傷に剤を届けるための組成物および方法
本発明は、キトサンを特徴とする組成物および、生物学的に活性な剤を開放骨折、複合創傷または他の感染部位へ局所的に届けるためにそのような組成物を使用する方法を提供する。有利には、キトサン組成物の分解および薬剤溶出プロフィールは、ケアの場所で(例えば手術室、診療所、医者の診察室または他の臨床環境で)特定の患者の必要性に合わせて調整することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キトサンを特徴とする組成物および、生物学的に活性な剤を開放骨折、複合創傷または他の感染部位へ局所的に届けるためにそのような組成物を使用する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
関連出願に対するクロスリファレンス
本願は、以下の米国仮出願Nos.:, Ser. Nos. 61/160,539(2009年3月16日に出願)、61/171,805(2009年4月22日に出願)および61/227,606(2009年7月22日に出願)に優先権主張し、各出願の全内容が、引用することにより、本明細書に組み入れられる。
【0003】
連邦政府による資金提供を受けた研究下でなされる発明に対する権利の記載
本研究は、米国陸軍からの以下の認可により後援された:AMEDD Grant No. W81 XWH-080312。政府は、本発明に権利を有する。
【0004】
発明の背景
皮膚は、感染に対して重要な障壁として役立つ。皮膚を傷める外傷はどれも、病原体の侵入および感染の機会を作る。開放骨折は、感染のために理想的な部位である。閉鎖骨折での手術部位感染は、3.6〜8.1%の範囲である。対照的に、開放骨折での手術部位感染は17.5〜21.2%の範囲である。開放骨折の部位に存在する病原体は、局所的な感染を作り得るだけでなく、骨および関連組織における深刻な感染を引き起こし得る。複合開放創傷はまた、多くの細菌に感染しやすい。傷に感染をさせる細菌のタイプは典型的には、外傷の原因に依存して変化する。感染の危険を減らすために、現行の標準のケアは、創傷清浄化、灌注および全身的抗生物質療法(systemic antibiotic therapy)を包含する。積極的治療および全身的抗生物質療法を用いてさえ、感染は相変わらず、病的状態および死亡の重大な原因である。外傷および感染により障害を生じさせられた組織はしばしば血管化を減らし、これは、循環する治療用物質の配送を制限する。傷められた組織における乏しい循環を補うために、全身的抗生物質の濃度の増加が通常必要とされる。抗生物質の毒性および全身の副作用が、この治療過程に関連する重大な問題である。手術後の感染、薬の副作用および関連する合併症は、病院滞在を著しく延長し、悪い結果を生じ得る。感染、特に開放骨折に関連する感染を治療もしくは防止するための現行の方法は不十分であり、外傷の部位での感染を防止もしくは治療するために剤を提供するための改善された組成物および方法が緊急に必要とされる。
【発明の概要】
【0005】
以下に記載されるように、本発明は、病原体感染の治療もしくは予防のために生物学的に活性な剤の配送に備えるキトサン組成物に特徴を有する。有利には、キトサン組成物の分解および薬剤溶出プロフィールは、ケアの場所で(例えば、手術室、診療所、医師の診察室または他の臨床環境において)特定の患者の必要性に合わせて調整することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様において、本発明は、所望の生物分解プロフィールを有する生物分解性キトサン組成物を製造する方法であって、溶媒中1種以上の酸中に少なくとも約51%の均一な脱アセチル化度を有するキトサンを溶解し、ここで酸および溶媒は、in vivoで少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日またはそれ以上にわたって生物分解するキトサンを生じるように選択されること;かつキトサンを、水分含量を約10〜100%(例えば10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%)だけ減らす条件下で、所望の形状に作り上げることを含む方法に特徴を有する。1つの実施態様において、この方法はさらに、ケアの場所で、キトサン組成物を有効量の少なくとも1種の剤と接触させること、および/または有効量の少なくとも1種の剤をキトサン組成物中に組み込むことを包含する。
【0007】
別の態様において、本発明は、所望の生物分解プロフィールを有する生物分解性キトサン組成物を製造する方法であって、溶媒中1種以上の酸中に少なくとも約51%の均一な脱アセチル化度を有するキトサンを溶解し、ここで酸および溶媒は、in vivoで少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日またはそれ以上にわたって生物分解するキトサンを生じるように選択されること;キトサンを、水分含量を約10〜100%(例えば10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%)だけ減らす条件下で、所望の形状に作り上げること;かつ、組成物を水、中性溶液または塩基性溶液と接触させることによって、キトサン組成物を中和し、ここで水、中性溶液または塩基性溶液は、キトサンの物理的-機械的性質を調節し、それによって生物分解性キトサン組成物を生じるように選択されることを含む方法に特徴を有する。1つの実施態様において、この方法はさらに、ケアの場所で、キトサン組成物を有効量の少なくとも1種の剤と接触させること、および/または有効量の少なくとも1種の剤をキトサン組成物中に組み込むことを包含する。
【0008】
なお別の態様において、本発明は、ケアの場所で臨床医により選択される剤を含む生物分解性キトサン組成物を製造する方法であって、溶媒中1種以上の酸中に所望の生物分解性プロフィールを有するキトサンを溶解し、ここで酸および溶媒は、in vivoで少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日またはそれ以上にわたって生物分解するキトサンを生じるように選択されること;キトサンを、水分含量を約10〜100%(例えば10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%)だけ減らす条件下で、所望の形状に作り上げること;組成物を水、中性溶液または塩基性溶液と接触させることによって、キトサン組成物を中和し、ここで水、中性溶液または塩基性溶液は、キトサンの物理的-機械的性質を調節し、それによって生物分解性キトサン組成物を生じるように選択されること;剤を選択すること;かつ、ケアの場所で、有効量の少なくとも1種の剤をキトサン組成物中に組み込むことを含む方法に特徴を有する。1つの実施態様において、組成物は、ケアの場所で剤と接触される。1つの実施態様において、剤(例えば抗微生物剤)は、外傷の原因に基づいて選択される。
【0009】
別の態様において、本発明は、上記態様のいずれかの方法によって製造されるキトサン組成物に特徴を有する。
別の態様において、本発明は、請求項1〜21のいずれかの方法によって製造されるキトサン組成物を含む創傷管理装置に特徴を有する。
1つの態様において、本発明は、少なくとも約51%の均一な脱アセチル化度を有し、水分含量が約0〜90%であるキトサンおよび、ケアの場所で選択される有効量の剤を含むかまたはそれから本質的に成る、in vivoで1〜35日以内に分解する、酸-処理されたキトサン組成物に特徴を有する。
別の態様において、本発明は、少なくとも約51%の均一な脱アセチル化度を有し、水分含量が約0〜90%であるキトサンおよび有効量の剤(例えば抗微生物剤、増殖因子、抗炎症薬、凝血促進剤および/または抗血栓症薬)を含むかまたはそれから本質的に成る、in vivoで1〜35日以内に分解する、酸処理されたキトサン組成物を含む創傷管理装置に特徴を有する。
【0010】
別の態様において、本発明は、外傷(例えば骨折、開放骨折、創傷、複合創傷および手術部位)の部位で患者における感染を治療もしくは予防するための方法であって、その部位を、請求項19および21〜31のいずれかに従って製造されるキトサン組成物ならびにケアの場所(手術室、診療所、医師の診察室または他の臨床環境)で選択される有効量の少なくとも1種の剤を含むかまたはそれから本質的に成る創傷管理装置と接触させることを含む方法に特徴を有する。
【0011】
別の態様において、本発明は、外傷(例えば骨折、開放骨折、創傷、複合創傷および手術部位)の部位で患者における感染を治療もしくは予防するための方法であって、その部位を、酸処理されたキトサン組成物を含む創傷管理装置と接触させることを含み、該組成物は、少なくとも約61%の均一な脱アセチル化度を有するキトサンおよびケアの場所で選択される有効量の少なくとも1種の剤を含むかまたはそれから本質的に成る方法に特徴を有する。
【0012】
別の態様において、本発明は、外傷の部位(例えば骨折、開放骨折、創傷、複合創傷および手術部位)に剤を局所的に届けるための方法であって、その部位を、ケアの場所で選択される剤を含むキトサン組成物と接触させ、それによって、その剤をその部位に届けることを含む方法に特徴を有する。1つの実施態様において、この方法はさらに、外傷の部位を灌注および創傷清浄化することを含む。
【0013】
別の態様において、本発明は、少なくとも約51%の均一な脱アセチル化度を有する酸処理されたキトサン組成物を含み、さらに有効量の剤を含む、移植のための医療装置に特徴を有する。1つの実施態様において、キトサン組成物は、装置に接着する膜である。別の実施態様においては、装置は、チタンまたはステンレス鋼を含む。なお別の実施態様においては、医療装置は補綴装置である。
【0014】
別の態様において、本発明は、外傷部位を治療するか、または剤を配送するのに使用するための、請求項22または24〜36項のいずれかのキトサン組成物を含むキットに特徴を有する。1つの実施態様において、キトサン組成物は、創傷管理装置または移植のための医療装置に存在する。別の実施態様において、キトサン組成物は、栓(plug)、メッシュ、片、縫合糸(suture)、外傷用手当て材料(dressing)、スポンジ、膜、ヒドロゲルまたはそれらの組合せの形態である。
【0015】
上記の態様のいずれかの種々の実施態様において、キトサン組成物は、膜、ヒドロゲル、メッシュ、栓、片、スポンジ、縫合糸、外傷用手当て材料、またはそれらの組合せの形態である。上記の態様のいずれかの他の実施態様において、剤は、任意の1種以上の抗微生物剤(例えば抗菌剤、抗ウィルス剤および抗真菌剤)、増殖因子、抗炎症薬、止血剤および抗血栓症薬である。上記の態様のいずれかの他の実施態様において、抗菌剤は、ダプトマイシン(daptomycin)、バンコマイシン(vancomycin)およびアミカシン(amikacin) のうちの任意の1種以上である。本明細書において述べられた発明の種々の実施態様において、キトサン組成物は、キトサン1g当たり約1μg〜500mg(1, 5, 10, 50, 100, 200, 300, 400, 500, 600, 700, 800, 900μg; 1, 5, 10, 25, 50, 75, 100, 125, 150, 200, 250, 300, 350, 400, 450, 500), 100-300 (100, 125, 150, 175, 200, 225, 250, 275, 300 mg), または200-300 (200, 300) mgの抗生物質を含む。本明細書において述べられた任意の発明の種々の実施態様において、キトサン組成物は、1時間当たり少なくとも約1μg〜1mgの抗生物質を放出する(例えば1, 5, 10, 25, 50, 75, 100, 200, 250, 300, 350, 400, 450, 500, 550, 600, 650, 700, 750, 800, 850, 900, 1000μg /時間)。上記態様または本明細書において述べられた発明の任意の態様の種々の実施態様において、キトサン組成物は、12〜72時間で、約1μg〜50mg(例えば1, 5, 10, 50, 100, 200, 300, 400, 500, 600, 700, 800, 900μg; 1,5, 10, 15, 20, 25, 30, 35, 40, 45, 50)の剤を放出する。本明細書において述べられた任意の発明の他の実施態様において、キトサン組成物は、スポンジ1cm3当たり約1μg〜500mgの剤を放出する。本明細書において述べられた任意の発明のなお他の実施態様において、キトサン組成物は、約24時間で約15〜40mgを放出するか、または約24時間で約20mgの剤を放出する。上記態様または本明細書において述べられた発明の任意の態様の種々の実施態様において、少なくとも約10〜1000μg(例えば10, 25, 50, 75, 100, 200, 250, 300, 350, 400, 450, 500, 550, 600, 650, 700, 750, 800, 850, 900, 1000μg)の剤が、1時間、24時間、または72時間で装置から溶出される。
【0016】
上記態様または本明細書において述べられた発明の任意の他の態様のなお他の実施態様において、キトサン組成物は、少なくとも約1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間にわたって、1週間、2週間、3週間にわたって、または1カ月、2カ月、3カ月またはそれ以上にわたって生物分解性である。他の実施態様において、キトサンは、酢酸、クエン酸、シュウ酸、プロピオン酸、アスコルビン酸、塩酸、蟻酸、サリチル酸および乳酸の任意の1種またはそれらの組合せである酸で処理される。本明細書において述べられた発明の種々の実施態様において、酸または酸溶媒は、1-99%(例えば1, 2, 3, 4, 5, 10, 15, 20, 25, 30, 35, 40, 45, 50, 55, 60, 65, 70, 75, 80, 85, 90, 95, 99, 100%)の乳酸および/または1-99%(例えば1, 2, 3, 4, 5, 10, 15, 20, 25, 30, 35, 40, 45, 50, 55, 60, 65, 70, 75, 80, 85, 90, 95, 99, 100%)の酢酸を含む。上記態様の1つの実施態様において、キトサンは、乳酸、酢酸またはそれら2種の組合せで処理される。本発明のなお他の実施態様において、酸溶媒は、75%の乳酸および25%の酢酸のブレンドを含む0.05%, 1%, 2%, 3%, 4%, または5%の酸溶液である。
【0017】
本明細書において述べられた発明の種々の実施態様において、キトサンの脱アセチル化度、重量パーセント、中和溶液、溶媒構成および/または結晶化度は、キトサン組成物の生物分解性プロフィール、溶出プロフィールおよび/または物理的-機械的性質を注文に合わせて変えるように、変えられる。種々の実施態様において、物理的-機械的性質は、引張り強度、ヤング率、膨張率、分解およびそれらの組合せからなる群より選択される。
【0018】
本発明のなお他の実施態様において、剤の有効量は、細菌細胞(例えばシュードモナス アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa) (lux) またはスタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus))の生存または増殖を減らすのに十分である。本明細書において述べられた任意の態様のなお他の実施態様において、この方法は、未処理の対照部位に比べて、キトサン組成物との接触後72時間で、少なくとも約20〜100%(例えば20, 25, 30, 35, 40, 45, 50, 55, 60, 65, 70, 75, 80, 85, 90, 95, 100%)だけ部位に存在する細菌を減らす。なお他の実施態様において、脱アセチル化度は、少なくとも約61、71または80%であるか、または組成物は、それぞれがそのようなパーセント脱アセチル化を有するキトサンの組合せを含む。任意の上記態様のなお他の実施態様において、キトサンのパーセント脱アセチル化または重量パーセントは、組成物の分解および溶出速度を注文に合わせて変えるように変えられる。なお他の実施態様において、酸は、組成物の分解および溶出速度を注文に合わせて変えるように変えられる。任意の上記態様のなお他の実施態様において、組成物は、治療の場所で臨床医によって剤をあつらえ装填される(custom loaded)。なお他の実施態様において、装置は、剤の長期間放出に備える。上記態様の1つの好ましい実施態様において、キトサン組成物は、0.175もしくは0.5M NaOHで中和される61DDAまたは71DDAキトサンを含む。1つの好ましい実施態様において、キトサン組成物は、乳酸および/または酢酸で処理された80%脱アセチル化キトサンである。なお他の実施態様において、所望の形状は、型中でキトサンを凍結させ、かつキトサンを凍結乾燥してスポンジを形成することによって、またはキトサンを薄層状に注ぎ、かつキトサンを加熱して脱水キトサン膜を形成することによって、得られる。本発明のなお他の実施態様において、キトサン組成物は成形されて、栓、メッシュ、片、縫合糸、外傷用手当て材料、スポンジまたは膜を形成する。なお他の実施態様において、キトサン組成物は、キトサンゲル中にキトサンスポンジを含み、ここでは、キトサンは、少なくとも約51%の均一な脱アセチル化度を有する。1つの実施態様において、少なくとも約25〜95%の複合物がゲル成分である。別の実施態様において、少なくとも約5〜75%の複合物がスポンジである。
【0019】
本明細書において述べられた方法の種々の実施態様において、この方法はex vivoである。本明細書において述べられた方法の種々の実施態様において、キトサンの脱アセチル化度、重量パーセント、中和溶液、溶媒構成および/または結晶化度は、キトサン組成物の生物分解性プロフィール、溶出プロフィールおよび/または物理的-機械的性質を注文に合わせて変えるように、変えられる。
【0020】
本明細書において述べられた方法の種々の実施態様において、この方法はさらに、キトサン組成物を、水、中性溶液または塩基性溶液と接触させることによって組成物を中和することを包含する。なお他の実施態様において、本発明はさらに、少なくとも約10%(例えば10%, 20%, 30%, 40%, 50%, 60%, 70%, 80%, 90%, 100%)だけ水分含量を減らすことを包含する。本明細書において述べられた方法のなお他の実施態様において、キトサン組成物は、患者に移植されるとき、少なくとも約3-5日間にわたって生物分解する。任意の上記態様の方法または本明細書において述べられた発明の任意の他の方法の種々の実施態様において、この方法はさらに、外傷の部位を灌注および創傷清浄化することを包含する。
【0021】
本発明は、キトサンを特徴とする組成物、および開放骨折、複合創傷または他の感染部位に生物学的に活性な剤を局所的に届けるためにそのような組成物を使用する方法を提供する。本発明により定義される組成物および物品は、分離されたか、またはさもなければ以下に提供される実施例に関連して製造された。本発明の他の特徴および利点は、詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになろう。
【0022】
定義
「キトサン」とは、少なくとも20%脱アセチル化されたキチン-誘導ポリマーを意味する。好ましくはキトサンは、少なくとも約50%脱アセチル化される。キチンは、(1-4)-結合した2-アセトアミド-2-デオキシ-b-D-グルコピラノースからなる線状の多糖である。キトサンは、(1-4)-結合した2-アミノ-2-デオキシ-b-D-グルコピラノースからなる線状の多糖である。典型的なキトサンポリマーを図15に示す。
「複合物」とは、物質の混合物を意味する。1つの実施態様において、複合物は、ヒドロゲル内に分散されたスポンジ断片を含む。
「酸処理されたキトサン」とは、酸性溶液中に可溶化されたキトサンを意味する。
「分解する」とは、全部または一部の物理的または化学的破壊を意味する。好ましくは、分解は、少なくとも約10%, 25%, 50%, 75%, 80%, 85%, 90%, 95%または100%だけ大きさの物理的減少を表す。
「膜」とは、物質の薄層を意味する。
「長期間の放出」とは、24〜72時間またはそれ以上の経過にわたっての剤の溶出を意味する。
「スポンジ」とは、三次元の多孔マトリックスを意味する。
「創傷管理装置」または「創傷回復装置」とは、外傷の部位で回復を保護または促進するために使用される任意の物質を意味する。
「剤」とは、任意の小さい化合物、抗体、核酸分子もしくはポリペプチド、またはそれらの断片を意味する。
「改善する」とは、疾病の展開または進行を縮小、抑制、減衰、減少、抑止または安定化させることを意味する。
「変更」とは、標準技術で公知の方法、例えば本明細書に記載されるものにより検出される遺伝子またはポリペプチドの発現レベルもしくは活性における変化(増加または減少)を意味する。本明細書において使用されるように、変更は、発現レベルの10%の変化、好ましくは25%の変化、より好ましくは40%の変化、最も好ましくは50%もしくはそれ以上の発現レベルの変化を包含する。
「類似体」とは、同一ではないが、類似の機能もしくは構造上の特徴を有する分子を意味する。例えば、キトサン類似体は、対応する参照キトサンポリマー(例えば製造されたキトサン)の生物学的活性を保持するが、参照のキトサンポリマーに比較して類似体の機能を向上させるある種の生物化学的修正を有する。そのような生物化学的修正は、類似体の、分解される能力、治療剤を取り込むかもしくは溶出する能力または機械的強度を増加もしくは減少させる能力を増大させることができる。
「抗微生物剤」とは、微生物の増殖もしくは生存を抑制もしくは安定化する剤を意味する。1つの実施態様において、静菌剤は抗微生物剤である。他の実施態様において、微生物(例えば細菌、真菌、ウィルス)を殺す任意の剤は抗微生物剤である。
「抗炎症薬」とは、組織における炎症反応の激烈さもしくは症状を減らす剤を意味する。組織内の炎症反応は一般に、白血球浸潤、浮腫、赤み、痛みおよび/または新血管新生によって特徴づけられる。炎症はまた、サイトカインまたは任意の他の炎症マーカーの濃度を分析することによって測定することができる。
「生物分解性」とは、生物学的活性による崩壊を受けやすいことを意味する。例えば、生物分解性キトサン組成物は、in vivoに存在する酵素(例えばリゾチーム、、N-アセチル-o-グルコサミニダーゼおよびリパーゼ)による崩壊を受けやすい。本発明のキトサン組成物の分解は、完全である必要はない。本発明のキトサン組成物は、例えば1個以上の化学結合(例えばグリコシド結合)の開裂によって、分解され得る。
「臨床医」とは、任意の健康管理提供者を意味する。典型的な臨床医は、限定されないが、医者、獣医師、整骨医、医師のアシスタント、非常時の医療専門技術者、医学生、看護士開業者、および看護士を包含する。
この開示において、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(containing)」、および「有する(having)」等は、米国特許法におけるそれらに帰する意味を有し、「含む(includes)」、「含む(including)」等を意味することができ;「本質的に成る(consisting essentially of)」または「本質的に成る(consists essentially)」等は、米国特許法におけるそれらに帰する意味を有し、その用語は制限がなく、列挙されるそれの基本のまたは新規な特徴が、列挙されるより多くの存在によって変えられない限り、列挙されるものより多くの存在を考慮に入れるが、従来技術の実施態様を除く。
「検出する」は、検出されるべき分析対象の存在、不在または量を明らかにすることをいう。
「注文に合わせて変える」とは、特定の患者の必要性に合わせて調整することを意味する。
「分解速度」とは、組成物を実質的に分解するのに必要とされる時間を意味する。少なくとも約75%, 85%, 90%, 95%またはそれ以上が分解されている場合に、組成物は実質的に分解される。キトサンの分解を測定する方法は当技術において公知であり、患者における移植後、またはキトサン分解活性を有する酵素にin vitro暴露した後に残る、本発明のスポンジ、膜、複合物もしくは他の組成物の量を測定することを包含する。
「疾病(disease)」とは、細胞、組織または器官の通常の機能に損害を与えるかまたはこれを妨げる任意の状態もしくは疾患(disorder)を意味する。1つの例において、疾病は、創傷部位に存在する細菌または他の感染症である。別の実施態様において、疾病は敗血症である。
「有効量」とは、未治療患者に比べて疾病の症状を改善するのに必要とされる剤の量を意味する。疾病の治療処置のために本発明を実施するのに使用される活性剤の有効量は、投与のやり方、患者の年齢、体重および一般的な健康状態に依存して変化する。結局、かかっている医師または獣医師が、適当な量および投与方式を決定するであろう。そのような量が「有効」量と称される。
「溶出速度」とは、剤が組成物から実質的に放出されるのに必要とされる時間を意味する。溶出は、それだけの剤が組成物内に残るかを決定することによって、またはどれだけの剤が組成物の周囲へと放出されたかを測定することによって、測定することができる。溶出は、部分的(10%, 25%, 50%, 75%, 80%, 85%, 90%, 95%もしくはそれ以上)または完全であり得る。1つの好ましい実施態様において、剤は、少なくとも約3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, もしくは10日間有効濃度で放出され続ける。
【0023】
本発明は、本明細書において述べられる方法によって特徴づけられる疾患を治療するための非常に特異的な薬剤の開発のために有用である多数の標的を提供する。さらに、本発明の方法は、患者に使用するために安全な治療を突き止めるための手軽な手段を提供する。さらに、本発明の方法は、高体積の処理量、高い感受性、および低い複雑さにて、本明細書において記載される傷の回復または病原体感染への効果について任意の数の化合物を実質的に分析するための経路を提供する。
【0024】
「断片」とは、ポリペプチドまたは核酸分子の一部分を意味する。この部分は、好ましくは、参照核酸分子もしくはポリペプチドの全長の少なくとも10%, 20%, 30%, 40%, 50%, 60%, 70%, 80%もしくは 90%を含む。断片は、10, 20, 30, 40, 50, 60, 70, 80, 90, もしくは 100, 200, 300, 400, 500, 600, 700, 800, 900もしくは1000個のヌクレオチドもしくはアミノ酸を含み得る。
「阻害性核酸」とは、哺乳動物の細胞に投与したとき、標的遺伝子の発現の低下(例えば10%, 25%, 50%, 75%だけ、または90- 100%すらの低下)を生じる、2本鎖RNA、siRNA、shRNAもしくはアンチセンスRNAまたはそれらの一部、またはそれらの模倣体を意味する。キトサン組成物は、ポリヌクレオチド、例えば阻害性核酸分子の配送のために有用であり、病原体感染および関連する疾病の治療または予防のために有用である。典型的には、核酸阻害剤は、標的核酸分子、またはそのオルソログ(ortholog)の少なくとも一部を含むか、または標的核酸分子の相補性の鎖の少なくとも一部を含む。例えば阻害性核酸分子は、任意のまたは全ての本明細書に述べられた核酸の少なくとも一部を含む。
「感染」とは、宿主の組織または器官に1種以上の病原体が存在することを意味する。感染は、外傷の部位で患者の組織内での微生物(例えば細菌、ウィルス、真菌)の増殖を包含する。
「マーカー」とは、疾病または疾患に関連する発現レベルまたは活性において変更を有する任意のタンパク質もしくはポリヌクレオチドを意味する。
「調節する」とは、変更する(増加もしくは減少する)ことを意味する。そのような変更は、標準の技術で公知の方法、例えば本明細書に記載される方法によって検出される。
本明細書において使用されるように、「剤を得る」におけるような「得る」は、剤を合成する、購入する、またはさもなければ取得することを包含する。
「物理的相互作用」とは、共有結合を必要としない会合を意味する。1つの実施態様において、物理的相互作用は、本発明のキトサン組成物中への組み込みを包含する。
「治療の場所」とは、健康管理が届けられる所を意味する。「治療の場所」は、限定されないが、手術室、医師の診察室、診療所または病院を包含する。
「ポリマー」とは、小さい分子を規則的なパターンで結合することによって形成される、天然もしくは合成の有機分子を意味する。
「プロフィール」とは、組成物またはプロセスを規定する一連の特徴を意味する。例えば、「生物分解プロフィール」は、組成物の生物分解の特徴をいう。別の例では、「溶出プロフィール」は、組成物の溶出の特徴をいう。
「補綴装置」とは、身体の欠けている部分または欠陥のある部分を置換するか、または補う、埋め込まれた医療装置を意味する。
「小さい分子」とは、任意の化合物を意味する。
「外傷」とは、患者の組織または器官を損傷する任意の怪我を意味する。怪我は、ひどい必要はない。したがって、外傷は、皮膚を傷める任意の怪我を包含する。
「調節」とは、生物学的機能または活性における任意の変更(例えば増加もしくは減少)を意味する。
「患者」とは、限定されないが、人または人以外の哺乳動物、例えば牛、馬、犬、羊または猫を含む哺乳動物を意味する。
「均一な脱アセチル化度」とは、単一のタイプのキトサンから作られたキトサン組成物をいう(例えば61DDA, 71DDA, または 81DDA)。1つの実施態様において、均一な脱アセチル化度を有するキトサン組成物は、組み合わせたタイプのキトサン(キトサンが異なる脱アセチル化度を有する)を有するキトサン組成物を除外する。
本明細書において使用されるように、「治療(treat)」、「治療する(treating)」、「治療(treatment)」等の用語は、それと関連する疾患および/または症状を減らすかまたは改善することをいう。除外されないが、疾患または状態を治療することは、それと関連する疾患、状態または症状が完全に除かれることを必要としないことが認識される。
本明細書において使用されるように、「防ぐ(prevent)」、「防ぐこと(preventing)」、「予防(prevention)」、「予防的(prophylactic)」等の用語は、疾患または状態をもっていないが、疾患または状態を生じさせやすいおそれのある患者において、疾患または状態を生じさせる確率を減らすことを意味する。
「参照」とは、標準または対照の状態を意味する。
「siRNA」とは、2本鎖RNAを意味する。最適には、siRNAは、長さが18, 19, 20, 21, 22, 23 または24個のヌクレオチドであり、その3’末端に2塩基オーバーハング(overhang)を有する。これらのdsRNAは、個々の細胞または動物全体に導入することができる;例えばそれらは、血流によって全身に導入され得る。そのようなsiRNAはmRNA濃度またはプロモーター活性を抑制するのに使用される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1A−1C】図1A−1Cは、滅菌されたキトサンからの抗生物質(アミカシン/バンコマイシン)の溶出を示すグラフである。
【図2A−2C】図2A−2Cは、キトサンスポンジを示す。図2Aは、再水和前の脱水したスポンジを示す。図2Bは、キトサンスポンジのin situ再水和を示す(平均の再水和は6.5ml)。図2Cは、脱水し、溶液中で1分後の再水和したキトサンスポンジを示す。
【図3A−3D】図3A−3Dは、滅菌キトサンスポンジを用いて行った阻害のゾーン(Zone of Inhibition) (ZOI)研究の結果を示す。各図(図3A−D)の左端の画像は、滅菌塩水に浸漬したスポンジであり、各図の2番目および3番目の画像は、5mg/mlの抗生物質溶液に浸漬したスポンジである。図3Aおよび3Bは、シュードモナス アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)に対するアミカシンに浸漬したスポンジについての、それぞれ24時間および48時間のZOI画像である。3Cおよび3Dは、スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)に対するバンコマイシンに浸漬したスポンジについての、それぞれ24時間および48時間のZOI画像である。測定された半径のZOIを、ミリメートルで各画像の下に挙げた。
【図4A−4D】図4A−4Dは、ヤギ脛骨開放骨折モデルにおける細菌細胞量を示すグラフである。図4Aは、シュードモナス アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)を用いた結果を示す。6-postおよび48-preに挙げた値は、6-preと名付けた第1の列に挙げた、灌注および創傷清浄化の6-時間前の元のレベルの百分率である。(与えられた値は、平均±平均の標準誤差である;n=5)図4Bは、ヤギ脛骨開放骨折モデルにおける細菌細胞量(スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus))のグラフ表示である。6-postおよび48-preに挙げた値は、6-preと名付けた第1の列に挙げた、灌注および創傷清浄化の6-時間前の元のレベルの百分率である。(与えられた値は、平均±平均の標準誤差である;No Tx群についてn=5、スポンジTx群についてn=4)図4Cは、シュードモナス アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)を用いた結果を示し、図4Dは、スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus) を用いた結果を示し、対照および、アミカシンまたはバンコマイシン治療群でのヤギ脛骨開放骨折モデルにおける細菌細胞量を示すグラフである。挙げられた値は、6-preと名付けた第1の列に挙げた、-灌注および創傷清浄化の6-時間前の元のレベルの百分率である(与えられた値は、平均±平均の標準誤差である;No Tx群についてn=5、スポンジTx群についてn=4)か、または細胞カウントである。(与えられた値は、平均+平均の標準誤差である;n=5)図4A~4Dのそれぞれにおいて、48hr-preは、接種後48時間および治療後42時間を意味する。
【図5A−5D】図5A−5Dは、ヤギの脛骨骨折モデルにおける細菌濃度を示す画像である。図5Aは、スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)について(ヤギ840-SP Txの)、怪我後、接種後6時間の、灌注および創傷清浄化前の細菌レベルを示す。図5Bは、怪我後、接種後6時間の、灌注および創傷清浄化後を示す。スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus) についてのpre-スポンジTx(ヤギ840-SP Tx)。図5Aおよび5Bの比較は、怪我後、接種後48時間で、灌注および創傷清浄化後での74%の細菌減少を示す(S.a.)(ヤギ94-No Tx)[スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)]。図5Cは、怪我後、接種後48時間で、灌注および創傷清浄化後を示す。42時間スポンジTx(ヤギ840-SP Tx))[スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)]。図5Dは、怪我後、接種後48時間で、灌注および創傷清浄化後を示す。(ヤギ94-No Tx))[スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)]。図5Cにおける、抗生物質を装填したキトサンスポンジでの治療後に観察された細菌カウントの比較 (S.a.) は0%である。それに対して、図5Dは、治療なしで357%細菌カウントのリバウンドを示す。
【図6】図6は、動物試験中ヤギ血清中に見出された抗生物質濃度のグラフ表示を提供する。血液は、手術後6, 12, 24, 36, および42時間に採取された。血清の抗生物質濃度は、TDxにより測定された。(アミカシンおよびバンコマイシン)。挙げられた値は、μg/ml±標準偏差である(アミカシン試料についてはn=5およびバンコマイシンについてはn=4)、左の列、アミカシン;右の列、バンコマイシン。
【図7】図7は、抗生物質の取り込みの結果を示すグラフである。ダプトマイシン(Daptomycin)はDと略し、バンコマイシンはVと略し、いずれでもないのはNと略し;数61, 71, および80を使用して、%脱アセチル化度を示し;酸溶媒、乳酸および酢酸は、それぞれLAおよびHAcと略す。乳酸とダプトマイシンおよび酢酸とバンコマイシンの膜変更物が、最高の抗生物質の取り込みの値を有していた。結果は、平均±標準偏差として示される(*, p ≧ 0.7769; * 対他の全て、**, + , ++ , p < 0.0001)。
【図8】図8は、in situ装填による1分間の再水和後のキトサン膜変更物の膨張率を示すグラフである。全ての群についてn=6測定値。D、LAおよびV、HAcの膜変更物は、より高い膨張率を有していた。結果は、平均±標準偏差として示される(*, p = 0.8381; *対**以外の他の全て、 p < 0.0001)。
【図9】図9は、最終的な引張り強度(UTS)の結果を示すグラフである。強度の尺度として、UTSは脱水されたキトサン膜試験片が壊れる応力をMPaで示した。脱水されたキトサン膜の最終的な引っ張り強度は、応力で報告した (*, p = 0.2131; *対他の全て, p < 0.0001)。膜変更物71HAc および80HAcは同様であり、他の変更物より有意に高いUTS値を有していた、全ての群についてn=6測定値。
【図10】図10は、弾性の結果を定量するグラフである。ヤング率は、応力対変形の比をMPaで示した。結果は平均±標準偏差として示される(**, p = 0.6597; **対他の全て, p < 0.0001)。膜変更物71HAc および80HAcは同様であり、全ての他の変更物より有意に高いヤング率を有していた。全ての群についてn=6測定値。
【図11A−11B】図11Aおよび11Bは、平均±標準偏差として示されるin situ装填されたキトサン膜からの、それぞれダプトマイシンおよびバンコマイシンの溶出を示すグラフである。71%DDA膜についての両方の抗生物質の放出プロフィールは、釣鐘形の放出を示した。全ての群についてn=3測定値。
【図12】図12は、移植成分または固定具を引き離すのに必要とされる力を測定するのに使用される一般的試験機を示す。円筒形の粘着性の試験固定具が、一般的試験機のグリップに配置して示され、水和されたキトサン膜が粘着性固定具の間の位置にある。
【図13】図13は、キトサン膜の接着試験の結果を示すグラフである。接着試験は、接着強度、すなわち、kPaで表す面積当たりの最大引っ張り荷重を測定する。チタンおよびステンレス鋼合金基体に対する1分間再水和されたキトサン膜の接着強度を測定した。接着強度は、平均±標準偏差として示される(* 対他の全て, p ≦0.0310)。これらの結果は、SS上の61%および80%DDA、乳酸膜変更物ならびにTi上の71%DDA、乳酸膜変更物が最大の接着強度を有することを示した。チタン合金固定具上の71LA膜は、SS61LA およびTi71LAを除く全ての他の変更物より有意に高い接着強度を有していた。全ての群についてn=6測定値。左の列、チタン;右の列、ステンレス鋼。
【図14A−14B】図14Aおよび14Bは、抗生物質を用いるキトサン膜および用いないキトサン膜の分解を示す。図14Aは、ダプトマイシンをin situ装填された膜のリゾチームが仲介する分解を示す。図14Bは、バンコマイシンをin situ装填された膜のリゾチームが仲介する分解を示す。それぞれは、平均±標準偏差として示される(*p = 0.0243; **, p = 0.0300; + , p = 0.0133; ++ , p < 0.0001)。80時間で、71%および80%DDA膜は、分解速度に有意の減少を示した。全ての群についてn=5測定値。
【図15A−15B】図15Aおよび15Bは、溶出試料の抗生物質活性を示す。図15Aは、ダプトマイシン溶出試料の抗生物質活性を示す。図15Bは、バンコマイシン溶出試料の抗生物質活性を示す。活性は、S. アウレウス(S.aureus)の増殖のパーセント抑制によって示され、平均±標準偏差として示される。72時間にわたる全ての変更物試料が、ほぼ完全に抑制した。全ての群についてn=3測定値。
【図16】図16は、キトサンポリマーの分子構造を示す。R官能基は、H(脱アセチル化された)またはCOCH3(アセチル化された)単位である。
【図17】図17は、キトサンスポンジからの抗生物質の放出を示すグラフである。キトサンスポンジは、スポンジ当たり1種の抗生物質のみを含んでいた(すなわち、アミカシン単独装填、バンコマイシン単独装填および、ダプトマイシン単独装填)。アミカシンおよびバンコマイシンの放出は、研究の持続期間中同様のプロフィールを示したが、それに対して、ダプトマイシンの放出は、72時間の時点で、他の2種の試験した抗生物質より有意に少ない。濃度は、ミリリットル当たりのマイクログラムで与えられる(20mlPBSを溶出媒体として使用した)。表に濃度測定値が提供される。第1群はアミカシンのみを含み、第2群はバンコマイシンのみを含み、かつ第3群はダプトマイシンのみを含んでいた。5mg/mlの有効濃度のアミカシン、バンコマイシンまたはダプトマイシンを含む溶液を使用して、キトサンスポンジを水和した(n=3)。
【図18】図18は、キトサンスポンジからのアミカシンの放出を示すグラフである。バンコマイシンもダプトマイシンも、アミカシンの放出に影響を及ぼさなかった。濃度は、ミリリットル当たりのマイクログラムで与えられる(20mlPBSを溶出媒体として使用した)。表に濃度測定値が提供される。第1群はアミカシンのみであり、第2群はアミカシン+バンコマイシンを含み、かつ第3群はアミカシン+ダプトマイシンを含んでいた。5mg/mlの有効濃度のアミカシン、アミカシン+バンコマイシンまたはアミカシン+ダプトマイシンを含む溶液を使用して、キトサンスポンジを水和した(n=3)。
【図19】図19は、キトサンスポンジからのバンコマイシンの放出を示すグラフである。アミカシンはバンコマイシンの放出に影響を及ぼさなかった。濃度は、ミリリットル当たりのマイクログラムで与えられる(20mlPBSを溶出媒体として使用した)。表に濃度測定値が提供される。第1群はバンコマイシンのみであり、かつ第2群はバンコマイシン+アミカシンを含んでいた。5mg/mlの有効濃度のバンコマイシンまたはバンコマイシン+アミカシンを含む溶液を使用して、キトサンスポンジを水和した(n=3)。
【図20】図20は、キトサンスポンジからのダプトマイシンの放出を示すグラフである。アミカシンはバンコマイシンの放出に影響を及ぼさなかった。濃度は、ミリリットル当たりのマイクログラムで与えられる(20mlPBSを溶出媒体として使用した)。表に濃度測定値が提供される。第1群はダプトマイシンのみを含み、かつ第2群はダプトマイシン+アミカシンを含んでいた。5mg/mlの有効濃度のダプトマイシンまたはダプトマイシン+アミカシンを含む溶液を使用して、キトサンスポンジを水和した(n=3)。
【図21A−21B】図21Aおよび21Bは、マウスの後肢において皮下にカテーテル表面に隣接して移植されたキトサンスポンジを示す画像である。キトサンスポンジは、カテーテルの分節の移植直前に埋め込まれた。100μlの105 CFUの細菌接種物(USA300, CA- MRSA)の注入を、カテーテルの内腔中に行った。
【図22】図22は、ダプトマイシン装填およびバンコマイシン装填したキトサンスポンジを有する患者から回収したカテーテルを示すグラフであり、全ての回収した移植物に細菌は存在しなかった。各治療のタイプ内で、回収されたカテーテル当たりのコロニー形成単位をグラフにする。リネゾリド(linezolid)を装填し、かつPBSを装填したキトサンスポンジならびにカテーテルのみの対照を含む群は全て、移植物上にコロニーを形成した細菌が存在した。ダプトマイシンを装填したキトサンスポンジおよびバンコマイシンを装填したキトサンスポンジの群は、cfu/カテーテルに関して、他の3群から統計学的に有意であった(p<0.0001)。他の3群は互いに統計学的に有意でなかった。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に記載するように、本発明は、生物学的に活性な剤の局所的配送に備えるキトサン組成物(例えば固体、スポンジ、膜、ヒドロゲル、複合物)および、感染を治療もしくは予防するかまたは回復を促進するためにそのような組成物を使用する方法に特徴を有する。
本発明は、酸処理されたキトサンが、その分解および溶出特性を特定の患者の必要性に合わせて注文に応じて変えることができる創傷管理装置を形成することができるという発見に、少なくとも一部基づく。
【0027】
キトサン
キトサンは、ランダムに分布されたβ-(l-4)-2-アミノ-2-D-グルコサミン(脱アセチル化) およびβ-(l-4)-2-アセトアミド- 2-D-グルコサミン(アセチル化)単位から成る天然に生じる線状の多糖である(図16)。キトサンは、天然に生じるポリマーであるキチンから誘導される。キチンは、菌類、軟体動物から分離されるか、または節足動物(例えば甲殻類、昆虫)の外骨格から分離される、白色の堅い非弾性の窒素を含む多糖である。キトサンを得るための主な手順は、強アルカリ溶液を用いたキチンのアルカリ脱アセチル化である。一般に、原材料を砕き、水または洗剤で洗浄し、そして小片に粉砕する。粉砕後、原材料をアルカリおよび酸で処理して、原料粉砕材料からポリマーを分離する。ポリマーは次に、アルカリでの処理によって脱アセチル化される。キチンおよびキトサンは、その脱アセチル化度(DDA)が異なる。キチンは0%の脱アセチル化度を有するが、一方、純キトサンは100%の脱アセチル化度を有する。典型的には、脱アセチル化度が約50%より大きいときに、ポリマーをキトサンと称する。
【0028】
キトサンは、実質的に水および有機溶媒に不溶性であるカチオン性の弱塩基である。典型的には、キトサンは、希薄な酸溶液、例えば酢酸、クエン酸、シュウ酸、プロピオン酸、アスコルビン酸、塩酸、蟻酸および乳酸、ならびに他の有機酸および無機酸にかなり可溶性である。キトサンの電荷は、負に帯電した表面、例えば外傷の部位に存在する生物組織、または負に帯電した移植された装置に結合するのを可能にする生物接着特性を与える。キトサンの脱アセチル化度は、その再吸収に影響を及ぼす。50%の脱アセチル化度を有するキトサン組成物は、in vivoで非常に分解性である。脱アセチル化度が増加すると、キトサンは分解に対して著しく耐性になる。95%より高い脱アセチル化度を有するキトサン組成物は、数週間または数カ月にわたってゆっくりと分解する。体内では、キトサンは、リゾチーム、N-アセチル-o-グルコサミニダーゼおよびリパーゼによって分解される。リゾチームは、繰り返しのキトサン単位間のグリコシド結合を開裂することによってキトサンを分解する。キトサン分解の副生物は、糖およびグルコサミンであり、これらは人体により徐々に吸収される。したがって、キトサンが、治療剤または予防剤の局所配送のために使用されるとき、二次的な除去の手術は必要とされない。
【0029】
本明細書において報告されるように、キトサン組成物(例えば固体、スポンジ、膜、ヒドロゲル、複合物)は、ケアの場所(手術室、診療所または医師の診察室、外傷の場所、戦場)で、生物学的に活性な剤を装填され得る。この特性は、臨床医が、キトサン創傷管理装置に装填するのに使用される抗生物質または他の剤を、特定の患者の必要性に合わせてあつらえるのを可能にする。1つの実施態様において、脱アセチル化度を調整して、約24時間、36時間、48時間もしくは72時間の僅かな時間で分解するか、または長期間維持される(例えば4, 5, 6, 7, 8, 9, 10日間)キトサン組成物が提供される。他の実施態様において、本発明のキトサン組成物は、少なくとも約2〜6週間、またはそれ以上(例えば2, 3, 4, 5, 6 週間、2、3もしくは4カ月)の間身体中に保持される。なお他の実施態様において、本発明のキトサン組成物は、傷または他の外傷部位における血液凝固を促進する(止血)。他の実施態様において、キトサン組成物は、臨床医が選択し、少なくとも約1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, もしくは10日間にわたって、またはさらに長期間配送される治療剤または予防剤を装填される。
【0030】
抗微生物剤
スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカス エピダーミディス(staphylococcus epidermidis)およびシュードモナス アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa) は、筋骨格の傷部位に一般に存在する病原体である。S. アウレウス(S aureus)は、骨髄炎および非淋菌性細菌性関節炎の1つの原因であり、しばしば補綴結合部の感染と関連がある。本発明は、創傷、複合創傷、開放骨折または他の部位の外傷における感染を治療または予防するのに有用なキトサン組成物を提供する。当技術分野で公知の任意の抗微生物剤を、そのような剤について一般に使用される濃度で、本発明のキトサン組成物に使用できる。
【0031】
本発明のキトサン組成物において有用な抗微生物剤は、限定されないが、抗菌剤、抗真菌剤および抗ウィルス剤を包含する。本明細書において使用される抗微生物剤は、病原体の生存、生長、増殖を減らすかまたは安定化させる剤である。抗微生物剤は、限定されないが、以下のものを包含する:
アズトレオナム(Aztreonam); クロルヘキシジン グルコン酸塩(Chlorhexidine Gluconate); イミドゥレア(Imidurea); リセタミン(Lycetamine); ニブロキサン(Nibroxane); ピラズモナム ナトリウム(Pirazmonam Sodium); プロピオン酸; ピリチオンナトリウム; 塩化サングイナリウム (Sanguinarium Chloride); チゲモナム ジコリン(Tigemonam Dicholine); アセダプソン(Acedapsone); アセトスルホンナトリウム;アラメシン(Alamecin); アレキシジン(Alexidine); アムジノシリン(Amdinocillin); アムジノシリン ピボキシル(Amdinocillin Pivoxil); アミサイクリン(Amicycline); アミフロキサシン(Amifloxacin); アミフロキサシン メシレート(Amifloxacin Mesylate); アミカシン; 硫酸アミカシン; アミノサリチル酸; アミノサリチル酸ナトリウム; アモキシシリン(Amoxicillin); アンホマイシン(Amphomycin); アンピシリン(Ampicillin); アンピシリンナトリウム(Ampicillin Sodium); アパルシリンナトリウム(Apalcillin Sodium); アプラマイシン(Apramycin); アスパルトシン(Aspartocin); 硫酸アストロマイシン(Astromicin Sulfate); アビラマイシン(Avilamycin); アボパルシン(Avoparcin); アジスロマイシン(Azithromycin); アズロシリン(Azlocillin); アズロシリンナトリウム(Azlocillin Sodium); 塩酸バカンピシリン(Bacampicillin Hydrochloride); バシトラシン(Bacitracin); バシトラシン メチレンジサリチレート(Bacitracin Methylene Disalicylate); バシトラシン亜鉛(Bacitracin Zinc); バンベルマイシン(Bambermycins); ベンゾイルパスカルシウム(Benzoylpas Calcium); ベリスロマイシン(Berythromycin); 硫酸ベタマイシン(Betamicin Sulfate); ビアペネム(Biapenem); ビニラマイシン(Biniramycin);塩酸ビフェナミン; ビスピリチオン マグサルフェックス(Bispyrithione Magsulfex); ブチカシン(Butikacin); 硫酸ブチロシン(Butirosin Sulfate);硫酸カプレオマイシン(Capreomycin Sulfate); カルバドックス(Carbadox); カルベニシリンジナトリウム(Carbenicillin Disodium); カルベニシリンインダニルナトリウム(Carbenicillin Indanyl Sodium); カルベニシリンフェニルナトリウム(Carbenicillin Phenyl Sodium); カルベニシリンカリウム(Carbenicillin Potassium); カルモナムナトリウム(Carumonam Sodium); セファクロル(Cefaclor); セファドロキシル(Cefadroxil); セファマンドール(Cefamandole); セファマンドールナフェート(Cefamandole Nafate); セファマンドールナトリウム(Cefamandole Sodium); セファパロール(Cefaparole); セファトリジン(Cefatrizine); セファザフルルナトリウム(Cefazaflur Sodium); セファゾリン(Cefazolin); セファゾリンナトリウム(Cefazolin Sodium); セフブペラゾン(Cefbuperazone); セフジニル(Cefdinir); セフェピン(Cefepime); 塩酸セフェピン(Cefepime Hydrochloride); セフェテコル(Cefetecol); セフィキシン(Cefixime); 塩酸セフィネノキシン(Cefinenoxime Hydrochloride); セフメタゾール(Cefmetazole); セフメタゾールナトリウム(Cefmetazole Sodium); セフォニシドモノナトリウム(Cefonicid Monosodium); セフォニシドナトリウム(Cefonicid Sodium); セフォペラゾンナトリウム(Cefoperazone Sodium); セフォラニド(Ceforanide); セフォタキシンナトリウム(Cefotaxime Sodium); セフォテタン(Cefotetan); セフォテタンジナトリウム(Cefotetan Disodium); 塩酸セフォチアム(Cefotiam Hydrochloride); セフォキシチン(Cefoxitin); セフォキシチンナトリウム(Cefoxitin Sodium); セフピミゾール(Cefpimizole); セフピミゾールナトリウム(Cefpimizole Sodium); セフピラミド(Cefpiramide); セフピラミドナトリウム(Cefpiramide Sodium); 硫酸セフピロン(Cefpirome Sulfate); セフポドキシンプロキセチル(Cefpodoxime Proxetil); セフプロジル(Cefprozil); セフプロキサジン(Cefroxadine); セフスロジンナトリウム(Cefsulodin Sodium); セフタジジン(Ceftazidime); セフチブテン(Ceftibuten); セフチゾキシンナトリウム(Ceftizoxime Sodium);セフトリアキソンナトリウム(Ceftriaxone Sodium); セフロキシン(Cefuroxime); セフロキシンアクセチル(Cefuroxime Axetil); セフロキシンピボキセチル(Cefuroxime Pivoxetil); セフロキシンナトリウム(Cefuroxime Sodium); セファセトリルナトリウム(Cephacetrile Sodium); セファレキシン(Cephalexin); 塩酸セファレキシン(Cephalexin Hydrochloride), セファログリシン(Cephaloglycin); セファロリジン(Cephaloridine); セファロシンナトリウム(Cephalothin Sodium); セファピリンナトリウム(Cephapirin Sodium); セフラジン(Cephradine); 塩酸セトサイクリン(Cetocycline Hydrochloride); セトフェニコール(Cetophenicol);
クロラムフェニコール(Chloramphenicol); パルミチン酸クロラムフェニコール(Chloramphenicol Palmitate); パントテン酸クロラムフェニコール複合体(Chloramphenicol Pantothenate Complex); コハク酸クロラムフェニコールナトリウム(Chloramphenicol Sodium Succinate); クロルヘキシジンホスファニレート(Chlorhexidine Phosphanilate); クロロキシレノール(Chloroxylenol); 重硫酸クロルテトラサイクリン(Chlortetracycline Bisulfate); 塩酸クロルテトラサイクリン(Chlortetracycline Hydrochloride); シノキサシン(Cinoxacin); シプロフロキサシン(Ciprofloxacin); 塩酸シプロフロキサシン(Ciprofloxacin Hydrochloride); シロレマイシン(Cirolemycin); クラリスロマイシン(Clarithromycin); 塩酸クリナフロキサシン(Clinafloxacin Hydrochloride); クリンダマイシン(Clindamycin); 塩酸クリンダマイシン(Clindamycin Hydrochloride);パルミチン酸塩酸クリンダマイシン(Clindamycin Palmitate Hydrochloride); リン酸クリンダマイシン(Clindamycin Phosphate); クロファジミン(Clofazimine); クロキサシリンベンザシン(Cloxacillin Benzathine); クロキサシリンナトリウム(Cloxacillin Sodium); クロキシキン(Cloxyquin); コリスチメタートナトリウム(Colistimethate Sodium); 硫酸コリスチン(Colistin Sulfate); クメルマイシン(Coumermycin); クメルマイシンナトリウム(Coumermycin Sodium); シクラシリン(Cyclacillin); シクロセリン(Cycloserine); ダルホプリスチン(Dalfopristin); ダプソン(Dapsone);
ダプトマイシン(Daptomycin); デメクロサイクリン(Demeclocycline); 塩酸デメクロサイクリン(Demeclocycline Hydrochloride); デメサイクリン(Demecycline); デノフンギン(Denofungin); ジアベリジン(Diaveridine); ジクロキサシリン(Dicloxacillin); ジクロキサシリンナトリウム(Dicloxacillin Sodium); 硫酸ジヒドロストレプトマイシン(Dihydrostreptomycin Sulfate); ジピリチオン(Dipyrithione); ジリスロマイシン(Dirithromycin); ドキシサイクリン(Doxycycline); ドキシサイクリンカルシウム(Doxycycline Calcium); ドキシサイクリンフォスファテックス(Doxycycline Fosfatex); ドキシサイクリンハイクレート(Doxycycline Hyclate); ドロキサシンナトリウム(Droxacin Sodium); エノキサシン(Enoxacin); エピシリン(Epicillin); 塩酸エピテトラサイクリン(Epitetracycline Hydrochloride); エリスロマイシン(Erythromycin); エリスロマイシンアシストレート(Erythromycin Acistrate); エリスロマイシンエストレート(Erythromycin Estolate); エチルコハク酸エリスロマイシン(Erythromycin Ethylsuccinate); エリスロマイシングルセプテート(Erythromycin Gluceptate); エリスロマイシンラクトビオネート(Erythromycin Lactobionate); プロピオン酸エリスロマイシン(Erythromycin Propionate); ステアリン酸エリスロマイシン(Erythromycin Stearate); 塩酸エタンブトール(Ethambutol Hydrochloride); エチオナミド(Ethionamide); フレロキサシン(Fleroxacin); フロキサシリン(Floxacillin); フルダラニン(Fludalanine); フルメキン(Flumequine); ホスホマイシン(Fosfomycin); ホスホマイシントロメタミン(Fosfomycin Tromethamine); フモキシシリン(Fumoxicillin); 塩化フラゾリウム(Furazolium Chloride); 酒石酸フラゾリウム(Furazolium Tartrate); フシジン酸ナトリウム(Fusidate Sodium); フシジン酸(Fusidic Acid); 硫酸ゲンタマイシン(Gentamicin Sulfate); グロキシモナム(Gloximonam); グラミシジン(Gramicidin); ハロプロジン(Haloprogin); ヘタシリン(Hetacillin); ヘタシリンカリウム(Hetacillin Potassium); ヘキセジン(Hexedine); イバフロキサシン(Ibafloxacin); イミペネム(Imipenem); イソコナゾール(Isoconazole); イセパミシン(Isepamicin); イソニアジド(Isoniazid); ジョサマイシン(Josamycin); 硫酸カナマイシン(Kanamycin Sulfate); キタサマイシン(Kitasamycin); レボフラルタゾン(Levofuraltadone); レボプロピルシリンカリウム(Levopropylcillin Potassium); レキシスロマイシン(Lexithromycin); リンコマイシン(Lincomycin); 塩酸リンコマイシン(Lincomycin Hydrochloride); ロメフロキサシン(Lomefloxacin); 塩酸ロメフロキサシン(Lomefloxacin Hydrochloride); ロメフロキサシンメシレート(Lomefloxacin Mesylate); ロラカルベフ(Loracarbef); マフェニド(Mafenide); メクロサイクリン(Meclocycline); スルホサリチル酸メクロサイクリン(Meclocycline Subsalicylate); リン酸メガロマイシンカリウム(Megalomicin Potassium Phosphate); メキドックス(Mequidox); メロペネム(Meropenem);
メタサイクリン(Methacycline); 塩酸メタサイクリン(Methacycline Hydrochloride); メテナミン(Methenamine); メテナミンヒッププレート(Methenamine Hippurate); マンデル酸メテナミン(Methenamine Mandelate); メチシリンナトリウム(Methicillin Sodium); メチオプリム(Metioprim); 塩酸メトロニダゾール(Metronidazole Hydrochloride); リン酸メトロニダゾール(Metronidazole Phosphate); メズロシリン(Mezlocillin); メズロシリンナトリウム(Mezlocillin Sodium); ミノサイクリン(Minocycline); 塩酸ミノサイクリン(Minocycline Hydrochloride); ミリンカマイシンリドロクロリド(Mirincamycin lydrochloride); モネンシン(Monensin); モネンシンナトリウム(Monensin Sodium); ナフシリンナトリウム(Nafcillin Sodium); ナリジクス酸ナトリウム(Nalidixate Sodium); ナリジクス酸(Nalidixic Acid); ナタマイシン(Natamycin); ネブラマイシン(Nebramycin); パルミチン酸ネオマイシン(Neomycin Palmitate); 硫酸ネオマイシン(Neomycin Sulfate); ウンデシレン酸ネオマイシン(Neomycin Undecylenate); 硫酸ネチルマイシン(Netilmicin Sulfate); ニュートラマイシン(Neutramycin); ニフラデン(Nifuradene); ニフラルデゾン(Nifuraldezone); ニフラテル(Nifuratel); ニフラトロン(Nifuratrone); ニフルダジル(Nifurdazil); ニフリミド(Nifurimide); ニフルピリノール(Nifurpirinol); ニフルキナゾール(Nifurquinazol); ニフルチアゾール(Nifurthiazole);
ニトロサイクリン(Nitrocycline); ニトロフラントイン(Nitrofurantoin); ニトロミド(Nitromide); ノルフロキサシン(Norfloxacin); ノボビオシンナトリウム(Novobiocin Sodium); オフロキサシン(Ofloxacin); オルメトプリム(rmetoprim); オキサシリンナトリウム(Oxacillin Sodium); オキシモナム(Oximonam); オキシモナムナトリウム(Oximonam Sodium); オキソリン酸(Oxolinic Acid); オキシテトラサイクリン(Oxytetracycline); オキシテトラサイクリンカルシウム(Oxytetracycline Calcium); 塩酸オキシテトラサイクリン(Oxytetracycline Hydrochloride); パルジマイシン(Paldimycin); パラクロロフェノール(Parachlorophenol); パウロマイシン(Paulomycin); ペフロキサシン(Pefloxacin); ペフロキサシンメシレート(Pefloxacin Mesylate); ペナメシリン(Penamecillin); ペニシリンGベンザチン(Penicillin G Benzathine); ペニシリンG カリウム(Penicillin G Potassium); ペニシリンG プロカイン(Penicillin G Procaine); ペニシリンG ナトリウム(Penicillin G Sodium); ペニシリンV (Penicillin V); ペニシリンVベンザチン(Penicillin V Benzathine); ペニシリンV ヒドラバミン(Penicillin V Hydrabamine); ペニシリンV カリウム(Penicillin V Potassium); ペンチジドンナトリウム(Pentizidone Sodium); アミノサリチル酸フェニル(Phenyl Aminosalicylate); ピペラシリンナトリウム(Piperacillin Sodium); ピルベニシリンナトリウム(Pirbenicillin Sodium); ピリジシリンナトリウム(Piridicillin Sodium);
塩酸ピルリマイシン(Pirlimycin Hydrochloride); 塩酸ピバムピシリン(Pivampicillin Hydrochloride); ピバムピシリンパモエート(Pivampicillin Pamoate); ピバムピシリンプロベネート(Pivampicillin Probenate); 硫酸ポリミキシンB(Polymyxin B Sulfate); ポルフィロマイシン(Porfiromycin); プロピカシン(Propikacin); ピラジナミド(Pyrazinamide); ピリチオン亜鉛(Pyrithione Zinc); 酢酸キンデカミン(Quindecamine Acetate); キヌプリスチン(Quinupristin); ラセフェニコール(Racephenicol); ラモプラニン(Ramoplanin); ラニマイシン(Ranimycin); レロマイシン(Relomycin); レプロマイシン(Repromicin); リファブチン(Rifabutin); リファメタン(Rifametane); リファメキシル(Rifamexil); リファミド(Rifamide); リファムピン(Rifampin); リファペンチン(Rifapentine); リファキシミン(Rifaximin); ロリテトラサイクリン(Rolitetracycline); 硝酸ロリテトラサイクリン(Rolitetracycline Nitrate); ロサラマイシン(Rosaramicin); 酪酸ロサラマイシン(Rosaramicin Butyrate); プロピオン酸ロサラマイシン(Rosaramicin Propionate); リン酸ロサラマイシンナトリウム(Rosaramicin Sodium Phosphate); ステアリン酸ロサラマイシン(Rosaramicin Stearate); ロソキサシル(Rosoxacil); ロキサルソン(Roxarsone); ロキシスロマシシン(Roxithromycin); サンサイクリン(Sancycline); サンフェトリネムナトリウム(Sanfetrinem Sodium); サルモキシシリン(Sarmoxicillin); サルピシリン(Sarpicillin);
スコパフンギン(Scopafungin); シソマイシン(Sisomicin); 硫酸シソマイシン(Sisomicin Sulfate); スパルフロキサシン(Sparfloxacin); 塩酸スペクチノマイシン(Spectinomycin Hydrochloride); スピラマイシン(Spiramycin); 塩酸スタリマイシン(Stallimycin Hydrochloride); ステッフィマイシン(Steffimycin); 硫酸ストレプトマイシン(Streptomycin Sulfate); ストレプトニコジド(Streptonicozid); スルファベンズ(Sulfabenz): スルファベンズアミド(Sulfabenzamide); スルファセタミド(Sulfacetamide); スルファセタミドナトリウム(Sulfacetamide Sodium); スルファサイチン(Sulfacytine); スルファジアジン(Sulfadiazine); スルファジアジンナトリウム(Sulfadiazine Sodium); スルファドキシン(Sulfadoxine); スルファレン(Sulfalene); スルファメラジン(Sulfamerazine); スルファメテル(Sulfameter); スルファメタジン(Sulfamethazine); スルファメチゾール(Sulfamethizole); スルファメトキサゾール(Sulfamethoxazole); スルファモノメトキシン(Sulfamonomethoxine); スルファモキソール(Sulfamoxole); スルファニレート亜鉛(Sulfanilate Zinc); スルファニトラン(Sulfanitran); スルファサラジン(Sulfasalazine); スルファソミゾール(Sulfasomizole); スルファチアゾール(Sulfathiazole); スルファザメト(Sulfazamet); スルフィソキサゾール(Sulfisoxazole);スルフィソキサゾールアセチル(Sulfisoxazole Acetyl); スルフィソキサゾールジオラミン(Sulfisoxazole Diolamine); スルフォマイキシン(Sulfomyxin); スロペネム(Sulopenem); スルタミシリン(Sultamicillin); スンシリンナトリウム(Suncillin Sodium); 塩酸タラムピシリン(Talampicillin Hydrochloride); テイコプラニン(Teicoplanin); 塩酸テマフロキサシン(Temafloxacin Hydrochloride); テモシリン(Temocillin); テトラサイクリン(Tetracycline); 塩酸テトラサイクリン(Tetracycline Hydrochloride); リン酸テトラサイクリン複合物(Tetracycline Phosphate Complex); テトロキソプリム(Tetroxoprim); チアムフェニコール(Thiamphenicol); チフェンシリンカリウム(Thiphencillin Potassium); チカルシリンクレジルナトリウム(Ticarcillin Cresyl Sodium): チカルシリンジナトリウム(Ticarcillin Disodium); チカルシリンモノナトリウム(Ticarcillin Monosodium); チクラトン(Ticlatone); 塩化チオドニウム(Tiodonium Chloride); トブラマイシン(Tobramycin); 硫酸トブラマイシン(Tobramycin Sulfate); トスフロキサシン(Tosufloxacin); トリメトプリム(Trimethoprim); 硫酸トリメトプリム(Trimethoprim Sulfate); トリスルファピリミジン(Trisulfapyrimidines); トロレアンドマイシン(Troleandomycin); 硫酸トロスペクトマイシン(Trospectomycin Sulfate); チロスリシン(Tyrothricin); バンコマイシン(Vancomycin); 塩酸バンコマイシン(Vancomycin Hydrochloride); ビルギニアマイシン(Virginiamycin); ゾルバマイシン(Zorbamycin);
塩酸ジフロキサシン(Difloxacin Hydrochloride); 臭化ラウリルイソキノリニウム(Lauryl Isoquinolinium Bromide); モキサラクタムジナトリウム(Moxalactam Disodium); オルニダゾール(Ornidazole); ペンチソマイシン(Pentisomicin)および塩酸サラフロキサシン(Sarafloxacin Hydrochloride)。特定の実施態様においては、キトサン組成物は、ダプトマイシンを含む。
【0032】
1つの好ましい実施態様において、本発明のキトサン組成物は、多剤耐性菌を治療する剤を含む。1つのアプローチでは、リネゾリド(linezolid)を使用して多剤耐性グラム陽性菌を治療することができる。リネゾリドは、商品名Zyvox (ファイザー(Pfizer))の下に市販されていて入手可能である。
【0033】
他の実施態様において、キトサン組成物は、以下のものを1種以上含む:
塩化ベンザルコニウム(Benzalkonium Chloride)、塩化セチルピリジニウム(Cetylpyridinium Chloride)およびクロルヘキシジンジグルコネート(Chlorhexidine Digluconate)。なお他の実施態様において、キトサン組成物は、以下の抗微生物剤1種以上を含む:ポリヘキサメチレンビグアニド(Polyhexamethylene Biguanide)、二塩酸オクテニジン(Octenidine Dihydrochloride)、弱力プロテイン銀(Mild Silver Protein)、ポビドンヨウ素(Povidone Iodine)(溶液または軟膏)、硝酸銀、銀スルファジアジン(Silver Sulfadiazine)、トリクロサン(Triclosan)、塩化セタルコニウム(Cetalkonium Chloride)、塩化ミリスタルコニウム(Myristalkonium Chloride)、チゲサイクリン(Tigecycline)、ラクトフェリン、キヌプリスチン/ダルフォプリスチン(Quinupristin/dalfopristin)、リネゾリド(linezolid)、ダルババンシン (Dalbavancin)、ドリペネム(Doripenem)、イミペネム(Imipenem)、メロペネム(Meropenem)およびイクラプリム(Iclaprim)。
【0034】
さらに他の実施態様において、キトサン組成物は、抗微生物特性を有する精油を含む。典型的な精油は、オレガノ油、ティーツリー(tea tree)油、ミント油、ビャクダン油、クローブ油、ニゲラサティバ(nigella sativa)油、タマネギ油、レレシュワ(leleshwa)油、ラベンダー油、レモン油、レモンマートル(lemon myrtle)油、インドセンダン(neem)油、ニンニク、ユーカリ油、ペパーミント油、シナモン油およびタイム油を包含する。
【0035】
さらに他の実施態様において、抗微生物剤は脂肪酸(例えばシス-2-デセン酸)である。
抗ウィルス剤は、ウィルスの複製を阻止することができる剤である。抗ウィルス剤の例は、限定されないが、1,-D-リボフラノシル- 1,2,4- トリアゾール-3 カルボキサミド、 9-2-ヒドロキシ-エトキシメチルグアニン、アダマンタナミン (adamantanamine)、 5- ヨード-2'-デオキシウリジン、 トリフルオロチミジン、 インターフェロン、アデニンアラビノシド、 プロテアーゼ阻害剤、チミジンキナーゼ阻害剤、糖もしくは糖たんぱく質合成阻害剤、構造タンパク質合成阻害剤、接着および吸着阻害剤ならびにヌクレオシド類似体、例えばアシクロビル(acyclovir)、ペンシクロビル( penciclovir)、バラシクロビル( valacyclovir)および ガンシクロビル(ganciclovir)を包含する。
【0036】
本発明のキトサン組成物において有用な抗真菌剤は、抗真菌剤および静真菌剤、例えば安息香酸、ウンデシレン酸アルカノールアミド、シクロピロクスオラミン、ポリエン、イミダゾール、アリルアミン、チカルバメート(thicarbamate)、アンホテリシンB、ブチルパラベン、クリンダマイシン、エコナキソール(econaxole)、フルコナゾール(fluconazole)、フルシトシン、グリセオフルビン、ナイスタチンおよびケトコナゾールを包含する。1つの好ましい実施態様において、抗真菌剤はアンホテリシンである。
【0037】
1つの実施態様において、本発明は、1種以上の抗微生物剤および抗ウィルス剤もしくは抗真菌剤の組合せを含むキトサン組成物を提供する。
【0038】
増殖因子
増殖因子は典型的には、細胞の生存、増殖または分化を維持するポリペプチドまたはその断片である。そのような剤を使用して、傷の治癒を促進することができる。本明細書において記載されるキトサン組成物を使用して、当技術分野で公知の任意の増殖因子を実質的に届けることができる。そのような増殖因子は、限定されないが、アンジオポイエチン(angiopoietin), 酸性線維芽細胞増殖因子 (aFGF) (GenBank Accession No. NP_149127) および塩基性FGF (GenBank Accession No. AAA52448), 骨形態形成タンパク質(morphogenic protein) (BMP) (GenBank Accession No. BAD92827), 血管内皮細胞増殖因子(VEGF) (GenBank Accession No. AAA35789 もしくはNP_001020539), 上皮増殖因子(EGF)(GenBank Accession No. NP_001954), トランスフォーミング増殖因子α(transforming growth factor α) (TGF-α) (GenBank Accession No. NP_003227) およびトランスフォーミング増殖因子β(transforming growth factor β) (TFG-β) (GenBank Accession No. 1109243 A), 血小板誘導内皮細胞増殖因子(platelet-derived endothelial cell growth factor) (PD-ECGF)(GenBank Accession No. NP_001944), 血小板誘導増殖因子(platelet-derived growth factor) (PDGF)( GenBank Accession No. 1109245 A), 腫瘍壊死因子α(tumor necrosis factor α) (TNF-α)(GenBank Accession No. CAA26669), 肝細胞増殖因子 (HGF)(GenBank Accession No. BAA14348),
インスリン様成長因子(insulin like growth factor) (IGF)(GenBank Accession No. P08833), 赤血球生成促進因子(erythropoietin) (GenBank Accession No. P01588), コロニー刺激因子(CSF), マクロファージ-CSF (M-CSF)(GenBank Accession No. AAB59527), 顆粒球/マクロファージCSF (GM- CSF) (GenBank Accession No. NP_000749) ならびに一酸化窒素合成酵素(NOS)(GenBank Accession No. AAA36365) を包含する。1つの好ましい実施態様において、増殖因子はBMPである。
【0039】
鎮痛薬
本発明のキトサン組成物を、痛みを改善する1種以上の剤を届けるために使用することができ、そのような剤は、限定されないが、オピオイド鎮痛薬 (例えばモルヒネ、ヒドロモルホン、オキシモルホン、 レボルファノール、レバロルファン、メタドン、メペリジン、フェンタニール、 コデイン、ジヒドロコデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、プロポキシフェン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィンもしくはペンタゾシン;非ステロイド性抗炎症薬 (NSAID) 例えばアスピリン、ジクロフェナク、ジフルシナル(diflusinal)、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルフェニサル(flufenisal)、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラック、メクロフェナミン酸、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチンもしくはゾメピラック、または 製薬的に許容可能なそれらの塩;バルビツール酸塩鎮痛剤、例えばアモバルビタール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、ブタビタール(butabital)、メフォバルビタール、メタルビタール、メトヘキシタル、ペントバルビタール、フェノバルチタール(phenobartital)、セコバルビタール、タルブタール、テアミラル(theamylal)もしくは チオペンタール、または製薬的に許容可能なそれらの塩;COX-2 阻害剤(例えばセレコキシブ、ロフェコキシブもしくはバルデコキシブを包含する。
【0040】
抗血栓症薬
本発明のキトサン組成物はまた、凝血塊の形成を抑制、減少または改善するために有用である。1つの実施態様において、キトサン組成物は、1種以上の抗血栓症薬(例えばトロンビン、フィブリノーゲン、クミジン、ヘパリン)を含む。
【0041】
抗炎症薬
他の実施態様において、キトサン組成物は、抗炎症薬を届けるのに使用される。そのような抗炎症薬は、限定されないが、以下のものを包含する:アルクロフェナク(Alclofenac); ジプロピオン酸アルクロメタゾン(Alclometasone Dipropionate); アルゲストンアセトニド(Algestone Acetonide);α-アミラーゼ;アンシナファル;アンシナフィド;アンフェナックナトリウム;塩酸アミプリロース(Amiprilose Hydrochloride);アナキンラ(Anakinra);アニロラク(Anirolac);アニトラザフェン(Anitrazafen);アパゾン;バルサラジドジナトリウム(Balsalazide Disodium);ベンダザック;ベノキサプロフェン(Benoxaprofen);塩酸ベンジダミン;ブロメライン;ブロペラモール(Broperamole);ブデソニド;カルプロフェン(Carprofen);シクロプロフェン(Cicloprofen);シンタゾン(Cintazone);クリプロフェン(Cliprofen);プロピオン酸クロベタソール;酪酸クロベタソン(Clobetasone Butyrate);クロピラク(Clopirac);プロピオン酸クロチカソン(Cloticasone Propionate);酢酸コルメタソン(Cormethasone Acetate);コルトドキソン(Cortodoxone);デフラザコルト(Deflazacort);デソニド;デソキシメタソン;ジプロピオン酸デキサメタソン(Dexamethasone Dipropionate);ジクロフェナクカリウム;ジクロフェナクナトリウム;二酢酸ジフロラゾン(Diflorasone Diacetate);ジフルミドンナトリウム(Diflumidone Sodium);ジフルーニサル;ジフルプレドネート(Difluprednate);ジフタロン(Diftalone);ジメチルスルホキシド;ドロシノニド(Drocinonide);エンドリソン;エンリモマブ(Enlimomab);エノリカムナトリウム(Enolicam Sodium);エピリゾール(Epirizole);エトドラク;エトフェナメート;フェルビナク(Felbinac);フェナモール(Fenamole);フェンブフェン;フェンクロフェナク;フェンクロラク(Fenclorac);フェンドサル(Fendosal);フェンピパロン(Fenpipalone);フェンチアザク(Fentiazac);フラザロン(Flazalone);フルアザコルト(Fluazacort);フルフェナム酸(Flufenamic Acid);フルミゾール(Flumizole);酢酸フルニソリド(Flunisolide Acetate);フルニクシン;フルニクシンメグルミン(Flunixin Meglumine);フルコチンブチル(Fluocortin Butyl);酢酸フルオロメトロン(Fluorometholone Acetate);フルカゾン(Fluquazone);フルルビプロフェン;フルレトフェン(Fluretofen);プロピオン酸フルチカゾン;フラプロフェン(Furaprofen);フロブフェン(Furobufen);ハルシノイド;プロピオン酸ハロベタゾル (Halobetasol Propionate);酢酸ハロプレドン(Halopredone Acetate);イブフェナック;イブプロフェン;イブプロフェンアルミニウム;イブプロフェンピコノール(Ibuprofen Piconol);イロニダプ(Ilonidap);インドメタシン; インドメタシンナトリウム;インドプロフェン(Indoprofen);インドキソール(Indoxole);イントラゾール(Intrazole);酢酸イソフルプレドン(Isoflupredone Acetate);イソキセパク(Isoxepac);イソキシカム(Isoxicam);ケトプロフェン(Ketoprofen);塩酸ロフェミゾール(Lofemizole Hydrochloride);ロルノキシカム(Lornoxicam);ロテプレドノルエタボネート(Loteprednol Etabonate);メクロフェナメートナトリウム( Meclofenamate Sodium);メクロフェナミン酸(Meclofenamic Acid);メクロリソンジブチレート(Meclorisone Dibutyrate);メフェナム酸;メサラミン;メセクラゾン(Meseclazone);メチルプレドニゾロンスレプタネート(Methylprednisolone Suleptanate);モルニフルメート(Morniflumate);ナブメトン(Nabumetone);ナプロキセン(Naproxen);ナプロキセンナトリウム(Naproxen Sodium);ナプロキソール(Naproxol);ニマゾン(Nimazone);オルサラジンナトリウム(Olsalazine Sodium);オルゴテイン(Orgotein);オルパノキシン(Orpanoxin);オキサプロジン(Oxaprozin);オキシフェンブタゾン(Oxyphenbutazone);塩酸パラニリン(Paranyline Hydrochloride);ポリ硫酸ペントサンナトリウム(Pentosan Polysulfate Sodium);グリセリン酸フェンブタゾンナトリウム (Phenbutazone Sodium Glycerate);ピルフェニドン(Pirfenidone);ピロキシカム(Piroxicam);桂皮酸ピロキシカム(Piroxicam Cinnamate);ピロキシカムオラミン(Piroxicam Olamine);ピルプロフェン(Pirprofen);プレドナゼート(Prednazate);プリフェロン(Prifelone); プロドール酸(Prodolic Acid); プロカゾン(Proquazone);プロキサゾール(Proxazole);クエン酸プロキサゾール(Proxazole Citrate);リメキソロン(Rimexolone);ロマザリト(Romazarit);サルコレックス(Salcolex);サルナセジン(Salnacedin);サルサレート(Salsalate);塩化サンギナリウム(Sanguinarium Chloride);セクラゾン(Seclazone);セルメタシン(Sermetacin);スドキシカム(Sudoxicam);スリンダク(Sulindac);スプロフェン(Suprofen);タルメタシン(Talmetacin);タルニフルメート(Talniflumate);タロサレート(Talosalate);テブフェロン(Tebufelone);テニダプ(Tenidap);テニダプナトリウム(Tenidap Sodium);テノキシカム(Tenoxicam);テシカム(Tesicam);テシミド(Tesimide);テトリダミン(Tetrydamine);チオピナク(Tiopinac);ピバル酸チクソコルトール (Tixocortol Pivalate);トルメチン(Tolmetin);トルメチンナトリウム(Tolmetin Sodium);トリクロニド(Triclonide);トリフルミデート(Triflumidate);ジドメタシン(Zidometacin)およびゾメピラックナトリウム(Zomepirac Sodium)。
【0042】
キトサン組成物による剤の配送
本発明は、キトサン組成物を使用して生物学的に活性な剤(例えば小さい化合物、核酸分子、ポリペプチド)を届けるための簡単な手段を提供する。キトサン組成物が患者に届けられ、生物学的に活性な剤は、in situで組成物から溶出される。キトサン組成物は、いくらかの期間(例えば1、3、5、7日;2、3、4週間;1、2、3、6、12カ月)にわたって制御された、および/または局在化された薬剤の配送を必要とする疾病もしくは疾患の治療のために、治療物質を届けることができる。望ましくは、キトサン組成物は、有効量の1種以上の抗生物質(例えばアミカシン、ダプトマシシン、バンコマイシン)、傷の回復を促進する増殖因子、小さな分子、止血剤(例えばトロンビンおよび/またはフィブリノーゲン)、抗血栓症薬(例えばヘパリン)または軟骨もしくは骨の修復剤を含む。キトサン組成物は、固体、スポンジ、膜、ヒドロゲルまたは複合体(例えばヒドロゲルマトリックス中のスポンジ断片)の形態で投与される。
【0043】
好ましくはキトサン組成物は、少なくとも約1 μg, 25μg, 50 μg, 100 μg, 250 μg, 500 μg, 750 μg, 1 mg, 5 mg, 10 mg, 25 mg, 50 mg, 75 mg, 100 mg, 200 mg, 250 mg, 300 mg, 400 mg, または500 mgの剤(例えば抗生物質)を含む。別の実施態様において、組成物は、少なくとも約1 μg, 25μg, 50 μg, 100 μg, 250 μg, 500 μg, 750 μg, 1 mg, 5 mg, 10 mg, 25 mg, 50 mg, 75 mg, 100 mg, 200 mg, 250 mg, 300 mg, 400 mg, または500 mgの剤(例えば抗生物質)を、少なくとも約1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 14, 21, 28または35日間の経過にわたって放出する。なお別の実施態様において、組成物は、1cm3当たり、少なくとも約1 μg, 25μg, 50 μg, 100 μg, 250 μg, 500 μg, 750 μg, 1 mg, 5 mg, 10 mg, 25 mg, 50 mg, 75 mg, 100 mg, 200 mg, 250 mg, 300 mg, 400 mg, または500 mgの剤(例えば抗生物質)を含む。
【0044】
キトサンコーティング
キトサン組成物は、コーティング材料、例えば医療用装置(例えば、薬剤配送または他の医療用装置)を覆うかまたは包むのに使用される膜中に含まれ得る。そのようなコーティングは、例えば病原体感染を治療もしくは予防するため、または薬剤の配送のために使用される。整形外科においては、多くの手術後の感染は、移植材料と関連がある。整形外科の移植を受けた患者は、全関節置換術について約5%の感染の危険を有する。移植後、生体適合材料表面に、細菌が受動的に吸着される。生体適合材料に集中する敗血症における基本的な発病メカニズムは、生体適合材料の細菌コロニー形成であり、その後、隣接する損傷を受けた組織が後に続く。そのような感染を受ける患者はしばしば、感染を撲滅するために、移植片(implant)の除去または置換を必要とする。
【0045】
移植片に関連する感染を治療もしくは予防するために、本発明のキトサン組成物が、医療用装置(例えば移植片)に適用される。キトサン組成物は、装置からの治療剤または予防剤の放出を準備する。そのような剤は有利には、慣用の移植片に関連する感染の危険を減らす。そのようなコーティングは、当技術分野で公知の任意の医療用装置に適用することができ、限定されないが、以下のものを包含する:整形外科装置(例えば関節移植片、骨折修復、背骨移植片、スクリュー、ロッド、プレートのためのもの);手術用装置 (例えば縫合、ステープル、吻合装置、脊椎骨板(vertebral disk)、骨ピン(bone pin)、縫合留め具(suture anchor)、止血障壁(hemostatic barrier)、鉗子(clamp)、スクリュー、プレート、クリップ、血管移植片(vascular implant)、組織接着剤(tissue adhesive)およびシーラント、組織骨格(tissue scaffold));創傷管理装置;薬剤配送用血管ステント(vascular stent) (例えばバルーン拡張ステント(balloon-expanded stent));他の血管装置 (例えば移植組織(graft)、カテーテル、弁、人工心臓、心臓補助装置);移植可能な細動除去器(implantable defibrillator);血液酸素供給装置 (例えば管、膜);膜;バイオセンサー;水頭症のためのシャント;内視鏡装置;感染制御装置;歯科用装置 (例えば歯科用インプラント、骨折修復装置)、泌尿器装置 (例えばペニス、括約筋、尿道、膀胱および腎臓の装置およびカテーテル);人工肛門の袋取付け装置;眼病用装置 (例えば眼球内コイル/スクリュー);緑内障排膿シャント;人工補綴 (例えば胸); 眼球内レンズ;呼吸、 末梢の心臓血管、背骨、神経、歯、耳/鼻/喉 (例えば耳排膿管);腎臓装置;および透析(例えば管、膜、移植組織)、尿カテーテル、静脈内カテーテル、小さい直径の移植組織、血管移植組織、人工肺カテーテル、心房中隔欠損閉鎖物、心臓律動管理のための電気刺激誘導 (例えばペーサーリード(pacer lead))、グルコースセンサー(長期間および短期間)、分解性冠状動脈ステント (例えば分解性、非分解性、末梢)、血圧およびステント移植片カテーテル、受胎調節装置、前立腺癌移植片、骨修復/増強装置、胸の移植片、軟骨修復装置、歯科用インプラント、移植された薬剤浸出管、硝子体内薬剤配送装置、神経再生コンジット(conduit)、腫瘍学移植片(oncological implant)、電気刺激誘導、痛み管理移植片、背骨/整形外科修復装置、創傷手当材、塞栓保護フィルター、腹部大動脈動脈瘤移植組織、心臓弁 (例えば機械的、ポリマー、組織、経皮、炭素、縫製カフ)、弁輪状形成装置(valve annuloplasty device)、僧帽弁修復装置、血管介入装置、左心室補助装置、神経動脈瘤治療コイル、神経学カテーテル、左心房付加フィルター、血液透析装置、カテーテルカフ、吻合閉鎖物、血管接近カテーテル、心臓センサー、子宮出血パッチ(uterine bleeding patche)、泌尿器カテーテル/ステント/移植片、in vitro 診断法, 動脈瘤排除装置および神経パッチ(neuropatche)。
【0046】
他の適当な装置の例は、限定されないが、以下のものを包含する:大静脈フィルター、泌尿器ダイアレーター(urinary dialator)、内視鏡手術組織摘出装置、アテローム切除カテーテル、凝血塊摘出カテーテル、冠状動脈誘導線(guidewire)、薬剤浸出カテーテル、 食道ステント、循環維持系、血管造影カテーテル、冠状動脈および末梢の誘導線、血液透析カテーテル、神経血管バルーンカテーテル、鼓膜造瘻管、脳脊髄液ステント、細動除去誘導、経皮閉鎖装置、排膿管、胸腔吸引排液カテーテル、電気生理学カテーテル、脳卒中治療カテーテル、膿瘍排膿カテーテル、胆汁排液製品(biliary drainage product)、透析カテーテル、中心静脈接近カテーテルおよび親供給カテーテル(parental feeding catheter)。
【0047】
本発明の他の実施態様において、本発明のキトサン組成物が医療装置に自己付着することができるか、またはコーティング材料以外の手段、例えば接着剤、縫合または加圧によって装置に付着することができることが注目される。当技術分野で公知の任意の適当な方法を使用して、キトサン組成物を表面に付着させることができる。例えば、キトサン組成物を装置に押し付けること、装置をキトサン膜で包むこと、またはキトサン組成物を装置に噴霧することによって、キトサン組成物を表面に付着させることができる。
生体適合性表面を有するキトサン組成物を、種々の医療用途のために使用することができ、それには、限定されないが、薬理学的に活性な剤の制御された放出のための薬剤配送装置(創傷治癒装置、例えば止血スポンジ、外傷用手当て材、縫合材料およびメッシュを包含する)、医療用装置コーティング/膜ならびに他の生体適合性移植片が包含される。
【0048】
キトサン繊維
電解紡糸によりキトサンから、無作為に配向した繊維状マットを作ることができる(シフマンおよびシャウエル(Schiffman and Schauer), Biomacromolecules, 2007. 8(9): p. 2665-7)。これらの繊維は典型的には100nmの平均直径であるが、繊維の直径は、要素の数に依存して広く変わり得る。幾つかの繊維は直径1μmの大きなものであり、また28nmほどの小さいものでもあり得る。典型的には、繊維状マットは、100〜200nmの平均直径を有する。
【0049】
1つのアプローチでは、約7-9重量%のキトサンが99-100%トリフルオロ酢酸中に溶かされる。溶媒溶液は、紡糸性を助けるために約0-30%の塩化メチレンを含む。溶液は穏やかに24時間混合される。この時点で、添加物、例えば薬剤、タンパク質、リン酸カルシウム塩または他の生物学的に活性な成分を添加することができる。溶液は、プラスチックの10mLの注射器に装填される。1つの実施態様において、鈍い21ゲージ(G)の金属針が使用される。他の実施態様において、針の大きさは、約16-23Gの範囲にある。注射器は、注射器ポンプに載せられ、流速は20-30μL/分(通常20μL/分)に設定される。針を電源の正の電極に接続し、標的を接地に接続する。標的は、アルミニウム箔に包まれた銅板、アルミニウムSEMスタブ、または任意の他の導電性表面から成り得る。電圧は15-26kVに設定される。先端と標的との間の距離は、約12-25cmである。1つの好ましい実施態様において、15-16cmが使用される。典型的には、装置は、換気フード内の換気された箱の中で使用される。箱は、繊維が標的上に堆積されるとき、気流から繊維を保護する。堆積されたなら、繊維マットを表面から除去し、以下のように処理することができる。典型的には、繊維マットは、減圧下に約24時間維持された後、繊維マットは5MのNa2CO3中で中和される。乾燥後、マットは任意の所望の大きさに切断され、滅菌される。キトサンを電解紡糸する他の方法は、溶媒として1,1,1,3,3,3- ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を使用することを含む(シン(Shin)ら, J Periodontol, 2005. 76(10): p. 1778-84)。1つの利点は、マットを中和する必要がないことである。残留溶媒は、減圧で引いて除去する。HFIP溶媒はまた、紡糸を助けるために塩化メチレンと一緒に使用することができる。キトサン繊維を製造するための他の方法は、例えばサンサノウおよびスパホール(Sangsanoh and Supaphol)による, Biomacromolecules, 2006. 7(10): p. 2710-4 またはシフマンおよび シャウエル(Schiffman and Schauer), Biomacromolecules, 2007. 8(2): p. 594-601に記載されている。
【0050】
創傷治療装置
本発明は、キトサン組成物を使用する創傷治療装置を提供する。創傷治療装置は、治療される傷に適応させるのに十分な形状および大きさに、キトサン組成物を作り上げることによって形成することができる。所望なら、創傷治療装置は、キトサン繊維を含む。創傷治療装置は望ましくは、傷に最適の治療を提供するのに必要などのような形状および大きさにも製造される。これらの装置は、限定されないが、栓、メッシュ、片、縫合糸、外傷用手当材料または、傷の修復に適応し、助けることができる任意の他の形態を包含する形態に製造することができる。本発明のキトサン組成物でできた装置を用いて治療することができる患者の損傷を受けた部分は、限定されないが、骨、軟骨、皮膚、筋肉および他の組織(神経、脳、脊髄、心臓、肺)を包含する。損傷を受けた組織、骨または軟骨の治療修復および改造を助けるように、他の同様の装置が投与される。幾つかの用途のために、装置を、存在する組織中に組み込んで、傷の修復を促進することが望ましい。他の用途のために、数日、数週間または数か月の経過にわたって装置が分解することが望ましい。そのような分解は、本明細書に記載される方法を用いて特定の患者の必要に合うように有利にあつらえることができる。キトサン組成物(例えば膜、スポンジ)の溶出および/または分解のプロフィールは、本明細書に記載されるように、以下の変数:脱アセチル化度、中和溶液、溶媒構成ならびにキトサンの重量%および/または結晶化度を調節することによって変えることができる。
【0051】
結晶化度は、化合物における構造秩序の程度を示す。ポリマー、例えばキトサンは、無定形または半結晶性である。キトサンの結晶化度は、他のポリマーと同様に、ポリマー鎖のタイプ、数および規則性、側鎖基の化学的性質、マトリックスパッキング度(degree of matrix packing)もしくは密度および架橋度に依存する。キトサンまたはその製品の結晶化度は、熱的性質例えば融点ならびに物理的-機械的性質例えば引張り強度、ヤング率、膨張率および分解に影響を与えるように、製造中にその分子量、脱アセチル化度および架橋によって制御することができるか、または変えることができる。
【0052】
架橋は、ポリマー鎖を一緒に結合するプロセスである。キトサンにおいて、架橋は、相互に連結した線状のポリマー鎖の三次元マトリックスを誘導する。架橋の程度または範囲は、架橋剤に依存する。典型的な架橋剤は、トリポリリン酸ナトリウム、エチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレンオキシド、グルタルアルデヒド、エピクロロヒドリン、ジイソシアネートおよびゲニピン(genipin)を包含する。架橋はまた、マイクロ波または紫外線暴露を用いて成し遂げることができる。
【0053】
キトサンの性質はまた、脱アセチル化度を調節することによって、変えることができる。1つの実施態様において、脱アセチル化度は、約50-100%に調整され、ここで、この範囲の最低値は50-99%の任意の整数であり、この範囲の最高値は51-100%の任意の整数である。特定の実施態様において、脱アセチル化度は、51%, 55%, 60%, 61%, 65%, 70%, 71%, 73%, 74%, 75%, 76%, 77%, 78%, 79%, 80%, 85%, 90%, および95%である。一般に、分子量が高くなればなるほど、キトサン組成物の分解はゆっくりになる。
【0054】
所望なら、キトサンは酸処理の後、中和される。当技術分野で公知の任意の塩基(例えばNaOH, KOH, NH4OH, Ca(OH)2, Mg(OH)2またはそれらの組合せ)を使用して、酸処理されたキトサン組成物を中和することができる。好ましくは、中和溶液は7.4より大きいpH(例えば7.8, 8.0, 8.5, 9.0, 10, 11, および12, 13, 14, 15, 16)を有する。中和の段階は任意であり、厳密には必要とされない。所望なら、キトサンは、酸処理後に水、PBS、または滅菌塩水で処理される。それは、0.01-10.0Mの塩基(例えば0.01, 0.025, 0.5, 0.75, 0.1, 0.25, 0.5, 0.75, 1.0, 1.5, 2.0, 2.5, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10 M)(例えばNaOH)を含み得る。より低いモル濃度を有する塩基中で中和されたキトサン組成物は、より速く分解する。モル濃度が増加された塩基中で中和されたキトサン組成物は、より低いモル濃度で中和されたものよりゆっくりと分解する。かくして、キトサンの分解特性は、中和する塩基のモル濃度を変えることによって、調節することができる。
【0055】
他の実施態様において、キトサンを溶解するのに使用される酸溶媒の濃度が調整されるか、またはキトサンを溶解するのに使用される時間が変えられる。例えば、0.1%, 0.5%, 1%, 2%, 3% または5%の酸溶液が使用される。特定の実施態様において、キトサンは、酢酸、クエン酸、シュウ酸、プロピオン酸、アスコルビン酸、塩酸、蟻酸、サリチル酸および/もしくは乳酸、またはそれらの組合せに溶解される。一般に、増加された濃度の乳酸を含む酸溶媒は、より速く分解し、また減少された強度および持続性を有するするキトサン組成物を形成する。種々の実施態様において、酢酸および乳酸の組合せが使用される。酢酸は、より大きい強度およびゆっくりとした分解を提供する。それに対して、乳酸はより大きい可撓性を提供する。1つのアプローチでは、乳酸対酢酸の比は、5:1, 4:1, 3:1, 2:1, 1:1, 1:2, 1:3, 1:4, から1:5で変えられる。1つの実施態様において、ブレンドされた酸溶媒は、90%/10%, 80%/20% 75%/25%, 70%/30%, 60%/40%, 50%/50%を含む。なお他の実施態様において、キトサン重量%は、0.25-10.0%(例えば0.1, 0.2, 0.25, 0.3, 0.4, 0.5, 1, 1.25, 1.5, 1.75, 2.0, 2.5, 3.0, 3.5, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10%)で変えられる。1つの実施態様において、1重量%のキトサン溶液が好ましく、ここで、1重量%のキトサン溶液は100mlの溶液当たり1グラムのキトサンを含む。典型的には、重量%が高ければ高いほど、分解はゆっくりになる。
【0056】
所望なら、キトサン組成物は剤を装填され、キトサン組成物は傷に届けられて、剤のための配送系を形成する。好ましくはキトサン組成物は、有効量の化学成分もしくは薬剤的に活性な成分を含む。1つの実施態様において、キトサン組成物は、配送が望まれる部位に自己付着する。別の実施態様において、接着剤または他の接着手段をキトサン組成物の外側の端に施与して、化学成分もしくは薬剤的に活性な成分の配送中、組成物を正しい位置に保持することができる。そのような接着手段は、単独で、またはキトサンの自己付着特性と組み合わせて、使用することができる。キトサン組成物は、望まれる量の治療剤の局所的な投与に備える。
【0057】
本発明の他の実施態様は、生物学的ファスナー、例えば糸、縫合糸および織布として形作られ、製造される創傷治療装置を包含する。キトサン組成物の種々の実施態様を含む糸および縫合糸は、開いた傷を一時的に治療し、かつ封止するための生体適合性の固定および縫合機能を提供する。さらには、生物学的ファスナーは、傷の内部および周囲の組織の回復および改造を助けることができる薬理学的に活性な剤を含むことができる。有利には、そのような固定および縫合装置は、in vivoで所望の速度で分解するように処理され得る。他の実施態様において、キトサン組成物は、傷ついた場所に直接投与される。本発明のキトサン組成物は、散布、充填、移植、挿入もしくは塗ることによって、または任意の他の投与手段によって、外傷の部位(例えば開放創、開放骨折、複合創傷)に投与される。
【0058】
止血キトサン組成物
本発明はさらに、止血マトリックス(例えば止血スポンジ)の形態でキトサン組成物を提供する。そのような組成物は単独で有用であるか、または本明細書に詳述される治療剤または予防剤の配送のために使用することができる。そのようなマトリックスは一般に、キトサンから形成される多孔組成物を含む。一般に、多孔質の三次元に安定な構造を形成することができるキトサンの液体溶液を提供することによって、スポンジを作ることができる。1つの実施態様において、キトサン溶液は、脱アセチル化されたキトサンを酸溶媒中に溶解することによって調製される。溶液を型に入れて所望の形を達成することによって、スポンジが形成される。その後キトサン溶液を凍結させ、凍結乾燥し、それによってキトサンスポンジが形成される。凍結乾燥を行って、マトリックスの液体(例えば水)含量を約5重量%, 10重量%, 20重量%, 25重量%, 30重量%, 40重量%, 50重量%, 75重量%, 80重量%, 90重量%, 95重量%, または100重量%より下に低下させる。所望なら、第2の凍結乾燥段階が行われる。この段階は厳密には任意である。1回以上の凍結乾燥後、キトサン組成物はなお、いくらかの量の水を含み得る。典型的には、凍結乾燥は、キトサン組成物の元の水分含量の少なくとも約70%, 75%, 80%, 90%, 95もしくは 100%を除去する。いくらかの水分を保持するキトサン組成物は、滅菌箔中に包装されて、そのような水分を維持され得る。
【0059】
1つのアプローチにおいて、例えば塩基溶液で処理することによって、スポンジは中和され、再凍結乾燥される。スポンジマトリックスは構造的に安定化され、マトリックスによって吸収されやすい液体、例えば体液と接触するまで、高密度の、目の詰んだ状態にとどまる。医療用途のために、詰められ、圧縮されたスポンジは、任意の適当な手段(例えば放射線)を用いて滅菌される。装置は、医療用途のための滅菌包装中に包装される。本発明のスポンジ要素または他の装置はまた、1種以上の活性な治療剤を含むことができる。例えば、凝血を促進する剤(例えばトロンビンおよび/またはフィブリノーゲン)を含む。あるいは、またはさらには、本発明のスポンジ要素または他の装置は、組織の増殖および治癒を促進する抗生物質および/または増殖因子を含む。
【0060】
治療剤がキトサン中に組み込まれるように、キトサン組成物は治療剤と一緒にインキュベートされる。このインキュベーションは典型的には、本明細書に記載される方法を用いて患者を治療する手順の前または最中に行われる。本発明のスポンジ材料は有利には、湿らされたとき、膨張性である。好ましくはスポンジは、少なくとも約10%-100%(10, 20, 30, 40, 50)膨張する吸収力を有する。他の実施態様において、スポンジは、脱イオン水、緩衝液または本発明の剤で湿らされて飽和したとき、約200体積%だけ膨張する。好ましいスポンジ材料は、急速な体積膨張を達成する(例えば水性溶液中に浸漬されるとき)。止血スポンジは、傷への施与に必要とされる任意の大きさで製造される。1つの実施態様において、膨張したスポンジは、移植されるか、または活性剤を移植部位および周囲組織に届けるとき、周囲の組織に圧力をはたらかせる。
【0061】
キトサン組成物の配送
キトサン組成物は、当業者に公知の任意の方法によって配送することができる。1つのアプローチにおいて、キトサン組成物は、膜またはスポンジの形態で外傷の部位に局所的に配送される。膜、スポンジまたは他の創傷管理装置は、実質的に任意の大きさの傷に合わせるように形作ることができる。別のアプローチにおいて、キトサン組成物は、回復の促進および/または感染の治療もしくは予防が必要とされる部位に、手術で移植される。所望なら、キトサン組成物は、治療が提供されるべき手術室内で、臨床医によって、1種以上の抗生物質または他の生物学的に活性な剤を装填される。これは有利には、キトサン組成物に、ケアが提供されるべき場所で特定の患者の必要性に合わせた特定の剤または剤の組合せを装填するのを可能にする。
【0062】
スクリーニングアッセイ
本明細書に記載されるように、本発明は、in vivoで、治療もしくは予防剤の傷への配送に備える。本発明は、剤および、組成物の分解が、特定の患者の必要性に合わせてあつらえられるキトサン組成物を用いて、治療剤を届けることができることの発見に一部基づく。望まれる分解および溶出プロフィールを有するキトサン組成物を同定するために、当技術分野で公知であり、本明細書に記載されたルーティンの方法を用いるだけで、スクリーニングを行うことができる。例えば、キトサン組成物は1種以上の治療剤を装填され、そのような組成物はその後、未処理の対照組成物と比較されて、治癒を促進するキトサン組成物が同定される。別の実施態様において、本発明のキトサン組成物の分解は、in vivoでアッセイされて、望まれる分解プロフィールに対応する脱アセチル化度が同定される。スクリーニングアッセイを行ってそのような組成物を同定するために、任意の数の方法が入手可能である。
【0063】
1つの実例において、キトサン組成物に、候補化合物が種々の濃度で添加される。その後、本明細書に記載される標準の方法を用いて、感染もしくは傷の治癒の程度が測定される。化合物の存在下での感染の程度(例えば細菌の数)または傷の治癒の程度が、化合物を欠いた対照で測定されたレベルと比較される。治癒を促進する化合物は、本発明において有用と考えられる;そのような化合物は、例えば、本明細書に記載される疾病(例えば組織の損傷)を予防、遅延、改善、安定化もしくは治療する治療剤として使用することができる。他の実施態様において、その化合物は、本明細書に記載される疾病もしくは疾患を予防、遅延、改善、安定化もしくは治療する。そのような治療化合物は、in vivoで有用である。
【0064】
別のアプローチにおいて、種々の脱アセチル化度を有するキトサン組成物がin vivoでインキュベートされ、傷に加えられるか、またはキトサン-分解活性を有する酵素を含む組成物と接触される。その後、キトサンの分解に必要とされる時間の長さが、本明細書に記載される標準の方法を用いて測定される。所望の分解プロフィール(例えば3日間、5日間、1週間、2週間、3週間、1カ月、2カ月、3カ月で分解する)を有するキトサン組成物は、本発明において有用と考えられる;そのような組成物は、例えば、本明細書に記載される疾病(例えば組織の損傷)を予防、遅延、改善、安定化もしくは治療する治療剤として使用することができる。他の実施態様において、組成物は、本明細書に記載される疾病もしくは疾患を予防、遅延、改善、安定化もしくは治療する。そのような治療組成物は、in vivoで有用である。
【0065】
本発明は、病原体感染(例えば細菌、ウィルス、真菌)、複合創傷、開放骨折、外傷および関連する疾病および/もしくは疾患またはそれらの症状を治療する方法であって、治療に有効な量の組成物(キトサンおよび、本明細書における処方の治療もしくは予防剤を含む)を患者(例えば哺乳動物、例えば人)に投与することを含む方法を提供する。かくして、1つの実施態様は、部位へ治療組成物を導くことを必要とする、感染、外傷、創傷、開放骨折または関連する疾病もしくは疾患にかかっているか、またはかかりやすい患者を治療する方法である。この方法は、哺乳動物に、疾患もしくは疾病またはそれらの症状を治療するのに十分な治療量の本明細書における化合物を、疾病もしくは疾患が治療されるような条件下で投与する段階を含む。
【0066】
本明細書における方法は、患者(そのような治療が必要であると明らかにされた患者を含む)に、有効量の本明細書に記載された化合物または本明細書に記載された組成物を投与して、そのような効果を生じることを含む。そのような治療が必要である患者の同定は、患者または健康管理の専門家の判断にあり、主観的(例えば意見)または客観的(例えば試験もしくは診断法によって測定可能)であり得る。
【0067】
本発明の治療法(予防的治療を含む)は一般に、治療に有効な量の本明細書に記載される化合物、例えば本明細書に記載される処方の化合物を、それを必要とする患者(例えば動物、人)(哺乳動物特に人を包含する)に投与することを含む。そのような治療は、感染にかかっているか、有するか、受けやすいか、または危険のある患者、特に人、治癒を必要とする患者、特に人、外傷、創傷、開放骨折もしくは関連する疾病、疾患またはそれらの症状を有する患者、特に人に適当に投与される。「危険のある」それらの患者の決定は、診断試験または患者もしくは健康管理の提供者の意見(例えば遺伝子試験、酵素もしくはタンパク質マーカー、(本明細書において定義した)マーカー、家族歴等)により、任意の主観的もしくは客観的な決定によってなされ得る。本明細書における剤はまた、治癒を促進するか、または感染を治療もしくは予防することが望ましい任意の他の疾患の治療において使用することができる。
【0068】
1つの実施態様において、本発明は、治療の経過を監視する方法を提供する。この方法は、感染、疾患もしくはその症状にかかっているか、それを受けやすい患者において、診断マーカー(マーカー)(例えば創傷治癒パラメーター、細菌細胞数、または本明細書における化合物によって調節される本明細書に詳述される任意の標的、C-反応性タンパク質、サイトカイン濃度もしくはその指標等)または診断測定(例えばふるい分け、アッセイ)の濃度を決定する段階を含み、ここで、患者は、疾病またはその症状を治療するのに十分な治療量の本明細書におけるキトサン組成物(例えば治療もしくは予防剤を含むキトサン組成物)を投与されている。この方法において決定されるマーカーの濃度は、患者の疾病状態を確立するために、健康な普通の対照または他の苦しめられている患者におけるマーカーの公知の濃度と比較することができる。好ましい実施態様において、第1の濃度の決定より遅い時点で、患者におけるマーカーの第2の濃度が決定され、2つの濃度を比較して、疾病の進行または治療の効力を監視する。ある好ましい実施態様において、患者におけるマーカーの治療前の濃度が、本発明に従う治療を開始する前に決定され;このマーカーの治療前の濃度を、その後、治療を開始した後の患者におけるマーカーの濃度と比較して、治療の効力を決定することができる。
【0069】
試験化合物および抽出物
一般に、キトサン組成物からの配送のために適当な治療化合物は、当技術分野で公知であるか、または天然生成物および合成(または半合成)抽出物の両方の大きなライブラリーから、または化学物質のライブラリーから、またはポリペプチドもしくは核酸ライブラリーから、当技術分野で公知の方法に従って同定される。薬剤の研究開発の技術分野の当業者は、試験抽出物もしくは化合物の正確な供給源は、本発明のスクリーニング手順に不可欠ではないことを理解するであろう。ふるい分けに使用される化合物は、公知の化合物(例えば他の疾病もしくは疾患のために使用される公知の治療剤)を包含し得る。あるいは、実質的に任意の数の知られていない化学的抽出物または化合物を、本明細書に記載される方法を用いてふるい分けすることができる。そのような抽出物または化合物の例は、限定されないが、植物-、真菌-、原核生物-、または動物-に基づく抽出物、発酵汁(broth)および合成化合物、ならびに存在する化合物の変性物を包含する。
【0070】
限定されないが、糖-、脂質-、ペプチド-および核酸-に基づく化合物を包含する任意の数の化合物のランダムもしくは直接合成(例えば半合成または全合成)を生じるために、多くの方法がまた入手可能である。合成化合物ライブラリーは、ブランドンアソシエイツ(Brandon Associates) (メリマック(Merrimack), N. H.) およびアルドリッチケミカル(Aldrich Chemical )(ミルウォーキー(Milwaukee), Wis.)から市販されていて入手可能である。あるいは、候補化合物として使用されるべき化合物は、標準の合成技術および当業者に公知の方法を使用して、容易に入手可能な出発物質から合成することができる。本明細書に記載される方法によって同定される化合物を合成するのに有用な合成化学の変換および保護基の方法(保護および脱保護)は、当技術分野で公知であり、例えばR. ラロック(Larock), 包括的有機変換(Comprehensive Organic Transformations), VCH パブリッシャーズ(Publishers) (1989); T. W.グリーン( Greene)および P. G. M. ワッツ(Wuts), 有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis), 第2版、ジョンウィリーアンドサンズ(John Wiley and Sons) (1991); L. フィーザー(Fieser)および M. フィーザー(Fieser),有機合成のためのフィーザーアンドフィーザー試薬( Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis), ジョンウィリーアンドサンズ(John Wiley and Sons) (1994); ならびにL. パケット(Paquette)編., 有機合成のための試薬の辞典(Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis), ジョンウィリーアンドサンズ(John Wiley and Sons) (1995), ならびにそれらのその後の版に記載されるものが包含される。
【0071】
あるいは、細菌、真菌、植物および動物の抽出物の形態の天然化合物のライブラリーは、生命体(Biotics) (サセックス(Sussex), UK), キセノバ(Xenova) (スラウ(Slough), UK), ハーバーブランチオセアングラフィックスインスティテュート(Harbor Branch Oceangraphics Institute) (Ft. ピアス(Pierce), FIa.), およびファーママル(PharmaMar), U.S.A. (ケンブリッジ(Cambridge), Mass.)を含む多くの供給源から市販されていて入手可能である。さらには、天然および合成的に製造されたライブラリーが、所望なら、当技術分野で公知の方法に従って、例えば標準の抽出および分画法によって、製造される。分子ライブラリーの合成のための方法の例は当技術分野において見出すことができ、例えばデウィット(DeWitt)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90:6909, 1993; エリブ(Erb)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:11422, 1994; ザッカーマン(Zuckermann)ら、J. Med. Chem.37:2678, 1994; チョ(Cho)ら、Science 261:1303, 1993; カレル(Carrell)ら、Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2059, 1994; カレル(Carrell)ら、Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2061, 1994; およびギャロップ(Gallop)ら、J. Med. Chem. 37:1233, 1994において見出すことができる。さらに、所望なら、任意のライブラリーまたは化合物は、標準の化学的、物理的または生化学的方法を用いて、容易に変性される。
【0072】
化合物のライブラリーは、溶液(例えばハウテン(Houghten), Biotechniques 13:412-421, 1992)、またはビーズ(ラム(Lam), Nature 354:82-84, 1991)、チップ(ホダー(Fodor), Nature 364:555-556, 1993)、細菌(ラドナー(Ladner), U.S. Patent No. 5,223,409)、胞子(ラドナー(Ladner) U.S. Patent No. 5,223,409)、プラスミド(カル(Cull)ら、Proc Natl Acad Sci USA 89:1865-1869, 1992)またはファージ(スコット(Scott) およびスミス(Smith), Science 249:386-390, 1990; デヴリン(Devlin), Science 249:404-406, 1990; クィルラ(Cwirla)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. 87:6378- 6382, 1990; フェリチ(Felici), J. Mol. Biol. 222:301-310, 1991; ラドナー(Ladner) 前出.)において示され得る。
【0073】
さらには、薬剤の研究開発の技術分野の当業者は、その活性についてすでに知られている物質の複写もしくは複製の脱複写(dereplication)(例えば分類学的脱複写、生物学的脱複写および化学的脱複写またはそれらの組合せ)または除去のための方法は、可能なときにはいつでも使用されるべきであることを容易に理解するであろう。粗抽出物が関心のある化合物を含むと同定されるとき、観察される効果について応答可能な化学成分を分離するために、正の誘導抽出物のさらなる分画が必要である。かくして、抽出、分画および精製プロセスの目標は、所望の生物学的効果を達成する粗抽出物中の化学物質の注意深い特性決定および同定である。そのような不均一な抽出物の分画および精製は当技術分野で公知である。
【0074】
本発明の小さな分子は好ましくは2,000ドルトンより下、より好ましくは300〜1,000ドルトン、最も好ましくは400〜700ドルトンの分子量を有する。これらの小さな分子が有機分子であるのが好ましい。
【0075】
キット
本発明は、キトサン組成物を含むキットを提供する。1つの実施態様において、キットは、感染を予防もしくは治療する治療もしくは予防剤(例えば抗微生物剤)か、または治癒を促進する治療もしくは予防剤(例えば増殖因子、抗炎症剤、凝血促進剤、抗血栓症薬)を含有するキトサン組成物を含む。他の実施態様において、キットは、本明細書に記載されるキトサン組成物を含む治療装置、例えば傷の治癒に有用なキトサン膜、キトサンスポンジ、ヒドロゲルまたは移植片/補綴装置を含む。所望なら、上記キトサン組成物はさらに、本明細書に記載される剤を含む。
【0076】
幾つかの実施態様において、キットは、キトサン組成物を含有する滅菌容器を含み;そのような容器は、箱、アンプル、ボトル、びん(vial)、管、袋、ポーチ、ブリスターパック、または当技術分野で公知の他の適当な容器形態であり得る。そのような容器は、プラスチック、ガラス、積層紙、金属箔、または薬剤を保持するのに適当な他の材料でできていることができる。
【0077】
所望なら、本発明のキトサン組成物は、本明細書に記載される予防もしくは治療方法において使用するための説明書と一緒に提供される。説明書は一般に、それを必要とする患者において、外傷、感染または関連する疾病の治療のために組成物を使用することについての情報を含む。説明書は、(存在するときは)容器上に直接印刷されるか、または容器に施与されるラベルとして、または別にされたシート、パンフレット、カード、または容器中もしくはそれと一緒に供給されるホルダーとして印刷され得る。
【0078】
本発明の実践は、他に示されなければ、分子生物学(組み換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の慣用の技術を使用し、これは、まさに当業者の範囲内にある。そのような技術は、例えば"分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)", 第2版(サムブルック(Sambrook), 1989); "オリゴヌクレオチド合成(Oligonucleotide Synthesis)" (ガイト(Gait), 1984); "動物細胞培養(Animal Cell Culture)" (フレッシュニー(Freshney), 1987); "酵素学における方法(Methods in Enzymology)" "実験免疫学のハンドブック(Handbook of Experimental Immunology)" (ウィア(Weir), 1996); "哺乳動物細胞のための遺伝子転移ベクター(Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells)" (ミラー(Miller)および カロス(Calos), 1987);"分子生物学における今日のプロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)" (アウスベル(Ausubel), 1987); "PCR:ポリメラーゼ鎖反応(PCR: The Polymerase Chain Reaction)", (マリス(Mullis), 1994); "免疫学における今日のプロトコール(Current Protocols in Immunology)" (コリガン(Coligan), 1991)のような文献において完全に説明される。これらの技術は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの製造に適用可能であり、それ自体、本発明を作り上げ、実践することにおいて考慮され得る。特定の実施態様のための特に有用な技術は、以下の節において議論される。
【0079】
以下の実施例は、本発明のアッセイ、スクリーニングおよび治療の方法をいかに作り上げ、使用するかについての完全な開示および説明を当業者に提供するように提出され、本発明者が発明であると考えるものの範囲を限定する意図ではない。
【0080】
実施例
実施例1:キトサンスポンジによる抗生物質配送は細菌の増殖を抑制した
傷において疑われる細菌種に基づく治療剤をあつらえ装填することができる、汚染された四肢の怪我において使用するための生体適合性の再吸収可能な担体についての必要性がある。限定的でない装填は、大きな次数で細菌のコロニー形成を潜在的に減らすことができ、汚染された傷を有する障害のある患者において、感染速度および手足における機能性の損失を減らすことができた。以下の結果は、凍結乾燥したキトサンスポンジは、抗生物質のための担体として有用であることを示す。そのようなスポンジは、単独で、または整形外科外傷および他の筋骨格適用のための標準的な灌注および創傷清浄化に対する付属的治療法として使用することができる。
【0081】
61および71%脱アセチル化された(DDA)キトサンを含むスポンジに抗生物質のアミカシンを装填した。1時間でのアミカシンの放出は、61DDA試料および71DDA試料について、それぞれ88.7±2.4 μg/ml および83.7±7.3 μg/mlであるとわかった。アミカシンは72時間では、61DDA試料は2.8±1.3μg/mlを放出し、71DDA試料は2.2±1.9μg/mlを放出したことが明らかであった(図1A)。P.アエルギノサ(P. aeruginosa)の細菌増殖抑制は、1時間後に98.7%、72時間後に93.1%であるとわかった。
【0082】
キトサンスポンジからのアミカシン溶出への中和条件の影響をまた、分析した(図1B)。この試験において、以下のキトサンスポンジが評価された:(1) 61 DDA キトサン、0.5M NaOHで 中和した、 (2) 71 DDA キトサン、1 M NaOH で中和した、 (3) 61 DDA キトサン、1 M NaOH で中和した、 (4) 71 DDA キトサン、2 M NaOH で中和した、 (5) 61 DDA、 2M NaOH で中和した。全てのスポンジが、溶出試験前に2分間5mg/mlのアミカシン溶液中に沈められた。溶出は、50mlの滅菌塩水溶液中で行われ、各時点で完全に更新された。溶出は7日間行った。グラフに示された値は、μg/mlである。一般に、0.5M NaOHで 中和した61 DDA キトサンが、最良の長期間放出を提供した。
【0083】
キトサン膜からの剤の溶出をまた分析した(図1C)。滅菌されたキトサン膜に、アミカシンおよびバンコマイシンを装填した。全ての膜は、溶出試験前に2分間、5mg/mlのアミカシンまたはバンコマイシン溶液中に沈められた。溶出は、50mlの滅菌塩水溶液中で行われ、各時点で完全に更新された。溶出は3日間行った。図1Cに示された値は、μg/mlで表される。
【0084】
臨床医が、知られているかまたは推測される存在する細菌種に基づいて治療レジメンをあつらえることを可能にするので、抗生物質の選択を注文に合わせて変える能力は有利である。キトサンスポンジは、キトサン膜より大きい抗生物質溶液の取り込みおよびより高い放出濃度を可能にする。スポンジはまた、分解に関して注文に合わせることができる。というのは、製造の変更(例えば脱アセチル化度、中和溶液、溶媒の構成、およびキトサンの重量%、および/または結晶化度)が、分解速度を変えることができるからである。この結果は、キトサンへの抗生物質の組み込みが、単独で、または灌注および創傷清浄化の治療と共に使用することができる、局所的薬剤配送系を提供することを示す。
【0085】
実施例2: in vivoでの感染を抑制する抗生物質を含むキトサン組成物
キトサンスポンジ(図2A-2C)に、抗生物質を装填した。抗生物質溶出プロフィールを表1に提供する。
【表1】
【0086】
抗生物質のアミカシン、バンコマイシンおよびダプトマイシンを装填されたキトサンスポンジからの溶出を、並行して分析した(図17)。図17に示されるように、アミカシンおよびバンコマイシンの放出についてのプロフィールは研究の持続中同様であったが、それに対して、ダプトマイシンの放出は、72時間の時点で、他の2種の試験した抗生物質より有意に小さかった。1種以上の抗生物質を装填されたキトサンスポンジからの剤の溶出をまた分析した。キトサンスポンジに、単独アミカシン、アミカシン+バンコマイシン、およびアミカシン+ダプトマイシンを装填したときの、キトサンスポンジからのアミカシンの溶出を測定した(図18)。図18に示されるように、バンコマイシンもダプトマイシンも、アミカシンの放出に影響を及ぼさなかった。キトサンスポンジに、単独バンコマイシンおよびバンコマイシン+アミカシンを装填したときの、キトサンスポンジからのバンコマイシンの溶出を測定した(図19)。図19に示されるように、アミカシンはバンコマイシンの放出に影響を及ぼさなかった。キトサンスポンジに、単独ダプトマイシンおよびダプトマイシン+アミカシンを装填したときの、キトサンスポンジからのダプトマイシンの溶出を測定した(図20)。図20に示されるように、アミカシンはバンコマイシンの放出に影響を及ぼさなかった。
【0087】
スポンジから溶出される剤が細菌の増殖を抑制するのに使用できるかどうかを決定するために、帯状抑制(zone of inhibition (ZOI) )の研究を行った(図3A-3D)。上記のように、単一の抗生物質または抗生物質の組合せを装填されたキトサンスポンジを、細菌の増殖を抑制する能力について分析した。細菌増殖の抑制を決定するアッセイのために、細菌株シュードモナス アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)およびスタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)を使用した。シュードモナス アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)およびスタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)の抑制を示す結果を、それぞれ表2および3に示す。
【表2】
【0088】
表2に示されるように、48または72時間では、試験された群のいずれも細菌増殖を抑制しなかった。抑制の欠如はまた、アミカシン+ダプトマイシン群を用いた24時間で観察された。
【0089】
【表3】
【0090】
表3に示されるように、72時間の時点で抑制の欠如を示したアミカシン+バンコマイシンを含む群を除く、試験された全ての群が、72時間中S. aureusの増殖を抑制した。
キトサン膜からの溶出データが表4に提供される。膜は、溶出試験の前に2分間、5mg/mlのアミカシンもしくはバンコマイシン溶液中に沈められた。溶出は50mlの滅菌塩水溶液中で行われ、各時点で完全に更新された。溶出は3日間行われた。グラフに示された値は、μg/mlである。
【0091】
【表4】
【0092】
よく確立され、汚染された、ヤギにおける脛骨骨折モデルにおいて、スポンジをまた使用した。このモデルは、即興爆薬装置(Improvised Explosive Devices)(IED)による軍の戦闘でみられるような整形外科外傷傷害をまねている。このモデルは、それぞれに熱的損傷を有する、筋肉、骨および組織の傷害を含む。スポンジを、アミカシン(P. aeruginosa)またはバンコマイシン(S. aureus)(5mg/ml溶液)中で60秒間水和させた。48時間にヤギを安楽死させ、細菌濃度を定量するために3回画像を記録した(imaged)(図5D)。6、12、24、36および42時間での抗生物質の血清濃度を監視するために採血した。結果を図6および表5(以下)に示す。
【0093】
創傷に、シュードモナス アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)(lux)またはスタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus) (lux)細菌を接種し、6時間閉鎖した。図4A-4Dは、示された時点での創傷に存在する細菌の数量を示す。6時間後、創傷を開き、画像を記録して、細菌の発光強度を得た(図5A-5D)。細菌汚染についてのベースライン値として、光強度の量を記録した。創傷を、9Lの滅菌塩水溶液で創傷清浄化し、灌注した。灌注後、創傷を、2度目の画像記録した。治療群のヤギは、抗生物質を装填したキトサンスポンジを受け、スポンジを傷に置いた後に、創傷を閉じた。
【0094】
キトサンスポンジを用いて抗生物質の局所投与をしないと、灌注および創傷清浄化にもかかわらず、高濃度の細菌が創傷に見出された。ヤギ841は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが65%減少した。この値は、他の治療をせずに42時間後、灌注および創傷清浄化6時間前の細胞カウントの214%にリバウンドした。ヤギ843は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが61%減少した。この値は、他の治療をせずに42時間後、灌注および創傷清浄化6時間前の細胞カウントの91%にリバウンドした。ヤギ845は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが93%減少した。この値は、他の治療をせずに42時間後、灌注および創傷清浄化6時間前の細胞カウントの56%にリバウンドした。ヤギ846は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが95%減少した。この値は、他の治療をせずに42時間後、灌注および創傷清浄化6時間前の細胞カウントの20%にリバウンドした。ヤギ847は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが89%減少した。この値は、他の治療をせずに42時間後、灌注および創傷清浄化6時間前の細胞カウントの30%にリバウンドした。
【0095】
それに対して、キトサンスポンジによるアミカシンの局所投与を受けたヤギは、その傷に、実質的にシュードモナス アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)細菌が存在しなかった。ヤギ8は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが87%減少した。この値は、アミカシンを装填したキトサンスポンジでの42時間治療後に0%に減少した。ヤギ32は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが91%減少した。この値は、アミカシンを装填したキトサンスポンジでの42時間治療後に1%に減少した。ヤギ839は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが89%減少した。この値は、アミカシンを装填したキトサンスポンジでの42時間治療後に1%に減少した。ヤギ842は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが87%減少した。この値は、アミカシンを装填したキトサンスポンジでの42時間治療後に0%に減少した。ヤギ2026は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが81%減少した。この値は、アミカシンを装填したキトサンスポンジでの42時間治療後に0%に減少した。
【0096】
バンコマイシンを装填したキトサンスポンジを使用したときに、同様の結果が観察された。対照群においては、ヤギは、灌注および創傷清浄化にもかかわらず、その傷に高濃度の細菌(スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus))を示した。ヤギ14069は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが22%減少した。この値は、他の治療をせずに42時間後、灌注および創傷清浄化6時間前の細胞カウントの2464%にリバウンドした。ヤギ7147は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが81%減少した。この値は、他の治療をせずに42時間後、灌注および創傷清浄化6時間前の細胞カウントの159%にリバウンドした。ヤギ20は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが73%減少した。この値は、他の治療をせずに42時間後、灌注および創傷清浄化6時間前の細胞カウントの157%にリバウンドした。ヤギ94は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが76%減少した。この値は、他の治療をせずに42時間後、灌注および創傷清浄化6時間前の細胞カウントの357%にリバウンドした。ヤギ263は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが59%減少した。この値は、他の治療をせずに42時間後、灌注および創傷清浄化6時間前の細胞カウントの249%にリバウンドした。
【0097】
重要なことに、バンコマイシンを装填したキトサンスポンジで治療したヤギは、対照群において観察されたスタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)細菌のリバウンドを示さなかった。例えば、ヤギ840は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが74%減少した。この値は、バンコマイシンを装填したキトサンスポンジでの42時間治療後に0%に減少した。ヤギ155は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが72%減少した。この値は、バンコマイシンを装填したキトサンスポンジでの42時間治療後に1%に減少した。ヤギ837は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが88%減少した。この値は、バンコマイシンを装填したキトサンスポンジでの42時間治療後に7%に減少した。
【0098】
【表5】
【0099】
キトサンスポンジで治療された10匹のヤギのうちの8匹に、スポンジ断片が残った。表6(以下)に挙げた値は、各断片に残っている抗生物質を示し、これは、滅菌塩水溶液中で12時間スポンジ断片を浸漬することによって溶出させた。この値は、スポンジの残りの量に標準化され、よって、挙げられた値はμg/ml/gである。ヤギ8、32、839および842はアミカシンを用いて治療され、ヤギ155、837、840および2437はバンコマイシンを用いて治療された。
【0100】
【表6】
【0101】
スポンジ断片を除いたときに、全ての移植されたスポンジが、移植後42時間後に60-100%分解していたことが明白であった。スポンジは、72時間にわたって溶出し、分解するように設計された。in vitro試験は、72時間分解プロフィールを確認した。
これらの結果は、キトサンが、抗生物質を局所的に、単独で、または外傷の整形外科的な怪我のための標準の治療法に対して付属的な治療法として、配送することができる分解性担体マトリックスを提供することを示した。整形外科的外傷および手術部位からの感染の予防は、健康管理の共同体には重要な興味あるものである。早い段階の付属的な治療法としてのキトサンスポンジの使用は、シュードモナス アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)およびスタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)の両方のモデルにおいて、細菌の撲滅を有意に改善した(図4Aおよび4B)。これらのキトサンスポンジのin vitro分析は、分解および溶出速度を調整するのに最適な製造に関して貴重な情報を提供した。in vivo評価は、キトサンが、抗生物質のための生体適合性の生物分解性担体としてふるまい、首尾よくこれらの剤を配送して、複合の汚染された創傷における細菌撲滅を助けることを示した。
【0102】
実施例3:キトサン膜は、再水和後、機械的完全性を維持する。
以下の研究は、キトサン膜が、筋骨格創傷の感染予防または治療のための適合性移植片として使用できることを示す。脱水されたキトサン膜は抗生物質を吸収し、時間の経過にわたって薬剤を溶出する。キトサン膜はまた、身体中で生物分解する。以下に提供される結果は、キトサン薬剤配送装置が、臨床医によるin situでの抗生物質装填によって、注文に応じて変えることができることを示す。そのような組成物は、再水和された機械的完全性を維持する。
【0103】
in situ装填中、キトサン膜は、再水和によって抗生物質を吸収する。1つの実施態様において、抗生物質の装填は、移植の直前に手術室または他の臨床環境において行われる。このことは、臨床医が、抗生物質の選択および濃度により、薬剤配送装置を患者の必要性に合わせて調整することを可能にする。これらの性質は、感染した筋骨格創傷の治療においてキトサンの使用を可能にする。本明細書に示されるように、この装置の使用は、局所化された抗生物質の配送によって感染を予防および/または治療し、キトサンの付着特性を使用する移植装置へのキトサン膜の接着に備え、かつ身体中でのキトサンの分解は、移植された装置を回収するさらなる手術の必要をなくす。
【0104】
キトサン膜の分解および薬剤配送を注文に応じて変えるために、キトサンの脱アセチル化度(DDA)は、61、71および80%で変えられ、一方、膜の酸溶媒は、酢酸(HAc)および乳酸(LA)間で変えられる。強度および弾性の測定値は、図12に示される装置を用いて得られた。UTSおよびヤング率を用いた強度および弾性の結果は、酢酸溶媒を用いた71および80%脱アセチル化度の膜が、最高の強度および弾性率を有することを示した(図9、10および13)。
【0105】
2種の抗生物質、ダプトマイシン(D)およびバンコマイシン(V)を使用して、薬剤感受性スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)を処理した(図7、8、11AおよびB、14Aおよび14B)。2方向ANOVAを行って、DDA および酸溶媒に依存しない変更物間に相互作用があるかどうかを決定した。抗生物質の取り込み、膨張率、UTS、ヤング率、および接着強度について、DDAと酸溶媒との間に統計的相互作用はなかった(p≧0.0674)。
【0106】
80%脱アセチル化度を用いた膜は、大量の抗生物質を吸収し、それらが薬剤配送装置として有用であることを示した(図7)。ダプトマイシンおよびバンコマイシンの取り込みは、脱水された膜が1分間で吸収することができる抗生物質の量を、キトサン1グラム当たりの抗生物質のミリグラムによって示した(図7)。本明細書に記載されるように、ダプトマイシンはDと省略され、バンコマイシンはVと省略され、いずれもないものはNと省略され;数61、71および80は、%脱アセチル化度を示すのに使用され;酸溶媒の乳酸および酢酸は、それぞれLAおよびHAcと省略される。膜変更物V80HAc、D61LA、D71LAおよびD80LAは全て統計学的に同様であり(p≦0.7769)、他の変更物(p<0.0001)より有意に多い量の抗生物質を吸収した。ダプトマイシンを吸収するとき、乳酸膜は、酢酸膜(p<0.0001)より有意に高い吸収を有していた。バンコマイシンを吸収するとき、酢酸膜は、乳酸膜(p<0.0001)より有意に高い吸収を有していた。乳酸膜は、平均して270.80±125.08mg/gでダプトマイシンを吸収し、これは、-23.12±31.67mg/gでのバンコマイシンの平均排除(exclusion)より有意に高かった(p<0.0001)。逆に、酢酸膜は、平均して118.39±101.93mg/gでバンコマイシンを吸収し、これは、-46.43±77.56mg/gでのダプトマイシンの平均排除より有意に高かった(p<0.0001)。キトサン膜は、酸のタイプおよびDDAの両方に依存して別様に抗生物質を吸収し、最良の結果は、80%脱アセチル化度を有する乳酸膜がダプトマイシンを吸収し、80%脱アセチル化度を有する酢酸膜がバンコマイシンを吸収するときに生じる。膜の脱アセチル化度が増加するにつれて、抗生物質の吸収が増加する上昇傾向があった。in situ装填中のキトサン膜からの抗生物質排除は、負の取り込み値によって示した。
【0107】
膨張率は、1分間再水和された膜の体積の増加を、増加した体積の百分率で示した(図8)。PBS単独中で1分間後、結果は、膜が約2倍の体積であることを示した。非装填膜は、約100%膨張または膜体積が2倍であることを示した。分析は、V71HAcを除くD80LAおよびV80HAc変更物の膨張率が同様であり(p = 0.8381)、他の変更物のいずれより(p<0.0001)も有意に高いことを示した(それぞれp = 0.1703 および0.0852)。一般に、膜が、取込みの増加を好む抗生物質環境中にあるとき、膜はより高い膨張率を有していた。
【0108】
乾燥/脱水膜のUTSおよびヤング率を図9および10に示す。71HAcおよび80HAc群は、55.47± 11 および49.89 ± 3.12 MPaのUTS値を示し、これは、統計的に同様である(p=0.2131)。これらの膜はまた、他の試験群(p<0.0001)より有意に高いUTSを示した。同様に、71HAcおよび80HAcについてのヤング率は統計的に同様であり(810.99 ± 207.64, 762.53 ±49.62, p = 0.06597)、他の試験群(p<0.0001)より有意に大きかった。他の試験群のUTSまたは弾性率値に差異は検出されなかった。
【0109】
乳酸を用いる膜は、移植片合金への接着性増加という利益を示した。80%脱アセチル化度を有するキトサン膜は、望ましい量の抗生物質および、外傷の部位への薬剤の配送に理想的に適していることを示す機械的特性を提供する。接着試験は、接着力、またはkPaで表した面積当たりの最大引張り荷重を示した(図13)。接着強度は、ASTM インターナショナル(International)(デジグネーション(Designation) D5179-02, www.astm.org/ Standards/D5179.htm(引用することによりその全部が本明細書に組み入れられる)により公表される規格に従って測定された。Ti71LA, SS61LA, およびSS80LA 合金/膜変更物は統計的に同様であり、それらの変更物の他に、Ti71LAは、いずれの他の合金/膜組合せよりも有意に高い接着強度を有していた(p ≦0.0310)。一般に、酢酸膜変更物は、乳酸変更物より低い接着強度を有していた(LA: 〜7-10 kPa v. HAc: 〜4-7 kPA)。酢酸膜においては、脱アセチル化度が増加するにつれて、接着強度が上昇する傾向があった。さらなる研究は、in situでの抗生物質装填は、再水和単独に比べたとき、接着強度に統計的に有意の効果を有さないことを示した。in situで抗生物質を装填したキトサン膜の膜接着は、非装填キトサン膜と有意に異なっておらず、抗生物質を装填したキトサン膜の接着用途を示唆する(例えば筋骨格装置への付属的抗生物質の覆いとして)。1つの実施態様において、引張り強度は少なくとも約45, 50, 55, 60, 65または70 mPAである。別の実施態様において、ヤング率は、少なくとも約700, 800, 900, または1000 mPAである。別の実施態様において、接着強度は、少なくとも約6-12 kPA (例えば6, 7, 8, 9, 10, 11, 12 kPA)である。
【0110】
膜からの抗生物質溶出結果は、一定時間にわたる、(mg/ml)/gで与えられるキトサン膜試料重量当たりの溶液中に存在する抗生物質の濃度を示した(図11Aおよび11B)。ダプトマイシン(図11A)について、72時間の時間にわたって、80LA変更物は一貫して有意に高い量のダプトマイシンを溶出した。この増大した溶出は、増大した抗生物質の取り込みに相関し得る(図7)。バンコマイシン溶出(図11B)においては、80HAc変更物がより高い平均溶出速度を有した。各個々の膜変更物についての72時間溶出の近似抗生物質放出は、V71HAcおよびD71LA以外は同じ範囲にあり、最大溶出濃度に比べると短いが比較的延長された放出を示し、しかしこの差異は有意ではなかった。
【0111】
抗生物質活性は、S. アウレウス(S. aureus)の増殖のパーセント抑制によって示される濁度アッセイを用いて決定された(図15Aおよび15B)。全体として、膜からの溶出物は、全ての時点でS. アウレウス(S. aureus)を抑制した。4種の変更物は、それぞれの時点で変動性を示した:12時間でV80HAc;24時間でV71HAc, D61LA, およびD71LA。しかしながら、それぞれ12時間および24時間でのV80HAcおよびV71HAc,についての変動性の可能性のある原因は、溶出物とTSB媒体中の成分との間の急な相互作用によって引き起こされたものであり得る(図15B)。結局、バンコマイシンおよびダプトマイシンの両方についての48時間および72時間の溶出物試料は、S. アウレウス(S. aureus)の増殖を抑制するのに活性であることが分かった。
【0112】
抗生物質を有するキトサン膜および有していないキトサン膜の分解を図14Aおよび14Bに示す。リゾチームを用いる分解の研究は、一定時間後に残ったキトサン膜重量を元の膜重量の百分率で示した(図14Aおよび14B)。61%DDAを有する膜変更物は、より少ない程度に分解し、抗生物質を装填した変更物と装填しない変更物との間に有意な差異はなかった。より高いDDAを有する変更物は、より低いDDAを有するものより多く分解した。抗生物質の装填が効果を有するとき、その効果は、膜の分解量の減少であった。約60時間後、各個々の変更物の百分率はその時点後に統計的に同様であったので、分解速度は著しく遅くなった。
【0113】
キトサン膜は、膜を形成するのに使用される酸およびキトサンの脱アセチル化度の両方に依存して、異なって抗生物質を吸収する。一般に、最適な結果は、ダプトマイシンを装填した80LAおよびバンコマイシンを装填した80HAcを含む膜において得られた。キトサンマトリックス、抗生物質および酸溶媒を最適にすると、多彩な抗生物質の吸収に備え、かつ延長された抗生物質の放出に備えた膜が製造される。有利には、膜は生体適合性であり、補綴装置と共に使用することができる。
【0114】
実施例4:抗生物質を装填したキトサンスポンジは、確立されたネズミモデルにおいて移植されたカテーテルへの細菌のコロニー形成を予防する。
局所的薬剤配送は、移植片表面上のバイオフィルムの形成と戦うことへの改善されたアプローチを提供する。表面のコロニー形成およびその後のバイオフィルム形成を予防するための抗生物質を有する移植片の予防的治療は、バイオフィルム形成の危険を低下させる。キトサン局所的配送系は、分解性マトリックス中で配送される移植部位での丸薬抗生物質の利益を提供する。分解性マトリックスであるキトサン局所的配送系は、非分解性の担体、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)ビーズにまさる利点を有する。PMMAビーズを使用することの欠点は、除去手術、抗生物質が治療量以下の放出であること、および移植片上での細菌のコロニー形成を包含する。以下に示される研究は、ダプトマイシン-、バンコマイシン-またはリネゾリド-を装填したキトサンスポンジの予防的使用が、PBSを装填したキトサンスポンジまたはカテーテルのみの対照と比べたとき、確立されたネズミカテーテルモデルにおいてCA-MRSA分離物の細菌カウントを有意に減少させることを示した。
【0115】
移植可能なフッ素処理されたエチレンプロピレン(FEP)カテーテル上でのバイオフィルムの形成を予防するのに、予防的治療として装填キトサンスポンジを評価するために、本研究者らは、先に記載したスタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)株(FPR3757)を使用した。配列決定されたゲノムを有していること、およびそれが基本型の市中感染型メチシリン耐性スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)( CA-MRSA)分離物であるという事実により、このUSA300株が選択された。
【0116】
バイオフィルム形成/抑制を、カテーテルに関連するバイオフィルム形成のネズミモデルを使用して、in vivoで評価した。この研究中、5つの研究群を評価した:(a) ダプトマイシンを装填したキトサンスポンジ、(b) バンコマイシンを装填したキトサンスポンジ、(c) リネゾリドを装填したキトサンスポンジ、(d) リン酸緩衝塩水(1x PBS)を装填したキトサンスポンジおよび(e) カテーテルのみ。滅菌キトサンスポンジ(7.0mm直径)に125マイクロリットル(μl)のダプトマイシン溶液、バンコマイシン溶液、リネゾリド溶液、または1x PBSを装填した(群a-d)。ダプトマイシン、バンコマイシンおよびリネゾリドの濃度値は、それぞれ10.0 μg/ml, 20.0 μg/ml, および40.0 μg/mlであった。これらの値は、S.aureusの薬剤感受性株について中止点(breakpoint) MICとして、臨床および実験室規格協会(Clinical and Laboratory Standards Institute) (CLSI)により規定される濃度の10倍に相当する。NIHスイスマウスの後肢に、皮下ポケットを作った(図21Aおよび21B)。カテーテルの1-cm分節の移植直前に、キトサンスポンジを創傷中に置いた(群a-d)(n=6)(図21Aおよび21B)。各マウスは移植された2つのカテーテルを有しており、かつ予備的実験が、同じマウスの反対の脇腹でのカテーテル間のクロスコンタミネーションの不在を確認していたので、各カテーテルは、その後、独立したデータ点として処理された(n=12)。群(e)は、キトサンスポンジなしでカテーテル配置を受けた。全てのカテーテルの移植(約1時間)後、全体積100μlの1x PBS 中の105 CFUの試験株を、カテーテルの管腔中に直接導入した。この研究は、バイオフィルム形成を予防するためにキトサン配送系の予防的効力を評価することを意図されたので、カテーテルは、インキュベーション48時間後に、動物を殺した後摘出した。カテーテル分節を摘出し、滅菌PBS中ですすいで、付着していない細菌を除去した。付着した細菌は、5.0mlのPBS中で超音波処理することによって、除去した。各カテーテルにコロニー形成している増殖可能な細菌の定量化を、トリプシン大豆寒天(tryptic soy agar) (TSA)上で適切に希釈した試料を培養することによって決定した。試料は37℃にて1晩インキュベートされた。定量的細菌カウントは、対応する希釈率を掛けた、得られたコロニーの数に基づいて計算された。
【0117】
細菌カウントデータは、正常性(normality)について試験した後、非パラメーター法(non-parametric method)を用いて分析された。詳細には、データは、マン-ウィトニー(Mann- Whitney)試験、次いでウィルコキソン(Wilcoxon) 順位和ペア試験(rank-sum pairwise testing)に供された。データは、JMP 8 (Cary, NC)を用いて分析した。p<-0.05なら、データは有意に異なると思われた。
【0118】
抗生物質を装填した分解性配送系の、確立されたネズミモデルにおける移植可能なカテーテル表面上のCA-MRSAバイオフィルムの形成を予防する効力を評価した。ダプトマイシン-およびバンコマイシン-を装填したキトサンスポンジを含む群は、回収したカテーテル分節の100%において移植片表面上の細菌のコロニー形成を妨げ、24個のうちの24個が、培養後、細菌を含まなかった(図22)。両方の群についての細菌カウントは、0 CFU/カテーテルであった。リネゾリド装填およびPBS装填キトサンスポンジを含む群ならびにカテーテルのみの対照は、FEPカテーテル表面上でのMRSA-誘発バイオフィルムの形成を抑制しなかった。リネゾリドを装填したキトサンスポンジの群は、細菌カウント4.19 x 105 CFU/カテーテルを有していた。PBSを装填したキトサンスポンジの群は、細菌カウント9.96 x 105 CFU/カテーテルを有していた。カテーテルのみの群は、より低い細菌カウント(2.30 x 105 CFU/カテーテル)を有していたが、統計的に有意ではなかった。ダプトマイシン-およびバンコマイシン-を装填したキトサンスポンジ群は、他の3群とは、細菌カウントに関して有意に異なっていた(p<0.0001)が、統計的には互いに異なっていなかった。群c、dおよびeは、互いに有意に異なっていなかった。
【0119】
この研究において示された結果は、抗生物質を装填されたキトサンスポンジの予防的な使用は、移植可能な生体適合物質の表面上でのコロニー形成およびその後のバイオフィルム形成を妨げることを示す。この結果は、治療の効力が薬剤依存性であることを示唆する。この知見は、ダプトマイシンが、UAMS-1 (MRSA 株)に対して使用される最も効き目がある薬剤であると報告されたものと同様である。しかしながら、以前の研究は異なる。というのは、in vitroでMRSAに対する薬剤活性を評価するのと反対であるように、本研究の局所的抗生物質系は、in vivoモデルにおいて予防的に使用されるからである。本研究においては、ダプトマイシンおよびバンコマイシン群の両方が、細菌のコロニー形成を妨げることにおいて、100%合格であった。本研究において報告された結果は、抗生物質を装填されたキトサンスポンジが、CA- MRSAバイオフィルム形成の予防のために予防的に使用される可能性を有することを示した。
【0120】
本明細書に記載される結果は、以下の方法および物質を用いて得られた。
スポンジ製造
キトサンスポンジは、以下のようにして製造された。1つのアプローチにおいて、キトサンスポンジは、4.5グラム(g)のキトサンを295.5ミリリットル(ml)の1%(体積/体積)酸溶媒(乳酸および/または酢酸)中に溶かすことによって製造された。キトサンは、プリメックス(Primex) (シグルフォルデュル(Siglufjordur), アイスランド)から得られた、71%脱アセチル化(DDA)されたものであった。別のアプローチにおいては、5.0グラム(g)のキトサンを500ミリリットル(ml)の1%(体積/体積)酸溶媒中に溶かすことによって、キトサン溶液を調製した。使用したキトサンは、プリメックス(Primex) (アイスランド)からの61および71%脱アセチル化(DDA)されたものであった。25mlの水性キトサンをアルミニウム皿に入れ、-80℃で1時間凍結させた。試料を48時間凍結乾燥した。スポンジを水酸化ナトリウム中で中和し、中性になるまで蒸留水中で洗浄した。試料を再凍結させ、再凍結乾燥させた後、滅菌した。低線量のガンマ線照射(25-32kGy)を用いて、スポンジを滅菌した。
【0121】
実施例2に記載されたヤギ創傷治療モデルにおける使用のために採用された好ましいアプローチにおいては、2.5グラムのキトサンを247.5mlの1(体積/体積)%ブレンド酸溶媒中に溶かした。混合物は、乳酸対酢酸75%/25%を含んでいた。この混合物を、撹拌プレート上で最大可能な速度で4-6時間撹拌した。キトサン溶液をろ過して、溶解しなかったキトサンを除去した。25mlのキトサン溶液をピペットで小さいアルミニウム計量皿(6mm直径)に入れた。各皿を-80℃の冷凍庫で1時間凍結させた。次に凍結試料を凍結乾燥器に入れ、48時間凍結乾燥した。スポンジ試料を0.175M NaOH溶液中で〜30-40秒間中和した。蒸留水を満たした容器中で、スポンジを繰り返しすすぎ、すすぎ液がpHで中性になるまでpH変化を監視した。再水和させたスポンジを次に、-80℃の冷凍庫にて1時間インキュベートさせ、そして24-48時間再凍結乾燥させた。このスポンジをその後、ライトメディカル(Wright Medical)での低線量のガンマ線照射を用いて(25-32kGy)滅菌した。
【0122】
キトサンゲル中にキトサンスポンジを含む複合物(「ゲル中スポンジ(sponge-in-gel)」複合物)は、キトサンゲル成分およびキトサンスポンジ成分でできていることができる。ゲル「マトリックス」成分は、キトサン(例えば本明細書に記載したような)を溶解し、粒状物をろ過し、そして溶液を1晩脱気させることによって、製造される。キトサン溶液を容器に移し、少なくとも1時間(-80℃)凍結させる。キトサン溶液が凍結される時間の長さは、スポンジの大きさに適合され得る(例えばより大きいスポンジのためにはより長い凍結時間)。凍結後、凍結試料を〜48時間凍結乾燥し、ガンマ線照射により滅菌する。凍結乾燥したスポンジは中和せず、接着性「ゲル」マトリックスとして使用する。「スポンジ」成分は、凍結乾燥したスポンジ(例えば本明細書に記載したような)を用いて製造される。凍結乾燥したスポンジを、水酸化ナトリウム溶液(種々の濃度のNaOHが使用できる)中に沈めることによって中和する。水和したスポンジを水で数回すすいだ後、少なくとも1時間(-80℃)再凍結させる。凍結したスポンジを再び36-48時間凍結乾燥する。凍結乾燥の持続時間は、凍結乾燥器およびスポンジの大きさに依存する。「2回」凍結乾燥したスポンジ試料を、ガンマ線照射により滅菌する。
【0123】
「ゲル中スポンジ(sponge-in-gel)」複合物を製造するために、「ゲルマトリックス」と「スポンジ」成分の組合せを粗く粉砕する(例えば標準のコーヒー挽き器で)。より細かい成分は、1回凍結乾燥したスポンジ片であり、より大きい成分は、2回凍結乾燥したスポンジ片である。1つの実施態様において、少なくとも約25-95%の複合物がヒドロゲル成分である。別の実施態様においては、少なくとも約5-75%の複合物がスポンジである。複合物は、必要とされる接着性および/または創傷の大きさに基づいて、注文に応じて変えられる。創傷が排膿しやすいか、または増加された表面積を有するなら、接着性の量の増加が望ましい。別の実施態様において、空洞創傷については、スポンジ材料の量の増加が望ましい。1回凍結乾燥したキトサンスポンジおよび2回凍結乾燥したキトサンスポンジ断片のこのブレンドされた混合物を次に、溶液(抗生物質、塩水、抗真菌剤等)で水和して、ペースト混合物を作る。得られたペーストは、より大きい、ゲル中に分散された「スポンジ」断片(2回凍結乾燥したスポンジ成分)を有する、結合「ゲル」マトリックス(1回凍結乾燥したスポンジ成分)を有する。「ゲル中スポンジ(sponge-in-gel)」複合物は、短時間で製造することができる。1つの実施態様において、ケアの場所で、ペーストを混合し、配送する。剤は、複合物が水和されるときに、組み込まれる。1つの実施態様において、複合物は、滅菌注射器によって外傷の部位に届けられる。
【0124】
有利には、複合物は、完全に空隙を満たすのに備え、創傷内のキトサン組成物の移動を防ぐ。これは、剤の外傷部位への局所的配送を容易にする。「ゲルマトリックス」は典型的には、複合物のスポンジ部分より大きい接着特性を有する。かくして、「ゲルマトリックス」の量は、患者の必要に基づき、増加もしくは減少することができる。1つの実施態様において、増加された量のゲルマトリックス(例えば約50%, 70%, 80%, 90%, 95%より大きい)を使用して、組織接着性を増加させる。別の実施態様において、増加された量のスポンジ断片(例えば約50%, 70%, 80%, 90%, 95%より大きい)は、時間にわたる剤の持続する溶出に備える。好ましくは複合物は、剤の2方式配送に備える。第1の相において、剤はゲルマトリックスから直ちに放出される。この第1の相の溶出は典型的には、時間(例えば1, 2, 3, 4, 5, 6 もしくは12 時間)または日(例えば1, 2, 3 日間)の経過にわたって生じる。2方式溶出の第2の相は、複合物のスポンジ部分からの剤の持続する放出を含む。この相は典型的には、数日または数週間の経過にわたって生じる。望ましくは、複合物は、複合物が分解する過程中剤の持続する溶出に備える。1つの実施態様において、複合物は、中和されないゲル部分を含む。別の実施態様において、複合物は、中和されたスポンジ部分を含む。
【0125】
スポンジ溶出試験
水和したスポンジを20mlの1xリン酸緩衝塩水(PBS)中に沈めることによって、スポンジを溶出試験に供し、研究期間中37℃のインキュベーター中に保持した。スポンジを、5mg/mlのアミカシンおよびバンコマイシンを装填した溶液10ml中で再水和させた。1, 3, 6, 24, 48, および72 時間に、1mlの部分標本を採取した。蛍光偏光イムノアッセイ法(TDx, Abbott Labs, Abbott Park, IL)を用いて、抗生物質濃度について、標本を試験した。
【0126】
抗生物質活性
標本の薬剤活性を、濁度アッセイを用いて試験した。この研究に、2種の異なる細菌株を使用した。バンコマイシン試料をスタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)に対して試験し、アミカシン試料をスタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)およびシュードモナス アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)の両方に対して試験した。200μlの各標本を、20μlのS. aureus接種物と合わせた1.8mlのMueller-Hinton II培養液に添加した。アミカシン試料(200μl)をまた、1.75mlのトリプチカーゼソイブロス(TSB)および50μlのP. aeruginosa接種物に添加した。試料を、37℃で24時間インキュベートした。インキュベーション後に、530nmの波長で、吸光度測定値を記録した(A530)。
【0127】
他の研究においては、濁度アッセイにおいて3重測定で、残存する抗生物質溶出試料を使用することによって、S. aureus (Cowan I 株)に対する抗生物質活性を決定した。この濁度の研究においては、抗生物質溶出物と一緒の細菌の十分なインキュベーション後の溶液の透明性は、抗生物質活性による細菌抑制を示した。
【0128】
3重測定にて、5mlのポリスチレン試験管中で、200μlのバンコマイシンおよびダプトマイシン溶出物を別々に、1.75mlのトリプシンソイブロス(TSB)および25μlのS. aureusを含む接種物に加えた。S. aureusも溶出物試料も含まないブランク、抗生物質溶出物なしでS. aureusを含む正の対照、ならびにS. aureusおよび高濃度の抗生物質標準の両方を含む負の対照を混合し、溶出物試料と一緒に37℃でインキュベートした。24時間のインキュベーション後、試験管をかき混ぜ、各接種物溶液の530nmでの吸光度を、分光光度計を用いて記録した。
【0129】
抗生物質の定量
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して、抗生物質、MP バイオメディカルズ(Biomedicals) (アーヴィン(Irvine), CA)からのバンコマイシンおよびキュビスト ファーマシューティカルズ(Cubist Pharmaceuticals) (レキシントン (Lexington), MA)からのダプトマイシンの取り込みおよび溶出を定量した。バリアン(Varian) (パロアルト(Palo Alto), CA) HPLC系は、ProStar 240 溶媒配送(Solvent Delivery), ProStar 410 自動サンプラー(Autosampler), およびProStar 325 UV- Vis 検出器モジュール(Detector modules)を含んでいた。モジュール制御およびデータ処理は、バリアンズ ギャラクシー クロマトグラフィー データ システム(Varian's Galaxie Chromatography Data System) (vl.8.508.1)を用いて行った。両方のHPLC分離法を、前調査から修正した。
【0130】
ダプトマイシンの定量のために、移動相は、リン酸を用いてpH3.25にされた、4mMのリン酸2水素アンモニウムを含むHPLC等級のアセトニトリルおよび水(62:38、体積/体積)溶液からなっていた。分離は、Varian Microsorb-MV C8 カラム、長さ150mm および内径4.6mm を用いて、流速l ml/分にて行った。. ダプトマイシンは、232nmにて検出され、保持時間は13.8分であった。ダプトマイシンの定量は、23.3±1.1℃の温度範囲で行った。
【0131】
バンコマイシンの定量のために、移動相は、リン酸を用いてpH4にされた、50mMのリン酸2水素アンモニウムを含むHPLC等級のアセトニトリルおよび水(92:8、体積/体積)溶液からなっていた。分離は、Varian Microsorb-MV C18 カラム、長さ150mm および内径4.6mm を用いて、流速l ml/分にて行った。. バンコマイシンは、208nmにて検出され、保持時間は24.4分であった。バンコマイシンの定量は、23.3±1.1℃の温度範囲で行った。
【0132】
膜溶出試験
1つのアプローチにおいては、試料を15mlのアミカシン溶液(5mg/ml)中に沈め、2分間水和させた。次に、膜を50mlの1xリン酸緩衝塩水(PBS)中に沈めることによって、試料を溶出試験に供し、研究期間中37℃のインキュベータ中で撹拌した。1mlの標本を、1, 3, 6, 24, 48, および72 時間に取った。蛍光偏光イムノアッセイ法(TDx, Abbott Labs, Abbott Park, IL)を用いて、抗生物質濃度について、標本を試験した。
【0133】
別のアプローチにおいては、3種の異なる脱アセチル化度を有する乳酸膜を、ダプトマイシン溶出について測定し、異なる脱アセチル化度を有する酢酸膜を、バンコマイシン溶出について試験した。溶出実験は、3重測定にて、3mg/mlの抗生物質でin situにて抗生物質を装填した直後に、膜を50mlのPBS中に沈めることによって行った。溶出の手順は、各時点でPBS溶液の更新を行わなかった。次に膜を37℃にてインキュベートし、0.5mlの標本を1, 3, 6, 12, 24, 48, および72時間に取った。溶出物試料の抗生物質濃度は、HPLCを用いて決定して、各膜/抗生物質の組合せについて、溶出プロフィールを得た。
【0134】
活性試験
標本の薬剤活性を、濁度アッセイを用いて試験した。試料は、シュードモナス アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)に対して試験した。試料(200μl)を、1.75mlのトリプチカーゼソイブロス(TSB)および50μlのP. aeruginosa接種物に加えた。試料を37℃にて24時間インキュベートした。分光光度計(BioTek)で530nmにて吸光度測定をした。
【0135】
膜の製造
3種のキトサン脱アセチル化度および2種の酸溶媒を用いて、6種のキトサン変更物を評価した。数61、71および80を使用して、%脱アセチル化度(DDA)を示した;酸溶媒である乳酸および酢酸は、それぞれLAおよびHAcと省略される。
【0136】
それぞれ124, 1480, および332mPas の粘度を有する、61、71および80%脱アセチル化度のPrimex ChitoClear (アイスランド(Iceland))キトサン粉末を使用して、膜を作った。24時間一定の撹拌下で、所望の変更物を1%(体積/体積)酢酸もしくは乳酸溶液に溶かすことによって、1.5%(重量/体積)のキトサン溶液を製造した。キトサン溶液から不溶性物質を除去するために、180μmのナイロンを通してろ過し、ガラス型に入れ、乾燥するまで60℃の対流式オーブンに移した。脱水した膜を取り除き、NaOH溶液中に入れた後、水中ですすぐことによって中和した。この中和された膜を25℃にて乾燥させた。別のアプローチにおいては、180μmのナイロンスクリーンを通してろ過したキトサン溶液を、20℃にて脱気させた。溶液を、約0.8ml/cm2にて平底のガラス皿に入れ、38℃の対流式オーブン中で24時間溶媒を蒸発させた。これによって、乾燥した膜が生成し、この膜を2Mの水酸化ナトリウムに約1秒間浸漬し、次いですすぎのために2Lの蒸留水/脱イオン水を膜上に注ぐことによって中和した。中和した膜を38℃の対流式オーブン中で12時間、大きい孔サイズのナイロンスクリーン上で乾燥した。
【0137】
別のアプローチにおいては、2.5グラムのキトサンを247.5mlの1(体積/体積)%のブレンドした酸溶媒(乳酸対酢酸75%/25%を含む)中に溶かした。混合物を、撹拌プレート上で最大可能な速度で4-6時間撹拌した。キトサン溶液をろ過して、未溶解キトサンを除去し、ろ液をピペットでガラスのペトリ皿上に入れ、これを37℃で18-20時間加熱した。乾燥した膜を取り除き、2.0MのNaOH溶液中で〜30-40秒間中和した。膜を蒸留水ですすぎ、すすぎの水がpHで中性になるまで、pH変化を監視した。再水和させた膜を次に、-80℃の冷凍庫で1時間凍結させた後、24時間凍結乾燥した。次に膜を、低線量のガンマ線照射(25-32 kGy)を用いて滅菌した。
【0138】
膜の取り込みの研究
各キトサン組成物が吸収することができる抗生物質溶液の量を決定するために、取込みの研究を行った。抗生物質の取り込みは、キトサン膜が抗生物質を吸収する能力を決定する。この研究は、各キトサン膜変更物が1分間の再水和中に吸収することができるバンコマイシンおよびダプトマイシンの両方の濃度を決定した。1mg/mlのバンコマイシンまたはダプトマイシンのリン酸緩衝塩水(PBS)溶液を作った。6回の繰り返しを用いて、公知重量の膜を、1分間、50mlの抗生物質溶液中に沈め、ここで、1分間は、有効な手術室用法の典型である。次に膜を抗生物質溶液中に30秒間沈め、取り除いた。残った溶液を、高速液体クロマトグラフィー(バリアン(Varian), CA)法を用いて試験して、抗生物質濃度を決定した。
【0139】
この抗微生物剤装填方法は、抗生物質が膜製造中にキトサン溶液中に組み込まれる、前-装填に対して、in situ装填として定義される。1分後、膜を除き、残った抗生物質溶液の試料をHPLCに使用して、その濃度を決定した。抗生物質の取り込みを、膜重量で標準化し、以下の関係を用いて決定した:抗生物質の取り込み=[(最初の抗生物質溶液濃度−最終的な抗生物質溶液濃度)x抗生物質溶液の体積](mg)/(キトサン膜重量)(mg)。
【0140】
膨張率
キトサン膜の膨張率を、ダプトマイシンおよびバンコマイシンの存在下および不在下の溶液中に1分間沈めた後に決定した。膨張率を定量するために、キトサン膜の最初の体積を、0〜150mmの範囲内での精度(caliper accurate)0.03mmの電子デジタルキャリパーを用いて決定した。最終体積は、抗生物質取込みの手順を行った直後に決定した。このデータは、1分後の膨張率が以下の関係を用いて決定されることを可能にした:膨張率(%)=(最終的な膜の体積−最初の膜の体積)/(最初の膜の体積)x100。
【0141】
吸収された抗生物質の量は、濃度の差を用いて決定した。膜体積の差を計算し、膨張率を与えるために、取込みの研究と同時に、膜寸法をデジタルキャリパーを用いて測定した。キトサン膜の膨張率は、膜が再水和するときの体積の増加を定量化した。
【0142】
最終的引張り強度、ヤング率
中和した膜を、Universal Materials Testing Machine (インストロン(Instron), ノーウッド(Norwood), MA)を用いて、引張り試験に供した。最終的引張り強度(UTS)およびヤング率は、乾燥/脱水キトサン膜変更物の強度および弾性を決定する。6回の繰り返しを用いて、膜変更物を、初期25mm-ゲージ長および175mm2面積を有するASTM E8引張り試験片へと打ち抜いた。脱水した膜の厚みは0.29 ± 0.6 mmであった。幾つかの分析において、ゲージ長および幅それぞれ12.7mmおよび3.5mmを有する試験片を、均質に切断した。インストロンズブルーヒル(Instron's Bluehill) 2 (v2.13)ソフトウェアによって自動化された 50Nの負荷セルを有するInstron 33R, モデル4465 (ノーウッド(Norwood), MA) Universal Testing Machineを用いて、脱水した膜の最終的引張り強度(UTS)およびヤング率を決定した。試験片の正確な寸法を制御する必要性のために、この試験は、脱水したキトサン膜試料を用いて行う必要があった。試験片を油圧グリップ中に確実に置き、1mm/分の速度で張力を試験し、データは、200msの間隔で記録した。試験装置のソフトウェアは、UTS、ヤング率および破断点%伸びを出力するように設定された。
【0143】
接着強度
接着強度の測定は、修正されたASTM規格(D5179-02)を用いて、湿潤/再水和されたキトサン膜の移植片等級の合金固定具(316Lステンレス鋼(ASTM F138)または6-4チタン(ASTM F136)のいずれか)への接着強度を調べる。これらの固定具は、移植片合金を引き離すのに必要とされる力を測定するUniversal Testing Machineによりつかまれていた。全ての実験は、n≧5にて行った。
【0144】
接着強度を測定するために、全てのキトサン膜変更物からの6個の試験片複製を、最小の38x38mmの正方形に切断した。in situ装填の手順をシミュレートするために、膜を次に50mlのPBS溶液中に1分間沈め、その後、直径35.1mmを有する円筒形固定具の間に置いて、接着試験を容易にした。接着試験は、1つの集団内で行うために、ASTM D5179-02を規範にした。両方のInstron Universal Testing Machine油圧グリップを作って、316L SS (ASTM F138) またはTi (Ti-6A1-4V, ASTM 136)合金固定具を保持した(図12)。互いに向いた機械的固定具表面は、特別仕上げによって、粗さ、Ra値0.025μmまで滑らかにした。試験円筒に特別仕上げを使用して、比較試験を提供したが、典型的移植片表面を模写するものではない。再水和したキトサン膜を、自動加圧前-負荷15Nを用いて2つの機械的固定具間に挟んだ。前-負荷力に達した直後に、可動性クロスヘッドを、50mm/分で逆向きにし、30ミリ秒の間隔でデータを記録した。膜厚は、0.18 ± 0.8 mmで変化し、ソフトウェアは最大力(N)でのデータ出力を与え、これを接着力(kPa)に換算した。α=0.05を用いてターキーの(Tukey's) HSD統計分析を行って、膜変更物間の統計的差異を決定した。
【0145】
キトサン分解
修正した手順(トミハタ(Tomihata)およびイケダ(Ikada), 1997)を使用して、キトサン分解への抗生物質の影響を定量した。in situ装填した、または装填しないキトサン膜群-さらなる非装填群と共に抗生物質の溶出および活性の実験において使用した同じ群は、それぞれ5個の複製を有する全部で12個の試験されるべき実験群を生じた-を分解試験に供した。きれいな直径90mmのペトリ皿および脱水したキトサン膜の重量を確立した。in situ装填のための印をつけた膜を、50mlの標準の抗生物質溶液に沈めた後、全ての膜を25mlの100μg/ml 2X結晶化した鶏卵白色リゾチーム(MP バイオメディカルズ(Biomedicals)) PBS溶液中に沈めた。試料を、対流式インキュベータ中で37℃にて20時間インキュベートした。インキュベーション時間後、リゾチーム溶液を除き、対流式オーブンにて同じ方法を用いて膜を脱水した。リゾチーム/PBS溶液を交換し、全部で100時間の間、20時間毎に膜重量を測定した。新しい膜重量を測定し、これは、分解を、残った膜の百分率として表すことができるようにした。残った膜の百分率は、以下の関係を用いて決定した:パーセント残存(%)=(ペトリ皿およびx時間での膜重量−ペトリ皿重量)(mg)/(ペトリ皿および最初の膜重量−ペトリ皿重量)(mg)x100。
【0146】
統計的分析
データは、平均±標準偏差として報告される。1方向ANOVAを使用して、統計的に有意の差について分析した。統計的に有意の差が見出されたなら、それぞれの変更物の対を、スチューデントt検定(Student t-test)を用いて比較した。キトサン膜変更物間の差を、スチューデントt検定(Student t-test)を用いて決定した。2方向ANOVAを使用して、DDAおよび酸溶媒に依存しない変更物間の差を同定した。分析は、JMP 7.0.1 (カリー(Cary), ND)を用いて行った。統計的有意性は、p<0.05のときに生じ、*またはfによって示される。
【0147】
他の実施態様
先の説明から、本明細書に記載される本発明に対して変形および変更を行って、それを種々の用法および状態に対して採用することができることが明らかである。そのような実施態様はまた、以下の特許請求の範囲内にある。
本明細書における可変性のものの定義における要素の列挙の詳述は、挙げられた要素の任意の単一の要素または組合せ(またはサブコンビネーション)としてその可変性のものの定義を包含する。本明細書における実施態様の詳述は、任意の単一の実施態様として、または任意の他の実施態様もしくはその一部との組合せとして、その実施態様を包含する。
本明細書において言及された全ての特許および刊行物は、もしそれぞれの独立する特許および刊行物が詳細にかつ独立して示されて、引用することによって組み入れられるなら、引用することによって、同じ範囲まで本明細書に組み入れられる。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A−3B】
【図3C−3D】
【図4A−4B】
【図4C−4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キトサンを特徴とする組成物および、生物学的に活性な剤を開放骨折、複合創傷または他の感染部位へ局所的に届けるためにそのような組成物を使用する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
関連出願に対するクロスリファレンス
本願は、以下の米国仮出願Nos.:, Ser. Nos. 61/160,539(2009年3月16日に出願)、61/171,805(2009年4月22日に出願)および61/227,606(2009年7月22日に出願)に優先権主張し、各出願の全内容が、引用することにより、本明細書に組み入れられる。
【0003】
連邦政府による資金提供を受けた研究下でなされる発明に対する権利の記載
本研究は、米国陸軍からの以下の認可により後援された:AMEDD Grant No. W81 XWH-080312。政府は、本発明に権利を有する。
【0004】
発明の背景
皮膚は、感染に対して重要な障壁として役立つ。皮膚を傷める外傷はどれも、病原体の侵入および感染の機会を作る。開放骨折は、感染のために理想的な部位である。閉鎖骨折での手術部位感染は、3.6〜8.1%の範囲である。対照的に、開放骨折での手術部位感染は17.5〜21.2%の範囲である。開放骨折の部位に存在する病原体は、局所的な感染を作り得るだけでなく、骨および関連組織における深刻な感染を引き起こし得る。複合開放創傷はまた、多くの細菌に感染しやすい。傷に感染をさせる細菌のタイプは典型的には、外傷の原因に依存して変化する。感染の危険を減らすために、現行の標準のケアは、創傷清浄化、灌注および全身的抗生物質療法(systemic antibiotic therapy)を包含する。積極的治療および全身的抗生物質療法を用いてさえ、感染は相変わらず、病的状態および死亡の重大な原因である。外傷および感染により障害を生じさせられた組織はしばしば血管化を減らし、これは、循環する治療用物質の配送を制限する。傷められた組織における乏しい循環を補うために、全身的抗生物質の濃度の増加が通常必要とされる。抗生物質の毒性および全身の副作用が、この治療過程に関連する重大な問題である。手術後の感染、薬の副作用および関連する合併症は、病院滞在を著しく延長し、悪い結果を生じ得る。感染、特に開放骨折に関連する感染を治療もしくは防止するための現行の方法は不十分であり、外傷の部位での感染を防止もしくは治療するために剤を提供するための改善された組成物および方法が緊急に必要とされる。
【発明の概要】
【0005】
以下に記載されるように、本発明は、病原体感染の治療もしくは予防のために生物学的に活性な剤の配送に備えるキトサン組成物に特徴を有する。有利には、キトサン組成物の分解および薬剤溶出プロフィールは、ケアの場所で(例えば、手術室、診療所、医師の診察室または他の臨床環境において)特定の患者の必要性に合わせて調整することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様において、本発明は、所望の生物分解プロフィールを有する生物分解性キトサン組成物を製造する方法であって、溶媒中1種以上の酸中に少なくとも約51%の均一な脱アセチル化度を有するキトサンを溶解し、ここで酸および溶媒は、in vivoで少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日またはそれ以上にわたって生物分解するキトサンを生じるように選択されること;かつキトサンを、水分含量を約10〜100%(例えば10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%)だけ減らす条件下で、所望の形状に作り上げることを含む方法に特徴を有する。1つの実施態様において、この方法はさらに、ケアの場所で、キトサン組成物を有効量の少なくとも1種の剤と接触させること、および/または有効量の少なくとも1種の剤をキトサン組成物中に組み込むことを包含する。
【0007】
別の態様において、本発明は、所望の生物分解プロフィールを有する生物分解性キトサン組成物を製造する方法であって、溶媒中1種以上の酸中に少なくとも約51%の均一な脱アセチル化度を有するキトサンを溶解し、ここで酸および溶媒は、in vivoで少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日またはそれ以上にわたって生物分解するキトサンを生じるように選択されること;キトサンを、水分含量を約10〜100%(例えば10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%)だけ減らす条件下で、所望の形状に作り上げること;かつ、組成物を水、中性溶液または塩基性溶液と接触させることによって、キトサン組成物を中和し、ここで水、中性溶液または塩基性溶液は、キトサンの物理的-機械的性質を調節し、それによって生物分解性キトサン組成物を生じるように選択されることを含む方法に特徴を有する。1つの実施態様において、この方法はさらに、ケアの場所で、キトサン組成物を有効量の少なくとも1種の剤と接触させること、および/または有効量の少なくとも1種の剤をキトサン組成物中に組み込むことを包含する。
【0008】
なお別の態様において、本発明は、ケアの場所で臨床医により選択される剤を含む生物分解性キトサン組成物を製造する方法であって、溶媒中1種以上の酸中に所望の生物分解性プロフィールを有するキトサンを溶解し、ここで酸および溶媒は、in vivoで少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日またはそれ以上にわたって生物分解するキトサンを生じるように選択されること;キトサンを、水分含量を約10〜100%(例えば10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%)だけ減らす条件下で、所望の形状に作り上げること;組成物を水、中性溶液または塩基性溶液と接触させることによって、キトサン組成物を中和し、ここで水、中性溶液または塩基性溶液は、キトサンの物理的-機械的性質を調節し、それによって生物分解性キトサン組成物を生じるように選択されること;剤を選択すること;かつ、ケアの場所で、有効量の少なくとも1種の剤をキトサン組成物中に組み込むことを含む方法に特徴を有する。1つの実施態様において、組成物は、ケアの場所で剤と接触される。1つの実施態様において、剤(例えば抗微生物剤)は、外傷の原因に基づいて選択される。
【0009】
別の態様において、本発明は、上記態様のいずれかの方法によって製造されるキトサン組成物に特徴を有する。
別の態様において、本発明は、請求項1〜21のいずれかの方法によって製造されるキトサン組成物を含む創傷管理装置に特徴を有する。
1つの態様において、本発明は、少なくとも約51%の均一な脱アセチル化度を有し、水分含量が約0〜90%であるキトサンおよび、ケアの場所で選択される有効量の剤を含むかまたはそれから本質的に成る、in vivoで1〜35日以内に分解する、酸-処理されたキトサン組成物に特徴を有する。
別の態様において、本発明は、少なくとも約51%の均一な脱アセチル化度を有し、水分含量が約0〜90%であるキトサンおよび有効量の剤(例えば抗微生物剤、増殖因子、抗炎症薬、凝血促進剤および/または抗血栓症薬)を含むかまたはそれから本質的に成る、in vivoで1〜35日以内に分解する、酸処理されたキトサン組成物を含む創傷管理装置に特徴を有する。
【0010】
別の態様において、本発明は、外傷(例えば骨折、開放骨折、創傷、複合創傷および手術部位)の部位で患者における感染を治療もしくは予防するための方法であって、その部位を、請求項19および21〜31のいずれかに従って製造されるキトサン組成物ならびにケアの場所(手術室、診療所、医師の診察室または他の臨床環境)で選択される有効量の少なくとも1種の剤を含むかまたはそれから本質的に成る創傷管理装置と接触させることを含む方法に特徴を有する。
【0011】
別の態様において、本発明は、外傷(例えば骨折、開放骨折、創傷、複合創傷および手術部位)の部位で患者における感染を治療もしくは予防するための方法であって、その部位を、酸処理されたキトサン組成物を含む創傷管理装置と接触させることを含み、該組成物は、少なくとも約61%の均一な脱アセチル化度を有するキトサンおよびケアの場所で選択される有効量の少なくとも1種の剤を含むかまたはそれから本質的に成る方法に特徴を有する。
【0012】
別の態様において、本発明は、外傷の部位(例えば骨折、開放骨折、創傷、複合創傷および手術部位)に剤を局所的に届けるための方法であって、その部位を、ケアの場所で選択される剤を含むキトサン組成物と接触させ、それによって、その剤をその部位に届けることを含む方法に特徴を有する。1つの実施態様において、この方法はさらに、外傷の部位を灌注および創傷清浄化することを含む。
【0013】
別の態様において、本発明は、少なくとも約51%の均一な脱アセチル化度を有する酸処理されたキトサン組成物を含み、さらに有効量の剤を含む、移植のための医療装置に特徴を有する。1つの実施態様において、キトサン組成物は、装置に接着する膜である。別の実施態様においては、装置は、チタンまたはステンレス鋼を含む。なお別の実施態様においては、医療装置は補綴装置である。
【0014】
別の態様において、本発明は、外傷部位を治療するか、または剤を配送するのに使用するための、請求項22または24〜36項のいずれかのキトサン組成物を含むキットに特徴を有する。1つの実施態様において、キトサン組成物は、創傷管理装置または移植のための医療装置に存在する。別の実施態様において、キトサン組成物は、栓(plug)、メッシュ、片、縫合糸(suture)、外傷用手当て材料(dressing)、スポンジ、膜、ヒドロゲルまたはそれらの組合せの形態である。
【0015】
上記の態様のいずれかの種々の実施態様において、キトサン組成物は、膜、ヒドロゲル、メッシュ、栓、片、スポンジ、縫合糸、外傷用手当て材料、またはそれらの組合せの形態である。上記の態様のいずれかの他の実施態様において、剤は、任意の1種以上の抗微生物剤(例えば抗菌剤、抗ウィルス剤および抗真菌剤)、増殖因子、抗炎症薬、止血剤および抗血栓症薬である。上記の態様のいずれかの他の実施態様において、抗菌剤は、ダプトマイシン(daptomycin)、バンコマイシン(vancomycin)およびアミカシン(amikacin) のうちの任意の1種以上である。本明細書において述べられた発明の種々の実施態様において、キトサン組成物は、キトサン1g当たり約1μg〜500mg(1, 5, 10, 50, 100, 200, 300, 400, 500, 600, 700, 800, 900μg; 1, 5, 10, 25, 50, 75, 100, 125, 150, 200, 250, 300, 350, 400, 450, 500), 100-300 (100, 125, 150, 175, 200, 225, 250, 275, 300 mg), または200-300 (200, 300) mgの抗生物質を含む。本明細書において述べられた任意の発明の種々の実施態様において、キトサン組成物は、1時間当たり少なくとも約1μg〜1mgの抗生物質を放出する(例えば1, 5, 10, 25, 50, 75, 100, 200, 250, 300, 350, 400, 450, 500, 550, 600, 650, 700, 750, 800, 850, 900, 1000μg /時間)。上記態様または本明細書において述べられた発明の任意の態様の種々の実施態様において、キトサン組成物は、12〜72時間で、約1μg〜50mg(例えば1, 5, 10, 50, 100, 200, 300, 400, 500, 600, 700, 800, 900μg; 1,5, 10, 15, 20, 25, 30, 35, 40, 45, 50)の剤を放出する。本明細書において述べられた任意の発明の他の実施態様において、キトサン組成物は、スポンジ1cm3当たり約1μg〜500mgの剤を放出する。本明細書において述べられた任意の発明のなお他の実施態様において、キトサン組成物は、約24時間で約15〜40mgを放出するか、または約24時間で約20mgの剤を放出する。上記態様または本明細書において述べられた発明の任意の態様の種々の実施態様において、少なくとも約10〜1000μg(例えば10, 25, 50, 75, 100, 200, 250, 300, 350, 400, 450, 500, 550, 600, 650, 700, 750, 800, 850, 900, 1000μg)の剤が、1時間、24時間、または72時間で装置から溶出される。
【0016】
上記態様または本明細書において述べられた発明の任意の他の態様のなお他の実施態様において、キトサン組成物は、少なくとも約1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間にわたって、1週間、2週間、3週間にわたって、または1カ月、2カ月、3カ月またはそれ以上にわたって生物分解性である。他の実施態様において、キトサンは、酢酸、クエン酸、シュウ酸、プロピオン酸、アスコルビン酸、塩酸、蟻酸、サリチル酸および乳酸の任意の1種またはそれらの組合せである酸で処理される。本明細書において述べられた発明の種々の実施態様において、酸または酸溶媒は、1-99%(例えば1, 2, 3, 4, 5, 10, 15, 20, 25, 30, 35, 40, 45, 50, 55, 60, 65, 70, 75, 80, 85, 90, 95, 99, 100%)の乳酸および/または1-99%(例えば1, 2, 3, 4, 5, 10, 15, 20, 25, 30, 35, 40, 45, 50, 55, 60, 65, 70, 75, 80, 85, 90, 95, 99, 100%)の酢酸を含む。上記態様の1つの実施態様において、キトサンは、乳酸、酢酸またはそれら2種の組合せで処理される。本発明のなお他の実施態様において、酸溶媒は、75%の乳酸および25%の酢酸のブレンドを含む0.05%, 1%, 2%, 3%, 4%, または5%の酸溶液である。
【0017】
本明細書において述べられた発明の種々の実施態様において、キトサンの脱アセチル化度、重量パーセント、中和溶液、溶媒構成および/または結晶化度は、キトサン組成物の生物分解性プロフィール、溶出プロフィールおよび/または物理的-機械的性質を注文に合わせて変えるように、変えられる。種々の実施態様において、物理的-機械的性質は、引張り強度、ヤング率、膨張率、分解およびそれらの組合せからなる群より選択される。
【0018】
本発明のなお他の実施態様において、剤の有効量は、細菌細胞(例えばシュードモナス アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa) (lux) またはスタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus))の生存または増殖を減らすのに十分である。本明細書において述べられた任意の態様のなお他の実施態様において、この方法は、未処理の対照部位に比べて、キトサン組成物との接触後72時間で、少なくとも約20〜100%(例えば20, 25, 30, 35, 40, 45, 50, 55, 60, 65, 70, 75, 80, 85, 90, 95, 100%)だけ部位に存在する細菌を減らす。なお他の実施態様において、脱アセチル化度は、少なくとも約61、71または80%であるか、または組成物は、それぞれがそのようなパーセント脱アセチル化を有するキトサンの組合せを含む。任意の上記態様のなお他の実施態様において、キトサンのパーセント脱アセチル化または重量パーセントは、組成物の分解および溶出速度を注文に合わせて変えるように変えられる。なお他の実施態様において、酸は、組成物の分解および溶出速度を注文に合わせて変えるように変えられる。任意の上記態様のなお他の実施態様において、組成物は、治療の場所で臨床医によって剤をあつらえ装填される(custom loaded)。なお他の実施態様において、装置は、剤の長期間放出に備える。上記態様の1つの好ましい実施態様において、キトサン組成物は、0.175もしくは0.5M NaOHで中和される61DDAまたは71DDAキトサンを含む。1つの好ましい実施態様において、キトサン組成物は、乳酸および/または酢酸で処理された80%脱アセチル化キトサンである。なお他の実施態様において、所望の形状は、型中でキトサンを凍結させ、かつキトサンを凍結乾燥してスポンジを形成することによって、またはキトサンを薄層状に注ぎ、かつキトサンを加熱して脱水キトサン膜を形成することによって、得られる。本発明のなお他の実施態様において、キトサン組成物は成形されて、栓、メッシュ、片、縫合糸、外傷用手当て材料、スポンジまたは膜を形成する。なお他の実施態様において、キトサン組成物は、キトサンゲル中にキトサンスポンジを含み、ここでは、キトサンは、少なくとも約51%の均一な脱アセチル化度を有する。1つの実施態様において、少なくとも約25〜95%の複合物がゲル成分である。別の実施態様において、少なくとも約5〜75%の複合物がスポンジである。
【0019】
本明細書において述べられた方法の種々の実施態様において、この方法はex vivoである。本明細書において述べられた方法の種々の実施態様において、キトサンの脱アセチル化度、重量パーセント、中和溶液、溶媒構成および/または結晶化度は、キトサン組成物の生物分解性プロフィール、溶出プロフィールおよび/または物理的-機械的性質を注文に合わせて変えるように、変えられる。
【0020】
本明細書において述べられた方法の種々の実施態様において、この方法はさらに、キトサン組成物を、水、中性溶液または塩基性溶液と接触させることによって組成物を中和することを包含する。なお他の実施態様において、本発明はさらに、少なくとも約10%(例えば10%, 20%, 30%, 40%, 50%, 60%, 70%, 80%, 90%, 100%)だけ水分含量を減らすことを包含する。本明細書において述べられた方法のなお他の実施態様において、キトサン組成物は、患者に移植されるとき、少なくとも約3-5日間にわたって生物分解する。任意の上記態様の方法または本明細書において述べられた発明の任意の他の方法の種々の実施態様において、この方法はさらに、外傷の部位を灌注および創傷清浄化することを包含する。
【0021】
本発明は、キトサンを特徴とする組成物、および開放骨折、複合創傷または他の感染部位に生物学的に活性な剤を局所的に届けるためにそのような組成物を使用する方法を提供する。本発明により定義される組成物および物品は、分離されたか、またはさもなければ以下に提供される実施例に関連して製造された。本発明の他の特徴および利点は、詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになろう。
【0022】
定義
「キトサン」とは、少なくとも20%脱アセチル化されたキチン-誘導ポリマーを意味する。好ましくはキトサンは、少なくとも約50%脱アセチル化される。キチンは、(1-4)-結合した2-アセトアミド-2-デオキシ-b-D-グルコピラノースからなる線状の多糖である。キトサンは、(1-4)-結合した2-アミノ-2-デオキシ-b-D-グルコピラノースからなる線状の多糖である。典型的なキトサンポリマーを図15に示す。
「複合物」とは、物質の混合物を意味する。1つの実施態様において、複合物は、ヒドロゲル内に分散されたスポンジ断片を含む。
「酸処理されたキトサン」とは、酸性溶液中に可溶化されたキトサンを意味する。
「分解する」とは、全部または一部の物理的または化学的破壊を意味する。好ましくは、分解は、少なくとも約10%, 25%, 50%, 75%, 80%, 85%, 90%, 95%または100%だけ大きさの物理的減少を表す。
「膜」とは、物質の薄層を意味する。
「長期間の放出」とは、24〜72時間またはそれ以上の経過にわたっての剤の溶出を意味する。
「スポンジ」とは、三次元の多孔マトリックスを意味する。
「創傷管理装置」または「創傷回復装置」とは、外傷の部位で回復を保護または促進するために使用される任意の物質を意味する。
「剤」とは、任意の小さい化合物、抗体、核酸分子もしくはポリペプチド、またはそれらの断片を意味する。
「改善する」とは、疾病の展開または進行を縮小、抑制、減衰、減少、抑止または安定化させることを意味する。
「変更」とは、標準技術で公知の方法、例えば本明細書に記載されるものにより検出される遺伝子またはポリペプチドの発現レベルもしくは活性における変化(増加または減少)を意味する。本明細書において使用されるように、変更は、発現レベルの10%の変化、好ましくは25%の変化、より好ましくは40%の変化、最も好ましくは50%もしくはそれ以上の発現レベルの変化を包含する。
「類似体」とは、同一ではないが、類似の機能もしくは構造上の特徴を有する分子を意味する。例えば、キトサン類似体は、対応する参照キトサンポリマー(例えば製造されたキトサン)の生物学的活性を保持するが、参照のキトサンポリマーに比較して類似体の機能を向上させるある種の生物化学的修正を有する。そのような生物化学的修正は、類似体の、分解される能力、治療剤を取り込むかもしくは溶出する能力または機械的強度を増加もしくは減少させる能力を増大させることができる。
「抗微生物剤」とは、微生物の増殖もしくは生存を抑制もしくは安定化する剤を意味する。1つの実施態様において、静菌剤は抗微生物剤である。他の実施態様において、微生物(例えば細菌、真菌、ウィルス)を殺す任意の剤は抗微生物剤である。
「抗炎症薬」とは、組織における炎症反応の激烈さもしくは症状を減らす剤を意味する。組織内の炎症反応は一般に、白血球浸潤、浮腫、赤み、痛みおよび/または新血管新生によって特徴づけられる。炎症はまた、サイトカインまたは任意の他の炎症マーカーの濃度を分析することによって測定することができる。
「生物分解性」とは、生物学的活性による崩壊を受けやすいことを意味する。例えば、生物分解性キトサン組成物は、in vivoに存在する酵素(例えばリゾチーム、、N-アセチル-o-グルコサミニダーゼおよびリパーゼ)による崩壊を受けやすい。本発明のキトサン組成物の分解は、完全である必要はない。本発明のキトサン組成物は、例えば1個以上の化学結合(例えばグリコシド結合)の開裂によって、分解され得る。
「臨床医」とは、任意の健康管理提供者を意味する。典型的な臨床医は、限定されないが、医者、獣医師、整骨医、医師のアシスタント、非常時の医療専門技術者、医学生、看護士開業者、および看護士を包含する。
この開示において、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(containing)」、および「有する(having)」等は、米国特許法におけるそれらに帰する意味を有し、「含む(includes)」、「含む(including)」等を意味することができ;「本質的に成る(consisting essentially of)」または「本質的に成る(consists essentially)」等は、米国特許法におけるそれらに帰する意味を有し、その用語は制限がなく、列挙されるそれの基本のまたは新規な特徴が、列挙されるより多くの存在によって変えられない限り、列挙されるものより多くの存在を考慮に入れるが、従来技術の実施態様を除く。
「検出する」は、検出されるべき分析対象の存在、不在または量を明らかにすることをいう。
「注文に合わせて変える」とは、特定の患者の必要性に合わせて調整することを意味する。
「分解速度」とは、組成物を実質的に分解するのに必要とされる時間を意味する。少なくとも約75%, 85%, 90%, 95%またはそれ以上が分解されている場合に、組成物は実質的に分解される。キトサンの分解を測定する方法は当技術において公知であり、患者における移植後、またはキトサン分解活性を有する酵素にin vitro暴露した後に残る、本発明のスポンジ、膜、複合物もしくは他の組成物の量を測定することを包含する。
「疾病(disease)」とは、細胞、組織または器官の通常の機能に損害を与えるかまたはこれを妨げる任意の状態もしくは疾患(disorder)を意味する。1つの例において、疾病は、創傷部位に存在する細菌または他の感染症である。別の実施態様において、疾病は敗血症である。
「有効量」とは、未治療患者に比べて疾病の症状を改善するのに必要とされる剤の量を意味する。疾病の治療処置のために本発明を実施するのに使用される活性剤の有効量は、投与のやり方、患者の年齢、体重および一般的な健康状態に依存して変化する。結局、かかっている医師または獣医師が、適当な量および投与方式を決定するであろう。そのような量が「有効」量と称される。
「溶出速度」とは、剤が組成物から実質的に放出されるのに必要とされる時間を意味する。溶出は、それだけの剤が組成物内に残るかを決定することによって、またはどれだけの剤が組成物の周囲へと放出されたかを測定することによって、測定することができる。溶出は、部分的(10%, 25%, 50%, 75%, 80%, 85%, 90%, 95%もしくはそれ以上)または完全であり得る。1つの好ましい実施態様において、剤は、少なくとも約3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, もしくは10日間有効濃度で放出され続ける。
【0023】
本発明は、本明細書において述べられる方法によって特徴づけられる疾患を治療するための非常に特異的な薬剤の開発のために有用である多数の標的を提供する。さらに、本発明の方法は、患者に使用するために安全な治療を突き止めるための手軽な手段を提供する。さらに、本発明の方法は、高体積の処理量、高い感受性、および低い複雑さにて、本明細書において記載される傷の回復または病原体感染への効果について任意の数の化合物を実質的に分析するための経路を提供する。
【0024】
「断片」とは、ポリペプチドまたは核酸分子の一部分を意味する。この部分は、好ましくは、参照核酸分子もしくはポリペプチドの全長の少なくとも10%, 20%, 30%, 40%, 50%, 60%, 70%, 80%もしくは 90%を含む。断片は、10, 20, 30, 40, 50, 60, 70, 80, 90, もしくは 100, 200, 300, 400, 500, 600, 700, 800, 900もしくは1000個のヌクレオチドもしくはアミノ酸を含み得る。
「阻害性核酸」とは、哺乳動物の細胞に投与したとき、標的遺伝子の発現の低下(例えば10%, 25%, 50%, 75%だけ、または90- 100%すらの低下)を生じる、2本鎖RNA、siRNA、shRNAもしくはアンチセンスRNAまたはそれらの一部、またはそれらの模倣体を意味する。キトサン組成物は、ポリヌクレオチド、例えば阻害性核酸分子の配送のために有用であり、病原体感染および関連する疾病の治療または予防のために有用である。典型的には、核酸阻害剤は、標的核酸分子、またはそのオルソログ(ortholog)の少なくとも一部を含むか、または標的核酸分子の相補性の鎖の少なくとも一部を含む。例えば阻害性核酸分子は、任意のまたは全ての本明細書に述べられた核酸の少なくとも一部を含む。
「感染」とは、宿主の組織または器官に1種以上の病原体が存在することを意味する。感染は、外傷の部位で患者の組織内での微生物(例えば細菌、ウィルス、真菌)の増殖を包含する。
「マーカー」とは、疾病または疾患に関連する発現レベルまたは活性において変更を有する任意のタンパク質もしくはポリヌクレオチドを意味する。
「調節する」とは、変更する(増加もしくは減少する)ことを意味する。そのような変更は、標準の技術で公知の方法、例えば本明細書に記載される方法によって検出される。
本明細書において使用されるように、「剤を得る」におけるような「得る」は、剤を合成する、購入する、またはさもなければ取得することを包含する。
「物理的相互作用」とは、共有結合を必要としない会合を意味する。1つの実施態様において、物理的相互作用は、本発明のキトサン組成物中への組み込みを包含する。
「治療の場所」とは、健康管理が届けられる所を意味する。「治療の場所」は、限定されないが、手術室、医師の診察室、診療所または病院を包含する。
「ポリマー」とは、小さい分子を規則的なパターンで結合することによって形成される、天然もしくは合成の有機分子を意味する。
「プロフィール」とは、組成物またはプロセスを規定する一連の特徴を意味する。例えば、「生物分解プロフィール」は、組成物の生物分解の特徴をいう。別の例では、「溶出プロフィール」は、組成物の溶出の特徴をいう。
「補綴装置」とは、身体の欠けている部分または欠陥のある部分を置換するか、または補う、埋め込まれた医療装置を意味する。
「小さい分子」とは、任意の化合物を意味する。
「外傷」とは、患者の組織または器官を損傷する任意の怪我を意味する。怪我は、ひどい必要はない。したがって、外傷は、皮膚を傷める任意の怪我を包含する。
「調節」とは、生物学的機能または活性における任意の変更(例えば増加もしくは減少)を意味する。
「患者」とは、限定されないが、人または人以外の哺乳動物、例えば牛、馬、犬、羊または猫を含む哺乳動物を意味する。
「均一な脱アセチル化度」とは、単一のタイプのキトサンから作られたキトサン組成物をいう(例えば61DDA, 71DDA, または 81DDA)。1つの実施態様において、均一な脱アセチル化度を有するキトサン組成物は、組み合わせたタイプのキトサン(キトサンが異なる脱アセチル化度を有する)を有するキトサン組成物を除外する。
本明細書において使用されるように、「治療(treat)」、「治療する(treating)」、「治療(treatment)」等の用語は、それと関連する疾患および/または症状を減らすかまたは改善することをいう。除外されないが、疾患または状態を治療することは、それと関連する疾患、状態または症状が完全に除かれることを必要としないことが認識される。
本明細書において使用されるように、「防ぐ(prevent)」、「防ぐこと(preventing)」、「予防(prevention)」、「予防的(prophylactic)」等の用語は、疾患または状態をもっていないが、疾患または状態を生じさせやすいおそれのある患者において、疾患または状態を生じさせる確率を減らすことを意味する。
「参照」とは、標準または対照の状態を意味する。
「siRNA」とは、2本鎖RNAを意味する。最適には、siRNAは、長さが18, 19, 20, 21, 22, 23 または24個のヌクレオチドであり、その3’末端に2塩基オーバーハング(overhang)を有する。これらのdsRNAは、個々の細胞または動物全体に導入することができる;例えばそれらは、血流によって全身に導入され得る。そのようなsiRNAはmRNA濃度またはプロモーター活性を抑制するのに使用される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1A−1C】図1A−1Cは、滅菌されたキトサンからの抗生物質(アミカシン/バンコマイシン)の溶出を示すグラフである。
【図2A−2C】図2A−2Cは、キトサンスポンジを示す。図2Aは、再水和前の脱水したスポンジを示す。図2Bは、キトサンスポンジのin situ再水和を示す(平均の再水和は6.5ml)。図2Cは、脱水し、溶液中で1分後の再水和したキトサンスポンジを示す。
【図3A−3D】図3A−3Dは、滅菌キトサンスポンジを用いて行った阻害のゾーン(Zone of Inhibition) (ZOI)研究の結果を示す。各図(図3A−D)の左端の画像は、滅菌塩水に浸漬したスポンジであり、各図の2番目および3番目の画像は、5mg/mlの抗生物質溶液に浸漬したスポンジである。図3Aおよび3Bは、シュードモナス アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)に対するアミカシンに浸漬したスポンジについての、それぞれ24時間および48時間のZOI画像である。3Cおよび3Dは、スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)に対するバンコマイシンに浸漬したスポンジについての、それぞれ24時間および48時間のZOI画像である。測定された半径のZOIを、ミリメートルで各画像の下に挙げた。
【図4A−4D】図4A−4Dは、ヤギ脛骨開放骨折モデルにおける細菌細胞量を示すグラフである。図4Aは、シュードモナス アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)を用いた結果を示す。6-postおよび48-preに挙げた値は、6-preと名付けた第1の列に挙げた、灌注および創傷清浄化の6-時間前の元のレベルの百分率である。(与えられた値は、平均±平均の標準誤差である;n=5)図4Bは、ヤギ脛骨開放骨折モデルにおける細菌細胞量(スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus))のグラフ表示である。6-postおよび48-preに挙げた値は、6-preと名付けた第1の列に挙げた、灌注および創傷清浄化の6-時間前の元のレベルの百分率である。(与えられた値は、平均±平均の標準誤差である;No Tx群についてn=5、スポンジTx群についてn=4)図4Cは、シュードモナス アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)を用いた結果を示し、図4Dは、スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus) を用いた結果を示し、対照および、アミカシンまたはバンコマイシン治療群でのヤギ脛骨開放骨折モデルにおける細菌細胞量を示すグラフである。挙げられた値は、6-preと名付けた第1の列に挙げた、-灌注および創傷清浄化の6-時間前の元のレベルの百分率である(与えられた値は、平均±平均の標準誤差である;No Tx群についてn=5、スポンジTx群についてn=4)か、または細胞カウントである。(与えられた値は、平均+平均の標準誤差である;n=5)図4A~4Dのそれぞれにおいて、48hr-preは、接種後48時間および治療後42時間を意味する。
【図5A−5D】図5A−5Dは、ヤギの脛骨骨折モデルにおける細菌濃度を示す画像である。図5Aは、スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)について(ヤギ840-SP Txの)、怪我後、接種後6時間の、灌注および創傷清浄化前の細菌レベルを示す。図5Bは、怪我後、接種後6時間の、灌注および創傷清浄化後を示す。スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus) についてのpre-スポンジTx(ヤギ840-SP Tx)。図5Aおよび5Bの比較は、怪我後、接種後48時間で、灌注および創傷清浄化後での74%の細菌減少を示す(S.a.)(ヤギ94-No Tx)[スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)]。図5Cは、怪我後、接種後48時間で、灌注および創傷清浄化後を示す。42時間スポンジTx(ヤギ840-SP Tx))[スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)]。図5Dは、怪我後、接種後48時間で、灌注および創傷清浄化後を示す。(ヤギ94-No Tx))[スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)]。図5Cにおける、抗生物質を装填したキトサンスポンジでの治療後に観察された細菌カウントの比較 (S.a.) は0%である。それに対して、図5Dは、治療なしで357%細菌カウントのリバウンドを示す。
【図6】図6は、動物試験中ヤギ血清中に見出された抗生物質濃度のグラフ表示を提供する。血液は、手術後6, 12, 24, 36, および42時間に採取された。血清の抗生物質濃度は、TDxにより測定された。(アミカシンおよびバンコマイシン)。挙げられた値は、μg/ml±標準偏差である(アミカシン試料についてはn=5およびバンコマイシンについてはn=4)、左の列、アミカシン;右の列、バンコマイシン。
【図7】図7は、抗生物質の取り込みの結果を示すグラフである。ダプトマイシン(Daptomycin)はDと略し、バンコマイシンはVと略し、いずれでもないのはNと略し;数61, 71, および80を使用して、%脱アセチル化度を示し;酸溶媒、乳酸および酢酸は、それぞれLAおよびHAcと略す。乳酸とダプトマイシンおよび酢酸とバンコマイシンの膜変更物が、最高の抗生物質の取り込みの値を有していた。結果は、平均±標準偏差として示される(*, p ≧ 0.7769; * 対他の全て、**, + , ++ , p < 0.0001)。
【図8】図8は、in situ装填による1分間の再水和後のキトサン膜変更物の膨張率を示すグラフである。全ての群についてn=6測定値。D、LAおよびV、HAcの膜変更物は、より高い膨張率を有していた。結果は、平均±標準偏差として示される(*, p = 0.8381; *対**以外の他の全て、 p < 0.0001)。
【図9】図9は、最終的な引張り強度(UTS)の結果を示すグラフである。強度の尺度として、UTSは脱水されたキトサン膜試験片が壊れる応力をMPaで示した。脱水されたキトサン膜の最終的な引っ張り強度は、応力で報告した (*, p = 0.2131; *対他の全て, p < 0.0001)。膜変更物71HAc および80HAcは同様であり、他の変更物より有意に高いUTS値を有していた、全ての群についてn=6測定値。
【図10】図10は、弾性の結果を定量するグラフである。ヤング率は、応力対変形の比をMPaで示した。結果は平均±標準偏差として示される(**, p = 0.6597; **対他の全て, p < 0.0001)。膜変更物71HAc および80HAcは同様であり、全ての他の変更物より有意に高いヤング率を有していた。全ての群についてn=6測定値。
【図11A−11B】図11Aおよび11Bは、平均±標準偏差として示されるin situ装填されたキトサン膜からの、それぞれダプトマイシンおよびバンコマイシンの溶出を示すグラフである。71%DDA膜についての両方の抗生物質の放出プロフィールは、釣鐘形の放出を示した。全ての群についてn=3測定値。
【図12】図12は、移植成分または固定具を引き離すのに必要とされる力を測定するのに使用される一般的試験機を示す。円筒形の粘着性の試験固定具が、一般的試験機のグリップに配置して示され、水和されたキトサン膜が粘着性固定具の間の位置にある。
【図13】図13は、キトサン膜の接着試験の結果を示すグラフである。接着試験は、接着強度、すなわち、kPaで表す面積当たりの最大引っ張り荷重を測定する。チタンおよびステンレス鋼合金基体に対する1分間再水和されたキトサン膜の接着強度を測定した。接着強度は、平均±標準偏差として示される(* 対他の全て, p ≦0.0310)。これらの結果は、SS上の61%および80%DDA、乳酸膜変更物ならびにTi上の71%DDA、乳酸膜変更物が最大の接着強度を有することを示した。チタン合金固定具上の71LA膜は、SS61LA およびTi71LAを除く全ての他の変更物より有意に高い接着強度を有していた。全ての群についてn=6測定値。左の列、チタン;右の列、ステンレス鋼。
【図14A−14B】図14Aおよび14Bは、抗生物質を用いるキトサン膜および用いないキトサン膜の分解を示す。図14Aは、ダプトマイシンをin situ装填された膜のリゾチームが仲介する分解を示す。図14Bは、バンコマイシンをin situ装填された膜のリゾチームが仲介する分解を示す。それぞれは、平均±標準偏差として示される(*p = 0.0243; **, p = 0.0300; + , p = 0.0133; ++ , p < 0.0001)。80時間で、71%および80%DDA膜は、分解速度に有意の減少を示した。全ての群についてn=5測定値。
【図15A−15B】図15Aおよび15Bは、溶出試料の抗生物質活性を示す。図15Aは、ダプトマイシン溶出試料の抗生物質活性を示す。図15Bは、バンコマイシン溶出試料の抗生物質活性を示す。活性は、S. アウレウス(S.aureus)の増殖のパーセント抑制によって示され、平均±標準偏差として示される。72時間にわたる全ての変更物試料が、ほぼ完全に抑制した。全ての群についてn=3測定値。
【図16】図16は、キトサンポリマーの分子構造を示す。R官能基は、H(脱アセチル化された)またはCOCH3(アセチル化された)単位である。
【図17】図17は、キトサンスポンジからの抗生物質の放出を示すグラフである。キトサンスポンジは、スポンジ当たり1種の抗生物質のみを含んでいた(すなわち、アミカシン単独装填、バンコマイシン単独装填および、ダプトマイシン単独装填)。アミカシンおよびバンコマイシンの放出は、研究の持続期間中同様のプロフィールを示したが、それに対して、ダプトマイシンの放出は、72時間の時点で、他の2種の試験した抗生物質より有意に少ない。濃度は、ミリリットル当たりのマイクログラムで与えられる(20mlPBSを溶出媒体として使用した)。表に濃度測定値が提供される。第1群はアミカシンのみを含み、第2群はバンコマイシンのみを含み、かつ第3群はダプトマイシンのみを含んでいた。5mg/mlの有効濃度のアミカシン、バンコマイシンまたはダプトマイシンを含む溶液を使用して、キトサンスポンジを水和した(n=3)。
【図18】図18は、キトサンスポンジからのアミカシンの放出を示すグラフである。バンコマイシンもダプトマイシンも、アミカシンの放出に影響を及ぼさなかった。濃度は、ミリリットル当たりのマイクログラムで与えられる(20mlPBSを溶出媒体として使用した)。表に濃度測定値が提供される。第1群はアミカシンのみであり、第2群はアミカシン+バンコマイシンを含み、かつ第3群はアミカシン+ダプトマイシンを含んでいた。5mg/mlの有効濃度のアミカシン、アミカシン+バンコマイシンまたはアミカシン+ダプトマイシンを含む溶液を使用して、キトサンスポンジを水和した(n=3)。
【図19】図19は、キトサンスポンジからのバンコマイシンの放出を示すグラフである。アミカシンはバンコマイシンの放出に影響を及ぼさなかった。濃度は、ミリリットル当たりのマイクログラムで与えられる(20mlPBSを溶出媒体として使用した)。表に濃度測定値が提供される。第1群はバンコマイシンのみであり、かつ第2群はバンコマイシン+アミカシンを含んでいた。5mg/mlの有効濃度のバンコマイシンまたはバンコマイシン+アミカシンを含む溶液を使用して、キトサンスポンジを水和した(n=3)。
【図20】図20は、キトサンスポンジからのダプトマイシンの放出を示すグラフである。アミカシンはバンコマイシンの放出に影響を及ぼさなかった。濃度は、ミリリットル当たりのマイクログラムで与えられる(20mlPBSを溶出媒体として使用した)。表に濃度測定値が提供される。第1群はダプトマイシンのみを含み、かつ第2群はダプトマイシン+アミカシンを含んでいた。5mg/mlの有効濃度のダプトマイシンまたはダプトマイシン+アミカシンを含む溶液を使用して、キトサンスポンジを水和した(n=3)。
【図21A−21B】図21Aおよび21Bは、マウスの後肢において皮下にカテーテル表面に隣接して移植されたキトサンスポンジを示す画像である。キトサンスポンジは、カテーテルの分節の移植直前に埋め込まれた。100μlの105 CFUの細菌接種物(USA300, CA- MRSA)の注入を、カテーテルの内腔中に行った。
【図22】図22は、ダプトマイシン装填およびバンコマイシン装填したキトサンスポンジを有する患者から回収したカテーテルを示すグラフであり、全ての回収した移植物に細菌は存在しなかった。各治療のタイプ内で、回収されたカテーテル当たりのコロニー形成単位をグラフにする。リネゾリド(linezolid)を装填し、かつPBSを装填したキトサンスポンジならびにカテーテルのみの対照を含む群は全て、移植物上にコロニーを形成した細菌が存在した。ダプトマイシンを装填したキトサンスポンジおよびバンコマイシンを装填したキトサンスポンジの群は、cfu/カテーテルに関して、他の3群から統計学的に有意であった(p<0.0001)。他の3群は互いに統計学的に有意でなかった。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に記載するように、本発明は、生物学的に活性な剤の局所的配送に備えるキトサン組成物(例えば固体、スポンジ、膜、ヒドロゲル、複合物)および、感染を治療もしくは予防するかまたは回復を促進するためにそのような組成物を使用する方法に特徴を有する。
本発明は、酸処理されたキトサンが、その分解および溶出特性を特定の患者の必要性に合わせて注文に応じて変えることができる創傷管理装置を形成することができるという発見に、少なくとも一部基づく。
【0027】
キトサン
キトサンは、ランダムに分布されたβ-(l-4)-2-アミノ-2-D-グルコサミン(脱アセチル化) およびβ-(l-4)-2-アセトアミド- 2-D-グルコサミン(アセチル化)単位から成る天然に生じる線状の多糖である(図16)。キトサンは、天然に生じるポリマーであるキチンから誘導される。キチンは、菌類、軟体動物から分離されるか、または節足動物(例えば甲殻類、昆虫)の外骨格から分離される、白色の堅い非弾性の窒素を含む多糖である。キトサンを得るための主な手順は、強アルカリ溶液を用いたキチンのアルカリ脱アセチル化である。一般に、原材料を砕き、水または洗剤で洗浄し、そして小片に粉砕する。粉砕後、原材料をアルカリおよび酸で処理して、原料粉砕材料からポリマーを分離する。ポリマーは次に、アルカリでの処理によって脱アセチル化される。キチンおよびキトサンは、その脱アセチル化度(DDA)が異なる。キチンは0%の脱アセチル化度を有するが、一方、純キトサンは100%の脱アセチル化度を有する。典型的には、脱アセチル化度が約50%より大きいときに、ポリマーをキトサンと称する。
【0028】
キトサンは、実質的に水および有機溶媒に不溶性であるカチオン性の弱塩基である。典型的には、キトサンは、希薄な酸溶液、例えば酢酸、クエン酸、シュウ酸、プロピオン酸、アスコルビン酸、塩酸、蟻酸および乳酸、ならびに他の有機酸および無機酸にかなり可溶性である。キトサンの電荷は、負に帯電した表面、例えば外傷の部位に存在する生物組織、または負に帯電した移植された装置に結合するのを可能にする生物接着特性を与える。キトサンの脱アセチル化度は、その再吸収に影響を及ぼす。50%の脱アセチル化度を有するキトサン組成物は、in vivoで非常に分解性である。脱アセチル化度が増加すると、キトサンは分解に対して著しく耐性になる。95%より高い脱アセチル化度を有するキトサン組成物は、数週間または数カ月にわたってゆっくりと分解する。体内では、キトサンは、リゾチーム、N-アセチル-o-グルコサミニダーゼおよびリパーゼによって分解される。リゾチームは、繰り返しのキトサン単位間のグリコシド結合を開裂することによってキトサンを分解する。キトサン分解の副生物は、糖およびグルコサミンであり、これらは人体により徐々に吸収される。したがって、キトサンが、治療剤または予防剤の局所配送のために使用されるとき、二次的な除去の手術は必要とされない。
【0029】
本明細書において報告されるように、キトサン組成物(例えば固体、スポンジ、膜、ヒドロゲル、複合物)は、ケアの場所(手術室、診療所または医師の診察室、外傷の場所、戦場)で、生物学的に活性な剤を装填され得る。この特性は、臨床医が、キトサン創傷管理装置に装填するのに使用される抗生物質または他の剤を、特定の患者の必要性に合わせてあつらえるのを可能にする。1つの実施態様において、脱アセチル化度を調整して、約24時間、36時間、48時間もしくは72時間の僅かな時間で分解するか、または長期間維持される(例えば4, 5, 6, 7, 8, 9, 10日間)キトサン組成物が提供される。他の実施態様において、本発明のキトサン組成物は、少なくとも約2〜6週間、またはそれ以上(例えば2, 3, 4, 5, 6 週間、2、3もしくは4カ月)の間身体中に保持される。なお他の実施態様において、本発明のキトサン組成物は、傷または他の外傷部位における血液凝固を促進する(止血)。他の実施態様において、キトサン組成物は、臨床医が選択し、少なくとも約1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, もしくは10日間にわたって、またはさらに長期間配送される治療剤または予防剤を装填される。
【0030】
抗微生物剤
スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカス エピダーミディス(staphylococcus epidermidis)およびシュードモナス アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa) は、筋骨格の傷部位に一般に存在する病原体である。S. アウレウス(S aureus)は、骨髄炎および非淋菌性細菌性関節炎の1つの原因であり、しばしば補綴結合部の感染と関連がある。本発明は、創傷、複合創傷、開放骨折または他の部位の外傷における感染を治療または予防するのに有用なキトサン組成物を提供する。当技術分野で公知の任意の抗微生物剤を、そのような剤について一般に使用される濃度で、本発明のキトサン組成物に使用できる。
【0031】
本発明のキトサン組成物において有用な抗微生物剤は、限定されないが、抗菌剤、抗真菌剤および抗ウィルス剤を包含する。本明細書において使用される抗微生物剤は、病原体の生存、生長、増殖を減らすかまたは安定化させる剤である。抗微生物剤は、限定されないが、以下のものを包含する:
アズトレオナム(Aztreonam); クロルヘキシジン グルコン酸塩(Chlorhexidine Gluconate); イミドゥレア(Imidurea); リセタミン(Lycetamine); ニブロキサン(Nibroxane); ピラズモナム ナトリウム(Pirazmonam Sodium); プロピオン酸; ピリチオンナトリウム; 塩化サングイナリウム (Sanguinarium Chloride); チゲモナム ジコリン(Tigemonam Dicholine); アセダプソン(Acedapsone); アセトスルホンナトリウム;アラメシン(Alamecin); アレキシジン(Alexidine); アムジノシリン(Amdinocillin); アムジノシリン ピボキシル(Amdinocillin Pivoxil); アミサイクリン(Amicycline); アミフロキサシン(Amifloxacin); アミフロキサシン メシレート(Amifloxacin Mesylate); アミカシン; 硫酸アミカシン; アミノサリチル酸; アミノサリチル酸ナトリウム; アモキシシリン(Amoxicillin); アンホマイシン(Amphomycin); アンピシリン(Ampicillin); アンピシリンナトリウム(Ampicillin Sodium); アパルシリンナトリウム(Apalcillin Sodium); アプラマイシン(Apramycin); アスパルトシン(Aspartocin); 硫酸アストロマイシン(Astromicin Sulfate); アビラマイシン(Avilamycin); アボパルシン(Avoparcin); アジスロマイシン(Azithromycin); アズロシリン(Azlocillin); アズロシリンナトリウム(Azlocillin Sodium); 塩酸バカンピシリン(Bacampicillin Hydrochloride); バシトラシン(Bacitracin); バシトラシン メチレンジサリチレート(Bacitracin Methylene Disalicylate); バシトラシン亜鉛(Bacitracin Zinc); バンベルマイシン(Bambermycins); ベンゾイルパスカルシウム(Benzoylpas Calcium); ベリスロマイシン(Berythromycin); 硫酸ベタマイシン(Betamicin Sulfate); ビアペネム(Biapenem); ビニラマイシン(Biniramycin);塩酸ビフェナミン; ビスピリチオン マグサルフェックス(Bispyrithione Magsulfex); ブチカシン(Butikacin); 硫酸ブチロシン(Butirosin Sulfate);硫酸カプレオマイシン(Capreomycin Sulfate); カルバドックス(Carbadox); カルベニシリンジナトリウム(Carbenicillin Disodium); カルベニシリンインダニルナトリウム(Carbenicillin Indanyl Sodium); カルベニシリンフェニルナトリウム(Carbenicillin Phenyl Sodium); カルベニシリンカリウム(Carbenicillin Potassium); カルモナムナトリウム(Carumonam Sodium); セファクロル(Cefaclor); セファドロキシル(Cefadroxil); セファマンドール(Cefamandole); セファマンドールナフェート(Cefamandole Nafate); セファマンドールナトリウム(Cefamandole Sodium); セファパロール(Cefaparole); セファトリジン(Cefatrizine); セファザフルルナトリウム(Cefazaflur Sodium); セファゾリン(Cefazolin); セファゾリンナトリウム(Cefazolin Sodium); セフブペラゾン(Cefbuperazone); セフジニル(Cefdinir); セフェピン(Cefepime); 塩酸セフェピン(Cefepime Hydrochloride); セフェテコル(Cefetecol); セフィキシン(Cefixime); 塩酸セフィネノキシン(Cefinenoxime Hydrochloride); セフメタゾール(Cefmetazole); セフメタゾールナトリウム(Cefmetazole Sodium); セフォニシドモノナトリウム(Cefonicid Monosodium); セフォニシドナトリウム(Cefonicid Sodium); セフォペラゾンナトリウム(Cefoperazone Sodium); セフォラニド(Ceforanide); セフォタキシンナトリウム(Cefotaxime Sodium); セフォテタン(Cefotetan); セフォテタンジナトリウム(Cefotetan Disodium); 塩酸セフォチアム(Cefotiam Hydrochloride); セフォキシチン(Cefoxitin); セフォキシチンナトリウム(Cefoxitin Sodium); セフピミゾール(Cefpimizole); セフピミゾールナトリウム(Cefpimizole Sodium); セフピラミド(Cefpiramide); セフピラミドナトリウム(Cefpiramide Sodium); 硫酸セフピロン(Cefpirome Sulfate); セフポドキシンプロキセチル(Cefpodoxime Proxetil); セフプロジル(Cefprozil); セフプロキサジン(Cefroxadine); セフスロジンナトリウム(Cefsulodin Sodium); セフタジジン(Ceftazidime); セフチブテン(Ceftibuten); セフチゾキシンナトリウム(Ceftizoxime Sodium);セフトリアキソンナトリウム(Ceftriaxone Sodium); セフロキシン(Cefuroxime); セフロキシンアクセチル(Cefuroxime Axetil); セフロキシンピボキセチル(Cefuroxime Pivoxetil); セフロキシンナトリウム(Cefuroxime Sodium); セファセトリルナトリウム(Cephacetrile Sodium); セファレキシン(Cephalexin); 塩酸セファレキシン(Cephalexin Hydrochloride), セファログリシン(Cephaloglycin); セファロリジン(Cephaloridine); セファロシンナトリウム(Cephalothin Sodium); セファピリンナトリウム(Cephapirin Sodium); セフラジン(Cephradine); 塩酸セトサイクリン(Cetocycline Hydrochloride); セトフェニコール(Cetophenicol);
クロラムフェニコール(Chloramphenicol); パルミチン酸クロラムフェニコール(Chloramphenicol Palmitate); パントテン酸クロラムフェニコール複合体(Chloramphenicol Pantothenate Complex); コハク酸クロラムフェニコールナトリウム(Chloramphenicol Sodium Succinate); クロルヘキシジンホスファニレート(Chlorhexidine Phosphanilate); クロロキシレノール(Chloroxylenol); 重硫酸クロルテトラサイクリン(Chlortetracycline Bisulfate); 塩酸クロルテトラサイクリン(Chlortetracycline Hydrochloride); シノキサシン(Cinoxacin); シプロフロキサシン(Ciprofloxacin); 塩酸シプロフロキサシン(Ciprofloxacin Hydrochloride); シロレマイシン(Cirolemycin); クラリスロマイシン(Clarithromycin); 塩酸クリナフロキサシン(Clinafloxacin Hydrochloride); クリンダマイシン(Clindamycin); 塩酸クリンダマイシン(Clindamycin Hydrochloride);パルミチン酸塩酸クリンダマイシン(Clindamycin Palmitate Hydrochloride); リン酸クリンダマイシン(Clindamycin Phosphate); クロファジミン(Clofazimine); クロキサシリンベンザシン(Cloxacillin Benzathine); クロキサシリンナトリウム(Cloxacillin Sodium); クロキシキン(Cloxyquin); コリスチメタートナトリウム(Colistimethate Sodium); 硫酸コリスチン(Colistin Sulfate); クメルマイシン(Coumermycin); クメルマイシンナトリウム(Coumermycin Sodium); シクラシリン(Cyclacillin); シクロセリン(Cycloserine); ダルホプリスチン(Dalfopristin); ダプソン(Dapsone);
ダプトマイシン(Daptomycin); デメクロサイクリン(Demeclocycline); 塩酸デメクロサイクリン(Demeclocycline Hydrochloride); デメサイクリン(Demecycline); デノフンギン(Denofungin); ジアベリジン(Diaveridine); ジクロキサシリン(Dicloxacillin); ジクロキサシリンナトリウム(Dicloxacillin Sodium); 硫酸ジヒドロストレプトマイシン(Dihydrostreptomycin Sulfate); ジピリチオン(Dipyrithione); ジリスロマイシン(Dirithromycin); ドキシサイクリン(Doxycycline); ドキシサイクリンカルシウム(Doxycycline Calcium); ドキシサイクリンフォスファテックス(Doxycycline Fosfatex); ドキシサイクリンハイクレート(Doxycycline Hyclate); ドロキサシンナトリウム(Droxacin Sodium); エノキサシン(Enoxacin); エピシリン(Epicillin); 塩酸エピテトラサイクリン(Epitetracycline Hydrochloride); エリスロマイシン(Erythromycin); エリスロマイシンアシストレート(Erythromycin Acistrate); エリスロマイシンエストレート(Erythromycin Estolate); エチルコハク酸エリスロマイシン(Erythromycin Ethylsuccinate); エリスロマイシングルセプテート(Erythromycin Gluceptate); エリスロマイシンラクトビオネート(Erythromycin Lactobionate); プロピオン酸エリスロマイシン(Erythromycin Propionate); ステアリン酸エリスロマイシン(Erythromycin Stearate); 塩酸エタンブトール(Ethambutol Hydrochloride); エチオナミド(Ethionamide); フレロキサシン(Fleroxacin); フロキサシリン(Floxacillin); フルダラニン(Fludalanine); フルメキン(Flumequine); ホスホマイシン(Fosfomycin); ホスホマイシントロメタミン(Fosfomycin Tromethamine); フモキシシリン(Fumoxicillin); 塩化フラゾリウム(Furazolium Chloride); 酒石酸フラゾリウム(Furazolium Tartrate); フシジン酸ナトリウム(Fusidate Sodium); フシジン酸(Fusidic Acid); 硫酸ゲンタマイシン(Gentamicin Sulfate); グロキシモナム(Gloximonam); グラミシジン(Gramicidin); ハロプロジン(Haloprogin); ヘタシリン(Hetacillin); ヘタシリンカリウム(Hetacillin Potassium); ヘキセジン(Hexedine); イバフロキサシン(Ibafloxacin); イミペネム(Imipenem); イソコナゾール(Isoconazole); イセパミシン(Isepamicin); イソニアジド(Isoniazid); ジョサマイシン(Josamycin); 硫酸カナマイシン(Kanamycin Sulfate); キタサマイシン(Kitasamycin); レボフラルタゾン(Levofuraltadone); レボプロピルシリンカリウム(Levopropylcillin Potassium); レキシスロマイシン(Lexithromycin); リンコマイシン(Lincomycin); 塩酸リンコマイシン(Lincomycin Hydrochloride); ロメフロキサシン(Lomefloxacin); 塩酸ロメフロキサシン(Lomefloxacin Hydrochloride); ロメフロキサシンメシレート(Lomefloxacin Mesylate); ロラカルベフ(Loracarbef); マフェニド(Mafenide); メクロサイクリン(Meclocycline); スルホサリチル酸メクロサイクリン(Meclocycline Subsalicylate); リン酸メガロマイシンカリウム(Megalomicin Potassium Phosphate); メキドックス(Mequidox); メロペネム(Meropenem);
メタサイクリン(Methacycline); 塩酸メタサイクリン(Methacycline Hydrochloride); メテナミン(Methenamine); メテナミンヒッププレート(Methenamine Hippurate); マンデル酸メテナミン(Methenamine Mandelate); メチシリンナトリウム(Methicillin Sodium); メチオプリム(Metioprim); 塩酸メトロニダゾール(Metronidazole Hydrochloride); リン酸メトロニダゾール(Metronidazole Phosphate); メズロシリン(Mezlocillin); メズロシリンナトリウム(Mezlocillin Sodium); ミノサイクリン(Minocycline); 塩酸ミノサイクリン(Minocycline Hydrochloride); ミリンカマイシンリドロクロリド(Mirincamycin lydrochloride); モネンシン(Monensin); モネンシンナトリウム(Monensin Sodium); ナフシリンナトリウム(Nafcillin Sodium); ナリジクス酸ナトリウム(Nalidixate Sodium); ナリジクス酸(Nalidixic Acid); ナタマイシン(Natamycin); ネブラマイシン(Nebramycin); パルミチン酸ネオマイシン(Neomycin Palmitate); 硫酸ネオマイシン(Neomycin Sulfate); ウンデシレン酸ネオマイシン(Neomycin Undecylenate); 硫酸ネチルマイシン(Netilmicin Sulfate); ニュートラマイシン(Neutramycin); ニフラデン(Nifuradene); ニフラルデゾン(Nifuraldezone); ニフラテル(Nifuratel); ニフラトロン(Nifuratrone); ニフルダジル(Nifurdazil); ニフリミド(Nifurimide); ニフルピリノール(Nifurpirinol); ニフルキナゾール(Nifurquinazol); ニフルチアゾール(Nifurthiazole);
ニトロサイクリン(Nitrocycline); ニトロフラントイン(Nitrofurantoin); ニトロミド(Nitromide); ノルフロキサシン(Norfloxacin); ノボビオシンナトリウム(Novobiocin Sodium); オフロキサシン(Ofloxacin); オルメトプリム(rmetoprim); オキサシリンナトリウム(Oxacillin Sodium); オキシモナム(Oximonam); オキシモナムナトリウム(Oximonam Sodium); オキソリン酸(Oxolinic Acid); オキシテトラサイクリン(Oxytetracycline); オキシテトラサイクリンカルシウム(Oxytetracycline Calcium); 塩酸オキシテトラサイクリン(Oxytetracycline Hydrochloride); パルジマイシン(Paldimycin); パラクロロフェノール(Parachlorophenol); パウロマイシン(Paulomycin); ペフロキサシン(Pefloxacin); ペフロキサシンメシレート(Pefloxacin Mesylate); ペナメシリン(Penamecillin); ペニシリンGベンザチン(Penicillin G Benzathine); ペニシリンG カリウム(Penicillin G Potassium); ペニシリンG プロカイン(Penicillin G Procaine); ペニシリンG ナトリウム(Penicillin G Sodium); ペニシリンV (Penicillin V); ペニシリンVベンザチン(Penicillin V Benzathine); ペニシリンV ヒドラバミン(Penicillin V Hydrabamine); ペニシリンV カリウム(Penicillin V Potassium); ペンチジドンナトリウム(Pentizidone Sodium); アミノサリチル酸フェニル(Phenyl Aminosalicylate); ピペラシリンナトリウム(Piperacillin Sodium); ピルベニシリンナトリウム(Pirbenicillin Sodium); ピリジシリンナトリウム(Piridicillin Sodium);
塩酸ピルリマイシン(Pirlimycin Hydrochloride); 塩酸ピバムピシリン(Pivampicillin Hydrochloride); ピバムピシリンパモエート(Pivampicillin Pamoate); ピバムピシリンプロベネート(Pivampicillin Probenate); 硫酸ポリミキシンB(Polymyxin B Sulfate); ポルフィロマイシン(Porfiromycin); プロピカシン(Propikacin); ピラジナミド(Pyrazinamide); ピリチオン亜鉛(Pyrithione Zinc); 酢酸キンデカミン(Quindecamine Acetate); キヌプリスチン(Quinupristin); ラセフェニコール(Racephenicol); ラモプラニン(Ramoplanin); ラニマイシン(Ranimycin); レロマイシン(Relomycin); レプロマイシン(Repromicin); リファブチン(Rifabutin); リファメタン(Rifametane); リファメキシル(Rifamexil); リファミド(Rifamide); リファムピン(Rifampin); リファペンチン(Rifapentine); リファキシミン(Rifaximin); ロリテトラサイクリン(Rolitetracycline); 硝酸ロリテトラサイクリン(Rolitetracycline Nitrate); ロサラマイシン(Rosaramicin); 酪酸ロサラマイシン(Rosaramicin Butyrate); プロピオン酸ロサラマイシン(Rosaramicin Propionate); リン酸ロサラマイシンナトリウム(Rosaramicin Sodium Phosphate); ステアリン酸ロサラマイシン(Rosaramicin Stearate); ロソキサシル(Rosoxacil); ロキサルソン(Roxarsone); ロキシスロマシシン(Roxithromycin); サンサイクリン(Sancycline); サンフェトリネムナトリウム(Sanfetrinem Sodium); サルモキシシリン(Sarmoxicillin); サルピシリン(Sarpicillin);
スコパフンギン(Scopafungin); シソマイシン(Sisomicin); 硫酸シソマイシン(Sisomicin Sulfate); スパルフロキサシン(Sparfloxacin); 塩酸スペクチノマイシン(Spectinomycin Hydrochloride); スピラマイシン(Spiramycin); 塩酸スタリマイシン(Stallimycin Hydrochloride); ステッフィマイシン(Steffimycin); 硫酸ストレプトマイシン(Streptomycin Sulfate); ストレプトニコジド(Streptonicozid); スルファベンズ(Sulfabenz): スルファベンズアミド(Sulfabenzamide); スルファセタミド(Sulfacetamide); スルファセタミドナトリウム(Sulfacetamide Sodium); スルファサイチン(Sulfacytine); スルファジアジン(Sulfadiazine); スルファジアジンナトリウム(Sulfadiazine Sodium); スルファドキシン(Sulfadoxine); スルファレン(Sulfalene); スルファメラジン(Sulfamerazine); スルファメテル(Sulfameter); スルファメタジン(Sulfamethazine); スルファメチゾール(Sulfamethizole); スルファメトキサゾール(Sulfamethoxazole); スルファモノメトキシン(Sulfamonomethoxine); スルファモキソール(Sulfamoxole); スルファニレート亜鉛(Sulfanilate Zinc); スルファニトラン(Sulfanitran); スルファサラジン(Sulfasalazine); スルファソミゾール(Sulfasomizole); スルファチアゾール(Sulfathiazole); スルファザメト(Sulfazamet); スルフィソキサゾール(Sulfisoxazole);スルフィソキサゾールアセチル(Sulfisoxazole Acetyl); スルフィソキサゾールジオラミン(Sulfisoxazole Diolamine); スルフォマイキシン(Sulfomyxin); スロペネム(Sulopenem); スルタミシリン(Sultamicillin); スンシリンナトリウム(Suncillin Sodium); 塩酸タラムピシリン(Talampicillin Hydrochloride); テイコプラニン(Teicoplanin); 塩酸テマフロキサシン(Temafloxacin Hydrochloride); テモシリン(Temocillin); テトラサイクリン(Tetracycline); 塩酸テトラサイクリン(Tetracycline Hydrochloride); リン酸テトラサイクリン複合物(Tetracycline Phosphate Complex); テトロキソプリム(Tetroxoprim); チアムフェニコール(Thiamphenicol); チフェンシリンカリウム(Thiphencillin Potassium); チカルシリンクレジルナトリウム(Ticarcillin Cresyl Sodium): チカルシリンジナトリウム(Ticarcillin Disodium); チカルシリンモノナトリウム(Ticarcillin Monosodium); チクラトン(Ticlatone); 塩化チオドニウム(Tiodonium Chloride); トブラマイシン(Tobramycin); 硫酸トブラマイシン(Tobramycin Sulfate); トスフロキサシン(Tosufloxacin); トリメトプリム(Trimethoprim); 硫酸トリメトプリム(Trimethoprim Sulfate); トリスルファピリミジン(Trisulfapyrimidines); トロレアンドマイシン(Troleandomycin); 硫酸トロスペクトマイシン(Trospectomycin Sulfate); チロスリシン(Tyrothricin); バンコマイシン(Vancomycin); 塩酸バンコマイシン(Vancomycin Hydrochloride); ビルギニアマイシン(Virginiamycin); ゾルバマイシン(Zorbamycin);
塩酸ジフロキサシン(Difloxacin Hydrochloride); 臭化ラウリルイソキノリニウム(Lauryl Isoquinolinium Bromide); モキサラクタムジナトリウム(Moxalactam Disodium); オルニダゾール(Ornidazole); ペンチソマイシン(Pentisomicin)および塩酸サラフロキサシン(Sarafloxacin Hydrochloride)。特定の実施態様においては、キトサン組成物は、ダプトマイシンを含む。
【0032】
1つの好ましい実施態様において、本発明のキトサン組成物は、多剤耐性菌を治療する剤を含む。1つのアプローチでは、リネゾリド(linezolid)を使用して多剤耐性グラム陽性菌を治療することができる。リネゾリドは、商品名Zyvox (ファイザー(Pfizer))の下に市販されていて入手可能である。
【0033】
他の実施態様において、キトサン組成物は、以下のものを1種以上含む:
塩化ベンザルコニウム(Benzalkonium Chloride)、塩化セチルピリジニウム(Cetylpyridinium Chloride)およびクロルヘキシジンジグルコネート(Chlorhexidine Digluconate)。なお他の実施態様において、キトサン組成物は、以下の抗微生物剤1種以上を含む:ポリヘキサメチレンビグアニド(Polyhexamethylene Biguanide)、二塩酸オクテニジン(Octenidine Dihydrochloride)、弱力プロテイン銀(Mild Silver Protein)、ポビドンヨウ素(Povidone Iodine)(溶液または軟膏)、硝酸銀、銀スルファジアジン(Silver Sulfadiazine)、トリクロサン(Triclosan)、塩化セタルコニウム(Cetalkonium Chloride)、塩化ミリスタルコニウム(Myristalkonium Chloride)、チゲサイクリン(Tigecycline)、ラクトフェリン、キヌプリスチン/ダルフォプリスチン(Quinupristin/dalfopristin)、リネゾリド(linezolid)、ダルババンシン (Dalbavancin)、ドリペネム(Doripenem)、イミペネム(Imipenem)、メロペネム(Meropenem)およびイクラプリム(Iclaprim)。
【0034】
さらに他の実施態様において、キトサン組成物は、抗微生物特性を有する精油を含む。典型的な精油は、オレガノ油、ティーツリー(tea tree)油、ミント油、ビャクダン油、クローブ油、ニゲラサティバ(nigella sativa)油、タマネギ油、レレシュワ(leleshwa)油、ラベンダー油、レモン油、レモンマートル(lemon myrtle)油、インドセンダン(neem)油、ニンニク、ユーカリ油、ペパーミント油、シナモン油およびタイム油を包含する。
【0035】
さらに他の実施態様において、抗微生物剤は脂肪酸(例えばシス-2-デセン酸)である。
抗ウィルス剤は、ウィルスの複製を阻止することができる剤である。抗ウィルス剤の例は、限定されないが、1,-D-リボフラノシル- 1,2,4- トリアゾール-3 カルボキサミド、 9-2-ヒドロキシ-エトキシメチルグアニン、アダマンタナミン (adamantanamine)、 5- ヨード-2'-デオキシウリジン、 トリフルオロチミジン、 インターフェロン、アデニンアラビノシド、 プロテアーゼ阻害剤、チミジンキナーゼ阻害剤、糖もしくは糖たんぱく質合成阻害剤、構造タンパク質合成阻害剤、接着および吸着阻害剤ならびにヌクレオシド類似体、例えばアシクロビル(acyclovir)、ペンシクロビル( penciclovir)、バラシクロビル( valacyclovir)および ガンシクロビル(ganciclovir)を包含する。
【0036】
本発明のキトサン組成物において有用な抗真菌剤は、抗真菌剤および静真菌剤、例えば安息香酸、ウンデシレン酸アルカノールアミド、シクロピロクスオラミン、ポリエン、イミダゾール、アリルアミン、チカルバメート(thicarbamate)、アンホテリシンB、ブチルパラベン、クリンダマイシン、エコナキソール(econaxole)、フルコナゾール(fluconazole)、フルシトシン、グリセオフルビン、ナイスタチンおよびケトコナゾールを包含する。1つの好ましい実施態様において、抗真菌剤はアンホテリシンである。
【0037】
1つの実施態様において、本発明は、1種以上の抗微生物剤および抗ウィルス剤もしくは抗真菌剤の組合せを含むキトサン組成物を提供する。
【0038】
増殖因子
増殖因子は典型的には、細胞の生存、増殖または分化を維持するポリペプチドまたはその断片である。そのような剤を使用して、傷の治癒を促進することができる。本明細書において記載されるキトサン組成物を使用して、当技術分野で公知の任意の増殖因子を実質的に届けることができる。そのような増殖因子は、限定されないが、アンジオポイエチン(angiopoietin), 酸性線維芽細胞増殖因子 (aFGF) (GenBank Accession No. NP_149127) および塩基性FGF (GenBank Accession No. AAA52448), 骨形態形成タンパク質(morphogenic protein) (BMP) (GenBank Accession No. BAD92827), 血管内皮細胞増殖因子(VEGF) (GenBank Accession No. AAA35789 もしくはNP_001020539), 上皮増殖因子(EGF)(GenBank Accession No. NP_001954), トランスフォーミング増殖因子α(transforming growth factor α) (TGF-α) (GenBank Accession No. NP_003227) およびトランスフォーミング増殖因子β(transforming growth factor β) (TFG-β) (GenBank Accession No. 1109243 A), 血小板誘導内皮細胞増殖因子(platelet-derived endothelial cell growth factor) (PD-ECGF)(GenBank Accession No. NP_001944), 血小板誘導増殖因子(platelet-derived growth factor) (PDGF)( GenBank Accession No. 1109245 A), 腫瘍壊死因子α(tumor necrosis factor α) (TNF-α)(GenBank Accession No. CAA26669), 肝細胞増殖因子 (HGF)(GenBank Accession No. BAA14348),
インスリン様成長因子(insulin like growth factor) (IGF)(GenBank Accession No. P08833), 赤血球生成促進因子(erythropoietin) (GenBank Accession No. P01588), コロニー刺激因子(CSF), マクロファージ-CSF (M-CSF)(GenBank Accession No. AAB59527), 顆粒球/マクロファージCSF (GM- CSF) (GenBank Accession No. NP_000749) ならびに一酸化窒素合成酵素(NOS)(GenBank Accession No. AAA36365) を包含する。1つの好ましい実施態様において、増殖因子はBMPである。
【0039】
鎮痛薬
本発明のキトサン組成物を、痛みを改善する1種以上の剤を届けるために使用することができ、そのような剤は、限定されないが、オピオイド鎮痛薬 (例えばモルヒネ、ヒドロモルホン、オキシモルホン、 レボルファノール、レバロルファン、メタドン、メペリジン、フェンタニール、 コデイン、ジヒドロコデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、プロポキシフェン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィンもしくはペンタゾシン;非ステロイド性抗炎症薬 (NSAID) 例えばアスピリン、ジクロフェナク、ジフルシナル(diflusinal)、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルフェニサル(flufenisal)、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラック、メクロフェナミン酸、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチンもしくはゾメピラック、または 製薬的に許容可能なそれらの塩;バルビツール酸塩鎮痛剤、例えばアモバルビタール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、ブタビタール(butabital)、メフォバルビタール、メタルビタール、メトヘキシタル、ペントバルビタール、フェノバルチタール(phenobartital)、セコバルビタール、タルブタール、テアミラル(theamylal)もしくは チオペンタール、または製薬的に許容可能なそれらの塩;COX-2 阻害剤(例えばセレコキシブ、ロフェコキシブもしくはバルデコキシブを包含する。
【0040】
抗血栓症薬
本発明のキトサン組成物はまた、凝血塊の形成を抑制、減少または改善するために有用である。1つの実施態様において、キトサン組成物は、1種以上の抗血栓症薬(例えばトロンビン、フィブリノーゲン、クミジン、ヘパリン)を含む。
【0041】
抗炎症薬
他の実施態様において、キトサン組成物は、抗炎症薬を届けるのに使用される。そのような抗炎症薬は、限定されないが、以下のものを包含する:アルクロフェナク(Alclofenac); ジプロピオン酸アルクロメタゾン(Alclometasone Dipropionate); アルゲストンアセトニド(Algestone Acetonide);α-アミラーゼ;アンシナファル;アンシナフィド;アンフェナックナトリウム;塩酸アミプリロース(Amiprilose Hydrochloride);アナキンラ(Anakinra);アニロラク(Anirolac);アニトラザフェン(Anitrazafen);アパゾン;バルサラジドジナトリウム(Balsalazide Disodium);ベンダザック;ベノキサプロフェン(Benoxaprofen);塩酸ベンジダミン;ブロメライン;ブロペラモール(Broperamole);ブデソニド;カルプロフェン(Carprofen);シクロプロフェン(Cicloprofen);シンタゾン(Cintazone);クリプロフェン(Cliprofen);プロピオン酸クロベタソール;酪酸クロベタソン(Clobetasone Butyrate);クロピラク(Clopirac);プロピオン酸クロチカソン(Cloticasone Propionate);酢酸コルメタソン(Cormethasone Acetate);コルトドキソン(Cortodoxone);デフラザコルト(Deflazacort);デソニド;デソキシメタソン;ジプロピオン酸デキサメタソン(Dexamethasone Dipropionate);ジクロフェナクカリウム;ジクロフェナクナトリウム;二酢酸ジフロラゾン(Diflorasone Diacetate);ジフルミドンナトリウム(Diflumidone Sodium);ジフルーニサル;ジフルプレドネート(Difluprednate);ジフタロン(Diftalone);ジメチルスルホキシド;ドロシノニド(Drocinonide);エンドリソン;エンリモマブ(Enlimomab);エノリカムナトリウム(Enolicam Sodium);エピリゾール(Epirizole);エトドラク;エトフェナメート;フェルビナク(Felbinac);フェナモール(Fenamole);フェンブフェン;フェンクロフェナク;フェンクロラク(Fenclorac);フェンドサル(Fendosal);フェンピパロン(Fenpipalone);フェンチアザク(Fentiazac);フラザロン(Flazalone);フルアザコルト(Fluazacort);フルフェナム酸(Flufenamic Acid);フルミゾール(Flumizole);酢酸フルニソリド(Flunisolide Acetate);フルニクシン;フルニクシンメグルミン(Flunixin Meglumine);フルコチンブチル(Fluocortin Butyl);酢酸フルオロメトロン(Fluorometholone Acetate);フルカゾン(Fluquazone);フルルビプロフェン;フルレトフェン(Fluretofen);プロピオン酸フルチカゾン;フラプロフェン(Furaprofen);フロブフェン(Furobufen);ハルシノイド;プロピオン酸ハロベタゾル (Halobetasol Propionate);酢酸ハロプレドン(Halopredone Acetate);イブフェナック;イブプロフェン;イブプロフェンアルミニウム;イブプロフェンピコノール(Ibuprofen Piconol);イロニダプ(Ilonidap);インドメタシン; インドメタシンナトリウム;インドプロフェン(Indoprofen);インドキソール(Indoxole);イントラゾール(Intrazole);酢酸イソフルプレドン(Isoflupredone Acetate);イソキセパク(Isoxepac);イソキシカム(Isoxicam);ケトプロフェン(Ketoprofen);塩酸ロフェミゾール(Lofemizole Hydrochloride);ロルノキシカム(Lornoxicam);ロテプレドノルエタボネート(Loteprednol Etabonate);メクロフェナメートナトリウム( Meclofenamate Sodium);メクロフェナミン酸(Meclofenamic Acid);メクロリソンジブチレート(Meclorisone Dibutyrate);メフェナム酸;メサラミン;メセクラゾン(Meseclazone);メチルプレドニゾロンスレプタネート(Methylprednisolone Suleptanate);モルニフルメート(Morniflumate);ナブメトン(Nabumetone);ナプロキセン(Naproxen);ナプロキセンナトリウム(Naproxen Sodium);ナプロキソール(Naproxol);ニマゾン(Nimazone);オルサラジンナトリウム(Olsalazine Sodium);オルゴテイン(Orgotein);オルパノキシン(Orpanoxin);オキサプロジン(Oxaprozin);オキシフェンブタゾン(Oxyphenbutazone);塩酸パラニリン(Paranyline Hydrochloride);ポリ硫酸ペントサンナトリウム(Pentosan Polysulfate Sodium);グリセリン酸フェンブタゾンナトリウム (Phenbutazone Sodium Glycerate);ピルフェニドン(Pirfenidone);ピロキシカム(Piroxicam);桂皮酸ピロキシカム(Piroxicam Cinnamate);ピロキシカムオラミン(Piroxicam Olamine);ピルプロフェン(Pirprofen);プレドナゼート(Prednazate);プリフェロン(Prifelone); プロドール酸(Prodolic Acid); プロカゾン(Proquazone);プロキサゾール(Proxazole);クエン酸プロキサゾール(Proxazole Citrate);リメキソロン(Rimexolone);ロマザリト(Romazarit);サルコレックス(Salcolex);サルナセジン(Salnacedin);サルサレート(Salsalate);塩化サンギナリウム(Sanguinarium Chloride);セクラゾン(Seclazone);セルメタシン(Sermetacin);スドキシカム(Sudoxicam);スリンダク(Sulindac);スプロフェン(Suprofen);タルメタシン(Talmetacin);タルニフルメート(Talniflumate);タロサレート(Talosalate);テブフェロン(Tebufelone);テニダプ(Tenidap);テニダプナトリウム(Tenidap Sodium);テノキシカム(Tenoxicam);テシカム(Tesicam);テシミド(Tesimide);テトリダミン(Tetrydamine);チオピナク(Tiopinac);ピバル酸チクソコルトール (Tixocortol Pivalate);トルメチン(Tolmetin);トルメチンナトリウム(Tolmetin Sodium);トリクロニド(Triclonide);トリフルミデート(Triflumidate);ジドメタシン(Zidometacin)およびゾメピラックナトリウム(Zomepirac Sodium)。
【0042】
キトサン組成物による剤の配送
本発明は、キトサン組成物を使用して生物学的に活性な剤(例えば小さい化合物、核酸分子、ポリペプチド)を届けるための簡単な手段を提供する。キトサン組成物が患者に届けられ、生物学的に活性な剤は、in situで組成物から溶出される。キトサン組成物は、いくらかの期間(例えば1、3、5、7日;2、3、4週間;1、2、3、6、12カ月)にわたって制御された、および/または局在化された薬剤の配送を必要とする疾病もしくは疾患の治療のために、治療物質を届けることができる。望ましくは、キトサン組成物は、有効量の1種以上の抗生物質(例えばアミカシン、ダプトマシシン、バンコマイシン)、傷の回復を促進する増殖因子、小さな分子、止血剤(例えばトロンビンおよび/またはフィブリノーゲン)、抗血栓症薬(例えばヘパリン)または軟骨もしくは骨の修復剤を含む。キトサン組成物は、固体、スポンジ、膜、ヒドロゲルまたは複合体(例えばヒドロゲルマトリックス中のスポンジ断片)の形態で投与される。
【0043】
好ましくはキトサン組成物は、少なくとも約1 μg, 25μg, 50 μg, 100 μg, 250 μg, 500 μg, 750 μg, 1 mg, 5 mg, 10 mg, 25 mg, 50 mg, 75 mg, 100 mg, 200 mg, 250 mg, 300 mg, 400 mg, または500 mgの剤(例えば抗生物質)を含む。別の実施態様において、組成物は、少なくとも約1 μg, 25μg, 50 μg, 100 μg, 250 μg, 500 μg, 750 μg, 1 mg, 5 mg, 10 mg, 25 mg, 50 mg, 75 mg, 100 mg, 200 mg, 250 mg, 300 mg, 400 mg, または500 mgの剤(例えば抗生物質)を、少なくとも約1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 14, 21, 28または35日間の経過にわたって放出する。なお別の実施態様において、組成物は、1cm3当たり、少なくとも約1 μg, 25μg, 50 μg, 100 μg, 250 μg, 500 μg, 750 μg, 1 mg, 5 mg, 10 mg, 25 mg, 50 mg, 75 mg, 100 mg, 200 mg, 250 mg, 300 mg, 400 mg, または500 mgの剤(例えば抗生物質)を含む。
【0044】
キトサンコーティング
キトサン組成物は、コーティング材料、例えば医療用装置(例えば、薬剤配送または他の医療用装置)を覆うかまたは包むのに使用される膜中に含まれ得る。そのようなコーティングは、例えば病原体感染を治療もしくは予防するため、または薬剤の配送のために使用される。整形外科においては、多くの手術後の感染は、移植材料と関連がある。整形外科の移植を受けた患者は、全関節置換術について約5%の感染の危険を有する。移植後、生体適合材料表面に、細菌が受動的に吸着される。生体適合材料に集中する敗血症における基本的な発病メカニズムは、生体適合材料の細菌コロニー形成であり、その後、隣接する損傷を受けた組織が後に続く。そのような感染を受ける患者はしばしば、感染を撲滅するために、移植片(implant)の除去または置換を必要とする。
【0045】
移植片に関連する感染を治療もしくは予防するために、本発明のキトサン組成物が、医療用装置(例えば移植片)に適用される。キトサン組成物は、装置からの治療剤または予防剤の放出を準備する。そのような剤は有利には、慣用の移植片に関連する感染の危険を減らす。そのようなコーティングは、当技術分野で公知の任意の医療用装置に適用することができ、限定されないが、以下のものを包含する:整形外科装置(例えば関節移植片、骨折修復、背骨移植片、スクリュー、ロッド、プレートのためのもの);手術用装置 (例えば縫合、ステープル、吻合装置、脊椎骨板(vertebral disk)、骨ピン(bone pin)、縫合留め具(suture anchor)、止血障壁(hemostatic barrier)、鉗子(clamp)、スクリュー、プレート、クリップ、血管移植片(vascular implant)、組織接着剤(tissue adhesive)およびシーラント、組織骨格(tissue scaffold));創傷管理装置;薬剤配送用血管ステント(vascular stent) (例えばバルーン拡張ステント(balloon-expanded stent));他の血管装置 (例えば移植組織(graft)、カテーテル、弁、人工心臓、心臓補助装置);移植可能な細動除去器(implantable defibrillator);血液酸素供給装置 (例えば管、膜);膜;バイオセンサー;水頭症のためのシャント;内視鏡装置;感染制御装置;歯科用装置 (例えば歯科用インプラント、骨折修復装置)、泌尿器装置 (例えばペニス、括約筋、尿道、膀胱および腎臓の装置およびカテーテル);人工肛門の袋取付け装置;眼病用装置 (例えば眼球内コイル/スクリュー);緑内障排膿シャント;人工補綴 (例えば胸); 眼球内レンズ;呼吸、 末梢の心臓血管、背骨、神経、歯、耳/鼻/喉 (例えば耳排膿管);腎臓装置;および透析(例えば管、膜、移植組織)、尿カテーテル、静脈内カテーテル、小さい直径の移植組織、血管移植組織、人工肺カテーテル、心房中隔欠損閉鎖物、心臓律動管理のための電気刺激誘導 (例えばペーサーリード(pacer lead))、グルコースセンサー(長期間および短期間)、分解性冠状動脈ステント (例えば分解性、非分解性、末梢)、血圧およびステント移植片カテーテル、受胎調節装置、前立腺癌移植片、骨修復/増強装置、胸の移植片、軟骨修復装置、歯科用インプラント、移植された薬剤浸出管、硝子体内薬剤配送装置、神経再生コンジット(conduit)、腫瘍学移植片(oncological implant)、電気刺激誘導、痛み管理移植片、背骨/整形外科修復装置、創傷手当材、塞栓保護フィルター、腹部大動脈動脈瘤移植組織、心臓弁 (例えば機械的、ポリマー、組織、経皮、炭素、縫製カフ)、弁輪状形成装置(valve annuloplasty device)、僧帽弁修復装置、血管介入装置、左心室補助装置、神経動脈瘤治療コイル、神経学カテーテル、左心房付加フィルター、血液透析装置、カテーテルカフ、吻合閉鎖物、血管接近カテーテル、心臓センサー、子宮出血パッチ(uterine bleeding patche)、泌尿器カテーテル/ステント/移植片、in vitro 診断法, 動脈瘤排除装置および神経パッチ(neuropatche)。
【0046】
他の適当な装置の例は、限定されないが、以下のものを包含する:大静脈フィルター、泌尿器ダイアレーター(urinary dialator)、内視鏡手術組織摘出装置、アテローム切除カテーテル、凝血塊摘出カテーテル、冠状動脈誘導線(guidewire)、薬剤浸出カテーテル、 食道ステント、循環維持系、血管造影カテーテル、冠状動脈および末梢の誘導線、血液透析カテーテル、神経血管バルーンカテーテル、鼓膜造瘻管、脳脊髄液ステント、細動除去誘導、経皮閉鎖装置、排膿管、胸腔吸引排液カテーテル、電気生理学カテーテル、脳卒中治療カテーテル、膿瘍排膿カテーテル、胆汁排液製品(biliary drainage product)、透析カテーテル、中心静脈接近カテーテルおよび親供給カテーテル(parental feeding catheter)。
【0047】
本発明の他の実施態様において、本発明のキトサン組成物が医療装置に自己付着することができるか、またはコーティング材料以外の手段、例えば接着剤、縫合または加圧によって装置に付着することができることが注目される。当技術分野で公知の任意の適当な方法を使用して、キトサン組成物を表面に付着させることができる。例えば、キトサン組成物を装置に押し付けること、装置をキトサン膜で包むこと、またはキトサン組成物を装置に噴霧することによって、キトサン組成物を表面に付着させることができる。
生体適合性表面を有するキトサン組成物を、種々の医療用途のために使用することができ、それには、限定されないが、薬理学的に活性な剤の制御された放出のための薬剤配送装置(創傷治癒装置、例えば止血スポンジ、外傷用手当て材、縫合材料およびメッシュを包含する)、医療用装置コーティング/膜ならびに他の生体適合性移植片が包含される。
【0048】
キトサン繊維
電解紡糸によりキトサンから、無作為に配向した繊維状マットを作ることができる(シフマンおよびシャウエル(Schiffman and Schauer), Biomacromolecules, 2007. 8(9): p. 2665-7)。これらの繊維は典型的には100nmの平均直径であるが、繊維の直径は、要素の数に依存して広く変わり得る。幾つかの繊維は直径1μmの大きなものであり、また28nmほどの小さいものでもあり得る。典型的には、繊維状マットは、100〜200nmの平均直径を有する。
【0049】
1つのアプローチでは、約7-9重量%のキトサンが99-100%トリフルオロ酢酸中に溶かされる。溶媒溶液は、紡糸性を助けるために約0-30%の塩化メチレンを含む。溶液は穏やかに24時間混合される。この時点で、添加物、例えば薬剤、タンパク質、リン酸カルシウム塩または他の生物学的に活性な成分を添加することができる。溶液は、プラスチックの10mLの注射器に装填される。1つの実施態様において、鈍い21ゲージ(G)の金属針が使用される。他の実施態様において、針の大きさは、約16-23Gの範囲にある。注射器は、注射器ポンプに載せられ、流速は20-30μL/分(通常20μL/分)に設定される。針を電源の正の電極に接続し、標的を接地に接続する。標的は、アルミニウム箔に包まれた銅板、アルミニウムSEMスタブ、または任意の他の導電性表面から成り得る。電圧は15-26kVに設定される。先端と標的との間の距離は、約12-25cmである。1つの好ましい実施態様において、15-16cmが使用される。典型的には、装置は、換気フード内の換気された箱の中で使用される。箱は、繊維が標的上に堆積されるとき、気流から繊維を保護する。堆積されたなら、繊維マットを表面から除去し、以下のように処理することができる。典型的には、繊維マットは、減圧下に約24時間維持された後、繊維マットは5MのNa2CO3中で中和される。乾燥後、マットは任意の所望の大きさに切断され、滅菌される。キトサンを電解紡糸する他の方法は、溶媒として1,1,1,3,3,3- ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を使用することを含む(シン(Shin)ら, J Periodontol, 2005. 76(10): p. 1778-84)。1つの利点は、マットを中和する必要がないことである。残留溶媒は、減圧で引いて除去する。HFIP溶媒はまた、紡糸を助けるために塩化メチレンと一緒に使用することができる。キトサン繊維を製造するための他の方法は、例えばサンサノウおよびスパホール(Sangsanoh and Supaphol)による, Biomacromolecules, 2006. 7(10): p. 2710-4 またはシフマンおよび シャウエル(Schiffman and Schauer), Biomacromolecules, 2007. 8(2): p. 594-601に記載されている。
【0050】
創傷治療装置
本発明は、キトサン組成物を使用する創傷治療装置を提供する。創傷治療装置は、治療される傷に適応させるのに十分な形状および大きさに、キトサン組成物を作り上げることによって形成することができる。所望なら、創傷治療装置は、キトサン繊維を含む。創傷治療装置は望ましくは、傷に最適の治療を提供するのに必要などのような形状および大きさにも製造される。これらの装置は、限定されないが、栓、メッシュ、片、縫合糸、外傷用手当材料または、傷の修復に適応し、助けることができる任意の他の形態を包含する形態に製造することができる。本発明のキトサン組成物でできた装置を用いて治療することができる患者の損傷を受けた部分は、限定されないが、骨、軟骨、皮膚、筋肉および他の組織(神経、脳、脊髄、心臓、肺)を包含する。損傷を受けた組織、骨または軟骨の治療修復および改造を助けるように、他の同様の装置が投与される。幾つかの用途のために、装置を、存在する組織中に組み込んで、傷の修復を促進することが望ましい。他の用途のために、数日、数週間または数か月の経過にわたって装置が分解することが望ましい。そのような分解は、本明細書に記載される方法を用いて特定の患者の必要に合うように有利にあつらえることができる。キトサン組成物(例えば膜、スポンジ)の溶出および/または分解のプロフィールは、本明細書に記載されるように、以下の変数:脱アセチル化度、中和溶液、溶媒構成ならびにキトサンの重量%および/または結晶化度を調節することによって変えることができる。
【0051】
結晶化度は、化合物における構造秩序の程度を示す。ポリマー、例えばキトサンは、無定形または半結晶性である。キトサンの結晶化度は、他のポリマーと同様に、ポリマー鎖のタイプ、数および規則性、側鎖基の化学的性質、マトリックスパッキング度(degree of matrix packing)もしくは密度および架橋度に依存する。キトサンまたはその製品の結晶化度は、熱的性質例えば融点ならびに物理的-機械的性質例えば引張り強度、ヤング率、膨張率および分解に影響を与えるように、製造中にその分子量、脱アセチル化度および架橋によって制御することができるか、または変えることができる。
【0052】
架橋は、ポリマー鎖を一緒に結合するプロセスである。キトサンにおいて、架橋は、相互に連結した線状のポリマー鎖の三次元マトリックスを誘導する。架橋の程度または範囲は、架橋剤に依存する。典型的な架橋剤は、トリポリリン酸ナトリウム、エチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレンオキシド、グルタルアルデヒド、エピクロロヒドリン、ジイソシアネートおよびゲニピン(genipin)を包含する。架橋はまた、マイクロ波または紫外線暴露を用いて成し遂げることができる。
【0053】
キトサンの性質はまた、脱アセチル化度を調節することによって、変えることができる。1つの実施態様において、脱アセチル化度は、約50-100%に調整され、ここで、この範囲の最低値は50-99%の任意の整数であり、この範囲の最高値は51-100%の任意の整数である。特定の実施態様において、脱アセチル化度は、51%, 55%, 60%, 61%, 65%, 70%, 71%, 73%, 74%, 75%, 76%, 77%, 78%, 79%, 80%, 85%, 90%, および95%である。一般に、分子量が高くなればなるほど、キトサン組成物の分解はゆっくりになる。
【0054】
所望なら、キトサンは酸処理の後、中和される。当技術分野で公知の任意の塩基(例えばNaOH, KOH, NH4OH, Ca(OH)2, Mg(OH)2またはそれらの組合せ)を使用して、酸処理されたキトサン組成物を中和することができる。好ましくは、中和溶液は7.4より大きいpH(例えば7.8, 8.0, 8.5, 9.0, 10, 11, および12, 13, 14, 15, 16)を有する。中和の段階は任意であり、厳密には必要とされない。所望なら、キトサンは、酸処理後に水、PBS、または滅菌塩水で処理される。それは、0.01-10.0Mの塩基(例えば0.01, 0.025, 0.5, 0.75, 0.1, 0.25, 0.5, 0.75, 1.0, 1.5, 2.0, 2.5, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10 M)(例えばNaOH)を含み得る。より低いモル濃度を有する塩基中で中和されたキトサン組成物は、より速く分解する。モル濃度が増加された塩基中で中和されたキトサン組成物は、より低いモル濃度で中和されたものよりゆっくりと分解する。かくして、キトサンの分解特性は、中和する塩基のモル濃度を変えることによって、調節することができる。
【0055】
他の実施態様において、キトサンを溶解するのに使用される酸溶媒の濃度が調整されるか、またはキトサンを溶解するのに使用される時間が変えられる。例えば、0.1%, 0.5%, 1%, 2%, 3% または5%の酸溶液が使用される。特定の実施態様において、キトサンは、酢酸、クエン酸、シュウ酸、プロピオン酸、アスコルビン酸、塩酸、蟻酸、サリチル酸および/もしくは乳酸、またはそれらの組合せに溶解される。一般に、増加された濃度の乳酸を含む酸溶媒は、より速く分解し、また減少された強度および持続性を有するするキトサン組成物を形成する。種々の実施態様において、酢酸および乳酸の組合せが使用される。酢酸は、より大きい強度およびゆっくりとした分解を提供する。それに対して、乳酸はより大きい可撓性を提供する。1つのアプローチでは、乳酸対酢酸の比は、5:1, 4:1, 3:1, 2:1, 1:1, 1:2, 1:3, 1:4, から1:5で変えられる。1つの実施態様において、ブレンドされた酸溶媒は、90%/10%, 80%/20% 75%/25%, 70%/30%, 60%/40%, 50%/50%を含む。なお他の実施態様において、キトサン重量%は、0.25-10.0%(例えば0.1, 0.2, 0.25, 0.3, 0.4, 0.5, 1, 1.25, 1.5, 1.75, 2.0, 2.5, 3.0, 3.5, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10%)で変えられる。1つの実施態様において、1重量%のキトサン溶液が好ましく、ここで、1重量%のキトサン溶液は100mlの溶液当たり1グラムのキトサンを含む。典型的には、重量%が高ければ高いほど、分解はゆっくりになる。
【0056】
所望なら、キトサン組成物は剤を装填され、キトサン組成物は傷に届けられて、剤のための配送系を形成する。好ましくはキトサン組成物は、有効量の化学成分もしくは薬剤的に活性な成分を含む。1つの実施態様において、キトサン組成物は、配送が望まれる部位に自己付着する。別の実施態様において、接着剤または他の接着手段をキトサン組成物の外側の端に施与して、化学成分もしくは薬剤的に活性な成分の配送中、組成物を正しい位置に保持することができる。そのような接着手段は、単独で、またはキトサンの自己付着特性と組み合わせて、使用することができる。キトサン組成物は、望まれる量の治療剤の局所的な投与に備える。
【0057】
本発明の他の実施態様は、生物学的ファスナー、例えば糸、縫合糸および織布として形作られ、製造される創傷治療装置を包含する。キトサン組成物の種々の実施態様を含む糸および縫合糸は、開いた傷を一時的に治療し、かつ封止するための生体適合性の固定および縫合機能を提供する。さらには、生物学的ファスナーは、傷の内部および周囲の組織の回復および改造を助けることができる薬理学的に活性な剤を含むことができる。有利には、そのような固定および縫合装置は、in vivoで所望の速度で分解するように処理され得る。他の実施態様において、キトサン組成物は、傷ついた場所に直接投与される。本発明のキトサン組成物は、散布、充填、移植、挿入もしくは塗ることによって、または任意の他の投与手段によって、外傷の部位(例えば開放創、開放骨折、複合創傷)に投与される。
【0058】
止血キトサン組成物
本発明はさらに、止血マトリックス(例えば止血スポンジ)の形態でキトサン組成物を提供する。そのような組成物は単独で有用であるか、または本明細書に詳述される治療剤または予防剤の配送のために使用することができる。そのようなマトリックスは一般に、キトサンから形成される多孔組成物を含む。一般に、多孔質の三次元に安定な構造を形成することができるキトサンの液体溶液を提供することによって、スポンジを作ることができる。1つの実施態様において、キトサン溶液は、脱アセチル化されたキトサンを酸溶媒中に溶解することによって調製される。溶液を型に入れて所望の形を達成することによって、スポンジが形成される。その後キトサン溶液を凍結させ、凍結乾燥し、それによってキトサンスポンジが形成される。凍結乾燥を行って、マトリックスの液体(例えば水)含量を約5重量%, 10重量%, 20重量%, 25重量%, 30重量%, 40重量%, 50重量%, 75重量%, 80重量%, 90重量%, 95重量%, または100重量%より下に低下させる。所望なら、第2の凍結乾燥段階が行われる。この段階は厳密には任意である。1回以上の凍結乾燥後、キトサン組成物はなお、いくらかの量の水を含み得る。典型的には、凍結乾燥は、キトサン組成物の元の水分含量の少なくとも約70%, 75%, 80%, 90%, 95もしくは 100%を除去する。いくらかの水分を保持するキトサン組成物は、滅菌箔中に包装されて、そのような水分を維持され得る。
【0059】
1つのアプローチにおいて、例えば塩基溶液で処理することによって、スポンジは中和され、再凍結乾燥される。スポンジマトリックスは構造的に安定化され、マトリックスによって吸収されやすい液体、例えば体液と接触するまで、高密度の、目の詰んだ状態にとどまる。医療用途のために、詰められ、圧縮されたスポンジは、任意の適当な手段(例えば放射線)を用いて滅菌される。装置は、医療用途のための滅菌包装中に包装される。本発明のスポンジ要素または他の装置はまた、1種以上の活性な治療剤を含むことができる。例えば、凝血を促進する剤(例えばトロンビンおよび/またはフィブリノーゲン)を含む。あるいは、またはさらには、本発明のスポンジ要素または他の装置は、組織の増殖および治癒を促進する抗生物質および/または増殖因子を含む。
【0060】
治療剤がキトサン中に組み込まれるように、キトサン組成物は治療剤と一緒にインキュベートされる。このインキュベーションは典型的には、本明細書に記載される方法を用いて患者を治療する手順の前または最中に行われる。本発明のスポンジ材料は有利には、湿らされたとき、膨張性である。好ましくはスポンジは、少なくとも約10%-100%(10, 20, 30, 40, 50)膨張する吸収力を有する。他の実施態様において、スポンジは、脱イオン水、緩衝液または本発明の剤で湿らされて飽和したとき、約200体積%だけ膨張する。好ましいスポンジ材料は、急速な体積膨張を達成する(例えば水性溶液中に浸漬されるとき)。止血スポンジは、傷への施与に必要とされる任意の大きさで製造される。1つの実施態様において、膨張したスポンジは、移植されるか、または活性剤を移植部位および周囲組織に届けるとき、周囲の組織に圧力をはたらかせる。
【0061】
キトサン組成物の配送
キトサン組成物は、当業者に公知の任意の方法によって配送することができる。1つのアプローチにおいて、キトサン組成物は、膜またはスポンジの形態で外傷の部位に局所的に配送される。膜、スポンジまたは他の創傷管理装置は、実質的に任意の大きさの傷に合わせるように形作ることができる。別のアプローチにおいて、キトサン組成物は、回復の促進および/または感染の治療もしくは予防が必要とされる部位に、手術で移植される。所望なら、キトサン組成物は、治療が提供されるべき手術室内で、臨床医によって、1種以上の抗生物質または他の生物学的に活性な剤を装填される。これは有利には、キトサン組成物に、ケアが提供されるべき場所で特定の患者の必要性に合わせた特定の剤または剤の組合せを装填するのを可能にする。
【0062】
スクリーニングアッセイ
本明細書に記載されるように、本発明は、in vivoで、治療もしくは予防剤の傷への配送に備える。本発明は、剤および、組成物の分解が、特定の患者の必要性に合わせてあつらえられるキトサン組成物を用いて、治療剤を届けることができることの発見に一部基づく。望まれる分解および溶出プロフィールを有するキトサン組成物を同定するために、当技術分野で公知であり、本明細書に記載されたルーティンの方法を用いるだけで、スクリーニングを行うことができる。例えば、キトサン組成物は1種以上の治療剤を装填され、そのような組成物はその後、未処理の対照組成物と比較されて、治癒を促進するキトサン組成物が同定される。別の実施態様において、本発明のキトサン組成物の分解は、in vivoでアッセイされて、望まれる分解プロフィールに対応する脱アセチル化度が同定される。スクリーニングアッセイを行ってそのような組成物を同定するために、任意の数の方法が入手可能である。
【0063】
1つの実例において、キトサン組成物に、候補化合物が種々の濃度で添加される。その後、本明細書に記載される標準の方法を用いて、感染もしくは傷の治癒の程度が測定される。化合物の存在下での感染の程度(例えば細菌の数)または傷の治癒の程度が、化合物を欠いた対照で測定されたレベルと比較される。治癒を促進する化合物は、本発明において有用と考えられる;そのような化合物は、例えば、本明細書に記載される疾病(例えば組織の損傷)を予防、遅延、改善、安定化もしくは治療する治療剤として使用することができる。他の実施態様において、その化合物は、本明細書に記載される疾病もしくは疾患を予防、遅延、改善、安定化もしくは治療する。そのような治療化合物は、in vivoで有用である。
【0064】
別のアプローチにおいて、種々の脱アセチル化度を有するキトサン組成物がin vivoでインキュベートされ、傷に加えられるか、またはキトサン-分解活性を有する酵素を含む組成物と接触される。その後、キトサンの分解に必要とされる時間の長さが、本明細書に記載される標準の方法を用いて測定される。所望の分解プロフィール(例えば3日間、5日間、1週間、2週間、3週間、1カ月、2カ月、3カ月で分解する)を有するキトサン組成物は、本発明において有用と考えられる;そのような組成物は、例えば、本明細書に記載される疾病(例えば組織の損傷)を予防、遅延、改善、安定化もしくは治療する治療剤として使用することができる。他の実施態様において、組成物は、本明細書に記載される疾病もしくは疾患を予防、遅延、改善、安定化もしくは治療する。そのような治療組成物は、in vivoで有用である。
【0065】
本発明は、病原体感染(例えば細菌、ウィルス、真菌)、複合創傷、開放骨折、外傷および関連する疾病および/もしくは疾患またはそれらの症状を治療する方法であって、治療に有効な量の組成物(キトサンおよび、本明細書における処方の治療もしくは予防剤を含む)を患者(例えば哺乳動物、例えば人)に投与することを含む方法を提供する。かくして、1つの実施態様は、部位へ治療組成物を導くことを必要とする、感染、外傷、創傷、開放骨折または関連する疾病もしくは疾患にかかっているか、またはかかりやすい患者を治療する方法である。この方法は、哺乳動物に、疾患もしくは疾病またはそれらの症状を治療するのに十分な治療量の本明細書における化合物を、疾病もしくは疾患が治療されるような条件下で投与する段階を含む。
【0066】
本明細書における方法は、患者(そのような治療が必要であると明らかにされた患者を含む)に、有効量の本明細書に記載された化合物または本明細書に記載された組成物を投与して、そのような効果を生じることを含む。そのような治療が必要である患者の同定は、患者または健康管理の専門家の判断にあり、主観的(例えば意見)または客観的(例えば試験もしくは診断法によって測定可能)であり得る。
【0067】
本発明の治療法(予防的治療を含む)は一般に、治療に有効な量の本明細書に記載される化合物、例えば本明細書に記載される処方の化合物を、それを必要とする患者(例えば動物、人)(哺乳動物特に人を包含する)に投与することを含む。そのような治療は、感染にかかっているか、有するか、受けやすいか、または危険のある患者、特に人、治癒を必要とする患者、特に人、外傷、創傷、開放骨折もしくは関連する疾病、疾患またはそれらの症状を有する患者、特に人に適当に投与される。「危険のある」それらの患者の決定は、診断試験または患者もしくは健康管理の提供者の意見(例えば遺伝子試験、酵素もしくはタンパク質マーカー、(本明細書において定義した)マーカー、家族歴等)により、任意の主観的もしくは客観的な決定によってなされ得る。本明細書における剤はまた、治癒を促進するか、または感染を治療もしくは予防することが望ましい任意の他の疾患の治療において使用することができる。
【0068】
1つの実施態様において、本発明は、治療の経過を監視する方法を提供する。この方法は、感染、疾患もしくはその症状にかかっているか、それを受けやすい患者において、診断マーカー(マーカー)(例えば創傷治癒パラメーター、細菌細胞数、または本明細書における化合物によって調節される本明細書に詳述される任意の標的、C-反応性タンパク質、サイトカイン濃度もしくはその指標等)または診断測定(例えばふるい分け、アッセイ)の濃度を決定する段階を含み、ここで、患者は、疾病またはその症状を治療するのに十分な治療量の本明細書におけるキトサン組成物(例えば治療もしくは予防剤を含むキトサン組成物)を投与されている。この方法において決定されるマーカーの濃度は、患者の疾病状態を確立するために、健康な普通の対照または他の苦しめられている患者におけるマーカーの公知の濃度と比較することができる。好ましい実施態様において、第1の濃度の決定より遅い時点で、患者におけるマーカーの第2の濃度が決定され、2つの濃度を比較して、疾病の進行または治療の効力を監視する。ある好ましい実施態様において、患者におけるマーカーの治療前の濃度が、本発明に従う治療を開始する前に決定され;このマーカーの治療前の濃度を、その後、治療を開始した後の患者におけるマーカーの濃度と比較して、治療の効力を決定することができる。
【0069】
試験化合物および抽出物
一般に、キトサン組成物からの配送のために適当な治療化合物は、当技術分野で公知であるか、または天然生成物および合成(または半合成)抽出物の両方の大きなライブラリーから、または化学物質のライブラリーから、またはポリペプチドもしくは核酸ライブラリーから、当技術分野で公知の方法に従って同定される。薬剤の研究開発の技術分野の当業者は、試験抽出物もしくは化合物の正確な供給源は、本発明のスクリーニング手順に不可欠ではないことを理解するであろう。ふるい分けに使用される化合物は、公知の化合物(例えば他の疾病もしくは疾患のために使用される公知の治療剤)を包含し得る。あるいは、実質的に任意の数の知られていない化学的抽出物または化合物を、本明細書に記載される方法を用いてふるい分けすることができる。そのような抽出物または化合物の例は、限定されないが、植物-、真菌-、原核生物-、または動物-に基づく抽出物、発酵汁(broth)および合成化合物、ならびに存在する化合物の変性物を包含する。
【0070】
限定されないが、糖-、脂質-、ペプチド-および核酸-に基づく化合物を包含する任意の数の化合物のランダムもしくは直接合成(例えば半合成または全合成)を生じるために、多くの方法がまた入手可能である。合成化合物ライブラリーは、ブランドンアソシエイツ(Brandon Associates) (メリマック(Merrimack), N. H.) およびアルドリッチケミカル(Aldrich Chemical )(ミルウォーキー(Milwaukee), Wis.)から市販されていて入手可能である。あるいは、候補化合物として使用されるべき化合物は、標準の合成技術および当業者に公知の方法を使用して、容易に入手可能な出発物質から合成することができる。本明細書に記載される方法によって同定される化合物を合成するのに有用な合成化学の変換および保護基の方法(保護および脱保護)は、当技術分野で公知であり、例えばR. ラロック(Larock), 包括的有機変換(Comprehensive Organic Transformations), VCH パブリッシャーズ(Publishers) (1989); T. W.グリーン( Greene)および P. G. M. ワッツ(Wuts), 有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis), 第2版、ジョンウィリーアンドサンズ(John Wiley and Sons) (1991); L. フィーザー(Fieser)および M. フィーザー(Fieser),有機合成のためのフィーザーアンドフィーザー試薬( Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis), ジョンウィリーアンドサンズ(John Wiley and Sons) (1994); ならびにL. パケット(Paquette)編., 有機合成のための試薬の辞典(Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis), ジョンウィリーアンドサンズ(John Wiley and Sons) (1995), ならびにそれらのその後の版に記載されるものが包含される。
【0071】
あるいは、細菌、真菌、植物および動物の抽出物の形態の天然化合物のライブラリーは、生命体(Biotics) (サセックス(Sussex), UK), キセノバ(Xenova) (スラウ(Slough), UK), ハーバーブランチオセアングラフィックスインスティテュート(Harbor Branch Oceangraphics Institute) (Ft. ピアス(Pierce), FIa.), およびファーママル(PharmaMar), U.S.A. (ケンブリッジ(Cambridge), Mass.)を含む多くの供給源から市販されていて入手可能である。さらには、天然および合成的に製造されたライブラリーが、所望なら、当技術分野で公知の方法に従って、例えば標準の抽出および分画法によって、製造される。分子ライブラリーの合成のための方法の例は当技術分野において見出すことができ、例えばデウィット(DeWitt)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90:6909, 1993; エリブ(Erb)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:11422, 1994; ザッカーマン(Zuckermann)ら、J. Med. Chem.37:2678, 1994; チョ(Cho)ら、Science 261:1303, 1993; カレル(Carrell)ら、Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2059, 1994; カレル(Carrell)ら、Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2061, 1994; およびギャロップ(Gallop)ら、J. Med. Chem. 37:1233, 1994において見出すことができる。さらに、所望なら、任意のライブラリーまたは化合物は、標準の化学的、物理的または生化学的方法を用いて、容易に変性される。
【0072】
化合物のライブラリーは、溶液(例えばハウテン(Houghten), Biotechniques 13:412-421, 1992)、またはビーズ(ラム(Lam), Nature 354:82-84, 1991)、チップ(ホダー(Fodor), Nature 364:555-556, 1993)、細菌(ラドナー(Ladner), U.S. Patent No. 5,223,409)、胞子(ラドナー(Ladner) U.S. Patent No. 5,223,409)、プラスミド(カル(Cull)ら、Proc Natl Acad Sci USA 89:1865-1869, 1992)またはファージ(スコット(Scott) およびスミス(Smith), Science 249:386-390, 1990; デヴリン(Devlin), Science 249:404-406, 1990; クィルラ(Cwirla)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. 87:6378- 6382, 1990; フェリチ(Felici), J. Mol. Biol. 222:301-310, 1991; ラドナー(Ladner) 前出.)において示され得る。
【0073】
さらには、薬剤の研究開発の技術分野の当業者は、その活性についてすでに知られている物質の複写もしくは複製の脱複写(dereplication)(例えば分類学的脱複写、生物学的脱複写および化学的脱複写またはそれらの組合せ)または除去のための方法は、可能なときにはいつでも使用されるべきであることを容易に理解するであろう。粗抽出物が関心のある化合物を含むと同定されるとき、観察される効果について応答可能な化学成分を分離するために、正の誘導抽出物のさらなる分画が必要である。かくして、抽出、分画および精製プロセスの目標は、所望の生物学的効果を達成する粗抽出物中の化学物質の注意深い特性決定および同定である。そのような不均一な抽出物の分画および精製は当技術分野で公知である。
【0074】
本発明の小さな分子は好ましくは2,000ドルトンより下、より好ましくは300〜1,000ドルトン、最も好ましくは400〜700ドルトンの分子量を有する。これらの小さな分子が有機分子であるのが好ましい。
【0075】
キット
本発明は、キトサン組成物を含むキットを提供する。1つの実施態様において、キットは、感染を予防もしくは治療する治療もしくは予防剤(例えば抗微生物剤)か、または治癒を促進する治療もしくは予防剤(例えば増殖因子、抗炎症剤、凝血促進剤、抗血栓症薬)を含有するキトサン組成物を含む。他の実施態様において、キットは、本明細書に記載されるキトサン組成物を含む治療装置、例えば傷の治癒に有用なキトサン膜、キトサンスポンジ、ヒドロゲルまたは移植片/補綴装置を含む。所望なら、上記キトサン組成物はさらに、本明細書に記載される剤を含む。
【0076】
幾つかの実施態様において、キットは、キトサン組成物を含有する滅菌容器を含み;そのような容器は、箱、アンプル、ボトル、びん(vial)、管、袋、ポーチ、ブリスターパック、または当技術分野で公知の他の適当な容器形態であり得る。そのような容器は、プラスチック、ガラス、積層紙、金属箔、または薬剤を保持するのに適当な他の材料でできていることができる。
【0077】
所望なら、本発明のキトサン組成物は、本明細書に記載される予防もしくは治療方法において使用するための説明書と一緒に提供される。説明書は一般に、それを必要とする患者において、外傷、感染または関連する疾病の治療のために組成物を使用することについての情報を含む。説明書は、(存在するときは)容器上に直接印刷されるか、または容器に施与されるラベルとして、または別にされたシート、パンフレット、カード、または容器中もしくはそれと一緒に供給されるホルダーとして印刷され得る。
【0078】
本発明の実践は、他に示されなければ、分子生物学(組み換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の慣用の技術を使用し、これは、まさに当業者の範囲内にある。そのような技術は、例えば"分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)", 第2版(サムブルック(Sambrook), 1989); "オリゴヌクレオチド合成(Oligonucleotide Synthesis)" (ガイト(Gait), 1984); "動物細胞培養(Animal Cell Culture)" (フレッシュニー(Freshney), 1987); "酵素学における方法(Methods in Enzymology)" "実験免疫学のハンドブック(Handbook of Experimental Immunology)" (ウィア(Weir), 1996); "哺乳動物細胞のための遺伝子転移ベクター(Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells)" (ミラー(Miller)および カロス(Calos), 1987);"分子生物学における今日のプロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)" (アウスベル(Ausubel), 1987); "PCR:ポリメラーゼ鎖反応(PCR: The Polymerase Chain Reaction)", (マリス(Mullis), 1994); "免疫学における今日のプロトコール(Current Protocols in Immunology)" (コリガン(Coligan), 1991)のような文献において完全に説明される。これらの技術は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの製造に適用可能であり、それ自体、本発明を作り上げ、実践することにおいて考慮され得る。特定の実施態様のための特に有用な技術は、以下の節において議論される。
【0079】
以下の実施例は、本発明のアッセイ、スクリーニングおよび治療の方法をいかに作り上げ、使用するかについての完全な開示および説明を当業者に提供するように提出され、本発明者が発明であると考えるものの範囲を限定する意図ではない。
【0080】
実施例
実施例1:キトサンスポンジによる抗生物質配送は細菌の増殖を抑制した
傷において疑われる細菌種に基づく治療剤をあつらえ装填することができる、汚染された四肢の怪我において使用するための生体適合性の再吸収可能な担体についての必要性がある。限定的でない装填は、大きな次数で細菌のコロニー形成を潜在的に減らすことができ、汚染された傷を有する障害のある患者において、感染速度および手足における機能性の損失を減らすことができた。以下の結果は、凍結乾燥したキトサンスポンジは、抗生物質のための担体として有用であることを示す。そのようなスポンジは、単独で、または整形外科外傷および他の筋骨格適用のための標準的な灌注および創傷清浄化に対する付属的治療法として使用することができる。
【0081】
61および71%脱アセチル化された(DDA)キトサンを含むスポンジに抗生物質のアミカシンを装填した。1時間でのアミカシンの放出は、61DDA試料および71DDA試料について、それぞれ88.7±2.4 μg/ml および83.7±7.3 μg/mlであるとわかった。アミカシンは72時間では、61DDA試料は2.8±1.3μg/mlを放出し、71DDA試料は2.2±1.9μg/mlを放出したことが明らかであった(図1A)。P.アエルギノサ(P. aeruginosa)の細菌増殖抑制は、1時間後に98.7%、72時間後に93.1%であるとわかった。
【0082】
キトサンスポンジからのアミカシン溶出への中和条件の影響をまた、分析した(図1B)。この試験において、以下のキトサンスポンジが評価された:(1) 61 DDA キトサン、0.5M NaOHで 中和した、 (2) 71 DDA キトサン、1 M NaOH で中和した、 (3) 61 DDA キトサン、1 M NaOH で中和した、 (4) 71 DDA キトサン、2 M NaOH で中和した、 (5) 61 DDA、 2M NaOH で中和した。全てのスポンジが、溶出試験前に2分間5mg/mlのアミカシン溶液中に沈められた。溶出は、50mlの滅菌塩水溶液中で行われ、各時点で完全に更新された。溶出は7日間行った。グラフに示された値は、μg/mlである。一般に、0.5M NaOHで 中和した61 DDA キトサンが、最良の長期間放出を提供した。
【0083】
キトサン膜からの剤の溶出をまた分析した(図1C)。滅菌されたキトサン膜に、アミカシンおよびバンコマイシンを装填した。全ての膜は、溶出試験前に2分間、5mg/mlのアミカシンまたはバンコマイシン溶液中に沈められた。溶出は、50mlの滅菌塩水溶液中で行われ、各時点で完全に更新された。溶出は3日間行った。図1Cに示された値は、μg/mlで表される。
【0084】
臨床医が、知られているかまたは推測される存在する細菌種に基づいて治療レジメンをあつらえることを可能にするので、抗生物質の選択を注文に合わせて変える能力は有利である。キトサンスポンジは、キトサン膜より大きい抗生物質溶液の取り込みおよびより高い放出濃度を可能にする。スポンジはまた、分解に関して注文に合わせることができる。というのは、製造の変更(例えば脱アセチル化度、中和溶液、溶媒の構成、およびキトサンの重量%、および/または結晶化度)が、分解速度を変えることができるからである。この結果は、キトサンへの抗生物質の組み込みが、単独で、または灌注および創傷清浄化の治療と共に使用することができる、局所的薬剤配送系を提供することを示す。
【0085】
実施例2: in vivoでの感染を抑制する抗生物質を含むキトサン組成物
キトサンスポンジ(図2A-2C)に、抗生物質を装填した。抗生物質溶出プロフィールを表1に提供する。
【表1】
【0086】
抗生物質のアミカシン、バンコマイシンおよびダプトマイシンを装填されたキトサンスポンジからの溶出を、並行して分析した(図17)。図17に示されるように、アミカシンおよびバンコマイシンの放出についてのプロフィールは研究の持続中同様であったが、それに対して、ダプトマイシンの放出は、72時間の時点で、他の2種の試験した抗生物質より有意に小さかった。1種以上の抗生物質を装填されたキトサンスポンジからの剤の溶出をまた分析した。キトサンスポンジに、単独アミカシン、アミカシン+バンコマイシン、およびアミカシン+ダプトマイシンを装填したときの、キトサンスポンジからのアミカシンの溶出を測定した(図18)。図18に示されるように、バンコマイシンもダプトマイシンも、アミカシンの放出に影響を及ぼさなかった。キトサンスポンジに、単独バンコマイシンおよびバンコマイシン+アミカシンを装填したときの、キトサンスポンジからのバンコマイシンの溶出を測定した(図19)。図19に示されるように、アミカシンはバンコマイシンの放出に影響を及ぼさなかった。キトサンスポンジに、単独ダプトマイシンおよびダプトマイシン+アミカシンを装填したときの、キトサンスポンジからのダプトマイシンの溶出を測定した(図20)。図20に示されるように、アミカシンはバンコマイシンの放出に影響を及ぼさなかった。
【0087】
スポンジから溶出される剤が細菌の増殖を抑制するのに使用できるかどうかを決定するために、帯状抑制(zone of inhibition (ZOI) )の研究を行った(図3A-3D)。上記のように、単一の抗生物質または抗生物質の組合せを装填されたキトサンスポンジを、細菌の増殖を抑制する能力について分析した。細菌増殖の抑制を決定するアッセイのために、細菌株シュードモナス アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)およびスタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)を使用した。シュードモナス アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)およびスタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)の抑制を示す結果を、それぞれ表2および3に示す。
【表2】
【0088】
表2に示されるように、48または72時間では、試験された群のいずれも細菌増殖を抑制しなかった。抑制の欠如はまた、アミカシン+ダプトマイシン群を用いた24時間で観察された。
【0089】
【表3】
【0090】
表3に示されるように、72時間の時点で抑制の欠如を示したアミカシン+バンコマイシンを含む群を除く、試験された全ての群が、72時間中S. aureusの増殖を抑制した。
キトサン膜からの溶出データが表4に提供される。膜は、溶出試験の前に2分間、5mg/mlのアミカシンもしくはバンコマイシン溶液中に沈められた。溶出は50mlの滅菌塩水溶液中で行われ、各時点で完全に更新された。溶出は3日間行われた。グラフに示された値は、μg/mlである。
【0091】
【表4】
【0092】
よく確立され、汚染された、ヤギにおける脛骨骨折モデルにおいて、スポンジをまた使用した。このモデルは、即興爆薬装置(Improvised Explosive Devices)(IED)による軍の戦闘でみられるような整形外科外傷傷害をまねている。このモデルは、それぞれに熱的損傷を有する、筋肉、骨および組織の傷害を含む。スポンジを、アミカシン(P. aeruginosa)またはバンコマイシン(S. aureus)(5mg/ml溶液)中で60秒間水和させた。48時間にヤギを安楽死させ、細菌濃度を定量するために3回画像を記録した(imaged)(図5D)。6、12、24、36および42時間での抗生物質の血清濃度を監視するために採血した。結果を図6および表5(以下)に示す。
【0093】
創傷に、シュードモナス アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)(lux)またはスタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus) (lux)細菌を接種し、6時間閉鎖した。図4A-4Dは、示された時点での創傷に存在する細菌の数量を示す。6時間後、創傷を開き、画像を記録して、細菌の発光強度を得た(図5A-5D)。細菌汚染についてのベースライン値として、光強度の量を記録した。創傷を、9Lの滅菌塩水溶液で創傷清浄化し、灌注した。灌注後、創傷を、2度目の画像記録した。治療群のヤギは、抗生物質を装填したキトサンスポンジを受け、スポンジを傷に置いた後に、創傷を閉じた。
【0094】
キトサンスポンジを用いて抗生物質の局所投与をしないと、灌注および創傷清浄化にもかかわらず、高濃度の細菌が創傷に見出された。ヤギ841は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが65%減少した。この値は、他の治療をせずに42時間後、灌注および創傷清浄化6時間前の細胞カウントの214%にリバウンドした。ヤギ843は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが61%減少した。この値は、他の治療をせずに42時間後、灌注および創傷清浄化6時間前の細胞カウントの91%にリバウンドした。ヤギ845は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが93%減少した。この値は、他の治療をせずに42時間後、灌注および創傷清浄化6時間前の細胞カウントの56%にリバウンドした。ヤギ846は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが95%減少した。この値は、他の治療をせずに42時間後、灌注および創傷清浄化6時間前の細胞カウントの20%にリバウンドした。ヤギ847は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが89%減少した。この値は、他の治療をせずに42時間後、灌注および創傷清浄化6時間前の細胞カウントの30%にリバウンドした。
【0095】
それに対して、キトサンスポンジによるアミカシンの局所投与を受けたヤギは、その傷に、実質的にシュードモナス アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)細菌が存在しなかった。ヤギ8は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが87%減少した。この値は、アミカシンを装填したキトサンスポンジでの42時間治療後に0%に減少した。ヤギ32は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが91%減少した。この値は、アミカシンを装填したキトサンスポンジでの42時間治療後に1%に減少した。ヤギ839は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが89%減少した。この値は、アミカシンを装填したキトサンスポンジでの42時間治療後に1%に減少した。ヤギ842は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが87%減少した。この値は、アミカシンを装填したキトサンスポンジでの42時間治療後に0%に減少した。ヤギ2026は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが81%減少した。この値は、アミカシンを装填したキトサンスポンジでの42時間治療後に0%に減少した。
【0096】
バンコマイシンを装填したキトサンスポンジを使用したときに、同様の結果が観察された。対照群においては、ヤギは、灌注および創傷清浄化にもかかわらず、その傷に高濃度の細菌(スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus))を示した。ヤギ14069は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが22%減少した。この値は、他の治療をせずに42時間後、灌注および創傷清浄化6時間前の細胞カウントの2464%にリバウンドした。ヤギ7147は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが81%減少した。この値は、他の治療をせずに42時間後、灌注および創傷清浄化6時間前の細胞カウントの159%にリバウンドした。ヤギ20は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが73%減少した。この値は、他の治療をせずに42時間後、灌注および創傷清浄化6時間前の細胞カウントの157%にリバウンドした。ヤギ94は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが76%減少した。この値は、他の治療をせずに42時間後、灌注および創傷清浄化6時間前の細胞カウントの357%にリバウンドした。ヤギ263は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが59%減少した。この値は、他の治療をせずに42時間後、灌注および創傷清浄化6時間前の細胞カウントの249%にリバウンドした。
【0097】
重要なことに、バンコマイシンを装填したキトサンスポンジで治療したヤギは、対照群において観察されたスタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)細菌のリバウンドを示さなかった。例えば、ヤギ840は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが74%減少した。この値は、バンコマイシンを装填したキトサンスポンジでの42時間治療後に0%に減少した。ヤギ155は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが72%減少した。この値は、バンコマイシンを装填したキトサンスポンジでの42時間治療後に1%に減少した。ヤギ837は、灌注および創傷清浄化後、細菌細胞カウントが88%減少した。この値は、バンコマイシンを装填したキトサンスポンジでの42時間治療後に7%に減少した。
【0098】
【表5】
【0099】
キトサンスポンジで治療された10匹のヤギのうちの8匹に、スポンジ断片が残った。表6(以下)に挙げた値は、各断片に残っている抗生物質を示し、これは、滅菌塩水溶液中で12時間スポンジ断片を浸漬することによって溶出させた。この値は、スポンジの残りの量に標準化され、よって、挙げられた値はμg/ml/gである。ヤギ8、32、839および842はアミカシンを用いて治療され、ヤギ155、837、840および2437はバンコマイシンを用いて治療された。
【0100】
【表6】
【0101】
スポンジ断片を除いたときに、全ての移植されたスポンジが、移植後42時間後に60-100%分解していたことが明白であった。スポンジは、72時間にわたって溶出し、分解するように設計された。in vitro試験は、72時間分解プロフィールを確認した。
これらの結果は、キトサンが、抗生物質を局所的に、単独で、または外傷の整形外科的な怪我のための標準の治療法に対して付属的な治療法として、配送することができる分解性担体マトリックスを提供することを示した。整形外科的外傷および手術部位からの感染の予防は、健康管理の共同体には重要な興味あるものである。早い段階の付属的な治療法としてのキトサンスポンジの使用は、シュードモナス アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)およびスタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)の両方のモデルにおいて、細菌の撲滅を有意に改善した(図4Aおよび4B)。これらのキトサンスポンジのin vitro分析は、分解および溶出速度を調整するのに最適な製造に関して貴重な情報を提供した。in vivo評価は、キトサンが、抗生物質のための生体適合性の生物分解性担体としてふるまい、首尾よくこれらの剤を配送して、複合の汚染された創傷における細菌撲滅を助けることを示した。
【0102】
実施例3:キトサン膜は、再水和後、機械的完全性を維持する。
以下の研究は、キトサン膜が、筋骨格創傷の感染予防または治療のための適合性移植片として使用できることを示す。脱水されたキトサン膜は抗生物質を吸収し、時間の経過にわたって薬剤を溶出する。キトサン膜はまた、身体中で生物分解する。以下に提供される結果は、キトサン薬剤配送装置が、臨床医によるin situでの抗生物質装填によって、注文に応じて変えることができることを示す。そのような組成物は、再水和された機械的完全性を維持する。
【0103】
in situ装填中、キトサン膜は、再水和によって抗生物質を吸収する。1つの実施態様において、抗生物質の装填は、移植の直前に手術室または他の臨床環境において行われる。このことは、臨床医が、抗生物質の選択および濃度により、薬剤配送装置を患者の必要性に合わせて調整することを可能にする。これらの性質は、感染した筋骨格創傷の治療においてキトサンの使用を可能にする。本明細書に示されるように、この装置の使用は、局所化された抗生物質の配送によって感染を予防および/または治療し、キトサンの付着特性を使用する移植装置へのキトサン膜の接着に備え、かつ身体中でのキトサンの分解は、移植された装置を回収するさらなる手術の必要をなくす。
【0104】
キトサン膜の分解および薬剤配送を注文に応じて変えるために、キトサンの脱アセチル化度(DDA)は、61、71および80%で変えられ、一方、膜の酸溶媒は、酢酸(HAc)および乳酸(LA)間で変えられる。強度および弾性の測定値は、図12に示される装置を用いて得られた。UTSおよびヤング率を用いた強度および弾性の結果は、酢酸溶媒を用いた71および80%脱アセチル化度の膜が、最高の強度および弾性率を有することを示した(図9、10および13)。
【0105】
2種の抗生物質、ダプトマイシン(D)およびバンコマイシン(V)を使用して、薬剤感受性スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)を処理した(図7、8、11AおよびB、14Aおよび14B)。2方向ANOVAを行って、DDA および酸溶媒に依存しない変更物間に相互作用があるかどうかを決定した。抗生物質の取り込み、膨張率、UTS、ヤング率、および接着強度について、DDAと酸溶媒との間に統計的相互作用はなかった(p≧0.0674)。
【0106】
80%脱アセチル化度を用いた膜は、大量の抗生物質を吸収し、それらが薬剤配送装置として有用であることを示した(図7)。ダプトマイシンおよびバンコマイシンの取り込みは、脱水された膜が1分間で吸収することができる抗生物質の量を、キトサン1グラム当たりの抗生物質のミリグラムによって示した(図7)。本明細書に記載されるように、ダプトマイシンはDと省略され、バンコマイシンはVと省略され、いずれもないものはNと省略され;数61、71および80は、%脱アセチル化度を示すのに使用され;酸溶媒の乳酸および酢酸は、それぞれLAおよびHAcと省略される。膜変更物V80HAc、D61LA、D71LAおよびD80LAは全て統計学的に同様であり(p≦0.7769)、他の変更物(p<0.0001)より有意に多い量の抗生物質を吸収した。ダプトマイシンを吸収するとき、乳酸膜は、酢酸膜(p<0.0001)より有意に高い吸収を有していた。バンコマイシンを吸収するとき、酢酸膜は、乳酸膜(p<0.0001)より有意に高い吸収を有していた。乳酸膜は、平均して270.80±125.08mg/gでダプトマイシンを吸収し、これは、-23.12±31.67mg/gでのバンコマイシンの平均排除(exclusion)より有意に高かった(p<0.0001)。逆に、酢酸膜は、平均して118.39±101.93mg/gでバンコマイシンを吸収し、これは、-46.43±77.56mg/gでのダプトマイシンの平均排除より有意に高かった(p<0.0001)。キトサン膜は、酸のタイプおよびDDAの両方に依存して別様に抗生物質を吸収し、最良の結果は、80%脱アセチル化度を有する乳酸膜がダプトマイシンを吸収し、80%脱アセチル化度を有する酢酸膜がバンコマイシンを吸収するときに生じる。膜の脱アセチル化度が増加するにつれて、抗生物質の吸収が増加する上昇傾向があった。in situ装填中のキトサン膜からの抗生物質排除は、負の取り込み値によって示した。
【0107】
膨張率は、1分間再水和された膜の体積の増加を、増加した体積の百分率で示した(図8)。PBS単独中で1分間後、結果は、膜が約2倍の体積であることを示した。非装填膜は、約100%膨張または膜体積が2倍であることを示した。分析は、V71HAcを除くD80LAおよびV80HAc変更物の膨張率が同様であり(p = 0.8381)、他の変更物のいずれより(p<0.0001)も有意に高いことを示した(それぞれp = 0.1703 および0.0852)。一般に、膜が、取込みの増加を好む抗生物質環境中にあるとき、膜はより高い膨張率を有していた。
【0108】
乾燥/脱水膜のUTSおよびヤング率を図9および10に示す。71HAcおよび80HAc群は、55.47± 11 および49.89 ± 3.12 MPaのUTS値を示し、これは、統計的に同様である(p=0.2131)。これらの膜はまた、他の試験群(p<0.0001)より有意に高いUTSを示した。同様に、71HAcおよび80HAcについてのヤング率は統計的に同様であり(810.99 ± 207.64, 762.53 ±49.62, p = 0.06597)、他の試験群(p<0.0001)より有意に大きかった。他の試験群のUTSまたは弾性率値に差異は検出されなかった。
【0109】
乳酸を用いる膜は、移植片合金への接着性増加という利益を示した。80%脱アセチル化度を有するキトサン膜は、望ましい量の抗生物質および、外傷の部位への薬剤の配送に理想的に適していることを示す機械的特性を提供する。接着試験は、接着力、またはkPaで表した面積当たりの最大引張り荷重を示した(図13)。接着強度は、ASTM インターナショナル(International)(デジグネーション(Designation) D5179-02, www.astm.org/ Standards/D5179.htm(引用することによりその全部が本明細書に組み入れられる)により公表される規格に従って測定された。Ti71LA, SS61LA, およびSS80LA 合金/膜変更物は統計的に同様であり、それらの変更物の他に、Ti71LAは、いずれの他の合金/膜組合せよりも有意に高い接着強度を有していた(p ≦0.0310)。一般に、酢酸膜変更物は、乳酸変更物より低い接着強度を有していた(LA: 〜7-10 kPa v. HAc: 〜4-7 kPA)。酢酸膜においては、脱アセチル化度が増加するにつれて、接着強度が上昇する傾向があった。さらなる研究は、in situでの抗生物質装填は、再水和単独に比べたとき、接着強度に統計的に有意の効果を有さないことを示した。in situで抗生物質を装填したキトサン膜の膜接着は、非装填キトサン膜と有意に異なっておらず、抗生物質を装填したキトサン膜の接着用途を示唆する(例えば筋骨格装置への付属的抗生物質の覆いとして)。1つの実施態様において、引張り強度は少なくとも約45, 50, 55, 60, 65または70 mPAである。別の実施態様において、ヤング率は、少なくとも約700, 800, 900, または1000 mPAである。別の実施態様において、接着強度は、少なくとも約6-12 kPA (例えば6, 7, 8, 9, 10, 11, 12 kPA)である。
【0110】
膜からの抗生物質溶出結果は、一定時間にわたる、(mg/ml)/gで与えられるキトサン膜試料重量当たりの溶液中に存在する抗生物質の濃度を示した(図11Aおよび11B)。ダプトマイシン(図11A)について、72時間の時間にわたって、80LA変更物は一貫して有意に高い量のダプトマイシンを溶出した。この増大した溶出は、増大した抗生物質の取り込みに相関し得る(図7)。バンコマイシン溶出(図11B)においては、80HAc変更物がより高い平均溶出速度を有した。各個々の膜変更物についての72時間溶出の近似抗生物質放出は、V71HAcおよびD71LA以外は同じ範囲にあり、最大溶出濃度に比べると短いが比較的延長された放出を示し、しかしこの差異は有意ではなかった。
【0111】
抗生物質活性は、S. アウレウス(S. aureus)の増殖のパーセント抑制によって示される濁度アッセイを用いて決定された(図15Aおよび15B)。全体として、膜からの溶出物は、全ての時点でS. アウレウス(S. aureus)を抑制した。4種の変更物は、それぞれの時点で変動性を示した:12時間でV80HAc;24時間でV71HAc, D61LA, およびD71LA。しかしながら、それぞれ12時間および24時間でのV80HAcおよびV71HAc,についての変動性の可能性のある原因は、溶出物とTSB媒体中の成分との間の急な相互作用によって引き起こされたものであり得る(図15B)。結局、バンコマイシンおよびダプトマイシンの両方についての48時間および72時間の溶出物試料は、S. アウレウス(S. aureus)の増殖を抑制するのに活性であることが分かった。
【0112】
抗生物質を有するキトサン膜および有していないキトサン膜の分解を図14Aおよび14Bに示す。リゾチームを用いる分解の研究は、一定時間後に残ったキトサン膜重量を元の膜重量の百分率で示した(図14Aおよび14B)。61%DDAを有する膜変更物は、より少ない程度に分解し、抗生物質を装填した変更物と装填しない変更物との間に有意な差異はなかった。より高いDDAを有する変更物は、より低いDDAを有するものより多く分解した。抗生物質の装填が効果を有するとき、その効果は、膜の分解量の減少であった。約60時間後、各個々の変更物の百分率はその時点後に統計的に同様であったので、分解速度は著しく遅くなった。
【0113】
キトサン膜は、膜を形成するのに使用される酸およびキトサンの脱アセチル化度の両方に依存して、異なって抗生物質を吸収する。一般に、最適な結果は、ダプトマイシンを装填した80LAおよびバンコマイシンを装填した80HAcを含む膜において得られた。キトサンマトリックス、抗生物質および酸溶媒を最適にすると、多彩な抗生物質の吸収に備え、かつ延長された抗生物質の放出に備えた膜が製造される。有利には、膜は生体適合性であり、補綴装置と共に使用することができる。
【0114】
実施例4:抗生物質を装填したキトサンスポンジは、確立されたネズミモデルにおいて移植されたカテーテルへの細菌のコロニー形成を予防する。
局所的薬剤配送は、移植片表面上のバイオフィルムの形成と戦うことへの改善されたアプローチを提供する。表面のコロニー形成およびその後のバイオフィルム形成を予防するための抗生物質を有する移植片の予防的治療は、バイオフィルム形成の危険を低下させる。キトサン局所的配送系は、分解性マトリックス中で配送される移植部位での丸薬抗生物質の利益を提供する。分解性マトリックスであるキトサン局所的配送系は、非分解性の担体、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)ビーズにまさる利点を有する。PMMAビーズを使用することの欠点は、除去手術、抗生物質が治療量以下の放出であること、および移植片上での細菌のコロニー形成を包含する。以下に示される研究は、ダプトマイシン-、バンコマイシン-またはリネゾリド-を装填したキトサンスポンジの予防的使用が、PBSを装填したキトサンスポンジまたはカテーテルのみの対照と比べたとき、確立されたネズミカテーテルモデルにおいてCA-MRSA分離物の細菌カウントを有意に減少させることを示した。
【0115】
移植可能なフッ素処理されたエチレンプロピレン(FEP)カテーテル上でのバイオフィルムの形成を予防するのに、予防的治療として装填キトサンスポンジを評価するために、本研究者らは、先に記載したスタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)株(FPR3757)を使用した。配列決定されたゲノムを有していること、およびそれが基本型の市中感染型メチシリン耐性スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)( CA-MRSA)分離物であるという事実により、このUSA300株が選択された。
【0116】
バイオフィルム形成/抑制を、カテーテルに関連するバイオフィルム形成のネズミモデルを使用して、in vivoで評価した。この研究中、5つの研究群を評価した:(a) ダプトマイシンを装填したキトサンスポンジ、(b) バンコマイシンを装填したキトサンスポンジ、(c) リネゾリドを装填したキトサンスポンジ、(d) リン酸緩衝塩水(1x PBS)を装填したキトサンスポンジおよび(e) カテーテルのみ。滅菌キトサンスポンジ(7.0mm直径)に125マイクロリットル(μl)のダプトマイシン溶液、バンコマイシン溶液、リネゾリド溶液、または1x PBSを装填した(群a-d)。ダプトマイシン、バンコマイシンおよびリネゾリドの濃度値は、それぞれ10.0 μg/ml, 20.0 μg/ml, および40.0 μg/mlであった。これらの値は、S.aureusの薬剤感受性株について中止点(breakpoint) MICとして、臨床および実験室規格協会(Clinical and Laboratory Standards Institute) (CLSI)により規定される濃度の10倍に相当する。NIHスイスマウスの後肢に、皮下ポケットを作った(図21Aおよび21B)。カテーテルの1-cm分節の移植直前に、キトサンスポンジを創傷中に置いた(群a-d)(n=6)(図21Aおよび21B)。各マウスは移植された2つのカテーテルを有しており、かつ予備的実験が、同じマウスの反対の脇腹でのカテーテル間のクロスコンタミネーションの不在を確認していたので、各カテーテルは、その後、独立したデータ点として処理された(n=12)。群(e)は、キトサンスポンジなしでカテーテル配置を受けた。全てのカテーテルの移植(約1時間)後、全体積100μlの1x PBS 中の105 CFUの試験株を、カテーテルの管腔中に直接導入した。この研究は、バイオフィルム形成を予防するためにキトサン配送系の予防的効力を評価することを意図されたので、カテーテルは、インキュベーション48時間後に、動物を殺した後摘出した。カテーテル分節を摘出し、滅菌PBS中ですすいで、付着していない細菌を除去した。付着した細菌は、5.0mlのPBS中で超音波処理することによって、除去した。各カテーテルにコロニー形成している増殖可能な細菌の定量化を、トリプシン大豆寒天(tryptic soy agar) (TSA)上で適切に希釈した試料を培養することによって決定した。試料は37℃にて1晩インキュベートされた。定量的細菌カウントは、対応する希釈率を掛けた、得られたコロニーの数に基づいて計算された。
【0117】
細菌カウントデータは、正常性(normality)について試験した後、非パラメーター法(non-parametric method)を用いて分析された。詳細には、データは、マン-ウィトニー(Mann- Whitney)試験、次いでウィルコキソン(Wilcoxon) 順位和ペア試験(rank-sum pairwise testing)に供された。データは、JMP 8 (Cary, NC)を用いて分析した。p<-0.05なら、データは有意に異なると思われた。
【0118】
抗生物質を装填した分解性配送系の、確立されたネズミモデルにおける移植可能なカテーテル表面上のCA-MRSAバイオフィルムの形成を予防する効力を評価した。ダプトマイシン-およびバンコマイシン-を装填したキトサンスポンジを含む群は、回収したカテーテル分節の100%において移植片表面上の細菌のコロニー形成を妨げ、24個のうちの24個が、培養後、細菌を含まなかった(図22)。両方の群についての細菌カウントは、0 CFU/カテーテルであった。リネゾリド装填およびPBS装填キトサンスポンジを含む群ならびにカテーテルのみの対照は、FEPカテーテル表面上でのMRSA-誘発バイオフィルムの形成を抑制しなかった。リネゾリドを装填したキトサンスポンジの群は、細菌カウント4.19 x 105 CFU/カテーテルを有していた。PBSを装填したキトサンスポンジの群は、細菌カウント9.96 x 105 CFU/カテーテルを有していた。カテーテルのみの群は、より低い細菌カウント(2.30 x 105 CFU/カテーテル)を有していたが、統計的に有意ではなかった。ダプトマイシン-およびバンコマイシン-を装填したキトサンスポンジ群は、他の3群とは、細菌カウントに関して有意に異なっていた(p<0.0001)が、統計的には互いに異なっていなかった。群c、dおよびeは、互いに有意に異なっていなかった。
【0119】
この研究において示された結果は、抗生物質を装填されたキトサンスポンジの予防的な使用は、移植可能な生体適合物質の表面上でのコロニー形成およびその後のバイオフィルム形成を妨げることを示す。この結果は、治療の効力が薬剤依存性であることを示唆する。この知見は、ダプトマイシンが、UAMS-1 (MRSA 株)に対して使用される最も効き目がある薬剤であると報告されたものと同様である。しかしながら、以前の研究は異なる。というのは、in vitroでMRSAに対する薬剤活性を評価するのと反対であるように、本研究の局所的抗生物質系は、in vivoモデルにおいて予防的に使用されるからである。本研究においては、ダプトマイシンおよびバンコマイシン群の両方が、細菌のコロニー形成を妨げることにおいて、100%合格であった。本研究において報告された結果は、抗生物質を装填されたキトサンスポンジが、CA- MRSAバイオフィルム形成の予防のために予防的に使用される可能性を有することを示した。
【0120】
本明細書に記載される結果は、以下の方法および物質を用いて得られた。
スポンジ製造
キトサンスポンジは、以下のようにして製造された。1つのアプローチにおいて、キトサンスポンジは、4.5グラム(g)のキトサンを295.5ミリリットル(ml)の1%(体積/体積)酸溶媒(乳酸および/または酢酸)中に溶かすことによって製造された。キトサンは、プリメックス(Primex) (シグルフォルデュル(Siglufjordur), アイスランド)から得られた、71%脱アセチル化(DDA)されたものであった。別のアプローチにおいては、5.0グラム(g)のキトサンを500ミリリットル(ml)の1%(体積/体積)酸溶媒中に溶かすことによって、キトサン溶液を調製した。使用したキトサンは、プリメックス(Primex) (アイスランド)からの61および71%脱アセチル化(DDA)されたものであった。25mlの水性キトサンをアルミニウム皿に入れ、-80℃で1時間凍結させた。試料を48時間凍結乾燥した。スポンジを水酸化ナトリウム中で中和し、中性になるまで蒸留水中で洗浄した。試料を再凍結させ、再凍結乾燥させた後、滅菌した。低線量のガンマ線照射(25-32kGy)を用いて、スポンジを滅菌した。
【0121】
実施例2に記載されたヤギ創傷治療モデルにおける使用のために採用された好ましいアプローチにおいては、2.5グラムのキトサンを247.5mlの1(体積/体積)%ブレンド酸溶媒中に溶かした。混合物は、乳酸対酢酸75%/25%を含んでいた。この混合物を、撹拌プレート上で最大可能な速度で4-6時間撹拌した。キトサン溶液をろ過して、溶解しなかったキトサンを除去した。25mlのキトサン溶液をピペットで小さいアルミニウム計量皿(6mm直径)に入れた。各皿を-80℃の冷凍庫で1時間凍結させた。次に凍結試料を凍結乾燥器に入れ、48時間凍結乾燥した。スポンジ試料を0.175M NaOH溶液中で〜30-40秒間中和した。蒸留水を満たした容器中で、スポンジを繰り返しすすぎ、すすぎ液がpHで中性になるまでpH変化を監視した。再水和させたスポンジを次に、-80℃の冷凍庫にて1時間インキュベートさせ、そして24-48時間再凍結乾燥させた。このスポンジをその後、ライトメディカル(Wright Medical)での低線量のガンマ線照射を用いて(25-32kGy)滅菌した。
【0122】
キトサンゲル中にキトサンスポンジを含む複合物(「ゲル中スポンジ(sponge-in-gel)」複合物)は、キトサンゲル成分およびキトサンスポンジ成分でできていることができる。ゲル「マトリックス」成分は、キトサン(例えば本明細書に記載したような)を溶解し、粒状物をろ過し、そして溶液を1晩脱気させることによって、製造される。キトサン溶液を容器に移し、少なくとも1時間(-80℃)凍結させる。キトサン溶液が凍結される時間の長さは、スポンジの大きさに適合され得る(例えばより大きいスポンジのためにはより長い凍結時間)。凍結後、凍結試料を〜48時間凍結乾燥し、ガンマ線照射により滅菌する。凍結乾燥したスポンジは中和せず、接着性「ゲル」マトリックスとして使用する。「スポンジ」成分は、凍結乾燥したスポンジ(例えば本明細書に記載したような)を用いて製造される。凍結乾燥したスポンジを、水酸化ナトリウム溶液(種々の濃度のNaOHが使用できる)中に沈めることによって中和する。水和したスポンジを水で数回すすいだ後、少なくとも1時間(-80℃)再凍結させる。凍結したスポンジを再び36-48時間凍結乾燥する。凍結乾燥の持続時間は、凍結乾燥器およびスポンジの大きさに依存する。「2回」凍結乾燥したスポンジ試料を、ガンマ線照射により滅菌する。
【0123】
「ゲル中スポンジ(sponge-in-gel)」複合物を製造するために、「ゲルマトリックス」と「スポンジ」成分の組合せを粗く粉砕する(例えば標準のコーヒー挽き器で)。より細かい成分は、1回凍結乾燥したスポンジ片であり、より大きい成分は、2回凍結乾燥したスポンジ片である。1つの実施態様において、少なくとも約25-95%の複合物がヒドロゲル成分である。別の実施態様においては、少なくとも約5-75%の複合物がスポンジである。複合物は、必要とされる接着性および/または創傷の大きさに基づいて、注文に応じて変えられる。創傷が排膿しやすいか、または増加された表面積を有するなら、接着性の量の増加が望ましい。別の実施態様において、空洞創傷については、スポンジ材料の量の増加が望ましい。1回凍結乾燥したキトサンスポンジおよび2回凍結乾燥したキトサンスポンジ断片のこのブレンドされた混合物を次に、溶液(抗生物質、塩水、抗真菌剤等)で水和して、ペースト混合物を作る。得られたペーストは、より大きい、ゲル中に分散された「スポンジ」断片(2回凍結乾燥したスポンジ成分)を有する、結合「ゲル」マトリックス(1回凍結乾燥したスポンジ成分)を有する。「ゲル中スポンジ(sponge-in-gel)」複合物は、短時間で製造することができる。1つの実施態様において、ケアの場所で、ペーストを混合し、配送する。剤は、複合物が水和されるときに、組み込まれる。1つの実施態様において、複合物は、滅菌注射器によって外傷の部位に届けられる。
【0124】
有利には、複合物は、完全に空隙を満たすのに備え、創傷内のキトサン組成物の移動を防ぐ。これは、剤の外傷部位への局所的配送を容易にする。「ゲルマトリックス」は典型的には、複合物のスポンジ部分より大きい接着特性を有する。かくして、「ゲルマトリックス」の量は、患者の必要に基づき、増加もしくは減少することができる。1つの実施態様において、増加された量のゲルマトリックス(例えば約50%, 70%, 80%, 90%, 95%より大きい)を使用して、組織接着性を増加させる。別の実施態様において、増加された量のスポンジ断片(例えば約50%, 70%, 80%, 90%, 95%より大きい)は、時間にわたる剤の持続する溶出に備える。好ましくは複合物は、剤の2方式配送に備える。第1の相において、剤はゲルマトリックスから直ちに放出される。この第1の相の溶出は典型的には、時間(例えば1, 2, 3, 4, 5, 6 もしくは12 時間)または日(例えば1, 2, 3 日間)の経過にわたって生じる。2方式溶出の第2の相は、複合物のスポンジ部分からの剤の持続する放出を含む。この相は典型的には、数日または数週間の経過にわたって生じる。望ましくは、複合物は、複合物が分解する過程中剤の持続する溶出に備える。1つの実施態様において、複合物は、中和されないゲル部分を含む。別の実施態様において、複合物は、中和されたスポンジ部分を含む。
【0125】
スポンジ溶出試験
水和したスポンジを20mlの1xリン酸緩衝塩水(PBS)中に沈めることによって、スポンジを溶出試験に供し、研究期間中37℃のインキュベーター中に保持した。スポンジを、5mg/mlのアミカシンおよびバンコマイシンを装填した溶液10ml中で再水和させた。1, 3, 6, 24, 48, および72 時間に、1mlの部分標本を採取した。蛍光偏光イムノアッセイ法(TDx, Abbott Labs, Abbott Park, IL)を用いて、抗生物質濃度について、標本を試験した。
【0126】
抗生物質活性
標本の薬剤活性を、濁度アッセイを用いて試験した。この研究に、2種の異なる細菌株を使用した。バンコマイシン試料をスタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)に対して試験し、アミカシン試料をスタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)およびシュードモナス アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)の両方に対して試験した。200μlの各標本を、20μlのS. aureus接種物と合わせた1.8mlのMueller-Hinton II培養液に添加した。アミカシン試料(200μl)をまた、1.75mlのトリプチカーゼソイブロス(TSB)および50μlのP. aeruginosa接種物に添加した。試料を、37℃で24時間インキュベートした。インキュベーション後に、530nmの波長で、吸光度測定値を記録した(A530)。
【0127】
他の研究においては、濁度アッセイにおいて3重測定で、残存する抗生物質溶出試料を使用することによって、S. aureus (Cowan I 株)に対する抗生物質活性を決定した。この濁度の研究においては、抗生物質溶出物と一緒の細菌の十分なインキュベーション後の溶液の透明性は、抗生物質活性による細菌抑制を示した。
【0128】
3重測定にて、5mlのポリスチレン試験管中で、200μlのバンコマイシンおよびダプトマイシン溶出物を別々に、1.75mlのトリプシンソイブロス(TSB)および25μlのS. aureusを含む接種物に加えた。S. aureusも溶出物試料も含まないブランク、抗生物質溶出物なしでS. aureusを含む正の対照、ならびにS. aureusおよび高濃度の抗生物質標準の両方を含む負の対照を混合し、溶出物試料と一緒に37℃でインキュベートした。24時間のインキュベーション後、試験管をかき混ぜ、各接種物溶液の530nmでの吸光度を、分光光度計を用いて記録した。
【0129】
抗生物質の定量
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して、抗生物質、MP バイオメディカルズ(Biomedicals) (アーヴィン(Irvine), CA)からのバンコマイシンおよびキュビスト ファーマシューティカルズ(Cubist Pharmaceuticals) (レキシントン (Lexington), MA)からのダプトマイシンの取り込みおよび溶出を定量した。バリアン(Varian) (パロアルト(Palo Alto), CA) HPLC系は、ProStar 240 溶媒配送(Solvent Delivery), ProStar 410 自動サンプラー(Autosampler), およびProStar 325 UV- Vis 検出器モジュール(Detector modules)を含んでいた。モジュール制御およびデータ処理は、バリアンズ ギャラクシー クロマトグラフィー データ システム(Varian's Galaxie Chromatography Data System) (vl.8.508.1)を用いて行った。両方のHPLC分離法を、前調査から修正した。
【0130】
ダプトマイシンの定量のために、移動相は、リン酸を用いてpH3.25にされた、4mMのリン酸2水素アンモニウムを含むHPLC等級のアセトニトリルおよび水(62:38、体積/体積)溶液からなっていた。分離は、Varian Microsorb-MV C8 カラム、長さ150mm および内径4.6mm を用いて、流速l ml/分にて行った。. ダプトマイシンは、232nmにて検出され、保持時間は13.8分であった。ダプトマイシンの定量は、23.3±1.1℃の温度範囲で行った。
【0131】
バンコマイシンの定量のために、移動相は、リン酸を用いてpH4にされた、50mMのリン酸2水素アンモニウムを含むHPLC等級のアセトニトリルおよび水(92:8、体積/体積)溶液からなっていた。分離は、Varian Microsorb-MV C18 カラム、長さ150mm および内径4.6mm を用いて、流速l ml/分にて行った。. バンコマイシンは、208nmにて検出され、保持時間は24.4分であった。バンコマイシンの定量は、23.3±1.1℃の温度範囲で行った。
【0132】
膜溶出試験
1つのアプローチにおいては、試料を15mlのアミカシン溶液(5mg/ml)中に沈め、2分間水和させた。次に、膜を50mlの1xリン酸緩衝塩水(PBS)中に沈めることによって、試料を溶出試験に供し、研究期間中37℃のインキュベータ中で撹拌した。1mlの標本を、1, 3, 6, 24, 48, および72 時間に取った。蛍光偏光イムノアッセイ法(TDx, Abbott Labs, Abbott Park, IL)を用いて、抗生物質濃度について、標本を試験した。
【0133】
別のアプローチにおいては、3種の異なる脱アセチル化度を有する乳酸膜を、ダプトマイシン溶出について測定し、異なる脱アセチル化度を有する酢酸膜を、バンコマイシン溶出について試験した。溶出実験は、3重測定にて、3mg/mlの抗生物質でin situにて抗生物質を装填した直後に、膜を50mlのPBS中に沈めることによって行った。溶出の手順は、各時点でPBS溶液の更新を行わなかった。次に膜を37℃にてインキュベートし、0.5mlの標本を1, 3, 6, 12, 24, 48, および72時間に取った。溶出物試料の抗生物質濃度は、HPLCを用いて決定して、各膜/抗生物質の組合せについて、溶出プロフィールを得た。
【0134】
活性試験
標本の薬剤活性を、濁度アッセイを用いて試験した。試料は、シュードモナス アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)に対して試験した。試料(200μl)を、1.75mlのトリプチカーゼソイブロス(TSB)および50μlのP. aeruginosa接種物に加えた。試料を37℃にて24時間インキュベートした。分光光度計(BioTek)で530nmにて吸光度測定をした。
【0135】
膜の製造
3種のキトサン脱アセチル化度および2種の酸溶媒を用いて、6種のキトサン変更物を評価した。数61、71および80を使用して、%脱アセチル化度(DDA)を示した;酸溶媒である乳酸および酢酸は、それぞれLAおよびHAcと省略される。
【0136】
それぞれ124, 1480, および332mPas の粘度を有する、61、71および80%脱アセチル化度のPrimex ChitoClear (アイスランド(Iceland))キトサン粉末を使用して、膜を作った。24時間一定の撹拌下で、所望の変更物を1%(体積/体積)酢酸もしくは乳酸溶液に溶かすことによって、1.5%(重量/体積)のキトサン溶液を製造した。キトサン溶液から不溶性物質を除去するために、180μmのナイロンを通してろ過し、ガラス型に入れ、乾燥するまで60℃の対流式オーブンに移した。脱水した膜を取り除き、NaOH溶液中に入れた後、水中ですすぐことによって中和した。この中和された膜を25℃にて乾燥させた。別のアプローチにおいては、180μmのナイロンスクリーンを通してろ過したキトサン溶液を、20℃にて脱気させた。溶液を、約0.8ml/cm2にて平底のガラス皿に入れ、38℃の対流式オーブン中で24時間溶媒を蒸発させた。これによって、乾燥した膜が生成し、この膜を2Mの水酸化ナトリウムに約1秒間浸漬し、次いですすぎのために2Lの蒸留水/脱イオン水を膜上に注ぐことによって中和した。中和した膜を38℃の対流式オーブン中で12時間、大きい孔サイズのナイロンスクリーン上で乾燥した。
【0137】
別のアプローチにおいては、2.5グラムのキトサンを247.5mlの1(体積/体積)%のブレンドした酸溶媒(乳酸対酢酸75%/25%を含む)中に溶かした。混合物を、撹拌プレート上で最大可能な速度で4-6時間撹拌した。キトサン溶液をろ過して、未溶解キトサンを除去し、ろ液をピペットでガラスのペトリ皿上に入れ、これを37℃で18-20時間加熱した。乾燥した膜を取り除き、2.0MのNaOH溶液中で〜30-40秒間中和した。膜を蒸留水ですすぎ、すすぎの水がpHで中性になるまで、pH変化を監視した。再水和させた膜を次に、-80℃の冷凍庫で1時間凍結させた後、24時間凍結乾燥した。次に膜を、低線量のガンマ線照射(25-32 kGy)を用いて滅菌した。
【0138】
膜の取り込みの研究
各キトサン組成物が吸収することができる抗生物質溶液の量を決定するために、取込みの研究を行った。抗生物質の取り込みは、キトサン膜が抗生物質を吸収する能力を決定する。この研究は、各キトサン膜変更物が1分間の再水和中に吸収することができるバンコマイシンおよびダプトマイシンの両方の濃度を決定した。1mg/mlのバンコマイシンまたはダプトマイシンのリン酸緩衝塩水(PBS)溶液を作った。6回の繰り返しを用いて、公知重量の膜を、1分間、50mlの抗生物質溶液中に沈め、ここで、1分間は、有効な手術室用法の典型である。次に膜を抗生物質溶液中に30秒間沈め、取り除いた。残った溶液を、高速液体クロマトグラフィー(バリアン(Varian), CA)法を用いて試験して、抗生物質濃度を決定した。
【0139】
この抗微生物剤装填方法は、抗生物質が膜製造中にキトサン溶液中に組み込まれる、前-装填に対して、in situ装填として定義される。1分後、膜を除き、残った抗生物質溶液の試料をHPLCに使用して、その濃度を決定した。抗生物質の取り込みを、膜重量で標準化し、以下の関係を用いて決定した:抗生物質の取り込み=[(最初の抗生物質溶液濃度−最終的な抗生物質溶液濃度)x抗生物質溶液の体積](mg)/(キトサン膜重量)(mg)。
【0140】
膨張率
キトサン膜の膨張率を、ダプトマイシンおよびバンコマイシンの存在下および不在下の溶液中に1分間沈めた後に決定した。膨張率を定量するために、キトサン膜の最初の体積を、0〜150mmの範囲内での精度(caliper accurate)0.03mmの電子デジタルキャリパーを用いて決定した。最終体積は、抗生物質取込みの手順を行った直後に決定した。このデータは、1分後の膨張率が以下の関係を用いて決定されることを可能にした:膨張率(%)=(最終的な膜の体積−最初の膜の体積)/(最初の膜の体積)x100。
【0141】
吸収された抗生物質の量は、濃度の差を用いて決定した。膜体積の差を計算し、膨張率を与えるために、取込みの研究と同時に、膜寸法をデジタルキャリパーを用いて測定した。キトサン膜の膨張率は、膜が再水和するときの体積の増加を定量化した。
【0142】
最終的引張り強度、ヤング率
中和した膜を、Universal Materials Testing Machine (インストロン(Instron), ノーウッド(Norwood), MA)を用いて、引張り試験に供した。最終的引張り強度(UTS)およびヤング率は、乾燥/脱水キトサン膜変更物の強度および弾性を決定する。6回の繰り返しを用いて、膜変更物を、初期25mm-ゲージ長および175mm2面積を有するASTM E8引張り試験片へと打ち抜いた。脱水した膜の厚みは0.29 ± 0.6 mmであった。幾つかの分析において、ゲージ長および幅それぞれ12.7mmおよび3.5mmを有する試験片を、均質に切断した。インストロンズブルーヒル(Instron's Bluehill) 2 (v2.13)ソフトウェアによって自動化された 50Nの負荷セルを有するInstron 33R, モデル4465 (ノーウッド(Norwood), MA) Universal Testing Machineを用いて、脱水した膜の最終的引張り強度(UTS)およびヤング率を決定した。試験片の正確な寸法を制御する必要性のために、この試験は、脱水したキトサン膜試料を用いて行う必要があった。試験片を油圧グリップ中に確実に置き、1mm/分の速度で張力を試験し、データは、200msの間隔で記録した。試験装置のソフトウェアは、UTS、ヤング率および破断点%伸びを出力するように設定された。
【0143】
接着強度
接着強度の測定は、修正されたASTM規格(D5179-02)を用いて、湿潤/再水和されたキトサン膜の移植片等級の合金固定具(316Lステンレス鋼(ASTM F138)または6-4チタン(ASTM F136)のいずれか)への接着強度を調べる。これらの固定具は、移植片合金を引き離すのに必要とされる力を測定するUniversal Testing Machineによりつかまれていた。全ての実験は、n≧5にて行った。
【0144】
接着強度を測定するために、全てのキトサン膜変更物からの6個の試験片複製を、最小の38x38mmの正方形に切断した。in situ装填の手順をシミュレートするために、膜を次に50mlのPBS溶液中に1分間沈め、その後、直径35.1mmを有する円筒形固定具の間に置いて、接着試験を容易にした。接着試験は、1つの集団内で行うために、ASTM D5179-02を規範にした。両方のInstron Universal Testing Machine油圧グリップを作って、316L SS (ASTM F138) またはTi (Ti-6A1-4V, ASTM 136)合金固定具を保持した(図12)。互いに向いた機械的固定具表面は、特別仕上げによって、粗さ、Ra値0.025μmまで滑らかにした。試験円筒に特別仕上げを使用して、比較試験を提供したが、典型的移植片表面を模写するものではない。再水和したキトサン膜を、自動加圧前-負荷15Nを用いて2つの機械的固定具間に挟んだ。前-負荷力に達した直後に、可動性クロスヘッドを、50mm/分で逆向きにし、30ミリ秒の間隔でデータを記録した。膜厚は、0.18 ± 0.8 mmで変化し、ソフトウェアは最大力(N)でのデータ出力を与え、これを接着力(kPa)に換算した。α=0.05を用いてターキーの(Tukey's) HSD統計分析を行って、膜変更物間の統計的差異を決定した。
【0145】
キトサン分解
修正した手順(トミハタ(Tomihata)およびイケダ(Ikada), 1997)を使用して、キトサン分解への抗生物質の影響を定量した。in situ装填した、または装填しないキトサン膜群-さらなる非装填群と共に抗生物質の溶出および活性の実験において使用した同じ群は、それぞれ5個の複製を有する全部で12個の試験されるべき実験群を生じた-を分解試験に供した。きれいな直径90mmのペトリ皿および脱水したキトサン膜の重量を確立した。in situ装填のための印をつけた膜を、50mlの標準の抗生物質溶液に沈めた後、全ての膜を25mlの100μg/ml 2X結晶化した鶏卵白色リゾチーム(MP バイオメディカルズ(Biomedicals)) PBS溶液中に沈めた。試料を、対流式インキュベータ中で37℃にて20時間インキュベートした。インキュベーション時間後、リゾチーム溶液を除き、対流式オーブンにて同じ方法を用いて膜を脱水した。リゾチーム/PBS溶液を交換し、全部で100時間の間、20時間毎に膜重量を測定した。新しい膜重量を測定し、これは、分解を、残った膜の百分率として表すことができるようにした。残った膜の百分率は、以下の関係を用いて決定した:パーセント残存(%)=(ペトリ皿およびx時間での膜重量−ペトリ皿重量)(mg)/(ペトリ皿および最初の膜重量−ペトリ皿重量)(mg)x100。
【0146】
統計的分析
データは、平均±標準偏差として報告される。1方向ANOVAを使用して、統計的に有意の差について分析した。統計的に有意の差が見出されたなら、それぞれの変更物の対を、スチューデントt検定(Student t-test)を用いて比較した。キトサン膜変更物間の差を、スチューデントt検定(Student t-test)を用いて決定した。2方向ANOVAを使用して、DDAおよび酸溶媒に依存しない変更物間の差を同定した。分析は、JMP 7.0.1 (カリー(Cary), ND)を用いて行った。統計的有意性は、p<0.05のときに生じ、*またはfによって示される。
【0147】
他の実施態様
先の説明から、本明細書に記載される本発明に対して変形および変更を行って、それを種々の用法および状態に対して採用することができることが明らかである。そのような実施態様はまた、以下の特許請求の範囲内にある。
本明細書における可変性のものの定義における要素の列挙の詳述は、挙げられた要素の任意の単一の要素または組合せ(またはサブコンビネーション)としてその可変性のものの定義を包含する。本明細書における実施態様の詳述は、任意の単一の実施態様として、または任意の他の実施態様もしくはその一部との組合せとして、その実施態様を包含する。
本明細書において言及された全ての特許および刊行物は、もしそれぞれの独立する特許および刊行物が詳細にかつ独立して示されて、引用することによって組み入れられるなら、引用することによって、同じ範囲まで本明細書に組み入れられる。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A−3B】
【図3C−3D】
【図4A−4B】
【図4C−4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の生物分解プロフィールを有する生物分解性キトサン組成物を製造する方法であって、
(a) 少なくとも約51%の均一な脱アセチル化度を有するキトサンを、溶媒中1種以上の酸中に溶解し、酸および溶媒は、in vivoで少なくとも約1、2、3、4もしくは5日間にわたって生物分解するキトサンを生じるように選択されること;ならびに
(b) 水分含量を約10%-100%だけ減らす条件下で、キトサンを所望の形状に作り上げること
を含む方法。
【請求項2】
所望の生物分解プロフィールを有する生物分解性キトサン組成物を製造する方法であって、
(a) 少なくとも約51%の均一な脱アセチル化度を有するキトサンを、溶媒中1種以上の酸中に溶解し、酸および溶媒は、in vivoで少なくとも約1、2、3、4もしくは5日間にわたって生物分解するキトサンを生じるように選択されること;ならびに
(b) 水分含量を約10%-100%だけ減らす条件下で、キトサンを所望の形状に作り上げること;ならびに
(c) 組成物を水、中性溶液または塩基性溶液と接触させることによって、キトサン組成物を中和し、水、中性溶液または塩基性溶液は、キトサンの物理的-機械的性質を調節し、それによって生物分解性キトサン組成物を生成するように選択されること
を含む方法。
【請求項3】
(d) ケアの場所で、有効量の少なくとも1種の剤をキトサン組成物に組み込むことをさらに含む請求項1または2のいずれか1項記載の方法。
【請求項4】
キトサン組成物の生物分解プロフィール、溶出プロフィール、および/または物理的-機械的性質を注文に合わせて変えるように、キトサンの脱アセチル化度、重量百分率、中和溶液、溶媒の構成、および/または結晶化度が変えられる請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
ケアの場所で臨床医によって選択される剤を含む生物分解性キトサン組成物を製造する方法であって、
(a) 少なくとも約51%の均一な脱アセチル化度を有するキトサンを、溶媒中1種以上の酸中に溶解し、酸および溶媒は、in vivoで少なくとも約1、2、3、4もしくは5日間にわたって生物分解するキトサンを生じるように選択されること;
(b) 水分含量を約10%-100%だけ減らす条件下で、キトサンを所望の形状に作り上げること;
(c) 組成物を水、中性溶液または塩基性溶液と接触させることによって、キトサン組成物を中和し、水、中性溶液または塩基性溶液は、キトサンの物理的-機械的性質を調節し、それによって生物分解性キトサン組成物を生成するように選択されること;
(d) 剤を選択すること;ならびに
(e) ケアの場所で、有効量の剤を組成物に組み込むこと
を含む方法。
【請求項6】
方法がex vivoである請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
物理的-機械的性質が、引張り強度、ヤング率、膨張率、分解およびそれらの組合せからなる群より選択される請求項2〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
キトサン組成物が創傷管理装置である請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
剤が抗微生物剤である請求項8記載の方法。
【請求項10】
抗微生物剤が、外傷の原因に基づき選択される請求項8記載の方法。
【請求項11】
型中でキトサンを凍結させ、キトサンを凍結乾燥してスポンジを形成することによって、所望の形状が得られる請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
キトサンを薄層状に注ぎ、キトサンを加熱して脱水キトサン膜を作ることによって、所望の形状が得られる請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
キトサンが、酢酸、クエン酸、シュウ酸、プロピオン酸、アスコルビン酸、塩酸、蟻酸、サリチル酸および乳酸からなる群より選択される酸で処理されている請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
酸溶媒が、乳酸および/または酢酸を含む請求項13記載の方法。
【請求項15】
酸溶媒が、1-99%乳酸および/または酢酸を含む請求項13記載の方法。
【請求項16】
酸溶媒が、75%の乳酸および25%の酢酸のブレンドを含む1%酸溶液である請求項15記載の方法。
【請求項17】
キトサンが、少なくとも約61、71または80%である均一な脱アセチル化度を有する請求項15記載の方法。
【請求項18】
(c) キトサン組成物を、水、中性溶液または塩基性溶液と接触させることによって、キトサン組成物を中和することをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項19】
(d) 水分含量を少なくとも約10%だけ減らすことをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項20】
キトサン組成物が、患者に移植されたとき、少なくとも約3〜5日間にわたって生物分解する請求項1記載の方法。
【請求項21】
キトサン組成物が成形されて、栓、メッシュ、片、縫合糸、外傷用手当て材料、スポンジまたは膜を形成する請求項1〜12のいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか1項記載の方法によって製造されるキトサン組成物。
【請求項23】
請求項1〜21のいずれか1項記載の方法によって製造されるキトサン組成物を含む創傷管理装置。
【請求項24】
少なくとも約51%の均一な脱アセチル化度を有し、水分含量が約0-90%であるキトサンおよびケアの場所で選択される有効量の剤を含むか、または本質的にそれから成る、in vivoで1-35日間内に分解する、酸処理されたキトサン組成物。
【請求項25】
剤が、抗菌剤、抗ウィルス剤および抗真菌剤からなる群より選択される抗微生物剤である請求項24記載のキトサン組成物。
【請求項26】
キトサン組成物が、少なくとも約1、2、3、4または5日間にわたって生物分解性である請求項24記載のキトサン組成物。
【請求項27】
キトサン組成物が、酢酸、クエン酸、シュウ酸、プロピオン酸、アスコルビン酸、塩酸、蟻酸、サリチル酸および乳酸からなる群より選択される酸で処理される請求項24記載のキトサン組成物。
【請求項28】
キトサンが、乳酸または酢酸で処理される請求項27記載のキトサン組成物。
【請求項29】
剤の有効量が、細菌細胞の生存または増殖を低下させるのに十分である請求項24記載のキトサン組成物。
【請求項30】
剤が、ダプトマイシン、バンコマイシンおよびアミカシンからなる群より選択される抗生物質である請求項24記載のキトサン組成物。
【請求項31】
組成物が、キトサン1グラム当たり約1μg-500mgの抗生物質を含む請求項24記載のキトサン組成物。
【請求項32】
組成物が、1時間当たり少なくとも約1μg〜1mgの抗生物質を放出する請求項24記載のキトサン組成物。
【請求項33】
キトサンの脱アセチル化度が少なくとも約61、71または80%である請求項24記載のキトサン組成物。
【請求項34】
組成物が、乳酸または酢酸で処理された80%脱アセチル化度のキトサンである請求項24記載のキトサン組成物。
【請求項35】
キトサン組成物の生物分解プロフィール、溶出プロフィール、および/または物理的-機械的性質を注文に合わせて変えるように、キトサンの脱アセチル化度、重量百分率、中和溶液、溶媒の構成、および/または結晶化度が変えられる請求項24記載のキトサン組成物。
【請求項36】
物理的-機械的性質が、引張り強度、ヤング率、膨張率、分解およびそれらの組合せからなる群より選択される請求項35記載のキトサン組成物。
【請求項37】
組成物の分解および溶出速度を注文に合わせて変えるように、酸が変えられる請求項24記載のキトサン組成物。
【請求項38】
1-35日間内に分解する酸処理されたキトサン組成物を含む創傷管理装置であって、該組成物が、少なくとも約51%の均一な脱アセチル化度を有し、水分含量が約0-90%であるキトサンおよび有効量の剤を含むか、または本質的にそれから成る、創傷管理装置。
【請求項39】
キトサン組成物が、膜、ヒドロゲル、メッシュ、栓、片、スポンジ、縫合糸、外傷用手当て材料またはそれらの組合せの形態である請求項38記載の創傷管理装置。
【請求項40】
剤が、抗微生物剤、増殖因子、抗炎症薬、止血剤および抗血栓症薬からなる群より選択される請求項38記載の創傷管理装置。
【請求項41】
抗微生物剤が、抗菌剤、抗ウィルス剤および抗真菌剤からなる群より選択される請求項40記載の創傷管理装置。
【請求項42】
抗菌剤が、ダプトマイシン、バンコマイシンおよびアミカシンからなる群より選択される請求項41記載の創傷管理装置。
【請求項43】
キトサン組成物が、少なくとも約1、2、3、4または5日間にわたって生物分解性である請求項38記載の創傷管理装置。
【請求項44】
キトサンが、酢酸、クエン酸、シュウ酸、プロピオン酸、アスコルビン酸、塩酸、蟻酸、サリチル酸および乳酸からなる群より選択される酸で処理される請求項38記載の創傷管理装置。
【請求項45】
キトサンが、乳酸、酢酸またはそれら2種の組合せで処理される請求項38記載の創傷管理装置。
【請求項46】
剤の有効量が、細菌細胞の生存または増殖を低下させるのに十分である請求項38記載の創傷管理装置。
【請求項47】
細菌細胞が、シュードモナス アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa) (lux) またはスタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)である請求項40記載の創傷管理装置。
【請求項48】
脱アセチル化度が少なくとも約61、71または80%である請求項38記載の創傷管理装置。
【請求項49】
組成物の分解および溶出速度を注文に合わせて変えるように、キトサンのパーセント脱アセチル化または重量百分率が変えられる請求項38記載の創傷管理装置。
【請求項50】
キトサン組成物の生物分解プロフィール、溶出プロフィール、および/または物理的-機械的性質を注文に合わせて変えるように、キトサンの脱アセチル化度、中和溶液、溶媒の構成およびキトサンの重量百分率、および/またはキトサン組成物の結晶化度が変えられる請求項38記載の創傷管理装置。
【請求項51】
物理的-機械的性質が、引張り強度、ヤング率、膨張率、分解およびそれらの組合せからなる群より選択される請求項50記載の創傷管理装置。
【請求項52】
組成物の分解および溶出速度を注文に合わせて変えるように、酸が変えられる請求項38記載の創傷管理装置。
【請求項53】
組成物の分解および溶出速度を注文に合わせて変えるように、酸が変えられる請求項38記載の創傷管理装置。
【請求項54】
治療の場所で臨床医によって、組成物が剤をあつらえ装填される請求項38記載の創傷管理装置。
【請求項55】
装置が、剤の長期間の放出に備える請求項38記載の創傷管理装置。
【請求項56】
装置が、0.175または0.5 M NaOHを用いて中和される61DDAもしくは71DDAキトサンを含む請求項54記載の創傷管理装置。
【請求項57】
該キトサン組成物が、キトサンゲル中にキトサンスポンジを含み、該キトサンは、少なくとも約51%の均一な脱アセチル化度を有する請求項38記載の創傷管理装置。
【請求項58】
外傷の部位で患者における感染を治療または予防するための方法であって、その部位を、請求項19および21-31のいずれか1項に従って製造されるキトサン組成物ならびにケアの場所で選択される有効量の少なくとも1種の剤を含むかまたはそれから本質的に成る創傷管理装置と接触させることを含む方法。
【請求項59】
外傷の部位を灌注し、かつ創傷清浄化することをさらに含む請求項58記載の方法。
【請求項60】
剤が、抗微生物剤、増殖因子、抗炎症薬、止血剤および抗血栓症薬からなる群より選択される請求項58記載の方法。
【請求項61】
抗微生物剤が、バンコマイシン、アミカシンまたはダプトマイシンである請求項58記載の方法。
【請求項62】
外傷が、骨折、開放骨折、創傷、複合創傷および手術部位から成る群より選択される請求項58記載の方法。
【請求項63】
キトサンの脱アセチル化度が、約61%、71%または80%である請求項58記載の方法。
【請求項64】
外傷の部位で細菌の生存または増殖を低下させる請求項58記載の方法。
【請求項65】
未治療の対照部位に比べて、キトサン組成物との接触後72時間で少なくとも約20-100%だけその部位に存在する細菌を減らす請求項58記載の方法。
【請求項66】
創傷回復装置が、栓、メッシュ、片、縫合糸、外傷用手当て材料、スポンジ、膜およびそれらの組合せから成る群より選択される請求項58記載の方法。
【請求項67】
キトサン組成物が、治療の場所で剤を装填される請求項58記載の方法。
【請求項68】
外傷の部位で患者における感染を治療または予防するための方法であって、その部位を、少なくとも約61%の均一な脱アセチル化度を有する酸処理されたキトサン組成物およびケアの場所で選択される有効量の少なくとも1種の剤を含む創傷管理装置と接触させることを含む方法。
【請求項69】
治療の場所が、手術室、診療所、医師の診察室または他の臨床環境にある請求項68記載の方法。
【請求項70】
外傷の部位に剤を局所的に届けるための方法であって、その部位を、ケアの場所で選択される剤を含むキトサン組成物と接触させ、それによって剤をその部位に届けることを含む方法。
【請求項71】
剤が、抗微生物剤、増殖因子、抗炎症薬、凝血促進剤および抗血栓症薬からなる群より選択される請求項70記載の方法。
【請求項72】
キトサン組成物が、12-72時間で約1μg-500mgの剤を放出する請求項1〜71のいずれか1項記載の方法。
【請求項73】
キトサン組成物が、スポンジ1cm3当たり約1μg-500mgの剤を放出する請求項1〜71のいずれか1項記載の方法。
【請求項74】
キトサン組成物が、約24時間で約15-40mgを放出する請求項1〜71のいずれか1項記載の方法。
【請求項75】
キトサン組成物が、約24時間で約20mgの剤を放出する請求項1〜71のいずれか1項記載の方法。
【請求項76】
1時間、24時間または72時間で、少なくとも約10-1000μgの剤が装置から溶出される請求項72記載の方法。
【請求項77】
少なくとも約51%の均一な脱アセチル化度を有する酸処理されたキトサン組成物を含み、かつ有効量の剤をさらに含む、移植のための医療装置。
【請求項78】
キトサン組成物が、装置に接着する膜である請求項77記載の医療装置。
【請求項79】
装置が、チタンもしくはステンレス鋼を含む請求項77記載の医療装置。
【請求項80】
医療装置が補綴装置である請求項77記載の医療装置。
【請求項81】
外傷部位を治療するか、または剤を配送するのに使用するための、請求項22または24-36のいずれか1項記載のキトサン組成物を含むキット。
【請求項82】
キトサン組成物が、創傷管理装置または移植のための医療装置に存在する請求項81記載のキット。
【請求項83】
キトサン組成物が、栓、メッシュ、片、縫合糸、外傷用手当て材料、スポンジ、膜、ヒドロゲルまたはそれらの組合せの形態である請求項81記載のキット。
【請求項84】
キトサン組成物が、抗微生物剤、増殖因子、抗炎症薬、凝血促進剤および抗血栓症薬から成る群より選択される剤を含む請求項81記載のキット。
【請求項1】
所望の生物分解プロフィールを有する生物分解性キトサン組成物を製造する方法であって、
(a) 少なくとも約51%の均一な脱アセチル化度を有するキトサンを、溶媒中1種以上の酸中に溶解し、酸および溶媒は、in vivoで少なくとも約1、2、3、4もしくは5日間にわたって生物分解するキトサンを生じるように選択されること;ならびに
(b) 水分含量を約10%-100%だけ減らす条件下で、キトサンを所望の形状に作り上げること
を含む方法。
【請求項2】
所望の生物分解プロフィールを有する生物分解性キトサン組成物を製造する方法であって、
(a) 少なくとも約51%の均一な脱アセチル化度を有するキトサンを、溶媒中1種以上の酸中に溶解し、酸および溶媒は、in vivoで少なくとも約1、2、3、4もしくは5日間にわたって生物分解するキトサンを生じるように選択されること;ならびに
(b) 水分含量を約10%-100%だけ減らす条件下で、キトサンを所望の形状に作り上げること;ならびに
(c) 組成物を水、中性溶液または塩基性溶液と接触させることによって、キトサン組成物を中和し、水、中性溶液または塩基性溶液は、キトサンの物理的-機械的性質を調節し、それによって生物分解性キトサン組成物を生成するように選択されること
を含む方法。
【請求項3】
(d) ケアの場所で、有効量の少なくとも1種の剤をキトサン組成物に組み込むことをさらに含む請求項1または2のいずれか1項記載の方法。
【請求項4】
キトサン組成物の生物分解プロフィール、溶出プロフィール、および/または物理的-機械的性質を注文に合わせて変えるように、キトサンの脱アセチル化度、重量百分率、中和溶液、溶媒の構成、および/または結晶化度が変えられる請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
ケアの場所で臨床医によって選択される剤を含む生物分解性キトサン組成物を製造する方法であって、
(a) 少なくとも約51%の均一な脱アセチル化度を有するキトサンを、溶媒中1種以上の酸中に溶解し、酸および溶媒は、in vivoで少なくとも約1、2、3、4もしくは5日間にわたって生物分解するキトサンを生じるように選択されること;
(b) 水分含量を約10%-100%だけ減らす条件下で、キトサンを所望の形状に作り上げること;
(c) 組成物を水、中性溶液または塩基性溶液と接触させることによって、キトサン組成物を中和し、水、中性溶液または塩基性溶液は、キトサンの物理的-機械的性質を調節し、それによって生物分解性キトサン組成物を生成するように選択されること;
(d) 剤を選択すること;ならびに
(e) ケアの場所で、有効量の剤を組成物に組み込むこと
を含む方法。
【請求項6】
方法がex vivoである請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
物理的-機械的性質が、引張り強度、ヤング率、膨張率、分解およびそれらの組合せからなる群より選択される請求項2〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
キトサン組成物が創傷管理装置である請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
剤が抗微生物剤である請求項8記載の方法。
【請求項10】
抗微生物剤が、外傷の原因に基づき選択される請求項8記載の方法。
【請求項11】
型中でキトサンを凍結させ、キトサンを凍結乾燥してスポンジを形成することによって、所望の形状が得られる請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
キトサンを薄層状に注ぎ、キトサンを加熱して脱水キトサン膜を作ることによって、所望の形状が得られる請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
キトサンが、酢酸、クエン酸、シュウ酸、プロピオン酸、アスコルビン酸、塩酸、蟻酸、サリチル酸および乳酸からなる群より選択される酸で処理されている請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
酸溶媒が、乳酸および/または酢酸を含む請求項13記載の方法。
【請求項15】
酸溶媒が、1-99%乳酸および/または酢酸を含む請求項13記載の方法。
【請求項16】
酸溶媒が、75%の乳酸および25%の酢酸のブレンドを含む1%酸溶液である請求項15記載の方法。
【請求項17】
キトサンが、少なくとも約61、71または80%である均一な脱アセチル化度を有する請求項15記載の方法。
【請求項18】
(c) キトサン組成物を、水、中性溶液または塩基性溶液と接触させることによって、キトサン組成物を中和することをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項19】
(d) 水分含量を少なくとも約10%だけ減らすことをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項20】
キトサン組成物が、患者に移植されたとき、少なくとも約3〜5日間にわたって生物分解する請求項1記載の方法。
【請求項21】
キトサン組成物が成形されて、栓、メッシュ、片、縫合糸、外傷用手当て材料、スポンジまたは膜を形成する請求項1〜12のいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか1項記載の方法によって製造されるキトサン組成物。
【請求項23】
請求項1〜21のいずれか1項記載の方法によって製造されるキトサン組成物を含む創傷管理装置。
【請求項24】
少なくとも約51%の均一な脱アセチル化度を有し、水分含量が約0-90%であるキトサンおよびケアの場所で選択される有効量の剤を含むか、または本質的にそれから成る、in vivoで1-35日間内に分解する、酸処理されたキトサン組成物。
【請求項25】
剤が、抗菌剤、抗ウィルス剤および抗真菌剤からなる群より選択される抗微生物剤である請求項24記載のキトサン組成物。
【請求項26】
キトサン組成物が、少なくとも約1、2、3、4または5日間にわたって生物分解性である請求項24記載のキトサン組成物。
【請求項27】
キトサン組成物が、酢酸、クエン酸、シュウ酸、プロピオン酸、アスコルビン酸、塩酸、蟻酸、サリチル酸および乳酸からなる群より選択される酸で処理される請求項24記載のキトサン組成物。
【請求項28】
キトサンが、乳酸または酢酸で処理される請求項27記載のキトサン組成物。
【請求項29】
剤の有効量が、細菌細胞の生存または増殖を低下させるのに十分である請求項24記載のキトサン組成物。
【請求項30】
剤が、ダプトマイシン、バンコマイシンおよびアミカシンからなる群より選択される抗生物質である請求項24記載のキトサン組成物。
【請求項31】
組成物が、キトサン1グラム当たり約1μg-500mgの抗生物質を含む請求項24記載のキトサン組成物。
【請求項32】
組成物が、1時間当たり少なくとも約1μg〜1mgの抗生物質を放出する請求項24記載のキトサン組成物。
【請求項33】
キトサンの脱アセチル化度が少なくとも約61、71または80%である請求項24記載のキトサン組成物。
【請求項34】
組成物が、乳酸または酢酸で処理された80%脱アセチル化度のキトサンである請求項24記載のキトサン組成物。
【請求項35】
キトサン組成物の生物分解プロフィール、溶出プロフィール、および/または物理的-機械的性質を注文に合わせて変えるように、キトサンの脱アセチル化度、重量百分率、中和溶液、溶媒の構成、および/または結晶化度が変えられる請求項24記載のキトサン組成物。
【請求項36】
物理的-機械的性質が、引張り強度、ヤング率、膨張率、分解およびそれらの組合せからなる群より選択される請求項35記載のキトサン組成物。
【請求項37】
組成物の分解および溶出速度を注文に合わせて変えるように、酸が変えられる請求項24記載のキトサン組成物。
【請求項38】
1-35日間内に分解する酸処理されたキトサン組成物を含む創傷管理装置であって、該組成物が、少なくとも約51%の均一な脱アセチル化度を有し、水分含量が約0-90%であるキトサンおよび有効量の剤を含むか、または本質的にそれから成る、創傷管理装置。
【請求項39】
キトサン組成物が、膜、ヒドロゲル、メッシュ、栓、片、スポンジ、縫合糸、外傷用手当て材料またはそれらの組合せの形態である請求項38記載の創傷管理装置。
【請求項40】
剤が、抗微生物剤、増殖因子、抗炎症薬、止血剤および抗血栓症薬からなる群より選択される請求項38記載の創傷管理装置。
【請求項41】
抗微生物剤が、抗菌剤、抗ウィルス剤および抗真菌剤からなる群より選択される請求項40記載の創傷管理装置。
【請求項42】
抗菌剤が、ダプトマイシン、バンコマイシンおよびアミカシンからなる群より選択される請求項41記載の創傷管理装置。
【請求項43】
キトサン組成物が、少なくとも約1、2、3、4または5日間にわたって生物分解性である請求項38記載の創傷管理装置。
【請求項44】
キトサンが、酢酸、クエン酸、シュウ酸、プロピオン酸、アスコルビン酸、塩酸、蟻酸、サリチル酸および乳酸からなる群より選択される酸で処理される請求項38記載の創傷管理装置。
【請求項45】
キトサンが、乳酸、酢酸またはそれら2種の組合せで処理される請求項38記載の創傷管理装置。
【請求項46】
剤の有効量が、細菌細胞の生存または増殖を低下させるのに十分である請求項38記載の創傷管理装置。
【請求項47】
細菌細胞が、シュードモナス アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa) (lux) またはスタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)である請求項40記載の創傷管理装置。
【請求項48】
脱アセチル化度が少なくとも約61、71または80%である請求項38記載の創傷管理装置。
【請求項49】
組成物の分解および溶出速度を注文に合わせて変えるように、キトサンのパーセント脱アセチル化または重量百分率が変えられる請求項38記載の創傷管理装置。
【請求項50】
キトサン組成物の生物分解プロフィール、溶出プロフィール、および/または物理的-機械的性質を注文に合わせて変えるように、キトサンの脱アセチル化度、中和溶液、溶媒の構成およびキトサンの重量百分率、および/またはキトサン組成物の結晶化度が変えられる請求項38記載の創傷管理装置。
【請求項51】
物理的-機械的性質が、引張り強度、ヤング率、膨張率、分解およびそれらの組合せからなる群より選択される請求項50記載の創傷管理装置。
【請求項52】
組成物の分解および溶出速度を注文に合わせて変えるように、酸が変えられる請求項38記載の創傷管理装置。
【請求項53】
組成物の分解および溶出速度を注文に合わせて変えるように、酸が変えられる請求項38記載の創傷管理装置。
【請求項54】
治療の場所で臨床医によって、組成物が剤をあつらえ装填される請求項38記載の創傷管理装置。
【請求項55】
装置が、剤の長期間の放出に備える請求項38記載の創傷管理装置。
【請求項56】
装置が、0.175または0.5 M NaOHを用いて中和される61DDAもしくは71DDAキトサンを含む請求項54記載の創傷管理装置。
【請求項57】
該キトサン組成物が、キトサンゲル中にキトサンスポンジを含み、該キトサンは、少なくとも約51%の均一な脱アセチル化度を有する請求項38記載の創傷管理装置。
【請求項58】
外傷の部位で患者における感染を治療または予防するための方法であって、その部位を、請求項19および21-31のいずれか1項に従って製造されるキトサン組成物ならびにケアの場所で選択される有効量の少なくとも1種の剤を含むかまたはそれから本質的に成る創傷管理装置と接触させることを含む方法。
【請求項59】
外傷の部位を灌注し、かつ創傷清浄化することをさらに含む請求項58記載の方法。
【請求項60】
剤が、抗微生物剤、増殖因子、抗炎症薬、止血剤および抗血栓症薬からなる群より選択される請求項58記載の方法。
【請求項61】
抗微生物剤が、バンコマイシン、アミカシンまたはダプトマイシンである請求項58記載の方法。
【請求項62】
外傷が、骨折、開放骨折、創傷、複合創傷および手術部位から成る群より選択される請求項58記載の方法。
【請求項63】
キトサンの脱アセチル化度が、約61%、71%または80%である請求項58記載の方法。
【請求項64】
外傷の部位で細菌の生存または増殖を低下させる請求項58記載の方法。
【請求項65】
未治療の対照部位に比べて、キトサン組成物との接触後72時間で少なくとも約20-100%だけその部位に存在する細菌を減らす請求項58記載の方法。
【請求項66】
創傷回復装置が、栓、メッシュ、片、縫合糸、外傷用手当て材料、スポンジ、膜およびそれらの組合せから成る群より選択される請求項58記載の方法。
【請求項67】
キトサン組成物が、治療の場所で剤を装填される請求項58記載の方法。
【請求項68】
外傷の部位で患者における感染を治療または予防するための方法であって、その部位を、少なくとも約61%の均一な脱アセチル化度を有する酸処理されたキトサン組成物およびケアの場所で選択される有効量の少なくとも1種の剤を含む創傷管理装置と接触させることを含む方法。
【請求項69】
治療の場所が、手術室、診療所、医師の診察室または他の臨床環境にある請求項68記載の方法。
【請求項70】
外傷の部位に剤を局所的に届けるための方法であって、その部位を、ケアの場所で選択される剤を含むキトサン組成物と接触させ、それによって剤をその部位に届けることを含む方法。
【請求項71】
剤が、抗微生物剤、増殖因子、抗炎症薬、凝血促進剤および抗血栓症薬からなる群より選択される請求項70記載の方法。
【請求項72】
キトサン組成物が、12-72時間で約1μg-500mgの剤を放出する請求項1〜71のいずれか1項記載の方法。
【請求項73】
キトサン組成物が、スポンジ1cm3当たり約1μg-500mgの剤を放出する請求項1〜71のいずれか1項記載の方法。
【請求項74】
キトサン組成物が、約24時間で約15-40mgを放出する請求項1〜71のいずれか1項記載の方法。
【請求項75】
キトサン組成物が、約24時間で約20mgの剤を放出する請求項1〜71のいずれか1項記載の方法。
【請求項76】
1時間、24時間または72時間で、少なくとも約10-1000μgの剤が装置から溶出される請求項72記載の方法。
【請求項77】
少なくとも約51%の均一な脱アセチル化度を有する酸処理されたキトサン組成物を含み、かつ有効量の剤をさらに含む、移植のための医療装置。
【請求項78】
キトサン組成物が、装置に接着する膜である請求項77記載の医療装置。
【請求項79】
装置が、チタンもしくはステンレス鋼を含む請求項77記載の医療装置。
【請求項80】
医療装置が補綴装置である請求項77記載の医療装置。
【請求項81】
外傷部位を治療するか、または剤を配送するのに使用するための、請求項22または24-36のいずれか1項記載のキトサン組成物を含むキット。
【請求項82】
キトサン組成物が、創傷管理装置または移植のための医療装置に存在する請求項81記載のキット。
【請求項83】
キトサン組成物が、栓、メッシュ、片、縫合糸、外傷用手当て材料、スポンジ、膜、ヒドロゲルまたはそれらの組合せの形態である請求項81記載のキット。
【請求項84】
キトサン組成物が、抗微生物剤、増殖因子、抗炎症薬、凝血促進剤および抗血栓症薬から成る群より選択される剤を含む請求項81記載のキット。
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図22】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図22】
【公表番号】特表2012−520740(P2012−520740A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500887(P2012−500887)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/027481
【国際公開番号】WO2010/107794
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(511225387)ユニバーシティー オブ メンフィス リサーチ ファウンデーション (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/027481
【国際公開番号】WO2010/107794
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(511225387)ユニバーシティー オブ メンフィス リサーチ ファウンデーション (1)
【Fターム(参考)】
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