端部を嵌合して載置して構成したので、境界ブロックを施工する際に容易に線上に並べることができる。これにより、側溝構造を施工する際の作業を簡略化することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、境界ブロックの車道側の側面に反射面材を備えたので、暗い場所でも車やバイク等のヘッドライトが反射して、運転手に境界ブロックの位置をはっきり確認させることができる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、側溝ブロックの上面に、車両の通行により振動を発生するための凸部が設けらた警告発生面を備え、該警告発生面を車道の路面と連続する面としたので、車道を通行する車やバイク等が側溝ブロックに近づいたときに、発生する振動によって運転手に注意を喚起することができる。これにより、車やバイク等が境界ブロックに衝突する事故を防止できる。また、この側溝ブロックと車道側の側面に反射面材を備えた境界ブロックとを有する側溝構造では、反射面材へ車やバイク等が接触することを防止でき、反射面材が破損することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】側溝構造を説明する断面図である。
【図2】側溝構造の一部を拡大した断面図である。
【図3】境界ブロックの種々の実施形態を示した正面図である。
【図4】側溝ブロックの種々の実施形態を示した正面図である。
【図5】排水路の深さが異なる二種の側溝ブロック及び集水枡の連結を説明する斜視図である。
【図6】排水路の深さが異なる二種の側溝ブロック及び集水枡を連結した側溝構造を説明する側面図である。
【図7】第2の実施形態における境界ブロックの(a)正面図、(b)側面図である。
【図8】第2の実施形態における側溝ブロックの(a)正面図、(b)平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。
図1は本発明の側溝構造を説明する断面図である。図2は側溝構造の側溝ブロック1と境界ブロック2の嵌合部分を拡大した断面図である。
【0023】
本実施形態の側溝構造は、道路の車道4と歩道5の境界に沿って複数配置される側溝ブロック1と、側溝ブロック1と接合される境界ブロック2と、から構成される。
側溝ブロック1は、道路に沿って細長く形成されたコンクリート製のブロックであり、その内部には上面が開放した断面U字状の排水路7が側溝ブロック1の長手方向に沿って形成されている。この排水路7の上部の開放部分は排水路7の幅が広げられており、この幅が広げられる境界部分に段差部7aが形成されている。そして、この段差部7aには排水路7の上面開口を塞ぐ金属製のグレーチング8(蓋部材の一種)が載置されている。グレーチング8は、その幅が排水路7の上面開口の幅と揃えられており、排水路7の段差部7aに載置された状態において、その上面の高さが側溝ブロック1の上面の高さと揃えられている。なお、グレーチング8は、上面に雨水流入口(図示せず)を複数開口し、これらの雨水流入口から車道上の雨水を側溝ブロック1の排水路7内に流入する。また、本実施形態の側溝ブロック1は、長手方向の一側端面に、排水路7の端面開口を囲うように断面U字状のパッキン9が、当該端面から僅かに突出して形成されている。このパッキン9は、隣接して接続される側溝ブロック1との間のシール及び接続代となる部分である。
【0024】
側溝ブロック1の歩道5側となる幅方向の一側端部には、上面から一段下がった嵌合段部10が長手方向に沿って設けられている。具体的には、嵌合段部10は側溝ブロック1の上端部の歩道5側の側面から車道4側に向けて切り欠いて形成され、境界ブロック2の車道4側の端部が載置される水平な載置面10aと、該載置面10aの車道側の端部から該載置面10aに対して起立した垂直な規制面10bと、から構成されている。規制面10bは、載置面10aに境界ブロック2を載置する際に境界ブロック2の車道4側の側面の下端が当接され、その位置を規制する。なお、規制面10bは、側溝ブロック1を成形する際に型抜きし易いように、垂直方向に対して僅かに傾斜させてもよい。
【0025】
境界ブロック2は、車道4と歩道5との境界を区画する細長い略直方体形状のコンクリート製のブロックである。本実施形態の境界ブロック2は、その長さが側溝ブロック1と揃えられており、その幅が下側から上側に向けて次第に狭まる形状に作成されている。具体的には、境界ブロック2を側溝ブロック1(載置面10a)に載置した状態において、境界ブロック2の車道4側(側溝ブロック1側)の側面は、上端縁が車道4(規制面10b)とは反対側に位置する方向に僅かに傾斜した面として形成され、これと対称的に、境界ブロック2の歩道5側の側面は、上端縁が歩道5とは反対側に位置する方向に僅かに傾斜した面として形成されている。換言すると、末広がりに拡幅するようなテーパー面として成形されている。また、境界ブロック2の上面は水平面として形成され、この上面と両側のテーパー側面とが交わる端部をそれぞれ円弧状に面取りしている。この円弧は、曲率Rを一定とした曲面で形成されている。
【0026】
このような境界ブロック2を側溝ブロック1の嵌合段部10に嵌合して載置すると、詳しくは、境界ブロック2の車道4側の側面の下端を規制面10bに当接した状態で載置面10aに載置すると、規制面10bと境界ブロック2の車道4側の側面との間に僅かな断面楔形の間隙が生じる。本実施形態では、この間隙にセメントミルク等の接合材12を流し込んで充填し、側溝ブロック1と境界ブロック2とを接合している。これにより、境界ブロック2を側溝ブロック1に強固に固定することができる。特に、接合材12が楔状に形成されるため、境界ブロック2の浮き上がりやガタつきを防止することができる。なお、本実施形態の歩道5は、車道4の高さよりも一段高く形成され、境界ブロック2の高さ方向における中央付近にその表面が位置している。このため、下側の方が幅広に形成された境界ブロック2の下端部が埋設され、境界ブロック2の浮き上がりやガタつきが一層防止される。
【0027】
そして、これらの境界ブロック2および側溝ブロック1は、道路管理者、例えば、各自治体により指定された基準や道路の状態(車道4と歩道5の高低差、歩道5の幅、道路の交通量、道路を流れる雨水の量等)に応じて種々の形態を選択できる。具体的には、境界ブロック2は、一般的には側面及び上面の傾斜角、並びに、高さなどの寸法が異なる複数種類のものが規格化されており、この中から少なくとも一種類を適宜選択する。但し、単位長さ(区間)、例えば、ある交差点から隣りに位置する次の交差点の間に設置する側溝に使用する各タイプの境界ブロック2において、底面と側面との位置関係はすべて統一されている。したがって、いずれの境界ブロック2を選択しても、底面と側面との位置関係は同じであり、底面から上面までの高さが異なる。
また、側溝ブロック1は、排水路7の内部空間の断面積が異なるが、排水路7の上面開口幅及び嵌合段部10の形状が揃えられた複数種類のものが規格化され、これらの中から少なくとも一種類を適宜選択する。但し、各タイプの側溝ブロック1において、嵌合段部10のサイズ(載置面10a、規制面10bの長さ)、車道の路面に露出する上面の幅員(規制面10bから排水路7を挟んだ反対側の側縁までの長さ)、及び排水路7の開口と段差部7aは統一されている。したがって、いずれの側溝ブロック1を選択しても、嵌合段部10と上面の幅と排水路7の開口及び段差部7aは同じであり、排水路7の断面積が異なる。
【0028】
例えば、図3に境界ブロック2の種々の実施形態を、図4に側溝ブロック1の種々の実施形態をそれぞれ示している。なお、図3では側溝ブロック1等を、図4では境界ブロック2をそれぞれ破線で示している。
【0029】
図3(a)に示す境界ブロック2aは、上面の高さが図1に示す標準タイプの境界ブロック2に比べて低く設定され、両側の側面の傾斜の角度が図1に示す境界ブロック2に揃えられている。図3(b)に示す境界ブロック2bは、上面の高さが図1に示す境界ブロック2に比べて低く設定されると共に、短手方向の幅が図1に示す境界ブロック2に比べて狭く設定され、両側の側面の傾斜の角度が図1に示す境界ブロック2に揃えられている。図3(c)に示す境界ブロック2cは、上面の高さ、および、側溝ブロック1側(車道4側)の側面の傾斜の角度が図1に示す境界ブロック2に揃えられ、側溝ブロック1とは反対側(歩道5側)の側面が上面に対して垂直に形成されている。図3(d)に示す境界ブロック2dは、図3(c)に示す境界ブロック2cの高さを低く設定したものである。これら、図3(a)〜(d)に示す境界ブロック2a〜2dは、例えば、各自治体により指定された基準に合わせて境界ブロック2の高さを変える場合や、車道4と歩道5の高低差がある場合等に適宜に選択される。
【0030】
図3(e)、(f)に示す境界ブロック2は、主に複数列設した境界ブロック2の一部に用いられ、車道4と歩道5との間を歩行者や車両等が通過する部分に用いられる。図3(e)に示す境界ブロック2eは、上面の高さが側溝ブロック1の上面の高さに揃えられている。言い換えると、境界ブロック2eの高さが嵌合段部10の規制面10bの高さに揃えられている。この境界ブロック2eは、例えば、歩道5の高さが車道4の高さに揃えられた横断歩道に対応する部分に設置される。これにより、横断歩道を渡ろうとする歩行者がつまずくのを防止することができる。図3(f)に示す境界ブロック2fは、上面が側溝ブロック1側(車道4側)からそれとは反対側(歩道5側)に向けて、緩やかに上り傾斜している。また、側溝ブロック1側の上面は、側溝の上面と略同じ高さに揃えられている。この境界ブロック2は、例えば、車道4の高さよりも僅かに高い、歩道5を挟んで車道4とは反対側に設けられた駐車場の入り口部分に設置される。これにより、車道4から歩道5を横断して駐車場に進入する車両をスムーズに通行させることができる。
【0031】
図4(a)に示す側溝ブロック1aは、短手方向の幅、排水路7の上面開口幅、排水路7の段差部7aの形状、嵌合段部10の形状(載置面10aの上面からの距離、および、規制面10bの幅方向に対する位置)が図1に示す標準タイプの側溝ブロック1に揃えられ、排水路7の深さが図1に示す側溝ブロック1に比べて深く設定されている。また、排水路7の深さを深くしたことに伴い、側溝ブロック1の高さが図1に示す側溝ブロック1に比べて高く設定され、断面U字状のパッキン9の直線部分の長さが図1に示す側溝ブロック1に比べて長く設定されている。図4(b)に示す側溝ブロック1bは、短手方向の幅、排水路7の上面開口幅、排水路7の段差部7aの形状、嵌合段部10の形状が図1に示す側溝ブロック1に揃えられ、排水路7の深さが図1に示す側溝ブロック1に比べて深く設定されると共に、排水路7の幅が図1に示す側溝ブロック1に比べて広く設定されている。すなわち、排水路7の内部空間の断面積は、図1に示す側溝ブロック1に比べて広く設定されている。具体的には、排水路7は、断面放物線状に形成され、その上部にグレーチング8を載置する段差部7aを内側に向けて突出している。これに伴い、パッキン9を断面放物線状に形成している。これら図4(a)、(b)に示す側溝ブロック1a,1bは、例えば、雨量の多い地域の道路等、排水量が多い道路に設置される。また、上流側に排水路7の深さが浅い側溝ブロック1を設置し、下流側に排水路7の深さが深い側溝ブロック1aを設置することで、上流から下流に向けて雨水等をスムーズに排水することができる。
【0032】
例えば、図5及び図6に示す側溝構造では、集水桝14に向けて排水路7の深さが段階的に深くなるように、種類の異なる側溝ブロック1c,1dを連結して配置している。具体的には、上流側に排水路7の深さが浅い第1の側溝ブロック1c(例えば、図1に示す側溝ブロック1)を配置し、下流側、すなわち第1の側溝ブロック1cと集水桝14との間に深さが深い第2の側溝ブロック1d(例えば、図4(a)に示す側溝ブロック1a)を配置している。本実施形態では、各側溝ブロック1c,1dおよび集水桝14の車道4側の側面を同一面になるように揃えている。なお、図5及び図6では、第1の側溝ブロック1cおよび第2の側溝ブロック1dをそれぞれ1つずつ配置しているが、これには限られない。例えば、上流側に第1の側溝ブロック1cを複数連結して配置し、下流側に第2の側溝ブロック1dを複数連結して配置することもできる。また、二種類以上の深さの異なる側溝ブロックを集水桝14に向けて排水路7の深さが段階的に深くなるように、複数連結して配置することもできる。
【0033】
本実施形態の集水桝14は、図5及び図6に示すように、側溝ブロック1よりも幅広な直方体状のコンクリート製箱体であり、内部に設けられた雨水等を集める集水路15と、集水桝14の第2の側溝ブロック1dを接続する側の側面において、集水路15の上部と第2の側溝ブロック1dの排水路7とを連通する連通口16と、集水桝14の上面において、側溝ブロック1c,1dの排水路7に沿って開口する蓋配置空間17と、集水路15の下部において、円形の配水管等と接続される排水口18と、集水桝14の歩道5側の上面において、境界ブロック2が配置される集水枡嵌合段部19と、を備えている。連通口16の深さは、第2の側溝ブロック1dの排水路7の深さと同じに、または、それよりも深くなるように設定されている。これにより、第2の側溝ブロック1dの排水路7から流れてきた雨水等をスムーズに集水路15の内部に取り込むことができる。また、上面に開口した蓋配置空間17は、側溝ブロック1c,1dの排水路7における上面開口幅および段差部7aの形状と揃えられた段差部17aを有し、その下端部が集水路15の上端部と連通している。このため、側溝ブロック1c,1dに使用するグレーチング8と同種のグレーチング8を使用でき、このグレーチング8の雨水流入口を介して、直接雨水等を集水路15の内部に取り込むことができる。さらに、集水枡嵌合段部19は、側溝ブロック1c,1dの長手方向に沿って上面から一段下がって形成され、側溝ブロック1c,1dの嵌合段部10の段差の形状と揃えられている。
【0034】
そして、図5及び図6に示すように、第1の側溝ブロック1c、第2の側溝ブロック1d、および、集水桝14を、上面の高さおよび車道4側の側面の位置を揃えて連結すれば、これらの連設方向に沿って各側溝ブロック1c,1dの排水路7の段差部7aおよび集水桝14の蓋配置空間17の段差部17aの形状が揃えられると共に、側溝ブロック1c,1dの嵌合段部10および集水桝14の集水枡嵌合段部19の段差形状が揃えられる。このため、第1の側溝ブロック1cの排水路7、第2の側溝ブロック1dの排水路7、および、集水桝14の蓋配置空間17にそれぞれ載置するグレーチング8を同じにできる。また、第1の側溝ブロック1cの嵌合段部10、第2の側溝ブロック1dの嵌合段部10、および、集水桝14の集水枡嵌合段部19にそれぞれ載置する境界ブロック2を同じにできる。なお、グレーチング8や境界ブロック2は、第1の側溝ブロック1cと第2の側溝ブロック1dとの連結部分、または、第2の側溝ブロック1dと集水桝14との連結部分に亘って配置しても良い。また、図6に示すように、第1の側溝ブロック1cの底面は、第2の側溝ブロック1dの排水路7の底面よりも下方に位置させることが望ましい。このようにすれば、第2の側溝ブロック1dの排水路7において、第1の側溝ブロック1cと第2の側溝ブロック1dの連結部分に隙間が生じることを防止でき、排水路7内の雨水等がこの連結部分の隙間から道路の路盤21の中に漏れ出すことを抑制できる。
【0035】
次に、上記したような側溝ブロック1および境界ブロック2を備えた側溝構造の施工方法について、図1を参照して説明する。まず、側溝構造を敷設しようとする道路の状態に応じて、側溝ブロック1および境界ブロック2を選択する(選択工程)。具体的には、境界ブロック2を、側面及び上面の傾斜角、並びに、高さが異なる複数種類の境界ブロック2の中から少なくとも一種類選択する。また、側溝ブロック1を、排水路7の内部空間の断面積が異なるが、排水路7の上面開口幅及び嵌合段部10の形状が揃えられた複数種類の側溝ブロック1の中から少なくとも一種類選択する。図5及び図6に示すように集水桝14に連結される側溝構造においては、集水桝14に向けて排水路7の深さが段階的に深くなるように少なくとも二種類の側溝ブロック1を選択する。
【0036】
次に、各側溝ブロック1を嵌合段部10が一連に接続された状態で車道4に配置する(側溝ブロック施工工程)。詳しく説明すると、まず、側溝ブロック1を埋設する箇所の路盤21に、埋設する側溝ブロック1の高さおよび幅に応じた溝を掘る。この溝の底部を水平になるように基礎層或いは下地層を形成した後で、各側溝ブロック1を配置していく。このとき、側溝ブロック1が一直線上に連設されるように、通り調整を行う。例えば、側溝ブロック1を連設する箇所の始点と終点に糸を張り、この糸に沿って側溝を一直線上に配置する。なお、隣接する側溝ブロック1同士は、図示しない連結具等で固定される。そして、車道4側の路盤21と側溝ブロック1との間に隙間ができないように埋めた後、側溝ブロック1の上面と車道4の表面が揃えられるように路盤21の上にアスファルト等の舗装層22を施工する。一方、歩道5側では、路盤21と歩道5側の側溝ブロック1との間に隙間ができないように埋め戻した後、その路盤21の表面の高さを嵌合段部10の載置面10aの高さに揃えておく。
【0037】
そして、側溝ブロック1の嵌合段部10に境界ブロック2の一側端部を嵌合して載置する(境界ブロック載置工程)。すなわち、境界ブロック2の車道4側の側面の下端部を嵌合段部10の規制面10bに当接した状態で、載置面10aおよび路盤21の上に載置する。その後、境界ブロック2の歩道5側を路盤21で埋め、路盤21の上にアスファルト等の舗装層22を施工する。なお、本実施形態の歩道5の表面は、境界ブロック2の高さ方向における中央付近に位置している。また、本実施形態の境界ブロック2は、側溝ブロック1側の側面が規制面10bとは反対側に上端縁が位置する方向に傾斜している。このため、側溝ブロック1の規制面10bと境界ブロック2の当該側溝ブロック1側の側面との間に断面下向き楔形(三角形)の隙間が形成される。この隙間にコンクリート等の接合材12を充填する(接合工程)。これにより、境界ブロック2と側溝ブロック1が強固に接合される。
【0038】
このように、各種の側溝ブロック1に共通する嵌合段部10を設け、この嵌合段部10に境界ブロック2の一側端部を嵌合して載置するようにしたので、境界ブロック2を容易に一直線上に並べることができる。これにより、側溝構造を施工する際の作業を簡略化することができる。また、施工する道路の状態に合わせて境界ブロック2の形状を変える場合においても、共通に使用される側溝ブロック1については大量生産できるため、境界ブロック2の製造コストおよび製造労力を減らすことができる。
【0039】
さらに、排水路7の内部空間の断面積が異なるが、排水路7の上面開口幅及び嵌合段部10の形状が揃えられた複数種類の側溝ブロック1の中から少なくとも一種類の側溝ブロック1を選択できるので、施工する道路の状態に合わせて側溝ブロック1の排水路7の形状を変えることができる。特に、集水桝14に向けて排水路7の深さが段階的に深くなるように少なくとも二種類の側溝ブロック1を選択することで、集水桝14に向けて雨水等をスムーズに排水する側溝構造を提供することができる。そして、複数種類の境界ブロック2および側溝ブロック1の中から1組の境界ブロック2および側溝ブロック1を適宜に選択し、組み合わせることで、様々な道路の状態に対応した側溝構造を容易に施工することができる。また、側溝ブロック1の規制面10bと境界ブロック2の側面との間に接合材12を充填したので、境界ブロック2を側溝ブロック1に強固に固定した側溝構造を提供することができる。加えて、接合材12が楔状に形成されるため、境界ブロック2の浮き上がりやガタつきを防止することができる。
【0040】
ところで、境界ブロックおよび側溝ブロックは、上記した実施形態に限られない。図7および図8に第2の実施形態における境界ブロック2'および側溝ブロック1'を示す。第2の実施形態における境界ブロック2'では、図7に示すように、その車道4側の側面に反射板24(本発明における反射面材に相当)を備えている。本実施形態の反射板24は、境界ブロック2'の長手方向に亘って細長い長方形状に形成されている。また、反射板24の下端は、側溝ブロック1の嵌合段部10と干渉しないように、境界ブロック2'の下端からの高さが嵌合段部10の規制面10bの高さよりも高くなるように設定されている。このような反射板24を備えた境界ブロック2'は、境界ブロック2'を成型する際に予め型の中に反射板24を入れておくことで形成することができる。あるいは、境界ブロックの本体を成型した後で、反射板24を貼着しても良い。
【0041】
このように、境界ブロック2'の車道4側の側面に反射板24を備えたので、暗い場所でも車やバイク等のヘッドライトの光が反射して、運転手に境界ブロック2'の位置をはっきり確認させることができ、また、反射板24が境界ブロック2'の接続方向に沿ってほぼ連続した線あるいは点線状に見えるので、運転者の意識を反射光によって道路の延在方向に自然と誘導して蛇行運転を防止し、容易に安全運転を実行できる効果を奏する。なお、本実施形態の境界ブロック2'を備えた側溝構造の施工方法は、上記した実施形態と同様であるため、説明を省略する。また、境界ブロック2'の形状は、上記した実施形態と同様に、道路の状態に合わせて側面及び上面の傾斜角、並びに、高さを変えることができる。
【0042】
第2の実施形態における側溝ブロック1'では、図8に示すように、その上面に、車両の通行により振動を発生するための凸部25が設けらた警告発生面26を備えている。具体的には、警告発生面26は、側溝ブロック1'の排水路7を挟んだ車道4側の上面に設けられ、車道4の一部を構成している。また、警告発生面26の幅は、側溝ブロック1'の排水路7を挟んだ歩道5側の上面の幅よりも広く形成されている。この警告発生面26の表面には、側溝ブロック1'の連設方向に対して直交する向きに延びた筋条の凸部25が、側溝ブロック1'の連設方向に沿って複数並設されている。なお、この凸部25は、側溝ブロック1'の排水路7を挟んだ歩道5側の上面に設けてもよい。この場合は、側溝ブロック1'の排水路7を挟んだ歩道5側の上面も警告発生面26となる。
【0043】
このように、側溝ブロック1'の上面に、車両の通行により振動を発生するための凸部25が設けらた警告発生面26を備え、該警告発生面26を車道4の一部としたので、車道4を通行する車やバイク等が側溝ブロック1'に近づいたときに、運転手に注意を喚起することができる。これにより、車やバイク等が境界ブロック2に衝突する事故を防止できる。また、この側溝ブロック1'と車道4側の側面に反射板24を備えた境界ブロック2'とを有する側溝構造では、反射板24へ車やバイク等が接触することを防止でき、反射板24が破損することを抑制できる。なお、本実施形態の側溝ブロック1'を備えた側溝構造の施工方法は、上記した実施形態と同様であるため、説明を省略する。また、側溝ブロック1'の形状は、上記した実施形態と同様に、道路の状態に合わせて排水路7の内部空間の断面積を変えることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 側溝ブロック
2 境界ブロック
4 車道
5 歩道
7 排水路
7a段差部
8 グレーチング
9 パッキン
10 嵌合段部
10a載置面
10b規制面
12 接合材
14 集水枡
15 集水路
16 連通口
17 蓋配置空間
17a段差部
18 排水溝
19 集水枡嵌合段部
21 路盤
22 舗装層
24 反射板
25 凸部
26 警告発生面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩道側となる幅方向の一側端部に上面から一段下がった嵌合段部が設けられ、内部に排水路が形成された側溝ブロックと、
前記側溝ブロックの嵌合段部に載置される境界ブロックと、
を備えた側溝構造の施工方法であって、
側面及び上面の傾斜角、並びに、高さが異なる複数種類の境界ブロックの中から少なくとも一種類の境界ブロックを選択する選択工程と、
車道と歩道の境界に沿って複数の側溝ブロックを、予め予定した線上に各嵌合段部が一連に接続した状態で配置する側溝ブロック施工工程と、
前記側溝ブロックの嵌合段部に前記境界ブロックの一側端部を嵌合して載置する境界ブロック載置工程と、
を含むことを特徴とする側溝構造の施工方法。
【請求項2】
前記選択工程は、排水路の内部空間の断面積が異なるが、排水路の上面開口幅及び嵌合段部の形状が揃えられた複数種類の側溝ブロックの中から少なくとも一種類の側溝ブロックを選択することを特徴とする請求項1に記載の側溝構造の施工方法。
【請求項3】
前記選択工程は、集水枡に向けて排水路の深さが段階的に深くなるように少なくとも二種類の側溝ブロックを選択することを特徴とする請求項2に記載の側溝構造の施工方法。
【請求項4】
前記側溝ブロックの嵌合段部は、水平な載置面と、該載置面の車道側の端部から載置面に対して起立した規制面と、を有し、
前記境界ブロックの側溝ブロック側の側面は、前記載置面に一側端部が載置された状態において、上端縁が当該規制面とは反対側に位置する方向に傾斜し、
前記境界ブロック載置工程の後に前記規制面と前記境界ブロックの側溝ブロック側の前記傾斜側面との間に形成された隙間に接合材を充填する接合工程を含むことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の側溝構造の施工方法。
【請求項5】
歩道側となる幅方向の一側端部に上面から一段下がった嵌合段部が設けられ、内部に排水路が形成された側溝ブロックと、
前記側溝ブロックの嵌合段部に載置される境界ブロックと、
を備え、
車道と歩道の境界に沿って複数の側溝ブロックを、予め予定した線上に各嵌合段部が一連に接続した状態で配置し、各側溝ブロックの嵌合段部に前記境界ブロックの一側端部を嵌合して載置して構成したことを特徴とする側溝構造。
【請求項6】
前記境界ブロックの車道側の側面に反射面材を備えたことを特徴とする請求項5に記載の側溝構造。
【請求項7】
前記側溝ブロックの車道側上面に、車両の通行により振動を発生するための凸部が設けらた警告発生面を備え、
該警告発生面を車道の路面と連続する面としたことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の側溝構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−87529(P2013−87529A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230268(P2011−230268)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(391052264)新興工材株式会社 (11)
【出願人】(508048986)株式会社D.C.Tアイ (3)
【Fターム(参考)】