説明

偽造識別カード判定装置および偽造識別カード判定方法

【課題】偽造カードであるか否かを瞬時にかつ容易に判定すること。
【解決手段】偽造識別カード判定装置200は、識別カード100が挿入された場合、生成部401によって起電力を生成し、パルス検出部402によってパルスを検出する。そして、トラックごとにエラー検出部403によってエラーを検出する。エラーが検出されなかった場合、変換部406によってビット信号から文字データに変換し、送信部407によって変換された文字データを外部装置に送信する。一方、エラーが検出された場合、判定部404によって識別カード100が偽造カードであるか否かを判定する。偽造カードであると判定された場合、ディスプレイ306、スピーカ307または外部装置に、偽造カードである旨を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、識別カードの真偽を判定する偽造識別カード判定装置および偽造識別カード判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
日本工業規格である、JIS番号−年号,名称 JIS X 6302:1998、識別カード−記録技術(以下「JIS X 6302」という。「JIS X 6302」については、下記非特許文献1を参照。)の規定に基づく識別カードは、クレジットカードとして広く普及し、現金をもちいることなく容易に決済処理をおこなうことができる。この識別カードには、決済に必要なデータが磁気データとして磁気ストライプ領域の所定の箇所(たとえば、トラック1、トラック2、トラック3)に記録されている。決済する場合は、その磁気データを読み取って、決済センター(CAFIS)へ送信し、決済センターがその識別カードが有効であるか否かを各カード会社へ問い合わせをし、各カード会社からの認証データを受信することによっておこなわれる。
【0003】
【非特許文献1】日本工業標準調査会著 「JIS X 6302:1998、識別カード−記録技術」 日本規格協会出版 1998年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このように従来技術においては、真正(本物)の識別カードの上記トラック1、トラック2の磁気データをコピーするなどして、容易に偽造カードが作成され、偽造カードによってあたかも真正の識別カードのように見せかけて不正に決済を実行してしまうという被害が多数発生しており、社会問題にも発展している。
【0005】
この発明は、上述した従来技術による問題を解決するため、偽造された識別カードであるか否かを瞬時にかつ容易に判定することができる偽造識別カード判定装置および偽造識別カード判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる偽造識別カード判定装置は、識別カードの磁気ストライプを用いて起電力を生成する生成手段と、前記生成手段によって生成された起電力から前記磁気ストライプのトラックに記録されている磁気データをあらわすパルスを検出するパルス検出手段と、前記パルス検出手段によって検出されたパルスの幅に基づいて、前記磁気データのエラーを検出するエラー検出手段と、前記エラー検出手段によって検出された検出結果に基づいて、前記識別カードが偽造されたものであるか否かを判定する判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この請求項1の発明によれば、磁気データをあらわすパルスの間延びを検出することで、偽造された識別カードであるか否かを判定することができる。
【0008】
また、請求項2の発明にかかる偽造識別カード判定装置は、請求項1に記載の発明において、前記エラー検出手段は、前記パルス検出手段によって検出されたパルスの立ち上がり時間または/および立ち下がり時間に基づいて、前記磁気データのエラーを検出することを特徴とする。
【0009】
この請求項2の発明によれば、真正な識別カードと偽造識別カードとの立ち上がり時間または/および立ち下がり時間の時間長の相違から磁気データをあらわすパルスの間延びを検出することで、偽造された識別カードであるか否かを判定することができる。
【0010】
また、請求項3の発明にかかる偽造識別カード判定装置は、請求項1または2に記載の発明において、前記判定手段は、前記エラー検出手段によって検出されたトラックごとの検出結果の組み合わせに基づいて、前記識別カードが偽造されたものであるか否かを判定することを特徴とする。
【0011】
この請求項3の発明によれば、識別カードのトラックの偽造箇所に応じて、偽造識別カードであるか否かを判定することができる。
【0012】
また、請求項4の発明にかかる偽造識別カード判定方法は、識別カードの磁気ストライプを用いて起電力を生成する生成工程と、前記生成工程によって生成された起電力から前記磁気ストライプのトラックに記録されている磁気データをあらわすパルスを検出するパルス検出工程と、前記パルス検出工程によって検出されたパルスの幅に基づいて、前記磁気データのエラーを検出するエラー検出工程と、前記エラー検出工程によって検出された検出結果に基づいて、前記識別カードが偽造されたものであるか否かを判定する判定工程と、を含んだことを特徴とする。
【0013】
この請求項4の発明によれば、磁気データをあらわすパルスの間延びを検出することで、偽造された識別カードであるか否かを判定することができる。
【0014】
また、請求項5の発明にかかる偽造識別カード判定方法は、請求項4に記載の発明において、前記エラー検出工程は、前記パルス検出工程によって検出されたパルスの立ち上がり時間または/および立ち下がり時間に基づいて、前記磁気データのエラーを検出することを特徴とする。
【0015】
この請求項5の発明によれば、真正な識別カードと偽造識別カードとの立ち上がり時間または/および立ち下がり時間の時間長の相違から磁気データをあらわすパルスの間延びを検出することで、偽造された識別カードであるか否かを判定することができる。
【0016】
また、請求項6の発明にかかる偽造識別カード判定方法は、請求項4または5に記載の発明において、前記判定工程は、前記エラー検出工程によって検出されたトラックごとの検出結果の組み合わせに基づいて、前記識別カードが偽造されたものであるか否かを判定することを特徴とする。
【0017】
この請求項6の発明によれば、識別カードのトラックの偽造箇所に応じて、偽造識別カードであるか否かを判定することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる偽造識別カード判定装置および偽造識別カード判定方法によれば、偽造された識別カードであるか否かを瞬時にかつ容易に判定することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる偽造識別カード判定装置および偽造識別カード判定方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
[実施の形態]
(識別カードの内容)
まず、この発明の実施の形態にかかる識別カードについて説明する。図1は、この発明の実施の形態にかかる識別カードの平面図である。図1において、識別カード100は、上述した「JIS X 6302」の規定に基づいている。この「JIS X 6302」は、1995年に第2版として発行された国際規格番号−年号,名称 ISO/IEC 7811−1,Identification cards−Recording technique−Part 1:Embossing, ISO/IEC 7811−2,Identification cards−Recording technique−Part 2:Magnetic stripe, ISO/IEC 7811−3,Identification cards−Recording technique−Part 3:Location of wmbossed characters on ID-1 cards, ISO/IEC 7811−4,Identification cards−Recording technique−Part 4:Location of read only magnetic tracks−Track 1 and 2, ISO/IEC 7811−5,Identification cards−Recording technique−Part 4:Location of read-write magnetic track−Track 3を基に作成した日本工業規格である。
【0021】
上記ISO/IEC 7811−1〜5と、上記JIS X 6302との間には相違する内容はない。したがって、この実施の形態において、上記JIS X 6302に基づいた内容は、すべてISO/IEC 7811−1〜5の規格の内容と同じであり、いずれの名称をもちいても発明の本質が変更されることはない。
【0022】
この識別カード100は、たとえば、クレジットカードなどとして広く普及している。そして、日本工業規格 JIS X 6302には、その識別カード100の記録技術であるエンボス、磁気記録、ID−1型カード上のエンボス位置、読取り専用磁気トラックの位置および読み書き両用磁気トラックの位置について規定している。
【0023】
識別カード100には、磁気ストライプ101が接着されている。磁気ストライプ101には、たとえば3本のトラック(磁気トラックともいう)111〜113を有している。ここで、トラックとは、情報が直列に記録される磁気ストライプ101の長手方向に沿った帯状の部分である(上記非特許文献1のJIS4.12(トラック)を参照。)。
【0024】
ここで、第1トラック111は、JIS1型に従って所有者の氏名(カタカナ)、生年月日、カード番号、有効期限を含む磁気データが記録されている。また、第2トラック112は、JIS2型(ISO(International Organization for Standardization)、国際標準化機構)の規格に従って、カード番号、有効期限を含む磁気データが記録されている。さらに、第3トラック113は、JIS3型(IATA(International Air Transport Association)、国際航空運送協会)の規格に従って、カード番号、有効期限を含む磁気データが記録されている。
【0025】
ここで、第1トラック111に記録されている磁気データは、たとえば、CAT(Credit Authorization Terminal)、S−CAT(Simple-Credit Authorization Terminal、携帯型CAT)などの決済端末、またはPOS(Point-Of-Sale)端末によって読み取ることができる。また、第2トラック112に記録されている磁気データは、たとえば、G−CAT(Gathering機能付CAT)などの決済端末やPOS端末によって読み取ることができる。さらに、第3トラック113に記録されている磁気データは、たとえば、CAT、S−CAT、G−CATなどの決済端末またはPOS端末によって読み取ることができる。
【0026】
(偽造識別カード判定装置の内容)
つぎに、この発明の実施の形態にかかる偽造識別カード判定装置について説明する。図2は、この発明の実施の形態にかかる偽造識別カード判定装置の外観を示す説明図である。図2では、一例として、決済端末やPOS端末に適用された偽造識別カード判定装置200の外観を示す。図2において、偽造識別カード判定装置200は、識別カード100の挿入溝201と、テンキー202と、表示部203と、伝送コード204と、から構成されている。
【0027】
挿入溝201には、識別カード100を挿入することができる。テンキー202は、金額などのデータを入力する。表示部203は、たとえば液晶ディスプレイで構成され、金額情報、識別カード100に記録されている顧客情報、偽造された識別カード100であるか否かの判定結果を表示する。伝送コード204は、外部装置(たとえばPOSシステムやレジスタ)に接続されており、識別カード100から読み取られたデータをPOSシステムへ送信したり、POSシステムやレジスタから売り上げ情報を受信する。また、図示を省略するが、利用者のサインをするのに必要な伝票をプリントするプリンタを備えていてもよい。
【0028】
識別カード100に記録された磁気データを読み取らせるためには、まず、識別カード100の磁気ストライプ101を挿入溝201の一端側から挿入する。そして、磁気ストライプ101が挿入溝201に挿入された状態を保持しつつ、識別カード100を矢印方向へ所定の速度でスライドさせる。それによって、識別カード100が挿入溝201の他端側へ移動する。識別カード100の移動にともなって、挿入溝201の内部に固定設置された磁気ヘッドが、磁気ストライプ101に記録された磁気データを読み取ることができる。
【0029】
(偽造識別カード判定装置200のハードウェア構成)
つぎに、この発明の実施の形態にかかる偽造識別カード判定装置200のハードウェア構成について説明する。図3は、この発明の実施の形態にかかる偽造識別カード判定装置200のハードウェア構成を示すブロック図である。図3において、偽造識別カード判定装置200は、磁気ヘッド301と、A/D変換器302と、CPU303と、RAM304と、ROM305と、ディスプレイ306と、スピーカ307と、通信I/F308と、がバス309によって接続されて構成されている。
【0030】
磁気ヘッド301は挿入溝201に設けられ、識別カード100を挿入溝201でスライドすることにより、識別カード100の磁気ストライプ101と接触して起電力を生成する。A/D変換器302は、磁気ヘッド301によって生成された起電力であらわされるアナログ信号をデジタル信号(ビット信号)に変換する。また、A/D変換器302は、基準となるクロック信号を出力する。CPU303は、偽造識別カード判定装置200の全体の制御を司る。ROM305は、ブートプログラムなどのプログラムを記憶している。RAM304は、CPU303のワークエリアとして使用される。また、RAM304は、A/D変換器302からのデジタル信号を保持する。
【0031】
ディスプレイ306には、アイコン、カーソル、メニュー、ウィンドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。このディスプレイ306は、たとえば、TFT液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどを採用することができる。
【0032】
また、スピーカ307は、図示しないD/Aコンバータから得られるアナログ音声信号を増幅器によって増幅することにより警報音などの音声を出力する。
【0033】
また、通信I/F308は、通信回線を通じてインターネットなどのネットワーク310に接続され、このネットワーク310を介して他の装置に接続される。そして、通信I/F308は、ネットワーク310と内部のインターフェースを司り、外部装置からのデータの入出力を制御する。通信I/F308には、たとえばモデムやLANアダプタ、伝送ケーブルなどを採用することができる。
【0034】
(偽造識別カード判定装置200の機能的構成)
つぎに、偽造識別カード判定装置200の機能的構成について説明する。図4は、偽造識別カード判定装置200の機能的構成を示すブロック図である。図4において、偽造識別カード判定装置200は、生成部401と、パルス検出部402と、エラー検出部403と、判定部404と、出力部405と、変換部406と、送信部407と、変換テーブル410と、から構成されている。
【0035】
生成部401は、識別カード100の磁気ストライプ101を用いて起電力を生成する。この生成部401は、たとえば、図3に示した磁気ヘッド301によって構成され、識別カード100の磁気ストライプ101と接触することによって起電力を生成することができる。
【0036】
パルス検出部402は、生成部401によって生成された起電力から磁気ストライプ101のトラックに記録されている磁気データをあらわすパルスを検出する。このパルス検出部402は、たとえば、図3に示したA/D変換器302によって構成されている。ここで、具体的なパルス検出処理について説明する。図5は、パルス検出処理を示す波形図である。
【0037】
図5において、横軸は磁気データのデータ長、縦軸は起電力をあらわしている。識別カード100の磁気ストライプ101は、使用により劣化して磁気が弱まるため、パルスの立ち上がりや立さ下がりがずれたり、パルスのピークが低くなったりする。したがって、パルスを検出するには、上限しきい値Vth1と下限しきい値Vth2を決めて、この上限しきい値Vth1より高い値(起電力)と、下限しきい値Vth2より低い値(起電力)をカットする。
【0038】
そして、残った波形が、上限しきい値Vth1および下限しきい値Vth2との間で連続的に変化している場合、磁気データをあらわすパルスとして検出する。この検出されたパルスが1ビット分のデジタル信号(ビット信号)となる。図5に示した波形500において、1ビットの分のデジタル信号となるパルスは、パルス501〜503のうちパルス502である。
【0039】
また、図4において、エラー検出部403は、パルス検出部402によって検出されたパルスの幅に基づいて、磁気データのエラーを検出する。具体的には、エラー検出部403は、図5において検出されたパルスとA/D変換器302から出力されるクロック信号とを用いて、磁気データのエラーを検出する。
【0040】
図6および図7は、エラー検出処理を示す説明図である。図6において、クロック信号CKは、磁気ヘッド301によって最初に読み取られるトラックのリードイン領域のパルスを検出することによって、A/D変換器302から出力される。また、パルス検出部402によって検出されたパルスの幅は、パルスの立ち上がり開始から立さ下がり終了までのクロック数、パルスの立ち上がり開始から下限しきい値Vth2までのクロック数(以下、立ち上がり時間という)、パルスの下限しきい値Vth2から立さ下がり終了までのクロック数(以下、立さ下がり時間という)などによってあらわすことができる。そして、パルス幅をあらわすクロック数が所定クロック数より大きい場合には、エラーとして検出する。
【0041】
たとえば、図6に示したパルスでは、立ち上がり時間のクロック数が所定クロック数(たとえば2クロック)以下である。また、立さ下がり時間のクロック数が所定クロック数(たとえば2クロック)以下である。したがって、このパルスはエラーではなく、正常な1ビットの磁気データとして判断される。
【0042】
すなわち、真正な識別カード100では、カード番号などの数値化された顧客情報を、所定のエンコーダを介して各トラックに用いられる規格に応じたプロトコル変換をおこなってから磁気に変換することでトラックに磁気データとして記録されている。したがって、パルス幅をあらわすクロック数が所定クロック数より大きくなることはない。
【0043】
一方、図7に示したパルスでは、パルスの立ち上がり開始から下限しきい値Vth2までのクロック数が所定クロック数(たとえば2クロック)より大きくなっている。また、パルスの下限しきい値Vth2から立さ下がり終了までのクロック数が所定クロック数(たとえば2クロック)より大きくなっている。したがって、このパルスはエラーとして検出される。
【0044】
すなわち、偽造された識別カード100(以下、偽造カードという)は、上述した真正な識別カード100のような工程で顧客情報を磁気データとして記録されておらず、単なるコピーにすぎないため、偽造カードからパルス検出部402によって検出されるパルスの幅は間延びしてしまう。
【0045】
したがって、偽造カードから検出されるパルスの立ち上がり時間や立さ下がり時間は、所定クロック数より大きいクロック数となる。なお、このエラー検出部403は、具体的には、たとえば、図3に示したROM305、RAM304等に記録されたプログラムを、CPU303が実行することによって、その機能を実現する。
【0046】
また図4において、判定部404は、エラー検出部403によって検出された検出結果に基づいて、識別カード100が偽造されたものであるか否かを判定する。具体的には、エラー検出部403によって検出されたトラックごとの検出結果の組み合わせに基づいて、識別カード100が偽造されたものであるか否かを判定する。
【0047】
決済端末がCATやS−CATの場合、JIS1型で規格されている第1トラック111の磁気データが読み込まれ、G−CATの場合、JIS2型で規格されている第2トラック112の磁気データが読み込まれ、POS端末の場合、第1トラック111または第2トラック112のいずれか一方のトラックの磁気データが読み込まれる。このように、読取り側の端末の種類によって使用されるトラックが異なるため、真正な識別カード100の場合、すべてのトラックでエラーが検出されることはない。したがって、すべてのトラックでエラーが検出された場合、当該識別カード100は偽造カードであると判定することができる。
【0048】
また、第3トラック113の使用頻度が低いことに着目して、第1トラック111および第2トラック112のみ偽造することが考えられる。この場合、第1トラック111および第2トラック112でエラーが検出されるため、第1トラック111および第2トラック112でエラーが検出された場合に、当該識別カード100は偽造カードであると判定することもできる。さらに、少なくともいずれか一つのトラックでエラーが検出された場合に、当該識別カード100は偽造カードであると判定することとしてもよい。
【0049】
このように、識別カード100の偽造対象となるトラックに応じて、判定基準を決定し、偽造カードであるか否かを判定することとすればよい。なお、この判定部404は、具体的には、たとえば、図3に示したROM305、RAM304等に記録されたプログラムを、CPU303が実行することによって、その機能を実現する。
【0050】
また、出力部405は、判定部404によって判定された判定結果を出力する。具体的には、図3に示したディスプレイ306に、識別カード100の真偽を表示することとしてもよく、スピーカ307によって報知音や識別カード100の真偽を読み上げることとしてもよい。また、通信I/F308を介して外部装置に識別カード100の真偽を送信することとしてもよい。
【0051】
また、変換部406は、判定部404によって判定された判定結果が真正の識別カード100であるという判定結果である場合、パルス検出部402によって検出されたパルス、すなわち、ビット信号を、変換テーブル410を用いて文字データに変換する。ここで、変換テーブル411は、たとえば、第1トラック111用の変換テーブルであり、JIS X 6302に示された表6(トラック1に使用する文字集合)に規定されているものである。これは、「b1」〜「b6」の6ビットで1文字を表現する。
【0052】
一方、変換テーブル412は、第2トラック112用の変換テーブルであり、JIS X 6302に示された表9(第2トラック112および第3トラック113に使用する文字集合)に規定されているものである。これは、「b1」〜「b4」および「P」の5ビットで1文字を表現する。なお、この変換部406は、具体的には、たとえば、図3に示したROM305、RAM304等に記録されたプログラムを、CPU303が実行することによって、その機能を実現する。
【0053】
送信部407は、変換部406によって変換された文字データをPOSシステムやレジスタなど外部装置に送信する。この送信部407は、具体的には、たとえば、図3に示した通信I/F308によってその機能を実現する。
【0054】
(偽造識別カード判定処理手順)
つぎに、この発明の実施の形態にかかる偽造カード判定処理手順について説明する。図8は、この発明の実施の形態にかかる偽造カード判定処理手順を示すフローチャートである。図8において、まず、識別カード100が挿入された場合(ステップS801:Yes)、生成部401で起電力を生成し(ステップS802)、パルス検出部402でパルスを検出する(ステップS803)。
【0055】
そして、トラックごとにエラー検出部403でエラーを検出する(ステップS804)。エラーが検出されなかった場合(ステップS804:No)、変換部406でビット信号から文字データに変換し(ステップS805)、送信部407で変換された文字データを外部装置に送信する(ステップS806)。
【0056】
一方、エラーが検出された場合(ステップS804:Yes)、判定部404で識別カード100が偽造カードであるか否かを判定する(ステップS807)。偽造カードでないと判定された場合(ステップS807:No)、ステップS805に移行する。一方、偽造カードであると判定された場合(ステップS807:Yes)、ディスプレイ306、スピーカ307または外部装置に、偽造カードである旨を出力する(ステップS808)。
【0057】
以上説明したように、この実施の形態にかかる偽造識別カード判定装置および偽造識別カード判定方法によれば、磁気データをあらわすパルスが間延びするという偽造カード固有の特徴を用いているため、偽造カードであるか否かを瞬時にかつ容易に判定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上のように、本発明にかかる偽造識別カード判定装置および偽造識別カード判定方法は、CAT、S−CAT、G−CATなどの決済端末、POS端末、磁気カードリーダに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】この発明の実施の形態にかかる識別カードの平面図である。
【図2】この発明の実施の形態にかかる偽造識別カード判定装置の外観を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態にかかる偽造識別カード判定装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】偽造識別カード判定装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図5】パルス検出処理を示す波形図である。
【図6】エラー検出処理を示す説明図(その1)である。
【図7】エラー検出処理を示す説明図(その2)である。
【図8】この発明の実施の形態にかかる偽造カード判定処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
100 識別カード
101 磁気ストライプ
111 第1トラック
112 第2トラック
113 第3トラック
200 偽造識別カード判定装置
201 挿入溝
202 テンキー
203 表示部
204 伝送コード
301 磁気ヘッド
302 A/D変換器
306 ディスプレイ
307 スピーカ
308 通信I/F
309 バス
310 ネットワーク
401 生成部
402 パルス検出部
403 エラー検出部
404 判定部
405 出力部
406 変換部
407 送信部
410 変換テーブル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別カードの磁気ストライプを用いて起電力を生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成された起電力から前記磁気ストライプのトラックに記録されている磁気データをあらわすパルスを検出するパルス検出手段と、
前記パルス検出手段によって検出されたパルスの幅に基づいて、前記磁気データのエラーを検出するエラー検出手段と、
前記エラー検出手段によって検出された検出結果に基づいて、前記識別カードが偽造されたものであるか否かを判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする偽造識別カード判定装置。
【請求項2】
前記エラー検出手段は、
前記パルス検出手段によって検出されたパルスの立ち上がり時間または/および立ち下がり時間に基づいて、前記磁気データのエラーを検出することを特徴とする請求項1に記載の偽造識別カード判定装置。
【請求項3】
前記判定手段は、
前記エラー検出手段によって検出されたトラックごとの検出結果の組み合わせに基づいて、前記識別カードが偽造されたものであるか否かを判定することを特徴とする請求項1または2に記載の偽造識別カード判定装置。
【請求項4】
識別カードの磁気ストライプを用いて起電力を生成する生成工程と、
前記生成工程によって生成された起電力から前記磁気ストライプのトラックに記録されている磁気データをあらわすパルスを検出するパルス検出工程と、
前記パルス検出工程によって検出されたパルスの幅に基づいて、前記磁気データのエラーを検出するエラー検出工程と、
前記エラー検出工程によって検出された検出結果に基づいて、前記識別カードが偽造されたものであるか否かを判定する判定工程と、
を含んだことを特徴とする偽造識別カード判定方法。
【請求項5】
前記エラー検出工程は、
前記パルス検出工程によって検出されたパルスの立ち上がり時間または/および立ち下がり時間に基づいて、前記磁気データのエラーを検出することを特徴とする請求項4に記載の偽造識別カード判定方法。
【請求項6】
前記判定工程は、
前記エラー検出工程によって検出されたトラックごとの検出結果の組み合わせに基づいて、前記識別カードが偽造されたものであるか否かを判定することを特徴とする請求項4または5に記載の偽造識別カード判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−107067(P2006−107067A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−292018(P2004−292018)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(300023383)株式会社トリニティーセキュリティーシステムズ (376)
【Fターム(参考)】