説明

偽造防止用印刷物

【課題】 鮮明な発現が可能な不可視画像を形成するとともに、不可視画像を発現させた時に可視画像によって視認性が阻害されない偽造防止用印刷物を提供する。
【解決手段】 第1の方向に沿って、オン、オフの関係にある第1の画線及び第2の画線と、第1の画線及び第2の画線が存在しない位置に第3の画線が形成され、第1の画線によって第1の不可視画像のネガ画像又はポジ画像が形成され、第2の画線によって第1の不可視画像のポジ画像又はネガ画像が形成され、第3の画線によって可視画像が形成された偽造防止用印刷物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行券、株券、債券等の有価証券、各種証明書及び重要書類等の偽造防止又は複製防止が必要とされる印刷物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に証明書類の貴重印刷物では、偽造防止効果を与えるために様々な技術が適用されているが、近年、カラー複写機の高画質化及びカラー製版技術のコンピュータ化に伴い、証明書類の偽造技術が多様化する傾向にある。これに伴って、証明書類の偽造防止策も高度化することによって対応してきた。しかし、その一方で、偽造防止策に費やす製造コストが高く、偽造防止効果を確認する環境を得るために、特殊な機械器具から成る専用設備を導入する等、真偽判定において高コストとなる場合があった。
【0003】
低コストで真偽判定を可能にする有用な方法に、印刷物上に判別具を重ねて真偽判定を行う技術がある。つまり、不可視画像が施されている印刷物に判別具を重ねることによって、不可視画像を可視画像として発現させるもので、この判別具の主な形態は、平行線スクリーンを印刷した透明シート(以下「万線フィルタ」という。)や、レンチキュラーレンズ等が挙げられる。この判別具を用いて不可視画像を発現させる技術は、主に二種類の方法があり、点位相変調(Dot phase modulation)と線位相変調(Line phase modulation)とが存在する。
【0004】
このような万線フィルタから成る判別具を重ね合わせることにより潜像画像が発現する印刷物とその真偽判別方法としては、万線(又は網点)画線で印刷した背景画像部と、背景画像部と異なる位相の万線(又は網点)画線で印刷した潜像画像部とを有する印刷物が存在する。当該印刷物の背景画像部と潜像画像部は、区分けして視認することが一見困難であるが、万線フィルタを印刷物に所定の位置で重ね合わせた場合には、背景画像部と潜像画像部を区分けして視認することができる方法が知られている。
【0005】
点位相変調(Dot phase modulation)の一例としては、第1の方向と第2の方向に位相変調されたパターンが形成された印刷物と、当該印刷物の第1の方向と万線状フィルタの万線状パターンの方向とを一致するように万線状フィルタを重ね合わせることにより形成される第1の多階調画像と、万線状フィルタの重ね合わせる角度を印刷物の第2の方向に一致するように変えると第2の多階調画像が形成された印刷物及び画像形成法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、点位相変調(Dot phase modulation)の一例としては、基材上に、レンズアレイ(ハエの目レンズ、ハニカムレンズ、レンチキュラーレンズ等)を重ねることにより画像が現れるドットパターンを構成するそれぞれのドットが、少なくとも二種類以上のスクリーン線数で、かつ、少なくとも二種類以上のスクリーン角度の網点から成る印刷物において、真正物であればドットパターンを構成するそれぞれのドットの網点面積率が同じであるため、レンズアレイを重ねることにより不可視画像が発現し、複写物の場合は、コピーすることによりスクリーン線数の大きさ又は網点角度で再現されるドットが潰れ、ドットの濃度が変化することにより不可視画像と異なる画像が発現する印刷物がある(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
また、海外の点位相変調(Dot phase modulation)の一例としては、アストロン・デザイン社(オランダ)のイソグラム(Isogram)がある(例えば、非特許文献1340頁参照)。これは、図28(a)に示された印刷物のように、一見して均一な濃度を有する平たんな模様の中に、拡大すると図28(b)に示されたような微細な網点の位相によって不可視画像が施され、印刷物上に専用のシートを重ねると、図28(c)又は図28(d)に示されるようにネガポジ状のどちらかに可視画像化されたものである。しかし、これは、均一な濃度を有する平たんな模様ゆえに、鮮明に画像を発現させることができない。
【0008】
また、本願出願人等は、点位相変調(Dot phase modulation)を用いた印刷物に関する特許出願を行っている。これは、基材上に複数の等色の画素が規則的に配列されて二つの潜像模様が形成された潜像印刷物であって、複数の画素において、第1の方向に位相をずらして配列された第1の領域による第1の潜像模様(不可視画像)と、機能性を有するインキにより印刷された第2の領域による第2の潜像模様(不可視画像)とを有するものである(例えば、特許文献3参照)。
【0009】
線位相変調(Line phase modulation)の一例としては、基材上に、線部と非線部を有し、同一ピッチ及び幅から成る万線パターンに対し、万線位相を1/2ピッチずらして形成された潜像部を備えている複数種の潜像万線パターンが、それぞれ異なる角度で重ね合わせて印刷された潜像を有する印刷物であって、複数種の潜像万線パターンがそれぞれ色違いであることを特徴とする印刷物と、印刷物の万線パターンと同一ピッチのフィルムを複数種の不可視画像に重ね合わせることにより潜像部を可視画像化されたものがある(例えば、特許文献4参照)。
【0010】
また、海外の線位相変調(Line phase modulation)を用いた印刷物には、ユラ社(ハンガリー)のHIT(Hidden Image Technology)がある(非特許文献1341頁参照)。図29(a)に示されたように、一見して均一な濃度を有する平たんな模様の中に、拡大すると図29(b)に示されたような微細な万線の位相によって不可視画像が施され、印刷物上に専用のシートを重ねると、図29(c)又は図29(d)に示されるようにネガポジ状のどちらかに可視画像化されている。なお、図29(a)の印刷物では通常視でも不可視画像が確認できてしまうおそれがあるため、図29(b)に示されたように、カムフラージュ模様として万線の一部の画線幅を変化させて可視画像を設けている。また、白抜き画線によって可視画像を設けても良い。ただし、このカムフラージュ模様は、専用のシートを重ねて不可視画像を可視画像化した際、カモフラージュ模様も可視画像として同時に発現しているので、不可視画像の発現時の視認性を阻害するという問題がある。
【0011】
また、一般的に、点位相変調(Dot phase modulation)又は線位相変調(Line phase modulation)により形成された模様は、平たんな形状となっている。
【0012】
また、画像形成シート上に、単位ブロック内をm列n行に等形上分割した各々最小単位ブロックb1、b2、b3、b4、・・・を、それぞれ1単位画素g1、g2、g3、g4、・・・とする各々潜像画像G1、G2、G3、G4、・・・が形成され、その単位画素g1、g2、g3、g4、・・・は、万線本数1本分以上の万線により構成される万線パターンであって、ピッチp1、p2、p3、p4、・・・の各々の万線ピッチpと、角度θ1、θ2、θ3、θ4・・・の各々の万線角度θの万線により構成される、異なる各々の万線パターンのうち、いずれかの万線パターンにより構成された偽造防止用画像形成体であり、1単位画素g1、g2、g3、g4、・・・を構成する万線パターンと、同一の万線ピッチp及び万線角度θの万線により構成されるそれぞれ異なる万線パターンを、透明シートに形成した顕像化用の万線シートを重ね合わせることで、潜像画像G1、G2、G3、G4、・・・を顕像化するようにした偽造防止用画像形成体が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
【0013】
この特許文献5による偽造防止用画像形成体は、各々の単位画素において万線パターンのピッチ及び角度を異ならせることにより、複数の潜像画像を顕像化するものではあるが、可視画像としては、一様な背景模様としか表現できず、更には、潜像画像を顕像化するために、その潜像画像を構成する単位画素の万線パターンに合ったピッチ及び角度を要する透明シートが必要となり、複数の判別具を用意しなければならないという問題があった。
【0014】
また、本願発明者らは、中心を境に対向するように配置されたネガポジの関係にある二つの画線による第1の画線要素が、一定の方向に沿って規則的に一定ピッチで複数配置された第1の不可視画像要素と、同様の構成により配置された第2の不可視画像要素とが交互に複数配列されており、各画線の一部の画線に重複する位置に可視画像を構成する画線が配置され、目視では可視画像のみが確認でき、判別具を重ねると、第1の画線要素により第1の不可視画像のポジ画像又はネガ画像が形成され、第2の画線要素により第2の不可視画像のネガ画像又はポジ画像が形成されていることを特徴とする偽造防止用印刷物を既に出願している(例えば、特許文献6参照)。
【0015】
この特許文献6による偽造防止用印刷物は、通常の観察において可視画像を設けることが可能で豊かなデザイン性を有するという優れた効果があるものの、判別具を重ねて不可視画像が可視画像となって現れる際に、可視画像と潜像模様が若干混ざり合って視認されるため、画像のスイッチ性に課題が残されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特許第4132122号公報
【特許文献2】特許第4013450号公報
【特許文献3】特開2008−207335号公報
【特許文献4】特開2004−174997号公報
【特許文献5】特開2007−015120号公報
【特許文献6】特願2007−295146号公報
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Optical Security and Counterfeit Deterrence Techniques IV Vol.4677 (by SPIE-The International Society for Optical Engineering )
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上述した特許文献1乃至5及び非特許文献の技術では、潜像模様が平たんな濃度を有する印刷画線から成るため、鮮明に発現可能な不可視画像を形成することができなかった。
【0019】
また、何らかの可視画像を設けたとしても、特許文献2に記載された偽造防止用印刷物のように単純な白抜き画線から成るため、不可視画像を発現させたときの視認性を阻害するという問題があった。さらに、特許文献5に記載された印刷物のように複数の判別具を必要とするものもあった。また、さらに、何らかの可視画像を設けたとしても、特許文献6に記載された偽造防止用印刷物のように可視画像と潜像模様が若干混ざり合って視認されるため、画像のスイッチが不十分であり画像の視認性に課題が残されていた。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の偽造防止用印刷物は、基材に、所定の面積を有するユニットが複数配置され、前述のユニットは、第1の方向に沿って潜像領域と可視画像領域とが交互に少なくとも二組配置され、各々のユニットの少なくとも二組の潜像領域の一方は、第1の画線領域と第4の画線領域を有し、他方の潜像領域は、第2の画線領域と第4の画線領域を有し、可視画像領域は、ユニットの長手方向に対する一方の端部から他方の端部にわたって配置された第3の画線領域を有し、各々のユニット内における潜像領域は、第1の画線領域及び第2の画線領域をオン、オフの関係として、いずれか一方の画線が形成された場合、他方の画線は形成されない関係とするユニットとするか、又は第1の画線及び第2の画線の双方を形成しないユニットとして形成され、第1の画線及び第2の画線は面積が同一であり、第1の画線により第1の不可視画像のポジ画像又はネガ画像のいずれか一方が形成され、第2の画線により第1の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成され、第1の方向に沿って隣接する2つ又は3つのユニット間において、近接する第1の画線又は第2の画線までの距離が所定の距離以上に離れて配置された場合に、近接する第1の画線又は第2の画線に挟まれた第1の画線領域に隣接した第4の画線領域又は第2の画線領域に隣接する第4の画線領域に、第1の画線及び第2の画線における半分の画線面積で、かつ、同色である第4の画線が形成され、第3の画線領域内に第3の画線が形成されることで可視画像が形成された偽造防止用印刷物であることを特徴としている。
【0021】
また、本発明の偽造防止用印刷物は、第1の画線、第2の画線、第3の画線及び第4の画線が光輝性材料を含むインキで印刷され、第1の画線、第2の画線、第3の画線及び第4の画線の少なくとも一部の画線上に、無色透明材料を用いてベタ刷りにより所望の模様が形成された偽造防止用印刷物であることを特徴としている。
【0022】
また、本発明の偽造防止用印刷物は、基材に、所定の面積を有するユニットが複数配置され、前述のユニットは、第1の方向に沿って潜像領域と可視画像領域とが交互に少なくとも四組配置され、各々のユニット内の少なくとも四組の潜像領域は、第1の不可視画像を形成する少なくとも二組の潜像領域で形成された第1の潜像領域と、第2の不可視画像を形成する少なくとも二組の潜像領域で形成された第2の潜像領域を有し、第1の潜像領域の少なくとも二組の潜像領域における一方は、第1の画線領域及び第4の画線領域を有し、他方は、第2の画線領域及び第4の画線領域を有し、第2の潜像領域の少なくとも二組の潜像領域における一方は、第5の画線領域と第7の画線領域を有し、他方は、第6の画線領域と第7の画線領域を有し、可視画像領域は、ユニットの長手方向に対する一方の端部から他方の端部にわたって配置された第3の画線領域を有し、各々のユニット内における第1の潜像領域は、第1の画線領域及び第2の画線領域をオン、オフの関係として、いずれか一方の画線が形成された場合、他方の画線は形成されない関係とするユニットとするか、又は第1の画線及び第2の画線の双方を形成しないユニットとして形成され、各々のユニット内における第2の潜像領域は、第5の画線領域及び第6の画線領域をオン、オフの関係として、いずれか一方の画線が形成された場合、他方の画線は形成されない関係とするユニットとするか、又は第5の画線及び第6の画線の双方を形成しないユニットとして形成され、第1の画線及び第2の画線は面積が同一であり、第5の画線及び第6の画線は面積が同一であり、第1の画線により第1の不可視画像のポジ画像又はネガ画像のいずれか一方が形成され、第2の画線により第1の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成され、第5の画線により第2の不可視画像のポジ画像又はネガ画像のいずれか一方が形成され、第6の画線により第2の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成され、第1の方向に沿って隣接する2つ又は3つのユニット間において、近接する第1の画線又は第2の画線までの距離が所定の距離以上に離れて配置された場合に、近接する第1の画線又は第2の画線に挟まれた第1の画線領域に隣接した第4の画線領域又は第2の画線領域に隣接する第4の画線領域に、第1の画線及び第2の画線における半分の画線面積で、かつ、同色である第4の画線が形成され、第1の方向に沿って隣接する2つ又は3つのユニット間において、近接する第5の画線又は第6の画線までの距離が所定の距離以上に離れて配置された場合に、近接する第5の画線又は第6の画線に挟まれた第5の画線領域に隣接した第7の画線領域又は第6の画線領域に隣接する第7の画線領域に、第5の画線及び第6の画線における半分の画線面積で、かつ、同色である第7の画線が形成され、第3の画線領域内に第3の画線が形成されることで可視画像が形成された偽造防止用印刷物であることを特徴としている。
【0023】
また、本発明の偽造防止用印刷物は、第1の画線、第2の画線、第3の画線、第4の画線、第5の画線、第6の画線及び第7の画線は、光輝性材料を含むインキで印刷され、第1の画線、第2の画線、第3の画線、第4の画線、第5の画線、第6の画線及び第7の画線の少なくとも一部の画線上に、無色透明材料を用いてベタ刷りにより所望の模様が形成された偽造防止用印刷物であることを特徴としている。
【0024】
また、本発明の偽造防止用印刷物における所定の距離は、第1の方向に沿って隣接する2つのユニットに配置された一方の第1の画線領域から他方の第1の画線領域までの距離の偽造防止用印刷物であることを特徴としている。
【0025】
また、本発明の偽造防止用印刷物における第3の画線は、画線の大小、画線の濃淡及び画線の疎密から選択される少なくとも一つの方法によって連続階調から成る可視画像が形成された偽造防止用印刷物であることを特徴としている。
【0026】
また、本発明の偽造防止用印刷物における第3の画線は、少なくとも二色以上の画線を含む偽造防止用印刷物であることを特徴としている。
【0027】
また、本発明の偽造防止用印刷物は、ユニットにおける一辺の長さが1mm以下である偽造防止印刷物であることを特徴としている。
【0028】
また、本発明の偽造防止用印刷物における第1の画線、第2の画線及び第4の画線と、第5の画線、第6の画線及び第7の画線とは、色相が異なる偽造防止用印刷物であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0029】
本発明の偽造防止用印刷物は、従来のような平たんな印刷模様ではなく、第3の画線によって可視画像を設けることができ、これらの可視画像から成る自由度の高い有価証券に特有な高級感のある美麗な意匠を表現することができるという効果を奏する。
【0030】
また、本発明の偽造防止用印刷物における印刷模様に備える意匠性を有する可視画像は、単色の模様の他、連続階調画像、フルカラー画像及びレインボー効果等、さまざまな美麗の表現が可能であり、不可視画像の発現時において視認性を阻害することはなく、印刷物に判別具を重ね合わせることによって、不可視画像が容易に、かつ、鮮明に可視画像へとスイッチして発現するという効果を奏する。
【0031】
さらに、本発明の偽造防止用印刷物は、画線の形状及び配置によって偽造防止効果をもたらすことが可能であることから、コストパフォーマンスに優れ、製版及び印刷方法も何ら限定されないため、印刷方式にも自由度があるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】印刷物1に判別具2を重ね合わせることにより、容易に不可視画像を発現させて真偽を判別する斜視図。
【図2】印刷物1の印刷模様3を通常の可視条件において目視により観察した正面図。
【図3】判別具2が印刷模様3と重なる位置の違いによって不可視画像5のポジ又はネガ状態か、又は不可視画像6のポジ又はネガ状態として視認された状態が示された図。
【図4】実施の形態1におけるユニットの一例を簡易的に示した模式図。
【図5】肉眼視では濃度が不均衡になるのを緩和するための、画線の削除並びに追加を実行するアルゴリズムを示したフローチャート。
【図6】図5のアルゴリズムに従って、ユニット[v]の画線A’[v]が削除された状態を示した図。
【図7】図5のアルゴリズムに従って、画線A、画線A’の半分又は略半分の画線面積を有する画線a及び画線Eが追加された状態を示した図。
【図8】レンチキュラーレンズの特性によって中心線7に位置する画線Aが膨張して可視画像が発現する状態を示す説明図。
【図9】実施の形態2におけるユニットの一例を簡易的に示した模式図。
【図10】肉眼視では濃度が不均衡になるのを緩和するための、画線の削除並びに追加を実行するアルゴリズムを示したフローチャート。
【図11】図5及び図10のアルゴリズムに従って、ユニット[v]の画線A’[v]並びに画線B’[v]が削除された状態を示した図。
【図12】図5及び図10のアルゴリズムに従って、画線A、画線A’、画線B又は画線B’の半分又は略半分の画線面積を有する画線a、画線b及び画線Eが追加された状態を示した図。
【図13】レンチキュラーレンズの特性によって中心線7に位置する画線Aが膨張して可視画像が発現する状態を示す説明図。
【図14】レンチキュラーレンズの特性によって中心線7に位置する画線Bが膨張して可視画像が発現する状態を示す説明図。
【図15】画線Cにおける画線要素の分割を示す説明図。
【図16】マトリックス状に配置された所定の位置における画線Cの有無によって、図2に示された模様4が構成されることを示す説明図。
【図17】模様4を図15(b)に示されたユニットにおける画線c1と画線c2とで構成し、マトリックス状に配置されることを示す説明図。
【図18】レンチキュラーレンズにおける各レンズの中心線7が画線c2の中心、すなわち、図15(b)における線L6に一致するように載置されることを示す説明図。
【図19】レンチキュラーレンズにおける各レンズの中心線7が画線c1の中心、すなわち、図15(b)における線L5に一致するように載置されることを示す説明図。
【図20】模様4を図15(c)に示された画線c3、画線c4及び画線c5がそれぞれ異なる色で配色されたユニットで構成し、マトリックス状に配置されることを示す説明図。
【図21】レンチキュラーレンズの重なり具合によって、模様4が虹色に発現していることを示す説明図。
【図22】レンチキュラーレンズの重なり具合によって、模様4が虹色に発現させ、かつ模様4の背景が模様4の虹色と逆順の色配置から成る虹色で発現していることを示す説明図。
【図23】画線Cの画線面積率がそれぞれ異なることによって、ハイライト部、中間調部、シャドー部を構成されるユニットが示された説明図。
【図24】画線Cの画線濃度が段階的に異なることによって、ハイライト部、中間調部、シャドー部を構成されるユニットが示された説明図。
【図25】模様4が連続階調で表現されていることを示す説明図。
【図26】拡散光領域で印刷物1を目視で観察した場合と、正反射光領域で印刷物1を目視で観察した場合とを示す説明図。
【図27】印刷物1を拡散光領域と正反射光領域とで観察したときのそれぞれの照明光源9と視点10と印刷物1の三つの位置関係を示す説明図。
【図28】従来の印刷物の一例を示した説明図。
【図29】従来の印刷物の一例を示した説明図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態1〜2による偽造防止用印刷物について、図面を用いて説明する。しかし、本発明は、以下に述べる実施の形態1〜2に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
【0034】
本発明の実施の形態1〜2による偽造防止用印刷物は、図1に示されたように、印刷物1に判別具2を重ね合わせることにより、容易に不可視画像を発現させて真偽性を判別することができるものである。判別具2は、透明性を有するフィルタに複数の直線が万線状に一方向に沿って形成された万線フィルタ又はレンチキュラーレンズ等である。
【0035】
図1に示されたように、印刷物1の印刷模様3を通常の可視条件において目視により観察すると、図2に示されたように、任意の図形及び文字等から成る模様4が視認される。そして、印刷物1上に判別具2を所定の角度(これを0度とする。)を持って重ね合わせると、図3(a)に示されたような第1の不可視画像5が可視画像となって発現される。この際、万線フィルタ又はレンチキュラーレンズ等の判別具2が印刷模様3と重なる位置の違いによって、不可視画像5はポジ又はネガ状態に視認される。ネガ又はポジ状のどちらかに見えるのは、判別具2と印刷物1との間の相対的な位置によって生ずるものであり、本発明の効果の範囲内である。
【0036】
(1)実施の形態1
本発明の実施の形態1による偽造防止用印刷物について説明する。
図4は、本実施の形態1における印刷物に対する印刷模様の一画線の構成における部分的な拡大と、印刷物に印刷された印刷模様3を構成するマトリクス状に配置された構成が解るように簡易的に示した模式図である。ここで、縦の寸法Svは、例えば、340μmというように1mm以下の大きさである。図4の画線は、ユニットと称する最小単位であり、画線Aと画線A’とで構成されている。この図4の画線が、印刷物の表面上においてマトリクス状に規則的に配置される。画線Aと画線A’とは、対を成しており、相互にオンオフの関係にある。このオンオフの関係とは、例えば、一方が黒(オン)のときは他方は白(オフ)、一方が有着色のときは他方は無着色であり、基本的には双方ともに黒又は双方ともに白であることがないということである。そして、画線Aと画線A’とは、面積が同一である。このような画線Aと画線A’とが存在することで通常の可視条件下では視認されず、画線Aのみにより不可視画像(ネガ又はポジ)、画線A’のみにより不可視画像(ポジ又はネガ)がそれぞれ形成されている。なお、本発明でいう面積が同一とは、画線面積率が略同一であるものを含むものである。
【0037】
また、図4に示された画線Cは、画線A及び画線A’と面積が同一又は大きく、この画線Cにより可視画像(デザイン:模様)を形成し、図2に示されたような任意の図形及び文字から成る模様4を構成する画線となり、画線Cは画線Aと画線A’とに挟まれるように配置されている。さらに、図4に示された画線Cは、ユニット横方向を長手方向とし、寸法Shを最大幅とする長方形である。すなわち、ユニットの近傍部によって画線Cを備えた領域が横一直線状に連結されているものである。
【0038】
図2に示された印刷物1の印刷模様3は、図4に示されたユニットが縦ステップ数vと横ステップ数hをもってマトリクス状に縦横隙間なく、連続的に、かつ、規則的に配置されたものである。なお、本実施の形態でいうステップ数とは、印刷模様3上で繰り返されるユニットの数のことを指すもので、ステップ数に何ら制限はなく、このステップ数によって可視画像及び不可視画像の解像度と比例している。また、画線A及び画線A’が横方向に並ぶことによって、画線A群から成る平行万線及び画線A’群から成る平行万線が形成される。すなわち、図4は、線位相変調(Line phase modulation)によって、不可視画像を施している状態となっているものである。しかし、この状態では肉眼視で、複数の画線Aと複数の画線A’とがマトリクス状に配置されたユニットの近傍部にて画線Aと画線A’の双方がオン(有着色)になることで濃度が高く(濃く)見えたり、また、複数の画線Aと複数の画線A’とがマトリクス状に配置されたユニットの近傍部にて画線Aと画線A’の双方がオフ(無着色)になることで濃度が低く(淡く)見えたりして、肉眼視では濃度が不均衡となって見えることもある。
【0039】
この、濃度が不均衡に見えるのを緩和するため、図4に示された画線E及び画線aを、それぞれ画線Cに挟まれるように配置している。図4に示された画線a及び画線Eは、画線A又は画線A’に対してユニット横方向において寸法Shの半分の長をもってずれて配置されている。画線aは、画線Aに対してユニット縦方向上に配列し、マトリクス状に配置されたユニットの近傍部にて画線A’と画線A’とに挟まれるように配置されている。一方、画線Eは、画線A’に対してユニット縦方向上に配列し、マトリクス状に配置されたユニットの近傍部にて画線Aと画線Aとに挟まれるように配置されている。これにより、第1及び第2の不可視画像用の画線と濃度の不均衡を緩和するための画線がユニット横方向において横一直線状に連結されているものである。
【0040】
図5に示されたアルゴリズムによって最小単位であるユニット[v]ごとに、画線の削除並びに追加を実行するものである。なお、[v]はユニットを縦上から数えたステップ数である。まず、処理f1にて、マトリクス状に配置した列ごとのユニット[v]において順次画線A[v]及び画線A’[v]の検知が行われる。なお、画線A[v]及び画線A’[v]を検知する方法は、例えば、印刷模様3がビットマップ形式の2値画像の場合、処理すべきユニット内において、一般的にラベリングと呼ばれる処理によって、画線A[v]又は画線A’[v]を識別しても良い。
【0041】
次に、処理f2にて、ユニット[v]に画線A’[v]を有し、かつ、ユニット[v+1]に画線A[v+1]を有する条件に一致したとき、処理f3にて、ユニット[v]における本来配置される位置である画線A’[v]の削除が行われる。すなわち、図6(a)に示されるように、ユニット[v]、ユニット[v+1]、ユニット[v+2]の配置の際、ユニット[v]の画線A’[v]とユニット[v+1]の画線A[v+1]が隣接している場合、図6(b)に示されるように、ユニット[v]の画線A’[v]が削除される。また、処理f2の条件に一致しない場合は処理4に移行する。
【0042】
次に、処理f4にて、ユニット[v]に画線A[v]を有し、かつ、ユニット[v+1]に画線A’[v+1]を有する条件に一致したとき、処理f5にて、ユニット[v]における画線a[v]の追加を行う。すなわち、図7(b)に示されるように、ユニット[v]とユニット[v+1]の中間に、画線A又は画線A’の半分の画線面積を有する画線aが追加される。これにより、ユニット[v]とユニット[v+1]間における肉眼視での濃度の不均衡が緩和される。なお、本発明でいう半分の画線面積とは、略半分の画線面積を含むものである。
【0043】
次に、処理f6にて、ユニット[v]に画線A’[v]を有し、ユニット[v+1]に画線がなく、かつ、ユニット[v+2]に画線A[v+2]を有する条件に一致したとき、処理f7にて、ユニット[v+1]における画線E[v+1]の追加を行う。すなわち、図7(c)に示されるように、ユニット[v+1]の画線A[v+1]が配置される位置に隣接する領域に、画線A又は画線A’の半分の画線面積を有する画線Eが追加される。これにより、ユニット[v]とユニット[v+2]間における肉眼視での濃度の不均衡が緩和される。
【0044】
次に、処理f8にて、ユニット[v]に画線A’[v]を有し、ユニット[v+1]に画線がなく、かつ、ユニット[v+2]に画線A’[v+2]を有する条件に一致したとき、処理f9にて、ユニット[v+1]における画線E[v+1]及び画線a[v+1]の追加を行う。すなわち、図7(d)に示されるように、ユニット[v+1]の画線A[v+1]が配置される領域に隣接する位置に、画線A又は画線A’の半分の画線面積を有する画線Eが追加され、ユニット[v+1]の画線A’[v+1]が配置される領域に隣接する位置に、画線A又は画線A’の半分の画線面積を有する画線aが追加される。これにより、ユニット[v]とユニット[v+2]間における肉眼視での濃度の不均衡が緩和される。
【0045】
この状態で、例えば、レンチキュラーレンズから成る判別具2を印刷物1上の印刷模様3に重ね合わせ、正面から目視で観察することによって、印刷模様3に施されている不可視画像を可視画像として発現させることができる。なお、本実施の形態1では、寸法Svが340μmで、印刷模様3がオフセット印刷によりコート紙に印刷されている。しかし、寸法Sv、印刷物の基材、印刷方法、印刷材料及び印刷装置等について何ら限定するものでない。
【0046】
図8(a)に示されたように、印刷物上の所定の位置に、判別具2であるレンチキュラーレンズにおける各レンズの中心線7が画線Aの中心、すなわち、図4における線L1に一致するように載置する。この場合、図8(b)に示されたようにレンチキュラーレンズの作用によって画線Aが拡大された状態となるため、画線Aにより構成されている画像(模様)を確認することができることとなる。その際、可視画像を構成していた画線Cは、レンチキュラーレンズの各レンズの中心線7と一致せず、判別具2の真上から視認されることはない。これにより、図2に示された模様4が図3(a)に示されたような第1の不可視画像5へとスイッチすることとなる。また、画線A’が拡大されるように、縦軸方向に沿って判別具2の各レンズの中心線7が、図5における線L2と一致するように移動させた場合、画線Aにより視認された第1の不可視画像がネガポジ反転して視認される。
【0047】
(2)実施の形態2
次に、本発明の実施の形態2による偽造防止用印刷物について説明する。実施の形態1では、第1の不可視画像が発現する例であるが、実施の形態2では、第1の不可視画像と第2の不可視画像とによる2つの不可視画像が発現する例を説明するものである。
【0048】
図9は、本実施の形態1における印刷物に対する印刷模様の一画線の構成における部分的な拡大と、印刷物に印刷された印刷模様3を構成するマトリクス状に配置された構成が解るように簡易的に示した模式図である。ここで、縦の寸法Svは、例えば、340μmというように1mm以下の大きさである。図9の画線は、ユニットと称する最小単位であり、画線Aと画線A’及び画線Bと画線B’により、不可視画像が構成されている。この図9に示す画線が、印刷物の表面上においてマトリクス状に規則的に配置される。画線Aと画線A’とは、対を成しており、相互にオンオフの関係にある。一方、画線Bと画線B’とは、対を成しており、相互にオンオフの関係にある。そして、画線と画線A’とは、面積が同一であり、かつ、画線Bと画線B’とは、面積が同一である。このような画線Aと画線A’、画線Bと画線B’とが存在することで通常の可視条件下では視認されず、画線Aのみにより不可視画像(ネガ又はポジ)、画線A’のみにより不可視画像(ポジ又はネガ)がそれぞれ形成され、さらに、画線Bのみにより不可視画像(ネガ又はポジ)、画線B’のみにより不可視画像(ポジ又はネガ)がそれぞれ形成されている。
【0049】
また、実施の形態1と同様に、図9に示された画線Cにより可視画像(デザイン:模様)を形成し、図2に示されたような任意の図形及び文字から成る模様4を構成する画線となり、画線Cがユニットの縦方向に画線Aと画線Bに挟まれるように配置されている領域と、画線Cがユニットの縦方向に画線Bと画線A’に挟まれるように配置されている領域と、画線Cがユニットの縦方向に画線A’と画線B’に挟まれるように配置されている領域と、マトリクス状に配置されたユニットの近傍部にて画線Cがユニットの縦方向に画線B’と画線Aに挟まれるように配置されている領域とによって構成されている。さらに、図9に示された画線Cは、ユニット横方向を長手方向とし、寸法Shを最大幅とする長方形である。すなわち、ユニットの近傍部によって画線Cを備えた領域が横一直線状に連結されているものである。
【0050】
図2に示された印刷物1の印刷模様3は、図9に示されたユニットが縦ステップ数vと横ステップ数hをもってマトリクス状に縦横隙間なく、連続的に、かつ、規則的に配置されたものである。なお、本実施の形態でいうステップ数とは、印刷模様3上で繰り返されるユニットの数のことを指すもので、ステップ数に何ら制限はなく、このステップ数によって可視画像及び不可視画像の解像度と比例している。また、画線A及び画線A’が横方向に並ぶことによって、画線A群から成る平行万線及び画線A’群から成る平行万線が形成される。すなわち、図9は、線位相変調(Line phase modulation)によって、不可視画像を施している状態となっているものである。しかし、この状態では、肉眼視で複数の画線Aと複数の画線A’とがマトリクス状に配置されたユニットの近傍部にて画線Aと画線A’又は画線Bと画線B’の双方がオン(有着色)になることで濃度が高く(濃く)見えたり、また、複数の画線Aと複数の画線A’又は複数の画線Bと複数の画線B’とがマトリクス状に配置されたユニットの近傍部にて画線Aと画線A’又は画線Bと画線B’の双方がオフ(無着色)になることで濃度が低く(淡く)見えることで、肉眼視では、濃度が不均衡となって見えることもある。
【0051】
この濃度が不均衡に見える状態を緩和するため、図9に示された画線a、画線b及び画線Eを、それぞれ画線Cに挟まれるように配置している。図9に示された画線a、画線b及び画線Eは、肉眼視での濃度の不均衡を緩和するために設けられている。画線Aと画線B又は画線A’と画線B’は、ユニット横方向において、寸法Shの半分の長さをもって、ずれて配置されている。画線aは、画線Aに対してユニット縦方向上に配列し、ユニット内における画線B’と画線B’とに挟まれるように配置するか、又はマトリクス状に配置されたユニットの近傍部にて画線B’と画線B’とに挟まれるように配置されている。一方、画線bは、画線Bに対してユニット縦方向上に配列し、ユニット内における画線Aと画線Aとに挟まれるように配置するか、又はマトリクス状に配置されたユニットの近傍部にて画線A’と画線A’とに挟まれるように配置されている。これにより、第1及び第2の不可視画像用の画線と濃度の不均衡を緩和するための画線が、ユニット横方向において横一直線状に連結されているものである。
【0052】
図5に示されたアルゴリズムによって最小単位であるユニット[v]ごとに、画線の削除並びに追加を実行するものである。なお、[v]はユニットを縦上から数えたステップ数である。まず、処理f1にて、マトリクス状に配置した列ごとのユニット[v]において、順次画線A[v]及び画線A’[v]の検知が行われる。なお、画線A[v]及び画線A’[v]を検知する方法は、例えば、印刷模様3がビットマップ形式の2値画像の場合、処理すべきユニット内において、一般的にラベリングと呼ばれる処理によって、画線A[v]又は画線A’[v]を識別しても良い。
【0053】
次に、処理f2にて、ユニット[v]に画線A’[v]を有し、かつ、ユニット[v+1]に画線A[v+1]を有する条件に一致したとき、処理f3にて、ユニット[v]における本来配置される位置である画線A’[v]の削除が行われる。すなわち、図11(a)に示されるように、ユニット[v]、ユニット[v+1]、ユニット[v+2]の配置の際、ユニット[v]の画線A’[v]とユニット[v+1]の画線A[v+1]が隣接している場合、図11(b)に示されるように、ユニット[v]の画線A’[v]が削除される。また、処理f2の条件に一致しない場合は処理4に移行する。
【0054】
次に、処理f4にて、ユニット[v]に画線A[v]を有し、かつ、ユニット[v+1]に画線A’[v]を有する条件に一致したとき、処理f5にて、ユニット[v]における画線a[v]の追加を行う。すなわち、図12(b)に示されるように、ユニット[v]の画線Aとユニット[v+1]の画線A’の中間に、画線A又は画線A’の半分の画線面積を有する画線aが追加される。これにより、ユニット[v]とユニット[v+1]間における肉眼視での濃度の不均衡が緩和される。
【0055】
次に、処理f6にて、ユニット[v]に画線A’[v]を有し、ユニット[v+1]に画線がなく、かつ、ユニット[v+2]に画線A[v+2]を有する条件に一致したとき、処理f7にて、ユニット[v+1]における画線E[v+1]の追加を行う。すなわち、図12(c)に示されるように、ユニット[v]の画線A[v]とユニット[v+2]の画線Aの中心に、画線A又は画線A’の半分の画線面積を有する画線Eが追加される。これにより、ユニット[v]とユニット[v+2]間における肉眼視での濃度の不均衡が緩和される。
【0056】
次に、処理f8にて、ユニット[v]に画線A’[v]を有し、ユニット[v+1]に画線がなく、かつ、ユニット[v+2]に画線A’[v+2]を有する条件に一致したとき、処理f9にて、ユニット[v+1]における画線E[v+1]及び画線a[v+1]の追加を行う。すなわち、図12(d)に示されるように、ユニット[v+1]に、画線A又は画線A’の半分の画線面積を有する画線E及び画線aが追加される。これにより、ユニット[v]とユニット[v+2]間における肉眼視での濃度の不均衡が緩和される。
【0057】
一方、図10に示されたアルゴリズムによって最小単位であるユニット[v]ごとに、画線の削除並びに追加を実行するものである。なお、[v]はユニットを縦上から数えたステップ数である。まず、処理f11にて、マトリクス状に配置した列ごとのユニット[v]において順次画線B[v]及び画線B’[v]の検知が行われる。なお、画線B[v]及び画線B’[v]を検知する方法は、例えば、印刷模様3がビットマップ形式の2値画像の場合、処理すべきユニット内において、一般的にラベリングと呼ばれる処理によって、画線B[v]又は画線B’[v]を識別しても良い。
【0058】
次に、処理f12にて、ユニット[v]に画線B’[v]を有し、かつ、ユニット[v+1]に画線B[v+1]を有する条件に一致したとき、処理f13にて、ユニット[v]における本来配置される位置である画線B’[v]の削除が行われる。すなわち、図11(c)に示されるように、ユニット[v]、ユニット[v+1]、ユニット[v+2]の配置の際、ユニット[v]の画線B’[v]とユニット[v+1]の画線B[v+1]が隣接している場合、図11(d)に示されるように、ユニット[v]の画線B’[v]が削除される。
また、処理f12の条件に一致しない場合は処理4に移行する。
【0059】
次に、処理f14にて、ユニット[v]に画線B[v]を有し、かつ、ユニット[v+1]に画線B’[v]を有する条件に一致したとき、処理f15にて、ユニット[v+1]における画線b[v+1]の追加を行う。すなわち、図12(f)に示されるように、ユニット[v]の画線B[v]とユニット[v+1]の画線B[v+1]の中間に、画線B又は画線B’の半分の画線面積を有する画線bが追加される。これにより、ユニット[v]とユニット[v+1]間における肉眼視での濃度の不均衡が緩和される。
【0060】
次に、処理f16にて、ユニット[v]に画線B’[v]を有し、ユニット[v+1]に画線がなく、かつ、ユニット[v+2]に画線B[v+2]を有する条件に一致したとき、処理f17にて、ユニット[v+1]における画線E[v+1]の追加を行う。すなわち、図12(g)に示されるように、ユニット[v]の画線B’[v]とユニット[v+2]の画線B[v+2]の中心に、画線B又は画線B’の半分の画線面積を有する画線Eが追加される。これにより、ユニット[v]とユニット[v+2]間における肉眼視での濃度の不均衡が緩和される。
【0061】
次に、処理f18にて、ユニット[v]に画線B’[v]を有し、ユニット[v+1]に画線がなく、かつ、ユニット[v+2]に画線B’[v+2]を有する条件に一致したとき、処理f19にて、ユニット[v+1]における画線E[v+1]及びユニット[v+2]における画線b[v+2]の追加を行う。すなわち、図12(h)に示されるように、ユニット[v]の画線B’[v]及びユニット[v+2]の画線B’[v+2]が挟み込む位置に、画線B又は画線B’の半分の画線面積を有する画線E及び画線bが追加される。これにより、ユニット[v]とユニット[v+2]間における肉眼視での濃度の不均衡が緩和される。
【0062】
この状態で、例えば、レンチキュラーレンズから成る判別具2を印刷物1上の印刷模様3に重ね合わせ、正面から目視で観察することによって、印刷模様3に施されている不可視画像を可視画像として発現させることができる。なお、本実施の形態1では、寸法Svが340μmで、印刷模様3がオフセット印刷によりコート紙に印刷されている。しかし、寸法Sv、印刷物の基材、印刷方法、印刷材料及び印刷装置等について何ら限定するものでない。
【0063】
印刷模様3に、より具体的には、図9における線L1と各レンズの中心線とが一致するように、レンチキュラーレンズから成る判別具2を印刷物1上の印刷模様3に重ね合わせ、正面から目視で観察した状態を図13に示す。レンチキュラーレンズの中心線7が図9における線L1と一致するように図13(a)に示された位置にあるとき、中心線7に位置するのは画線Aとなっている。レンチキュラーレンズの特性によって中心線7に位置する画線Aが膨張して見えるため、目視では、図13(b)に示されたような図形の可視画像が発現する。また、レンチキュラーレンズの中心線7が図9における線L2と一致した位置にあるとき、中心線7に位置するのは、画線A’となっている。レンチキュラーレンズの特性によって中心線7に位置する画線A’が膨張して見えるため、ネガポジが反転して見える。よって、上述の図3(a)に示されたような第1の不可視画像がネガポジ状のどちらかに見える可視画像となって発現する。
【0064】
次に、図9における線L3とレンチキュラーレンズの各レンズの中心線が一致するように、印刷模様3に縦軸方向にずらして判別具2を印刷物1上の印刷模様3に重ね合わせ、正面から目視で観察した状態を図14に示す。この場合、レンチキュラーレンズの中心線7が図14(a)に示された位置にあり、中心線7に位置するのは、画線Bとなっている。レンチキュラーレンズの特性によって中心線7に位置する画線Bが膨張して見えるため、目視では、図14(b)に示されたような図形の可視画像が発現する。また、レンチキュラーレンズの中心線7が図9における線L4と一致した位置にあるとき、中心線7に位置するのは画線B’となっている。レンチキュラーレンズの特性によって中心線7に位置する画線B’が膨張して見えるため、ネガポジが反転して見える。つまり、図3(b)に示されたような第2の不可視画像6が、ネガポジ状のどちらかに見える可視画像となって発現するものである。
【0065】
なお、判別具を用いた第1の不可視画像及び第2の不可視画像を判別する際において、画線a、画線b及び画線Eで形成される可視画像は、ほとんど見えなくなるか、又は見え難くなる。このため、第1の不可視画像及び第2の不可視画像が可視画像として発現したときに、これらの視認性を阻害することはない。
【0066】
ここで判別具2は、レンチキュラーレンズにかかわらず、例えば、万線フィルタであっても同様の効果が得られる。この万線フィルタの場合は、フィルタ上の万線に該当する部分が可視画像を構成する画線を隠蔽することで、不可視画像を構成する画線のみを確認することができることとなるが、可視画像を完全には隠蔽することができずに若干視認されてしまうことがある。ただし、これによって本発明の効果を損なうことはないため、簡易的に判別を行うには、万線フィルタを用いても十分である。
【0067】
(3)実施の形態3
次に、本発明の実施の形態3による偽造防止用印刷物について説明する。実施の形態1では、第1の不可視画像が発現する例を説明し、実施の形態2では第1の不可視画像と第2の不可視画像とによる二つの不可視画像が発現する例を説明したものであれるが、実施の形態3では、実施の形態1及び実施の形態2において、さらに可視化した際の視覚効果を有する例を説明するものである。
【0068】
前述したように、本発明における画線Cは、画線A、画線A’、画線B又は画線B’より面積が大きく、この画線Cにより可視画像(デザイン:模様)を形成し、図2に示されたような任意の図形及び文字から成る模様4を構成する画線であり、図4又は図9で示された通り、画線Cは、ユニット横方向を長手方向とし、寸法Shを最大幅とする長方形である。すなわち、ユニットの近傍部によって画線Cを備えた領域が横一直線状に連結されているものである。図15は、この画線Cにおける画線要素の分割について説明するものである。
【0069】
例えば、図2で示された任意の図形及び文字等から成る模様4を構成する最も単純な表現方法としては、図15(a)に示されたユニットがマトリックス状に配置された印刷模様3において、図16で示されたようにマトリックス状に配置された所定の位置における画線Cの有無によって、図2に示された模様4が構成される。すなわち、通常の目視で視認した際に、印刷物1から視認することができる可視画像である。また、図17で示された印刷模様3は、模様4の背景部を図15(a)に示されたユニットにおける画線Cで構成し、模様4を図15(b)に示されたユニットにおける画線c1と画線c2とで構成し、マトリックス状に配置したものである。なお、図15(b)に示された画線c1と画線c2の横方向の寸法は、それぞれユニット横方向の寸法Shの約1/2である。
【0070】
図17(a)に示されたように、印刷物上の所定の位置に、判別具2であるレンチキュラーレンズにおける各レンズの中心線7が画線c1の中心、すなわち、図15(b)における線L5に一致するように載置する。この場合、図17(b)に示されたようにレンチキュラーレンズの作用によって画線c1が拡大された状態となるため、画線c1により構成されている画像(模様)又は色相を確認することができることとなる。その際、不可視画像を構成していた画線B、画線B’は、レンチキュラーレンズの各レンズの中心線7と一致せず、また、画線A、画線A’、画線a’及び画線Eは、不可視画像の発現とは無関係な位置関係を成しているため判別具2の真上から視認されることはない。これにより、図2に示された模様4が現れる(又は画線c1の色相となって表示される。)。
【0071】
また、図18(a)に示されたように、印刷物上の所定の位置に、判別具2であるレンチキュラーレンズにおける各レンズの中心線7が画線c2の中心、すなわち、図15(b)における線L6に一致するように載置する。この場合、図18(b)に示されたようにレンチキュラーレンズの作用によって画線c2が拡大された状態となるため、画線c2により構成されている画像(模様)又は色相を確認することができることとなる。その際、不可視画像を構成していた画線A、画線A’は、レンチキュラーレンズの各レンズの中心線7と一致せず、また、画線B、画線B’、画線b’及び画線Eは、不可視画像の発現とは無関係な位置関係を成しているため、判別具2の真上から視認されることはない。これにより、図2に示された模様4が現れる(又は画線c2の色相となって表示される。)。
【0072】
さらに、図19は、図15(b)に示された画線c1と画線c2が、模様4と模様4の背景とで反転している例である。図19(a)に示されたように、印刷物上の所定の位置に、判別具2であるレンチキュラーレンズにおける各レンズの中心線7が画線c1の中心、すなわち、図15(b)における線L5に一致するように載置した領域と、中心線7が画線c2の中心、すなわち、図15(b)における線L6に一致するように載置した領域とがある。この場合、図19(b)に示されたようにレンチキュラーレンズの作用によって、線L5に一致するように載置した領域は画線c1が拡大された状態となり、線L6に一致するように載置した領域は画線c2が拡大された状態となるため、図2に示された模様4が現れる(又は模様4と模様4の背景とが異なった色相となって現れる。)。また、画線A、画線A’、画線a’、画線B、画線B’、画線b’及び画線Eは、不可視画像の発現とは無関係な位置関係を成しているため、判別具2の真上から視認されることはない。なお、この例では、画線c1と画線c2を備えたユニットと、画線c1と画線c2がユニット横方向で反転していることによって、通常の目視では、模様4を視認することはない。すなわち、模様4を第3の不可視画像とすることも可能としている。
【0073】
さらに、図15(c)は、画線Cが3分割されたユニットであり、図15(c)に示された画線c3、画線c4及び画線c5の横方向の寸法は、それぞれユニット横方向の寸法Shの約1/3である。図20は、図2に示された模様4を構成する画線が示されたものであり、図15(c)に示された画線c3、画線c4及び画線c5がそれぞれ異なる色で配色されたユニットで構成し、マトリックス状に配置したものである。図20(a)に示されたように、例えば印刷物上において、判別具2であるレンチキュラーレンズが斜めに重なった際、各レンズの中心線7が画線c3の中心、すなわち、図15(c)における線L7に一致するように載置するか、又は各レンズの中心線7が画線c4の中心、すなわち、図15(c)における線L8に一致するように載置するか、又は各レンズの中心線7が画線c5の中心、すなわち、図15(c)における線L9に一致するように載置する。この場合、図20(b)に示されたように、レンチキュラーレンズの作用によって画線c3、画線c4及び画線c5のいずれか拡大された状態となるため、画線c3、画線c4及び画線c5で構成されている色相が虹色状に確認することができる。また、画線A、画線A’、画線a’、画線B、画線B’、画線b’及び画線Eは、不可視画像の発現とは無関係な位置関係を成しているため、判別具2の真上から視認されることはない。
【0074】
また、図15(e)に示されたユニットは、可視画像(デザイン:模様)を成す画線c1及び画線c2がそれぞれ2分割されたものである。画線c1と画線c1’並びに画線c2と画線c2’を、前述の画線Aと画線A’並びに画線Bと画線B’と同じく相互にオンオフの関係とすることで、レンチキュラーレンズにおける各レンズの中心線7の位置によって発現する第3の不可視画像又は第4の不可視画像を設けることが可能となる。さらに、図15(f)に示されたユニットは、可視画像(デザイン:模様)を成す画線c3、画線c4及び画線c5がそれぞれ2分割されたものである。画線c3と画線c3’、画線c4と画線c4’並びに画線c5と画線c5’を、前述の画線Aと画線A’並びに画線Bと画線B’と同じく相互にオンオフの関係とすることで、レンチキュラーレンズにおける各レンズの中心線7の位置によって発現する第3の不可視画像、第4の不可視画像又は第5の不可視画像を設けることが可能となる。
【0075】
本実施の形態3によれば、図15に示されたそれぞれのユニットの組み合わせによって、例えば、図2の模様4を図15(c)で構成し、模様4の背景を図15(a)で構成した場合、図21に示されたように、判別具2であるレンチキュラーレンズの重なり具合によって、模様4が虹色に発現させることが可能である。また、例えば、図2の模様4を図15(c)で構成し、模様4の背景を図15(c)の画線c3、画線c4、画線c5を横方向で反転して構成で配置した場合、図22に示されたように、判別具2であるレンチキュラーレンズの重なり具合によって、模様4が虹色に発現させ、かつ、模様4の背景が模様4の虹色と逆順の色配置から成る虹色で発現させることが可能である。これにより、図15に示されたそれぞれのユニットの組み合わせは、本発明の効果を奏する上で何ら限定するものではない。
【0076】
本実施の形態によれば、画線C、画線c1、画線c2、画線c3、画線c4及び画線c5を用いて自由度が高く意匠性を有する鮮明な可視画像を、不可視画像の発現時における視認性を阻害することなく形成することができるため、有価証券等の印刷物においても有用である。また、印刷物上に単一の判別具を重ね合わせることによって、画線A及びA’、画線B及びB’で形成される不可視画像を容易とし、かつ、鮮明に発現させることが可能である。さらに、本発明における印刷物を構成する各画線を同一色とした単色印刷のみでも十分な偽造防止効果が得られる上に、製版、印刷方法等について何ら限定しないため、コストを低減させることができる。
【0077】
(4)実施の形態4
次に、本発明の実施の形態4による偽造防止用印刷物について説明する。前述したように、画線Cは、可視画像(デザイン:模様)を形成し、図4又は図9で示された通り、画線Cは、ユニット横方向を長手方向とし、寸法Shを最大幅とする長方形である。すなわち、ユニットの近傍部によって画線Cを備えた領域が横一直線状に連結されているものである。マトリックス状に配置されたユニットにおける画線Cの画線面積率又は画線濃度が段階的に変わることによって、可視画像を連続階調画像として表現させることが可能になる。
【0078】
図23及び図24は、可視画像を連続階調画像として表現することを可能にする画線Cの構成が示されたユニットである。図23(a)〜(c)は、画線Cの画線面積率がそれぞれ異なるものであり、図23(a)をハイライト部に用いられるユニット、図23(b)を中間調部に用いられるユニット、図23(c)をシャドー部に用いられるユニットにて構成されることによって、図25に示された模様4のように連続階調で表現することが可能になる。
【0079】
また、図24(a)〜(c)は、画線Cの画線濃度が段階的に異なるものであり、図24(a)をハイライト部に用いられるユニット、図24(b)を中間調部に用いられるユニット、図24(c)をシャドー部に用いられるユニットにて構成されることによって、図25に示された模様4のように連続階調で表現することが可能になる。さらに、図24に示された画線Cは、単色に限らず、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの減法混色から成る複数の画線によって構成しても良い。これにより、図25に示された印刷模様3は、任意の連続階調から成るフルカラーの模様4として表現することができる。
【0080】
(5)実施の形態5
図26は、本実施の形態5の偽造防止用印刷物において、印刷模様3を形成するインキに光輝性を含むインキを用いて印刷し、印刷模様3上に無色透明材料を用いてベタ刷りにより所望の模様D(ここでは、アルファベットのN)を印刷したものである。
【0081】
図26に示した可視画像を有する偽造防止用印刷物において、図27は、印刷物1を拡散光領域と正反射光領域とで観察したときのそれぞれの照明光源8と視点9と印刷物1の三つの位置関係を図示したものである。照明光源8と視点9と印刷物1が、図27(a)の位置関係にあるとき、拡散光領域で観察したことになり、照明光源8と視点9と印刷物1が図27(b)の位置関係にあるとき、正反射光領域で観察したことになる。
【0082】
図27(a)で示されたように、拡散光領域で印刷物1を目視で観察した場合、印刷模様3上に施された無色透明材料から成る模様Dは、完全に透過しているので、光輝性を含むインキから成る印刷模様3が、図26(a)に示されるように視認することができる状態となる。一方、図27(b)に示されたように、正反射光領域で印刷物1を目視で観察した場合、光輝性を含むインキから成る印刷模様3は、正反射光がもたらす光輝性の作用によって明度が高まり、無色透明材料から成る模様Dの部分については、印刷模様3の光輝性の作用が抑制される。これにより、模様Dのみが光輝性の違いで図26(b)に示されるように強調されて視認される。したがって、模様Dの配置で構成した「N」の文字が観察される。
【0083】
なお、本実施の形態1乃至4の偽造防止用印刷物の印刷模様3を光輝性材料を含む材料で印刷し、その印刷模様3上に無色透明材料、例えば、透明ニス等から成る模様を印刷しても、実施の形態5に示す印刷物と同様の効果を得られる。
【符号の説明】
【0084】
1 印刷物
2 判別具
3 印刷模様
4 模様
5 不可視画像
6 不可視画像
7 中心線
8 照明光源
9 視点
A 画線
a 画線
B 画線
b 画線
C 画線
c1 画線
c2 画線
c3 画線
c4 画線
c5 画線
D 模様
E 画線
L1 線
L2 線
L3 線
L4 線
L5 線
L6 線
L7 線
L8 線
L9 線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に、所定の面積を有するユニットが複数配置され、
前記ユニットは、第1の方向に沿って潜像領域と可視画像領域とが交互に少なくとも二組配置され、
各々の前記ユニットの少なくとも二組の前記潜像領域の一方は、第1の画線領域と第4の画線領域を有し、
他方の前記潜像領域は、第2の画線領域と前記第4の画線領域を有し、
前記可視画像領域は、前記ユニットの長手方向に対する一方の端部から他方の端部にわたって配置された第3の画線領域を有し、
各々の前記ユニット内における前記潜像領域は、前記第1の画線領域及び前記第2の画線領域をオン、オフの関係として、いずれか一方の画線が形成された場合、他方の画線は形成されない関係とする前記ユニットとするか、又は前記第1の画線及び前記第2の画線の双方を形成しない前記ユニットとして形成され、
前記第1の画線及び前記第2の画線は面積が同一であり、
前記第1の画線により第1の不可視画像のポジ画像又はネガ画像のいずれか一方が形成され、前記第2の画線により前記第1の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成され、
前記第1の方向に沿って隣接する2つ又は3つの前記ユニット間において、近接する前記第1の画線又は前記第2の画線までの距離が所定の距離以上に離れて配置された場合に、近接する前記第1の画線又は前記第2の画線に挟まれた前記第1の画線領域に隣接した前記第4の画線領域又は前記第2の画線領域に隣接する前記第4の画線領域に、前記第1の画線及び前記第2の画線における半分の画線面積で、かつ、同色である第4の画線が形成され、
前記第3の画線領域内に前記第3の画線が形成されることで可視画像が形成されたことを特徴とする偽造防止用印刷物。
【請求項2】
前記所定の距離は、前記第1の方向に沿って隣接する2つの前記ユニットに配置された一方の前記第1の画線領域から他方の前記第1の画線領域までの距離であることを特徴とする請求項1記載の偽造防止用印刷物。
【請求項3】
前記第3の画線は、画線の大小、画線の濃淡及び画線の疎密から選択される少なくとも一つの方法によって連続階調から成る可視画像が形成されたことを特徴とする請求項1又は2記載の偽造防止用印刷物。
【請求項4】
前記第3の画線は、少なくとも二色以上の画線を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の偽造防止用印刷物。
【請求項5】
前記ユニットにおける一辺の長さが1mm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の偽造防止用印刷物。
【請求項6】
前記第1の画線、前記第2の画線、前記第3の画線及び前記第4の画線は、光輝性材料を含むインキで印刷され、
前記第1の画線、前記第2の画線、前記第3の画線及び前記第4の画線の少なくとも一部の画線上に、無色透明材料を用いてベタ刷りにより所望の模様を形成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載の偽造防止用印刷物。
【請求項7】
基材に、所定の面積を有するユニットが複数配置され、
前記ユニットは、第1の方向に沿って潜像領域と可視画像領域とが交互に少なくとも四組配置され、
各々の前記ユニット内の少なくとも四組の前記潜像領域は、第1の不可視画像を形成する少なくとも二組の前記潜像領域で形成された第1の潜像領域と、第2の不可視画像を形成する少なくとも二組の前記潜像領域で形成された第2の潜像領域を有し、
前記第1の潜像領域の少なくとも二組の前記潜像領域における一方は、第1の画線領域及び第4の画線領域を有し、他方は、第2の画線領域及び前記第4の画線領域を有し、
前記第2の潜像領域の少なくとも二組の前記潜像領域における一方は、第5の画線領域と第7の画線領域を有し、他方は、第6の画線領域と前記第7の画線領域を有し、
前記可視画像領域は、前記ユニットの長手方向に対する一方の端部から他方の端部にわたって配置された第3の画線領域を有し、
各々の前記ユニット内における前記第1の潜像領域は、前記第1の画線領域及び前記第2の画線領域をオン、オフの関係として、いずれか一方の画線が形成された場合、他方の画線は形成されない関係とする前記ユニットとするか、又は前記第1の画線及び前記第2の画線の双方を形成しない前記ユニットとして形成され、
各々の前記ユニット内における前記第2の潜像領域は、前記第5の画線領域及び前記第6の画線領域をオン、オフの関係として、いずれか一方の画線が形成された場合、他方の画線は形成されない関係とする前記ユニットとするか、又は前記第5の画線及び前記第6の画線の双方を形成しない前記ユニットとして形成され、
前記第1の画線及び前記第2の画線は面積が同一であり、
前記第5の画線及び前記第6の画線は面積が同一であり、
前記第1の画線により前記第1の不可視画像のポジ画像又はネガ画像のいずれか一方が形成され、前記第2の画線により前記第1の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成され、
前記第5の画線により前記第2の不可視画像のポジ画像又はネガ画像のいずれか一方が形成され、前記第6の画線により前記第2の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成され、
前記第1の方向に沿って隣接する2つ又は3つの前記ユニット間において、近接する前記第1の画線又は前記第2の画線までの距離が所定の距離以上に離れて配置された場合に、近接する前記第1の画線又は前記第2の画線に挟まれた前記第1の画線領域に隣接した前記第4の画線領域又は前記第2の画線領域に隣接する前記第4の画線領域に、前記第1の画線及び前記第2の画線における半分の画線面積で、かつ、同色である第4の画線が形成され、
前記第1の方向に沿って隣接する2つ又は3つの前記ユニット間において、近接する前記第5の画線又は前記第6の画線までの距離が所定の距離以上に離れて配置された場合に、近接する前記第5の画線又は前記第6の画線に挟まれた前記第5の画線領域に隣接した前記第7の画線領域又は前記第6の画線領域に隣接する前記第7の画線領域に、前記第5の画線及び前記第6の画線における半分の画線面積で、かつ、同色である第7の画線が形成され、
前記第3の画線領域内に前記第3の画線が形成されることで可視画像が形成されたことを特徴とする偽造防止用印刷物。
【請求項8】
前記所定の距離は、前記第1の方向に沿って隣接する2つの前記ユニットに配置された一方の前記第1の画線領域から他方の前記第1の画線領域までの距離であることを特徴とする請求項7記載の偽造防止用印刷物。
【請求項9】
前記第3の画線は、画線の大小、画線の濃淡及び画線の疎密から選択される少なくとも一つの方法によって連続階調から成る可視画像が形成されたことを特徴とする請求項7又は8記載の偽造防止用印刷物。
【請求項10】
前記第3の画線は、少なくとも二色以上の画線を含むことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項記載の偽造防止用印刷物。
【請求項11】
前記ユニットにおける一辺の長さが1mm以下であることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一項記載の偽造防止用印刷物。
【請求項12】
前記第1の画線、前記第2の画線、前記第3の画線、前記第4の画線、前記第5の画線、前記第6の画線及び前記第7の画線は、光輝性材料を含むインキで印刷され、
前記第1の画線、前記第2の画線、前記第3の画線、前記第4の画線、前記第5の画線、前記第6の画線及び前記第7の画線の少なくとも一部の画線上に、無色透明材料を用いてベタ刷りにより所望の模様を形成することを特徴とする請求項7乃至11のいずれか一項記載の偽造防止用印刷物。
【請求項13】
前記第1の画線、前記第2の画線及び前記第4の画線と、前記第5の画線、前記第6の画線及び前記第7の画線とは、色相が異なることを特徴とする請求項7乃至12のいずれか一項記載の偽造防止用印刷物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2012−16836(P2012−16836A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154001(P2010−154001)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(303017679)独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Fターム(参考)】