説明

傘入れ袋

【課題】濡れた状態の傘をハンドバックに入れる為の傘入れ袋を提案する。
【解決手段】傘入れ袋1は、袋体2と長尺部材3によって構成されている。袋体2は、一枚の長方形のシート12が二つ折りされ、表側のシート10と裏側のシート11が折り重なった形状であり、3辺の内の2辺5,6が接合されたものであり、残る短辺7だけが開放されている。長尺部材3は、帯であり、環状に結ぶことができる。長尺部材3は、その中央部が、開口部9の表側シート10の外側に沿って接合されている。開口部9から空間40に折り畳み傘41を入れて、続いて開口部9を長尺部材3の接合領域45及び補強部16,17を芯にして折り曲げて行き、最後に長尺部材3の接続部材33を接続し、長尺部材3を環状に結ぶ。その結果、開口部9が弓状をなし、シート同士の接触面に強いストレスが掛かり、気密状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傘を入れる袋に関するものであり、特に、水に濡れた折り畳み傘を折り畳んだ状態で収納する袋であって、鞄等に入れても他の収納物を濡らすことのない傘入れ袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知の傘として折り畳み傘がある。折り畳み傘は、柄の部分が3段又は2段の入れ子状になっており、柄の部分を2分の1又は3分の1に縮めることができる。また雨よけ部分についても折り畳むことができる構造となっており、折り畳んで全体形状を小さくすることができる。
【0003】
折り畳み傘は、家を出る際には晴れているが、後に天気が崩れると予想される際に重宝であり、折り畳んだ状態で、ハンドバック等に入れて持ち運び、雨が降りだすと、ハンドバックから取り出した後、柄を伸ばし、雨よけ部分を広げて用をなす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−289334号公報
【特許文献2】特開2004−329806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで一旦降りだした雨が帰宅前に止んでしまったり、地下街やビル内に入って傘が不要となる場合が多々ある。
この様な場合、傘が濡れているので、畳んだ状態でハンドバックに入れることはためらわれる。そのため柄を伸ばした状態で持ち歩くこととなるが、持ち歩く際の振動で、雨よけ部分の骨が折り畳まれてしまう。そのため折り畳み傘は通常の傘に比べて傘形状のままでは持ち運び難い。
【0006】
本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、濡れた状態の傘をハンドバックに入れる為の傘入れ袋を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、袋体と長尺部材とを有し、前記袋体は、遮水性と可撓性を有する素材で作られたものであって一端側だけが開口し、長尺部材は環状に接続する接続部材を有し、前記長尺部材を環状に接続した状態における周長は、袋体の開口近傍の周長の0.5倍以上1倍以下であり、前記長尺部材は一部を残して袋体の開口部に取り付けられ、袋体の内部に折り畳み傘を折り畳み状態で収納可能であり、その状態で、袋体の開口近傍を前記長尺部材を内側あるいは外側にして複数回折り込むことが可能であり、袋体の開口近傍を折り込んだ状態で長尺部材の接続部材を接続して長尺部材を環状にすることが可能であることを特徴とする傘入れ袋である。
【0008】
本発明の傘入れ袋は、中に濡れた状態の傘を入れ、その袋入りの状態で傘をハンドバック等に入れる用途に使用する。
本発明の傘入れ袋は、遮水性を有する素材で作られているから、雨に濡れた傘をハンドバッグに入れても、袋の本体部分から水が漏れることはない。
また本発明の傘入れ袋は、袋体の開口近傍を前記長尺部材を内側あるいは外側にして複数回折り込むことが可能であるから、開口部分から水漏れすることもない。本発明では、長尺部材は、開口近傍を折り込む際の芯としても機能する。
さらに本発明では、袋体の開口近傍を折り込んだ状態で長尺部材の接続部材を接続して長尺部材を環状にするが、長尺部材を環状に接続した状態における周長は、袋体の開口近傍の周長の0.5倍以上1倍以下であるから、折り込み部分が弓状に反り、折り込んだ部位が容易に復元しない。そのためハンドバッグの中で開口部分が開くことはない。
【0009】
請求項2に記載の発明は、袋体は、一枚の長方形のシートが二つ折りされ、表側のシートと裏側のシートが折り重なった形状であって3辺の内の2辺が接合され、残る一辺だけが開口する封筒形状であり、開口部分を構成する表側シートと裏側シートの一方の外側に長尺部材の中央部が接合され、表側シートと裏側シートの前記一方又は他方の少なくともいずれかには、開口端がさらに内側に折り重ねられて接合された補強部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の傘入れ袋である。
【0010】
本発明の傘入れ袋は、表側シートと裏側シートによって構成される封筒形状であるから、内部に傘が入っていない状態においては、平面的形状であり、厚さが薄い。そのため折り畳んだり巻く等による小型化が容易であり、ハンドバック中に常備していても嵩張らない。
また袋体の開口端がさらに内側に折り重ねられて接合された補強部が形成されているので、前記した長尺部材と同様に、開口近傍を折り込む際の芯としても作用する。
本発明の本発明の傘入れ袋は、一枚の長方形のシートを二つ折りして作られているから、接合箇所が2辺だけで足り、製造が容易である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の傘入れ袋は、濡れた状態の傘を入れても水漏れしない。そのため本発明の傘入れ袋の中に濡れた状態の傘を入れ、その袋入りの状態で傘をハンドバック等に入れて傘を持ち運ぶことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の傘入れ袋及び折り畳み傘の斜視図である。
【図2】図1に示す傘入れ袋の開口を封止する手順を示す傘入れ袋の側面図である。
【図3】図1に示す傘入れ袋に傘を入れて開口を封止した状態における斜視図である。
【図4】図1に示す傘入れ袋の製造方法の一例を示す斜視図である。
【図5】図1に示す傘入れ袋の製造方法の他の例を示す斜視図である。
【図6】図1に示す傘入れ袋の製造方法の例であって図5に続く工程を示す斜視図である。
【図7】図1に示す傘入れ袋の分解斜視図である。
【図8】図1に示す傘入れ袋で採用する接続部材の斜視図であり、接続を解除した状態を示す。
【図9】図8に示す接続部材の斜視図であり、接続状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の傘入れ袋1は、図1,図3の様に袋体2と長尺部材3によって構成されている。
袋体2は、0.1mmから0.4mm程度のシートを素材とするものであり、封筒形状であって、一端側が開口する。
即ち袋体2は平面視が長方形であり、二つの長辺5,6と、二つの短辺を持つ。袋体2は、表側シート10と裏側シート11を有し、前記した4辺の内、二つの長辺5,6と一つの短辺8が閉塞し、残る短辺7が開口部9となっている。
【0014】
袋体2の形は、図4の様に、一枚の長方形のシート12が二つ折りされ、表側のシート10と裏側のシート11が折り重なった形状であり、3辺の内の2辺5,6が接合されたものである。そして短辺の一つは折り曲げ部14であるから閉塞しており、残る短辺7だけが開放されている。
また袋体2の開口端は、表側のシート10と裏側のシート11の双方共に内側に折り曲げられている。当該折り曲げ部15は、重なり部分が接合されており補強部16,17が形成されている。
【0015】
袋体2の素材には、熱可塑性ポリウレタン樹脂や、ポリ塩化ビニル等の遮水性を有する樹脂が使用されている。袋体2は可撓性を持ち、折り曲げたり巻物状に巻くことができる。
【0016】
袋体2の製造方法は任意であるが、例えば図5の様にシート12を押し出し(a領域)、シート12を走行させつつ図示しないガイド等によって、両辺を小さく折り重ねる(b領域)。そして当該折り重ね部を図示しない加熱プレスや高周波融着或いは超音波融着等の公知の接合手段を利用して補強部16,17を作る(c領域)。
続いて一辺側20を他辺側に向かって折り重ねる(d領域)。d領域においては、シート12を重ねるだけで接合はしない。
【0017】
またプレス22によって、樹脂の流れ方向に対して垂直方向に延びる押し目23を入れる。押し目23は、図5の様に一定間隔で設ける。
最後に図6の様に、押し目23の中央でシートを切断し、袋体2を個々に分離する。
分離された袋体2は、一枚の長方形のシート12が二つ折りされ、表側のシート10と裏側のシート11が折り重なった形状であって3辺の内の2辺5,6が接合され、残る一辺だけが開口する封筒形状である。また開口端側のシートは、さらに内側に折り重ねられて接合された補強部16,17が形成されている。
【0018】
袋体2の大きさは、長さ30cmから40cm程度、より好ましくは、長さ33cmから36cm程度であり、幅は、8cmから15cm程、より好ましい幅は、10cmから12cm程度である。
本実施形態では、袋体2の全厚は、表側のシート10と裏側のシート11の個々の厚さの合計である。ただしシート12が可撓性を有するので、開口部9を広げると、内部に傘41を収納する空間40が形成される。
【0019】
一方、長尺部材3は、ポリプロピレン製繊維で織られた帯であり、可撓性を有している。長尺部材は、両端に接合部材片24,25が設けられており、接合部材片24,25同士を係合して長尺部材3を環状に結ぶことができる。
【0020】
接合部材片25は、雄側接合部材片であり、三本の突起26,27,28が突出している。そして両端側の突起26,28は先端に膨らみ部35を持つ。
【0021】
一方、接合部材片24は、雌側接合部材片であり、枠状をしていて内部に空洞部29がある。また雌側接合部材片24は、先端側に空洞部29に繋がる開口30があり、両側面にも、空洞部29に繋がる開口31,32がある。
接続部材33は、雄側接合部材片25の突起26,27,28を雌側接合部材片24の空洞部29に挿入することによって結合される。即ち雄側接合部材片25の突起26,27,28を雌側接合部材片24の先端側の開口30に押し込むと、両端側の突起26,28が内側に撓んで突起26,27,28が開口30から空洞部29に入る。
そして先端の膨らみ部35が雌側接合部材片24の側面に設けられた開口31,32に至ると、突起26,28が自己の弾性によって外側に広がり、突起26,28先端の膨らみ部35が、雌側接合部材片24の開口31,32と係合する。その結果、接続部材33は、接合状態となり、雄側接合部材片25と雌側接合部材片24を反対方向に引っ張っても両者は離れない。
【0022】
ただし、手指で雌側接合部材片24の側面の開口31,32部に突出した突起26,28を内側に押圧すると、突起26,28が弾性に抗して内側に撓み、この膨らみ部35と開口31,32との係合が解ける。この状態で、雄側接合部材片25と雌側接合部材片24を反対方向に引っ張ると、両者は分離する。
【0023】
長尺部材3の接続部材33を接続し、長尺部材3を環状に繋いだ状態における長尺部材3の内周長Aは、前記した袋体2の開口部9の外周長Bよりも短く、長尺部材3の内周長Aは、開口部9の外周長Bの0.5倍以上1倍以下である(図7)。
またより望ましくは、長尺部材3の内周長Aは、開口部9の外周長Bの0.6倍以上0.8倍以下である。本実施形態では、両者の関係は、0.7倍である。
【0024】
長尺部材3は、その中央部が、開口部9の表側シート10の外側に沿って接合されている。
そのため長尺部材3の両端部(雄側接合部材片25と雌側接合部材片24を含む)は、フリー状態である。
【0025】
本実施形態の傘入れ袋1は、図1の様に、開口部9から内部の空間40に折り畳み傘41を入れて使用する。なお折り畳み傘41は、柄の部分が3段の入れ子状になっていることが望ましい。
【0026】
そして続いて開口部9を長尺部材3の接合領域45及び補強部16,17を芯にして図2の様に折り曲げていく(図2では、表側のシート10が下になる様に作図している)。
言い換えると、袋体2の開口部9の近傍部分を、長尺部材3を内側にして折り込む。或いは逆に長尺部材3を外側にして折り込む。
そして2から3回程度、袋体の開口近傍を折り込んだ状態で図3の様に長尺部材3の接続部材33を接続し、長尺部材3を環状に結ぶ。
【0027】
ここで前記した様に 長尺部材3を環状に繋いだ状態における長尺部材3の内周長Aは、前記した袋体2の開口部9の外周長Bよりも短く、長尺部材3の内周長Aは、開口部9の外周長Bの0.7倍に過ぎないから、長尺部材3を環状に繋ぐと、袋体2の開口部9が反る。より詳細には、開口部9が弓状をなし、長尺部材3の両端部(フリー状態の部位)43が弦状となる。その結果、開口部9における弓状の外側に位置するシートが引っ張り状態となり、内側のシートが圧縮状態となり、シート同士の接触面に強いストレスが掛かる。そのため開口部9は締めつけられ、気密状態となる。また開口部9の折り畳み形状が容易に解けない状態となる。
そのため袋体2に水があっても、当該水が外に漏れ出ることはない。
【0028】
この様に、傘41が中に入った状態の傘入れ袋1を、ハンドバック等の鞄に入れると、たとえ傘が濡れていても、ハンドバックの中を濡らすことはない。
また本実施形態では、長尺部材3が環状になるから、当該部位を把手として利用し、傘41を入れた状態の傘入れ袋1を、手持ちすることができる。
【符号の説明】
【0029】
1 傘入れ袋
2 袋体
3 長尺部材
9 開口部
10 表側シート
11 裏側シート
16,17 補強部
24 雌側接合部材片
25 雄側接合部材片
33 接続部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋体と長尺部材とを有し、前記袋体は、遮水性と可撓性を有する素材で作られたものであって一端側だけが開口し、長尺部材は環状に接続する接続部材を有し、前記長尺部材を環状に接続した状態における周長は、袋体の開口近傍の周長の0.5倍以上1倍以下であり、前記長尺部材は一部を残して袋体の開口部に取り付けられ、袋体の内部に折り畳み傘を折り畳み状態で収納可能であり、その状態で、袋体の開口近傍を前記長尺部材を内側あるいは外側にして複数回折り込むことが可能であり、袋体の開口近傍を折り込んだ状態で長尺部材の接続部材を接続して長尺部材を環状にすることが可能であることを特徴とする傘入れ袋。
【請求項2】
袋体は、一枚の長方形のシートが二つ折りされ、表側のシートと裏側のシートが折り重なった形状であって3辺の内の2辺が接合され、残る一辺だけが開口する封筒形状であり、開口部分を構成する表側シートと裏側シートの一方の外側に長尺部材の中央部が接合され、表側シートと裏側シートの前記一方又は他方の少なくともいずれかには、開口端がさらに内側に折り重ねられて接合された補強部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の傘入れ袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−273883(P2010−273883A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129686(P2009−129686)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(390039734)株式会社サクラクレパス (211)
【Fターム(参考)】