偽造防止用印刷物、偽造防止用印刷物の作製装置及び偽造防止用印刷物の作製方法
【課題】 本発明は、銀行券、株券、債券等の有価証券、各種証明書及び重要書類等の偽造防止又は複製防止が必要とされる偽造防止用印刷物、偽造防止用印刷物の作製装置及び偽造防止用印刷物の作製方法に関するものである。
【解決手段】 偽造防止用印刷物は、第1の真偽判別方法と第2の真偽判別方法の二種類を備えたものであり、第1の真偽判別方法として偽造防止用印刷物に判別具を重ね合わせることで現出した不可視画像を視認でき、第2の真偽判別方法として、判別装置にて抽出された不可視情報を見ることにより、容易に真偽性を判別することができるものである。
【解決手段】 偽造防止用印刷物は、第1の真偽判別方法と第2の真偽判別方法の二種類を備えたものであり、第1の真偽判別方法として偽造防止用印刷物に判別具を重ね合わせることで現出した不可視画像を視認でき、第2の真偽判別方法として、判別装置にて抽出された不可視情報を見ることにより、容易に真偽性を判別することができるものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行券、株券、債券等の有価証券、各種証明書及び重要書類等の偽造防止又は複製防止が必要とされる偽造防止用印刷物、偽造防止用印刷物の作製装置及び偽造防止用印刷物の作製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に証明書類の貴重印刷物では、偽造防止効果を与えるために様々な技術が適用されているが、近年、カラー複写機の高画質化及びカラー製版技術のコンピュータ化に伴い、証明書類の偽造技術が多様化する傾向にある。これに伴って、証明書類は偽造防止策を高度化することによって対応してきた。しかし、その一方で、偽造防止策に費やす製造コストが高く、偽造防止効果を確認する環境を得るために、特殊な機械器具から成る専用設備を導入する等、真偽判定において高コストとなる場合があった。
【0003】
低コストで真偽判定を可能にする有用な方法に、印刷物上に判別具を重ねて真偽判定を行う技術がある。つまり、不可視画像が施されている印刷物に判別具を重ねることによって、不可視画像を可視画像として発現させるもので、この判別具の主な形態は、平行線スクリーンを印刷した透明シート(以下「万線フィルタ」という。)や、レンチキュラーレンズ等が挙げられる。この判別具を用いて不可視画像を発現させる技術は、主に二種類の方法があり、点位相変調(Dot phase modulation)と線位相変調(Line phase modulation)とが存在する。
【0004】
このような万線フィルタから成る判別具を重ね合わせることにより潜像画像が発現する印刷物とその真偽判別方法としては、万線(又は網点)画線で印刷した背景画像部と、背景画像部と異なる位相の万線(又は網点)画線で印刷した潜像画像部とを有する印刷物が存在する。当該印刷物の背景画像部と潜像画像部は、区分けして視認することが一見困難であるが、万線フィルタを印刷物に所定の位置で重ね合わせた場合には、背景画像部と潜像画像部を区分けして視認することができる方法が知られている。
【0005】
点位相変調(Dot phase modulation)の一例としては、第1の方向と第2の方向に位相変調されたパターンが形成された印刷物と、当該印刷物の第1の方向と万線状フィルタの万線状パターンの方向とを一致するように万線状フィルタを重ね合わせることにより形成される第1の多階調画像と、万線状フィルタの重ね合わせる角度を印刷物の第2の方向に一致するように変えると第2の多階調画像が形成された印刷物及び画像形成法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、点位相変調(Dot phase modulation)の一例としては、基材上に、レンズアレイ(ハエの目レンズ、ハニカムレンズ、レンチキュラーレンズ等)を重ねることにより画像が現れるドットパターンを構成するそれぞれのドットが、少なくとも二種類以上のスクリーン線数で、かつ、少なくとも二種類以上のスクリーン角度の網点から成る印刷物において、真正物であればドットパターンを構成するそれぞれのドットの網点面積率が同じであるため、レンズアレイを重ねることにより不可視画像が発現し、複写物の場合は、コピーすることによりスクリーン線数の大きさ又は網点角度で再現されるドットが潰れ、ドットの濃度が変化することにより不可視画像と異なる画像が発現する印刷物がある(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
また、海外の点位相変調(Dot phase modulation)の一例としては、アストロン・デザイン社(オランダ)のイソグラム(Isogram)がある(例えば、非特許文献1340頁参照)。これは、一見して均一な濃度を有する平たんな模様の中に、拡大すると微細な網点の位相によって不可視画像が施され、印刷物上に専用のシートを重ねるとネガポジ状のどちらかに可視画像化された不可視画像が現れる。しかし、これは、均一な濃度を有する平たんな模様故に、鮮明に画像を発現させることができない。
【0008】
また、本願出願人等は、点位相変調(Dot phase modulation)を用いた印刷物に関する特許出願を行っている。これは、基材上に複数の等色の画素が規則的に配列されて二つの潜像模様が形成された潜像印刷物であって、複数の画素において、第1の方向に位相をずらして配列された第1の領域による第1の潜像模様(不可視画像)と、機能性を有するインキにより印刷された第2の領域による第2の潜像模様(不可視画像)とを有するものである(例えば、特許文献3参照)。
【0009】
線位相変調(Line phase modulation)の一例としては、基材上に、線部と非線部を有し、同一ピッチ及び幅から成る万線パターンに対し、万線位相を1/2ピッチずらして形成された潜像部を備えている複数種の潜像万線パターンが、それぞれ異なる角度で重ね合わせて印刷された潜像を有する印刷物であって、複数種の潜像万線パターンがそれぞれ色違いであることを特徴とする印刷物と、印刷物の万線パターンと同一ピッチのフィルムを複数種の不可視画像に重ね合わせることにより潜像部を可視画像化されたものがある(例えば、特許文献4参照)。
【0010】
また、海外の線位相変調(Line phase modulation)を用いた印刷物には、ユラ社(ハンガリー)のHIT(Hidden Image Technology)がある(非特許文献1341頁参照)。一見して均一な濃度を有する平たんな模様の中に、微細な万線の位相によって不可視画像が施され、印刷物上に専用のシートを重ねると、ネガポジ状のどちらかに可視画像化された不可視画像が現れる。なお、この方法では通常視でも不可視画像が確認できてしまうおそれがあるため、カムフラージュ模様として万線の一部の画線幅を変化させて可視画像を設けている。また、白抜き画線によって可視画像を設けても良い。ただし、このカムフラージュ模様は、専用のシートを重ねて不可視画像を可視画像化した際、カモフラージュ模様も可視画像として同時に発現しているので、不可視画像の発現時の視認性を阻害するという問題がある。
【0011】
また、一般的に、点位相変調(Dot phase modulation)又は線位相変調(Line phase modulation)により形成された模様は、平たんな形状となっている。
【0012】
また、本願発明者らは、第1の方向に沿って、中心を境に対向するように配置された第1の画線及び第2の画線と、第1の方向と直交する第2の方向に沿って、中心を境に対向するように配置された第3の画線及び第4の画線とを有する画線要素が、一定のピッチで複数マトリクス状に配置されており、各々の画線要素における第1の画線と第2の画線、第3の画線と第4の画線は、ネガポジの関係にあり、第1の画線又は第2の画線により第1の不可視画像が形成され、第3の画線又は第4の画線により第2の不可視画像が形成されることを特徴とする偽造防止用印刷物を既に出願している(例えば、特許文献5参照)。
【0013】
この特許文献5による偽造防止用印刷物は、通常の観察において可視画像を設けることが可能で豊かなデザイン性と、簡易な判別具における潜像の高い視認性を有し、低コストで製造できるという優れた効果があるものの、高解像度なハードコピーにおける偽造防止策としては不十分であった。
【0014】
また、本願発明者らは、高解像度なハードコピーにおける偽造防止策として、印刷物に対し何らかの手段により不可視情報を埋め込み、何らかの手段によって不可視情報を読み取る方法を出願している。
【0015】
今日では、読み取り用のセンサーに合わせて様々な方法及び手段がある。印刷物の機械読み取り検査方法としては、磁性インキ、赤外線反射吸収インキ、蛍光インキ等の機能性インキや、印刷媒体を形成する繊維、材質、薬品類等による素材を検知するといったものが主流である。しかし、これらの技術は、人間に感知できない特定の電磁波等に起因するものであり、印刷物を作製する上で材料適性に依存するものが多く、生産コスト面において経済性の見合う製品にしか付与することができない。
【0016】
一方、印刷物の生産コストを特に考慮しない方法としては、可視できる一般印刷用のインキのような印刷材料が適用可能な印刷物上の模様に対する光学読み取り方法がある。比較的に容易な光学読み取り方法としては、OCR、OMR、バーコード、二次元コード等が公知であるが、これらの光学読み取り方法で用いられる図形は何ら意匠性を備えておらず、既存製品に用いる場合は、デザイン及び仕様の変更が要求される。
【0017】
また、これらの光学読み取り方法は広く市中に出回っている方法でもあり、符号が印刷画線として可視できるため、解読及び改竄の危険性も予想され、偽造、変造防止策として用いるには不十分である。
【0018】
さらに、同じく光学読み取り方法でデザイン等の意匠性を変えずに読み取り用情報を付与する方法として、一般に電子すかしと呼ばれる一連の技術がある。電子すかしは、コンシールドイメージ、デジタルすかしとも呼ばれ、主な用途として、高機能化したコピー技術やDTP技術におけるドキュメント・ファイル又はその印刷物に著作権情報を埋め込む技術である。印刷物における公知の代表的な技術としては、周波数利用型と呼ばれる方法がある。
【0019】
電子すかしは複製物においてもその周波数特性の劣化が少ないと言われ、最近では著作権保護の目的でインターネット上に配信されるデジタルイメージに施されることが多い。また、印刷物においてもその効果を奏することから、ポスターなどに利用されることも多くなってきた。
【0020】
電子すかしが最も効果を発揮できるのは、連続階調(写真階調)模様である。連続階調(写真階調)模様は多値画像データであるから、十分な冗長度が存在するので周波数利用型に限らず画素置換型、画素空間利用型、量子化誤差拡散型等の多くの方法が提案され、文献及び特許出願も数多く、今日注目を集めている技術の一つである。
【0021】
しかしながら、電子すかしの多くは一般商業印刷の画像分解能を対象に設計されているため、複製物においては元の情報がそのままコピーされるという特徴があり、複製物の著作権を示すため施策としては適しているが、オリジナルとコピーを区別することはできず、物品を真贋判定する技術としては不十分である。
【0022】
そこで、本発明者らは、「真偽判別可能な印刷物及び判別方法、並びに該印刷物への情報の埋め込み方法」(特許文献6)、「真偽判別可能な印刷物及び判別方法、並びに該印刷物への情報の埋め込み方法」(特許文献7)及び「印刷物並びに該印刷物の認証方法」(特許文献8)により、地紋、彩紋模様のような自由な曲線群から成る印刷画線を、機械的に識別することを特徴とする印刷物を既に出願している。しかし、これらの発明は線表現による彩紋模様などに適用される技術であるため、連続階調(写真階調)模様に適用することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特許第4132122号公報
【特許文献2】特許第4013450号公報
【特許文献3】特開2008−207335号公報
【特許文献4】特許第4415542号公報
【特許文献5】特許第4635160号公報
【特許文献6】特開2003−200647号公報
【特許文献7】特許第4542924号公報
【特許文献8】WO2006/106677号公報
【非特許文献】
【0024】
【非特許文献1】Optical Security and Counterfeit Deterrence Techniques IV Vol.4677 (by SPIE-The International Society for Optical Engineering )
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
偽造防止を必要とされる印刷物は、複写、複製、改ざん等などのあらゆる場面での偽造に抵抗し得る機能性が求められるが、限られた印刷面積において様々な真偽判別手段にて真偽判別を可能にする偽造防止用印刷画線はなく、用途・目的に応じた偽造防止用印刷画線の印刷領域を、限られた印刷面積の中で用途・目的別に複数備える必要があった。また、用途・目的に応じた偽造防止用印刷画線の印刷領域を複数備えることにより高コストとなる場合があった。これにより、限られた印刷面積の中で複数の偽造防止策が共有でき、ユーザーの仕様環境や立場に応じた真偽判別手段が選択できる偽造防止用印刷物が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の偽造防止用印刷物は、基材上に、少なくとも第1の色インキにより形成された第1の画像と、第1の色インキより低明度の第2のインキにより、第1の画像と少なくとも一部が重複するように形成された第2の画像を備え、第1の画像は、埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように設定された所定の間隔を有する同心形万線で形成され、第2の画像は、I)乃至III)のいずれか一つによって形成され、I)は、第1の画線、第2の画線及び第3の画線を有し、第1の方向に沿って、一定のピッチで中心を境に対向するように配置された第1の画線及び第2の画線と、第1の画線及び第2の画線が存在しない領域に配置された第3の画線がユニット内に形成され、ユニットは一定のピッチで第1の方向及び第1の方向と直交する第2の方向にマトリクス状に配置されており、ユニットのピッチの1/2又は略1/2のピッチで第1の画像及び第2の画像が形成され、各々のユニットにおける第1の画線と第2の画線は、いずれか一方がオンの場合、他方がオフの関係にあり、かつ、面積が同一又は略同一であり、第1の画線により第1の不可視画像のポジ画像又はネガ画像のいずれか一方が形成され、第2の画線により第1の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成され、第3の画線により可視画像が形成され、II)は、第3の画線、第4の画線及び第5の画線を有し、第2の方向に沿って、一定のピッチで中心を境に対向するように配置された第4の画線及び第5の画線と、第4の画線及び第5の画線が存在しない領域に配置された第3の画線がユニット内に形成され、ユニットは一定のピッチで第1の方向及び第1の方向と直交する第2の方向にマトリクス状に配置されており、ユニットのピッチの1/2又は略1/2のピッチで第4の画像及び第5の画像が形成され、各々のユニットにおける第4の画線と第5の画線は、いずれか一方がオンの場合、他方がオフの関係にあり、かつ、面積が同一又は略同一であり、第4の画線により第2の不可視画像のポジ画像又はネガ画像のいずれか一方が形成され、第5の画線により第2の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成され、第3の画線により可視画像が形成され、又は、III)は、第1の画線、第2の画線、第3の画線、第4の画線及び第5の画線を有し、第1の方向に沿って、一定のピッチで中心を境に対向するように配置された第1の画線及び第2の画線と、第1の方向と直交する第2の方向に沿って、一定のピッチで中心を境に対向するように配置された第4の画線及び第5の画線と、第1の画線、第2の画線、第4の画線及び第5の画線が存在しない領域に配置された第3の画線がユニット内に形成され、ユニットは一定のピッチで第1の方向及び第1の方向と直交する第2の方向にマトリクス状に配置されており、ユニットのピッチの1/2又は略1/2のピッチで第1の画像及び第2の画像が形成され、ユニットのピッチの1/2又は略1/2のピッチで第4の画像及び第5の画像が形成され、各々のユニットにおける第1の画線と第2の画線は、いずれか一方がオンの場合、他方がオフの関係にあり、かつ、面積が同一又は略同一であり、第4の画線と第5の画線は、いずれか一方がオンの場合、他方がオフの関係にあり、かつ、面積が同一又は略同一であり、第1の画線により第1の不可視画像のポジ画像又はネガ画像のいずれか一方が形成され、第2の画線により第1の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成され、第4の画線により第2の不可視画像のポジ画像又はネガ画像のいずれか一方が形成され、第5の画線により第2の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成され、第3の画線により可視画像が形成されたことを特徴とする。
【0027】
本発明の偽造防止用印刷物は、I)の場合において、第1の方向に沿って隣接して配置された二つのユニットが、一方のユニット内の第1の画線がオン、他方のユニット内の第2の画線がオンとなり、第1の画線及び第2の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第1の画線及び第2の画線の画線間の中心に第1の画線又は第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第1の濃度を緩和する画線が配置され、第1の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第1の画線及び第2の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第1の画線がオン、他方のユニット内の第2の画線がオンとなり、第1の画線及び第2の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第1の画線及び第2の画線の画線間の中心に第1の画線又は第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第2の濃度を緩和する画線が配置され、第1の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第1の画線及び第2の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第1の画線がオン、他方のユニット内の第1の画線がオン、又は中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第2の画線がオン、他方のユニット内の第2の画線がオンとなり、第1の画線の画線間又は第2の画線の画線間がユニットの略2個分の非画線部が生じた場合において、第1の画線又は第2の画線の画線間の中心に第1の画線又は第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第1の濃度を緩和する画線及び第2の濃度を緩和する画線が配置され、II)の場合において、第2の方向に沿って隣接して配置された二つのユニットが、一方のユニット内の第4の画線がオン、他方のユニット内の第5の画線がオンとなり、第4の画線及び第5の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第4の画線及び第5の画線の画線間の中心に第4の画線又は第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第3の濃度を緩和する画線が配置され、第2の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第4の画線及び第5の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第4の画線がオン、他方のユニット内の第5の画線がオンとなり、第4の画線及び第5の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第4の画線及び第5の画線の画線間の中心に第4の画線又は第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第4の濃度を緩和する画線が配置され、第2の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第4の画線及び第5の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第4の画線がオン、他方のユニット内の第4の画線がオン、又は中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第5の画線がオン、他方のユニット内の第5の画線がオンとなり、第4の画線の画線間又は第5の画線の画線間がユニットの略2個分の非画線部が生じた場合において、第4の画線又は第5の画線の画線間の中心に第4の画線又は第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第3の濃度を緩和する画線及び第4の濃度を緩和する画線が配置され、III)の場合において、第1の方向に沿って隣接して配置された二つのユニットが、一方のユニット内の第1の画線がオン、他方のユニット内の第2の画線がオンとなり、第1の画線及び第2の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第1の画線及び第2の画線の画線間の中心に第1の画線又は第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第1の濃度を緩和する画線が配置され、第1の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第1の画線及び第2の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第1の画線がオン、他方のユニット内の第2の画線がオンとなり、第1の画線及び第2の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第1の画線及び第2の画線の画線間の中心に第1の画線又は第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第2の濃度を緩和する画線が配置され、第1の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第1の画線及び第2の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第1の画線がオン、他方のユニット内の第1の画線がオン、又は中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第2の画線がオン、他方のユニット内の第2の画線がオンとなり、第1の画線の画線間又は第2の画線の画線間がユニットの略2個分の非画線部が生じた場合において、第1の画線又は第2の画線の画線間の中心に第1の画線又は第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第1の濃度を緩和する画線及び第2の濃度を緩和する画線が配置され、第2の方向に沿って隣接して配置された二つのユニットが、一方のユニット内の第4の画線がオン、他方のユニット内の第5の画線がオンとなり、第4の画線及び第5の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第4の画線及び第5の画線の画線間の中心に第4の画線又は第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第3の濃度を緩和する画線が配置され、第2の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第4の画線及び第5の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第4の画線がオン、他方のユニット内の第5の画線がオンとなり、第4の画線及び第5の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第4の画線及び第5の画線の画線間の中心に第4の画線又は第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第4の濃度を緩和する画線が配置され、第2の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第4の画線及び第5の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第4の画線がオン、他方のユニット内の第4の画線がオン、又は中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第5の画線がオン、他方のユニット内の第5の画線がオンとなり、第4の画線の画線間又は第5の画線の画線間がユニットの略2個分の非画線部が生じた場合において、第4の画線又は第5の画線の画線間の中心に第4の画線又は第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第3の濃度を緩和する画線及び第4の濃度を緩和する画線が配置されて成ることを特徴とする。
【0028】
本発明の偽造防止用印刷物は、第1の色インキがイエロー(Y)の色インキで形成され、第2の色インキがシアン(C)、マゼンタ(M)及びブラック(K)の色インキの少なくとも一つで形成されることを特徴とする。
【0029】
本発明の偽造防止用印刷物は、I)の場合において、第1の画線、第2の画線、第1の濃度を緩和する画線及び第2の濃度を緩和する画線は、ブラック(K)の色インキで形成され、第3の画線は、シアン(C)及び/又はマゼンタ(M)の色インキで形成され、同心形万線は、イエロー(Y)の色インキで形成され、II)の場合において、第4の画線、第5の画線、第3の濃度を緩和する画線及び第4の濃度を緩和する画線は、ブラック(K)の色インキで形成され、第3の画線は、シアン(C)及び/又はマゼンタ(M)の色インキで形成され、同心形万線は、イエロー(Y)の色インキで形成され、III)の場合において、第1の画線、第2の画線、第4の画線、第5の画線、第1の濃度を緩和する画線、第2の濃度を緩和する画線、第3の濃度を緩和する画線及び第4の濃度を緩和する画線は、ブラック(K)の色インキで形成され、第3の画線は、シアン(C)及び/又はマゼンタ(M)の色インキで形成され、同心形万線は、イエロー(Y)の色インキで形成されることを特徴とする。
【0030】
本発明の偽造防止用印刷物における第3の画線は、画線の大小、画線の濃淡又は画線の粗密から選択される一つの方法によって連続階調から成る可視画像が形成され、同心形万線は、同心形万線の画線幅を連続的に違えることによって連続階調から成る可視画像が形成されていることを特徴とする。
【0031】
本発明の偽造防止用印刷物は、ユニットにおける一辺の長さが1mm以下であることを特徴とする。
【0032】
本発明の偽造防止用印刷物における同心形万線が配置される領域は、下記に示すIV)乃至VI)のいずれか一つによって形成され、IV)は、同心形万線が配置される領域が複数分割され、複数に分割された各領域は、同一の中心点を共有する同心形万線が形成され、複数分割された各領域の同心形万線の画線の間隔は、領域ごとに異なる、V)は、同心形万線が配置される領域が複数分割され、複数に分割された各領域は、領域ごとに異なる中心点を有して同心形万線が形成され、複数分割された各領域の同心形万線の画線の間隔は、領域ごとに異なる、又はVI)は、同心形万線が配置される領域がリング状に複数分割され、複数に分割された各領域は、同一の中心点を共有する同心形万線が形成され、複数に分割された各領域の境界において、隣り合う一方の領域に備わる同心形万線の間隔と、他方の領域に備わる同心形万線の間隔との平均値からなる補間領域が設けられ、境界において同心形万線の連続性が保たれていることを特徴とする。
【0033】
本発明の偽造防止用印刷物は、同心形万線の画線の間隔が、ユニットの寸法よりも小さく、かつ50μm〜350μmであることを特徴とする。
【0034】
本発明の偽造防止用印刷物の作製装置は、偽造防止用印刷物の可視画像及び同心形万線のモチーフとなる画像を入力する画像入力手段と、画像入力手段で得られたモチーフとなる画像を同心形万線に形成するための第1の色インキの画像データと、第1の色インキより低明度の可視画像を形成するための第2のインキの画像データに色分解する色分解手段と、第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像を取得する第1の情報入力手段と、あらかじめ埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように設定された所定の間隔を有する同心形万線の情報を入力する第2の情報入力手段と、第1の不可視画像に第1の画線及び第2の画線を設定し、及び/又は第2の不可視画像に第4の画線及び第5の画線を設定し、各画線が設定された第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像に第2の色インキを設定し、第1の不可視画像データ及び/又は第2の不可視画像データを生成する第1の情報埋め込み手段と、第1の色インキの画像データに同心形万線の情報を設定し、同心形万線画像データを生成する第2の情報埋め込み手段と、第1の不可視画像データ及び/又は第2の不可視画像データと、同心形万線データ及び可視画像を形成するための第2のインキの画像データとを合成してドキュメント・ファイルを生成する画像合成手段と、ドキュメント・ファイルをもとに、第1の色インキ及び第2の色インキで基材に刷り重なって出力する出力手段を備えることを特徴とする。
【0035】
本発明の偽造防止用印刷物の作製装置は、偽造防止用印刷物の可視画像及び同心形万線のモチーフとなる画像を入力する画像入力手段と、画像入力手段で得られたモチーフとなる画像を同心形万線に形成するための第1の色インキの画像データと、第1の色インキより低明度の可視画像を形成するための第2のインキの画像データに色分解する色分解手段と、第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像を取得する第1の情報入力手段と、あらかじめ埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように設定された所定の間隔を有する同心形万線の情報を入力する第2の情報入力手段と、第1の不可視画像に第1の画線、第2の画線、第1の濃度を緩和する画線及び第2の濃度を緩和する画線を設定し、及び/又は第2の不可視画像に第4の画線、第5の画線、第3の濃度を緩和する画線及び第4の濃度を緩和する画線を設定し、各画線が設定された第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像に第2の色インキを設定し、第1の不可視画像データ及び/又は第2の不可視画像データを生成する第1の情報埋め込み手段と、第1の色インキの画像データに同心形万線の情報を設定し、同心形万線画像データを生成する第2の情報埋め込み手段と、第1の不可視画像データ及び/又は第2の不可視画像データと、同心形万線データ及び可視画像を形成するための第2のインキの画像データとを合成してドキュメント・ファイルを生成する画像合成手段と、ドキュメント・ファイルをもとに、第1の色インキ及び第2の色インキで基材に刷り重なって出力する出力手段を備えることを特徴とする。
【0036】
本発明の偽造防止用印刷物の作製装置は、第1の色インキがイエロー(Y)の色インキで形成され、第2の色インキがシアン(C)、マゼンタ(M)及びブラック(K)の色インキの少なくとも一つで形成されることを特徴とする。
【0037】
本発明の偽造防止用印刷物の作製方法は、画像入力手段によって、偽造防止用印刷物の可視画像及び同心形万線のモチーフとなる画像を入力するステップと、色分解手段によって、画像入力手段で得られたモチーフとなる画像を同心形万線に形成するための第1の色インキの画像データと、第1の色インキより低明度の可視画像を形成するための第2のインキの画像データに色分解するステップと、第1の情報入力によって、第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像を取得するステップと、第2の情報入力手段によって、あらかじめ埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように設定された所定の間隔を有する同心形万線の情報を入力するステップと、第1の情報埋め込み手段によって、第1の不可視画像に第1の画線及び第2の画線を設定し、及び/又は第2の不可視画像に第4の画線及び第5の画線を設定し、各画線が設定された第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像に第2の色インキを設定し、第2の不可視画像データ及び/又は第2の不可視画像データを生成するステップと、第2の情報埋め込み手段によって、第1の色インキの画像データに同心形万線の情報を設定し、同心形万線画像データを生成するステップと、画像合成手段によって、第1の不可視画像データ及び/又は第2の不可視画像データと、同心形万線データ及び可視画像を形成するための第2のインキの画像データとを合成してドキュメント・ファイルを生成するステップと、出力手段によって、ドキュメント・ファイルをもとに、第1の色インキ及び第2の色インキで基材に刷り重なって出力するステップを有することを特徴とする。
【0038】
本発明の偽造防止用印刷物の作製方法は、画像入力手段によって、偽造防止用印刷物の可視画像及び同心形万線のモチーフとなる画像を入力するステップと、色分解手段によって、画像入力手段で得られたモチーフとなる画像を同心形万線に形成するための第1の色インキの画像データと、第1の色インキより低明度の可視画像を形成するための第2のインキの画像データに色分解するステップと、第1の情報入力によって、第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像を取得するステップと、第2の情報入力手段によって、あらかじめ埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように設定された所定の間隔を有する同心形万線の情報を入力するステップと、第1の情報埋め込み手段によって、第1の不可視画像に第1の画線、第2の画線、第1の濃度を緩和する画線及び第2の濃度を緩和する画線を設定し、及び/又は第2の不可視画像に第4の画線、第5の画線、第3の濃度を緩和する画線及び第4の濃度を緩和する画線を設定し、各画線が設定された第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像に第2の色インキを設定し、第1の不可視画像データ及び/又は第2の不可視画像データを生成するステップと、第2の情報埋め込み手段によって、第1の色インキの画像データに同心形万線の情報を設定し、同心形万線画像データを生成するステップと、画像合成手段によって、第1の不可視画像データ及び/又は第2の不可視画像データと、同心形万線データ及び可視画像を形成するための第2のインキの画像データとを合成してドキュメント・ファイルを生成するステップと、出力手段によって、ドキュメント・ファイルをもとに、第1の色インキ及び第2の色インキで基材に刷り重なって出力するステップを有することを特徴とする。
【0039】
本発明の偽造防止用印刷物の作製方法は、第1の色インキがイエロー(Y)の色インキで形成され、第2の色インキがシアン(C)、マゼンタ(M)及びブラック(K)の色インキの少なくとも一つで形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0040】
本発明の偽造防止用印刷物は、第1の真偽判別方法と第2の真偽判別方法の二種類を備えたものであり、第1の真偽判別方法として偽造防止用印刷物に判別具を重ね合わせることで現出した不可視画像を視認でき、第2の真偽判別方法として、判別装置にて抽出された不可視情報を見ることにより、複数の判別方法により容易に真偽性を判別することができる。また、限られた印刷面積の中で複数の偽造防止策が共有でき、ユーザーの仕様環境や立場に応じた真偽判別手段が選択できる。また、本発明の偽造防止用印刷物における印刷模様に備える意匠性を有する可視画像は、単色の模様のほか、連続階調画像、フルカラー画像及びレインボー効果等、様々な美麗の表現が可能であり、不可視画像の発現時において視認性を阻害することはなく、印刷物に判別具を重ね合わせることによって、不可視画像が容易に、かつ、鮮明に可視画像へとスイッチして発現するという効果を奏する。
【0041】
さらに、本発明の偽造防止用印刷物は、画線の形状及び配置によって偽造防止効果をもたらすことが可能であることから、コストパフォーマンスに優れ、製版及び印刷方法も何ら限定されないため、印刷方式にも自由度があるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】印刷物1に判別具2を重ね合わせることで現出した不可視画像を視認でき、第2の真偽判別方法として、判別装置Rにて抽出された不可視情報が確認できる説明図。
【図2】印刷物1の印刷模様3を通常の可視条件において目視により観察した詳細な説明図。
【図3】印刷物1上に判別具2を所定の角度(これを0度とする)をもって重ね合わせると、第1の不可視画像4が可視画像となって発現され、印刷物1上に判別具2を所定の角度に対して90度を成す角度を持って重ね合わせると、第2の不可視画像5が可視画像となって発現された状態が示された図。
【図4】印刷模様3が光学式スキャナにて解像度1200dpiで画像入力され、1024×1024ピクセルから成る24ビットのRGB画像が生成された状態と、そのRGB画像のうちのBチャンネルをフーリエ変換して得られたFFTパターンが示された図。
【図5】印刷物上の所定の位置に、判別具2であるレンチキュラーレンズにおける各レンズの中心線7が画線Aの中心に一致するように載置された状態が示された図。
【図6】印刷物上の所定の位置に、判別具2であるレンチキュラーレンズにおける各レンズの中心線7が画線Bの中心に一致するように載置された状態が示された図。
【図7】印刷模様3に二種類の画線領域をもって構成された状態が示されたもので、本発明の画線構成をより詳細に説明するために印刷模様3の一部を部分的に拡大し、かつ、説明し易いように画線Eを黒ベタで表現した模式図。
【図8】印刷模様3が光学式スキャナにて解像度1200dpiで画像入力され、1024×1024ピクセルから成る24ビットのRGB画像が生成された状態と、そのRGB画像のうちのBチャンネルをフーリエ変換して得られたFFTパターンが示された図。
【図9】印刷模様3に三種類の画線領域をもって構成された状態が示されたもので、本発明の画線構成をより詳細に説明するために印刷模様3の一部を部分的に拡大し、かつ説明し易いように画線Eを黒ベタで表現した模式図。
【図10】印刷模様3が光学式スキャナにて解像度1200dpiで画像入力され、1024×1024ピクセルから成る24ビットのRGB画像が生成された状態と、そのRGB画像のうちのBチャンネルをフーリエ変換して得られたFFTパターンが示された図。
【図11】印刷模様3が三種類の領域から成り、領域a1、領域a2、領域a3それぞれの同心円万線の中心点Pが等しく、かつ、領域a1、領域a2、領域a3のそれぞれが、同心円万線の中心点Pから均等に三等分されて配置されている模式図。
【図12】印刷模様3が三種類の領域から成り、領域a1、領域a2、領域a3それぞれの同心円万線の中心点Pが異なり、かつ領域a1、領域a2、領域a3のそれぞれが、同じ領域面積を持って配置されている模式図。
【図13】印刷模様3が三種類の領域から成り、領域a1、領域a2、領域a3それぞれの同心円万線の中心点Pが等しく、かつ、中心点Pから領域a1、領域a2、領域a3の順にリング状に配置されている模式図。
【図14】本発明の連続階調画像に対してあらかじめ定められた埋め込むべき情報を付与する作製装置のブロック図。
【図15】本発明の連続階調画像に対してあらかじめ定められた埋め込むべき情報を付与する作製方法のフローチャート。
【図16】埋め込むべき情報ごとに、あらかじめ設定された複数組の間隔の中から選択されるためのデータテーブルが示された図。
【図17】本発明の印刷物の認証方法が示されたフローチャート。
【図18】ユニットの一例を簡易的に示した模式図。
【図19】肉眼視では濃度が不均衡になるのを緩和するための、画線の削除並びに追加を実行するアルゴリズムを示したフローチャート。
【図20】図19のアルゴリズムに従って、ユニット[h,v]の画線A’[h,v]が削除された状態が示された図。
【図21】図19のアルゴリズムに従って、画線A又は画線A’の半分又は略半分の画線面積を有する画線aと、画線Cが追加された状態が示された図。
【図22】ユニットの一例を簡易的に示した模式図。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施の形態1〜4による偽造防止用印刷物について、図面を用いて説明する。しかし、本発明は、以下に述べる実施の形態1〜4に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
【0044】
本発明の偽造防止用印刷物は、第1の真偽判別方法と第2の真偽判別方法の二種類を備えたものであり、第1の真偽判別方法として図1(a)に示されたように、印刷物1に判別具2を重ね合わせることで現出した不可視画像を視認でき、第2の真偽判別方法として図1(b)に示されたように、判別装置Rにて抽出された不可視情報を見ることにより、容易に真偽性を判別することができるものである。
【0045】
また、本発明の偽造防止用印刷物は、明度の異なる少なくとも二色以上の色インキが用いられるものである。好ましくは、本発明の偽造防止用印刷物は、第1の色インキがイエロー(Y)の色インキで形成され、第2の色インキがシアン(C)、マゼンタ(M)及びブラック(K)の色インキの少なくとも一つで形成されることを特徴とする。なお、第1の真偽判別方法としては、低明度の色インキが用いられ、第2の真偽判別方法としては、高明度の色インキが用いられるのが特徴である。ここでいう低明度とは、L*a*b*色表系のL値が70以上が好ましく、高明度とは、L*a*b*色表系のL値が50以下が好ましい。ただし、あくまでも目安であり、低明度の色インキと高明度の画線の色インキはL*a*b*色表系のL値が少なくとも20以上離れていれば十分な効果が望まれる。
【0046】
第1の真偽判別方法の判別具2は、透明性を有するフィルタに複数の直線が万線状に一方向に沿って形成された万線フィルタ又はレンチキュラーレンズ等である。なお、ここで、可視画像とは、通常の可視光のもとで目視により視認され得る画像であり、不可視画像とは、通常の可視光のもとで目視により視認され得ない、あるいは極めて視認され難い画像であり、万線フィルタ又はレンチキュラーレンズ等を重ねることで視認されるものである。一方、第2の真偽判別方法の判別装置Rは、主に光学式スキャナ等から成る読み取り手段R1、入力手段R2、演算手段R3及び表示手段R4を搭載したものである。これにより、印刷模様3に備わる空間周波数から算出された数値的な不可視情報を得るものである。
【0047】
図2は印刷物1の画線をさらに詳しく説明するものである。図1(a)に示されたように、印刷物1の印刷模様3を通常の可視条件において目視により観察すると、図2に示されたように、任意の図形、文字及び写真階調画像等から成る印刷模様3の可視画像が視認される。図2に示された印刷物1の印刷模様3は、図2の円内の部分拡大図のように、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)が所定の配置を有する複数の領域に備わり、画線Dは、シアン(C)と、マゼンタ(M)とで構成され、画線Aと、画線A’と、画線Bと、画線B’は、ブラック(K)で構成されている。図2の例では、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の四色で印刷模様3を構成しているが、このうち、第1の真偽判別方法に用いるべき最も低明度の色インキはブラック(K)であり、第2の真偽判別方法に用いるべき最も高明度の色インキは、この場合は、イエロー(Y)である。
【0048】
図2の円内の部分拡大図に示された、縦の寸法Sv及び横の寸法Shは、例えば、340μmというように1mm以下の大きさである。縦の寸法Svと横の寸法Shとで囲われた領域はユニットと称する最小単位であり、画線Aと、画線A’と、画線Bと、画線B’とにより、明度の低い色インキである、例えば、ブラック(K)によって不可視画像が構成されている。画線Aと、画線A’は、第1の方向に沿って、中心を境に対向するように配置され、画線Bと、画線B’は、第1の方向に対して直交する第2の方向に沿って、中心を境に対向するように配置される。図2の円内の部分拡大図に示す画線が、印刷物の表面上において一定のピッチで第1の方向及び第1の方向と直交する第2の方向にマトリクス状に規則的に配置される。画線Aと、画線A’とは、対を成しており、相互にオンオフの関係にある。一方、画線Bと、画線B’とは、対を成しており、相互にオンオフの関係にある。そして、画線Aと、画線A’とは、面積が同一であり、かつ、画線Bと、画線B’とは、面積が同一である。このような画線Aと、画線A’、画線Bと、画線B’とが存在することで通常の可視条件下では視認されず、画線Aのみにより第1の不可視画像(ネガ又はポジ)、画線A’のみにより第1の不可視画像(ポジ又はネガ)がそれぞれ形成され、さらに、画線Bのみにより第2の不可視画像(ネガ又はポジ)、画線B’のみにより不可視画像(ポジ又はネガ)がそれぞれ形成されている。
【0049】
また、図2の円内の部分拡大図に示された画線Dにより可視画像(デザイン:模様)を形成し、任意の図形及び文字から成る印刷模様3の可視画像を構成する画線となり、画線Dが画線Aと、画線A’と、画線Bと、画線B’とに挟まれるように配置されている。さらに、画線Dはシアン(C)とマゼンタ(M)の色インキによって構成され、一方、画線Eはイエロー(Y)の色インキによって構成され、画線A、画線A’、画線B、画線B’及び画線Dの位置関係とは異なる配置となっている。図2の円内に示されたように、画線Eの画線構成は、80μmの間隔dから成る同心円万線で構成されている。なお、間隔dは、縦の寸法Sv及び横の寸法Sh、すなわちユニットの寸法よりも小さいことが望ましい。画線Eの画線構成は、同心円万線で説明しているが本発明はこれに限定されることなく同心角等の同心形万線であればよい。
【0050】
図2に示された印刷物1の印刷模様3は、縦の寸法Svと横の寸法Shとで囲われたユニットがマトリクス状に縦横隙間なく、連続的に、かつ、規則的に配置されたものである。ユニットが印刷模様3上で繰り返されるステップ数に何ら制限はなく、このステップ数によって可視画像及び不可視画像の解像度と比例している。しかし、この状態では肉眼視で、マトリクス状に配置されたユニットの近傍部にて、例えば画線Aと、画線A’との双方がオン(有着色)になることで濃度が高く(濃く)見えたり、また、複数の画線Aと、複数の画線a’とがマトリクス状に配置されたユニットの近傍部にて画線Aと、画線a’との双方がオフ(無着色)になることで濃度が低く(淡く)見えたりして、肉眼視では濃度が不均衡となって見えることもある。
【0051】
この濃度が不均衡に見えるのを緩和するため、図18に示された画線a(第1の濃度を緩和する画線)、画線b(第3の濃度を緩和する画線)及び画線C(第2の濃度を緩和する画線及び第4の濃度を緩和する画線)を、それぞれ画線Dの領域中に配置することが好ましい。例えば、画線aは、画線A又は画線A’の半分の画線面積であり、ユニット縦方向上に配列し、画線A’と、画線Aとに挟まれるように配置されている。一方、画線Cは、画線A又は画線A’の半分の画線面積であり、ユニット縦方向上に配列し、画線Aと、画線A’とに挟まれるように配置されている。また、画線bは、画線B又は画線B’の半分の画線面積であり、ユニット横方向上に配列し、画線B’と、画線Bとに挟まれるように配置されている。一方、画線Cは、画線B又は画線B’の半分の画線面積であり、ユニット横方向上に配列し、画線Bと、画線B’とに挟まれるように配置されている。
【0052】
図19に示されたアルゴリズムによって最小単位であるユニット[h,v]ごとに、画線の削除並びに追加を実行するものである。原理を簡単に説明するため、縦方向の処理についてのみ説明する。なお、[v]はユニットを縦上から数えたステップ数で、[h]はユニットを横に数えたステップ数である。まず、処理f1にて、マトリクス状に配置した列ごとのユニット[h,v]において順次画線A[h,v]と、画線A’[h,v]の検知が行われる。なお、画線A[h,v]と、画線A’[h,v]を検知する方法は、例えば、印刷模様3がビットマップ形式の二値画像の場合、処理すべきユニット内において、一般的にラベリングと呼ばれる処理によって、画線A[h,v]及び/又は画線A’[h,v]を識別しても良い。
【0053】
次に、処理f2にて、ユニット[h,v]に画線A’[h,v]を有し、かつ、ユニット[h,v+1]に画線A[h,v+1]を有する条件に一致したとき、処理f3にて、ユニット[h,v]における本来配置される位置である画線A’[h,v]の削除が行われる。すなわち、図20(a)に示されるように、ユニット[h,v]、ユニット[h,v+1]、ユニット[h,v+2]の配置の際、ユニット[h,v]の画線A’[h,v]とユニット[h,v+1]の画線A[h,v+1]が隣接している場合、図20(b)に示されるように、ユニット[h,v]の画線A’[h,v]が削除される。また、処理f2の条件に一致しない場合は処理f4に移行する。
【0054】
次に、処理f4にて、ユニット[h,v]に画線A[h,v]を有し、かつ、ユニット[h,v+1]に画線A’[h,v+1]を有する条件に一致したとき、処理f5にて、ユニット[h,v]における画線a[h,v]の追加を行う。すなわち、図21(b)に示されるように、ユニット[h,v]とユニット[h,v+1]の中間に、画線A又は画線A’の半分の画線面積を有する画線aが追加される。これにより、ユニット[h,v]とユニット[h,v+1]間における肉眼視での濃度の不均衡が緩和される。なお、本発明でいう半分の画線面積とは、略半分の画線面積を含むものである。
【0055】
次に、処理f6にて、ユニット[h,v]に画線A’[h,v]を有し、ユニット[h,v+1]に画線がなく、かつ、ユニット[h,v+2]に画線A[h,v+2]を有する条件に一致したとき、処理f7にて、ユニット[h,v+1]における画線C[h,v+1]の追加を行う。すなわち、図21(c)に示されるように、ユニット[h,v+1]の画線A[h,v+1]が配置される位置に隣接する領域に、画線A又は画線A’の半分の画線面積を有する画線Cが追加される。これにより、ユニット[h,v]とユニット[h,v+2]間における肉眼視での濃度の不均衡が緩和される。
【0056】
次に、処理f8にて、ユニット[h,v]に画線A’[h,v]を有し、ユニット[h,v+1]に画線がなく、かつ、ユニット[h,v+2]に画線A’[h,v+2]を有する条件に一致したとき、処理f9にて、ユニット[h,v+1]における画線C[h,v+1]と、画線a[h,v+1]の追加を行う。すなわち、図21(d)に示されるように、ユニット[h,v+1]の画線A[h,v+1]が配置される領域に隣接する位置に、画線A又は画線A’の半分の画線面積を有する画線Cが追加され、ユニット[h,v+1]の画線A’[h,v+1]が配置される領域に隣接する位置に、画線A又は画線A’の半分の画線面積を有する画線aが追加される。これにより、ユニット[h,v]とユニット[h,v+2]間における肉眼視での濃度の不均衡が緩和される。なお、横方向においても画線Aを画線Bとし、画線A’を画線B’、ステップ数[v]をステップ数[h]に置き換え、同様の処理にて濃度の不均衡が緩和される。
【0057】
さらに、図2の円内の部分拡大図に示されたように、画線Dにおけるシアン(C)とマゼンタ(M)それぞれの色成分から成る画線面積率と、画線Eにおけるイエロー(Y)の色成分から成る画線面積率によってカラー表現が成されるものである。その際、画線Eは、同心円万線の画線幅を連続的に違えることによって表現されている。
【0058】
第1の真偽判別方法として、図1に示された印刷物1に判別具2を重ね合わせることにより、容易に第1の不可視画像又は第2の不可視画像を発現させて真偽性を判別することができるものである。判別具2は、透明性を有するフィルタに複数の直線が万線状に一方向に沿って形成された万線フィルタ又はレンチキュラーレンズ等である。万線フィルタ又はレンチキュラーレンズ等を重ねることなく印刷物1の印刷模様3を通常の可視条件において目視により観察すると、図2に示されたように、任意の図形、文字及び写真階調画像等から成る印刷模様3の可視画像が視認される。そして、印刷物1上に判別具2を所定の角度(これを0度とする)をもって重ね合わせると、図3(a)に示されたような第1の不可視画像4が可視画像となって発現する。また、印刷物1上に判別具2を所定の角度に対して90度を成す角度を持って重ね合わせると、図3(b)に示されたような第2の不可視画像5が可視画像となって発現する。第1の不可視画像4及び第2の不可視画像5がネガポジ状のどちらかに見えるのは、判別具2と印刷物1との間の相対的な位置によって生ずるものであり、本発明の効果の範囲内である。
【0059】
上記説明では、画線Aと、画線A’と、画線Bと、画線B’の構成によって第1の不可視画像4及び第2の不可視画像5を形成しているが本発明はこれに限定されることなく、図22に示すように画線Aと、画線A’で第1の不可視画像のみの構成又は画線Bと、画線B’によって第2の不可視画像のみの構成であってもよい。つまり、下記のI)乃至III)のいずれか一つによって形成することができる。
【0060】
I)は、第1の画線、第2の画線及び第3の画線を有し、第1の方向に沿って、一定のピッチで中心を境に対向するように配置された第1の画線及び第2の画線と、第1の画線及び第2の画線が存在しない領域に配置された第3の画線がユニット内に形成され、ユニットは一定のピッチで第1の方向及び第1の方向と直交する第2の方向にマトリクス状に配置されており、ユニットのピッチの1/2又は略1/2のピッチで第1の画像及び第2の画像が形成され、各々のユニットにおける第1の画線と第2の画線は、いずれか一方がオンの場合、他方がオフの関係にあり、かつ、面積が同一又は略同一であり、第1の画線により第1の不可視画像のポジ画像又はネガ画像のいずれか一方が形成され、第2の画線により第1の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成され、第3の画線により可視画像が形成される。
【0061】
II)は、第3の画線、第4の画線及び第5の画線を有し、第2の方向に沿って、一定のピッチで中心を境に対向するように配置された第4の画線及び第5の画線と、第4の画線及び第5の画線が存在しない領域に配置された第3の画線がユニット内に形成され、ユニットは一定のピッチで第1の方向及び第1の方向と直交する第2の方向にマトリクス状に配置されており、ユニットのピッチの1/2又は略1/2のピッチで第4の画像及び第5の画像が形成され、各々のユニットにおける第4の画線と第5の画線は、いずれか一方がオンの場合、他方がオフの関係にあり、かつ、面積が同一又は略同一であり、第4の画線により第2の不可視画像のポジ画像又はネガ画像のいずれか一方が形成され、第5の画線により第2の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成され、第3の画線により可視画像が形成される。
【0062】
III)は、第1の画線、第2の画線、第3の画線、第4の画線及び第5の画線を有し、第1の方向に沿って、一定のピッチで中心を境に対向するように配置された第1の画線及び第2の画線と、第1の方向と直交する第2の方向に沿って、一定のピッチで中心を境に対向するように配置された第4の画線及び第5の画線と、第1の画線、第2の画線、第4の画線及び第5の画線が存在しない領域に配置された第3の画線がユニット内に形成され、ユニットは一定のピッチで第1の方向及び第1の方向と直交する第2の方向にマトリクス状に配置されており、ユニットのピッチの1/2又は略1/2のピッチで第1の画像及び第2の画像が形成され、ユニットのピッチの1/2又は略1/2のピッチで第4の画像及び第5の画像が形成され、各々のユニットにおける第1の画線と第2の画線は、いずれか一方がオンの場合、他方がオフの関係にあり、かつ、面積が同一又は略同一であり、第4の画線と第5の画線は、いずれか一方がオンの場合、他方がオフの関係にあり、かつ、面積が同一又は略同一であり、第1の画線により第1の不可視画像のポジ画像又はネガ画像のいずれか一方が形成され、第2の画線により第1の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成され、第4の画線により第2の不可視画像のポジ画像又はネガ画像のいずれか一方が形成され、第5の画線により第2の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成され、第3の画線により可視画像が形成される。
【0063】
濃度の不均衡が緩和する画線においては、上記記載のI)乃至III)の場合において下記の構成によって形成することができる。
【0064】
I)の場合において、第1の方向に沿って隣接して配置された二つのユニットが、一方のユニット内の第1の画線がオン、他方のユニット内の第2の画線がオンとなり、第1の画線及び第2の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第1の画線及び第2の画線の画線間の中心に第1の画線又は第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第1の濃度を緩和する画線が配置され、第1の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第1の画線及び第2の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第1の画線がオン、他方のユニット内の第2の画線がオンとなり、第1の画線及び第2の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第1の画線及び第2の画線の画線間の中心に第1の画線又は第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第2の濃度を緩和する画線が配置され、第1の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第1の画線及び第2の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第1の画線がオン、他方のユニット内の第1の画線がオン、又は、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第2の画線がオン、他方のユニット内の第2の画線がオンとなり、第1の画線の画線間又は第2の画線の画線間がユニットの略2個分の非画線部が生じた場合において、第1の画線又は第2の画線の画線間の中心に第1の画線又は第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第1の濃度を緩和する画線及び第2の濃度を緩和する画線が配置される。
【0065】
II)の場合において、第2の方向に沿って隣接して配置された二つのユニットが、一方のユニット内の第4の画線がオン、他方のユニット内の第5の画線がオンとなり、第4の画線及び第5の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第4の画線及び第5の画線の画線間の中心に第4の画線又は第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第3の濃度を緩和する画線が配置され、第2の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第4の画線及び第5の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第4の画線がオン、他方のユニット内の第5の画線がオンとなり、第4の画線及び第5の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第4の画線及び第5の画線の画線間の中心に第4の画線又は第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第4の濃度を緩和する画線が配置され、第2の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第4の画線及び第5の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第4の画線がオン、他方のユニット内の第4の画線がオン、又は、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第5の画線がオン、他方のユニット内の第5の画線がオンとなり、第4の画線の画線間又は第5の画線の画線間がユニットの略2個分の非画線部が生じた場合において、第4の画線又は第5の画線の画線間の中心に第4の画線又は第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第3の濃度を緩和する画線及び第4の濃度を緩和する画線が配置される。
【0066】
III)の場合において、第1の方向に沿って隣接して配置された二つのユニットが、一方のユニット内の第1の画線がオン、他方のユニット内の第2の画線がオンとなり、第1の画線及び第2の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第1の画線及び第2の画線の画線間の中心に第1の画線又は第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第1の濃度を緩和する画線が配置され、第1の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第1の画線及び第2の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第1の画線がオン、他方のユニット内の第2の画線がオンとなり、第1の画線及び第2の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第1の画線及び第2の画線の画線間の中心に第1の画線又は第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第2の濃度を緩和する画線が配置され、第1の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第1の画線及び第2の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第1の画線がオン、他方のユニット内の第1の画線がオン、又は、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第2の画線がオン、他方のユニット内の第2の画線がオンとなり、第1の画線の画線間又は第2の画線の画線間がユニットの略2個分の非画線部が生じた場合において、第1の画線又は第2の画線の画線間の中心に第1の画線又は第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第1の濃度を緩和する画線及び第2の濃度を緩和する画線が配置され、第2の方向に沿って隣接して配置された二つのユニットが、一方のユニット内の第4の画線がオン、他方のユニット内の第5の画線がオンとなり、第4の画線及び第5の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第4の画線及び第5の画線の画線間の中心に第4の画線又は第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第3の濃度を緩和する画線が配置され、第2の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第4の画線及び第5の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第4の画線がオン、他方のユニット内の第5の画線がオンとなり、第4の画線及び第5の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第4の画線及び第5の画線の画線間の中心に第4の画線又は第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第4の濃度を緩和する画線が配置され、第2の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第4の画線及び第5の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第4の画線がオン、他方のユニット内の第4の画線がオン、又は、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第5の画線がオン、他方のユニット内の第5の画線がオンとなり、第4の画線の画線間又は第5の画線の画線間がユニットの略2個分の非画線部が生じた場合において、第4の画線又は第5の画線の画線間の中心に第4の画線又は第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第3の濃度を緩和する画線及び第4の濃度を緩和する画線が配置される。
【0067】
第2の真偽判別方法として、図2に示された印刷模様3は、光学式スキャナにて解像度1200dpiで画像入力され、図4(a)に示された1024×1024ピクセルから成る24ビットのRGB画像が生成される。図2に示した印刷物上にある印刷模様3に含まれる画線Eは、80μmの間隔d1から成る同心円万線で配置され、画線Eを構成する同心円万線は細画線かつ、明度の高いイエロー(Y)の色インキで印刷されてあるため目視では同心円万線で構成されていることは視認できない。さらに、明度の低い画線A、画線A’、画線B、画線B’及び画線Dが同時に刷り重なっているため、それらがカモフラージュ模様となり、画線Eを構成する同心円万線が視認されることはない。画線A、画線A’、画線B、画線B’及び画線Dは、画線Eを形成した同心円万線の周波数成分とは異なる周波数成分から成る同心円万線と異なる形状を成す画線群によって形成される。図4(b)は、図4(a)に示されたRGB画像のうちのBチャンネルをフーリエ変換して得られたFFTパターンである。なお、空間周波数の特徴をわかりやすく説明するため、図4(b)のFFTパターンの第IV象限には、周波数強度グラフを重ねて表示している。図4(b)の周波数強度グラフに示されたように、強度ピークの逆空間距離qd1が見られる。これは、図2に示された間隔dが逆空間上に現れたものである。FFTパターン上の強度ピークの逆空間距離については、画像入力に関わる各種パラメータ、すなわち、図2に示された印刷物上にある領域a1に備わる80μmの間隔dを実空間距離としたとき、画像の一辺のピクセル数と、画像の解像度がわかっていれば、数1によっても容易に算出できる。
【0068】
【数1】
【0069】
図4(a)のRGB画像には図2に示された画線Eが含まれるため、画線Eに備わる同心円万線の画線の間隔d1がもたらす強度ピークの逆空間距離qd1は、図4(b)に示されているようにFFTパターンの中心から271ピクセルの位置に現れる。また、画線A、画線A’、画線B、画線B’及び画線Dは、縦の寸法Svと横の寸法Shとで囲われた領域、すなわちユニットの中にあるため、縦の寸法Svがもたらす強度ピークの逆空間距離qvは、図4(b)に示されているようにFFTパターンの中心から64ピクセルの位置に現れる。さらに、横の寸法Shがもたらす強度ピークの逆空間距離qhは、図4(b)に示されているようにFFTパターンの中心から64ピクセルの位置に現れる。このように、画線Eと、画線A、画線A’、画線B、画線B’及び画線Dとでは、異なる空間周波数として顕著に現れる。
【0070】
(1)実施の形態1
本実施の形態1では、第1の真偽判別方法と第2の真偽判別方法とに関わる画線構成をより具体的に説明する。図5及び図6は、本発明の画線構成をより詳細に説明するために印刷模様3の一部を部分的に拡大した模式図である。画線A、画線A’、画線B、画線B’及び画線Dは、縦の寸法Sと横の寸法Sとで囲われた領域、すなわちユニットの中にあり、画線Eは、間隔dを成す同心円で構成している。
【0071】
まず、第1の真偽判別方法として、図5(a)に示されたように、印刷物上の所定の位置に、判別具2であるレンチキュラーレンズにおける各レンズの中心線7が画線Aの中心に一致するように載置する。この場合、図5(b)に示されたようにレンチキュラーレンズの作用によって画線Aが拡大された状態となるため、画線Aにより構成されている第1の不可視画像である「A」の文字を確認することができることとなる。その際、可視画像を構成していた画線Dは、レンチキュラーレンズの各レンズの中心線7と一致せず、判別具2の真上から視認されることはない。また、画線A’が拡大されるように、縦軸方向に沿って判別具2の各レンズの中心線7が画線A’の中心と一致するように移動させた場合、画線A’により視認された第1の不可視画像がネガポジ反転して視認される。また、画線A及び画線A’は明度の低いブラック(K)の色インキで印刷され、画線Eは明度の高いイエロー(Y)で印刷されていることから、判別具2であるレンチキュラーレンズにおけるイエロー(Y)は、明度差の違いによりほとんど視認されることはなく、第1の真偽判別方法に何ら影響されることはない。さらに、第2の真偽判別方法を有効に作用させるものとして、間隔dは寸法Sよりも短い距離となっている。
【0072】
また、第1の真偽判別方法として、図6(a)に示されたように、印刷物上の所定の位置に、判別具2であるレンチキュラーレンズにおける各レンズの中心線7が画線Bの中心に一致するように載置する。この場合、図6(b)に示されたようにレンチキュラーレンズの作用によって画線Bが拡大された状態となるため、画線Bにより構成されている第2の不可視画像である「B」の文字を確認することができることとなる。その際、可視画像を構成していた画線Dは、レンチキュラーレンズの各レンズの中心線7と一致せず、判別具2の真上から視認されることはない。また、画線B’が拡大されるように、縦軸方向に沿って判別具2の各レンズの中心線7が画線B’の中心と一致するように移動させた場合、画線B’により視認された第2の不可視画像がネガポジ反転して視認される。また、画線B、画線B’は明度の低いブラック(K)の色インキで印刷され、画線Eは明度の高いイエロー(Y)で印刷されていることから、判別具2であるレンチキュラーレンズにおけるイエロー(Y)は、明度差の違いによりほとんど視認されることはなく、第1の真偽判別方法に何ら影響されることはない。さらに、第2の真偽判別方法を有効に作用させるものとして、間隔dは寸法Sよりも短い距離となっている。
【0073】
ここで判別具2は、レンチキュラーレンズに限らず、例えば、万線フィルタであっても同様の効果が得られる。この万線フィルタの場合は、フィルタ上の万線に該当する部分が可視画像を構成する画線を隠蔽することで、不可視画像を構成する画線のみを確認できることとなるが、可視画像を完全には隠蔽することができずに若干視認されてしまうことがある。ただし、これによって本発明の効果を損なうことはないため、簡易的に判別を行うには、万線フィルタを用いても充分である。
【0074】
可視画像を構成する画線Dは、意匠性を備え、単色の模様の他、網点、グレースケール的に適当な濃度で着色された相対的な写真階調、ランダム・ドットのディザ法等公知の表現方法から成る連続階調画像を適用できる。すなわち、連続階調を有する有意味な可視画像は、ハイライトからシャドーの連続階調を有していれば顔画像、文字、数字、図柄、絵柄、ロゴマーク等、特に限定されるものではない。可視画像は、文字、数字、図柄、絵柄、ロゴマーク等、特に限定されるものではない。なお、身分証明書、入場券等の本人確認が必要とされる印刷物を形成する場合は、連続階調を有する有意味な可視画像に顔画像とし、不可視画像を個人情報や発行日とすることが好ましい。本発明の連続階調を有する偽造防止用印刷物の印刷方式は、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ、オフセット印刷機等、特に限定されるものではない。本発明の連続階調を有する偽造防止用印刷物の基材は、紙、プラスチック等、特に限定されるものではない。
【0075】
(2)実施の形態2
本実施の形態2は、第2の真偽判別方法において不可視情報の情報量を増やすための施策である。図7は、印刷模様3に二種類の画線領域をもって構成された状態が示されたもので、本発明の画線構成をより詳細に説明するために印刷模様3の一部を部分的に拡大し、かつ説明し易いように画線Eを黒ベタで表現した模式図である。
【0076】
図7に示された二種類の画線領域で構成された印刷模様3は、光学式スキャナにて解像度1200dpiで画像入力され、図8(a)に示された1024×1024ピクセルから成る24ビットのRGB画像が生成される。図7に示された印刷物1上にある高明度の色インキから成る画像の領域a1は、80μmの間隔d1から成る同心円万線で配置され、領域a2は、100μmの間隔d2から成る同心円万線で配置され、領域a1及び領域a2を構成する同心円万線は細画線かつ、明度の高い色インキで印刷されてあるため目視では同心円万線で構成されていることは視認できない。さらに、明度の低い画線A、画線A’、画線B、画線B’及び画線Dが同時に刷り重なっているため、それらがカモフラージュ模様となり、領域a1及び領域a2を構成する同心円万線が視認されることはない。画線A、画線A’、画線B、画線B’及び画線Dは、画線Eを形成した同心円万線の周波数成分とは異なる周波数成分によって形成される。なお、間隔d1及び間隔d2は、の寸法Sよりも小さいことが望ましい。
【0077】
図8(b)は、図8(a)に示されたRGB画像のうちのBチャンネルをフーリエ変換して得られたFFTパターンである。図4と同様に、空間周波数の特徴をわかりやすく説明するため、図8(b)のFFTパターンの第IV象限には、周波数強度グラフを重ねて表示している。図8(b)の周波数強度グラフに示されたように、強度ピークの逆空間距離qd1と逆空間距離qd2が見られる。
【0078】
数1の算出でも示されるように、図8(a)のRGB画像には図7に示された領域a1が含まれているため、領域a1に備わる同心円万線の画線の間隔d1がもたらす強度ピークの逆空間距離qd1は、図8(b)に示されているようにFFTパターンの中心から271ピクセルの位置に現れる。さらに、図8(a)のRGB画像には図7に示された領域a2も含まれているため、領域a2に備わる同心円万線の画線の間隔d2がもたらす強度ピークの逆空間距離qd2は、図8(b)に示されているようにFFTパターンの中心から217ピクセルの位置に現れる。
【0079】
また、図9は、印刷模様3に三種類の画線領域をもって構成された状態が示されたもので、本発明の画線構成をより詳細に説明するために印刷模様3の一部を部分的に拡大し、かつ説明し易いように画線Eを黒ベタで表現した模式図である。
【0080】
図9に示された三つの領域で構成された印刷模様3は、光学式スキャナにて解像度1200dpiで画像入力され、図10(a)に示された1024×1024ピクセルから成る24ビットのRGB画像が生成される。図9に示された印刷物1上にある高明度の色インキから成る画像の領域a1は、80μmの間隔d1から成る同心円万線で配置され、領域a2は、100μmの間隔d2から成る同心円万線で配置され、領域a3は、130μmの間隔d3から成る同心円万線で配置され、領域a1、領域a2及び領域a3を構成する同心円万線は細画線かつ、明度の高い色インキで印刷されてあるため目視では同心円万線で構成されていることは視認できない。さらに、明度の低い画線A、画線A’、画線B、画線B’及び画線Dが同時に刷り重なっているため、それらがカモフラージュ模様となり、領域a1、領域a2及び領域a3を構成する同心円万線が視認されることはない。画線A、画線A’、画線B、画線B’及び画線Dは、画線Eを形成した同心円万線の周波数成分とは異なる周波数成分によって形成される。なお、間隔d1、間隔d2及び間隔d3は、ユニットの寸法Sよりも小さいことが望ましい。
【0081】
図10(b)は、図10(a)に示されたRGB画像のうちのBチャンネルをフーリエ変換して得られたFFTパターンである。図4又は図8と同様に、空間周波数の特徴をわかりやすく説明するため、図10(b)のFFTパターンの第IV象限には、周波数強度グラフを重ねて表示している。図10(b)の周波数強度グラフに示されたように、強度ピークの逆空間距離qd1と逆空間距離qd2と逆空間距離qd3が見られる。
【0082】
数1の算出でも示されるように、図10(a)のRGB画像には図9に示された領域a1が含まれているため、領域a1に備わる同心円万線の画線の間隔d1がもたらす強度ピークの逆空間距離qd1は、図10(b)に示されているようにFFTパターンの中心から271ピクセルの位置に現れる。さらに、図10(a)のRGB画像には図9に示された領域a2も含まれているため、領域a2に備わる同心円万線の画線の間隔d2がもたらす強度ピークの逆空間距離qd2は、図10(b)に示されているようにFFTパターンの中心から217ピクセルの位置に現れる。またさらに、図10(a)のRGB画像には図9に示された領域a3も含まれているため、領域a3に備わる同心円万線の画線の間隔d3がもたらす強度ピークの逆空間距離qd3は、図10(b)に示されているようにFFTパターンの中心から167ピクセルの位置に現れる。
【0083】
また、図11は、図10の模式図と同様に、三種類の領域から成り、図9の画線Eと同じく、80μmの間隔d1から成る同心円万線で配置された領域a1と、100μmの間隔d2から成る同心円万線で配置された領域a2と、130μmの間隔d3から成る同心円万線で配置された領域a3とによって構成されている。図11の模式図に示されたように、領域a1、領域a2、領域a3それぞれの同心円万線の中心点Pが等しく、かつ領域a1、領域a2、領域a3のそれぞれが、同心円万線の中心点Pから均等に三等分されて配置されている。この場合においても、領域a1、領域a2及び領域a3の空間周波数の特徴を明瞭に識別することができる。
【0084】
つまり、図9及び図11の同心円画線を用いた偽造防止用印刷物は、同心円万線が配置される領域が、複数分割され、複数に分割された各領域は、同一の中心点を共有する同心円万線が形成され、複数分割された各領域の同心円万線の画線の間隔は、領域ごとに異なることを特徴としている。
【0085】
さらに、図12は、図9及び図11の模式図と同様に、三種類の領域から成り、図11の画線Eと同じく、80μmの間隔d1から成る同心円万線で配置された領域a1と、100μmの間隔d2から成る同心円万線で配置された領域a2と、130μmの間隔d3から成る同心円万線で配置された領域a3とによって構成されている。図12の模式図に示されたように、領域a1、領域a2、領域a3それぞれの同心円万線の中心点Pが異なり、かつ、領域a1、領域a2、領域a3のそれぞれが、同じ領域面積を持って配置されている。この場合においても、領域a1、領域a2、領域a3の空間周波数の特徴を明瞭に識別することができる。
【0086】
つまり、図12の同心円画線を用いた偽造防止用印刷物は、同心円万線が配置される領域が、複数分割され、複数に分割された各領域は、領域ごとに異なる中心点を有して同心円万線が形成され、複数分割された各領域の同心円万線の画線の間隔は、領域ごとに異なることを特徴としている。
【0087】
なお、図9、図11及び図12の模式図に示されたそれぞれの領域は、実施の形態1に示されたように、同心円万線の間隔d1の範囲でそれぞれ個々の画線の中心線から画線幅を連続的に違えることによって連続階調が表現されるものである。
【0088】
上記説明では、最も明度の高い所定の色要素であるイエロー(Y)に同心円万線から成る画線Eを形成し、残りの色素であるシアン(C)及びマゼンタ(M)に所定の位置から成る画線Dを形成して説明しているが、本発明は上記構成に限定されることなく、複数の色要素のうち、最も明度の高い所定の色要素を抽出し、所定の色要素から成る画像が埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように形成すればよい。また、同心円万線の画線の間隔が、50μm〜350μmであり、あることが好ましい。
【0089】
本発明の偽造防止用印刷物は、同心円万線の画線の間隔は、埋め込むべき情報ごとに、あらかじめ設定された複数組の間隔の中から選択されている。例えば、図16のデータテーブルに示されたように、図4(b)に示されたFFTパターンを得るためのデータとしてはCode 1が適用され、図8(b)に示されたFFTパターンを得るためのデータとしてはCode 2が適用され、図10(b)に示されたFFTパターンを得るためのデータとしてはCode 3が適用される。このデータテーブルに埋め込むべき情報が多く登録されているほど真偽判別用の情報を活用できるものである。
【0090】
本発明は、面表現の領域において同心円万線、すなわち規則性を有する複数本の細画線を有することにより、スキャナ、複写機等のデジタル機器による高解像度入力画像では識別可能であるが、人間にとって視覚で認識困難な微細かつ規則性を有する部分を付与し、得られた印刷物に対してデジタル機器上で証券用線画の間隔の相関を分析し、印刷物に埋め込まれた情報を識別することで真偽判別が可能であり、また、その情報に基づき偽造等に利用する複写機等デジタル機器の動作停止等のアクションを可能とするものである。
【0091】
(3)実施の形態3
本実施の形態3は、複数の領域がリング状に配置し、かつ、それぞれの領域の境界において、それぞれの領域に備わる同心円万線が自然な連続性が保たれている位置関係について述べるものである。本実施の形態3について、図面を用いて詳細に説明する。
【0092】
本発明における領域に備わる同心円万線は、イエロー(Y)のような明度の高い色インキで印刷されるので、肉眼視において全体的な連続階調は視認できても画線形状を識別できるものではない。しかし、画線の位置関係により更に識別できないようにすることもできる。図13は、中心点Pから同じ距離を持って形成された同心円万線に見えるが、実際には図9、図11及び図12の模式図と同様に、三種類の領域によって構成されている。図9の画線Eと同じく、80μmの間隔d1から成る同心円万線で配置された領域a1と、100μmの間隔d2から成る同心円万線で配置された領域a2と、130μmの間隔d3から成る同心円万線で配置された領域a3とによって構成されている。
【0093】
図13(a)の模式図は、領域a1、領域a2、領域a3それぞれの同心円万線の中心点Pが等しく、かつ、中心点Pから領域a1、領域a2、領域a3の順にリング状に配置されたものである。まず、領域a1は中心点Pから間隔d1で形成された同心円万線である。領域a1の外側に、領域a1の同心円万線の間隔d1と領域a2の同心円万線の間隔d2との平均値からなる補間間隔X1が設けられ領域a2がリング状に配置される。領域a2は間隔d2で形成された同心円万線である。領域a2の外側に、領域a2の同心円万線の間隔d2と領域a3の同心円万線の間隔d3との平均値からなる補間間隔X2が設けられ領域a3がリング状に配置される。領域a3は間隔d3で形成された同心円万線である。
【0094】
一方、図13(b)の模式図は、領域a3、領域a2、領域a1それぞれの同心円万線の中心点Pが等しく、かつ、中心点Pから領域a3、領域a2、領域a1の順にリング状に配置されたものである。まず、領域a3は中心点Pから間隔d3で形成された同心円万線である。領域a3の外側に、領域a3の同心円万線の間隔d3と領域a2の同心円万線の間隔d2との平均値からなる補間間隔X2が設けられ領域a2がリング状に配置される。領域a2は間隔d2で形成された同心円万線である。領域a2の外側に、領域a2の同心円万線の間隔d2と領域a1の同心円万線の間隔d1との平均値からなる補間間隔X1が設けられ領域a1がリング状に配置される。領域a1は間隔d1で形成された同心円万線である。
【0095】
これにより、図13(a)及び図13(b)の画線構成は、領域a1、領域a2及び領域a3が順にリング状に配置していながらも、それぞれの領域の境界において同心円万線が自然な連続性が保たれている。また、図13(a)及び図13(b)の画線構成はそれぞれ等しく、領域a1、領域a2及び領域a3の空間周波数の特徴を明瞭に識別することができる。
【0096】
なお、図13(a)及び図13(b)の模式図に示されたそれぞれの領域は、実施の形態1に示されたように、同心円万線の間隔d1の範囲でそれぞれ個々の画線の中心線から画線幅を連続的に違えることによって連続階調が表現されるものである。
【0097】
つまり、図13の同心円画線を用いた偽造防止用印刷物は、同心円万線が配置される領域が、リング状に複数分割され、複数に分割された各領域は、同一の中心点を共有する同心円万線が形成され、複数に分割された各領域の境界において、隣り合う一方の領域に備わる同心円万線の間隔と、他方の領域に備わる同心円万線の間隔との平均値からなる補間領域が設けられ、境界において同心円万線の連続性が保たれていることを特徴とする。
【0098】
(4)実施の形態4
上述した実施の形態1乃至実施の形態3で示されたように、本発明は連続階調画像に対してあらかじめ定められた埋め込むべき情報を付与するもので、本実施の形態4では、作製装置と作製方法について説明する。
【0099】
本実施の形態4における作製装置は、図14のブロック図に示されるように、画像入力手段M1、第1の情報入力手段M2、第2の情報入力手段M3、出力手段M4、表示手段M5、編集手段M6、書式データベースM7及び通信インターフェースM8を備えている。編集手段M6は、色分解手段M6a、第1の情報埋め込み手段M6b、第2の情報埋め込み手段M6c及び画像合成手段M6dを有する。
【0100】
画像入力手段M1は、偽造防止用印刷物の可視画像及び同心円万線のモチーフとなる画像が入力される。画像入力手段M1は、カメラ、デジタルカメラ、スキャナ等であり、特に限定されるものではない。また、後述する書式データベースと同じパソコン内に登録されている個人情報が入力された個人情報データベース、通信インターフェースによってあらかじめ個人情報が入力された外部データベースサーバ等から可視情報を得ることができる。
【0101】
第1の情報入力手段M2は、キーボード等からの入力、また、後述する書式データベースM7と同じパソコン内に登録されている画像又はテキストの不可視情報が入力されたデータベース、通信インターフェースM8よってあらかじめ不可視情報が入力された外部のデータベースサーバから第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像を得ることができる。
【0102】
第2の情報入力手段M3は、埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように設定された所定の間隔を有する同心円万線の情報を入力する。例えば、キーボード等からの入力、また、後述する書式データベースM7と同じパソコン内に登録されている情報が入力されたデータベース(図示せず)、通信インターフェースよってあらかじめ定められた埋め込むべき情報が入力された外部データベースサーバ(図示せず)から情報を得ることができる。なお、同じパソコン内に登録されている情報が入力されたデータベースは、記憶手段(図示せず)に設けられ、埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように設定された所定の間隔を有する同心円万線の情報が保存されている。
【0103】
出力手段M4は、色チャンネルとして複数保持できるドキュメント・ファイルに書き出し、又はドキュメント・ファイルが、所定の色インキ(例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K))で基材に刷り重なって出力される。ドキュメント・ファイルの形式は特に限定されるものではない。
【0104】
表示手段M5は、パソコンのモニタ、専用のモニタ等、特に限定されるものではない。
【0105】
色分解手段M6aは、画像入力手段M1で得られたモチーフとなる画像を同心形万線に形成するための第1の色インキの画像データと、第1の色インキより低明度の可視画像を形成するための第2のインキの画像データに色分解する。
【0106】
第1の情報埋め込み手段M6bは、第1の不可視画像に第1の画線(画線A)、第2の画線(画線A’)を設定し、及び/又は第2の不可視画像に第4の画線(画線B)、第5の画線(画線B’)を設定する。各画線が設定された第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像に第2の色インキ(明度の低い所定の色要素)を設定し、第1の不可視画像データ及び/又は第2の不可視画像データを生成する。第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像において、例えば発行日付等のタイムスタンプなどを埋め込み情報とし、第1の情報入力手段M2から、例えばキーボードからの入力又は通信インターフェースM8からの通信情報にて得る。濃度を緩和する画線を形成する場合は、第1の情報埋め込み手段M6bは、第1の不可視画像に第1の画線(画線A)、第2の画線(画線A’)、第1の濃度を緩和する画線(a)及び第2の濃度を緩和する画線(C)を設定し、及び/又は第2の不可視画像に第4の画線(画線B)、第5の画線(画線B’)、第3の濃度を緩和する画線(b)及び第4の濃度を緩和する画線(C)を設定する。各画線が設定された第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像に第2の色インキ(明度の低い所定の色要素)を設定し、第1の不可視画像データ及び/又は第2の不可視画像データを生成する。
【0107】
第2の情報埋め込み手段M6cは、色分解手段M6aにて同心形万線に形成するための第1の色インキ(最も明度の高い所定の色要素)の画像データに、埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように設定された所定の間隔を有する同心円万線の情報が第2の情報入力手段M3によって入力され、同心円万線データを生成される。第1の色インキより低明度の可視画像を形成するための第2のインキの画像データに同心円万線と異なる少なくとも一つの画線群データを生成する。
【0108】
画像合成手段M6dは、第1の不可視画像データ及び/又は第2の不可視画像データと、同心形万線データ(最も明度の高い所定の色要素)及び可視画像を形成するための第2のインキの画像データ(画線群データ)とを合成してドキュメント・ファイルを生成する。例えば、最も明度の高い色要素がイエロー成分とした同心円万線データと、残りの色素がマゼンタ成分の画線群データ及びシアン成分の画線群データと、第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像が施されたブラック成分の画線群データとを合成してドキュメント・ファイルを生成する。
【0109】
書式データベースM7は、カラー画像入力手段M1、第1の情報入力手段M2及び第2の情報入力手段M3以外に必要なデータが格納されている。具体的には、例えばカード台紙模様を編集手段M6に送り、画像合成手段M6dにて印刷模様3、印刷画像4又は印刷画像5と合成される。
【0110】
通信インターフェースM8は、RS−232C、IEEE1394等であり、特に限定されるものではない。
【0111】
本実施の形態による作製方法は、図14に示された作製装置を用いて、図15のフローチャートに示された処理ステップによって実行されるものである。
【0112】
まず、ステップf1では、画像入力手段M1にて本発明の偽造防止用印刷物の可視画像及び同心円万線のモチーフとなる画像を入力する。例えば、入力されるのはビットマップ多値画像であり、画像の保存形式、画素数等に何ら制限はない。さらに、ステップf4に示された可視画像及び同心円万線のモチーフとなる画像の色分解は、図14に示された編集手段M6に含まれる色分解手段M6aによって行われる。ステップf4は、色分解手段M6aによって可視画像及び同心円万線のモチーフとなる画像を印刷可能な所定の色チャンネルに色分解され、モチーフとなる画像を同心形万線に形成するための第1の色インキの画像データ(最も明度の高い色要素)と、第1の色インキより低明度の可視画像を形成するための第2のインキの画像データ(残りの色素)に色分解する。
【0113】
次に、ステップf3では、第1の情報入力手段M2にて、図2に示された画線A、画線A’、画線B及び画線B’の領域に配置される不可視画像が構築される。さらに、濃度を緩和する画線を形成する場合は、第1の濃度を緩和する画線、第2の濃度を緩和する画線、第3の濃度を緩和する画線及び第4の濃度を緩和する画線を設定する。不可視画像への構築は、図14に示された、編集手段M6に含まれる画像合成手段M6dによって行われる。
【0114】
次に、ステップf7にて、画線A、画線A’、画線B及び画線B’が生成される。画線の生成は、図14に示された、編集手段M6に含まれる画像合成手段M6dによって行われる。
【0115】
次に、ステップf2では、第2の情報入力手段M3にて埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように設定された所定の間隔を有する同心円万線の情報を入力する。例えば、入力される情報は、キーボード等からの入力、また、書式データベースM7と同じパソコン内に登録されている情報が入力されたデータベース(図示せず)、通信インターフェースM8によってあらかじめ情報が入力された外部データベースサーバ(図示せず)から情報を得ることができる。なお、同じパソコン内に登録されている情報が入力されたデータベースは、記憶手段(図示せず)に設けられ、埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように設定された所定の間隔を有する同心円万線の情報が保存されている。
【0116】
さらに、図14に示された編集手段M6に含まれる第2の情報埋め込み手段M6cによって、ステップf5では、シアン用画像とマゼンタ用画像によって形成される画線群データである画線Dが生成され、ステップf6では、抽出された情報を最も明度の高い所定の色要素に同心円万線データを生成する。例えば、入力された埋め込むべき情報によって定義されたイエロー用画像のための画線Eが生成される。
【0117】
次に、ステップf8乃至10において、ステップf4の色分解で得られた最も明度の高い所定の色要素及び残りの色素に各チャンネル出力がされる。次に、ステップf12乃至14において、ステップf8乃至10で作製した各チャンネル出力を各画線に適用させる。例えば、シアン用画像は、ステップf8においてドキュメント・ファイルのシアンチャンネルに出力され、また、ステップf4の色分解で得られたマゼンタ用画像は、ステップf9においてドキュメント・ファイルのマゼンタチャンネルに出力され、さらに、ステップf4の色分解で得られたイエロー用画像は、ステップf10においてドキュメント・ファイルのイエローチャンネルに出力される。さらに、ステップf7の画線A、画線A’、画線B及び画線B’の生成で得られたブラック用画像は、ステップf11においてドキュメント・ファイルのブラックチャンネルに出力される。
【0118】
そして、ステップf5で得られた画線Dは、ステップf12においてシアンチャンネルに適用され、ステップf13においてマゼンタチャンネルに適用される。そしてさらに、ステップf6で得られた画線Eは、ステップf14においてイエローチャンネルに適用される。一方、ステップf7で得られた画線A、画線A’、画線B及び画線B’は、ステップf15においてブラックチャンネルに適用される。
【0119】
次に、図14に示された編集手段M6に含まれる画像合成手段M6dによって、最も明度の高い所定の色要素に設定された同心円万線データと、最も明度の低い所定の色要素に設定された画線A、画線A’、画線B及び画線B’と、残りの色素に設定された少なくとも一つの画線群データを合成してドキュメント・ファイルを生成する。例えば、ステップf16の各チャンネルの合成と、ステップf17のドキュメント・ファイルに書き出しが行われる。こうして生成されたドキュメント・ファイルが、それぞれの色インキで基材に刷り重なることにより情報を埋め込んだカラー印刷物が得られるものである。
【0120】
(5)実施の形態5
本実施の形態による認証方法は、図1(b)に示された判別装置Rを用いて、図17のフローチャートに示された処理ステップによって実行されるものである。
【0121】
図17に示されたように、ステップf18として、デジタルカメラ、光学式スキャナ等の読み取り手段R1によって、あらかじめ定められた埋め込むべき情報が埋め込まれた印刷画像をカラー画像(RGB画像)として読み取る。例えば、1200dpiというような高解像度で、1024×1024ピクセルの画像サイズでRGB画像として読み取りを行う。
【0122】
ステップf19として、ステップf18で、読み取られたカラー画像(RGB画像)から最も明度の高い色要素のグレースケール画像を抽出する。例えば、B(ブルー)チャンネルのグレースケール画像の抽出を行う。
【0123】
ステップf20として、演算手段R3に含まれる変換手段(図示せず)によって、ステップf19で抽出されたグレースケール画像(例えば、B(ブルー)チャンネル)をフーリエ変換し、FFTパターンを生成する。
【0124】
ステップf21として、演算手段R3に含まれる解析手段(図示せず)によって、ステップf20で作成されたFFTパターンに対し、周波数成分の抽出を行う。
【0125】
ステップf22として、演算手段R3に含まれる判定手段(図示せず)によって、抽出された周波数成分と、演算手段R3に含まれる記憶手段(図示せず)に記憶された真偽判別データ(周波数成分)を比較照合することで偽造防止用印刷物の認証が行われる。
【0126】
周波数成分は、同心円状の画線で形成された領域の成分であるため、従来よりもはっきりとした周波数成分が抽出することができるため、あらかじめ定められた周波数成分とを比較照合上で誤認識することがない。
【符号の説明】
【0127】
1 印刷物
2 判別具
3 印刷模様
4 不可視画像
5 不可視画像
7 中心線
A 画線
B 画線
A’ 画線
B’ 画線
C 画線
D 画線
E 画線
a1 領域
a2 領域
a3 領域
d 間隔
d1 間隔
d2 間隔
d3 間隔
M1 カラー画像入力手段
M2 第1の情報入力手段
M3 第2の情報入力手段
M4 出力手段
M5 表示手段
M6 編集手段
M6a 色分解手段
M6b 第1の情報埋め込み手段
M6c 第2の情報埋め込み手段
M6d 画像合成手段
M7 書式データベース
M8 通信インターフェース
P 中心点
qd1 逆空間距離
qd2 逆空間距離
qd3 逆空間距離
qh 逆空間距離
qv 逆空間距離
R 判別装置
R1 読み取り手段
R2 入力手段
R3 演算手段
R4 表示手段
S 寸法
Sh 寸法
Sv 寸法
X1 補間間隔
X2 補間間隔
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行券、株券、債券等の有価証券、各種証明書及び重要書類等の偽造防止又は複製防止が必要とされる偽造防止用印刷物、偽造防止用印刷物の作製装置及び偽造防止用印刷物の作製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に証明書類の貴重印刷物では、偽造防止効果を与えるために様々な技術が適用されているが、近年、カラー複写機の高画質化及びカラー製版技術のコンピュータ化に伴い、証明書類の偽造技術が多様化する傾向にある。これに伴って、証明書類は偽造防止策を高度化することによって対応してきた。しかし、その一方で、偽造防止策に費やす製造コストが高く、偽造防止効果を確認する環境を得るために、特殊な機械器具から成る専用設備を導入する等、真偽判定において高コストとなる場合があった。
【0003】
低コストで真偽判定を可能にする有用な方法に、印刷物上に判別具を重ねて真偽判定を行う技術がある。つまり、不可視画像が施されている印刷物に判別具を重ねることによって、不可視画像を可視画像として発現させるもので、この判別具の主な形態は、平行線スクリーンを印刷した透明シート(以下「万線フィルタ」という。)や、レンチキュラーレンズ等が挙げられる。この判別具を用いて不可視画像を発現させる技術は、主に二種類の方法があり、点位相変調(Dot phase modulation)と線位相変調(Line phase modulation)とが存在する。
【0004】
このような万線フィルタから成る判別具を重ね合わせることにより潜像画像が発現する印刷物とその真偽判別方法としては、万線(又は網点)画線で印刷した背景画像部と、背景画像部と異なる位相の万線(又は網点)画線で印刷した潜像画像部とを有する印刷物が存在する。当該印刷物の背景画像部と潜像画像部は、区分けして視認することが一見困難であるが、万線フィルタを印刷物に所定の位置で重ね合わせた場合には、背景画像部と潜像画像部を区分けして視認することができる方法が知られている。
【0005】
点位相変調(Dot phase modulation)の一例としては、第1の方向と第2の方向に位相変調されたパターンが形成された印刷物と、当該印刷物の第1の方向と万線状フィルタの万線状パターンの方向とを一致するように万線状フィルタを重ね合わせることにより形成される第1の多階調画像と、万線状フィルタの重ね合わせる角度を印刷物の第2の方向に一致するように変えると第2の多階調画像が形成された印刷物及び画像形成法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、点位相変調(Dot phase modulation)の一例としては、基材上に、レンズアレイ(ハエの目レンズ、ハニカムレンズ、レンチキュラーレンズ等)を重ねることにより画像が現れるドットパターンを構成するそれぞれのドットが、少なくとも二種類以上のスクリーン線数で、かつ、少なくとも二種類以上のスクリーン角度の網点から成る印刷物において、真正物であればドットパターンを構成するそれぞれのドットの網点面積率が同じであるため、レンズアレイを重ねることにより不可視画像が発現し、複写物の場合は、コピーすることによりスクリーン線数の大きさ又は網点角度で再現されるドットが潰れ、ドットの濃度が変化することにより不可視画像と異なる画像が発現する印刷物がある(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
また、海外の点位相変調(Dot phase modulation)の一例としては、アストロン・デザイン社(オランダ)のイソグラム(Isogram)がある(例えば、非特許文献1340頁参照)。これは、一見して均一な濃度を有する平たんな模様の中に、拡大すると微細な網点の位相によって不可視画像が施され、印刷物上に専用のシートを重ねるとネガポジ状のどちらかに可視画像化された不可視画像が現れる。しかし、これは、均一な濃度を有する平たんな模様故に、鮮明に画像を発現させることができない。
【0008】
また、本願出願人等は、点位相変調(Dot phase modulation)を用いた印刷物に関する特許出願を行っている。これは、基材上に複数の等色の画素が規則的に配列されて二つの潜像模様が形成された潜像印刷物であって、複数の画素において、第1の方向に位相をずらして配列された第1の領域による第1の潜像模様(不可視画像)と、機能性を有するインキにより印刷された第2の領域による第2の潜像模様(不可視画像)とを有するものである(例えば、特許文献3参照)。
【0009】
線位相変調(Line phase modulation)の一例としては、基材上に、線部と非線部を有し、同一ピッチ及び幅から成る万線パターンに対し、万線位相を1/2ピッチずらして形成された潜像部を備えている複数種の潜像万線パターンが、それぞれ異なる角度で重ね合わせて印刷された潜像を有する印刷物であって、複数種の潜像万線パターンがそれぞれ色違いであることを特徴とする印刷物と、印刷物の万線パターンと同一ピッチのフィルムを複数種の不可視画像に重ね合わせることにより潜像部を可視画像化されたものがある(例えば、特許文献4参照)。
【0010】
また、海外の線位相変調(Line phase modulation)を用いた印刷物には、ユラ社(ハンガリー)のHIT(Hidden Image Technology)がある(非特許文献1341頁参照)。一見して均一な濃度を有する平たんな模様の中に、微細な万線の位相によって不可視画像が施され、印刷物上に専用のシートを重ねると、ネガポジ状のどちらかに可視画像化された不可視画像が現れる。なお、この方法では通常視でも不可視画像が確認できてしまうおそれがあるため、カムフラージュ模様として万線の一部の画線幅を変化させて可視画像を設けている。また、白抜き画線によって可視画像を設けても良い。ただし、このカムフラージュ模様は、専用のシートを重ねて不可視画像を可視画像化した際、カモフラージュ模様も可視画像として同時に発現しているので、不可視画像の発現時の視認性を阻害するという問題がある。
【0011】
また、一般的に、点位相変調(Dot phase modulation)又は線位相変調(Line phase modulation)により形成された模様は、平たんな形状となっている。
【0012】
また、本願発明者らは、第1の方向に沿って、中心を境に対向するように配置された第1の画線及び第2の画線と、第1の方向と直交する第2の方向に沿って、中心を境に対向するように配置された第3の画線及び第4の画線とを有する画線要素が、一定のピッチで複数マトリクス状に配置されており、各々の画線要素における第1の画線と第2の画線、第3の画線と第4の画線は、ネガポジの関係にあり、第1の画線又は第2の画線により第1の不可視画像が形成され、第3の画線又は第4の画線により第2の不可視画像が形成されることを特徴とする偽造防止用印刷物を既に出願している(例えば、特許文献5参照)。
【0013】
この特許文献5による偽造防止用印刷物は、通常の観察において可視画像を設けることが可能で豊かなデザイン性と、簡易な判別具における潜像の高い視認性を有し、低コストで製造できるという優れた効果があるものの、高解像度なハードコピーにおける偽造防止策としては不十分であった。
【0014】
また、本願発明者らは、高解像度なハードコピーにおける偽造防止策として、印刷物に対し何らかの手段により不可視情報を埋め込み、何らかの手段によって不可視情報を読み取る方法を出願している。
【0015】
今日では、読み取り用のセンサーに合わせて様々な方法及び手段がある。印刷物の機械読み取り検査方法としては、磁性インキ、赤外線反射吸収インキ、蛍光インキ等の機能性インキや、印刷媒体を形成する繊維、材質、薬品類等による素材を検知するといったものが主流である。しかし、これらの技術は、人間に感知できない特定の電磁波等に起因するものであり、印刷物を作製する上で材料適性に依存するものが多く、生産コスト面において経済性の見合う製品にしか付与することができない。
【0016】
一方、印刷物の生産コストを特に考慮しない方法としては、可視できる一般印刷用のインキのような印刷材料が適用可能な印刷物上の模様に対する光学読み取り方法がある。比較的に容易な光学読み取り方法としては、OCR、OMR、バーコード、二次元コード等が公知であるが、これらの光学読み取り方法で用いられる図形は何ら意匠性を備えておらず、既存製品に用いる場合は、デザイン及び仕様の変更が要求される。
【0017】
また、これらの光学読み取り方法は広く市中に出回っている方法でもあり、符号が印刷画線として可視できるため、解読及び改竄の危険性も予想され、偽造、変造防止策として用いるには不十分である。
【0018】
さらに、同じく光学読み取り方法でデザイン等の意匠性を変えずに読み取り用情報を付与する方法として、一般に電子すかしと呼ばれる一連の技術がある。電子すかしは、コンシールドイメージ、デジタルすかしとも呼ばれ、主な用途として、高機能化したコピー技術やDTP技術におけるドキュメント・ファイル又はその印刷物に著作権情報を埋め込む技術である。印刷物における公知の代表的な技術としては、周波数利用型と呼ばれる方法がある。
【0019】
電子すかしは複製物においてもその周波数特性の劣化が少ないと言われ、最近では著作権保護の目的でインターネット上に配信されるデジタルイメージに施されることが多い。また、印刷物においてもその効果を奏することから、ポスターなどに利用されることも多くなってきた。
【0020】
電子すかしが最も効果を発揮できるのは、連続階調(写真階調)模様である。連続階調(写真階調)模様は多値画像データであるから、十分な冗長度が存在するので周波数利用型に限らず画素置換型、画素空間利用型、量子化誤差拡散型等の多くの方法が提案され、文献及び特許出願も数多く、今日注目を集めている技術の一つである。
【0021】
しかしながら、電子すかしの多くは一般商業印刷の画像分解能を対象に設計されているため、複製物においては元の情報がそのままコピーされるという特徴があり、複製物の著作権を示すため施策としては適しているが、オリジナルとコピーを区別することはできず、物品を真贋判定する技術としては不十分である。
【0022】
そこで、本発明者らは、「真偽判別可能な印刷物及び判別方法、並びに該印刷物への情報の埋め込み方法」(特許文献6)、「真偽判別可能な印刷物及び判別方法、並びに該印刷物への情報の埋め込み方法」(特許文献7)及び「印刷物並びに該印刷物の認証方法」(特許文献8)により、地紋、彩紋模様のような自由な曲線群から成る印刷画線を、機械的に識別することを特徴とする印刷物を既に出願している。しかし、これらの発明は線表現による彩紋模様などに適用される技術であるため、連続階調(写真階調)模様に適用することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特許第4132122号公報
【特許文献2】特許第4013450号公報
【特許文献3】特開2008−207335号公報
【特許文献4】特許第4415542号公報
【特許文献5】特許第4635160号公報
【特許文献6】特開2003−200647号公報
【特許文献7】特許第4542924号公報
【特許文献8】WO2006/106677号公報
【非特許文献】
【0024】
【非特許文献1】Optical Security and Counterfeit Deterrence Techniques IV Vol.4677 (by SPIE-The International Society for Optical Engineering )
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
偽造防止を必要とされる印刷物は、複写、複製、改ざん等などのあらゆる場面での偽造に抵抗し得る機能性が求められるが、限られた印刷面積において様々な真偽判別手段にて真偽判別を可能にする偽造防止用印刷画線はなく、用途・目的に応じた偽造防止用印刷画線の印刷領域を、限られた印刷面積の中で用途・目的別に複数備える必要があった。また、用途・目的に応じた偽造防止用印刷画線の印刷領域を複数備えることにより高コストとなる場合があった。これにより、限られた印刷面積の中で複数の偽造防止策が共有でき、ユーザーの仕様環境や立場に応じた真偽判別手段が選択できる偽造防止用印刷物が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の偽造防止用印刷物は、基材上に、少なくとも第1の色インキにより形成された第1の画像と、第1の色インキより低明度の第2のインキにより、第1の画像と少なくとも一部が重複するように形成された第2の画像を備え、第1の画像は、埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように設定された所定の間隔を有する同心形万線で形成され、第2の画像は、I)乃至III)のいずれか一つによって形成され、I)は、第1の画線、第2の画線及び第3の画線を有し、第1の方向に沿って、一定のピッチで中心を境に対向するように配置された第1の画線及び第2の画線と、第1の画線及び第2の画線が存在しない領域に配置された第3の画線がユニット内に形成され、ユニットは一定のピッチで第1の方向及び第1の方向と直交する第2の方向にマトリクス状に配置されており、ユニットのピッチの1/2又は略1/2のピッチで第1の画像及び第2の画像が形成され、各々のユニットにおける第1の画線と第2の画線は、いずれか一方がオンの場合、他方がオフの関係にあり、かつ、面積が同一又は略同一であり、第1の画線により第1の不可視画像のポジ画像又はネガ画像のいずれか一方が形成され、第2の画線により第1の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成され、第3の画線により可視画像が形成され、II)は、第3の画線、第4の画線及び第5の画線を有し、第2の方向に沿って、一定のピッチで中心を境に対向するように配置された第4の画線及び第5の画線と、第4の画線及び第5の画線が存在しない領域に配置された第3の画線がユニット内に形成され、ユニットは一定のピッチで第1の方向及び第1の方向と直交する第2の方向にマトリクス状に配置されており、ユニットのピッチの1/2又は略1/2のピッチで第4の画像及び第5の画像が形成され、各々のユニットにおける第4の画線と第5の画線は、いずれか一方がオンの場合、他方がオフの関係にあり、かつ、面積が同一又は略同一であり、第4の画線により第2の不可視画像のポジ画像又はネガ画像のいずれか一方が形成され、第5の画線により第2の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成され、第3の画線により可視画像が形成され、又は、III)は、第1の画線、第2の画線、第3の画線、第4の画線及び第5の画線を有し、第1の方向に沿って、一定のピッチで中心を境に対向するように配置された第1の画線及び第2の画線と、第1の方向と直交する第2の方向に沿って、一定のピッチで中心を境に対向するように配置された第4の画線及び第5の画線と、第1の画線、第2の画線、第4の画線及び第5の画線が存在しない領域に配置された第3の画線がユニット内に形成され、ユニットは一定のピッチで第1の方向及び第1の方向と直交する第2の方向にマトリクス状に配置されており、ユニットのピッチの1/2又は略1/2のピッチで第1の画像及び第2の画像が形成され、ユニットのピッチの1/2又は略1/2のピッチで第4の画像及び第5の画像が形成され、各々のユニットにおける第1の画線と第2の画線は、いずれか一方がオンの場合、他方がオフの関係にあり、かつ、面積が同一又は略同一であり、第4の画線と第5の画線は、いずれか一方がオンの場合、他方がオフの関係にあり、かつ、面積が同一又は略同一であり、第1の画線により第1の不可視画像のポジ画像又はネガ画像のいずれか一方が形成され、第2の画線により第1の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成され、第4の画線により第2の不可視画像のポジ画像又はネガ画像のいずれか一方が形成され、第5の画線により第2の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成され、第3の画線により可視画像が形成されたことを特徴とする。
【0027】
本発明の偽造防止用印刷物は、I)の場合において、第1の方向に沿って隣接して配置された二つのユニットが、一方のユニット内の第1の画線がオン、他方のユニット内の第2の画線がオンとなり、第1の画線及び第2の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第1の画線及び第2の画線の画線間の中心に第1の画線又は第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第1の濃度を緩和する画線が配置され、第1の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第1の画線及び第2の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第1の画線がオン、他方のユニット内の第2の画線がオンとなり、第1の画線及び第2の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第1の画線及び第2の画線の画線間の中心に第1の画線又は第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第2の濃度を緩和する画線が配置され、第1の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第1の画線及び第2の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第1の画線がオン、他方のユニット内の第1の画線がオン、又は中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第2の画線がオン、他方のユニット内の第2の画線がオンとなり、第1の画線の画線間又は第2の画線の画線間がユニットの略2個分の非画線部が生じた場合において、第1の画線又は第2の画線の画線間の中心に第1の画線又は第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第1の濃度を緩和する画線及び第2の濃度を緩和する画線が配置され、II)の場合において、第2の方向に沿って隣接して配置された二つのユニットが、一方のユニット内の第4の画線がオン、他方のユニット内の第5の画線がオンとなり、第4の画線及び第5の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第4の画線及び第5の画線の画線間の中心に第4の画線又は第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第3の濃度を緩和する画線が配置され、第2の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第4の画線及び第5の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第4の画線がオン、他方のユニット内の第5の画線がオンとなり、第4の画線及び第5の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第4の画線及び第5の画線の画線間の中心に第4の画線又は第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第4の濃度を緩和する画線が配置され、第2の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第4の画線及び第5の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第4の画線がオン、他方のユニット内の第4の画線がオン、又は中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第5の画線がオン、他方のユニット内の第5の画線がオンとなり、第4の画線の画線間又は第5の画線の画線間がユニットの略2個分の非画線部が生じた場合において、第4の画線又は第5の画線の画線間の中心に第4の画線又は第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第3の濃度を緩和する画線及び第4の濃度を緩和する画線が配置され、III)の場合において、第1の方向に沿って隣接して配置された二つのユニットが、一方のユニット内の第1の画線がオン、他方のユニット内の第2の画線がオンとなり、第1の画線及び第2の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第1の画線及び第2の画線の画線間の中心に第1の画線又は第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第1の濃度を緩和する画線が配置され、第1の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第1の画線及び第2の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第1の画線がオン、他方のユニット内の第2の画線がオンとなり、第1の画線及び第2の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第1の画線及び第2の画線の画線間の中心に第1の画線又は第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第2の濃度を緩和する画線が配置され、第1の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第1の画線及び第2の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第1の画線がオン、他方のユニット内の第1の画線がオン、又は中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第2の画線がオン、他方のユニット内の第2の画線がオンとなり、第1の画線の画線間又は第2の画線の画線間がユニットの略2個分の非画線部が生じた場合において、第1の画線又は第2の画線の画線間の中心に第1の画線又は第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第1の濃度を緩和する画線及び第2の濃度を緩和する画線が配置され、第2の方向に沿って隣接して配置された二つのユニットが、一方のユニット内の第4の画線がオン、他方のユニット内の第5の画線がオンとなり、第4の画線及び第5の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第4の画線及び第5の画線の画線間の中心に第4の画線又は第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第3の濃度を緩和する画線が配置され、第2の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第4の画線及び第5の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第4の画線がオン、他方のユニット内の第5の画線がオンとなり、第4の画線及び第5の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第4の画線及び第5の画線の画線間の中心に第4の画線又は第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第4の濃度を緩和する画線が配置され、第2の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第4の画線及び第5の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第4の画線がオン、他方のユニット内の第4の画線がオン、又は中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第5の画線がオン、他方のユニット内の第5の画線がオンとなり、第4の画線の画線間又は第5の画線の画線間がユニットの略2個分の非画線部が生じた場合において、第4の画線又は第5の画線の画線間の中心に第4の画線又は第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第3の濃度を緩和する画線及び第4の濃度を緩和する画線が配置されて成ることを特徴とする。
【0028】
本発明の偽造防止用印刷物は、第1の色インキがイエロー(Y)の色インキで形成され、第2の色インキがシアン(C)、マゼンタ(M)及びブラック(K)の色インキの少なくとも一つで形成されることを特徴とする。
【0029】
本発明の偽造防止用印刷物は、I)の場合において、第1の画線、第2の画線、第1の濃度を緩和する画線及び第2の濃度を緩和する画線は、ブラック(K)の色インキで形成され、第3の画線は、シアン(C)及び/又はマゼンタ(M)の色インキで形成され、同心形万線は、イエロー(Y)の色インキで形成され、II)の場合において、第4の画線、第5の画線、第3の濃度を緩和する画線及び第4の濃度を緩和する画線は、ブラック(K)の色インキで形成され、第3の画線は、シアン(C)及び/又はマゼンタ(M)の色インキで形成され、同心形万線は、イエロー(Y)の色インキで形成され、III)の場合において、第1の画線、第2の画線、第4の画線、第5の画線、第1の濃度を緩和する画線、第2の濃度を緩和する画線、第3の濃度を緩和する画線及び第4の濃度を緩和する画線は、ブラック(K)の色インキで形成され、第3の画線は、シアン(C)及び/又はマゼンタ(M)の色インキで形成され、同心形万線は、イエロー(Y)の色インキで形成されることを特徴とする。
【0030】
本発明の偽造防止用印刷物における第3の画線は、画線の大小、画線の濃淡又は画線の粗密から選択される一つの方法によって連続階調から成る可視画像が形成され、同心形万線は、同心形万線の画線幅を連続的に違えることによって連続階調から成る可視画像が形成されていることを特徴とする。
【0031】
本発明の偽造防止用印刷物は、ユニットにおける一辺の長さが1mm以下であることを特徴とする。
【0032】
本発明の偽造防止用印刷物における同心形万線が配置される領域は、下記に示すIV)乃至VI)のいずれか一つによって形成され、IV)は、同心形万線が配置される領域が複数分割され、複数に分割された各領域は、同一の中心点を共有する同心形万線が形成され、複数分割された各領域の同心形万線の画線の間隔は、領域ごとに異なる、V)は、同心形万線が配置される領域が複数分割され、複数に分割された各領域は、領域ごとに異なる中心点を有して同心形万線が形成され、複数分割された各領域の同心形万線の画線の間隔は、領域ごとに異なる、又はVI)は、同心形万線が配置される領域がリング状に複数分割され、複数に分割された各領域は、同一の中心点を共有する同心形万線が形成され、複数に分割された各領域の境界において、隣り合う一方の領域に備わる同心形万線の間隔と、他方の領域に備わる同心形万線の間隔との平均値からなる補間領域が設けられ、境界において同心形万線の連続性が保たれていることを特徴とする。
【0033】
本発明の偽造防止用印刷物は、同心形万線の画線の間隔が、ユニットの寸法よりも小さく、かつ50μm〜350μmであることを特徴とする。
【0034】
本発明の偽造防止用印刷物の作製装置は、偽造防止用印刷物の可視画像及び同心形万線のモチーフとなる画像を入力する画像入力手段と、画像入力手段で得られたモチーフとなる画像を同心形万線に形成するための第1の色インキの画像データと、第1の色インキより低明度の可視画像を形成するための第2のインキの画像データに色分解する色分解手段と、第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像を取得する第1の情報入力手段と、あらかじめ埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように設定された所定の間隔を有する同心形万線の情報を入力する第2の情報入力手段と、第1の不可視画像に第1の画線及び第2の画線を設定し、及び/又は第2の不可視画像に第4の画線及び第5の画線を設定し、各画線が設定された第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像に第2の色インキを設定し、第1の不可視画像データ及び/又は第2の不可視画像データを生成する第1の情報埋め込み手段と、第1の色インキの画像データに同心形万線の情報を設定し、同心形万線画像データを生成する第2の情報埋め込み手段と、第1の不可視画像データ及び/又は第2の不可視画像データと、同心形万線データ及び可視画像を形成するための第2のインキの画像データとを合成してドキュメント・ファイルを生成する画像合成手段と、ドキュメント・ファイルをもとに、第1の色インキ及び第2の色インキで基材に刷り重なって出力する出力手段を備えることを特徴とする。
【0035】
本発明の偽造防止用印刷物の作製装置は、偽造防止用印刷物の可視画像及び同心形万線のモチーフとなる画像を入力する画像入力手段と、画像入力手段で得られたモチーフとなる画像を同心形万線に形成するための第1の色インキの画像データと、第1の色インキより低明度の可視画像を形成するための第2のインキの画像データに色分解する色分解手段と、第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像を取得する第1の情報入力手段と、あらかじめ埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように設定された所定の間隔を有する同心形万線の情報を入力する第2の情報入力手段と、第1の不可視画像に第1の画線、第2の画線、第1の濃度を緩和する画線及び第2の濃度を緩和する画線を設定し、及び/又は第2の不可視画像に第4の画線、第5の画線、第3の濃度を緩和する画線及び第4の濃度を緩和する画線を設定し、各画線が設定された第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像に第2の色インキを設定し、第1の不可視画像データ及び/又は第2の不可視画像データを生成する第1の情報埋め込み手段と、第1の色インキの画像データに同心形万線の情報を設定し、同心形万線画像データを生成する第2の情報埋め込み手段と、第1の不可視画像データ及び/又は第2の不可視画像データと、同心形万線データ及び可視画像を形成するための第2のインキの画像データとを合成してドキュメント・ファイルを生成する画像合成手段と、ドキュメント・ファイルをもとに、第1の色インキ及び第2の色インキで基材に刷り重なって出力する出力手段を備えることを特徴とする。
【0036】
本発明の偽造防止用印刷物の作製装置は、第1の色インキがイエロー(Y)の色インキで形成され、第2の色インキがシアン(C)、マゼンタ(M)及びブラック(K)の色インキの少なくとも一つで形成されることを特徴とする。
【0037】
本発明の偽造防止用印刷物の作製方法は、画像入力手段によって、偽造防止用印刷物の可視画像及び同心形万線のモチーフとなる画像を入力するステップと、色分解手段によって、画像入力手段で得られたモチーフとなる画像を同心形万線に形成するための第1の色インキの画像データと、第1の色インキより低明度の可視画像を形成するための第2のインキの画像データに色分解するステップと、第1の情報入力によって、第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像を取得するステップと、第2の情報入力手段によって、あらかじめ埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように設定された所定の間隔を有する同心形万線の情報を入力するステップと、第1の情報埋め込み手段によって、第1の不可視画像に第1の画線及び第2の画線を設定し、及び/又は第2の不可視画像に第4の画線及び第5の画線を設定し、各画線が設定された第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像に第2の色インキを設定し、第2の不可視画像データ及び/又は第2の不可視画像データを生成するステップと、第2の情報埋め込み手段によって、第1の色インキの画像データに同心形万線の情報を設定し、同心形万線画像データを生成するステップと、画像合成手段によって、第1の不可視画像データ及び/又は第2の不可視画像データと、同心形万線データ及び可視画像を形成するための第2のインキの画像データとを合成してドキュメント・ファイルを生成するステップと、出力手段によって、ドキュメント・ファイルをもとに、第1の色インキ及び第2の色インキで基材に刷り重なって出力するステップを有することを特徴とする。
【0038】
本発明の偽造防止用印刷物の作製方法は、画像入力手段によって、偽造防止用印刷物の可視画像及び同心形万線のモチーフとなる画像を入力するステップと、色分解手段によって、画像入力手段で得られたモチーフとなる画像を同心形万線に形成するための第1の色インキの画像データと、第1の色インキより低明度の可視画像を形成するための第2のインキの画像データに色分解するステップと、第1の情報入力によって、第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像を取得するステップと、第2の情報入力手段によって、あらかじめ埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように設定された所定の間隔を有する同心形万線の情報を入力するステップと、第1の情報埋め込み手段によって、第1の不可視画像に第1の画線、第2の画線、第1の濃度を緩和する画線及び第2の濃度を緩和する画線を設定し、及び/又は第2の不可視画像に第4の画線、第5の画線、第3の濃度を緩和する画線及び第4の濃度を緩和する画線を設定し、各画線が設定された第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像に第2の色インキを設定し、第1の不可視画像データ及び/又は第2の不可視画像データを生成するステップと、第2の情報埋め込み手段によって、第1の色インキの画像データに同心形万線の情報を設定し、同心形万線画像データを生成するステップと、画像合成手段によって、第1の不可視画像データ及び/又は第2の不可視画像データと、同心形万線データ及び可視画像を形成するための第2のインキの画像データとを合成してドキュメント・ファイルを生成するステップと、出力手段によって、ドキュメント・ファイルをもとに、第1の色インキ及び第2の色インキで基材に刷り重なって出力するステップを有することを特徴とする。
【0039】
本発明の偽造防止用印刷物の作製方法は、第1の色インキがイエロー(Y)の色インキで形成され、第2の色インキがシアン(C)、マゼンタ(M)及びブラック(K)の色インキの少なくとも一つで形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0040】
本発明の偽造防止用印刷物は、第1の真偽判別方法と第2の真偽判別方法の二種類を備えたものであり、第1の真偽判別方法として偽造防止用印刷物に判別具を重ね合わせることで現出した不可視画像を視認でき、第2の真偽判別方法として、判別装置にて抽出された不可視情報を見ることにより、複数の判別方法により容易に真偽性を判別することができる。また、限られた印刷面積の中で複数の偽造防止策が共有でき、ユーザーの仕様環境や立場に応じた真偽判別手段が選択できる。また、本発明の偽造防止用印刷物における印刷模様に備える意匠性を有する可視画像は、単色の模様のほか、連続階調画像、フルカラー画像及びレインボー効果等、様々な美麗の表現が可能であり、不可視画像の発現時において視認性を阻害することはなく、印刷物に判別具を重ね合わせることによって、不可視画像が容易に、かつ、鮮明に可視画像へとスイッチして発現するという効果を奏する。
【0041】
さらに、本発明の偽造防止用印刷物は、画線の形状及び配置によって偽造防止効果をもたらすことが可能であることから、コストパフォーマンスに優れ、製版及び印刷方法も何ら限定されないため、印刷方式にも自由度があるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】印刷物1に判別具2を重ね合わせることで現出した不可視画像を視認でき、第2の真偽判別方法として、判別装置Rにて抽出された不可視情報が確認できる説明図。
【図2】印刷物1の印刷模様3を通常の可視条件において目視により観察した詳細な説明図。
【図3】印刷物1上に判別具2を所定の角度(これを0度とする)をもって重ね合わせると、第1の不可視画像4が可視画像となって発現され、印刷物1上に判別具2を所定の角度に対して90度を成す角度を持って重ね合わせると、第2の不可視画像5が可視画像となって発現された状態が示された図。
【図4】印刷模様3が光学式スキャナにて解像度1200dpiで画像入力され、1024×1024ピクセルから成る24ビットのRGB画像が生成された状態と、そのRGB画像のうちのBチャンネルをフーリエ変換して得られたFFTパターンが示された図。
【図5】印刷物上の所定の位置に、判別具2であるレンチキュラーレンズにおける各レンズの中心線7が画線Aの中心に一致するように載置された状態が示された図。
【図6】印刷物上の所定の位置に、判別具2であるレンチキュラーレンズにおける各レンズの中心線7が画線Bの中心に一致するように載置された状態が示された図。
【図7】印刷模様3に二種類の画線領域をもって構成された状態が示されたもので、本発明の画線構成をより詳細に説明するために印刷模様3の一部を部分的に拡大し、かつ、説明し易いように画線Eを黒ベタで表現した模式図。
【図8】印刷模様3が光学式スキャナにて解像度1200dpiで画像入力され、1024×1024ピクセルから成る24ビットのRGB画像が生成された状態と、そのRGB画像のうちのBチャンネルをフーリエ変換して得られたFFTパターンが示された図。
【図9】印刷模様3に三種類の画線領域をもって構成された状態が示されたもので、本発明の画線構成をより詳細に説明するために印刷模様3の一部を部分的に拡大し、かつ説明し易いように画線Eを黒ベタで表現した模式図。
【図10】印刷模様3が光学式スキャナにて解像度1200dpiで画像入力され、1024×1024ピクセルから成る24ビットのRGB画像が生成された状態と、そのRGB画像のうちのBチャンネルをフーリエ変換して得られたFFTパターンが示された図。
【図11】印刷模様3が三種類の領域から成り、領域a1、領域a2、領域a3それぞれの同心円万線の中心点Pが等しく、かつ、領域a1、領域a2、領域a3のそれぞれが、同心円万線の中心点Pから均等に三等分されて配置されている模式図。
【図12】印刷模様3が三種類の領域から成り、領域a1、領域a2、領域a3それぞれの同心円万線の中心点Pが異なり、かつ領域a1、領域a2、領域a3のそれぞれが、同じ領域面積を持って配置されている模式図。
【図13】印刷模様3が三種類の領域から成り、領域a1、領域a2、領域a3それぞれの同心円万線の中心点Pが等しく、かつ、中心点Pから領域a1、領域a2、領域a3の順にリング状に配置されている模式図。
【図14】本発明の連続階調画像に対してあらかじめ定められた埋め込むべき情報を付与する作製装置のブロック図。
【図15】本発明の連続階調画像に対してあらかじめ定められた埋め込むべき情報を付与する作製方法のフローチャート。
【図16】埋め込むべき情報ごとに、あらかじめ設定された複数組の間隔の中から選択されるためのデータテーブルが示された図。
【図17】本発明の印刷物の認証方法が示されたフローチャート。
【図18】ユニットの一例を簡易的に示した模式図。
【図19】肉眼視では濃度が不均衡になるのを緩和するための、画線の削除並びに追加を実行するアルゴリズムを示したフローチャート。
【図20】図19のアルゴリズムに従って、ユニット[h,v]の画線A’[h,v]が削除された状態が示された図。
【図21】図19のアルゴリズムに従って、画線A又は画線A’の半分又は略半分の画線面積を有する画線aと、画線Cが追加された状態が示された図。
【図22】ユニットの一例を簡易的に示した模式図。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施の形態1〜4による偽造防止用印刷物について、図面を用いて説明する。しかし、本発明は、以下に述べる実施の形態1〜4に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
【0044】
本発明の偽造防止用印刷物は、第1の真偽判別方法と第2の真偽判別方法の二種類を備えたものであり、第1の真偽判別方法として図1(a)に示されたように、印刷物1に判別具2を重ね合わせることで現出した不可視画像を視認でき、第2の真偽判別方法として図1(b)に示されたように、判別装置Rにて抽出された不可視情報を見ることにより、容易に真偽性を判別することができるものである。
【0045】
また、本発明の偽造防止用印刷物は、明度の異なる少なくとも二色以上の色インキが用いられるものである。好ましくは、本発明の偽造防止用印刷物は、第1の色インキがイエロー(Y)の色インキで形成され、第2の色インキがシアン(C)、マゼンタ(M)及びブラック(K)の色インキの少なくとも一つで形成されることを特徴とする。なお、第1の真偽判別方法としては、低明度の色インキが用いられ、第2の真偽判別方法としては、高明度の色インキが用いられるのが特徴である。ここでいう低明度とは、L*a*b*色表系のL値が70以上が好ましく、高明度とは、L*a*b*色表系のL値が50以下が好ましい。ただし、あくまでも目安であり、低明度の色インキと高明度の画線の色インキはL*a*b*色表系のL値が少なくとも20以上離れていれば十分な効果が望まれる。
【0046】
第1の真偽判別方法の判別具2は、透明性を有するフィルタに複数の直線が万線状に一方向に沿って形成された万線フィルタ又はレンチキュラーレンズ等である。なお、ここで、可視画像とは、通常の可視光のもとで目視により視認され得る画像であり、不可視画像とは、通常の可視光のもとで目視により視認され得ない、あるいは極めて視認され難い画像であり、万線フィルタ又はレンチキュラーレンズ等を重ねることで視認されるものである。一方、第2の真偽判別方法の判別装置Rは、主に光学式スキャナ等から成る読み取り手段R1、入力手段R2、演算手段R3及び表示手段R4を搭載したものである。これにより、印刷模様3に備わる空間周波数から算出された数値的な不可視情報を得るものである。
【0047】
図2は印刷物1の画線をさらに詳しく説明するものである。図1(a)に示されたように、印刷物1の印刷模様3を通常の可視条件において目視により観察すると、図2に示されたように、任意の図形、文字及び写真階調画像等から成る印刷模様3の可視画像が視認される。図2に示された印刷物1の印刷模様3は、図2の円内の部分拡大図のように、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)が所定の配置を有する複数の領域に備わり、画線Dは、シアン(C)と、マゼンタ(M)とで構成され、画線Aと、画線A’と、画線Bと、画線B’は、ブラック(K)で構成されている。図2の例では、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の四色で印刷模様3を構成しているが、このうち、第1の真偽判別方法に用いるべき最も低明度の色インキはブラック(K)であり、第2の真偽判別方法に用いるべき最も高明度の色インキは、この場合は、イエロー(Y)である。
【0048】
図2の円内の部分拡大図に示された、縦の寸法Sv及び横の寸法Shは、例えば、340μmというように1mm以下の大きさである。縦の寸法Svと横の寸法Shとで囲われた領域はユニットと称する最小単位であり、画線Aと、画線A’と、画線Bと、画線B’とにより、明度の低い色インキである、例えば、ブラック(K)によって不可視画像が構成されている。画線Aと、画線A’は、第1の方向に沿って、中心を境に対向するように配置され、画線Bと、画線B’は、第1の方向に対して直交する第2の方向に沿って、中心を境に対向するように配置される。図2の円内の部分拡大図に示す画線が、印刷物の表面上において一定のピッチで第1の方向及び第1の方向と直交する第2の方向にマトリクス状に規則的に配置される。画線Aと、画線A’とは、対を成しており、相互にオンオフの関係にある。一方、画線Bと、画線B’とは、対を成しており、相互にオンオフの関係にある。そして、画線Aと、画線A’とは、面積が同一であり、かつ、画線Bと、画線B’とは、面積が同一である。このような画線Aと、画線A’、画線Bと、画線B’とが存在することで通常の可視条件下では視認されず、画線Aのみにより第1の不可視画像(ネガ又はポジ)、画線A’のみにより第1の不可視画像(ポジ又はネガ)がそれぞれ形成され、さらに、画線Bのみにより第2の不可視画像(ネガ又はポジ)、画線B’のみにより不可視画像(ポジ又はネガ)がそれぞれ形成されている。
【0049】
また、図2の円内の部分拡大図に示された画線Dにより可視画像(デザイン:模様)を形成し、任意の図形及び文字から成る印刷模様3の可視画像を構成する画線となり、画線Dが画線Aと、画線A’と、画線Bと、画線B’とに挟まれるように配置されている。さらに、画線Dはシアン(C)とマゼンタ(M)の色インキによって構成され、一方、画線Eはイエロー(Y)の色インキによって構成され、画線A、画線A’、画線B、画線B’及び画線Dの位置関係とは異なる配置となっている。図2の円内に示されたように、画線Eの画線構成は、80μmの間隔dから成る同心円万線で構成されている。なお、間隔dは、縦の寸法Sv及び横の寸法Sh、すなわちユニットの寸法よりも小さいことが望ましい。画線Eの画線構成は、同心円万線で説明しているが本発明はこれに限定されることなく同心角等の同心形万線であればよい。
【0050】
図2に示された印刷物1の印刷模様3は、縦の寸法Svと横の寸法Shとで囲われたユニットがマトリクス状に縦横隙間なく、連続的に、かつ、規則的に配置されたものである。ユニットが印刷模様3上で繰り返されるステップ数に何ら制限はなく、このステップ数によって可視画像及び不可視画像の解像度と比例している。しかし、この状態では肉眼視で、マトリクス状に配置されたユニットの近傍部にて、例えば画線Aと、画線A’との双方がオン(有着色)になることで濃度が高く(濃く)見えたり、また、複数の画線Aと、複数の画線a’とがマトリクス状に配置されたユニットの近傍部にて画線Aと、画線a’との双方がオフ(無着色)になることで濃度が低く(淡く)見えたりして、肉眼視では濃度が不均衡となって見えることもある。
【0051】
この濃度が不均衡に見えるのを緩和するため、図18に示された画線a(第1の濃度を緩和する画線)、画線b(第3の濃度を緩和する画線)及び画線C(第2の濃度を緩和する画線及び第4の濃度を緩和する画線)を、それぞれ画線Dの領域中に配置することが好ましい。例えば、画線aは、画線A又は画線A’の半分の画線面積であり、ユニット縦方向上に配列し、画線A’と、画線Aとに挟まれるように配置されている。一方、画線Cは、画線A又は画線A’の半分の画線面積であり、ユニット縦方向上に配列し、画線Aと、画線A’とに挟まれるように配置されている。また、画線bは、画線B又は画線B’の半分の画線面積であり、ユニット横方向上に配列し、画線B’と、画線Bとに挟まれるように配置されている。一方、画線Cは、画線B又は画線B’の半分の画線面積であり、ユニット横方向上に配列し、画線Bと、画線B’とに挟まれるように配置されている。
【0052】
図19に示されたアルゴリズムによって最小単位であるユニット[h,v]ごとに、画線の削除並びに追加を実行するものである。原理を簡単に説明するため、縦方向の処理についてのみ説明する。なお、[v]はユニットを縦上から数えたステップ数で、[h]はユニットを横に数えたステップ数である。まず、処理f1にて、マトリクス状に配置した列ごとのユニット[h,v]において順次画線A[h,v]と、画線A’[h,v]の検知が行われる。なお、画線A[h,v]と、画線A’[h,v]を検知する方法は、例えば、印刷模様3がビットマップ形式の二値画像の場合、処理すべきユニット内において、一般的にラベリングと呼ばれる処理によって、画線A[h,v]及び/又は画線A’[h,v]を識別しても良い。
【0053】
次に、処理f2にて、ユニット[h,v]に画線A’[h,v]を有し、かつ、ユニット[h,v+1]に画線A[h,v+1]を有する条件に一致したとき、処理f3にて、ユニット[h,v]における本来配置される位置である画線A’[h,v]の削除が行われる。すなわち、図20(a)に示されるように、ユニット[h,v]、ユニット[h,v+1]、ユニット[h,v+2]の配置の際、ユニット[h,v]の画線A’[h,v]とユニット[h,v+1]の画線A[h,v+1]が隣接している場合、図20(b)に示されるように、ユニット[h,v]の画線A’[h,v]が削除される。また、処理f2の条件に一致しない場合は処理f4に移行する。
【0054】
次に、処理f4にて、ユニット[h,v]に画線A[h,v]を有し、かつ、ユニット[h,v+1]に画線A’[h,v+1]を有する条件に一致したとき、処理f5にて、ユニット[h,v]における画線a[h,v]の追加を行う。すなわち、図21(b)に示されるように、ユニット[h,v]とユニット[h,v+1]の中間に、画線A又は画線A’の半分の画線面積を有する画線aが追加される。これにより、ユニット[h,v]とユニット[h,v+1]間における肉眼視での濃度の不均衡が緩和される。なお、本発明でいう半分の画線面積とは、略半分の画線面積を含むものである。
【0055】
次に、処理f6にて、ユニット[h,v]に画線A’[h,v]を有し、ユニット[h,v+1]に画線がなく、かつ、ユニット[h,v+2]に画線A[h,v+2]を有する条件に一致したとき、処理f7にて、ユニット[h,v+1]における画線C[h,v+1]の追加を行う。すなわち、図21(c)に示されるように、ユニット[h,v+1]の画線A[h,v+1]が配置される位置に隣接する領域に、画線A又は画線A’の半分の画線面積を有する画線Cが追加される。これにより、ユニット[h,v]とユニット[h,v+2]間における肉眼視での濃度の不均衡が緩和される。
【0056】
次に、処理f8にて、ユニット[h,v]に画線A’[h,v]を有し、ユニット[h,v+1]に画線がなく、かつ、ユニット[h,v+2]に画線A’[h,v+2]を有する条件に一致したとき、処理f9にて、ユニット[h,v+1]における画線C[h,v+1]と、画線a[h,v+1]の追加を行う。すなわち、図21(d)に示されるように、ユニット[h,v+1]の画線A[h,v+1]が配置される領域に隣接する位置に、画線A又は画線A’の半分の画線面積を有する画線Cが追加され、ユニット[h,v+1]の画線A’[h,v+1]が配置される領域に隣接する位置に、画線A又は画線A’の半分の画線面積を有する画線aが追加される。これにより、ユニット[h,v]とユニット[h,v+2]間における肉眼視での濃度の不均衡が緩和される。なお、横方向においても画線Aを画線Bとし、画線A’を画線B’、ステップ数[v]をステップ数[h]に置き換え、同様の処理にて濃度の不均衡が緩和される。
【0057】
さらに、図2の円内の部分拡大図に示されたように、画線Dにおけるシアン(C)とマゼンタ(M)それぞれの色成分から成る画線面積率と、画線Eにおけるイエロー(Y)の色成分から成る画線面積率によってカラー表現が成されるものである。その際、画線Eは、同心円万線の画線幅を連続的に違えることによって表現されている。
【0058】
第1の真偽判別方法として、図1に示された印刷物1に判別具2を重ね合わせることにより、容易に第1の不可視画像又は第2の不可視画像を発現させて真偽性を判別することができるものである。判別具2は、透明性を有するフィルタに複数の直線が万線状に一方向に沿って形成された万線フィルタ又はレンチキュラーレンズ等である。万線フィルタ又はレンチキュラーレンズ等を重ねることなく印刷物1の印刷模様3を通常の可視条件において目視により観察すると、図2に示されたように、任意の図形、文字及び写真階調画像等から成る印刷模様3の可視画像が視認される。そして、印刷物1上に判別具2を所定の角度(これを0度とする)をもって重ね合わせると、図3(a)に示されたような第1の不可視画像4が可視画像となって発現する。また、印刷物1上に判別具2を所定の角度に対して90度を成す角度を持って重ね合わせると、図3(b)に示されたような第2の不可視画像5が可視画像となって発現する。第1の不可視画像4及び第2の不可視画像5がネガポジ状のどちらかに見えるのは、判別具2と印刷物1との間の相対的な位置によって生ずるものであり、本発明の効果の範囲内である。
【0059】
上記説明では、画線Aと、画線A’と、画線Bと、画線B’の構成によって第1の不可視画像4及び第2の不可視画像5を形成しているが本発明はこれに限定されることなく、図22に示すように画線Aと、画線A’で第1の不可視画像のみの構成又は画線Bと、画線B’によって第2の不可視画像のみの構成であってもよい。つまり、下記のI)乃至III)のいずれか一つによって形成することができる。
【0060】
I)は、第1の画線、第2の画線及び第3の画線を有し、第1の方向に沿って、一定のピッチで中心を境に対向するように配置された第1の画線及び第2の画線と、第1の画線及び第2の画線が存在しない領域に配置された第3の画線がユニット内に形成され、ユニットは一定のピッチで第1の方向及び第1の方向と直交する第2の方向にマトリクス状に配置されており、ユニットのピッチの1/2又は略1/2のピッチで第1の画像及び第2の画像が形成され、各々のユニットにおける第1の画線と第2の画線は、いずれか一方がオンの場合、他方がオフの関係にあり、かつ、面積が同一又は略同一であり、第1の画線により第1の不可視画像のポジ画像又はネガ画像のいずれか一方が形成され、第2の画線により第1の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成され、第3の画線により可視画像が形成される。
【0061】
II)は、第3の画線、第4の画線及び第5の画線を有し、第2の方向に沿って、一定のピッチで中心を境に対向するように配置された第4の画線及び第5の画線と、第4の画線及び第5の画線が存在しない領域に配置された第3の画線がユニット内に形成され、ユニットは一定のピッチで第1の方向及び第1の方向と直交する第2の方向にマトリクス状に配置されており、ユニットのピッチの1/2又は略1/2のピッチで第4の画像及び第5の画像が形成され、各々のユニットにおける第4の画線と第5の画線は、いずれか一方がオンの場合、他方がオフの関係にあり、かつ、面積が同一又は略同一であり、第4の画線により第2の不可視画像のポジ画像又はネガ画像のいずれか一方が形成され、第5の画線により第2の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成され、第3の画線により可視画像が形成される。
【0062】
III)は、第1の画線、第2の画線、第3の画線、第4の画線及び第5の画線を有し、第1の方向に沿って、一定のピッチで中心を境に対向するように配置された第1の画線及び第2の画線と、第1の方向と直交する第2の方向に沿って、一定のピッチで中心を境に対向するように配置された第4の画線及び第5の画線と、第1の画線、第2の画線、第4の画線及び第5の画線が存在しない領域に配置された第3の画線がユニット内に形成され、ユニットは一定のピッチで第1の方向及び第1の方向と直交する第2の方向にマトリクス状に配置されており、ユニットのピッチの1/2又は略1/2のピッチで第1の画像及び第2の画像が形成され、ユニットのピッチの1/2又は略1/2のピッチで第4の画像及び第5の画像が形成され、各々のユニットにおける第1の画線と第2の画線は、いずれか一方がオンの場合、他方がオフの関係にあり、かつ、面積が同一又は略同一であり、第4の画線と第5の画線は、いずれか一方がオンの場合、他方がオフの関係にあり、かつ、面積が同一又は略同一であり、第1の画線により第1の不可視画像のポジ画像又はネガ画像のいずれか一方が形成され、第2の画線により第1の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成され、第4の画線により第2の不可視画像のポジ画像又はネガ画像のいずれか一方が形成され、第5の画線により第2の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成され、第3の画線により可視画像が形成される。
【0063】
濃度の不均衡が緩和する画線においては、上記記載のI)乃至III)の場合において下記の構成によって形成することができる。
【0064】
I)の場合において、第1の方向に沿って隣接して配置された二つのユニットが、一方のユニット内の第1の画線がオン、他方のユニット内の第2の画線がオンとなり、第1の画線及び第2の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第1の画線及び第2の画線の画線間の中心に第1の画線又は第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第1の濃度を緩和する画線が配置され、第1の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第1の画線及び第2の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第1の画線がオン、他方のユニット内の第2の画線がオンとなり、第1の画線及び第2の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第1の画線及び第2の画線の画線間の中心に第1の画線又は第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第2の濃度を緩和する画線が配置され、第1の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第1の画線及び第2の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第1の画線がオン、他方のユニット内の第1の画線がオン、又は、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第2の画線がオン、他方のユニット内の第2の画線がオンとなり、第1の画線の画線間又は第2の画線の画線間がユニットの略2個分の非画線部が生じた場合において、第1の画線又は第2の画線の画線間の中心に第1の画線又は第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第1の濃度を緩和する画線及び第2の濃度を緩和する画線が配置される。
【0065】
II)の場合において、第2の方向に沿って隣接して配置された二つのユニットが、一方のユニット内の第4の画線がオン、他方のユニット内の第5の画線がオンとなり、第4の画線及び第5の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第4の画線及び第5の画線の画線間の中心に第4の画線又は第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第3の濃度を緩和する画線が配置され、第2の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第4の画線及び第5の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第4の画線がオン、他方のユニット内の第5の画線がオンとなり、第4の画線及び第5の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第4の画線及び第5の画線の画線間の中心に第4の画線又は第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第4の濃度を緩和する画線が配置され、第2の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第4の画線及び第5の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第4の画線がオン、他方のユニット内の第4の画線がオン、又は、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第5の画線がオン、他方のユニット内の第5の画線がオンとなり、第4の画線の画線間又は第5の画線の画線間がユニットの略2個分の非画線部が生じた場合において、第4の画線又は第5の画線の画線間の中心に第4の画線又は第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第3の濃度を緩和する画線及び第4の濃度を緩和する画線が配置される。
【0066】
III)の場合において、第1の方向に沿って隣接して配置された二つのユニットが、一方のユニット内の第1の画線がオン、他方のユニット内の第2の画線がオンとなり、第1の画線及び第2の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第1の画線及び第2の画線の画線間の中心に第1の画線又は第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第1の濃度を緩和する画線が配置され、第1の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第1の画線及び第2の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第1の画線がオン、他方のユニット内の第2の画線がオンとなり、第1の画線及び第2の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第1の画線及び第2の画線の画線間の中心に第1の画線又は第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第2の濃度を緩和する画線が配置され、第1の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第1の画線及び第2の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第1の画線がオン、他方のユニット内の第1の画線がオン、又は、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第2の画線がオン、他方のユニット内の第2の画線がオンとなり、第1の画線の画線間又は第2の画線の画線間がユニットの略2個分の非画線部が生じた場合において、第1の画線又は第2の画線の画線間の中心に第1の画線又は第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第1の濃度を緩和する画線及び第2の濃度を緩和する画線が配置され、第2の方向に沿って隣接して配置された二つのユニットが、一方のユニット内の第4の画線がオン、他方のユニット内の第5の画線がオンとなり、第4の画線及び第5の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第4の画線及び第5の画線の画線間の中心に第4の画線又は第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第3の濃度を緩和する画線が配置され、第2の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第4の画線及び第5の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第4の画線がオン、他方のユニット内の第5の画線がオンとなり、第4の画線及び第5の画線の画線間がユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、第4の画線及び第5の画線の画線間の中心に第4の画線又は第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第4の濃度を緩和する画線が配置され、第2の方向に沿って隣接して配置された三つのユニットが、中央のユニットには第4の画線及び第5の画線が共にオフ、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第4の画線がオン、他方のユニット内の第4の画線がオン、又は、中央のユニットに対して一方に隣接されたユニット内の第5の画線がオン、他方のユニット内の第5の画線がオンとなり、第4の画線の画線間又は第5の画線の画線間がユニットの略2個分の非画線部が生じた場合において、第4の画線又は第5の画線の画線間の中心に第4の画線又は第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第3の濃度を緩和する画線及び第4の濃度を緩和する画線が配置される。
【0067】
第2の真偽判別方法として、図2に示された印刷模様3は、光学式スキャナにて解像度1200dpiで画像入力され、図4(a)に示された1024×1024ピクセルから成る24ビットのRGB画像が生成される。図2に示した印刷物上にある印刷模様3に含まれる画線Eは、80μmの間隔d1から成る同心円万線で配置され、画線Eを構成する同心円万線は細画線かつ、明度の高いイエロー(Y)の色インキで印刷されてあるため目視では同心円万線で構成されていることは視認できない。さらに、明度の低い画線A、画線A’、画線B、画線B’及び画線Dが同時に刷り重なっているため、それらがカモフラージュ模様となり、画線Eを構成する同心円万線が視認されることはない。画線A、画線A’、画線B、画線B’及び画線Dは、画線Eを形成した同心円万線の周波数成分とは異なる周波数成分から成る同心円万線と異なる形状を成す画線群によって形成される。図4(b)は、図4(a)に示されたRGB画像のうちのBチャンネルをフーリエ変換して得られたFFTパターンである。なお、空間周波数の特徴をわかりやすく説明するため、図4(b)のFFTパターンの第IV象限には、周波数強度グラフを重ねて表示している。図4(b)の周波数強度グラフに示されたように、強度ピークの逆空間距離qd1が見られる。これは、図2に示された間隔dが逆空間上に現れたものである。FFTパターン上の強度ピークの逆空間距離については、画像入力に関わる各種パラメータ、すなわち、図2に示された印刷物上にある領域a1に備わる80μmの間隔dを実空間距離としたとき、画像の一辺のピクセル数と、画像の解像度がわかっていれば、数1によっても容易に算出できる。
【0068】
【数1】
【0069】
図4(a)のRGB画像には図2に示された画線Eが含まれるため、画線Eに備わる同心円万線の画線の間隔d1がもたらす強度ピークの逆空間距離qd1は、図4(b)に示されているようにFFTパターンの中心から271ピクセルの位置に現れる。また、画線A、画線A’、画線B、画線B’及び画線Dは、縦の寸法Svと横の寸法Shとで囲われた領域、すなわちユニットの中にあるため、縦の寸法Svがもたらす強度ピークの逆空間距離qvは、図4(b)に示されているようにFFTパターンの中心から64ピクセルの位置に現れる。さらに、横の寸法Shがもたらす強度ピークの逆空間距離qhは、図4(b)に示されているようにFFTパターンの中心から64ピクセルの位置に現れる。このように、画線Eと、画線A、画線A’、画線B、画線B’及び画線Dとでは、異なる空間周波数として顕著に現れる。
【0070】
(1)実施の形態1
本実施の形態1では、第1の真偽判別方法と第2の真偽判別方法とに関わる画線構成をより具体的に説明する。図5及び図6は、本発明の画線構成をより詳細に説明するために印刷模様3の一部を部分的に拡大した模式図である。画線A、画線A’、画線B、画線B’及び画線Dは、縦の寸法Sと横の寸法Sとで囲われた領域、すなわちユニットの中にあり、画線Eは、間隔dを成す同心円で構成している。
【0071】
まず、第1の真偽判別方法として、図5(a)に示されたように、印刷物上の所定の位置に、判別具2であるレンチキュラーレンズにおける各レンズの中心線7が画線Aの中心に一致するように載置する。この場合、図5(b)に示されたようにレンチキュラーレンズの作用によって画線Aが拡大された状態となるため、画線Aにより構成されている第1の不可視画像である「A」の文字を確認することができることとなる。その際、可視画像を構成していた画線Dは、レンチキュラーレンズの各レンズの中心線7と一致せず、判別具2の真上から視認されることはない。また、画線A’が拡大されるように、縦軸方向に沿って判別具2の各レンズの中心線7が画線A’の中心と一致するように移動させた場合、画線A’により視認された第1の不可視画像がネガポジ反転して視認される。また、画線A及び画線A’は明度の低いブラック(K)の色インキで印刷され、画線Eは明度の高いイエロー(Y)で印刷されていることから、判別具2であるレンチキュラーレンズにおけるイエロー(Y)は、明度差の違いによりほとんど視認されることはなく、第1の真偽判別方法に何ら影響されることはない。さらに、第2の真偽判別方法を有効に作用させるものとして、間隔dは寸法Sよりも短い距離となっている。
【0072】
また、第1の真偽判別方法として、図6(a)に示されたように、印刷物上の所定の位置に、判別具2であるレンチキュラーレンズにおける各レンズの中心線7が画線Bの中心に一致するように載置する。この場合、図6(b)に示されたようにレンチキュラーレンズの作用によって画線Bが拡大された状態となるため、画線Bにより構成されている第2の不可視画像である「B」の文字を確認することができることとなる。その際、可視画像を構成していた画線Dは、レンチキュラーレンズの各レンズの中心線7と一致せず、判別具2の真上から視認されることはない。また、画線B’が拡大されるように、縦軸方向に沿って判別具2の各レンズの中心線7が画線B’の中心と一致するように移動させた場合、画線B’により視認された第2の不可視画像がネガポジ反転して視認される。また、画線B、画線B’は明度の低いブラック(K)の色インキで印刷され、画線Eは明度の高いイエロー(Y)で印刷されていることから、判別具2であるレンチキュラーレンズにおけるイエロー(Y)は、明度差の違いによりほとんど視認されることはなく、第1の真偽判別方法に何ら影響されることはない。さらに、第2の真偽判別方法を有効に作用させるものとして、間隔dは寸法Sよりも短い距離となっている。
【0073】
ここで判別具2は、レンチキュラーレンズに限らず、例えば、万線フィルタであっても同様の効果が得られる。この万線フィルタの場合は、フィルタ上の万線に該当する部分が可視画像を構成する画線を隠蔽することで、不可視画像を構成する画線のみを確認できることとなるが、可視画像を完全には隠蔽することができずに若干視認されてしまうことがある。ただし、これによって本発明の効果を損なうことはないため、簡易的に判別を行うには、万線フィルタを用いても充分である。
【0074】
可視画像を構成する画線Dは、意匠性を備え、単色の模様の他、網点、グレースケール的に適当な濃度で着色された相対的な写真階調、ランダム・ドットのディザ法等公知の表現方法から成る連続階調画像を適用できる。すなわち、連続階調を有する有意味な可視画像は、ハイライトからシャドーの連続階調を有していれば顔画像、文字、数字、図柄、絵柄、ロゴマーク等、特に限定されるものではない。可視画像は、文字、数字、図柄、絵柄、ロゴマーク等、特に限定されるものではない。なお、身分証明書、入場券等の本人確認が必要とされる印刷物を形成する場合は、連続階調を有する有意味な可視画像に顔画像とし、不可視画像を個人情報や発行日とすることが好ましい。本発明の連続階調を有する偽造防止用印刷物の印刷方式は、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ、オフセット印刷機等、特に限定されるものではない。本発明の連続階調を有する偽造防止用印刷物の基材は、紙、プラスチック等、特に限定されるものではない。
【0075】
(2)実施の形態2
本実施の形態2は、第2の真偽判別方法において不可視情報の情報量を増やすための施策である。図7は、印刷模様3に二種類の画線領域をもって構成された状態が示されたもので、本発明の画線構成をより詳細に説明するために印刷模様3の一部を部分的に拡大し、かつ説明し易いように画線Eを黒ベタで表現した模式図である。
【0076】
図7に示された二種類の画線領域で構成された印刷模様3は、光学式スキャナにて解像度1200dpiで画像入力され、図8(a)に示された1024×1024ピクセルから成る24ビットのRGB画像が生成される。図7に示された印刷物1上にある高明度の色インキから成る画像の領域a1は、80μmの間隔d1から成る同心円万線で配置され、領域a2は、100μmの間隔d2から成る同心円万線で配置され、領域a1及び領域a2を構成する同心円万線は細画線かつ、明度の高い色インキで印刷されてあるため目視では同心円万線で構成されていることは視認できない。さらに、明度の低い画線A、画線A’、画線B、画線B’及び画線Dが同時に刷り重なっているため、それらがカモフラージュ模様となり、領域a1及び領域a2を構成する同心円万線が視認されることはない。画線A、画線A’、画線B、画線B’及び画線Dは、画線Eを形成した同心円万線の周波数成分とは異なる周波数成分によって形成される。なお、間隔d1及び間隔d2は、の寸法Sよりも小さいことが望ましい。
【0077】
図8(b)は、図8(a)に示されたRGB画像のうちのBチャンネルをフーリエ変換して得られたFFTパターンである。図4と同様に、空間周波数の特徴をわかりやすく説明するため、図8(b)のFFTパターンの第IV象限には、周波数強度グラフを重ねて表示している。図8(b)の周波数強度グラフに示されたように、強度ピークの逆空間距離qd1と逆空間距離qd2が見られる。
【0078】
数1の算出でも示されるように、図8(a)のRGB画像には図7に示された領域a1が含まれているため、領域a1に備わる同心円万線の画線の間隔d1がもたらす強度ピークの逆空間距離qd1は、図8(b)に示されているようにFFTパターンの中心から271ピクセルの位置に現れる。さらに、図8(a)のRGB画像には図7に示された領域a2も含まれているため、領域a2に備わる同心円万線の画線の間隔d2がもたらす強度ピークの逆空間距離qd2は、図8(b)に示されているようにFFTパターンの中心から217ピクセルの位置に現れる。
【0079】
また、図9は、印刷模様3に三種類の画線領域をもって構成された状態が示されたもので、本発明の画線構成をより詳細に説明するために印刷模様3の一部を部分的に拡大し、かつ説明し易いように画線Eを黒ベタで表現した模式図である。
【0080】
図9に示された三つの領域で構成された印刷模様3は、光学式スキャナにて解像度1200dpiで画像入力され、図10(a)に示された1024×1024ピクセルから成る24ビットのRGB画像が生成される。図9に示された印刷物1上にある高明度の色インキから成る画像の領域a1は、80μmの間隔d1から成る同心円万線で配置され、領域a2は、100μmの間隔d2から成る同心円万線で配置され、領域a3は、130μmの間隔d3から成る同心円万線で配置され、領域a1、領域a2及び領域a3を構成する同心円万線は細画線かつ、明度の高い色インキで印刷されてあるため目視では同心円万線で構成されていることは視認できない。さらに、明度の低い画線A、画線A’、画線B、画線B’及び画線Dが同時に刷り重なっているため、それらがカモフラージュ模様となり、領域a1、領域a2及び領域a3を構成する同心円万線が視認されることはない。画線A、画線A’、画線B、画線B’及び画線Dは、画線Eを形成した同心円万線の周波数成分とは異なる周波数成分によって形成される。なお、間隔d1、間隔d2及び間隔d3は、ユニットの寸法Sよりも小さいことが望ましい。
【0081】
図10(b)は、図10(a)に示されたRGB画像のうちのBチャンネルをフーリエ変換して得られたFFTパターンである。図4又は図8と同様に、空間周波数の特徴をわかりやすく説明するため、図10(b)のFFTパターンの第IV象限には、周波数強度グラフを重ねて表示している。図10(b)の周波数強度グラフに示されたように、強度ピークの逆空間距離qd1と逆空間距離qd2と逆空間距離qd3が見られる。
【0082】
数1の算出でも示されるように、図10(a)のRGB画像には図9に示された領域a1が含まれているため、領域a1に備わる同心円万線の画線の間隔d1がもたらす強度ピークの逆空間距離qd1は、図10(b)に示されているようにFFTパターンの中心から271ピクセルの位置に現れる。さらに、図10(a)のRGB画像には図9に示された領域a2も含まれているため、領域a2に備わる同心円万線の画線の間隔d2がもたらす強度ピークの逆空間距離qd2は、図10(b)に示されているようにFFTパターンの中心から217ピクセルの位置に現れる。またさらに、図10(a)のRGB画像には図9に示された領域a3も含まれているため、領域a3に備わる同心円万線の画線の間隔d3がもたらす強度ピークの逆空間距離qd3は、図10(b)に示されているようにFFTパターンの中心から167ピクセルの位置に現れる。
【0083】
また、図11は、図10の模式図と同様に、三種類の領域から成り、図9の画線Eと同じく、80μmの間隔d1から成る同心円万線で配置された領域a1と、100μmの間隔d2から成る同心円万線で配置された領域a2と、130μmの間隔d3から成る同心円万線で配置された領域a3とによって構成されている。図11の模式図に示されたように、領域a1、領域a2、領域a3それぞれの同心円万線の中心点Pが等しく、かつ領域a1、領域a2、領域a3のそれぞれが、同心円万線の中心点Pから均等に三等分されて配置されている。この場合においても、領域a1、領域a2及び領域a3の空間周波数の特徴を明瞭に識別することができる。
【0084】
つまり、図9及び図11の同心円画線を用いた偽造防止用印刷物は、同心円万線が配置される領域が、複数分割され、複数に分割された各領域は、同一の中心点を共有する同心円万線が形成され、複数分割された各領域の同心円万線の画線の間隔は、領域ごとに異なることを特徴としている。
【0085】
さらに、図12は、図9及び図11の模式図と同様に、三種類の領域から成り、図11の画線Eと同じく、80μmの間隔d1から成る同心円万線で配置された領域a1と、100μmの間隔d2から成る同心円万線で配置された領域a2と、130μmの間隔d3から成る同心円万線で配置された領域a3とによって構成されている。図12の模式図に示されたように、領域a1、領域a2、領域a3それぞれの同心円万線の中心点Pが異なり、かつ、領域a1、領域a2、領域a3のそれぞれが、同じ領域面積を持って配置されている。この場合においても、領域a1、領域a2、領域a3の空間周波数の特徴を明瞭に識別することができる。
【0086】
つまり、図12の同心円画線を用いた偽造防止用印刷物は、同心円万線が配置される領域が、複数分割され、複数に分割された各領域は、領域ごとに異なる中心点を有して同心円万線が形成され、複数分割された各領域の同心円万線の画線の間隔は、領域ごとに異なることを特徴としている。
【0087】
なお、図9、図11及び図12の模式図に示されたそれぞれの領域は、実施の形態1に示されたように、同心円万線の間隔d1の範囲でそれぞれ個々の画線の中心線から画線幅を連続的に違えることによって連続階調が表現されるものである。
【0088】
上記説明では、最も明度の高い所定の色要素であるイエロー(Y)に同心円万線から成る画線Eを形成し、残りの色素であるシアン(C)及びマゼンタ(M)に所定の位置から成る画線Dを形成して説明しているが、本発明は上記構成に限定されることなく、複数の色要素のうち、最も明度の高い所定の色要素を抽出し、所定の色要素から成る画像が埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように形成すればよい。また、同心円万線の画線の間隔が、50μm〜350μmであり、あることが好ましい。
【0089】
本発明の偽造防止用印刷物は、同心円万線の画線の間隔は、埋め込むべき情報ごとに、あらかじめ設定された複数組の間隔の中から選択されている。例えば、図16のデータテーブルに示されたように、図4(b)に示されたFFTパターンを得るためのデータとしてはCode 1が適用され、図8(b)に示されたFFTパターンを得るためのデータとしてはCode 2が適用され、図10(b)に示されたFFTパターンを得るためのデータとしてはCode 3が適用される。このデータテーブルに埋め込むべき情報が多く登録されているほど真偽判別用の情報を活用できるものである。
【0090】
本発明は、面表現の領域において同心円万線、すなわち規則性を有する複数本の細画線を有することにより、スキャナ、複写機等のデジタル機器による高解像度入力画像では識別可能であるが、人間にとって視覚で認識困難な微細かつ規則性を有する部分を付与し、得られた印刷物に対してデジタル機器上で証券用線画の間隔の相関を分析し、印刷物に埋め込まれた情報を識別することで真偽判別が可能であり、また、その情報に基づき偽造等に利用する複写機等デジタル機器の動作停止等のアクションを可能とするものである。
【0091】
(3)実施の形態3
本実施の形態3は、複数の領域がリング状に配置し、かつ、それぞれの領域の境界において、それぞれの領域に備わる同心円万線が自然な連続性が保たれている位置関係について述べるものである。本実施の形態3について、図面を用いて詳細に説明する。
【0092】
本発明における領域に備わる同心円万線は、イエロー(Y)のような明度の高い色インキで印刷されるので、肉眼視において全体的な連続階調は視認できても画線形状を識別できるものではない。しかし、画線の位置関係により更に識別できないようにすることもできる。図13は、中心点Pから同じ距離を持って形成された同心円万線に見えるが、実際には図9、図11及び図12の模式図と同様に、三種類の領域によって構成されている。図9の画線Eと同じく、80μmの間隔d1から成る同心円万線で配置された領域a1と、100μmの間隔d2から成る同心円万線で配置された領域a2と、130μmの間隔d3から成る同心円万線で配置された領域a3とによって構成されている。
【0093】
図13(a)の模式図は、領域a1、領域a2、領域a3それぞれの同心円万線の中心点Pが等しく、かつ、中心点Pから領域a1、領域a2、領域a3の順にリング状に配置されたものである。まず、領域a1は中心点Pから間隔d1で形成された同心円万線である。領域a1の外側に、領域a1の同心円万線の間隔d1と領域a2の同心円万線の間隔d2との平均値からなる補間間隔X1が設けられ領域a2がリング状に配置される。領域a2は間隔d2で形成された同心円万線である。領域a2の外側に、領域a2の同心円万線の間隔d2と領域a3の同心円万線の間隔d3との平均値からなる補間間隔X2が設けられ領域a3がリング状に配置される。領域a3は間隔d3で形成された同心円万線である。
【0094】
一方、図13(b)の模式図は、領域a3、領域a2、領域a1それぞれの同心円万線の中心点Pが等しく、かつ、中心点Pから領域a3、領域a2、領域a1の順にリング状に配置されたものである。まず、領域a3は中心点Pから間隔d3で形成された同心円万線である。領域a3の外側に、領域a3の同心円万線の間隔d3と領域a2の同心円万線の間隔d2との平均値からなる補間間隔X2が設けられ領域a2がリング状に配置される。領域a2は間隔d2で形成された同心円万線である。領域a2の外側に、領域a2の同心円万線の間隔d2と領域a1の同心円万線の間隔d1との平均値からなる補間間隔X1が設けられ領域a1がリング状に配置される。領域a1は間隔d1で形成された同心円万線である。
【0095】
これにより、図13(a)及び図13(b)の画線構成は、領域a1、領域a2及び領域a3が順にリング状に配置していながらも、それぞれの領域の境界において同心円万線が自然な連続性が保たれている。また、図13(a)及び図13(b)の画線構成はそれぞれ等しく、領域a1、領域a2及び領域a3の空間周波数の特徴を明瞭に識別することができる。
【0096】
なお、図13(a)及び図13(b)の模式図に示されたそれぞれの領域は、実施の形態1に示されたように、同心円万線の間隔d1の範囲でそれぞれ個々の画線の中心線から画線幅を連続的に違えることによって連続階調が表現されるものである。
【0097】
つまり、図13の同心円画線を用いた偽造防止用印刷物は、同心円万線が配置される領域が、リング状に複数分割され、複数に分割された各領域は、同一の中心点を共有する同心円万線が形成され、複数に分割された各領域の境界において、隣り合う一方の領域に備わる同心円万線の間隔と、他方の領域に備わる同心円万線の間隔との平均値からなる補間領域が設けられ、境界において同心円万線の連続性が保たれていることを特徴とする。
【0098】
(4)実施の形態4
上述した実施の形態1乃至実施の形態3で示されたように、本発明は連続階調画像に対してあらかじめ定められた埋め込むべき情報を付与するもので、本実施の形態4では、作製装置と作製方法について説明する。
【0099】
本実施の形態4における作製装置は、図14のブロック図に示されるように、画像入力手段M1、第1の情報入力手段M2、第2の情報入力手段M3、出力手段M4、表示手段M5、編集手段M6、書式データベースM7及び通信インターフェースM8を備えている。編集手段M6は、色分解手段M6a、第1の情報埋め込み手段M6b、第2の情報埋め込み手段M6c及び画像合成手段M6dを有する。
【0100】
画像入力手段M1は、偽造防止用印刷物の可視画像及び同心円万線のモチーフとなる画像が入力される。画像入力手段M1は、カメラ、デジタルカメラ、スキャナ等であり、特に限定されるものではない。また、後述する書式データベースと同じパソコン内に登録されている個人情報が入力された個人情報データベース、通信インターフェースによってあらかじめ個人情報が入力された外部データベースサーバ等から可視情報を得ることができる。
【0101】
第1の情報入力手段M2は、キーボード等からの入力、また、後述する書式データベースM7と同じパソコン内に登録されている画像又はテキストの不可視情報が入力されたデータベース、通信インターフェースM8よってあらかじめ不可視情報が入力された外部のデータベースサーバから第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像を得ることができる。
【0102】
第2の情報入力手段M3は、埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように設定された所定の間隔を有する同心円万線の情報を入力する。例えば、キーボード等からの入力、また、後述する書式データベースM7と同じパソコン内に登録されている情報が入力されたデータベース(図示せず)、通信インターフェースよってあらかじめ定められた埋め込むべき情報が入力された外部データベースサーバ(図示せず)から情報を得ることができる。なお、同じパソコン内に登録されている情報が入力されたデータベースは、記憶手段(図示せず)に設けられ、埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように設定された所定の間隔を有する同心円万線の情報が保存されている。
【0103】
出力手段M4は、色チャンネルとして複数保持できるドキュメント・ファイルに書き出し、又はドキュメント・ファイルが、所定の色インキ(例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K))で基材に刷り重なって出力される。ドキュメント・ファイルの形式は特に限定されるものではない。
【0104】
表示手段M5は、パソコンのモニタ、専用のモニタ等、特に限定されるものではない。
【0105】
色分解手段M6aは、画像入力手段M1で得られたモチーフとなる画像を同心形万線に形成するための第1の色インキの画像データと、第1の色インキより低明度の可視画像を形成するための第2のインキの画像データに色分解する。
【0106】
第1の情報埋め込み手段M6bは、第1の不可視画像に第1の画線(画線A)、第2の画線(画線A’)を設定し、及び/又は第2の不可視画像に第4の画線(画線B)、第5の画線(画線B’)を設定する。各画線が設定された第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像に第2の色インキ(明度の低い所定の色要素)を設定し、第1の不可視画像データ及び/又は第2の不可視画像データを生成する。第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像において、例えば発行日付等のタイムスタンプなどを埋め込み情報とし、第1の情報入力手段M2から、例えばキーボードからの入力又は通信インターフェースM8からの通信情報にて得る。濃度を緩和する画線を形成する場合は、第1の情報埋め込み手段M6bは、第1の不可視画像に第1の画線(画線A)、第2の画線(画線A’)、第1の濃度を緩和する画線(a)及び第2の濃度を緩和する画線(C)を設定し、及び/又は第2の不可視画像に第4の画線(画線B)、第5の画線(画線B’)、第3の濃度を緩和する画線(b)及び第4の濃度を緩和する画線(C)を設定する。各画線が設定された第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像に第2の色インキ(明度の低い所定の色要素)を設定し、第1の不可視画像データ及び/又は第2の不可視画像データを生成する。
【0107】
第2の情報埋め込み手段M6cは、色分解手段M6aにて同心形万線に形成するための第1の色インキ(最も明度の高い所定の色要素)の画像データに、埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように設定された所定の間隔を有する同心円万線の情報が第2の情報入力手段M3によって入力され、同心円万線データを生成される。第1の色インキより低明度の可視画像を形成するための第2のインキの画像データに同心円万線と異なる少なくとも一つの画線群データを生成する。
【0108】
画像合成手段M6dは、第1の不可視画像データ及び/又は第2の不可視画像データと、同心形万線データ(最も明度の高い所定の色要素)及び可視画像を形成するための第2のインキの画像データ(画線群データ)とを合成してドキュメント・ファイルを生成する。例えば、最も明度の高い色要素がイエロー成分とした同心円万線データと、残りの色素がマゼンタ成分の画線群データ及びシアン成分の画線群データと、第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像が施されたブラック成分の画線群データとを合成してドキュメント・ファイルを生成する。
【0109】
書式データベースM7は、カラー画像入力手段M1、第1の情報入力手段M2及び第2の情報入力手段M3以外に必要なデータが格納されている。具体的には、例えばカード台紙模様を編集手段M6に送り、画像合成手段M6dにて印刷模様3、印刷画像4又は印刷画像5と合成される。
【0110】
通信インターフェースM8は、RS−232C、IEEE1394等であり、特に限定されるものではない。
【0111】
本実施の形態による作製方法は、図14に示された作製装置を用いて、図15のフローチャートに示された処理ステップによって実行されるものである。
【0112】
まず、ステップf1では、画像入力手段M1にて本発明の偽造防止用印刷物の可視画像及び同心円万線のモチーフとなる画像を入力する。例えば、入力されるのはビットマップ多値画像であり、画像の保存形式、画素数等に何ら制限はない。さらに、ステップf4に示された可視画像及び同心円万線のモチーフとなる画像の色分解は、図14に示された編集手段M6に含まれる色分解手段M6aによって行われる。ステップf4は、色分解手段M6aによって可視画像及び同心円万線のモチーフとなる画像を印刷可能な所定の色チャンネルに色分解され、モチーフとなる画像を同心形万線に形成するための第1の色インキの画像データ(最も明度の高い色要素)と、第1の色インキより低明度の可視画像を形成するための第2のインキの画像データ(残りの色素)に色分解する。
【0113】
次に、ステップf3では、第1の情報入力手段M2にて、図2に示された画線A、画線A’、画線B及び画線B’の領域に配置される不可視画像が構築される。さらに、濃度を緩和する画線を形成する場合は、第1の濃度を緩和する画線、第2の濃度を緩和する画線、第3の濃度を緩和する画線及び第4の濃度を緩和する画線を設定する。不可視画像への構築は、図14に示された、編集手段M6に含まれる画像合成手段M6dによって行われる。
【0114】
次に、ステップf7にて、画線A、画線A’、画線B及び画線B’が生成される。画線の生成は、図14に示された、編集手段M6に含まれる画像合成手段M6dによって行われる。
【0115】
次に、ステップf2では、第2の情報入力手段M3にて埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように設定された所定の間隔を有する同心円万線の情報を入力する。例えば、入力される情報は、キーボード等からの入力、また、書式データベースM7と同じパソコン内に登録されている情報が入力されたデータベース(図示せず)、通信インターフェースM8によってあらかじめ情報が入力された外部データベースサーバ(図示せず)から情報を得ることができる。なお、同じパソコン内に登録されている情報が入力されたデータベースは、記憶手段(図示せず)に設けられ、埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように設定された所定の間隔を有する同心円万線の情報が保存されている。
【0116】
さらに、図14に示された編集手段M6に含まれる第2の情報埋め込み手段M6cによって、ステップf5では、シアン用画像とマゼンタ用画像によって形成される画線群データである画線Dが生成され、ステップf6では、抽出された情報を最も明度の高い所定の色要素に同心円万線データを生成する。例えば、入力された埋め込むべき情報によって定義されたイエロー用画像のための画線Eが生成される。
【0117】
次に、ステップf8乃至10において、ステップf4の色分解で得られた最も明度の高い所定の色要素及び残りの色素に各チャンネル出力がされる。次に、ステップf12乃至14において、ステップf8乃至10で作製した各チャンネル出力を各画線に適用させる。例えば、シアン用画像は、ステップf8においてドキュメント・ファイルのシアンチャンネルに出力され、また、ステップf4の色分解で得られたマゼンタ用画像は、ステップf9においてドキュメント・ファイルのマゼンタチャンネルに出力され、さらに、ステップf4の色分解で得られたイエロー用画像は、ステップf10においてドキュメント・ファイルのイエローチャンネルに出力される。さらに、ステップf7の画線A、画線A’、画線B及び画線B’の生成で得られたブラック用画像は、ステップf11においてドキュメント・ファイルのブラックチャンネルに出力される。
【0118】
そして、ステップf5で得られた画線Dは、ステップf12においてシアンチャンネルに適用され、ステップf13においてマゼンタチャンネルに適用される。そしてさらに、ステップf6で得られた画線Eは、ステップf14においてイエローチャンネルに適用される。一方、ステップf7で得られた画線A、画線A’、画線B及び画線B’は、ステップf15においてブラックチャンネルに適用される。
【0119】
次に、図14に示された編集手段M6に含まれる画像合成手段M6dによって、最も明度の高い所定の色要素に設定された同心円万線データと、最も明度の低い所定の色要素に設定された画線A、画線A’、画線B及び画線B’と、残りの色素に設定された少なくとも一つの画線群データを合成してドキュメント・ファイルを生成する。例えば、ステップf16の各チャンネルの合成と、ステップf17のドキュメント・ファイルに書き出しが行われる。こうして生成されたドキュメント・ファイルが、それぞれの色インキで基材に刷り重なることにより情報を埋め込んだカラー印刷物が得られるものである。
【0120】
(5)実施の形態5
本実施の形態による認証方法は、図1(b)に示された判別装置Rを用いて、図17のフローチャートに示された処理ステップによって実行されるものである。
【0121】
図17に示されたように、ステップf18として、デジタルカメラ、光学式スキャナ等の読み取り手段R1によって、あらかじめ定められた埋め込むべき情報が埋め込まれた印刷画像をカラー画像(RGB画像)として読み取る。例えば、1200dpiというような高解像度で、1024×1024ピクセルの画像サイズでRGB画像として読み取りを行う。
【0122】
ステップf19として、ステップf18で、読み取られたカラー画像(RGB画像)から最も明度の高い色要素のグレースケール画像を抽出する。例えば、B(ブルー)チャンネルのグレースケール画像の抽出を行う。
【0123】
ステップf20として、演算手段R3に含まれる変換手段(図示せず)によって、ステップf19で抽出されたグレースケール画像(例えば、B(ブルー)チャンネル)をフーリエ変換し、FFTパターンを生成する。
【0124】
ステップf21として、演算手段R3に含まれる解析手段(図示せず)によって、ステップf20で作成されたFFTパターンに対し、周波数成分の抽出を行う。
【0125】
ステップf22として、演算手段R3に含まれる判定手段(図示せず)によって、抽出された周波数成分と、演算手段R3に含まれる記憶手段(図示せず)に記憶された真偽判別データ(周波数成分)を比較照合することで偽造防止用印刷物の認証が行われる。
【0126】
周波数成分は、同心円状の画線で形成された領域の成分であるため、従来よりもはっきりとした周波数成分が抽出することができるため、あらかじめ定められた周波数成分とを比較照合上で誤認識することがない。
【符号の説明】
【0127】
1 印刷物
2 判別具
3 印刷模様
4 不可視画像
5 不可視画像
7 中心線
A 画線
B 画線
A’ 画線
B’ 画線
C 画線
D 画線
E 画線
a1 領域
a2 領域
a3 領域
d 間隔
d1 間隔
d2 間隔
d3 間隔
M1 カラー画像入力手段
M2 第1の情報入力手段
M3 第2の情報入力手段
M4 出力手段
M5 表示手段
M6 編集手段
M6a 色分解手段
M6b 第1の情報埋め込み手段
M6c 第2の情報埋め込み手段
M6d 画像合成手段
M7 書式データベース
M8 通信インターフェース
P 中心点
qd1 逆空間距離
qd2 逆空間距離
qd3 逆空間距離
qh 逆空間距離
qv 逆空間距離
R 判別装置
R1 読み取り手段
R2 入力手段
R3 演算手段
R4 表示手段
S 寸法
Sh 寸法
Sv 寸法
X1 補間間隔
X2 補間間隔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に、少なくとも第1の色インキにより形成された第1の画像と、前記第1の色インキより低明度の第2のインキにより、前記第1の画像と少なくとも一部が重複するように形成された第2の画像を備え、
前記第1の画像は、埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように設定された所定の間隔を有する同心形万線で形成され、
前記第2の画像は、I)乃至III)のいずれか一つによって形成され、
前記I)は、第1の画線、第2の画線及び第3の画線を有し、第1の方向に沿って、一定のピッチで中心を境に対向するように配置された前記第1の画線及び前記第2の画線と、前記第1の画線及び前記第2の画線が存在しない領域に配置された前記第3の画線がユニット内に形成され、前記ユニットは一定のピッチで前記第1の方向及び前記第1の方向と直交する第2の方向にマトリクス状に配置されており、前記ユニットのピッチの1/2又は略1/2のピッチで前記第1の画線及び前記第2の画線が形成され、各々の前記ユニットにおける前記第1の画線と前記第2の画線は、いずれか一方がオンの場合、他方がオフの関係にあり、かつ、面積が同一又は略同一であり、前記第1の画線により第1の不可視画像のポジ画像又はネガ画像のいずれか一方が形成され、前記第2の画線により前記第1の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成され、前記第3の画線により可視画像が形成され、
前記II)は、第3の画線、第4の画線及び第5の画線を有し、第2の方向に沿って、一定のピッチで中心を境に対向するように配置された前記第4の画線及び前記第5の画線と、前記第4の画線及び前記第5の画線が存在しない領域に配置された前記第3の画線がユニット内に形成され、前記ユニットは一定のピッチで前記第1の方向及び前記第1の方向と直交する第2の方向にマトリクス状に配置されており、前記ユニットのピッチの1/2又は略1/2のピッチで前記第4の画線及び前記第5の画線が形成され、各々の前記ユニットにおける前記第4の画線と前記第5の画線は、いずれか一方がオンの場合、他方がオフの関係にあり、かつ、面積が同一又は略同一であり、前記第4の画線により第2の不可視画像のポジ画像又はネガ画像のいずれか一方が形成され、前記第5の画線により前記第2の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成され、前記第3の画線により可視画像が形成され、又は、
前記III)は、第1の画線、第2の画線、第3の画線、第4の画線及び第5の画線を有し、第1の方向に沿って、一定のピッチで中心を境に対向するように配置された前記第1の画線及び前記第2の画線と、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って、一定のピッチで中心を境に対向するように配置された前記第4の画線及び前記第5の画線と、前記第1の画線、前記第2の画線、前記第4の画線及び前記第5の画線が存在しない領域に配置された前期第3の画線がユニット内に形成され、前記ユニットは一定のピッチで前記第1の方向及び前記第1の方向と直交する第2の方向にマトリクス状に配置されており、前記ユニットのピッチの1/2又は略1/2のピッチで前記第1の画像及び第2の画線が形成され、前記ユニットのピッチの1/2又は略1/2のピッチで前記第4の画像及び第5の画線が形成され、各々の前記ユニットにおける前記第1の画線と前記第2の画線は、いずれか一方がオンの場合、他方がオフの関係にあり、かつ、面積が同一又は略同一であり、前記第4の画線と前記第5の画線は、いずれか一方がオンの場合、他方がオフの関係にあり、かつ、面積が同一又は略同一であり、前記第1の画線により第1の不可視画像のポジ画像又はネガ画像のいずれか一方が形成され、前記第2の画線により前記第1の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成され、前記第4の画線により第2の不可視画像のポジ画像又はネガ画像のいずれか一方が形成され、前記第5の画線により前記第2の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成され、前記第3の画線により可視画像が形成されたことを特徴とする偽造防止用印刷物。
【請求項2】
前記I)の場合において、前記第1の方向に沿って隣接して配置された二つの前記ユニットが、一方の前記ユニット内の前記第1の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第2の画線がオンとなり、前記第1の画線及び前記第2の画線の画線間が前記ユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、前記第1の画線及び前記第2の画線の画線間の中心に前記第1の画線又は前記第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である前記第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第1の濃度を緩和する画線が配置され、
前記第1の方向に沿って隣接して配置された三つの前記ユニットが、中央の前記ユニットには前記第1の画線及び前記第2の画線が共にオフ、前記中央の前記ユニットに対して一方に隣接された前記ユニット内の前記第1の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第2の画線がオンとなり、前記第1の画線及び前記第2の画線の画線間が前記ユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、前記第1の画線及び前記第2の画線の画線間の中心に前記第1の画線又は前記第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である前記第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第2の濃度を緩和する画線が配置され、
前記第1の方向に沿って隣接して配置された三つの前記ユニットが、中央の前記ユニットには前記第1の画線及び前記第2の画線が共にオフ、前記中央の前記ユニットに対して一方に隣接された前記ユニット内の前記第1の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第1の画線がオン、又は、前記中央の前記ユニットに対して一方に隣接された前記ユニット内の前記第2の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第2の画線がオンとなり、前記第1の画線の画線間又は前記第2の画線の画線間が前記ユニットの略2個分の非画線部が生じた場合において、前記第1の画線又は前記第2の画線の画線間の中心に前記第1の画線又は前記第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である前記第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための前記第1の濃度を緩和する画線及び前記第2の濃度を緩和する画線が配置され、
前記II)の場合において、前記第2の方向に沿って隣接して配置された二つの前記ユニットが、一方の前記ユニット内の前記第4の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第5の画線がオンとなり、前記第4の画線及び前記第5の画線の画線間が前記ユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、前記第4の画線及び前記第5の画線の画線間の中心に前記第4の画線又は前記第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である前記第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第3の濃度を緩和する画線が配置され、
前記第2の方向に沿って隣接して配置された三つの前記ユニットが、中央の前記ユニットには前記第4の画線及び前記第5の画線が共にオフ、前記中央の前記ユニットに対して一方に隣接された前記ユニット内の前記第4の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第5の画線がオンとなり、前記第4の画線及び前記第5の画線の画線間が前記ユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、前記第4の画線及び前記第5の画線の画線間の中心に前記第4の画線又は前記第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である前記第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第4の濃度を緩和する画線が配置され、
前記第2の方向に沿って隣接して配置された三つの前記ユニットが、中央の前記ユニットには前記第4の画線及び前記第5の画線が共にオフ、前記中央の前記ユニットに対して一方に隣接された前記ユニット内の前記第4の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第4の画線がオン、又は、前記中央の前記ユニットに対して一方に隣接された前記ユニット内の前記第5の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第5の画線がオンとなり、前記第4の画線の画線間又は前記第5の画線の画線間が前記ユニットの略2個分の非画線部が生じた場合において、前記第4の画線又は前記第5の画線の画線間の中心に前記第4の画線又は前記第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である前記第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための前記第3の濃度を緩和する画線及び前記第4の濃度を緩和する画線が配置され、
前記III)の場合において、前記第1の方向に沿って隣接して配置された二つの前記ユニットが、一方の前記ユニット内の前記第1の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第2の画線がオンとなり、前記第1の画線及び前記第2の画線の画線間が前記ユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、前記第1の画線及び前記第2の画線の画線間の中心に前記第1の画線又は前記第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である前記第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第1の濃度を緩和する画線が配置され、
前記第1の方向に沿って隣接して配置された三つの前記ユニットが、中央の前記ユニットには前記第1の画線及び前記第2の画線が共にオフ、前記中央の前記ユニットに対して一方に隣接された前記ユニット内の前記第1の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第2の画線がオンとなり、前記第1の画線及び前記第2の画線の画線間が前記ユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、前記第1の画線及び前記第2の画線の画線間の中心に前記第1の画線又は前記第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である前記第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第2の濃度を緩和する画線が配置され、
前記第1の方向に沿って隣接して配置された三つの前記ユニットが、中央の前記ユニットには前記第1の画線及び前記第2の画線が共にオフ、前記中央の前記ユニットに対して一方に隣接された前記ユニット内の前記第1の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第1の画線がオン、又は、前記中央の前記ユニットに対して一方に隣接された前記ユニット内の前記第2の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第2の画線がオンとなり、前記第1の画線の画線間又は前記第2の画線の画線間が前記ユニットの略2個分の非画線部が生じた場合において、前記第1の画線又は前記第2の画線の画線間の中心に前記第1の画線又は前記第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である前記第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための前記第1の濃度を緩和する画線及び前記第2の濃度を緩和する画線が配置され、
前記第2の方向に沿って隣接して配置された二つの前記ユニットが、一方の前記ユニット内の前記第4の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第5の画線がオンとなり、前記第4の画線及び前記第5の画線の画線間が前記ユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、前記第4の画線及び前記第5の画線の画線間の中心に前記第4の画線又は前記第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である前記第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第3の濃度を緩和する画線が配置され、
前記第2の方向に沿って隣接して配置された三つの前記ユニットが、中央の前記ユニットには前記第4の画線及び前記第5の画線が共にオフ、前記中央の前記ユニットに対して一方に隣接された前記ユニット内の前記第4の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第5の画線がオンとなり、前記第4の画線及び前記第5の画線の画線間が前記ユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、前記第4の画線及び前記第5の画線の画線間の中心に前記第4の画線又は前記第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である前記第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第4の濃度を緩和する画線が配置され、
前記第2の方向に沿って隣接して配置された三つの前記ユニットが、中央の前記ユニットには前記第4の画線及び前記第5の画線が共にオフ、前記中央の前記ユニットに対して一方に隣接された前記ユニット内の前記第4の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第4の画線がオン、又は、前記中央の前記ユニットに対して一方に隣接された前記ユニット内の前記第5の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第5の画線がオンとなり、前記第4の画線の画線間又は前記第5の画線の画線間が前記ユニットの略2個分の非画線部が生じた場合において、前記第4の画線又は前記第5の画線の画線間の中心に前記第4の画線又は前記第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である前記第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための前記第3の濃度を緩和する画線及び前記第4の濃度を緩和する画線が配置されて成ることを特徴とする請求項1記載の偽造防止用印刷物。
【請求項3】
前記第1の色インキがイエロー(Y)の色インキで形成され、
前記第2の色インキがシアン(C)、マゼンタ(M)及びブラック(K)の色インキの少なくとも一つで形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の偽造防止用印刷物。
【請求項4】
前記I)の場合において、前記第1の画線、前記第2の画線、前記第1の濃度を緩和する画線及び前記第2の濃度を緩和する画線は、ブラック(K)の色インキで形成され、前記第3の画線は、シアン(C)及び/又はマゼンタ(M)の色インキで形成され、前記同心形万線は、イエロー(Y)の色インキで形成され、
前記II)の場合において、前記第4の画線、記第5の画線、前記第3の濃度を緩和する画線及び前記第4の濃度を緩和する画線は、ブラック(K)の色インキで形成され、前記第3の画線は、シアン(C)及び/又はマゼンタ(M)の色インキで形成され、前記同心形万線は、イエロー(Y)の色インキで形成され、
前記III)の場合において、前記第1の画線、前記第2の画線、前記第4の画線、記第5の画線、前記第1の濃度を緩和する画線、前記第2の濃度を緩和する画線、前記第3の濃度を緩和する画線及び前記第4の濃度を緩和する画線は、ブラック(K)の色インキで形成され、前記第3の画線は、シアン(C)及び/又はマゼンタ(M)の色インキで形成され、前記同心形万線は、イエロー(Y)の色インキで形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の偽造防止用印刷物。
【請求項5】
前記第3の画線は、画線の大小、画線の濃淡又は画線の粗密から選択される一つの方法によって連続階調から成る可視画像が形成され、前記同心形万線は、前記同心形万線の画線幅を連続的に違えることによって連続階調から成る可視画像が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の偽造防止用印刷物。
【請求項6】
前記ユニットにおける一辺の長さが1mm以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載の偽造防止用印刷物。
【請求項7】
前記同心形万線が配置される領域は、下記に示すIV)乃至VI)のいずれか一つによって形成され、
前記IV)は、前記同心形万線が配置される領域が複数分割され、前記複数に分割された各領域は、同一の中心点を共有する同心形万線が形成され、前記複数分割された各領域の同心形万線の画線の間隔は、前記領域ごとに異なる、
前記V)は、前記同心形万線が配置される領域が複数分割され、前記複数に分割された各領域は、前記領域ごとに異なる中心点を有して同心形万線が形成され、前記複数分割された各領域の同心形万線の画線の間隔は、前記領域ごとに異なる、又は
前記VI)は、前記同心形万線が配置される領域がリング状に複数分割され、前記複数に分割された各領域は、同一の中心点を共有する同心形万線が形成され、前記複数に分割された各領域の境界において、隣り合う一方の前記領域に備わる同心形万線の間隔と、他方の前記領域に備わる同心形万線の間隔との平均値からなる補間領域が設けられ、前記境界において同心形万線の連続性が保たれていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項記載の偽造防止用印刷物。
【請求項8】
前記同心形万線の画線の間隔が、前記ユニットの寸法よりも小さく、かつ50μm〜350μmであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項記載の偽造防止用印刷物。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項記載の偽造防止用印刷物の作製装置であって、
前記偽造防止用印刷物の前記可視画像及び前記同心形万線のモチーフとなる画像を入力する画像入力手段と、
前記画像入力手段で得られた前記モチーフとなる画像を前記同心形万線に形成するための前記第1の色インキの画像データと、前記第1の色インキより低明度の前記可視画像を形成するための第2のインキの画像データに色分解する色分解手段と、
第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像を取得する第1の情報入力手段と、
あらかじめ埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように設定された所定の間隔を有する同心形万線の情報を入力する第2の情報入力手段と、
前記第1の不可視画像に前記第1の画線及び前記第2の画線を設定し、及び/又は前記第2の不可視画像に前記第4の画線及び前記第5の画線を設定し、各画線が設定された前記第1の不可視画像及び/又は前記第2の不可視画像に前記第2の色インキを設定し、前記第1の不可視画像データ及び/又は前記第2の不可視画像データを生成する第1の情報埋め込み手段と、
前記第1の色インキの画像データに前記同心形万線の情報を設定し、同心形万線画像データを生成する第2の情報埋め込み手段と、
前記第1の不可視画像データ及び/又は前記第2の不可視画像データと、前記同心形万線データ及び前記可視画像を形成するための第2のインキの画像データとを合成してドキュメント・ファイルを生成する画像合成手段と、
前記ドキュメント・ファイルをもとに、前記第1の色インキ及び前記第2の色インキで基材に刷り重なって出力する出力手段を備えることを特徴とする偽造防止用印刷物の作製装置。
【請求項10】
請求項2乃至8のいずれか一項記載の偽造防止用印刷物の作製装置であって、
前記偽造防止用印刷物の前記可視画像及び前記同心形万線のモチーフとなる画像を入力する画像入力手段と、
前記画像入力手段で得られた前記モチーフとなる画像を前記同心形万線に形成するための前記第1の色インキの画像データと、前記第1の色インキより低明度の前記可視画像を形成するための第2のインキの画像データに色分解する色分解手段と、
第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像を取得する第1の情報入力手段と、
あらかじめ埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように設定された所定の間隔を有する同心形万線の情報を入力する第2の情報入力手段と、
前記第1の不可視画像に前記第1の画線、前記第2の画線、前記第1の濃度を緩和する画線及び前記第2の濃度を緩和する画線を設定し、及び/又は前記第2の不可視画像に前記第4の画線、前記第5の画線、前記第3の濃度を緩和する画線及び前記第4の濃度を緩和する画線を設定し、各画線が設定された前記第1の不可視画像及び/又は前記第2の不可視画像に前記第2の色インキを設定し、第1の不可視画像データ及び/又は前記第2の不可視画像データを生成する第1の情報埋め込み手段と、
前記第1の色インキの画像データに前記同心形万線の情報を設定し、同心形万線画像データを生成する第2の情報埋め込み手段と、
前記第1の不可視画像データ及び/又は前記第2の不可視画像データと、前記同心形万線データ及び前記可視画像を形成するための第2のインキの画像データとを合成してドキュメント・ファイルを生成する画像合成手段と、
前記ドキュメント・ファイルをもとに、前記第1の色インキ及び前記第2の色インキで基材に刷り重なって出力する出力手段を備えることを特徴とする偽造防止用印刷物の作製装置。
【請求項11】
前記第1の色インキがイエロー(Y)の色インキで形成され、
前記第2の色インキがシアン(C)、マゼンタ(M)及びブラック(K)の色インキの少なくとも一つで形成されることを特徴とする請求項9又は10記載の偽造防止用印刷物の作製装置。
【請求項12】
画像入力手段、色分解手段、第1の情報入力手段、第2の情報入力手段、第1の情報埋め込み手段、第2の情報埋め込み手段、画像合成手段及び出力手段を備えた偽造防止用印刷物の作製装置を用いて、請求項1乃至7のいずれか一項記載の偽造防止用印刷物の作製方法であって、
前記画像入力手段によって、前記偽造防止用印刷物の前記可視画像及び前記同心形万線のモチーフとなる画像を入力するステップと、
前記色分解手段によって、前記画像入力手段で得られた前記モチーフとなる画像を前記同心形万線に形成するための前記第1の色インキの画像データと、前記第1の色インキより低明度の前記可視画像を形成するための第2のインキの画像データに色分解するステップと、
前記第1の情報入力によって、第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像を取得するステップと、
前記第2の情報入力手段によって、あらかじめ埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように設定された所定の間隔を有する同心形万線の情報を入力するステップと、
前記第1の情報埋め込み手段によって、前記第1の不可視画像に前記第1の画線及び前記第2の画線を設定し、及び/又は前記第2の不可視画像に前記第4の画線及び前記第5の画線を設定し、各画線が設定された前記第1の不可視画像及び/又は前記第2の不可視画像に前記第2の色インキを設定し、前記第1の不可視画像データ及び/又は前記第2の不可視画像データを生成するステップと、
前記第2の情報埋め込み手段によって、前記第1の色インキの画像データに前記同心形万線の情報を設定し、同心形万線画像データを生成するステップと、
前記画像合成手段によって、前記第1の不可視画像データ及び/又は前記第2の不可視画像データと、前記同心形万線データ及び前記可視画像を形成するための第2のインキの画像データとを合成してドキュメント・ファイルを生成するステップと、
前記出力手段によって、前記ドキュメント・ファイルをもとに、前記第1の色インキ及び前記第2の色インキで基材に刷り重なって出力するステップを有することを特徴とする偽造防止用印刷物の作製方法。
【請求項13】
画像入力手段、色分解手段、第1の情報入力手段、第2の情報入力手段、第1の情報埋め込み手段、第2の情報埋め込み手段、画像合成手段及び出力手段を備えた偽造防止用印刷物の作製装置を用いて、請求項1乃至7のいずれか一項記載の偽造防止用印刷物の作製方法であって、
前記画像入力手段によって、前記偽造防止用印刷物の前記可視画像及び前記同心形万線のモチーフとなる画像を入力するステップと、
前記色分解手段によって、前記画像入力手段で得られた前記モチーフとなる画像を前記同心形万線に形成するための前記第1の色インキの画像データと、前記第1の色インキより低明度の前記可視画像を形成するための第2のインキの画像データに色分解するステップと、
前記第1の情報入力によって、第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像を取得するステップと、
前記第2の情報入力手段によって、あらかじめ埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように設定された所定の間隔を有する同心形万線の情報を入力するステップと、
前記第1の情報埋め込み手段によって、前記第1の不可視画像に前記第1の画線、前記第2の画線、前記第1の濃度を緩和する画線及び前記第2の濃度を緩和する画線を設定し、及び/又は前記第2の不可視画像に前記第4の画線、前記第5の画線、前記第3の濃度を緩和する画線及び前記第4の濃度を緩和する画線を設定し、各画線が設定された前記第1の不可視画像及び/又は前記第2の不可視画像に前記第2の色インキを設定し、第1の不可視画像データ及び/又は前記第2の不可視画像データを生成するステップと、
前記第2の情報埋め込み手段によって、前記第1の色インキの画像データに前記同心形万線の情報を設定し、同心形万線画像データを生成するステップと、
前記画像合成手段によって、前記第1の不可視画像データ及び/又は前記第2の不可視画像データと、前記同心形万線データ及び前記可視画像を形成するための第2のインキの画像データとを合成してドキュメント・ファイルを生成するステップと、
前記出力手段によって、前記ドキュメント・ファイルをもとに、前記第1の色インキ及び前記第2の色インキで基材に刷り重なって出力するステップを有することを特徴とする偽造防止用印刷物の作製方法。
【請求項14】
前記第1の色インキがイエロー(Y)の色インキで形成され、
前記第2の色インキがシアン(C)、マゼンタ(M)及びブラック(K)の色インキの少なくとも一つで形成されることを特徴とする請求項12又は13記載の偽造防止用印刷物の作製方法。
【請求項1】
基材上に、少なくとも第1の色インキにより形成された第1の画像と、前記第1の色インキより低明度の第2のインキにより、前記第1の画像と少なくとも一部が重複するように形成された第2の画像を備え、
前記第1の画像は、埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように設定された所定の間隔を有する同心形万線で形成され、
前記第2の画像は、I)乃至III)のいずれか一つによって形成され、
前記I)は、第1の画線、第2の画線及び第3の画線を有し、第1の方向に沿って、一定のピッチで中心を境に対向するように配置された前記第1の画線及び前記第2の画線と、前記第1の画線及び前記第2の画線が存在しない領域に配置された前記第3の画線がユニット内に形成され、前記ユニットは一定のピッチで前記第1の方向及び前記第1の方向と直交する第2の方向にマトリクス状に配置されており、前記ユニットのピッチの1/2又は略1/2のピッチで前記第1の画線及び前記第2の画線が形成され、各々の前記ユニットにおける前記第1の画線と前記第2の画線は、いずれか一方がオンの場合、他方がオフの関係にあり、かつ、面積が同一又は略同一であり、前記第1の画線により第1の不可視画像のポジ画像又はネガ画像のいずれか一方が形成され、前記第2の画線により前記第1の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成され、前記第3の画線により可視画像が形成され、
前記II)は、第3の画線、第4の画線及び第5の画線を有し、第2の方向に沿って、一定のピッチで中心を境に対向するように配置された前記第4の画線及び前記第5の画線と、前記第4の画線及び前記第5の画線が存在しない領域に配置された前記第3の画線がユニット内に形成され、前記ユニットは一定のピッチで前記第1の方向及び前記第1の方向と直交する第2の方向にマトリクス状に配置されており、前記ユニットのピッチの1/2又は略1/2のピッチで前記第4の画線及び前記第5の画線が形成され、各々の前記ユニットにおける前記第4の画線と前記第5の画線は、いずれか一方がオンの場合、他方がオフの関係にあり、かつ、面積が同一又は略同一であり、前記第4の画線により第2の不可視画像のポジ画像又はネガ画像のいずれか一方が形成され、前記第5の画線により前記第2の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成され、前記第3の画線により可視画像が形成され、又は、
前記III)は、第1の画線、第2の画線、第3の画線、第4の画線及び第5の画線を有し、第1の方向に沿って、一定のピッチで中心を境に対向するように配置された前記第1の画線及び前記第2の画線と、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って、一定のピッチで中心を境に対向するように配置された前記第4の画線及び前記第5の画線と、前記第1の画線、前記第2の画線、前記第4の画線及び前記第5の画線が存在しない領域に配置された前期第3の画線がユニット内に形成され、前記ユニットは一定のピッチで前記第1の方向及び前記第1の方向と直交する第2の方向にマトリクス状に配置されており、前記ユニットのピッチの1/2又は略1/2のピッチで前記第1の画像及び第2の画線が形成され、前記ユニットのピッチの1/2又は略1/2のピッチで前記第4の画像及び第5の画線が形成され、各々の前記ユニットにおける前記第1の画線と前記第2の画線は、いずれか一方がオンの場合、他方がオフの関係にあり、かつ、面積が同一又は略同一であり、前記第4の画線と前記第5の画線は、いずれか一方がオンの場合、他方がオフの関係にあり、かつ、面積が同一又は略同一であり、前記第1の画線により第1の不可視画像のポジ画像又はネガ画像のいずれか一方が形成され、前記第2の画線により前記第1の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成され、前記第4の画線により第2の不可視画像のポジ画像又はネガ画像のいずれか一方が形成され、前記第5の画線により前記第2の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成され、前記第3の画線により可視画像が形成されたことを特徴とする偽造防止用印刷物。
【請求項2】
前記I)の場合において、前記第1の方向に沿って隣接して配置された二つの前記ユニットが、一方の前記ユニット内の前記第1の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第2の画線がオンとなり、前記第1の画線及び前記第2の画線の画線間が前記ユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、前記第1の画線及び前記第2の画線の画線間の中心に前記第1の画線又は前記第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である前記第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第1の濃度を緩和する画線が配置され、
前記第1の方向に沿って隣接して配置された三つの前記ユニットが、中央の前記ユニットには前記第1の画線及び前記第2の画線が共にオフ、前記中央の前記ユニットに対して一方に隣接された前記ユニット内の前記第1の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第2の画線がオンとなり、前記第1の画線及び前記第2の画線の画線間が前記ユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、前記第1の画線及び前記第2の画線の画線間の中心に前記第1の画線又は前記第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である前記第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第2の濃度を緩和する画線が配置され、
前記第1の方向に沿って隣接して配置された三つの前記ユニットが、中央の前記ユニットには前記第1の画線及び前記第2の画線が共にオフ、前記中央の前記ユニットに対して一方に隣接された前記ユニット内の前記第1の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第1の画線がオン、又は、前記中央の前記ユニットに対して一方に隣接された前記ユニット内の前記第2の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第2の画線がオンとなり、前記第1の画線の画線間又は前記第2の画線の画線間が前記ユニットの略2個分の非画線部が生じた場合において、前記第1の画線又は前記第2の画線の画線間の中心に前記第1の画線又は前記第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である前記第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための前記第1の濃度を緩和する画線及び前記第2の濃度を緩和する画線が配置され、
前記II)の場合において、前記第2の方向に沿って隣接して配置された二つの前記ユニットが、一方の前記ユニット内の前記第4の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第5の画線がオンとなり、前記第4の画線及び前記第5の画線の画線間が前記ユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、前記第4の画線及び前記第5の画線の画線間の中心に前記第4の画線又は前記第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である前記第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第3の濃度を緩和する画線が配置され、
前記第2の方向に沿って隣接して配置された三つの前記ユニットが、中央の前記ユニットには前記第4の画線及び前記第5の画線が共にオフ、前記中央の前記ユニットに対して一方に隣接された前記ユニット内の前記第4の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第5の画線がオンとなり、前記第4の画線及び前記第5の画線の画線間が前記ユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、前記第4の画線及び前記第5の画線の画線間の中心に前記第4の画線又は前記第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である前記第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第4の濃度を緩和する画線が配置され、
前記第2の方向に沿って隣接して配置された三つの前記ユニットが、中央の前記ユニットには前記第4の画線及び前記第5の画線が共にオフ、前記中央の前記ユニットに対して一方に隣接された前記ユニット内の前記第4の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第4の画線がオン、又は、前記中央の前記ユニットに対して一方に隣接された前記ユニット内の前記第5の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第5の画線がオンとなり、前記第4の画線の画線間又は前記第5の画線の画線間が前記ユニットの略2個分の非画線部が生じた場合において、前記第4の画線又は前記第5の画線の画線間の中心に前記第4の画線又は前記第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である前記第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための前記第3の濃度を緩和する画線及び前記第4の濃度を緩和する画線が配置され、
前記III)の場合において、前記第1の方向に沿って隣接して配置された二つの前記ユニットが、一方の前記ユニット内の前記第1の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第2の画線がオンとなり、前記第1の画線及び前記第2の画線の画線間が前記ユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、前記第1の画線及び前記第2の画線の画線間の中心に前記第1の画線又は前記第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である前記第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第1の濃度を緩和する画線が配置され、
前記第1の方向に沿って隣接して配置された三つの前記ユニットが、中央の前記ユニットには前記第1の画線及び前記第2の画線が共にオフ、前記中央の前記ユニットに対して一方に隣接された前記ユニット内の前記第1の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第2の画線がオンとなり、前記第1の画線及び前記第2の画線の画線間が前記ユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、前記第1の画線及び前記第2の画線の画線間の中心に前記第1の画線又は前記第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である前記第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第2の濃度を緩和する画線が配置され、
前記第1の方向に沿って隣接して配置された三つの前記ユニットが、中央の前記ユニットには前記第1の画線及び前記第2の画線が共にオフ、前記中央の前記ユニットに対して一方に隣接された前記ユニット内の前記第1の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第1の画線がオン、又は、前記中央の前記ユニットに対して一方に隣接された前記ユニット内の前記第2の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第2の画線がオンとなり、前記第1の画線の画線間又は前記第2の画線の画線間が前記ユニットの略2個分の非画線部が生じた場合において、前記第1の画線又は前記第2の画線の画線間の中心に前記第1の画線又は前記第2の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である前記第1の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための前記第1の濃度を緩和する画線及び前記第2の濃度を緩和する画線が配置され、
前記第2の方向に沿って隣接して配置された二つの前記ユニットが、一方の前記ユニット内の前記第4の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第5の画線がオンとなり、前記第4の画線及び前記第5の画線の画線間が前記ユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、前記第4の画線及び前記第5の画線の画線間の中心に前記第4の画線又は前記第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である前記第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第3の濃度を緩和する画線が配置され、
前記第2の方向に沿って隣接して配置された三つの前記ユニットが、中央の前記ユニットには前記第4の画線及び前記第5の画線が共にオフ、前記中央の前記ユニットに対して一方に隣接された前記ユニット内の前記第4の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第5の画線がオンとなり、前記第4の画線及び前記第5の画線の画線間が前記ユニットの略1.5個分の非画線部が生じた場合において、前記第4の画線及び前記第5の画線の画線間の中心に前記第4の画線又は前記第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である前記第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための第4の濃度を緩和する画線が配置され、
前記第2の方向に沿って隣接して配置された三つの前記ユニットが、中央の前記ユニットには前記第4の画線及び前記第5の画線が共にオフ、前記中央の前記ユニットに対して一方に隣接された前記ユニット内の前記第4の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第4の画線がオン、又は、前記中央の前記ユニットに対して一方に隣接された前記ユニット内の前記第5の画線がオン、他方の前記ユニット内の前記第5の画線がオンとなり、前記第4の画線の画線間又は前記第5の画線の画線間が前記ユニットの略2個分の非画線部が生じた場合において、前記第4の画線又は前記第5の画線の画線間の中心に前記第4の画線又は前記第5の画線における半分又は略半分の画線面積率、かつ、同色である前記第2の不可視画像の濃度の不均衡を緩和するための前記第3の濃度を緩和する画線及び前記第4の濃度を緩和する画線が配置されて成ることを特徴とする請求項1記載の偽造防止用印刷物。
【請求項3】
前記第1の色インキがイエロー(Y)の色インキで形成され、
前記第2の色インキがシアン(C)、マゼンタ(M)及びブラック(K)の色インキの少なくとも一つで形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の偽造防止用印刷物。
【請求項4】
前記I)の場合において、前記第1の画線、前記第2の画線、前記第1の濃度を緩和する画線及び前記第2の濃度を緩和する画線は、ブラック(K)の色インキで形成され、前記第3の画線は、シアン(C)及び/又はマゼンタ(M)の色インキで形成され、前記同心形万線は、イエロー(Y)の色インキで形成され、
前記II)の場合において、前記第4の画線、記第5の画線、前記第3の濃度を緩和する画線及び前記第4の濃度を緩和する画線は、ブラック(K)の色インキで形成され、前記第3の画線は、シアン(C)及び/又はマゼンタ(M)の色インキで形成され、前記同心形万線は、イエロー(Y)の色インキで形成され、
前記III)の場合において、前記第1の画線、前記第2の画線、前記第4の画線、記第5の画線、前記第1の濃度を緩和する画線、前記第2の濃度を緩和する画線、前記第3の濃度を緩和する画線及び前記第4の濃度を緩和する画線は、ブラック(K)の色インキで形成され、前記第3の画線は、シアン(C)及び/又はマゼンタ(M)の色インキで形成され、前記同心形万線は、イエロー(Y)の色インキで形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の偽造防止用印刷物。
【請求項5】
前記第3の画線は、画線の大小、画線の濃淡又は画線の粗密から選択される一つの方法によって連続階調から成る可視画像が形成され、前記同心形万線は、前記同心形万線の画線幅を連続的に違えることによって連続階調から成る可視画像が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の偽造防止用印刷物。
【請求項6】
前記ユニットにおける一辺の長さが1mm以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載の偽造防止用印刷物。
【請求項7】
前記同心形万線が配置される領域は、下記に示すIV)乃至VI)のいずれか一つによって形成され、
前記IV)は、前記同心形万線が配置される領域が複数分割され、前記複数に分割された各領域は、同一の中心点を共有する同心形万線が形成され、前記複数分割された各領域の同心形万線の画線の間隔は、前記領域ごとに異なる、
前記V)は、前記同心形万線が配置される領域が複数分割され、前記複数に分割された各領域は、前記領域ごとに異なる中心点を有して同心形万線が形成され、前記複数分割された各領域の同心形万線の画線の間隔は、前記領域ごとに異なる、又は
前記VI)は、前記同心形万線が配置される領域がリング状に複数分割され、前記複数に分割された各領域は、同一の中心点を共有する同心形万線が形成され、前記複数に分割された各領域の境界において、隣り合う一方の前記領域に備わる同心形万線の間隔と、他方の前記領域に備わる同心形万線の間隔との平均値からなる補間領域が設けられ、前記境界において同心形万線の連続性が保たれていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項記載の偽造防止用印刷物。
【請求項8】
前記同心形万線の画線の間隔が、前記ユニットの寸法よりも小さく、かつ50μm〜350μmであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項記載の偽造防止用印刷物。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項記載の偽造防止用印刷物の作製装置であって、
前記偽造防止用印刷物の前記可視画像及び前記同心形万線のモチーフとなる画像を入力する画像入力手段と、
前記画像入力手段で得られた前記モチーフとなる画像を前記同心形万線に形成するための前記第1の色インキの画像データと、前記第1の色インキより低明度の前記可視画像を形成するための第2のインキの画像データに色分解する色分解手段と、
第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像を取得する第1の情報入力手段と、
あらかじめ埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように設定された所定の間隔を有する同心形万線の情報を入力する第2の情報入力手段と、
前記第1の不可視画像に前記第1の画線及び前記第2の画線を設定し、及び/又は前記第2の不可視画像に前記第4の画線及び前記第5の画線を設定し、各画線が設定された前記第1の不可視画像及び/又は前記第2の不可視画像に前記第2の色インキを設定し、前記第1の不可視画像データ及び/又は前記第2の不可視画像データを生成する第1の情報埋め込み手段と、
前記第1の色インキの画像データに前記同心形万線の情報を設定し、同心形万線画像データを生成する第2の情報埋め込み手段と、
前記第1の不可視画像データ及び/又は前記第2の不可視画像データと、前記同心形万線データ及び前記可視画像を形成するための第2のインキの画像データとを合成してドキュメント・ファイルを生成する画像合成手段と、
前記ドキュメント・ファイルをもとに、前記第1の色インキ及び前記第2の色インキで基材に刷り重なって出力する出力手段を備えることを特徴とする偽造防止用印刷物の作製装置。
【請求項10】
請求項2乃至8のいずれか一項記載の偽造防止用印刷物の作製装置であって、
前記偽造防止用印刷物の前記可視画像及び前記同心形万線のモチーフとなる画像を入力する画像入力手段と、
前記画像入力手段で得られた前記モチーフとなる画像を前記同心形万線に形成するための前記第1の色インキの画像データと、前記第1の色インキより低明度の前記可視画像を形成するための第2のインキの画像データに色分解する色分解手段と、
第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像を取得する第1の情報入力手段と、
あらかじめ埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように設定された所定の間隔を有する同心形万線の情報を入力する第2の情報入力手段と、
前記第1の不可視画像に前記第1の画線、前記第2の画線、前記第1の濃度を緩和する画線及び前記第2の濃度を緩和する画線を設定し、及び/又は前記第2の不可視画像に前記第4の画線、前記第5の画線、前記第3の濃度を緩和する画線及び前記第4の濃度を緩和する画線を設定し、各画線が設定された前記第1の不可視画像及び/又は前記第2の不可視画像に前記第2の色インキを設定し、第1の不可視画像データ及び/又は前記第2の不可視画像データを生成する第1の情報埋め込み手段と、
前記第1の色インキの画像データに前記同心形万線の情報を設定し、同心形万線画像データを生成する第2の情報埋め込み手段と、
前記第1の不可視画像データ及び/又は前記第2の不可視画像データと、前記同心形万線データ及び前記可視画像を形成するための第2のインキの画像データとを合成してドキュメント・ファイルを生成する画像合成手段と、
前記ドキュメント・ファイルをもとに、前記第1の色インキ及び前記第2の色インキで基材に刷り重なって出力する出力手段を備えることを特徴とする偽造防止用印刷物の作製装置。
【請求項11】
前記第1の色インキがイエロー(Y)の色インキで形成され、
前記第2の色インキがシアン(C)、マゼンタ(M)及びブラック(K)の色インキの少なくとも一つで形成されることを特徴とする請求項9又は10記載の偽造防止用印刷物の作製装置。
【請求項12】
画像入力手段、色分解手段、第1の情報入力手段、第2の情報入力手段、第1の情報埋め込み手段、第2の情報埋め込み手段、画像合成手段及び出力手段を備えた偽造防止用印刷物の作製装置を用いて、請求項1乃至7のいずれか一項記載の偽造防止用印刷物の作製方法であって、
前記画像入力手段によって、前記偽造防止用印刷物の前記可視画像及び前記同心形万線のモチーフとなる画像を入力するステップと、
前記色分解手段によって、前記画像入力手段で得られた前記モチーフとなる画像を前記同心形万線に形成するための前記第1の色インキの画像データと、前記第1の色インキより低明度の前記可視画像を形成するための第2のインキの画像データに色分解するステップと、
前記第1の情報入力によって、第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像を取得するステップと、
前記第2の情報入力手段によって、あらかじめ埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように設定された所定の間隔を有する同心形万線の情報を入力するステップと、
前記第1の情報埋め込み手段によって、前記第1の不可視画像に前記第1の画線及び前記第2の画線を設定し、及び/又は前記第2の不可視画像に前記第4の画線及び前記第5の画線を設定し、各画線が設定された前記第1の不可視画像及び/又は前記第2の不可視画像に前記第2の色インキを設定し、前記第1の不可視画像データ及び/又は前記第2の不可視画像データを生成するステップと、
前記第2の情報埋め込み手段によって、前記第1の色インキの画像データに前記同心形万線の情報を設定し、同心形万線画像データを生成するステップと、
前記画像合成手段によって、前記第1の不可視画像データ及び/又は前記第2の不可視画像データと、前記同心形万線データ及び前記可視画像を形成するための第2のインキの画像データとを合成してドキュメント・ファイルを生成するステップと、
前記出力手段によって、前記ドキュメント・ファイルをもとに、前記第1の色インキ及び前記第2の色インキで基材に刷り重なって出力するステップを有することを特徴とする偽造防止用印刷物の作製方法。
【請求項13】
画像入力手段、色分解手段、第1の情報入力手段、第2の情報入力手段、第1の情報埋め込み手段、第2の情報埋め込み手段、画像合成手段及び出力手段を備えた偽造防止用印刷物の作製装置を用いて、請求項1乃至7のいずれか一項記載の偽造防止用印刷物の作製方法であって、
前記画像入力手段によって、前記偽造防止用印刷物の前記可視画像及び前記同心形万線のモチーフとなる画像を入力するステップと、
前記色分解手段によって、前記画像入力手段で得られた前記モチーフとなる画像を前記同心形万線に形成するための前記第1の色インキの画像データと、前記第1の色インキより低明度の前記可視画像を形成するための第2のインキの画像データに色分解するステップと、
前記第1の情報入力によって、第1の不可視画像及び/又は第2の不可視画像を取得するステップと、
前記第2の情報入力手段によって、あらかじめ埋め込むべき情報に応じた周波数成分が抽出されるように設定された所定の間隔を有する同心形万線の情報を入力するステップと、
前記第1の情報埋め込み手段によって、前記第1の不可視画像に前記第1の画線、前記第2の画線、前記第1の濃度を緩和する画線及び前記第2の濃度を緩和する画線を設定し、及び/又は前記第2の不可視画像に前記第4の画線、前記第5の画線、前記第3の濃度を緩和する画線及び前記第4の濃度を緩和する画線を設定し、各画線が設定された前記第1の不可視画像及び/又は前記第2の不可視画像に前記第2の色インキを設定し、第1の不可視画像データ及び/又は前記第2の不可視画像データを生成するステップと、
前記第2の情報埋め込み手段によって、前記第1の色インキの画像データに前記同心形万線の情報を設定し、同心形万線画像データを生成するステップと、
前記画像合成手段によって、前記第1の不可視画像データ及び/又は前記第2の不可視画像データと、前記同心形万線データ及び前記可視画像を形成するための第2のインキの画像データとを合成してドキュメント・ファイルを生成するステップと、
前記出力手段によって、前記ドキュメント・ファイルをもとに、前記第1の色インキ及び前記第2の色インキで基材に刷り重なって出力するステップを有することを特徴とする偽造防止用印刷物の作製方法。
【請求項14】
前記第1の色インキがイエロー(Y)の色インキで形成され、
前記第2の色インキがシアン(C)、マゼンタ(M)及びブラック(K)の色インキの少なくとも一つで形成されることを特徴とする請求項12又は13記載の偽造防止用印刷物の作製方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2013−95087(P2013−95087A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241041(P2011−241041)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(303017679)独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(303017679)独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Fターム(参考)】
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