説明

僅かな微細ダスト含量を有する膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマー

樹枝状構造を有する少なくとも1つの親水性ポリマーを含有する膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマー、この膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーの製造法ならびに衛生製品への前記の膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、僅かな微細ダスト含量を含有する膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマー、僅かな微細ダスト含量を含有する膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーの製造法および僅かな微細ダスト含量を含有する膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーの使用に関する。
【0002】
膨潤可能なヒドロゲル形成ポリマー、所謂超吸収体(超吸収性ポリマー、SAP)は、公知技術水準から公知である。
【0003】
膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーは、殊に(共)重合された親水性モノマーからのポリマー、適当なグラフト主鎖上の1つ以上の親水性モノマーのグラフト(共)重合体、架橋されたセルロースエーテルまたは澱粉エーテル、架橋されたカルボきりメチルセルロース、部分的に架橋されたポリアルキレンオキシドまたは水性液体中で膨潤可能な天然製品、例えばグアール誘導体である。このようなポリマーは、おむつ、タンポン、生理帯および別の衛生製品を製造するための、水溶液を吸収する製品として使用されているが、しかし、農業の園芸学における保水剤としても使用されているかまたは全ての種類の廃棄物、殊に医学的廃棄物を濃縮するためにも使用されている。
【0004】
膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーは、有利に使用されたポリマーに対して少なくとも10倍の固有質量、有利に20倍の固有質量の0.9質量%の食塩水の吸収率を有するヒドロゲル形成性ポリマーである。この吸収率は、有利に例えば0.7psiの圧力下で達成される。
【0005】
使用特性の改善のために、膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーは、通常、表面架橋されるかまたはゲル後架橋される。この後架橋は、当業者に自体公知であり、有利に水性ゲル相中で行なわれるかまたは微粉砕され篩別されたポリマー粒子の表面後架橋として行なわれる。
【0006】
超吸収体の製造および加工中に研磨処理によって粒子の丸み付けが生じ、この場合には、微細ダストが製造される。形成された微細ダストは、フィルターの閉塞、接着剤の堆積、団塊化および超吸収体を運搬する際の著しい困難をまねく。前記ダストの大きな表面積によって、環境からの急速すぎる湿分吸収および沈殿物の接着が生じ、このことは、製造装置の汚染をまねく。更に、液圧運搬システム内で硬質のダスト凝集物が形成される。更に、微細ダストは、衛生学的視点および工業医学的視点から極めて望ましくない。
【0007】
前記の微細ダストは、この微細ダストが特殊に分離されない場合には、超吸収体の製造の際に問題を生じならびに使用の際のゲルの著しく減少された液体転送量(SFC食塩水流伝導度)を生じるかまたは衛生製品中へのポリマーの導入前に問題を生じならびに使用の際のゲルの著しく減少された液体転送量を生じる。更に、この結果、高められた漏れ率が生じる。
【0008】
従って、既に特許出願WO−A−92/13912、WO−A−94/22940および欧州特許出願公開第0679678号明細書中には、超吸収体から脱ダスト化する方法が提案された。
【0009】
WO−A−92/13912およびWO−A−94/22940には、ポリエチレングリコールで表面被覆することによって超吸収体を脱ダスト化することが記載されている。ポリエチレングリコールは、このポリエチレングリコールが線状ポリマーおよび水溶性ポリマーとしてゲル粒子を包囲する溶液の粘度を著しく上昇させ、こうしてこのゲル粒子の流動能を減少させるという欠点を有する。この結果、衛生製品中での使用において、膨潤されたゲル中での劣化された液体転送(SFC)をまねく。
【0010】
欧州特許出願公開第0679678号明細書には、粉末状超吸収体のダスト含量がシリコーンでの後処理によって減少されるような方法が記載されている。前記の欧州特許出願公開明細書には、付加的な脱ダスト化剤、例えばポリグリコールおよびポリグリコールエーテルの使用も推奨されている。シリコーンは、不所望にも超吸収体を疎水化し、こうして膨潤速度を減少させる。
【0011】
更に、欧州特許出願公開第0755964号明細書には、超吸収体を不溶性のワックスで表面被覆することが記載されている。しかし、使用されたワックスは、超吸収体を部分的に疎水化し、助剤なしに分散させることは困難である。しかし、通常、この目的に使用される分散助剤は、界面活性剤の性質を有し、衛生製品中に閉じ込められた液体の表面張力を減少させ、このことは、再び流出をまねきうる。
【0012】
適当な高分子量結合剤および非高分子量結合剤を使用しながら繊維へ超吸収体を固定することは、米国特許第5641561号明細書および米国特許第5589256号明細書中に記載されている。結合剤は、水素架橋結合により超吸収体粒子を衛生製品中の繊維に結合させる状態にある。殊に、開示された高分子量結合剤に関連して、膨潤されたゲルの液晶能に対する結合剤の場合による不利な影響または衛生製品中に閉じ込められた液体の表面張力は、述べられてもいないし、この問題の解決は、開示されてもいない。非高分子量の結合剤に関連して、この非高分子量の結合剤が溶剤として衛生製品中で同時に粒子を脱ダスト化し、粒子を繊維に固着する際に、このような溶剤を最少化するための教示は、開示されていない。
【0013】
従って、前記課題は、僅かな微細ダスト含量を有する超吸収体を得ることができ、未処理の超吸収体に対して膨潤挙動を劣化させないし、液体転送も劣化させないような膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマー、所謂超吸収体を製造する方法を提供することであった。
【0014】
更に解決すべき解決は、微細ダスト含量が機械的な負荷の場合も上昇しないかまたは僅かにのみ上昇する超吸収体を得ることができるような、膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーの製造法を提供することであった。10μm未満の直径を有する粒子は、微細ダストと呼称される。
【0015】
更に、解決すべき課題は、超吸収体が粉末状の添加剤および/またはダスト状の添加剤で後処理され、超吸収体が低い微細ダスト含量を有するような、超吸収体の製造法を提供することであった。
【0016】
更に、解決すべき課題は、最適化された運搬挙動を有する超吸収体を得ることができる、超吸収体の製造法を提供することであった。この場合、超吸収体は、殊に高い空気湿度の際にケーキング傾向を増大させることなく、例えば問題なしにスクリューコンベヤーで計量供給しうるために、或る程度の接着性を有するはずである。
【0017】
ところで、意外なことに、樹枝状構造を有する親水性ポリマーを使用することによって、膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーを製造する際に僅かな微細ダスト含量、また殊に機械的負荷後での粉末状添加剤および/またはダスト状添加剤に対する改善された結合能、高い膨潤速度、高い液体転送量および最適な流動挙動を有する超吸収体を得ることができることが見出された。
【0018】
樹枝状ポリマーは、Roempp, Lexikon-Chemie, Georg Thieme Verlag, Stuttgart, 第10版, 第898頁の記載により、それぞれ2個以上のモノマーをそれぞれの既に結合されたモノマーと段階的に結合させることによって形成される合成巨大分子であり、したがってそれぞれの工程でモノマー末端基の数は、指数的に増加し、端部で球状の樹枝構造が生じる。
【0019】
樹枝状構造を有する本発明により使用可能な親水性ポリマーは、少なくとも8個、特に少なくとも16個、特に有利に少なくとも32個のヒドロキシル基を有しかつ非線状の、特に少なくとも14回分枝された、特に有利に30回分枝された基本骨格を有するポリオールである。
【0020】
樹枝状構造を有する親水性ポリマーは、例えばポリオールから出発してC3〜C20−ヒドロキシカルボン酸、特にC4〜C12−ヒドロキシカルボン酸、特に有利にC5〜C8−ヒドロキシカルボン酸でエステル化することによって得ることができるポリエステルであり、この場合ヒドロキシカルボン酸は、少なくとも2個のヒドロキシル基、特に2個のヒドロキシル基および/または少なくとも2個のカルボン酸基を有する。特に好ましいのは、2個のヒドロキシル基およびカルボン酸基を有するヒドロキシカルボン酸、殊に2,2−ジメチロールプロピオン酸である。ポリオールは、少なくとも2個のヒドロキシル基を有する化合物、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリットおよび/またはソルビトールである。好ましいのは、樹枝状ポリエステルであり、特に好ましいのは、Boltorn(登録商標)20、Boltorn(登録商標)30、Boltorn(登録商標)40およびBoltorn(登録商標)310である(Perstorp Specialty Chemicals AB, SE)。
【0021】
また、樹枝状構造を有する本発明により使用可能な親水性ポリマーには、少なくとも3個のヒドロキシル基を有するポリオールを縮合させ、引続きアルコキシル化させることによって得ることができるポリマーが挙げられる。このための例は、グリセリン分子を縮合させ、引続きエトキシル化させることによって得ることができる分枝化されたポリエチレングリコールである。
【0022】
しかし、更に、少なくとも1個のヒドロキシル基を有するモノマーを重合させ、引続きアルコキシル化することによって得ることができる全てのポリマーも、樹枝状構造を有する本発明により使用可能な親水性ポリマーに属する。有利には、架橋剤の存在下で重合される。それによって、表面上で親水性でありかつ多数のヒドロキシル基を有するポリマー粒子を得ることができる。例えば、Makromol. Chem. 189, 2885 (1988)の記載によれば、p−ヒドロキシエチルスチレンをラジカル重合させ、引続きアルコキシル化することによって、所謂星状ポリエチレングリコールを得ることができる。
【0023】
更に、本発明により使用可能なポリマーの例は、商標HYBRANE(登録商標)の高度に分枝化されたポリマーならびにAstramolデンドリマー(登録商標)(DSM N.V., NL)である。このためには、殊に例えばブチレンジアミンから出発してアクリルニトリルで繰り返し数回マイケル反応させかつ水素化させることによって得ることができる、高度に分枝化されたポリ(プロピレンイミン)、星状ポリカプロラクトン、星状ナイロン−6、例えばモル比1:1での無水コハク酸とジエタノールアミンの付加生成物をベースとする高度に分枝化されたポリエステルアミドが挙げられる。また、本発明による方法においては、例えばアンモニアから出発してメチルアクリレートとエチレンジアミンとを繰り返し数回反応させることによって得ることができるポリ(アミドアミン)をベースとする、所謂PAMAMデンドリマーを使用することもできる。
【0024】
ポリグリセロール、星状ポリエチレングリコールならびに別の親水性化合物は、使用可能であるが、しかし、有利には、球状または山状で非線状の分子幾何学的形状を有するポリアルコールが使用可能である。
【0025】
好ましいのは、20〜100℃、特に有利に25〜50℃のガラス転移温度および/または1000〜10000g/モル、特に有利に2000〜6000g/モルの平均分子量を有する樹枝状構造を有する親水性ポリマーである。
【0026】
本発明による方法においては、膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーに対して樹枝状構造を有する親水性ポリマー有利に0.005〜10質量%、特に有利に0.01〜5質量%、殊に有利に0.05〜1質量%、殊に0.10〜0.80質量%が使用される。
【0027】
樹枝状構造を有する親水性ポリマーは、特に乾燥された吸水性ヒドロゲルと混合される。乾燥は、特に20質量%未満、特に有利に10質量%未満の含水量を意味する。しかし、樹枝状構造を有する親水性ポリマーは、表面後架橋前、表面後架橋中および/または表面後架橋後に膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーに添加されてもよいが、しかし、有利には、塗布は、表面後架橋中に行なわれる。
【0028】
混合の種類は、制限されないが、有利には、反応混合機または混合機および乾燥機、例えばLoedige(登録商標)混合機、BEPEX(登録商標)混合機、NAUTA(登録商標)混合機、SCHUGGI(登録商標)混合機、NARA(登録商標)乾燥機およびPROCESSALL(登録商標)が使用される。更に、渦動層乾燥機が使用されてもよい。混合は、有利に1〜180分間、特に5〜20分間の滞留時間および25〜375rpm、特に100〜150rpmの回転数で実施される。
【0029】
表面後架橋溶液と一緒の塗布の場合には、表面後架橋剤は、樹枝状ポリマーと一緒に溶液中にもたらされてよいが、しかし、選択的に別個の液体流も別個のノズルを介して後架橋混合機中に噴入されてもよい。更に、ダスト状または粉末状の添加剤を塗布する場合には、樹枝状ポリマーを溶剤中に溶解することができ、この場合この溶剤中には、ダスト状または粉末状の添加剤が分散されていてもよい。場合によっては、前記混合物は、表面後架橋剤を含有していてもよい。
【0030】
適当な溶剤は、表面後架橋で使用される、当業者に公知の全ての溶剤である。特に好ましいのは、水であり、さらに好ましいのは、プロパンジオール−1,2、プロパンジオール−1,3、ブタンジオール−1,4、イソプロパノール、エタノール、メタノール、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、グリセリンおよびこれらの互いの混合物である。特に好ましいのは、水と前記有機溶剤の1つまたはそれ以上との混合物である。しかし、溶剤の選択は、溶液の効果的な製造を導きかつ前記の記載に制限されないという要件により左右される。
【0031】
場合によっては、溶剤には、1つ以上の界面活性剤または分散助剤が添加されてもよい。有利には、非イオン界面活性剤、例えばソルビタンモノラウレート(Span 20)、Span 40、Span 60、Span 80、Span 83、Span 85の商品名で得ることができるソルビタンモノドデカネート、ソルビタンモノヘキサデカネート、ソルビタンモノオクタデカネート、ソルビサンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビサントリオレエートが添加されてよい。
【0032】
しかし、有利には、溶液には、分散助剤としての界面活性剤は、添加されない。
【0033】
場合によっては1つ以上の分散されたダスト状または粉末状の添加剤を含有していてよく、場合によっては分散助剤を含有していてよく、さらに場合によっては硫酸アルミニウムまたは別の3価または4価の金属の可溶性金属塩を含有していてよく、および場合によっては少なくとも1つの表面後架橋剤を含有していてよい樹枝状ポリマーの溶液または分散液の製造は、有利に必要に応じて、樹枝状ポリマーの溶融および溶剤中への溶融液の注入によるかまたは溶剤の一部分の溶融および引続く溶剤の別の部分での希釈によって行なわれる。この場合には、例えばウルトラタラックス(Ultraturax)により、特に良好に攪拌され、好ましくは乱流で攪拌される。選択的に、樹枝状ポリマーは、直接に熱い溶剤中または熱い溶剤の一部分中に溶解されてもよい。更に、樹枝状ポリマーは、例えば超音波を用いて分散されてもよいし、適当なノズルを用いて分散されてもよい。
【0034】
更に、ダスト状または粉末状の添加剤を分散混入する場合には、分散液の製造の適した連続的混合機または回分的混合機を使用することは、特に推奨される。特に好ましいのは、型MHD 2000/4、MHD 2000/5およびCMS 2000/4のIKA-Werke GmbH & Co. KGの混合機である。勿論、別の製造業者の同様に構成された混合機が使用されてもよい。更に、例えばドイツ連邦共和国特許第10131606号明細書中に記載されているような粉砕ポンプ、例えばWernert-Pumpen GmbH社のNEWX 80-50-315は、分散液の製造のために使用されてよい。
【0035】
特殊な場合には、分散液は、超音波を用いての音波処理によって回分的方法または連続的方法で製造されてもよい。更に、普通の常用の湿式粉砕法は、分散液の製造に使用されてよい。また、特に好ましいのは、場合によっては一般に特に微粒状の沈殿物を生じる温度処理下に攪拌しながらの可溶性成分間の化学的反応による湿式化学的な微粒状沈殿である。
【0036】
更に、本発明の対象は、本発明による方法により得ることができる膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマー、殊に10μm未満、100質量ppm未満、特に50質量ppm未満、特に有利に10質量ppm未満の直径を有する粒子の含量を有する膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーならびに血液および/または体液、殊に尿を吸収するための前記の膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーの使用である。
【0037】
更に、本発明の対象は、本発明による方法により得ることができる膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマー、殊に10μm未満、100質量ppm未満、特に50質量ppm未満、特に有利に10質量ppm未満の直径を有する粒子の含量を有する膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマー、但し、この場合この膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーは、少なくとも1つの粉末状添加剤および/またはダスト状添加剤、例えば金属塩、例えば硫酸アルミニウムおよび/または硫酸マグネシウム、熱分解法珪酸、例えばAerosil(登録商標)200、多糖類およびその誘導体、非イオン界面活性剤、ワックス、珪藻土および/または微細な中空球を含有するものとし、ならびに血液および/または体液、殊に尿を吸収するための、前記の膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーの使用である。
【0038】
微細な中空球は、Chem. Ing. Tech. 75, 669 (2003)中に記載されている。微細な中空球は、1〜1000μmの直径を有する、ガス充填されたかまたは排気された球状の固体粒子である。微細な中空球の典型的な壁厚は、直径の1〜10%である。壁材料は、制限されていない。可能な壁材料は、ガラス、セラミック形成性酸化物または混合酸化物、珪酸塩、アルミノケイ酸塩、ポリマー、重縮合物および金属である。
【0039】
本発明による膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーは、典型的には少なくとも20×10−7cm3s/g、特に少なくとも40×10−7cm3s/g、特に有利に少なくとも60×10−7cm3s/gおよびさらになお有利には少なくとも150×10−7cm3s/g、多くの場合に有利には少なくとも300×10−7cm3s/g、の液体転送量(SFC)を有する。また、特に好ましくは、本発明によれば、500〜2000×10−7cm3s/g、のSFCを有するヒドロゲル形成性を得ることができる。
【0040】
粉末状の添加剤は、特に2000μm未満、特に有利に400μm未満の平均粒径を有する。
【0041】
ダスト状添加剤は、200μm未満、特に50μm未満、特に有利に10μm未満の平均粒径を有する。
【0042】
更に、本発明に対象は、本発明により製造された超吸収体を含む衛生製品である。
【0043】
本発明により方法で使用しうる膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーは、殊に架橋(共)重合された親水性モノマーからのポリマー、ポリアスパラギン酸、適当なグラフト主鎖上の1つ以上の親水性モノマーのグラフト(共)重合体、架橋されたセルロースエーテルまたは澱粉エーテルまたは水性液体中で膨潤可能な天然製品、例えばグアール誘導体である。有利には、架橋すべきポリマーは、アクリル酸またはそのエステルに由来するかまたはアクリル酸またはアクリル酸エステルを水溶性ポリマーマトリックス上にグラフト共重合させることによって得ることができた構造単位を含有するポリマーである。前記のヒドロゲルは、当業者に公知であり、例えば米国特許第4286082号明細書、ドイツ連邦共和国特許第2706135号明細書、米国特許第4340706号明細書、ドイツ連邦共和国特許第3713601号明細書、ドイツ連邦共和国特許第2840010号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4344548号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4020780号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4015085号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3917846号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3807289号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3533337号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3503458号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4244548号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4219607号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4021847号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3831261号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3511086号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3118172号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3028043号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4418881号明細書、欧州特許出願公開第0801483号明細書、欧州特許出願公開第0455985号明細書、欧州特許出願公開第0467073号明細書、欧州特許出願公開第0312952号明細書、欧州特許出願公開第0205874号明細書、欧州特許出願公開第0499774号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第2612846号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4020780号明細書、欧州特許出願公開第0205674号明細書、米国特許第5145906号明細書、欧州特許出願公開第0530438号明細書、欧州特許出願公開第0670073号明細書、米国特許第4057521号明細書、米国特許第4062817号明細書、米国特許第4525527号明細書、米国特許第4295987号明細書、米国特許第5011892号明細書、米国特許第4076663号明細書または米国特許第4931497号明細書中に記載されている。前記の特許刊行物の記載内容は、明らかに本明細書の開示内容のかかるヒドロゲルの種類および製造に関する。
【0044】
前記の膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーの製造に適した親水性モノマーは、例えば重合能を有する酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、無水マレイン酸を含めてマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸ならびにそのアミド、ヒドロキシアルキルエステルおよびアミノ基含有エステルまたはアンモニウム基含有エステルおよびアミドならびに酸基を含有するモノマーのアルカリ金属塩および/またはアンモニウム塩である。更に、水溶性N−ビニルアミド、例えばN−ビニルホルムアミドが適当であるかまたはジアリルジメチルアンモニウムクロリドも適当である。好ましい親水性モノマーは、一般式I
【化1】

〔式中、
1は、水素、C1〜C4−アルキル、例えばメチルまたはエチル、またはカルボキシル基を表わし、
2は、−COOR4、ヒドロキシスルホニルまたはホスホニル、C1〜C4−アルカノールでエステル化されたホスホニル基または式II
【化2】

で示される基を表わし、
3は、水素、C1〜C4−アルキル、例えばメチルまたはエチルを表わし、
4は、水素、C1〜C4−アミノアルキル、C1〜C4−ヒドロキシアルキル、アルカリ金属イオンまたはアンモニウムイオンを表わし、
5は、スルホニル基、ホスホニル基またはカルボキシル基、またはそれぞれこれらのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩を表わす〕で示される化合物である。
【0045】
1〜C4−アルカノールの例は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールまたはn−ブタノールである。
【0046】
特に好ましい親水性モノマーは、アクリル酸およびメタクリル酸、ならびにこれらのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩、例えばナトリウムアクリレート、カリウムアクリレートまたはアンモニウムアクリレートである。
【0047】
グラフト重合によってオレフィン系不飽和酸またはそのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩を得ることができる親水性ヒドロゲルに適したグラフト主鎖は、天然に由来していてもよいし、合成に由来していてもよい。例は、澱粉、セルロースまたはセルロース誘導体ならびに別の多糖類およびオリゴ糖類、ポリアルキレンオキシド、殊にポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドならびに親水性ポリエステルである。
【0048】
適当なポリアルキレンオキシドは、例えば式III
【化3】

〔式中、
6、R7は、互いに無関係に水素、C1〜C12−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピルまたはイソピル、C2〜C12−アルケニル、例えばエテニル、n−プロペニルまたはイソプロペニル、C7〜C20−アラルキル、例えばフェニルメチル、1−フェニルエチルまたは2−フェニルエチルまたはアリール、例えば2−メチルフェニル、4−メチルフェニルまたは4−エチルフェニルを表わし、
6は、水素またはメチルを表わし;
nは、1〜10000の整数を表わす〕を有する。
【0049】
6およびR7は、有利に水素、C1〜C4−アルキル、C2〜C6−アルケニルまたはフェニルを表わす。
【0050】
好ましいヒドロゲルは、殊にポリアクリレート、ポリメタクリレートならびに米国特許第4931497号明細書、米国特許第5011892号明細書および米国特許第5041496号明細書中に記載されたグラフトポリマーである。
【0051】
膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーは、有利に架橋されている。即ち、この膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーは、ポリマー網状組織中に重合導入されている、少なくとも2個の二重結合を有する化合物を含有する。適当な架橋剤は、殊にN,N−メチルビスアクリルアミドおよびN,N′−メチレンビスメタクリレート、モノカルボン酸またはポリカルボン酸とポリオールとのエステル、例えばジアクリレートまたはトリアクリレート、例えばブタンジオールジアクリレートまたはエチレングリコールジアクリレート、またはブタンジオールジメタクリレートまたはエチレングリコールジメタクリレートならびにトリメチロールプロパントリアクリレートおよびアリル化合物、例えばアリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、マレイン酸ジアリルエステル、ポリアリルエステル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、テトラアルキルエチレンジアミン、燐酸のアリルエステルならびに例えば、欧州特許出願公開第0343427号明細書中に記載されているようなビニルホスホン酸誘導体である。更に、ポリアリルエーテルを架橋剤として使用しながらアクリル酸を酸単独重合させることによって得られるヒドロゲルも本発明による方法において使用可能である。適当な架橋剤は、ペンタエリトリトールトリアリルエーテルおよびペンタエリトリトールテトラアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、エチレングリコールジアリルエーテル、グリセロールジアリルエーテルおよびグリセロールトリアリルエーテル、ソルビトールをベースとするポリアリルエーテルならびにそのエトキシル化変種である。
【0052】
本発明による方法において使用可能な基礎ポリマーにとって好ましい製造方法は、"Modern Superabsorbent Polymer Technology", F.L. BuchholzおよびA.T. Graham, Wiley-VCH, 1998、第77〜84頁中に記載されている。特に好ましいのは、例えばWO−A−01/38402中に記載されているような混練機中で製造されるかまたは例えば欧州特許出願公開第0955086号明細書中に記載されているようなベルト型反応器上で製造される基礎ポリマーである。
【0053】
吸水性ポリマーは、有利にポリマーのアクリル酸またはポリアクリレートである。前記の吸水性ポリマーは、刊行物から公知の方法により製造されてよい。好ましいのは、架橋コモノマーを0.001〜10モル%、特に0.01〜1モル%の量で含有するポリマーであるが、しかし、特に好ましいのは、ラジカル重合によって得ることができ、付加的になお少なくとも1個の遊離ヒドロキシル基を有する多官能性のエチレン系不飽和ラジカル架橋剤が使用されたポリマーである(例えば、ペンタエリトリトールトリアリルエーテルまたはトリメチロールプロパンジアリルエーテル)。
【0054】
膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーは、自体公知の重合法によって得ることができる。好ましいのは、所謂ゲル重合法による水溶液中での重合である。この場合、例えば1つ以上の親水性モノマーおよび場合によっては適当なグラフト主鎖の15〜50質量%の水溶液は、ラジカル開始剤の存在下で、遊離に機械的混合なしにトロムスドルフ−ノリッシュ効果(Trommsdorff-Norrish-Effekt)(Makromol. Chem. 1, 169 (1947))を利用しながら重合される。重合反応は、0〜150℃、特に10〜100℃の温度範囲内で常圧下ならびに高められた圧力下または減少された圧力下で実施されてよい。通常のように重合は、保護ガス雰囲気中で、特に窒素の下で実施されてもよく、重合の開始のために、エネルギーに富んだ電磁線または通常の化学的重合開始剤、例えば有機過酸化物、例えば過酸化ベンゾイル、第三ブチルヒドロペルオキシド、メチルエチル−ケトンペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、アゾ化合物、例えばアゾジイソブチロニトリルならびに無機ペルオキソ化合物、例えば(NH4228またはK228またはH22が採用されてよい。前記の化学的重合開始剤は、場合によっては還元剤、例えば亜硫酸水素ナトリウムおよび硫酸鉄(II)、または還元性成分として脂肪族スルフィン酸および芳香族スルフィン酸、例えばベンゼンスルフィン酸およびトルエンスルフィン酸またはこれらの酸の誘導体を含有する酸化還元系、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第1301566号明細書中に記載されているようなスルフィン酸とアルデヒドとアミノ化合物とからなるマンニヒ付加物と組み合わせて使用されてよい。ポリマーゲルを50〜130℃、特に70〜100℃の温度範囲内で数時間さらに加熱することによって、ポリマーの品質特性は、なお改善させることができる。
【0055】
得られたゲルは、例えば使用されたモノマーに対して0〜100モル%、有利に5〜90モル%、殊に25〜80モル%、殊に有利に30〜55モル%および70〜75モル%中和され、この場合には、通常の中和剤、有利にアルカリ金属ヒドロキシドまたはアルカリ金属酸化物、特に有利に水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムが使用されてよい。
【0056】
通常、中和は、水溶液または有利に固体としての中和剤を混入することによって達成される。このために、ゲルは、例えば肉挽き機を用いて機械的に微粉砕され、中和剤は、噴霧されるか、散布されるか、または注入され、次に注意深く混合される。そのために、得られたゲル材料は、なお数回均質化のために細切れにされうる。更に、中和されたゲル材料は、ベルト型乾燥機またはロール型乾燥機を用いて残留湿分含量が特に10質量%未満、殊に5質量%未満になるまで乾燥される。この後で、乾燥されたヒドロゲルは、微粉砕され、篩別され、この場合には、微粉砕のために通常、シリンダーミル、ピンドディスクミル(Stiftmuehlen)またはボールミルが使用されてよい。篩別されたヒドロゲルの粒径は、特に45〜1000μmの範囲内、特に有利に45〜850μm、殊に有利に100〜800μm、なおいっそう有利には100〜700μmである。更に、好ましい粒径は、100〜500μmの範囲内、300〜600μm、600μm未満、400μm未満、特に有利に300μm未満、殊に有利には150μm未満である。全粒子の少なくとも80%、有利に少なくとも90%は、前記範囲内にある。
【0057】
膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーの後架橋は、一般に表面後架橋剤の溶液を乾燥した基本ポリマー粉末状に噴霧するようにして実施される。噴霧に引続き、ポリマー粉末は、熱的に乾燥され、この場合架橋反応は、乾燥前ならびに乾燥中に起こりうる。
【0058】
好ましいのは、反応混合機または混合機および乾燥機中、例えばLoedige(登録商標)混合機、BEPEX(登録商標)混合機、NAUTA(登録商標)混合機、SCHUGGI(登録商標)混合機、NARA(登録商標)乾燥機およびPROCESSALL(登録商標)中での架橋剤の溶液の噴霧である。更に、渦動層乾燥機が使用されてもよい。
【0059】
乾燥は、混合機それ自体中で、ジャケットの加熱または熱風の吹き込みによって行なうことができる。後接続された乾燥機、例えば箱形乾燥機、回転管炉または加熱可能なスクリューは、同様に適当である。しかし、例えば共沸蒸留は、乾燥方法として利用されてもよい。
【0060】
好ましい乾燥温度は、50〜250℃の範囲内、有利に60〜200℃、特に有利に70〜180℃である。反応型混合機または乾燥機中での前記温度での好ましい滞留時間は、60分間、有利に30分間、特に有利に10分間である。
【0061】
表面後架橋剤は、単独でかまたは別の表面後架橋剤、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ポリグリセリンジグリシジルエーテル、エピクロロヒドリン、エチレンジアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット、ソルビトール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、2−オキサゾリドン、例えば2−オキサゾリジノンまたはN−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリジノン、モルホリン−2,3−ジオン、例えばN−2−ヒドロキシエチルモルホリン−2,3−ジオン、N−メチルモルホリン−2,3−ジオン、N−エチルモルホリン−2,3−ジオンおよび/またはN−第三ブチルモルホリン−2,3−ジオン、2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン、N−アシル−2−オキサゾリドン、例えばN−アセチル−2−オキサゾリドン、二環式アミドアセタール、例えば5−メチル−1−アザ−4,6−ジオキサ−ビシクロ[3.3.0]オクタン、1−アザ−4,6−ジオキサ−ビシクロ[3.3.0]オクタンおよび/または5−イソプロピル−1−アザ−4,6−ジオキサ−ビシクロ[3.3.0]オクタンおよび/またはビス−2−オキサゾリジノンおよびポリ−2−オキサゾリジノンとの組合せで使用されてよい。
【0062】
表面後架橋剤は、有利に非自己反応性溶剤中、有利に低級アルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、エチレングリコール、特にイソプロパノール、殊に有利にはこのように適当なアルコールの水溶液中に溶解され、この場合この溶液のアルコール含量は、10〜90質量%、特に有利に25〜70質量%、殊に30〜50質量%である。
【0063】
この場合、表面後架橋剤は、使用されたポリマーに対して0.01〜1質量%の量で使用され、架橋剤溶液それ自体は、使用されたポリマーに対して1〜20質量%、有利に3〜15質量%の量で使用される。
【0064】
本発明による膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーのAUL0.7psi値[g/g]は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19909653号明細書中に記載の方法により測定されることができ、有利に10より大きく、殊に15より大きく、特に有利に20より大きく、殊に25より大きく、殊に有利に30より大きい。
【0065】
本発明による膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーは、血液および/または体液を衛生製品中、例えば失禁用製品、月経帯、タンポン、パット中に吸収するのに適している。そのために、本発明による膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーは、繊維、例えばセルロース、ならびに繊維フリースと一緒にして吸収性複合材料に加工されてよい。
【0066】
本発明による方法において使用される樹枝状ポリマーは、非線状の構造のための実際に親水性であるが、しかし、特殊な幾何学的形状のために、熱的後架橋に対する望ましくない能力は、著しく制限され、したがって樹枝状ポリマーは、表面後架橋中に添加されてよい。付加的な混入工程は、不必要である。この場合、膨潤し始めた超吸収体または膨潤した超吸収体中での水溶液の粘度に関連して球状の形は、特に好ましい。これは、高いポリマー使用量の場合でも液体転送量が不変で高いままであるという結果を生じる。
【0067】
樹枝状ポリマーのダスト結合能、殊にダスト状添加剤または粉末状添加剤の結合能は、卓越している。塗布直後ならびに過酷な機械的応力後でも実際に生成物中に微細ダストを殆んど検出することができなかった。
【0068】
最終製品の運搬特性は、表面後架橋の際に使用される溶剤によっても影響を及ぼされる。この場合、プロピレングリコール/水は、イソプロパノール/水と比較して明らかに利点を有する。他面、未反応のプロピレングリコールは、未反応のイソプロパノールとは異なり、劣悪でのみ除去させることができ、最終製品中に留まる。乾燥された最終製品中のアルコール含量は、典型的には5000〜15000質量ppmのプロピレングリコールを使用した場合および有利にイソプロパノールを使用した場合に1000質量ppm未満、有利に500質量ppm未満、特に有利に100質量ppm未満である。
【0069】
本発明による方法における樹枝状ポリマーの添加は、これまでプロピレングリコール/水(水中のプロピレングリコール30質量%)を使用した場合にのみ得ることができた、運搬特性を有する超吸収体を得るために、表面後架橋の際に溶剤としてのイソプロパノール/水(水中のイソプロパノール30質量%)の使用を可能にする。
【0070】
本発明による後処理の性能を測定するために、乾燥されたヒドロゲルは、以下に記載されている試験方法で試験される。
【0071】
方法:
測定は、別記しない限り、23±2℃の環境温度および50±10%の相対空気湿度で実施された。膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーは、測定前に良好に混合される。
【0072】
遠心分離保持能力(CRC Centrifuge Retention Capacity)
この方法の場合には、ティーバッグ中でのヒドロゲルの自由膨潤可能性が測定される。CRCの測定のために、乾燥されたヒドロゲル0.2000±0.0050g(粒子画分106〜850μm)は、60×85mmの大きさのティーバッグ中に計量供給され、引続きこのティーバッグは、溶着される。ティーバッグは、30分間0.9質量%の食塩水の過剰量中に供給される(食塩水少なくとも0.83 l/ポリマー粉末1g)。引続き、このティーバッグは、3分間、250Gで遠心分離される。ヒドロゲルによって堅固に保持された液体量の測定は、遠心分離されたティーバッグの質量を正確に量ることによって行なわれる。
【0073】
また、遠心分離保持能力は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)によって推奨された試験方法No.441.2-02"遠心分離保持能力(Centrifuge retention capacity)"によっても測定されることができる。
【0074】
圧力0.7psi(4830Pa)下での吸収性(AUL Absorbency Under Load)
AUL0.7psiを測定するための測定セルは、60mmの内径および50mmの高さを有するプレキシガラス円筒体であり、この円筒体は、下面に36μmの目開きを有する接着された特殊鋼製篩板を有する。更に、59mmの直径を有するプラスチック板およびプラスチック板と一緒に測定セル中に設置させることができる分銅は、測定セルに属する。プラスチック板の質量および分銅は、一緒になって1344gである。AUL0.7psiの測定を実施するために、空のプレキシガラス円筒体およびプラスチック板の質量が測定され、W0として記録される。更に、膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマー0.900±0.005g(粒径分布150〜800μm)は、プレキシガラス円筒体中に計量供給され、できるだけ均一に特殊鋼製篩板上に分布される。引続き、プラスチック板は、注意深くプレキシガラス円筒体中に設置され、全ての単位は、計量され;この質量は、Waとして記録される。更に、分銅は、プレキシガラス円筒体中のプラスチック板上に設置される。200mmの直径および30mmの高さを有するペトリ皿の中心部に120mmの直径および10mmの高さおよび多孔度0を有するセラミック濾板(Duran, Schott社)が置かれ、液体表面が濾板表面で終わるような程度に0.9質量%の塩化ナトリウム溶液は注入され、この場合濾板の表面は、湿潤されることはない。
【0075】
引続き、90mmの直径および20μm未満の孔径を有する円形の濾紙(S&S 589 Schleicher & Schuell社の黒色テープ)は、セラミック板上に置かれる。更に、膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーを含有するプレキシガラス円筒体は、プラスチック板および分銅と一緒に濾紙上に設置され、そこで60分間放置される。この時間の後、ペトリ皿からなる完全な単位は、濾紙から取り除かれ、引続き分銅は、プレキシガラス円筒体から取り除かれる。膨潤されたヒドロゲルを含有するプレキシガラス円筒体は、プラスチック板と一緒に質量が正確に量られ、この質量は、Wbとして記録される。
【0076】
圧力下(AUL)での吸収量は、次のように計算される:
AUL0.7psi[g/g]=[Wb−Wa]/[Wa−W0
また、圧力下での吸収量は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)によって推奨された試験方法No.442.2-02"圧力下での吸収量(Abdorption under pressure)"によっても測定されることができる。
【0077】
液体転送(SFC食塩水流伝導度)
0.3psi(2070Pa)の圧力負荷下での膨潤されたゲル層の液体転送は、欧州特許出願公開第0640330号明細書中の記載と同様に、超吸収性のポリマーからの膨潤されたゲル層のゲル層透過性として測定され、この場合上記の欧州特許出願公開明細書第19頁および図8に記載の装置は、ガラスフリット(40)がもはや使用されず、プランジャー(39)が円筒体(37)と同様のプラスチック材料からなり、今や全載置面に亘って均一に分布するように21個の同じ大きさの孔を含むように十分に変更されていた。測定の方法および評価は、欧州特許出願公開第0640330号明細書に対して不変のままである。通過流量は、自動的に記録される。
【0078】
液体転送量(SFC食塩水流伝導度)は、次のように計算される:
SFC[cm3/g]=(Fg(t=0)×L0)/(d×A×WP)
この場合、Fg(t=0)は、g/秒でのNaCl溶液の通過流量であり、これは、通過流量測定のデータFg(t)の線形の回帰分析につきt=0に対する外挿法によって得られ、Loは、cmでのゲル層の厚さであり、dは、g/cm3でのNaCl溶液の密度であり、Aは、cm2でのゲル層の面積であり、WPは、dyn/cm2でのゲル層上の静水圧力である。
【0079】
流速(FLR Flow Rate)
この方法の場合には、膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーが漏斗を貫流する速度が測定される。FLRを測定するために、100±0.01の乾燥されたヒドロゲルは、閉鎖可能な金属漏斗中に計量供給される。膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーの質量は、W1として記録される。漏斗は、DIN53492に相当する。漏斗の流出管は、145.0±0.5mmの高さおよび10.00±0.01mmの内径を有する。水平方向に対する漏斗壁の傾斜角度は、20゜である。金属漏斗は、アースされている。引続き、漏斗は、開かれ、この漏斗が空になるまでの時間が測定される。時間は、tとして記録される。
【0080】
測定は、2回実施される。2つの測定値のずれは、最大5%であってよい。
【0081】
流速(FLR)は、次のように計算される:
FLR[g/s]=W1/t
また、流速は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)によって推奨された試験方法No.450.2-02"流速(Flowrate)"によって測定されることができる。
【0082】
流出質量(ASG)
この方法の場合、膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーの密度は、流出後に測定される。測定は、DIN53466に相応する円筒状のピグノメーター(Pygnometer)で実施される。このピグロメーターは、100.0±0.5mlの体積、45.0±0.1mmの内径および63.1±0.1mmの高さを有する。ピグノメーターは、空の状態で計量される。この質量は、W1として記録される。ASGを測定するために、乾燥されたヒドロゲル約100gは、閉鎖可能な金属漏斗中に計量供給される。漏斗は、DIN53492に相当する。漏斗の流出管は、145.0±0.5mmの高さおよび10.00±0.01mmの内径を有する。
【0083】
水平方向に対する漏斗壁の傾斜角度は、20゜である。金属漏斗およびピグノメーターは、アースされている。引続き、漏斗は、ピグノメーター中で空にされ、この場合過剰の膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーは、溢れ出る。上方にある膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーは、スパチュラにより拭い取られる。充填されたピグノメーターは、計量され、質量は、W2として記録される。
【0084】
測定は、2回実施される。2つの測定値のずれは、最大5%であってよい。
【0085】
流出質量(ASG)は、次のように計算される:
ASG[g/ml]=[W2−W1]/V
また、流出質量は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)によって推奨された試験方法No.460.2-02"密度(Density)"によって測定されることができる。
【0086】
破壊試験(脆性試験)
破壊試験により、膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーの挙動は、機械的負荷で測定される。試験は、閉鎖可能な石器容器で実施される。この石器容器は、85.7mm(3 3/8インチ)の直径、111.1mm(4 3/8インチ)の高さおよび379cm3(0.1ガロン)の体積を有する。開口は、31.8mm(1 1/4インチ)の直径を有する。蓋と一緒の高さは、139.7mm(5 1/2インチ)である。石器容器中に、膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマー50gおよび円筒状の石器微粉砕体127gが充填される。石器粉砕体は、12.7mm(1/2インチ)の直径、12.7mm(1/2インチ)の高さおよび約5.3gの単独質量を有する。石器容器は、閉鎖され、シリンダーミルを備えたロールミル(例えば、U.S. Stoneware社, US製)上で180rpmで回転される。
【0087】
ダスト含量(ダスト)
このダスト含量は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)によって推奨された試験方法No.490.2-02"ダスト(Dust)"によって測定されることができる。
【0088】
ケーキング試験(抗ケーキング)
100mlのフラスコ中に膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマー30gは、計量供給される。引続き、このフラスコは、40℃および95%の相対空気湿度で2時間貯蔵される。貯蔵後、この膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーは、流出される。流出挙動は、定量的に評価され、この場合、膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーの表面上で安定した皮膜が形成され、この膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーがフラスコ中に留まることは、"極めて劣悪"を意味し、膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーが完全に流出されることは、"極めて良好"を意味し、フラスコの壁面上で膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーからなる縁部が残ることは、前記の"極めて劣悪"と"極めて良好"の間の値を意味する。
【0089】
実施例
実施例1および2
レーディゲ(Loedige)実験室用混合機中で、基本ポリマーASAP500Zを、それぞれ基本ポリマーに対してイソプロパノール/水3.16質量%(30:70)および2−オキサゾリジノン0.085質量%の噴霧および引続く175℃への加熱によって120分間、後架橋した。この場合には、場合によっては樹枝状ポリマーを添加した。引続き、得られたポリマーを850μmで篩別し、団塊を除去した。生成物を試験し、レーザー落下管法(Laser-Fallrohrmethode)を用いて微細ダスト(10μm未満)に対して分析した。同じ生成物をロールミルにより機械的に崩壊させ、再びダスト含量に対して試験した。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹枝状構造を有する少なくとも1つの親水性ポリマーを含有する膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマー。
【請求項2】
樹枝状構造を有する親水性ポリマーがポリオールと2,2−ジメチロールプロピオン酸とからなるポリエステルである、請求項1記載のポリマー。
【請求項3】
樹枝状構造を有する親水性ポリマーがポリプロピレンイミン、ポリアミドアミンまたはポリエステルアミドである、請求項1記載のポリマー。
【請求項4】
付加的に粉末状の添加剤および/またはダスト状の添加剤を含有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項5】
添加剤が金属塩、熱分解法珪酸、多糖類、非イオン界面活性剤、ワックスおよび/または珪藻土である、請求項4記載のポリマー。
【請求項6】
添加剤が微細な中空球の形で存在し、この中空球の直径が1〜1000μmであり、この場合この微細な中空球の壁厚は、直径の1〜10%である、請求項4または5記載のポリマー。
【請求項7】
10μm未満の直径を有する粒子の含量が50質量ppm未満である、請求項1から6までのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項8】
10μm未満の直径を有する粒子の含量が機械的負荷後に50質量ppm未満である、請求項1から7までのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項9】
膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーの製造法において、ヒドロゲルを樹枝状構造を有する親水性ポリマーで後処理することを特徴とする、膨潤可能なヒドロゲル形成性ポリマーの製造法。
【請求項10】
樹枝状構造を有する親水性ポリマーとしてポリオールと2,2−ジメチロールプロピオン酸とからなるポリエステルを使用する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
樹枝状構造を有する親水性ポリマーとしてポリプロピレンイミン、ポリアミドアミンまたはポリエステルアミドを使用する、請求項9記載の方法。
【請求項12】
後処理を表面後架橋と一緒に実施する、請求項9から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの表面後架橋剤を含有する溶剤がイソプロパノールと水とからなる混合物である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
血液および/または体液を吸収するための請求項1から8までのいずれか1項に記載のポリマーの使用。
【請求項15】
尿を吸収するための請求項14記載の使用。
【請求項16】
請求項1から8までのいずれか1項に記載のポリマーを含有する衛生製品。

【公表番号】特表2007−534785(P2007−534785A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544355(P2006−544355)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014396
【国際公開番号】WO2005/061014
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】