説明

偽陽性及び偽陰性の読取に対して低い感受性しかもたないアイコン的比色試験デバイス

光透過性基板シート(31)の一方の面に指示薬層(32)を含み、そしてもう一方に色素層(35)を含む積層試験デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2003年9月19日に出願した米国特許仮出願第60/504,066号の利益を主張し、その内容の全体を本明細書中に援用する。
本発明の背景
1.本発明の分野
【0002】
本願発明は、視覚的読取を提供する臨床使用のための試験デバイスの分野に属し、そしてサンプル中の特別な物質の存在又は不存在、物質の高い又は低い濃度、高い又は低いpH、あるいはサンプルの所望の又は望ましくない状態のいずれかのそのような目安を示すアイコン又はシンボルを表示するために比色指示薬を利用する試験デバイスに特に関する。
【背景技術】
【0003】
2.先行技術の説明
膣液サンプル中の細菌性膣炎の存在を示す視覚的に検出可能なプラス記号を出現させる試験デバイスが、以下の米国特許(発明者:Paul J. Lawrenceら):1997年8月26日交付の第5,660,790号;1999年4月27日交付の第5,897,834号;1999年6月8日交付の第5,910,447号;2000年8月8日交付の第6,099,801号;2000年9月5日交付の第6,113,856号;及び2001年3月13日交付の第6,200,817号で開示されている。2つの異なる試験:4.7以上のpHが感染症の1つの目安となる膣液のpH試験、及び揮発性アミン(volatilizable amines)の存在が感染症のもう1つの目安となるアミン試験がこれらの特許で開示されている。これらの特許におけるデバイスは、積層試験カードであり、そしてその試験は、綿棒でカード表面に膣液標本を塗布し、そのカード表面のシンボルの出現について上記カードを確認することによって実施される。これらの2つの試験の各々において、陰性の試験結果は、単独の横棒によって形成された「マイナス」サインとして現われ、そして陽性の結果は、直角に交差した2本の棒線によって形成された「プラス」サインとして現われる。前記プラス記号は、別々に実施可能であるが交差する2つの棒線:1本目の横棒(陽性対照);及び2本目の縦棒(試験応答)によって形成される。よって、横棒は、試験の結果にかかわらず現われて、それによって両方の棒線の色変化を引き起こす指示薬が正確に機能していることを示す陽性対照として働く。よって、サンプル塗布後に棒線が全く現われない場合、その試験デバイスは使えないとみなされ、そして廃棄されるべきである;単独の棒線(「マイナス」サイン)の出現はそのデバイスが有効であり、かつ、試験結果は陰性であることを意味する;そして(「プラス」サインを形成する)両方の棒線の出現はデバイスが有効であり、かつ、試験結果が陽性であることを示す。
【0004】
また、プラス及びマイナス記号は、共に発明者William E. Brown, IIIらに対する、1991年4月16日交付の米国特許番号第4,916,056号、及び1990年4月10に交付の同第5,008,080号で開示された試験デバイスによってももたらされる。これらの特許における試験は、pHよりむしろ免疫学的結合に伴って生じるが、Lawrenceらの特許のように、その試験結果は、別々に実施可能であるが交差した2本の棒線が目に見えるようになった時に形成されるプラス記号、及び2つの棒線の1つだけが目に見えるようになった時に形成されたマイナス記号として示される。この段落と前の段落の全ての特許の全体を本明細書中に援用する。
【0005】
それらの小型である性質とそれらの単純な視覚的読取のために、免許を受けた内科医及び検査技師はこれらのような製品が有用であり、かつ、能率的であると感じる。それらは使用するのが簡単なので、そのデバイスは消費者及び臨床的訓練を受けていない他の個人にとっても魅力的である。これは、試験方法がサンプルの綿棒をそのデバイス表面にただ塗り付け、そしてどのようなシンボルが現われるか見るためにデバイスを観察することから成るLawrenceらのデバイスに特に当てはまる。しかしながら、場合によっては、使用者、特に訓練を受けていない個人は、偽陰性又は偽陽性のいずれかの結果を出した、デバイスを不正確に読みとるかもしれない。
【0006】
誤った読取の1つの原因は、独立し、分離可能であるが交差した2つの棒線の独立した応答から、そして各棒線の応答がそのデバイスに塗布したサンプルの量によって、又は上記サンプル中の検体の量、若しくは濃度によってある程度変化する事実から生じる。交差した2本の棒線の間の色強度のわずかな相違が、使用者に一方の棒線を他方に対する比色計として処理し、それによって陽性の結果を示す前に垂直な棒線の色が横棒の色に正確に一致するのを待たせる可能性がある。よって、陽性の結果は、陰性であると解釈される可能性がある(すなわち、偽陰性)。
【0007】
誤った読取のもう1つの原因は、あらゆる色変化が生じる前に、ほんのぼんやりとそうなった時であっても、交差した横棒及び縦棒の輪郭が目に見えた時に発生する。この問題はあらゆるアイコン的読取に伴って生じる可能性があり、用語「アイコン的」及び「アイコン」は、本願明細書においてその形態がその意味を示唆するあらゆる図示的シンボルを表す。Lawrenceら及びBrownらのデバイスの場合、アイコンは、1つの棒線だけが現われる時の陰性の結果を示すマイナス記号、又は両方の棒線が現われる時の陽性の結果を示すプラス記号である。また、アイコンは、全体としてしか現われない単独のプラス記号であり、かつ、マイナス記号部分だけが現われる能力を欠くこともできる。他の形態又は形状のアイコンが容易に明らかである。あらゆるこれらのアイコンによる、誤った読取は、その1つ以上がアイコンの輪郭を形成するいくつかの層を一般に伴うデバイスの構成から生じる可能性がある。場合によっては、例えば、アイコンは、デバイスの横の寸法全体にわたってひろがるか、又は少なくとも開口部の境界を越える指示薬層上を覆ったアイコン形の開口部をもつチャネリング層によって形成される。チャネリング層は、サンプル(及び存在するあらゆる検体)が開口部の直下にある指示薬の部分とだけ接触することを可能にする。たとえチャネリング層が完全に透明であるとしても、チャネリング層の光反射が指示薬層の光反射と異なるため、デバイスを間近で見る者には開口部の縁が見える。他の場合では、アイコンは、アイコンの形であり、かつ、下位層の上に存在する指示薬層自体によって形成される。(試験前に)アイコンと同じ色がアイコンの後ろに提供されても、たとえその相違が非常にわずかであっても高さの違いのためにアイコンの端がかすかに目に見える。未熟練の又は訓練を受けていない使用者にとって、この可視性は、結果が実際には陰性である時に、陽性の試験結果を示唆する可能性がある(すなわち、偽陽性の結果)。サンプル又は検体との接触によって変色しない材料を使って、アイコンに隣接する領域に材料を重ねることによって、厚さの相違を最小限にするか、又はなくすことができる。しかし、その結果、アイコンと周囲の材料は異なる化学組成物になるであろう。自動的に、これは、2つの間の境界を視覚的に区別できるようにするのに十分だが、しかしわずかな色の違いを生じる可能性がある。さらに、周囲の材料の中に指示薬が拡散し、それにより読取を分かりにくくする危険性がある場合、これが起こるのを防ぐための予防措置又は構造的な特性が、輪郭を目に見えるようにする可能性もある。
【発明の開示】
【0008】
本発明の概要
試験デバイス、例えば先に記載のものにおけるアイコンの誤った読取が、一方の面を指示薬層で覆われ、そしてもう一方の面を陽性の試験結果を示す色変化前の指示薬と同じ色である色素層で覆われた光透過性の不透水層をその層の間に含む積層板としてデバイスを構成することによって減らすことができる、又は除くことができることをここで発見した。また、光透過性不透水層は、両側面上に他層を貼り付けるのに好都合な土台として働き、そして一般的に平ら、かつ、薄いので本願明細書中で「基板シート」と呼ばれる。また、アイコンは、指示薬層上のチャネリング層によって形成されるか、又はそれだけでアイコンを形成するように指示薬層のサイズ及び形状を限定することによって形成される。どちらのケースにおいても、色素層はアイコン領域を越えて、そして好ましくは、その上アイコン領域一面に拡散する。本願明細書において、試験デバイスは、陽性の試験結果の存在で変色するアイコン領域と、アイコン領域が変色するまでアイコンを実質的に見えなくするアイコン領域を囲む非変化領域(又はフィールド)を含めた着色領域を含む輪郭を描いた試験部位を含む。よって、アイコン領域は、試験領域の範囲内に、又はそれより小さく限定された領域である。好ましい態様において、試験領域はデバイスの全領域の一部だけをカバーしたより小さい領域であるが、試験領域自体はデバイスの全長及び全幅に広がる可能性がある。
【0009】
本発明のさらなる好ましい態様において、試験デバイスは、試験領域内ではあるが、アイコン領域から空間的に分かれ、かつ、それよりはるかに小さい陽性対照領域を含む。これらの態様において、陽性対照は、先に参照したLawrenceら及びBrownらの特許に開示されたデバイスの陽性対照と同じ目的を果たすが、陽性の試験結果のアイコンの一部を形成しない。それらの空間的な分離に加えて、好ましくは、対照シグナルと陽性の試験シグナルの間の使用者の心のあらゆる混乱を取り除きやすくする、分離、サイズ、及び形状の相違を用いて、陽性対照と試験アイコンはサイズと形状が異なる。
【0010】
また、膣液サンプルで実施される時、先に引用したLawrenceらの特許の色変化の方法論を利用した、それらの特許で開示されている積層配置、又は本願明細書中で開示されている積層配置のいずれかを用いた揮発性アミンの試験が、細菌性膣炎を十分に示し、揮発性アミン試験単独でAmsel基準に基づいたより伝統的な診断に取って代わることができることも発見した。細菌性膣炎(BV)に関するAmsel基準は、総合的にBVの診断につながる4つの基準:膣液検体の高いpH(本来4.5以上、現在4.7以上)、「臭気」試験(検体のアルカリ処理、続いて嗅覚試験によるアミン臭気の検出)、膣液均一性、及び手がかり細胞(clue cells)の存在、を説明するAmsel, R., et al., Am.J. Med. 74:14-22 (1983)による報告に基づく。Amsel基準に従って陽性の結果を検出するために、高いpHが、残りの3つの基準の少なくとも2つと一緒に満たされなければならない。当該発明は、アミン試験の使用が単独で効果的な診断として役立つことの発見にある。
【0011】
本発明のさらなる特徴、態様、及び利益は、後に続く記載から明らかであろう。
本発明の詳細な説明、及び好ましい態様
【0012】
本願発明の様々な態様において、本願明細書中で「検体指示薬層」とも呼ばれる指示薬層は、陽性の試験結果を示すために変色するものである。本願発明のデバイスを用いて試験することができるサンプルは、生物学的な液体サンプルを含めた液体サンプルであり、そして陽性の試験結果は、指示薬とサンプル中の成分の間の化学反応による視覚的に検出可能な指示薬の色変化である。よって、陽性の試験結果は、サンプル中の別種の存在、別種の不存在(すなわち、その他の方法で反応を阻害する種)、変色点(transition point)より高い又は低いサンプルのpH、その存在が測定されるべきであると考えられる状態の目安としての役割を果たすサンプルのそのような特質又は特徴から生じる可能性がある。多くの場合において、検体指示薬層の指示薬は、pHが変色点を越えた時に目に見える色変化を受けるpH指示薬であろう。多くの伝統的なpH指示薬を使用することができ、選択は当然ながら変色点と特定の検体に依存する。好ましくは、薄層自体は、添加指示薬のマトリックスとしての役割を果たす親水性流体透過ポリマーから成る。
【0013】
色素層は、サンプルの塗布で検体指示薬層に生じるあらゆる変化より前に、比色測定で検体指示薬層と実質的に判別不能な層である。したがって、色素層は、検体指示薬層と同じ組成物であることができ、かつ、検体層と色素層の間にあり、それによって2層を接触から遠ざける基板シートによって変色が防がれている。サンプルがシートを通り抜けて拡散しないように、基板シートはサンプル液不透性であろう。また、色素層上に保護シーリング層を配置することによって、色素層をサンプルとの接触から防ぐこともできる。あるいは、そして好ましくは、色素層は、指示薬層と化学的に異なり、かつ、検体と非反応的であるか、又はサンプルが検体を含むか含まないかにかかわらず、サンプルとの接触で少なくとも反応若しくは色変化を受けない着色インクである。普通の市販用インク又はインク組み合わせ物を使用することができる。
【0014】
液体サンプルを不透過であることに加えて、色素層から検体指示薬層を分離している基板シートは、光透過性であり、すなわち当該シートの指示薬側から、シートを通して色素層が見えるようにする。好ましくは、基板シートは透明、かつ、無色である。基板シートのための現在の好ましい材料は、例えばMYLAR(登録商標)(Du Pont de Nemours & Co., Wilmington, Delaware, USA)といったポリエチレン・テレフタレート・フィルムである。多くの場合、基板シート上のコーティングは、特に色素及び指示薬層が、それを製造している時のデバイスの取り扱い中、又は使用中の損傷の影響を受けやすい時に、その上に適用される薄層の接着を改善できる。例えば、薄層に基板シートを透過しない溶剤を用いた溶液が塗布された時、この種の損傷が生じる可能性がある。例えば、水性又はアルコール溶剤を使って重ねた層は、MYLARにうまく接着しない。この接着を改善することができる好ましいコーティング材は、ポリアミドである。
【0015】
検体指示薬層の色変化を試験部位内の限定領域に限定することによって、アイコンが形成される。これは、検体指示薬層を覆ったチャネリング層の使用によって、検体指示薬層のアイコン形の領域をさらすアイコン形開口部を含むチャネリング層の使用によって、又は指示薬を含まない隣接領域を残したアイコン形の検体指示薬層自体を成形することによって達成される。チャネリング層が使用される時、チャネリング層は好ましくは透明である。前述のとおり、アイコンは、あらゆる形状又は形態、好ましくは使用者に陽性の試験結果のメッセージを伝えるものを想定することができる。プラス記号、特に、色変化前のアイコンと同じ色の領域によって完全に囲まれた、色変化により一度目に見えるものが好ましい。
【0016】
試験アイコンに加えて陽性対照を含む態様において、好ましくは、前術の陽性対照は、空間的に試験アイコンから分離しており、かつ、異なるサイズ及び形状である。陽性対照自体がアイコンであり、そしてプラス形の試験アイコンを有する態様において、好都合な陽性対照アイコンは陽性対照の補助的な役割に沿ってプラス記号より十分に小さな直径の丸い点である。陽性対照アイコン自体は指示薬であるが、サンプルが試験アイコンの色変化を生じる検体を含むか(又は検体の不存在、もしくは他の化学的状態)にかかわらず、あらゆるサンプルとの接触で変色するものである。サンプルの塗布前に、陽性対照アイコンは、試験アイコンの色とも試験部位の背景の色とも同じ色を示すであろう。好ましくは、陽性対照アイコンの色変化は、試験アイコンのそれと同じであるか、あるいは検体よりむしろサンプルに反応するような異なる様式で引き起こされる。その相違は、陽性対照としての役割を果たすことと、陽性の試験結果を示すことを区別する異なる変色点又は他の特徴である。
【0017】
好ましくは、試験アイコンと陽性対照アイコンは、試験デバイス上の共通の試験部位内に含まれていて、そして試験アイコンも陽性対照もサンプルと接触するように、使用者は試験部位全体にわたりサンプルを塗布するように指示される。そのため、好ましい試験部位は、十分に小さいので、一本の綿棒、例えばQ-tip又は消費者が薬品戸棚に入れておける他のあらゆる一般備品、によって接触させることができるサンプルの量で容易に塗り広げることができる。両アイコンを提供し、かつ、サンプルが円運動によって塗布されることを可能にするために、試験領域に好都合な形状は、楕円形、卵形、又は円弧形の末端をもつ幅広い棒形である。
【0018】
アイコン、すなわち陽性対照アイコンと試験アイコンの両方の色変化のより一致した検出を提供するための一致のさらなる安定、及び試験デバイスの下方の背景色の不変は、色素層の外面(すなわち、基板シートによってふさがれた側の反対側の色素層の面)全面にわたる不透明な白色層の任意的な配置によって達成されることができる。色素層、検体指示薬層、及び陽性対照がわずかな量の光しか通さない時、これは特に有用である。
【0019】
また、色素層が検体指示薬層と同じ材料から形成される時、背景色が、(アイコンの色変化前の)試験アイコンとより一致し、そして外側の透明なコーティング層が色素層上に置かれる、すなわち一旦色素材料が基板シートの基底表面に貼り付けられ、外側の透明なコーティングが色素材料上に適用される時、アイコン輪郭をさらに見にくくするであろうことも発見した。本発明者らはこの説明に縛られることを意図しないが、本願明細書中の好ましい態様ではn-プロパノールである外側の透明なコーティングのための溶剤系が、わずかしか色素層を透過しないため、試験アイコンの輪郭をさらに分かりにくくするわずかな色変化しか引き起こさないと考える。
【0020】
よりさらなる選択肢として、色素層が検体指示薬層と同じ材料から形成される時、色素層を、保護コーティングによって操作中の物体若しくは液体への曝露又は接触による損傷あるいは変色から保護することができる。このコーティングは、デバイスの基底表面上の最も外側の層であり、かつ、チャネリング層又はデバイスの他のいずれかの不活性な、無孔層と同じ材料であるかもしれない。保護層は、光透過性であるか、又は不透明であることができる。ポリアミドは、この層に好ましい材料である。
【0021】
先の記載を満たすデバイスを用いて実施されることができる試験の2つの実施例は、先に参照したLawrenceらの特許で記載されたpH試験とアミン試験である。これらは、膣液サンプルを用いて実施される2つの異なる試験であって、細菌性膣炎の診断で使用される。
pH試験
【0022】
pH試験は、細菌性膣炎のいくつかの目安の中の1つとして、サンプルが4.7以上のpHを有するかどうかを示す。pH試験における検体指示薬層は、(i)イオン化性フェノール基と負荷電をもつ基をもつpH指示薬、及び(ii)ポリマー・マトリックスであって、そのポリマーが上記マトリックス内に指示薬を固定する四級アンモニウム基を含むもの、の組み合わせ物を含む重ねられた材料である。イオン化性フェノール基と負電荷をもつ基を有する幅広い種類のpH指示薬が知られている。好ましい負電荷をもつ基は、硫酸基とスルホン酸基である。イオン化性フェノール基と負電荷をもつ基を有する指示薬の例は、以下のとおりである:
アシッド・ブルー92(アナゾレン・ナトリウム、CAS No. 3861 73 2)
アシッド・ブルー29(CAS No. 5850 35 1)
アシッド・アリザリン・バイオレットN(CAS No. 2092 55 9)
ブロモフェノール・ブルー(3',3",5',5"-テトラブロモフェノールスルホンフタレイン、CAS No. 15539 9 3)
ブロモクロロフェノール・ブルー(3',3"-ジブロモ-5’,5"-ジクロロフェノールスルホンフタレイン、CAS No. 102185 52 4)
ブロムクレゾール・グリーン(3',3",5’,5"-テトラブロモ-m-クレゾールスルホンフタレイン、CAS No. 76 60 8)
クロロフェノール・レッド(3',3"-ジクロロフェノール・スルホンフタレイン、CAS No. 4430 20 0)
ブロモクレゾール・パープル(5',5"-ジブロモ-o-クレゾールスルホンフタレイン、CAS No. 115 40 2)
アリザリン・コンプレクソン二水和物((3,4-ジヒドロキシ-2-アントラキノリル)-メチルイミノ二酢酸、CAS No. 3952 78 1)
アリザリン・レッドS一水和物(3,4-ジヒドロキシ-9,10-ジオキソ-2-アントラセンスルホン酸ナトリウム塩、CAS No. 130 22 3)
ブロモチモール・ブルー(3',3"-ジブロモチモールスルホンフタレイン、CAS No. 76 59 5)
ブリリアント・イエロー(CAS No. 3051 11 4)
フェノール・レッド(フェノールスルホンフタレイン、CAS No. 34487 61 1)
クレゾール・レッド(3',3"-ジメチルフェノールスルホンフタレイン、CAS No. 1733 12 6)
m-クレゾール・パープル(2',2"-ジメチルフェノールスルホンフタレイン、CAS No. 2303 01 7)
チモール・ブルー(2’,2’’-ジメチル-3',3"-ジイソプロピルフェノールスルホンフタレイン、CAS No. 76 61 9)
ニトラジン・イエロー(2-(2,4-ジニトロフェニルアゾ)ナフトール-3,6-ジスルホン酸二ナトリウム塩、CAS No. 5423 07 4)
【0023】
これらの指示薬の全てが商業的な供給業者からすぐに入手可能である。好ましい指示薬は、ブロモフェノール・ブルー、ブロモクロロフェノール・ブルー、ブロムクレゾール・グリーン、ブロモクレゾール・パープル、ブロモチモール・ブルー、ブリリアント・イエロー、及びニトラジン・イエローである。
【0024】
ポリマー内の四級アンモニウム基は、指示薬中の負電荷をもつ基とのイオン引力(ionic attraction)を形成するのに十分な正電荷を行使することができるような基であるかもしれない。好ましい四級アンモニウム基は、その中のアルキル基がC1-C4アルキル基である低級アルキル・アンモニウム基である。トリメチルアンモニウム基は特に好ましい。ポリマー処方中の四級アンモニウムの量は、色の変色点がどこに(すなわち、どのpH値に)あるように意図されるかに依存して大きく変えることができる。本願発明の多くの適用において、四級アンモニウム基の量は、約1.0〜約3.0のpH単位まで、そして好ましくは約1.5〜約2.5のpH単位まで指示薬の中域変色点を下げるように選ばれ、約2.0のpH単位を持つものが好ましい。また、四級アンモニウム基の量は、得られたポリマーのアルカリ値、すなわち1gの乾燥ポリマーに含まれる四級アンモニウム基の塩基価に相当するKOHのミリグラム)に関して表されることもできる。本願発明の実施のほとんどで、アルカリ値は、約5〜約50の範囲にあり、約15〜約40の範囲の値を持つものが好ましい。
【0025】
好ましくは、マトリックスを形成するポリマーは、多孔性であり(又はそうでなければ水透過性であり)、かつ、親水性である。ポリマーの親水性の特徴は、四級アンモニウム基又はポリマー構造上の他の基から生じる。サンプル成分に対して不活性であり、固形であり、そして薄層、コーティング、又は層に成形されることができるあらゆるポリマーを使用することができる。ポリマーは、水性媒体に、特に膣液を試験するために設計された本発明のそれらの態様のために、膣液に難溶性であるべきであり、そして好ましくは透明であるべきである。例は、アクリル・ポリマー、特にアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルのコポリマー、並びにジエチルアミノエチル・セルロースである。商業的な供給業者からすぐに入手可能な、現在好ましい2種類のポリマーは、塩化物としてのアクリル酸及びメタクリル酸のメチル、エチル、及びトリメチルアンモニオエチル・エステルのコポリマーであるEUDRAGIT(登録商標)RL PO及びEUDRAGIT(登録商標)RS PO Ammonio Methacrylate Copolymersである。四級アンモニウム基は、前記ポリマーの10.4重量%(RL PO)又は5.6重量%(RS PO)を構成するメタクリレート単位のトリメチルアンモニオエチル・エステルとしてこれらのポリマー上に存在する。アルカリ値は、それぞれ28.1及び15.2である。これらのポリマーは、Rohm Tech社(米国、マサチューセッツ、モールデン)から入手可能である。
【0026】
ニトラジン・イエローとEUDRAGIT RL POから成るトリメチルアンモニオエチル・エステルの組み合わせが、異なるpH変色点をどのように達成することができるかを説明する。四級アンモニウム基の不存在下でのニトラジン・イエローの変色点は、約pH6.6である。ポリマーが25.0%を構成して、そしてニトラジン・イエローが0.2%〜0.34%を構成する溶液を使うと、変色点はpH4.7である。25.0%のポリマーと0.36%ニトラジン・イエローを用いると、変色点はpH4.4である。25.0%のポリマーと0.4%ニトラジン・イエローを用いると、変色点はpH4.4である。25.0%のポリマーと0.6%ニトラジン・イエローを用いると、変色点はpH4.3である。全ての百分率は重量によるものである。
【0027】
ニトラジン・イエローとEUDRAGIT RL POについて、ポリマー対ニトラジン・イエローにおいてKOH当量の重量比として表される比は、約1.0:1〜約6.0:1好ましい範囲、そして約1.5:1〜約3.5:1のより好ましい範囲をもつ。EUDRAGIT RL POについて、ポリマー対ニトラジン・イエローの好ましい重量比の範囲は、約50〜250、そしてより好ましくは約75〜約125である。ポリマー及び指示薬が溶液として利用される場合、溶液中のポリマーの好ましい範囲は、約12重量%〜約35重量%、そしてニトラジン・イエローの好ましい範囲は、約0.05重量%〜約1.0重量%である。
【0028】
陽性対照アイコン中の指示薬は、その変色点が試験指示薬の変色点より低い少なくとも約0.7pH単位のpH指示薬である。陽性対照がそのpH変色点と試験指示薬の変色点の間に存在する液体と接触した時、陽性対照の色変化が使用者に陽性対照の指示薬が機能状態にあることを知らせ、それは両方の指示薬が機能状態にあることを意味することに論理的に拡大される。また、陽性対照の色変化は、デバイスに塗布されたサンプルの量が十分だったことも示す。好ましくは、同じ色変化が両方の指示薬で生じる。試験指示薬がpH4.7の変色点を持っている場合、例えば、陽性対照は、好ましくはpH4.0以下、そして最も好ましくはpH3.5以下の変色点を持つ。
【0029】
pH指示薬層が4.7の変色点を持つ時に、陽性対照に有用である指示薬の例は、ニトラジン・イエローとブロムクレゾール・グリーンの混合物である。当該混合物のニトラジン・イエローとブロムクレゾール・グリーンの重量比は、変更することが可能であり、異なる比率が異なる変色点を生じる。しかし一般的に、最良の結果は、約0.05〜約20.0、そして好ましくは約0.5〜約5.0の重量比(ブロムクレゾール・グリーン対ニトラジン・イエロー)によって得られる。
【0030】
好ましくは、試験及び陽性対照アイコンの両方のためのポリマーと指示薬の組み合わせ物は、均一であり、透明であり、及び水透過性であり、かつ、水性液体との接触状態に置かれた時に溶けもせず、崩壊もしない固形の薄層を形成する。種々の目的のために、追加の成分を、各層の中に、又はそれから層が形成される組成物中に含むことができる。例えば、表面に層成分を広げる又は塗り付けるための媒体を含むことが可能であり、同様に乾燥剤、浸透剤、サンプルによってポリマーをぬらすのを容易にする物質、及び基板シートの表面上に混合物を置く、若しくは接着するのを容易にする物質を含むことも可能である。
【0031】
指示薬を安定させて、そしてそれらを利用することがより簡単になるように、検体指示薬層及び陽性対照の支持体としての役割を果たす基板シートを処方することができる。これらの目的にかなう基板シートの例は、指示薬の接着を改良するためにエチル・セルロース又は類似したコーティングでコートしたポリエチレン・テレフタレート・フィルム、例えばMYLAR(登録商標)(米国、デラウェア、ウィルミントンのDu Pont de Nemours & Co.)である。また、前記コーティングは、そのコーティング上に置かれる指示薬のpHをさらに調整するために酸を含むかもしれない。試験指示薬と対照指示薬の独立したpH調整の助けとなるように、異なる量の酸がコーティングの異なる部位に存在するかもしれない。
【0032】
本願発明の試験及び試験デバイスはあらゆる起源からの水性液体を試験するのに使用されることができるが、本発明は、体液、例えば、尿、唾液、血液、脳脊髄液、及び膣液に主な関心がある。先に示したとおり、膣液における、本願発明の使用の主な例は細菌性膣炎の検出にある。また、膣液は、本願発明による他の目的のために、例えば羊膜の破裂に伴うpH変化(4.5から7.0以上への上昇)について試験されることができる。本発明は、ヒトの体液だけでなく、例えば家畜及びペットといった動物由来の体液にも関心がある。1つの例は、ミルクのpHが約6.8の閾値に達するか又は越えるかどうかを測定することによるウシの乳腺炎の検出である。
アミン試験
【0033】
その検体指示薬及び陽性対照層に加えて、アミン試験は、液状検体に即座に接近可能な固形のガス放出層を含み、そして検体指示薬層は、水性液体サンプル自体に対して不透過であるか、又はガス状形態でないその成分の全てを通さないガス透過層である。ガス放出層は、検体中のアミン塩と反応し、そしてそれらを揮発性アミンに変えるアルカリの固形層である。その後、揮発性アミンは、それらが指示薬の色変化を引き起こすガス透過性検体指示薬層を貫通する。
【0034】
用語「揮発性アミン」及び「揮発性になったアミン」は、ごくわずかに揮発性があるアミン、並びにかなりの速度で大気中に逃げるのに十分な揮発性があるものを含む。わずかに揮発性があるアミンは、かなりの量が大気中に拡散することなく液体表面でガスの薄膜を形成するだけのものである。しかし、このガスの薄膜は、ガス透過性指示薬層を貫通するのに十分である。ガス放出層のための固形アルカリの選択は、重要ではなく、そして変更することができる。一般的に、アルカリ及びアルカリ土類金属アルミン酸塩、炭酸塩、及び水酸化物を使用することができる。ほとんどの場合、最良の結果は、アルミン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、又は水酸化マグネシウムの使用で達成される。アルミン酸ナトリウムは特に好ましい。
【0035】
水性液体ではなくガスに対して透過性である層を、例えば多孔性固形に固化された疎水性ポリマーから形成することができる。好適なポリマーは、固形で、水性流体、特に膣液中に不溶であり、そして層、コーティング、又は微粒子形態に溶けたり、分散したりしない、若しくはそうでなければサンプルとの接触で崩壊しない層に容易に成形されるものである。そういったポリマーの例は、エチル・セルロース、酢酸セルロース、及び硝酸セルロースである。エチル・セルロースは特に好ましい。あるいは、指示薬は、疎水性の、ガス透過層によってコーティングされた親水性の水透過性ポリマー中に存在することが可能である。
【0036】
非プロトン化アミン、好ましくは別の様式で酸性である液状検体のアミンに晒すことで変色するあらゆる指示薬を使用する。ブロムクレゾール・グリーンがそういった指示薬の1つの例であり、ここ及びpH試験の両方で使用されるかもしれない。他の例は、ブロモフェノール・ブルー、ブロモクレゾール・パープル、ブロモクロロフェノール・ブルー、ニトラジン・イエロー、及び先に列挙したものの中の様々な他の指示薬である。
【0037】
ガス放出層とガス透過性指示薬層が、ガス放出層中のアルカリとガス透過層中の指示薬が液状検体の塗布だけで接触することができるように試験デバイス内に配置される。層は、使用者に(好ましくは綿棒を使って)検体とガス放出層をまず接触させ、そしてガス放出層との接触で検体中に放出されたガスがガス透過層を貫通し、それによって指示薬に到達するように、同じ検体とガス透過性指示薬層を接触させることを可能にするように配置される。
【0038】
アミン試験のための基板シートは、特に2つが共通の試験デバイス上に含まれている時、pH試験のための基板シートと同じであることができる。コーティングを、pH試験の説明で先に開示したのと同じ理由及び効果のために基板シートに貼り付けることができる。
【0039】
液状アミンからのガス透過層中の指示薬のさらなる保護として、ガスに対して透過性であるが液体に対して不透過性である追加層を試験指示薬層上に置くことができる。この保護層又はバリア層を、ガス透過性指示薬層で使われた同じポリマーで構成することができる。ここでも、エチル・セルロースが好ましい。
【0040】
アミン試験のための陽性対照指示薬は、サンプル中の揮発性アミンの存在、又は不存在にかかわらずサンプルの塗布で変色するあらゆる指示薬である。色変化は、サンプル中の不揮発性アミンによるか、又はアルカリがアプリケーター綿棒によってサンプル中に引き込まれた場合のガス放出層中の固形アルカリによる。固定化マトリックスは親水性ポリマーであり、そしてpH試験における使用のために好ましいとして先に引用されたのと同じポリマーを同様にここで使用することができる。指示薬は、ガス透過性指示薬層で使われたのと同じ指示薬であることができる。サンプルが揮発性アミンを含むかどうかにかかわらず変色する陽性対照指示薬を利用する1つの方法は、ガスに対してだけに透過性であるよりむしろ液体に対して透過性であるマトリックス中に指示薬を組み込むことによる、及びガス透過性液体不透過性層によって保護されない位置に対照を置くことによる。
【0041】
当該発明が広い範囲の構造物及び態様を受け入れることができる一方で、下位概念及び本発明の概念と原則の理解は、特定の態様の詳細な調査によって最もよく得られる。これらは図面に示され、そして以下に説明される。
図面の詳細な説明
【0042】
図1及び2は、pH試験とアミン試験のための別々の試験部位を含む1つの試験デバイス(11)を説明する。デバイスは、大体普通のクレジットカードのサイズであり(説明の簡便性のための図面では大きくした)、積層プラスチックで作られる。図1は、いずれかのサンプルが塗布される前のデバイスを示し、一方、図2は、サンプルを連続して両方の試験部位に塗布した後に、両方のケースの試験結果が陽性だったデバイスを示す。そのカードは、pH試験用の膣サンプルの塗布のための試験部位として卵型の輪郭を描いた領域(12)、およびアミン試験用の膣サンプルの塗布のための試験部位として卵型の輪郭を描いた2つ目の領域(13)を含む。各々の試験部位内には試験アイコン(14)、(15)、及び陽性対照アイコン(16)、(17)が存在し、プラス記号として現われている試験アイコン、及び丸い点として現われている陽性対照アイコンの全てが図2だけで目に見えている。綿棒でサンプルを集めるように、そしてその綿棒を1番目にpH試験部位に、そして2番目にアミン試験部位に塗布するように示した、使用者を誘導するための様々なしるし(番号なし)が、デバイスの表面上に印刷される。また、しるしは、各々のケースにおいて試験部位の周辺で始まり、かつ、らせん運動で中心に向かって移動する円運動で綿棒を塗布するように指示する。
【0043】
図3は、拡大図で、デバイスのpH試験のための層の配置の一例を示す。その上に層を貼り付ける基材は、層の貼り付け中又は試験が実施されている時の使用中にそれと接触するあらゆる物質に対して化学的に不活性である無孔材料の透明な固形シートである基板シート(31)である。試験アイコンは、指示薬層(32)と、透明なチャネリング層(33)の組み合わせによって作られ、上記チャネリング層は液体がチャネリング層のプラス記号の形をした開口部(34)だけを通過するようにする。色素層(35)は、基板シート(31)の下側に貼り付けられ、そして色素層が指示薬層(32)と同じ材料である時、透明なポリアミドの層(36)が上記色素層の下側に適用される。陽性対照アイコンが別々層(37)としてチャネリング層(34)の上に適用される。追加の任意の層は、(指示薬層(32)、チャネリング層(33)、及び対照アイコン層(37)と同じ側の)基板シート上に、共に透明な隣接コーティング(38)、(39)、並びに基板シートの下側に不透明な白色層(40)を含む。コーティング(38)、(39)は、試験指示薬について(指示薬層(32))4.7での、及び対照試薬について(陽性対照(37))4.0での変色pHを調整するのを助けるために異なるpHの溶液として適用される。場合により、前述のとおり、単層コーティング、好ましくは指示薬層(32)のpHと適合するものを示された2つ(38)、(39)の代わりに使用することができる。チャネリング層(33)、指示薬層(32)、及び色素層(35)の全てが、図1及び2の卵型の試験領域(12)として成形される。
【0044】
同じpH試験のための代わりとなる層の配置が図4に示される。以下のとおり、この配置は図3で示される配置と異なる:試験部位の卵型を満たしている図3の指示薬層(32)が、より小さいアイコン形の指示薬層(41)に置き換わり、かつ、チャネリング層(34)が完全に取り除かれている。
【0045】
図3及び4で示した様々な層を形成するのに使用された材料の例は、以下の通りである(百分率は全て重量によるものである):
基板シート(31)は、MYLARのシート、10ミル(0.001インチ、0.00254cm)の厚さである。
pH変色点のより一層の調整のための(38)、(39)は、n-プロパノール中、15%溶液として適用される各々のエチル・セルロースであり、その溶液は、試験アイコン部分(38)について2.2、及び陽性対照部分(39)について4.6のpHを溶液に与えるのに十分な濃度のマレイン酸を含む。
接着を促進する層(36)は、n-プロパノール・アセテートとn-プロパノールの混合物(50:30の重量比)中、ポリアミドの20%溶液として適用されるポリアミドである。
指示薬層(32)、(41)は、黄色であり、かつ、透明であり、そして各々が、以下の組成物:25.0%のEUDRAGIT RL PO、0.34%のニトラジン・イエロー、8.6%のソルビトール(70%水溶液)、10.0%の2-エトキシ・エタノール、12.4%の脱イオン水、及び43.66%の1-プロパノールの溶液として適用される。
陽性対照層(37)も同様に、黄色であり、かつ、透明であり、以下の組成物:25.0%のEUDRAGIT RL PO、0.17%のニトラジン・イエロー、0.30%のブロムクレゾール・グリーン、8.6%のソルビトール(70%水溶液)、30.0%の2-エトキシル・エタノール、12.4%の脱イオン水、0.65%の2-スルホ安息香酸無水物(防湿性のため)、及び22.8%の1-プロパノールの溶液として適用される。
チャネリング層(33)は、透明なエチル・セルロースであり、30%のn-プロパノール中、15%溶液として適用される。
色素層(35)は、99.3%のパントン・イエロー(Pantone Yellow)、0.145%のプロセス・ブルー(Process Blue)、0.29%のブラック(Black)、及び0.28%のウォーム・レッド(Warm Red)の混合物から成る不活性な黄色インクである。
不透明な白色層(40)は、純粋な、不透明な、白色インク#1010、CUSTAGLOSS(登録商標)である。
【0046】
現在の好ましい態様において、各々の卵形の試験領域は、幅が0.391インチ(0.99cm)、そして高さが0.2975インチ(0.756cm)であり、試験指示薬(「プラス」サイン)は、長さが0.17インチ(0.43cm)、そして幅が0.0553インチ(0.140cm)の棒線であり、陽性対照の点は、直径が0.075インチ(0.190cm)である。
【0047】
図5は、拡大図で、デバイスのアミン試験のための層の配置の一例を示す。ここで、pH試験のように、その上に層が適用される基材は、層の適用中に、又は試験の実施における使用の中でそれと接触するすべての物質に対して化学的に不活性な無孔材料から成る透明な固形の基板シート(51)である。試験アイコンは、指示薬層(52)と透明なチャネリング層(53)の組み合わせによって作られ、後者は液体の通過のためのプラス記号の形をした開口部(54)を持つ。基板シート(51)の下側には、透明なポリアミド(56)上に適用された色素層(55)が存在し、そして色素層が指示薬層(52)と同じ材料の時、透明なポリアミドの層(56)が色素層の下側に適用される。チャネリング層(34)上には、ガス透過性、液体不透過層(57)、陽性対照アイコン(58)、及びガス放出層(59)が存在する。不透明な白色層(60)は、基板シート(51)の下側に存在する。ガス透過性、液体不浸透層(57)、チャネリング層(53)、指示薬層(52)、及び色素層(55)は全て、図1及び2の卵形の試験領域(13)として成形される。
【0048】
アミン試験のための代わりとなる構造物が、図6に示される。代わりとなるpH試験にあるような、この構造物の試験アイコンは、指示薬層とチャネリング層の組み合わせよりむしろ指示薬層のみから形成される。したがって、この配置と図5の配置の間の相違は、より小さいアイコン形の指示薬層(61)による試験部位の卵形を満たす図5の指示薬層(52)の置き換え、及びチャネリング層(54)の削除である。他の全ての層は、図5の同じ番号が付いた対応物と同じである。
【0049】
図5及び6で示した層を形成するのに使用された材料の例は、以下の通りである(百分率は全て重量によるものである):
基板シート(51)は、MYLARのシート、10ミル(0.001インチ、0.00254cm)の厚さである。
指示薬層(52)、(61)は、黄色であり、かつ、透明であり、そして各々が、以下の組成物:1.8%のブロムクレゾール・グリーン、12%のエチル・セルロース、及び86.2%のエタノールの溶液として適用される。
チャネリング層(53)は、n-プロパノール・アセテートとn-プロパノール(50:30の重量比)の混合物中、20%溶液として適用される透明なポリアミドである。
ガス透過層(57)は、無色、かつ、透明であり、そしてn-プロパノール中、エチル・セルロースの10%溶液として適用される。
陽性対照層(58)は、黄色であり、かつ、透明であり、以下の組成物:25.0%のEUDRAGIT RL PO、0.17%のニトラジン・イエロー、0.1%のブロムクレゾール・グリーン、30.0%の2-エトキシル・エタノール、6.0%の脱イオン水、36.9%の1-プロパノール、及び2.0%の2-スルホ安息香酸無水物(防湿性のため)の溶液として適用される。
色素層(55)は、99.3%のパントン・イエロー、0.145%のプロセス・ブルー、0.29%のブラック、及び0.28%のウォーム・レッドから成る不活性な黄色インクである。
ガス放出層(59)は、28%のアルミン酸ナトリウム、18%のポリエチレン、3%のマルトデキストリン、及び51%の脱イオン水を含む溶液として適用されるアルミン酸ナトリウムである。
不透明な白色層(60)は、純粋な、不透明な、白色インク#1010、CUSTAGLOSS(登録商標)である。
【0050】
この好ましい態様におけるプラス記号と陽性対照点の大きさは、pH試験について先に挙げたものと同じであり、その上、ガス放出層は、120〜150マイクロリットルの0.01N塩酸に対する滴定に基づいて同等量でアルミン酸ナトリウムを含む固形アルカリで曲線の形を成す。
【0051】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明される。
【実施例】
【0052】
実施例1
この実施例は、基板シートの上面に形成された初期試験アイコンの可視性を下げることに関して、基板シートの底面の色素層の存在の利点を説明する。「初期(incipient)」は、検体との反応から得られるであろうあらゆる色変化も受けなかった試験デバイス構造物で観察がおこなわれたことを意味する。使用したデバイスは、先に記載したアミン試験デバイスであり、そして試験アイコンは、試験部位全体を覆った指示薬層上に置かれたチャネリング層によって形成された。そのチャネリング層は、試験アイコンの形状で指示薬層の一部を露出した開口部を持っていた。色素層(55)及び不透明な白色層(59)を含まない図5の構造を有する構造物を、不透明な白色層(59)だけを欠く構造物と比較した。したがって、前記2つの構造物の間の相違は、一方で存在し、かつ、他方で不存在である色素層(55)だった。色素層で使用した色素は、指示薬層の指示薬として使用したのと同じ物質であった。
【0053】
構造物の目視検査を、あらゆる試験サンプル又は検体の塗布なしでおこなった。よって、比較を、あらゆる色変化より前の指示薬に基づいておこなった。2つの構造物を目視検査によって比較した時に、プラス記号層は色素層を含んでいない構造物でかすかに目に見え、その可視性はチャネリング層の開口部の端に起因した。この可視性は、色素層を含んだ構造物において顕著に低かった。
【0054】
どちらも色素層を含んでいてどちらも不透明な白色層を欠いているが、しかし一方が色素層上の外側コーティングとして透明な保護ポリアミド層を含んでいる、2つの追加の構造物を調製した。この場合も先と同様にサンプル又は検体の影響を含まない目視検査によるこれら2つの構造物の比較は、アイコンの輪郭の可視性が透明な保護層を含む構造物においてより一層低下することを明らかにした。
実施例2
【0055】
この実施例は、基板シートの上面に形成された初期試験アイコンの可視性を下げることに関して、基板シートの底面の色素層の底面の透明な保護層の存在の利点を説明する。先に記載のアミン試験デバイスを、同様にここも使用し、そして試験アイコンを、プラス記号の形をした指示薬層によって形成した。不透明な白色層(59)を有する一部のもの、及び不透明な白色層を欠く一部のものを含めた、図6の構造に類似した構造をもついくつかの構造物を調製した。これらの群の各々の中に、ポリアミド層を同様に含む構造物と、そうでないものがあった。不透明な白色層もポリアミド層も含む構造物において、ポリアミドを、色素層と不透明な白色層の間に配置した。実施例1にあるように、全てのケースにおいて色素層で使用した色素は、指示薬層の指示薬として使用したのと同じ物質であった。
【0056】
サンプル又は検体に晒すことのない、目視検査による様々な構造物の比較は、ポリアミド層が、両方のケースで、すなわち不透明な白色層の追加的存在のあり及びなしの両方でプラス記号アイコンの輪郭の可視性を下げることを明らかにした。
実施例3
【0057】
この実施例は、変化しない、そして保護された指示薬層の代わりの色素層として市販用インクの組み合わせ物の使用を説明する。市販用インクの組み合わせ物の全てが、指示薬と化学的に異なっているので、試験条件下で試験材料のいずれかに晒すことで変色するように設計されるわけではなかった。市販用インクの組み合わせ物を使用する利点は、層を変色させることを必要とせずに明瞭な色又は色品質を達成するように管理された様式でそれらを処方することができるところである。
【0058】
この実施例の実験を、先に記載のアミン試験デバイスを用いて実施し、そして試験アイコンを、プラス記号の形をした指示薬層によって形成した。色素層を、基準、原色プリントインク、全ての市販のもの、及びプラス記号の形をした指示薬層の色とできる限り厳密に一致させるために経験的に混合したものの4つの組み合わせの各々に置き換えたことを除いて、同じ試薬及び材料を使用した。4つの組み合わせは、以下のとおりだった(百分率の全てが重量パーセントである):
【表1】

【0059】
インク組み合わせ物の各々を、2つの形式−透明な基板シートの下面に適用されたインク層をもつ図6に示した1つ目、及びプラス記号の形をした指示薬層の真下の透明な基板シートの上面に適用されたインク層をもつ2つ目、の一方の別々の試験積層板に適用した。試験溶液を、蒸留水中、7%(重量による)のプロパノールから成る溶剤系中に様々な濃度で固体のトリメチルアミン塩酸塩を溶かすことによって準備した。1mMと5mMの濃度を使用した一方で、トリメチルアミンを含まない溶剤系を、対照として並行試験で使用した。試験溶液と対照を、両方の形式に従って組み立てられた積層板に塗布した。
【0060】
その後、各積層板上のプラス記号の可視性を、プラス記号を囲んでいる背景のあらゆる色変化と同様に、目視観察によって測定した。試験溶液又は対照液体のあらゆる塗布より前に、全てのインク組み合わせ物について両形式において、プラス記号の輪郭はほとんど完全に見えなかった。対照液体の塗布で、組み合わせ物番号1を除く全てのインク組み合わせ物で、プラス記号の輪郭はほとんど完全に見えないままだった。試験溶液の塗布で、(指示薬層とインク組み合わせ物の間に配置された透明な基板シートをもつ)1つ目の形式の積層板は、(基板シートの同じ面に指示薬層とインク組み合わせ物をもつ)2つ目の形式の積層板より良い結果をもたらした。2番目の形式の積層板が、プラス記号と背景の間の相違を減らしたインク組み合わせ物のわずかな色変化を示したが、一方でそういった変化は1つ目の形式の積層板で見えなかった。
実施例4
【0061】
この実施例は、現在内科医による使用のために販売されている米国、ニュージャージー、ジブスタウンのEM science社によって製造されたCOLORPHAST(登録商標)pH試験片と、本願発明による試験積層板における先に記載の好ましい処方のpH試験の性能を比較する。試験カードを、先に記載の好ましい組成物から成るプラス記号の形をした指示薬層を用いて組み立て、そして色素層は、透明な基板シートの下側に適用された市販用インク組成物であった。そのインク組み合わせ物は、99.3%のパントン・イエロー、0.14%のプロセス・ブルー、0.28%のブラック、及び0.28%のウォーム・レッドであった。試験を、472個の膣液検体で実施した。
【0062】
472個の検体の中の232個が、COLORPHAST pH片により陰性の試験結果(すなわち、pH<4.7)を示し、そしてこれらの中の185個が同様に当該発明の試験カードにより陰性の結果を、というより79.7%の一致レベルを示した。陽性の試験結果(pH>4.7)は、COLORPHAST片について240に達し、そして本発明の試験原理を用いることで、これらの中の185個で、というより91.7%の一致レベルで陽性の結果が出た。したがって、総合的な精度は86%であった。
実施例5
【0063】
この実施例は、実施例4で実施された試験で一致しなかった結果を一致させるために伝統的なAmsel基準を利用する。前述のとおり、細菌性膣炎(BV)に関するAmsel基準は、総合的にBVの診断につながる4つの基準:膣液検体の高いpH(本来4.5以上、現在4.7以上)、「臭気」試験(検体のアルカリ処理、続いて嗅覚試験によるアミン臭気の検出)、膣液均一性、及び手がかり細胞(clue cells)の存在、を説明するAmsel, R., et al., Am.J. Med. 74:14-22 (1983)による報告に基づく。Amsel基準で陽性の結果を検出するために、高いpHが、残りの3つの基準の少なくとも2つと一緒に満たされなければならない。
【0064】
実施例4から一致しなかった97個のサンプルを、残りの3つのAmsel基準(臭気試験、膣液均一性、及び手がかり細胞の存在)の下で試験した。COLORPHAST試験片によって陰性の評価を得、かつ、本発明の試験積層板によって陽性の評価を得た47個の検体の中で、1つだけがAmsel基準で陽性だった。COLORPHAST試験片によって陽性の試験結果を得、かつ、本発明の積層板によって陰性の試験結果を得た20個の検体の中で、19個がAmsel基準により陰性だった。これは、陽性の結果に関して99.5%の一致を、陰性の結果に関して81.6%の一致を意味し、そして90%の総合的な精度を意味する。
実施例6
【0065】
この実施例は、Amsel基準の「臭気試験」と、本願発明による積層板を用いた先に記載の好ましい処方のアミン試験の性能を比較する。積層板を、先に記載の好ましいアミン試験組成物から成るプラス記号の形をした指示薬層によって組み立て、そして色素層は、透明な基板シートの下側に適用された市販用インク組成物だった。そのインク組み合わせ物は、99.3%のパントン・イエロー、0.14%のプロセス・ブルー、0.28%のブラック、及び0.28%のウォーム・レッドだった。本発明及び臭気試験による両試験を、464個の膣液検体で実施した。
【0066】
試験した検体の総数の中で、157個が臭気試験により陽性の応答を得、そしてこれらの中で142個が本発明の積層板により陽性の評価を得て、90.4%の陽性な一致を示した。試験した総数の中で、307個が臭気試験により陰性の評価を得、そしてこれらの中で268個が本発明の積層板により陰性の結果を同様に示して、陰性の結果に関して87%の一致を示した。これは、88.3%の総合的な精度を意味する。
実施例7
【0067】
実施例6のアミン試験で一致しなかった検体を一致させるためにAmsel基準を再び使用した。ここでも同様に、膣感染症のためにアミンが検出された場合、他の3つのAmsel基準の中の少なくとも2つが陽性であることが望まれる。
【0068】
2つの試験の間で一致しなかった54個のアミン試験サンプルを、残りの3つのAmsel基準に供した。陽性の一致が94.2%に上昇し、陰性の一致が91%に上昇し、そして総合的な精度が88.7%に上昇した。
実施例8
【0069】
この実施例は、COLORPHAST pH試験とAmsel基準の標準的な臭気試験の併用結果と、併用した(先の実施例の積層板を使った)当該発明のpH試験及びアミン試験を比較する。当該発明の積層板を使った結果は、pH試験とアミン試験の両方が陽性の評価を得た時のみ陽性とみなされ、そして、その他の全ての場合に、すなわちpH試験とアミン試験のいずれか、又はその両方が陰性の評価を得た時に陰性とみなされる。対比試験を、同じ様式−両方が陽性だった時に陽性、そして一方又は両方が陰性だった時に陰性、によって設計した。
【0070】
464個の膣液検体の中で、149個の検体がCOLORPHAST/臭気試験により陽性の評価を得、そして140個が当該発明の積層板により陽性の評価を得た。同様に、315個の検体がCOLORPHAST/臭気試験により陰性の評価を得、そして291個が当該発明の積層板により陰性の評価を得た。不一致は、33個の事例でしか生じなかった。これは、94.0%の陽性の一致、92.4%の陰性の一致、及び93.0%の総合的な精度を意味する。
実施例9
【0071】
pH試験及びアミン試験のための個々の試験原理と同様に、本発明の併用試験と、併用COLORPHAST/臭気試験の間の結果の食い違いを、BVを推測して診断するためのAmsel基準を使って一致させた。COLORPHAST/臭気試験により陰性だった24個の検体の中で、9個だけがAmsel基準によりBVについて臨床的に陽性だった。COLORPHAST/臭気試験により陽性であったが当該発明による併用試験により陰性だった9個の検体の中で、6個がAmsel基準によりBVについて臨床的に陰性だった。よって、異なる試験から得られた結果の間の不一致を一致させるためにAmsel基準を使うことで、陽性の一致が98.0%に上昇して、陰性の一致が95.2%に上昇して、そして総合的な精度が96.1%に上昇した。
実施例10
【0072】
この実施例は、BVの存在又は不存在の判定のための2つの追加のAmsel基準と併用した当該発明の積層板の使用を説明する。まず、試験群の全ての女性を、pH測定に関してCOLORPHAST pH試験片を、アミンに関して臭気試験を、接着及び均一性に関して体液の目視調査を、並びに手がかり細胞の存在に関して顕微鏡的検査を使って4つの基準の全てについて試験した。その後、同じ4つの基準を使うが、当該発明のpH及びアミン試験積層板を、COLORPHAST及び臭気試験の代わりに用いて、分析を同じ女性群で繰り返した。
【0073】
試験群は、464人の女性からの膣液検体から成る。COLORPHAST及び臭気試験を使ったAmsel基準の結果に基づいて、女性たちの中の156人(33.6%)がBV陽性と分類されて、そして308人(66.4%)がBV陰性と分類された。156人の陽性の中で、152人が(膣液のコンシステンシー及び手がかり細胞の存在の測定を併用した)当該発明の積層板を使って陽性に同様に分類された。308人の陰性の中で、292人が(膣液コンシステンシー及び手がかり細胞の存在を併用した)当該発明の積層板を使って基準を再試験した時に陰性に同様に分類された。これは、97.4%の陽性の一致、94.8%の陰性の一致、そして95.6%の総合的な一致を意味する。
【0074】
一致しなかった20個の試験結果を、BVを診断する独立した手段として、7以上のグラム染色スコアをBV陽性とみなすグラム染色試験によって一致させた。COLORPHAST及び臭気試験を使ったAmsel基準によってBV陰性であり、そして当該発明の積層板を使用した時にAmsel基準によってBV陽性だった16個の検体の中で、7個がグラム染色試験によってBVについて臨床的に陽性だった。逆に、COLORPHAST及び臭気試験を使用した時にAmsel基準でBV陽性であり、そして当該発明の積層板を使用した時にBV陰性だった4つの検体の中で、グラム試験によって臨床的に陰性だったものはなかった。よって、一貫性のない結果を、グラム染色試験結果を用いて一致させることによって、検出感度(グラム染色試験による陽性に対する陽性の試験結果のパーセンテージ)は97.4%のままであり、特異度(グラム染色試験による陰性に対する陰性の試験結果のパーセンテージ)は97.0%に上昇し、そして総合的な一致は97.2%に上昇した。
実施例11
【0075】
この実施例は、BVに関する併用試験基準として当該発明による積層板を用いてそれらだけで実施されるpH試験及びアミン試験の使用を説明する。(pHに関してCOLORPHAST片を、及びアミンに関して臭気試験を使用した)Amsel基準に対して比較をおこない、そして7以上のグラム染色スコアをBV陽性とみなすグラム染色試験を、積層板とCOLORPHAST/臭気試験の間の一致しなかった結果を一致させるために使用した。当該発明のpH試験及びアミン試験について、両方の試験が陽性の評価を得た時だけ、診断は陽性であるとみなした。一方又は両方が陰性の評価を得た時、診断は陰性であるとみなした。
【0076】
試験した464個の膣検体の中で、156個(33.6%)はAmsel基準により陽性であり、そしてこれらの156個の中で、142個が当該発明の積層板でも同様に陽性だった。Amsel基準によって陰性の評価を得たものは合計で308個(66.4%)であり、そして308個の中で、286個は当該発明の積層板でも同様に陰性だった。これは、91.0%の検出感度、92.9%の特異度、及び92.2%の精度を示す。
【0077】
そして一致しなかった36個の試験結果を、グラム染色試験を用いて一致させた。Amsel基準によりBV陰性であり、そして当該発明の試験により陽性だった22個の中で、7個はグラム染色によりBV陽性だった。Amsel基準によりBV陽性であり、そして当該発明の積層板により陰性だった14個の中で、グラム染色により臨床的に陰性だったものはなかった。
【0078】
よって、一致しなかった試験結果をグラム染色と一致させることによって、163個の検体がグラム調整Amsel基準(Gram-reconciled Amsel criteria)によりBV陽性であり、そしてこれらの中で、149個が本発明の積層板でも同様に陽性だった。同じように、301個の検体がグラム調整Amsel基準により陰性であり、そしてこれらの中で、286個が本発明の積層板でも同様に陰性だった。これは、検出感度を91.4%に上げ、特異度を95.0%に上げ、そして正確度を93.8%に上げた。
実施例12
【0079】
この実施例は、手がかり細胞に関する試験としての当該発明による試験カードを用いて実施されるアミン試験の使用を説明する。先の実施例6で使用した同じアミン試験材料及び積層板構造を、この実施例で使用した。比較を手がかり細胞の顕微鏡検出に対しておこない、そして試験カードの結論と顕微鏡評価の間で一致しなかった結果を一致させるためにグラム染色を使用した。手がかり細胞の顕微鏡検出は、手がかり細胞が膣液検体中に存在する膣上皮細胞の20%より多くを占めた時に、陽性であるとみなされた。前記の実施例と同様に、当該発明の積層板を用いたアミン試験は、目に見えるプラス記号が現れた時に陽性であるとみなされ、そしてプラス記号が現われなかった時に陰性であるとみなされた。
【0080】
前記の実施例で試験した464個の膣液検体の中で、160個が顕微鏡検査によって手がかり細胞に関して陽性であると解釈された。これら160個の手がかり細胞陽性の検体の中で、140個が当該発明のアミン試験でも同様陽性であった。顕微鏡検査により手がかり細胞陰性の評価を得た検体は、合計で304個であり、そしてこれらの中で、263個が当該発明のアミン試験でも同様に陰性であった。これは、87.5%の陽性の一致、86.5%の陰性の一致、そして87%の正確度を示す。
【0081】
そして、一致しなかった61個の試験結果を、グラム染色試験によって一致させた。顕微鏡検査により手がかり細胞陰性であり、そして当該発明のアミン試験で陽性だった41個の検体の中で、4個はグラム染色分析によりBVに関して臨床的に陽性だった。
同じように、顕微鏡検査基準により陽性であり、そして当該発明のアミン試験により陰性だった20個の検体の中で、6個はグラム染色試験によりBVに関して臨床的に陽性だった。よって、グラム染色スコアを使った前述のデータの調整によって、陽性の一致が91.1%に上昇し、陰性の一致が87.9%に上昇し、そして総合的な精度が89%に上昇した。
実施例13
【0082】
この実施例は、アミン試験の結果と、Amsel基準を使って実施した標準的な細菌性膣炎試験の結果とを比較することによって、細菌性膣炎に関する単独での試験としての当該発明による試験の有効性を証明する。当該発明の典型による試験材料及び構造は先の実施例6で使用したものと同じだった。本発明の典型による試験及びAmsel基準試験の両方を、同じ464個の膣液検体を用いて実施した。
【0083】
試験した検体の総数の中で、156個の検体がAmsel基準により陽性の評価を得、そしてこれらの中の142個が本発明の積層板により陽性の結果を同様に得て、91.0%の検出感度を示した。試験した総数の中で、308個が臭気試験により陰性の評価を得、これらの中で、269個が本発明の積層板により陰性の評価を同様に得て、87.3%の陰性の一致を示した。総合的な精度は88.6%だった。これは、高度の正確度で、アミン試験だけを基準にして細菌性膣炎を診断することができることを示す。
実施例14
【0084】
一致しなかった先の実施例の検体を、グラム染色試験によって一致させた。試験の間で一致しなかったアミン試験サンプルは合計で53個であり、そしてグラム染色分析により、検出感度が91.4%に上昇し、特異度が89.4%に上昇し、そして総合的な精度が90.0%に上昇した。それ故に、本願発明によるアミン試験積層板は、BVの検出に関して4つのAmsel基準から成る手段によって判定されるものと同等の正確度を提供した。
【0085】
前述のものは、例証のために本来提供される。本願発明の構造、寸法、試薬及び他の材料、手順上のステップ、並びに他の指標が、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々な方法でさらに修飾又は置き換えられることができることは、当業者にとってすぐにわかることであろう。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】当該発明による、2つの試験部位、一方が液体サンプルにおいて特定のpHしきい値を越えたかどうかを判断するためのもの、及びもう一方がサンプル中の揮発性アミンの存在に関するもの、を含む試験デバイスの平面図である。
【図2】両試験について陽性であるサンプルを両方の部位に塗布した後の、図1の試験デバイスの平面図である。
【図3】図1及び2の試験デバイスのpH試験部位を形成する1つの積層配置の観点から考えた拡大図である。
【図4】図1及び2の試験デバイスのpH試験部位のための積層の選択的な配置の観点から考えた拡大図である。
【図5】図1及び2の試験デバイスのアミン試験部位を形成する1つの積層配置の観点から考えた拡大図である。
【図6】図1及び2の試験デバイスのアミン試験部位のための選択的な積層配置の観点から考えた拡大図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択した検体の存在に関して液体サンプルを分析するための試験デバイスであって、以下の:
一方の面を検体指示薬層で、そして反対の面を色素層で覆われた光透過性の液体不透過性基板シート、ここで、上記検体指示薬層が、当該検体指示薬層の色変化を引き起こす反応において上記検体と反応性であり、かつ、上記検体指示薬層が反応を起こしていない時に、上記基板上の選択した試験部位を完全に覆う上記色素層が、上記検体指示薬層の色と視覚的に区別ができない色である、並びに
上記試験部位の中、かつ、それより狭い限定領域に上記検体指示薬層の上記色変化を限定し、それによって上記試験部位の中の隣接領域を変化しないままにするための手段、
を含む前記試験デバイス。
【請求項2】
前記検体指示薬層が、選択した試験部位を完全に覆っており、かつ、前記色変化を限定するための手段が、上記検体指示薬層を覆うチャネリング層であり、ここで、上記チャネリング層が上記検体指示薬層の前記限定領域を露出するようにその中に開口部を有する、請求項1に記載の試験デバイス。
【請求項3】
前記色変化を限定するための前記手段が、前記隣接領域が前記検体指示薬層を含んでいないままにする前記限定領域に限った前記検体指示薬層の適用である、請求項1に記載の試験デバイス。
【請求項4】
前記チャネリング層が透明である、請求項2に記載の試験デバイス。
【請求項5】
前記基板シートが透明である、請求項1に記載の試験デバイス。
【請求項6】
前記色素層が前記検体と非反応性である、請求項1に記載の試験デバイス。
【請求項7】
前記限定領域がプラス記号の形であり、そして前記隣接領域がその全ての境界と接して上記プラス記号を囲む、請求項1に記載の試験デバイス。
【請求項8】
前記検体が前記サンプル中に存在するかどうかにかかわらず当該対照指示薬層での色変化を引き起こす反応において上記サンプルと反応性である対照指示薬層、及び前記検体指示薬層での前記色変化に関する前記限定領域から離れた限定領域に上記対照指示薬層の上記色変化を限定するための手段をさらに含む、請求項1に記載の試験デバイス。
【請求項9】
前記基板シートの反対側である前記色素層の面を不透明な白色層で覆った、請求項1に記載の試験デバイス。
【請求項10】
前記検体指示薬層が、イオン化性フェノール基及び負電荷をもつ基を含む化合物を添加した親水性の流体透過性ポリマーであり、ここで、上記ポリマーが、水性液体サンプルで湿った時に拡散に対抗して上記化合物を固定するために、そして4.6〜4.8の範囲内の変色点以上のpHで前記反応を生じる要因となるために十分な量で四級アンモニウムを含む、請求項1に記載の試験デバイス。
【請求項11】
前記化合物が、ブロモフェノール・ブルー、ブロモクロロフェノール・ブルー、ブロムクレゾール・グリーン、ブロモクレゾール・パープル、ブロモチモール・ブルー、ブリリアント・イエロー、及びニトラジン・イエローから成る群から選ばれるメンバーであり、かつ、前記四級アンモニウム基がトリ-(C1-C4アルキル)アンモニウム基である、請求項10に記載の試験デバイス。
【請求項12】
前記化合物がニトラジン・イエローであり、かつ、前記四級アンモニウム基がトリメチルアンモニウム基である、請求項10に記載の試験デバイス。
【請求項13】
前記検体指示薬層が、アミンとの接触で色変化を受ける化合物を添加した、ガスに対して透過性を持つが水性液体に対しては透過性を持たない材料から成るマトリックスである、請求項1に記載の試験デバイスであって、そして固形アルカリ層をさらに含む前記試験デバイス。
【請求項14】
前記化合物が、ブロムクレゾール・グリーン、ブロモフェノール・ブルー、ブロモクレゾール・パープル、ブロモクロロフェノール・ブルー、及びニトラジン・イエローから成る群から選ばれるメンバーである、請求項13に記載の試験デバイス。
【請求項15】
患者からの膣液サンプルを分析することによってその患者の細菌性膣炎を示す状態の同定方法であって、上記サンプルのpHを分析すること又は手がかり細胞の存在について上記サンプルを分析することもなく、固形アルカリ及びガスに対して透過性を持つが水性液体に対して透過性を持たない材料から成るガス透過性指示薬層に上記サンプルを塗布するステップを含み、ここで、指示薬を添加した上記ガス透過性指示薬層が、アミンとの接触、つまり相関がある上記ガス透過性指示薬層内への上記アミンの浸透で検出可能な変色を受ける前記方法。
【請求項16】
前記指示薬が、ガス状アミンとの接触で変色する視覚的指示薬である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記指示薬がブロムクレゾール・グリーンである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記固形アルカリが、アルカリ及びアルカリ土類金属のアルミン酸塩、炭酸塩、並びに水酸化物から成る群から選ばれるメンバーである、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記固形アルカリが、アルミン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、及び水酸化マグネシウムから成る群から選ばれるメンバーである、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
ガスに対して透過性を持つが水性液体に対して透過性を持たない前記材料がエチル・セルロースである、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−506102(P2007−506102A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527070(P2006−527070)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/030564
【国際公開番号】WO2005/029068
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(591270970)クイデル コーポレイション (5)
【氏名又は名称原語表記】QUIDEL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】10165 McKellar Court, San Diego, California 92121, United States of America
【Fターム(参考)】