説明

優れた集積化特性を提供する低k前駆体

【課題】多孔質の有機シリカガラス膜を製造するための堆積方法を提供する。
【解決手段】真空チャンバーに、有機シラン又は有機シロキサンの1つの前駆体と、該前駆体とは異なるポロゲンであって、本質的に芳香族であるポロゲンとを含むガス状試薬を導入する工程、前記チャンバー中の前記ガス状試薬にエネルギーを適用して該ガス状試薬の反応を引き起こしてポロゲンを含有する膜を堆積させる工程、並びにUV放射によって有機材料の実質的にすべてを除去して気孔を有しかつ2.6未満の誘電率を有する多孔質の膜を提供する工程を含む多孔質の有機シリカガラス膜を製造するための堆積方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本特許出願は、2009年12月23日出願の米国仮特許出願第61/289,490号及び2010年7月22日出願の米国仮特許出願第61/366,671号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、化学気相成長(CVD)法によって製造される低誘電率材料の分野に関する。特には、本発明は、このような材料からなる膜を製造するための方法、及び電子デバイスにおける絶縁層としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
集積回路の寸法が小さくなるにつれて、多孔質誘電体又は層間絶縁膜(ILD)材料に関する特性の要件は厳しくなる。とりわけ、パターニングプロセスの際に受ける構造的な損傷は、ILDの特徴において重大な寸法変化をもたらすことがある。それゆえ、低減された又は制限された損傷で以ってパターニングに耐えうる多孔質のILD材料を提供することが必要とされている。低k膜中の合計炭素含有量を増加させることで、カギとなる特性のより優れた耐損傷性及び不変性を提供できることがこれまでに示されている。これを行うための手段の1つは膜中のメチル又はメチレン含有量を増加させることであるが、これらの方法は機械的特性に対して不利な影響を及ぼす場合がある。十分な機械的特性を保持しつつILD膜の合計炭素含有量を増加させる方法を提供することで、次世代の集積回路の製造が可能となる。
【0004】
芳香族種を含む部分的に又は完全に不飽和な有機部分の群を含む種々のポロゲン前駆体が主張されるケイ素含有多孔質膜の製造方法が知られている。
【0005】
芳香族前駆体、例えば、トルエン及びキシレンは、非晶質炭素の絶縁又はハードマスク膜を製造するのに使用できることが知られている。これらの用途では、膜は400℃以上まで熱的に安定である。例えば、従来技術では、2.3〜2.4の誘電率を有する非晶質炭素又はフッ素化炭素膜の使用が記載されている。従来技術では、種々の部分的に又は完全に不飽和の前駆体からの炭素質膜が開示されている。両方の発明において、前駆体は有機ケイ素骨格とは独立して使用され、本発明とは異なり、有機材料は多孔質膜を形成するために放出されない。加えて、非晶質炭素膜は、それらを層間絶縁膜材料にとって適切でないものにする乏しい機械的特性を提供することが知られている。従来技術では、多孔質有機ケイ酸塩膜のためのポロゲン前駆体として1,3,5−トリメチルベンゼンの使用が記載されている。従来技術では、有機材料を放出するのに熱的な後処理を使用することに依存している。
【0006】
他の反応性物質と比較したこれら芳香族の反応性物質の役割又は利点は明示されていない。
【0007】
さらに、従来技術では、種々のポロゲン前駆体の使用が特定され、例えば、ケイ素含有前駆体及び酸化剤と組み合わせたシメン及びカレンが記載されている。酸化性種、例えば、N2Oは、酸化を促進させるためにケイ素含有前駆体の10倍過剰量において使用される。加えて、その発明は、有機材料を放出するのに熱的な後処理を使用することに依存している。
【0008】
最後に、従来技術ではまた、第1の相が有機ケイ酸塩骨格であり、第2の相がCHxから構成され、そして第3の相が空気で満たされた気孔から構成される3相の誘電体膜の製造方法が記載されている。結果として、k=2.8以上の誘電率を提供することができる炭素リッチ膜が得られる。従来技術では、フーリエ変換赤外分光(FT−IR)のピーク積分の結果が詳述され、その発明のCHx炭化水素含有量が、有機前駆体を使用しないで生成された膜と比べて最大20倍大きいことが示されている。対照的に、本発明では、FT−IR分析によって証明されるように、水素を含有しない炭素リッチ相とk=2.6よりも小さい誘電率が実証される。結果として、従来技術に比べて電気的特性、機械的特性及び集積化特性の優れた組み合わせが得られる。
【0009】
従来技術の特許文献1〜10が同様に関連性があると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6,312,793号
【特許文献2】米国特許第6,583,048号
【特許文献3】米国特許第6,846,515号
【特許文献4】米国特許第7,098,149号
【特許文献5】米国特許出願公開第2004/0063336号
【特許文献6】米国特許出願公開第2005/0227502号
【特許文献7】米国特許出願公開第2006/0160374号
【特許文献8】米国特許出願公開第2007/0141829号
【特許文献9】欧州特許出願公開第794569号
【特許文献10】国際公開第2008/015533号
【0011】
上記の従来技術とは対照的に、以下に記載される本発明のカギとなる態様は、ケイ素含有種と組み合わせてポロゲン由来種を堆積させることであり、50%を超えるポロゲン由来種を紫外線放射によって容易に放出して多孔性を形成することができる。優れた集積化特性、例えば、高い合計炭素含有量を有する膜は、芳香族のポロゲン前駆体をケイ素含有前駆体との組み合わせにおいて使用することによって達成される。好ましくは、最終的な膜はまた、パッケージングの際の失敗を防ぐ十分な又は改善された機械的特性を有する。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、1つの実施態様において、多孔質の有機シリカガラス膜を製造するための化学気相成長法であって、
真空チャンバー内に基材を用意する工程、
該真空チャンバーに、1つ又は複数のケイ素含有前駆体からなる群より選択される少なくとも1つの前駆体と、該前駆体とは異なるポロゲン前駆体とを含むガス状試薬を導入する工程であって、前記ポロゲン前駆体が本質的に芳香族であり、以下の式、すなわち、
【化1】

によって表され、式中、R1〜R6が独立してH、OH、C1〜C6の直鎖の炭化水素、C3〜C6の分枝、飽和、単又は複不飽和の炭化水素、C4〜C6の環状の炭化水素、C1〜C6のアルコール、C4〜C6の分枝、飽和又は複不飽和の環状のエーテル、C2〜C6のエポキシド又はケトンからなる群より選択され、
前記1つ又は複数のケイ素含有前駆体が、以下の式、すなわち、
(i)R1n(OR2p(O(O)CR43-n-pSi−R7−SiR3m(O(O)CR5q(OR63-m-qであって、式中、R1及びR3が独立してH又はC1〜C4の直鎖の炭化水素、C3〜C4の分枝、飽和の炭化水素、C2〜C4の単不飽和の炭化水素、C3〜C4の複不飽和の炭化水素、C4の環状の炭化水素、C1〜C4の部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素からなる群より選択され、R2、R6及びR7が独立してC1〜C6の直鎖の炭化水素、C3〜C6の分枝、飽和又は複不飽和の炭化水素、C2〜C6の単不飽和の炭化水素、C4〜C6の環状又は芳香族の炭化水素、C1〜C6の部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素からなる群より選択され、R4及びR5が独立してH、C1〜C6の直鎖の炭化水素、C3〜C6の分枝、飽和又は複不飽和の炭化水素、C2〜C6の単不飽和の炭化水素、C4〜C6の環状又は芳香族の炭化水素、C1〜C6の部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素からなる群より選択され、nが0〜3、mが0〜3、qが0〜3、pが0〜3であり、但し、n+m≧1、n+p≦3、m+q≦3である、R1n(OR2p(O(O)CR43-n-pSi−R7−SiR3m(O(O)CR5q(OR63-m-q
(ii)R1n(OR2p(O(O)CR34-(n+p)Siであって、式中、R1が独立してH又はC1〜C4の直鎖の炭化水素、C3〜C4の分枝、飽和又は複不飽和の炭化水素、C2〜C4の単不飽和の炭化水素、C4の環状の炭化水素、C1〜C4の部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素からなる群より選択され、R2が独立してC1〜C6の直鎖の炭化水素、C3〜C6の分枝、飽和、単又は複不飽和の炭化水素、C2〜C6の単不飽和の炭化水素、C4〜C6の環状又は芳香族の炭化水素、C1〜C6の部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素からなる群より選択され、R3が独立してH、C1〜C6の直鎖の炭化水素、C3〜C6の分枝、飽和又は複不飽和の炭化水素、C2〜C4の単不飽和の炭化水素、C4〜C6の環状又は芳香族の炭化水素、C1〜C6の部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素からなる群より選択され、nが1〜3、pが0〜3である、R1n(OR2p(O(O)CR34-(n+p)Si
(iii)メチルトリエトキシシラン、及び
(iv)メチルトリメトキシシラン
から選択される工程、
前記真空チャンバー中の前記ガス状試薬にエネルギーを適用して該ガス状試薬の反応を引き起こして前記基材上にポロゲンを含有する予備的な膜を堆積させる工程、並びに
UV放射を用いて前記予備的な膜から有機材料の一部を除去して2.6未満の誘電率を有する多孔質の有機シリカガラス膜を提供する工程
を含む化学気相成長法である。
【0013】
1つの実施態様では、酸化性ガスを堆積プロセスに添加することができる。酸化性ガスの例としては、限定されないが、酸素、N2O、オゾン、H22、及びそれらの混合物が挙げられる。別の実施態様では、堆積プロセスは酸化性ガスなしで実施される。
【0014】
さらなる実施態様では、(a)少なくとも1つのケイ素含有前駆体であって、
(i)R1n(OR2p(O(O)CR43-n-pSi−R7−SiR3m(O(O)CR5q(OR63-m-qであって、式中、R1及びR3が独立してH又はC1〜C4の直鎖の炭化水素、C3〜C4の分枝、飽和の炭化水素、C2〜C4の単不飽和の炭化水素、C3〜C4の複不飽和の炭化水素、C4の環状の炭化水素、C1〜C4の部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素からなる群より選択され、R2、R6及びR7が独立してC1〜C6の直鎖の炭化水素、C3〜C6の分枝、飽和又は複不飽和の炭化水素、C2〜C6の単不飽和の炭化水素、C4〜C6の環状又は芳香族の炭化水素、C1〜C6の部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素からなる群より選択され、R4及びR5が独立してH、C1〜C6の直鎖の炭化水素、C3〜C6の分枝、飽和又は複不飽和の炭化水素、C2〜C6の単不飽和の炭化水素、C4〜C6の環状又は芳香族の炭化水素、C1〜C6の部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素からなる群より選択され、nが0〜3、mが0〜3、qが0〜3、pが0〜3であり、但し、n+m≧1、n+p≦3、m+q≦3である、R1n(OR2p(O(O)CR43-n-pSi−R7−SiR3m(O(O)CR5q(OR63-m-q
(ii)R1n(OR2p(O(O)CR34-(n+p)Siであって、式中、R1が独立してH又はC1〜C4の直鎖の炭化水素、C3〜C4の分枝、飽和又は複不飽和の炭化水素、C2〜C4の単不飽和の炭化水素、C4の環状の炭化水素、C1〜C4の部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素からなる群より選択され、R2が独立してC1〜C6の直鎖の炭化水素、C3〜C6の分枝、飽和、単又は複不飽和の炭化水素、C2〜C6の単不飽和の炭化水素、C4〜C6の環状又は芳香族の炭化水素、C1〜C6の部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素からなる群より選択され、R3が独立してH、C1〜C6の直鎖の炭化水素、C3〜C6の分枝、飽和又は複不飽和の炭化水素、C2〜C4の単不飽和の炭化水素、C4〜C6の環状又は芳香族の炭化水素、C1〜C6の部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素からなる群より選択され、nが1〜3、pが0〜3である、R1n(OR2p(O(O)CR34-(n+p)Si
(iii)メチルトリエトキシシラン、及び
(iv)メチルトリメトキシシラン
からなる群より選択される少なくとも1つのケイ素含有前駆体、並びに
(b)以下の式、すなわち、
【化2】

によって表される化合物を含み、式中、R1〜R6が独立してH、OH、C1〜C6の直鎖の炭化水素、C3〜C6の分枝、飽和又は複不飽和の炭化水素、C2〜C6の単不飽和の炭化水素、C4〜C6の環状の炭化水素、C1〜C6の直鎖のアルコール、C3〜C6の分枝、飽和又は複不飽和のアルコール又は環状のエーテル、及びC2〜C6のエポキシド又はケトンであることができる基であるポロゲン前駆体
を含む組成物が提供される。
【0015】
さらに別の実施態様では、ケイ素前駆体であるテトラエトキシシラン、トリエトキシシラン、トリメトキシシラン又はジエトキシシランを膜硬化用添加剤として混合物に添加することができる。
【0016】
なおさらなる実施態様では、組成物は、ポロゲンと少なくとも1つのケイ素含有前駆体が別々の容器に保持され、そして当該別々の容器から堆積チャンバーへ供給される装置において提供される。この又は他の実施態様では、これらの容器の少なくとも1つは加圧可能なステンレス鋼容器であり、前駆体は堆積システムにおいて逐次的に混合されて最終的な膜が形成される。
【0017】
追加の実施態様では、ポロゲン前駆体と少なくとも1つのケイ素含有前駆体は、ポロゲンと少なくとも1つのケイ素含有前駆体を別々に保持するための分離手段を有する1つの容器において保持される。
【0018】
なおさらなる実施態様では、ポロゲン前駆体と少なくとも1つのケイ素含有前駆体は1つの容器において予備混合される。別の実施態様では、1つ又は複数のケイ素前駆体が1つの容器において予備混合され、ポロゲン前駆体が別の容器において保持される。この又は他の実施態様では、これらの容器の少なくとも1つは加圧可能なステンレス鋼容器であり、前駆体は堆積システムにおいて混合されて最終的な膜が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】種々のプラズマ化学気相成長(PECVD)の堆積条件に関する誘電率の関数としての多孔質誘電体膜のX線光電子分光法(XPS)による炭素含有量である。ジエトキシメチルシラン−p−シメン(DEMS−PCM)膜では、業界標準のジエトキシメチルシラン−α−テルピネン(DEMS−ATRP)と比べて、所与の誘電率に関してより広い範囲の合計炭素含有量を導入することができる。
【図2】プラズマ損傷の前後のk=2.3の多孔質膜のXPSによる炭素含有量である。非常に攻撃的な遠隔酸素に暴露させて酸化的アッシュ損傷をシミュレートした。DEMS−PCM膜は損傷後の残留炭素含有量がより高く、これは集積損傷抵抗が向上していることを示すものである。
【図3】紫外線(UV)硬化時間の関数としてのDEMS−PCM膜の弾性率(図3A)及び誘電率(図3B)である。弾性率は、誘電率の相当な増加なしに大きく向上させることができる。XPSによる30%炭素の高炭素含有量が30分のUV暴露後において維持されている。
【図4】k=2.2の最終的な誘電体を目標とする堆積方法を用いた種々の後処理後のDEMS−パラシメン膜に関するFT−IRからの炭化水素の信号である。後処理後の膜データは表5に記載される。
【図5】後処理の関数としてのDEMS−PCM膜のFT−IRスペクトルである。Si−O、Si−CH3及びCHxのピークが表示される。
【図6】DEMS−ATRP及びDEMS−PCMから堆積したk=2.5の誘電体膜に関するXPSパーセント炭素濃度に対するナノインデンテーションによる弾性率である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
有機ケイ酸塩は低k材料のための候補材料であるが、これらの材料に多孔性を付与するためのポロゲンを添加しない場合には、それらの固有の誘電率は2.7程度に制限される。空所が1の固有の誘電率を有する多孔性を付与することで膜全体の誘電率が低下する。
【0021】
多孔質のガラス膜は、ケイ素構造形成体と有機ポロゲン前駆体の共堆積、続いて多孔性を作り出すためのポロゲン前駆体の放出によって製造できることが知られている。特に小さな寸法でこれらの膜を用いることの課題の1つは、パッケージングに耐えるのに十分な機械的特性を有することであり、そしてパターニングを乗り切るのに十分なエッチ抵抗性を有することである。例えば、合計炭素含有量が低い膜は、側壁の損傷によるパターン崩壊の一因となることが示されている。多くの場合において、エッチ抵抗性と機械的特性は矛盾する特性であり、例えば、SiO網目構造のメチル含有量を増大させるとより優れたエッチ抵抗性が得られるが、機械的特性は低下する。
【0022】
多孔質の低k誘電体膜は、45ナノメートル(nm)のデバイスさらにはそれよりも大きなデバイスのために用いられる。商業的に入手可能な処理剤のうち2つは、ジエトキシメチルシラン(DEMS)+α−テルピネン(ATRP)とDEMS+ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン(BCHD)であり、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン(BCHD)はノルボルナジエン又は2,5−ノルボルナジエンとしても公知である。デバイスの寸法が小さくなり続けるにつれ、多孔質の低k材料に対するエッチ及びアッシュ損傷が集積化に対する制限になるという懸念がある。多孔質の低k膜により高い合計炭素含有量を導入することで、集積化の際に生じる損傷を低減できることもまた知られている。膜損傷の1つの公知のメカニズムは炭素の損失であり、これによって以降の集積化工程の際に膜が親水性になりそして化学的な攻撃に対して影響を受け易くなる。これは、ULKパターニングの際に損傷の深さを制限するか又は集積化の際に親水性にならない膜を対象とすることによって軽減することができる。
【0023】
DEMS+BCHDは、ULK膜により高い炭素含有量を導入する手段として開発された。しかしながら、BCHD分子は本質的に安定ではなくそして自己重合し、取り扱いや輸送の点で課題がある。加えて、DEMS−BCHD膜は、同じ誘電率のDEMS−ATRP膜と比べて、低い機械的特性を提供する場合があることが幾つかの報告で示されている。
【0024】
本発明は、妥当な機械的特性を維持しつつ、低k膜に高い炭素含有量を組み込むポロゲン前駆体を提供するものである。これは非晶質タイプの炭素を組み込むことによって達成され、この非晶質タイプの炭素は網目構造に結合されてもよいし又は結合されなくてもよく、気孔系に分散されてもよいし又は分散されなくてもよく、あるいはそれらの組み合わせであってもよい。非晶質タイプの炭素は、膜中に均一に分布してもよいし又は分布していなくてもよい。超低k(ULK)膜のより高い炭素含有量によってパターニング工程の際に生じる損傷の深さが小さくなり、より小さなパターン寸法でより容易に集積化される解決策が提供されると考えられる。
【0025】
多孔質の低k膜へより多くの炭素を組み込むが、本質的に安定であるポロゲン前駆体のクラスが本明細書で記載される。例えば、屈折率は最大6月の間にわたって不変のままであり、このことは水の有意なバルク吸着又は化学種の分解がないことを示すものである。低k誘電体膜のための幾つかの芳香族のポロゲン前駆体が、高い炭素含有量、それゆえ高い集積化特性を提供できることが見出された。1つの特定の実施態様では、これらの前駆体は構造形成体としてのDEMSと結び付けられることが好ましい。他のケイ素含有前駆体は、以下の式、すなわち、
(i)R1n(OR2p(O(O)CR43-n-pSi−R7−SiR3m(O(O)CR5q(OR63-m-qであって、式中、R1及びR3が独立してH又はC1〜C4の直鎖の炭化水素、C3〜C4の分枝、飽和の炭化水素、C2〜C4の単不飽和の炭化水素、C3〜C4の複不飽和の炭化水素、C4の環状の炭化水素、C1〜C4の部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素からなる群より選択され、R2、R6及びR7が独立してC1〜C6の直鎖の炭化水素、C3〜C6の分枝、飽和又は複不飽和の炭化水素、C2〜C6の単不飽和の炭化水素、C4〜C6の環状又は芳香族の炭化水素、C1〜C6の部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素からなる群より選択され、R4及びR5が独立してH、C1〜C6の直鎖の炭化水素、C3〜C6の分枝、飽和又は複不飽和の炭化水素、C2〜C6の単不飽和の炭化水素、C4〜C6の環状又は芳香族の炭化水素、C1〜C6の部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素からなる群より選択され、nが0〜3、mが0〜3、qが0〜3、pが0〜3であり、但し、n+m≧1、n+p≦3、m+q≦3である、R1n(OR2p(O(O)CR43-n-pSi−R7−SiR3m(O(O)CR5q(OR63-m-q
(ii)R1n(OR2p(O(O)CR34-(n+p)Siであって、式中、R1が独立してH又はC1〜C4の直鎖の炭化水素、C3〜C4の分枝、飽和又は複不飽和の炭化水素、C2〜C4の単不飽和の炭化水素、C4の環状の炭化水素、C1〜C4の部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素からなる群より選択され、R2が独立してC1〜C6の直鎖の炭化水素、C3〜C6の分枝、飽和、単又は複不飽和の炭化水素、C2〜C6の単不飽和の炭化水素、C4〜C6の環状又は芳香族の炭化水素、C1〜C6の部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素からなる群より選択され、R3が独立してH、C1〜C6の直鎖の炭化水素、C3〜C6の分枝、飽和又は複不飽和の炭化水素、C2〜C4の単不飽和の炭化水素、C4〜C6の環状又は芳香族の炭化水素、C1〜C6の部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素からなる群より選択され、nが1〜3、pが0〜3である、R1n(OR2p(O(O)CR34-(n+p)Si
(iii)メチルトリエトキシシラン、及び
(iv)メチルトリメトキシシラン
から選択することができる。
【0026】
幾つかの実施態様では、1つ又は複数のケイ素含有前駆体は、本明細書に記載される1つ又は複数の安定剤を添加することによって安定化される。他の実施態様では、1つ又は複数のケイ素含有前駆体は、本明細書に記載される1つ又は複数の安定剤を添加することによって安定化されない。ポロゲン前駆体は本質的に芳香族であり、以下の式、すなわち、
【化3】

によって表され、式中、R1〜R6が独立してH、OH、C1〜C6の直鎖の炭化水素、C3〜C6の分枝、飽和又は複不飽和の炭化水素、C2〜C6の単不飽和の炭化水素、C4〜C6の環状の炭化水素、C1〜C6の直鎖のアルコール、C3〜C6の分枝、飽和又は複不飽和のアルコール又は環状のエーテル、及びC2〜C6のエポキシド又はケトンからなる群より選択することができる基である。
【0027】
好ましくは、芳香族のポロゲン前駆体は、トルエン、ベンゼン、シメン、キシレン、フェノール、メシチレン、エチルベンゼン、スチレン、エトキシベンゼン、メトキシベンゼン、ベンズアルデヒド、及びそれらの混合物からなる群より選択される。より好ましくは、ポロゲン前駆体はシメン又はトルエンである。幾つかの実施態様では、ポロゲン前駆体は、本明細書に記載される1つ又は複数の安定剤を添加することによって安定化される。他の実施態様では、ポロゲン前駆体は、本明細書に記載される1つ又は複数の安定剤を添加することによって安定化されない。
【0028】
ケイ素含有前駆体は、2つ以上の異なるケイ素含有前駆体の混合物、例えば、ジエトキシメチルシラン(DEMS)、テトラエチルオルソシリケート(TEOS)、トリエトキシシラン(TES)及びジエトキシシラン(DES)のうち2つ以上の混合物を含むことができるか、又は式R1x2ySiを満たす任意のケイ素前駆体であって、式中、R1及びR2が独立してアルコキシ又は水素基であることができ、x+y=4であるケイ素前駆体が堆積プロセスに添加される。
【0029】
「ガス状試薬」という語が本明細書に記載の前駆体を説明するのに本明細書で時に用いられるが、この語は、ガスとして反応器又は反応チャンバーに直接的に送られるか、気化した液体、昇華した固体として送られるか、及び/又は不活性なキャリアガスによって反応器又は反応チャンバーの中に輸送される前駆体を包含することを意図するものである。
【0030】
加えて、前駆体又はそれらの混合物は、異なる供給源から別々に又は混合物として又はこれらの手段の組み合わせとして反応器に運ぶことができる。試薬は、様々な手段により、好ましくは処理反応器又は反応チャンバーへの液体の供給を可能にするための適切なバルブ及びフィッティングを取り付けた加圧可能なステンレス鋼容器を用いて反応器システムに送ることができる。
【0031】
堆積後のポロゲン相は、反応チャンバーに導入されるポロゲンと同じ形態であってもよいし又は同じ形態でなくてもよい。さらに、ポロゲンの除去プロセスによって膜からポロゲン又はその断片を放出することができる。基本的には、ポロゲン試薬、複合膜中のポロゲン、及び除去されるポロゲンは同じ種であってもよいし又は同じ種でなくてもよい。ポロゲンが本発明の方法を通して不変であるか否かに関わらず、本明細書で用いられる「ポロゲン」という用語は、気孔形成試薬及びその誘導体を、それらが本発明の方法全体を通して見出されるあらゆる形態において包含することを意図するものである。
【0032】
構造形成種及び気孔形成種に加えて、追加の材料を、堆積プロセスの前、その間及び/又はその後に真空チャンバーに充填することができる。このような材料としては、例えば、不活性ガス、例えば、He、Ar、N2、Kr、Xeなどが挙げられ、それらはより揮発性でない材料のためのキャリアガスとして使用できるか、及び/又は複合材料の硬化を促進できそしてより安定な最終膜を提供することができる。このような材料としてはまた、NH3、H2、CO2又はCOなどの反応性種を挙げることができる。
【0033】
エネルギーをガス状試薬に適用し、ガスの反応を誘発して基材上に膜を形成させる。このようなエネルギーは、熱、プラズマ、パルスプラズマ、ヘリコンプラズマ、高密度プラズマ、誘導結合プラズマ、及び遠隔プラズマによって与えることができる。二次周波数源を用いて基材表面におけるプラズマ特性を改質することができる。
【0034】
各ガス状試薬の流量は、単一の200mmウェハ当たり、好ましくは5〜5000sccm、より好ましくは10〜1000sccmである。個々の流量は、膜において所望量の構造形成体と気孔構造体を提供するよう選択される。必要とされる実際の流量は、ウェハのサイズやチャンバーの形状に左右される場合があり、200mmの単一のウェハチャンバーに決して限定されない。
【0035】
膜は少なくとも50nm/分の速度で堆積されることが好ましい。
【0036】
堆積チャンバー中の圧力は0.01〜600torr、より好ましくは1〜15torrであることができる。
【0037】
堆積チャンバー中の温度は50〜500℃、より好ましくは200〜400℃であることができる。
【0038】
堆積後、有機ケイ酸塩の複合膜は、出力の少なくとも一部が200〜400nmの範囲にある1つ又は複数の紫外線放射源にさらされる。複合膜は、真空UV範囲(200nm未満)の1つ又は複数の波長にさらしてもよい。UV源は、連続、パルス型、走査型、集束型、分散型、シャッター付き又は掃引型であることができる。UV源はエキシマレーザー、バリア放電ランプ、水銀ランプ、マイクロ波生成UVランプ、又はレーザーであることができる。UV源は基材から50mm〜1000フィートの距離に配置することができる。
【0039】
幾つかの実施態様では、UV暴露工程は、非酸化性雰囲気、不活性雰囲気、又は還元性雰囲気において実施される。
【0040】
UVチャンバー中の温度は50〜500℃、より好ましくは250〜450℃であることができる。UVチャンバー中の圧力は100mtorr〜1000torrであることができる。
【実施例】
【0041】
すべての実験は、非ドープのTEOSプロセスキットを用いて、Advance Energy 2000高周波発生器を備えた200mm DXZチャンバーにおいて、Applied Materials Precision−5000システム上で行った。手法は以下の基本的な工程、すなわち、初期の設定及びガス流の安定化、堆積、並びにウェハを取り出す前のチャンバーのパージ/排気を伴った。複合膜は、450℃以下に制御された温度で不活性雰囲気下においてFusion H+バルブを用いたUV放射にさらした。UV暴露時間は、誘電率と機械的特性がバランスするよう最適化される。
【0042】
[例1]
表1では、275〜300℃及び標準的なUV硬化時間の堆積処理条件で、ポロゲンのα−テルピネン(ATRP)、ビシクロヘプタジエン(BCHD)、パラ−シメン(PCM)又はトルエンをケイ素含有前駆体のDEMSと組み合わせて用いて誘電率k=2.3の膜を達成できることが示されている。PCM又はトルエンを使用すると、XPSによる炭素含有量はDEMS−ATRPの基準値と比較して50%以上増加する。UV硬化時間を延長すると、より高い合計炭素含有量を維持しつつ、DEMS−ATRPの基準値よりも優れた機械的特性をDEMS−PCMで達成することができる。他のポロゲンに対しDEMS−PCMに関して表1で驚くべきことは、高い炭素含有量が弾性率を大きく損なうことなく達成されるということである。従来技術では、合計炭素含有量に関する第1の影響はケイ素骨格中のケイ素−メチル官能性である。しかしながら、このケイ素メチル官能性が増加すると、網目構造の結合密度が低下するために機械的特性がより低くなる。対照的に、DEMS−PCMプロセスでは、膜の機械的特性に本質的に害を及ぼさない炭素の取り込みが提供される。DEMS−PCMでは、従来技術とは異なり、比較的高いか又は調節可能な弾性率とともに高い炭素含有量という意外な結果が得られる。DEMS−PCMでは、UV処理による除去にあまり影響を受けない炭素が堆積されることも示された。表1におけるDEMS−PCMの2番目の試験では、残りの報告された試験に対して2.3倍のUV暴露を使用したが、それでもなおXPS分析で31%の炭素含有量が得られた。このことは、図1及び2に示されるように、DEMS−PCMが相当量の炭素を堆積させるだけでなく、炭素のタイプが、他のポロゲン、例えば、ATRP及びBCHDによって堆積される炭素のタイプよりも後処理、例えば、UV暴露に対してはるかに耐久性があることを示すものである。表2は、ATRPと対比したPCMの驚くべき利点に関し、より多くの炭素を与え、そしてUV暴露下でより耐久性がありかつ堆積された膜の弾性率を向上又は維持するのにより効果的な炭素のタイプを与えることにおいて表1のものと同様の相関を示している。上記のとおり、PCMは、より高い炭素含有量にもかかわらず驚くほどより高い弾性率を与えるが、表2に報告される最後の試験では、比較的より少ない炭素でさえ、PCMはより高い弾性率を提供できることが示されており、このことはPCMによって堆積された炭素のタイプが他のポロゲンによって堆積された炭素とは異なることを示すものである。このタイプの炭素は、実質的に水素を含まない非晶質炭素であると考えられ、SiO2堆積膜のケイ素−酸素のケージ構造には明らかには含まれていないと考えられる。
【0043】
【表1】

【0044】
[例2]
表2では、300〜315℃の堆積処理条件で、ポロゲンのα−テルピネン(ATRP)又はパラ−シメン(PCM)をケイ素含有前駆体のDEMSと組み合わせて用いて誘電率k=2.3の膜を達成できることが示されている。PCMを使用すると、炭素含有量はDEMS−ATRPの基準値と比較して50%以上増加する。UV硬化時間を延長すると、より高い合計炭素含有量を維持しつつ、ナノインデンテーションで5GPaを大きく超える機械的特性をDEMS−PCMで達成することができる。したがって、所与の炭素含有量に関して、PCMはATRP及び他のポロゲンよりも高い弾性率を達成することができ、逆に言えば、所与の弾性率に関して、PCMはより高い炭素含有量を提供することができる。
【0045】
このデータの驚くべき価値は、DEMS−PCM膜の実験及び分析の前には、当業者は、炭素含有量と弾性率の間には妥協点があり、高い弾性率と高い炭素含有量の両方を有する膜を得ることはできないと考えていたということにある。したがって、PCMは、多孔質低k膜の2つのレベルのより優れたプロセスの最適化、すなわち、より丈夫な膜を意味するより高い弾性率と、例えば、電子デバイスの製造のための誘電体DEMS−PCM堆積膜のパターニング又は導体のための銅線パターニングにおけるプロセス統合をより可能にするよりエッチ抵抗性の膜を意味する所与の弾性率に関する比較的より高い炭素含有量とを提供する。
【0046】
これは図6において図で示され、XPSにおける約35%よりも小さい炭素レベルに関し、DEMS−PCMでは、DEMS−ATRPよりも高い炭素でより高い弾性率が一様に達成されている。
【0047】
【表2】

【0048】
図1では、DEMSとパラ−シメンを用いて膜を堆積した場合に得られる炭素含有量の範囲がさらに実証されている。用いたプロセス条件は、225〜300℃、500〜800ワット、500〜1100mg/分の合計液体流量、及び60〜85%のポロゲン前駆体であった。DEMSとATRPでは、合計炭素含有量と誘電率の間に極めて直線的な関係がある。しかしながら、DEMSとパラ−シメンでは、用いた処理条件において合計炭素含有量を大きく増加させることができ、したがってより優れた集積損傷の最適化のための選択肢が提供される。
【0049】
[例3]
堆積及びUV暴露後、膜を酸素プラズマにさらして集積損傷をシミュレートした。
【0050】
図2は、ポロゲン前駆体としてパラ−シメンを用いて得られた膜特性を示すものである。堆積条件は、損傷にさらす前に高いXPS炭素含有量を与えるようにこの膜に関して選択された。この実験では、遠隔酸素プラズマを用いてブランケット誘電体膜の表面にダメージを与えた。遠隔酸素プラズマは典型的なエッチプロセスよりも攻撃的であることが予想され、それゆえ、実験は最悪のケースの状況を表している。炭素の減少はスパッタリング後にXPSを用いて監視した。BCHD又はATRPと比べてより高い炭素含有量がパラ−シメン膜に関して維持されたことを知ることができる。3つのXPSスパッタリング深さ、すなわち、損傷前、50nm及び100nmを用いることで、50nm、特には100nmでのDEMS−パラシメン膜に関する炭素の損失が比較例よりも小さいことを観測することができ、側壁損傷の深さが制御に関して強い影響を有する特徴のパターニングに優先的なより小さい深さの損傷が得られた。
【0051】
[例4]
堆積後、複合DEMS−パラシメン膜を複数の暴露時間にわたりUV光で処理した。
【0052】
高い合計炭素含有量と高い弾性率は、低k膜の後処理で利用されるUV硬化時間を最適化することにより得ることができる。図3に示されるように、誘電率に大きな影響を及ぼすことなく(図3B)、そしてXPS分析によって決定されるように最大30%の炭素を保持して、弾性率の向上が合計のUV硬化時間を延長することによって得られる(図3A)。
【0053】
[例4]
酸化性ガスが使用される場合には、酸化性種の流量を、標準立方センチメートル毎分(sccm)における体積で合計の液体前駆体の蒸気流量と比較して50%未満に制限するか、又はより好ましくは合計の液体前駆体の蒸気流量と比較して20%未満に制限することが好ましい場合がある。表3を参照されたい。好ましい酸化剤としては、酸素、過酸化水素、オゾン、及び酸化二窒素が挙げられる。理論に束縛されることを望まないが、合計の液体前駆体の蒸気流量の50%を超える酸化性ガスの流量では、機械的特性に劣る膜が得られうると考えられる。
【0054】
【表3】

【0055】
[例5]
(a)UV暴露及び(b)熱暴露で処理した複合膜を比較した。
【0056】
ここで、芳香族のポロゲン前駆体、例えば、パラ−シメンをUV後処理と組み合わせて使用することの異なる利点が示される。図4では、FT−IRからのCHx/SiOのピーク面積比がプロットされ、一方、図5では、FT−IRスペクトルとピークの同定が示される。約2800〜3000の波数におけるこのCHx FT−IR信号は、後処理前の複合膜に存在する有機ポロゲンからの大きな寄与を含むものである。2つの図面において示されるように、真空下400℃で熱処理した場合、そしてこの処理を12時間に延長した場合でさえ、わずかにCHxピークが減少し、それゆえDEMS−パラシメン膜からのポロゲンの除去がわずかである。対照的に、30分のUV暴露で、膜から相当量のポロゲンが除去される。UV処理の利点は表4においても見られ、表4では水銀プローブによって測定される誘電率が記載されている。複合膜からポロゲン種を除去するUV処理の能力により、400℃での熱処理の2.8超と比較して2.27の誘電率が得られる。同様の傾向は、最終的な結果としてk=2.5の膜を目標とする試験2に関しても見られる。この場合、UV後処理は、複合膜からポロゲンを除去するのにもより有効である。
【0057】
【表4】

【0058】
加えて、UV硬化を使用することで、表5に示されるように熱処理と比べた場合に機械的特性の利点が提供される。芳香族のポロゲン(p−シメン)、有機ケイ素膜骨格、及びUV後処理の組み合わせにより、他の前駆体の選択肢と比べてより高い炭素含有量と十分な機械的特性を有する低誘電率の膜が可能となる。
【0059】
【表5】

【0060】
多孔質SiCOH膜に対するUV暴露の利点は、DEMS−ATRPなどの前駆体に関する従来技術において開示されている。UVプロセスは、少なくとも2つのメカニズムを通して有機ケイ素骨格を強くすることが提案されている。第1は、ケージのような広い角度のSi−O結合を四面体に変換することである。これは、図5に示されるように約1150波数のFT−IRピークの面積の減少として観測される。図5では、熱処理の結果としてSi−O結合の領域にわずかな変化が生じていることを観測することができ、一方で、約1150波数のピークにおいて大きな減少がUV後処理で観測される。このことは、優れた機械的特性と一致している。第2の可能性のあるメカニズムは、UV暴露によってケイ素−メチル骨格の結合が損なわれることである。これは、図5に示されるようにFT−IRの約1280ピークにおける減少として観測される。末端のメチル結合がなくなると、骨格中により高い網目構造の接続性が達成され、結果として優れた機械的特性が得られる。UV暴露が最適化され、最終的なケイ素−メチル骨格の含有量は、膜が例えば80〜90°の水接触角で疎水性のままであるようなものにされる。米国特許第7,098,149号も参照されたい。
【0061】
機械的特性はケイ素−メチル骨格の結合を除去することによって改善することができるが、これはまた典型的にはより低い合計炭素含有量をもたらし、それゆえ集積化が困難になって、すなわち、パターンエッチングの際の膜安定性などに課題がある。膜の炭素含有量が減少すると、標準的な技術によるパターニングの際に側壁の損傷が生じうる。それゆえ、業界基準と同様の機械的特性すなわち弾性率を有するが、より高い合計炭素含有量すなわちエッチ抵抗性を提供できる多孔質膜を産業界に提供することが可能となる。UV後処理と結合されたDEMS−パラシメン堆積によって提供される特有の膜組成物はこのニーズを満たすものである。DEMS−PCMによる堆積の際に提供される非晶質タイプの炭素はUV後処理によって影響を受けないと考えられる。それゆえ、たとえケイ素−メチル骨格種がUV暴露の際に比較的より少なくではあるが減少したとしても、図1及び2でATRP又はBCHDよりもパラシメンを使用した場合に、最終的な膜において相当により多くの炭素が保持される。この非晶質炭素は本質的にCHx炭化水素ではなく、また本質的にケイ素−メチル骨格種ではない。非晶質炭素は、図5のFT−IRスペクトルにおいて実質的に応答がないが、膜からの合計の炭素信号の一部としてXPS分析によって観測可能である(図1及び2)。
【0062】
[例6]
従来技術では、第1の相がSiCOHの網目構造であり、第2の相が水素含有炭素相CHxであり、そして第3の相が気孔である3相の複合体の形成による高炭素含有量のSiCOH膜の形成が提供されている。これらの膜の水素含有CHx相は、約3000波数の炭化水素ピークのFT−IR分析から明らかに認められる。従来技術では、この炭化水素ピークは、単相膜と比べて3相膜に関して20倍大きい。約3000波数のピークは、ポロゲンによって膜中に存在する任意の有機水素含有CHxに加え、ケイ素−メチル骨格の官能基におけるC−H伸縮からの信号を反映している。単相膜では、堆積物中に有機種(ポロゲン)はなく、したがってC−Hx伸縮のFT−IRピークはケイ素−メチル骨格からの寄与のみを反映している。本発明の膜に関するFT−IRは図5に示され、「DEMS−PCM膜−30分間UV」と表示され、表6に記載されるピーク面積は比較データに対するものである。DEMS−パラシメン膜に関するC−Hxピーク面積の値は、単相SiCOH膜に関して観測された範囲内にあることを知ることができ、水素含有CHxの第3相は本質的にごくわずかな検出可能レベルである。従来技術で開示される膜とは異なり、これらのDEMS−パラシメン膜は水素リッチな第3の有機相を含まないようである。Grillの米国特許第6,312,793号も参照されたい。
【0063】
【表6】

【0064】
理論に束縛されることを望まないが、他の前駆体から形成された膜と比較したDEMS−パラシメン膜におけるより高い合計炭素含有量(例えば、図1及び2のXPSによって決定される)は、非晶質の元素炭素(本質的に無機炭素)の存在によるものと考えられ、それは主としてFT−IRから明らかであり、水素を含まない(表6を参照)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質の有機シリカガラス膜を製造するための化学気相成長法であって、
真空チャンバー内に基材を用意する工程、
該真空チャンバーに、1つ又は複数のケイ素含有前駆体からなる群より選択される少なくとも1つの前駆体と、該前駆体とは異なるポロゲン前駆体とを含むガス状試薬を導入する工程であって、前記ポロゲン前駆体が本質的に芳香族であり、以下の式、すなわち、
【化1】

によって表され、式中、R1〜R6が独立してH、OH、C1〜C6の直鎖の炭化水素、C3〜C6の分枝、飽和、単又は複不飽和の炭化水素、C4〜C6の環状の炭化水素、C1〜C6のアルコール、C4〜C6の分枝、飽和又は複不飽和の環状のエーテル、C2〜C6のエポキシド又はケトンからなる群より選択され、
前記1つ又は複数のケイ素含有前駆体が、以下の式、すなわち、
(i)R1n(OR2p(O(O)CR43-n-pSi−R7−SiR3m(O(O)CR5q(OR63-m-qであって、式中、R1及びR3が独立してH又はC1〜C4の直鎖の炭化水素、C3〜C4の分枝、飽和の炭化水素、C2〜C4の単不飽和の炭化水素、C3〜C4の複不飽和の炭化水素、C4の環状の炭化水素、C1〜C4の部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素からなる群より選択され、R2、R6及びR7が独立してC1〜C6の直鎖の炭化水素、C3〜C6の分枝、飽和又は複不飽和の炭化水素、C2〜C6の単不飽和の炭化水素、C4〜C6の環状又は芳香族の炭化水素、C1〜C6の部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素からなる群より選択され、R4及びR5が独立してH、C1〜C6の直鎖の炭化水素、C3〜C6の分枝、飽和又は複不飽和の炭化水素、C2〜C6の単不飽和の炭化水素、C4〜C6の環状又は芳香族の炭化水素、C1〜C6の部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素からなる群より選択され、nが0〜3、mが0〜3、qが0〜3、pが0〜3であり、但し、n+m≧1、n+p≦3、m+q≦3である、R1n(OR2p(O(O)CR43-n-pSi−R7−SiR3m(O(O)CR5q(OR63-m-q
(ii)R1n(OR2p(O(O)CR34-(n+p)Siであって、式中、R1が独立してH又はC1〜C4の直鎖の炭化水素、C3〜C4の分枝、飽和又は複不飽和の炭化水素、C2〜C4の単不飽和の炭化水素、C4の環状の炭化水素、C1〜C4の部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素からなる群より選択され、R2が独立してC1〜C6の直鎖の炭化水素、C3〜C6の分枝、飽和、単又は複不飽和の炭化水素、C2〜C6の単不飽和の炭化水素、C4〜C6の環状又は芳香族の炭化水素、C1〜C6の部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素からなる群より選択され、R3が独立してH、C1〜C6の直鎖の炭化水素、C3〜C6の分枝、飽和又は複不飽和の炭化水素、C2〜C4の単不飽和の炭化水素、C4〜C6の環状又は芳香族の炭化水素、C1〜C6の部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素からなる群より選択され、nが1〜3、pが0〜3である、R1n(OR2p(O(O)CR34-(n+p)Si
(iii)メチルトリエトキシシラン、及び
(iv)メチルトリメトキシシラン
から選択される工程、
前記真空チャンバー中の前記ガス状試薬にエネルギーを適用して該ガス状試薬の反応を引き起こして前記基材上にポロゲンを含有する予備的な膜を堆積させる工程、並びに
UV放射を用いて前記予備的な膜から有機材料の一部を除去して2.6未満の誘電率を有する多孔質の有機シリカガラス膜を提供する工程
を含む、化学気相成長法。
【請求項2】
膜が式Sivwxyzによって表され、式中、v+w+x+y+z=100%、vが10〜35原子%、wが10〜65原子%、xが5〜50原子%、yが10〜50原子%、zが0〜15原子%である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
酸化剤が添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
酸化剤種がO2、オゾン、H22、N2Oである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
添加される酸化剤の比が、合計の液体前駆体の蒸気流量と比較して50%未満である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
添加される酸化剤の比が、合計の液体前駆体の蒸気流量と比較して20%未満である、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
酸化剤を添加しないで実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
式R1x2ySiを有するケイ素前駆体であって、式中、R1及びR2が独立してアルコキシ又は水素基であることができ、x+y=4であるケイ素前駆体が堆積プロセスに添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
TEOSが堆積プロセスに添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
TES(トリエトキシシラン)が堆積プロセスに添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
DES(ジエトキシシラン)が堆積プロセスに添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
誘電率が2.2未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
wが20〜45原子%であり、zが0である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
多孔質膜中の水素の過半数が炭素に結合している、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
多孔質膜が1.5g/ml未満の密度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
多孔質の有機シリカガラス膜が5nm以下の等価球径を有する気孔を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
多孔質の有機シリカガラス膜がN2中425℃等温で1.0wt%/hよりも小さい平均減量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
多孔質の有機シリカガラス膜が空気中425℃等温で1.0wt%/hよりも小さい平均減量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
ポロゲンがトルエン、ベンゼン、シメン、キシレン、フェノール、メシチレン、エチルベンゼン、スチレン、エトキシベンゼン、メトキシベンゼン、ベンズアルデヒド、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
ポロゲンがシメンである、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
ポロゲンがトルエンである、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
ケイ素含有前駆体がジエトキシメチルシラン(DEMS)である、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
多孔質の有機シリカガラス膜が、ケイ素と酸素に対して28原子%を超えるXPS炭素濃度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
多孔質の有機シリカガラス膜を製造するための化学気相成長法であって、
真空チャンバー内に基材を用意する工程、
該真空チャンバーに、ジエトキシメチルシラン、メチルトリエトキシシラン、及びメチルトリメトキシシランからなる群より選択されるケイ素含有前駆体と、シメンの有機基を含有するポロゲンとを含むガス状試薬を導入する工程、
前記真空チャンバー中の前記ガス状試薬にエネルギーを適用して該ガス状試薬の反応を引き起こして前記基材上にポロゲンを含有する予備的な膜を堆積させる工程、並びに
前記予備的な膜から有機材料の一部を除去して2.6未満の誘電率を有する多孔質の有機シリカガラス膜を提供する工程
を含む、化学気相成長法。
【請求項25】
式Sivwxyzによって表され、式中、v+w+x+y+z=100%、vが10〜35原子%、wが10〜65原子%、xが5〜50原子%、yが10〜50原子%、zが0〜15原子%である膜が製造される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
(a)少なくとも1つのケイ素含有前駆体であって、
(i)R1n(OR2p(O(O)CR43-n-pSi−R7−SiR3m(O(O)CR5q(OR63-m-qであって、式中、R1及びR3が独立してH又はC1〜C4の直鎖の炭化水素、C3〜C4の分枝、飽和の炭化水素、C2〜C4の単不飽和の炭化水素、C3〜C4の複不飽和の炭化水素、C4の環状の炭化水素、C1〜C4の部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素からなる群より選択され、R2、R6及びR7が独立してC1〜C6の直鎖の炭化水素、C3〜C6の分枝、飽和又は複不飽和の炭化水素、C2〜C6の単不飽和の炭化水素、C4〜C6の環状又は芳香族の炭化水素、C1〜C6の部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素からなる群より選択され、R4及びR5が独立してH、C1〜C6の直鎖の炭化水素、C3〜C6の分枝、飽和又は複不飽和の炭化水素、C2〜C6の単不飽和の炭化水素、C4〜C6の環状又は芳香族の炭化水素、C1〜C6の部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素からなる群より選択され、nが0〜3、mが0〜3、qが0〜3、pが0〜3であり、但し、n+m≧1、n+p≦3、m+q≦3である、R1n(OR2p(O(O)CR43-n-pSi−R7−SiR3m(O(O)CR5q(OR63-m-q
(ii)R1n(OR2p(O(O)CR34-(n+p)Siであって、式中、R1が独立してH又はC1〜C4の直鎖の炭化水素、C3〜C4の分枝、飽和又は複不飽和の炭化水素、C2〜C4の単不飽和の炭化水素、C4の環状の炭化水素、C1〜C4の部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素からなる群より選択され、R2が独立してC1〜C6の直鎖の炭化水素、C3〜C6の分枝、飽和、単又は複不飽和の炭化水素、C2〜C6の単不飽和の炭化水素、C4〜C6の環状又は芳香族の炭化水素、C1〜C6の部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素からなる群より選択され、R3が独立してH、C1〜C6の直鎖の炭化水素、C3〜C6の分枝、飽和又は複不飽和の炭化水素、C2〜C4の単不飽和の炭化水素、C4〜C6の環状又は芳香族の炭化水素、C1〜C6の部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素からなる群より選択され、nが1〜3、pが0〜3である、R1n(OR2p(O(O)CR34-(n+p)Si
(iii)メチルトリエトキシシラン、及び
(iv)メチルトリメトキシシラン
からなる群より選択される少なくとも1つのケイ素含有前駆体、並びに
(b)以下の式、すなわち、
【化2】

によって表される化合物を含み、式中、R1〜R6が独立してH、OH、C1〜C6の直鎖の炭化水素、C3〜C6の分枝、飽和又は複不飽和の炭化水素、C2〜C6の単不飽和の炭化水素、C4〜C6の環状の炭化水素、C1〜C6の直鎖のアルコール、C3〜C6の分枝、飽和又は複不飽和のアルコール又は環状のエーテル、及びC2〜C6のエポキシド又はケトンからなる群より選択することができる基であるポロゲン前駆体
を含む、組成物。
【請求項27】
以下の添加剤、すなわち、テトラエトキシシラン、トリエトキシシラン、ジエトキシシラン、トリメトキシシランのうち1つ又は複数が用いられる、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
ポロゲンと少なくとも1つのケイ素含有前駆体が別々の容器に保持される装置において提供される、請求項26に記載の組成物。
【請求項29】
ポロゲンと少なくとも1つのケイ素含有前駆体が別々の容器に保持される装置において提供される、請求項26に記載の組成物。
【請求項30】
容器の少なくとも1つが加圧可能なステンレス鋼容器である、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
容器の少なくとも1つが加圧可能なステンレス鋼容器である、請求項26に記載の組成物。
【請求項32】
ポロゲン前駆体と少なくとも1つのケイ素含有前駆体がポロゲンと少なくとも1つのケイ素含有前駆体を別々に保持するための分離手段を有する1つの容器において保持される、請求項26に記載の組成物。
【請求項33】
ポロゲン前駆体と少なくとも1つのケイ素含有前駆体が1つの容器において予備混合される、請求項26に記載の組成物。
【請求項34】
ポロゲン前駆体と少なくとも1つのケイ素含有前駆体が1つの容器において予備混合される、請求項26に記載の組成物。
【請求項35】
1つ又は複数のケイ素前駆体が1つの容器において予備混合され、ポロゲン前駆体が別の容器において保持される、請求項26に記載の組成物。
【請求項36】
容器の少なくとも1つが加圧可能なステンレス鋼容器である、請求項33に記載の組成物。
【請求項37】
容器の少なくとも1つが加圧可能なステンレス鋼容器である、請求項34に記載の組成物。
【請求項38】
ケイ素前駆体がジエトキシメチルシラン及びテトラエトキシシランであり、ポロゲン前駆体がパラ−シメンである、請求項34に記載の組成物。
【請求項39】
ケイ素前駆体がジエトキシメチルシラン及びトリエトキシシランであり、ポロゲン前駆体がパラ−シメンである、請求項34に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−142320(P2011−142320A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−286542(P2010−286542)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】