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偽造防止媒体および偽造防止ラベル並びに物品
説明

偽造防止媒体および偽造防止ラベル並びに物品

【課題】偽造防止効果を高めるためには、オバート技術、コバート技術など複数の偽造防止技術を組み合わせた高機能な媒体であることが望まれるが、多層構を避け、層構成を簡略化することも必要で、潜像発現方法に液晶などの光に弱い物質を用いると耐光性の問題も生じるため、耐性のある複数の偽造防止技術を組み合わせ、多層構成とならない高機能偽造防止媒体が求められる。
【解決手段】高密度の平行線状凹凸構造を備えた金属導体からなる偏光子を備えたことを特徴とする偽造防止媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行券、債権、商品券、小切手などの金券、有価証券ならびに、クレジットカード、IDカード、公文書など各種証明書、重要書類などの偽造対策、複製対策として、また商品の模造品対策や封印ラベルとして必要とされている偽造防止媒体およびそれを用いた偽造防止ラベル並びに物品に関するものであり、特に肉眼での真贋判定を可能とするセキュリティ性の高い偽造防止策を施したものである。
【背景技術】
【0002】
有価証券、各種証明書及び重要書類等の印刷物や、模造品対策として商品に貼付されるシール、また商品が未開封であることを証明する封印シールなどは、その価値を保証、維持または証明する必要があるため、セキュリティ性の高い偽造防止を施す必要がある。
【0003】
偽造防止技術には、誰が見ても偽造防止技術と認知でき真贋判定を可能とするオバート技術と、特定の人物のみが偽造防止技術の存在を知り、特定の方法で真贋判定を行うコバート技術に分けられる
【0004】
オバート技術の一例として、見る角度によって色や模様が変る回折構造体や多層干渉膜などがあげられる。コバート技術の一例として、機器やフィルタなどを使用して判定を行う蛍光印刷や万線潜像などがあげられる。偽造防止効果をより高めるため、これらは互いに組み合わせて製品化されることが多い。
【0005】
またコバート技術の一例としては、液晶などを用いパターンで位相子の光軸を変化させ、偏光板を介した時のみ潜像が可視化し、偏光板を介さない場合は目視での潜像認識が不可能もしくは困難である偽造防止技術や、更にこれを回折構造体と積層させ組み合わせることで偽造防止効果を高める方法などが提案されている(特許文献1)。
【0006】
しかし、液晶は位相子として入射する光の光軸を変化させるだけの機能しか持たないため、潜像を表示させるには、2枚の偏光板を偏光方向が直交する向きで液晶を用いた潜像表示層を挟み込んだり、片方の面に反射層を設けたりする必要があった。また液晶を用いるため耐光性の向上策として紫外線吸収層などの光保護層を設ける必要から多層構造となっていた。
【0007】
こうした偽造防止媒体は、ステッカーや転写箔として真正品に貼付されることが多く、多層構造の媒体をセキュリティ用途で使用するには、各層が高い密着性を持つ必要があり、目的の機能を持ちつつ密着性の高い材料の選定や条件の模索を行う必要があり、多層になればなるほど開発に時間を要する。また多層構造にすると製品製造時の工程数が増え、コスト、納期、歩留まりが悪化する欠点を有している。
【0008】
入射光の波長よりも十分に短い間隔で、極細導体が直線で並び形成されている時、導体の直線方向に平行な直線偏光を反射し、直交方向の直線偏光を透過する現象が広く知られており、偏光板として利用できる。また近年の微細加工技術の進歩により、これを可視光波長よりも十分短い間隔で極細導体を配列させることが可能となってきた(特許文献2)。
【0009】
しかし、入射光よりも十分短い波長で導体を配列させることが難しかったため、専ら波長の長い赤外光などの分野で使用され、遠赤外領域における偏光測定や長波長レーザー用カップリングデバイスへの応用であり、偽造防止媒体への応用はされてない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−43978号公報
【特許文献2】特開2005−195824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
偽造防止効果を高めるためには、オバート技術、コバート技術など複数の偽造防止技術を組み合わせた高機能な媒体であることが望まれるが、多層構成を避け、層構成を簡略化することも必要であり、潜像発現方法に液晶などの光に弱い物質を用いると耐光性の問題も生じるため、耐性のある複数の偽造防止技術を組み合わせ、多層構成とならない高機能偽造防止媒体が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
偏光板を介した目視によって視認可能で且つ偏光板を介さないと目視によっては視認不可または視認困難な潜像を表示させることができるコバート技術と、オバート技術として回折構造体を組み合わせ、各々を別々の層としてではなく同一平面に提供する。これにより多層構造とすることなく前述の問題が解決される。更に潜像発現方法に液晶などの光に弱い物質を用いないことで耐光性の問題もなく、潜像発現部に光透過性を持たすことによって裏面を視認可能として意匠性を向上させ見た目に美しい偽造防止媒体を提供することができる。本発明の一態様は、偏光方向の異なる直線偏光子を同一平面上に配置し、これを偏光板を通して見ることで、潜像が発現し、さらに視潜像発現部に光透過性を持たすことによって裏面を視認可能として意匠性を向上させ見た目に美しい偽造防止媒体を提供する。
【0013】
直線偏光が透過する向きが、互いに直交する二種類の偏光子が同一平面上に形成されている時、偏光板などを通してこれを見ると、入射する直線偏光に対して互いの偏光子から戻ってくる光の振る舞いが異なり、一方は透過、もう一方は反射もしくは遮光されるなどして、各々の偏光子にコントラストが付いて見える。人間は自然光、偏光、偏光方向などの違いを認識することができないため、偏光板を通してこれを見た時だけ、コントラストを潜像として認識することができ、偏光板を通さずにこれを見ても、各々の偏光子の違いを認識することはできない。またここで言う偏光板とは、自然光を入射させた時にその中の一定の直線偏光だけを透過するものを言い、それを実現できるものであれば、吸収型、反射型など種類は問わない。
【0014】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、高密度の平行線状凹凸構造を備えた金属導体からなる偏光子を備えたことを特徴とする偽造防止媒体である。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、偏光方向の異なる偏光子を画素としてパターン化し、同一平面上に配置したことを特徴とする請求項1記載の偽造防止媒体である。
【0016】
また、請求項3に記載の発明は、偏光子と同一平面上に、反射層を具備し回折光を反射することができる回折構造部を具備したことを特徴とする請求項1または2記載の偽造防止媒体である。
【0017】
また、請求項4に記載の発明は、偏光子の裏側の一部に反射層が設けられていることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の偽造防止媒体である。
【0018】
また、請求項5に記載の発明は、偏光子部の裏側の一部に印刷層が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の偽造防止媒体である。
【0019】
また、請求項6に記載の発明は、偏光子部の裏側の一部に光吸収層が設けられていることを特徴とする請求項1から5いずれか1項に記載の偽造防止媒体である。
【0020】
また、請求項7に記載の発明は、偏光子部の裏側の一部が透明、一部が不透明となっていることを特徴とする請求項1から6いずれか1項に記載の偽造防止媒体である。
【0021】
また、請求項8に記載の発明は、保護層を具備したことを特徴とする請求項1から7いずれか1項に記載の偽造防止媒体である。
【0022】
また、請求項9に記載の発明は、請求項1から8に記載の偽造防止媒体の裏面に接着層を具備したことを特徴とする偽造防止ラベルである。
【0023】
また、請求項10に記載の発明は、接着層上に剥離可能に支持した基材を具備したことを特徴とする請求項9に記載の偽造防止ラベルである。
【0024】
また、請求項11に記載の発明は、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の偽造防止媒体あるいは請求項9または10に記載の偽造防止ラベルを具備した物品である。
【発明の効果】
【0025】
本発明の偽造防止媒体は、偏光板を介し目視によって認識可能で、且つ偏光板を介さないと視認不可または視認困難な潜像を表示させる機能を持つ。回折構造体と組み合わせる場合でも多層構造ではなく同一平面上である為、多層構造の場合の様な密着を気にする必要がない。また導体の役割を持つ金属反射膜で形成されているため光による劣化が無い。偏光子は光透過性があるため、裏面の状態を変えることによって偏光板有無に関係なく見え方の多様性を持たせることが出来る。さらに偏光子部は微細凹凸構造を用いて製造するため偽造が困難であり、偽造防止媒体として有効である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る高密度の平行線状凹凸構造の実施形態の例を説明した立体図。
【図2】本発明に係る高密度の平行線状凹凸構造に蒸着により金属導体を形成した実施形態の例を説明した立体図。
【図3】本発明に係る高密度の平行線状凹凸構造を備えた金属導体からなる偏光子と反射層を具備し回折光を反射することができる回折構造部が一体となった実施形態の例を説明した概略図。
【図4】本発明に係る高密度の平行線状凹凸構造を備えた金属導体からなる偏光子と反射層を具備し回折光を反射することができる回折構造部が一体となった実施形態の例を断面(図3XZ断面)で見た説明図。
【図5】本発明に係る高密度の平行線状凹凸構造を備えた金属導体からなる偏光子と反射層を具備し回折光を反射することができる回折構造部が一体となった実施形態の例を断面(図3YZ断面)で見た説明図。
【図6】本発明に係る偽造防止媒体の実施形態の例を断面(図3YZ断面)で見た説明図。
【図7】本発明に係る偽造防止媒体の潜像確認方法の一例を示した説明図。
【図8】本発明に係る偽造防止媒体の潜像確認方法の一例を示した説明図。
【図9】本発明に係る偽造防止媒体の一例のx軸方向に直線偏光を透過するような向きの偏光板を通して見た様子を示した説明図。
【図10】本発明に係る偽造防止媒体の一例のy軸方向に直線偏光を透過するような向きの偏光板を通して見た様子を示した説明図。
【図11】本発明に係る偽造防止媒体に裏面加工を施した実施形態の例を断面(図3YZ断面)で見た説明図。
【図12】本発明に係る偽造防止媒体に反射層が設けられた実施形態の例を裏側から見た様子を示した説明図。
【図13】本発明に係る偽造防止媒体に反射層が設けられた実施形態の例を表側から見た様子を示した説明図。
【図14】本発明に係る偽造防止媒体の実施形態の例に偏光板を重ね正反射で見た様子を示した説明図。
【図15】本発明に係る偽造防止媒体の裏側の一部を光透過部とした実施形態の例を見た様子を示した説明図。
【図16】本発明に係る偽造防止媒体の裏側の一部を光透過部とした実施形態の例に表面から光にかざして見た様子を示した説明図。
【図17】本発明に係る偽造防止媒体の裏側の一部を光透過部とした実施形態の例に偏光板を重ね表面から光にかざして見た様子を示した説明図。
【図18】本発明に係る偽造防止媒体を含む商品券とした実施形態の例を示した説明図。
【図19】本発明に係る偽造防止ラベルの実施形態の例を示した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1、図2は本発明の主たる要素である直線凹凸構造によって作られる偏光子について説明するためのものである。図1は光透過性を持つ樹脂で形成された直線凹凸構造であり、ここに蒸着などの方法を用いて導体を形成すると、図2のように、主に凹凸構造の凸部に導体が堆積し、前記直線極細導体が並んでいる状態と同じ現象が発生するため、直線凹凸構造に導体が形成された導体直線凹凸構造で作られた偏光子は、導体直線凹凸構造の直線方向に一致するx軸方向の直線偏光を反射し、導体直線凹凸構造の直線方向に直行するy軸方向の直線偏光を透過する。
【0028】
導体直線凹凸構造で作られた偏光子に自然光が入射した場合も、導体直線凹凸構造の直線方向の直線偏光を反射し、導体直線凹凸構造の直線方向に直行する方向の直線偏光を透過する。
【0029】
故に、直線方向が互いに直交する導体直線凹凸構造のうち、同じ方向を向いた導体直線凹凸構造が一定面積並んだ集合を画素とし、直線の向きが直交するもう一種類の導体直線凹凸構造が一定面積並んだ集合で構成された画素とが同一平面に配置されることで、偏光板を通してこれを見た時、各画素間でコントラストが生じ潜像としての認識が可能となる。
【0030】
図2のような導体直線凹凸構造のうち、互いに直交する方向を向いた二種類の導体凹凸構造を、同一平面状で一体となっているようにパターン状に並べた偽造防止媒体の概略図を図3に示す。
【0031】
偽造防止媒体は、凹凸構造や回折構造を形成する構造体形成層101の上に、直線方向がx軸方向を向いた導体直線凹凸構造体X102と、直線方向がy軸方向を向いた導体直線凹凸構造体Y103、更に回折構造体104が形成され、その上に保護層105が覆われている。
【0032】
偽造防止媒体を切断し、構造体形成層101、導体直線凹凸構造体X102、導体直線凹凸構造体Y103のみを表示した断面のうち、切断面XZ107の箇所で切断した断面を図4に、切断面YZ106の箇所で切断した断面を図5に示す。
【0033】
図4の偽造防止媒体XZ断面A20は、導体直線凹凸構造体X102が凹となっている部分で切断している断面図であり、偽造防止媒体XZ断面B21は、導体直線凹凸構造体X102が凹となっている部分で切断している断面図である。
【0034】
同様に図5の偽造防止媒体YZ断面A30は、導体直線凹凸構造体Y103が凹となっている部分で切断している断面であり、偽造防止媒体YZ断面B31は、導体直線凹凸構造体Y103が凹となっている部分で切断している断面図である。
【0035】
図3から図5は偽造防止媒体の構造を詳細に表してはおらず、図2のように透過性樹脂と導体を明確に書き分けると、偽造防止媒体面B31は、図6の偽造防止媒体断面詳細32のようになり、構造体形成層101、透過性直線凹凸構造体X601、透過性直線凹凸構造体Y602、透過性回折構造体603、導体604、保護層105が含まれる。
【0036】
構造体形成層101は例えば、アクリル性樹脂、ポリカーボネート性樹脂、スチレン系樹脂などに代表される熱可塑性樹脂又は光硬化性樹脂を使用すると、金型を用いた転写により、一方の主面に透過性直線凹凸構造体X601や透過性直線凹凸構造体Y602や、透過性回折構造体603の形成が容易になる。また構造形成層101はこのような方法で製造されて良い。
【0037】
熱可塑性樹脂又は光硬化性樹脂は、透過性を持つ透明樹脂などの透明材料を用いることが望ましいが、用途によっては、必ずしもその限りではない。本発明で用いられる偏光子は反射光が直線偏光であるため、潜像を発現させるだけの用途に限れば、構造形成層101が不透明であっても良いことは明らかである。しかしその際、入射光と同じ波長のみを反射するような色の樹脂を用いると潜像を認識し辛くなる。不透明樹脂を用いて潜像を認識しやすくするには、入射光を吸収するような色の樹脂を用いると良い。
【0038】
透過性直線凹凸構造体X601や透過性直線凹凸構造体Y602上に形成される導体604は、図2のように、主に凸部に堆積して偏光子として機能する。
【0039】
透過性回折構造体603上に形成された導体604は全面に形成される。従って透過性回折構造体603は、全面を導体で被覆され反射層となるため、必ずしも透過性を持つ透明樹脂で形成される必要は無い。しかしながら偽造防止性や意匠性を向上させるために、反射層を含む回折構造体104の、反射層の一部を除去する技術が知られており、この技術を用いる場合は、透明性回折構造体603は透過性を持つ透明樹脂で形成されることが望ましい。その技術とは例えば、反射層の上に光透過性を持つ耐アルカリ層をパターン状に形成し、全面に対して反射層を溶解するのに適したアルカリ性溶液でエッチングを行い、前記耐アルカリ層が形成されていない部分の反射層だけを除去する方法などがあげられる。
【0040】
導体604としては、導電性を持ち、かつ光反射性を持つことが望まれるので、例えば導電性と金属光沢を持つアルミニウム、金、銀、銅、ニッケル、亜鉛などの金属を使用することができる。これらの導体を、例えば蒸着やスパッタリングなどの方法で薄膜として形成する。
【0041】
導体が形成された導体直線凹凸構造体X102や導体直線凹凸構造体Y103の凸部は、入射光波長より十分小さい間隔で並んでいる必要がある。例えば可視光で観察する場合、可視光波長より十分狭い10nmから400nm間隔などである。
【0042】
前記導体直線凹凸構造体X102や導体直線凹凸構造体Y103の凹部には、導体が形成されないほど良いため、深い方が望ましい。例えば10nmから1000nmなどであ
るが、必ずしもこの限りではない。少なくとも凸部に堆積している導体と凹部に堆積する導体は絶縁されている必要があり、ピッチに対するアスペクト比が高い方が良い。
【0043】
透過性回折構造体603は、ピッチ100nmから10μm程度の凹凸構造体であり、ここに光反射層が設けられることで回折光を反射する回折構造体104となる。ここでは光反射層を導体604で兼用しているが、高屈折率物質で代用することに透明反射層として機能する。例えば硫化亜鉛、二酸化チタンなどである。これを用いる場合、透過性直線凹凸構造体X602及び透過性直線凹凸構造体Y603と、透過性構造形成層X601に、それぞれ導体604と透明反射層を形成する際に、互いをマスクする必要がある。
【0044】
また構造体形成層101上の面に設けられている、導体直線凹凸構造体X102、導体直線凹凸構造体Y103、回折構造体104、もしくは透過性直線凹凸構造体X601、透過性直線凹凸構造体Y602、透過性回折構造体603を含む面には、図示されない凹凸構造を持たない平坦な面を含んで良い、またこの面には導体604が形成されていても、されていなくても良い。
【0045】
回折構造体104、透明回折構造体603は省略することができる。
【0046】
回折構造体104、透明回折構造体603は全面に導体604が形成されていても良いし、一部に形成されていても良い。
【0047】
図7、図8は、偽造防止媒体の潜像確認方法について示した概略図である。図7は導体直線凹凸構造と回折構造が一体となった偽造防止媒体10の上に偏光板を重ねた場合。図8は、観測者の前に偏光板を設置し、離れたところにある偽造防止媒体10を見る場合である。どちらの場合でも、潜像を確認することができる。
【0048】
図7または図8のような方法で潜像を確認した際、図9は、x軸方向に直線偏光を透過するような向きの偏光板を通して見た図、図10は、y軸方向に直線偏光を透過するような向きの偏光板を通して見た様子を説明する図である。
【0049】
図2に示されている導体直線凹凸構造の導体膜厚が極端に薄いなどの理由で、導体直線凹凸構造によって付くられた偏光子の反射能力が十分でない場合、導体直線凹凸構造の直線方向に一致する直線偏光が入射しても、その一部を透過するため、反射能力が十分でない導体直線凹凸構造で作られた偏光子の裏面が、吸収層、反射層、印刷などで形成された色のついた散乱反射層など、状態を異ならせることによってもコントラストが付く。
【0050】
反射能力が十分でない導体直線凹凸構造で作られた偏光子が、大部分の入射光を反射し、一部の入射光を透過するような向きで偏光板が重ねられた時、該偏光子の裏側が吸収層であった場合、一部透過した入射光が吸収され、目に入ってくる光は偏光子表面で反射した光だけになるため、裏面が反射層、散乱反射層であった場合と比べて目に入ってくる光の強さが最も弱くなる。
【0051】
前記該反射状態偏光子の裏側が反射層であった場合、一部透過した僅かな入射光もほぼ全てが反射され、偏光子表面で反射した光に加えられるため、裏面が吸収層、散乱反射層であった場合と比べて目に入ってくる光の強さは最も強くなる。
【0052】
前記該反射状態偏光子の裏側が印刷などで形成された色のついた散乱反射層であった場合、入射光の波長によって一部透過した入射光がどの程度反射するかが変わってくるが、入射光が白色に近い場合、目に入ってくる光の強さは、裏面が吸収層であった場合より強く、裏面が反射層であった場合より弱くなる。
【0053】
但し、前記該反射状態偏光子の裏側に吸収層、反射層、散乱反射層などを設けても、特に照明など強い光の偏光子表面での反射を見る場合、偏光子表面で反射してくる大部分の光の強さに対する、一部の透過光による裏面の僅かな光の強さの変化の割合は著しく小さくなるため、正反射時には該偏光子の面は一様の明るさに見える。
【0054】
裏面に吸収層、反射層、散乱反射層などが設けられている偏光子部に対し、偏光板が重ねられていない時、及び偏光子部に光が透過するよう偏光板が重ねられている場合、裏面の吸収層、反射層、散乱反射層は偏光子が無い状態から少し暗くはなるが、ほぼ同じ状態で見ることができる。
【0055】
これらのことから、偽造防止媒体10の裏面の一部に、吸収層701、印刷によって色のついた乱反射層702、反射層703が形成された偽造防止媒体10の、図6と同じ断面を図11の裏面加工偽造防止媒体断面33に示す。
【0056】
偽造防止媒体10の裏面が、吸収層701になっている場合、偏光板を重ねた時に、導体直線凹凸構造体X102もしくは導体直線凹凸構造体Y103のどちらかが光を透過している場合、または偏光板を重ねていない時は黒く見える。偏光板を重ねた時に、導体直線凹凸構造体X102もしくは導体直線凹凸構造体Y103のどちらかが入射光を反射している場合は入射光と同じ色が見える。
【0057】
偽造防止媒体10の裏面が、印刷によって色のついた(この例では暫定的に赤色とする)乱反射層702の場合、偏光板を重ねた時に、導体直線凹凸構造体X102もしくは導体直線凹凸構造体Y103のどちらかが光を透過している場合、または偏光板を重ねていない時は赤く見える。偏光板を重ねた時に、導体直線凹凸構造体X102もしくは導体直線凹凸構造体Y103のどちらかが光を反射している場合は入射光と同じ色が見える。
【0058】
またここで乱反射層702についた色は、可視光波長のみを反射する必要はない。例えば赤外線のみを反射し人の目には認識できない特殊インキや、紫外線などによって励起され、別の波長を反射するような蛍光インキなどを使用すると、より偽造防止効果を向上させることができる。
【0059】
偽造防止媒体10の裏面が、反射層703になっている場合、偏光板を重ねた時に、導体直線凹凸構造体X102もしくは導体直線凹凸構造体Y103のどちらかが光を透過している場合、または偏光板を重ねていない時は、入射光と同じ色が見える。偏光板を重ねた時に、導体直線凹凸構造体X102もしくは導体直線凹凸構造体Y103のどちらかが光を反射している場合は、裏面が吸収層701や乱反射層702である時よりも強い入射光と同じ色が強く見える。従って、同じ導体直線凹凸構造体X102もしくは導体直線凹凸構造体Y103の面内に反射層703とそれ以外の層があった場合、反射層703がある部分がより明るく、コントラストがついて見える。
【0060】
また、ここでは回折構造体104によって光を遮断されるため、偽造防止媒体10裏面の中でも、回折構造体104裏側の加工は表面から確認することができないため、導体直線凹凸構造体X102、導体直線凹凸構造体Y103の部分のみに追加の層を設けているが、全面に同加工を行っても良い。
【0061】
また、ここでは偽造防止媒体10裏面の平行する同一面内に吸収層701、乱反射層702、反射層703を設けているが、必ずしも同一面内で各層を形成する必要はない。例えば、偽造防止媒体10の裏面の一部に反射層703を形成し、その上にスミインキなどを用いて一部分に吸収層701を形成する。このような状態の偽造防止媒体10を、印刷
や染色などによって色がついた紙に貼付することで実現しても良い。
【0062】
図12は、裏面の一部に反射層が設けられた偽造防止媒体10を裏側から見ている図である。印刷で黒の吸収層701と白の乱反射層702が形成されている菱形パターン704と、その一部が文字パターン「P」が左右反転した形をした反射層703があるとき、導体直線凹凸構造体X102、導体直線凹凸構造体Y103は光を透過するので、偽造防止媒体10を表面から見た図は図13のようになり、文字パターン「P」が見える。また、この際裏面の反射層703は、全面に印刷された菱形パターン704と偽造防止媒体10との間に挟み込まれるような構成になっていても良い。
【0063】
これにy軸方向に直線変更を透過するような向きの偏光板を、偽造防止媒体10の表面に重ね、照明など強い光が反射し目に入るような角度で偽造防止媒体10を見た時、図14のようになる。導体直線凹凸構造体Y103は強い光を反射するため裏側の反射層703や、菱形パターン704は見えず、光を透過する導体直線凹凸構造体X102を介して、裏側の反射層703や菱形パターン704の一部を見ることができる。しかし、照明などの強い光が直接目に反射してこないような角度で偽造防止媒体10を見た時、反射層の一部である反射光強化部705が、他の導体直線凹凸構造体Y103の部分とは違ってより明るく見える。
【0064】
図12の反射層703の部分に何も無く、光が透過する光透過部706である場合を図15に示す。このような偽造防止媒体10を光にかざした時、図16のように光透過部706の部分だけが見え、これにy軸方向に直線変更を透過するような向きの偏光板を、偽造防止媒体10の表面に重ねた時、図17のように、潜像の透過部の部分のみが透過して見える。この時、導体直線凹凸構造体X102、導体直線凹凸構造体Y103の反射性能が十分でなく、一部の光を透過してしまう場合、部分透過部707が見える。
【0065】
以上のような方法で作成した偽造防止媒体10は保護層105を含む。保護層105は樹脂フィルムなどを接着剤で偽造防止媒体10の表面に貼付しても良いし、透明樹脂を形成することで保護層105としても良い。
【0066】
図18は、偽造防止媒体商品券50に貼付し、セキュリティ性を高めた実施形態の例を示したものであり、印刷物本体51を含んでいる。
【0067】
印刷物本体51は基材52を含んでおり、基材52は例えば紙やポリマーなどからなり、基材52の上には印刷層53が形成されている。基材52の印刷層が形成した面には、偽造防止媒体10が例えば接着層を介して固定されており、偽造防止媒体10は、粘着層または接着層を介して貼付することにより、基材52に固定する。
【0068】
印刷物本体51は偽造防止媒体10を含んでおり、この例では偽造防止媒体10は、回折構造体104を含んでいるため、この印刷物の偽造または模造は困難である。見かけ上似せたものを作れたとしても、偽造防止媒体10は偏光板40を介して見ることにより目視可能な、導体直線凹凸構造体Xと導体直線凹凸構造体Yからなる潜像例えば「OK」が発現することを知る人物が限られていれば、この構造に気付かず、またこの凹凸構造を作ること自体も困難であるため、偽造をより難しくしている。
【0069】
また、印刷物本体51が真正品であるか偽造品であるかの判定を、偏光板40を介して見ることで容易に行うことが出来る。
【0070】
なお、図18では印刷物本体51として商品券50を例示しているが、偽造防止媒体10を含んだ印刷物はこれに限られず、有価証券、紙幣、重要書類や、基材52にプラスチ
ックなどを用いたID(identification)カード、IC(integrated circuit)カードなどのカード類。または、真正品であることが確認されるべき物品を収容する包装体又はその一部であってもよい。
【0071】
また図18の印刷物本体51において、偽造防止媒体10を基材52に支持させるために、必ずしも接着層を用いる必要はなく、例えば基材52が紙であれば、偽造防止媒体10を紙に漉き込み、偽造防止媒体10に対応した位置で紙を開口させてもよい。あるいは基材52が光透過性を有する材料を使用した場合、その内部に偽造防止媒体10を埋め込んでもよい、また基材の裏面、即ち表示面とは反対側の面に表示体10を固定してもよい。
【0072】
これらのラベル付き物品の製造には、例えば、接着ラベル又は転写箔を利用することができる。
【0073】
図19は、偽造防止ラベルの実施形態の例を示した説明図であり、偽造防止媒体10と転写基材60と接着層62に加え、剥離保護層61を含んでいる。剥離保護層61は省略することができる。
【0074】
接着剤が塗工された転写基材60は、偽造防止媒体10をその表示面側で剥離可能に支持しており、例えば樹脂フィルムからなる。剥離保護層61は、転写基材60と偽造防止媒体10の間に位置している。
【0075】
偽造防止媒体10の表示面の裏面を被覆している接着層62は、例えば熱可塑性樹脂からなる。
【0076】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0077】
10・・・導体直線凹凸構造と回折構造が一体となった偽造防止媒体、
20・・・偽造防止媒体XZ断面A、
21・・・偽造防止媒体XZ断面B、
30・・・偽造防止媒体YZ断面A、
31・・・偽造防止媒体YZ断面B、
32・・・偽造防止媒体断面詳細、
33・・・裏面加工偽造防止媒体断面
40・・・偏光板、
41・・・光源、
50・・・商品券、
51・・・印刷物本体、
52・・・基材
60・・・転写基材、
61・・・剥離保護層、
62・・・接着層
101・・・構造体形成層、
102・・・導体直線凹凸構造体X、
103・・・導体直線凹凸構造体Y、
104・・・回折構造体、
105・・・保護層、
106・・・切断面YZ
107・・・切断面XZ
601・・・透過性直線凹凸構造体X
602・・・透過性直線凹凸構造体Y
603・・・透過性回折構造体
604・・・導体
701・・・吸収層、
702・・・乱反射層、
703・・・反射層、
704・・・菱形パターン、
705・・・反射光強化部、
706・・・光透過部、
707・・・部分透過部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高密度の平行線状凹凸構造を備えた金属導体からなる偏光子を備えたことを特徴とする偽造防止媒体。
【請求項2】
偏光方向の異なる偏光子を画素としてパターン化し、同一平面上に配置したことを特徴とする請求項1記載の偽造防止媒体。
【請求項3】
偏光子と同一平面上に、反射層を具備し回折光を反射することができる回折構造部を具備したことを特徴とする請求項1または2記載の偽造防止媒体。
【請求項4】
偏光子の裏側の一部に反射層が設けられていることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の偽造防止媒体。
【請求項5】
偏光子部の裏側の一部に印刷層が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の偽造防止媒体。
【請求項6】
偏光子部の裏側の一部に光吸収層が設けられていることを特徴とする請求項1から5いずれか1項に記載の偽造防止媒体。
【請求項7】
偏光子部の裏側の一部が透明、一部が不透明となっていることを特徴とする請求項1から6いずれか1項に記載の偽造防止媒体。
【請求項8】
保護層を具備したことを特徴とする請求項1から7いずれか1項に記載の偽造防止媒体。
【請求項9】
請求項1から8に記載のセキュリティ媒体の裏面に接着層とを具備したことを特徴とする偽造防止ラベル。
【請求項10】
接着層上に剥離可能に支持した基材とを具備したことを特徴とする請求項9に記載の偽造防止ラベル。
【請求項11】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の偽造防止媒体あるいは請求項9または10に記載の偽造防止ラベルを具備した物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−123347(P2011−123347A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281578(P2009−281578)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】