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元止め式電気温水器
説明

元止め式電気温水器

【課題】熱膨張によってタンクから溢れる水を排出するための配管を設ける必要がなく、開閉弁が閉状態にも関わらず水栓から水が溢れ出てしまう現象を確実に防止することができる元止め式電気温水器を提供すること。
【解決手段】この元止め式電気温水器1は、タンク7に貯えられた水の水位を調整する水位調整手段6を有しており、水位調整手段6は、電磁弁4が閉状態となりタンク7への水の供給が停止されると、タンク7と連通したタンク側空間62の容積を拡大させることにより、タンク7に蓄えられていた水の一部をタンク側空間62に引き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道から供給される水を加熱して吐水する元止め式電気温水器に関する。
【背景技術】
【0002】
水道から供給される水を加熱して吐水する元止め式電気温水器として、下記特許文献1、に記載のものが提案されている。下記特許文献1に記載の元止め式電気温水器は、水道から供給された水を、電気ヒータを内部に有するタンクにおいて加熱して、吐水部に接続された水栓から吐水する構造となっている。水道からタンクに水が供給される流路の途中には開閉弁が設けられており、かかる開閉弁の動作によって、タンクに対する水の供給及びその停止が切り替えられる。換言すると、元止め式電気温水器からの吐水の開始及び停止は、タンクの上流側に設けられた開閉弁によって切り替えられる。
【0003】
このような構成の元止め式電気温水器においては、タンクには常に水が貯えられた状態となっている。電気ヒータによってタンク内の水を加熱し、所定温度に維持するよう制御しているため、開閉弁が開状態になるとすぐにお湯を吐水することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−130469号公報
【特許文献2】特開2000−065374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されているような元止め式電気温水器では、開閉弁が開状態から閉状態になった直後、すなわち、吐水を停止した直後において、タンクに貯えられている水の温度は低下した状態となっている。このため、電気ヒータによって水の温度が上昇するように制御されるが、タンクに貯えられている水はその温度が上昇するに伴って熱膨張することとなる。
【0006】
元止め式電気温水器では、タンクから水栓までの流路の途中に開閉弁等が存在しない。このため、タンクに貯えられている水が熱膨張すると、体積が増加した水は少しずつ水栓から溢れ出てしまう。このような現象は、止水不良であるような印象を使用者に対して与えてしまうため望ましいものではない。
【0007】
これを防止するために、上記特許文献1に記載された元止め式電気温水器は、タンクと水栓とを接続する配管の途中にチーズ継手を設け、チーズ継手から分岐した配管を排水管に接続している。このような構成とすることで、熱膨張によって増加した水はチーズ継手から排水管に流れ込むため、水栓から溢れ出てしまうことがない。
【0008】
しかし、上記のような構成は、チーズ継手と排水管を接続する配管を新たに設ける必要があるため、構造が複雑になってしまうという問題があった。また、元止め式電気温水器が設置される場所によっては、かかる配管を新たに設けるための空間を確保することができない場合もあった。
【0009】
また、熱膨張した水が水栓から溢れ出てしまう現象を防止するために、上記特許文献2では、タンクに水道水を供給する給水配管の途中に膨張水タンクを設けた構成の元止め式電気温水器が提案されている。上記特許文献2に記載の元止め式電気温水器では、膨張水タンクがその容積を変化させることにより膨張水を一時的に貯留し、水が水栓から溢れ出てしまう現象を防止している。
【0010】
しかし、上記のような構成は、水が熱膨張して水圧が増加した際、かかる水圧によって膨張水タンクの容積を拡大させるものである。すなわち、熱膨張水タンクの内部に水を積極的に引き込むものではない。このため、熱膨張水タンクの容積を拡大させるために必要な力が十分弱くなるように設計する必要がある。しかし、熱膨張タンクの可動部分の摩擦力が大きくなった場合などにおいては熱膨張タンクの容積が水圧によって拡大されず、十分な量の水を熱膨張タンクに貯留することができない。このため、水が水栓から溢れ出てしまう現象を確実に防止できるものではなかった。
【0011】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱膨張によってタンクから溢れる水を排出するための配管を設ける必要がなく、開閉弁が閉状態にも関わらず水栓から水が溢れ出てしまう現象を確実に防止することができる元止め式電気温水器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために本発明に係る元止め式電気温水器は、水道から供給される水を加熱して吐水する元止め式電気温水器において、水道に接続され、水の供給を受ける給水部と、前記給水部よりも下流側に設けられ、前記給水部を経由して供給された水を貯えるタンクと、前記給水部に設けられ、前記タンクへの水の供給と停止とを切り換える開閉弁と、前記タンクの内部に配置され、前記タンクに貯えられた水を加熱する加熱手段と、前記タンクに貯えられた水を外部に供給する吐水部と、前記タンクに貯えられた水の水位を調整する水位調整手段と、を備え、前記水位調整手段は、前記タンクと連通したタンク側空間と、前記給水部のうち前記開閉弁よりも上流側における水圧に応じて前記タンク側空間の容積を変化させる容積調整手段と、を有しており、前記容積調整手段は、前記開閉弁が閉状態となり前記タンクへの水の供給が停止されると、前記タンク側空間の容積を拡大させることにより、前記タンクに貯えられていた水の一部を前記タンク側空間に引き込むことを特徴としている。
【0013】
本発明によれば、開閉弁が閉状態となり前記タンクへの水の供給が停止されると、開閉弁よりも上流側における水圧に応じて、水位調整手段が有するタンク側空間の容積が容積調整手段によって拡大される。タンク側空間はタンクと連通しているため、タンク側空間の容積が拡大されると、タンクに貯えられていた水の一部がタンク側空間に引き込まれる。その結果、タンクに貯えられた水の水位が低下し、吐水部に接続された水栓からタンクまでの流路内において、少なくとも一部に水が存在しない空間が形成される。このため、この状態からタンク内の水が加熱されて熱膨張しても、吐水部に接続された水栓から水が溢れ出てしまうことが確実に防止される。
【0014】
また本発明に係る元止め式電気温水器では、前記容積調整手段は、前記開閉弁が開状態となり前記タンクへの水の供給を行っている間において、前記タンク側空間の容積を縮小させることも好ましい。
【0015】
この好ましい態様では、開閉弁が開状態となりタンクへの水の供給を行っている間において、容積調整手段がタンク側空間の容積を縮小させ、タンク側空間に引き込まれていた水をタンクに排出する。このため、開閉弁が閉状態となりタンクへの水の供給が停止された際において、縮小していたタンク側空間の容積を再び拡大させることができ、タンクに貯えられていた水の一部をタンク側空間に確実に引き込むことが可能となる。
【0016】
また本発明に係る元止め式電気温水器では、前記容積調整手段は、前記給水部のうち前記開閉弁よりも上流側と連通した給水側空間を有しており、前記開閉弁よりも上流側における水圧から受ける力によって前記給水側空間の容積を変化させ、この容積変化に連動させて前記タンク側空間の容積を変化させることも好ましい。
【0017】
この好ましい態様では、容積調整手段は、開閉弁よりも上流側における水圧から受ける力によって給水側空間の容積を変化させ、この容積変化に連動させてタンク側空間の容積を変化させる。このような構成とすることにより、開閉弁よりも上流側における水圧がタンク側空間の容積を変化させように直接作用するため、例えば圧力センサやアクチュエータを用いた制御を行う必要がなく、容積調整手段をより簡便な構成とすることができる。
【0018】
また本発明に係る元止め式電気温水器では、前記容積調整手段は、前記タンク側空間の少なくとも一部を画定し弾性変形可能なタンク側ダイアフラムと、前記給水側空間の少なくとも一部を画定し弾性変形可能な給水側ダイアフラムと、前記タンク側ダイアフラムの変形と前記給水側ダイアフラムの変形とを相互に伝達する第一連動手段と有し、
前記給水側空間の容積変化に伴う前記給水側ダイアフラムの変形を、前記第一連動手段が前記タンク側ダイアフラムに伝達することで、前記タンク側ダイアフラムを変形させて前記タンク側空間の容積を変化させることも好ましい。
【0019】
この好ましい態様では、容積調整手段は、タンク側空間の少なくとも一部を画定し弾性変形可能なタンク側ダイアフラムと、給水側空間の少なくとも一部を画定し弾性変形可能な給水側ダイアフラムと、を有している。容積を変化させる必要のあるタンク側空間と給水側空間とを、いずれもダイアフラムを用いて容易に構成することができる。更に、タンク側ダイアフラムの変形と給水側ダイアフラムの変形とを相互に伝達する第一連動手段を有しており、給水側空間の容積変化に伴う給水側ダイアフラムの変形を、第一連動手段がタンク側ダイアフラムに伝達することで、タンク側ダイアフラムを変形させてタンク側空間の容積を変化させる。これにより、タンク側空間の容積を、給水側空間の容積に連動して確実に変化させることができる。
【0020】
また本発明に係る元止め式電気温水器では、前記容積調整手段は、前記タンク側空間の少なくとも一部を画定し弾性変形可能なタンク側ダイアフラムと、前記給水側空間の少なくとも一部を画定し移動可能な剛性部として構成される給水側ピストン部と、前記タンク側ダイアフラムの変形と前記給水側ピストン部の移動とを相互に伝達する第二連動手段と、を有し、前記給水側空間の容積変化に伴う前記給水側ピストンの移動を、前記第二連動手段が前記タンク側ダイアフラムに伝達することで、前記タンク側ダイアフラムを変形させて前記タンク側空間の容積を変化させることも好ましい。
【0021】
この好ましい態様では、容積調整手段は、前記タンク側空間の少なくとも一部を画定し弾性変形可能なタンク側ダイアフラムと、前記給水側空間の少なくとも一部を画定し移動可能な剛性部として構成される給水側ピストン部と、を有している。容積を変化させる必要のあるタンク側空間を、ダイアフラムを用いて容易に構成することができる。また、水位調整手段に用いられるダイアフラムが一つであるため、ダイアフラムの変形量を大きくとることができる。これにより、開閉弁が閉状態となり前記タンクへの水の供給が停止された際、より多くの水をタンクからタンク側空間に引き込むことが可能となる。
【0022】
更に、タンク側ダイアフラムの変形と給水側ピストン部の移動とを相互に伝達する第二連動手段を有しており、給水側空間の容積変化に伴う給水側ピストンの移動を、第二連動手段がタンク側ダイアフラムに伝達することで、タンク側ダイアフラムを変形させてタンク側空間の容積を変化させる。これにより、タンク側空間の容積を、給水側空間の容積に連動して確実に変化させることができる。
【0023】
また本発明に係る元止め式電気温水器では、前記容積調整手段は、前記タンク側空間の少なくとも一部を画定し移動可能な剛性部として構成されるタンク側ピストン部と、前記給水側空間の少なくとも一部を画定し移動可能な剛性部として構成される給水側ピストン部と、前記タンク側ピストン部の移動と前記給水側ピストン部の移動とを相互に伝達する第三連動手段と、を有することも好ましい。
【0024】
この好ましい態様では、容積調整手段は、タンク側空間の少なくとも一部を画定し移動可能な剛性部として構成されるタンク側ピストン部と、給水側空間の少なくとも一部を画定し移動可能な剛性部として構成される給水側ピストン部と、を有している。容積を変化させる必要のあるタンク側空間をピストンにより構成しているため、ダイアフラムにより構成した場合と比較して、タンク側空間の容積をより広い範囲で変化させることができ、より多くの水をタンクからタンク側空間に引き込むことが可能となる。
【0025】
更に、タンク側ピストン部の移動と給水側ピストン部の移動とを相互に伝達する第三連動手段を有しているため、タンク側空間の容積を、給水側空間の容積に連動して確実に変化させることができる。
【0026】
また本発明に係る元止め式電気温水器では、前記給水部のうち前記開閉弁よりも上流側において、前記タンクへ供給される水の流量を一定にする定流量弁を有しており、前記給水側空間は、前記給水部のうち前記定流量弁よりも下流側と連通していることも好ましい。
【0027】
元止め式電気温水器が設置される場所によっては、水道の水圧が低く、容積調整手段が十分に動作しない場合がある。すなわち、水道の水圧が低い場合は開閉弁が動作することによる水圧の変化量が小さくなるため、給水側空間の容積が水圧によって十分に変化しない場合がある。
【0028】
この好ましい態様では、開閉弁よりも上流側で且つ定流量弁よりも下流側において、給水部と給水側空間とが連通している。定流量弁を配置すると、その下流側では、開閉弁が開状態から閉状態になった場合の水圧の変化量が大きくなる。従って、この水圧の変化に連動して給水側空間の容積を確実に変化させることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、熱膨張によってタンクから溢れる水を排出するための配管を設ける必要がなく、開閉弁が閉状態にも関わらず吐水部から水が溢れ出てしまう現象を確実に防止することができる元止め式電気温水器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第一実施形態である元止め式電気温水器が、水栓に接続された状態の外観を示す図である。
【図2】本発明の第一実施形態である元止め式電気温水器の内部構造の一部を概念的に示した図である。
【図3】本発明の第一実施形態である元止め式電気温水器の内部構造の一部を概念的に示した図である。
【図4】本発明の第二実施形態である元止め式電気温水器の内部構造の一部を概念的に示した図である。
【図5】本発明の第二実施形態である元止め式電気温水器の内部構造の一部を概念的に示した図である。
【図6】本発明の第三実施形態である元止め式電気温水器の内部構造の一部を概念的に示した図である。
【図7】本発明の第三実施形態である元止め式電気温水器の内部構造の一部を概念的に示した図である。
【図8】水道水の給水圧力と、開閉弁の上流側における圧力との関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0032】
本発明の実施形態に係る元止め式電気温水器について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、本発明の第一実施形態である元止め式電気温水器1が、水栓200に接続された状態の外観を示す図である。また、図2は、元止め式電気温水器1の内部構造の一部を概念的に示した図である。元止め式電気温水器1は、水道100と水栓200との間に設置される装置であって、水道100から供給される水を電気ヒータによって加熱して温水とし、かかる温水を水栓200に供給して水栓200から吐水させる装置である。
【0033】
元止め式電気温水器1は、給水配管2と、ケーシング10と、吐水配管5とによって構成されている。ケーシング10の内部には、流量調整弁3、電磁弁4、タンク7、及び水位調整装置6が配置されている。
【0034】
給水配管2は、水道100に接続され水の供給を受けるための配管である。給水配管2の途中には、上流側から順に流量調整弁3、電磁弁4が設けられており、給水配管の下流側端部にはタンク7が設けられている。以下では、給水配管2のうち水道100から流量調整弁3までの部分を2a、流量調整弁3から電磁弁4までの部分を2b、電磁弁4からタンク7までの部分を2cと表して説明する。
【0035】
流量調整弁3は、その上流側において受ける圧力によらず、その下流側を流れる水の瞬間流量を一定に保つための装置である。すなわち、水道100の給水圧力(給水配管2aの内部における水圧)は元止め式電気温水器1の設置場所や時間帯等によって異なるが、流量調整弁3によって、このような給水圧力の変動によらず給水配管2bを流れる水の瞬間流量を一定の所定流量とすることができる。
【0036】
電磁弁4は、その開閉動作によって、給水配管2からタンク7への水の供給及びその停止を切り換えるための弁である。後に説明するように、タンク7に水が供給されると、吐水配管5を経由して水栓200から温水が吐水される。つまり、電磁弁4の開閉動作によって水栓200からの温水の吐水及びその停止が制御される。電磁弁4の開閉動作は、図示しない制御装置によって制御される。
【0037】
本実施形態においては、水栓200には図示しない人体検知センサが設けられている。水栓200の下方に使用者の手が存在することを人体検知センサが検知すると、信号線80を通じて検知信号が制御装置に伝達される。制御装置はかかる検知信号を受信すると、電磁弁4を開状態とし、水栓200からの温水の吐水が開始される。
【0038】
また、水栓200の下方に使用者の手が存在しなくなったことを人体検知センサが検知すると、信号線80を通じて不検知信号が制御装置に伝達される。制御装置はかかる不検知信号を受信すると、電磁弁4を閉状態とし、水栓200からの温水の吐水が停止される。
【0039】
タンク7は、水栓200に接続された吐水配管5と給水配管2cとの間に設けられており、所定量の温水を貯えておくためのものである。タンク7の内部には電気ヒータ8が設けられており、電気ヒータ8によってタンク7に貯えられた水が加熱される。制御装置が電気ヒータ8の出力を制御しており、かかる制御によってタンク7内部の水温は一定に保たれる。すなわち、タンク7には常に所定温度の温水が貯えられた状態となっている。
【0040】
吐水配管5は、元止め式電気温水器1を流れる水の流路の最も下流側に位置する配管であって、吐水部として機能する。吐水配管5の下流側先端は水栓200に接続されている。電磁弁4が開状態となると、給水配管2を経由して水道100から水がタンク7に流入し、既にタンク7に貯えられていた温水が吐水配管5を経由して水栓200から吐水される。このように、温水を貯えておくためのタンク7を設けることによって、電磁弁4が開状態になった直後からすぐに所定温度の温水を吐水することが可能となっている。
【0041】
電磁弁4の開状態が継続すると、タンク7には水道100から冷水が供給され続ける。しかし、かかる冷水はタンク7を通過する間に電気ヒータ8によって加熱されて、温水となってから水栓200に到達する。すなわち、元止め式電気温水器1が瞬間湯沸かし器のように機能するため、タンク7の容積を超える量の温水を連続して吐水し続けることができる。
【0042】
電磁弁4が閉状態となって水栓200からの吐水が停止された時点では、タンク7に貯えられている温水の温度は、吐水開始直前と比較して低下した状態となっている。これは、水道100から冷水が供給され続けたことの影響によるものである。制御装置は温水の温度を元に戻すため、電気ヒータ8の出力をしばらくの間増加させ、タンク7に貯えられている温水の温度を上昇させる。
【0043】
このとき、タンク7に貯えられている温水は、その温度が上昇することに伴って熱膨張し、体積が増加することとなる。仮に、次に説明する水位調整装置6が存在しない場合は、電磁弁4が閉状態となった時点ではタンク7、吐水配管5、水栓200は全て内部が水で満たされた状態となっている。このため、タンク7の内部で水の体積が増加すると、その増加分に相当する水が水栓200から押し出されてしまう。この現象はタンク7の水温の上昇が完了するまで継続されるため、長時間にわたって水栓200から少しずつ溢れ出てしまうこととなる。
【0044】
このような現象を、本実施形態である元止め式電気温水器1では、水位調整装置6を設けることによって防止している。水位調整装置6は、給水配管2cから分岐した第一配管11と、給水配管2bから分岐した第二配管12とが接続されており、電磁弁4の開閉動作に伴ってタンク7に貯えられている水の水位を調整するように動作する装置である。
【0045】
まず、水位調整装置6の構造について説明する。水位調整装置6は、円筒形状のハウジング61の内部においてタンク側空間62及び給水側空間63が形成された構造となっており、タンク側空間62と給水側空間63とは、隔壁64によって隔てられている。タンク側空間62及び給水側空間63は、いずれも内部が水で満たされた状態となっている。
【0046】
ハウジング61には、二つの開口部であるタンク側ポート65及び給水側ポート66が形成されている。タンク側ポート65はタンク側空間62に連通する開口部であって、第一配管11が接続されている。また、給水側ポート66は給水側空間63に連通する開口部であって、第二配管12が接続されている。
【0047】
ハウジング61の内部には、タンク側ダイアフラム67、給水側ダイアフラム68が配置されている。タンク側ダイアフラム67、給水側ダイアフラム68はいずれも円形状からなる薄いゴム板であって、その外周部(671、681)が、ハウジング61の内壁に固定されている。また、タンク側ダイアフラム67及び給水側ダイアフラム68は、変形することによってそれぞれの中央部(672、682)が図2の左右方向に移動することが可能となっている。図2は、中央部(672、682)が移動可能な範囲のうち右端に存在する場合を示している。
【0048】
タンク側ダイアフラム67は、タンク側空間62を画定する壁面の一部となっている。このため、タンク側ダイアフラム67が変形して中央部672が左右に移動すると、タンク側空間62の容積が変化する。すなわち、中央部672が右側に移動するとタンク側空間62の容積は拡大し、中央部672が左側に移動するとタンク側空間62の容積は縮小する。
【0049】
同様に、給水側ダイアフラム68は、給水側空間63を画定する壁面の一部となっている。このため、給水側ダイアフラム68が変形して中央部682が左右に移動すると、給水側空間63の容積が変化する。すなわち、中央部682が右側に移動すると給水側空間63の容積は拡大し、中央部682が左側に移動すると給水側空間63の容積は縮小する。
【0050】
タンク側ダイアフラム67と給水側ダイアフラム68との間には、隔壁64を貫通してシャフト69が配置されている。シャフト69は、隔壁64の内壁に配置されたOリング602を介して左右に摺動自在となるよう配置されており、その一端がタンク側ダイアフラム67の中央部に固定され、他端が給水側ダイアフラム68の中央部に固定されている。Oリング602は、シャフト69の側面に設けられたOリング溝604内に装着されており、給水側空間63の水が隔壁64の左側に漏洩してしまうことを防止している。
【0051】
シャフト69によって、タンク側ダイアフラム67の変形と給水側ダイアフラム68の変形とは相互に伝達されることとなる。すなわち、給水側ダイアフラム68が変形して中央部682が左側に移動すると、タンク側ダイアフラム67も変形して中央部672が左側に移動することとなる。同様に、給水側ダイアフラム68が変形して中央部682が右側に移動すると、タンク側ダイアフラム67も変形して中央部672が右側に移動することとなる。
【0052】
タンク側ダイアフラム67と隔壁64との間にはバネ601が配置されており、バネ601がタンク側ダイアフラム67の中央部672を左側に向けて(タンク側空間62の容積が縮小する方向に向けて)付勢している。
【0053】
次に、水位調整装置6の動作について、図2及び図3を参照しながら説明する。図2は、電磁弁4が閉状態、すなわち、水栓200からの吐水が停止している状態を示している。この状態においては、給水配管2a、2b内を流れる水は静止しているため、給水配管2a、2b内部の水圧は、水道100の給水圧力と一致している。水位調整装置6の給水側空間63は第二配管12によって給水配管2bと連通しているため、給水側空間63内部の水圧も水道100の給水圧力と一致している。
【0054】
バネ601によって、給水側ダイアフラム68の中央部682は左側に移動する向きに力を常に受けている。しかし、給水側空間63内部の水圧により、給水側ダイアフラム68はバネ601よりも強い力を右側に向けて受けているため、変形して中央部682が右側に移動した状態となっている。
【0055】
この状態から、電磁弁4が開状態となって水栓200からの吐水が開始されたときの様子を図3に示す。図3においては、給水配管2b内は所定の瞬間流量にて水が流れており、給水配管2b内部の水圧は、いずれも水道100の給水圧力よりも低い状態となっている。図8は、水道100の給水圧力と給水配管2b内の水圧との関係を示したグラフである。図8で明らかなように、電磁弁4が閉状態においては、給水配管2b内の水圧は水道100の給水圧力と一致している。一方、電磁弁4が開状態においては、給水配管2b内の水圧は水道100の給水圧力よりも低下し、水道100の給水圧力によらずほぼ一定の値となっている。
【0056】
これは、電磁弁4より下流の流路が水栓200において大気に開放されていることに加え、かかる流路の抵抗が比較的小さいことによるものである。更に、電磁弁4の上流には流量調整弁3が配置されており、流量調整弁3によって流路が絞られた状態となっている。このため、電磁弁4が開状態となった時における給水配管2bの水圧の低下量は、流量調整弁3が無い場合に比べて更に増大している。
【0057】
電磁弁4が開状態となると給水配管2bの水圧が低下するため、これと連通する給水側空間63内部の水圧も同時に低下する。このため、給水側ダイアフラム68の中央部682が給水側空間63内部の水圧から右側に向けて受ける力は、バネ601から左側に向けて受ける力よりも小さくなる。従って、給水側ダイアフラム68は変形して中央部682が左側に移動する。シャフト69によって、タンク側ダイアフラム67もこれに連動して変形し、中央部672が左側に移動する。
【0058】
換言すると、電磁弁4が開状態となった直後において、給水配管2bの水圧によって給水側空間63の容積が縮小し、これに連動してタンク側空間62の容積が縮小した状態となる。このとき、図2の状態においてタンク側空間62に存在していた水の一部は、第一配管11を経由してタンク7に向けて押し出される。電磁弁4が開状態である間は、水位調整装置6は継続的に図3の状態となっている。
【0059】
電磁弁4が再び閉状態となって水栓200からの吐水が停止されると、水位調整装置6は図2に示した状態に戻る。すなわち、給水配管2b内の水圧が上昇して、水道100の給水圧力と一致する。給水配管2bと連通する給水側空間63内部の水圧も水道100の給水圧力となるため、給水側ダイアフラム68はバネ601よりも強い力を右側に向けて受けることとなり、変形して中央部682が右側に移動する。タンク側ダイアフラム67もこれに連動して変形し、中央部672が右側に移動する。
【0060】
換言すると、電磁弁4が閉状態となった直後において、給水配管2bの水圧によって給水側空間63の容積が拡大し、これに連動してタンク側空間62の容積が拡大した状態となる。タンク側空間62は、第一配管11及び給水配管2cによってタンク7と連通しているため、タンク側空間62の容積が拡大することによって、タンク7及び吐水配管5に貯えられていた水の一部がタンク側空間62に引き込まれる。
【0061】
図2と図3とを比較すると、電磁弁4が開状態である図3においては、タンク7、吐水配管5、水栓200はいずれも内部が水で満たされた状態となっている。これに対し、図2においては、タンク7の上部に空間13が形成され、タンク7の上部から水栓200までの流路が水で満たされていない状態となっている。これは、電磁弁4が閉状態となった直後、タンク7に貯えられていた水の一部がタンク側空間62に引き込まれた際、水栓200から吸入された空気がタンク7に到達したためである。
【0062】
先に説明したように、電磁弁4が閉状態となって水栓200からの吐水が停止された時点では、タンク7に貯えられている温水の温度は、吐水開始直前と比較して低下した状態となっている。制御装置は温水の温度を元に戻すため、電気ヒータ8の出力をしばらくの間増加させ、タンク7に貯えられている温水の水温を上昇させる。これに伴い、タンク7に貯えられている温水は熱膨張し、その体積が増加する。
【0063】
本実施形態においては、電磁弁4が閉状態となった直後、水位調整装置6が動作することによって、タンク7に貯えられている温水の水位が低下している。タンク側空間62に引き込まれた水の体積(水栓200から吸入された空気の体積と一致する)は、水の体積が熱膨張によって増加する量よりも十分に大きくなるように設計されているため、タンク7に貯えられている温水の水位が熱膨張によって増加しても、水栓200から水が溢れ出ることが無い。
【0064】
上述したように、本実施形態に係る元止め式電気温水器1では、水位調整装置6を備えており、水位調整装置6は、タンク7と連通したタンク側空間62を有している。また、水位調整装置6は、タンク側ダイアフラム67、給水側ダイアフラム68、シャフト69、バネ601、及び給水側空間63を有しており、これらが容積調整手段として機能している。すなわち、電磁弁4よりも上流側である給水配管2bの水圧に応じて、タンク側空間62の容積を変化させるよう機能している。
【0065】
電磁弁4が閉状態となってタンク7への水の供給が停止された際、この容積調整手段がタンク側空間62の容積を拡大させることにより、タンク7に貯えられていた水の一部がタンク側空間62に引き込まれ、その水位が低下する。従って、この状態からタンク7内の水が加熱されて熱膨張しても、吐水配管5に接続された水栓200から水が溢れ出てしまうことは確実に防止される。
【0066】
続いて、本発明の第二実施形態である元止め式電気温水器1aについて、図4及び図5を参照しながら説明する。元止め式電気温水器1aは、元止め式電気温水器1の水位調整装置6を水位調整装置6aに置き換えた構造となっており、その他の構造は元止め式電気温水器1と同じである。
水位調整装置6aの構造について説明する。水位調整装置6aは、円筒形状のハウジング61aの内部においてタンク側空間62a及び給水側空間63aが形成された構造となっており、タンク側空間62aと給水側空間63aとは、ハウジング61a内を上下に移動可能に配置されたピストン90によって隔てられている。タンク側空間62a及び給水側空間63aは、いずれも内部が水で満たされた状態となっている。
【0067】
ハウジング61aには、二つの開口部であるタンク側ポート65a及び給水側ポート66aが形成されている。タンク側ポート65aはタンク側空間62aに連通する開口部であって、第一配管11が接続されている。また、給水側ポート66aは給水側空間63aに連通する開口部であって、第二配管12が接続されている。
【0068】
ハウジング61aの内部には、タンク側ダイアフラム67aが配置されている。タンク側ダイアフラム67aは円形状からなる薄いゴム板であって、その外周部671aが、ハウジング61aの内壁に固定されている。また、タンク側ダイアフラム67aは、変形することによってその中央部672aが図4の上下方向に移動することが可能となっている。図4は、中央部672aが移動可能な範囲のうち上端に存在する場合を示している。
【0069】
タンク側ダイアフラム67aは、タンク側空間62aを画定する壁面の一部となっている。このため、タンク側ダイアフラム67aが変形して中央部672aが上下に移動すると、タンク側空間62aの容積が変化する。すなわち、中央部672aが上側に移動するとタンク側空間62aの容積は拡大し、中央部672aが下側に移動するとタンク側空間62aの容積は縮小する。
【0070】
タンク側空間62aと給水側空間63aとを隔てるピストン90は、その上端面901がタンク側ダイアフラム67aの中央部672aに固定されている。また、ピストン90の下端面902は、給水側空間63aを画定する壁面の一部となっている。ピストン90は、ほとんど変形することなくその位置が上下に移動する、剛性部として形成されている。
このため、ピストン90が上下に移動すると、給水側空間63aの容積が変化する。すなわち、ピストン90が上側に移動すると給水側空間63aの容積は拡大し、ピストン90が下側に移動すると給水側空間63aの容積は縮小する。
【0071】
給水側空間63aを画定する側壁631aとピストン90との間には、Oリング602aが配置されている。Oリング602aは、ピストン90の側面に設けられたOリング溝604a内に装着されており、給水側空間63aの水がタンク側空間62aに漏洩してしまうことを防止している。
【0072】
ピストン90の上端面901はタンク側ダイアフラム67aの中央部672aに固定されているため、ピストン90の移動とタンク側ダイアフラム67aの変形とは相互に伝達されることとなる。すなわち、ピストン90が上側に移動すると、タンク側ダイアフラム67aが変形して中央部672aが上側に移動することとなる。同様に、ピストン90が下側に移動すると、タンク側ダイアフラム67aが変形して中央部672aが下側に移動することとなる。
【0073】
ハウジング61aの内壁とタンク側ダイアフラム67aとの間にはバネ601aが配置されており、バネ601aがタンク側ダイアフラム67aの中央部672aを下側に向けて(タンク側空間62aの容積が縮小する方向に向けて)付勢している。
【0074】
次に、水位調整装置6aの動作について説明する。図4は、電磁弁4が閉状態、すなわち、水栓200からの吐水が停止している状態を示している。この状態においては、給水配管2a、2b内を流れる水は静止しているため、給水配管2a、2b内部の水圧は、水道100の給水圧力と一致している。水位調整装置6aの給水側空間63aは第二配管12によって給水配管2bと連通しているため、給水側空間63a内部の水圧も水道100の給水圧力と一致している。
【0075】
バネ601aによって、ピストン90は下側に移動する向きに力を常に受けている。しかし、給水側空間63a内部の水圧により、ピストン90はバネ601aよりも強い力を上側に向けて受けているため、上側に移動した状態となっている。
【0076】
この状態から、電磁弁4が開状態となって水栓200からの吐水が開始されたときの様子を図5に示す。図5においては、給水配管2b内を所定の瞬間流量にて水が流れており、給水配管2b内部の水圧は、いずれも水道100の給水圧力よりも低い状態となっている。
【0077】
電磁弁4が開状態となると給水配管2bの水圧が低下するため、これと連通する給水側空間63a内部の水圧も同時に低下する。このため、ピストン90が給水側空間63a内部の水圧から上側に向けて受ける力は、バネ601aから下側に向けて受ける力よりも小さくなる。従って、ピストン90が下側に移動する。タンク側ダイアフラム67aもこれに連動して変形し、中央部672aが下側に移動する。
【0078】
換言すると、電磁弁4が開状態となった直後において、給水配管2bの水圧によって給水側空間63aの容積が縮小し、これに連動してタンク側空間62aの容積が縮小した状態となる。このとき、図4の状態においてタンク側空間62aに存在していた水の一部は、第一配管11を経由してタンク7に向けて押し出される。電磁弁4が開状態である間は、水位調整装置6aは継続的に図5の状態となっている。
【0079】
電磁弁4が再び閉状態となって水栓200からの吐水が停止されると、水位調整装置6aは図4に示した状態に戻る。すなわち、給水配管2b内の水圧が上昇して、水道100の給水圧力と一致する。給水配管2bと連通する給水側空間63a内部の水圧も水道100の給水圧力となるため、ピストン90はバネ601aよりも強い力を上側に向けて受けることとなり、上側に移動する。タンク側ダイアフラム67aもこれに連動して変形し、中央部672aが上側に移動する。
【0080】
換言すると、電磁弁4が閉状態となった直後において、給水配管2bの水圧によって給水側空間63aの容積が拡大し、これに連動してタンク側空間62aの容積が拡大した状態となる。タンク側空間62aは、第一配管11及び給水配管2cによってタンク7と連通しているため、タンク側空間62aの容積が拡大することによって、タンク7及び吐水配管5に貯えられていた水の一部がタンク側空間62aに引き込まれる。
【0081】
図4と図5とを比較すると、電磁弁4が開状態である図5においては、タンク7、吐水配管5、水栓200はいずれも内部が水で満たされた状態となっている。これに対し、図4においては、タンク7の上部に空間13が形成され、タンク7の上部から水栓200までの流路が水で満たされていない状態となっている。これは、電磁弁4が閉状態となった直後、タンク7に貯えられていた水の一部がタンク側空間62aに引き込まれた際、水栓200から吸入された空気がタンク7に到達したためである。
【0082】
先に説明したように、電磁弁4が閉状態となって水栓200からの吐水が停止された時点では、タンク7に貯えられている温水の温度は、吐水開始直前と比較して低下した状態となっている。制御装置は温水の温度を元に戻すため、電気ヒータ8の出力をしばらくの間増加させ、タンク7に貯えられている温水の水温を上昇させる。これに伴い、タンク7に貯えられている温水は熱膨張し、その体積が増加する。
【0083】
本実施形態においては、電磁弁4が閉状態となった直後、水位調整装置6aが動作することによって、タンク7に貯えられている温水の水位が低下している。タンク側空間62aに引き込まれた水の体積(水栓200から吸入された空気の体積と一致する)は、水の体積が熱膨張によって増加する量よりも十分に大きくなるように設計されているため、タンク7に貯えられている温水の水位が熱膨張によって増加しても、水栓200から水が溢れ出ることが無い。
【0084】
また、本実施形態においては、水位調整装置6aに用いられるダイアフラムが一つであるため、ダイアフラムの変形量を大きくとることができる。これにより、電磁弁4が閉状態となりタンク7への水の供給が停止された際、より多くの水をタンク7からタンク側空間62aに引き込むことが可能となっている。
【0085】
続いて、本発明の第三実施形態である元止め式電気温水器1bについて、図6及び図7を参照しながら説明する。元止め式電気温水器1bは、元止め式電気温水器1の水位調整装置6を水位調整装置6bに置き換えた構造となっており、その他の構造は元止め式電気温水器1と同じである。
水位調整装置6bの構造について説明する。水位調整装置6bは、円筒形状のハウジング61bの内部においてタンク側空間62b及び給水側空間63bが形成された構造となっており、タンク側空間62bと給水側空間63bとは、ハウジング61b内を上下に移動可能に配置された複合ピストン90bによって隔てられている。タンク側空間62b及び給水側空間63bは、いずれも内部が水で満たされた状態となっている。
【0086】
ハウジング61bには、二つの開口部であるタンク側ポート65b及び給水側ポート66bが形成されている。タンク側ポート65bはタンク側空間62bに連通する開口部であって、第一配管11が接続されている。また、給水側ポート66bは給水側空間63bに連通する開口部であって、第二配管12が接続されている。
【0087】
ハウジング61bの内部には、複合ピストン90bが配置されている。複合ピストン90bは、大径のピストン部91bと小径のピストン部92bとが一体に形成されたものである。大径のピストン部91bは、タンク側空間62bを画定する側壁621bの内径とほぼ同じ外形を有しており、その下面911bはタンク側空間62bを画定する壁面の一部となっている。また、小径のピストン部92bは、給水側空間63bを画定する側壁631bの内径とほぼ同じ外形を有しており、その下面921bは給水側空間63bを画定する壁面の一部となっている。複合ピストン90bは、ほとんど変形することなくその位置が上下に移動する、剛性部として形成されている。
【0088】
複合ピストン90bは、大径のピストン部91bと小径のピストン部92bとが一体に形成されたものであるため、大径のピストン部91bの移動と小径のピストン部92bの移動とは相互に伝達されることとなる。その結果、複合ピストン90bが上下に移動すると、タンク側空間62b及び給水側空間63bの容積が変化する。すなわち、複合ピストン90bが上側に移動するとタンク側空間62b及び給水側空間63bの容積はいずれも拡大し、複合ピストン90bが下側に移動するとタンク側空間62b及び給水側空間63bの容積はいずれも縮小する。
【0089】
タンク側空間62bを画定する側壁621bと大径のピストン部91bとの間には、Oリング602bが配置されている。Oリング602bは、大径のピストン部91bの側面に設けられたOリング溝604b内に装着されており、タンク側空間62bの水が大径のピストン部91bよりも上部に漏洩してしまうことを防止している。
【0090】
給水側空間63bを画定する側壁631bと小径のピストン部92bとの間には、Oリング603bが配置されている。Oリング603bは、小径のピストン部92bの側面に設けられたOリング溝605b内に装着されており、給水側空間63bの水がタンク側空間62bに漏洩してしまうことを防止している。
【0091】
ハウジング61bの内壁と複合ピストン90bとの間にはバネ601bが配置されており、バネ601bが複合ピストン90bを下側に向けて(タンク側空間62bの容積が縮小する方向に向けて)付勢している。
【0092】
次に、水位調整装置6bの動作について説明する。図6は、電磁弁4が閉状態、すなわち、水栓200からの吐水が停止している状態を示している。この状態においては、給水配管2a、2b内を流れる水は静止しているため、給水配管2a、2b内部の水圧は、水道100の給水圧力と一致している。水位調整装置6bの給水側空間63bは第二配管12によって給水配管2bと連通しているため、給水側空間63b内部の水圧も水道100の給水圧力と一致している。
【0093】
バネ601bによって、小径のピストン部92bは下側に移動する向きに力を常に受けている。しかし、給水側空間63b内部の水圧により、小径のピストン部92bはバネ601bよりも強い力を上側に向けて受けているため、上側に移動した状態となっている。
【0094】
この状態から、電磁弁4が開状態となって水栓200からの吐水が開始されたときの様子を図7に示す。図7においては、給水配管2b内は所定の瞬間流量にて水が流れており、給水配管2b内部の水圧は、いずれも水道100の給水圧力よりも低い状態となっている。
【0095】
電磁弁4が開状態となると給水配管2bの水圧が低下するため、これと連通する給水側空間63b内部の水圧も同時に低下する。このため、小径のピストン部92bが給水側空間63b内部の水圧から上側に向けて受ける力は、バネ601bから下側に向けて受ける力よりも小さくなる。従って、小径のピストン部92bが下側に移動する。大径のピストン部91bもこれに連動して下側に移動する。
【0096】
換言すると、電磁弁4が開状態となった直後において、給水配管2bの水圧によって給水側空間63bの容積が縮小し、これに連動してタンク側空間62bの容積が縮小した状態となる。このとき、図6の状態においてタンク側空間62bに存在していた水の一部は、第一配管11を経由してタンク7に向けて押し出される。電磁弁4が開状態である間は、水位調整装置6bは継続的に図7の状態となっている。
【0097】
電磁弁4が再び閉状態となって水栓200からの吐水が停止されると、水位調整装置6bは図6に示した状態に戻る。すなわち、給水配管2b内の水圧が上昇して、水道100の給水圧力と一致する。給水配管2bと連通する給水側空間63b内部の水圧も水道100の給水圧力となるため、小径のピストン部92bはバネ601bよりも強い力を上側に向けて受けることとなり、上側に移動する。大径のピストン部91bもこれに連動して上側に移動する。
【0098】
換言すると、電磁弁4が閉状態となった直後において、給水配管2bの水圧によって給水側空間63bの容積が拡大し、これに連動してタンク側空間62bの容積が拡大した状態となる。タンク側空間62bは、第一配管11及び給水配管2cによってタンク7と連通しているため、タンク側空間62bの容積が拡大することによって、タンク7及び吐水配管5に貯えられていた水の一部がタンク側空間62bに引き込まれる。
【0099】
図6と図7とを比較すると、電磁弁4が開状態である図7においては、タンク7、吐水配管5、水栓200はいずれも内部が水で満たされた状態となっている。これに対し、図6においては、タンク7の上部に空間13が形成され、タンク7の上部から水栓200までの流路が水で満たされていない状態となっている。これは、電磁弁4が閉状態となった直後、タンク7に貯えられていた水の一部がタンク側空間62bに引き込まれた際、水栓200から吸入された空気がタンク7に到達したためである。
【0100】
先に説明したように、電磁弁4が閉状態となって水栓200からの吐水が停止された時点では、タンク7に貯えられている温水の温度は、吐水開始直前と比較して低下した状態となっている。制御装置は温水の温度を元に戻すため、電気ヒータ8の出力をしばらくの間増加させ、タンク7に貯えられている温水の水温を上昇させる。これに伴い、タンク7に貯えられている温水は熱膨張し、その体積が増加する。
【0101】
本実施形態においては、電磁弁4が閉状態となった直後、水位調整装置6bが動作することによって、タンク7に貯えられている温水の水位が低下している。タンク側空間62bに引き込まれた水の体積(水栓200から吸入された空気の体積と一致する)は、水の体積が熱膨張によって増加する量よりも十分に大きくなるように設計されているため、タンク7に貯えられている温水の水位が熱膨張によって増加しても、水栓200から水が溢れ出ることが無い。
【0102】
また、本実施形態においては、容積を変化させる必要のあるタンク側空間62bをピストンにより構成している。このため、ダイアフラムにより構成した場合と比較して、タンク側空間62bの容積をより広い範囲で変化させることができ、より多くの水をタンク7からタンク側空間62bに引き込むことが可能となっている。
【0103】
以上において例示した実施形態では、水位調整装置6、6a、6bのタンク側空間62、62a、62bに連通する第一配管11を、給水配管2cに接続することで、タンク7及び吐水配管5の水をタンク側空間62、62a、62bに引き込む構成としている。しかし、本発明の実施形態としてはそのような構成に限定する必要はなく、例えば第一配管11を直接タンク7に接続したり、吐水配管5に接続したりすることにより、水をタンク側空間62、62a、62bに引き込む構成も可能である。
【0104】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0105】
100:水道
200:水栓
2,2a,2b,2c:給水配管
3:流量調整弁
4:電磁弁
5:吐水配管
6:水位調整装置
601,601a,601b:バネ
61,61a,61b:ハウジング
62,62a,62b:タンク側空間
621b,631a,631b:側壁
63,63a,63b:給水側空間
65,65a,65b:タンク側ポート
66,66a,66b:給水側ポート
67,67a:タンク側ダイアフラム
671,671a,681:外周部
672,672a,682:中央部
68:給水側ダイアフラム
69:シャフト
602,602a,602b,603b:Oリング
604,604a,604b,605b:Oリング溝
7:タンク
8:電気ヒータ
10:ケーシング
11:第一配管
12:第二配管
13:空間
80:信号線
90:ピストン
901:上端面
902:下端面
911b,921b:下面
90b:複合ピストン
91b:大径のピストン部
92b:小径のピストン部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道から供給される水を加熱して吐水する元止め式電気温水器において、
水道に接続され、水の供給を受ける給水部と、
前記給水部よりも下流側に設けられ、前記給水部を経由して供給された水を貯えるタンクと、
前記給水部に設けられ、前記タンクへの水の供給と停止とを切り換える開閉弁と、
前記タンクの内部に配置され、前記タンクに貯えられた水を加熱する加熱手段と、
前記タンクに貯えられた水を外部に供給する吐水部と、
前記タンクに貯えられた水の水位を調整する水位調整手段と、
を備え、
前記水位調整手段は、
前記タンクと連通したタンク側空間と、
前記給水部のうち前記開閉弁よりも上流側における水圧に応じて前記タンク側空間の容積を変化させる容積調整手段と、を有しており、
前記容積調整手段は、前記開閉弁が閉状態となり前記タンクへの水の供給が停止されると、前記タンク側空間の容積を拡大させることにより、前記タンクに貯えられていた水の一部を前記タンク側空間に引き込むことを特徴とする、元止め式電気温水器。
【請求項2】
前記容積調整手段は、前記開閉弁が開状態となり前記タンクへの水の供給を行っている間において、前記タンク側空間の容積を縮小させることを特徴とする、請求項1に記載の元止め式電気温水器。
【請求項3】
前記容積調整手段は、前記給水部のうち前記開閉弁よりも上流側と連通した給水側空間を有しており、前記開閉弁よりも上流側における水圧から受ける力によって前記給水側空間の容積を変化させ、この容積変化に連動させて前記タンク側空間の容積を変化させることを特徴とする、請求項2に記載の元止め式電気温水器。
【請求項4】
前記容積調整手段は、前記タンク側空間の少なくとも一部を画定し弾性変形可能なタンク側ダイアフラムと、前記給水側空間の少なくとも一部を画定し弾性変形可能な給水側ダイアフラムと、前記タンク側ダイアフラムの変形と前記給水側ダイアフラムの変形とを相互に伝達する第一連動手段と有し、
前記給水側空間の容積変化に伴う前記給水側ダイアフラムの変形を、前記第一連動手段が前記タンク側ダイアフラムに伝達することで、前記タンク側ダイアフラムを変形させて前記タンク側空間の容積を変化させることを特徴とする請求項3に記載の元止め式電気温水器。
【請求項5】
前記容積調整手段は、前記タンク側空間の少なくとも一部を画定し弾性変形可能なタンク側ダイアフラムと、前記給水側空間の少なくとも一部を画定し移動可能な剛性部として構成される給水側ピストン部と、前記タンク側ダイアフラムの変形と前記給水側ピストン部の移動とを相互に伝達する第二連動手段と、を有し、
前記給水側空間の容積変化に伴う前記給水側ピストンの移動を、前記第二連動手段が前記タンク側ダイアフラムに伝達することで、前記タンク側ダイアフラムを変形させて前記タンク側空間の容積を変化させることを特徴とする、請求項3に記載の元止め式電気温水器。
【請求項6】
前記容積調整手段は、前記タンク側空間の少なくとも一部を画定し移動可能な剛性部として構成されるタンク側ピストン部と、前記給水側空間の少なくとも一部を画定し移動可能な剛性部として構成される給水側ピストン部と、前記タンク側ピストン部の移動と前記給水側ピストン部の移動とを相互に伝達する第三連動手段と、を有することを特徴とする、請求項3に記載の元止め式電気温水器。
【請求項7】
前記給水部のうち前記開閉弁よりも上流側において、前記タンクへ供給される水の流量を一定にする定流量弁を有しており、前記給水側空間は、前記給水部のうち前記定流量弁よりも下流側と連通していることを特徴とする、請求項3乃至請求項6のいずれか一に記載の元止め式電気温水器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−72604(P2013−72604A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212703(P2011−212703)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】