偽造防止用紙及びこれを用いた検証方法
【課題】本発明は、用紙としての厚み等の性能を備えるだけでなく、別の検証器具を使用せずに、同一の用紙中に偽造防止媒体とこれを検証する機能を併せ持つ偽造防止用紙を提供するものである。詳しくは、この偽造防止用紙のスレッドの露出部分を、偏光により可視化可能な偽造防止媒体にかざし、偽造防止媒体の潜像の有無や見え方の変化により、偽造品かどうかの検証を行うことを可能とした偽造防止用紙およびこれを用いた検証方法を提供するものである。
【解決手段】用紙基材中にスレッドを抄き込んでなる偽造防止用紙であって、該スレッドは透明高分子樹脂フィルム基材上に設けられた微細なストライプパターンを有する偏光子であり、該用紙に部分的に設けられた窓あき部から露出しており、該用紙には前記偏光子によって検証可能な偽造防止媒体が設けられていることを特徴とする偽造防止用紙である。
【解決手段】用紙基材中にスレッドを抄き込んでなる偽造防止用紙であって、該スレッドは透明高分子樹脂フィルム基材上に設けられた微細なストライプパターンを有する偏光子であり、該用紙に部分的に設けられた窓あき部から露出しており、該用紙には前記偏光子によって検証可能な偽造防止媒体が設けられていることを特徴とする偽造防止用紙である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣、商品券、宝くじ等の紙からなる有価証券の偽造防止に関わり、特には、真正性を証明する判定を容易とする偽造防止用紙、および、これを用いた検証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙は紙幣をはじめ、商品券、宝くじ等、金銭的価値を有する有価証券として幅広く使用されており、そのような有価証券類に用いられている用紙には容易に偽造、または、変造できないように、紙自身に透かしを施したり、あるいは、マイクロ文字や凹版、隠し文字、蛍光印刷等の特殊な印刷を施したり、金属光沢を有する箔、もしくは、光の干渉を用いて立体画像や特殊な装飾画像を表現し得るホログラムや回折格子等を有する箔を転写、または、シールで施しているのが一般的である。
【0003】
しかしながら、ホログラムの多岐に渡る分野への展開により、ホログラムの偽造が増加する傾向にあり、専門家が見れば、差異がはっきりわかるとしても、使用者には一見では真偽の判定をすることが難しくなってきている。
【0004】
各種セキュリティ媒体の偽造防止対策として、種々のスレッドを用紙に抄き込む手法がある。このようなスレッドによる偽造防止手段は用紙を製造する段階において設けられるため、カラーコピーやスキャナ取り込み、製版印刷等による方法での偽造は困難である。しかし、上記で述べたように、ホログラムの偽造が増加してきており、用紙にスレッドを抄き込みしたように見せかける用紙を偽造することも増えてきたため、単なる光輝性スレッドやホログラムスレッドを用いるのでは、一見して真贋判別が難しくなってきている。
【0005】
そこで、特許文献1〜3のように、コレステリック液晶を利用した潜像を有する偽造防止媒体を用紙に抄き込んだりラベルとして貼付する偽造防止媒体が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-277957号公報
【特許文献2】特開2005-325482号公報
【特許文献3】特開2007-148173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の潜像を確認する偽造防止媒体は、検証用フィルタ等の検証手段を別途必要とする。前記フィルタは、一般的にヨウ素を延伸させてつくる偏光子と位相差子の組み合わせであり、通常、厚みを必要とするため、偽造防止媒体とは別のものとして検証用のフィルタを持つ必要があり、フィルタを持っていない人には判定ができないという問題点がある。また、偏光子として、2色性染料を使用することもあげられるが、非常に高価であるため、偽造防止用紙に使用するのには向いていないという問題点がある。
【0008】
本発明は以上の問題点に着目してなされたもので、用紙としての厚み等の性能を備えるだけでなく、別の検証器具を使用せずに、同一の用紙中に偽造防止媒体とこれを検証する機能を併せ持つ偽造防止用紙を提供するものである。詳しくは、この偽造防止用紙のスレッドの露出部分を、偏光により可視化可能な偽造防止媒体にかざし、偽造防止媒体の潜像の有無や見え方の変化により、偽造品かどうかの検証を行うことを可能とした偽造防止用紙およびこれを用いた検証方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、用紙基材中にスレッドを抄き込んでなる偽造防止用紙であって、該スレッドは透明高分子樹脂フィルム基材上に設けられた微細なストライプパターンを有する偏光子であり、該用紙に部分的に設けられた窓あき部から露出しており、該用紙には前記偏光子によって検証可能な偽造防止媒体が設けられていることを特徴とする偽造防止用紙である。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の偽造防止用紙を折り曲げて、前記スレッドの露出部分を前記偽造防止媒体にかざし、潜像の有無あるいは見え方の変化によって検証を行うことを特徴とする検証方法である。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、透明な高分子樹脂フィルムを基材とするスレッドを用紙基材中に抄き込んでなる偽造防止用紙であって、該スレッドは用紙の表裏に部分的に露出させ、更に表裏の露出部の一部、もしくは、全部が重なる露出させた窓あき部が設けられ、該窓あき部分の少なくとも一部に、平行かつ細長く所定の間隔をおいて格子状に形成された導電性光反射層が設けられ、透過した光が偏光となることを特徴とする偽造防止用紙である。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、前記スレッドの基材である透明高分子樹脂フィルムが、無延伸フィルムであることを特徴とする請求項3に記載の偽造防止用紙である。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、前記スレッドの基材である透明高分子樹脂フィルムが、トリアセチルセルロースフィルムであることを特徴とする請求項3または4に記載の偽造防止用紙である。
【0014】
また、請求項6に記載の発明は、前記スレッドの基材と導電性光反射層との間に、平行かつ細長く所定の間隔をおいて格子状の凹凸形状の樹脂層が設けられていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の偽造防止用紙である。
【0015】
また、請求項7に記載の発明は、前記格子状に形成された導電性光反射層の間隔が、100nm〜400nmであることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の偽造防止用紙である。
【0016】
また、請求項8に記載の発明は、前記導電性光反射層がアルミニウム、または、スズで設けてあり、該導電性光反射層の厚みが200nm以下であることを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の偽造防止用紙である。
【0017】
また、請求項9に記載の発明は、前記スレッドの片面または両面の少なくとも一部に、保護層を積層したことを特徴とする請求項3〜8のいずれか1項に記載の偽造防止用紙である。
【0018】
また、請求項10に記載の発明は、前記スレッドの片面または両面の少なくとも一部に、接着層を積層したことを特徴とする請求項3〜9のいずれか1項に記載の偽造防止用紙である。
【0019】
また、請求項11に記載の発明は、請求項3〜10のいずれか1項に記載の偽造防止用紙に、有価証券類の印刷を施したことを特徴とする偽造防止用紙である。
【0020】
また、請求項12に記載の発明は、請求項3〜11のいずれか1項に記載の偽造防止用紙の、スレッドが抄き込んである部分とは別の部分に、偏光により潜像が見える偽造防止媒体が設けてあり、前記偽造防止用紙を折り曲げて、前記スレッドの露出部分を前記偽造防止媒体にかざし、潜像の有無により検証を行うことを特徴とする検証方法である。
【0021】
また、請求項13に記載の発明は、基紙に複数本のスレッドを平行に抄き込んで設けた偽造防止用紙であって、当該複数本のスレッドのうち、少なくとも1本には、窓あき部に色彩変化を生じるコレステリック液晶印刷が施され、別のスレッドの1本には少なくとも一部に表裏の開口部が一致する窓あき部を有し、該窓あき部を有する部分の少なくとも一部には、平行かつ細長く所定の間隔をおいて格子状に形成された導電性光反射層が設けられ、その上にλ/4の位相差層が設けられており、透過した光が円偏光となることを特徴とする偽造防止用紙である。
【0022】
また、請求項14に記載の発明は、前記λ/4の位相差層がネマチック液晶で設けられて成ることを特徴とする請求項13に記載の偽造防止用紙である。
【0023】
また、請求項15に記載の発明は、前記コレステリック液晶の下地に黒色印刷が設けられていることを特徴とする請求項13または14に記載の偽造防止用紙である。
【0024】
また、請求項16に記載の発明は、請求項13〜15のいずれか1項に記載の偽造防止用紙に、有価証券類の印刷を施したことを特徴とする偽造防止用紙である。
【0025】
また、請求項17に記載の発明は、請求項13〜16のいずれか1項に記載の偽造防止用紙を用いた真贋判別方法であって、偽造防止用紙を折り曲げて、前記透明な窓上からコレステリック液晶印刷部を見ることにより、スレッドの色、または、パターンが出現、または、消失し、変化して見えることにより、用紙の真正性を判別することを特徴とする検証方法である。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る偽造防止用紙は、用紙基材中にスレッドを抄き込んでなる偽造防止用紙であって、該スレッドは透明高分子樹脂フィルム基材上に設けられた微細なストライプパターンを有する偏光子であり、該用紙に部分的に設けられた窓あき部から露出しており、該用紙には前記偏光子によって検証可能な偽造防止媒体が設けられているため、用紙を折曲げ、偏光子を通して同じ用紙中に設けられている偽造防止媒体を観察することにより、特別の検証用器具を用いることなく、真贋の検証が可能であるという効果を有する。
また同一の用紙中に、偏光子であるスレッドを抄き込み、さらに偽造防止媒体を設けてあるため、偽造が困難である。
【0027】
また本発明に係る偽造防止用紙は、スレッドの上下の窓あき部が少なくとも一部が重なるように抄き込んであり、用紙としての厚み等の性能を備えるだけでなく、スレッドの窓あき部の少なくとも一部に、平行かつ細長く所定の間隔をおいて、格子状に形成された光反射材料を設け、窓開き部を通った光が直線偏光になることにより、偽造防止の検証機能を具備するものであり、被判定偽造防止媒体を検証する機能を有する効果を持つものである。しかも、同一の媒体中に被判定偽造防止媒体を付加することにより、本発明の偽造防止用紙のスレッドの露出部分を、該用紙に設けた被判定偽造防止媒体にかざし、偽造防止構造体の潜像の有無により、偽造品かどうかの検証が可能となるものである。
【0028】
また本発明に係る偽造防止用紙は、複数のスレッドが設けてあり、うち少なくとも1本のスレッドは窓あき部の上下が少なくとも一部が重なるように抄き込んであり、用紙としての厚み等の性能を備えるだけでなく、スレッドの窓あき部の少なくとも一部に、平行か
つ細長く所定の間隔をおいて格子状に形成された光反射材料が設けられ、さらにλ/4の位相差層を設けることにより、窓開き部分を通った光が円偏光となり、別のスレッドの検証機能を有する効果を持つものである。しかも、同一の偽造防止媒体中に被判定スレッドが設けられているため、本発明の偽造防止用紙のスレッドの露出部分を、別のスレッドにかざし、目視との差を判別することで、偽造品かどうかの検証が可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る偽造防止用紙の一実施形態を示した平面模式図である。
【図2】図1の偽造防止用紙のX−X断面の説明図である。
【図3】図1の偽造防止用紙のX’−X’断面の説明図である。
【図4】図1の偽造防止用紙のY−Y断面の説明図である。
【図5】本発明の一実施形態を示した図4の窓あき部3を拡大した説明図である。
【図6】図5の窓あき部の一実施例を示した断面説明図である。
【図7】図5の窓あき部の一実施例を示した断面説明図である。
【図8】図1に示した偽造防止用紙の検証方法を示す説明図である。
【図9】本発明に係る偽造防止用紙の他の実施形態を示した平面模式図である。
【図10】図9の偽造防止用紙のX−X断面の説明図である。
【図11】図9の偽造防止用紙のX’−X’断面の説明図である。
【図12】図9の偽造防止用紙のY−Y断面の説明図である。
【図13】図9の偽造防止用紙のY’−Y’断面の説明図である。
【図14】図12の窓あき部3を拡大した説明図である。
【図15】図14のZ’−Z’断面を示した説明図である。
【図16】スレッド4の一実施形態を示した断面説明図である。
【図17】図9に示した偽造防止用紙の検証方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面に従い本発明に係る偽造防止用紙およびこれを用いた印刷物について詳しく説明する。
【0031】
図1は、本発明に係る偽造防止用紙の一実施形態を示した平面図である。本発明の偽造防止用紙1は、スレッド2を、用紙基材11に抄き込んでなり、用紙基材11に印刷層12と、偽造防止媒体である潜像媒体13が設けられている。図2は、本発明の一実施形態を示した図1の偽造防止用紙のX−X断面の説明図であり、図3は図1の偽造防止用紙のX’−X’断面の説明図であり、図4は図1の偽造防止用紙のY−Y断面の説明図である。スレッド2は、用紙基材11に、表面の開口部31および裏面の開口部32が少なくとも重なる部分があるような位置関係で抄き込んだことを特徴とするものであり、このとき露出部の一部分、または、全部は用紙の表裏で一致することとなり、ここに開口部3が形成され、光が透過する。スレッド2は、透明高分子樹脂フィルム基材上に設けられた微細なストライプパターンを少なくとも有する偏光子である。
【0032】
図5は、本発明の一実施形態を示した図4の開口部3の窓あき部の一例を拡大した説明図であり、図6および図7は、図5の窓あき部の一実施例を示した断面の説明図である。この実施形態においては、開口部3にあたるスレッド2の一部には、高分子樹脂フィルムからなるスレッド基材21上の、少なくとも一部分に、導電性光反射層22が平行かつ細長く一定の間隔をおいて格子状に設けられていることを特徴としている。この導電性光反射層22が設けられた開口部3を通る光は偏光となる。図6、図7に示したように高分子樹脂フィルムからなるスレッド基材21上の、少なくとも一部分に、平行かつ細長く一定の間隔をおいて格子状の凹凸を設けた樹脂層23が設けられ、その凸部の上に、導電性光反射層22が設けられ、平行かつ細長く一定の間隔をおいて格子状に設けることが望ましい。
【0033】
図8は、本発明の偽造防止用紙の一実施例の検証方法を示す説明図である。偽造防止用紙1の、スレッド2が抄き込んである部分とは別の部分に、偏光により潜像14が見える偽造防止媒体である潜像媒体13が設けてあり、偽造防止用紙1を折り曲げて、スレッド2の露出部分を潜像媒体13にかざし、目視することによって、潜像14の有無により検証を行うことができる。
【0034】
ここに用いる潜像媒体13としては、偏光により潜像が見えるようになるもので、特開2009−142996号公報、および、特開2006−139178号公報に記載されているもの等があげられ、転写法等により設けることができる。
潜像媒体13の構造は、基材上の少なくとも一部に、パターン状に配向された高分子液晶層が設けられたものである。配向する方向をパターン状に変えても良い。高分子液晶層が一方向に並ぶことにより、複屈折性を持ち、目視では印刷画像を視認することができないか、もしくは、印刷画像の存在に気付き難いが、偏光光の下で見ると、パターン状の潜像が見え、真偽判定が可能となり、偽造防止性を付与することができる積層複合体である。複屈折性物質とは、透明な複屈折性を有する材質である。複屈折とは、物質の屈折率が光軸方向によって異なることで、複屈折を持つ物質に光を入射した時、異常光線e(屈折率:ne)と常光線o(屈折率:no)の間で位相差を生じる現象である。これら光軸の違いは、偏光フィルムを通さない目視では判別できない。この異常光線と常光線の屈折率の差は、複屈折率Δnと呼ばれ、次の式で表される。Δn=ne−noまた、位相差値δは、複屈折性物質を通過する層厚dに比例し、次の式で表される。δ=Δn・d即ち、位相差値は、膜厚に比例する。
更に反射層を用いる場合は、反射前後で2回複屈折性物質を通過するため、位相差値が2倍となる。位相差値が透過光の波長λの半分(λ/2)のとき、複屈折性物質の異常光軸と偏光光の偏光面がなす角度がθの時、偏光面を2θ回す性質を持つ。よって、θ=45°の時、偏光面が90°回転する。反射層の上にλ/4の位相差値を持つ位相差子を形成し、偏光フィルムを重ねた場合、偏光フィルムの透過光軸と位相差子の異常光軸がなす角度が45°であると、偏光フィルムを透過した光が、90°回転して偏光フィルムに戻ってくるため、透過できず、暗部となる。また、偏光フィルムの透過光軸と位相差子の異常光軸がなす角度が0°であると、偏光フィルムを透過した光が、そのまま戻ってくるため、偏光フィルムを透過でき、明部となる。即ち、偏光フィルムを通した時、潜像が現れる。
【0035】
図9は、本発明に係る偽造防止用紙の他の実施形態を示した平面模式図である。偽造防止用紙1は、用紙基材11にスレッド2とスレッド4を並行して抄き込んでなり、用紙基材11に印刷層12が設けられている。
【0036】
図10は、図9の偽造防止用紙のX−X断面の説明図である。また、図11は、図9の偽造防止用紙のX’−X’断面の説明図である。また、図12は、図9の偽造防止用紙のY−Y断面の説明図である。
【0037】
図13は、図9の偽造防止用紙のY’−Y’断面の説明図である。スレッド2およびスレッド4は、用紙基材11に、抄き込んでなり、特に、スレッド2は表面の開口部31および裏面の開口部32が少なくとも重なる部分があるような位置関係で抄き込んだことを特徴とするものであり、このとき露出部の一部分、または、全部は用紙の表裏で一致することとなり、ここに開口部3が形成され、光が透過する。
【0038】
図14は、本発明の他の実施形態を示した図12の開口部3の窓あき部の一例を拡大した説明図であり、図15は図14のZ’−Z’の断面の説明図である。高分子樹脂フィルムからなるスレッド基材21上の、スレッド2の開口部3の一部に、少なくとも導電性光
反射層22が、平行かつ細長く一定の間隔をおいて格子状に設けられ、さらにその上にλ/4の位相差層26が設けられていることを特徴としている。この導電性光反射層22が設けられた開口部3を通る光は円偏光となる。図16は、スレッド4の窓あき部の一実施例を示した断面の説明図である。スレッド基材41に、コレステリック印刷部47を設け、コレステリック印刷部47とは逆側に墨印刷層48を設ける。しかし、この印刷の順番は特に変わっていても問題はない。また、さらにスレッド2およびスレッド4の偽造防止用紙1に抄き込む上下の向きに関しても、どちらを上にしても機能するため、特に限定するものではない。さらに表裏面に接着層44を設けてもよい。
【0039】
以下に本発明の偽造防止媒体1を構成する各層の材料や形成方法について、具体的に説明する。
【0040】
スレッド基材21には、一般的に透明性に優れ、機械的に強く、柔軟性や可撓性等を有する高分子材料からなるフィルム状のプラスチックが必要に応じて用いられる。一般的に厚さ10μm〜100μmのものをフィルムと称しているが、この場合あまり厚いと印刷用紙としての意匠性を損なうので、厚さとしては10〜30μmのものが望ましい。さらに、フィルムの強度を増すため、また、耐薬品性や透明性の向上を図るため、一軸方向、または、二軸方向に引っ張り、延伸させたものを使用することが多い。本発明でも、耐久性を必要とするため、これらの延伸フィルムを使用することができる。しかしながら、本発明の機能性を充分に活かすためには、複屈折性を有しない、延伸していないフィルムの方が望ましいため、無延伸のフィルムで比較的耐久性の良好なものを用いることが望ましい。例えば、トリアセチルセルロースやシクロオレフィンポリマー等があげられるが、これに限定するものではない。
【0041】
導電性光反射層22は、導電性を持ち、かつ、光を反射する必要がある。例えば、Ti、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Si、Geから少なくとも一つ、又は、これらの元素の化合物があげられる。導電性光反射層の厚さとしては、樹脂層との光学的な関係から決定されるが、生産性等を考慮して、500nm以下であることが好ましい。導電性光反射層22を設ける方法としては、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法等の物理的蒸着法を好適に用いることができる。
【0042】
導電性反射層22を平行かつ細長く一定の間隔をおいて格子状に形成することが重要である。この一定の間隔は、可視光での効果を考慮すると可視光の半分以下の波長が好ましく、400nm以下が好ましい。この導電性反射層22は、例えば、まず樹脂層23を平行かつ細長く400nm以下の間隔をおいて格子状の凹凸形状に形成し、この上から真空蒸着方やスパッタリング法にて導電性反射層22を全面に設けることにより、実質的に樹脂層23の上面のみに形成することができる。樹脂層23を形成する方法としては、アクリル性樹脂、ポリカーボネート性樹脂、スチレン系樹脂などに代表される熱可塑性樹脂、又は、光硬化性樹脂を使用すると、金型を用いた転写により、容易に形成できる。
【0043】
しかし、導電性反射層22を平行かつ細長く一定の間隔をおいて格子状に形成する方法は、他にも考えられ、必ずしも樹脂層23を形成する必要はない。例えば、スレッド2のフィルム基材21に、レジストを設ける等して、レーザー光を用いて、凹凸を形成することも考えられ、形成方法は限定されるものではない。
【0044】
導電性反射層22を平行かつ細長く一定の間隔をおいて格子状に形成することにより、この格子の線と平行方向に振幅を持つ電磁波は反射され、直交方向に振幅を持つ電磁波は透過する。本発明では、この原理を可視光領域の波長で応用するために、格子の間隔は400nm以下である必要がある。また、さらに、この導電性反射層22および樹脂層23が微小な凹凸形状であることにより、入射した光が反射を繰り返すことにより反射する光が減衰し、弱くなることによるため、導電性反射層22と樹脂層23の関係も重要である。このようにして、直線偏光を取り出すことができる。
【0045】
この偏光を取り出す層の上に、さらに、λ/4の位相差子46を90°回転して設けることにより、透過してくる光を円偏光にすることができる。位相差子46は、スレッドにするための厚みを考慮し、ネマチック液晶を使用することにより設けることが望ましいが、これに限定するものではない。
【0046】
また、スレッド4は、スレッド基材41に透明なコレステリック液晶配向を固定化したものであって、左または右円偏向選択性を示すものが用いられる。コレステリック液晶は、一般に層状構造をなしており、各層での分子長軸方向が互いに平行であり、かつ、層面に平行である。また、各層は少しずつ回転して重なっており、立体的にスパイラル構造をとる。この方向因子が360度回転して元に戻るまでの距離、即ちピッチpと各層内の平均屈折率nとから、λ=n・pで表される波長λの円偏光に対して選択的に反射する特徴を有する。したがって、上記各層の液晶の方向が、入射光に対して左回りならば、上記波長λの成分の左円偏光は反射され、右円偏光は透過する。また、その他の波長の光は全て透過する。例えば、可視光を吸収する黒色の印刷部の上に、赤色の波長の光を反射するコレステリック液晶を配置し、常光のランダム光をあてると透過光はすべて吸収され、波長λの左円偏光のみがのみが反射されるので、コレステリック液晶は鮮やかな赤色に見える。
【0047】
また、コレステリック液晶は、見る角度により、色が変わるという性質を持つため、目視での色変化でも偽造の有無の検証をすることも可能である。これは、液晶面に対する入射角をθとすると、この液晶の表面と底面、即ちピッチp間で反射する光路差は2p・cosθとなる。この光路差が波長λの整数倍に等しいとき、両者の反射光は重複して強め合い、入射角が浅くなると強め合う光の波長は短くなる。
【0048】
例えば、上記で述べたようにスレッド2にて、円偏光を取り出すことができるため、スレッド2をスレッド4にかざした場合に、スレッド4はコレステリック液晶が設けられているため、円偏光選択性を有する。そのため、通常の印刷との見え方とは異なり、スレッド2を透過してくる円偏光の向きとスレッド4のコレステリック液晶の偏光の向きが一致するかどうかで、強めあい明るく見えるか、暗く見えるようになる。
【0049】
コレステリック液晶印刷部47を設ける方法例としては、特定の低分子液晶をコレステリック配向させた後、光反応または熱反応で架橋して配向固定化したものや、サーモトロピック高分子液晶を液晶状態でコレステリック液晶配向させた後、液晶転移点以下の温度に冷却して、配向状態を固定化して作製した高分子フィルムをあげることができる。いずれも特定の円偏光選択性を示す材料が用いられる。成膜には、均一な厚みの薄膜となることが好ましいため、浸漬塗工法や流延成膜法、スピンコート法、ダイコート法等が好ましいが、特に限定されることはない。さらに、上記のように固着したものを粉砕し、顔料化したものをインキに分散して、既知の印刷方法により形成することもできる。
【0050】
スレッド2には、必要によっては、保護層25を設けることができる。保護層25は、外傷から保護する役割を持つものならば、特に限定されるものではなく、使用される樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド樹脂等の従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線または電子線硬化樹脂を単独あるいは、混合して用いられる。さらに、樹脂を架橋する硬化剤、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、シリコンワックス等のワックス類、或いは炭酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、シリカ、アルミナ、タルク等の体質顔料、シリコーン油脂等の油脂類を透明性を損なわない範囲で添加することができる。また、別の金属を設け、保護しても良い。この保護層25は、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、ノズルコーター法等、また、真空蒸着法やスパッタリング法等の既知のコーティング法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法等の印刷手段により塗工する。
【0051】
更に、密着性を向上させるために、それぞれの層の間に接着層24を設けても良い。接着層24としては、例えば、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体、ポリエステル系ポリアミド、並びにアクリル系、ブチルゴム系、天然ゴム系、シリコーン系及びポリイソブチル系等の接着剤を上げることができる。これら接着材料には、アルキルメタクリレート、ビニルエステル、アクリルニトリル、スチレン、及びビニルモノマー等の凝集成分、不飽和カルボン酸、ヒドロキシ基含有モノマー、およびアクリルニトリル等に代表される改質成分、重合開始剤、可塑剤、硬化剤、硬化促進剤、及び酸化防止剤等の添加剤を必要に応じて添加することができる。この接着層24は、例えば、グラビア印刷法等の既知の印刷法により形成することができる。
【0052】
また、用紙基材11の原料としては、針葉樹や広葉樹の木材パルプ、イネ、エスパルト、バガス、麻、亜麻、ケナフ、カンナビス等の非木材パルプ、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリ塩化ビニル等のプラスチックから作られた合成繊維が用いられる。
【0053】
パルプ、または合成繊維を水中にて叩解して水稀薄原料としたものを抄いて絡ませた後、脱水・乾燥してつくられる。このとき、紙は原料であるセルロースの水酸基間の水素結合で繊維間の強度が得られる。また、紙に用いる填料としては、クレイ、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン等があり、サイズ剤としては、ロジン、アルキルケテンダイマー、無水ステアリン酸、アルケニル無水コハク酸、ワックス等があり、紙力増強剤には変性デンプン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、尿素−ホルムアルデヒド、メラミン−ホルムアルデヒド、ポリエチレンイミン等があり、これらの材料は必要に応じて適宜水稀薄原料に加えられる。
【0054】
用紙基材11における抄紙方法は、通常の植物繊維紙の抄き合わせ法でつくることができ、原料濃度を0.5〜10%、好ましくは1%〜2%の水稀薄原料で充分に膨潤させた繊維をよく混練し、スダレ・網目状のワイヤーパート上に流して並べ、搾水後に加温により水分を蒸発させて作られる。この際、前記のスレッドの抄き込みには、針金、あるいは、薄板を切り抜いて作った型をワイヤーパート上に固定するか、高分子樹脂、または、ハンダなどの金属を溶かしてワイヤーパート上に固着させ、凸部を形成した抄き網を使用し、凸部のない位置には紙料液で挟まれるので、被覆部が形成され、凸部の位置ではスレッドが露出するので開口部が形成される。上述したスレッド2は、導電性反射層22を設けてある部分をこの凸部分にあてて、用紙基材11の表裏の開口部3、つまり、表面開口部31、裏面開口部32の位置を合わせながら抄き合わせを行う。また、スレッド4についても、コレステリック液晶印刷部47を設けてある部分をこの凸部に合わせて抄き合わせを行い、少なくとも片面に開口部をつくる。
【0055】
また、植物繊維以外の例えば、合成繊維を混入した紙の場合は合成繊維間に水素結合などの結合力を持たないため、結着剤を必要とすることが多いので、合成繊維比率と結着剤量は、紙の強度を落とさない程度に適宜決めるのが望ましい。
【0056】
用紙基材11の上には、必要に応じて印刷層12を設けても良いし、また、回折構造を設けても良い。印刷層12は、オフセット印刷法や凹版印刷法により、設けることが望ましいが、他のグラビア印刷法、フレキソ印刷法等の既知の印刷法により、適宜設けること
ができる。必要に応じて、印刷の上下に接着層や保護層を設けても良い。印刷層12として、有価証券類の印刷を施した場合には、本発明の特徴を最も有効に発揮させる事ができる。
【0057】
次に本発明に係る偽造防止用紙を用いた検証方法について説明する。
図8に示したように、偽造防止用紙1を中央部で2つに折り、開口部3を通して潜像媒体13を目視にて観察する。このとき潜像媒体13が正規なものである場合には、潜像14が確認される。このため特別の検証用器具を用いることなく、偽造防止用紙の真贋を判定することが可能となる。
【0058】
図17に示した方法においては、偽造防止用紙1をスレッド2とスレッド4の中間で2つ折りにし、スレッド4の露出部をスレッド2の開口部3から目視で観察する。スレッド2の偏光子を通してコレステリック液晶印刷部47を観察することにより、スレッド4の色、または、パターンが出現、または、消失し、変化して見えることにより、用紙の真正性を判別することが可能となる。
【0059】
以下、実施例に基づいて、本発明に係る偽造防止用紙およびこれを用いた検証方法について、より具体的に説明する。
【実施例1】
【0060】
厚さ20μmのCOP(シクロオレフィンポリマー)のシートの片面上に、UV転写により、平行かつ細長く180nmの間隔をおいて格子状の厚み100nmの凹凸形状のウレタン樹脂層を形成し、この凹凸形状の上にアルミニウムを真空蒸着法により蒸着することにより、凸部に厚みが50nmのアルミニウムを形成し、この両面に接着層を設け、スレッド基材を得た。
【0061】
針葉樹パルプを水中で叩解して原料濃度を1.5%とした後、スレッド用に金属で加工された抄き網と手漉き装置を用いて抄き、直線状に並んだ開口部に上記で得たスレッドを配置し、更にその上に開口部がおおよそ一致するように抄き合わせて、脱水、乾燥させ、本発明の偽造防止策を施した偽造防止用紙(100g/m2)を作製した。さらに、上記で得た偽造防止用紙に、オフセット印刷を施し、スレッドを抄き込んだ位置とは離れた部分に、偏光により可視化が可能となる潜像媒体を転写法により設け、偽造防止用紙を得た。
【0062】
上記で得た偽造防止用紙を半分に折り、潜像媒体をスレッドの開口部をかざして見た場合に、図8のように潜像画像を見ることができた。この潜像画像を見ることにより、この偽造防止用紙が真正であることが判別できた。さらに、用紙に抄き込んであることにより、見た目や手触りから容易に複写等の偽造品との判別が容易にできた。
【実施例2】
【0063】
まず、本発明に使用する2本のスレッドを作製する。1本は、厚さ20μmのCOP(シクロオレフィンポリマー)のシートの片面上に、UV転写により、平行かつ細長く180nmの間隔をおいて格子状の厚み100nmの凹凸形状のウレタン樹脂層を形成し、この凹凸形状の上にアルミニウムを真空蒸着法により蒸着することにより、凸部にアルミニウム50nmを形成し、この両面に接着層をグラビア法にて塗工し、さらに、ネマチック液晶インキを塗工した後、熱配向させて、スレッド基材を得た。一方、もう1本は、上記と同様の基材シートに、グラビア法にて通常の墨インキ(ファインスターR92墨:東洋インキ製造社製)で印刷した後、コレステリック液晶インキを印刷し、両面に接着層をグラビア法にて塗工し、スレッド基材を得た。
【0064】
針葉樹パルプを水中で叩解して原料濃度を1.5%とした後、スレッド用に金属で加工された抄き網と手抄き装置を用いて抄き、直線状に並んだ開口部に上記で得た2本のスレッドを配置し、更にその上に開口部がおおよそ一致するように抄き合わせて、脱水、乾燥させ、本発明の偽造防止策を施した偽造防止用紙(100g/m2)を作製した。さらに、上記で得た偽造防止用紙に、オフセット印刷を施し、偽造防止用紙を得た。
【0065】
上記で得た偽造防止用紙を見ると、コレステリック液晶を設けられたスレッドは傾けて見ると色が変わって見えた。さらに、この偽造防止用紙を折って、コレステリック液晶が設けられたスレッドを、もう1方のスレッドの開口部をかざして見た場合に、コレステリック液晶部分が見えず、下の墨印刷を見ることができた。目視での色の変化とスレッドを通して見たときの色の変化を見ることにより、この偽造防止用紙が真正であることが判別できた。さらに、用紙に抄き込んであることにより、見た目や手触りから容易に複写等の偽造品との判別が容易にできた。
【符号の説明】
【0066】
1・・・偽造防止用紙
2・・・スレッド
3・・・開口部
4・・・スレッド
11・・・用紙基材
12・・・印刷層
13・・・潜像媒体
14・・・潜像
21・・・スレッド基材
22・・・導電性光反射層
23・・・樹脂層
24・・・接着層
25・・・保護層
26・・・λ/4位相差子
31・・・表面開口部
32・・・裏面開口部
33・・・光透過部分
41・・・スレッド基材
44・・・接着層
47・・・コレステリック液晶印刷部
48・・・墨印刷層
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣、商品券、宝くじ等の紙からなる有価証券の偽造防止に関わり、特には、真正性を証明する判定を容易とする偽造防止用紙、および、これを用いた検証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙は紙幣をはじめ、商品券、宝くじ等、金銭的価値を有する有価証券として幅広く使用されており、そのような有価証券類に用いられている用紙には容易に偽造、または、変造できないように、紙自身に透かしを施したり、あるいは、マイクロ文字や凹版、隠し文字、蛍光印刷等の特殊な印刷を施したり、金属光沢を有する箔、もしくは、光の干渉を用いて立体画像や特殊な装飾画像を表現し得るホログラムや回折格子等を有する箔を転写、または、シールで施しているのが一般的である。
【0003】
しかしながら、ホログラムの多岐に渡る分野への展開により、ホログラムの偽造が増加する傾向にあり、専門家が見れば、差異がはっきりわかるとしても、使用者には一見では真偽の判定をすることが難しくなってきている。
【0004】
各種セキュリティ媒体の偽造防止対策として、種々のスレッドを用紙に抄き込む手法がある。このようなスレッドによる偽造防止手段は用紙を製造する段階において設けられるため、カラーコピーやスキャナ取り込み、製版印刷等による方法での偽造は困難である。しかし、上記で述べたように、ホログラムの偽造が増加してきており、用紙にスレッドを抄き込みしたように見せかける用紙を偽造することも増えてきたため、単なる光輝性スレッドやホログラムスレッドを用いるのでは、一見して真贋判別が難しくなってきている。
【0005】
そこで、特許文献1〜3のように、コレステリック液晶を利用した潜像を有する偽造防止媒体を用紙に抄き込んだりラベルとして貼付する偽造防止媒体が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-277957号公報
【特許文献2】特開2005-325482号公報
【特許文献3】特開2007-148173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の潜像を確認する偽造防止媒体は、検証用フィルタ等の検証手段を別途必要とする。前記フィルタは、一般的にヨウ素を延伸させてつくる偏光子と位相差子の組み合わせであり、通常、厚みを必要とするため、偽造防止媒体とは別のものとして検証用のフィルタを持つ必要があり、フィルタを持っていない人には判定ができないという問題点がある。また、偏光子として、2色性染料を使用することもあげられるが、非常に高価であるため、偽造防止用紙に使用するのには向いていないという問題点がある。
【0008】
本発明は以上の問題点に着目してなされたもので、用紙としての厚み等の性能を備えるだけでなく、別の検証器具を使用せずに、同一の用紙中に偽造防止媒体とこれを検証する機能を併せ持つ偽造防止用紙を提供するものである。詳しくは、この偽造防止用紙のスレッドの露出部分を、偏光により可視化可能な偽造防止媒体にかざし、偽造防止媒体の潜像の有無や見え方の変化により、偽造品かどうかの検証を行うことを可能とした偽造防止用紙およびこれを用いた検証方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、用紙基材中にスレッドを抄き込んでなる偽造防止用紙であって、該スレッドは透明高分子樹脂フィルム基材上に設けられた微細なストライプパターンを有する偏光子であり、該用紙に部分的に設けられた窓あき部から露出しており、該用紙には前記偏光子によって検証可能な偽造防止媒体が設けられていることを特徴とする偽造防止用紙である。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の偽造防止用紙を折り曲げて、前記スレッドの露出部分を前記偽造防止媒体にかざし、潜像の有無あるいは見え方の変化によって検証を行うことを特徴とする検証方法である。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、透明な高分子樹脂フィルムを基材とするスレッドを用紙基材中に抄き込んでなる偽造防止用紙であって、該スレッドは用紙の表裏に部分的に露出させ、更に表裏の露出部の一部、もしくは、全部が重なる露出させた窓あき部が設けられ、該窓あき部分の少なくとも一部に、平行かつ細長く所定の間隔をおいて格子状に形成された導電性光反射層が設けられ、透過した光が偏光となることを特徴とする偽造防止用紙である。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、前記スレッドの基材である透明高分子樹脂フィルムが、無延伸フィルムであることを特徴とする請求項3に記載の偽造防止用紙である。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、前記スレッドの基材である透明高分子樹脂フィルムが、トリアセチルセルロースフィルムであることを特徴とする請求項3または4に記載の偽造防止用紙である。
【0014】
また、請求項6に記載の発明は、前記スレッドの基材と導電性光反射層との間に、平行かつ細長く所定の間隔をおいて格子状の凹凸形状の樹脂層が設けられていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の偽造防止用紙である。
【0015】
また、請求項7に記載の発明は、前記格子状に形成された導電性光反射層の間隔が、100nm〜400nmであることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の偽造防止用紙である。
【0016】
また、請求項8に記載の発明は、前記導電性光反射層がアルミニウム、または、スズで設けてあり、該導電性光反射層の厚みが200nm以下であることを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の偽造防止用紙である。
【0017】
また、請求項9に記載の発明は、前記スレッドの片面または両面の少なくとも一部に、保護層を積層したことを特徴とする請求項3〜8のいずれか1項に記載の偽造防止用紙である。
【0018】
また、請求項10に記載の発明は、前記スレッドの片面または両面の少なくとも一部に、接着層を積層したことを特徴とする請求項3〜9のいずれか1項に記載の偽造防止用紙である。
【0019】
また、請求項11に記載の発明は、請求項3〜10のいずれか1項に記載の偽造防止用紙に、有価証券類の印刷を施したことを特徴とする偽造防止用紙である。
【0020】
また、請求項12に記載の発明は、請求項3〜11のいずれか1項に記載の偽造防止用紙の、スレッドが抄き込んである部分とは別の部分に、偏光により潜像が見える偽造防止媒体が設けてあり、前記偽造防止用紙を折り曲げて、前記スレッドの露出部分を前記偽造防止媒体にかざし、潜像の有無により検証を行うことを特徴とする検証方法である。
【0021】
また、請求項13に記載の発明は、基紙に複数本のスレッドを平行に抄き込んで設けた偽造防止用紙であって、当該複数本のスレッドのうち、少なくとも1本には、窓あき部に色彩変化を生じるコレステリック液晶印刷が施され、別のスレッドの1本には少なくとも一部に表裏の開口部が一致する窓あき部を有し、該窓あき部を有する部分の少なくとも一部には、平行かつ細長く所定の間隔をおいて格子状に形成された導電性光反射層が設けられ、その上にλ/4の位相差層が設けられており、透過した光が円偏光となることを特徴とする偽造防止用紙である。
【0022】
また、請求項14に記載の発明は、前記λ/4の位相差層がネマチック液晶で設けられて成ることを特徴とする請求項13に記載の偽造防止用紙である。
【0023】
また、請求項15に記載の発明は、前記コレステリック液晶の下地に黒色印刷が設けられていることを特徴とする請求項13または14に記載の偽造防止用紙である。
【0024】
また、請求項16に記載の発明は、請求項13〜15のいずれか1項に記載の偽造防止用紙に、有価証券類の印刷を施したことを特徴とする偽造防止用紙である。
【0025】
また、請求項17に記載の発明は、請求項13〜16のいずれか1項に記載の偽造防止用紙を用いた真贋判別方法であって、偽造防止用紙を折り曲げて、前記透明な窓上からコレステリック液晶印刷部を見ることにより、スレッドの色、または、パターンが出現、または、消失し、変化して見えることにより、用紙の真正性を判別することを特徴とする検証方法である。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る偽造防止用紙は、用紙基材中にスレッドを抄き込んでなる偽造防止用紙であって、該スレッドは透明高分子樹脂フィルム基材上に設けられた微細なストライプパターンを有する偏光子であり、該用紙に部分的に設けられた窓あき部から露出しており、該用紙には前記偏光子によって検証可能な偽造防止媒体が設けられているため、用紙を折曲げ、偏光子を通して同じ用紙中に設けられている偽造防止媒体を観察することにより、特別の検証用器具を用いることなく、真贋の検証が可能であるという効果を有する。
また同一の用紙中に、偏光子であるスレッドを抄き込み、さらに偽造防止媒体を設けてあるため、偽造が困難である。
【0027】
また本発明に係る偽造防止用紙は、スレッドの上下の窓あき部が少なくとも一部が重なるように抄き込んであり、用紙としての厚み等の性能を備えるだけでなく、スレッドの窓あき部の少なくとも一部に、平行かつ細長く所定の間隔をおいて、格子状に形成された光反射材料を設け、窓開き部を通った光が直線偏光になることにより、偽造防止の検証機能を具備するものであり、被判定偽造防止媒体を検証する機能を有する効果を持つものである。しかも、同一の媒体中に被判定偽造防止媒体を付加することにより、本発明の偽造防止用紙のスレッドの露出部分を、該用紙に設けた被判定偽造防止媒体にかざし、偽造防止構造体の潜像の有無により、偽造品かどうかの検証が可能となるものである。
【0028】
また本発明に係る偽造防止用紙は、複数のスレッドが設けてあり、うち少なくとも1本のスレッドは窓あき部の上下が少なくとも一部が重なるように抄き込んであり、用紙としての厚み等の性能を備えるだけでなく、スレッドの窓あき部の少なくとも一部に、平行か
つ細長く所定の間隔をおいて格子状に形成された光反射材料が設けられ、さらにλ/4の位相差層を設けることにより、窓開き部分を通った光が円偏光となり、別のスレッドの検証機能を有する効果を持つものである。しかも、同一の偽造防止媒体中に被判定スレッドが設けられているため、本発明の偽造防止用紙のスレッドの露出部分を、別のスレッドにかざし、目視との差を判別することで、偽造品かどうかの検証が可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る偽造防止用紙の一実施形態を示した平面模式図である。
【図2】図1の偽造防止用紙のX−X断面の説明図である。
【図3】図1の偽造防止用紙のX’−X’断面の説明図である。
【図4】図1の偽造防止用紙のY−Y断面の説明図である。
【図5】本発明の一実施形態を示した図4の窓あき部3を拡大した説明図である。
【図6】図5の窓あき部の一実施例を示した断面説明図である。
【図7】図5の窓あき部の一実施例を示した断面説明図である。
【図8】図1に示した偽造防止用紙の検証方法を示す説明図である。
【図9】本発明に係る偽造防止用紙の他の実施形態を示した平面模式図である。
【図10】図9の偽造防止用紙のX−X断面の説明図である。
【図11】図9の偽造防止用紙のX’−X’断面の説明図である。
【図12】図9の偽造防止用紙のY−Y断面の説明図である。
【図13】図9の偽造防止用紙のY’−Y’断面の説明図である。
【図14】図12の窓あき部3を拡大した説明図である。
【図15】図14のZ’−Z’断面を示した説明図である。
【図16】スレッド4の一実施形態を示した断面説明図である。
【図17】図9に示した偽造防止用紙の検証方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面に従い本発明に係る偽造防止用紙およびこれを用いた印刷物について詳しく説明する。
【0031】
図1は、本発明に係る偽造防止用紙の一実施形態を示した平面図である。本発明の偽造防止用紙1は、スレッド2を、用紙基材11に抄き込んでなり、用紙基材11に印刷層12と、偽造防止媒体である潜像媒体13が設けられている。図2は、本発明の一実施形態を示した図1の偽造防止用紙のX−X断面の説明図であり、図3は図1の偽造防止用紙のX’−X’断面の説明図であり、図4は図1の偽造防止用紙のY−Y断面の説明図である。スレッド2は、用紙基材11に、表面の開口部31および裏面の開口部32が少なくとも重なる部分があるような位置関係で抄き込んだことを特徴とするものであり、このとき露出部の一部分、または、全部は用紙の表裏で一致することとなり、ここに開口部3が形成され、光が透過する。スレッド2は、透明高分子樹脂フィルム基材上に設けられた微細なストライプパターンを少なくとも有する偏光子である。
【0032】
図5は、本発明の一実施形態を示した図4の開口部3の窓あき部の一例を拡大した説明図であり、図6および図7は、図5の窓あき部の一実施例を示した断面の説明図である。この実施形態においては、開口部3にあたるスレッド2の一部には、高分子樹脂フィルムからなるスレッド基材21上の、少なくとも一部分に、導電性光反射層22が平行かつ細長く一定の間隔をおいて格子状に設けられていることを特徴としている。この導電性光反射層22が設けられた開口部3を通る光は偏光となる。図6、図7に示したように高分子樹脂フィルムからなるスレッド基材21上の、少なくとも一部分に、平行かつ細長く一定の間隔をおいて格子状の凹凸を設けた樹脂層23が設けられ、その凸部の上に、導電性光反射層22が設けられ、平行かつ細長く一定の間隔をおいて格子状に設けることが望ましい。
【0033】
図8は、本発明の偽造防止用紙の一実施例の検証方法を示す説明図である。偽造防止用紙1の、スレッド2が抄き込んである部分とは別の部分に、偏光により潜像14が見える偽造防止媒体である潜像媒体13が設けてあり、偽造防止用紙1を折り曲げて、スレッド2の露出部分を潜像媒体13にかざし、目視することによって、潜像14の有無により検証を行うことができる。
【0034】
ここに用いる潜像媒体13としては、偏光により潜像が見えるようになるもので、特開2009−142996号公報、および、特開2006−139178号公報に記載されているもの等があげられ、転写法等により設けることができる。
潜像媒体13の構造は、基材上の少なくとも一部に、パターン状に配向された高分子液晶層が設けられたものである。配向する方向をパターン状に変えても良い。高分子液晶層が一方向に並ぶことにより、複屈折性を持ち、目視では印刷画像を視認することができないか、もしくは、印刷画像の存在に気付き難いが、偏光光の下で見ると、パターン状の潜像が見え、真偽判定が可能となり、偽造防止性を付与することができる積層複合体である。複屈折性物質とは、透明な複屈折性を有する材質である。複屈折とは、物質の屈折率が光軸方向によって異なることで、複屈折を持つ物質に光を入射した時、異常光線e(屈折率:ne)と常光線o(屈折率:no)の間で位相差を生じる現象である。これら光軸の違いは、偏光フィルムを通さない目視では判別できない。この異常光線と常光線の屈折率の差は、複屈折率Δnと呼ばれ、次の式で表される。Δn=ne−noまた、位相差値δは、複屈折性物質を通過する層厚dに比例し、次の式で表される。δ=Δn・d即ち、位相差値は、膜厚に比例する。
更に反射層を用いる場合は、反射前後で2回複屈折性物質を通過するため、位相差値が2倍となる。位相差値が透過光の波長λの半分(λ/2)のとき、複屈折性物質の異常光軸と偏光光の偏光面がなす角度がθの時、偏光面を2θ回す性質を持つ。よって、θ=45°の時、偏光面が90°回転する。反射層の上にλ/4の位相差値を持つ位相差子を形成し、偏光フィルムを重ねた場合、偏光フィルムの透過光軸と位相差子の異常光軸がなす角度が45°であると、偏光フィルムを透過した光が、90°回転して偏光フィルムに戻ってくるため、透過できず、暗部となる。また、偏光フィルムの透過光軸と位相差子の異常光軸がなす角度が0°であると、偏光フィルムを透過した光が、そのまま戻ってくるため、偏光フィルムを透過でき、明部となる。即ち、偏光フィルムを通した時、潜像が現れる。
【0035】
図9は、本発明に係る偽造防止用紙の他の実施形態を示した平面模式図である。偽造防止用紙1は、用紙基材11にスレッド2とスレッド4を並行して抄き込んでなり、用紙基材11に印刷層12が設けられている。
【0036】
図10は、図9の偽造防止用紙のX−X断面の説明図である。また、図11は、図9の偽造防止用紙のX’−X’断面の説明図である。また、図12は、図9の偽造防止用紙のY−Y断面の説明図である。
【0037】
図13は、図9の偽造防止用紙のY’−Y’断面の説明図である。スレッド2およびスレッド4は、用紙基材11に、抄き込んでなり、特に、スレッド2は表面の開口部31および裏面の開口部32が少なくとも重なる部分があるような位置関係で抄き込んだことを特徴とするものであり、このとき露出部の一部分、または、全部は用紙の表裏で一致することとなり、ここに開口部3が形成され、光が透過する。
【0038】
図14は、本発明の他の実施形態を示した図12の開口部3の窓あき部の一例を拡大した説明図であり、図15は図14のZ’−Z’の断面の説明図である。高分子樹脂フィルムからなるスレッド基材21上の、スレッド2の開口部3の一部に、少なくとも導電性光
反射層22が、平行かつ細長く一定の間隔をおいて格子状に設けられ、さらにその上にλ/4の位相差層26が設けられていることを特徴としている。この導電性光反射層22が設けられた開口部3を通る光は円偏光となる。図16は、スレッド4の窓あき部の一実施例を示した断面の説明図である。スレッド基材41に、コレステリック印刷部47を設け、コレステリック印刷部47とは逆側に墨印刷層48を設ける。しかし、この印刷の順番は特に変わっていても問題はない。また、さらにスレッド2およびスレッド4の偽造防止用紙1に抄き込む上下の向きに関しても、どちらを上にしても機能するため、特に限定するものではない。さらに表裏面に接着層44を設けてもよい。
【0039】
以下に本発明の偽造防止媒体1を構成する各層の材料や形成方法について、具体的に説明する。
【0040】
スレッド基材21には、一般的に透明性に優れ、機械的に強く、柔軟性や可撓性等を有する高分子材料からなるフィルム状のプラスチックが必要に応じて用いられる。一般的に厚さ10μm〜100μmのものをフィルムと称しているが、この場合あまり厚いと印刷用紙としての意匠性を損なうので、厚さとしては10〜30μmのものが望ましい。さらに、フィルムの強度を増すため、また、耐薬品性や透明性の向上を図るため、一軸方向、または、二軸方向に引っ張り、延伸させたものを使用することが多い。本発明でも、耐久性を必要とするため、これらの延伸フィルムを使用することができる。しかしながら、本発明の機能性を充分に活かすためには、複屈折性を有しない、延伸していないフィルムの方が望ましいため、無延伸のフィルムで比較的耐久性の良好なものを用いることが望ましい。例えば、トリアセチルセルロースやシクロオレフィンポリマー等があげられるが、これに限定するものではない。
【0041】
導電性光反射層22は、導電性を持ち、かつ、光を反射する必要がある。例えば、Ti、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Si、Geから少なくとも一つ、又は、これらの元素の化合物があげられる。導電性光反射層の厚さとしては、樹脂層との光学的な関係から決定されるが、生産性等を考慮して、500nm以下であることが好ましい。導電性光反射層22を設ける方法としては、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法等の物理的蒸着法を好適に用いることができる。
【0042】
導電性反射層22を平行かつ細長く一定の間隔をおいて格子状に形成することが重要である。この一定の間隔は、可視光での効果を考慮すると可視光の半分以下の波長が好ましく、400nm以下が好ましい。この導電性反射層22は、例えば、まず樹脂層23を平行かつ細長く400nm以下の間隔をおいて格子状の凹凸形状に形成し、この上から真空蒸着方やスパッタリング法にて導電性反射層22を全面に設けることにより、実質的に樹脂層23の上面のみに形成することができる。樹脂層23を形成する方法としては、アクリル性樹脂、ポリカーボネート性樹脂、スチレン系樹脂などに代表される熱可塑性樹脂、又は、光硬化性樹脂を使用すると、金型を用いた転写により、容易に形成できる。
【0043】
しかし、導電性反射層22を平行かつ細長く一定の間隔をおいて格子状に形成する方法は、他にも考えられ、必ずしも樹脂層23を形成する必要はない。例えば、スレッド2のフィルム基材21に、レジストを設ける等して、レーザー光を用いて、凹凸を形成することも考えられ、形成方法は限定されるものではない。
【0044】
導電性反射層22を平行かつ細長く一定の間隔をおいて格子状に形成することにより、この格子の線と平行方向に振幅を持つ電磁波は反射され、直交方向に振幅を持つ電磁波は透過する。本発明では、この原理を可視光領域の波長で応用するために、格子の間隔は400nm以下である必要がある。また、さらに、この導電性反射層22および樹脂層23が微小な凹凸形状であることにより、入射した光が反射を繰り返すことにより反射する光が減衰し、弱くなることによるため、導電性反射層22と樹脂層23の関係も重要である。このようにして、直線偏光を取り出すことができる。
【0045】
この偏光を取り出す層の上に、さらに、λ/4の位相差子46を90°回転して設けることにより、透過してくる光を円偏光にすることができる。位相差子46は、スレッドにするための厚みを考慮し、ネマチック液晶を使用することにより設けることが望ましいが、これに限定するものではない。
【0046】
また、スレッド4は、スレッド基材41に透明なコレステリック液晶配向を固定化したものであって、左または右円偏向選択性を示すものが用いられる。コレステリック液晶は、一般に層状構造をなしており、各層での分子長軸方向が互いに平行であり、かつ、層面に平行である。また、各層は少しずつ回転して重なっており、立体的にスパイラル構造をとる。この方向因子が360度回転して元に戻るまでの距離、即ちピッチpと各層内の平均屈折率nとから、λ=n・pで表される波長λの円偏光に対して選択的に反射する特徴を有する。したがって、上記各層の液晶の方向が、入射光に対して左回りならば、上記波長λの成分の左円偏光は反射され、右円偏光は透過する。また、その他の波長の光は全て透過する。例えば、可視光を吸収する黒色の印刷部の上に、赤色の波長の光を反射するコレステリック液晶を配置し、常光のランダム光をあてると透過光はすべて吸収され、波長λの左円偏光のみがのみが反射されるので、コレステリック液晶は鮮やかな赤色に見える。
【0047】
また、コレステリック液晶は、見る角度により、色が変わるという性質を持つため、目視での色変化でも偽造の有無の検証をすることも可能である。これは、液晶面に対する入射角をθとすると、この液晶の表面と底面、即ちピッチp間で反射する光路差は2p・cosθとなる。この光路差が波長λの整数倍に等しいとき、両者の反射光は重複して強め合い、入射角が浅くなると強め合う光の波長は短くなる。
【0048】
例えば、上記で述べたようにスレッド2にて、円偏光を取り出すことができるため、スレッド2をスレッド4にかざした場合に、スレッド4はコレステリック液晶が設けられているため、円偏光選択性を有する。そのため、通常の印刷との見え方とは異なり、スレッド2を透過してくる円偏光の向きとスレッド4のコレステリック液晶の偏光の向きが一致するかどうかで、強めあい明るく見えるか、暗く見えるようになる。
【0049】
コレステリック液晶印刷部47を設ける方法例としては、特定の低分子液晶をコレステリック配向させた後、光反応または熱反応で架橋して配向固定化したものや、サーモトロピック高分子液晶を液晶状態でコレステリック液晶配向させた後、液晶転移点以下の温度に冷却して、配向状態を固定化して作製した高分子フィルムをあげることができる。いずれも特定の円偏光選択性を示す材料が用いられる。成膜には、均一な厚みの薄膜となることが好ましいため、浸漬塗工法や流延成膜法、スピンコート法、ダイコート法等が好ましいが、特に限定されることはない。さらに、上記のように固着したものを粉砕し、顔料化したものをインキに分散して、既知の印刷方法により形成することもできる。
【0050】
スレッド2には、必要によっては、保護層25を設けることができる。保護層25は、外傷から保護する役割を持つものならば、特に限定されるものではなく、使用される樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド樹脂等の従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線または電子線硬化樹脂を単独あるいは、混合して用いられる。さらに、樹脂を架橋する硬化剤、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、シリコンワックス等のワックス類、或いは炭酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、シリカ、アルミナ、タルク等の体質顔料、シリコーン油脂等の油脂類を透明性を損なわない範囲で添加することができる。また、別の金属を設け、保護しても良い。この保護層25は、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、ノズルコーター法等、また、真空蒸着法やスパッタリング法等の既知のコーティング法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法等の印刷手段により塗工する。
【0051】
更に、密着性を向上させるために、それぞれの層の間に接着層24を設けても良い。接着層24としては、例えば、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体、ポリエステル系ポリアミド、並びにアクリル系、ブチルゴム系、天然ゴム系、シリコーン系及びポリイソブチル系等の接着剤を上げることができる。これら接着材料には、アルキルメタクリレート、ビニルエステル、アクリルニトリル、スチレン、及びビニルモノマー等の凝集成分、不飽和カルボン酸、ヒドロキシ基含有モノマー、およびアクリルニトリル等に代表される改質成分、重合開始剤、可塑剤、硬化剤、硬化促進剤、及び酸化防止剤等の添加剤を必要に応じて添加することができる。この接着層24は、例えば、グラビア印刷法等の既知の印刷法により形成することができる。
【0052】
また、用紙基材11の原料としては、針葉樹や広葉樹の木材パルプ、イネ、エスパルト、バガス、麻、亜麻、ケナフ、カンナビス等の非木材パルプ、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリ塩化ビニル等のプラスチックから作られた合成繊維が用いられる。
【0053】
パルプ、または合成繊維を水中にて叩解して水稀薄原料としたものを抄いて絡ませた後、脱水・乾燥してつくられる。このとき、紙は原料であるセルロースの水酸基間の水素結合で繊維間の強度が得られる。また、紙に用いる填料としては、クレイ、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン等があり、サイズ剤としては、ロジン、アルキルケテンダイマー、無水ステアリン酸、アルケニル無水コハク酸、ワックス等があり、紙力増強剤には変性デンプン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、尿素−ホルムアルデヒド、メラミン−ホルムアルデヒド、ポリエチレンイミン等があり、これらの材料は必要に応じて適宜水稀薄原料に加えられる。
【0054】
用紙基材11における抄紙方法は、通常の植物繊維紙の抄き合わせ法でつくることができ、原料濃度を0.5〜10%、好ましくは1%〜2%の水稀薄原料で充分に膨潤させた繊維をよく混練し、スダレ・網目状のワイヤーパート上に流して並べ、搾水後に加温により水分を蒸発させて作られる。この際、前記のスレッドの抄き込みには、針金、あるいは、薄板を切り抜いて作った型をワイヤーパート上に固定するか、高分子樹脂、または、ハンダなどの金属を溶かしてワイヤーパート上に固着させ、凸部を形成した抄き網を使用し、凸部のない位置には紙料液で挟まれるので、被覆部が形成され、凸部の位置ではスレッドが露出するので開口部が形成される。上述したスレッド2は、導電性反射層22を設けてある部分をこの凸部分にあてて、用紙基材11の表裏の開口部3、つまり、表面開口部31、裏面開口部32の位置を合わせながら抄き合わせを行う。また、スレッド4についても、コレステリック液晶印刷部47を設けてある部分をこの凸部に合わせて抄き合わせを行い、少なくとも片面に開口部をつくる。
【0055】
また、植物繊維以外の例えば、合成繊維を混入した紙の場合は合成繊維間に水素結合などの結合力を持たないため、結着剤を必要とすることが多いので、合成繊維比率と結着剤量は、紙の強度を落とさない程度に適宜決めるのが望ましい。
【0056】
用紙基材11の上には、必要に応じて印刷層12を設けても良いし、また、回折構造を設けても良い。印刷層12は、オフセット印刷法や凹版印刷法により、設けることが望ましいが、他のグラビア印刷法、フレキソ印刷法等の既知の印刷法により、適宜設けること
ができる。必要に応じて、印刷の上下に接着層や保護層を設けても良い。印刷層12として、有価証券類の印刷を施した場合には、本発明の特徴を最も有効に発揮させる事ができる。
【0057】
次に本発明に係る偽造防止用紙を用いた検証方法について説明する。
図8に示したように、偽造防止用紙1を中央部で2つに折り、開口部3を通して潜像媒体13を目視にて観察する。このとき潜像媒体13が正規なものである場合には、潜像14が確認される。このため特別の検証用器具を用いることなく、偽造防止用紙の真贋を判定することが可能となる。
【0058】
図17に示した方法においては、偽造防止用紙1をスレッド2とスレッド4の中間で2つ折りにし、スレッド4の露出部をスレッド2の開口部3から目視で観察する。スレッド2の偏光子を通してコレステリック液晶印刷部47を観察することにより、スレッド4の色、または、パターンが出現、または、消失し、変化して見えることにより、用紙の真正性を判別することが可能となる。
【0059】
以下、実施例に基づいて、本発明に係る偽造防止用紙およびこれを用いた検証方法について、より具体的に説明する。
【実施例1】
【0060】
厚さ20μmのCOP(シクロオレフィンポリマー)のシートの片面上に、UV転写により、平行かつ細長く180nmの間隔をおいて格子状の厚み100nmの凹凸形状のウレタン樹脂層を形成し、この凹凸形状の上にアルミニウムを真空蒸着法により蒸着することにより、凸部に厚みが50nmのアルミニウムを形成し、この両面に接着層を設け、スレッド基材を得た。
【0061】
針葉樹パルプを水中で叩解して原料濃度を1.5%とした後、スレッド用に金属で加工された抄き網と手漉き装置を用いて抄き、直線状に並んだ開口部に上記で得たスレッドを配置し、更にその上に開口部がおおよそ一致するように抄き合わせて、脱水、乾燥させ、本発明の偽造防止策を施した偽造防止用紙(100g/m2)を作製した。さらに、上記で得た偽造防止用紙に、オフセット印刷を施し、スレッドを抄き込んだ位置とは離れた部分に、偏光により可視化が可能となる潜像媒体を転写法により設け、偽造防止用紙を得た。
【0062】
上記で得た偽造防止用紙を半分に折り、潜像媒体をスレッドの開口部をかざして見た場合に、図8のように潜像画像を見ることができた。この潜像画像を見ることにより、この偽造防止用紙が真正であることが判別できた。さらに、用紙に抄き込んであることにより、見た目や手触りから容易に複写等の偽造品との判別が容易にできた。
【実施例2】
【0063】
まず、本発明に使用する2本のスレッドを作製する。1本は、厚さ20μmのCOP(シクロオレフィンポリマー)のシートの片面上に、UV転写により、平行かつ細長く180nmの間隔をおいて格子状の厚み100nmの凹凸形状のウレタン樹脂層を形成し、この凹凸形状の上にアルミニウムを真空蒸着法により蒸着することにより、凸部にアルミニウム50nmを形成し、この両面に接着層をグラビア法にて塗工し、さらに、ネマチック液晶インキを塗工した後、熱配向させて、スレッド基材を得た。一方、もう1本は、上記と同様の基材シートに、グラビア法にて通常の墨インキ(ファインスターR92墨:東洋インキ製造社製)で印刷した後、コレステリック液晶インキを印刷し、両面に接着層をグラビア法にて塗工し、スレッド基材を得た。
【0064】
針葉樹パルプを水中で叩解して原料濃度を1.5%とした後、スレッド用に金属で加工された抄き網と手抄き装置を用いて抄き、直線状に並んだ開口部に上記で得た2本のスレッドを配置し、更にその上に開口部がおおよそ一致するように抄き合わせて、脱水、乾燥させ、本発明の偽造防止策を施した偽造防止用紙(100g/m2)を作製した。さらに、上記で得た偽造防止用紙に、オフセット印刷を施し、偽造防止用紙を得た。
【0065】
上記で得た偽造防止用紙を見ると、コレステリック液晶を設けられたスレッドは傾けて見ると色が変わって見えた。さらに、この偽造防止用紙を折って、コレステリック液晶が設けられたスレッドを、もう1方のスレッドの開口部をかざして見た場合に、コレステリック液晶部分が見えず、下の墨印刷を見ることができた。目視での色の変化とスレッドを通して見たときの色の変化を見ることにより、この偽造防止用紙が真正であることが判別できた。さらに、用紙に抄き込んであることにより、見た目や手触りから容易に複写等の偽造品との判別が容易にできた。
【符号の説明】
【0066】
1・・・偽造防止用紙
2・・・スレッド
3・・・開口部
4・・・スレッド
11・・・用紙基材
12・・・印刷層
13・・・潜像媒体
14・・・潜像
21・・・スレッド基材
22・・・導電性光反射層
23・・・樹脂層
24・・・接着層
25・・・保護層
26・・・λ/4位相差子
31・・・表面開口部
32・・・裏面開口部
33・・・光透過部分
41・・・スレッド基材
44・・・接着層
47・・・コレステリック液晶印刷部
48・・・墨印刷層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙基材中にスレッドを抄き込んでなる偽造防止用紙であって、該スレッドは透明高分子樹脂フィルム基材上に設けられた微細なストライプパターンを有する偏光子であり、該用紙に部分的に設けられた窓あき部から露出しており、該用紙には前記偏光子によって検証可能な偽造防止媒体が設けられていることを特徴とする偽造防止用紙。
【請求項2】
請求項1に記載の偽造防止用紙を折り曲げて、前記スレッドの露出部分を前記偽造防止媒体にかざし、潜像の有無あるいは見え方の変化によって検証を行うことを特徴とする検証方法。
【請求項3】
透明な高分子樹脂フィルムを基材とするスレッドを用紙基材中に抄き込んでなる偽造防止用紙であって、該スレッドは用紙の表裏に部分的に露出させ、更に表裏の露出部の一部、もしくは、全部が重なる露出させた窓あき部が設けられ、該窓あき部分の少なくとも一部に、平行かつ細長く所定の間隔をおいて格子状に形成された導電性光反射層が設けられ、透過した光が偏光となることを特徴とする偽造防止用紙。
【請求項4】
前記スレッドの基材である透明高分子樹脂フィルムは、無延伸フィルムであることを特徴とする請求項3に記載の偽造防止用紙。
【請求項5】
前記スレッドの基材である透明高分子樹脂フィルムは、トリアセチルセルロースフィルムであることを特徴とする請求項3または4に記載の偽造防止用紙。
【請求項6】
前記スレッドの基材と導電性光反射層との間に、平行かつ細長く所定の間隔をおいて格子状の凹凸形状の樹脂層が設けられていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の偽造防止用紙。
【請求項7】
前記格子状に形成された導電性光反射層の間隔は、100nm〜400nmであることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の偽造防止用紙。
【請求項8】
前記導電性光反射層がアルミニウム、または、スズで設けてあり、該導電性光反射層の厚みが200nm以下であることを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の偽造防止用紙。
【請求項9】
前記スレッドの片面または両面の少なくとも一部に、保護層を積層したことを特徴とする請求項3〜8のいずれか1項に記載の偽造防止用紙。
【請求項10】
前記スレッドの片面または両面の少なくとも一部に、接着層を積層したことを特徴とする請求項3〜9のいずれか1項に記載の偽造防止用紙。
【請求項11】
請求項3〜10のいずれか1項に記載の偽造防止用紙に、有価証券類の印刷を施したことを特徴とする偽造防止用紙。
【請求項12】
請求項3〜11のいずれか1項に記載の偽造防止用紙の、スレッドが抄き込んである部分とは別の部分に、偏光により潜像が見える偽造防止媒体が設けてあり、前記偽造防止用紙を折り曲げて、前記スレッドの露出部分を前記偽造防止媒体にかざし、潜像の有無により検証を行うことを特徴とする検証方法。
【請求項13】
基紙に複数本のスレッドを平行に抄き込んで設けた偽造防止用紙であって、当該複数本のスレッドのうち、少なくとも1本には、窓あき部に色彩変化を生じるコレステリック液
晶印刷が施され、別のスレッドの1本には少なくとも一部に表裏の開口部が一致する窓あき部を有し、該窓あき部を有する部分の少なくとも一部には、平行かつ細長く所定の間隔をおいて格子状に形成された導電性光反射層が設けられ、その上にλ/4の位相差層が設けられており、透過した光が円偏光となることを特徴とする偽造防止用紙。
【請求項14】
前記λ/4の位相差層がネマチック液晶で設けられて成ることを特徴とする請求項13に記載の偽造防止用紙。
【請求項15】
前記コレステリック液晶の下地に黒色印刷が設けられていることを特徴とする請求項13または14に記載の偽造防止用紙。
【請求項16】
請求項13〜15のいずれか1項に記載の偽造防止用紙に、有価証券類の印刷を施したことを特徴とする偽造防止用紙。
【請求項17】
請求項13〜16のいずれか1項に記載の偽造防止用紙を用いた真贋判別方法であって、偽造防止用紙を折り曲げて、前記透明な窓上からコレステリック液晶印刷部を見ることにより、スレッドの色、または、パターンが出現、または、消失し、変化して見えることにより、用紙の真正性を判別することを特徴とする検証方法。
【請求項1】
用紙基材中にスレッドを抄き込んでなる偽造防止用紙であって、該スレッドは透明高分子樹脂フィルム基材上に設けられた微細なストライプパターンを有する偏光子であり、該用紙に部分的に設けられた窓あき部から露出しており、該用紙には前記偏光子によって検証可能な偽造防止媒体が設けられていることを特徴とする偽造防止用紙。
【請求項2】
請求項1に記載の偽造防止用紙を折り曲げて、前記スレッドの露出部分を前記偽造防止媒体にかざし、潜像の有無あるいは見え方の変化によって検証を行うことを特徴とする検証方法。
【請求項3】
透明な高分子樹脂フィルムを基材とするスレッドを用紙基材中に抄き込んでなる偽造防止用紙であって、該スレッドは用紙の表裏に部分的に露出させ、更に表裏の露出部の一部、もしくは、全部が重なる露出させた窓あき部が設けられ、該窓あき部分の少なくとも一部に、平行かつ細長く所定の間隔をおいて格子状に形成された導電性光反射層が設けられ、透過した光が偏光となることを特徴とする偽造防止用紙。
【請求項4】
前記スレッドの基材である透明高分子樹脂フィルムは、無延伸フィルムであることを特徴とする請求項3に記載の偽造防止用紙。
【請求項5】
前記スレッドの基材である透明高分子樹脂フィルムは、トリアセチルセルロースフィルムであることを特徴とする請求項3または4に記載の偽造防止用紙。
【請求項6】
前記スレッドの基材と導電性光反射層との間に、平行かつ細長く所定の間隔をおいて格子状の凹凸形状の樹脂層が設けられていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の偽造防止用紙。
【請求項7】
前記格子状に形成された導電性光反射層の間隔は、100nm〜400nmであることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の偽造防止用紙。
【請求項8】
前記導電性光反射層がアルミニウム、または、スズで設けてあり、該導電性光反射層の厚みが200nm以下であることを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の偽造防止用紙。
【請求項9】
前記スレッドの片面または両面の少なくとも一部に、保護層を積層したことを特徴とする請求項3〜8のいずれか1項に記載の偽造防止用紙。
【請求項10】
前記スレッドの片面または両面の少なくとも一部に、接着層を積層したことを特徴とする請求項3〜9のいずれか1項に記載の偽造防止用紙。
【請求項11】
請求項3〜10のいずれか1項に記載の偽造防止用紙に、有価証券類の印刷を施したことを特徴とする偽造防止用紙。
【請求項12】
請求項3〜11のいずれか1項に記載の偽造防止用紙の、スレッドが抄き込んである部分とは別の部分に、偏光により潜像が見える偽造防止媒体が設けてあり、前記偽造防止用紙を折り曲げて、前記スレッドの露出部分を前記偽造防止媒体にかざし、潜像の有無により検証を行うことを特徴とする検証方法。
【請求項13】
基紙に複数本のスレッドを平行に抄き込んで設けた偽造防止用紙であって、当該複数本のスレッドのうち、少なくとも1本には、窓あき部に色彩変化を生じるコレステリック液
晶印刷が施され、別のスレッドの1本には少なくとも一部に表裏の開口部が一致する窓あき部を有し、該窓あき部を有する部分の少なくとも一部には、平行かつ細長く所定の間隔をおいて格子状に形成された導電性光反射層が設けられ、その上にλ/4の位相差層が設けられており、透過した光が円偏光となることを特徴とする偽造防止用紙。
【請求項14】
前記λ/4の位相差層がネマチック液晶で設けられて成ることを特徴とする請求項13に記載の偽造防止用紙。
【請求項15】
前記コレステリック液晶の下地に黒色印刷が設けられていることを特徴とする請求項13または14に記載の偽造防止用紙。
【請求項16】
請求項13〜15のいずれか1項に記載の偽造防止用紙に、有価証券類の印刷を施したことを特徴とする偽造防止用紙。
【請求項17】
請求項13〜16のいずれか1項に記載の偽造防止用紙を用いた真贋判別方法であって、偽造防止用紙を折り曲げて、前記透明な窓上からコレステリック液晶印刷部を見ることにより、スレッドの色、または、パターンが出現、または、消失し、変化して見えることにより、用紙の真正性を判別することを特徴とする検証方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−127230(P2011−127230A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283991(P2009−283991)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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