説明

側鎖に酸基を有するビニルポリマーを含む油中水エマルジョン、組成物、および方法

【課題】広範囲のpHにわたって安定した、油中水エマルジョンを提供する。
【解決手段】アニオン基含有側鎖およびアルキル−Y含有側鎖を含む4未満のpKaを有するビニルポリマーであって、YはOまたはNRであり、Rは水素またはメチルであり、前記アルキル−Y含有側鎖の前記アルキル基が、平均して少なくとも4個の炭素原子を、環状、分枝鎖状、または直鎖状の立体配置で有し、場合によって1個以上のヘテロ原子を含むビニルポリマーを含む、油中水エマルジョン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油中水エマルジョン、このようなエマルジョンを含む組成物、および方法に関する。エマルジョンは、たとえば、医用接着剤が付着する保湿用組成物(たとえば、保湿用スキントリートメント)、組織消毒製剤、化粧品等のパーソナルケア組成物、および薬物送達組成物に使用することができる。このようなエマルジョンは、安定しており、かつ哺乳動物の組織、一般的には皮膚に永続的であることが好ましい。
【背景技術】
【0002】
哺乳動物皮膚を処置および保護するためによく使用される保湿用ローションおよび軟膏は、その大部分が、水中油エマルジョンおよびクリーム剤、油中水エマルジョンおよびそれほど重要ではないが、単に油を主成分とする調合物からなる。使用される油は、一般に、皮膚上に使用することに関して化粧品業界により認められた、大きいグループの、美容上容認された油から選択される。好ましい油は、皮膚軟化特性を有する。概して、これらの製品は、塗布されている皮膚に、医療用テープ等の接着剤製品が接着する力を与えたり増強したりしない。
【0003】
ある種の油溶性アクリレートポリマーは、単独でまたは従来の保湿用油と組み合わせて、水中油または油中水エマルジョンの状態で、スキントリートメントを提供することが知られている。たとえば、油溶性アクリレートポリマーは、水泳または発汗によって日焼け止め剤が皮膚から剥がれるのを減らすために、油中水タイプの日焼け止め組成物に;皮膚保湿用組成物に;皮膚に局所塗布するための薬剤とともに;防蚊組成物に;リップルージュ、マスカラ、およびアイライナー等の化粧品組成物に、使用されてきた。永続的な(すなわち、簡単な擦過または水攻撃によって容易に除去されない)このようなスキントリートメントは、特に望ましい。
【0004】
低分子量油溶性アクリレートコポリマーを乳化剤として含有するスキントリートメント向けの油中水エマルジョン組成物は、米国特許第4,552,755号(ランデン(Randen)ら)および第6,200,596号(シュワルツミラー(Swartzmiller))に開示されている。これらの油溶性アクリレートポリマーを皮膚軟化用油とともに水中油エマルジョンまたは油中水エマルジョンの状態で使用するとき、結果として得られるものは、持続性の皮膚保湿効果を提供するスキントリートメントである。また、予想外に、これらの組成物は、感圧接着剤が、処置された皮膚に接着する力を増強する(または、著しく阻害しない)。これらのポリマーは、本発明まで、感圧接着剤の接着に重要であると考えられていた、アクリル酸等のカルボン酸官能モノマーから調製される。このような製品は、組織上で、高い永続性を有すると考えられる。
【0005】
米国特許第4,172,122号(クービク(Kubik)ら)は、アクリル酸等のカルボン酸官能モノマーは、水泳または発汗により日焼け止め剤が皮膚から剥がれるのを減らすために、日焼け止め製品等の製品に使用することができるアクリレートポリマーの調製に重要であることを教示している。このような製品は、組織上で高い永続性があると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アクリル酸等のカルボン酸官能モノマーは、安定した油中水エマルジョンの調製に重要であるとも、従来考えられてきた。しかしカルボン酸官能ポリマーは、一般に、低いpHで、たとえば、約5未満のpH、特に約4.5未満のpHで、油中水エマルジョンを安定化することができないことが分かっている。したがって、好ましくは広範囲のpH(たとえば、約3〜約12)にわたって安定した、油中水エマルジョンが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、油中水エマルジョン、好ましくは安定した油中水エマルジョンが提供される。本油中水エマルジョンは、ビニルポリマー、油相および水相を含む。ビニルポリマーは、好ましくは、哺乳動物(好ましくは、ヒト)組織(一般に皮膚、ならびに、粘膜組織および毛髪等の他の組織)に、保湿特性、永続性、および付着力増強(または付着力非阻害性)トリートメントを提供する。
【0008】
一実施形態において、本発明は、以下を含む油中水エマルジョンを提供する:アニオン基含有側鎖およびアルキル−Y含有側鎖を含む、4未満のpKaを有するビニルポリマーであって、YはOまたはNRであり、Rは水素またはメチルであり、アルキル−Y含有側鎖のアルキル基が、平均して少なくとも4個の炭素原子を、環状、分枝鎖状、または直鎖状の立体配置で有し、場合によって1個以上のヘテロ原子を含むビニルポリマー;油相;および水相。好ましくは、該ビニルポリマーは、アルコキシ含有側鎖のアルキル基が、平均して4〜50個の炭素原子を、環状、分枝鎖状、または直鎖状の立体配置で有し、場合によって1個以上のヘテロ原子を含む、アニオン基含有側鎖およびアルコキシ含有側鎖を含む。
【0009】
好ましくは、該アニオン基含有側鎖は、(SO3xM、(SO4xM、(PO3xM、(PO4xM、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される基を含み、式中、xは1または2であり、Mは、Na、K、Li、Ca、Mg、Zn、プロトン化された第一級アミン、プロトン化された第二級アミン、プロトン化された第三級アミン、第四級アミン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。より好ましくは、アニオン基含有側鎖は、硫酸基((SO4xM)、スルホネート基((SO3xM)、リン酸基((PO4xM)、ホスホネート基((PO3xM)、およびそれらの組み合わせを含む。
【0010】
より好ましくは、該ビニルポリマーは、式:
【化1】

(式中:R1は水素またはメチルであり;R2は、場合によって1個以上のヘテロ原子を含む直鎖状、分枝鎖状、または環状アルキル基である)を有する少なくとも1種のモノエチレン性不飽和アルキル(メタ)アクリルモノマー;および、式:
【化2】

(式中:XはOまたはNR5であり;R3およびR5は、それぞれ独立して水素またはメチルであり;R4は、場合によって1個以上のヘテロ原子を含む直鎖状、分枝鎖状、または環状のアルキレン、アリーレン、またはアラルキレン基であり;Aは、(SO3xM、(SO4xM、(PO3xM、または(PO4xMであり;xは1または2であり;Mは、H、Na、K、Li、Ca、Mg、Zn、プロトン化された第一級アミン、プロトン化された第二級アミン、プロトン化された第三級アミン、第四級アミン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。好ましくは、モノマーの場合、Mは水素である。)を有する少なくとも1種の低pKa酸含有モノマー、またはその塩を含むモノマーの反応生成物である。
【0011】
好ましくは、該ビニルポリマーを調製するために、約60〜約95質量%の少なくとも1種のモノエチレン性不飽和アルキル(メタ)アクリルモノマーおよび約5質量%〜約40質量%の少なくとも1種の低pKa酸含有モノマー、またはその塩が使用される。
【0012】
本発明は、本発明の油中水エマルジョン1つ以上を含む、保湿用組成物、組織消毒用組成物(すなわち、組織消毒剤)、パーソナルケア組成物、および経皮薬物送達組成物も提供する。組織消毒用組成物は、1種以上の抗微生物薬をさらに含み、経皮薬物送達組成物は、1種以上の医薬品をさらに含む。
【0013】
本発明は、このような組成物の使用方法も提供する。この中には、哺乳動物皮膚を保湿する方法、哺乳動物の組織(たとえば、皮膚または粘膜組織)を消毒する方法、および医薬品を哺乳動物に送達する方法が含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で使用される用語は以下の通りである:
「油中水エマルジョン」は、油が連続相を形成し、かつ水が不連続の小滴の状態である、油中水混合物を指す。油中水エマルジョンは、実施例のセクションに記載の方法に従って、電気エマルジョンテスターを使用することにより、水中油エマルジョンと区別することができる。水中油エマルジョンは、水がその外相すなわち連続相を形成するため、比較的低い抵抗で電気を通すが、油中水エマルジョンは、電気を通さないか、または電気をほとんど通さない。
エマルジョンに関するところでは、「安定した」は、実施例のセクションに記載のエマルジョン安定性テストプロトコール(Emulsion Stability Test Protocol)に準拠した1(好ましくは2、より好ましくは3)サイクルの凍結/解凍/遠心分離後、エマルジョンが、目に見える水分離を示さないことを意味する。
油中水エマルジョンにおける「油相」は、個々別々に、それらの水相における溶解限度を超える、製剤中の全成分を指す;これらは、概して、蒸留水中で1%未満の溶解度を有する材料であるが、塩類等の水相成分が、ある特定の油の溶解度を低下させ、結果として油相への分配を生じる可能性がある。
油中水エマルジョンにおける「水相」は、存在する水、および水溶性である、すなわち、水中でのそれらの溶解限度を超えていない、あらゆる成分を指す。
エマルジョンに関するところでは、「永続性」は、エマルジョンが、概して、水または擦過による、哺乳動物の組織(一般に皮膚)からの除去に抵抗することができることを意味し、好ましくは、永続的なエマルジョンは、哺乳動物の組織(一般に皮膚)に、バリヤー特性を与える(すなわち、外液による汚染に抵抗する)。
「感圧接着剤」または「PSA」は、乾燥粘着性を示し、ほんの弱い圧力(たとえば、指圧)を加えた後、多種多様な基材にしっかり接着する、粘弾性材料を指す。感圧接着剤を識別する周知の一方法は、Dahlquist基準である。この基準は、「Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology」、ドナタス・サタス(Donatas Satas)(編)、第2版、172ページ、ニューヨーク州ニューヨーク(New York,NY)のVan Nostrand Reinhold,1989年に記載の通り、感圧接着剤を、1×10-6平方センチメートル・パー・ダイン(cm2/dyne)より大きい1秒クリープコンプライアンスを有する接着剤と規定する。
「(メタ)アクリレートモノマー」は、アルコール類のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルである。
「ポリ(アルキレンオキシド)モノマー」は、本明細書では、ポリ(アルキレングリコール)モノマーと互換的に使用され、エチレン性不飽和ポリ(アルキレンオキシド)を指す。
「ポリマー」は、任意の長さのホモポリマーおよびコポリマーを含む。
「コポリマー」は、2種以上の重合可能なモノマーの任意の長さのポリマー(オリゴマーを含む)を含む、したがって、ターポリマー、テトラポリマー等々を含み、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、またはシーケンシャルコポリマーを含むことができる。
【0015】
本発明のエマルジョンは、アニオン基含有側鎖およびアルキル−Y含有側鎖を有し、式中、YはOまたはNRであり、Rは水素またはメチルであるビニルポリマー(すなわち、ビニル含有モノマー、一般にモノエチレン性不飽和モノマーから誘導されるポリマー)であって、4未満、好ましくは3未満のpKaを有するポリマー(および好ましくは、側鎖を形成するために使用されるモノマー);油相;および水相を含む。アルキル−Y含有側鎖は、アルキル−O基(すなわち、アルコキシ部分)またはRが水素またはメチルであるアルキル−NR基(すなわち、およびアルキルアミノ部分)であってもよい。好ましくは、アルキル−Y含有側鎖のアルキル基は、場合によって、鎖中または鎖上で、ヘテロ原子(たとえば、N、O、またはS)で置換された、(平均して)少なくとも4個の炭素原子を、環状、分枝鎖状、または直鎖状の立体配置で有する。「バックボーン」または「主鎖」に対して、本明細書で使用される「側鎖」または「分枝」は、ビニル重合によって形成される炭素原子の直鎖から枝分かれする2個以上の原子団である。必要に応じて、アニオン基およびアルキル−Y含有が同一側鎖にあってもよい。
【0016】
好ましくは、アニオン基含有側鎖の基は、(SO3xM、(SO4xM、(PO3xM、(PO4xM、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され、式中、xは1または2であり、Mは、Na、K、Li、Ca、Mg、Zn、プロトン化された第一級アミン、プロトン化された第二級アミン、プロトン化された第三級アミン、第四級アミン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。一価カチオン(たとえば、Na、K、Li)の場合、xは1であり、二価のカチオン(たとえば、Ca、Mg、Zn)の場合、xは2であることを、当業者は、理解するであろう。より好ましくは、アニオン基含有側鎖は、サルフェート基((SO4xM)、スルホネート基((SO3xM)、リン酸基((PO4xM)、ホスホネート基((PO3xM)、およびそれらの組み合わせを含む。
【0017】
このようなエマルジョンは、ビニルポリマー中のアニオン基含有側鎖の結果として、驚くほど安定している。ある種の添加物、たとえば、ヨウ素およびヨードフォアを使用することは、たとえば、約pH5未満、好ましくはpH4.2未満の、低いpHを有するエマルジョンを調合するために極めて望ましい。刺激を防ぐためには、pHは、約3より大きいことが好ましい。前述の通り、カルボン酸基を有するポリマーを含有するある種の油中水エマルジョンは、エマルジョンを安定化させることが過去に報告されていた。これらのカルボン酸含有ポリマーは、低pH値で、従来技術を代表するエマルジョンを安定化できないことが分かっていた。しかし、意外なことに、本発明の低pKa(すなわち、4未満のpKaを有する)アニオン基含有ポリマーは、約5未満のpHで、さらに約3という低いpHでも、非常に安定したエマルジョンをもたらす。理論に束縛されないが米国特許第4,552,755号(ランデンら(Randen))に開示されているもの等の、以前の組成物中のエマルジョン安定化は、カルボン酸基がイオン化される高いpHで達成されるにすぎないと考えられる。一般に、カルボン酸基を有するこれらのポリマーは、約4〜約4.5というpKa値を有し、したがってpH4で、カルボン酸基の大部分がプロトン化されるため、安定性に貢献することができず、その結果として、不安定な油中水エマルジョンが生じることになる。たとえば、アクリル酸のpKa(解離定数)は4.25である(「CRC Handbook of Chemistry and Physics」、56版、D−150ページ)。
【0018】
本発明のビニルポリマーは、たとえば、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル、酢酸ビニル、スチレン、N−ビニルラクタム、N−ビニルピロリドン、およびN−ビニルカプロラクタム等のビニルモノマーから誘導されるポリマーを含む。好適なビニルポリマーは、油相中で可溶性である(すなわち、透明な均一溶液を形成する)か、または分散可能であり、かつ水相中で不溶性であるかまたはやや溶けにくい傾向がある。好ましいビニルポリマーは油相中で可溶性である。より好ましいビニルポリマーは、1種以上のモノエチレン性不飽和(メタ)アクリルモノマーおよび1種以上のモノエチレン性不飽和低pKa酸性(すなわち、酸含有)(メタ)アクリルモノマーまたはそれらの塩類から誘導されるアクリレートポリマーである。
【0019】
発明の安定した油中水エマルジョンで有用な好ましいクラスのアクリレートポリマーとしては、少なくとも1種のモノエチレン性不飽和アルキル(メタ)アクリルモノマー、好ましくは、アルキル基が(平均して)少なくとも4個の炭素原子、かつ(平均して)22個以下の炭素原子を有する、アルキル(メタ)アクリル酸エステル(すなわち、アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレート)、および少なくとも1種のモノエチレン性不飽和低pKa酸含有モノマー、好ましくは、モノエチレン性不飽和スルホン酸(メタ)アクリル酸エステルモノマーの重合から誘導されるポリマーなどがある。結果として得られるポリマーの特性によって、ポリマーの調製に使用されるモノエチレン性不飽和(メタ)アクリル酸エステルは、ほんの少し短いアルキル基(たとえば、(平均して)少なくとも4個の炭素原子かつ(平均して)14個以下の炭素原子)、またはほんの少し長いアルキル基(たとえば、(平均して)少なくとも15個の炭素原子かつ(平均して)22個以下の炭素原子)を有してもよく、または短いアルキル基を有するモノエチレン性不飽和(メタ)アクリル酸エステル類の混合物を、長いアルキル基を有するモノエチレン性不飽和(メタ)アクリル酸エステルと組み合わせて使用してもよい。
【0020】
当然のことながら、組成物に調合されるとき、2〜12、確実に3〜12のpH値を有する低pKa酸含有モノマーから調製される本発明のポリマーは、低pKa酸性基のイオン化の結果、ためにアニオン性である。やはり当然のことながら、本発明のポリマーは、低pKa酸含有モノマーのほかにも、場合によってカルボン酸含有モノマーから調製される。
【0021】
アルキル(メタ)アクリルモノマー
本発明のエマルジョンに使用される好ましい1クラスのビニルポリマーは、少なくとも1種の共重合したモノエチレン性不飽和アルキル(メタ)アクリルモノマーを含有する。アルキル(メタ)アクリルモノマーに関して本明細書で使用される「モノエチレン性不飽和」は、アクリル系不飽和を指す。好ましくは、「アルキル(メタ)アクリル系」モノマーは、(メタ)アクリルアミド類(たとえば、オクチルアクリルアミド)、(メタ)アクリレート類、およびそれらの組み合わせを含む。より好ましくは、該アルキル(メタ)アクリルモノマーは、アルキル基が(平均して)少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリル酸エステル(すなわち、アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレート)である。好ましくは、該アルキル基は、50個以下の炭素原子、より好ましくは36個以下の炭素原子、最も好ましくは、(平均して)22個以下の炭素原子を有する。言い換えれば、これらの(メタ)アクリレートモノマーは、アルキルアルコール類(好ましくは、非第三級アルキルアルコール類)の(メタ)アクリル酸エステルであり、そのアルキル基は、好ましくは、(平均して)4〜22個の炭素原子を有する。これらの中で、1つの好ましいアルキル基は、(平均して)4〜14個の炭素原子、より好ましくは6〜8個の炭素原子を含む。別の好ましいアルキル基は、(平均して)14〜22個の炭素原子、より好ましくは18〜20個の炭素原子を含む。該アルキル基は、場合によってヘテロ原子を含有し、直鎖状、分枝鎖状、または環状であってもよい。
【0022】
好ましいアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、次の一般式(I):
【化3】

(式中、R1は水素またはメチルであり、後者は、(メタ)アクリレートモノマーがメタクリレートモノマーである場合に相当し、R2は、直鎖状、分枝鎖状、または環状アルキル基から広く選択され、場合によって、1個以上のヘテロ原子(たとえば、N、O、またはS)を含む)を有する。R2基中の炭素原子数は、アルキル−Y基(たとえば、アルコキシ基)のアルキル基に関して上に略述した通りである。
【0023】
本発明で有用な、短いアルキル基を有する好適な(メタ)アクリレートモノマーの例としては、n−ブチルアクリレート、デシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メチルブチルアクリレート、4−メチル−2−ペンチルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート等々が挙げられるが、この限りではない。これらの中で特に好ましいものは、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、およびそれらの混合物である。
【0024】
本発明で有用な、長いアルキル基を有する好適な(メタ)アクリレートモノマーの例としては、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルアクリレート、C14〜C32ガーベットアルコール類のアクリル酸エステル等々が挙げられるが、この限りではない。これらの中で特に好ましいものは、ステアリルメタクリレートである。モノエチレン性不飽和(メタ)アクリレートモノマーの様々な組み合わせを、本発明のエマルジョンに使用することができる。
【0025】
好ましくは、該モノエチレン性不飽和アルキル(メタ)アクリルモノマーは、重合可能な組成物の総重量を基準にして、少なくとも約60質量パーセント(60wt%)、より好ましくは少なくとも約75質量%の量で使用することができる。好ましくは、該モノエチレン性不飽和アルキル(メタ)アクリルモノマーは、重合可能な組成物の総質量を基準にして、約95質量%以下、より好ましくは約90質量%以下の量で使用することができる。
【0026】
低pKaモノマー
(未重合モノマーで測定するとき)4未満、好ましくは3未満のpKaを有する1つ以上のモノエチレン性不飽和酸含有モノマー、またはその塩類(すなわち、アニオン基含有モノマー)は、アルキル(メタ)アクリルモノマーと共重合させることができる。これらのモノマーは、エマルジョン安定性を改良するように、エマルジョンに使用するために選択される。
【0027】
好ましくは、酸含有モノマー、またはそれらの塩類は、(SO3xM、(SO4xM、(PO3xM、(PO4xM、およびそれらの組み合わせ等の基を含み、式中、xは1または2であり、Mは、H、Na、K、Li、Ca、Mg、Zn、プロトン化された第一級アミン、プロトン化された第二級アミン、プロトン化された第三級アミン、第四級アミン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。好ましくは、MはHである。一価カチオン(たとえば、H、Na、K、Li)の場合、xは1であり、二価のカチオン(たとえば、Ca、Mg、Zn)の場合、xは2であることを当業者は理解するであろう。
【0028】
現在、塩(すなわち、アニオン)形よりむしろ酸(すなわち、プロトン化された)形の、低pKa酸含有モノマーからビニルポリマーを合成することが好ましい。したがって、好ましくは、MはHである。しかし、本発明のエマルジョンで使用する場合、これらの基は2よりも大きい、特に3よりも大きいpH値でイオン化される。
【0029】
好ましい低pKa酸含有モノマー、またはそれらの塩類は、(メタ)アクリルモノマーであり、好ましくは、次式(II):
【化4】

(式中:XはOまたはNR5であり;R3およびR5は、それぞれ独立して水素またはメチルであり;R4は、場合によって1個以上のヘテロ原子(たとえば、N、O、およびS)を含む、直鎖状、分枝鎖状、または環状のアルキレン、アリーレン、またはアラルキレン基であり;Aは、(SO3xM、(SO4xM、(PO3xM、(PO4xMであり、xは1または2である)を有する。
【0030】
xが1のとき、M基は、H、Na、K、およびLiから選択される一価のイオンであってもよい。適切なイオン化学量論が保存されるのであれば(すなわち、xは2である)、M基は、Ca、Mg、およびZnから選択される二価のイオンであってもよい。xが1のとき、Mは、プロトン化された第一級、第二級、および第三級アミンならびに第四級アミン、たとえば、テトラメチルアミン、トリエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、2−アンモニウム−2−メチル−1、3−プロパンジオール、およびステアリルアンモニウム、等々から選択することも可能である。好ましくは、MはHである。
【0031】
より好ましくは、該酸含有モノマー、またはそれらの塩類としては、サルフェート基(M≠Hである、(SO4xM)、スルホネート基(M≠Hである(SO3xM)、スルホン酸(SO3H)、硫酸モノエステル基(SO4H)、ホスフェート基(M≠Hである(PO4xM)、ホスホネート基(M≠Hである(PO3xM)、ホスホン酸基(PO3H)、リン酸基モノエステル(PO4H)、およびそれらの組み合わせなどがある。最も好ましくは、出発モノマーの場合、MはHである(すなわち、モノマーは、プロトン化された形である)。当然のことながら、結果として得られる、主としてアニオン基(すなわち、塩)を含むポリマーは、少量の酸性(すなわち、プロトン化された)基が存在してもよい。
【0032】
SO4基およびPO4基は、酸素を介してR4に結合され、SO3基およびPO3基は、それぞれ、イオウまたはリンを介してR4に結合されることは、当業者に理解されるであろう。R4基は、平均して、好ましくは少なくとも2個の炭素、より好ましくは少なくとも3個の炭素、最も好ましくは少なくとも4個の炭素を有する。R4基は、平均して、好ましくは18個以下の炭素、より好ましくは14個以下の炭素、最も好ましくは12個以下の炭素を含む。
【0033】
好ましくは、該低pKaモノマーは、重合可能な組成物の総質量を基準にして、少なくとも約5質量%、好ましくは少なくとも約8質量%、より好ましくは少なくとも約10質量%で使用することができる。好ましくは、該低pKaモノマーは、重合可能な組成物の総重量を基準にして、約40質量%以下の量で使用することができる。
【0034】
任意のポリ(アルキレンオキシド)モノマー
1種以上のモノエチレン性不飽和ポリ(アルキレンオキシド)モノマーを、アルキル(メタ)アクリルモノマーおよび低pKaモノマーと共重合させることができる。モノエチレン性不飽和ポリ(アルキレンオキシド)モノマーは、エマルジョン安定性を改良するように、エマルジョンで使用するために選択される。好ましいモノエチレン性不飽和ポリ(アルキレンオキシド)モノマーは、モノエチレン性不飽和ポリ(アルキレンオキシド)(メタ)アクリルモノマーである。
【0035】
特に好ましいモノエチレン性不飽和ポリ(アルキレンオキシド)モノマーは、次の一般式(III):
【化5】

(式中:mは少なくとも2であり;pは0〜50であり;qは0または1であり;R6は水素またはメチルであり、およびR7は、水素であるか、または直鎖状または分枝鎖状のアルキル基および/またはアリール基である。この表現で、イソプロピレンオキシド基(「p」基)およびエチレンオキシド基(「m」基)は、逆、交互、ランダム、またはブロック立体配置で、配置されていてもよい。どのモノマーでも、mは、好ましくは少なくとも約4である。好ましくは、mは約115以下、より好ましくは約45以下、最も好ましくは約25以下である。好ましくは、pは0である。好ましくは、qは0である。R7基は、好ましくは、平均して少なくとも1個の炭素原子を含む。R7基は、平均して、好ましくは50個以下の炭素、より好ましくは22個以下の炭素を含み、最も好ましくはメチルである。
【0036】
好ましくは、モノエチレン性不飽和ポリ(アルキレンオキシド)モノマーは、ポリ(エチレンオキシド)モノマーまたはポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)モノマーである。特に好ましいこのようなモノマーは、ポリ(エチレンオキシド)モノマーである。ポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)モノマーは、ランダム、シーケンシャル、またはブロックであってもよい。有用なモノエチレン性不飽和ポリ(アルキレンオキシド)モノマーの例としては、アクリレート−終端ポリ(エチレンオキシド)、メタクリレート終端ポリ(エチレンオキシド)、メトキシポリ(エチレンオキシド)メタクリレート、ブトキシポリ(エチレンオキシド)メタクリレート、アクリレート終端ポリ(エチレングリコール)、メタクリレート終端ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)ジアクリレート、ポリ(エチレンオキシド)ジメタクリレート、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、この限りではない。
【0037】
好適なポリ(アルキレンオキシド)モノマーとしては、モノヒドロキシル終端ポリ(低級アルキレンオキシド)、たとえば、カルボワックス(CARBOWAX)の商品名でユニオン・カーバイド・コーポレーション(Union Carbide Corp.)から様々な分子量で販売されているポリエチレングリコール類およびポリプロピレングリコール類(たとえば、カルボワックス(CARBOWAX)350、カルボワックス(CARBOWAX)550、カルボワックス(CARBOWAX)750、カルボワックス(CARBOWAX)2000、およびカルボワックス(CARBOWAX)5000);およびそれらの対応するアルキルオキシ終端誘導体から調製されるアクリレートエステルおよびメタクリレートエステルなどがある。好適なポリ(アルキレンオキシド)モノマーの例は、CD550(メトキシポリエチレングリコール(350)モノメタクリレート)、およびCD552(メトキシポリエチレングリコール(550)モノメタクリレート)の商品名で市販されているもの(全て、ペンシルバニア州エクストンにあるサルトマー・ケミカルズ(Sartomer Chemicals,Exton、PA)から入手できる);およびM90G(メトキシポリエチレングリコール(約9エチレンオキシ単位、すなわち基)モノメタクリレート)およびM230G(メトキシポリエチレングリコール(約23エチレンオキシ単位)モノメタクリレート)の商品名で市販されているもの(全て、日本の和歌山市にある新中村化学から入手できる);およびポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(およそ300、およそ475、およびおよそ1100の分子量で入手できる)として、ミズーリ州セントルイスにあるシグマ・アルドリッチ(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)から販売されているものなどがある。長鎖アルキル基も含むポリ(アルキレンオキシド)モノマーの1例は、SIPOMER BEMとしてニュージャージー州クランベリにあるローディア(Rhodia,Cranbury,NJ)から販売されているベヘニルPEG−25メタクリレートである。好ましいポリ(アルキレンオキシド)モノマーとしては、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(およそ300、およそ475、およびおよそ1100の分子量)などがある。モノエチレン性不飽和ポリ(アルキレンオキシド)モノマーの様々な組み合わせを、本発明のエマルジョンに使用することができる。
【0038】
場合によって、モノエチレン性不飽和ポリ(アルキレンオキシド)モノマーは、重合可能な組成物の総重量を基準にして、少なくとも約10質量%の量で使用してもよい。場合によって、モノエチレン性不飽和ポリ(アルキレンオキシド)モノマーは、重合可能な組成物の総質量を基準にして、約40質量%以下の量で使用してもよい。
【0039】
ビニルポリマーの調製
本明細書に開示されているタイプのモノマーからビニルポリマーを調製する方法は、文献で十分に解説されており、ラジカル開始バルク、溶液、沈殿、懸濁液またはエマルジョン技術により実行することができる。一般に、溶液技術が好ましい。本発明で使用される具体的な重合方法は、実施例のセクションで論じる。
【0040】
一般に、溶液重合技術の場合、モノマーを好適な溶媒に溶解し、ラジカル開始剤を加え、この溶液を不活性ガス(窒素)でパージして酸素を除去し、開始剤を活性化する。溶媒の量は、反応物質および溶媒の総質量を基準にして、一般に約30〜約80質量%である。一般に、開始剤は、全モノマー100部を基準にして、約0.005部〜約1部の量で存在する。開始剤の活性化は、熱分解によってもよく、放射線分解、または酸化還元カップルによる化学反応によってもよい。熱で活性化した開始剤が最も好ましい。
【0041】
通常、反応の間中、溶液を撹拌して、成分を混合する。場合によって、ポリマー生成物の分子量を制御するために、連鎖移動剤を反応に加えてもよい。モノマー転化は、反応溶液の粘度および反応温度によって変わることがある。一般的に、48時間以内に98%以上のモノマー転化が得られる。重合反応に適した溶媒は、反応物質および生成物に対して不活性な、さもなければ反応に悪影響を及ぼさない、任意の有機液体であってもよい。このような溶媒としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素、およびそれらの混合物などがある。反応は、比較的低沸点の溶媒中で行われ、反応完了後、皮膚軟化用油を反応混合物に加え、低沸点の反応溶媒を減圧下で蒸発させることにより、生成物を、高沸点の皮膚軟化用油溶媒に変えることができる。該皮膚軟化用油は、場合によって、重合用の反応溶媒として使用することができる。
【0042】
重合開始剤。(メタ)アクリレートおよび様々なコモノマーの共重合を助けるために、ラジカル開始剤を加えることが好ましい。使用される開始剤のタイプは、重合方法によって異なる。好適な開始剤としては、光開始剤、熱開始剤、酸化還元開始剤等々がある。重合可能なモノマー混合物を重合するのに有用な光開始剤としては、ベンゾインメチルエーテルまたはベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン等の置換ベンゾインエーテル、2−ナフタレン塩化スルホニル等の芳香族塩化スルホニル、および1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム等の光活性な酸化物などがある。イルガキュア(IRGACURE)651という商品名で市販されている光開始剤の1例は、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(チバ・ガイギー・コーポレーションから販売)である。好適な熱開始剤としては、バゾ64(VAZO−64)(2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)およびバゾ67(VAZO−67)(2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)の商品名で販売されているもの(両者ともに、デュポン・コーポレーション(DuPont Co.)から入手可能)、tert−ブチルヒドロペルオキシド等のヒドロペルオキシド、およびベンゾイルペルオキシドおよびシクロヘキサンペルオキシド等のペルオキシドなどがある。好適な酸化還元開始剤の例としては、たとえば、還元剤(たとえば、第三級アミン類、硫酸第一鉄、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、および亜硫酸水素ナトリウム)に加えたtert−ブチルヒドロペルオキシドなどが挙げられる。
【0043】
重合連鎖移動剤。場合によって、本組成物は、重合組成物の分子量を制御するために、連鎖移動剤も含む。連鎖移動剤は、ラジカル重合を制御する物質であり、当該技術分野で一般に知られている。好適な連鎖移動剤としては、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素、およびラウリルメルカプタン、ブチルメルカプタン、エタンチオール、イソオクチルチオグリコレート(IOTG)、2−エチルヘキシルチオグリコレート、2−エチルヘキシルメルカプトプロピオネート、2−メルカプトイミダゾール、および2−メルカプトエチルエーテル等のイオウ化合物、およびそれらの混合物などがある。有用な連鎖移動剤の量は、所望の分子量および連鎖移動剤のタイプによって異なる。連鎖移動剤は、一般的に、全モノマー100部当たり約0.001〜約10質量部の量で使用される。あるいは、溶媒(たとえば、エタノール、イソプロパノール)が連鎖移動剤の役割を果たすこともあり得る。
【0044】
乳液製剤および調製法
本組成物に使用されるポリマーの分子量は、広範囲にわたって様々であってもよい。分子量は、好ましくは、エマルジョンを含有する塗布組成物と、塗布組成物上に使用される接着剤との間に、必要な結合効果を提供するのに適当な大きさである。上限は、主として、製剤の必要条件によって決定される。分子量が増加するにつれて、ポリマーは、美容上魅力的な組成物に容易に調合できないほど粘性を有するようになる傾向がある。好ましくは、該ビニルポリマーは、テトラヒドロフラン中に0.30質量%のポリマーで測定したとき、(デシリットル・パー・グラム(dl/g)の単位で)、少なくとも約0.2、より好ましくは少なくとも約0.4、および好ましくは約3.0以下、より好ましくは約2.0以下の内部粘度を有する。
【0045】
好ましくは、該ビニルポリマーは、低pKa酸含有モノマーの遊離酸状態で算出して、少なくとも約1000、より好ましくは少なくとも約1250、最も好ましくは少なくとも約1500のgポリマー/低pKa酸の当量という低pKa酸当量を有する。好ましくは、該ビニルポリマーは、約6500gポリマー/低pKa酸の当量以下、より好ましくは約4000gポリマー/低pKa酸の当量以下、最も好ましくは約2500gポリマー/低pKa酸の当量以下という酸当量を有する。本発明において、「低pKa」酸は、4未満のpKaを有するものである。当然のことながら、本発明のポリマーは、低pKa酸含有モノマーのほかにも、より高いpKaを有する酸、たとえば、カルボン酸含有モノマーから調製することができる。
【0046】
好ましくは、1種以上のビニルポリマーが、エマルジョンの総質量を基準にして、少なくとも約0.25質量%、より好ましくは少なくとも約0.5質量%の総量で、本発明のエマルジョン中に存在する。好ましくは、1種以上のビニルポリマーが、エマルジョンの総質量を基準にして、約10質量%以下、より好ましくは約3質量%以下の総量で、本発明のエマルジョン中に存在する。
【0047】
本発明のエマルジョンに使用される油は、化粧品技術分野で従来使用されていた多種多様の油、または油の混合物から選択することができる。好ましくは、該油は、「皮膚軟化用油」であり、本明細書で使用される通り、皮膚からの水の蒸発を遅らせることができるバリヤーを皮膚上に形成する、皮膚に許容され得る油または油の混合物を指す。エマルジョンの油基剤は、固体であっても液体であってもよいが、製剤全体は、皮膚温度で塗布しやすいように、幾らか流動性であることが望ましい。
【0048】
好適な油の例としては、シリコーン流体、飽和脂肪エステル類およびジエステル類、たとえば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジカプリル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、ジオクチルエーテル、グリセリルトリカプリレート/カプレート、ジエチレングリコールジカプリレート/カプレート、ジペラルゴン酸プロピレングリコール、ポリアルコキシル化アルコール、たとえば、ステアリルアルコールの15モルプロポキシレート、パラフィンオイルおよびワックス、ミンクオイル、ココナッツ油およびそれらの誘導体を含む動物油および植物油、ヤシ油、コーンオイル、カカオバター、流動パラフィン、ココナッツ油、ゴマ油、等々、ラノリン誘導体、脂肪アルコール、たとえば、イソステアリルアルコール、イソセチルアルコール、セチル/ステアリルアルコール、およびC6〜C18直鎖アルコールおよび、毒物学的に安全なある種の石油留出物、たとえば、C8〜C22イソパラフィン炭化水素溶媒、たとえば、イソオクタンおよびイソドデカンなどがある。他の油は、水不溶性エステル類、たとえば、長鎖アルコール類または酸の短鎖エステル類である。例としては、ベヘン酸メチル、ステアリン酸メチル、プロピオン酸アラキル、乳酸ベヘニル、酢酸ステアリル、パルミチン酸イソプロピル、プロピオン酸ミリスチルの2モル・プロポキシレート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸ブチル、およびグリセロールモノエルケートなどが挙げられる。このリストに記載の油は例にすぎず、本発明を多少なりとも制限する意図はない。
【0049】
本発明の実行に際して特に好ましい油としては、パルミチン酸イソプロピル、ココナッツ油、イソオクタン、イソドデカン、流動パラフィン、パルミチン酸セチル、セチル/ステアリルアルコール、ジエチレングリコールジカプリレート/カプレート、セバシン酸ジイソプロピル、グリセリルトリカプリレート/カプレート、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジカプリル、シリコーン流体、プロピオン酸ミリスチルの2モル・プロポキシレート、およびステアリルアルコールの15モル・プロポキシレート(たとえば、アルラモールE(ARLAMOL E)という商品名で、デラウェア州ウィルミントンにあるユニケマ(Uniqema,Wilmington,DE)から販売)などがある。
【0050】
好ましくは、本発明のエマルジョンに使用される1種以上の油は、エマルジョンの総質量を基準にして、少なくとも約20質量%、より好ましくは少なくとも約30質量%、最も好ましくは少なくとも約40質量%の総量で存在する。好ましくは、本発明のエマルジョンに使用される1種以上の油は、エマルジョンの総質量を基準にして、約80質量%以下、より好ましくは約70質量%以下、最も好ましくは約60質量%以下の総量で存在する。
【0051】
本エマルジョンは、好ましくは少なくとも約15質量%の水、より好ましくは少なくとも約30質量%の水を含み、最も好ましくは、クリーム剤およびローション剤のような、ある実施形態では、本エマルジョンは、エマルジョンの総質量を基準にして少なくとも約40質量%の水を含む。本エマルジョンは、好ましくは、エマルジョンの総質量を基準にして、約70質量%以下の水、より好ましくは約55質量%以下の水を含む。
【0052】
油中水エマルジョンは、一般に、油相(ビニルポリマーおよび任意の成分、たとえば、界面活性剤を含有する)および水相(任意の成分、たとえば、保湿剤および安定剤を含有する)を独立して加熱し、十分に撹拌しながら水相を油相に徐々に加えることによって調製される。均一化が好ましいが、必須でないこともある。冷却したらすぐに、他の任意の成分、たとえば、皮膚バリヤー/保護剤材料、保存料、および増粘剤を加えてもよい。
【0053】
本発明の好ましいエマルジョンは、皮膚に塗布したとき永続特性を有する、したがって、水および/または擦過による除去に抵抗することができ、また潜在的皮膚汚染物質、たとえば尿、血液、および糞便等による、外液攻撃に対するバリヤーの役目を果たす。永続性の程度は、ある場合には、実施例のセクションに記載の永続的バリヤー機能試験プロトコール(Substantive Barrier Function Test Protocol)で測定することができる。簡単に記載すると、皮膚をエマルジョンサンプルで処置し、乾燥させ、水中に12分間浸し、ふき取って乾かし、Novameter計器でキャパシタンスを測定する。その結果を、皮膚の未処置(対照)部分のキャパシタンスと比較する。永続的バリヤー特性を有するエマルジョンは、皮膚を透過する水分の量を減少させ、したがって皮膚は対照に比べて低レベルのキャパシタンスを有することになる。有用な程度の永続性を有するエマルジョンは、約15%を超える、より好ましくは約20%を超える、皮膚キャパシタンスの低減を提供することが好ましい。
【0054】
保湿剤も、本発明の組成物の水相に有利に組み込まれる。本明細書で使用される用語「保湿剤」は、極性化合物か、または水分を保持または吸収する役割を果たす化合物の混合物を指す。本明細書で使用される用語「保湿剤」は、極性化合物か、または水分を保持または吸収する役割を果たす化合物の混合物を指す。好適な保湿剤としては、ポリオール類、たとえば、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンエトキシレート類、メチルグルコースエトキシレート類、ポリエチレングリコール、ポリエチレン/ポリプロピレングリコール類、およびソルビトールなどがあるが、この限りではない。ジプロピレングリコールおよびポリプロピレングリコールが特に好ましい保湿剤である。
【0055】
低レベルの安定化成分を水相に添加することも有利であろう。硫酸マグネシウム等の塩類は、有用なエマルジョン安定剤である可能性があり、かつ製剤の耐水性に顕著な影響を及ぼさない。しかし、硫酸マグネシウムの添加が、場合によっては、生物活性物質、たとえば、グルコン酸クロルヘキシジン等の抗微生物薬を不活化することがある。グアル誘導体等の水溶性ゴム、キサンタン・ガム、およびヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびカルボキシルビニルポリマー等の増粘剤の添加が、エマルジョンの安定化に役立つ可能性がある。油相エマルジョン安定剤としては、AC540という商品名で、ニュージャージー州モリソンにあるアライド・シグナル(Allied Signal,Morrison,NJ)から販売されているエチレン/アクリル酸コポリマー等のエチレン/アクリル酸コポリマー、ガネックスス(GANEX)V−216という商品名で、ニュージャージー州ウェインにあるISP・インターナショナル・スペシャルティ・プロダクツ(ISP International Specialty Products,Wayne,NJ)から販売されているN−ビニルピロリドン/オレフィンコポリマーなどがある。
【0056】
保湿用組成物(たとえば、保湿スキントリートメント)および他のパーソナルケア組成物として使用されるとき、エマルジョンの調製前にシリコーン油ジメチコーンを油相に添加することも、エマルジョンが、尿、糞便、またはその他の生来の物質および外因性の物質に対するバリヤーの役目をできる力を向上させるのに有利なことがある。ジメチコーンは、エマルジョンの総質量を基準にして、約5質量%までの濃度で存在してもよく、かつ約1.0質量%を超える濃度で存在することが好ましい。
【0057】
化粧品に従来使用されていた補助乳化剤を使用して、安定性を確保し、また本発明の組成物の貯蔵寿命を延長することができる。このような補助乳化剤は、本明細書に記載のビニルポリマーとは異なり、一般的に界面活性剤の役割を果たす。該補助乳化剤は、永続性にある程度影響する可能性があることも判明している。すぐれた永続性を提供する補助乳化剤としては、牛脂脂肪酸グリセリルの82モル・エトキシレート等のポリアルコキシル化グリセリルC6〜C22アルキルエステル、ステアリン酸グリセリル等のグリセリルC6〜C22アルキルエステル、ステアリン酸等のC12〜C18アルキルカルボン酸、ラウレス−4等のC12〜C22ポリアルコキシレート、ポリプロピレングリコール(PPG)(15)ステアリルエーテル(アルラモールE(ARLAMOL Eという商品名で、デラウェア州ウィルミントンにあるユニケマ(Uniqema,Wilmington,DE)から販売されている)、および分子量がおよそ5000のポリエチレングリコール(PEG)(30)ポリヒドロキシステアリン酸(アルラセル(ARLACEL)P135という商品名で、デラウェア州ウィルミントンにあるICI(ICI,Wilmington,DE)から販売されている)等の、セチル/ステアリルアルコールの20モル・エトキシレート、ポリエーテルポリエステルポリマーなどがある。該補助乳化剤は、エマルジョンの総質量を基準にして、好ましくは少なくとも約1質量%、より好ましくは少なくとも約5質量%、および好ましくは約20質量%以下、より好ましくは約10質量%以下の量で存在する。
【0058】
本発明のある種のエマルジョンは、保湿スキントリートメントとして特に有用である。このようなスキントリートメントは永続的であることが好ましい。このようなスキントリートメントは、以下でさらに詳細に論ずる通り、好ましくは、抗微生物薬と相容性であり、一般的に、感圧接着剤物品の接着力に悪影響を及ぼさない。
【0059】
本発明のある種のエマルジョンは、術前およびカテーテル挿入前組織(たとえば、皮膚)消毒薬(すなわち、消毒剤)として特に有用であり、一般に、皮膚および粘膜組織を抗微生物薬組成物で消毒する場合、永続的であることが好ましい。好ましい組成物は、永続的であるばかりでなく、医療用テープ、外科切開ドレープまたは創傷包帯等の接着剤製品を、被覆される皮膚上に直接、迅速に配置することを可能にする。本発明のエマルジョンは、これらの製品上への接着を可能にするばかりではなく、多くの場合に、接着力を実際に増強し、特に、体液に暴露された外科切開ドレープの下、およびカテーテルまたは他の経皮穿刺の周り等の、湿ったまたは濡れた条件でこれらの製品の接着力を増強することが可能である。
【0060】
本発明のエマルジョンは、少なくとも1種の生物活性物質と都合よく相容性である(すなわち、生物活性およびエマルジョン安定性を保持する)。生物活性物質としては、一般に、抗菌薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬等の抗微生物薬、ならびにハイドロコルチゾーン等のコルチコステロイドおよび局所麻酔薬などがある。
【0061】
好ましい生物活性物質は抗微生物薬である。抗微生物薬の例としては、ヨウ素、および一般にヨードフォアと呼ばれるその複合体形などがある。ヨードフォアは、ポリエチレングリコールおよびその誘導体、ポリビニルピロリドン等のポリマーを含有するN−ビニルカプロラクタム、ならびにヨウ化水素または三ヨウ化水素と水素結合する傾向がある他のポリマーとのヨウ素複合体、または三ヨウ化ナトリウムまたは三ヨウ化カリウム等の塩類との複合体である。他の抗微生物薬としては、グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)等のクロルヘキシジン塩類;パラクロロメタキシレノール(PCMX);トリクロサン;ヘキサクロロフェン;グリセリンおよびプロピレングリコールの脂肪酸モノエステル類、たとえば、グリセロールモノラウレート、グリセロールモノカプリレート、グリセロールモノカプレート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノカプレート;フェノール類;C12〜C22疎水性物質および第四級アンモニウム基を含む界面活性剤およびポリマー;ポリヘキサメチレンビグアニド等のポリ第四級アミン類;第四級シラン類;過酸化水素;フェノール類;銀、および塩化銀、酸化銀およびスルファジアジン銀等の銀塩類等々がある。ヨードフォアは長期抗微生物薬効力を保証することができるため、最も好ましい抗微生物薬はヨードフォアである。特に好ましいヨードフォアはポビドンヨードであり、最も好ましくはポビドンヨードUSPである。抗微生物薬の様々な組み合わせを、本発明のエマルジョンに使用することができる。
【0062】
エマルジョンに添加するのであれば、1種以上の抗微生物薬は、エマルジョンの総質量を基準にして、好ましくは少なくとも約0.05質量%、より好ましくは少なくとも約0.25質量%のレベルで存在する。1種以上の抗微生物薬は、エマルジョンの総質量を基準にして、好ましくは約10.0質量%以下、より好ましくは約8.0質量%以下のレベルで存在する。
【0063】
好ましくは永続的である、経皮薬物送達媒体を作るために、本発明の油中水エマルジョンに全身的に有効な医薬品を加えることも適当であろう。皮膚に使用されると、該医薬品は、皮膚を越えて血流中に輸送される。この点に関して、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、ラウラミドDEA、ラウリルピロリドン−5−カルボキシレート、およびアスコルビン酸パルミテート等の浸透促進剤を、特に油相に添加することは、特に魅力的かもしれない。グリセリン、プロピレングリコール、およびテトラグリコール等の浸透促進剤を、水相に加えてもよい。本発明の油中水エマルジョンに加えることが可能な他の浸透促進剤、ならびに代表的な医薬品は、米国特許第6,086,911号(ゴッドバイ(Godby))に記載されている。
【0064】
哺乳動物(好ましくは、ヒト)皮膚(または他の組織、たとえば粘膜組織または毛髪)に塗布するとき、本発明のエマルジョンは、組織表面上に油フィルムを形成する。意外なことに、エマルジョンの油性および保湿作用にもかかわらず、医療用テープ、IV部包帯、および外科切開ドレープの上に使用されるような感圧接着剤は、少なくとも同様に、ほとんどの場合には、未処置組織(一般的に、皮膚)よりもエマルジョン処置組織(一般的に、皮膚)に、より強力に接着する。エマルジョンに特によく接着する医療用テープおよび包帯としては、アクリレート、ブロックコポリマー(たとえば、テキサス州ハウストンにあるクラトン・ポリマーズ(Kraton Polymers,Houston,TX))から販売されているクラトン(KRATON)ポリマーを主成分とする接着剤およびゴムを主成分とする感圧接着剤を使用するものなどがある。例は、トランスポア(TRANSPORE)、ブレンダーム(BLENDERM)、ステリ−ステリプス(STERI−STRIPS)、マイクロポア(MICROPORE)、テガダーム(TEGADERM)、ステリドレープ(STERIDRAPE)、およびアイオバン(IOBAN)IIの商品名で、スリーエム・カンパニー(3M Company)から販売されているテープおよび包帯である。
【0065】
哺乳動物の組織(一般的に皮膚)上の、本発明のエマルジョン(またはエマルジョンを含有する組成物)の上に(エマルジョンまたはエマルジョンを含有する組成物を少なくとも15秒間乾燥させた後)貼付した感圧接着剤物品(たとえば、テープ、切開ドレープ、創傷包帯等々)は、好ましくは、組織に、一般的に皮膚に、直接(すなわち、エマルジョンなしで)貼付した感圧接着剤物品の接着力レベルの少なくとも約50%のレベルで接着する。これは、実施例のセクションに記載の通りに、薄い一定量のエマルジョンを皮膚に塗布し、接着剤物品を貼付し、4.5ポンド(2.1kg)2インチ(5.1cm)幅のローラーを回転することによって測定することができる。1〜5分間待った後、剥離角度180°、速度12インチ/分(30.5cm/分)で、接着剤物品を除去する。皮膚のタイプが多様なため、一般的に少なくとも8被験者であり、少なくとも2つのストリップが各被験者の背中に貼付される、統計学的に適切なサンプルを使用する。
【0066】
本発明のエマルジョンは、薄膜状で、哺乳動物の組織(一般的に皮膚)に使用されるのであれば、医用接着剤製品の瞬間接着を可能にすることが好ましい。すなわち、一般的におよび好ましくは約60秒以内、およびしばしば、僅か15秒間、薄膜を当てることにより、接着剤製品を、組成物の上に貼ることができ、僅か約5分、好ましくは僅か約60秒で、最も好ましくは約40秒で、良好な接着を示す。好ましい例の多くで、本発明の組成物上の接着力は、乾いた準備なしの組織(一般的に皮膚)に貼付される製品の接着力を超える。
【0067】
本発明の油中水エマルジョンで使用される油相は、好ましくは、本組成物の上に配置される可能性がある医用感圧接着剤と相容性である。全ての油が全ての接着剤と相容性である(すなわち、物品の良好な接着を可能にする)とは限らない。ポリアクリレートを主成分とする感圧接着剤の場合、油相は、エステル官能皮膚軟化用油または接着剤を可塑化することができる他の皮膚軟化用油、たとえば、米国特許第5,951,993号(ショルツ(Scholz)ら)に記載のものを含有することが好ましい。たとえば、イソオクチルアクリレートまたは2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレート類を主に含むほとんどの感圧接着剤に対しては、グリセリルトリカプリレート/カプレート、ジイソプロピルセバシン酸、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、ジエチレングリコールジオクタノエート/ジイソノナノエート等々の皮膚軟化用油が非常に有効である。ある種のエーテルを主成分とする皮膚軟化用油も好ましい。たとえば、イソオクチルアクリレートまたは2−エチルヘキシルアクリレートを主に含むほとんどのポリアクリレート感圧接着剤に対しては、ジメチルイソソルビドおよびPPG2メチルエーテルが有効である。該油は極性すぎないことが好ましい。たとえば、グリセレス7ジイソノナノエートおよびグリセロールトリアセテート等の材料は、医用感圧接着剤の接着力を著しく低下させる傾向がある可能性がある。しかし、少量のもっと極性の成分を油相に加えても、良好なドレープ接着は可能であることに注目すべきである。
【0068】
重要なことは、本エマルジョンの連続相は水不溶性の油であるため、医用接着剤製品の接着力は、水または体液によって容易に弱められないことである。エマルジョンを術前組織消毒(「プレップ(prep)」)として使用場合、場合によって切開ドレープが上に使用される皮膚または粘膜組織(好ましくは、皮膚)上に使用するためには、このことは特に重要である。こうした外科用途では、血液、生理食塩水、および他の体液が絶えず存在し、これが、水溶性プレップを、たぶん創傷内にも、洗い流す傾向があると考えられる。しかし、本発明の油中水エマルジョンプレップは、洗い流しに非常によく抵抗する。
【0069】
さらに、接着剤製品が上に使用されるプレップには、耐水性も重要である。たとえば、外科切開ドレープ(外科切開を行うための接着剤被覆フィルム)を使用するとき、外科手術の間中、組成物への接着が重要である。したがって、水および創傷縁からの体液浸潤に対する抵抗が重要である。これは、カテーテル挿入部位等の経皮用具の周囲で使用する場合にも、同様に非常に重要である。こうした部位は、多くの場合、カテーテル周囲に体液蓄積があり、これが接着力に影響を及ぼすことがある。本発明の組成物上の、薄膜接着剤被覆包帯等の包帯の接着力は、水分が存在しても、強力な結合を保証する。
【0070】
術前外科用プレップおよびIV部位プレップ等の組織消毒に特に重要な、本発明の好ましいエマルジョンのもう1つの重要な利点は、布,ガーゼまたは他の生地で、場合により、完全に除去するために中性洗剤を使用して、本エマルジョンを優しく除去できることである。有機溶剤を主成分とするリムーバーは必要ではないが、必要に応じて使用してもよい。
【0071】
他の市販されているほとんどの皮膚ローション剤に比べて、好ましくは、撥水性で、保湿性で、かつ長時間持続する、乳液(すなわち、牛乳に似た低粘度エマルジョン)、ローション剤、およびクリーム剤を作るために、本発明のエマルジョンを使用することが可能である。これらの特徴は、尿、糞便、および腸液等の刺激性体液から皮膚を保護することが望まれる、造瘻術または失禁用途に重要である。本エマルジョンが感圧接着剤の接着力を増強できることにより、本エマルジョンを使用して、粘着性創傷包帯の使用を妨げずに、瘻孔周囲の皮膚、皮膚潰瘍、罹患皮膚、または外科創傷を保護することが可能になる。外科切開ドレープ、IV部位包帯、および他の包帯と関連した難しい流体環境で本発明のエマルジョンを使用するとき、このこともまた、他の経皮包帯に勝る重要な利点である。
【0072】
本発明のエマルジョンは、スタイリング剤(たとえば、毛髪用スプレー、スタイリングムース、スタイリングジェル)、シャンプー、染料、コンディショナー、リンス、およびフケ取り製剤等の毛髪ケア組成物を含む、様々なパーソナルケア組成物(たとえば、化粧品組成物)の調製に有用である。他のパーソナルケア組成物としては、虫除け剤、髭剃り用製品、手および全身用のローション、ジェル、クリーム、保湿剤、サンレス・タンニング組成物、クレンザー、化粧水、アストリンゼン、フレッシュナー、および毛髪および皮膚用のマスク、マニキュアおよび爪強化剤、腋下デオドラントおよび制汗剤、入浴剤、滑石粉、バスオイル、泡立て入浴剤、眼、頬および唇用メイクアップ等のメイクアップ製品、オーデコロン、香水、痛み緩衝用組成物、および除毛用組成物などがある。
【0073】
本発明の油中水エマルジョンを発表したことによって特に利益を享受できるであろう具体的な製品の例としては、口紅(光沢仕上げまたは艶消し仕上げを提供する、室温で固体も液体も)、アイシャドー(光沢仕上げまたは艶消し仕上げを提供する、室温で固体も液体も)、アイライナー、マスカラ、ルージュ、フェースパウダー、ファンデーション(光沢仕上げまたは艶消し仕上げを提供する、室温で固体も液体も)、または皮膚の傷を隠すかまたはカムフラージュするための組成物、日焼け止め剤(有機、無機、またはそれらの組み合わせ)、および一時的な毛染め組成物(頭全体、縞および/またはハイライト)などが挙げられるが、この限りではない。
【0074】
したがって、本発明のエマルジョンは、治療用化粧品または保護用化粧品の有用性を提供するために、上に記載の添加物に加えて、他の材料を含んでもよい。例としては、コンディショナー、日焼け止め剤、虫除け剤、ビタミン類、ハーブ・エキス、制汗剤またはデオドラント剤、サンレス・タンニング剤を含む皮膚または毛髪の脱色剤または着色剤、脱毛剤、フケ取り剤、ニキビ止め剤、アストリンゼン、テンサー、スキン・トーニング、または魚の目、たこ、またはいぼの除去剤などがある。本エマルジョンは、たとえば、グリッター、顔料、染料、脱色剤、香水、または香料を組み込むことにより、装飾的なまたは色彩の、化粧品有用性を有する材料も含むことが可能である。
【0075】
化粧品組成物に従来使用されていた他の材料、たとえば、保存料、酸化防止剤、ワックス、被膜形成性ポリマー、噴射剤、緩衝液、有機または無機の懸濁化剤または増粘剤、可塑剤、ハーブ・エキス、および着香料も、本発明のエマルジョンの少量で、好ましくは、本組成物の永続性に悪影響を及ぼさない量で、含まれてもよい。こうした材料は、乳化前に、(溶解度に応じて)水相または油相に加えてもよく、またはエマルジョンを調製して冷却した後で加えてもよい。熱感受性の材料を使用するとき、後者が好ましい。
【0076】
本発明の好ましい化粧品は、ある種の成分(たとえば、着色料)を、皮膚または毛髪等の塗布面から、意図せぬ表面、たとえば、衣類または室内装飾品に移行させない。このような好ましい化粧品は、耐移行特性または防移行特性を有すると記載される。好ましい油中水エマルジョンは、従来の方法で、たとえば、加熱した水相材料を、加熱した油相材料に徐々に加え、高速ミキサーで撹拌または均一化することにより、調製することができる。様々な成分または成分の組み合わせおよび有効な薬剤を使用して、個々の有用性または市場区分に合わせて最適化した化粧品を得られることは、当業者に周知である。標準的な化粧品成分を記載した代表的な情報源は、米国化粧品工業会(The Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association)、ジョン.A.ウェニンガー(John A.Wenninger)およびG.N.マクエウェン(G.N.McEwen)Jr.編、第7版、1997年発行の、「International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook」である。
【実施例】
【0077】
個々の材料および量を含む、以下の実施例で説明する本発明の目的、特徴および利点は、本発明を不当に制限すると解釈してはならない。全ての材料は市販されている。
【0078】
【表1】

【0079】
テストプロトコール
エマルジョン安定性
乳液製剤の10mlサンプルを、プラスチック製使い捨て15ml用目盛付きCorning)遠沈管に入れた。この遠沈管を−20℃でおよそ2時間凍結し、次いでおよそ2時間、室温(23〜25℃)まで解凍し、西独オステローデにあるヘレウス・セパテクGMBH(Heraeus Sepatech GmbH,Osterode,West Germany)製のラボヒュージB(Labofuge B)、モデル2650を使用して、3,000RPMで10分間遠心分離した。この凍結/解凍/遠心分離処理を最大3サイクル繰り返した。安定した製剤には、1サイクルの凍結/解凍/遠心分離終わりに、好ましくは2サイクルの凍結/解凍/遠心分離の終わりに、最も好ましくは3サイクルの凍結/解凍/遠心分離の終わりに、目に見える水分離がなかった。
【0080】
出発材料
ポリマー乳化剤調製法A:SMA/IOA/AMPSコポリマー
表1aに記載の各化学化合物の量を、4オンス(115ml)フリントガラス狭口ビンに量り入れた。
【0081】
【表2】

【0082】
この混合物を窒素でパージして酸素を除去し、テフロン(登録商標)(E.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours and Company)の登録商標)フッ素重合体樹脂で裏打ちされた金属キャップで密閉した。65℃に64時間予熱しておいた、サーモスタットで制御された水浴内で、閉鎖した容器を1分当たり42回転させるための装置(ローンダー・Oメーター(Launder−Ometer)としてイリノイ州シカゴにあるアトラス・エレクトリックデバイセズ・カンパニー(Atlas Electric Devices Co.,Chicago,IL)から販売)に、このビンを入れた。それ以後、サンプルは粘性を有し、また濁っていた。さらに17gのIPPを加え、ロータリーエバポレーターで溶媒を取り除くことによって、DMFを除去した。ポリマー乳化剤は、IPP中に固形分20質量%の溶液として供給され、ポリマー乳化剤Aと呼ばれた。
【0083】
ポリマー乳化剤調製法B:SMA/IOA/NVPコポリマー
表1bに記載の各化学化合物の量を、4オンス(115ml)フリントガラス狭口ビンに量り入れた。
【0084】
【表3】

【0085】
この混合物を窒素でパージして酸素を除去し、テフロン(登録商標)(TEFLON(登録商標))フッ素重合体樹脂で裏打ちされた金属キャップで密閉した。65℃に予熱し、その温度に48時間維持しておいた、サーモスタットで制御された水浴内で、閉鎖した容器を1分当たり42回転させるための装置(ローンダー・Oメーター(Launder−Ometer)としてイリノイ州シカゴにあるアトラス・エレクトリックデバイセズ・カンパニー(Atlas Electric Devices Co.,Chicago,IL)から販売)に、このビンを入れた。それ以後、反応混合物は濁り、高い粘度を有していた。セバシン酸ジイソプロピル(81g)を反応混合物に加え、酢酸エチル反応溶媒をロータリーエバポレーターで除去して、DIPS中に固形分25%のポリマー溶液を生じ、これをポリマー乳化剤Bと呼んだ。
【0086】
ポリマー乳化剤調製法C:SMA/IOA/HEMAコポリマー
表1cに記載の各化学化合物の量を、4オンス(115ml)フリントガラス狭口ビンに量り入れた。
【0087】
【表4】

【0088】
エマルジョン調製法Bに記載の通りにコポリマーを調製した。反応混合物は清澄で、高い粘度を有していた。前と同じようにセバシン酸ジイソプロピル81gを反応混合物に加え、酢酸エチル反応溶媒をロータリーエバポレーターで除去して、DIPS中に固形分25%のポリマー溶液を生じ、これをポリマー乳化剤Cと呼んだ。
【0089】
ポリマー乳化剤調製法D:SMA/IOA/AAコポリマー
表1dに記載の各化学化合物の量を、4オンス(115ml)フリントガラス狭口ビンに量り入れた。
【0090】
【表5】

【0091】
この混合物を窒素でパージして酸素を除去し、テフロン(登録商標)(TEFLON(登録商標))フッ素重合体樹脂で裏打ちされた金属キャップで密閉した。60℃に予熱し、その温度に48時間維持しておいた、サーモスタットで制御された水浴内で、閉鎖した容器を1分当たり42回転させるための装置(ローンダー・Oメーター(Launder−Ometer)としてアトラス・エレクトリックデバイセズ・カンパニー(Atlas Electric Devices Co.)から販売)に、このビンを入れた。反応混合物は清澄で、高い粘度を有していた。セバシン酸ジイソプロピルを反応混合物に加え、酢酸エチル反応溶媒をロータリーエバポレーターで除去して、DIPS中に固形分25%のポリマー溶液を生じ、これをポリマー乳化剤Dと呼んだ。
【0092】
実施例1および比較例AおよびB
実施例1および比較例AおよびBで、それぞれ、ポリマー乳化剤A、B、およびCを使用して、組織を消毒するための抗微生物薬化合物を含む油中水エマルジョンを調製した。油中水エマルジョンの組成を表1eに示す。
【0093】
【表6】

【0094】
油中水エマルジョンを製造する方法は、下記の工程で構成されていた:
1)水相のpHを測定し、水酸化ナトリウムを使用して、3〜4に調整した。
2)オーブン内で、油相を100℃で2時間加熱し、水相を100℃で15分間加熱した。
3)次いで、直径1インチ(2.54cm)の高剪断力ヘッドを備えたシルバーソン(Silverson)ホモジナイザーを高速で使用して、約1〜2分にわたって水相(100℃)を油相(100℃)に加え、続いて高速でさらに1分間、連続的に混合した。
4)次に、このエマルジョンをスチームジャケットに入れ、およそ80℃の温度で15分間、オーバーヘッドエアーモーターおよびT−型インペラーで、勢いよくオーバーヘッド攪拌しながら混合した。
5)最後に、同じ装置で混合しながら、このエマルジョンを40℃まで徐々に冷却した。(スチームを止めた)。
【0095】
実施例1は明確に、水相がpH3〜4である、ポビドンヨードUSPを含有する油中水エマルジョンである。49/41/10 SMA/IOA/AMPSポリマー乳化剤で製造される油中水エマルジョンは、5サイクルの凍結/解凍/遠心分離を通じて安定していた。49/41/10 SMA/IOA/AMPSポリマーは、安定したエマルジョンを生成し、スルホン化されたモノマーは、4未満という低pHで有効な乳化剤であることを示した。比較例AおよびBで使用したポリマー乳化剤は、エマルジョンを生成しなかった。全結果を表1fにまとめる。
【0096】
【表7】

【0097】
実施例2
実施例2も、水相がpH3〜4である、ポビドンヨードUSPを含有する油中水エマルジョンである。油中水エマルジョンの組成物を表2aに示す。
【0098】
【表8】

【0099】
油中水エマルジョンを製造する方法は、実施例1と同じであった。SMA/IOA/AMPSポリマー乳化剤で製造された油中水エマルジョンは、1サイクルの凍結/解凍/遠心分離を通じて安定していた。全結果を表2bにまとめる。
【0100】
【表9】

【0101】
比較例C
比較例Cでは、ポリマー乳化剤Dを使用して、組織を消毒するための抗微生物薬化合物を含む油中水エマルジョンを調製した。油中水エマルジョンの組成物を、表3aに示す。
【0102】
【表10】

【0103】
水相に修飾を行い、これを表3bに示す。
【0104】
【表11】

【0105】
油中水エマルジョンを製造する方法は、下記の工程で構成されていた:
1)水相のpHを測定し、水酸化ナトリウムを使用して調整した。
2)油相と水相を別々に100℃に加熱した。
3)次いで、直径1インチ(2.54cm)の高剪断力ヘッドを備えたシルバーソン(Silverson)ホモジナイザーを高速で使用して、約1〜2分にわたって油相(100℃)を水相(100℃)に加え、続いて高速でさらに1分間、連続的に混合した。温度を維持するために、内容物を断熱した。
4)次に、頭上にある45度ピッチの3枚羽根インペラーで15分間、このエマルジョンを勢いよく攪拌して混合した。
5)この組成物を密閉し、ローラーに載せて冷却した。
【0106】
24時間後、実行番号1〜5を、テストプロトコールに記載の安定性テストに付した。表3cに、安定性テストの結果およびエマルジョンの粘度に関する説明を示す。
【0107】
【表12】

【0108】
結果から、より高いpHで、より安定したエマルジョンが得られるが、pH6.6(実行5)でも、エマルジョンはわずかに不安定なことがことが分かる。硫酸マグネシウムは、エマルジョン安定性を付加する。
【0109】
実施例3
1滴を塗布し、指で擦ることにより、一連の油を様々な被験者の前腕に塗布し、白色石鹸ですぐに洗い、薄膜内で完全に乾かした。1滴(約20ミリグラム(mg))で、およそ20〜25cm2の面積を覆った。皮膚軟化剤を皮膚上に伸ばした直後に、アイオバン(IOBAN) IIという商品名でミネソタ州ポールにあるスリーエムカンパニー(3M Co.,St.Paul,MN)から販売されている接着剤皮膚切開ドレープ材の1片を、皮膚軟化領域の上に載せた。1分後および5分後に、皮膚軟化剤を塗布した皮膚に接触して、接着力を定性的に評価した。下記の評点を使用して、接着力を評価した:
6=乾いた皮膚への接着力より良い
5=近隣部位における、乾いた皮膚へのアイオバン(Ioban)(商標)接着力と同じ
4=乾いた皮膚への接着力より僅かに低い
3=乾いた皮膚への接着力より低い
2=乾いた皮膚への接着力よりはるかに低い
1=非常に劣る−もう少しで剥がれ落ちる
【0110】
【表13】

【0111】
結果から、薄膜は、より厚い膜よりはるかによく接着させることがわかる。さらに、疎水性であるほど、皮膚軟化剤はすぐれた接着力を示す。たとえば、より疎水性のエーテル(DOWANOL PnB)は、疎水性が低いエーテル(ARLASOLV DPM)より良く接着し、SPAN 80は、TWEEN 80よりはるかに良く接着し、DERMOL 489、DERMOL 109、CRODAMOL GTCC等のエステル皮膚軟化剤は、TRIACETINよりはるかに良く接着する。極性グリコール類は良く接着しなかった。このことから、油相成分および水相成分は、感圧接着剤を本発明のエマルジョンに劇的に接着できることが分かる。
【0112】
本明細書に引用された特許の全開示内容、特許文書、および出版物は、それぞれが個々に組み入れられたかのように、参照により全部、本明細書に援用する。本発明に対する様々な修飾および変更は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者に明白になるであろう。当然のことながら、本発明は、本明細書に記載の説明に役立つ実施形態および実施例によって不当に制限されることを意図するものではなく、また、このような実施例および実施形態は、本明細書に記載の特許請求の範囲によってのみ制限されることを意図する、本発明の範囲内ほんの一例として示すものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン基含有側鎖およびアルキル−Y含有側鎖を含む、4未満のpKaを有するビニルポリマーであって、YはOまたはNRであり、Rは水素またはメチルであり、前記アルキル−Y含有側鎖の前記アルキル基が、平均して少なくとも4個の炭素原子を、環状、分枝鎖状、または直鎖状の立体配置で有し、場合によって1個以上のヘテロ原子を含むビニルポリマー;油相;および水相を含む、油中水エマルジョン。
【請求項2】
前記ビニルポリマーが前記油相に溶解できる、請求項1に記載の油中水エマルジョン。
【請求項3】
前記アニオン基およびアルキル−Y基が異なる側鎖にある、請求項1に記載の油中水エマルジョン。
【請求項4】
安定した、請求項1に記載の油中水エマルジョン。
【請求項5】
永続的である、請求項1に記載の油中水エマルジョン。
【請求項6】
前記油相が、前記エマルジョンの総質量を基準にして少なくとも約20質量%の総量で存在する1種以上の油を含む、請求項1に記載の油中水エマルジョン。
【請求項7】
前記アニオン基含有側鎖が、(SO3xM、(SO4xM、(PO3xM、(PO4xM、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される基を含み、式中、xは1または2であり、Mは、Na、K、Li、Ca、Mg、Zn、プロトン化された第一級アミン、プロトン化された第二級アミン、プロトン化された第三級アミン、第四級アミン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の油中水エマルジョン。
【請求項8】
前記アニオン基含有側鎖が、1種以上の低pKa酸含有(メタ)アクリルモノマー、またはそれらの塩類から誘導される、請求項1に記載の油中水エマルジョン。
【請求項9】
前記低pKa酸含有モノマー、またはそれらの塩類が、式:
【化1】

(式中:
XはOまたはNR5であり;
3およびR5は、それぞれ独立して水素またはメチルであり;
4は、場合によって1個以上のヘテロ原子を含む、直鎖状、分枝鎖状、または環状のアルキレン、アリーレン、またはアラルキレン基であり;
Aは、(SO3xM、(SO4xM、(PO3xM、(PO4xMであり;
Xは1または2であり;
Mは、H、Na、K、Li、Ca、Mg、Zn、プロトン化された第一級アミン、プロトン化された第二級アミン、プロトン化された第三級アミン、第四級アミン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される)
を有する、請求項8に記載の油中水エマルジョン。
【請求項10】
MがHである、請求項9に記載の油中水エマルジョン。
【請求項11】
前記アルキル−Y含有側鎖が、1種以上のモノエチレン性不飽和アルキル(メタ)アクリルモノマーから誘導される、請求項1に記載の油中水エマルジョン。
【請求項12】
前記モノエチレン性不飽和アルキル(メタ)アクリルモノマーが、(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリルアミドモノマー、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項11に記載の油中水エマルジョン。
【請求項13】
前記モノエチレン性不飽和アルキル(メタ)アクリルモノマーが、式:
【化2】

(式中:
1は水素またはメチルであり;
2は、場合によって1個以上のヘテロ原子を含む直鎖状、分枝鎖状、または環状アルキル基である)
を有する、アルキル(メタ)アクリレートモノマーである、請求項12に記載の油中水エマルジョン。
【請求項14】
前記モノエチレン性不飽和ポリ(アルキレンオキシド)(メタ)アクリルモノマーが、式:
【化3】

(式中:
mは少なくとも2であり;
pは0〜50であり;
qは0または1であり;
6は水素またはメチルであり;
7は、水素であるか、または直鎖状または分枝鎖状のアルキル基および/またはアリール基であるが;但し、イソプロピレンオキシド基(「p」基)およびエチレンオキシド基(「m」基)は、逆、交互、ランダム、またはブロック立体配置で、配置されている)
を有する、請求項12に記載の油中水エマルジョン。
【請求項15】
前記ビニルポリマーが、約60〜約95質量%の少なくとも1種のモノエチレン性不飽和アルキル(メタ)アクリルモノマーと、
約5〜約40質量%の少なくとも1種の低pKa酸含有(メタ)アクリルモノマー、またはその塩との反応生成物である、請求項1に記載の油中水エマルジョン。
【請求項16】
少なくとも1種の生物活性物質と相容性を有する、請求項1に記載の油中水エマルジョン。
【請求項17】
前記生物活性物質が抗微生物薬である、請求項16に記載の油中水エマルジョン。
【請求項18】
前記抗微生物薬がードフォアである、請求項17に記載の油中水エマルジョン。
【請求項19】
前記ヨードフォアがポビドンヨードである、請求項18に記載の油中水エマルジョン。
【請求項20】
皮膚上の前記エマルジョンの上に貼付される感圧接着剤物品が、前記皮膚に直接貼付される前記感圧接着剤テープの接着力のレベルの少なくとも約50%で接着する、請求項1に記載の油中水エマルジョン。
【請求項21】
前記ビニルポリマーが、約1000〜約6500gポリマー/低pKa酸の当量という酸当量を有する、請求項1に記載の油中水エマルジョン。
【請求項22】
前記エマルジョンの総重量を基準にして、少なくとも約0.25質量%の前記ビニルポリマーを含む、請求項1に記載の油中水エマルジョン。
【請求項23】
前記エマルジョンの総重量を基準にして、約10質量%以下の前記ビニルポリマーを含む、請求項1に記載の油中水エマルジョン。
【請求項24】
保湿剤をさらに含む、請求項1に記載の油中水エマルジョン。
【請求項25】
保湿剤、界面活性剤、コンディショナー、日焼け止め剤、虫除け剤、ビタミン類、ハーブ・エキス、制汗剤またはデオドラント剤、皮膚脱色剤、皮膚着色料、毛髪脱色剤、毛染め剤、脱毛剤、フケ取り剤、ニキビ止め剤、アストリンゼン、テンサー、スキン・トーニング、グリッター、顔料、染料、脱色剤、香水、香料、保存料、酸化防止剤、ワックス、被膜形成性ポリマー、噴射剤、緩衝液、有機懸濁化剤、無機懸濁化剤、有機増粘剤、無機増粘剤、可塑剤、ハーブ・エキス、着香料、魚の目、たこ、またはいぼの除去剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上の添加物をさらに含む、請求項1に記載の油中水エマルジョン。
【請求項26】
アニオン基含有側鎖およびアルコキシ含有側鎖を含む、4未満のpKaを有するビニルポリマーであって、前記アルコキシ含有側鎖の前記アルキル基が、平均して少なくとも4個の炭素原子を、環状、分枝鎖状、または直鎖状の立体配置で有し、場合によって1個以上のヘテロ原子を含むビニルポリマー;油相;および水相を含む、油中水エマルジョン。
【請求項27】
アニオン基含有側鎖およびアルコキシ含有側鎖を含む、4未満のpKaを有するビニルポリマーであって、前記アルコキシ含有側鎖の前記アルキル基は、平均して4〜50個の炭素原子を、環状、分枝鎖状、または直鎖状の立体配置で有し、場合によって1個以上のヘテロ原子を含み、前記アニオン基含有側鎖は、(SO3xM、(SO4xM、(PO3xM、(PO4xM、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される基を含み、xは1または2であり、Mは、Na、K、Li、Ca、Mg、Zn、プロトン化された第一級アミン、プロトン化された第二級アミン、プロトン化された第三級アミン、第四級アミン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、ビニルポリマー;油相;および水相を含む、油中水エマルジョン。
【請求項28】
油相;水相;および式:
【化4】

(式中:
1は水素またはメチルであり;
2は、場合によって1個以上のヘテロ原子を含む直鎖状、分枝鎖状、または環状アルキル基である)を有する約60〜約95質量%の少なくとも1種のモノエチレン性不飽和アルキル(メタ)アクリルモノマーと;
式:
【化5】

(式中:
XはOまたはNR5であり;
3およびR5は、それぞれ独立して水素またはメチルであり;
4は、場合によって1個以上のヘテロ原子を含む、直鎖状、分枝鎖状、または環状のアルキレン、アリーレン、またはアラルキレン基であり;
Aは、(SO3xM、(SO4xM、(PO3xM、または(PO4xMであり;
xは1または2であり;
Mは、H、Na、K、Li、Ca、Mg、Zn、プロトン化された第一級アミン、プロトン化された第二級アミン、プロトン化された第三級アミン、第四級アミン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される)を有する、約5〜約40質量%の少なくとも1種の低pKa酸含有モノマー、またはその塩と;を含むモノマーの反応生成物;
を含む、4未満のpKaを有するビニルポリマーを含む、油中水エマルジョン。
【請求項29】
アニオン基含有側鎖およびアルキル−Y含有側鎖を含む、4未満のpKaを有するビニルポリマーであって、YはOまたはNRであり、Rは水素またはメチルであり、前記アルキル−Y含有側鎖の前記アルキル基が、平均して少なくとも4個の炭素原子を、環状、分枝鎖状、または直鎖状の立体配置で有し、場合によって1個以上のヘテロ原子を含むビニルポリマー;油相;および水相;を含む油中水エマルジョンを含む、保湿用組成物。
【請求項30】
アニオン基含有側鎖およびアルコキシ含有側鎖を含む、4未満のpKaを有するビニルポリマーであって、前記アルコキシ含有側鎖の前記アルキル基が、平均して少なくとも4個の炭素原子を、環状、分枝鎖状、または直鎖状の立体配置で有し、場合によって1個以上のヘテロ原子を含むビニルポリマー;油相;および水相;を含む、油中水エマルジョンを含む、保湿用組成物。
【請求項31】
アニオン基含有側鎖およびアルコキシ含有側鎖を含む、4未満のpKaを有するビニルポリマーであって、前記アルコキシ含有側鎖の前記アルキル基は、平均して4〜50個の炭素原子を、環状、分枝鎖状、または直鎖状の立体配置で有し、場合によって1個以上のヘテロ原子を含み、前記アニオン基含有側鎖は、(SO3xM、(SO4xM、(PO3xM、(PO4xM、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される基を含み、xは1または2であり、Mは、Na、K、Li、Ca、Mg、Zn、プロトン化された第一級アミン、プロトン化された第二級アミン、プロトン化された第三級アミン、第四級アミン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、ビニルポリマー;油相;および水相;を含む油中水エマルジョンを含む、保湿用組成物。
【請求項32】
油相;水相;および式:
【化6】

(式中:
1は水素またはメチルであり;
2は、場合によって1個以上のヘテロ原子を含む直鎖状、分枝鎖状、または環状アルキル基である)を有する約60〜約95質量%の少なくとも1種のモノエチレン性不飽和アルキル(メタ)アクリルモノマーと;
式:
【化7】

(式中:
XはOまたはNR5であり;
3およびR5は、それぞれ独立して水素またはメチルであり;
4は、場合によって1個以上のヘテロ原子を含む、直鎖状、分枝鎖状、または環状のアルキレン、アリーレン、またはアラルキレン基であり;
Aは、(SO3xM、(SO4xM、(PO3xM、または(PO4xMであり;
Xは1または2であり;
Mは、H、Na、K、Li、Ca、Mg、Zn、プロトン化された第一級アミン、プロトン化された第二級アミン、プロトン化された第三級アミン、第四級アミン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される)を有する、約5〜約40質量%の少なくとも1種の低pKa酸含有モノマー、またはその塩と;を含むモノマーの反応生成物;
を含む、4未満のpKaを有するビニルポリマーを含む、油中水エマルジョンを含む保湿用組成物。
【請求項33】
アニオン基含有側鎖およびアルキル−Y含有側鎖を含む、4未満のpKaを有するビニルポリマーであって、YはOまたはNRであり、Rは水素またはメチルであり、前記アルキル−Y含有側鎖の前記アルキル基が、平均して少なくとも4個の炭素原子を、環状、分枝鎖状、または直鎖状の立体配置で有し、場合によって1個以上のヘテロ原子を含むビニルポリマー;油相;および水相;を含む油中水エマルジョンを含む組織消毒用組成物。
【請求項34】
アニオン基含有側鎖およびアルコキシ含有側鎖を含む、4未満のpKaを有するビニルポリマーであって、前記アルコキシ含有側鎖の前記アルキル基が、平均して少なくとも4個の炭素原子を、環状、分枝鎖状、または直鎖状の立体配置で有し、場合によって1個以上のヘテロ原子を含むビニルポリマー;油相;水相;および抗微生物薬;を含む油中水エマルジョンを含む組織消毒用組成物。
【請求項35】
アニオン基含有側鎖およびアルコキシ含有側鎖を含む、4未満のpKaを有するビニルポリマーであって、前記アルコキシ含有側鎖の前記アルキル基は、平均して4〜50個の炭素原子を、環状、分枝鎖状、または直鎖状の立体配置で有し、場合によって1個以上のヘテロ原子を含み、前記アニオン基含有側鎖は、(SO3xM、(SO4xM、(PO3xM、(PO4xM、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される基を含み、xは1または2であり、Mは、Na、K、Li、Ca、Mg、Zn、プロトン化された第一級アミン、プロトン化された第二級アミン、プロトン化された第三級アミン、第四級アミン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるビニルポリマー;油相;水相;および抗微生物薬;を含む油中水エマルジョンを含む組織消毒用組成物。
【請求項36】
油相;水相;抗微生物薬;および式:
【化8】

(式中:
1は水素またはメチルであり;
2は、場合によって1個以上のヘテロ原子を含む直鎖状、分枝鎖状、または環状アルキル基である)を有する、約60〜約95質量%の少なくとも1種のモノエチレン性不飽和アルキル(メタ)アクリルモノマーと;
式:
【化9】

(式中:
XはOまたはNR5であり;
3およびR5は、それぞれ独立して水素またはメチルであり;
4は、場合によって1個以上のヘテロ原子を含む、直鎖状、分枝鎖状、または環状のアルキレン、アリーレン、またはアラルキレン基であり;
Aは、(SO3xM、(SO4xM、(PO3xM、または(PO4xMであり;
xは1または2であり;
Mは、H、Na、K、Li、Ca、Mg、Zn、プロトン化された第一級アミン、プロトン化された第二級アミン、プロトン化された第三級アミン、プロトン化された第四級アミン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される)を有する、約5〜約40重量%の少なくとも1種の低pKa酸含有モノマー、またはその塩と;を含むモノマーの反応生成物;
を含む、4未満のpKaを有するビニルポリマーを含む油中水エマルジョンを含む組織消毒用組成物。
【請求項37】
アニオン基含有側鎖およびアルキル−Y含有側鎖を含む、4未満のpKaを有するビニルポリマーであって、YはOまたはNRであり、Rは水素またはメチルであり、前記アルキル−Y含有側鎖の前記アルキル基は、平均して少なくとも4個の炭素原子を、環状、分枝鎖状、または直鎖状の立体配置で有し、場合によって1個以上のヘテロ原子を含むビニルポリマー;油相;および水相;を含む油中水エマルジョンを含むパーソナルケア組成物。
【請求項38】
アニオン基含有側鎖およびアルコキシ含有側鎖を含む4未満のpKaを有するビニルポリマーであって、前記アルコキシ含有側鎖の前記アルキル基が、平均して少なくとも4個の炭素原子を、環状、分枝鎖状、または直鎖状の立体配置で有し、場合によって1個以上のヘテロ原子を含むビニルポリマー;油相;および水相;を含む油中水エマルジョンを含むパーソナルケア組成物。
【請求項39】
毛髪ケア組成物である、請求項38に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項40】
前記毛髪ケア組成物が、スタイリング剤、シャンプー、染料、コンディショナー、リンス、フケ取り製剤、または毛髪用マスクである、請求項39に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項41】
虫除け剤、髭剃り用製品、ハンドローション、ボディローション、ジェル、クリーム、サンレス・タンニング組成物、日焼け止め剤、クレンザー、化粧水、アストリンゼン、フレッシュナー、皮膚用マスク、マニキュア、爪強化剤、腋下デオドラント、制汗剤、入浴剤、滑石粉、バスオイル、泡立て入浴剤、メイクアップ、オーデコロン、香水、痛み緩衝用組成物、または除毛用組成物の形態である、請求項38に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項42】
メイクアップである、請求項38に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項43】
前記メイクアップが、口紅、アイシャドー、アイライナー、マスカラ、ルージュ、フェースパウダー、またはファンデーションである、請求項42に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項44】
アニオン基含有側鎖およびアルコキシ含有側鎖を含む、4未満のpKaを有するビニルポリマーであって、前記アルコキシ含有側鎖の前記アルキル基は、平均して4〜50個の炭素原子を、環状、分枝鎖状、または直鎖状の立体配置で有し、場合によって1個以上のヘテロ原子を含み、前記アニオン基含有側鎖は、(SO3xM、(SO4xM、(PO3xM、(PO4xM、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される基を含み、xは1または2であり、Mは、H、Na、K、Li、Ca、Mg、Zn、プロトン化された第一級アミン、プロトン化された第二級アミン、プロトン化された第三級アミン、第四級アミン、およびそれらの組み合わせの群より選択されるビニルポリマー;油相;および水相;を含む油中水エマルジョンを含むパーソナルケア組成物。
【請求項45】
油相;水相;および式:
【化10】

(式中:
1は水素またはメチルであり;
2は、場合によって1個以上のヘテロ原子を含む直鎖状、分枝鎖状、または環状アルキル基である)を有する、約60〜約95質量%の少なくとも1種のモノエチレン性不飽和アルキル(メタ)アクリルモノマーと;
式:
【化11】

(式中:
XはOまたはNR5であり;
3およびR5は、それぞれ独立して水素またはメチルであり;
4は、場合によって1個以上のヘテロ原子を含む、直鎖状、分枝鎖状、または環状のアルキレン、アリーレン、またはアラルキレン基であり;
Aは、(SO3xM、(SO4xM、(PO3xM、または(PO4xMであり;
xは1または2であり;
Mは、H、Na、K、Li、Ca、Mg、Zn、プロトン化された第一級アミン、プロトン化された第二級アミン、プロトン化された第三級アミン、プロトン化された第四級アミン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される)を有する、約5〜約40質量%の少なくとも1種の低pKa酸含有モノマー、またはその塩と;を含むモノマーの反応生成物;
を含む、4未満のpKaを有するビニルポリマーを含む油中水エマルジョンを含むパーソナルケア組成物。
【請求項46】
アニオン基含有側鎖およびアルキル−Y含有側鎖を含む、4未満のpKaを有する、ビニルポリマーであって、YはOまたはNRであり、Rは水素またはメチルであり、前記アルキル−Y含有側鎖の前記アルキル基は、平均して少なくとも4個の炭素原子を、環状、分枝鎖状、または直鎖状の立体配置で有し、場合によって1個以上のヘテロ原子を含むビニルポリマー;油相;および水相;を含む油中水エマルジョンを含む薬物送達組成物。
【請求項47】
アニオン基含有側鎖およびアルコキシ含有側鎖を含む、4未満のpKaを有するビニルポリマーであって、前記アルコキシ含有側鎖の前記アルキル基が、平均して少なくとも4個の炭素原子を、環状、分枝鎖状、または直鎖状の立体配置で有し、場合によって1個以上のヘテロ原子を含むビニルポリマー;油相;水相;および医薬品;を含む油中水エマルジョンを含む薬物送達組成物。
【請求項48】
アニオン基含有側鎖およびアルコキシ含有側鎖を含む、4未満のpKaを有するビニルポリマーであって、前記アルコキシ含有側鎖の前記アルキル基は、平均して4〜50個の炭素原子を、環状、分枝鎖状、または直鎖状の立体配置で有し、場合によって1個以上のヘテロ原子を含み、前記アニオン基含有側鎖は、(SO3xM、(SO4xM、(PO3xM、(PO4xM、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される基を含み、xは1または2であり、Mは、H、Na、K、Li、Ca、Mg、Zn、プロトン化された第一級アミン、プロトン化された第二級アミン、プロトン化された第三級アミン、第四級アミン、およびそれらの組み合わせの群より選択されるビニルポリマー;油相;水相;および医薬品;を含む油中水エマルジョンを含む薬物送達組成物。
【請求項49】
油相;水相;医薬品;および式:
【化12】

(式中:
1は水素またはメチルであり;
2は、場合によって1個以上のヘテロ原子を含む直鎖状、分枝鎖状、または環状アルキル基である)を有する、約60〜約95質量%の少なくとも1種のモノエチレン性不飽和アルキル(メタ)アクリルモノマーと;
式:
【化13】

(式中:
XはOまたはNR5であり;
3およびR5は、それぞれ独立して水素またはメチルであり;
4は、場合によって1個以上のヘテロ原子を含む、直鎖状、分枝鎖状、または環状のアルキレン、アリーレン、またはアラルキレン基であり;
Aは、(SO3xM、(SO4xM、(PO3xM、または(PO4xMであり;
xは1または2であり;
Mは、H、Na、K、Li、Ca、Mg、Zn、プロトン化された第一級アミン、プロトン化された第二級アミン、プロトン化された第三級アミン、プロトン化された第四級アミン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される)を有する約5〜約40重量%の少なくとも1種の低pKa酸含有モノマー、またはその塩と;を含むモノマーの反応生成物;
を含む、4未満のpKaを有するビニルポリマーを含む油中水エマルジョンを含む薬物送達組成物。
【請求項50】
請求項29に記載の保湿用組成物を哺乳動物の皮膚に適用することを含む、哺乳動物の皮膚を保湿する方法。
【請求項51】
請求項30に記載の保湿用組成物を哺乳動物の皮膚に適用することを含む、哺乳動物の皮膚を保湿する方法。
【請求項52】
請求項31に記載の保湿用組成物を哺乳動物の皮膚に適用することを含む、哺乳動物の皮膚を保湿する方法。
【請求項53】
請求項32に記載の保湿用組成物を哺乳動物の皮膚に適用することを含む、哺乳動物の皮膚を保湿する方法。
【請求項54】
請求項33に記載の組織消毒用組成物を哺乳動物の組織に適用することを含む、哺乳動物の組織を消毒する方法。
【請求項55】
請求項34に記載の組織消毒用組成物を哺乳動物の組織に適用することを含む、哺乳動物の組織を消毒する方法。
【請求項56】
請求項35に記載の組織消毒用組成物を哺乳動物の組織に適用することを含む、哺乳動物の組織を消毒する方法。
【請求項57】
請求項36に記載の組織消毒用組成物を哺乳動物の組織に適用することを含む、哺乳動物の組織を消毒する方法。
【請求項58】
請求項46に記載の経皮薬物送達組成物を哺乳動物の皮膚に適用することを含む、哺乳動物に医薬品を送達する方法。
【請求項59】
請求項47に記載の経皮薬物送達組成物を哺乳動物の皮膚に適用することを含む、哺乳動物に医薬品を送達する方法。
【請求項60】
請求項48に記載の経皮薬物送達組成物を哺乳動物の皮膚に適用することを含む、哺乳動物に医薬品を送達する方法。
【請求項61】
請求項49に記載の経皮薬物送達組成物を哺乳動物の皮膚に適用することを含む、哺乳動物に医薬品を送達する方法。
【請求項62】
外科手術またはカテーテル挿入の前に、哺乳動物の組織を消毒する方法であって、
請求項1に記載の油中水エマルジョン、抗微生物薬、油相、および水相を含む組織消毒用組成物を適用することと;
前記組織消毒用組成物を少なくとも15秒間乾燥させておくことと;
を含み、前記組織上の前記組織消毒用組成物の上に適用された感圧接着剤製品が、前記組織に直接適用された前記感圧接着剤製品の接着力のレベルの少なくとも約50%のレベルで接着する、方法。

【公開番号】特開2010−235625(P2010−235625A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−143073(P2010−143073)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【分割の表示】特願2003−532095(P2003−532095)の分割
【原出願日】平成14年7月19日(2002.7.19)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】