説明

側溝清掃装置

【課題】本発明は道路側面における側溝の清掃を側溝蓋を外すことなく行うことができる側溝清掃装置に関し、水を使用することなく側溝からの土砂の効率的大量回収が可能であり、側溝内の堆積物の掻き取り作用がそのまま側溝内での自走を惹起せしめえる手段としても機能させえ得、効率に優れ、かつ構造的な単純化を図りえるようにすることを目的とする。
【解決手段】回収された土砂の集積容器を備えた地上走行車は側溝内部走行体22の格納庫を備え、側溝清掃時に側溝内部走行体22は格納庫よりホース18と共に繰り出され、側溝Gの内部に導入される。側溝内部走行体22は回転式の掘削具26を備え、掘削具26は側溝Gの底面に堆積した土砂を掻き取りつつ側溝内部走行体22をして側溝G内部において自走せしめ、掻き取られた土砂は繰り出されたホース18を介し地上走行車における集積容器に集積される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は道路側面における側溝の清掃を側溝蓋を外すことなく行うことができる側溝清掃装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
側溝の清掃を側溝蓋を外すことなく行う側溝清掃車としては、側溝内を走行しつつ土砂の回収を行う回収部を備えたものが公知である(特許文献1〜3)。特許文献1では、走行部(回収部)はブラシ部を備え、ブラシ部の回転により土砂を掃き飛ばし、掃き飛ばされた土砂は走行部に設けられるタンク部に保持される。
【0003】
特許文献2では洗浄装置(回収部)は給水ホースより送り込まれた高圧水の斜め下方の噴射により浮揚されつつ側溝の底面を移動し、側溝底面に堆積した汚泥は押し出され、除去される。
【0004】
特許文献3では走行機枠(回収部)は走行輪及び走行輪の回転駆動モータを備えて、側溝を自走可能であり、また走行機枠の前面には掻き取りブラシが設けられ、掻き取りブラシにより掻き取られた吸引下で排出管を介してバキュームカー内のタンクに吸引・移送される。
【特許文献1】特開2003−184169号公報
【特許文献2】特開2002−213015号公報
【特許文献3】特開平9−250167公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の従来技術は側溝蓋を外すことなく自走式の回収部で土砂を掃き飛ばし回収を行うことができるが、掃き飛ばされた土砂は走行部に設けられるタンク部に保持するもので、回収部は側溝中を走行可能なサイズのものであるため保持可能な土砂の量に大きな制限がある。特許文献2の技術は回収部の自走は水圧により行うものであり、また土砂の回収も水圧に依拠するため、回収された土砂に水が混じることになり、水が混入した土砂は廃棄物扱いとなるためその処理費用が嵩む問題点がある。また、汚泥を前方に吹き飛ばすと、次第に土砂が嵩高くなり前進できなくなるし、装置の搬入と洗浄ホースのセットを前方から行っており、このホースの挿入動作には無理がある。引用文献3の技術は回収部を走行させながら、掻き取りブラシによる機械的な作用により土砂を回収し、地上のバキュームカー内のタンクに吸引・移送させるもので、大量の処理が可能であり、また、乾燥状態での土砂の回収が可能であり、回収された土砂は廃棄物扱いされず、建設現場等の埋め立て材として資源化することができる。しかしながら、掻き取りブラシは前面設置で自走能力はなく回収部の走行のため専用の走行輪及びそのための回転駆動モータの設置が必要であり、電力効率としてはその分悪化し、構造の複雑化は避け得ない。また、この方式ではホースの自重を引き込む駆動力は得られず車輪の走行力のみ依存するのは限界があるし、押し付け車輪部はブラシが清掃しない所であり、押し当てができない。また、引用文献1〜3に共通するが、装置の搬入や運搬方法如何につき何も記載がなく、現実的ではない。
【0006】
本発明はこのような従来技術の問題点を解決し、水を使用することなく側溝からの土砂の効率的大量回収が可能であり、側溝内の堆積物の掻き取り作用がそのまま側溝内での自走を惹起せしめる手段としても機能させえ得、効率に優れ、かつ構造的な単純化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による側溝中の堆積物の清掃のための側溝清掃装置は、側溝に沿ってその底面を走行し、回収された土砂の集積容器を備えた地上走行車と、側溝に堆積した土砂を掻き取りつつ側溝の内部を自走する側溝内部走行体と、側溝内部走行体と地上走行車の集積容器とを連結し、回収された土砂を地上走行車の前記集積部に吸引下で搬送するための長手方向では実質的に剛直であり、横方向には可撓性を具有するホースと、可撓性ホースの繰り出し及び引き戻しを行うべく可撓性ホースの駆動を行う駆動手段とを具備し、側溝内部走行体は側溝の底面に堆積した土砂を掻き取りつつ側溝内部走行体をして側溝内部において自走せしめるための掘削具を具備して成る。
前記駆動手段は可撓性ホースを跨いで一対配置される弾性ローラを備え、前記弾性ローラは内部圧力に応じて可撓性ホースを挟着しつつ回転することにより長手方向に剛体である可撓性ホースの繰り出し及び引き戻しを行うことができる。
【0008】
前記掘削具は、側溝の幅と実質的に平行な方向に延びる中心軸と、前記中心軸に軸線方向に沿って適宜間隔を置いた複数の掘削部材とを備えることができる。
【0009】
前記走行台車に通常時に側溝内部走行体を走行台車上に格納する格納部を備え、清掃時に側溝内部走行体は格納部より側溝に向けて繰り出される。
【0010】
前記格納部は、側溝内部走行体の昇降手段と、繰出及び巻取時における可撓性ホースの案内手段を備え、この案内手段は一連の鼓形状等の案内ローラから構成することができる。
【0011】
側溝内部走行体はその車体に加振器を備え、側溝内での側溝内部走行体の摩擦膠着時に側溝内部走行体全体を加振することで摩擦抵抗を排除することができる。
【0012】
側溝内部走行体を真直状態と屈曲状態とで切り替え的に支持する屈伸支持手段を具備しており、集水枡部への挿入と抜き出しとを自在に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明になる側溝中の堆積物の清掃のための側溝清掃装置は、地上走行車に土砂の集積容器及び側溝内部走行体を設け、側溝内部走行体は可撓性ホースによって土砂の集積容器によって連結され、内部圧力可変型弾性ローラ等より構成されることで可撓性ホースの繰り出し及び引き込みを行う可撓性ホース駆動手段を備えており、更に側溝内部走行体は側溝の底面に堆積した土砂を掻き取りつつ側溝内部走行体をして側溝内部において自走せしめるための掘削具を備えているため、側溝内部走行体をして側溝内部を自走させつつ長手方向に剛体であるホースの積極的繰り出し若しくは引き戻しを行うことで、可撓性ホースが届きうる側溝内部の任意の位置で、効率的に土砂の掻き取りを行い、かつそこで掻き取られた土砂を可撓性ホースを介して地上走行車上の集積容器に吸引式に回収することができ、水を使用することなく側溝からの土砂の効率的大量回収が可能となる効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は走行車に搭載した状態でのこの発明の側溝清掃装置の概念構成を示す模式的斜視図である。
【図2】図2はこの発明の側溝清掃装置による側溝清掃作業を模式的に示す斜視図である。
【図3】図3は一対の弾性ローラによる可撓性ホースの繰り出し及び引き戻しのための機構(ホース駆動手段)の概略断面図である。
【図4】図4は図3の機構の平面図である。
【図5】図5はこの発明の実施形態の側溝清掃装置の正面図であり、走行車への格納状態にて示している。
【図6】図6は格納状態におけるこの発明の第1の実施形態の側溝清掃装置の側面図(図5のVI方向より見た矢視図)である。
【図7】図7は格納状態におけるこの発明の第1の実施形態の側溝清掃装置の平面図(図6のV方向より見た矢視図)である。
【図8】図8はこの発明の第1の実施形態の側溝清掃装置における側溝内部走行体22の平面図である。
【図9】図9は図8の側溝内部走行体22の正面図(図8のIX方向より見た矢視図)である。
【図10】図10は図8の側溝内部走行体22の側面図(図8のX方向より見た矢視図)である。
【図11】図11は図8の側溝内部走行体22の背面図(図8のXI方向より見た矢視図)である。
【図12】図12は図5と同様にこの発明の第1の実施形態の側溝清掃装置の正面図であるが、側溝内部走行体22を真直状態にて示すものである。
【図13】図13は図6と同様にこの発明の第1の実施形態の側溝清掃装置の側面図(図12のXIII方向より見た矢視図)であるが、側溝内部走行体22を伸張状態にて示すものである。
【図14】図13は図7と同様であるが真直状態におけるこの発明の第1の実施形態の側溝清掃装置の平面図(図12のXIV方向より見た矢視図)である。
【図15】図15は側溝内部走行体22の屈曲状態におけるこの発明の第1の実施形態の側溝清掃装置の正面図である。
【図16】図16はこの発明の第1の実施形態の側溝清掃装置の側面図(図15のXVI方向より見た矢視図)であるが、屈曲させることにより側溝内部走行体を側溝内部に繰り出した状態にて示すものである。
【図17】図17は図15の側溝内部走行体22の繰り出し状態におけるこの発明の第1の実施形態の側溝清掃装置の正面図(図16のXVII方向より見た矢視図)である。
【図18】図18はこの発明の第2の実施形態の側溝清掃装置における側溝内部走行体の平面図である。
【図19】図19は図18の側溝内部走行体の正面図(図18のXIX方向より見た矢視図)である。
【図20】図20は図18の側溝内部走行体の側面図(図18のXX方向より見た矢視図)である。
【図21】図21は図18の側溝内部走行体22の背面図(図18のXXI方向より見た矢視図)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1はこの発明の側溝清掃装置の全体像を簡明に把握せしめるため側溝清掃装置を模式化して表す斜視図であり、地上走行車10(車輪を11にて示す)は側溝に沿って移動し、側溝蓋を装着したままで側溝から土砂を除去し、除去された土砂を集積する機能を備えている。地上走行車10の車体12上には側溝から回収された土砂の集積のための土砂集積容器(タンク)14、土砂集積容器14の上流に設けられる土砂吸引機16、土砂を搬送するための蛇腹状でかつ可撓性のホース18と、可撓性のホース18の繰り出し及び引き戻しを行う内部圧力可変の一対の弾性ローラ19A, 19B(本発明のホース駆動手段)と、ホース巻取ドラム20(本発明の可撓性ホースの保持部)、側溝に沿って自走し、土砂の掻き取り及び吸引を行う側溝内部走行体22及び通常時に側溝内部走行体22を車体上に格納し、清掃時に側溝内部走行体22をホース18と共に繰り出し、側溝内部に導入する昇降型の格納庫(格納部)24とが備えられる。側溝内部走行体22は掘削具26及び吸引口28を備える。図2は側溝清掃動作を模式的に説明するもので、側溝内部走行体22は格納庫24より降ろされ、集水枡より側溝蓋を装着したままU断面形状の側溝G(図2は簡明のため側溝蓋を図示していないが側溝蓋は装着のままである)内に導入され、弾性ローラ19A, 19Bの前方回転により可撓性ホースが繰り出され、同時に掘削具26が前方回転駆動されることにより掘削具26は側溝に堆積した土砂Sの掻き取りを行いつつ側溝内部走行体22は側溝G内をその長手方向に沿って自走せしめられ、土砂は吸引口28にて吸引され、ホース18より地上走行車10上の土砂吸引機16を介して土砂集積容器14に回収集積される。側溝内部に沿って側溝内部走行体22が自走するに従い、弾性ローラ19A, 19Bの前方回転によりホース18はドラム20から繰り出されて行く。従って、地上走行車10をその位置に停止させつつ、ドラム20から側溝に繰り出しうるホース18の長さに応じた長さの側溝の清掃が側溝蓋を装着したまま可能である。弾性ローラ19A, 19Bの後方回転によりホース10は引き戻され、側溝内部走行体22は後退する。
【0016】
この発明において、ホース18は全長に渡り内部を金属若しくは合成樹脂製補強材で補強したもので、長手方向には実質的には剛体であり、弾性ローラ19A, 19Bにより長手方向には実質的に座屈することなくホース18の繰り出し及び引き戻しが自在である。しかしながら、屈曲方向には比較的大きなRをもって曲げることができ、この意味での可撓性を具有しており、集水枡などの開口部位から側溝内への導入をホースを必要なだけ屈曲させて行うことができる。また、弾性ローラ19A, 19Bによる可撓性ホース18の駆動方式を図3及び図4により更に説明すると、この駆動方式は特開平06−153355号公報において電気ケーブルの駆動方式として提案されているものと同様の構成であり、弾性ローラ19A, 19Bはゴム等の弾性材にて略球体に形成され、球体内部圧力は調整可能となっている。弾性ローラ19A, 19Bの回転軸19A-1, 19B-1は噛合歯車19A-2, 19B-2により反対方向に回転せしめられ、インバータ方式等により可逆回転数制御可能な駆動モータ19により弾性ローラ19A, 19Bは回転駆動される。可撓性ホース19は弾性ローラ19A, 19B間に挟着され、モータ19の回転方向によりホース18の繰り出し若しくは引き戻しを切り替え、かつ弾性ローラ19A, 19Bの内部圧力を適当に調整することで、ホース18に対する接圧を最適とすることができ、ホース18に対する接触部で弾性ローラ19A, 19Bが適当に変形することでホースに対する磨耗等による早期の損傷は回避しつつホースの所望の繰り出し若しくは引き戻しを行うことができる。
【0017】
この発明の側溝清掃装置の第1の実施形態の構成を詳細に説明すると、この第1の実施形態はU断面形状の側溝の清掃を意図したものであって、図5〜図7はこの発明の側溝清掃装置の収納時を示し、図5に示すように、格納庫24は車体12に直立固定される垂直フレーム30を備え、垂直フレーム30には昇降体32が上下両側の案内ローラ33(図6も参照)によって昇降可能に設けられる。チェーン34は昇降体32に固定されると共に上下のスプロケット36, 38間に巻き掛けられ、下側スプロケット38の回転軸は回転駆動モータ40(図5)の回転軸に連結される。そのため、回転駆動モータ40の回転駆動によって昇降体32は垂直フレーム30に沿って昇降される。図5における昇降体32の実線は昇降体32の最上昇位置を示し、破線32´は最下降位置を示す。この発明の側溝内部走行体の昇降手段は垂直フレーム30、昇降体32、案内ローラ33、チェーン34及び回転駆動モータ40により構成される。
【0018】
図5に示すように昇降体32は外部本体32-1と内部本体32-2より成る入れ子構造により水平方向に伸縮可能であり、図5の格納状態では内部本体32-2は外部本体32-1に収容される。外部本体32-1と内部本体32-2との間に油圧シリンダ41(図7)が配置され、図5及び図7では油圧シリンダ41のピストンロッドは収縮状態にあり、側溝内部走行体22は図5に示すように車体12側面に対して最近接位置にある。ピストンロッドを伸張させることにより外部本体32-1に対し内部本体32-2が飛び出され、側溝内部走行体22は車体から離間するように位置せしめることができる(後述の図12及び図14はピストンロッド41-1の伸張状態を示す)。また、チェーン34を昇降体32の外枠に固定し、外部本体32-1を外枠に対して横方向移動可能に構成することで、横方向の移動量として外部本体32-1の移動量と内部本体32-2の移動量との和という大きな移動量を得ることができるようにする構成も任意である。昇降体32の内部本体32-2の端部にはホース18及び側溝内部走行体22の懸架支持のための垂直支持フレーム42が固定され、垂直支持フレーム42には鼓形状のホース案内ローラ44がホース進路である垂直方向に離間して複数対設けられる。垂直支持フレーム42上の鼓形状のホース案内ローラ44が本発明の可撓性ホースの案内手段を構成する。ホース18はその繰り出し及び巻取のためホース案内ローラ44間に挟着される(図1も参照)。ホース巻取ドラム20(図1)からのホース18はホース案内ローラ44により両側にて案内されつつ図5に示すように垂直支持フレーム42を上から下に延び、下端が側溝内部走行体22の吸引口28まで延びている(図6参照)。上述のように側溝清掃装置は図5から図7においては地上走行車10への格納状態にあり、この格納状態においては側溝内部走行体22は図6に明瞭に示すように車体12の幾分上方位置に水平姿勢にて屈曲保持されている。側溝内部走行体22を水平姿勢に保持する機構について説明すると、図6に示すように、油圧シリンダ46及び支持アーム48より成り、側溝内部走行体を真直状態と屈曲状態とで切り替え的に支持する屈伸支持手段が具備せしめられ、油圧シリンダ46及び支持アーム48の上端は支持フレーム42に枢着され、下端は側溝内部走行体22のための支持ハウジング50に枢着される。格納状態では図6に示すように油圧シリンダ46のピストンロッド46-1は収縮されており、支持ハウジング50は水平姿勢をとり、支持ハウジング50内には吸引口28の後端延長部28-1が収容されており、側溝内部走行体22は水平姿勢を確保している。
【0019】
支持ハウジング50は図1〜図4にて説明した弾性ローラ19A, 19Bの支持体としても機能するもので、図6及び図6等には簡略化してのみ図示されているが、図1〜図4と同様に構成され、ホース18は図7に略示するように弾性ローラ19A, 19Bの間に挟着され、図6のモータ19-3の出力軸の回転によりホース18の繰り出し若しくは引き戻しを自在に行うことができる
【0020】
側溝内部走行体22の詳細構成は図8〜図11に示され、吸引口28は後端において支持ハウジング50(図1も参照)に連結され、支持ハウジング50の後端はホース18に開口しており、吸引口28から吸引された土砂は支持ハウジング50を介してホース18に吸引可能となっている。吸引口28の上面には回転駆動モータ51がモータハウジング52に収容するように設けられ、回転駆動モータ51の駆動軸は傘歯車53, 54を介して中間軸56に連結され、中間軸56はスプロケット57、チェーン58及びスプロケット57´(図10)を介して掘削具26に連結され、回転駆動モータ51の回転により掘削具26は矢印fのように下向き回転駆動され、側溝の底面に堆積した土砂は掘削具26の回転により掻き取られると同時に側溝内部走行体22は側溝に沿って自走せしめられる。側溝内での側溝内部走行体22の自走を円滑化するため、支持ハウジング50からは横方向に案内棒58が両側に突出され(図8参照)、案内棒58の自由端には案内部材60が設けられる。両側に突出する案内棒58において案内部材60の間隔は図9に示すように側溝Gの幅に対して側溝内部走行体22の側溝に沿って案内しつつ円滑な動きには支障のないよう適切に設定される。
【0021】
掘削具26は図8に示すように吸引口28の前方に吸引口28の開口端28Aに近接して位置しており、掘削具26は、図9に示すように、側溝の幅と実質的に平行な方向に延びる中心軸62と、中心軸62に軸線方向に沿って適宜間隔を置いて夫々が半径方向に延びる複数の掘削ブレード(掘削部材)64とを備え、各掘削部材64は回転方向における前方で側溝の堆積物と係合するべく回転方向後方に曲折された係合部64-1(図10)を備える。掘削具26による側溝内部走行体22の自走を円滑にするため、軸線方向に沿って掘削ブレード64は円周方向に90度といった角度で順次ずれて配置されている。掘削具26の回転は図10の矢印fのように下向きであり、このような回転によって掘削ブレード64の先端係合部64-1は側溝の底面に堆積した土砂に食い込み、土砂を掻き取りつつ側溝内部走行体22を図10の矢印gのように前方に自走せしめる。同時にモータ19-3により弾性ローラ19A, 19Bを前方回転させることにより、弾性ローラ19A, 19B間に挟着されたホース18は繰り出され、掘削具26の自走及びホース18の繰り出しの協働によって土砂の掻き取りが効率的に進行してゆく。
【0022】
図8において、モータハウジング52内には回転駆動モータ51と隣接して加振器66が設けられる。側溝内部走行体22が側溝内部を自走中に掘削具26が堆積土砂に食い込むことなどによる摩擦抵抗により膠着し、スムースな動きが得られなくなったとき、加振器66が側溝内部走行体22全体を振動させることで、摩擦による抵抗を断ち切り、側溝内部走行体22の自走を継続せしめるように機能するものである。
【0023】
この発明の側溝清掃装置の動作を図12〜図17も参照して説明すると、側溝清掃装置は収納時は図5から図7に示すように走行車に格納した状態にあり、清掃が必要となる側溝の部位まで走行車10により運ばれる。尚、この格納状態において、車両法に準拠した車幅と最低地上高、最高車両高さを確保するようにされていることは言うまでもない。要清掃の側溝における集水枡部等における鋼鉄製格子(周知のように側溝に適当な間隔を置いて設置されている)が外される。清掃車に具備された油圧装置より分岐した油圧源からの油圧により、図7の油圧シリンダ41のピストンロッド41-1が伸張され、昇降体32における内部本体32-2が外部本体32-1から伸張され(図12及び図14にはピストンロッド41-1が図7及び図6の収縮状態から伸張することにより内部本体32-2が外部本体32-1から飛び出した状態が示される)、内部本体32-2に懸架される支持フレーム42の下端に設けられる側溝内部走行体22が側溝Gの上方位置に整列する位置まで横移動される。側溝内部走行体22の移動量が側溝内部走行体22を側溝Gの上方位置に整列せしめるために不足の場合は外部本体32-1自体をその外枠に対して横移動可能な構造として、横移動量を増大させるようにすることも可能である。他方走行車側においては油圧シリンダ46のピストンロッド46-1が伸張され、油圧シリンダ46及び支持アーム48は図6の矢印hのように下向きに鉛直状態まで回動される。図13には油圧シリンダ46のピストンロッド46-1が完全伸張された状態(真直状態)が示される。また、回転駆動モータ40の回転はチェーン34を介して昇降体32を図5の最上位置から図12及び図13のように最下位置に向けて下降せしめる。昇降体32の下降により側溝内部走行体22は垂直姿勢にてその両側の案内部材60の案内を受けつつ鋼鉄製格子を取り外した部位において図12に示すようにU断面形状の側溝G内に導入され、掘削具26は側溝Gの底面に堆積した土砂に係合せしめられる。同時に、弾性ローラ19A, 19Bの適宜の前方回転によりホース18の繰り出しも行われる。そして、回転駆動モータ51の駆動により図10に関連して説明のように、回転駆動モータ51の出力軸の回転はギヤ53, 54及びスプロケット57、チェーン58及びスプロケット57´介して掘削具26に伝達され、掘削具26は垂直姿勢を維持したまま矢印fのように下向きに回転せしめられ、掘削具26の回転により側溝Gの底面に堆積した土砂の掻き取りが行われる。掻き取られた土砂は吸引口28及びホース18を介して吸引され、地上車の土砂集積容器(図1の模式図において14にて示される)に集められる。
【0024】
鋼鉄製格子を取り外した部位において側溝Gの底面に堆積した土砂の掻き取りがされた後、油圧シリンダ46への油圧導入方向の切り替えが行われ、ピストンロッド46-1は収縮され、側溝内部走行体22は側溝G内での垂直姿勢(図12〜図14)から水平姿勢に姿勢を転ずる(図15〜図17)。このとき、昇降体32を適宜昇降せることにより、垂直姿勢から水平姿勢に姿勢を転ずる側溝内部走行体22が側溝Gの壁面と干渉しないようにすることができる。ホース18は曲げ方向には可撓性を具備しており、垂直姿勢から水平姿勢への昇降体32の姿勢変更に追随することができる。そして、弾性ローラ19A, 19Bにホース繰り出し方向の回転を付与しつつ回転駆動モータ51の駆動により掘削具26が下向き回転(図16の矢印f)せしめられ、弾性ローラ19A, 19Bの回転によりホースより側溝内部走行体22を介して掘削具26に加わる前進方向の力の下で掘削具26の回転により側溝Gの底面に堆積した土砂の掻き取りが行われ、高効率の作業が実現する。また、掘削具26が下向き回転するため側溝内部走行体22は側溝に沿って両側の案内部材60にて案内を受けながら長手方向に自走せしめられ、側溝蓋Lによって上から閉塞された側溝Gの部位においても、ホース18の伸張が可能な長さ範囲内である限りは、側溝の清掃が可能になる。側溝内部走行体22が案内部材60による案内を受けながら側溝G内を自走する様子は図2にも模式的に示されている。
【0025】
ホース18の伸張が可能な長さ範囲内での清掃が完了すると、回転駆動モータ51、即ち、掘削具26は逆転されるため、側溝内部走行体22は後退され、同時に弾性ローラ19A, 19Bの回転方向も逆転され、ホース18はその長さ方向の剛性により押し戻され、ホース巻取ドラム20に巻き取られてゆく。側溝蓋の部位まで側溝内部走行体22の後退が行われると、油圧シリンダ46のピストンロッド46-1を伸張させることで、側溝内部走行体22を水平姿勢から垂直姿勢に直しつつ昇降体32を上昇させることで、側溝内部走行体22を側溝から取り出すことができる。そして、作業車を次の作業部位まで移動させ、以下、図12以降の説明と同様な作業の繰り返しにより側溝の清掃を継続することができる。
【0026】
図18から図21は別実施形態の側溝内部走行体122を示し、この実施形態では側溝内部走行体122は円形断面(パイプ形状)の側溝P(図19)の清掃を可能とするものであり、掘削輪126に具備せしめられる掘削ブレード(掘削部材)164は図18に示すように幅方向の両側が低く中央が高くなっていて円形断面の側溝Pの底面に堆積した土砂の掘削が可能である。また、吸引口128の底面128A(図19)も側溝Pの円形断面に準じた形状をなしている。更に、案内輪160は側溝の底面及び側面に加え上面にも設けられている。側溝の底面に堆積した土砂の掻き取りを行いつつ自走する側溝内部走行体122の動作は第1の実施形態と同様である。
【符号の説明】
【0027】
10…地上走行車
14…土砂集積容器
16…土砂吸引機
18…可撓性ホース
19A, 19B…弾性ローラ(ホース駆動手段)
19-3…弾性ローラの回転駆動モータ
20…ドラム
22…側溝内部走行体
24…格納庫
26…掘削具
28…吸引口
30…垂直フレーム
32…昇降体
42…垂直支持フレーム
44…ホース案内ローラ(ホース案内手段)
46…側溝内部走行体の真直状態と屈曲状態との切り替え用油圧シリンダ(屈伸支持手段)
50…側溝内部走行体のための支持ハウジング
51…掘削具の回転駆動モータ
60…側溝内での側溝内部走行体のための案内部材
62…掘削具の中心軸
64…掘削ブレード(掘削部材)
66…加振器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側溝中の堆積物の清掃のための側溝清掃装置であって、側溝に沿ってその底面を走行し、回収された土砂の集積容器を備えた地上走行車と、側溝に堆積した土砂を掻き取りつつ側溝の内部を自走する側溝内部走行体と、側溝内部走行体と地上走行車の集積容器とを連結し、回収された土砂を地上走行車の前記集積部に吸引下で搬送するための長手方向には実質的に剛直であるが、横方向には可撓性を具有するホースと、可撓性ホースの繰り出し及び引き戻しを行うべく可撓性ホースの駆動を行う駆動手段とを具備し、側溝内部走行体は側溝の底面に堆積した土砂を掻き取りつつ側溝内部走行体をして側溝内部において自走せしめるための掘削具を具備した側溝清掃装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発明において、前記駆動手段は可撓性ホースを挟着するべく一対配置される弾性ローラを備え、前記弾性ローラは内部圧力に応じて可撓性ホースを挟着しつつ正転若しくは逆転させることにより可撓性ホースの繰り出し若しくは引き戻しを行う側溝清掃装置。
【請求項3】
請求項1若しくは2に記載の発明において、前記掘削具は、側溝の幅と実質的に平行な方向に延びる中心軸と、前記中心軸に軸線方向に沿って適宜間隔を置いた複数の掘削部材とを備えた側溝清掃装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記走行台車に通常時に側溝内部走行体を走行台車上に格納する格納部を備え、清掃時に側溝内部走行体は格納部より側溝に向けて繰り出されるようにされる側溝清掃装置。
【請求項5】
請求項4に記載の発明において、前記格納部は、側溝内部走行体の昇降手段と、繰出及び巻取時における可撓性ホースの案内手段を備える側溝清掃装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の発明において、側溝内部走行体はその車体に加振器を備え、側溝内での側溝内部走行体の摩擦膠着時に側溝内部走行体全体を加振することで摩擦抵抗を排除するようにした側溝清掃装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の発明において、側溝内部走行体を真直状態と屈曲状態とで切り替え的に支持する屈伸支持手段を具備した側溝清掃装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−38304(P2011−38304A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186292(P2009−186292)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(301003159)国土交通省九州地方整備局長 (4)
【出願人】(391023518)社団法人日本建設機械化協会 (19)
【Fターム(参考)】