説明

偽造防止マーキングの真偽を検査するための装置及び方法

【課題】 偽造防止マーキングの真偽を容易かつ安価にて検査し得る装置及び方法を提供すること。
【解決手段】 a)最大発光波長が互いに異なり、かつハウジング(5)が面(O)に配置されるときに規定の第1角度(α1)で該面を照射するように該ハウジング(5)に設置されている、規定のスペクトル範囲で発光するいくつかの第1光源(1)、b)面(O)による反射光の強度を測定するための、第2角度(α2)に位置する第1手段(2)、及びc)少なくとも1つの規定の色に対して、各光源(1)についての測定強度と記憶された基準強度とを自動比較する手段(7)を有する、観測角度によって変化する色で偽造防止マーキングの真偽を検査するための装置、並びに方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観測角度によって変化する色で偽造防止マーキングの真偽を検査するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マーキングは、製品及びブランド保護のための他に、紙幣や、証券、小切手、入場券、類似物などの他の金融商品を識別するためにも用いられる。またこのようなマーキングは、セキュリティ技術においても次第に用いられるようになってきている。これらは、例えばアクセスIDをマークするために用いられている。
【0003】
技術情勢に応じて、分光計にて面上で色を確定することができることは周知である。米国特許第4968143号明細書だけでなく、米国特許第5369481号明細書からも、いわゆるウルブリヒトの球体の測定原理を用いた、色を判定する装置が知られている(特許文献1及び2)。この装置では、面が種々の角度で白色光にて照明される。散乱光は、固定角度で確保され、スペクトル分析される。これら公知の装置は高価である。またこれらは、観測角度によって変化する色の判定には適していない。
【0004】
米国特許第5042893号明細書から、スペクトル分析用の装置が知られている(特許文献3)。この装置では、サンプルからの反射光は、光導電ファイバーに連結され、分光計へと導かれる。そして、これはスペクトル分割され、スペクトル分割された光の強度がフォトダイオード列にて測定される。かかる装置は、光導電ファイバー光学素子が必要なため、特に高価である。またこれは、観測角度によって変化する色の判定には直接的には適していない。
【0005】
米国特許第6285452号明細書には、光導電ファイバー光学素子を用いずに、サンプルの面が照射される間に色を判定する装置が記載されている(特許文献4)。この装置では、サンプルからの反射光がスペクトル分析される。かかる装置も、高価なスペクトル分割構成部品を必要とする。また、観測角度によって変化する色の判定には適していない。
【0006】
国際特許公開WO02/18155号公報から、偽造防止マーキングが知られている(特許文献5)。かかるマーキングは、観測角度によって変化する色を有している。これらの、いわゆる傾斜角カラーは、金属層から規定の距離に位置するクラスター層によって作られる。このように作られる傾斜角カラーは、特に相異なる特性スペクトルを有する。
【0007】
さらに、例えばドイツ特許公開第4434168号公報又はドイツ特許公開第19962779号公報から、色面の品質を確定する装置が知られている(特許文献6及び7)。このような装置は、面の色及び光沢を確定するために用いられる。しかしながら、このような装置は、傾斜角カラーの確定には適していない。
【特許文献1】米国特許第4968143号明細書
【特許文献2】米国特許第5369481号明細書
【特許文献3】米国特許第5042893号明細書
【特許文献4】米国特許第6285452号明細書
【特許文献5】国際特許公開WO02/18155号公報
【特許文献6】ドイツ特許公開第4434168号公報
【特許文献7】ドイツ特許公開第19962779号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、技術情勢に応じて不利な点を除去することである。特に、偽造防止マーキングの真偽を容易かつ安価にて検査することが可能な装置及び方法が提供されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的は、請求項1〜25の特徴によって達成される。有用な実施態様は、請求項2〜24及び26〜49の特徴に由来する。
【発明の効果】
【0010】
提供される装置は、シンプルなデザインである。特に、高価なスペクトル分割構成部品を有さない。かかる装置では、面での反射光はスペクトル分割されない。そのかわり、いくつかの異なる波長の光が面へと放射され、これらの反射強度が測定される。これらは、少なくとも1つの規定の色に対して、あらかじめ測定された基準強度と比較される。かかる装置は、比較的安価な、入手可能な構成部品にて実装が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明によって、
a)最大発光波長が異なり、かつハウジングが面の最も上に配置されるときに規定の第1角度で該面を照射するようにハウジング内に設置されている、規定のスペクトル範囲で発光するいくつかの第1光源
b)面による反射光の強度を測定するための、第2角度に位置する第1手段、及び
c)少なくとも1つの規定の色に対して、特定光源についての測定強度と記憶された基準強度とを自動比較する手段
を有する、観測角度によって変化する色で偽造防止マーキングの真偽を検査するための装置
が提供される。
【0012】
一実施態様によれば、規定のスペクトル範囲で発光するいくつかの第2光源が備えられる。該第2光源は、最大発光波長が互いに異なり、ハウジングが面の最も上に配置されるときに規定の第3角度で面を照射するように該ハウジングに設置されている。規定の第3角度で面を照射する第2光源が備えられることにより、観測角度によって色を確定することが可能となる。このことにより、特に紙幣や類似物の偽造防止マーキングに用いる際に、傾斜角効果を識別することが特に容易になる。
【0013】
面での反射光の強度を測定するために、第4角度に位置する第2手段が備えられることは有用である。このような強度を測定する第2手段が備えられることにより、特に信頼性が高い認識および色の確定が保証される。例えば、第1光源にて面を照射して、色を確定し、かつ面での反射光の強度を異なる角度で測定する第1手段及び第2手段双方にて該反射光を確保することが可能である。このことにより、特に信頼性が高い色の確定が可能となる。同時に、反射光の強度を測定する第2手段を備えることにより、観測角度によって変化する色の確定が可能となる。
【0014】
規定のスペクトル範囲が、半値最大強度(half maximum intensity)で100nm未満、好ましくは50nm未満の幅を有することが有利であることが示された。半値最大強度での幅はまた、半値幅又は半値全幅(FWHM)と呼ばれている。発光ダイオード、レーザー又はそれによって接続される光導電ファイバーの遊離端の使用が有用であることが示された。また、異なる波長で発光し得る発光ダイオードを用いることもできる。強度を測定する手段が少なくとも1つのフォトダイオードを備えていることは有利である。
【0015】
さらなる実施態様によれば、面に照射された光が第2角度で鏡面反射して測定されるように、第1角度は第2角度と等しい。これにより、第1光源及び強度を測定する第1手段は、標準測定ポイントを基準として、このように同一角度で配置される。提案の配置で、反射強度は最大である。このことにより、信頼性及び測定速度が向上する。
【0016】
さらなる実施態様の特徴によれば、第3角度で面に放射された光が第4角度で鏡面反射して測定されるように、第3角度は第4角度と等しい。このことにより、観測角度によって変化する色を特に高い信頼性で確定することができる。
【0017】
さらなる実施態様によれば、第1角度及び第3角度は互いに異なり、5°〜60°、好ましくは15°〜45°の範囲にある。強度は、測定にかなり好適な前記角度にて示される。
【0018】
さらに有利な実施態様によれば、光源により面を連続的に照明するため、かつ定めた順序で反射光の特定強度を測定するためのユニットが備えられる。
【0019】
さらに、光源の最大発光が近紫外、可視又は赤外スペクトル範囲にあることが有利である。波長範囲が350〜1000nmの光源が特に好適である。
【0020】
さらなる実施態様によれば、照明及び測定の継続期間は、光源各々の輝度特性及び/又は強度を測定する手段の測定特性に依存して規定される。このために、照明及び測定の継続期間のコントロールに適したユニットが備えられる。光源の光度は、大部分が発光した光の波長に依存する。比較し得る測定シグナルを得るには、発光した光の波長に依存する個々の光源の輝度継続期間を調整することが有用である。同様に、測定継続期間は、強度を測定する手段の測定特性に適合される。
【0021】
さらなる実施態様によれば、背景光を相殺するために、機械的、電子的又は技術的なソフトウェアユニットが備えられる。背景光、例えば周囲光は、測定シグナルに影響を及ぼす。機械的ユニットを用いることにより、周囲光は可能な限り排除される。光源がオフのときに強度を測定する手段に到達する残光を考慮することも可能である。いわゆる暗測定(dark measurement)は、実際の色測定の前又は後に実行することができる。さらに、50Hz又は100Hzの周波数などの望ましくない干渉シグナルは、電子フィルタ又はソフトウェアサポートフィルタで実際の測定シグナルから分離される。
【0022】
さらなる実施態様によれば、少なくとも3つ、かつ12以下の第1光源及び/又は第2光源が備えられる。用いられる光源の数は、色の確定の正確さに影響を及ぼす。場所及び配置の理由で、測定角度ごとに4〜7の光源を用いることが特に有利であることが示された。
【0023】
さらなる実施態様によれば、自動比較のために、又は色範囲の座標算出のために、マイクロコントローラが装備される。基準強度又は色範囲の座標はマイクロコントローラ上に保持され、測定値と比較される。比較により決定される結果を表示するために、表示装置、好ましくはディスプレイ又は、1つもしくはそれ以上の付加発光ダイオードが備えられることは有用である。表示装置はまた、例えばケーブルを経て又はワイヤレス接続を経て、デバイスとデータを交換するPDAもしくはラップトップなどの外部ユニットに集積される。このような表示装置により、例えばまた、基点パラメータを識別された傾斜角カラーに割り当て、表示装置でこれを出力することが可能となる。このようにしてマーキングを、分配ルート、基点について又はロジスティック目的(logistic purpose)のために、転送の間に認識されない方法によって、暗号化された情報で識別することができる。
【0024】
測定シグナルから干渉シグナルを分離するために、光源を変調するユニットが備えられることは有用である。
【0025】
偽造防止マーキングが、規定の厚さを有する電磁波透過性不活性第2層がその上に備えられた物体と接続している電磁波反射第1層を有し、かつ金属クラスターからなる第3層が該第2層に付されることが特に有利であることが示された。「物体」とは、例えば紙幣、ラベル又は類似物といったマークされるべき物体である。提案のマーキングは、特に偽造防止の効果を有する。色は特性スペクトルを有する。このようなマーキングが再生されるときは、同一傾斜角について常に同一色の観測が可能であることに、特に注目すべきである。これにより、マーキングの真偽を自動的に検査することが可能となる。
【0026】
本発明による装置は、示唆された偽造防止マーキングの真偽を検査するのに特に適している。この点で、本発明による装置及び偽造防止マーキングは共に、物体の真偽を確実にする調整システム又はキットを形成する。
【0027】
さらなる実施態様によれば、層の少なくとも1つが構造を有する。該構造は、パターン又は図面のような領域の構造であってもよい。また、レリーフタイプの構造であってもよい。この場合、マーキングは異なる色で現れる。
【0028】
さらなる実施態様によれば、第3層を被覆する電磁波透過性不活性第4層が備えられる。該第4層は、基本的に、被覆した層を保護するために用いられる。
【0029】
金属クラスターは、例えば銀、金、プラチナ、アルミニウム、銅、スズ、鉄、コバルト、クロム、ニッケル、パラジウム、チタンまたはインジウムで製造することができる。第2層及び/又は第4層は、以下の材料:金属酸化物、金属亜硝酸塩、金属炭化物、特にシリコン酸化物、シリコン亜硝酸塩、スズ酸化物、スズ亜硝酸塩、酸化アルミニウム、アルミニウム亜硝酸塩、もしくはポリマー、特にポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリウレタン(PUR)、ポリイミド(PI)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリメタクリレート(PMA)で製造することができる。これらの材料は、基本的に、化学的に不活性である。これらは水分に反応し難い。第2層の機能は、基本的に、第3層までの規定の距離及び/又は規定の構造を不変的に定着させることである。
【0030】
さらなる実施態様によれば、第1層と第3層との間の2μm未満の距離で、一意的に識別可能な色が認識され得る。この色は、観測角度に依存し、特徴的である。
【0031】
さらなる実施態様によれば、層は、少なくとも部分的に薄膜技術を用いて製造される。特に、グラビア印刷などの印刷技術だけでなく、PVDやCVDなどの真空蒸着技術を用いることができる。
【0032】
また本発明によれば、以下の工程:
aa)その最大発光波長が互いに異なり、第1角度で規定のスペクトル範囲において発光するいくつかの第1光源で面を照射する工程、
bb)第2角度で面からの反射光の強度を測定する工程、及び
cc)少なくとも1つの規定の色に対して、特定の光源についての測定強度と記憶された基準強度とを比較する工程又は色範囲の座標を算出する工程
からなる、観測角度によって変化する色で偽造防止マーキングの真偽を検査する方法が提案される。
【0033】
提案の方法は簡素であり、多大な技術的尽力なしで行うことができる。特に、高価なスペクトル分割構成部品を必要としない。それにもかかわらず、かかる方法により、観測角度によって変化する色で、偽造防止マーキングの真偽を高い信頼性のもとに確定することができる。
【0034】
かかる方法の有利な実施態様は装置の態様に対応しており、同様に該方法にも適用することができる。
【0035】
図面に基づき、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
【0036】
図1は、観測角度によって色が変化する面に適合する色を確定するための装置の測定ヘッドである。1は、サンプルの面O上に位置する測定ポイントMを第1角度α1で照明する第1光源群を示す。第1フォトダイオード2は、第2角度α2に位置する。さらに測定ヘッドには、第3角度β1にて第2光源3群が含まれる。第2フォトダイオード4は第4角度β2にて備えられる。第1角度α1と第2角度α2とは、標準線Nを基準として測定ポイントM上で同一の大きさである。加えて、標準線Nだけでなく、2つの角度に関する描線は一平面内に位置する。同様に、第3角度β1と第4角度β2とは、標準線Nを基準として同一の大きさである。また標準線Nと共に、これら2つの角度の描線は一平面内に位置する。光源1、3及びフォトダイオード2、4は、床面に測定開口6を有する共有の非光透過性ハウジング5内に搭載されている。
【0037】
第1光源1及び第2光源3いずれについても、発光ダイオードは、半値幅が50nm未満の発光スペクトルを有していてよい。該発光ダイオードの最大発光は互いに異なる。それにもかかわらず、第1光源1群及び第2光源2群は、それぞれ、同一の輝度特性である同数の発光ダイオードを有することが有用である。
【0038】
図2に、第1光源1及び第2光源2の種々の配列を示す。第1光源1は、少なくとも3つ、かつ12以下の異なる白熱素子からなる。第1光源1及び第2光源2が、7つの異なる白熱素子からなることが特に好ましい。発光ダイオードに加え、白熱素子もまた、レーザーや、例えば発光ダイオード、レーザーなどの光源に他端が接続している光導電ファイバーの一端となることが可能である。
【0039】
図3は、本発明による装置のレイアウトを示す概略ブロック回路図である。マイクロコントローラ7には、いくつかの入力/出力ポートA、ポートB、ポートC、ポートD、マイクロプロセッサCPU、アナログ/デジタルコンバータAD/DA、ランダムアクセスメモリRAM、ハードドライブ及び電気的消去書込可能読み出し専用メモリEPROMと、さらに例えばPCなどの外部データ処理ユニットへの接続のためのRS232インターフェース及びICPインターフェースが装備されている。入力/出力ポートDは、デマルチプレクサ8を経て第1光源1及び第2光源3と接続している。ハウジング5は、わかり易くするためにここでは省略されている。第1フォトダイオード2及び第2フォトダイオード4は、アンプ9及びフィルタ10を経てマイクロコントローラ7の入力/出力ポートAと接続している。かかる装置を制御するために、手動ボタン11a、11bが入力/出力ポートCに接続している。他の入力/出力ポートBは、表示装置12又は発光ダイオードの接続に用いられる。13は、例えば電池又は再充電可能な蓄電池及び電圧調整器からなる電力供給ユニットを示す。
【0040】
かかる装置の機能は以下のとおりである。
【0041】
マイクロコントローラのフラッシュプログラムメモリには、規定の測定プログラムが含まれている。該測定プログラムは、ハウジング5が測定されるべき面O上に位置した後、第1ボタン11aを押すことによって開始する。第1フォトダイオード2及び第2フォトダイオード4を経て背景光を最初に測定することが有用である。測定値は、測定プログラムによってランダムアクセスメモリRAMに記憶される。光源1は、それから、規定の時間連続して点灯する。点灯段階の間に、第1フォトダイオード2及び第2フォトダイオード4を用いて、第1光源1各々について反射強度が測定される。測定値は、背景光の既測定値を用いて相殺され、かつランダムアクセスメモリRAMに記憶される。測定終了後、該測定値は、EPROMに記憶されている基準強度と比較される。測定値が基準強度の規定範囲内であれば、測定プログラムは、測定した色が基準強度に対応する色と適合すると確定する。結果は、表示装置12に出力される。この方法により、単なる色だけでなく、観測角度によって変化する色も、確実かつ簡単に確定することができる。このような基準強度は、例えば規定の色の基準測定にて確定され、記憶される。勿論、複数の規定の色について基準強度を確定し、記憶することも可能である。例えば、色の基準強度は、種々の流通経路について傾斜角効果で記憶させることが可能である。提案の装置は、当該製品が本物であるか否かだけでなく、それが正しい流通経路を経て伝えられたか否かをも検出するために用いられる。
【0042】
第2ボタン11bはさらなる測定の際に押される。この場合、測定をただちに開始することができる。既に確定している背景光の測定値は、測定結果を相殺するために用いられる。
【0043】
測定強度と基準強度との比較のかわりに、勿論、測定強度を基準として色範囲における座標を算出することも可能である。この場合、プログラムはそれに応じて変更しなければならない。
【0044】
測定値を相殺するか又は干渉シグナルから測定値を分離するためには、光源1、3を変調するユニットを備えることが有用であると示される。この場合、光源1、3は、点灯段階の間に規定の周波数で操作される。フォトダイオード2、4によって測定される強度は、観測周波数枠内でこれらが測定され得る程度までが含まれるのみである。人工光やその他による、例えば50Hz又は100Hzの干渉周波数は、この方法にて除外することができる。例えば、全ての非変調シグナルは、ロックイン技術によって変調シグナルから分離することができる。
【0045】
ICPインターフェースを経て適切な測定プログラム又はマイクロコントローラのプログラミングを積載することが有用である。
【0046】
測定ヘッドと共にシングルハウジング内にかかる装置を設置し、携帯用の手に収まるデバイスとすることが有用である。しかしながら、また、測定ヘッドをケーブルで装置と接続することも可能である。本発明の装置が単に面上の色の確定のみに用いられるべき場合、第1光源1並びに第1フォトダイオード2及び/又は第2フォトダイオード4を備えることで充分である。観測角度によって変化する色を測定するためには、第1フォトダイオード2及び/又は第2フォトダイオード4だけでなく、第1光源1及び第2光源3も備える必要がある。
【0047】
経時的な測定方法で全体の測定継続期間を最短化するためには、最初に1〜5の測定強度値が記憶された基準強度に対応しなければ測定手段を終了し、再び開始することが有利であると示された。この終了基準が強度値3であるとき、特に有利である。このことにより、取り扱いが簡素なダイナミックモードで装置を作動させることができる。基準強度に対応する測定強度値のデータ記録が発見されるとすぐに、測定手段は終了し、正の測定結果が出力される。全体の測定時間を制限するために、測定継続期間は、例えば5秒間に限られる。それまでに基準強度と対等な測定強度値がなかった場合、負の測定結果が示される。
【0048】
図4に、本発明に従って作動させた読取装置の測定値と市販の分光計(LIGA マイクロスペクトロメータ、エスティーイーエイジー マイクロパーツ(STEAG microParts)社)の測定値との比較を示す。該読取装置には図1に示す光学ヘッドが用いられており、波長が441、565、591、632、650、682及び880nmの発光ダイオードで各測定傾斜色の面を順次照明する。観測角度によって変化する色は、18°及び42°の角度で測定された。これから得られる強度測定値Iと、研磨アルミニウムミラー上でのアナログ測定から得られる最大反射強度Imaxとから、吸収Aがパーセンテージで算出される。
A=I/Imax×100
【0049】
図4に示されるように、記載の読取装置の吸収値は、いずれの測定角度についても、分光計で測定された吸収のカーブ進行に極めて密接に沿っている。
【0050】
図5及び6に示されるマーキングにおいて、電磁波を反射する第1層は14で示される。これは、例えばアルミニウム箔などの金属箔である。しかしながら、第1層14はまた、キャリア15に付されるクラスターからなる層であってもよい。キャリア15は、マークされる物体となる。該クラスターは金から製造されていることが有用である。同様に、図5に示される第1層14もまた、その面が電磁波を反射する材料からなる場合に物体となる。
【0051】
化学的に不活性な第2層16は、第1層14に付されている。該第2層16は構造を有する。ここで該構造は、例えばバーコード様にデザインされたレリーフの形状である。第2層の厚さは20〜1000nmであることが有利である。この層は薄膜技術にて得られる。これには、例えば真空蒸着技術が好適である。
【0052】
図5及び6に示されるマーキングにおいて、金属クラスターで製造される第3層17は、第2層16に付されている。該第3層17は順に第4層18にて被覆される。該第4層18は下層が損傷しないように保護する。第2層16のように、第4層18は、例えば金属酸化物、金属亜硝酸塩、金属炭化物、ポリマーといった化学的に不活性で光学的に透明な材料で製造される。
【0053】
マーキングの機能は以下のとおりである。
【0054】
本発明による装置の光源からの光が図5及び6に示されるマーキング上を照らすとき、該光は第1層14で反射する。金属クラスターから製造された第3層17での反射光の相互作用により、照射光の一部が吸収に導かれる。該反射光は特性スペクトルを有する。該マーキングは色となって現れる。照射もしくは観測の角度、又は特性スペクトルによって決定するこの色は、マーキングの真偽についての偽造防止の証拠である。
【0055】
相互作用が生じるときに追随されるべきパラメータに関しては、国際特許公開WO99/47702号公報だけでなく、その開示内容が含まれる米国特許第5611998号明細書、国際特許公開WO98/48275号公報も参照される。
【0056】
図7に示される、図5のマーキングのスペクトルは、反射ユニットを用いたパーキンエルマー(Parkin Elmer)社のUV/VIS分光計 ラムダ25(lambda 25)にて測定した。図7から、観測角度が大きくなるにつれて、ピークが長波長から短波長へとシフトすることがわかる。さらに、銀クラスターによる固定ピークが観測される。
【0057】
図8に、2つの異なる各波長での、図7のスペクトルの定量的評価を示す。各観測波長について、観測角度にともなった吸収の変化が認められる。この吸収パターンはマーキングの真偽に特有である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の装置及び方法は、偽造防止マーキングの真偽の検査に有効利用することができる。これら装置及び方法によってかかる検査の実行が容易かつ安価にて可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】装置の測定ヘッドの概略断面図
【図2】光源の配列
【図3】装置のブロック回路図
【図4】照明の各角度での吸収測定の測定結果
【図5】第1の連続可視マーキングの概略断面図
【図6】第2の連続可視マーキングの概略断面図
【図7】異なる各観測角度での、図5に示すマーキングの吸収スペクトル
【図8】異なる各波長での、図7に示すスペクトルの定量的評価
【符号の説明】
【0060】
1 第1光源
2 第1フォトダイオード
3 第2光源
4 第2フォトダイオード
5 ハウジング
6 測定開口
7 マイクロコントローラ
8 デマルチプレクサ
9 アンプ
10 フィルタ
11a、11b 第1、第2ボタン
12 表示装置
13 電力供給ユニット
14 第1層
15 キャリア
16 第2層
17 第3層
18 第4層
O 面
M 測定ポイント
α1、α2 第1、第2角度
β1、β2 第3、第4角度
N 標準線
ポートA、B、C、D 入力/出力
AD/DA アナログ/デジタルコンバータ
RAM ランダムアクセスメモリ
EEPROM 電気的消去書込可能読み出し専用メモリ、不揮発性メモリ
CPU 中央処理装置
RS232 インターフェース
PC パーソナルコンピュータ、データ処理ユニット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)最大発光波長が互いに異なり、かつハウジング(5)が面(O)に配置されるときに規定の第1角度(α1)で該面を照射するように該ハウジングに設置されている、規定のスペクトル範囲で発光するいくつかの第1光源(1)
b)面(O)による反射光の強度を測定するための、第2角度(α2)に位置する第1手段(2)、及び
c)少なくとも1つの規定の色に対して、各光源(1)についての測定強度と記憶された基準強度とを自動比較する手段(7)
を有する、観測角度によって変化する色で偽造防止マーキングの真偽を検査するための装置。
【請求項2】
規定のスペクトル範囲で発光するいくつかの第2光源(3)が備えられ、該第2光源(3)は、最大発光波長が互いに異なり、かつハウジング(5)が面(O)の最も上に配置されるときに規定の第3角度(β1)で該面を照射するように該ハウジングに設置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
面(O)による反射光の強度を測定するための、第4角度(β2)に位置する第2手段(4)が備えられた、前記請求項の1つに記載の装置。
【請求項4】
規定のスペクトル範囲が、半値最大強度で100nm未満、好ましくは50nm未満の幅を有する、前記請求項の1つに記載の装置。
【請求項5】
光源(1、3)が、発光ダイオード、レーザー又はそれによって接続される光導電ファイバーの遊離端である、前記請求項の1つに記載の装置。
【請求項6】
強度を測定する手段が、少なくとも1つのフォトダイオード(2、4)を有する、前記請求項の1つに記載の装置。
【請求項7】
測定される第1角度(α1)で面(O)上へ放射される光が、第2角度(α2)で鏡面反射する、前記請求項の1つに記載の装置。
【請求項8】
測定される第3角度(β1)で面(O)上へ放射される光が、第4角度(β2)で鏡面反射する、前記請求項3〜7の1つに記載の装置。
【請求項9】
第1角度(α1)及び第3角度(β1)が互いに異なり、かつ5°〜60°、好ましくは15°〜45°の範囲にある、前記請求項の1つに記載の装置。
【請求項10】
光源(1、3)により面(O)を連続的に照明するため、かつ定めた順序で反射光の特定強度を測定するため(2、4)のユニットが備えられた、前記請求項の1つに記載の装置。
【請求項11】
光源(1、3)の最大発光が、近紫外、可視又は赤外スペクトル範囲にある、前記請求項の1つに記載の装置。
【請求項12】
照明及び測定の継続期間が、光源(1、3)各々の輝度特性及び/又は強度を測定する手段(2、4)の測定特性に依存して規定される、前記請求項の1つに記載の装置。
【請求項13】
背景光を相殺するために、機械的、電子的又は技術的なソフトウェアユニットが備えられた、前記請求項の1つに記載の装置。
【請求項14】
測定シグナルから干渉シグナルを分離するために光源(1、3)を変調するユニットを備えた、前記請求項の1つに記載の装置。
【請求項15】
少なくとも3つ、かつ12以下の第1光源(1)及び/又は第2光源(3)が備えられた、前記請求項の1つに記載の装置。
【請求項16】
自動比較手段又は色範囲における座標算出手段が、マイクロコントローラ(7)を有する、前記請求項の1つに記載の装置。
【請求項17】
表示装置(12)、好ましくはディスプレイ又は、1つもしくはそれ以上の付加発光ダイオードが、比較により決定される結果を表示するために備えられた、前記請求項の1つに記載の装置。
【請求項18】
偽造防止マーキングが、規定の厚さを有する電磁波透過性不活性第2層(16)が付された物体と接続している電磁波反射第1層(14)を有し、かつ金属クラスターからなる第3層(17)が該第2層(16)に付された、前記請求項の1つに記載の装置。
【請求項19】
層(14、16、17、18)の少なくとも1つが構造を有する、前記請求項の1つに記載の装置。
【請求項20】
第3層(17)を被覆している電磁波透過性不活性第4層(18)が備えられた、前記請求項の1つに記載の装置。
【請求項21】
金属クラスターが、銀、金、プラチナ、アルミニウム、銅、スズ又はインジウムから製造されている、前記請求項の1つに記載の装置。
【請求項22】
第2層(16)及び/又は第4層(18)が、以下の材料:金属酸化物、金属亜硝酸塩、金属炭化物、特にシリコン酸化物、シリコン炭化物、シリコン亜硝酸塩、スズ酸化物、スズ亜硝酸塩、酸化アルミニウム、アルミニウム亜硝酸塩、もしくはポリマー、特にポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリウレタン(PUR)、ポリイミド(PI)、ポリスチレン(PS)又はポリメタクリレート(PMA)の1つで製造されている、前記請求項の1つに記載の装置。
【請求項23】
第1層(14)と第3層(17)との間の2μm未満の距離で、一意的に識別可能な色が認識され得る、前記請求項の1つに記載の装置。
【請求項24】
層(14、16、17、18)が、薄膜技術、特にPVD、CVD、又はグラビア印刷などの印刷技術にて製造されている、前記請求項の1つに記載の装置。
【請求項25】
以下の工程:
aa)光源(1、3)の最大発光波長が互いに異なり、第1角度(α1)で規定のスペクトル範囲において発光するいくつかの第1光源(1)で面(O)を照射する工程
bb)第2角度(α2)で面(O)による反射光の強度を測定する工程
cc)少なくとも1つの規定の色に対して、特定の光源(1、3)についての測定強度と記憶された基準強度とを比較する工程
からなる、観測角度によって変化する色で偽造防止マーキングの真偽を検査する方法。
【請求項26】
最大発光波長が互いに異なり、第3角度(β1)で規定のスペクトル範囲において発光するいくつかの第2光源(3)で面を照射する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
規定のスペクトル範囲が、半値最大強度で100nm未満、好ましくは50nm未満の幅を有する、前記請求項25又は26の1つに記載の方法。
【請求項28】
面(O)による反射光の強度を第4角度(β2)で測定する、前記請求項25〜27の1つに記載の方法。
【請求項29】
照明(α1、β2)及び測定角度(α2、β2)が、光源(1、3)及び強度を測定する手段(2、4)を共通ハウジング(5)内に設置することにより規定される、前記請求項25〜28の1つに記載の方法。
【請求項30】
発光ダイオード、レーザー又はそれによって接続される光導電ファイバーの遊離端を光源(1、3)として用いる、前記請求項25〜29の1つに記載の方法。
【請求項31】
少なくとも1つのフォトダイオード(2、4)を、強度を測定する手段として用いる、前記請求項25〜30の1つに記載の方法。
【請求項32】
第1角度(α1)で面(O)上へ放射される光が鏡面反射し、第2角度(α2)で測定される、前記請求項25〜31の1つに記載の方法。
【請求項33】
第3角度(β1)で面(O)上へ放射される光が鏡面反射し、第4角度(β2)で測定される、前記請求項25〜32の1つに記載の方法。
【請求項34】
第1角度(α1)及び第3角度(β1)が互いに異なり、かつ5°〜60°、好ましくは15°〜45°の範囲にある、前記請求項25〜33の1つに記載の方法。
【請求項35】
光源(1、3)を定めた順序で連続的に作動させる、前記請求項25〜34の1つに記載の方法。
【請求項36】
光源(1、3)の最大発光が、近紫外、可視又は赤外スペクトル範囲にある、前記請求項25〜35の1つに記載の方法。
【請求項37】
照明及び測定の継続期間が、光源(1、3)各々の輝度特性及び/又は強度を測定する手段(2、4)の測定特性に依存して規定される、前記請求項25〜36の1つに記載の方法。
【請求項38】
背景光を機械的、電子的又は技術的なソフトウェア手段にて相殺する、前記請求項25〜37の1つに記載の方法。
【請求項39】
測定シグナルから干渉シグナルを分離するために光源(1、3)を変調する、前記請求項25〜38の1つに記載の方法。
【請求項40】
少なくとも3つ、かつ12以下の第1光源(1)及び/又は第2光源(3)を備える、前記請求項25〜39の1つに記載の方法。
【請求項41】
自動比較又は色範囲における座標算出をマイクロコントローラ(7)を用いて行う、前記請求項25〜40の1つに記載の方法。
【請求項42】
比較により決定した結果を、表示装置(12)、好ましくはディスプレイ又は、1つもしくはそれ以上の付加発光ダイオードにて表示する、前記請求項25〜41の1つに記載の方法。
【請求項43】
マーキングを、規定の厚さを有する電磁波透過性不活性第2層(3)が付された物体と接続している電磁波反射第1層(1)を有し、かつ金属クラスターからなる第3層(4)が該第2層(3)に付された偽造防止マーキングとして用いる、前記請求項25〜42の1つに記載の方法。
【請求項44】
層(1、3、4、5)の少なくとも1つが構造を有する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
第3層(4)を被覆している電磁波透過性不活性第4層(5)を備える、請求項43又は44に記載の方法。
【請求項46】
金属クラスターが、銀、金、プラチナ、アルミニウム、銅、スズ、鉄、コバルト、クロム、ニッケル、パラジウム、チタン又はインジウムから製造される、前記請求項43〜45の1つに記載の方法。
【請求項47】
第2層(3)及び/又は第4層(5)が、以下の材料:金属酸化物、金属亜硝酸塩、金属炭化物、特にシリコン酸化物、シリコン亜硝酸塩、スズ酸化物、スズ亜硝酸塩、酸化アルミニウム、アルミニウム亜硝酸塩、もしくはポリマー、特にポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリウレタン(PUR)、ポリイミド(PI)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリメタクリレート(PMA)の1つで製造される、前記請求項43〜46の1つに記載の方法。
【請求項48】
第1層(1)と第3層(4)との間の2μm未満の距離で、一意的に識別可能な色を認識し得る、前記請求項43〜47の1つに記載の方法。
【請求項49】
層(14、16、17、18)が、グラビア印刷などの印刷技術と同様にPVD、CVDなどの薄膜技術にて製造される、前記請求項43〜48の1つに記載の方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−502486(P2006−502486A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−542418(P2004−542418)
【出願日】平成15年10月2日(2003.10.2)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010964
【国際公開番号】WO2004/034338
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(501242066)ノヴェンバー アクティエンゲゼルシャフト (2)
【氏名又は名称原語表記】NOVEMBER AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】