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偽造防止用紙の真偽判別方法
説明

偽造防止用紙の真偽判別方法

【課題】 機械読取に適した材料を付与した箇所に透かしを形成した偽造防止用紙及びその製造方法並びにその真偽判別方法及びその真偽判別装置を得る。
【解決手段】 抄紙機上に設置したスプレー装置を用いて抄紙機上の湿紙の表面に向かって機械読取に適した材料を含むスプレー液を噴霧するにあたって、スプレー液を噴霧する際の圧力、湿紙の表面とスプレーノズルの距離を制御する。また、機械読取に適した材料を付与した位置と透かしを形成した位置が互いに一致するか否かを照合するとともに、用紙の反射光状態及び用紙の発光状態の少なくともいずれかの状態の読み取りデータと用紙の透過光状態の読み取りデータのそれぞれの読み取りデータを真正な偽造防止用紙によって得られるそれぞれに対応する読み取りデータと照合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偽造防止用紙の真偽判別方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
用紙の真偽判別方法として、あらかじめ用紙に付与してある機械読取に適した材料を機械により検知して真偽判別する方法が従来から試みられている。
【0003】
用紙に機械読取に適した材料を付与する方法としては、印刷によって機械読取に適した材料を付与する方法と、コーターでコーティングして機械読取に適した材料を付与する方法が一般的である。印刷によって機械読取に適した材料を付与する方法では、機械読取に適した材料をワニスと混合することでインキ化してフレキソ印刷、オフセット印刷等の各種印刷方式で印刷する方法が公知である。コーターによって機械読取に適した材料を付与する方法としては、機械読取に適した材料をバインダーと混合した塗工液をコーターを用いてコーティングする方法が公知である。この場合、用紙の表面の全面にコーティングする方法が一般的であるが、用紙の表面に部分的にコーティングする方法としては特開平8−49198号に開示される方法がある(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、用紙を製造する段階で用紙の表面に機械読取に適した材料を付与する方法としては、特公平10−500901号のように、多量低速霧化スプレーミストの状態で用紙の表面の全面に機械読取に適した材料を含むスプレー液をコーティングする方法が公知である。この場合、機械読取に適した材料を含むスプレー液は空気圧で霧状にして低圧状態で用紙の表面の全面に噴霧される(例えば、特許文献2)。
【0005】
一方、機械読取に適した材料を紙料中に混合して用紙を抄造することで機械読取に適した材料を紙層の内部を含めて用紙の全体に付与する方法が公知である。また、機械読取に適した材料を紙層の内部に部分的に付与する方法としては、特公平6−63200号のように、円網抄紙機の円網槽内において繊維状の機械読取に適した材料を部分的に混抄する方法が公知である(例えば、特許文献3)。
【0006】
さらに、特願平10−251255号「機械読取用紙及びその製造方法並びにその製造装置」には、機械読取に適した材料を用紙の表面の任意部分に付与すると同時に、用紙の当該部分において機械読取に適した材料を用紙の表面から所望される紙層の内部に至るまでの領域に分布させて、通常の可視光下では肉眼で視認することのできない不可視の状態で機械読取に適した材料を付与した機械読取用紙及びその製造方法並びにその製造装置が開示されている(例えば、特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−49198号
【特許文献2】特公平10−500901号
【特許文献3】特公平6−63200号
【特許文献4】特願平10−251255号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述の従来の技術により機械読取に適した材料を付与した用紙では、第三者が機械読取に適した材料を入手した場合に偽造防止効果が極めて低下するおそれがあった。すなわち、第三者が機械読取に適した材料を入手した場合には、いかなる方法であっても用紙に機械読取に適した材料を付与すれば真偽判別装置を真として通過してしまう危険性があった。また、機械読取に適した材料を用紙の全面に付与する方法では、高価な機械読取に適した材料が多量に必要とされることになり、用紙の製造コストが高くなってしまうといった問題点があった。
【0009】
そこで、本発明は、第三者が機械読取に適した材料を入手した場合でも、機械による真偽判別の信頼性を維持するために、用紙の所定の箇所において前記用紙の表面から所望される紙層の内部に至るまでの領域に機械読取に適した材料が付与されていると同時に、前記用紙の前記所定の箇所において紙層構造を部分的に変化させた透かしが形成されている偽造防止用紙及びその製造方法並びにその真偽判別方法及びその真偽判別装置を提供し、本発明に係る偽造防止用紙によって機械による真偽判別の信頼性の向上を図ることを目的としている。すなわち、本発明では、機械読取に適した材料が付与されている箇所に紙層構造を部分的に変化させた透かしが形成されている偽造防止用紙及びその製造方法並びにその真偽判別方法及びその真偽判別装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の偽造防止用紙は、用紙の所定の箇所において前記用紙の表面から所望される紙層の内部に至るまでの領域に機械読取に適した材料が付与されていると同時に、前記用紙の前記所定の箇所において紙層構造を部分的に変化させた透かしが形成されていることを特徴としている。
【0011】
また、本発明の偽造防止用紙は、前記機械読取に適した材料が、紫外線吸収材料、赤外線吸収材料及び蛍光発光材料の少なくともいずれかの材料を含むことを特徴としている。
【0012】
また、本発明の偽造防止用紙は、前記機械読取に適した材料として、前記用紙と同色又は近似色の材料を使用することによって、前記用紙に付与された前記機械読取に適した材料を可視光下で不可視状態としたことを特徴としている。
【0013】
また、本発明の偽造防止用紙は、抄紙機上で紙層を形成する過程で、サクションボックスの吸引により前記抄紙機上の湿紙が強制脱水されつつある部位において、前記抄紙機上に設置されたスプレーノズルを有するスプレー装置を用いて前記湿紙の表面に向かって前記機械読取に適した材料を含むスプレー液を噴霧したことを特徴としている。
【0014】
また、本発明の偽造防止用紙は、前記機械読取に適した材料を直線状又は波線状に付与したことを特徴としている。
【0015】
また、本発明の偽造防止用紙は、前記機械読取に適した材料を連続して又は間欠して付与したことを特徴としている。
【0016】
また、本発明の偽造防止用紙の製造方法は、抄紙機上で紙層を形成する過程において、前記抄紙機上にスプレーノズルを有するスプレー装置を設置し、前記スプレー装置を用いて前記抄紙機上の湿紙の表面に向かって機械読取に適した材料を含むスプレー液を噴霧するにあたって、前記スプレー液を噴霧する際の圧力、前記湿紙の表面と前記スプレーノズルの距離を制御することによって、用紙の所定の箇所において前記用紙の表面から所望される紙層の内部に至るまでの領域に前記機械読取に適した材料を付与すると同時に、前記用紙の前記所定の箇所において紙層構造を部分的に変化させた透かしを形成することを特徴としている。
【0017】
また、本発明の偽造防止用紙の製造方法は、前記機械読取に適した材料として、紫外線吸収材料、赤外線吸収材料及び蛍光発光材料の少なくともいずれかの材料を使用することを特徴としている。
【0018】
また、本発明の偽造防止用紙の製造方法は、前記機械読取に適した材料として、前記用紙と同色又は近似色の材料を使用することによって、前記用紙に付与された前記機械読取に適した材料を可視光下で不可視状態とすることを特徴としている。
【0019】
また、本発明の偽造防止用紙の製造方法は、前記抄紙機上で紙層を形成する過程で、サクションボックスの吸引により前記抄紙機上の湿紙が強制脱水されつつある部位において、前記湿紙の表面に向かって前記スプレー液を噴霧することを特徴としている。
【0020】
また、本発明の偽造防止用紙の製造方法は、前記抄紙機上で前記スプレーノズルを所定の位置に固定させて前記スプレー液を噴霧することによって、前記機械読取に適した材料を直線状に付与することを特徴としている。
【0021】
また、本発明の偽造防止用紙の製造方法は、前記抄紙機上で前記スプレーノズルを前記湿紙の幅方向に所定の周期で移動させながら前記スプレー液を噴霧することによって、前記機械読取に適した材料を波線状に付与することを特徴としている。
【0022】
また、本発明の偽造防止用紙の製造方法は、前記抄紙機上で前記スプレーノズルを開いたままの状態で前記スプレー液を噴霧することによって、前記機械読取に適した材料を連続して付与することを特徴としている。
【0023】
また、本発明の偽造防止用紙の製造方法は、前記抄紙機上で前記スプレーノズルの開閉を調整して前記スプレー液を噴霧するタイミングを制御することによって、前記機械読取に適した材料を間欠して付与することを特徴としている。
【0024】
また、本発明の偽造防止用紙の真偽判別方法は、用紙の所定の箇所において前記用紙の表面から所望される紙層の内部に至るまでの領域に機械読取に適した材料が付与されていると同時に、前記用紙の前記所定の箇所において紙層構造を部分的に変化させた透かしが形成されている偽造防止用紙の真偽判別方法であって、前記機械読取に適した材料に吸収される特性を持った所定の波長の光及び前記機械読取に適した材料を発光させる特性を持った所定の波長の光の少なくともいずれかの光を前記偽造防止用紙に照射するとともに、通常の可視光を前記偽造防止用紙に照射し、前記機械読取に適した材料に吸収される特性を持った所定の波長の光を照射して得られる前記偽造防止用紙の反射光状態及び前記機械読取に適した材料を発光させる特性を持った所定の波長の光を照射して得られる前記偽造防止用紙の発光状態の少なくともいずれかの状態を読み取るとともに、前記通常の可視光下での前記偽造防止用紙の透過光状態を読み取って、それぞれの状態についての読み取りデータを出力し、前記反射光状態及び前記発光状態の少なくともいずれかの状態の読み取りデータにより、前記反射光状態及び前記発光状態の少なくともいずれかの状態が変化する位置を前記機械読取に適した材料を付与した位置として算出するとともに、前記透過光状態の読み取りデータにより、前記透過光状態が変化する位置を前記透かしを形成した位置として算出し、前記機械読取に適した材料を付与した位置と前記透かしを形成した位置のそれぞれの位置が互いに一致するか否かを照合して真偽判別を行うことを特徴としている。
【0025】
また、本発明の偽造防止用紙の真偽判別方法は、前記機械読取に適した材料を付与した位置と前記透かしを形成した位置のそれぞれの位置が互いに一致するか否かを照合する際に、前記反射光状態及び前記発光状態の少なくともいずれかの状態の読み取りデータと前記透過光状態の読み取りデータのそれぞれの読み取りデータを真正な偽造防止用紙によって得られるそれぞれに対応する読み取りデータと照合して真偽判別を行うことを特徴としている。
【0026】
また、本発明の偽造防止用紙の真偽判別装置は、用紙の所定の箇所において前記用紙の表面から所望される紙層の内部に至るまでの領域に機械読取に適した材料が付与されていると同時に、前記用紙の前記所定の箇所において紙層構造を部分的に変化させた透かしが形成されている偽造防止用紙の真偽判別装置であって、前記機械読取に適した材料に吸収される特性を持った所定の波長の光及び前記機械読取に適した材料を発光させる特性を持った所定の波長の光の少なくともいずれかの光を前記偽造防止用紙に照射するとともに、通常の可視光を前記偽造防止用紙に照射する光源照射部と、前記機械読取に適した材料に吸収される特性を持った所定の波長の光を照射して得られる前記偽造防止用紙の反射光状態及び前記機械読取に適した材料を発光させる特性を持った所定の波長の光を照射して得られる前記偽造防止用紙の発光状態の少なくともいずれかの状態を読み取るとともに、前記通常の可視光下での前記偽造防止用紙の透過光状態を読み取って、それぞれの状態についての読み取りデータを出力する読み取りデータ出力部と、前記反射光状態及び前記発光状態の少なくともいずれかの状態の読み取りデータにより、前記反射光状態及び前記発光状態の少なくともいずれかの状態が変化する位置を前記機械読取に適した材料を付与した位置として算出するとともに、前記透過光状態の読み取りデータにより、前記透過光状態が変化する位置を前記透かしを形成した位置として算出した上で、前記機械読取に適した材料を付与した位置と前記透かしを形成した位置のそれぞれの位置が互いに一致するか否かを照合して真偽判別を行う演算部を備えたことを特徴としている。
【0027】
また、本発明の偽造防止用紙の真偽判別装置は、前記演算部において、前記機械読取に適した材料を付与した位置と前記透かしを形成した位置のそれぞれの位置が互いに一致するか否かを照合する際に、前記反射光状態及び前記発光状態の少なくともいずれかの状態の読み取りデータと前記透過光状態の読み取りデータのそれぞれの読み取りデータを真正な偽造防止用紙によって得られるそれぞれに対応する読み取りデータと照合して真偽判別を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、抄紙機上で紙層を形成する過程において、抄紙機上に設置したスプレー装置を用いて、用紙の所定の箇所に用紙の表面から所望される紙層の内部に至るまでの領域に機械読取に適した材料を付与することができるとともに、用紙の同じ箇所に紙層の厚さ、密度などの特性を部分的に変化させて三次元的な紙層構造を持った透かしを形成することができるので、簡単な製造設備を用いて効率的に、かつ、低コストで偽造防止用紙を製造することができる。また、用紙に付与された機械読取に適した材料とともに、用紙に形成された紙層の厚さ、密度などの特性を部分的に変化させた三次元的な紙層構造を持った透かしは、光学的な真偽判別方法によって容易に、かつ、機械的に検出することができるので用紙を真偽判別する際の利便性を向上させることができる。
【0029】
また、本発明によれば、機械読取に適した材料を用紙の表面から所望される紙層の内部に至るまでの領域に付与することができるので、透かしと同様に用紙の表裏どちらからでも機械読取に適した材料を検出することが可能であり、用紙を機械的に真偽判別する際の利便性に優れている。
【0030】
また、本発明によれば、機械読取に適した材料として紫外線吸収材料、赤外線吸収材料又は蛍光発光材料のいずれかの種類の材料を組み合わせた複数の種類の材料を使用すれば、紫外線吸収材料、赤外線吸収材料又は蛍光発光材料のいずれかの種類の材料を単独で使用した場合よりも、真正な偽造防止用紙の偽造を困難にすることができるとともに、機械読取に適した材料の種類に応じて複数の種類の光源を用いて用紙の真偽判別を行うことができるので、紫外線吸収材料、赤外線吸収材料又は蛍光発光材料のいずれかの種類の材料を単独で使用した場合よりも用紙の真偽判別の精度を向上させることができる。
【0031】
また、本発明によれば、用紙に付与される機械読取に適した材料として用紙と同色又は近似色の材料を使用することによって、通常の可視光下で不可視の状態で機械読取に適した材料を用紙に付与することができるので、用紙の偽造防止効果を向上させることができる。
【0032】
また、本発明によれば、用紙の所定の箇所に用紙の表面から所望される紙層の内部に至るまでの領域に機械読取に適した材料を付与することができるとともに、用紙の同じ箇所に紙層の厚さ、密度などの特性を部分的に変化させて三次元的な紙層構造を持った透かしを形成することができるので、機械読取に適した材料に吸収される特性を持った所定の波長の光を照射して得られる用紙の反射光状態及び機械読取に適した材料を発光させる特性を持った所定の波長の光を照射して得られる用紙の発光状態の少なくともいずれかの状態の読み取りデータが変化する位置と通常の可視光を照射して得られる用紙の透過光状態の読み取りデータが変化する位置が互いに一致するか否かを照合することで用紙の真偽判別を容易に行うことができる。さらに、機械読取に適した材料に吸収される特性を持った所定の波長の光を照射して得られる用紙の反射光状態及び機械読取に適した材料を発光させる特性を持った所定の波長の光を照射して得られる用紙の発光状態の少なくともいずれかの状態の読み取りデータが変化する位置と通常の可視光を照射して得られる用紙の透過光状態の読み取りデータが変化する位置が互いに一致するか否かを照合すると同時に、機械読取に適した材料に吸収される特性を持った所定の波長の光を照射して得られる用紙の反射光状態及び機械読取に適した材料を発光させる特性を持った所定の波長の光を照射して得られる用紙の発光状態の少なくともいずれかの状態の読み取りデータと通常の可視光を照射して得られる用紙の透過光状態の読み取りデータのそれぞれの読み取りデータを真正な偽造防止用紙によって得られるそれぞれに対応する読み取りデータと照合すれば用紙の真偽判別の精度を一段と向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る偽造防止用紙を示す図である。
【図2】本発明に係る偽造防止用紙を真偽判別する方法と装置を示す概略図である。
【図3】本発明に係る偽造防止用紙を真偽判別する方法と装置を示す概略図である。
【図4】本発明に係る偽造防止用紙の真偽判別装置に関連する構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の偽造防止用紙及びその製造方法並びにその真偽判別方法及びその真偽判別装置を以下に説明するが、まず、本発明に係る偽造防止用紙及びその製造方法の構成を説明する。
【0035】
(1) 本発明では、抄紙機上で紙層を形成する過程において機械読取に適した材料を付与する装置が必要となる。この装置としては、特願平10−251255号「機械読取用紙及びその製造方法並びにその製造装置」に開示されるスプレー装置のように、機械読取に適した材料を含むスプレー液を噴霧するために抄紙機上に設置されたスプレーノズルを有するスプレー装置を用いればよい。ただし、本発明では、機械読取に適した材料を含むスプレー液を噴霧する際の圧力を用いて、抄紙機上で湿紙の状態となって分散している紙料を空間的な領域の中で移動させることによって、紙層の厚さ、密度などの特性を部分的に変化させて三次元的な紙層構造を持った透かしを用紙に形成する必要があるため、機械読取に適した材料を含むスプレー液を噴霧する際の圧力、機械読取に適した材料を含むスプレー液を噴霧するためのスプレーノズルと湿紙の表面との距離等に関して、特願平10−251255号「機械読取用紙及びその製造方法並びにその製造装置」に開示されていない条件が必要とされることになる。
【0036】
本発明では、機械読取に適した材料を含むスプレー液を噴霧することで、用紙の所定の箇所において用紙の表面から所望される紙層の内部に至るまでの領域に機械読取に適した材料を付与する必要があると同時に、用紙の同じ箇所において紙層の厚さ、密度などの特性を部分的に変化させて三次元的な紙層構造を持った透かしを形成する必要があるので、機械読取に適した材料を含むスプレー液を噴霧するためのスプレーノズルとしては、ある程度の圧力を加えて機械読取に適した材料を含むスプレー液を噴霧することのできる直軸タイプのスプレーノズルを使用することが好ましい。この時、抄紙機上でスプレーノズルを所定の位置に固定させて機械読取に適した材料を含むスプレー液を噴霧する構成とすれば、用紙に直線状のスプレーパターンを付与することができるが、抄紙機上でスプレーノズルを湿紙の幅方向に所定の周期で移動させながら機械読取に適した材料を噴霧する構成とすれば、用紙に波線状のスプレーパターンを付与することができる。この場合、直線状又は波線状のスプレーパターンを付与するにあたって、スプレーノズルを開いたままの状態で機械読取に適した材料を含むスプレー液を噴霧すれば、用紙にスプレーパターンを連続して付与することができるが、スプレーノズルの開閉を制御する電磁弁を用いて機械読取に適した材料を含むスプレー液を噴霧するタイミングを制御すれば、用紙にスプレーパターンを間欠して付与することができる。ここで、機械読取に適した材料を含むスプレー液をスプレー噴霧口から抄紙機上の湿紙の表面に向けて間欠して噴霧する際に、スプレーノズルの先端に設けたスプレー噴霧口の形状を変化させれば、機械読取に適した材料を含むスプレー液がスプレー噴霧口から抄紙機上の湿紙の表面に向けて拡散していく時の状態を調節できるので、スプレー噴霧口の形状を調整することで円形又は楕円形のいずれかの形状のスプレーパターンを用紙に付与することができる。
【0037】
また、本発明では、抄紙機上で湿紙の表面に向けて機械読取に適した材料を含むスプレー液を噴霧するにあたって、用紙の表面から所望される紙層の内部に至るまでの領域に機械読取に適した材料を付与することができる程度の圧力を加えなければならないと同時に、機械読取に適した材料を含むスプレー液を噴霧する際の圧力を用いて、抄紙機上で湿紙の状態となって分散している紙料を空間的な領域の中で移動させることによって、紙層の厚さ、密度などの特性を部分的に変化させて三次元的な紙層構造を持った透かしを形成しなければならない。この場合、抄紙機上の湿紙の表面とスプレーノズルの距離が僅少な状態で機械読取に適した材料を含むスプレー液を圧力を加えて噴霧すると、用紙中に紙料の存在しない箇所が形成されてしまうことになるが、抄紙機上の湿紙の表面とスプレーノズルの距離が過大な状態で機械読取に適した材料を含むスプレー液を圧力を加えて噴霧しても、用紙の表面から所望される紙層の内部に至るまでの領域に機械読取に適した材料を付与することができなくなると同時に、機械読取に適した材料を含むスプレー液を噴霧する際の圧力を用いて、抄紙機上で湿紙の状態となって分散している紙料を空間的な領域の中で移動させることによって、紙層の厚さ、密度などの特性を部分的に変化させて三次元的な紙層構造を持った透かしを形成することができなくなってしまう。そこで、本発明では、用紙の所定の箇所において用紙の表面から所望される紙層の内部に至るまでの領域に機械読取に適した材料を付与すると同時に、用紙の同じ箇所において紙層の厚さ、密度などの特性を部分的に変化させて三次元的な紙層構造を持った透かしを形成することができれば、用紙の偽造防止効果を著しく向上させることができることに着目して鋭意、研究を重ねた結果、抄紙機上の湿紙の状態に応じて機械読取に適した材料を含むスプレー液を噴霧する際の圧力とともに、スプレーノズルと湿紙の表面との距離を制御すれば、用紙の所定の箇所において用紙の表面から所望される紙層の内部に至るまでの領域に機械読取に適した材料を付与することができると同時に、用紙の同じ箇所において紙層の厚さ、密度などの特性を部分的に変化させて三次元的な紙層構造を持った透かしを形成することができることを見出した。
【0038】
(2) 前記(1)に記載した装置を用いて、抄紙機上で紙層を形成する過程で抄紙機上の湿紙に付与する機械読取に適した材料としては、紫外線吸収材料として、例えば、二酸化チタン、硫化亜鉛、硫化亜鉛カドミウム、硫化カルシウム等の無機物質やイミダゾール系、ジアミノジフェニル系、チアゾール系等の有機物質を使用することができる。また、赤外線吸収材料である、例えば、インジウム系化合物、ジルコニウム系化合物、アントラキノン系化合物等を使用することもできる。さらに、可視領域、紫外領域又は赤外領域のいずれかの領域の波長を発光する特性を持った蛍光発光材料を用いることもできる。可視領域の波長を発光する蛍光発光材料には、例えば、硫化亜鉛系化合物、酸化亜鉛系化合物、ケイ酸亜鉛系化合物等があり、紫外領域の波長を発光する蛍光発光材料には、例えば、BaSiO:Pb、SrBO:Eu、Ca(Po):Ti等があり、赤外領域の波長を発光する蛍光発光材料には、例えば、LiAlO:Fe、(Zn・Cd)S:Cu、YVO:Nd等がある。
【0039】
(3) 機械読取に適した材料として前記(2)に記載した紫外線吸収材料、赤外線吸収材料及び蛍光発光材料の少なくともいずれかの材料を含むスプレー液を(1)記載の装置を使用して、抄紙機上で紙層を形成する過程で湿紙の表面に向かって噴霧する。その際、前記(1)に記載したように、機械読取に適した材料を含むスプレー液を噴霧する際の圧力、スプレーノズルと湿紙の表面との距離を制御することによって、用紙の所定の箇所において用紙の表面から所望される紙層の内部に至るまでの領域に機械読取に適した材料を付与すると同時に、用紙の同じ箇所において紙層の厚さ、密度などの特性を部分的に変化させて三次元的な紙層構造を持った透かしを形成することが可能となる。すなわち、本発明の偽造防止用紙の製造方法によれば、機械読取に適した材料を付与した箇所に透かしを形成した偽造防止用紙の作製が可能となる。この場合、機械読取に適した材料を含むスプレー液を噴霧する際の圧力を強めに設定したり、スプレーノズルと湿紙の表面との距離を短めに設定すれば、用紙の所定の箇所において機械読取に適した材料を用紙の表面から裏面に至るまで浸透させて付与することができる。
【0040】
次に、本発明に係る偽造防止用紙の真偽判別方法及びその真偽判別装置の構成を説明する。
【0041】
(4) 前記(3)に記載の方法で作製した偽造防止用紙の真偽判別装置は、偽造防止用紙に向けて機械読取に適した材料に吸収される特性を持った所定の波長の光及び機械読取に適した材料を発光させる特性を持った所定の波長の光の少なくともいずれかの光を照射するとともに、偽造防止用紙に向けて通常の可視光を照射する光源照射部と、機械読取に適した材料に吸収される特性を持った所定の波長の光を照射して得られる偽造防止用紙の反射光状態及び機械読取に適した材料を発光させる特性を持った所定の波長の光を照射して得られる偽造防止用紙の発光状態の少なくともいずれかの状態を読み取るとともに、通常の可視光下での偽造防止用紙の透過光状態を読み取って、それぞれの状態について読み取りデータを出力する読み取りデータ出力部と、偽造防止用紙の反射光状態及び発光状態の少なくともいずれかの状態の読み取りデータにより、偽造防止用紙の反射光状態及び発光状態の少なくともいずれかの状態が変化する位置を機械読取に適した材料を付与した位置として算出するとともに、偽造防止用紙の透過光状態の読み取りデータにより、偽造防止用紙の透過光状態が変化する位置を前記透かしを形成した位置として算出し、機械読取に適した材料を付与した位置と透かしを形成した位置のそれぞれの位置が互いに一致するか否かを照合するとともに、偽造防止用紙の反射光状態及び発光状態の少なくともいずれかの状態の読み取りデータと偽造防止用紙の透過光状態の読み取りデータのそれぞれの読み取りデータを真正な偽造防止用紙によって得られるそれぞれに対応する読み取りデータと照合して真偽判別を行う演算部を備えている。
【0042】
ここで、機械読取に適した材料に吸収される特性を持った所定の波長の光を照射して得られる偽造防止用紙の反射光状態及び機械読取に適した材料を発光させる特性を持った所定の波長の光を照射して得られる偽造防止用紙の発光状態の少なくともいずれかの状態を受光器を介して読み取りデータとして出力した上で、出力された読み取りデータにより、偽造防止用紙の反射光状態及び発光状態の少なくともいずれかの状態が変化している位置を求めれば、機械読取に適した材料を付与した位置を容易に算出することができる。
【0043】
すなわち、機械読取に適した材料として紫外線吸収材料、赤外線吸収材料又は蛍光発光材料のいずれかの種類の材料が単独で偽造防止用紙に付与されている場合は、偽造防止用紙の反射光状態又は発光状態のいずれかの状態が変化している位置を機械読取に適した材料を付与した位置とすることができる。また、機械読取に適した材料として紫外線吸収材料、赤外線吸収材料又は蛍光発光材料のいずれかの種類の材料を組み合わせた複数の種類の材料が偽造防止用紙に付与されている場合は、複数の種類の機械読取に適した材料は抄紙機上の湿紙の表面に向けて同時に噴霧された上で、偽造防止用紙の同じ箇所に付与されているので、偽造防止用紙に紫外線吸収材料とともに赤外線吸収材料を付与した時には、紫外線吸収材料に吸収される特性を持った所定の波長の光を照射して得られる偽造防止用紙の反射光状態と赤外線吸収材料に吸収される特性を持った所定の波長の光を照射して得られる偽造防止用紙の反射光状態のそれぞれの状態が変化する位置は互いに一致することになるし、偽造防止用紙に紫外線吸収材料及び赤外線吸収材料の少なくともいずれかの材料とともに蛍光発光材料を付与した時には、紫外線吸収材料に吸収される特性を持った所定の波長の光を照射して得られる偽造防止用紙の反射光状態及び赤外線吸収材料に吸収される特性を持った所定の波長の光を照射して得られる偽造防止用紙の反射光状態の少なくともいずれかの反射光状態と蛍光発光材料を発光させる特性を持った所定の波長の光を照射して得られる偽造防止用紙の発光状態のそれぞれの状態が変化する位置は互いに一致することになる。このため、機械読取に適した材料として紫外線吸収材料、赤外線吸収材料又は蛍光発光材料のいずれかの種類の材料を組み合わせた複数の種類の材料が偽造防止用紙に付与されている場合は、偽造防止用紙の反射光状態及び発光状態の少なくともいずれかの状態が変化している位置を機械読取に適した材料を付与した位置とすることができる。
【0044】
さらに、通常の可視光を照射して得られる偽造防止用紙の透過光状態を受光器を介して読み取りデータとして出力した上で、出力された読み取りデータにより、偽造防止用紙の透過光状態が変化している位置を求めれば、紙層の厚さ、密度などの特性を部分的に変化させて三次元的な紙層構造である透かしを形成した位置を容易に算出することができる。
【0045】
本発明の偽造防止用紙は、機械読取に適した材料を付与した箇所に透かしが形成されているので、機械読取に適した材料に吸収される特性を持った所定の波長の光を照射して得られる偽造防止用紙の反射光状態及び機械読取に適した材料を発光させる特性を持った所定の波長の光を照射して得られる偽造防止用紙の発光状態の少なくともいずれかの状態の読み取りデータが変化する位置と通常の可視光を照射して得られる偽造防止用紙の透過光状態の読み取りデータが変化する位置は互いに一致する。この特徴によって本発明に係る偽造防止用紙の真偽判別を容易に行うことが可能となる。仮に、第三者が、偽造防止用紙に付与されている機械読取に適した材料を入手した場合でも、機械読取に適した材料を付与した箇所に紙層の厚さ、密度などの特性を部分的に変化させて三次元的な紙層構造を持った透かしを形成することなく、単純に用紙に機械読取に適した材料を付与するだけでは、機械読取に適した材料に吸収される特性を持った所定の波長の光を照射して得られる用紙の反射光状態及び機械読取に適した材料を発光させる特性を持った所定の波長の光を照射して得られる用紙の発光状態の少なくともいずれかの状態の読み取りデータが変化する位置と通常の可視光を照射して得られる用紙の透過光状態の読み取りデータが変化する位置を互いに一致させることはできないので、真正な偽造防止用紙と同じ光学的効果を得ることはできない。
【0046】
さらに、本発明では、機械読取に適した材料に吸収される特性を持った所定の波長の光を照射して得られる用紙の反射光状態及び機械読取に適した材料を発光させる特性を持った所定の波長の光を照射して得られる用紙の発光状態の少なくともいずれかの状態の読み取りデータが変化する位置と通常の可視光を照射して得られる用紙の透過光状態の読み取りデータが変化する位置が互いに一致するか否かを照合するとともに、機械読取に適した材料に吸収される特性を持った所定の波長の光を照射して得られる用紙の反射光状態及び機械読取に適した材料を発光させる特性を持った所定の波長の光を照射して得られる用紙の発光状態の少なくともいずれかの状態の読み取りデータと通常の可視光を照射して得られる用紙の透過光状態の読み取りデータのそれぞれの読み取りデータを真正な偽造防止用紙によって得られるそれぞれに対応する読み取りデータと照合することで、用紙の真偽判別の精度を一段と向上させることを可能としている。
【0047】
また、本発明では、機械読取に適した材料として紫外線吸収材料、赤外線吸収材料又は蛍光発光材料のいずれかの種類の材料を単独で使用しても差し支えないが、紫外線吸収材料、赤外線吸収材料又は蛍光発光材料のいずれかの種類の材料を組み合わせた複数の種類の材料を使用すれば、紫外線吸収材料、赤外線吸収材料又は蛍光発光材料のいずれかの種類の材料を単独で使用した場合よりも真正な偽造防止用紙の偽造を困難にすることができるとともに、機械読取に適した材料の種類に応じて複数の種類の光源を用いて用紙の真偽判別を行うことができるので、紫外線吸収材料、赤外線吸収材料又は蛍光発光材料のいずれかの種類の材料を単独で使用した場合よりも用紙の真偽判別の精度を向上させることができる。
【0048】
なお、本発明では、用紙上で機械読取に適した材料を付与した位置と透かしを形成した位置は互いに一致することを前提として発明が構成されているが、実際には、抄紙機上で湿紙が脱水されて紙層が形成されていく過程で用紙の所定の箇所に付与した機械読取に適した材料が当該の箇所から周囲に滲んだり、紙層の厚さ、密度などの特性を部分的に変化させて形成した三次元的な紙層構造を持った透かしの位置が湿紙の乾燥中に生じる用紙の伸縮挙動に伴って微妙に変化したりすることがあるので、真正な偽造防止用紙であっても機械読取に適した材料を付与した位置と透かしを形成した位置の間に若干のずれを生じることがある。この場合に、機械読取に適した材料を付与した位置と透かしを形成した位置の間にずれを生じた真正な偽造防止用紙を真正な偽造防止用紙として真偽判別するためには、機械読取に適した材料を付与した位置と透かしを形成した位置の間のずれを許容できるように偽造防止用紙を真偽判別する際の判別基準を設定すればよい。
【0049】
ここで、抄紙機上で湿紙が脱水されて紙層が形成されていく過程で、用紙の所定の箇所に付与した機械読取に適した材料が当該の箇所から周囲に滲むことがあったとしても、機械読取に適した材料として紫外線吸収材料、赤外線吸収材料又は蛍光発光材料のいずれかの種類の材料が単独で付与されている場合は、偽造防止用紙の反射光状態又は発光状態のいずれかの状態が変化している位置を機械読取に適した材料を付与した位置とすることができる。また、抄紙機上で湿紙が脱水されて紙層が形成されていく過程で、用紙の所定の箇所に付与した機械読取に適した材料が当該の箇所から周囲に滲むことがあったとしても、機械読取に適した材料として紫外線吸収材料、赤外線吸収材料又は蛍光発光材料のいずれかの種類の材料を組み合わせた複数の種類の材料が付与されている場合は、それぞれの種類の材料が周囲に滲んでいく際に、それぞれの種類の材料が周囲に滲みを生じる範囲は互いに同じであって、偽造防止用紙に紫外線吸収材料とともに赤外線吸収材料を付与した時には、紫外線吸収材料に吸収される特性を持った所定の波長の光を照射して得られる偽造防止用紙の反射光状態と赤外線吸収材料に吸収される特性を持った所定の波長の光を照射して得られる偽造防止用紙の反射光状態のそれぞれの状態が変化する位置は互いに一致することになるし、偽造防止用紙に紫外線吸収材料及び赤外線吸収材料の少なくともいずれかの材料とともに蛍光発光材料を付与した時には、紫外線吸収材料に吸収される特性を持った所定の波長の光を照射して得られる偽造防止用紙の反射光状態及び赤外線吸収材料に吸収される特性を持った所定の波長の光を照射して得られる偽造防止用紙の反射光状態の少なくともいずれかの反射光状態と蛍光発光材料を発光させる特性を持った所定の波長の光を照射して得られる偽造防止用紙の発光状態のそれぞれの状態が変化する位置は互いに一致することになるので、偽造防止用紙の反射光状態及び発光状態の少なくともいずれかの状態が変化している位置を機械読取に適した材料を付与した位置とすることができる。
【0050】
ただし、本発明では、紫外線吸収材料とともに蛍光発光材料を含む機械読取に適した材料が偽造防止用紙の所定の箇所に付与されている場合に、紫外線吸収材料に吸収される特性を持った所定の波長の光によって蛍光発光材料が発光するように材料の種類を構成してしまうと、偽造防止用紙の発光状態を得ようとして蛍光発光材料を発光させる特性を持った所定の波長の光を偽造防止用紙に照射しても、蛍光発光材料を発光させる特性を持った所定の波長の光は蛍光発光材料と同じ箇所に存在する紫外線吸収材料によって吸収されてしまうので、偽造防止用紙を十分に発光させることができなくなってしまう。このため、本発明では、紫外線吸収材料とともに蛍光発光材料を含む機械読取に適した材料を偽造防止用紙に付与する場合には、偽造防止用紙の反射光状態と発光状態のそれぞれの状態をそれぞれ異なる波長の光を照射して互いに影響を及ぼし合うことなく読み取ることができるようにそれぞれの材料の種類を構成することが好ましい。
【0051】
また、本発明では、赤外線吸収材料とともに蛍光発光材料を含む機械読取に適した材料が偽造防止用紙の所定の箇所に付与されている場合に、赤外線吸収材料に吸収される特性を持った所定の波長の光によって蛍光発光材料が発光するように材料の種類を構成してしまうと、偽造防止用紙の発光状態を得ようとして蛍光発光材料を発光させる特性を持った所定の波長の光を偽造防止用紙に照射しても、蛍光発光材料を発光させる特性を持った所定の波長の光は蛍光発光材料と同じ箇所に存在する赤外線吸収材料によって吸収されてしまうので、偽造防止用紙を十分に発光させることができなくなってしまう。このため、本発明では、赤外線吸収材料とともに蛍光発光材料を含む機械読取に適した材料を偽造防止用紙に付与する場合には、偽造防止用紙の反射光状態と発光状態のそれぞれの状態をそれぞれ異なる波長の光を照射して互いに影響を及ぼし合うことなく読み取ることができるようにそれぞれの材料の種類を構成することが好ましい。
【実施例1】
【0052】
以下、本発明に係る偽造防止用紙及びその製造方法並びにその真偽判別方法及びその真偽判別装置を実施例によって説明するが、本発明の実施の態様は以下の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術事項の範囲内で実施の態様に種々の変更を加えることができることは言うまでもない。
【0053】
図1は、抄紙機上で紙層を形成する過程の湿紙に向けてスプレー装置を用いて紫外線励起可視光発光材料(青色発光)を部分的に付与して形成した偽造防止用紙1を模式的に表した平面図である。この偽造防止用紙1には、機械読取に適した材料を含むスプレー液を噴霧する際の圧力、スプレーノズルと湿紙の表面との距離を制御することで、用紙の所定の箇所に用紙の表面から所望される紙層の内部に至るまでの領域に機械読取に適した材料が付与されていると同時に、用紙の同じ箇所に紙層の厚さ、密度などの特性を部分的に変化させて三次元的な紙層構造である透かしが形成されている。図1における偽造防止用紙1の2、3、4及び5の箇所では、紫外線を照射すると青色の発光を確認することができるとともに、通常の可視光の透過光下で透かしが確認できた。なお、紫外線励起可視光発光材料として用紙と同色又は近似色の材料を使用することによって、通常の可視光下で用紙に付与された紫外線励起可視光発光材料の存在を確認できない状態とすることができた。
【0054】
実施例1の偽造防止用紙1の具体的な作製条件は次のとおりである。(1)スプレーノズルのタイプ:直軸ノズルタイプ、(2)スプレーノズル設置位置:ダンデロール下流50mm(サクションボックスの吸引により抄紙機上の湿紙が強制脱水されつつある部位)、(3)スプレーノズルの高さ:湿紙の表面から50mm、(4)スプレー圧力:0.5kgf/cm、(5)スプレー液:紫外線励起可視光発光材料の濃度1.0%、(6)スプレーパターン:直線状。
【0055】
なお、実施例1では、抄紙機上でスプレーノズルを所定の位置に固定させて機械読取に適した材料を含むスプレー液を噴霧する構成とすれば、偽造防止用紙1に2、4に示すように直線状のスプレーパターンを付与することができた。また、抄紙機上でスプレーノズルを湿紙の幅方向に所定の周期で移動させながら機械読取に適した材料を含むスプレー液を噴霧する構成とすれば、偽造防止用紙1に3、5に示すように波線状のスプレーパターンを付与することができた。この場合、直線状又は波線状のスプレーパターンを付与する際に、スプレーノズルを開いたままの状態で前記機械読取に適した材料を含むスプレー液を噴霧すれば、偽造防止用紙1に2、3に示すようにスプレーパターンを連続して付与することができたが、スプレーノズルの開閉を制御する電磁弁を用いてスプレー液を噴霧するタイミングを制御すれば、偽造防止用紙1に4、5に示すようにスプレーパターンを間欠して付与することができた。さらに、スプレーノズルの開閉を制御する電磁弁を用いて機械読取に適した材料を含むスプレー液を間欠して噴霧する際に、スプレーノズルの先端に設けたスプレー噴霧口の形状を変化させることによって、スプレー噴霧口から機械読取に適した材料を含むスプレー液が抄紙機上の湿紙の表面に向けて拡散していく時の状態を調節すれば、偽造防止用紙1に円形又は楕円形のいずれかの形状のスプレーパターンを付与することができた。
【実施例2】
【0056】
図2は、実施例1で作製した偽造防止用紙1を真偽判別する方法と装置を示す概略図である。6が可視光の受光部、7が紫外線照射装置、8が可視光照射装置を示す。紫外線照射装置7で偽造防止用紙1に紫外線を照射した場合、紫外線励起可視光発光材料aを付与したとともに透かし9を形成した箇所10が発光して受光部6において発光が検知できた。また、可視光照射装置8で偽造防止用紙1に可視光を照射した場合、紫外線励起可視光発光材料aを付与したとともに透かし9を形成した箇所10において透かし9を透過する光を受光部6で検知できた。ところが、紫外線励起可視光発光材料aを付与したとともに透かし9を形成した箇所10を除く領域においては、紫外線による発光量とともに可視光による透過光量が減少したため、偽造防止用紙1に紫外線を照射して得られる発光状態が変化する位置と偽造防止用紙1に可視光を照射して得られる透過光状態が変化する位置は互いに一致した。このため、偽造防止用紙1に紫外線を照射して得られる発光状態が変化する位置と偽造防止用紙1に可視光を照射して得られる透過光状態が変化する位置が互いに一致するか否かを照合することで偽造防止用紙1の真偽判別を行うことができた。さらに、偽造防止用紙1に紫外線を照射して得られる発光状態が変化する位置と偽造防止用紙1に可視光を照射して得られる透過光状態が変化する位置が互いに一致するか否かを照合するとともに、偽造防止用紙1に紫外線を照射して得られる発光状態の読み取りデータと偽造防止用紙1に可視光を照射して得られる透過光状態の読み取りデータのそれぞれの読み取りデータを真正な偽造防止用紙によって得られるそれぞれに対応する読み取りデータと照合することで、偽造防止用紙1の真偽判別の精度を向上させることが可能となった。
【0057】
図3は、実施例1で作製した偽造防止用紙1を真偽判別する方法と装置を示す概略図である。6が可視光の受光部、11が紫外線と可視光とを切り替えて照射可能な光源を示す。その他の構成については図2と同様であり、図2と同様の真偽判別方法と真偽判別装置を得ることができた。
【実施例3】
【0058】
図4は、本発明に係る偽造防止用紙の真偽判別装置に関連する構成図を示す。実施例2で図2を用いて説明した本発明に係る真偽判別装置は、紫外線照射装置7によって紫外線を偽造防止用紙1に照射するとともに可視光照射装置8によって可視光を偽造防止用紙1に照射する光源照射部12と、紫外線照射装置7によって紫外線を照射して得られる偽造防止用紙1の発光状態とともに、可視光照射装置8によって可視光を照射して得られる偽造防止用紙1の透過光状態を読み取って、それぞれの状態について読み取りデータを出力する読み取りデータ出力部13と、紫外線照射装置7によって紫外線を照射して得られる偽造防止用紙1の発光状態を読み取って得られた読み取りデータが変化する位置を機械読取に適した材料を付与した位置として算出するとともに、可視光照射装置8によって可視光を照射して得られる偽造防止用紙1の透過光状態を読み取って得られた読み取りデータが変化する位置を透かし9を形成した位置として算出した上で、機械読取に適した材料を付与した位置と透かし9を形成した位置が互いに一致するか否かを照合するとともに、紫外線照射装置7によって紫外線を照射して得られる偽造防止用紙1の発光状態の読み取りデータと可視光照射装置8によって可視光を照射して得られる偽造防止用紙1の透過光状態の読み取りデータのそれぞれの読み取りデータを真正な偽造防止用紙によって得られるそれぞれに対応する読み取りデータと照合して偽造防止用紙1の真偽判別を行う演算部14を備えている。
【0059】
以上の実施例1乃至3では、機械読取に適した材料として紫外線励起可視光発光材料aを偽造防止用紙1に付与する例を示したが、他の種類の蛍光発光材料を偽造防止用紙1に付与した場合であっても、偽造防止用紙1に付与した蛍光発光材料を発光させる特性を持った所定の波長の光を照射することができるように光源の種類を変更した上で、偽造防止用紙1に付与した蛍光発光材料の発光を受光することができるように受光部の構成を変更すれば同様の実施例が得られる。また、実施例1乃至3では、機械読取に適した材料が用紙の所定の箇所において用紙の表面から所望される紙層の内部に至るまでの領域に付与されている場合を図示して説明したが、機械読取に適した材料を含むスプレー液を噴霧する際の圧力を強めに設定したり、スプレーノズルと湿紙の表面との距離を短めに設定するなどして、用紙の所定の箇所において機械読取に適した材料を用紙の表面から裏面に至るまで浸透させて付与した場合にも同様の作用、効果を得ることができる。
【0060】
さらに、機械読取に適した材料として紫外線吸収材料、赤外線吸収材料及び蛍光発光材料の少なくともいずれかの材料を偽造防止用紙1に付与した場合であっても、機械読取に適した材料に吸収される特性を持った所定の波長の光を照射して得られる偽造防止用紙1の反射光状態及び機械読取に適した材料を発光させる特性を持った所定の波長の光を照射して得られる偽造防止用紙1の発光状態の少なくともいずれかの状態が変化する位置を算出すれば、機械読取に適した材料を付与した位置を求めることができるとともに、通常の可視光を照射して得られる偽造防止用紙1の透過光状態が変化する位置を算出すれば、紙層の厚さ、密度などの特性を部分的に変化させて三次元的な紙層構造を持った透かしを形成した位置を求めることができるので、機械読取に適した材料を付与した位置と透かしを形成した位置のそれぞれの位置が互いに一致するか否かを照合することができる。この時、機械読取に適した材料に吸収される特性を持った所定の波長の光を照射して得られる偽造防止用紙1の反射光状態及び機械読取に適した材料を発光させる特性を持った所定の波長の光を照射して得られる偽造防止用紙1の発光状態の少なくともいずれかの状態の読み取りデータと通常の可視光を照射して得られる偽造防止用紙1の透過光状態の読み取りデータのそれぞれの読み取りデータを真正な偽造防止用紙によって得られるそれぞれに対応する読み取りデータと照合すれば、偽造防止用紙1の真偽判別の精度を一段と向上させることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 偽造防止用紙
2 直線状に連続したスプレーパターンを持つように紫外線励起可視光発光材料を付与したとともに透かしを形成した箇所
3 波線状に連続したスプレーパターンを持つように紫外線励起可視光発光材料を付与したとともに透かしを形成した箇所
4 直線状に間欠したスプレーパターンを持つように紫外線励起可視光発光材料を付与したとともに透かしを形成した箇所
5 波線状に間欠したスプレーパターンを持つように紫外線励起可視光発光材料を付与したとともに透かしを形成した箇所
6 可視光の受光部
7 紫外線照射装置
8 可視光照射装置
9 透かし
10 紫外線励起可視光発光材料を付与したとともに透かしを形成した箇所
11 紫外線と可視光を切り替えて照射可能な光源
12 光源照射部
13 読み取りデータ出力部
14 演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙の所定の箇所において前記用紙の表面から所望される紙層の内部に至るまでの領域に機械読取に適した材料が付与されていると同時に、前記用紙の前記所定の箇所において紙層構造を部分的に変化させた透かしが形成されている偽造防止用紙の真偽判別方法であって、
前記機械読取に適した材料に吸収される特性を持った所定の波長の光及び前記機械読取に適した材料を発光させる特性を持った所定の波長の光の少なくともいずれかの光を前記偽造防止用紙に照射するとともに、通常の可視光を前記偽造防止用紙に照射し、
前記機械読取に適した材料に吸収される特性を持った所定の波長の光を照射して得られる前記偽造防止用紙の反射光状態及び前記機械読取に適した材料を発光させる特性を持った所定の波長の光を照射して得られる前記偽造防止用紙の発光状態の少なくともいずれかの状態を読み取るとともに、前記通常の可視光下での前記偽造防止用紙の透過光状態を読み取って、それぞれの状態についての読み取りデータを出力し、
前記反射光状態及び前記発光状態の少なくともいずれかの状態の読み取りデータにより、前記反射光状態及び前記発光状態の少なくともいずれかの状態が変化する位置を前記機械読取に適した材料を付与した位置として算出するとともに、前記透過光状態の読み取りデータにより、前記透過光状態が変化する位置を前記透かしを形成した位置として算出し、
前記機械読取に適した材料を付与した位置と前記透かしを形成した位置のそれぞれの位置が互いに一致するか否かを照合し、
前記機械読取に適した材料を付与した位置と前記透かしを形成した位置のそれぞれの位置が互いに一致するか否かを照合する際に、前記反射光状態及び前記発光状態から選択される少なくともいずれかの状態の読み取りデータと前記透過光状態の読み取りデータのそれぞれの読み取りデータを、真正な偽造防止用紙によって得られるそれぞれに対応するデータ照合して真偽判別を行うことを特徴とする偽造防止用紙の真偽判別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−205691(P2009−205691A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118160(P2009−118160)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【分割の表示】特願平11−370964の分割
【原出願日】平成11年12月27日(1999.12.27)
【出願人】(303017679)独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Fターム(参考)】