説明

偽造防止構造体及び真贋判別装置

【課題】存在を知覚出来ず入手困難な識別装置でのみ識別が可能であり偽造困難な偽造防止構造体、この構造体と組み合わされて使用される真贋判別装置を提供することである。
【解決手段】偽造防止構造体10は、テラヘルツ電磁波が透過する基材12、基材の一面に設けられ上記電磁波が透過する非導電性隠蔽層14、基材の反対側の隠蔽層の一面の所定位置に設けられ隠蔽層で隠蔽され上記電磁波が透過する所定パターン配列の開口を有する導電性層16、隠蔽層の上記一面に設けられ上記電磁波が透過する接着層18、を備える。導電性層は上記電磁波の透過により上記パターンに対応した所定の基準値を生じさせる。真贋判別装置は、テラヘルツ電磁波発生手段からの電磁波を照射手段により物体に照射し、上記物体を透過した電磁波を対応した測定値に変換手段で変換し、前記構造体からの所定の基準値との差異の有無を判定し、有無のいずれかの場合に警報を発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、偽造を防止する為の偽造防止構造体、及びこの偽造防止構造体と組み合わされて使用される真贋判別装置に関係している。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば株券,債券,小切手,商品券,宝くじ券,定期券等の証券類には、偽造を防止する為の種々の工夫がされている。
【0003】
そのような工夫の一種として、肉眼ではその存在の判別がし難い肉眼判別困難マークを上記証券類に付して上記肉眼判別困難マークを機械により読み取ることが行なわれている。
【0004】
肉眼判別困難マークは、例えば熱線吸収ガラス粉または赤外線吸収ガラス粉を混ぜたインクにより描かれる。そして、そのような肉眼判別困難マークを、熱線吸収ガラス粉または赤外線吸収ガラス粉を混ぜない同色のインクで描いた模様の中に紛れ込ませると肉眼で一見しただけではその存在が判別しがたい。
【0005】
とはいうものの、熱線吸収ガラス粉または赤外線吸収ガラス粉を混ぜたインクにより描かれた肉眼判別不能マークは、斜めから仔細に観察すると熱線吸収ガラス粉または赤外線吸収ガラス粉を混ぜない同色のインクで描いた模様から浮き上がったように見えるので、その存在が判別されてしまうことがある。また、指先の感覚の鋭い人は、肉眼判別不能マークとその周囲の上記模様に触ることにより上記模様の中に肉眼判別不能マークが存在していることを知ることが出来る。
【0006】
上述した如き肉眼判別困難マークは赤外線照射装置を使用すれば上記模様の中に存在していることが容易に判別され、赤外線照射装置と赤外線カメラとを組み合わせることによりその形状や寸法までも容易に知ることが出来る。そして、赤外線照射装置や赤外線カメラは比較的広く用いられているし容易に入手可能である。従って、上述した如き肉眼判別困難マークは比較的容易に偽造が可能である。
【0007】
特開2000−309736号公報(特許文献1)には、赤外線を吸収可能であるとともに可視光は吸収しない赤外線吸収インクが開示されています。そして、このような赤外線吸収インクと同色のインクで描いた模様の中にこのような赤外線吸収インクを使用して肉眼判別不能マークを描けば、そのような肉眼判別不能マークは斜めから仔細に観察されたとしても赤外線吸収インクと同色のインクで描いた模様から浮き上がったように見えることがなくてその存在が判別されてしまうことがないし、指先の感覚の鋭い人に触られたとしても触覚によりその存在が判別されてしまうことがない。
【0008】
特開平6−297888号公報(特許文献2)には、可視光領域では目視不可能で、可視光以外の一定波長の光、具体的には紫外線、により識別可能な蛍光を発する特殊蛍光インクを使用して肉眼判別困難マークを描くことが開示されています。このような特殊蛍光インクと同色のインクで描いた模様の上にこのような特殊蛍光インクを使用して肉眼判別不能マークを描けば、そのような肉眼判別不能マークは斜めから仔細に観察されたとしても特殊蛍光インクと同色のインクで描いた模様から浮き上がったように見えることがなくてその存在が判別されてしまうことがないし、指先の感覚の鋭い人に触られたとしても触覚によりその存在が判別されてしまうことがない。
【特許文献1】特開2000−309736号公報
【特許文献2】特開平6−297888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特開2000−309736号公報(特許文献1)に記載されている如き赤外線吸収インクを使用した肉眼判別困難マークでも、比較的広く用いられているし容易に入手可能である赤外線照射装置を使用すれば上記模様の中に存在していることが容易に判別され、赤外線照射装置と赤外線カメラとを組み合わせることによりその形状や寸法までも容易に知ることが出来る。
【0010】
また、特開平6−297888号公報(特許文献2)に記載されている如き特殊蛍光インクを使用した肉眼判別困難マークでも、赤外線照射装置ほどではないにしろ比較的広く用いられているし容易に入手可能である紫外線照射装置を使用すれば上記模様の中に存在していることが容易に判別され、紫外線照射装置とカメラとを組み合わせることによりその形状や寸法までも容易に知ることが出来る。
【0011】
この発明は上記事情の下でなされ、この発明の目的は、肉眼や触覚でその存在を知ることが出来ず、しかも入手が困難な識別装置によってのみ識別が可能であり、偽造が困難である偽造防止構造体を提供することであり、またこのような偽造防止構造体と組み合わされて使用される真贋判別装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述したこの発明の目的を達成する為に、この発明に従った偽造防止構造体は:テラヘルツ電磁波が透過される基材と;基材の一面に設けられ、非導電性であり、テラヘルツ電磁波が透過される隠蔽層と;基材とは反対側の隠蔽層の一面の所定の位置に設けられ、隠蔽層により隠蔽され、テラヘルツ電磁波が透過される所定のパターンに配列された開口を有する導電性層と;隠蔽層の上記一面に設けられ、テラヘルツ電磁波が透過される接着層と、を備えていて、導電性層はテラヘルツ電磁波が透過されることにより上記テラヘルツ電磁波から上記所定のパターンに対応した所定の測定値を生じさせる、ことを特徴としている。
【0013】
上述したこの発明の目的を達成する為に、この発明に従った真贋判別装置は:テラヘルツ電磁波発生手段と;テラヘルツ電磁波発生手段により発生されたテラヘルツ電磁波を物体に照射するテラヘルツ電磁波照射手段と;上記物体を透過したテラヘルツ電磁波を受信し、受信したテラヘルツ電磁波に対応した測定値に変換する測定値変換手段と;請求項1乃至5のいずれか1項に記載の偽造防止構造体を透過したテラヘルツ電磁波から上記測定値変換手段により変換された所定の基準値を記憶しており、上記物体を透過したテラヘルツ電磁波から上記測定値変換手段により変換された測定値と比較し、上記所定の基準値と上記物体を透過したテラヘルツ電磁波から上記測定値変換手段により変換された測定値との差異の有無を判定する判定手段と;上記差異がある場合又は上記差異がない場合のいずれかの場合に警報を発生する報知手段と;を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
現在、テラヘルツ電磁波を発生させる装置は入手が困難である。従って、テラヘルツ電磁波が透過されることにより上記テラヘルツ電磁波から上記所定のパターンに対応した所定の測定値を生じさせる所定のパターンに配列された開口を有する導電性層は入手が困難な識別装置によってのみ識別が可能である。しかも、この導電性層は、基材とは反対側の隠蔽層の一面に設けられ隠蔽層により隠蔽されているので、肉眼や触覚でその存在を知ることが出来ない。従って、上述した如く構成されたことを特徴とするこの発明に従った偽造防止構造体は、偽造が困難である。そして、接着層を介して、偽造を防止したい物体に容易に接着することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[偽造防止構造体の一実施形態]
最初に、図1乃至図3を参照しながら、この発明の一実施形態に従っている偽造防止構造体10について説明する。なお、図1は、この発明の一実施形態に従っている偽造防止構造体10の平面図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。そして、図3は、この発明の一実施形態に従っている偽造防止構造体10が備えている導電性層の拡大された平面図である。
【0016】
偽造防止構造体10は、テラヘルツ電磁波が透過される基材12と、基材12の一面に設けられテラヘルツ電磁波が透過される隠蔽層14と、基材12とは反対側の隠蔽層14の一面の所定の位置に設けられ隠蔽層14により隠蔽されテラヘルツ電磁波が透過される所定のパターンに配列された開口を有する導電性層16と、隠蔽層14の上記一面に設けられテラヘルツ電磁波が透過される接着層18と、を備えている。
【0017】
基材12は所定の形状と寸法とを有していて、その全体がテラヘルツ電磁波が均等に透過可能であることが好ましい。基材12は例えば紙やプラスチックのシートにより作成することが出来る。基材12の主たる使用目的は、その一面に隠蔽層14,導電性層16,そして接着層18を順次設ける作業をしやすくする為であり、さらには基材12の一面に順次設けられた隠蔽層14,導電性層16,そして接着層18を、偽造防止構造体10の製造ラインからの出荷から、実際に偽造防止の為に使用されるまで、損傷しないよう保護する為でもある。
【0018】
隠蔽層14は、基材12とは反対側の隠蔽層14の一面に設けられた導電性層16の存在を基材12の側から肉眼で見て、そして触覚からも、隠蔽することが出来れば例えば金属やセラミックやプラスチック等の如何なる材料でも良い。隠蔽層14は、基材12の一面の全体に設けられているが、隠蔽層14の一面のいずれの位置に導電性層16が存在しているのが容易に特定することが出来なければ基材12の一面の全体に設けられていなくとも良い。
【0019】
導電性層16は、基材12や隠蔽層14を介して肉眼はもちろん触覚からも隠蔽することが出来るように出来る限り薄く作成することが好ましく、例えばアルミニウムのような導電性金属を蒸着することにより形成することが出来る。図3の導電性層16は、相互に同じ寸法の丸孔16aが所定のパターンに網目状に配列されている6角形状をしている。しかしながら、導電性層16はこの発明の理念に従えば、テラヘルツ電磁波が透過されることにより上記テラヘルツ電磁波から上記所定のパターンに対応した所定の測定値を生じさせるのであれば、個々の網目の形状は丸孔でなくとも良いし、所定のパターンは網目上でなくとも良いし、さらに全体の形状も6角形状以外の任意の形状とすることが出来る。
【0020】
接着層18は、導電性層16が設けられている隠蔽層14の上記一面に設けられていて、上記一面の全面積に占める導電性層16の面積の割合が比較的小さければ導電性層16を覆わなくても良いが、上記面積の割合に係わらず導電性層16を覆っていることが好ましい。
【0021】
接着層18は、テラヘルツ電磁波が透過できれば、例えば感圧接着剤や感熱接着剤や水のような所定の液体が適用されることにより接着性を発揮する接着剤やいわゆる粘着剤を含む如何なる種類の接着剤によっても形成することが出来る。しかしながら、接着層18が、例えば株券,債券,小切手,商品券,宝くじ券,定期券等の証券類の如き偽造を防止しようとする物体に接着されるまでに、このような物体以外の他の物体に意図せず接着して取り扱いを煩雑にすることを防止する為に、例えば離型紙のような接着層保護覆いにより覆っておくことが出来る。
【0022】
偽造防止構造体10は、接着層18を介して偽造を防止しようとする物体の特定の一面全体に接着されるよう偽造を防止しようとする物体の特定の一面と同じ形状や寸法を有したいわゆるシート状にすることが出来るし、偽造を防止しようとする物体の特定の一面の一部にのみ接着層18を介して接着されるよう偽造を防止しようとする物体の特定の一面よりも小さな所望の形状や寸法を有したいわゆるラベル状にすることが出来る。
【0023】
[偽造防止構造体の第1変形例]
次に、図4を参照しながら、第1変形例に従った偽造防止構造体20を説明する。図4は、図2と同様な、第1変形例に従った偽造防止構造体20の一部の断面図である。
【0024】
なお、第1変形例に従った偽造防止構造体20の構成の大部分は、図1乃至図3を参照しながら前述した一実施形態に従った偽造防止構造体10の構成の大部分と同じである。従って、第1変形例に従った偽造防止構造体20において、図1乃至図3を参照しながら前述した一実施形態に従った偽造防止構造体10の構成部材と同じ構成部材には、一実施形態に従った偽造防止構造体10の対応する構成部材に付されていた参照符号と同じ参照符号を付して詳細な説明は省略する。
【0025】
一実施形態では、基材12の主たる使用目的は、その一面に隠蔽層14,導電性層16,そして接着層18を順次設ける作業をしやすくする為であり、さらには基材12の一面に順次設けられた隠蔽層14,導電性層16,そして接着層18を、偽造防止構造体10の製造ラインからの出荷から、実際に偽造防止の為に使用されるまで、損傷しないよう保護する為でもあると説明した。
【0026】
従って、偽造防止構造体10が偽造を防止する物体に接着層18を介して接着された後には、隠蔽層14,導電性層16,そして接着層18の夫々に比べ比較的厚さが大きな基材12が不要になる場合がある。
【0027】
第1変形例に従った偽造防止構造体20は、このような場合に役立つよう、基材12の前記一面と隠蔽層14との間に、基材12を隠蔽層14から容易に剥離可能にする剥離層22を備えている。剥離層22は、テラヘルツ電磁波が均一に透過可能である。
【0028】
剥離層22は、基材12が剥離層22から剥離された後に、隠蔽層14が外部空間に直接露出しないようにしており、隠蔽層14が外部空間に直接露出することにより損傷を受けやすくなるのを防止している。
【0029】
[偽造防止構造体の第2変形例]
次に、図5を参照しながら、第2変形例に従った偽造防止構造体30を説明する。図5は、図2と同様な、第2変形例に従った偽造防止構造体30の一部の断面図である。
【0030】
なお、第2変形例に従った偽造防止構造体30の構成の大部分は、図4を参照しながら前述した第1変形例に従った偽造防止構造体30の構成の大部分と同じである。そして、図4を参照しながら前述した第1変形例に従った偽造防止構造体30の構成の大部分は、図1乃至図3を参照しながら前述した一実施形態に従った偽造防止構造体10の構成の大部分と同じである。従って、第2変形例に従った偽造防止構造体30において、図1乃至図3を参照しながら前述した一実施形態に従った偽造防止構造体10の構成部材や図4を参照しながら前述した第1変形例に従った偽造防止構造体20の構成部材と同じ構成部材には、前述した一実施形態に従った偽造防止構造体10や前述した第1変形例に従った偽造防止構造体20の対応する構成部材に付されていた参照符号と同じ参照符号を付して詳細な説明は省略する。
【0031】
第2変形例の偽造防止構造体30は、剥離層22´が光透過材料により構成されていて、剥離層22´と隠蔽層14との間に光回折層32を備えている。光回折層32はいわゆるホログラムであり、導電層16と共に、偽造防止構造体30の偽造防止機能をより高める。光回折層32は、テラヘルツ電磁波が均一に透過可能である。
【0032】
光回折層32は、剥離層22´と隠蔽層14との間の全体に配置されていることが出来るし、剥離層22´と隠蔽層14との間の一部にのみ配置されていても良い。しかしながら、偽造防止構造体30における導電性層16の位置を推定されないよう、導電性層16の寸法に比べ充分に大きな寸法を有しているか、又は導電性層16から大きくはなれた位置に配置されていることが好ましい。
【0033】
[偽造防止構造体の第3変形例]
次に、図6を参照しながら、第3変形例に従った偽造防止構造体40を説明する。図6は、図2と同様な、第3変形例に従った偽造防止構造体40の一部の断面図である。
【0034】
なお、第3変形例に従った偽造防止構造体40の構成の大部分は、図5を参照しながら前述した第2変形例に従った偽造防止構造体30の構成の大部分と同じである。そして、図5を参照しながら前述した第2変形例に従った偽造防止構造体30の構成の大部分は、図1乃至図3を参照しながら前述した一実施形態に従った偽造防止構造体10の構成の大部分と同じである。従って、第3変形例に従った偽造防止構造体40において、図1乃至図3を参照しながら前述した一実施形態に従った偽造防止構造体10の構成部材と同じ構成部材や図5を参照しながら前述した第2変形例に従った偽造防止構造体30の構成部材と同じ構成部材には、前述した一実施形態に従った偽造防止構造体10や前述した第2変形例に従った偽造防止構造体30の対応する構成部材に付されていた参照符号と同じ参照符号を付して詳細な説明は省略する。
【0035】
第3変形例の偽造防止構造体40では、基材12´が光透過材料により形成されていて、基材12´と隠蔽層14´との間に光回折層32を備えている。光回折層32はいわゆるホログラムであり、導電性層16と共に、偽造防止構造体30の偽造防止機能をより高める。
【0036】
光透過材料により形成されている基材12´は光回折層32が外部空間に直接露出することを防止し、光回折層32が損傷されるのを効果的に防止する。
【0037】
第3変形例の偽造防止構造体40ではさらに、隠蔽層14´が例えば金属のような導電性材料により構成されていて、隠蔽層14´と導電性層16との間に電気的絶縁層42を備えている。電気的絶縁層42も、テラヘルツ電磁波が均一に透過可能である。
【0038】
隠蔽層14´を金属の薄膜や蒸着膜により構成すると、導電性層16の隠蔽効果を減ずることなく厚さを薄くすることが出来る。しかしながら、隠蔽層14´が例えば金属のような導電性材料により構成された場合には、導電性層16にテラヘルツ電磁波が透過されたときに導電性層16が上記テラヘルツ電磁波から上記所定のパターンに対応して生じさせる所定の測定値の大きさが小さくなってしまうことがある。即ち、上記所定の測定値の検出精度が低下し、この発明に従った偽造防止構造体を使用した真贋判別が難しくなることがある。
【0039】
この場合、隠蔽層14´と導電性層16との間に電気的絶縁層42を備えていると、隠蔽層14´が例えば金属のような導電性材料により構成されていても、導電性層16にテラヘルツ電磁波が透過されたときに導電性層16が上記テラヘルツ電磁波から上記所定のパターンに対応して生じさせる所定の測定値の大きさが小さくなって上記所定の測定値の検出精度が低下することを阻止することが出来、この発明に従った偽造防止構造体を使用した真贋判別が難しくなることを阻止することが出来る。
【0040】
[偽造防止構造体の第4変形例]
次に、図7を参照しながら、第4変形例に従った偽造防止構造体50を説明する。図6は、図2と同様な、第3変形例に従った偽造防止構造体50の一部の断面図である。
【0041】
なお、第4変形例に従った偽造防止構造体50の構成の大部分は、図5を参照しながら前述した第2変形例に従った偽造防止構造体30の構成の大部分と同じである。そして、図5を参照しながら前述した第2変形例に従った偽造防止構造体30の構成の大部分は、図1乃至図3を参照しながら前述した一実施形態に従った偽造防止構造体10の構成の大部分と同じである。従って、第4変形例に従った偽造防止構造体50において、図1乃至図3を参照しながら前述した一実施形態に従った偽造防止構造体10の構成部材と同じ構成部材や図5を参照しながら前述した第2変形例に従った偽造防止構造体30の構成部材と同じ構成部材には、前述した一実施形態に従った偽造防止構造体10や前述した第2変形例に従った偽造防止構造体30の対応する構成部材に付されていた参照符号と同じ参照符号を付して詳細な説明は省略する。
【0042】
第4変形例に従った偽造防止構造体50は、図5を参照しながら前述した第2変形例に従った偽造防止構造体30の構成を基礎に、図6を参照しながら前述した第3変形例と同様に、隠蔽層14´が例えば金属のような導電性材料により構成されていて、隠蔽層14´と導電性層16との間に電気的絶縁層42を備えている。
【0043】
従って、第4変形例に従った偽造防止構造体50は、図5を参照しながら前述した第2変形例に従った偽造防止構造体30の構成から得ることが出来る技術的な利点に加え、図6を参照しながら前述した第3変形例において、隠蔽層14´を例えば金属のような導電性材料により構成し、隠蔽層14´と導電性層16との間に電気的絶縁層42を設けたことにより得ることが出来る技術的な利点もまた得ることが出来る。
【0044】
[一実施形態及び種々の変形例に従った偽造防止構造体と組み合わされて使用される真贋判別装置]
次に、図8及び図9を参照しながら、図1乃至図3を参照しながら前述したこの発明の一実施形態に従った偽造防止構造体10,図4乃至図7を参照しながら前述した第1乃至第4変形例に従った偽造防止構造体20,30,40,そして50の夫々と組み合わせて使用される真贋判別装置60について説明する。
【0045】
図8には、真贋判別装置60の構成が概略的に示されている。真贋判別装置60は、テラヘルツ電磁波発生手段62と、テラヘルツ電磁波発生手段62により発生されたテラヘルツ電磁波THMWを偽造を防止しようとする物体64に照射するテラヘルツ電磁波照射手段66と、上記物体64を透過したテラヘルツ電磁波THMWを受信し受信したテラヘルツ電磁波THMWに対応した測定値に変換する測定値変換手段68と、を備えている。
【0046】
真贋判別装置60はさらに、判定手段69と組み合わされて使用される。判定手段69は、図1乃至図3を参照しながら前述したこの発明の一実施形態に従った偽造防止構造体10,図4乃至図7を参照しながら前述した第1乃至第4変形例に従った偽造防止構造体20,30,40,そして50のいずれか、即ちいずれかの偽造防止構造体10,20,30,40,又は50の導電性層16、を透過したテラヘルツ電磁波THMWから測定値変換手段68により変換された所定の測定値(即ち、基準値)を記憶している。そして判定手段69は、物体64を透過したテラヘルツ電磁波THMWから測定値変換手段68により変換された測定値を上記所定の基準値と比較し、上記所定の基準値と物体64を透過したテラヘルツ電磁波THMWから測定値変換手段68により変換された測定値との差異の有無を判定する。
【0047】
真贋判別装置60はまたさらに、判定手段69による判定結果を基に、上記差異がある場合又は上記差異が無い場合のいずれかの場合に警報を発生する報知手段70を備えている。
【0048】
この実施の形態においてテラヘルツ電磁波発生手段62は、0.01THzから10THz(T(テラ):1012)の周波数帯域のテラヘルツ電磁波を発生させる。このようなテラヘルツ電磁波は、光のように直進し物体を透過することが出来、透過する物体の形状や寸法に対応した測定値を発生させる。
【0049】
テラヘルツ電磁波発生手段62は、レーザー発信機62aと、PC(フォトコンダクター)アンテナ62bと、を含んでいる。レーザー発信機62aは、80fs(f(フェムト)秒:10−15秒)だけレーザー光をPCアンテナ62bに向かい照射する。このような超短時間のパルス光を、超短光パルス光という。
【0050】
PC(フォトコンダクター)アンテナ62bは半導体であって、その電極にバイアス電圧が負荷されている間にPCアンテナ62bに超短光パルス光が照射されることによりPCアンテナ62bにキャリアが発生して電流が流れ、その電場の変化の微分に応じてテラヘルツ電磁波が放射される。
【0051】
なお、PCアンテナ62bにテラヘルツ電磁波THMWを発生させるために照射するレーザー光をポンプ光PLという。
【0052】
テラヘルツ電磁波照射手段66は、PCアンテナ62bから発生されたテラヘルツ電磁波を集め所定の方向に向かい照射する放物面鏡66aを含む。テラヘルツ電磁波照射手段66はさらに、放物面鏡66aにより所定の方向に向かい照射されたテラヘルツ電磁波THMWの中に配置されたテラヘルツ電磁波遮蔽部材66bを含む。テラヘルツ電磁波遮蔽部材66bは、その所定の位置にテラヘルツ電磁波THMWを透過させるテラヘルツ電磁波透過開口66cを有している。テラヘルツ電磁波透過開口66cは、テラヘルツ電磁波透過開口66cに隣接して配置されるいずれかの偽造防止構造体10,20,30,40,又は50の導電性層16にのみテラヘルツ電磁波THMWを照射させる形状寸法を有している。
【0053】
測定値変換手段68は、テラヘルツ電磁波遮蔽部材66bのテラヘルツ電磁波透過開口66cを透過したテラヘルツ電磁波THMWを所定の方向に向かい照射する放物面鏡68aを含む。測定値変換手段68はさらに、放物面鏡68aにより所定の方向に向かい照射されたテラヘルツ電磁波THMWを受信するPC(フォトコンダクター)アンテナ68bを含む。
【0054】
テラヘルツ電磁波THMWを受信する為のPC(フォトコンダクター)アンテナ68bも半導体であり、その電極にはバイアス電圧が負荷されていない。
【0055】
放物面鏡68aからのテラヘルツ電磁波THMWを受信したPC(フォトコンダクター)アンテナ68bは、テラヘルツ電磁波THMWを発信した前述のPC(フォトコンダクター)アンテナ62bとは逆に、テラヘルツ電磁波THMWを受信している間に、テラヘルツ電磁波発生手段62のレーザー発信機62aからの超短光パルス光からビームスプリッタ74を介して分光された超短光パルス光が光遅延回路76を介して照射されることによりテラヘルツ電磁波THMWに応じた電流を発生させる。
【0056】
なお、受信用のPCアンテナ68bにテラヘルツ電磁波THMWに対応した電流を発生させるために照射するレーザー光も測定値変換手段68に含まれ、テラヘルツ電磁波発生用のPCアンテナ62bにテラヘルツ電磁波THMWを発生させるために照射するレーザー光(ポンプ光PL)と同じであり、プローブ光SLという。
【0057】
光遅延回路76は反射鏡76aをある一定刻みで移動させることによりポンプ光PLに対しプローブ光SLの光路長を一定刻みに変えることが出来、この結果として、測定値変換手段68にさらに含まれる信号処理部78はある一定時間毎にPC(フォトコンダクター)アンテナ68bからのテラヘルツ電磁波THMWに応じた電流のサンプリングが可能になっている。
【0058】
例えば、反射鏡76aを上記光路長の10ミクロン相当分動かすと、[10ミクロン/光の速度]である約0.033ピコ秒の一定の刻みで上記サンプリングが可能になる。このような時間遅れをプローブ光SLに与えることにより、ある一定時間毎のサンプリングが可能になる。例えば、1000ポイントを測定すると0.03x1000個で30ピコ秒の間の時間領域における測定波形を得ることが出来る。その波形をフーリエ変換すると周波数領域のデータを得ることが出来る。
【0059】
なお、上述した周波数領域のデータは、他の方法、例えばレーザー発信機62によって差周波を発生させること、によって直接得ることが出来る。
【0060】
判定手段69は、図1乃至図3を参照しながら前述したこの発明の一実施形態に従った偽造防止構造体10,図4乃至図7を参照しながら前述した第1乃至第4変形例に従った偽造防止構造体20,30,40,そして50のいずれか、即ちいずれかの偽造防止構造体10,20,30,40,又は50の導電性層16、を透過したテラヘルツ電磁波THMWに対応して測定値変換手段68のPC(フォトコンダクター)アンテナ68bが発生させる電流から信号処理部78が上述した方法で予め得ていた所定の測定値(即ち、基準値)を記憶している。
【0061】
そして判定手段69は、信号処理部78から入力される前述の測定値と予め記憶していた上記基準値との差異の有無を判定する。この判定方法は、例えば前述の測定値の波形のパターンと上記基準値の波形のパターンとのマッチングを行い、上記基準値の波形のパターンからの前述の測定値の波形のパターンのずれにより判定することが可能である。とはいうものの、全ての公知の判定方法が利用可能であることはいうまでもない。
【0062】
報知手段70は、上記差異がある場合又はない場合のいずれかの場合に警報を発生する。この警報は、音,光,振動,画面への表示,その他、真贋判別装置60の操作者に認識できる種々の公知の方法で発生させることが出来る。
【0063】
なお、報知手段70の構成は、上述した以外に種々の公知の構成の組み合わせであることが出来る。
【0064】
即ち、この実施の形態の真贋判別装置60は、物体64の特定の一面又は特定の一部の特定の位置に導電性層16が存在しており、この導電性層16をテラヘルツ電磁波遮蔽部材66bのテラヘルツ電磁波透過開口66cに対向しておくことが出来た場合と、物体64の特定の一面又は特定の一部の特定の位置に導電性層16が存在していない場合とを、判別することが出来、これにより、物体64の真贋を判別することが出来る。
【0065】
この実施の形態の真贋判別装置60では、テラヘルツ電磁波遮蔽部材66bのテラヘルツ電磁波透過開口66cが、テラヘルツ電磁波透過開口66cに隣接して配置されたいずれかの偽造防止構造体10,20,30,40,又は50の導電性層16にのみテラヘルツ電磁波を照射できるような形状寸法を有しているので、いずれかの偽造防止構造体10,20,30,40,又は50の導電性層16であっても、テラヘルツ電磁波遮蔽部材66bのテラヘルツ電磁波透過開口66cに対向して配置された場合にのみ、テラヘルツ電磁波透過開口66cを透過したテラヘルツ電磁波THMWにより照射されることが出来、ひいては導電性層16を透過したテラヘルツ電磁波THMWに対応した特有の基準値を生じさせることが出来る。
【0066】
なお、この実施の形態の真贋判別装置60では:テラヘルツ電磁波発生手段62は、レーザー発信機62aとPC(フォトコンダクター)アンテナ62bとを含んでおり;テラヘルツ電磁波照射手段66は、放物面鏡66aとテラヘルツ電磁波遮蔽部材66bとを含んでおり;さらに、測定値変換手段68は、放物面鏡68aとPC(フォトコンダクター)アンテナ68bとレーザー発信機62aからのレーザー光からビームスプリッタ74により分取され光遅延装置76を介してPC(フォトコンダクター)アンテナ68bに入射されるプローブ光SLと信号処理部78とを含んでいる。しかしながら、テラヘルツ電磁波発生手段62や、テラヘルツ電磁波照射手段66や、測定値変換手段68は、テラヘルツ電磁波を発生させることが出来、発生させたテラヘルツ電磁波を所定の部分に照射することが出来、さらに上記所定の部分に照射されたテラヘルツ電磁波を受信して対応する測定値に変換することが出来るいかなる公知の構成であることが出来る。
【0067】
図9の(A)は、偽装を防止しようとする物体64の特定の一面全体又は特定の一部に接着層18を介して接着された図7の偽造防止構造体50の導電性層16が、図8の真贋判別装置60のテラヘルツ電磁波遮蔽部材66bのテラヘルツ電磁波透過開口66cに対向して配置された場合に、真贋判別装置60により得られた特定の基準値の例が示されている。
【0068】
ここにおいて、図7の偽造防止構造体50は、25μmの厚さの透明なPET(ポリエチレンテレフタレート)を基材12としている。そして、基材12の一面に1.0μmの厚さの剥離層22´が設けられており、剥離層22´において基材12とは反対側の一面に0.7μmの光回折層32が設けられている。剥離層22´において基材12とは反対側の一面に光回折層32を覆うよう60nmの圧さの覆層14´がアルミニウムを真空蒸着することにより設けられている。さらに、覆層14´において剥離層22´とは反対側の一面に2.0μmの電気的絶縁層42が設けられている。電気的絶縁層42において覆層14´とは反対側の一面の所定の位置に厚さ80nmの導電性層16が設けられているとともに、導電性層16を覆うよう2.0μmの厚さの接着層18が設けられている。
【0069】
剥離層22´は、アクリル樹脂20部と溶剤(トルエン40部・MEK35部・酢酸エチル5部)とにより構成されている。
【0070】
光回折層32は、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合25部とウレタン樹脂10部とMEK70部とトルエン30部とにより構成されている。
【0071】
電気的絶縁層42は、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合25部と溶剤(トルエン40部・MEK35部・酢酸エチル5部)とにより構成されている。
【0072】
導電性層16は、電気的絶縁層42の上記一面に、直径160μmの円が規則正しく千鳥配列されている6角形状のパターンが水溶性樹脂によりパターン印刷された後にその上にアルミニウムを厚さ80nmに真空蒸着し、さらに水洗して水溶性樹脂を洗い流すことにより構成されている。
【0073】
そして、接着層18は、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合30部とポリエステル樹脂20部とポリエステル樹脂20部とMEK25部とトルエン25部とにより構成されている。
【0074】
図9の(B)は、偽装を防止しようとする物体64の特定の一面全体又は特定の一部に、導電性層16が設けられていない以外は図7の偽造防止構造体50と同じ構成の偽造構造体を接着層18を介して接着し、図8の真贋判別装置60のテラヘルツ電磁波遮蔽部材66bのテラヘルツ電磁波透過開口66cに上記偽造構造体を対向して配置された場合に、真贋判別装置60により得られた測定値の例が示されている。
【0075】
図9の(A)と(B)とを比べて見ると、導電性層16が設けられている偽造防止構造体50と導電性層16が設けられていない以外は図7の偽造防止構造体50と同じ構成の偽造構造体との差異が明らかである。
【0076】
[導電性層16の第1乃至第3変形例]
図10の(A),(B),そして(C)は、図3の導電性層16の第1乃至第3変形例を示す拡大された平面図である。
【0077】
図10の(A)に示されている図3の導電性層16の第1変形例に従った導電性層16´では、全体が図3の導電性層16と同様に6角形状をしているが、網目状の所定のパターンが相互に同じ寸法の星形状孔16´aにより形成されている。
【0078】
図10の(B)に示されている図3の導電性層16の第2変形例に従った導電性層16´´では、全体が図3の導電性層16と同様に6角形状をしているが、図10の(B)において紙面に沿い左右方向に相互に平行に延出した複数の細長孔16´´aが所定のパターンに配列された開口を構成している。
【0079】
図10の(C)に示されている図3の導電性層16の第3変形例に従った導電性層16´´´では、全体が図3の導電性層16と同様に6角形状をしているが、図10の(C)において紙面に沿い上下方向に相互に平行に延出した複数の細長孔16´´´aが所定のパターンに配列された開口を構成している。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、この発明の一実施形態に従っている偽造防止構造体の平面図である。
【図2】図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】図3は、図1の一実施形態に従っている偽造防止構造体が備えている導電性層の拡大された平面図である。
【図4】図4は、図2と同様な、第1変形例に従った偽造防止構造体の一部の断面図である。
【図5】図5は、図2と同様な、第2変形例に従った偽造防止構造体の一部の断面図である。
【図6】図6は、図2と同様な、第3変形例に従った偽造防止構造体の一部の断面図である。
【図7】図7は、図2と同様な、第4変形例に従った偽造防止構造体の一部の断面図である。
【図8】図8は、図1乃至図3中のこの発明の一実施形態に従った偽造防止構造体,図4乃至図7中の第1乃至第4変形例に従った偽造防止構造体の夫々と組み合わせて使用される真贋判別装置の構成を概略的に示す図である。
【図9】図9の(A)は、偽装を防止しようとする物体の特定の一面全体又は特定の一部に接着層を介して接着された図7の偽造防止構造体の導電性層が、図8の真贋判別装置のテラヘルツ電磁波遮蔽部材のテラヘルツ電磁波透過開口に対向して配置された場合に、真贋判別装置により得られた特定の測定値の例を示している。図9の(B)は、偽装を防止しようとする物体の特定の一面全体又は特定の一部に、導電性層が設けられていない以外は図7の偽造防止構造体と同じ構成の偽造構造体を接着層を介して接着し、図8の真贋判別装置のテラヘルツ電磁波遮蔽部材のテラヘルツ電磁波透過開口に上記偽造構造体を対向して配置された場合に、真贋判別装置により得られた測定値の例を示している。
【図10】図10の(A),(B),そして(C)は、図3の導電性層の第1乃至第3変形例を示す拡大された平面図である。
【符号の説明】
【0081】
10…偽造防止構造体、12,12´…基材、14,14´…隠蔽層、16,16´,16´´,16´´´…導電性層、18…接着層、20…偽造防止構造体、22,22´…剥離層、30…偽造防止構造体、32…光回折層、40…偽造防止構造体、42…電気的絶縁層、60…真贋判別装置、62…テラヘルツ電磁波発生手段、64…物体、66…テラヘルツ電磁波照射手段、68…測定値変換手段、69…判定手段、70…報知手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テラヘルツ電磁波が透過される基材と;
基材の一面に設けられ、非導電性であり、テラヘルツ電磁波が透過される隠蔽層と;
基材とは反対側の隠蔽層の一面の所定の位置に設けられ、隠蔽層により隠蔽され、テラヘルツ電磁波が透過される所定のパターンに配列された開口を有する導電性層と;
隠蔽層の上記一面に設けられ、テラヘルツ電磁波が透過される接着層と、
を備えていて、
導電性層はテラヘルツ電磁波が透過されることにより上記テラヘルツ電磁波から上記所定のパターンに対応した所定の測定値を生じさせる、
ことを特徴とする偽造防止構造体。
【請求項2】
基材の前記一面と隠蔽層との間に、テラヘルツ電磁波が透過されるとともに基材を隠蔽層から剥離可能にする剥離層を備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の偽造防止構造体。
【請求項3】
剥離層が光透過材料により形成されていて、テラヘルツ電磁波が透過されるとともに、剥離層と隠蔽層との間に光の照射により回折を生じさせる光回折層を備えている、ことを特徴とする請求項2に記載の偽造防止構造体。
【請求項4】
基材が光透過材料により形成されていて、テラヘルツ電磁波が透過されるとともに、基材と隠蔽層との間に光の照射により回折を生じさせる光回折層を備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の偽造防止構造体。
【請求項5】
隠蔽層が導電性材料により形成されていて、テラヘルツ電磁波が透過されるとともに、隠蔽層と導電性層との間に電気的絶縁層を備えている、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の偽造防止構造体。
【請求項6】
テラヘルツ電磁波発生手段と;
テラヘルツ電磁波発生手段により発生されたテラヘルツ電磁波を物体に照射するテラヘルツ電磁波照射手段と;
上記物体を透過したテラヘルツ電磁波を受信し、受信したテラヘルツ電磁波に対応した測定値に変換する測定値変換手段と;
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の偽造防止構造体を透過したテラヘルツ電磁波から上記測定値変換手段により変換された所定の基準値を記憶しており、上記物体を透過したテラヘルツ電磁波から上記測定値変換手段により変換された測定値と比較し、上記所定の基準値と上記物体を透過したテラヘルツ電磁波から上記測定値変換手段により変換された測定値との差異の有無を判定する判定手段と;
上記差異がある場合又は上記差異がない場合のいずれかの場合に警報を発生する報知手段と;
を備えていることを特徴とする真贋判別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−254310(P2008−254310A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−98624(P2007−98624)
【出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】