説明

傾斜したスティフナー、傾斜したスティフナーを形成するための装置及び方法

丸みを帯びた肩部を有するC字形断面部品を形成するための金型(30)が、丸みを帯びた凸状部分各々によって反対向きの平面状端面に接続される円筒外面を有する円筒体(36)を有する内型(32)と、丸みを帯びた凹状部分(48、50)各々によって対向する端フランジ(46)に接続される円筒中心部分(44)を有する外型(34)とを具備し、ここで、内型の一部分が、形成されるべきC字形断面部品の所望の断面に対応する空洞部を画定するために外型の端フランジ(46)間に配置され且つ端フランジから離間されるように構成され、丸みを帯びた凸状部分及び丸みを帯びた凹状部分が、内型及び外型各々の外周回りで変化する曲率半径を有し、丸みを帯びた凸状部分及び丸みを帯びた凹状部分の、内型及び外型が互いに近接している箇所の曲率半径が、内型及び外型が回転されるとき、変化するように内型及び外型が回転可能である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
複合材構造の製造において、例えば航空宇宙産業において、スキンを強化すべく構造部材が複合材スキンに取り付けられることが多い。斯かる構造部材は、ストリンガーまたはスティフナーと称されることが多い、十分に細長い補強部材を含むことができる。航空宇宙産業におけるスティフナーの使用の典型的な例は、複合材のストリンガーがウイングカバーまたはウイングスキンの内面に取り付けられる航空機の翼の構成においてである。ストリンガーまたはスティフナーは、様々な断面形状を示すように形成されうるが、典型的には、T字形断面に形成される。典型的には、T字形断面のスティフナーは平ら且つ未硬化の予め含侵された複合材積層体から生産され、複合材積層体はL字形断面に形成され、その後、L字形断面は、生産する所望のT字形断面に背中合わせで圧縮される。これにより、平らな複合材スキンに容易に取り付けられるT字形断面のスティフナーが生産される。しかしながら、要望通りにスキンの強度を局所的に変化させるべく複合材スキンの厚さを変化させることが次第に一般的な方法となっている。厚さの変化は、ストリンガーが取り付けられるべきである複合材スキンを横断して、傾斜した区域または非平面状区域を生み出す。スキンの傾斜した面に細長いスティフナーを適合させるために、スティフナーは、分離したL字形断面または完成したT字形断面のいずれかに形成された後、所要の外形に変形されなければならない。これは、二次元断面の最初の平面状の積層体よりもむしろ三次元断面に亘るスティフナーの変形を含むので、複合材積層体の一部分が圧縮される箇所のT字形断面のスティフナー内に皺(wrinkling)が発生することが多い。斯かる皺は、局所的な応力点を提供することによりスティフナーの全体的な強度を減少させ、それ故に皺がない場合に必要であるだろう大きさよりもスティフナーが大きく作られることを必要とし、またL字形断面が所要のT字形断面のスティフナーを形成すべく背中合わせで圧縮されるのを妨げることがある。
【0002】
それ故に、皺の問題に直面することなく斯かるスティフナーを形成できることは有益であるだろう。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1態様によれば、丸みを帯びた肩部を有するC字形断面部品を形成するための金型が提供され、この金型は、丸みを帯びた各凸状部分によって反対向きの平面状端面に接続される円筒外面を有する円筒体を有する内型と、丸みを帯びた各凹状部分によって対向する端フランジに接続される円筒中心部分を有する外型とを具備し、ここで、内型の一部分は、形成されるべきC字形断面部品の所望の断面に対応する空洞部を画定するために外型の端フランジ間に配置され且つ端フランジから離間されるように構成され、丸みを帯びた凸状部分及び丸みを帯びた凹状部分は、内型及び外型各々の外周回りで変化する曲率半径を有し、丸みを帯びた凸状部分及び丸みを帯びた凹状部分の、内型及び外型が互いに近接している箇所の曲率半径が、内型及び外型が回転されるとき、変化するように内型及び外型は回転可能である。
【0004】
好ましくは、内型及び外型の両方は、型の回転軸線に沿った型の長さが可変であるように、伸縮自在である。加えて、好ましくは、内型及び外型の長さは、型が回転されるときに変化されるように構成される。更にその上、好ましくは、丸みを帯びた部分が互いに近接している箇所の、丸みを帯びた部分の曲率半径が、型が回転されて、減少するにつれて、内型及び外型の長さは増加するように構成される。
【0005】
加えてまたは代替的に、内型及び外型の回転軸線は平行でもよい。
【0006】
同様に、内金型の円筒外面及び外金型の円筒中心部分は平行であるように構成されてもよい。
【0007】
本発明の更なる態様に従って、丸みを帯びた肩部によって中央のウェブに接続される外側フランジを有する、細長い繊維強化複合材のC字形断面要素を形成する方法が提供され、丸みを帯びた肩部の曲率半径は、形成されるC字形断面の長さに沿った一つの位置で別の位置よりも大きく、この方法は、本発明の第1態様に係る金型の空洞部に繊維強化複合材料の細長い部分を通過させることと、丸みを帯びた肩部の曲率半径を変更するために、複合材料が空洞部を通過しているとき、内型及び外型を回転させることとを含む。また、本発明の一つの態様に従って、本発明の更なる態様の方法に係るC字形断面要素を形成することと、その後、中央のウェブの中心軸線に沿ってC字形断面要素を折り曲げることとを含む、繊維強化複合材のT字形断面のスティフナーを形成する方法が提供される。
【0008】
それ故に、第3態様の方法に従って形成される、繊維強化複合材のT字形断面のスティフナーが本発明に従って提供される。
【0009】
本発明の更なる態様に従って、トップハット状(top-hat)断面のスティフナーを形成するための金型も提供され、この金型は、軸線方向に整列された少なくとも二つの第1円筒体区域を有する外型であって、各第1円筒体区域が、丸みを帯びた肩部によって反対向きの端面に接続され、少なくとも一つの第2円筒体区域が、近接する第1円筒体区域の対向する端面間に接続され、第1円筒体区域の直径が第2円筒体区域の直径よりも大きい外型と、反対向きの端面を有する少なくとも一つの第3円筒体区域を有する内型であって、各端面が、丸みを帯びた凹状部分によって、軸線方向に整列された各第4円筒体区域に接続され、各第3円筒体区域の直径が第4円筒体区域の直径よりも大きい内型とを具備し、ここで、内型及び外型は、内型の各第3円筒体区域が近接する外型の第1円筒体区域間に配置されるように互いに対して配置され、内型及び外型は互いから離間され、外型の丸みを帯びた肩部及び内型の丸みを帯びた凹状部分は、各円筒体区域の外周回りで変化する曲率半径を有し、丸みを帯びた肩部及び丸みを帯びた凹状部分の、任意の所定位置での曲率半径が、内型及び外型が回転されるとき、変化するように、内型及び外型は逆方向に回転できる。
【0010】
好ましくは、外型の各第2円筒体区域の中心軸線が外型の回転軸線からオフセットし、内型の各第3円筒体区域の中心軸線が内型の回転軸線からオフセットし、内型及び外型各々の軸線のオフセット量の大きさが等しい。加えて、好ましくは、外型の丸みを帯びた肩部の、内型に近接する位置での曲率半径が最大値となるとき、外型の各第2円筒体が、金型によって形成されるトップハット状断面の深さが最小値となるように、内型の回転軸線から最小の距離にあるように、内型及び外型は構成される。
【0011】
外型の丸みを帯びた肩部及び内型の丸みを帯びた凹状部分の曲率半径は、各型の外周の180°に亘って最小値と最大値との間で等しい割合で変化できる。
【0012】
本発明の次の態様に従って、繊維強化複合材のトップハット状スティフナーを形成する方法が提供され、この方法は、本発明の前記の態様に係る金型の内型と外型との間に繊維強化複合材料のシートを通すことと、繊維強化材料が内型と外型との間に通されるときに内型及び外型を逆方向に回転させることとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、取り付けられたT字形断面のスティフナーを備えた平面状複合材スキンの一部を示す。
【図2】図2は、背中合わせの二つのL字形断面要素によって形成されたT字形断面のスティフナーの一部を示す。
【図3】図3は、平面状の積層体からL字形断面要素への変形を概略的に示す。
【図4】図4は、複合材スキンの非平面状区域を覆う、従来技術に係るT字形断面のスティフナーの配置を概略的に示す。
【図5】図5は、従来技術に係る近接するL字形断面のスティフナー要素上への皺の変形を概略的に示す。
【図6】図6は、本発明の実施形態に係る異なる曲率半径を有するL字形断面要素を概略的に示す。
【図7】図7は、本発明に従って形成されたT字形断面のスティフナーを概略的に示す。
【図8】図8は、本発明に従って形成されたC字形断面要素を概略的に示す。
【図9】図9は、第1配置における、本発明の実施形態に係る金型を概略的に示す。
【図10】図10は、第2配置における、図9に示される金型を概略的に示す。
【図11】図11は、従来技術に係るトップハット状スティフナーを概略的に示す。
【図12】図12は、トップハット状スティフナーを形成するための、本発明の更なる実施形態に係る金型を概略的に示す。
【図13】図13は、更なる配置における図12の金型を示す。
【図14】図14は、本発明の実施形態に従って図12及び図13の金型を使用して形成された傾斜したトップハット状スティフナーを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照して、限定するものではない例示的な単なる例として本発明の実施形態を説明する。
図1は、従来技術から知られているようにT字形断面のスティフナー4が取り付けられた、航空機のウイングカバーのような複合材スキン2の一部を概略的に示す。スティフナー4が取り付けられた航空機カバー2の表面は平らであり、このことは、スティフナー4が取付け面で対応して平らであることのみを必要とすることを意味する。
【0015】
図2は、斯かるT字形断面のスティフナーの典型的な製造方法を示すべく、より詳細にスティフナー4の端部分を示す。完成したスティフナー4は、実際には、互いに背中合わせで接合された、L字形断面の分離した二つの細長い要素6を具備する。L字形断面要素6は、一連のロール型9を通過させられる複合材積層体8(図3参照)の細長い平面状区域から形成され、ロール型9は、積層体の残りの部分に対して約90°の方向に細長い積層体の一区域を徐々に曲げるべく配置され、その結果、図2に示されるL字形断面要素6を形成する。積層体の曲げを促進するために、平面状の複合材積層体はロール型8を通過させられる直前または通過させられるときに加熱せしめられうる。この曲げ処理の結果として、図2に示されるL字形断面要素6は、丸みを帯びた(radiused)エルボ部10を有する。
【0016】
図4は、複合材スキン2’及びスティフナー4のより典型的な配置を断面図で概略的に示す。より典型的なこの配置において、複合材スキン2’は平面ではなく2A〜2Dの厚さの異なる区域を有し、厚さの異なる区域が複合材スキンのより大きなまたはより小さな強度を必要とする範囲に提供される。その結果、図4に示されるように、当然のことながら、従来技術の平面状のスティフナー4は、いくつかの変形を経なければスキンカバー2’の傾斜した外形に適合できない。複合材カバー2’の傾斜した外形に適合すべくT字形断面のスティフナーを変形することができるが、変形は、複合材スキンの厚さが異なる区域間の交差区域でT字形断面の垂直部分のこれら区域を圧縮または伸長することを含むため、個々のL字形断面要素6の皺が発生しがちである。これは図5に示され、ここで、各L字形断面要素6は細長い皺12を有し、細長い皺12は、最終的なT字形断面のスティフナーを形成するために互いに当接されるべき表面上に形成される。これら皺12の存在は、別個のL字形断面要素の表面が互いに完全に当接するのを妨げ、その結果、二つのL字形断面要素間の接合強度を低下させ、また、応力集中のような公知の作用のせいでスティフナー4内に固有の弱さをもたらす。
【0017】
上述した、L字形断面要素の変形または最終的なT字形断面のスティフナーの変形は、L字形断面要素の曲率半径を変化させることによって回避されうる。なぜなら、L字形断面要素の曲率半径を変化させることは、スティフナーの全高に対するスティフナーの脚(複合材スキンに取り付けられるスティフナーの部分)の相対的な高さを変化させる効果を有するからである。この効果は図6に示され、図6において、二つのL字形断面要素が断面で概略的に表され、一方は他方よりも大きい曲率半径を有する。前述されたような、強化されるべき複合材スキンに取り付けられることを目的とするスティフナーの平面状部分はスティフナーの脚と称され、一方、他の平面状区域の高さは一般的にスティフナーのブレード(blade)と称される。スティフナーの全幅は、スティフナーの弦(chord)と称されることが多く、脚とブレードとを結合している湾曲した区域の曲率半径を脚幅に加えたものに等しい。図6に示される断面において、各L字形断面のブレードの寸法はbによって表され、脚幅はf、弦幅はcによって表される。ブレードの上端から脚の基準高さまで測定されたスティフナーの全高は、hによって示される。ほとんどの用途において、一般的には、スティフナーの弦を一定に維持することが好まれ、このことは図6に示される。図6の左側のL字形断面要素は、より小さい半径rを有して示されるので、スティフナーの弦は、c=r+fとなる。図6の右側のL字形断面要素では、結合区域の曲率半径は3rに増加せしめられている。しかしながら、弦cを一定に維持したいので、脚幅f’は減少され、ブレードの高さb’も同様である。しかしながら、図6の右側のスティフナーの全高h’=b’+3rは、h=b+rである左側のスティフナーの全高よりも大きい。結果として、より大きい曲率半径を有するL字形断面要素の脚がより小さい曲率半径を有するスティフナーの脚よりも低くされることが正味の効果であり、それ故に、変形を被ることなく、傾斜したスキンに取り付けられうるスティフナーを生産することができる。斯かるスティフナーの例が図7に示され、図7では、ブレードb及び脚fに接している区域の曲率半径が最大である箇所では、脚の基準高さが、曲率半径が減少される区域における脚の基準高さよりも低いことが見られうる。
【0018】
本発明の実施形態によれば、図7に示される例のようなスティフナーは、C字形状の断面またはU字形状の断面を有する細長い要素(効果的には、互いに結合されるブレードの縁を有する二つのL字形断面要素)を形成し且つ、その後、所望のT字形断面のスティフナーを形成すべくC字型断面の細長い要素をその長さに沿って折り曲げることによって生産される。本発明の実施形態に従って形成された斯かるC字形断面の細長い要素の例が図8に示される。図8に示されるC字形断面20では、その後、図8の破線24によって示される中心軸線に沿って折り曲げられるとき、中央のウェブ(web)22が、図7に示されるスティフナーの中央のブレード26を形成するであろう。最終的に形成されるT字形断面のスティフナーの脚部分に対応する各フランジ28は、中央のウェブ22の各縁に接している。図6に概略的に示されるように、フランジ28は、丸みを帯びた区域によって中央のウェブ22に結合される。フランジ28及び中央のウェブ22が単一の連続する複合材料から形成されることが当然理解されるであろう。図8に示されるC字形断面要素20は、別区域A〜Eに視覚的に分割されうる。区域A及びEはフランジ28と中央のウェブ22との間の最小曲率半径を有し、一方、区域Cは最大の曲率半径を有し、その結果、区域Cのフランジ区域が区域A及びEのフランジ28に対して外側にずらされる。C字形断面要素が中心軸線24に沿って折り曲げられるとき、区域Cのフランジ28の外側へのこのずれは、T字形スティフナーの下方に傾斜した区域に変換される。区域CとAとの間にある区域B及び区域CとEとの間にある区域Dの、フランジ28と中央のウェブ22との間の曲率半径は、滑らかな変化を提供すべく最大値と最小値との間の関連する曲率で変化し、これら区域B及びDは、最終的なT字形断面のスティフナーにおいて、最小値又は最大値のいずれかの一定の曲率半径を有する区域において脚が配置される平面に対して傾斜した平面上に脚が位置する区域に対応する。
【0019】
図8に示されるC字形断面要素20は、本発明の実施形態に従って冷間成形技術を使用して製造され、冷間成形技術では、均一な断面を有するC字形断面の細長い要素が、中央のウェブ22とフランジ28との間の所望の曲率半径を付与するように形成された金型を通過させられる。本発明の実施形態に係る適切な金型が図9及び図10に示される。
【0020】
図9を参照すると、金型30は内型32及び外型34を具備する。内型32が、反対向きの二つの端面38によって境界が定められる概して円筒の本体部分36を有するので、内型32は、概してドラム形状と見なされうる。内型の端面38は、丸みを帯びた各肩部40によって円筒本体部分36の外面に結合される。内型32には一組のスタブアクスル(stub axle)42が設けられ、好ましくは、スタブアクスルは内型の中心軸線に整列され、内型32はスタブアクスルによって回転されうる。
【0021】
外型34も概して円筒の中心部分44を有する。しかしながら、外型の中心部分は対向する二つの端フランジ46によって境界が定められ、端フランジ46の直径は、概して円筒の中心部分44よりも大きい。外型の中心部分44の外面及び端フランジ46の内面は、丸みを帯びた各凹状部分48によって接続される。外型34も、外型を回転させるのを可能とするための一組のスタブアクスル50を有し、好ましくは、スタブアクスルは外型の中心軸線に整列される。
【0022】
内型及び外型は、内型32の一部分が外型34の端フランジ46の内面間に配置され且つ内型及び外型が互いから分離しているように構成される。内型及び外型は、内型及び外形が互いから所定の距離だけ分離されるときに各型間に空洞部(cavity)50を形成するように寸法が決められ、空洞部50は、内型と外型との間に形成された空洞部に材料、例えば繊維強化複合材料を所定長さ通過させることによって形成されるべきC字形断面要素上に付与することが望まれる断面と同一の断面形状を有する。例示された好ましい実施形態において、内型32の本体36の外面及び外型34の中心部分44の外面は平行であり、これらの間に形成される空洞部の部分は、形成されるべきC字形断面要素の中央のウェブに対応する。同様に、外型の端フランジ46と内型の端面38との重なり部分または近接部分は平行であり、且つこれらの間に形成される空洞部の部分は、形成されるべきC字形断面要素の外側フランジ28に対応する。内型の丸みを帯びた凸状肩部40及び丸みを帯びた凹状部分48は空洞部の一部分を形成し、この空洞部の一部分は、C字形断面要素の側面のフランジと中央のウェブとを接続している、C字形断面要素の丸みを帯びた肩部に対応する。
【0023】
内型32の丸みを帯びた凸状肩部40の曲率半径は、内型の外周回りで最大値と最小値との間で変化し、同様に、外型の丸みを帯びた凹状部分48の曲率半径も、外型の外周回りで最小値と最大値との間で変化する。図9及び図10に示されるように、好ましい実施形態において、丸みを帯びた肩部の曲率半径及び丸みを帯びた部分の曲率半径は、内型及び外型の各外周の180°回りで最小値と最大値との間で変化するので、360°の各全周に亘って、曲率半径は、最大値から最小値に減少し、その後、再び最大値に戻る。好ましい実施形態において、最小値と最大値との間の曲率半径の変化率は一定である。結果として、丸みを帯びた肩部及び丸みを帯びた凹状部分各々についての曲率半径が各々の最大値に一致するように内型及び外型を整列させることによって、形成されるべきC字形断面要素の断面を画定する空洞部50の対応する部分の曲率半径は最大値に設定される。この構成が図9に示される。内型32及び外型34の両方を180°回転することによって、空洞部50の対応する部分の曲率半径は最小値に減少され、これは、図10に示される構成である。任意の所望の量だけ内型及び外型を同時に回転させることによって、空洞部50の湾曲した部分の曲率半径は、得られる最小値と最大値との間の任意の所望の値に設定されうる。
【0024】
上述されたように、通常、結果物であるT字形断面のスティフナーの弦がスティフナーの脚とブレードとの間の曲率半径に関わらずスティフナーの長さに亘って一定であることが好ましい。図6を参照して記述されるように、弦長を一定にするのを優先することによって、結果物であるT字形断面のスティフナーのブレードの高さを変化させる必要がある。このことは、その後にT字形断面のスティフナーが形成されるC字形断面要素の中央のウェブ22の幅を変化させることに言い換えられる。中央のウェブ22の幅を変化させるのを可能とすべく、本発明の好ましい実施形態に係る金型30の内型32及び外型34は、C字形断面要素が形成されるとき、回転の軸線と平行な方向に両方とも伸縮自在である。図10を参照することで最もよく理解されるように、内型32及び外型34各々は二つの分離した区域32a、32b及び34a、34bから形成される。内型32について、円筒本体部分36の一つの区域はその長さの一部分に亘って減少された直径を有し、内型の二つの区域32a、32bが全体として型の中心本体部分36の全長を変化させるべく中心部分の周りで互いに対して摺動されうるように、減少された直径の部分は、型の本体部分の第2区域内に摺動可能に受容される。同様に、外型の円筒中心部分の一つの区域34a、34bも、減少された直径を有し、且つ外型の対向する区域の円筒中心部分内に摺動可能に嵌合すべく構成される。適切なアクチュエーター及び制御システムを利用することによって、内型及び外型の回転は、内型及び外型の中心部分の長さが型が回転されるときに変化されうるように、分離した型区域の伸長及び収縮と同期されうる。斯かるアクチュエーター及び制御システムの詳細は、本発明の範囲に属さず、それ故に更なる議論はされない。
【0025】
上述されたように、本発明の実施形態に係る前述された金型は、本発明の金型の内型と外型との間に形成された空洞部に一定の断面のC字形断面要素を押込み且つ曲率半径の変化が必要とされるときはいつでも両型を同時に回転させることによって、曲率半径が変化する丸みを帯びた肩部を有するC字形断面要素を形成するのを可能とする。
【0026】
後のT字形断面のスティフナーは、その後、中央のウェブの中心軸線に沿ってC字形断面要素を単純に折り曲げることによって形成されることができ、結果として生じるT字形断面のスティフナーは、丸みを帯びた肩部の曲率半径が変化するときに変化する脚の高さを有する。加えて、内型及び外型を回転と同時に伸縮させることによって内型及び外型の幅を制御することで、結果物であるT字形断面のスティフナーの弦は、一定値に抑制されうる。
【0027】
本発明の更なる実施形態において、トップハット状スティフナーを形成するための金型が提供される。従来技術に係る典型的なトップハット状スティフナーが、図11に示され、且つ多くの概してU字状正方形の逆向きチャネル112またはU字状長方形の逆向きチャネル112が形成される概して平面状のシート110を具備し、この逆向きチャネル112は、端部を見たときにトップハットに似た長方形断面を有するので、「トップハット状スティフナー」という表現が用いられる。その後、トップハット状スティフナー114は、強化されるべき平面要素116に繋止され、逆向きチャネル112に沿った方向に撓みまたは屈曲するのに耐えるべく作用する。典型的には、トップハット断面のスティフナー系は、平ら且つ未硬化の予め含侵された複合材積層体から生産され、複合材積層体は、その後、閉断面の工具内に設置され且つ硬化される部分のダイアフラム成形に依存する。平面または直線の通常のトップハット状断面を形成するとき、二次元の平らな積層体から三次元のトップハット状スティフナーへの変換は、ごく僅かな変化のみを必要とする。言い換えれば、直線の縁のみを形成することが必要とされる。しかしながら、前述されたウイングスキンのような強化されるべき要素がスティフナーのトップハット状断面の方向に対して直角な傾斜した断面を含むとき、逆向きチャネル112は効果的に変形されなければならず、それ故に、二次成形皺(post form wrinkling)が、傾斜した三次元トップハット状断面の斯かる従来技術において、T字形断面のスティフナーについて前述されたような態様と類似の態様で問題となることが多い。
【0028】
本発明の前述された実施形態に適用されたような同一の原理に従って、一定の弦長を有する傾斜したトップハット状スティフナーを生産することを可能とする本発明の更なる実施形態に係る金型が提供される。第1構成における、本発明のこの実施形態に係る金型の例が図12に示される。金型120は、多くの第1円筒体区域123を有する外型122を含み、このうち三つの第1円筒体区域123が図12に表された実施形態に示されている。近接する第1円筒体区域123は対向する端面124を有し、各端面を第1円筒体区域に接続している丸みを帯びた肩部125が存在する。第2円筒体区域126は近接する各端面124間に接続され、第2円筒体区域126の直径は第1円筒体区域123の直径よりも小さい。第1円筒体区域123は軸線方向に整列され、第2円筒体区域126も同様である。しかしながら、第2円筒体区域126の中心軸線は、第1円筒体区域123の中心軸線に対して横方向に設定される。外型122は第1円筒体区域123の中心軸線回りで回転されるように構成される。
【0029】
また、金型120は、同様に多くの第3円筒体区域131を有する内型130も含み、各第3円筒体区域131は一組の端面132を有し、各端面は、丸みを帯びた各凹状部分134によって第4円筒体部分133に接続され、第4円筒体区域133の直径は第3円筒体区域131の直径よりも小さい。第4円筒体区域133は中心軸線が内型130の回転軸線と一致した状態で軸線方向に整列され、一方、第3円筒体区域131も軸線方向に整列されるが、中心軸線は型の回転軸線からオフセットしている。
【0030】
内型130及び外型122は、より大きな直径の、内型130の第3円筒体区域131が使用時において外型122の近接する第1円筒体区域間に設置されるように且つ、同様に、外型のより大きな第3円筒体区域123が、内型の第3円筒体区域131間に設置され且つより小さい直径の、内型の第4円筒体区域133に対向して設置されるように、寸法が決められる。内型及び外型は、トップハット状スティフナーを形成することが望まれる繊維強化複合材料の厚さにほぼ等しい距離だけ互いから離間される。
【0031】
内型130の丸みを帯びた凹状部分134の曲率半径は、型の外周回りで変化する。図12に示される特定の構成において、曲率半径は、外型122に近接する点で最大値を有する。同様に、外型122の丸みを帯びた肩部125の曲率半径も、型の外周回りで変化し、且つ図12に示される構成において、内型130に近接する点で最大値を有する。結果として、図12に示される構成において、内型と外型との間に繊維強化複合材料を通すことによって形成されるトップハット状スティフナーに付与される曲率半径は最大値となる。この構成において、外型122の第2円筒体部分126及び内型130の第3円筒体部分131の横方向のオフセットによって、図11を参照したトップハット状断面の高さまたは逆向きチャネル112の高さは最小値となる。
【0032】
図13は、第2構成における、図12に示されるのと同一の金型120を示し、第2構成では、内型122及び外型130は、外型の丸みを帯びた肩部125及び内型の丸みを帯びた凹状部分134の曲率半径が内型122及び外型130の近接点で最小値を有するように回転されていて、一方、外型の第2円筒体部分126と内型の第4円筒体部分133との間の距離は各円筒体区域の横方向のオフセットによって最大である。結果として、このとき、図13に示される構成では、繊維強化複合材料を型間に通すことによって形成されるトップハット状スティフナーが、トップハット状断面の側壁部とスティフナーの脚との間のより小さい曲率半径を有し、図12に示される構成よりも大きいトップハット高さを有する。好ましい実施形態において、丸みを帯びた肩部125及び丸みを帯びた凹状部分134の曲率半径は、内型及び外型各々の180°の回転周期に亘って最小値と最大値との間で変化する。繊維強化複合材料の層が内型と外型との間を通されるとき、内型及び外型を適切に回転させることによって、トップハット状断面の高さ、ひいてはスティフナーの脚の高さは、傾斜した区域を有するトップハット状スティフナーを生産すべく変化されうる。本発明のこの実施形態の金型120を使用して形成されるトップハット状スティフナーの例が概略的に図14に示され、図14では、スティフナーの脚140の高さがトップハット状断面142の長さに亘って変化し、このとき脚とトップハット状要素の側部区域との間に形成される曲率半径が、脚がスティフナーの残部分に対して下向きに傾斜されているときの領域において最小であることが見られうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
丸みを帯びた各凸状部分(40)によって反対向きの平面状端面(38)に接続される円筒外面を有する円筒体(36)を有する内型(32)と、
丸みを帯びた各凹状部分(48)によって対向する端フランジ(46)に接続される円筒中心部分(44)を有する外型(34)と
を具備する、丸みを帯びた肩部を有するC字形断面部品を形成するための金型(30)であって、
前記内型(32)の一部分が、形成されるべき前記C字形断面部品の所望の断面に対応する空洞部(50)を画定するために前記外型(34)の端フランジ(46)間に配置され且つ該端フランジから離間されるように構成される金型(30)において、
前記丸みを帯びた凸状部分(40)及び前記丸みを帯びた凹状部分(48)が、前記内型(32)及び前記外型(34)各々の外周回りで変化する曲率半径を有し、
前記丸みを帯びた凸状部分(40)及び前記丸みを帯びた凹状部分(48)の、前記内型及び前記外型が互いに近接している箇所の曲率半径が、前記内型及び前記外型が回転されるとき、変化するように前記内型(32)及び前記外型(34)が回転可能であることを特徴とする、金型(30)。
【請求項2】
前記内型(32)及び前記外型(34)の両方が、該型の回転軸線に沿った該型の長さが可変であるように、伸縮自在である、請求項1に記載の金型。
【請求項3】
前記内型(32)及び前記外型(34)の長さが、該型が回転されるときに変化されるように構成される、請求項2に記載の金型。
【請求項4】
前記丸みを帯びた部分が互いに近接している箇所の、前記丸みを帯びた部分の曲率半径が、該型が回転されて、減少するにつれて、前記内型(32)及び前記外型(34)の長さが増加するように構成される、請求項3に記載の金型。
【請求項5】
前記内型(32)及び前記外型(34)の回転の軸線が平行である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の金型。
【請求項6】
前記内金型(32)の円筒外面(36)及び前記外金型(34)の円筒中心部分(44)が平行であるように構成される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の金型。
【請求項7】
丸みを帯びた肩部によって中央のウェブ(22)に接続される外側フランジ(28)を有する、細長い繊維強化複合材のC字形断面要素(20)を形成する方法であって、前記丸みを帯びた肩部の曲率半径が、形成される前記C字形断面の長さに沿った一つの位置で別の位置よりも大きく、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の金型の前記空洞部に繊維強化複合材料の細長い部分を通過させることと、
前記丸みを帯びた肩部の曲率半径を変更するために、前記複合材料が前記空洞部(50)を通過しているとき、前記内型(32)及び前記外型(34)を回転させること
とを含む、方法。
【請求項8】
請求項7の方法に係るC字形断面要素(20)を形成することと、
その後、前記中央のウェブの中心軸線に沿って前記C字形断面要素を折り曲げることと
を含む、繊維強化複合材のT字形断面のスティフナーを形成する方法。
【請求項9】
軸線方向に整列された少なくとも二つの第1円筒体区域(123)を有する外型(122)であって、各第1円筒体区域が、丸みを帯びた肩部(125)によって反対向きの端面(124)に接続され、少なくとも一つの第2円筒体区域(126)が、近接する前記第1円筒体区域(123)の対向する端面(124)間に接続され、前記第1円筒体区域の直径が前記第2円筒体区域の直径よりも大きい外型(122)と、
反対向きの端面(132)を有する少なくとも一つの第3円筒体区域(131)を有する内型(130)であって、各端面が、丸みを帯びた凹状部分(134)によって、軸線方向に整列された各第4円筒体区域(133)に接続され、前記各第3円筒体区域の直径が前記第4円筒体区域の直径よりも大きい内型(130)と
を具備する、トップハット状断面のスティフナーを形成するための金型であって、
前記内型(130)及び前記外型(122)が、前記内型の各第3円筒体区域(131)が近接する前記外型の第1円筒体区域間に配置されるように互いに対して配置され、前記内型及び前記外型が互いから離間される金型において、
前記外型の丸みを帯びた肩部(125)及び前記内型の丸みを帯びた凹状部分(134)が、前記各円筒体区域の外周回りで変化する曲率半径を有し、
前記丸みを帯びた肩部及び前記丸みを帯びた凹状部分の、任意の所定位置での曲率半径が、前記内型及び前記外型が回転されるとき、変化するように、前記内型(130)及び前記外型(122)が逆方向に回転できることを特徴とする、金型。
【請求項10】
前記外型(122)の各第2円筒体区域(126)の中心軸線が前記外型の回転軸線からオフセットし、
前記内型(130)の各第3円筒体区域(131)の中心軸線が前記内型の回転軸線からオフセットし、
前記内型及び前記外型各々の軸線のオフセット量の大きさが等しい、請求項9に記載の金型。
【請求項11】
前記外型の丸みを帯びた肩部(125)の、前記内型に近接する位置での前記曲率半径が最大値となるとき、前記外型の各第2円筒体(126)が、前記金型によって形成されるトップハット状断面の深さが最小値となるように、前記内型の回転軸線から最小の距離にあるように、前記内型(130)及び前記外型(122)が構成される、請求項10に記載の金型。
【請求項12】
前記外型の丸みを帯びた肩部(125)及び前記内型の丸みを帯びた凹状部分(134)の前記曲率半径が前記各型の外周の180°に亘って最小値と最大値との間で等しい割合で変化する、請求項9〜11のいずれか1項に記載の金型。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれか1項に記載の金型の前記内型(130)と前記外型(112)との間に繊維強化複合材料のシートを通すことと、該繊維強化材料が前記内型と前記外型との間に通されるときに該内型及び該外型を逆方向に回転させることとを含む、繊維強化複合材のトップハット状スティフナー(114)を形成する方法。
【請求項14】
請求項13の方法に従って形成される、繊維強化複合材のトップハット状スティフナー(114)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2011−528291(P2011−528291A)
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−518003(P2011−518003)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【国際出願番号】PCT/GB2009/050846
【国際公開番号】WO2010/007417
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(508305926)エアバス オペレーションズ リミティド (38)
【Fターム(参考)】