説明

偽造カード検出システム、偽造カード検出方法、偽造カード検出プログラムおよびプログラム記録媒体

【課題】偽造カードの使用をより確実に検出することが可能な偽造カード検出システムを提供する。
【解決手段】ATM1に内蔵した偽造カード検出システム10の画像イメージ比較判定部11bは、挿入されたカードのカード画像イメージをカードイメージセンサ12により読み込み、該挿入カードのカード画像イメージの特徴を抽出して、偽造カード判定条件保存メモリ11aにあらかじめ登録された過去の偽造カードのカード画像イメージの特徴と比較し、双方の特徴の類似度が所定の類似閾値を超える場合、当該挿入カードが偽造カードの疑いがあるとの診断結果を、カード画像イメージとともに、アラーム情報として、該挿入カードの最終的な真偽判定を行う管理部門の管理部門サーバ20に転送し、該管理部門サーバ20から偽造カードである旨を示す判定結果が返送されてきた場合、カード制御部2に対して当該挿入カードによる取引を停止させる指示を送付する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偽造カード検出システム、偽造カード検出方法、偽造カード検出プログラムおよびプログラム記録媒体に関し、特に、ATM(Automated Teller Machine:現金自動預け払い機)やCD(Cash Dispenser:現金自動支払機)などの現金取扱い装置において使用されるカードの偽造を検出する偽造カード検出システム、偽造カード検出方法、偽造カード検出プログラムおよびプログラム記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
銀行等の金融機関やコンビニ等に設置されているATMやCD等の現金取扱い装置に使用されるカードは、磁気カードストライプ付きのカードが用いられており、該カードを使用する使用者の本人確認を行った後、所望の金額の入金や出金、振込み等の取引を自動的に行うようになっている。近年、このようなカードの偽造に伴う被害が増加しており、例えば、特許文献1の特開2006−221431号公報「エンボス文字読取装置」や特許文献2の特開2005−141761号公報「偽造カード判別システム」のように、偽造カードの被害を防止する方策が種々提案されている。
【0003】
例えば、前記特許文献1では、カード上のエンボス加工部の浮き出し模様をカード挿入時とカード排出時との2回に亘って異なる光源を用いて抽出することにより偽造の有無を判別する仕組みを提案し、また、前記特許文献2では、カード上のエンボス加工部の浮き出し模様、ホログラム、カード表面のマイクロ文字のいずれか1つ以上の検出と磁気コード情報の読み取りとを行うことにより偽造の有無を判別する仕組みを提案している。
【0004】
しかし、コンビニATMなどのように、多種多様なカード(国内殆どの金融機関カード、キャッシュカード、海外のクレジットカードやキャッシュカード等)を取り扱うことが必要な現金取扱い装置では、すべてのカードについて、前述のような情報の有無や情報があった場合でも正しい表示内容をすべて把握することは極めて困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−221431号公報(第4−6頁)
【特許文献2】特開2005−141761号公報(第4−7頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
つまり、従来のATMやCD等の現金取扱い装置においては、前述したように、次のような課題がある。
【0007】
第1の課題は、現状では、現金取扱い装置において利用される金融関係のカードとして多種多様なカードが使用されているため、使用されているすべてのカードに対する偽造防止機能をATMやCD等の現金取扱い装置に備えることが非常に困難であり、スキミング等により不正に取得された磁気コード情報が書き込まれた偽造カードを識別することができないということにある。すなわち、偽造カードの使用を防止する方法として、多くの金融機関と提携して、それぞれのカードに対する偽造の防止策を施すことは、多種多様なカードが使用される状況では、非常に困難である。
【0008】
第2の課題は、偽造カードを完全には識別することができないため、偽造カードの使用を防ぐことができないということにある。
【0009】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、偽造カードの使用をより確実に検出することが可能な偽造カード検出システム、偽造カード検出方法、偽造カード検出プログラムおよびプログラム記録媒体を提供することを、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の課題を解決するため、本発明による偽造カード検出システムは、次のような特徴的な構成を採用している。
【0011】
(1)挿入されたカードに基づいて現金に関するカード取引を行う現金取扱い装置に組み込まれて、挿入された前記カードが偽造カードであるか否かを検出する偽造カード検出システムであって、過去に使用された偽造カードに関するカード画像イメージの特徴を偽造カード判定条件として登録している保存メモリおよび挿入されたカードのカード画像イメージを読み込むカードイメージセンサを少なくとも備え、前記カードイメージセンサにより読み込まれた挿入カードのカード画像イメージの特徴を抽出して、前記保存メモリに登録されている前記偽造カードのカード画像イメージの特徴と比較照合し、前記挿入カードのカード画像イメージと前記偽造カードのカード画像イメージとの双方の特徴の類似度があらかじめ定めた類似閾値を超える場合、当該挿入カードが偽造カードの疑いがあるとの診断結果を出力する画像イメージ比較判定手段を備えている偽造カード検出システム。
【発明の効果】
【0012】
本発明の偽造カード検出システム、偽造カード検出方法、偽造カード検出プログラムおよびプログラム記録媒体によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0013】
第1の効果は、ATMやCD等の現金取扱い装置において、過去の偽造カードに関するカード画像イメージの特徴を少なくとも保存しているので、挿入されたカードのカード画像イメージの特徴を、過去の偽造カードのカード画像イメージの特徴と比較照合することによって、現金取扱い装置側において挿入カードが偽造カードの疑いがあるか否かを迅速に診断することができることである。
【0014】
第2の効果は、ATMやCD等の現金取扱い装置側において挿入カードが偽造カードの疑いがあるとの診断結果が得られた場合、当該現金取扱い装置を管理している管理部門が運営する管理部門サーバに対して、通信回線を介して、該診断結果と挿入カードのカード画像イメージとを転送し、管理部門側で、再度、挿入カードの真偽判定を行うようにしているので、挿入カードの誤判定をより確実に防止することが可能である。
【0015】
第3の効果は、ATMやCD等の現金取扱い装置における偽造カードの判定用に用いる偽造カード判定条件として、過去に使用された偽造カードに関するカード画像イメージの特徴を用いる仕組みとしているので、全世界に現在流通しているカードに関する情報をすべて取り込む必要がある従来の仕組みに比して、偽造カードをより確実に検出することができることである。
【0016】
第4の効果は、ATMやCD等の現金取扱い装置における偽造カードの判定用に用いる偽造カード判定条件を、管理部門からの更新指示に応じて随時更新することができることである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る偽造カード検出システムのシステム構成の一例を示す構成図である。
【図2】図1のATMに内蔵した偽造カード検出システムの動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明による偽造カード検出システム、偽造カード検出方法、偽造カード検出プログラムおよびプログラム記録媒体の好適な実施例について添付図を参照して説明する。なお、以下の説明においては、本発明による偽造カード検出システムおよび偽造カード検出方法について説明するが、かかる偽造カード検出方法をコンピュータにより実行可能な偽造カード検出プログラムとして実施するようにしても良いし、あるいは、偽造カード検出プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録するようにしても良いことは言うまでもない。
【0019】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明は、多種多様なカードを扱うATM(Automated Teller Machine:現金自動預け払い機)やCD(Cash Dispenser:現金自動支払機)等の現金取扱い装置に本発明に特有の偽造カード検出システムを組み込むことによって、偽造カードをより確実に検出することを可能とすることを特徴としている。
【0020】
すなわち、ATMやCD等の現金取扱い装置内に、偽造カード検出システムを組み込み、該偽造カード検出システム内に、過去に使用された偽造カードに関するカード画像イメージや当該カード画像イメージの特徴等の偽造カード判定条件をあらかじめ登録しておき、該偽造カード検出システムは、当該現金取扱い装置にカードが挿入されて取引を行う際に、挿入されたカードのカード画像イメージを読み込み、挿入された該カードのカード画像イメージやその特徴と、あらかじめ格納している偽造カードのカード画像イメージやその特徴との比較照合を行うことにより、挿入されたカードが偽造カードの疑いがあるか否かの診断を行うことを、特徴としている。
【0021】
さらに、該偽造カード検出システムは、診断結果として、挿入されたカードが偽造カードの疑いがあると診断された場合には、ATM等の現金取扱い装置を管理し、かつ、挿入されるカードの真偽判定を行う管理部門が運営する管理部門サーバに対して、前記診断結果と挿入されたカードのカード画像イメージとを、アラーム情報として、通信回線を介して転送することを、特徴としており、当該管理部門において当該カードが偽造カードであると判定された場合には、管理部門サーバから、偽造カードである旨の判定結果が、送信元のATM等の現金取扱い装置の該偽造カード検出システムに返送されてくることにより、該偽造カード検出システムは、当該カードを用いたATM等の取引を停止させ、偽造カードの不正使用を防止することができることを、特徴としている。
【0022】
さらに、ATM等の現金取扱い装置内の偽造カード検出システムに登録されている過去の偽造カードに関するカード画像イメージやその特徴は、管理部門サーバ側からの更新指示に応じて、随時、追加・削除・変更等の書き換え(更新)を行うことが可能とされている。
【0023】
以上のように、ATM等の現金取扱い装置内の偽造カード検出システムに偽造カード判定条件としてあらかじめ登録する情報は、過去に使用された偽造カードのカード画像イメージに関する情報であり、例えば、偽造カードの色合いが磁気部以外は白い(もしくは他の色)とか、あるいは、偽造カード上に印刷機械に応じて生じる或る規則性や方向性を示すテクスチャが描かれているとか、あるいは、オブジェクトとして或る形状や模様が描かれているとかの情報が登録されている。したがって、過去に使用された偽造カードに関する情報を、随時登録するようにすれば良く、従来技術のように、世界中に流通しているすべての正当なカードに関する情報を入手して、それぞれの正当なカードに関する情報を網羅した形で登録する必要はないので、より確実に、偽造カードを検出することができる。
【0024】
(実施形態のシステム構成例)
図1は、本発明に係る偽造カード検出システムのシステム構成の一例を示す構成図であり、偽造カード検出システム10が、現金取扱い装置の一例としてカード制御部2、カード搬送制御部3を少なくとも備えたATM1内に組み込まれている場合について例示している。図1に示すように、本偽造カード検出システム10は、イメージ制御部11、カードイメージセンサ12、上位制御部13を少なくとも備えており、イメージ制御部11は、偽造カード判定条件保存メモリ11aと画像イメージ比較判定部11bとを少なくとも備えている。なお、上位制御部13は、通信回線を介して、ATM1の管理を行い、かつ、挿入されるカードの真偽判定を行っている管理部門が運営する管理部門サーバ20との間で、情報を授受する機能を備えている。
【0025】
カード制御部2は、カードが挿入されたことを検知して、カード搬送制御部3を制御することによって、挿入されたカードを所定の位置まで搬送させ、カードに記録されている磁気コード情報を読み取ったりして、当該カードを利用した取引用のカード制御を行う。偽造カード検出システム10のイメージ制御部11は、ATM1のカード制御部2からのカード挿入の旨の通知を受け取って、カードイメージセンサ12を駆動して、挿入されたカードのカード画像イメージを読み取る。
【0026】
また、イメージ制御部11内の画像イメージ比較判定部11bは、偽造カード判定条件保存メモリ11aに格納されている偽造カードのカード画像イメージ情報やその特徴と、カードイメージセンサ12により読み込まれた挿入カードのカード画像イメージ情報やその特徴とを比較照合する。該比較照合結果として、挿入カードが偽造カードの疑いがあると診断された場合には、上位制御部13を駆動して、通信回線を介して、当該ATM1を管理し、かつ、挿入されるカードの真偽判定を行う管理部門が運営する管理部門サーバ20に対して、アラーム情報として、挿入カードの診断結果と該挿入カードのカード画像イメージとを転送する。
【0027】
管理部門サーバ20では、転送されてきたアラーム情報を、管理部門オペレータに出力して提示するとともに、管理部門オペレータの指示に応じて、アラーム情報に含まれている挿入カードのカード画像イメージに基づく、当該挿入カードの真偽判定をさらに行い、真偽判定結果として偽造カードと判定した場合には、偽造カードの旨を示す判定結果を、通信回線を介して、送信元の上位制御部13に返送する。偽造カードの旨を示す判定結果を受け取った上位制御部13は、カード制御部2に対して、現在挿入されているカードによるATM1の取引を停止させる指示を送付することにより、偽造カードによる不正なATM取引の発生を防止することができる。
【0028】
なお、偽造カード判定条件保存メモリ11aには、過去に使用された偽造カードに関するカード画像イメージやその特徴(例えばカードの色合い、パターンとしての規則性や方向性を示すテクスチャ、任意の形状や模様を示すオブジェクト等のいずれか1ないし複数に基づく特徴)など、画像イメージ比較判定部11bにおける1次診断に必要な情報が登録されている。また、偽造カード判定条件保存メモリ11aに登録される情報は、管理部門サーバ20からの指示を受け取る上位制御部13からの書き換え指示(更新指示)によって、随時、追加・削除・変更・等の書き換え(更新)が可能である。
【0029】
以上のように、図1において、ATM1は、カードが挿入されたことをカード制御部2にて検知すると、カード搬送制御部3によりカードを所定の位置まで搬送することによって、図示していないカード読み取り部によって当該カードに記録されている磁気コード情報を読み取る。このとき、カード制御部2は、内蔵している偽造カード検出システム10のイメージ制御部11に対して、カードが挿入され、挿入されたカードが所定の位置まで搬送されている旨を通知する。該通知を受け取ったイメージ制御部11は、カードイメージセンサ12を駆動することによって、当該カードのカード画像イメージを画像情報として読み込む。
【0030】
しかる後、イメージ制御部11は、画像イメージ比較判定部11bを駆動して、カードイメージセンサ12によって読み取った挿入カードのカード画像イメージの特徴と偽造カード判定条件保存メモリ11aに格納されているカード画像イメージの特徴との比較照合を行う。このとき、画像イメージ比較判定部11bは、まず、挿入カードのカード画像イメージの特徴として、あらかじめ定めた所定のセルサイズごとに分割して、それぞれのセル位置における色合いやテクスチャやオブジェクト(形状)等を抽出することにより、当該挿入カードの色合いや描かれているテクスチャやオブジェクト(形状)等を抽出する。
【0031】
一方、偽造カード判定条件保存メモリ11aには、過去に使用された偽造カードのカード画像イメージやその特徴が構成要件として登録されており、例えば、偽造カードの磁気部以外の背景色は、白色(または他の単色)のカードであるとか、あるいは、テクスチャとして特有の規則性や方向性を有するパターンが描かれているとか、あるいは、オブジェクトとして特有の形状の模様が描かれているとかが、偽造カードのカード画像イメージの特徴として登録されている。つまり、偽造カード判定条件保存メモリ11aに、前述のように、過去の偽造カードとして世界のいずれかで使用されたカードに関するカード画像イメージやその特徴を逐次登録していくことによって、挿入されたカードと過去の偽造カードとのカード画像イメージやその特徴の類似性を比較して、挿入されたカードの真偽度を診断しようとするものである。
【0032】
したがって、画像イメージ比較判定部11bは、挿入カードのカード画像イメージの特徴と偽造カード判定条件保存メモリ11aに登録されている偽造カードに関するカード画像イメージの特徴との比較照合結果として、両者のカード画像イメージの類似度を判別して、あらかじめ定めた類似閾値を超えて類似度が大きいと判定した場合、挿入カードは、偽造カードの疑いがあるものと診断する。
【0033】
偽造カードの疑いがあると診断した場合は、上位制御部13を起動して、ATMの管理をしている管理部門サーバ20に対して、通信回線を介して、偽造カードの疑いがあるとの診断結果を、アラーム情報として、当該挿入カードのカード画像イメージとともに、送信する。
【0034】
ATM1の偽造カード検出システム10から通信回線を介して送信されてきた前記アラーム情報を受信した管理部門サーバ20においては、該アラーム情報の診断結果と、該アラーム情報に含まれている挿入カードのカード画像イメージとを、管理部門オペレータに対して出力して提示するとともに、さらに、該管理部門オペレータからの指示に応じてカード画像イメージの分析処理を行うことによって、最終的な当該挿入カードの真偽判定を行う。
【0035】
かかる真偽判定の結果、当該挿入カードは偽造カードであると判定した場合は、偽造カードの旨を示す判定結果を送信元のATM1の偽造カード検出システム10に対して通信回線を介して返送する。かかる偽造カードの旨を示す判定結果を受信した偽造カード検出システム10の上位制御部13は、ATM1のカード制御部2に対して、偽造カードと判定された当該挿入カードを用いたATM取引を停止させる指示を送付することによって、偽造カードによるATM取引の発生を未然に防ぐ。
【0036】
以上のように、ATM1内では、偽造カード検出システム10の画像イメージ比較判定部11bによって、挿入されたカードが偽造カードの疑いがあると診断した場合にのみ、アラーム情報を管理部門サーバ20に転送し、管理部門サーバ20側では、偽造カード検出システム10から転送されてきた当該挿入カードのカード画像イメージと診断結果とに基づいて、管理部門オペレータも含めて、再度、当該挿入カードの真偽判断をしているので、多種多様なカードであっても、当該挿入カードの真偽判定をより正しく行うことができ、偽造カードの使用をより確実に防止することができる。
【0037】
(実施形態の動作の説明)
次に、図1のATM1に内蔵した偽造カード検出システム10の動作について、その一例を、図2に示すフローチャートを使用してさらに説明する。図2は、図1のATM1に内蔵した偽造カード検出システム10の動作の一例を説明するためのフローチャートであり、本発明の一実施形態である偽造カード検出システム10が、現金取扱い装置としてATM1に内蔵されている場合についてその動作を説明している。
【0038】
図2のフローチャートにおいて、まず、顧客がカードをATM1に挿入すると(ステップS1)、ATM1のカード制御部2は、カードの挿入を検知して、カード搬送制御部3を駆動することにより、ATM1としての動作が開始する。
【0039】
カード制御部2からの駆動指示を受け取ったカード搬送制御部3は、挿入されたカードを所定の位置まで搬送する(ステップS2)。しかる後、カード制御部2は、搬送された当該挿入カードに記録されている磁気コード情報を読み取るとともに、カード画像イメージの読み取り位置に当該挿入カードが搬送されている旨を、偽造カード検出システム10のイメージ制御部11に対して通知する。該通知を受け取ったイメージ制御部11は、カードイメージセンサ12を駆動して、当該挿入カードのカード画像イメージを読み込む(ステップS3)。
【0040】
しかる後、イメージ制御部11は、画像イメージ比較判定部11bに対して、読み込んだ挿入カードのカード画像イメージを送付し、偽造カード判定条件保存メモリ11aに登録されている偽造カードのカード画像イメージとの比較照合を指示する。画像イメージ比較判定部11bは、送付されてきた挿入カードのカード画像イメージの特徴(色合い、テクスチャ、オブジェクト等のいずれか1ないし複数に基づく特徴)を抽出し、抽出した挿入カードのカード画像イメージの特徴と、偽造カード判定条件保存メモリ11aに登録されている偽造カードのカード画像イメージの特徴とを比較照合する(ステップS4)。
【0041】
挿入カードのカード画像イメージと偽造カードのカード画像イメージとの双方の特徴の比較照合結果として、両者の類似度があらかじめ定めた類似閾値を超えているか否かを判定することにより、挿入カードが偽造カードの疑いがあるか否かを診断する(ステップS5)。挿入カードは偽造カードの疑いがないと診断した場合(ステップS5の「無」の場合)、正当なカードである旨をカード制御部2に通知することにより、ATM1は、挿入カードによるATM取引を継続する(ステップS6)。
【0042】
一方、挿入カードは偽造カードの疑いがあると診断した場合(ステップS5の「有」の場合)、偽造カード検出システム10の上位制御部13を駆動して、挿入カードは偽造カードの疑いがある旨を示す診断結果と挿入カードのカード画像イメージとを、アラーム情報として、通信回線を介して、当該ATM1の管理を行っている管理部門が運営する管理部門サーバ20に対して転送する(ステップS7)。ATM1の偽造カード検出システム10から該アラーム情報を受信した管理部門サーバ20は、該アラーム情報に含まれている診断結果と挿入カードのカード画像イメージとを出力して、当該管理部門のオペレータに提示する。
【0043】
さらに、管理部門サーバ20は、管理部門オペレータからの指示に応じて、挿入カードのカード画像イメージの分析を行うことにより、管理部門オペレータの判断も含めた最終的な挿入カードに関する真偽判定を行う(ステップS8)。最終的な判定結果として、挿入カードは偽造カードではないと判定した場合(ステップS9の「無」の場合)、正当なカードである旨の判定結果を、送信元のATM1の偽造カード検出システム10の上位制御部13に返送する。正当なカードである旨の判定結果を受け取った上位制御部13は、その旨をカード制御部2に通知することにより、ATM1は、挿入カードによるATM取引を継続する(ステップS10)。
【0044】
一方、挿入カードは偽造カードであると判定した場合(ステップS9の「有」の場合)、挿入カードが偽造カードである旨の判定結果を、送信元のATM1の偽造カード検出システム10の上位制御部13に返送する。挿入カードが偽造カードである旨の判定結果を受け取った上位制御部13は、当該挿入カードによるATM取引を停止させる指示をカード制御部2に通知することにより、ATM1は、当該挿入カードによる取引を停止する(ステップS11)。この結果、ATM1は、偽造カードによる不正なATM取引の発生を未然に防止することができる。
【0045】
なお、ATM1の管理を行い、かつ、挿入されるカードの真偽判定を行っている管理部門は、偽造カード検出システム10の偽造カード判定条件保存メモリ11aに登録されている過去の偽造カードに関するカード画像イメージやその特徴を、随時、書き換え更新することが可能であり、管理部門サーバ20から、通信回線を介して、偽造カード検出システム10の上位制御部13に対して、偽造カード判定条件更新指示を送信することによって、イメージ制御部11は、該偽造カード判定条件更新指示に含まれている内容に応じて、新たな偽造カードに関するカード画像イメージやその特徴を偽造カード判定条件保存メモリ11aに追加登録したり、偽造カード判定条件保存メモリ11aに登録されている偽造カードに関するカード画像イメージやその特徴の内容を変更したり、削除したりする。
【0046】
(実施形態の効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本実施形態によれば、以下に記載するような効果が得られる。
【0047】
第1の効果は、ATMやCD等の現金取扱い装置において、過去の偽造カードに関するカード画像イメージの特徴を少なくとも保存しているので、挿入されたカードのカード画像イメージの特徴を、過去の偽造カードのカード画像イメージの特徴と比較照合することによって、現金取扱い装置側において挿入カードが偽造カードの疑いがあるか否かを迅速に診断することができることである。
【0048】
第2の効果は、ATMやCD等の現金取扱い装置側において挿入カードが偽造カードの疑いがあるとの診断結果が得られた場合、当該現金取扱い装置を管理している管理部門が運営する管理部門サーバに対して、通信回線を介して、該診断結果と挿入カードのカード画像イメージとを転送し、管理部門側で、再度、挿入カードの真偽判定を行うようにしているので、挿入カードの誤判定をより確実に防止することが可能である。
【0049】
第3の効果は、ATMやCD等の現金取扱い装置における偽造カードの判定用に用いる偽造カード判定条件として、過去に使用された偽造カードに関するカード画像イメージの特徴を用いる仕組みとしているので、全世界に現在流通しているカードに関する情報をすべて取り込む必要がある従来の仕組みに比して、偽造カードをより確実に検出することができることである。
【0050】
第4の効果は、ATMやCD等の現金取扱い装置における偽造カードの判定用に用いる偽造カード判定条件を、管理部門からの更新指示に応じて随時更新することができることである。
【0051】
以上、本発明の好適実施例の構成を説明した。しかし、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。例えば、本発明の実施態様は、課題を解決するための手段における構成(1)に加えて、次のような構成として表現できる。
(2)前記挿入カードのカード画像イメージと前記偽造カードのカード画像イメージとの双方の特徴として、色合い、パターンとしての規則性、方向性を示すテクスチャ、任意の形状や模様を示すオブジェクトのいずれか1ないし複数を用いる上記(1)の偽造カード検出システム。
(3)前記現金取扱い装置の管理を行い、かつ、挿入されたカードの真偽判定を行う管理部門が運営する管理部門サーバと通信回線を介して情報を送受信する上位制御部をさらに備え、前記挿入カードのカード画像イメージと前記偽造カードのカード画像イメージとの双方の特徴の比較照合結果として、当該挿入カードが偽造カードの疑いがあるとの診断結果が得られた場合、前記上位制御部により、少なくとも当該挿入カードの前記診断結果と当該挿入カードのカード画像イメージとを、アラーム情報として、前記管理部門サーバに転送する上記(1)または(2)の偽造カード検出システム。
(4)前記上位制御部が、前記アラーム情報として送信した前記挿入カードが偽造カードである旨を示す判定結果を前記管理部門サーバから受け取った場合、前記現金取扱い装置における当該挿入カードによる取引を停止させる上記(3)の偽造カード検出システム。
(5)前記上位制御部が、前記保存メモリに登録されている前記偽造カードのカード画像イメージの特徴に関する情報の更新指示を前記管理部門サーバから受け取った場合、該更新指示にしたがって、前記保存メモリに登録されている前記偽造カードのカード画像イメージの特徴に関する情報を更新する上記(3)または(4)の偽造カード検出システム。
(6)前記現金取扱い装置が、ATM(Automated Teller Machine)またはCD(Cash Dispenser)のいずれかを少なくとも含む上記(1)ないし(5)のいずれかの偽造カード検出システム。
(7)挿入されたカードに基づいて現金に関するカード取引を行う現金取扱い装置において、挿入された前記カードが偽造カードであるか否かを検出する偽造カード検出方法であって、過去に使用された偽造カードに関するカード画像イメージの特徴を偽造カード判定条件としてあらかじめ登録するとともに、挿入されたカードのカード画像イメージを読み込んで、読み込まれた挿入カードのカード画像イメージの特徴を抽出し、あらかじめ登録されている前記偽造カードのカード画像イメージの特徴と比較照合した結果として、前記挿入カードのカード画像イメージと前記偽造カードのカード画像イメージとの双方の特徴の類似度があらかじめ定めた類似閾値を超える場合、当該挿入カードが偽造カードの疑いがあるとの診断結果を出力する偽造カード検出方法。
(8)前記挿入カードのカード画像イメージと前記偽造カードのカード画像イメージとの双方の特徴として、色合い、パターンとしての規則性、方向性を示すテクスチャ、任意の形状や模様を示すオブジェクトのいずれか1ないし複数を用いる上記(7)の偽造カード検出方法。
(9)前記挿入カードのカード画像イメージと前記偽造カードのカード画像イメージとの双方の特徴の比較照合結果として、当該挿入カードが偽造カードの疑いがあるとの診断結果が得られた場合、少なくとも当該挿入カードの前記診断結果と当該挿入カードのカード画像イメージとを、アラーム情報として、前記現金取扱い装置の管理を行い、かつ、挿入されたカードの真偽判定を行う管理部門が運営する管理部門サーバに対して、通信回線を介して転送する上記(7)または(8)の偽造カード検出方法。
(10)前記アラーム情報として送信した前記挿入カードが偽造カードである旨を示す判定結果を前記管理部門サーバから受け取った場合、前記現金取扱い装置における当該挿入カードによる取引を停止させる上記(9)の偽造カード検出方法。
(11)あらかじめ登録されている前記偽造カードのカード画像イメージの特徴に関する情報の更新指示を前記管理部門サーバから受け取った場合、該更新指示にしたがって、登録されている前記偽造カードのカード画像イメージの特徴に関する情報を更新する上記(9)または(10)の偽造カード検出システム。
(12)上記(7)ないし(11)のいずれかの偽造カード検出方法を、コンピュータによって実行可能なプログラムとして実施している偽造カード検出プログラム。
(13)上記(12)の偽造カード検出プログラムを、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体に記録しているプログラム記録媒体。
【符号の説明】
【0052】
1 ATM
2 カード制御部
3 カード搬送制御部
10 偽造カード検出システム
11 イメージ制御部
11a 偽造カード判定条件保存メモリ
11b 画像イメージ比較判定部
12 カードイメージセンサ
13 上位制御部
20 管理部門サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入されたカードに基づいて現金に関するカード取引を行う現金取扱い装置に組み込まれて、挿入された前記カードが偽造カードであるか否かを検出する偽造カード検出システムであって、過去に使用された偽造カードに関するカード画像イメージの特徴を偽造カード判定条件として登録している保存メモリおよび挿入されたカードのカード画像イメージを読み込むカードイメージセンサを少なくとも備え、前記カードイメージセンサにより読み込まれた挿入カードのカード画像イメージの特徴を抽出して、前記保存メモリに登録されている前記偽造カードのカード画像イメージの特徴と比較照合し、前記挿入カードのカード画像イメージと前記偽造カードのカード画像イメージとの双方の特徴の類似度があらかじめ定めた類似閾値を超える場合、当該挿入カードが偽造カードの疑いがあるとの診断結果を出力する画像イメージ比較判定手段を備えていることを特徴とする偽造カード検出システム。
【請求項2】
前記挿入カードのカード画像イメージと前記偽造カードのカード画像イメージとの双方の特徴として、色合い、パターンとしての規則性、方向性を示すテクスチャ、任意の形状や模様を示すオブジェクトのいずれか1ないし複数を用いることを特徴とする請求項1に記載の偽造カード検出システム。
【請求項3】
前記現金取扱い装置の管理を行い、かつ、挿入されたカードの真偽判定を行う管理部門が運営する管理部門サーバと通信回線を介して情報を送受信する上位制御部をさらに備え、前記挿入カードのカード画像イメージと前記偽造カードのカード画像イメージとの双方の特徴の比較照合結果として、当該挿入カードが偽造カードの疑いがあるとの診断結果が得られた場合、前記上位制御部により、少なくとも当該挿入カードの前記診断結果と当該挿入カードのカード画像イメージとを、アラーム情報として、前記管理部門サーバに転送することを特徴とする請求項1または2に記載の偽造カード検出システム。
【請求項4】
前記上位制御部が、前記アラーム情報として送信した前記挿入カードが偽造カードである旨を示す判定結果を前記管理部門サーバから受け取った場合、前記現金取扱い装置における当該挿入カードによる取引を停止させることを特徴とする請求項3に記載の偽造カード検出システム。
【請求項5】
前記上位制御部が、前記保存メモリに登録されている前記偽造カードのカード画像イメージの特徴に関する情報の更新指示を前記管理部門サーバから受け取った場合、該更新指示にしたがって、前記保存メモリに登録されている前記偽造カードのカード画像イメージの特徴に関する情報を更新することを特徴とする請求項3または4に記載の偽造カード検出システム。
【請求項6】
前記現金取扱い装置が、ATM(Automated Teller Machine)またはCD(Cash Dispenser)のいずれかを少なくとも含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の偽造カード検出システム。
【請求項7】
挿入されたカードに基づいて現金に関するカード取引を行う現金取扱い装置において、挿入された前記カードが偽造カードであるか否かを検出する偽造カード検出方法であって、過去に使用された偽造カードに関するカード画像イメージの特徴を偽造カード判定条件としてあらかじめ登録するとともに、挿入されたカードのカード画像イメージを読み込んで、読み込まれた挿入カードのカード画像イメージの特徴を抽出し、あらかじめ登録されている前記偽造カードのカード画像イメージの特徴と比較照合した結果として、前記挿入カードのカード画像イメージと前記偽造カードのカード画像イメージとの双方の特徴の類似度があらかじめ定めた類似閾値を超える場合、当該挿入カードが偽造カードの疑いがあるとの診断結果を出力することを特徴とする偽造カード検出方法。
【請求項8】
前記挿入カードのカード画像イメージと前記偽造カードのカード画像イメージとの双方の特徴として、色合い、パターンとしての規則性、方向性を示すテクスチャ、任意の形状や模様を示すオブジェクトのいずれか1ないし複数を用いることを特徴とする請求項7に記載の偽造カード検出方法。
【請求項9】
前記挿入カードのカード画像イメージと前記偽造カードのカード画像イメージとの双方の特徴の比較照合結果として、当該挿入カードが偽造カードの疑いがあるとの診断結果が得られた場合、少なくとも当該挿入カードの前記診断結果と当該挿入カードのカード画像イメージとを、アラーム情報として、前記現金取扱い装置の管理を行い、かつ、挿入されたカードの真偽判定を行う管理部門が運営する管理部門サーバに対して、通信回線を介して転送することを特徴とする請求項7または8に記載の偽造カード検出方法。
【請求項10】
前記アラーム情報として送信した前記挿入カードが偽造カードである旨を示す判定結果を前記管理部門サーバから受け取った場合、前記現金取扱い装置における当該挿入カードによる取引を停止させることを特徴とする請求項9に記載の偽造カード検出方法。
【請求項11】
あらかじめ登録されている前記偽造カードのカード画像イメージの特徴に関する情報の更新指示を前記管理部門サーバから受け取った場合、該更新指示にしたがって、登録されている前記偽造カードのカード画像イメージの特徴に関する情報を更新することを特徴とする請求項9または10に記載の偽造カード検出システム。
【請求項12】
請求項7ないし11のいずれかに記載の偽造カード検出方法を、コンピュータによって実行可能なプログラムとして実施していることを特徴とする偽造カード検出プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載の偽造カード検出プログラムを、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体に記録していることを特徴とするプログラム記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−3069(P2011−3069A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146478(P2009−146478)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】