説明

傷つき防止フィルム

【課題】自動車のアウタードアハンドル部のドア表面に傷が付くのを防止する傷つき防止フィルムの提供。
【解決手段】
自動車のドアハンドルが設けられている部分のドア表面に貼着するための保護フィルムで、保護用のプラスチックフィルム1の貼付け面に粘着剤層2を設け、該粘着剤層2面に離型シート3を積層してなり、保護フィルムは必要に応じて更に広告等を表示するための表示部12を含む大きさからなり、離型シート3から剥がしてドアハンドルのドア表面に貼着して使用することを特徴とするドアハンドル部の傷つき防止フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のアウターハンドル部のドア表面に傷が付くのを防止する傷つき防止フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の購入にあたっては、外観だけを見て購入することはなく、顧客の多くは、少なくともドアを開けて車両の内装部品の配置や、また、シートの座り心地やドライブハンドルの握り具合などを確かめることを行っている。そのため、販売店では自動車の一つを展示用車両としているが、車種によっては、特に生産台数や販売数の少ない高価な車では販売用の車両をそのまま展示している。
展示の方法の多くは、自由に車両のドアなどを開閉させたり、乗り降りさせてシートや運転ハンドルの握り具合を確かめさせるなどの方法によっている。展示用車両は、ドアの開け閉めされることが多いため、ドアハンドル(把手)の部分のドア面が汚れたり、傷が付くなどの事態が起こり易い。
製造工程中の車両や輸出する自動車には傷や汚れが付くのを防止するために、車体にペイントガードコンパウンドと呼ばれる表面保護材を塗布するとか、保護フィルムを貼り付けることもあるが(特許文献1)、販売時の車両にはそのような処置は除かれている。
【特許文献1】特開平9−220517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
自動車、特に乗用車は商品としては高価であることと、車種も多く且つモデルチェンジのサイクルが早いため、販売用車両をそのまま展示することが多い。近年、指や腕に対する装飾などで、大きな指輪や長い爪、ネイルアートによる付け爪、鎖などの腕輪を付けてる人が多く、そのためドアの開閉時に車体に傷等が付く恐れがある。車体に汚れや瑕がつくと修復する手間がかかるとか、正価で販売できなくなるなどの問題を生じることから対応策が求められている。
本発明は、車両のドアの開閉の際に、ドアハンドルの部分のドア表面に瑕が付くのを防止するための傷つき防止フィルムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のドアハンドル部の傷つき防止フィルムは、ドアハンドルが設けられている部分を含めてドア表面に貼着するための保護フィルムで、保護用のプラスチックフィルムの貼付け面に粘着剤層を設け、該粘着剤層面に離型シートを積層してなることを特徴とするものである。
また、保護フィルムはドアハンドル部分に加えて更に延びた面積の部分を設けて広告やキャッチピコピー等を表示する表示部分を設けたことを特徴とするものである。
更に、施工を容易にするために保護用のプラスチックフィルムの表面に賦形性シートを積層した傷つき防止フィルムよりなるものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、自動車のドアハンドルが設けられている部分のドア面に保護用のプラスチックフィルム(以下単に、保護フィルムと記す。)を貼り付けることによって、ドアの開閉の際に指に嵌められている指輪やまた手に持っている鍵などがドア表面に当たっても保護フィルムよってドア表面に直接当たらないため、ドア表面に傷が付くことがない。また、ドアハンドル部分のドア表面が汚れることがなく、また、保護フィルムを貼り替えることによって常に新しい面とすることができる。更に、ドア開閉時の女性の爪などを保護することもでき、顧客からの苦情を防止することもできる。
また、保護フィルムに設けた広告等表示部は、ドア開閉時に最も目に付き易い位置となるため、広告等の効果を一段と惹き立てることができる。
本発明の傷つき防止フィルムは、離型シートから保護フィルムを剥がして貼り付けるだけで容易に使用できるため、展示用車両に限らず一般の自動車に個人の好みで使用することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
保護フィルムは、ドアハンドルが設けられる部分のドア表面の形状、例えば円形の凹形に適応する形状とするとか、前記凹形部分を含めて適当な大きさの広告または販促文を設ける部分を有する形状とすることができる。
保護フィルムとしては、適当な厚みのあるプラスチックフィルムであれば使用できるが、ドアハンドルが設けられているドアの部分(ドアハンドル部)の窪んだ形状(凹形)面に対応して貼り付けられるように柔軟性、更には伸長性のあるフィルムが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリプロピレン、軟質塩ビ(ポリ塩化ビニル)などのプラスチックフィルムが挙げられる。熱可塑性フィルムであっても良い。フィルムの厚さは、特に限定されないが、20〜100μm、好ましくは40〜80μm程度のものが使用される。保護フイルムは、通常無色透明のものが用いられるが、着色透明または着色されたものでも良い。
用途によっては、発泡プラスチックシートとしてもよく、また、積層フィルムであっても良い。積層フィルムとしては、ポリエチレン‐ポリプロピレンのようにプラスチックフィルム同士とか、紙‐プラスチックフィルムやアルミ箔‐プラスチックフィルムのラミネート(積層シート)でも良い。
【0007】
保護フィルムに塗布される粘着剤としては、ドア面の塗膜を害わないもので、容易に貼付け、引き剥がしのできるものが使用される。剥離後のドア面に粘着剤が残らないものの使用が好ましい。
離型シートとしては、通常用いられている離型紙が使用できるが、このほか、PET,ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデンなどのプラスチックフィルムまたはこれらフィルムを基材とするものが使用できる。
離型シートは、保護フィルムよりも大きなシートとするか、または、保護シートとほぼ同じ大きさのシートのいずれかとすることができる。離型シートは、一枚のままであるもの(分割されてないもの)と分割できるタイプのもの、分割されたもののいずれの形式のものでも良い。また、剥離を容易にするためにエンボス加工等をしたものであっても良い。
【0008】
本発明の傷つき防止フィルムは、保護フィルムの貼付け後の仕上がりをよくするために、必要ならば更に、保護フィルムの上面に、厚紙(ボール紙)や半硬質のプラスチックシートなどの賦形性のシートを剥離可能に積層したものとしても良い。
賦形性シートの使用は、傷つき防止フィルムを貼り付け面に押圧して賦形性シートでドアの凹み部と同じ形状の部分を作った後に剥離シートを剥がして貼り付ける方法による。このほか、予め所定の形状にプレス加工した傷つき防止フィルムとしても良い。
【実施例】
【0009】
以下、本発明の実施例のいくつかを図面にしたがって説明する。
【0010】
図1は、1は保護フィルム、3は離型紙を示す。本発明の傷つき防止フィルムの一例を示す平面図で、保護フィルム1は、ドアハンドルが設けられている部分のドアのほぼ円形のくぼみ(凹み)形状に対応させてフィルム1の中央部に円形部11を形成し、端部に販促キャッチコピーなどを印刷表示する長方形の広告等表示部12を設けてある。ドアハンドルの形式によっては、保護フィルム1の上半分の部分は不要の場合もあるので、保護フィルム1の上下方向(長さ方向)の適当な位置にミシン目等のフィルム切断線13を設けておいても良い。
この例では、離型紙3には切断するためのミシン目31を設けて、上半分の部分3aを剥がして貼り付けた後、下半分の部分3bを剥がして貼り付けるようにしているが、切断線の位置は任意に設定してよい。なお、切断線としてのミシン目31は設けなくても良い。
図2は、本発明の傷つき防止フィルムの他の例を示す図で、保護フィルム1を長方形の形として一端部に半円形の表示部12を設けた例である。図1および図2とも、表示部12は設けないものとしても良い。図2の例の場合には、離型紙3は保護フィルム1とほぼ同じ形状としても良い。
なお、図1および図2では広告等表示部を設けているが、保護フィルムはドアハンドルが設けられている部分のみを被覆する大きさのものとして良いことは勿論である。
【0011】
本発明の傷つき防止フィルムAの構成の例のいくつかを図3に示す。
図3は、基本的な構成を示す図で、裏面に粘着剤層2が塗布された保護フィルム1を離型紙3の表面に積層したものの例を示す拡大断面図である。
図4は、保護フィルム1の上面に賦形性シート4を積層し、ドア面のくぼみ(凹み)の形状にあわせてプレス加工した傷つき防止フィルムAの例である。賦形性シート4は、例えば、剥離性接着剤で貼り合わせる。離型紙3を剥がして保護フィルム1を所定のドア表面に貼り付けたのち賦形性シート4を取り除くようにして用いる。図4では、予め成形加工したものの例を示したが、平らなシート状の傷つき防止フィルムAとして供給し、使用者自体がドアの凹み形状に押し当てて賦形性シート4を変形させて用いるようにしても良い。
図5は、分離された離型紙3a、3bを用いた例である。一方の離型紙3bの端部に他方の離型紙3aの一部が重なるようにして保護フィルム1に貼り付ける。
【0012】
図6は、本発明の傷つき防止フィルムの使用の一例を示す説明図である。図6Aは自動車のドア5のドアハンドル部分の正面図で、ドアハンドル6の可動部61に手を掛けてその下端を上方に回転させることによってドアを開ける方式のドアに保護フィルム1を適用した例である。図6Bは、保護フィルム1が貼り付けられた状態を示す断面模式図である。
本例の場合には、ドアハンドル6は上部がドア5に固定された形式ものであるため、保護フイルム1は図1で説明したフィルム切断線13によって上半分を切り離して使用すると良い。
【0013】
図7は、ドアハンドル7全体を手前に引くことによってドアを開く形式のドア5に本発明を実施した場合の例である。本例の場合、図7Aに示すように、ドアハンドル7の背面を通してドア5の表面に保護フィルム1を貼り付けることができるため、広告等表示部はドアハンドル7の上方の位置となるように設けても良い。図7Bは、保護フィルム1を貼り付けた状態の断面模式図を示す。
本例の場合、図7Cに示すように、離型紙3に設ける切断線(ミシン目)31をドアハンドル7の円形の凹みにあわせて半円形に設けて、上の部分3aを剥がしてドア5に貼り付けた後、下の円形部分を含む部分3bを剥がして貼り付けるとより有利である。
【0014】
上記の説明では、保護フィルムが1枚の形の傷つき防止フィルムについて説明したが、図8に示すように1枚の離型紙3の上に多数の粘着剤層2付き保護フィルム1を積層したタイプのものとしても良い。この場合、必要に応じて保護フィルム1の表面は離型剤で処理する。保護フィルムは上から順に一枚ずつ剥がして使用する。
本発明は、自動車のアウタードアハンドル部を例に説明したが、これらに限定されること無く同様な形式の、家屋や家具等のドアハンドル部に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の傷つき防止フィルムの一例を示す平面図である。
【図2】本発明の他の例を示す平面図である。
【図3】本発明の構成の一例を示す断面図である。
【図4】本発明の他の例を示す断面図である。
【図5】本発明の別の例を示す断面図である。
【図6】本発明の使用の一例を示す説明図である。
【図7】本発明の使用の他の例を示す説明図である。
【図8】本発明の更に別の例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 保護フィルム
2 粘着剤層
3 離型紙
4 賦形性シート
5 ドア
6 ドアハンドル
7 ドアハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアハンドルが設けられている部分のドア表面に貼着するための保護フィルムで、保護用のプラスチックフィルムの貼付け面に粘着剤層を設け、該粘着剤層面に離型シートを積層してなることを特徴とするドアハンドル部の傷つき防止フィルム。
【請求項2】
保護フィルムが、ドアハンドルが設けられている部分を含めて更に広告等を表示するための表示部を含む大きさのフィルムからなることを特徴とする請求項1記載の傷つき防止フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−6866(P2009−6866A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−170559(P2007−170559)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(501013880)神奈川トヨタ自動車株式会社 (4)
【Fターム(参考)】