説明

元素分析装置

【課題】Oリング等のシール部材に均一な力を加えることができるようにし、導入口を確実に密閉することができ、さらに導入口の開閉を簡単な構成により自動化する。
【解決手段】元素分析装置100の試料導入部4において、導入通路41Aを有するブロック体41の導入口5を蓋部材42により開閉する開閉機構が、閉塞位置Pにある蓋部材42を中間位置Qに鉛直移動させて、その後、中間位置Qにある蓋部材42を水平方向に水平移動させる。そして、中間位置Qにおいて蓋部材42に設けられたOリングがブロック体41の上面と非接触にしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鉄鋼や非鉄金属、セラミックスなどの測定試料中に含まれる窒素(N)、水素(H)、酸素(O)等の元素を分析する元素分析装置に関し、特に、るつぼ等の試料容器へ試料を導入する導入口部分の開閉機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の試料分析装置において、例えば特許文献1に示すように、上部電極及び下部電極に狭持されたるつぼに測定試料を収容して、電圧を印加することにより、るつぼ内の測定試料を加熱して、それによって生じたガスを分析して前記測定試料の元素を分析する元素分析装置がある。
【0003】
そして、この元素分析装置は、るつぼへ試料を導入した後、生じたガスを外部に漏らさないように、導入口を蓋部材で閉塞し、るつぼ及び導入通路内を密閉状態として試料を加熱する。
【0004】
従来、導入口を開閉する蓋部材の開閉機構としては、Oリングを備えた蓋部材を片開きさせることで導入口を開閉する機構がある。そして、導入口を閉塞した状態において、エアシリンダ等のアクチュエータで蓋部材の片側を押圧して導入口を密閉している。
【0005】
しかしながら、このような構成では、導入口の閉塞状態において蓋部材をエアシリンダ等のアクチュエータにより片側のみから力を作用させるものであり、Oリングに均等な力を加えることが困難であり、Oリングが均等に潰すことには難がある。その結果、導入口を確実に密閉することができないという問題がある。
【0006】
さらに、蓋部材による導入口の開閉を自動化するためには、蓋部材を回転させる機構、及び閉塞位置にある蓋部材に引っ掛かりシール部材を押圧する機構などが必要であり、装置構成が複雑になるという問題がある。
【特許文献1】特開平7−49321号公報
【特許文献2】特許2949501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決するためになされたものであり、Oリング等のシール部材に均一な力を加えることができるようにし、導入口を確実に密閉することができ、さらに導入口の開閉を簡単な構成により自動化することをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に元素分析装置は、上部電極及び下部電極によりるつぼを挟持し、前記上部電極の上側に設けられた試料導入部から前記るつぼに試料を導入し、前記上部電極及び下部電極に電圧を印加することにより、前記るつぼを加熱して、それにより生じるガスから前記試料の元素を分析する元素分析装置であって、前記試料導入部が、試料を導入する導入口が上面に開口し、当該試料を前記るつぼに導く導入通路を有するブロック体と、前記導入口を閉塞する閉塞位置と、前記導入口を開放して、試料が導入される導入位置との間を移動する蓋部材と、前記ブロック体又は前記蓋部材に設けられ、前記蓋部材が前記閉塞位置にある状態において、前記ブロック体及び前記蓋部材に介在して前記導入口を密閉するシール部材と、前記蓋部材が水平方向にスライド可能となるように前記蓋部材の両端部を保持するスライド保持体を有し、当該スライド保持体を鉛直方向に昇降させることにより、前記閉塞位置と、当該閉塞位置から鉛直上方に離間し、前記シール部材とそのシール部材と対向する部材とが非接触である中間位置との間で前記蓋部材を昇降移動させる昇降駆動部と、前記蓋部材が前記中間位置にある状態において、前記スライド保持体のスライド方向に沿って前記蓋部材を前記中間位置と当該中間位置から水平方向に離間した前記導入位置との間でスライド移動させる水平駆動部と、を具備することを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、スライド保持体が蓋部材の両端部を保持しているため、昇降駆動部がスライド保持体を鉛直方向に昇降移動させる際に、蓋部材の両端部に均等な力を加えることができる。したがって、蓋部材が中間位置から閉塞位置へ移動する際には、蓋部材に均等な力を加えることができるので、シール部材にも均等な力を加えることができる。これによりシール部材は均等に潰されるため導入口を確実に密閉することができる。また、スライド保持体を用いて蓋部材を水平方向及び鉛直方向のみに移動させるだけで、導入口の開閉を行うことができるので、導入口の開閉を簡単な構成により自動化することができる。
【0010】
蓋部材の移動量を少なくして、水平駆動部の構成を簡単にするためには、蓋部材が、導入位置にある状態において、導入口と連通し、投入された試料を導入口へと導く試料投入孔を備えることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
このように本発明によれば、Oリング等のシール部材に均一な力を加えることができるようにし、導入口を確実に密閉することができ、さらに導入口の開閉を簡単な構成により自動化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、図1は本実施形態における元素分析装置100の斜視図、図2は元素分析装置100にるつぼZをセットした状態を示す電極部分2、3及び試料導入部4を主として示す断面図、図3は蓋部材42の中間位置Q及び導入位置Rを示す平面図、図4は蓋部材42の閉塞位置P、中間位置Q及び導入位置Rを示す模式図である。
【0013】
<装置構成>
【0014】
本実施形態に係る元素分析装置100は、金属中に含まれる元素を分析する金属中元素分析装置であって、金属などの測定試料及び/又はフラックス(以下、特に区別しないときは「試料」という。)を収容する黒鉛るつぼZを上部電極3と下部電極2とで狭持して、上部電極3の上側に設けられた試料導入部4から前記るつぼZに試料を導入し、電圧を印加する(るつぼZに通電する)ことにより、るつぼZ内の試料を加熱して、その時に発生する分析用ガスを図示しない分析部に送って分析し、測定試料に含まれる元素を分析するものである。
【0015】
本実施形態の分析部としては、例えば一酸化炭素(CO)を測定する非分散赤外線検出器等の酸素成分検出部と、例えば窒素(N)を測定する熱伝導度検出器等の窒素成分検出部とが考えられる。その他、水素成分分析部や硫黄成分検出部などでも良い。
【0016】
上部電極3は、図1及び図2に示すように、試料導入部4の下部に固定され、その下側に開口したるつぼ収容空間S1を有している。その空間S1の上面には、るつぼZの上端面と接触して電圧を印加するための電極面31が形成されている。また、るつぼ収容空間S1の内周面は、測定時に下部電極2がシール部材(Oリング)を介して気密に嵌合される。また、上部電極3の側壁(下部電極2が嵌合される部分より上)には、分析用ガスを図示しない分析部に導くための導入管11が接続されるガス取り出し孔32が設けられている。上部電極3の内部には、冷却水を流通させるための流通路S2が形成されている。図1中、3Aは、流通路S2内に冷却水を導入するための冷却水導入口であり、3Bは、流通路S2から外部に冷却水を導出するための冷却水導出口である。なお、電極面31には、保護のためタングステンからなる環状板が固定されている。この環状板には、内側周面から外側周面に向かって径方向に延びる凹溝が、円周方向に複数設けられており、これにより上部電極3及び下部電極2でるつぼZを狭持しても、るつぼ内部の空間とるつぼ収容空間S1、さらには、るつぼ内部の空間と導入管11とが繋がり、分析用ガスを導入管11に導くことができる。
【0017】
また、下部電極2は、図1に示すように、電極面21上に黒鉛るつぼZが載置され、昇降機構12により上部電極3に対して昇降移動するものである。また、下部電極2の内部には、冷却水を流通させる流通路S3が形成されている。図1中、2Aは、流通路S3内に冷却水を導入するための冷却水導入口であり、2Bは、流通路S3から外部に冷却水を導出するための冷却水導出口である。なお、電極面21上には、保護のためタングステンからなる円板が固定されている。
【0018】
試料導入部4は、上部電極3及び下部電極2により狭持されたるつぼZに試料を導入(投下)するものである。その構成は、特に図2、図3及び図4に示すように、試料を導入する導入口5が上面に開口したブロック体41と、導入口5を開閉するための蓋部材42と、ブロック体41に固定されて設けられ、蓋部材42を閉塞位置P(図4(a))と中間位置Q(図3(A)、図4(b))との間で昇降移動させる昇降駆動部43と、蓋部材42を中間位置Q(図3(A)、図4(b))と導入位置R(図3(B)、図4(c))との間で水平移動させる水平駆動部44と、を具備する。
【0019】
ここでまず、前記各位置について詳述しておく。閉塞位置Pとは、蓋部材42がOリング6を押圧変形させて導入口5を密閉する位置のことであり、中間位置Qとは、閉塞位置Pから鉛直上方に数ミリ離間し、Oリング6とそのOリング6と対向する部材(本実施形態ではブロック体41)とが非接触である位置のことである。また、導入位置Rとは、中間位置Qから水平方向に離間し、導入口5に試料を導入するための位置のことである。
【0020】
以下、ブロック体41、蓋部材42、昇降駆動部43及び水平駆動部44について説明する。
【0021】
ブロック体41は、基台101に立設された一対のベース部材102に固定されており(図1参照)、図2に示すように、試料を導入する2つの導入口5が上面に開口し、内部に試料をるつぼZに導くための導入通路41Aを有する。この導入通路41Aは、異なる試料を別々に導入できるよう2つの通路に分岐しており、上端開口(導入口)5が蓋部材42により開閉されるとともに、下端開口が上部電極3に形成された試料通過孔301に連通している。
【0022】
蓋部材42は、ブロック体41の上部に設けられ、導入口5を開閉するものであり、矩形形状をなす。その左右両端部には、後述するスライド保持体431に形成されたスライド溝431Mにスライド可能に嵌合する等断面形状の突条部421が形成されている。この突条部421は、蓋部材42の本体部よりも厚み寸法が小さく形成されている。さらに、この突条部421が設けられていない端部の一方には、後述する水平駆動部44の駆動軸441の先端部が嵌合するT字溝が設けられている。
【0023】
また、蓋部材42の本体部の下面(ブロック体41との対向面)には、閉塞位置Pにおいて、蓋部材42の下面及びブロック体41の上面との間に介在して導入口5を密閉するシール部材であるOリング6が設けられている。このOリング6は、図3(A)に示すように、蓋部材42が閉塞位置Pにある状態において、導入口5の周囲を囲むように、導入口5それぞれに対応して2つ設けられている。
【0024】
さらに、蓋部材42には、導入口5の開口形状と略同一形状をなす試料投入口422が2つ設けられている。この試料投入口422は、図3(B)に示すように、Oリング6の外部に設けられており、蓋部材42が導入位置Rにある状態おいて、平面視において各導入口5と重なり合って合致し、連通するように設けられている。
【0025】
そして、蓋部材は、図3及び図4に示すように、後述する昇降駆動部43及び水平駆動部44により、中間位置Qを経由して、閉塞位置Pと導入位置Rとの間を鉛直移動又は水平移動して導入口5を開閉する。
【0026】
昇降駆動部43は、蓋部材42を閉塞位置Pと中間位置Qとの間を蓋部材42の姿勢を実質的に保ったまま鉛直移動させるものである。そして、昇降駆動部43は、図2に示すように、蓋部材42の両端部に設けられた突条部421それぞれに対応して設けられ、ブロック体41に固定されている。
【0027】
具体的に、昇降駆動部43は、蓋部材42に設けられた突条部421にスライド可能に嵌合して保持するスライド溝431Mを有するスライド保持体431と、当該スライド保持体431の下部に接続される駆動軸432を有するエアシリンダ433とを備える。この駆動軸432は、鉛直方向に沿って進退移動するように設けられている。また、このエアシリンダ433は、圧縮空気源(図示しない)から電磁弁を介して供給される空気により動作する。なお、電磁弁は、制御機器(図示しない)により制御される。
【0028】
蓋部材42の両端部に設けられる昇降駆動部43は、構成が同一であり、同一の動作をするものであり、蓋部材42の突条部421に対して同一の力を作用するように構成されている。また、蓋部材42の突条部421に嵌合するスライド保持体431は同一形状をなす。
【0029】
水平駆動部44は、蓋部材42を中間位置Qと導入位置Rとの間を蓋部材42の姿勢を実質的に保ったまま水平移動させるものである。そして、水平駆動部44は、図1に示すように、蓋部材42の突条部421が設けられていない端部であって、T字溝が形成された端部側に設けられ、ブロック体41又はベース部材102等に固定されている。
【0030】
具体的に、水平駆動部44は、蓋部材42に着脱可能に接続される駆動軸441を有するエアシリンダ442を備える。駆動軸441は、水平方向に沿って進退移動するように設けられており、T字形状の先端部を有する。この先端部が、前述した蓋部材42のT字溝に嵌合することにより、蓋部材42と駆動軸441とが接続されている。具体的には、駆動軸411の先端部は、蓋部材42と水平方向には相対移動不能且つ鉛直方向には相対移動可能に接続されている。これにより、蓋部材42が閉塞位置Pから中間位置Qに鉛直方向に移動する際に、駆動軸411が蓋部材42の鉛直方向の移動を妨げないようにするとともに、駆動軸411が鉛直方向に変形しないようにしている。さらに、蓋部材42と駆動軸441とが接続している状態において、駆動軸441を進退移動する方向を軸に約90度回転させることにより、蓋部材42のT字溝から駆動軸441を取り外すことができるようにしている。また、エアシリンダ442は、圧縮空気源(図示しない)から電磁弁を介して供給される空気により動作する。なお、電磁弁は、制御機器により制御される。
【0031】
なお、昇降駆動部43に用いられている圧縮空気源と水平駆動部44に用いられている圧縮空気源とは同一のものである。圧縮空気源として同一のもの用いていることにより、装置全体のコンパクト化が可能となるだけではなく、装置を簡単な構成にすることができる。
【0032】
次に、このような構成における蓋部材42の開閉動作について図3及び図4を参照して説明する。
【0033】
まず、蓋部材42が閉塞位置Pにある状態(図4(a))において、制御機器により昇降駆動部43を作動させ、スライド保持体431を鉛直移動させる。これにより、蓋部材42は中間位置Qまで鉛直移動する(図3(A)、図4(b))。この際、蓋部材42のOリング6が設けられている下面と、ブロック体41の上面とが略平行なまま鉛直移動するため、閉塞位置Pと中間位置Qとの間の移動で、Oリング6がブロック体41と擦ることはない。なお、閉塞位置Pから中間位置Qまでの距離はわずかであり、蓋部材42を速やかに移動させることができる。
【0034】
次に、制御機器により水平駆動部44を作動させ、スライド保持体431のスライド溝431Mに沿ったスライド方向に蓋部材42を水平移動させる。蓋部材42には試料導入孔422が設けられているため、この試料導入孔422とブロック体41の上面の導入口5とが平面視において重なり合う位置が導入位置Rとなる(図3(B)、図4(c))。このため、中間位置Qから導入位置Rまでの距離もわずかであり、蓋部材42を速やかに移動させることができる。
【0035】
さらに、蓋部材42が中間位置Qにある状態において、蓋部材42に設けられたOリング6とブロック体41とが非接触であるため、蓋部材42を水平移動する際にOリング6がブロック体41と擦れることが無く、摩擦力が加わることがない。したがって、蓋部材42を中間位置Qと導入位置Rとの間でスムーズに移動させることができる。
【0036】
次に、ユーザが導入口5へ試料を導入する。この際、2つの導入口5からそれぞれ異なる試料を導入すれば、2種類の試料を混ぜ合わせることなく別々に導入することができる。そして、試料を導入した後に、再び制御機器により水平駆動部44を作動させ、蓋部材42を導入位置Rから中間位置Qへ水平移動させる(図3(A)、図(b))。
【0037】
さらに、制御機器により昇降駆動部43を作動させて、蓋部材42を中間位置Qから閉塞位置Pへ鉛直移動させる(図4(a))。蓋部材42が中間位置Rから閉塞位置Pへ移動する際に、蓋部材42のOリング6が設けられている下面と、ブロック体41の上面とは平行である。これにより、Oリング6がブロック体41と接触して、導入口5を閉塞するときに、Oリング6には均等な力が加えられる。さらに、蓋部材42が閉塞位置Pにある状態で、蓋部材42のOリング6が設けられている下面と、ブロック体41の上面とが平行な状態である。なお、スライド保持体431のスライド溝431Mの下を向く面が、蓋部材42の突条部421の上面に押圧力を作用する。これにより、均一に潰されたOリング6が蓋部材42とブロック体41との間に介在するので、導入口5は確実に密閉される。
【0038】
これらの動作により、導入口5が確実に密閉された状態、すなわちるつぼZ及び導入通路41A内が密閉された状態において、試料の測定を行うことができる。
【0039】
<本実施形態の効果>
【0040】
このように構成した本実施形態に係る元素分析装置100によれば、スライド保持体431が蓋部材42の両端部を保持しているため、昇降駆動部43がスライド保持体431を鉛直方向に昇降移動させる際に、蓋部材42の両端部に均等な力を加えることができる。したがって、蓋部材42が中間位置Qから閉塞位置Pへ移動する際には、蓋部材42に均等な力を加えることができるので、Oリング6にも均等な力を加えることができる。これによりOリング6は均等に潰されるため導入口5を確実に密閉することができる。また、スライド保持体431を用いて蓋部材42を水平方向及び鉛直方向のみに移動させるだけで、導入口5の開閉を行うことができるので、導入口5の開閉を簡単な構成により自動化することができる。
【0041】
また、水平駆動部44により蓋部材42が中間位置Qと導入位置Rとの間を水平移動する際は、Oリング6が常にブロック体41とは非接触な状態であるため、この水平移動によってOリング6が擦れることがない。このため、蓋部材42は中間位置Qと導入位置Rとの間をスムーズに移動することが可能となる。さらに、Oリング6にかかる負荷が低減されるため、Oリング自体も長く使用することが可能となる。
【0042】
さらに、昇降駆動部43により蓋部材42が閉塞位置Pから中間位置Qへ移動する際には、蓋部材42とブロック体41とが非接触な位置であればよいため、蓋部材42を閉塞位置Pから数ミリ鉛直移動させれば足りる。したがって、蓋部材42が閉塞位置Pから中間位置Qへ移動する際に必要となる力はわずかで済む。また、蓋部材42には試料導入孔422が設けられているため、この試料導入孔422とブロック体41の上面の導入口5とが平面視において重なり合う位置が導入位置Rとなるため、中間位置Qから導入位置Rまでの距離もわずかである。したがって、蓋部材42を閉塞位置Pから導入位置Rへ移動する際に必要となるエネルギを削減することができ、導入口5の開閉におけるエネルギコストを削減することができる。
【0043】
<その他の変形実施形態>
【0044】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。以下の説明において前記実施形態に対応する部材には同一の符号を付すこととする。
【0045】
例えば、前記実施形態の蓋部材には試料導入孔が2つ設けられていたが、蓋部材が導入位置にある状態おいて、平面視において全ての導入口を包含し、連通する1つの試料投入孔を設けたものであっても良い。また、導入口は1つであっても良いし、3つ以上であっても良い。
【0046】
また、前記実施形態のシール部材は、蓋部材に設けられていたが、ブロック体に設けられていてもよいし、ブロック体と蓋部材との両部材に設けられていても良い。
【0047】
また、昇降駆動部又は水平駆動部を作動させる際には、ユーザがその度に制御機器を操作して作動するようにしても良いし、ユーザが制御機器を一度操作するだけで、蓋部材が閉塞位置にある状態から導入位置へ移動して、ユーザが試料を導入した後に再び閉塞位置へ移動するように、昇降駆動部及び水平駆動部を自動的に作動するものであっても良い。
【0048】
その他、前述した実施形態や変形実施形態の一部又は全部を適宜組み合わせてよいし、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本実施形態における元素分析装置の斜視参考図。
【図2】元素分析装置1にるつぼZをセットした状態を示す電極部分及び試料導入部を主として示す断面図。
【図3】蓋部材の中間位置及び導入位置を示す平面図。
【図4】蓋部材の閉塞位置、中間位置及び導入位置を示す模式図。
【符号の説明】
【0050】
100・・・元素分析装置
Z ・・・るつぼ
2 ・・・下部電極
3 ・・・上部電極
4 ・・・試料導入部
41 ・・・ブロック体
41A・・・導入通路
42 ・・・蓋部材
P ・・・閉塞位置
Q ・・・中間位置
R ・・・導入位置
43 ・・・昇降駆動部
431・・・スライド保持体
44 ・・・水平駆動部
5 ・・・導入口
6 ・・・シール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部電極及び下部電極によりるつぼを挟持し、前記上部電極の上側に設けられた試料導入部から前記るつぼに試料を導入し、前記上部電極及び下部電極に電圧を印加することにより、前記るつぼを加熱して、それにより生じるガスから前記試料の元素を分析する元素分析装置であって、
前記試料導入部が、
試料を導入する導入口が上面に開口し、当該試料を前記るつぼに導く導入通路を有するブロック体と、
前記導入口を閉塞する閉塞位置と、前記導入口を開放して、試料が導入される導入位置との間を移動する蓋部材と、
前記ブロック体又は前記蓋部材に設けられ、前記蓋部材が前記閉塞位置にある状態において、前記ブロック体及び前記蓋部材に介在して前記導入口を密閉するシール部材と、
前記蓋部材が水平方向にスライド可能となるように前記蓋部材の両端部を保持するスライド保持体を有し、当該スライド保持体を鉛直方向に昇降させることにより、前記閉塞位置と、当該閉塞位置から鉛直上方に離間し、前記シール部材とそのシール部材と対向する部材とが非接触である中間位置との間で前記蓋部材を昇降移動させる昇降駆動部と、
前記蓋部材が前記中間位置にある状態において、前記スライド保持体のスライド方向に沿って前記蓋部材を前記中間位置と当該中間位置から水平方向に離間した前記導入位置との間でスライド移動させる水平駆動部と、を具備する元素分析装置。
【請求項2】
前記蓋部材が、前記導入位置にある状態において、前記導入口と連通し、投入された試料を前記導入口へと導く試料投入孔を備える請求項1記載の元素分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−8245(P2010−8245A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−168234(P2008−168234)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【Fターム(参考)】