説明

偽変造防止媒体の検査方法及び偽変造防止媒体

【課題】偽変造防止媒体の検査における耐偽変造性を向上させる。
【解決手段】実施形態の偽変造防止媒体の検査方法は、偽変造防止媒体に対して、偽変造防止媒体の基材に付与される蛍光材料を蛍光発光させるための励起光を照射する照射工程と、励起光を照射している際に、蛍光材料が蛍光発光する波長領域の光量を検出する光量検出工程と、検出された光量をもとに、蛍光材料の蛍光発光が検出された場合、検出された光量に含まれる基材からの光量が、予め設定された基材の光学特性と一致するか否かに基づいて、偽変造防止媒体の真偽を判定する判定工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、偽変造防止媒体の検査方法及び偽変造防止媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有価証券や証明書等、偽変造の危険性がある媒体では、真偽の確認を行うために蛍光材料を印刷などで付与した偽変造防止媒体が用いられている。この偽変造防止媒体の検査では、蛍光材料の発光の有無を検知することにより、真偽を確認している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−276444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術は、蛍光材料を印刷などで付与して模倣された場合に、真正なものとされる場合があることから、耐偽変造性が高くなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、実施形態の偽変造防止媒体の検査方法は、検査対象の偽変造防止媒体を検査する検査装置における偽変造防止媒体の検査方法であって、前記偽変造防止媒体に対して、当該偽変造防止媒体の基材に付与される蛍光材料を蛍光発光させるための励起光を照射する照射工程と、前記励起光を照射している際に、前記蛍光材料が蛍光発光する波長領域の光量を検出する光量検出工程と、前記検出された光量をもとに、前記蛍光材料の蛍光発光が検出された場合、前記検出された光量に含まれる前記基材からの光量が、予め設定された基材の光学特性と一致するか否かに基づいて、前記偽変造防止媒体の真偽を判定する判定工程とを含む。
また、実施形態の偽変造防止媒体の検査方法は、検査対象の偽変造防止媒体を検査する検査装置における偽変造防止媒体の検査方法であって、前記偽変造防止媒体に対して、当該偽変造防止媒体の基材に付与される蛍光材料を蛍光発光させるための励起光を照射する照射工程と、前記励起光を照射している際に、前記蛍光材料が蛍光発光する波長領域の光量と、前記励起光の波長領域の光量とを検出する光量検出工程と、前記検出された光量をもとに、前記蛍光材料の蛍光発光が検出された場合、前記励起光の波長領域に含まれる前記基材からの光量が、予め設定された基材の光学特性と一致するか否かに基づいて、前記偽変造防止媒体の真偽を判定する判定工程とを含む。
【0006】
実施形態の偽変造防止媒体は、基材に所定の波長領域で蛍光発光する蛍光材料を付与し、前記基材は前記蛍光材料が蛍光発光する波長領域で所定の光学特性を示す。
また、実施形態の偽変造防止媒体は、基材に所定の波長領域で蛍光発光する蛍光材料を付与し、前記基材は前記蛍光材料を蛍光発光させる励起光の波長領域で所定の光学特性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、実施形態にかかる偽変造防止媒体を例示する正面図である。
【図2】図2は、図1のA−A線の概略断面図である。
【図3】図3は、図1のB−B線の概略断面図である。
【図4】図4は、実施形態にかかる偽変造防止媒体の構成部材の反射率、及び励起・発光強度の一例を示すグラフである。
【図5】図5は、種々の基材の反射率の一例を示すグラフである。
【図6】図6は、偽変造防止媒体の検査を行う装置構成を例示する概念図である。
【図7】図7は、検査装置のハードウエア構成を例示するブロック図である。
【図8】図8は、偽変造防止媒体の検査の一例を示す概念図である。
【図9】図9は、検査装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図10】図10は、第2の実施形態にかかる偽変造防止媒体の検査の一例を示す概念図である。
【図11】図11は、第2の実施形態にかかる偽変造防止媒体の構成部材の透過率、及び励起・発光強度の一例を示すグラフである。
【図12】図12は、第3の実施形態にかかる偽変造防止媒体の構成部材の反射率、及び励起・発光強度の一例を示すグラフである。
【図13】図13は、第4の実施形態にかかる偽変造防止媒体の構成部材の反射率、及び励起・発光強度の一例を示すグラフである。
【図14】図14は、第5実施形態にかかる偽変造防止媒体を例示する正面図である。
【図15】図15は、図14のA−A線の概略断面図である。
【図16】図16は、第5の実施形態の変形例にかかる偽変造防止媒体の断面概略図である。
【図17】図17は、第6の実施形態にかかる偽変造防止媒体の検査を行う装置構成を例示する概念図である。
【図18】図18は、第6の実施形態の変形例にかかる偽変造防止媒体の検査を行う装置構成を例示する概念図である。
【図19】図19は、第7の実施形態にかかる偽変造防止媒体を例示する正面図である。
【図20】図20は、図19のA−A線の概略断面図である。
【図21】図21は、図19のB−B線の概略断面図である。
【図22】図22は、第7の実施形態にかかる偽変造防止媒体の構成部材の反射率、及び励起・発光強度の一例を示すグラフである。
【図23】図23は、偽変造防止媒体の検査を行う装置構成を例示する概念図である。
【図24】図24は、偽変造防止媒体の検査の一例を示す概念図である。
【図25】図25は、偽変造防止媒体の検査の一例を示す概念図である。
【図26】図26は、検査装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図27】図27は、第8の実施形態にかかる偽変造防止媒体の検査の一例を示す概念図である。
【図28】図28は、第8の実施形態にかかる偽変造防止媒体の構成部材の透過率、及び励起・発光強度の一例を示すグラフである。
【図29】図29は、第9の実施形態にかかる偽変造防止媒体の構成部材の反射率、及び励起・発光強度の一例を示すグラフである。
【図30】図30は、第10の実施形態にかかる偽変造防止媒体の検査を行う装置構成を例示する概念図である。
【図31】図31は、第11の実施形態にかかる偽変造防止媒体の構成部材の反射率、及び励起・発光強度の一例を示すグラフである。
【図32】図32は、第12実施形態にかかる偽変造防止媒体を例示する正面図である。
【図33】図33は、図32のA−A線の概略断面図である。
【図34】図34は、第12の実施形態の変形例にかかる偽変造防止媒体の断面概略図である。
【図35】図35は、第13の実施形態にかかる偽変造防止媒体の検査を行う装置構成を例示する概念図である。
【図36】図36は、第13の実施形態の変形例にかかる偽変造防止媒体の検査を行う装置構成を例示する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して実施形態の偽変造防止媒体の検査方法及び偽変造防止媒体を詳細に説明する。図1は、実施形態にかかる偽変造防止媒体1を例示する正面図である。図2は、図1のA−A線の概略断面図、図3は、図1のB−B線の概略断面図である。
【0009】
図1に示すように、偽変造防止媒体1は、身分証明書等であり、所有者の顔写真2、所有者を識別するためID(Identification Data)等の文字情報3、励起光を照射することで、所定の波長で蛍光発光する蛍光材料4が印刷などによって形成されている。図2に示すように、偽変造防止媒体1は、主構成材料としての基材6をオーバーコート層5で保護した構成である。図3に示すように、蛍光材料4は、基材6上に印刷などで形成されており、その上を光を透過するオーバーコート層5で覆われている。基材6は、例えば紙などであり、用いる種別で異なる光学特性(反射率、透過率)を示す。
【0010】
図4は、実施形態にかかる偽変造防止媒体1の構成部材の反射率、及び励起・発光強度の一例を示すグラフである。具体的には、100は、蛍光材料4に照射する励起光の波長とその強度を示す。101は、100に示した励起光により蛍光材料4が蛍光発光する際の波長とその強度を示す。102は、基材6の波長ごとの反射率を示す。103は、オーバーコート層5の波長ごとの反射率を示す。104は、蛍光材料4を混合した印刷に用いられる樹脂の、波長ごとの反射率を示す。
【0011】
図4に示すように、蛍光材料4は、赤外光領域の1000nm付近にピークを持つ励起光が照射されて励起することにより、1500nm付近にピークを持つ発光波長で蛍光発光する。このような励起・蛍光発光の特性を示す蛍光材料4の一例としては、MolTech GmbH(Molecular Technology)社のIM-1500-1(製品名)等が挙げられる。また、基材6は、1500nm近傍で反射率が下がる(吸光率・透過率が上がる)光学特性を有している。また、オーバーコート層5や、蛍光材料4を混合した印刷に用いられる樹脂は、波長全域に亘って反射しない(透過を制限しない)光学特性を有している。
【0012】
図5は、種々の基材6の反射率の一例を示すグラフである。より具体的には、基材6が紙である場合の反射率のグラフである。図5に示す102a〜102eは、102で示す基材6とは種別の異なる基材の波長ごとの反射率を示す。図5に示すように、基材6の種別が異なる場合は、102、102a〜102eに示すように、波長ごとの反射率が異なる。したがって、偽変造防止媒体1として所定の種別の基材6を用いる場合は、基材6の光学特性を検査することで偽変造防止媒体1の真偽を判定することが可能である。また、基材6が紙である場合、1500nm付近の反射率が落ち込む波長領域において、材料による差異が(グラフ上で交差するなど無く)安定かつ顕著に現れる。このため、1500nm付近の波長領域の反射特性を検査することで紙の種別の判定を正確に行うことが可能となる。
【0013】
次に、検査対象の偽変造防止媒体1の検査を行う装置構成について説明する。図6は、偽変造防止媒体1の検査を行う装置構成を例示する概念図である。図6に示すように、検査装置203は、偽変造防止媒体1に付与された蛍光材料4を蛍光発光させるための励起光を照射する照射装置200、蛍光材料4が蛍光発光する波長領域の光を透過するBPフィルタ201(BP:バンドパスフィルタ)、BPフィルタ201を透過した光の光量を検出する測定センサ202、検査結果を表示する表示部216を備える。
【0014】
図7は、検査装置203のハードウエア構成を例示するブロック図である。図7に示すように、検査装置203は、CPU210(Central Processing Unit)、ROM211(Read Only Memory)、RAM212(Random Access Memory)、記憶部213、I/O制御部214、表示部216がバス217により接続されている。CPU210は、ROM211に記憶された基本プログラムや、記憶部213に記憶されたプログラムD1を読み出してRAM212の作業領域に展開して順次実行することで、偽変造防止媒体1の動作を中央制御する。記憶部213は、HDD(Hard Disk Drive)等のストレージデバイスであり、偽変造防止媒体1の検査を実行するためのプログラムD1や、検査の際に参照される光学特性データD2等のデータを記憶する。ここで、光学特性データD2は、図4に例示した偽変造防止媒体1の構成部材の反射率や、励起・発光強度等の、検査の際に必要とする光学特性が予め設定されたデータである。I/O制御部214は、ユーザの操作を受け付けるキーボードやマウス等の操作部215、照射装置200、測定センサ202とCPU210とを接続する。なお、検査装置203は、照射装置200や測定センサ202を接続したPC(Personal Computer)等の情報機器であっても、有価証券等の偽変造防止媒体1を取り扱う現金自動預け払い機等に組み込まれるものであってもよい。
【0015】
図8は、偽変造防止媒体1の検査の一例を示す概念図である。図8に示すように、ユーザの操作などを操作部215で受け付けてプログラムD1が実行されることで検査が開始されると、検査装置203は、照射装置200から検査対象の偽変造防止媒体1に対して励起光204を照射する。オーバーコート層5を透過した励起光204は、蛍光材料4を励起して蛍光発光205を生じさせる。測定センサ202は、BPフィルタ201を介して蛍光材料4が生じた蛍光発光205を取得する。
【0016】
この、蛍光発光205には、蛍光材料4が直接蛍光発光する光量の他に、基材6の反射分の光量も含まれる。具体的には、図4の101で例示した強度の光量が蛍光材料4が直接蛍光発光する光量であり、図4の101に基材6の102をかけ合わせた光量が基材6の反射分の光量である。したがって、検査装置203では、上述した光学特性データD2を参照することで、取得した蛍光発光205から蛍光材料4が直接蛍光発光する光量を差し引いた基材6の反射分の光量を算出できる。そして、検査装置203は、算出した光量が図4の101に基材6の102をかけ合わせた光量と一致するか否かを判定することで、偽変造防止媒体1の真偽を検査できる。
【0017】
図9は、検査装置203の動作の一例を示すフローチャートである。図9に示すように、CPU210の制御のもとで処理が開始されると、検査装置203は、照射装置200から励起光204を検査対象の偽変造防止媒体1に照射する(S1)。次いで、検査装置203は、励起光204を照射している際に測定センサ202で検出された光量をもとに、検査対象の偽変造防止媒体1が蛍光発光しているか否かを判定する(S2)。検査対象の偽変造防止媒体1が蛍光発光していない場合(S2:NO)は蛍光材料4が基材6に付与されていないことから、検査装置203は、偽変造防止媒体1を模造品と判定する(S7)。
【0018】
検査対象の偽変造防止媒体1が蛍光発光している場合(S2:YES)は蛍光材料4が基材6に付与されていることから、真正品と推定される。したがって、検査装置203は、測定センサ202の検出光量(蛍光発光205)の出力を得て(S3)、基材6の光学特性(反射率)を判定する(S4)。具体的には、検査装置203は、光学特性データD2を参照することで、検出光量から蛍光材料4が直接蛍光発光する光量を差し引いた基材6の反射分の光量を算出し、算出した光量が図4の101に基材6の102をかけ合わせた光量と一致するか否かを判定して、検出光量が光学特性データD2に設定されている基材6の光学特性と一致するか否かを判定する(S5)。
【0019】
検出光量が光学特性データD2に設定されている基材6の光学特性と一致する場合(S5:YES)、検査装置203は、光学特性(反射率)により偽変造防止媒体1に用いられている基材6の真正が確認されたことから、偽変造防止媒体1を真正品と判定する(S6)。逆に検出光量が光学特性データD2に設定されている基材6の光学特性と一致しない場合(S5:NO)、検査装置203は、偽変造防止媒体1を模造品と判定する(S7)。検査装置203は、S6、S7の判定結果を表示部216への画面表示やスピーカ(図示しない)からの音声報知などでユーザに報知して、処理を終了する。
【0020】
以上のように、検査装置203は、蛍光材料4からの蛍光発光が検出された場合、検出された光量に含まれる基材6からの光量が、光学特性データD2に予め設定された基材の光学特性と一致するか否かに基づいて、検査対象である偽変造防止媒体1の真偽を判定している。したがって、検査装置203は、偽変造防止媒体1に付与された蛍光材料4を検出して偽変造防止媒体1の真偽を判定するだけでなく、蛍光材料4の蛍光発光により基材6の光学特性を検出して偽変造防止媒体1の真偽を判定することから、偽変造防止媒体1の検査における耐偽変造性を向上させることができる。
【0021】
[第2の実施形態]
次に、基材6の透過率をもとに偽変造防止媒体1の真偽を判定する第2の実施形態について説明する。図10は、第2の実施形態にかかる偽変造防止媒体1の検査の一例を示す概念図である。図10に示すように、第2の実施形態では、蛍光材料4が生じる蛍光発光の中で、基材6を透過する蛍光発光205aを測定センサ202で取得する。
【0022】
図11は、第2の実施形態にかかる偽変造防止媒体1の構成部材の透過率、及び励起・発光強度の一例を示すグラフである。ここで、112は、基材6の波長ごとの透過率を示す。112a〜112eは、基材6とは種別の異なる基材の波長ごとの透過率を示す。113は、オーバーコート層5の波長ごとの透過率を示す。114は、蛍光材料4を混合した印刷に用いられる樹脂の、波長ごとの透過率を示す。図5に示した反射率の場合と同様、図11に示すように、基材6の種別が異なる場合は、波長ごとの透過率も異なる。したがって、図11に例示した偽変造防止媒体1の構成部材の光学特性(透過率)を予め光学特性データD2に設定し、図9に例示したフローチャートに従った処理を行うことで、基材6を透過した蛍光発光205aを取得する場合でも、反射率の場合と同様の真偽判定を行うことができる。
【0023】
[第3の実施形態]
次に、オーバーコート層5の光学特性を偽変造防止媒体1の真偽判定に用いる第3の実施形態について説明する。図12は、第3の実施形態にかかる偽変造防止媒体1の構成部材の反射率、及び励起・発光強度の一例を示すグラフである。
【0024】
図12において、123は、オーバーコート層5の波長ごとの透過率を示す。図12に示すように、第3の実施形態では、オーバーコート層5の透過率は励起光や蛍光発光の光量を50%に制限する。したがって、図8に例示たように励起光204を照射して基材6からの反射分を含む蛍光発光205を取得する場合、取得される光量は元の1/4まで低下する。この低下分(オーバーコート層5の光学特性(透過率))を検出することで、検査装置203は、偽変造防止媒体1の真偽判定を行ってもよい。具体的には、蛍光発光205に含まれるオーバーコート層5の光学特性を検出し、光学特性データD2に予め設定されたオーバーコート層5の光学特性と一致するか否かを判定することで、オーバーコート層5の光学特性を用いた偽変造防止媒体1の真偽判定を行う。
【0025】
[第4の実施形態]
次に、蛍光材料4を混合した印刷に用いられる樹脂の光学特性を偽変造防止媒体1の真偽判定に用いる第4の実施形態について説明する。図13は、第4の実施形態にかかる偽変造防止媒体1の構成部材の反射率、及び励起・発光強度の一例を示すグラフである。
【0026】
図13において、124は、蛍光材料4を混合した印刷に用いられる樹脂の、波長ごとの透過率を示す。図13に示すように、第4の実施形態では、蛍光材料4を混合した印刷に用いられる樹脂の透過率は励起光や蛍光発光の光量を50%に制限する。したがって、図8に例示したように励起光204を照射して基材6からの反射分を含む蛍光発光205を取得する場合、取得される光量は元の1/4まで低下する。この低下分(樹脂の光学特性(透過率))を検出することで、検査装置203は、偽変造防止媒体1の真偽判定を行ってもよい。具体的には、蛍光発光205に含まれる樹脂の光学特性を検出し、光学特性データD2に予め設定された樹脂の光学特性と一致するか否かを判定することで、樹脂の光学特性を用いた偽変造防止媒体1の真偽判定を行う。
【0027】
[第5の実施形態]
次に、第5の実施形態として、オーバーコート層を持たない基材を例示する。図14は、第5の実施形態にかかる偽変造防止媒体1aを例示する正面図である。図15は、図14のA−A線の概略断面図である。
【0028】
図14に例示する有価証券等の偽変造防止媒体1aの場合は、図15に例示するように、基材6がオーバーコート層で覆われていないことがある。図16は、第5の実施形態の変形例にかかる偽変造防止媒体1bの断面概略図である。図16に示すように、蛍光材料4は、すき込み印刷などにより基材6の中にすき込まれていてもよい。このような偽変造防止媒体1a、1bについては、オーバーコート層にかかる光学特性を考慮することなく偽変造防止媒体1aの真偽を判定できる。具体的には、オーバーコート層にかかる光学特性を光学特性データD2に設定する必要がない。
【0029】
[第6の実施形態]
次に、第6の実施形態として、励起光波長の光学特性も同時に評価する場合を例示する。図17は、第6の実施形態にかかる偽変造防止媒体1の検査を行う装置構成を例示する概念図である。
【0030】
図17に示すように、検査装置203aには、励起光波長以外の波長領域の光を遮断するBPフィルタ201aを備えて励起光波長の光量(反射分)を測定する測定センサ202aが接続されている。検査装置203aは、測定センサ202aからの出力を参照して測定センサ202からの出力を得ることで、ノイズなどの外乱要因を排除できることから、偽変造防止媒体1の真偽判定をより高い精度で行うことができる。
【0031】
図18は、第6の実施形態の変形例にかかる偽変造防止媒体1の検査を行う装置構成を例示する概念図である。図18に示すように、検査装置203bには、照射装置200が設けられた偽変造防止媒体1の反対側から励起光波長の光量(透過分)を測定する測定センサ202bが接続されている。このように、測定センサ202からの出力を得る際の参照元は、励起光波長の光量の中の基材6を透過する透過光量であってもよい。
【0032】
[第7の実施形態]
次に、第7の実施形態について説明する。なお、他の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明は省略するものとする。
【0033】
図19は、第7の実施形態にかかる偽変造防止媒体1cを例示する正面図である。図20は、図19のA−A線の概略断面図、図21は、図19のB−B線の概略断面図である。
【0034】
図19に示すように、偽変造防止媒体1cは、身分証明書等であり、所有者の顔写真2、所有者を識別するためID(Identification Data)等の文字情報3、励起光を照射することで、所定の波長で蛍光発光する蛍光材料4cが印刷などによって形成されている。図20に示すように、偽変造防止媒体1cは、主構成材料としての基材6をオーバーコート層5で保護した構成である。図21に示すように、蛍光材料4cは、基材6上に印刷などで形成されており、その上を光を透過するオーバーコート層5で覆われている。基材6は、例えば紙などであり、用いる種別で異なる光学特性(反射率、透過率)を示す。すなわち、上述した他の実施形態とは蛍光材料4cが異なる構成である。
【0035】
図22は、第7の実施形態にかかる偽変造防止媒体1cの構成部材の反射率、及び励起・発光強度の一例を示すグラフである。具体的には、100cは、蛍光材料4cに照射する励起光の波長とその強度を示す。101cは、100cに示した励起光により蛍光材料4cが蛍光発光する際の波長とその強度を示す。102は、基材6の波長ごとの反射率を示す。103は、オーバーコート層5の波長ごとの反射率を示す。104は、蛍光材料4cを混合した印刷に用いられる樹脂の、波長ごとの反射率を示す。
【0036】
図22に示すように、蛍光材料4cは、赤外光領域の1500nm付近にピークを持つ励起光が照射されて励起することにより、900nm付近にピークを持つ発光波長で蛍光発光する。このような励起・蛍光発光の特性を示す蛍光材料4cの一例としては、MolTech GmbH(Molecular Technology)社のFAM810−1000−1(製品名)等が挙げられる。また、基材6は、1500nm近傍で反射率が下がる(吸光率・透過率が上がる)光学特性を有している。また、オーバーコート層5や、蛍光材料4cを混合した印刷に用いられる樹脂は、波長全域に亘って反射しない(透過を制限しない)光学特性を有している。
【0037】
すなわち、上述した他の実施形態とは、蛍光材料4cに照射する励起光の波長と、その励起光により蛍光材料4cが蛍光発光する際の波長とが逆の関係になっている。したがって、基材6が紙である場合は、1500nm付近の反射率が落ち込む波長領域において、材料による差異が(グラフ上で交差することなく)安定かつ顕著に現れることから(図5参照)、1500nm付近の励起光の波長領域の反射特性を検査することで、紙の種別の判定を正確に行うことが可能となる。
【0038】
次に、検査対象の偽変造防止媒体1cの検査を行う装置構成について説明する。図23は、偽変造防止媒体1cの検査を行う装置構成を例示する概念図である。図23に示すように、検査装置203cは、偽変造防止媒体1cに付与された蛍光材料4cを蛍光発光させるための励起光(例えば1500nm付近にピークを持つ励起光)を照射する照射装置200c、蛍光材料4cが蛍光発光する波長領域の光を透過するBPフィルタ201(BP:バンドパスフィルタ)、励起光の波長領域の光を透過するBPフィルタ201a、BPフィルタ201、201aを透過した光の光量を検出する測定センサ202、202a、検査結果を表示する表示部216を備える。検査装置203cのハードウエア構成については、上述した他の実施形態と略同一であるため、説明は省略する。
【0039】
図24及び図25は、偽変造防止媒体1cの検査の一例を示す概念図である。図24に示すように、ユーザの操作などを操作部215で受け付けてプログラムD1が実行されることで検査が開始されると、検査装置203cは、照射装置200cから検査対象の偽変造防止媒体1cに対して励起光204cを照射する。オーバーコート層5を透過した励起光204cは、蛍光材料4cを励起して蛍光発光205cを生じさせる。測定センサ202は、BPフィルタ201を介して蛍光材料4cが生じた蛍光発光205cを取得する。
【0040】
次に、図25に示すように、励起光204cが基材6で反射された励起光の反射光204aを測定センサ202aで取得する。この測定は、蛍光材料4cの影響を除くため、図19に例示したA−A断面で測定する。
【0041】
この励起光の反射光204aの光量は、基材が真正品である場合、励起光204cの強度に基材6の反射率を示す光学特性102をかけ合わせた光量である。よって、上述の光学特性判定用データD2と一致するか否かを判定することで、偽変造防止媒体1cの真偽を検査できる。
【0042】
図26は、検査装置203cの動作の一例を示すフローチャートである。図26に示すように、CPU210の制御のもとで処理が開始されると、検査装置203cは、照射装置200cから励起光204cを検査対象の偽変造防止媒体1cに照射する(S11)。次いで、検査装置203cは、励起光204cを照射している際に測定センサ202で検出された光量をもとに、検査対象の偽変造防止媒体1cが蛍光発光しているか否かを判定する(S12)。検査対象の偽変造防止媒体1cが蛍光発光していない場合(S12:NO)は蛍光材料4cが基材6に付与されていないことから、検査装置203cは、偽変造防止媒体1cを模造品と判定する(S17)。
【0043】
検査対象の偽変造防止媒体1cが蛍光発光している場合(S12:YES)は蛍光材料4cが基材6に付与されていることから、真正品と推定される。したがって、検査装置203cは、測定センサ202aの検出光量(励起光の反射光204a)の出力を得て(S13)、基材6の光学特性(反射率)を判定する(S14)。具体的には、検査装置203cは、励起光204cの強度と、光学特性判定用データD2を参照することで、検出光量が光学特性判定用データD2に設定されている基材6の光学特性と一致するか否かを判定する(S15)。
【0044】
検出光量が光学特性判定用データD2に設定されている基材6の光学特性と一致する場合(S15:YES)、検査装置203cは、光学特性(反射率)により偽変造防止媒体1cに用いられている基材6の真正が確認されたことから、偽変造防止媒体1cを真正品と判定する(S16)。逆に検出光量が光学特性判定用データD2に設定されている基材6の光学特性と一致しない場合(S15:NO)、検査装置203cは、偽変造防止媒体1cを模造品と判定する(S17)。検査装置203cは、S16、S17の判定結果を表示部216への画面表示やスピーカ(図示しない)からの音声報知などでユーザに報知して、処理を終了する。
【0045】
以上のように、検査装置203cは、蛍光材料4cからの蛍光発光が検出された場合、検出された光量に含まれる基材6からの光量が、光学特性判定用データD2に予め設定された基材の光学特性と一致するか否かに基づいて、検査対象である偽変造防止媒体1cの真偽を判定している。したがって、検査装置203cは、偽変造防止媒体1cに付与された蛍光材料4cを検出して偽変造防止媒体1cの真偽を判定するだけでなく、励起光の反射光204aにより基材6の光学特性を検出して偽変造防止媒体1cの真偽を判定することから、偽変造防止媒体1cの検査における耐偽変造性を向上させることができる。なお、蛍光発光しているか否かの確認と、基材6の光学特性が真正であるかの確認は順不同であり、入れ替わってもよい。
【0046】
[第8の実施形態]
次に、基材6の透過率をもとに偽変造防止媒体1cの真偽を判定する第8の実施形態について説明する。図27は、第8の実施形態にかかる偽変造防止媒体1cの検査の一例を示す概念図である。図27に示すように、第8の実施形態では、基材6を透過する励起光204bを測定センサ202aで取得する。
【0047】
図28は、第8の実施形態にかかる偽変造防止媒体1cの構成部材の透過率、及び励起・発光強度の一例を示すグラフである。ここで、112は、基材6の波長ごとの透過率を示す。112a〜112eは、基材6とは種別の異なる基材の波長ごとの透過率を示す。113は、オーバーコート層5の波長ごとの透過率を示す。114は、蛍光材料4cを混合した印刷に用いられる樹脂の、波長ごとの透過率を示す。図22に示した反射率の場合と同様、図28に示すように、基材6の種別が異なる場合は、波長ごとの透過率も異なる。したがって、図28に例示した偽変造防止媒体1cの構成部材の光学特性(透過率)を予め光学特性判定用データD2に設定し、図26に例示したフローチャートに従った処理を行うことで、基材6を透過した励起光204bを取得する場合でも、反射率の場合と同様の真偽判定を行うことができる。
【0048】
[第9の実施形態]
次に、オーバーコート層5の光学特性を偽変造防止媒体1cの真偽判定に用いる第9の実施形態について説明する。図29は、第9の実施形態にかかる偽変造防止媒体1cの構成部材の反射率、及び励起・発光強度の一例を示すグラフである。
【0049】
図29において、123は、オーバーコート層5の波長ごとの透過率を示す。図29に示すように、第9の実施形態では、オーバーコート層5の透過率は励起光や蛍光発光の光量を50%に制限する。したがって、図25に例示したように励起光204cを照射した際の基材6からの反射光204aを取得する場合、取得される光量は、オーバーコート層5で反射された光量と、オーバーコート層5を透過し、基材6で反射され、再びオーバーコート層5を透過したものを合わせた光量となる。この変化分(オーバーコート層5の光学特性(透過率))を検出することで、検査装置203cは、偽変造防止媒体1cの真偽判定を行ってもよい。具体的には、励起光204cの反射光204aに含まれるオーバーコート層5の光学特性を検出し、光学特性判定用データD2に予め設定されたオーバーコート層5の光学特性と一致するか否かを判定することで、オーバーコート層5の光学特性を用いた偽変造防止媒体1cの真偽判定を行う。
【0050】
[第10の実施形態]
次に、励起光204cの反射光204aの測定を、蛍光材料4cが存在するB−B断面で行う第10の実施形態について説明する。図30は、第10の実施形態にかかる偽変造防止媒体1cの検査を行う装置構成を例示する概念図である。図30に於ける励起光204cの反射光204dは、蛍光材料4cの励起に用いられる分、単純な基材6での反射時よりも光量が低下する。この時の低下の度合いは、蛍光材料4cの塗布量により変化する。この低下分を検出することで、検出装置203cは、偽変造防止媒体1cの真偽判定を行ってもよい。より具体的には、B−B断面での励起光204cの反射光204dの光量を取得し、光学特性判定用データD2に予め設定された、蛍光材料4cを所定の量を塗布した際の光学特性と一致するか否かを判定することで、偽変造防止媒体1cの真偽判定を行う。このとき、必要に応じてA−A断面での励起光204cの反射光204aを併せて取得し、両者を比較しても良い。
【0051】
[第11の実施形態]
次に、蛍光材料4cを混合した印刷に用いられる樹脂の光学特性を偽変造防止媒体1cの真偽判定に用いる第11の実施形態について説明する。図31は、第11の実施形態にかかる偽変造防止媒体1cの構成部材の反射率、及び励起・発光強度の一例を示すグラフである。
【0052】
図31において、124は、蛍光材料4cを混合した印刷に用いられる樹脂の、波長ごとの透過率を示す。図31に示すように、第11の実施形態では、蛍光材料4cを混合した印刷に用いられる樹脂の透過率は励起光204cや蛍光発光の光量を50%に制限する。したがって、図25に例示したように励起光204cを照射して基材6からの励起光の反射光204aを取得する場合、取得される光量は樹脂で反射された光量と、樹脂を透過し、蛍光材料4cの励起に使用された後に基材6で反射され、再び樹脂を透過(励起に使用)したものを合わせた光量となる。この変化分(樹脂の光学特性(透過率))を検出することで、検査装置203cは、偽変造防止媒体1cの真偽判定を行ってもよい。具体的には、励起光204cの反射光204aに含まれる樹脂の光学特性を検出し、光学特性判定用データD2に予め設定された樹脂の光学特性と一致するか否かを判定することで、樹脂の光学特性を用いた偽変造防止媒体1cの真偽判定を行う。
【0053】
[第12の実施形態]
次に、第12の実施形態として、オーバーコート層を持たない基材を例示する。図32は、第12の実施形態にかかる偽変造防止媒体1dを例示する正面図である。図33は、図32のA−A線の概略断面図である。
【0054】
図32に例示する有価証券等の偽変造防止媒体1dの場合は、図33に例示するように、基材6がオーバーコート層で覆われていないことがある。図34は、第12の実施形態の変形例にかかる偽変造防止媒体1eの断面概略図である。図34に示すように、偽変造防止媒体1eにおける蛍光材料4cは、すき込み印刷などにより基材6の中にすき込まれていてもよい。このような偽変造防止媒体1d、1eについては、オーバーコート層にかかる光学特性を考慮することなく偽変造防止媒体の真偽を判定できる。具体的には、オーバーコート層にかかる光学特性を光学特性判定用データD2に設定する必要がない。
【0055】
[第13の実施形態]
次に、第13の実施形態として、蛍光発光波長の光学特性も同時に評価する場合について説明する。上述した第7〜12の実施形態に於いて、蛍光発光の光量は、偽変造防止媒体1cを構成する各材料の光学特性が既知である場合、一意に定まる。このことから、検査装置203cは、測定センサ202からの出力を参照して測定センサ202aからの出力を得ることで、ノイズなどの外乱要因を排除できることから、偽変造防止媒体1cの真偽判定をより高い精度で行うことができる。
【0056】
図35は、第13の実施形態にかかる偽変造防止媒体1cの検査を行う装置構成を例示する概念図である。図35に示すように、偽変造防止媒体1cを挟んで対向する形で、照射装置200c及び測定センサ202aが設けられ、検査装置203cに接続されている。このように、測定センサ202からの出力を得る際の参照元は、励起光波長の光量の中の、基材6を透過する透過光量であってもよい。
【0057】
図36は、第13の実施形態の変形例にかかる偽変造防止媒体の検査を行う装置構成を例示する概念図である。図36に示すように、励起光204c及び蛍光発光205の両波長域に感度を持つ光量センサ202cを用い、例えばBPフィルタ201、201aを切り替えることにより、単一のセンサで光量を測定しても良い。
【0058】
なお、実施形態の検査装置203〜203cで実行されるプログラムD1は、ROM等に予め組み込まれて提供される。実施形態の検査装置203〜203cで実行されるプログラムD1は、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0059】
さらに、実施形態の検査装置203〜203cで実行されるプログラムD1を、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、実施形態の検査装置203〜203cで実行されるプログラムD1をインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0060】
実施形態の検査装置203〜203cで実行されるプログラムD1は、上述した機能構成を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記機能構成が主記憶装置上にロードされ、主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0061】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0062】
1、1a、1b、1c、1d、1e…偽変造防止媒体、2…顔写真、3…文字情報、4…蛍光材料、5…オーバーコート層、6…基材、200、200c…照射装置、201、201a、201b…BPフィルタ、202、202a、202b…測定センサ、203、203a、203b、203c…検査装置、204、204c…励起光、205、205a…蛍光発光、210…CPU、211…ROM、212…RAM、213…記憶部、214…I/O制御部、215…操作部、216…表示部、217…バス、D1…プログラム、D2…光学特性データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の偽変造防止媒体を検査する検査装置における偽変造防止媒体の検査方法であって、
前記偽変造防止媒体に対して、当該偽変造防止媒体の基材に付与される蛍光材料を蛍光発光させるための励起光を照射する照射工程と、
前記励起光を照射している際に、前記蛍光材料が蛍光発光する波長領域の光量を検出する光量検出工程と、
前記検出された光量をもとに、前記蛍光材料の蛍光発光が検出された場合、前記検出された光量に含まれる前記基材からの光量が、予め設定された基材の光学特性と一致するか否かに基づいて、前記偽変造防止媒体の真偽を判定する判定工程と、
を含む偽変造防止媒体の検査方法。
【請求項2】
検査対象の偽変造防止媒体を検査する検査装置における偽変造防止媒体の検査方法であって、
前記偽変造防止媒体に対して、当該偽変造防止媒体の基材に付与される蛍光材料を蛍光発光させるための励起光を照射する照射工程と、
前記励起光を照射している際に、前記蛍光材料が蛍光発光する波長領域の光量と、前記励起光の波長領域の光量とを検出する光量検出工程と、
前記検出された光量をもとに、前記蛍光材料の蛍光発光が検出された場合、前記励起光の波長領域に含まれる前記基材からの光量が、予め設定された基材の光学特性と一致するか否かに基づいて、前記偽変造防止媒体の真偽を判定する判定工程と、
を含む偽変造防止媒体の検査方法。
【請求項3】
前記光量検出工程は、前記偽変造防止媒体から反射する光量を検出し、
前記判定工程は、前記検出された光量に含まれる前記基材からの反射光量が、予め設定された基材の反射率に対応した光量と一致するか否かに基づいて、前記偽変造防止媒体の真偽を判定する、
請求項1又は2に記載の偽変造防止媒体の検査方法。
【請求項4】
前記光量検出工程は、前記偽変造防止媒体を透過する光量を検出し、
前記判定工程は、前記検出された光量に含まれる前記基材を透過した透過光量が、予め設定された基材の透過率に対応した光量と一致するか否かに基づいて、前記偽変造防止媒体の真偽を判定する、
請求項1又は2に記載の偽変造防止媒体の検査方法。
【請求項5】
基材に所定の波長領域で蛍光発光する蛍光材料を付与し、前記基材は前記蛍光材料が蛍光発光する波長領域で所定の光学特性を示す偽変造防止媒体。
【請求項6】
基材に所定の波長領域で蛍光発光する蛍光材料を付与し、前記基材は前記蛍光材料を蛍光発光させる励起光の波長領域で所定の光学特性を示す偽変造防止媒体。
【請求項7】
前記光学特性は、前記基材の反射率、又は前記基材の透過率である、
請求項5又は6に記載の偽変造防止媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2013−75506(P2013−75506A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−61916(P2012−61916)
【出願日】平成24年3月19日(2012.3.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】