説明

偽造薬物を検出するためのサーマルベースのシステムおよび方法

本発明は、医薬製品の真正性を判定するためのサーマルシステムに関し、(a)医薬製品に温度変化の信号を適用するための信号発生部および加熱/冷却源と;(b)以下のもののためのサーマル装置と:(b.1.)真正の医薬製品に前記温度変化の信号を適用後または適用中に所定の管理された条件で前記真正の医薬製品の真正の特性を取得し、前記真正の特性は前記真正の医薬製品の少なくとも1つの温度測定値を含み、前記温度測定値の各々は、前記温度変化の信号に対する前記真正の医薬製品の経時反応を表し;(b.2.)記憶装置に前記取得した真正の特性を保存し;(b.3)前記真正の医薬製品に対応し、その真正性が疑わしい検査の医薬製品に対して、前記検査の医薬製品に同じ温度変化の信号を適用後または適用中に同じ所定の管理された条件で検査の特性を取得し、前記検査の特性も前記検査の医薬製品の少なくとも1つの温度測定値を含み、後者の温度測定値の各々は前記温度変化の信号に対する前記検査の医薬製品の経時反応を表し;(c)前記真正の特性と前記検査の特性とを比較するための比較部とを具えることを特徴とするサーマルシステムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に偽造検出システムの分野に関する。特に、本発明は、医薬製品の偽造を検出するためのシステムおよび方法に関する。さらに、特に本発明は、医薬製品の偽造を検出するためのサーマルベースのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品工業は、数十億ドルの国際的な商業界である。しかしながら、多くの産業のように、医薬品工業の製品の多くは、低水準もしくは偽の模倣製品を製造し、実際の市場価格の僅かでそれらを売る偽造者の餌食になる。世界的に偽造薬物のパーセンテージは、主な製薬会社の収益に深刻な衝撃を与えるほど十分高くなった。さらに重大なのは、偽造薬物の消費者に関与する潜在的な健康リスクである。
【0003】
さらに知的所有権の侵害も他の政府の法律の違反にも拘わらず、食品医薬品局(FDA)は、医薬品工業の偽造問題に対する全てを網羅する解決策をまだ有していない。
【0004】
偽造薬物の問題に打ち勝つために先行技術による幾つかの試みがあったが、先行技術の解決策の各々はそれに関連した欠点を有している。ある先行技術は、そこに入れた成分の真正性を判定するために包装ラベルを読み取るRFIDとバーコードを利用している。しかしながら、これは製品自体が直接的に分析されないので、必ずしも正確な結果を提供しない。
【0005】
また、先行技術は、スペクトル特性の概念に基づく薬物の判定処理を開発した。全ての薬物は、その分子構成によって決定された一意的なスペクトル特性(あるいは指紋)を有する。赤外(IR)分光法は、サンプル製品の分子構成が真正製品の既知のスペクトル特性と同一かどうかを判定するために用いられる。IR分光法は、電磁スペクトルの赤外領域を取り扱う分光法のサブセットである。赤外分光法は、分子が個々のエネルギー準位に関して回転もしくは振動する特定周波数を有するという事実を利用している。
【0006】
米国特許第6,395,538号は、バイオ製造および赤外分光法の分野、例えば、生物学上の活性医薬成分における、特に生体材料の品質のモニタリングおよび管理を取り扱う。フーリエ変換赤外分光法は、生体分子の生成を監視し、質的かつ量的の双方で、バイオ製造工程の異なる段階で生体分子の指紋を採取するために用いられる。また、米国特許第6,395,538号は、前記のような分光法に基づくシステムに関しており、商用レベルの偽造薬物に関係しておらず、そのため、そのシステムは密封された包装内に入れた複数の医薬製品の真正性判定などの困難さを克服することに関係していない。
【0007】
米国特許第6,853,447号は、自動化されたマシンで包装されている医薬または食物の製品などの材料の審査および検査を論じている。この発明は、多様な画像スペクトロメータを利用する。米国特許第6,853,447号のシステムは、近赤外および短波長の赤外のスペクトルで分光法を行う。対象物からの赤外線放射のレベルおよび対象物からの赤外線放射の分布を検出するサーモグラフィとは対照的に、分光法は製品からの赤外線反射または特に周波数領域における反射の分光分布を検査する。米国特許第6,853,447号のスペクトル測定は、製品の外表面の検査のみが可能であり、製品の本体に対しては不可能である。したがって、米国特許第6,853,447号の分光法を適用する場合、各薬物はその容器の外部で個別に検査しなければならない。これは、医薬製品が液状である場合の操作が問題となる。さらに、多くのカプセル剤が、例えば、ゼラチンの薄層によって覆われている場合があり、これは薬物の真正性を判定する近赤外検出デバイスを妨害する。さらに、商用規模でそのような方法を利用するのは、各検査に必要な時間量によっては高価になる。
【0008】
米国特許第6,771,369号は、小売りの準備において包装された医薬品の検証および識別に関する。化学的な分析および検証のシステムは、品目の化学的特性の測定によって充満した処方薬瓶の成分を分析し、識別するために可視(Vis)および近赤外(NIR)の分光法を好適に利用する。また、他の変形例、例えば、様々な形態の光学分光法、UV−Vis、UV−Vis−NIR、赤外もしくはラマン分光法を用いることができる。米国特許第6,771,369号のシステムは、同じ会社によって製造された米国特許第6,853,447号のそれに類似しており、近赤外および短波長の赤外のスペクトルでのみ検出を行う。上述したように、これらのスペクトルでの動作は、製品の外表面の検出を可能とするに過ぎないため、各薬物は容器の外部で個別に検査しなければならない。商用規模においては、そのような制限は偽造検査の効率に対する厳しい障害となる。さらに、液体の状態で医薬製品を検査するのが問題となる。その上、ここで上述したように、多くのカプセル剤は、例えば、ゼラチンの薄層によって覆われ、これは薬物の真正性を判定する検出デバイスを妨害する。
【0009】
米国特許第7,126,685号は、サンプルを入れる医薬ボトルなどの容器を供給するステップと、容器を回転するステップと、可視光波長、赤外線波長、および紫外線波長から成る1以上の波長を含む光線を送出するステップと、容器を通り抜けた後の光線の特性を測定するステップとを含む光吸収分光法の方法を記述する。米国特許第7,126,685号は偽造薬物の検出を取り扱わないため、商用規模では言うまでもなく、その産業の上述した偽造問題への解決策を提供しない。
【0010】
先行技術では、偽造薬物検出用の赤外線技術の開発は、完全に分光法、特に近赤外の分野に限定されている。近赤外分光法は表面(例えば、薬物コーティング、外装などの)反射に限定されるので、その検出能力が制限される。分光法では、医薬製品の分子構造はその周波数領域で測定されており、薬物の真正性を判定するために対応する特性間で特殊な曲率が分析される。
【0011】
先行技術の分光法に基づいたシステムは、比較的複雑であり、拡張的で、サイズが大きい。したがって、それらは薬物が真正か偽造かを判定するために、例えば、家庭で、一人のユーザによる用途のために生産することはほぼ不可能である。さらに、それらは携帯型のモバイルデバイスとして作成することはほぼ不可能である。
【0012】
したがって、本発明は、医薬製品の真正性を判定するための方法およびシステムを提供し、先行技術に関連した欠点を克服することを目的とする。
【0013】
本発明は、医薬製品の真正性を判定するための単純で低価格なサーマルベースの方法およびシステムを提供することを別の目的とする。
【0014】
本発明は、薬物の一人のエンドユーザ用に特に設計されている医薬製品の真正性を判定するための方法およびシステムを提供することをさらなる目的とする。
【0015】
本発明は、医薬製品内へ深く検査することができ、かつ偽造を判定することができる方法およびシステムを提供することをさらに別の目的とする。
【0016】
本発明は、包装を開ける必要なく、さらに製品の包装の外部から医薬製品の偽造を検査し、判定することができる方法およびシステムを提供することをさらに別の目的とする。
【0017】
本発明は、包装を開ける必要なく、一緒に包装される複数の医薬製品の偽造を検査し、判定することができる方法およびシステムを提供することをさらに別の目的とする。
【0018】
本発明は、多層の包装の外部から医薬製品の偽造を検査し、判定することができる方法およびシステムを提供することをさらに別の目的とする。
【0019】
本発明は、その容器の外部から液状の医薬製品の偽造を検査し、判定することができる方法およびシステムを提供することをさらに別の目的とする。
【0020】
本発明は、医薬製品の製造業者が製品に対して偽造が困難な一意的な特性を設計するのを可能にし、これを容易に確認することができる方法およびシステムを提供することをさらに別の目的とする。
【0021】
記述が進むにつれて、本発明のさらなる目的および利点が明らかになるだろう。
【発明の概要】
【0022】
本発明は、医薬製品の真正性を判定するためのサーマルシステムに関し、(a)医薬製品に温度変化の信号を適用するための信号発生部および加熱/冷却源と;(b)以下のもののためのサーマル装置と:(b.1.)真正の医薬製品に前記温度変化の信号を適用後または適用中に所定の管理された条件で前記真正の医薬製品の真正の特性を取得し、前記真正の特性は前記真正の医薬製品の少なくとも1つの温度測定値を含み、前記温度測定値の各々は前記温度変化の信号に対する前記真正の医薬製品の経時反応を表し;(b.2.)記憶装置に前記取得した真正の特性を保存し;(b.3)前記真正の医薬製品に対応し、その真正性が疑わしい検査の医薬製品に対して、前記検査の医薬製品に同じ温度変化の信号を適用後または適用中に同じ所定の管理された条件で検査の特性を取得し、前記検査の特性も前記検査の医薬製品の少なくとも1つの温度測定値を含み、後者の温度測定値の各々は前記温度変化の信号に対する前記検査の医薬製品の経時反応を表し;(c)前記真正の特性と前記検査の特性とを比較するための比較部とを具えることを特徴とするサーマルシステムである。
【0023】
好ましくは、前記所定の管理された条件は前記温度変化の信号の定義を含み、これは前記医薬製品に適用される温度変化のレートと前記温度変化が行なわれる持続時間とを含む。
【0024】
好ましくは、前記真正の特性および前記検査の特性の各々の対応する温度測定は、前記温度変化の信号中または信号後の特定の所定の時間に行われる。
【0025】
好ましくは、前記比較は、前記真正および検査の特性の各々から選択された単一の温度測定値でなされる。
【0026】
好ましくは、前記比較は前記真正および検査の医薬製品の対応する特性の間で行われ、前記特性の各々は対応する複数の温度測定値の平均または別の数学的演算を反映しており、温度変化の信号の前記適用中または適用後の特定の時間にそれぞれ取得される。
【0027】
好ましくは、前記システムは、前記温度変化を達成するための一種類の加熱または冷却源の定義を更に含む。
【0028】
好ましくは、前記システムは、前記温度変化のプロフィールの定義を更に含む。
【0029】
好ましくは、前記所定の条件は、前記加熱/冷却源に対する前記医薬製品の距離および位置の定義と、前記医薬製品に対する前記温度計の距離および位置とを含む。
【0030】
一の選択では、前記医薬製品は固形の薬剤である。別の選択では、前記医薬製品は液状の薬剤である。
【0031】
一の実施形態では、前記真正および対応する検査の特性は、前記医薬製品の包装の1以上の熱特性を含む。
【0032】
本発明の実施形態では、前記包装に前記医薬製品自体が入っている、または代わりに入っていないが、前記医薬製品の前記真正および対応する検査の特性が取得される。
【0033】
本発明の実施形態では、前記固形の医薬製品は、紙容器包装内に包装される錠剤である。あるいは、前記固形の医薬製品は、アルミニウムまたはプラスチックの包装内に包装される錠剤である。更に別の代替実施形態では、前記固形の医薬製品は1以上のアルミニウムまたはプラスチックの包装内に包装される錠剤であり、それは次に前記紙容器包装内に入れられ、前記条件は前記紙容器包装の外部からの前記温度測定値の取得を含む。
【0034】
更に別の代替実施形態によれば、前記液状の医薬製品は容器包装内に入れられ、前記条件は前記容器包装の外部からの温度測定値の取得を含む。
【0035】
本発明の実施形態によれば、前記記憶装置はリモートまたはローカルのデータベースを含み、前記データベースは1以上の医薬製品に対する複数の真正の特性を含む。任意に、前記記憶装置は前記リモートのデータベースを含み、前記リモートのデータベースの位置で前記比較がリモートで行われる。
【0036】
本発明の実施形態によれば、前記比較部は画像間の自動比較を行うための演算処理部を含み、前記真正性は所定の閾値を超える類似度を検出する上で決定される。
【0037】
任意に、前記比較部は、操作者による目視比較を可能にするために、真正および対応する検査の特性の一つその上他のグラフィカルな表示を表示するための表示部を含む。
【0038】
本発明の実施形態によれば、前記温度変化は、オーブン;マイクロ波;赤外線ランプ;レーザ光線;ガス膨張による冷却;熱電冷却器;または超音波の1以上の手段によって行われる。
【0039】
本発明の実施形態では、前記温度変化は、デルタ関数;ステップ関数;矩形関数;のこぎり歯関数;または周期関数の1以上の形態で行われる。
【0040】
本発明の実施形態では、前記サーマル装置は、前記真正および/または検査の医薬製品の温度を感知するための少なくとも1つの温度計と;所定の時間に温度を感知するために前記温度計を操作するための制御部とを具える。
【0041】
任意に、1以上の真正の医薬製品および医薬製品の包装は意図的に設計されており、前記特性が前記サーマル装置によって取得されるときに識別用の真正の特性が取り入れられる。
【0042】
任意に、前記真正の医薬製品の前記設計は、1以上のコーティングまたは付加的な材料を含む。
【0043】
任意に、前記付加的な材料は、前記医薬製品に特定のパターンで付加される気泡(air bubbles)である。
【0044】
更に本発明の別の実施形態では、前記真正性の検証はその有効期間中の前記医薬製品の保存条件を満たす検証も含むように拡張され、前記医薬製品は破壊的な保存条件に晒されたとき温度変化信号に対するその反応を変化し、これによってその真正性の特性も変化する付加的な薄膜によって覆われる。
【0045】
更に別の選択では、前記医薬製品は内部を加熱する要素を具える包装内に入れられ、前記温度変化の信号は前記温度変化を達成するために前記要素に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、本発明のシステムの第1の実施形態の構成要素を概略的に示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態によるシステムによって行われた検査の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
偽造の薬物に関連した問題に対する完全な解決法は現在のところない。本発明は、医薬製品の真正性を判定するための、新しく、単純で、かつ低コストなサーマルベースのシステムを提供する。システムは、そのカバー、包装、または容器から製品を取り除かなくても、偽造を判定することができる。
【0048】
ここで用いられる「医薬製品」という用語は、例えば、タブレット、カプセル、液剤などの薬物の何れかの形態を指し、「薬物」という用語で区別なくここで用いられる。本発明のシステムは、タブレット(錠剤)用に特に適しているが、それは液状の薬物もしくはボトルなどの容器内に入れた液剤などの他の形態の薬物の真贋を判定するためにさらに用いることができる。
【0049】
本発明の実施形態によれば、真正の薬物のサンプルの特性が初めに収集され、記憶装置に保存される。記憶装置は、それぞれ別の薬物製品に各々関連した複数の真正の特性を保存するローカルまたはリモートのデータベースでよい。また、前記初めに収集した特性は、薬物の「真正特性」と以下で呼ぶ。熱特性は、製品の管理された特定の条件で収集された製品温度の測定値である。そのような特定の条件は、例えば、加熱(あるいは冷却)信号に対する経時的な薬物製品の反応、信号を開始した後の特定の所定の時間を経過した後の反応でもよい。前記加熱または冷却信号の形態は、予め定められるが、変更してもよい(ちょうど例えば、それは正方形のパルス、のこぎり歯信号などでもよい)。
【0050】
本発明によれば、その真正性が疑わしい所定の薬物製品の特性は、それが真正かどうかに関する検証のために前記真正特性と比較される。その比較は、本質的に前記真正特性の収集で用いられたのと同じ条件で行われる。
【0051】
例えば、その特性は、特定の時間における薬物の一の温度測定値でもよく、所定の期間における幾つかの測定の平均でもよく、または前記幾つかの測定の他の数学的演算を含んでもよい。偽造の薬物製品が真正薬物と異なる分子構成(およびときに構造)を含むと考えられているので、例えば、真正薬物の時間関数(すなわち特性)としての温度反応は、偽造の薬物製品のそれと異なると予想される。
【0052】
本発明の発明者らは、特に限定されないが、加熱または冷却の信号(以下、簡潔にするため、双方の用語は簡潔に「加熱信号」または「加熱/冷却信号」と呼ぶ)を適用した後に、偽造製品を検出するための温度測定を行うサーマルシステムを使用することは、分光法のデバイスおよび方法を利用する偽造薬物の検出システムの先行技術を超える多くの利点を有することを発見した(例えば、それらは遥かに単純な構造を有する)。
【0053】
図1は、本発明の実施形態に従った医薬製品の真正性を判定するためのサーマル検査装置(100)の実施例の概略構造をブロック図の形態で示す。システム(100)は、変更した温度に医薬製品(102)を加熱(あるいは冷却)するための加熱/冷却源(110)を具える。加熱/冷却変化のやり方(例えば、その変化率、その持続時間、その信号の種類など)は、信号発生部105および選択された検査計画によって決定される。検査計画ストレージ116は複数の検査を保存しており、一の計画を選択すると、起動された特定の計画を信号発生部105に供給し、これは次に信号発生部105に対して起動する信号の種類を決定する。したがって、前記選択後に、加熱/冷却源110は製品102に加熱/冷却の特定のやり方を適用する。制御部121は装置100の動作を制御する。より具体的には、とりわけ、ストレージ116から検査計画の選択を可能にし、製品102の温度をサンプリングする温度計120が選択された計画に従って特定の1以上の時間もしくは期間を決定する。
【0054】
温度計120によって行われた別々のもしくは蓄積的な1以上の温度のサンプリングにより、製品102に対する特性が形成される。比較部127は、真正製品の特性と検査製品102の特性とを比較する。本発明の装置は、以下の動作モードのうち1つで動作してよい:
【0055】
a.現場モード:操作者は、真正であることが確実に分かっている第1の製品を手に持つ。その後、ユーザは、装置内の専用セルに真正製品を入れて装置を起動する。装置は、例えば、薬物の種類に基づいてユーザによって選択された計画116から特定の計画を起動し、真正薬物の特性を取得する。「真正製品の特性」とここで呼ぶこの特性は、記憶装置134に保存される(131)。前記のように、特性は温度計120による1以上の測定値を含む。さらに、その特性は複数の測定値に行われた数学的演算結果を含んでもよい。その後、同じ処理が第2の製品で繰り返され、今回得られた「検査製品の特性」は検査特性ストレージ135に保存される。その後、比較部127は2つの真正特性および検査特性とを比較し、比較部はある類似度の閾値条件に従って製品の真正性に関する結論140に到達する。
【0056】
b.リモート特性保存モード:この場合、複数の真正特性がリモートデータベース147内に保存されており、関連する特性は検査特性135と比較するため(インターネット、移動体通信などを介して)記憶装置134に取り込まれ、これは上述した項目(a)として取得される。
【0057】
c.ローカル特性保存モード:この場合、装置100は、真正特性のローカルストレージ(図示せず)を具える。関連する真正特性は比較用に選択され、記憶装置134に保存される。検査特性135は上述したように取得され、前述のように比較部127によって比較される。
【0058】
d.リモート比較モード:この場合、上述したように検査特性135は装置によって取得され、リモートサイト150に伝送される。リモートサイト150は様々な薬物製品の真正特性のデータベースを有しており、それは検査特性と関連する真正特性との比較をリモートサイト内で行う。比較の結果は装置に伝送され、そこに表示される。リモートサイト150との通信は、インターネット、移動体通信などを介して行われてもよい。
【0059】
好ましくは、温度計120は、ディジタルまたはアナログの高感度な温度計である。温度計の感度は、それぞれ真正特性および検査特性との間の非常に微細な違いさえも感知するために重要である。別の代替実施形態では、温度計はさらに(タブレットなどの)薬物製品自体に直接接触しなくてもよいが、製品から最大数センチメートル離れていてもよい。さらに、温度計120は、製品から異なる位置および距離に配置される1以上の温度計のセットでもよく、1以上の温度計は他と異なる技術によって設計されてもよい。
【0060】
上述したように、本発明の装置は、装置の能動的なサーマル検査を行う。装置は、特定の所定の処理を開始し、ここでは特定の温度信号が製品に適用される。温度信号の前記適用に続いて、ある所定の時間または期間に製品の温度が測定される。真正の薬物製品の反応と偽造製品の反応との間に有意差があることが発明者らによって発見された。さらに、温度信号の形を有意に変えることができ、対象となるケースに最も適した温度信号を検出することが可能である。さらに、比較は、幾つかの異なる処理(検査計画)の実行と、以下の決定とを含んでもよい。例えば、検査は7つの異なる検査計画の実行を含んでもよく、それは薬物が少なくとも5つの計画を成功裡に通過しなかった場合、製品が偽造である(または、少なくとも疑わしい)ことが決定されてもよい。
【0061】
好ましくは、薬物製品はタブレットの形態をしている。しかしながら、本発明の装置は、他の形態の薬物製品を検査するために適用されてもよい。
【0062】
製品温度の熱変化は、幾つかの製品特性とその環境に依存することに留意すべきである:(a)初期の製品温度の関数であり;(b)周囲温度に依存し;(c)製品の熱伝導率に依存し;(d)製品の熱容量に依存し;(e)製品の熱対流に依存し;(f)製品の分子構造による温度信号の製品吸収に依存する。製品の全表面およびバルク特性は、能動的な熱反応に影響を及ぼす。
【0063】
加熱/冷却処理を含み、検査製品の特性が取得される条件は、それらの対応する真正特性の条件にできる限り準拠すべきであることに留意すべきである。
【0064】
加熱/冷却源(110)は、信号発生部105によって好適に制御される。加熱/冷却源(110)は、信号発生部(105)と共に薬物102の真正特性を取得したのと同じ条件を模倣する。加熱/冷却源(110)は、個々の薬物(例えばカプセルまたはタブレット)を加熱(あるいは、例えばガス膨張の手段によって冷却)するための、例えば、オーブン、マイクロ波、赤外線ランプ、レーザ光線などでよい。発生器105からの信号107は、デルタ関数、ステップ関数、矩形関数、周期関数、のこぎり歯関数、それらの組合せ、または何れかの他の指定の関数でよい。加熱/冷却に対する薬物の反応は、発生器105から提供される温度変化信号の種類にも、薬物に適用される加熱/冷却の種類(例えば、オーブン、マイクロ波など)にも依存して異なることに留意するのは重要である。このように、より総合的なサンプル薬物102の特性評価を得るために、必要なときにいつでも加熱/冷却源および温度変化信号107の1以上の組合せを用いてもよい。さらに、経時的な薬物の温度変化を反映する複数の特性も用いてもよい。もちろん、この場合、データベースは、信号形態、時間、加熱/冷却源の種類などの関数として同じ薬物の複数の真正(オリジナル)特性を比較用に保存する必要がある。
【0065】
本発明の装置は、構造が比較的単純であるので薬物使用者の家で用いてもよい。その簡易さを考慮して携帯型のデバイスとして提供してもよい。
【0066】
このように、本発明の真正性の検出処理を行うための上記実施形態では、能動的なサーマル処理が行われる。この場合、(タブレットなどの)薬物製品は加熱/冷却源(110)によって加熱され(あるいは冷却され)、これは信号発生部(105)によって制御される。信号発生部は、例えば、ステップ関数、デルタ関数、矩形関数、周期関数などを出力してもよい。加熱および/または放置(すなわち、製品の冷却)の期間の少なくとも一部において、薬物の温度が、真正特性が収集された際に保持された条件に準拠して温度計120によって少なくとも一度測定される。例えば、製品温度が修正温度へ所定量上昇するまで薬物製品は熱パルスによって加熱される。その後、医薬製品はその元の温度に冷まされる。加熱期間および/または冷却期間の少なくとも一部において、本発明の温度計120は問題の製品の特性を判定するために製品温度をサンプリングし、現在取得したものが表示部上で視覚的もしくは自動的に以前取得した薬物の対応する真正特性と比較される。
【0067】
前記のように、検査薬物の特性(すなわち、時間の関数としての温度反応、加熱/冷却を開始する瞬間から連続的に変化する反応、または特定の期間後の温度の何れか)は、薬物の対応する真正バージョンの特性と比較される。薬物の真正バージョンの特性が同一であるか、少なくとも検査薬物の特性に所定の閾値を超えて高度に関連する場合、検査薬物は真正であると考えられる。しかしながら、真正薬物の特性が同一でないか、検査薬物の特性に前記所定の閾値を超えて高度に関連しない場合、検査製品は偽造であると考えられる。検査薬物が偽造であると検出される場合、偽造薬物が発見された様々な状況によって必要な処置が講じられてもよい。
【0068】
前記のように、代替態様では、サンプルの薬物はそれが所定の修正温度に達するまで所定量の時間、熱パルス発生器(例えば、ガス膨張などの急速な冷却方法)によって冷却される。反応は、全パルス中、パルス開始後の特定の時間中、さらにパルス終了後のある時間に取得される。冷却の場合にも上述した同様のやり方で、真正特性も現在の検査製品からの特性も全く同じ管理された条件(すなわち、同じパルス、同じ冷却もしくは加熱温度、同じ期間など)で取得される。
【0069】
ある代替態様では、精密に管理された条件を保証するために、薬物製品は広げた黒体上に置かれてもよい。そのような広げた黒体は当該技術で既知であり、例えば、CI社によって製造されている。
【0070】
別の代替態様では、全ての検査工程は温度が安定し、かつ管理された室内で行われ、これは一定の周囲温度の条件を保証する。
【0071】
温度計と薬物製品との間の接点の位置が、あるケースで重要であることに留意すべきである。したがって、装置は特定の位置および方向に製品を配置するための専用チャンバを含んでもよく、それは製品の所望の所定点での接触を保証する。
【0072】
本発明によれば、偽造薬物と真正薬物をさらに区別するために、温度反応に影響する付加的な秘密の識別用の付加物が製造業者によって製造工程中に真正薬物に付加されてもよい。例えば、気泡の形態をした内部コードが製造業者によって薬物内に含められてもよい。温度反応に影響するが、薬物の医学的効果に影響しない付加物を薬物内に含ませる他の多くの可能な方法がある。薬物へのそのような付加は、薬物の医学的効果に重大な影響はないが(したがって、FDAによる付加的な規定上の承認を必要としないだろう)、もし有れば温度反応の差が重大となる場合がある。さらに、薬物の製造業者は、薬物の包装にさらに「コード」を付加してもよい。そのような「コード」は、包装への可視または不可視の付加物でよく、これは本発明の1以上の温度計120によって感知し、検出することができる温度変化信号に対する特定の所定の反応を有する。例えば、そのような付加的な材料は、マイクロ波またはレーザ加熱信号に対し、包装の部分の反応と異なる特定の反応を有してもよい。
【0073】
本発明のさらに別の態様では、本発明は、薬物がその有効期間中に不適当な加熱条件に晒されたかどうかに関する判定を可能にする。その場合、薬物は付加的な(例えば、食用の)薄層によって覆われ、それはある所定の許容範囲を超える温度に晒された場合に加熱/冷却に対してその反応を変化する。ちょうど例えば、薬物は薄いチョコレート層によって覆われてもよく、薬物の真正特性はそのような層を含む。後で薬物が室温を超えるある温度に晒された場合、このコーティングは溶け、それは本発明の装置によって取得された薬物の特性にも影響する。そのようなやり方で、本発明の装置は偽造を検出することができるだけでなく、その有効期間全体に渡って不適当な保存条件を受けうる薬物の品質を保証することができる。さらに、同様のやり方で、本発明の装置は薬物の品質を保証し、その成分の幾つかを欠くが、誤って製造された薬物を検出することもできる。成分のそのような不足は、温度変化信号に対するその反応の面では真正特性からの乖離に関与する。したがって、簡潔にするため、ここで記述される品質保証は、この出願全体に渡って従来の偽造と区別されないだろう。薬物の「偽造」という用語は、この乖離を引き起こした理由が何であろうとも、真正の薬物成分の何れかの乖離に関する。
【0074】
本発明のサーマル装置は、以下の技術の1以上の適用によって偽造の薬物を検出することができる:
1.サンプルに(すなわち、「マスター」である真正薬物および問題の薬物に)適用される温度変化(すなわち、最低から最高温度またはその逆)のレートを予め決めること;
2.前記温度変化を達成するために用いられる加熱/冷却源の種類、例えば、典型的なオーブン、マイクロ波式オーブン、レーザ式加熱源、冷凍器、熱電冷却機など;
3.温度変化信号のプロフィール、すなわち、針状信号、のこぎり歯信号、ステップ信号、周期性信号など;
4.加熱(冷却)源から製品までの距離;
5.2以上のサンプリング時間、例えば、時間T1およびT2における2つの温度測定値の間の反応の平均値算出を適用する選択;
6.製品に対する1以上のサーモスタットおよび加熱/冷却源の位置;
7.言及したように、本発明のシステムによる真正性の検証は、真正特性および検査特性を取得する際に製品に適用される所定の条件を含む。これらの条件は、予め定められるが、非常に柔軟である。したがって、ある理由で1つの特定の条件が適用される場合に本発明の装置が特定の真正および偽造の薬物を明確に識別することができないことが分かったなら、より適切な条件を検出するために所定の条件(温度変化信号を含む)を容易に修正することができる。可能な条件を形成する各種パラメータを非常に大きな範囲で変更することができるという事実は、市場の医薬製品の種類の各々および何れかに対して適切な条件を検出することができるということに殆ど疑いがなく、それはその製品のために識別可能な真正特性を次に提供するだろう。
【0075】
薬物特性を取得するための条件を定義するのに、上記選択を全て用いてもよい。識別可能な結果を提供する条件を検出するために、条件がある薬物から別のものに変わってもよいことに留意すべきである。真正薬物と、偽造であると分かっている所定の薬物製品とを最も良く識別する条件を検出するために、偽造薬物を知った際にそのような条件が各薬物に対して具体的に決定されてもよい。したがって、様々な条件が様々な薬物または薬物の種類に対して適用されてもよい。
【0076】
本発明は、製品への加熱(または冷却)信号の提供、および時間の関数として製品からの反応温度の測定に基づくことに留意すべきである。したがって、薬物製品(タブレットの形態など)が判定されるのと同じやり方で、製品の包装も判定されてもよい。そのような場合には、温度変化信号が包装に提供され、経時的な温度反応が測定される。さらに、同じやり方で薬物製品を含む包装を検査することができる。包装を有するもしくは包装の無い薬物製品、またはさらに包装自体を判定するための全てのそのようなやり方は、本発明の範囲内である。本発明は、経時的な対象物を介した熱伝搬を測定することに留意すべきである。前記熱伝搬は、対象物の熱伝導率、対象物の熱容量、対象物の熱対流、および対象物の製品の分子構造による温度信号の吸収率など対象物自体の諸特性に依存する。したがって、本発明の目的のため、対象物は(何れかの形態の)薬物製品自体、薬物の包装、または包装されている薬物製品の何れかでよい。
【実施例1】
【0077】
実現可能性試験がInSb冷却検出器を用いて行われた。実現可能性試験では、イスラエル国の衛生部の医薬犯罪課によって提供された真正のシアリスと偽造のシアリスとを比較した。
【0078】
熱パルスが60秒間適用された。60秒後、熱パルスを終了し、サーマル赤外線検出器が1Hzのレートで40秒間薬物の温度を記録した。図2から分かるように、温度信号対時間は真正および偽造の薬物で同じではない。特にこの場合、温度信号222を測定した真正製品の評価された平均温度曲線222’のレベル(図面の目的のため発明者によって簡略に描写された)は、温度信号232を測定した検査製品に関する同様の曲線232’のレベルより著しく高いことが分かる。
【0079】
本発明の幾つかの実施形態が図面により説明されているが、多くの変更、変形および改造、ならびに請求の範囲を逸脱しない当業者の範囲内の多数の均等物または代替案の使用を伴う実施に本発明を導くことができるのは明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬製品の真正性を判定するための方法において、
(a)少なくとも前記医薬製品を冷却するステップと;
(b)前記医薬製品の経時的な1以上の温度測定値を取得し、および前記医薬製品の1以上の熱特性をそこから取得するステップと;
(c)真正薬物の熱特性と前記医薬製品の前記1以上の温度測定値とを比較するステップと;
(d)前記比較に基づいて前記医薬製品の真正性を判定するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記冷却は前記医薬製品に適用される温度変化を含み、前記温度変化は温度変化のレートを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
前記温度変化は、デルタ関数、ステップ関数、矩形関数、のこぎり歯関数、周期関数、またはそれらの組合せから選択された形態で適用されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法において、
前記冷却は、熱電冷却器、黒体、冷却室、ガス膨張源、および冷凍器から成るグループから選択された冷却源に前記医薬製品を晒すことによって行われることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の方法において、
前記医薬製品は、冷却室内に配置されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法において、
前記温度測定値は、前記冷却中または冷却後の特定の所定の時間に取得されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の方法において、
前記冷却後に時間の関数として前記医薬製品の温度の変化が測定されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の方法において、
温度計は、前記医薬製品と直接的または間接的に接触していることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法において、
前記比較は前記医薬製品の選択された一つの温度測定値および真正薬物の一つの温度測定値との間でなされ、これら双方が同じ所定の管理された条件下で取得されていることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法において、
前記比較は、複数の熱測定値の平均または複数の温度測定値に行われた数学的演算の結果の間で行われることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法において、
前記所定の管理された条件は、前記冷却源から前記医薬製品の距離と;前記冷却源に対する前記医薬製品の位置と;前記1以上の温度測定値を取得するのに適した温度計から前記医薬製品の距離と;前記温度計に対する前記医薬製品の位置とから選ばれた1以上の要素を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の方法において、
同じ所定の管理された条件下で取得された前記真正薬物の1以上の熱特性と前記医薬製品の1以上の熱特性とを比較するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか一項に記載の方法において、
前記真正薬物の前記1以上の熱特性は、記憶装置に保存されたデータベースに含まれることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記データベースは、前記1以上の温度測定値が取得された位置から離れていることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れか一項に記載の方法において、
前記比較は、前記医薬製品の熱特性に加え、前記真正薬物の熱特性を表示部上に表示することを含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、
前記真正薬物の前記熱特性のグラフィカルな表示に加え、前記医薬製品のグラフィカルな表示を表示し、それらの間の目視比較を可能にするステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1乃至14の何れか一項に記載の方法において、
前記比較は前記医薬製品の熱特性と前記真正薬物の熱特性との類似度の判定を含み、所定の閾値を超える類似度は前記医薬製品の前記真正性を示すことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1乃至17の何れか一項に記載の方法において、
識別用の真正特性を含むよう意図的に設計された真正薬物の熱特性との間の比較を含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、
前記意図的に設計された真正特性は、コーティングまたは付加的な材料を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、
前記付加的な材料は、前記真正薬物を入れている包装に特定のパターンで付加される気泡(air bubbles)を含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
医薬製品の真正性を判定するためのシステムにおいて、
少なくとも前記医薬製品を冷却するための冷却源と;
前記医薬製品の1以上の温度測定値を取得するための少なくとも1つの温度計と;
真正薬物の熱特性と前記1以上の温度測定値から取得された前記医薬製品の1以上の熱特性とを比較するための比較部とを具えることを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項21に記載のシステムにおいて、
前記真正薬物の温度測定用の温度計を具えることを特徴とするシステム。
【請求項23】
請求項21または22に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも1つの温度計を操作するための制御部を具え、所定の時間および位置の1つまたは双方で前記温度測定値を取得することを特徴とするシステム。
【請求項24】
請求項21乃至23の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記冷却は温度変化を含み、前記温度変化は温度変化のレートを含むことを特徴とするシステム。
【請求項25】
請求項24に記載のシステムにおいて、
前記温度変化は、デルタ関数、ステップ関数、矩形関数、のこぎり歯関数、周期関数、またはそれらの組合せから選択された形態で適用されることを特徴とするシステム。
【請求項26】
請求項21乃至24の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記冷却源は、熱電冷却器、黒体、冷却室、ガス膨張源、および冷凍器から成るグループから選択されることを特徴とするシステム。
【請求項27】
請求項21乃至26の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記冷却源は、冷却室であることを特徴とするシステム。
【請求項28】
請求項21乃至26の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記制御部は、前記冷却中または冷却後の所定の時間に前記温度測定値を取得するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項29】
請求項21乃至28の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記比較部は前記医薬製品の1以上の熱特性と真正薬物の1以上の熱特性とを比較するように構成され、これら双方が同じ所定の管理された条件下で取得されていることを特徴とするシステム。
【請求項30】
請求項29に記載のシステムにおいて、
前記医薬製品の一つの熱特性と前記真正薬物の一つの熱特性とを比較するように構成される比較部を具えることを特徴とするシステム。
【請求項31】
請求項21乃至29の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記比較部は、複数の熱測定値の平均または複数の温度測定値に行われた数学的演算の結果の間を比較するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項32】
請求項21乃至31の何れか一項に記載のシステムにおいて、
真正薬物の1以上の取得した熱特性のデータベースを携える記憶装置を具えることを特徴とするシステム。
【請求項33】
請求項32に記載のシステムにおいて、
前記記憶装置は、少なくとも1つの温度計の位置から離れていることを特徴とするシステム。
【請求項34】
請求項21乃至33の何れか一項に記載のシステムにおいて、
表示部を具えることを特徴とするシステム。
【請求項35】
請求項21乃至34の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記比較部は前記医薬製品の熱特性と前記真正薬物の熱特性との類似度を判定するように構成され、所定の閾値を超える類似度は前記医薬製品の真正を示すことを特徴とするシステム。
【請求項36】
請求項34および35に記載のシステムにおいて、
前記表示部は、前記比較を表示するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項37】
請求項34乃至36の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記表示部は、真正薬物のグラフィカルな表示に加え、前記医薬製品のグラフィカルな表示を表示し、それらの間の目視比較を可能にするように構成されることを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−536084(P2010−536084A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519566(P2010−519566)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際出願番号】PCT/IL2008/001090
【国際公開番号】WO2009/019700
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(510033620)セミ−コンダクター ディバイセズ − アン エルビット システムズ−ラファエル パートナーシップ (2)
【氏名又は名称原語表記】SEMI−CONDUCTOR DEVICES − AN ELBIT SYSTEMS−RAFAEL PARTNERSHIP