説明

優れた放熱黒色樹脂組成物、これを利用した亜鉛めっき鋼板処理方法、及びこれにより処理されためっき鋼板

本発明は、放熱性、加工性、耐食性、耐溶剤性、塗膜密着性、及び光沢に優れ、クロムを含有せず、亜鉛めっき鋼板の表面処理に利用される放熱黒色樹脂組成物、これを利用した亜鉛めっき鋼板処理方法、及びこれにより処理された亜鉛めっき鋼板に関する。本発明は、放熱黒色樹脂組成物100重量部に対して、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、及びポリカーボネート樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の主剤樹脂:メラミン系硬化剤が10:2〜7の重量比で配合された樹脂組成物10〜60重量部、カーボンブラック及びカーボンナノチューブからなる群から選択される少なくとも1種の顔料1〜10重量部、艶消し剤1〜10重量部、並びに残余部の溶媒を含む放熱黒色樹脂組成物を提供する。また、本発明は、鋼板に本発明による放熱黒色樹脂組成物を乾燥塗膜の厚さが3〜30μmとなるように塗布し、これを乾燥する、鋼板を放熱黒色樹脂組成物で処理する方法、及びこれにより処理された鋼板を提供する。本発明による樹脂コーティング処理された鋼板は、樹脂層の厚さが薄く、かつ吸放熱特性に優れ、耐食性、プレス加工性、表面電気伝導性、及び耐溶剤性に優れ、クロム成分を含有しないため環境に優しい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱性、加工性、及び耐食性に優れた放熱黒色樹脂組成物、これを利用した亜鉛めっき鋼板処理方法、及びこれにより処理されためっき鋼板に関し、特に、放熱性、加工性、耐食性、耐溶剤性、塗膜密着性、及び光沢に優れ、クロムを含有せず、亜鉛めっき鋼板の表面処理に利用される放熱黒色樹脂組成物、これを利用した亜鉛めっき鋼板処理方法、及びこれにより処理された亜鉛めっき鋼板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の高性能化、小型化、及び高機能化により、電子部品及び回路の発熱量が増加し、機器の内部温度が上昇することによって、半導体素子の誤作動、抵抗体部品の特性変化、部品の寿命低下などの問題が発生している。このような問題を解決するための放熱対策として様々な技術が適用されている。ヒートシンク、ファン、パイプなどが利用されているが、近年、放熱性に優れた材料を使用することによって相当な利点と効果を得ている。
【0003】
上記の観点から、鋼板に吸熱及び/又は放熱特性を与える試みがなされている。すなわち、カーボンブラックあるいはチタニアなどのように、赤外線波長領域で熱放射率に優れた顔料を高分子樹脂に混合して、鋼板に塗膜を形成することにより、鋼板に吸熱及び/又は放熱特性を与える技術が試みられている。このような方法は、箱状鋼板を使用する機器に適用した場合、内部の熱を外部に効果的に放出することができる。
【0004】
このような方法を用いる場合、優れた吸熱及び/又は放熱特性を得るためには、顔料を多量含めなければならない。この結果、塗膜厚が厚くなるので、製造コストが増加し、電気的抵抗が増加する。電子機器から発生する電磁気波を防止するためには、静電気アース性が要求されるので、鋼板表面の良好な電気伝導性が必要である。
【0005】
また、近年、表面電気伝導性と電磁気波遮蔽性を有する鋼板を製造するために、鋼板を表面処理するための樹脂組成物にNi、Cuなどの高価な金属粉末を添加する方法が用いられている。しかしながら、このような技術は、製造コストが高く、プレス仕上げ工程時にスクラッチが発生するという欠点があった。さらに、近年、Zn−Ni鋼板の表面を黒色酸化処理した後に樹脂組成物でコーティングした黒色樹脂被覆鋼板が提示されているが、良好で滑らかな表面を得ることが難しく、耐食性及び優れた表面導電性を得るのに限界があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、放熱性、加工性、耐食性、耐溶剤性、塗膜密着性、及び光沢に優れ、クロムを含有せず、鋼板の表面処理に利用される放熱黒色樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、上記本発明による放熱黒色樹脂組成物で鋼板の表面を処理する方法を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、上記本発明の方法により処理された、放熱性、加工性、耐食性、耐溶剤性、塗膜密着性、及び光沢性などの優れた物理的特性を有し、クロムを含まない、樹脂処理された鋼板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、放熱黒色樹脂組成物100重量部に対して、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、及びポリカーボネート樹脂からなる群から選択された少なくとも1種の主剤樹脂とメラミン系硬化剤が10:2〜7の重量比で配合された樹脂組成物10〜60重量部、カーボンブラック及びカーボンナノチューブからなる群から選択された少なくとも1種の顔料1〜10重量部、艶消し剤1〜10重量部、並びに残部の溶媒を含む、放熱黒色樹脂組成物が提供される。
【0010】
本発明の他の態様によれば、鋼板に本発明による放熱黒色樹脂組成物を乾燥塗膜の厚さが3〜30μmとなるように塗布する段階と、鋼板に塗布された放熱黒色樹脂組成物を乾燥する段階とを含む、鋼板を放熱黒色樹脂組成物で処理する方法が提供される。
【0011】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明による放熱黒色樹脂組成物を含む乾燥塗膜の厚さが3〜30μmである放熱樹脂層を有する鋼板が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明により提供される放熱黒色樹脂組成物でコーティング処理された亜鉛めっき鋼板は、既存の放熱黒色樹脂組成物と比べた場合、樹脂層の厚さが薄く、かつ吸放熱特性に優れ、耐食性、プレス加工性、表面電気伝導性、及び耐溶剤性に優れ、クロム成分を含有しないため環境に優しい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態による、基材鋼板の片面に放熱黒色樹脂層を有する亜鉛めっき鋼板の側断面図である。
【図2】本発明の他の例示的な実施形態による、基材鋼板の両面に放熱黒色樹脂層を有する亜鉛めっき鋼板の側断面図である。
【図3】本発明の実施例で使用された、吸熱及び放熱性試験装置を示す略図である。
【図4】発明の実施例16及び比較例3〜5の鋼板の放熱温度を測定した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明による放熱黒色樹脂組成物は、鋼板に優れた放熱性、加工性、耐食性、耐溶剤性、塗膜密着性、及び光沢を付与するように、鋼板の表面処理に使用されるものであり、クロムを含有しない。ここで、放熱黒色樹脂組成物は以下のように配合される。特に、本発明の放熱黒色樹脂組成物による物性は、選択された樹脂及びメラミン系硬化剤と共に使用したときに向上する。
【0015】
本発明による放熱黒色樹脂組成物に使用できる主剤樹脂は、例えば、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、及びポリカーボネート樹脂を含むが、これらに限定されない。主剤樹脂は、単独または、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0016】
主剤樹脂としては、2000〜20000の分子量を有するものを使用することが好ましい。分子量が2000未満であると、塗膜の耐溶剤性が不十分であり、分子量が20000を超えると、溶液の安定性が不十分であるので、好ましくない。
【0017】
メラミン系硬化剤を硬化剤として使用することができ、硬化剤の例としては、メラミン、ブトキシメチルメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、及びトリメトキシメチルメラミンを含むが、これらに限定されない。メラミン系硬化剤は、単独または、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0018】
本発明による放熱黒色樹脂組成物で、主剤樹脂と硬化剤は主剤樹脂:メラミン系硬化剤が10:2〜7の重量比、好ましくは10:3〜5の重量比で配合された樹脂組成物として使用される。ここで、主剤樹脂及びメラミン系硬化剤が配合された樹脂組成物は、放熱黒色樹脂組成物100重量部に対して10〜60重量部配合することができる。
【0019】
主剤樹脂とメラミン系硬化剤の配合比が10:2〜7の重量比から外れると、緻密な被膜が形成されないので塗膜の物性が低下する。
【0020】
主剤樹脂とメラミン系硬化剤とからなる樹脂組成物の含量が10重量部未満であると、耐食性、加工性は十分に改善されず、樹脂組成物の含量が60重量部を超えると、樹脂の含量が高すぎて粘度が高くなり、表面導電性が低下し、また、粘度が高くなって塗膜の物性も低下する。
【0021】
本発明の放熱黒色樹脂組成物に添加される顔料であるカーボンブラック及び/又はカーボンナノチューブは、放熱黒色樹脂組成物100重量部に対して1〜10重量部、好ましくは3〜7重量部配合することができる。顔料の含量が1重量部未満添加されると、十分な吸熱及び/又は放熱特性を得ることが難しい。反対に、顔料の含量が10重量部を超えると、溶液の粘度が高くなり、耐溶剤性及び塗膜密着性が低下して、物性が低下する。
【0022】
本発明による放熱黒色樹脂組成物に添加される顔料であるカーボンブラック及び/又はカーボンナノチューブとしては、例えは、PrintexTM(デグサ、ドイツ)、HighblackTM(コリアカーボンブラック株式会社)などを含む。顔料は、単独または、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0023】
顔料は、平均粒径が10〜30nmであることが好ましい。平均粒径が10nm未満であると、分散が容易でなく、30nmを超えると、粘度が過度に上昇するので、好ましくない。
【0024】
本発明の放熱黒色樹脂組成物に添加される艶消し剤は、シリカ、酸化マグネシウム、ジルコニア、アルミナ、及びチタニアを含むが、これらに限定されない。艶消し剤は、単独または、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0025】
艶消し剤としては、平均粒子の大きさが10μm以下のものを使用することが好ましい。平均粒子の大きさが10μmを超えると、塗膜の物性が悪くなる。艶消し剤は、平均粒子の大きさが10μm以下のものであり、10μmより小さい艶消し剤は本発明による組成物の使用に適している。しかしながら、艶消し剤の平均粒子の大きさの下限は特に限定しない。
【0026】
艶消し剤は、放熱黒色樹脂組成物100重量部に対して1〜10重量部配合することができる。艶消し剤の含量が1重量部未満であると、家電機器において好ましい範囲の光沢を得ることができず、10重量部を超えると、光沢が低すぎて審美的効果を得ることが難しい。
【0027】
放熱黒色樹脂組成物ならびに主剤樹脂、メラミン系硬化剤、顔料、及び艶消し剤で処理された鋼板の物性をより改善するために、本発明の放熱黒色樹脂組成物は、必要に応じて、架橋促進化合物、ワックス、硬化触媒、顔料凝集防止剤、消泡剤、リン酸塩系添加剤、シラン化合物等からなる群から選択される添加剤を少なくとも1種含むことができる。
【0028】
架橋促進化合物は、放熱黒色樹脂組成物の硬化を促進し、塗膜の耐食性を維持及び向上させるために、必要に応じて添加するものである。ここで、架橋促進化合物はチタン化合物及び/又はジルコニウム化合物を使用することができるが、特にこれらに限定されない。
【0029】
チタン化合物は、例えば、イソプロピルジトリエタノールアミノチタネート、乳酸チタンキレート、及びチタンアセチルアセトネートを含むが、特にこれらに限定されない。ジルコニウム化合物は、例えば、乳酸ジルコニウム、ジルコニウムアセチルアセトネート、及びジルコニウムトリエタノールアミネートを含むが、これらに限定されない。架橋促進化合物として、チタン化合物及び/又はジルコニウム化合物は単独で、または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
架橋促進化合物は、本発明による放熱黒色樹脂組成物100重量部に対して最高5重量部、好ましくは0.5〜5重量部を使用することができる。5重量部を超えると、硬化促進化合物の使用量の増大によるそれ以上の物性改善効果を期待することが困難であり、製造コストが上昇するので、好ましくない。架橋促進化合物は、任意の成分であり、配合量の下限が限定されるものではないが、架橋促進化合物の添加による放熱黒色樹脂組成物の十分な硬化の促進及び高耐食性の確保のためには、放熱黒色樹脂組成物100重量部に対して0.5重量部以上で配合することが好ましい。
【0031】
また、本発明による放熱黒色樹脂組成物には、自己潤滑性を与えるために、潤滑用ワックスを添加することができる。ワックスは、ポリオレフィンワックス、エステルワックス、及びポリエチレンワックスを含むが、特にこれらに限定されない。ワックスは、単独で、または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0032】
粒径が0.1〜2.0μmのワックスを潤滑剤として使用することが好ましい。ワックスの粒径が0.1μm未満であると、潤滑性が不足し、2.0μmを超えると、溶液の安定性が低下するので、好ましくない。
【0033】
ワックスは、放熱黒色樹脂組成物100重量部に対して5重量部以下配合することができる。ワックスの含量が5重量部を超えると、ワックスの含量増大によるそれ以上の潤滑増大効果が発揮されず、かえって、要求される耐食性及び溶液保存安定性が低下する。ワックスは、任意の成分であり、配合量の下限が限定されるものではないが、ワックスの添加による十分なコーティング塗膜の潤滑性を確保し、加工及び成形性向上効果をするためには、放熱黒色樹脂組成物100重量部に対して0.1重量部以上で配合することが好ましい。
【0034】
また、本発明による放熱黒色樹脂組成物には、硬化触媒を添加することができる。触媒は、ドデシルベンゼンスルホン酸及びパラトルエンスルホン酸を含むが、特にこれに限定されない。触媒は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用してもよい。触媒は、放熱黒色樹脂組成物100重量部に対して最高5重量部配合することができる。触媒の含量が5重量部を超えると、樹脂組成物の溶液安定性が低下する。硬化触媒は、任意の成分であり、配合量の下限が限定されるものではないが、硬化触媒の添加による十分な硬化反応触媒性能を示して樹脂組成物の被膜を完全にコーティングするためには、放熱黒色樹脂組成物100重量部に対して0.1重量部以上で配合することが好ましい。
【0035】
また、本発明の放熱黒色樹脂組成物には、必要に応じて、顔料凝集防止分散剤を添加することができる。顔料凝集防止分散剤は、商品名BYK−170(ビックケミー社)を含むが、特にこれに限定されない。
【0036】
顔料凝集防止分散剤は、放熱黒色樹脂組成物100重量部に対して最高2重量部で配合することができる。顔料凝集防止分散剤の含量が2重量部を超えると、鋼板上に形成された樹脂組成物塗膜の物性が低下する。顔料凝集防止分散剤は、任意の成分であり、配合量の下限が限定されるものではないが、添加による十分な顔料分散効果を示すようにするためには、放熱黒色樹脂組成物100重量部に対して0.1重量部以上で配合することが好ましい。
【0037】
さらに、放熱黒色樹脂組成物には、気泡を除去するために、必要に応じて、消泡剤を添加することができる。消泡剤は、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、及びN−メチルプロパノールアミンを使用することができ、これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0038】
消泡剤は、放熱黒色樹脂組成物100重量部に対して最高2重量部配合することができる。消泡剤の含量が2重量部を超えると、コーティング鋼板の表面品質が低下する。消泡剤は、任意の成分であり、配合量の下限が限定されるものではないが、添加による十分な気泡除去効果を示すように、放熱黒色樹脂組成物100重量部に対して0.1重量部以上で配合することが好ましい。
【0039】
放熱黒色樹脂組成物には、シリカ、アルミナなどのセラミック粉末の使用により増加するアルカリ度を抑制し、耐溶剤性と保存安定性を向上させるために、必要に応じて、リン酸塩系添加剤を添加することができる。
【0040】
リン酸塩系添加剤は、リン酸亜鉛、リン酸マグネシウムなどを含むが、特にこれらに限定されなく、これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0041】
リン酸塩系添加剤は、放熱黒色樹脂組成物100重量部に対して最高2重量部配合することができる。リン酸塩系添加剤の含量が2重量部を超えると、酸度が強すぎて放熱黒色樹脂組成物の凝集現象を発生させ、保存安定性に問題を生じることがある。リン酸塩系添加剤は、任意の成分であり、配合量の下限が限定されるものではないが、十分なアルカリ度低下効果を示すように、放熱黒色樹脂組成物100重量部に対して0.1重量部以上で配合することが好ましい。
【0042】
また、本発明による放熱黒色樹脂組成物には、必要に応じて、シラン化合物を添加することができる。シラン化合物は、塗膜を堅固にし、光沢度を向上させる作用をする。シラン化合物は、例えば、3−アミノプロピルトリエポキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタグリオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、及びγ−グリシドキシトリメチルジメトキシシランなどを含むが、特にこれらに限定されるものではない。シラン化合物は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0043】
シラン化合物は、放熱黒色樹脂組成物100重量部に対して最高2重量部配合することができる。シラン化合物の含量が2重量部を超えると、未反応のシラン化合物が塗膜内に残存して塗膜の物性が悪くなり、樹脂の凝集現象が発生して保存安定性に問題が生じることがある。シラン化合物は、任意の成分であり、配合量の下限が限定されるものではないが、添加による十分な光沢度及び堅固な塗膜の形成のためには、放熱黒色樹脂組成物100重量部に対して0.1重量部以上で配合することが好ましい。
【0044】
上記本発明による放熱黒色樹脂組成物における残余部は溶媒であり、溶媒としては、トルエン、溶剤ナフサ、セロソルブ、酢酸セロソルブ、ブチルセロソルブなどを使用することができる。溶媒は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0045】
放熱黒色樹脂組成物の粘度は、溶媒の含量によって調節され、溶媒の含量は、特に限定されるものではなく、当業者であれば当該技術分野における通常の技術に応じてその含量を適切に調節すればよい。溶媒の含量は、例えば、フォードカップ(Ford Cup)#4から排出されるのに20〜100秒がかかる程度の粘度となるように調節することが好ましいが、特にこれに限定されない。
【0046】
以下、本発明による放熱黒色樹脂組成物を利用した鋼板処理方法について説明する。
【0047】
まず、鋼板に上記本発明による放熱黒色樹脂組成物を乾燥塗膜の厚さが3〜30μm、好ましくは5〜20μmとなるように塗布する。鋼板に放熱黒色樹脂組成物を塗布する際、乾燥塗膜の厚さが3μm未満となるように塗布されると、塗膜の耐溶剤性及び放熱性が悪く、30μmを超えると、製造コストが高くなる。
【0048】
鋼板としては、亜鉛めっき鋼板、具体的には、溶融亜鉛めっき鋼板(galvanizing steel)(GI)、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(galvannealed steel)(GA)、及び電気亜鉛めっき鋼板(electrogalvanized steel)などを使用することができる。さらに、防食処理された鋼板も、本発明の放熱黒色樹脂組成物で処理することができる。
【0049】
上記本発明による放熱黒色樹脂組成物は、鋼板の片面又は両面に塗布することができる。塗布は、通常の方法で行うことができるが、特にこれに限定されない。上記の適用では、例えば、バーコータあるいはロールコータ方法を用いることができる。
【0050】
鋼板に放熱黒色樹脂組成物を塗布した後、塗布された放熱黒色樹脂組成物を乾燥させることによって、鋼板は、放熱黒色樹脂組成物で処理される。乾燥は、熱風加熱方式あるいは誘導加熱方式で行うことができるが、本発明は特にこれらに限定されない。
【0051】
熱風加熱方式の場合、160〜340℃の雰囲気温度で10〜50秒間乾燥を行えばよい。温度が160℃未満であると、樹脂の硬化時間は長すぎる。一方で、340℃を超えると、オーブンの性能を超えてしまう。また、温度の範囲で10〜50秒間乾燥させると、塗布された組成物は十分に乾燥される。乾燥時間が10秒未満であると十分に乾燥されず、50秒より長く乾燥させることは非経済的である。
【0052】
誘導加熱方式の場合、周波数範囲5〜50MHz、電力3〜15KWで1〜10秒間乾燥を行えばよい。周波数範囲5〜50MHz、電力3〜15KW、及び乾燥時間1〜10秒から外れると、塗布された組成物が十分に乾燥されなくなったり、硬化時間が長くなったり、経済的でない。よって、周波数範囲、電力及び乾燥時間範囲で乾燥させることが好ましい。
【0053】
鋼板を放熱黒色樹脂組成物でコーティングした後、放熱黒色樹脂組成物は低温で硬化することができる。ここで、乾燥温度は、PMT(Peak Metal Temperature)であり、150〜280℃の温度で乾燥することが好ましい。150℃未満では、十分な乾燥に長時間が要求され、約280℃であれば十分に乾燥されるので、これ以上の温度増加は非経済的である。
【0054】
上記本発明による放熱黒色樹脂組成物及び処理方法により処理された鋼板は、片面あるいは両面に薄膜の放熱黒色樹脂塗膜層、より具体的には、組成物を乾燥した場合、厚さが3〜30μm、好ましくは5〜20μmである、本発明の放熱黒色樹脂組成物で被膜された塗膜である。ここで、塗膜は、クロムが含有されておらず、放熱性、加工性、特にプレス加工性、耐食性、耐溶剤性、塗膜密着性、及び光沢に優れたものである。
【0055】
図1及び図2は本発明の放熱黒色樹脂鋼板の側断面図である。図1に示すように、本発明の鋼板は、鋼板の両面に亜鉛めっき層が形成され、亜鉛めっき層の一面に本発明の放熱黒色樹脂組成物の樹脂層が形成されたものであってもよいが、特にこれに限定されない。また、図2に示すように、本発明の鋼板は、亜鉛めっき鋼板の両面に本発明の放熱黒色樹脂組成物で形成される放熱黒色樹脂層で提供されてもよい。
【0056】
また、本発明の被膜が形成された鋼板は、優れた吸熱及び/又は放熱特性を示し、特に塗膜が黒色を帯びるほど優れた吸熱及び/又は放熱特性を示す。本発明の鋼板は、外観に優れた高級家電用亜鉛めっき鋼板として使用することができる。
【0057】
以下、本発明を例示的な実施例に基づいてより詳細に説明する。しかしながら、本明細書中で提案する記載は、単なる例示の目的に好適な実施例であり、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0058】
1.実施例で使用される亜鉛めっき鋼板
片面めっき量20g/mで両面に亜鉛めっきされた電気亜鉛めっき鋼板(EG、鋼板厚0.8mm)を使用した。
【0059】
2.放熱黒色樹脂組成物及び試片の製造
主剤樹脂とメラミン系硬化剤を10:4の重量比で混合した。それぞれの得られた樹脂組成物、カーボンブラック、艶消し剤、チタネートを、放熱黒色樹脂組成物100重量部に対してそれぞれ下記表1の含量で配合した。また、その他の添加剤として、放熱樹脂組成物100重量部に対して、ポリエチレンワックスを1重量部、硬化触媒としてパラトルエンスルホン酸を2重量部、顔料凝集防止剤としてBYK−170(登録商標)(ビックケミー社)を0.5重量部、消泡剤としてN−メチルエタノールアミンを0.5重量部、リン酸塩系添加剤としてリン酸亜鉛を0.5重量部、及びシラン化合物としてγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを1重量部添加し、ジルコニアボールを入れ、高速撹拌器で3000rpmの速度で30分間撹拌することにより、放熱黒色樹脂組成物を作成した。ポリエステル樹脂を主剤樹脂として使用した。艶消し剤としては、シリカとチタニアを9:1の重量比で混合して使用し、艶消し剤として使用されたシリカ及びチタニアは、平均粒子の大きさが3〜10μmであるものを使用した。トリメトキシメチルメラミンをメラミン系硬化剤として使用した。使用されたポリエチレンワックスの平均粒子の大きさは約0.5〜1.5μmであり、顔料として使用されたカーボンブラックは平均粒径が約15〜25nmであった。一方、放熱樹脂組成物は、溶媒としてシンナー(セロソルブアセテート)を使用し、フォードカップ#4(DIN 53211)からの排出に、約30〜60秒がかかる粘度となるように配合した。
【0060】
その後、製造された発明例及び比較例の放熱樹脂組成物を、乾燥塗膜の厚さが8μmとなるように鋼板の一面にバーコーティング後、PMT200℃で乾燥させることにより、樹脂組成物で処理された放熱鋼板の試片を製造した。
【0061】
下記表1に発明例の樹脂組成物の成分及び組成を示す。下記表1の組成は放熱黒色樹脂組成物100重量部を基準に示すものである。添加物を除いた残りは溶剤であるシンナーである。
【0062】
比較例1としては、A社市販の電気亜鉛めっき鋼板(鋼板の厚さ0.8mm、片面めっき量20g/m、コーティング層はポリエステル樹脂及びシリカ艶消し剤を含み、樹脂コーティング層の厚さ23μm)、比較例2としては、B社市販の鋼板(鋼板の厚さ0.8mm、片面亜鉛めっき量20g/m、コーティング層はポリエステル樹脂、シリカ艶消し剤、及びNi金属粉末などを含み、コーティング層の厚さ9μm)、比較例3としては、C社市販の耐指紋鋼板(鋼板の厚さ0.8mm、樹脂塗布量1000mg/m)、比較例4としては、PDPテレビパネルとして使用されるD社市販の溶融亜鉛めっき鋼板(Al(重量%)を含み、ガルバリウム鋼板、鋼板の厚さ0.8mm、片面めっき量60g/m)、比較例5としては、D社市販のアルミニウム鋼板(鋼板の厚さ0.8mm)を使用した。
【0063】
【表1】

【0064】
3.物性評価
下記条件で発明例及び比較例の鋼板の性能を評価し、その結果を下記表2に示す。
【0065】
1)吸熱及び放熱特性
図3に示す試験装置を製作し、発明例及び比較例の鋼板の吸熱及び放熱特性を評価した。図3に示す試験装置は、外部がスチロフォーム(a)からなり、スチロフォームの内部はアルミホイル(c)で覆われ、試験装置の底の中央部にはヒーター(b)が設けられている。ヒーター(b)の上部には輻射防止用アルミニウム板(f)が設けられている。ヒーター(b)と試験装置の上端間の中間部分には、図3に示すように、温度測定計(d)がヒーター(b)の中央に位置するように設けられている。測定しようとする試片を試験装置の開口した上部に設置し、ボックスの内部温度の変化を測定した。試験装置の大きさは200 mm ×200 mm ×200mmであった。
【0066】
製造された黒色放熱鋼板の試片を横200mm×縦200mmの試片にした後、試験装置の開口した上部に取り付けて密封した。放熱温度は、コーティング処理していないEG鋼板に対するコーティング鋼板の内部温度差(ΔT)を計算して評価した。
【0067】
また、発明例16及び比較例3〜5の鋼板の放熱温度を測定した結果を図4にグラフで示す。下記表2に示すように、発明例16の鋼板が比較例3〜5の鋼板に比べて優れた放熱特性を示すことが分かる。
【0068】
2)加工性
放熱コーティング鋼板の表面に1mm間隔で碁盤状の目盛りを100個つけ、Ericsen加工後、スコッチテープで塗膜を剥離させたとき、剥離して6mmのスコッチテープに付着した塗膜の数で塗膜の密着性を評価した。
[評価基準]
優秀:剥離なし
良好:剥離率5%未満
不良:剥離率5%以上
【0069】
3)耐食性
平板耐食性は、ASTM B117に規定した方法により塩水噴霧実験を行った後、放熱黒色樹脂コーティング黒色鋼板の耐食性を測定した。評点は5%の錆が発生するまでの時間で評価した。黒色樹脂コーティング鋼板は、次の基準で評価した。
[評価基準]
優秀:120時間後、白さび発生面積5%未満
良好:72〜120時間後、白さび発生面積5%未満
不十分:48〜72時間後、白さび発生面積5%未満
不良:48時間後、白さび発生面積5%以上
【0070】
仕上げの部耐食性は、試片のXカット(X−cut)部位に対する塩水噴霧実験後、ブリスター(blister)の発生幅で評価した。
[評価基準]
優秀:2mm未満
良好:3〜5mm
不良:5mm以上
【0071】
4)塗膜密着性
ASTM D3359に規定した方法に基づいて、放熱黒色樹脂コーティング鋼板の試片を50℃の蒸留水に入れて240時間浸漬した後に乾燥させる。その試片の塗膜の表面に1mm間隔で碁盤状の目盛りを100個つけた後、スコッチテープで塗膜を剥離させたとき、剥離してスコッチテープに付着した塗膜の数で塗膜の密着性を評価した。
[評価基準]
優秀:塗膜剥離数0
良好:塗膜剥離数1〜3
不良:塗膜剥離数4以上
【0072】
5)耐溶剤性
黒色樹脂コーティング鋼板を50mmx100mmの試片にした後、メチルエチルケトン又はアセトンで濡らしたガーゼで黒色樹脂コーティング鋼板をこしたとき、塗膜が剥離するまでの回数(約1Kgfの力)で判定した。
[評価基準]
優秀:20回以上
良好:10〜20回
不十分:5〜10回
不良:5回以下
【0073】
6)電気伝導性
表面電気伝導度は、LORESTA GP(三菱化学株式会社)四探針法で測定し、80mmx150mmの試片を9回繰り返し測定し、平均値で評価した。
[評価基準]
優秀:10MΩ以下
良好:10〜100MΩ
不良:1000MΩ以上
【0074】
7)耐指紋性
耐指紋性は、コーティング鋼板を人工指紋液に5秒間浸漬した後、色差変化(△E)を測定して評価した。
[評価基準]
優秀:ΔΕ≦0.5
良好:0.5≦ΔΕ≦2.0
不良:ΔΕ≧2.0
【0075】
8)溶液安定性
本発明の放熱黒色樹脂組成物を60℃の恒温装置内に2週間保存した後の組成物の粘度上昇、ゲル化、及び沈殿状態を観察した。その後、試片の溶液安定性を次の基準で評価した。
[評価基準]
優秀:組成物の粘度上昇、ゲル化、沈殿などの変化なし
良好:組成物の5%以内の粘度上昇の変化のみ観察
不良:組成物の5%以上の粘度上昇、ゲル化、及び沈殿などの変化あり
【0076】
【表2】

【0077】
本発明の方法により処理された鋼板は、低温硬化が可能であるだけでなく、薄膜コーティング層であるにもかかわらず、他の比較例に比べて優れた放熱特性を示す。また、本発明の方法により鋼板を処理したとき、誘導加熱による急速加熱においても優れた塗膜物性を示す。
【0078】
比較例1の鋼板は、厚膜型黒色樹脂鋼板であり、塗膜物性は優れているが、表面電気伝導性が不良である。比較例2は、混入した金属粒子によりプレス加工時塗膜にスクラッチが発生し、耐溶剤性が悪い。比較例3は、電気亜鉛めっき鋼板に付着量1〜2g/mの耐指紋樹脂組成物をコーティングした鋼板であり、全くコーティング処理していないEG鋼板に比べて、2℃の温度減少効果を示す。比較例4は、PDPテレビ部品として使用されるガルバリウム鋼板であり、放熱特性は耐指紋鋼板と類似した傾向を示すが、耐食性が悪い。比較例5は、PDPテレビ部品用に使用されるアルミニウム鋼板であり、表面の熱反射特性により耐指紋鋼板に比べて−4℃(EG鋼板に比べては−2℃)の放熱特性を示す。それに対し、発明例3、4、14、16、及び17の場合は、10℃の内部温度減少効果を示す。PDP用に使用されるアルミニウム鋼板に比べて、12℃の優れた放熱特性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱黒色樹脂組成物100重量部に対して、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、及びポリカーボネート樹脂からなる群から選択された少なくとも1種の主剤樹脂:メラミン系硬化剤が10:2〜7の重量比で配合された樹脂組成物10〜60重量部、カーボンブラック及びカーボンナノチューブからなる群から選択された少なくとも1種の顔料1〜10重量部、艶消し剤1〜10重量部、及び残余部の溶媒を含む、放熱黒色樹脂組成物。
【請求項2】
前記主剤樹脂は、分子量が2000〜20000である、請求項1に記載の放熱黒色樹脂組成物。
【請求項3】
前記メラミン系硬化剤は、メラミン、ブトキシメチルメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、及びトリメトキシメチルメラミンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の放熱黒色樹脂組成物。
【請求項4】
前記主剤樹脂と前記メラミン系硬化剤の混合比率が10:3〜5である、請求項1に記載の放熱黒色樹脂組成物。
【請求項5】
前記顔料は、平均粒径が10〜30nmである、請求項1に記載の放熱黒色樹脂組成物。
【請求項6】
前記艶消し剤は、シリカ、酸化マグネシウム、ジルコニア、アルミナ、及びチタニアからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の放熱黒色樹脂組成物。
【請求項7】
架橋促進化合物、ワックス、硬化触媒、顔料凝集防止剤、消泡剤、リン酸塩系添加剤、及びシラン化合物からなる群から選択される少なくとも1種をさらに含む、請求項1に記載の放熱黒色樹脂組成物。
【請求項8】
前記架橋促進化合物は、ジルコニウム化合物及び/又はチタン化合物である、請求項7に記載の放熱黒色樹脂組成物。
【請求項9】
前記チタン化合物は、イソプロピルジトリエタノールアミノチタネート、乳酸チタンキレート、及びチタンアセチルアセトネートからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項8に記載の放熱黒色樹脂組成物。
【請求項10】
前記ジルコニウム化合物は、乳酸ジルコニウム、ジルコニウムアセチルアセトネート、及びジルコニウムトリエタノールアミネートからなる群から選択された少なくとも1種である、請求項8に記載の放熱黒色樹脂組成物。
【請求項11】
前記架橋促進化合物は、前記放熱黒色樹脂組成物100重量部に対して、5重量部以下で配合される、請求項7に記載の放熱黒色樹脂組成物。
【請求項12】
前記ワックスは、ポリオレフィンワックス、エステルワックス、及びポリエチレンワックスからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項7に記載の放熱黒色樹脂組成物。
【請求項13】
前記ワックスは、前記放熱黒色樹脂組成物100重量部に対して、5重量部以下で配合される、請求項7に記載の放熱黒色樹脂組成物。
【請求項14】
前記硬化触媒は、ドデシルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、又はこれらの混合物である、請求項7に記載の放熱黒色樹脂組成物。
【請求項15】
前記硬化触媒は、前記放熱黒色樹脂組成物100重量部に対して、5重量部以下で配合される、請求項7に記載の放熱黒色樹脂組成物。
【請求項16】
前記顔料の凝集を防止する分散剤は、前記放熱黒色樹脂組成物100重量部に対して、2重量部以下で配合される、請求項7に記載の放熱黒色樹脂組成物。
【請求項17】
前記消泡剤は、N−メチルエタノールアミンである、請求項7に記載の放熱黒色樹脂組成物。
【請求項18】
前記消泡剤は、前記放熱黒色樹脂組成物100重量部に対して、2重量部以下で配合される、請求項7に記載の放熱黒色樹脂組成物。
【請求項19】
前記リン酸塩系添加剤は、前記放熱黒色樹脂組成物100重量部に対して、2重量部以下で配合される、請求項7に記載の放熱黒色樹脂組成物。
【請求項20】
前記リン酸塩系添加剤は、リン酸亜鉛及びリン酸マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項7に記載の放熱黒色樹脂組成物。
【請求項21】
前記シラン化合物は、3−アミノプロピルトリエポキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタグリオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、及びγ−グリシドキシトリメチルジメトキシシランからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項7に記載の放熱黒色樹脂組成物。
【請求項22】
前記シラン化合物は、前記放熱黒色樹脂組成物100重量部に対して、2重量部以下で配合される、請求項7に記載の放熱黒色樹脂組成物。
【請求項23】
鋼板に請求項1〜22のいずれか1項に記載の放熱黒色樹脂組成物を乾燥塗膜の厚さが3〜30μmとなるように塗布するステップと、
前記鋼板に塗布された放熱黒色樹脂組成物を乾燥するステップと、
を含む、鋼板を放熱黒色樹脂組成物で処理する方法。
【請求項24】
前記鋼板は、溶融亜鉛めっき鋼板(GI鋼板)、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA鋼板)、電気亜鉛めっき鋼板(EG鋼板)、及び防食処理された鋼板からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記乾燥するステップは、150〜280℃のPMTで行う、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
基材鋼板と、乾燥塗膜を形成し、かつ厚さが3〜30μmである放熱黒色樹脂層と含む鋼板であって、前記乾燥塗膜は前記基材鋼板の一面又は両面に請求項1〜22のいずれか1項に記載の放熱黒色樹脂組成物より作成される、鋼板。
【請求項27】
前記基材鋼板は、溶融亜鉛めっき鋼板(GI鋼板)、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA鋼板)、電気亜鉛めっき鋼板(EG鋼板)、及び防食処理された鋼板からなる群から選択される、請求項26に記載の鋼板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−514886(P2010−514886A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543939(P2009−543939)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【国際出願番号】PCT/KR2007/006821
【国際公開番号】WO2008/078956
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(592000691)ポスコ (130)
【Fターム(参考)】