元素材料の一次的な製造
電解採取の方法及び装置が、高い品質、純度及び大きな体積の成分の堆積物を生成するのに適している。各カソードは、電解採取の際に、前記成分生成物の含有、不純物の偏析、形態的に望ましくない材料の溶解及び生産性の増大のためにに使用される。光起電装置での使用に適したシリコンが、溶融された塩中に溶解している二酸化シリコンから固体の形態で電気堆積する。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連する出願の参照
本出願は、Adam Powell, IVらによる METHOD FOR PRIMARY PRODUCTION OF HIGH-PURITY METALS に係る2009年4月30日付け出願の米国特許仮出願第61/174、395号の利益を主張するものであり、当該出願は、参照によりここに援用される。
【0002】
技術分野
本発明は、原料化合物から元素材料(element、所定の元素からなる材料)を電解採取するためのシステムに関する。特に、本発明は、高密度且つ高純度の元素材料堆積物を生成する装置及び方法に関する。
【0003】
背景技術情報
シリコンベースの光起電技術(太陽光発電技術)の実施は、近年著しく成長し増加している。しかし、効率の高い太陽電池のために十分な純度、つまり少なくとも99.9999%の純度のシリコンを製造する経済的な手法については、今なお若干得ることは難しい。ソーラーグレードシリコンを得るには、慣例では、まず二酸化シリコンを炭素熱還元によって(carbothermically)還元し、98%のオーダーの純度の金属グレード(metallurgical-grade)シリコンを得る。次に、その金属グレードシリコンを、蒸留によって容易に精製することのできる揮発性シリコン化合物、例えばシラン、テトラクロロシラン又はトリクロロシランに変換する。シリコンは、精製された揮発性シリコン化合物から、当該精製された揮発性シリコン化合物を高温で固相シリコン基体に曝し、それにより化合物の分解及び高純度シリコンの基体上への堆積を引き起こすことによって回収される。この堆積させたシリコンは、ソーラーグレードのものより、典型的には99.9999%より高品質である。しかし、この精製の一連のプロセスはエネルギーを著しく消費するものであり、このプロセスにより、基本的な還元のために必要とされるエネルギーは10の数乗増加する。したがって、太陽光発電の用途のために最適な純度のシリコンを製造する、コスト効率のより高い方法が必要である。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、化合物から元素材料を電解採取する方法は、前記化合物が溶解されている液体電解質、並びに当該電解質と電気的に接触しているアノード及び第1のカソードを提供することを含む。電子は、アノードから抽出されて、第1のカソードに提供され、それにより、1つ以上の不純物を含む固体材料を電解質から第1のカソード上へ堆積させ、不純物を電解質から消費(deplete、枯渇)させる。第2のカソードは、電解質と電気的に接触して設けられている。電子は、アノードから抽出されて、第2のカソードへと提供され、それにより、少なくとも99%が元素材料である固体生成物が、(不純物を)消費させた電解質から第2のカソード上へ堆積する。
【0005】
別の態様では、二酸化シリコンからシリコンを電解採取する方法が、液体電解質であって、液体電解質の少なくとも60重量%を構成する少なくとも2つの金属フッ化物、二酸化シリコン及びアルミニウム酸化物からなるものを提供することを含む。酸素アニオンを案内可能な膜によって液体電解質から分離されているアノードが設けられ、カソードが液体電解質中に配置されている。電子は、アノードから抽出されて、カソードへと供給され、それにより、固体材料が電解質からカソード上に堆積する。シリコンは、堆積させた固体材料の50重量%超を構成する。
【0006】
別の態様では、化合物から元素材料を電解採取する方法は、化合物が溶解されている液体電解質を提供し、液体電解質と電気的に接触しているカソード、及び電解質からイオンを案内可能な膜によって液体電解質から分離されているアノードを提供することを含む。堆積−溶解サイクルが行われ、このサイクルは、少なくとも99%を元素材料が構成する固体生成物を、第1のインターバル(時間間隔)で、電子をアノードから抽出してその一方で電子をカソードへ供給することによってカソード上に堆積させ、堆積させた固体生成物の一部をカソードから電気溶解させ、元素材料を含む固体材料を、第2のインターバルで、アノードを電気的に隔離してその一方で電子をカソードから抽出して電子を対向カソードに供給することによって、液体電解質に接触する対向カソード上にめっきさせること(plating)を含む。
【0007】
さらに別の態様では、化合物から元素材料を電解採取する方法は、化合物が溶解されている液体電解質、並びに軸線、及び電解質と電気的に接触している表面を有するアノードを提供することを含む。アノードの周りには、複数のカソードが、アノードから同じ角度間隔で且つそれぞれ等しい距離をおいて配置されている。カソードは、各軸線、及び電解質と電気的に接触している各表面を有する。カソードの各表面積の合計は、アノードの表面積の少なくとも4倍である。アノード及びカソードはゾーンを画定する。液体電解質は、各カソードの周りで同時に撹拌され、その際、電子はアノードから抽出されて電子はカソードに供給され、それにより、元素材料を含む固体材料が各カソードの表面上に堆積する。
【0008】
以下の本発明の説明では、添付の図面を参照する。図面において、同一の参照番号は、同様の構造的な又は機能的な要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に適合するシリコン電解採取システムの概略図であり、容器が断面で示されている。
【図2】電解採取システムの蓋部に平行に沿った、図1に示されたカソードの断面図である。
【図3】本発明に適合する高カソード表面積電解採取システムの概略図であり、容器が断面で示されている。
【図4】蓋部に平行に沿った、図3に示されたシステムの電極の断面図である。
【図5】高カソード表面積の電解採取システムにおける複数のゾーンに配置されている電極の断面図である。
【図6】本発明に適合する高純度電解採取システムの概略図であって、容器が断面で示されている。
【図7】蓋部に平行に沿った、図6に示された電極の断面図である。
【図8】図6に示されたシステムに適合する、高捕捉式の予備カソードの斜視図である。
【図9】本発明に適合する、図6に示されたシステムにおける、ターゲット元素材料を高純度で堆積させるための例示的な一連の順序のフロー図である。
【図10】予備回路(preliminary circuit)の操作後の、図6に示されたシステムにおける電極の断面図である。
【図11】生成回路(production circuit)の操作後の、図6に示されたシステムにおける電極の断面図である。
【図12】1000℃及び1.60Vでの、仮想のシリコン酸化物試料中に存在する不純物元素材料のカソード堆積物への取込みを示すグラフである。
【図13】1000℃及び1.75Vでの、仮想のシリコン酸化物試料中に存在する不純物元素材料のカソード堆積物への取込みを示すグラフである。
【図14】1100℃及び1.60Vでの、仮想のシリコン酸化物試料中に存在する不純物元素材料のカソード堆積物への取込みを示すグラフである。
【図15】1100℃及び1.75Vでの、仮想のシリコン酸化物試料中に存在する不純物元素材料のカソード堆積物への取込みを示すグラフである。
【図16】本発明に適合する高密度堆積物電解採取システムの概略図であって、容器が断面で示されている。
【図17】図16に示されたシステムにおける、本発明に適合する、ターゲット元素材料の高密度堆積物を生成するための例示の一連の順序のフロー図である。
【図18】図16に示されたシステムにおける電極の、生成回路の操作後の、蓋部に平行に沿った断面図である。
【図19】図16に示されたシステムにおける電極の、溶解回路(dissolution circuit)の操作後の、蓋部に平行に沿った断面図である。
【図20】図16に示されたシステムにおける電極の、生成回路の逆操作後の、蓋部に平行に沿った断面図である。
【図21】複数のカソード及び対向カソードを備えている高密度堆積物電解採取システムにおける電極の断面図である。
【0010】
図面中の特徴は、大体が正しい縮尺で描かれていない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照する。例示的な一態様で、ターゲット元素材料であるシリコンを、原料化合物である二酸化シリコンから直接的に製造するために構成された電解採取システム10が、アノード20、カソード30、及び原料化合物が溶解している介在する液体電解質40を含む。アノード20は、イオン伝導性の膜45によって電解質40分離されている。電解質40は、蓋部62によって覆われた容器60によって収容されている。外部回路65は、システム10の操作の際に、電子をアノード20から受容して電子をカソード30へ運搬するように構成されている。電解質40並びに電極20及び30は、シリコンの融点(1414℃)未満の操作温度、例えば約900℃〜1300℃に維持されていてよい。
【0012】
外部回路65は、電解質40中の原料化合物の分解を生ぜしめるのに十分な電圧を、アノード20及びカソード30を通して印加するように操作可能な、DC電圧源であってよい電源68を備えている。別態様では、電源68は、所望の速度で原料化合物の電解を推進するよう操作可能なDC電源であってよい。
【0013】
アノード20は、システム10の操作の際に電解によって起こる原料化合物の分解全体の一部である酸化反応を助成するよう構成されている。したがって、アノード20は、その上で酸素を含有するアニオンが酸化されて気体酸素が形成するような材料、例えば液体銀又は多孔質の導電性酸化物、例えばランタンストロンチウムマンガナイトであってよい。別の手法では、アノード20は、金属、例えば液体スズであってよく、操作温度で酸素と反応する気体、例えば水素又は中性の気体をアノード20を介して気泡発生させるための装置(図示せず)を備えて構成されていてよい。アノードリード25は、アノードを外部回路65に接続する。
【0014】
膜45は、電解質40とアノード20との間でイオンを伝導可能なものであり、容器60内での電解の際にアノード20での酸化反応を助成する。膜45は、例えば、イットリア安定化ジルコニア(「YSZ」)又はいくつかの他の酸素アニオン導体である。アノード20及び酸化物膜45は共に、固体−酸化物膜(「SOM」)アノード48と呼ばれる。SOMアノード48の様々な態様は、米国特許第5、976、345号及び米国特許出願公開第2009/0000955号に記載されており、これらの両方のその全体が参照によりここで援用される。
【0015】
例示的には、SOMアノード48における膜45は、アノード20を保持する閉じた端部72を有する円筒形状のチューブとして構成されている。チューブは、蓋部62によってシールされており、この蓋部62は、容器60の外側に通気している開いた端部74を有し、これにより、陽極反応の気体生成物を逃すことができる。膜45は、アノード20を、融解した電解質40の攻撃的な化学的環境から遮蔽する役割を果たす。したがって、所定の範囲の炭素に対する非消耗物の代替物を、システム10におけるアノード20のために使用することができ、元素材料、例えばシリコンの炭素排出なしでの製造が可能となる。
【0016】
チューブを形成する膜45は、0.25cmのオーダーの厚みを有する。チューブは、約1〜3cmの直径及び20〜60cmのオーダーの長さを有していてよい。チューブの長さは、実際は、チューブの全長に沿って核生成する酸素気泡を、容器60内での電解の際に液体金属アノード20の過剰な分散なしで逃す必要があるために限定されている。そのような範囲での寸法を有するイットリア安定化ジルコニアチューブ内の液体銀アノードを有するSOMアノードは、アノード電流の流れを、融解塩環境中で約1A/cm2のオーダーで、気泡の運動によるオーミック加熱により生じる熱的負荷又は機械的負荷による劣化なしに助成可能であることが予測される。
【0017】
カソード30は、システム10内で電気的に生じるシリコン酸化物の分解全体の一部である還元反応を助成し、結果的として得られるシリコン生成物の蓄積を担うよう構成されている。したがって、初期には、つまり電解前は、カソード30は、固体表面33であって、シリコンのその上での堆積を、例えば電解質40中に存在する他の元素材料より優先的に導く固体表面33を有している。例えば、カソード30の組成は、シリコンが、初期に表面33で、カソード30の50%、70%、90%又はそれを超える量を構成するようになっている。カソード30は、固体シリコン本体、例えばチョクラルスキー成長させたシリコン単結晶であってよい。例示的には、カソード30は、初期の直径が約1〜3cmの円筒形状のロッドである。カソード30の長さは、30〜60cmのオーダーであってよい。カソードリード35は、カソード30を蓋部62を介して外部回路65に接続する。
【0018】
液体電解質40は、システム10の操作温度及びその他の特性において原料化合物を溶解するように構成されている。例えば、電解質40は、低い蒸気圧、適切な拡散率及び導電性を有するような低い導電性並びに十分なイオン移動度、並びに約1ポイズ未満の低い粘性を有するよう配合されていてよい。理想的には、電解質40は、システム110の他の構成要素、例えば膜45及び容器60と化学的に適合可能であり、ターゲット元素材料よりも電気陰性の大きい元素材料を含有する還元性種を含んでいない。
【0019】
例示的には、電解質40は、二酸化シリコン及び1つ以上の添加物と組み合わされた金属ハロゲン化物の混合物である。二酸化シリコンは、電解質40の5重量%、10重量%、15重量%又はそれを超える量を構成している。金属ハロゲン化物は、電解質40の少なくとも約60重量%を構成する。一態様では、金属ハロゲン化物は、2つ以上の金属フッ化物、例えばアルカリ土類金属フッ化物を含む。例えば、電解質40は、約1020℃で融解する約38重量%CaF2−62重量%BaF2の共晶混合物を含んでいてよい。別の態様では、電解質40は、約980℃で融解する約39重量%CaF2−61重量%MgF2の共晶混合物を含んでいていよい。さらに別の態様では、電解質40中の金属ハロゲン化物は、金属塩化物を含んでいてよい。
【0020】
金属ハロゲン化物溶融物中の、詳細にはフッ化物中のアルミニウム酸化物の存在によって、インサイトゥで形成されるシリコンハロゲン化物の蒸気圧が減少することが見出されている。例示的には、電解質40がアルミニウム酸化物を含み、それにより、操作温度での電解質40からのシリコンの蒸発損失が低減する。アルミニウム酸化物は、電解質40の約5重量%、7重量%、10重量%、12重量%又はそれを超える量を構成していてよい。
【0021】
操作温度は、アノード20、膜45、カソード30及び電解質40の性質を鑑みて選択される。システム10の構成要素における導電性を考慮すると、ターゲット元素材料、つまりシリコンの融点に近い温度での操作がより良好とされる。一方、電解質40中の揮発性元素材料、例えばSiF4は、900〜1300℃の範囲のより高い操作温度で、例えば1050℃より大きい温度での含有がより難しくなり得る。950℃〜1150℃の操作温度範囲であれば、電解質の化学的性質及び電極の導電性の因子間での実行可能な妥協を得ることができる。
【0022】
容器60及び蓋部62は、気体密の筐体を形成するよう構成されている。システム10は、電解質40上の上部空間を、不活性気体、例えばアルゴン又は窒素で充填する装置(図示せず)を備えていてよい。開口部を有するカバー、例えば蓋部62を備えている容器60のような容器内での、高い温度で溶融した塩及びその揮発物の閉じ込めを補助する技術及び材料、並びに融解した構成要素、例えば電解質40の操作温度を達成し維持するための技術は、当業者に知られている。
【0023】
容器60は、電解質40の化学的性質に適合可能な材料からなり、それにより、容器−電解質の相互作用による容器60の完全性の劣化又は電解質40の汚染は最小限となる。容器60は、導電性の材料からなっていてよい。ハロゲン化塩及び酸化物の電解質40を含有するために、ステンレス、又は好ましくは軟炭素鋼が実用的となり得る。しかし、カチオン、例えば鉄のカチオンは、鋼から電解質40内に浸出し、最終的には、カソード30上にターゲット元素材料と共に堆積し得る。DC電圧源90は、容器60を、アノード20と比較したカソード電位に維持し、それにより、容器60の内側表面上での有害なアノード反応を阻止するよう構成されている。
【0024】
システム10は、1つ以上の方法によって液体電解質40を撹拌し、それにより、液体中の成分の均一性を促進し、操作の際の容器60内の拡散効果を低減するように装備されていてよい。気体気泡81は、電解質40を通って、例えば、アノード20及びカソード30と整列された底部吹込み羽口(bottom-blowing tuyeres)82によって、押し出され得る。外部磁石85が、垂直方向に方向付けされたDC磁場86を印加するように配置されていてよく、当該磁場86は、アノード20からカソード30に流れる電流と相互作用し、磁気流体力学的な撹拌力を電解質40に誘導する。モータ88は、カソードリード35を、蓋部60における回転メカニカルシール37によって回転させ、それにより、電解質40中のカソード30が例えば毎秒約1〜30回転で回転するように構成されていてよい。気体密の筐体、例えば容器60内の液体、例えば電解質40を撹拌する方法は当業者に知られている。
【0025】
システム10内の二酸化シリコンからシリコンを電解採取する例示的なプロセス手順では、外部回路65がDC電圧源を備えている。システム10は、カソード30として直径3cmの円筒形状のシリコン単結晶、及びSOMアノード48として外直径3cmのYSZチューブ内の液体銀と共に構成されている。アノードリード25は、例示的には、貴金属例えばイリジウムのワイヤである。カソード30及びSOMアノード48はそれぞれ約30cmの長さを有する。電解質40は、約80重量%カルシウムフッ化物−マグネシウムフッ化物共晶、10重量%二酸化シリコン及び10重量%アルミニウム酸化物である。容器60の内側温度は約1000℃に維持されている。
【0026】
モータ88は、毎秒約10回転でカソード30を回転させるように操作される。電圧源90は、アノード20と容器60との間の保護DC電圧(protective DC voltage)を印加するように操作される。印加された保護電圧は、例示的には、電解質40からのカソード堆積を容器の内側に誘導するには小さいが、容器60の溶解及び電解質40の汚染をインサイトゥで阻止するには十分なものである。電圧源90は、任意に、まず電解質40からのシリコンのコーティングのカソード堆積物を容器62の内側上に生じさせ、その後、前記コーティングを維持するより小さな保護電圧を印加するよう操作される。
【0027】
外部回路65は、カソード30とアノード20との間にDC電圧を付与し、それにより、電解質40中の二酸化シリコンの電解を誘導するように操作される。酸素アニオンは、膜45を通ってアノード20へと拡散し、そこで気体酸素が形成され、電子が放出され、当該電子は外部回路65へと移動する。気体酸素は、チューブの開いた端部74を通って容器60を出て行く。同時に、電子は、カソード30へと、そして当該カソード30を通って電解質40との界面へと運搬される。図2を参照すると、電解質40中の種がそれにより還元されて、固体材料92、つまりシリコンを含む生成物が、カソード30上に表面33にわたって、移動する生成物−電解質界面93の向こうに堆積している。堆積した固体材料92はその後、カソード30の一部として機能する。
【0028】
カソード30のその軸線32を中心とした回転は、カソード30の軸線32から離れる方向への界面93の均一な前進を促進し、カソード30の元の円筒形状の対称性は、直径が増大しても維持される。電解質40の撹拌によって、電解質40中の生成物−電解質界面93と電解質40の他の領域との濃度差が減少し、堆積された固体材料92へ新たに還元された材料が高速で整然と取り込まれることが促進される。例示的には、堆積物92はエピタキシャルシリコンであって、堆積の最終段階では、カソード30はシリコンの単結晶である。エピタキシャル堆積物92の厚みは、電解の際、例えば75μm/時間、100μm/時間、250μm/時間、500μm/時間又はそれより大きい速度で大きくなり得る。堆積は、カソード30の直径が、例えば4〜30cmのオーダーとなるまで続けられてよい。カソード30上に堆積させた固体材料92中のシリコンは、その酸化物からの金属グレードシリコン従来の製造において炭素の不純物源によって導入されてしまう不純物を不含とすることができ、さらに、気相精製技術に必要なエネルギー消費なしで得ることができる。
【0029】
別の態様では、原料化合物からターゲット元素材料を電解採取するためのシステムは、操作時間当たり及び装填された電解質のバッチ当たり、より多くの堆積原子を運搬することによって高い生産性が得られるように構成されている。図3及び4を参照すると、例示的な一態様で、高カソード面積電解採取システム110が、原料化合物を溶解している液体電解質140と電気的に接触しているアノード120の周りに配置されている複数のカソード130を備えている。カソード130及びアノード120は共に、ゾーン115を画定している。外部回路165内の電源168は、アノード120からアノードリード125を通して電子を受容し、同時に各カソードリード135を通して各カソード130へ電子を運搬するようにに構成されている。各カソードリード135は、撹拌モータ88と共に、カソード30に設けられたリード35(図1)について記載したように構成されている。
【0030】
容器160、蓋部162、シール37及び外部回路165は、シリコン電解採取システム10(図1)においてその対応部品について上述した考慮に鑑みて選択される特性及び機能を有する。システム110は、追加的に又は別態様で、シリコン電解採取システム10の他の特徴を装備していてよい。
【0031】
アノード120、カソード130及び液体電解質140は、シリコン電解採取システム10におけるその対応部品20(図1)及び30に関し上で挙げた考慮に鑑みて、ターゲット元素材料の電解採取において適切であるように構成されている。アノード120は、SOM型アノードとして構成されていてもよいし、別の形式で構成されていてもよい。アノード120は、軸線122、及び電解質140と電気的に接触する表面123を有する。カソード130は、各軸線132、及び電解質140と接触する表面133を有する。表面133の全表面積は、初期に、つまり電解前で、アノード120の表面123の面積より大きい。例えば、電解質140と接触するカソード130の表面133の全表面積は、初期に、アノード120の表面123の表面積の2倍、3倍、4倍、5倍、10倍又はそれより大きくてよい。例示的には、カソード130は円筒形体を有し、数は8つである。
【0032】
変形態様では、アノード120を、カソード130の代わりに機能する単一の中空の円筒形状体(図示せず)の軸線に沿って設けることができる。この場合、円筒形状体の内側表面積は、アノード120の表面123より数倍大きい。撹拌装置は、円筒形状体をアノード120を中心に回転させ、電解質140を撹拌するように操作可能である。
【0033】
所与の数のカソードでは、カソード130は、例示的には、7回回転対称でアノードの周りに配置されており、それにより、カソードが、周りに等しい角度間隔で、全てアノード120から同じ間隔をおいて設けられている。撹拌モータ88は、図面に示されているように、カソード130が全て同じ方向89に回転するように構成されていてよい。別態様では、撹拌装置は、隣り合う位置にあるカソード130を反対の方向に回転するように操作することができる。
【0034】
システム110の操作では、撹拌モータ88は、全てのカソード130を同時に回転させるように操作される。撹拌が維持されている間、電源168が、アノード120での酸化及びカソード130での還元を同時に誘導することによって、電解質140中の原料化合物を電解により分解するように操作される。固体材料192、つまりターゲット元素材料を含む生成物は、各表面133上に同時に堆積し、各カソード130の一部となる。システム110の操作を続けていくと、より多くのターゲット元素材料が固体材料192内へと獲得され、それにより、生成物−電解質界面193が電解質140内へと前進する。
【0035】
システム110におけるカソードの合計の表面積が大きいことによって、アノード120の全電流容量が、そうでなければ単一のカソードを通ることになる望ましくない高いカソード電流密度なしで得られる。例えば、システム110では、カソード電流密度は、アノード電流密度の5%〜25%のオーダーであってよい。カソード電流密度がより小さいことによって、界面193の安定性が促進され、ひいては界面193における局所的な非均一性が増大する前に固体材料192のより厚い堆積物が得られる。また、より遅い堆積は、界面193において不純物偏析をより大きな程度で生じさせることを可能にする。したがって、大きな合計のカソード面積によって、ターゲット元素材料生成物を構成するより純粋な固体材料192のより遅く且つより整然とした成長が、システム全体にわたる大きな生産性をもって助成される。固体材料192は、エピタキシャル堆積物の形態であってよい。
【0036】
システム110によって固体相として生成する候補のターゲット元素材料は、例えば、シリコン、タンタル、ニオブ、モリブデン、タングステン、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ネオジム、プラセオジム、セリウム、ガドリニウム、ゲルマニウム及びベリリウムを含む。アノード120としてSOM−型アノードを組み込んだシステム110の構成は、酸化物化合物からターゲット元素材料を生成するために特に適している。
【0037】
例示的なプロセス手順では、高カソード面積システム110は、二酸化シリコンからシリコンを電解採取するように構成されている。電解質140は、約1000℃に維持された、フッ化物、二酸化シリコン及び酸化アルミニウムの混合物である。カソード130及びアノード120のそれぞれは、それぞれ、電解採取シリコンについての例示的なプロセス手順について上述したカソード30(図1)及びアノード20と同様に構成されている。モータ88は、全てのカソード130を同時に毎秒約10回転で回転するように操作される。外部回路165は、二酸化シリコンの分解を誘導し、それと同時にシリコンの堆積が各固体材料192中の全てのカソード130の表面133上に堆積するように操作される。
【0038】
変形態様で、図5を参照すると、高カソード面積電解採取システム110が、電解質140中で側面方向に外部から保護された(tiled laterally)いくつかの追加的なゾーン115を含む。システム110内の全てのゾーン115は、例示的には同一であり、それぞれ同一の外部回路と共に構成されている。ゾーン115は、ターゲット元素材料が全てのゾーン115における全てのカソード130上に堆積するように同時に操作可能である。マルチゾーン高カソード面積システムは、例えば、単一の容器160中に10、20又は30のゾーンを有していてよい。
【0039】
別の態様では、原料化合物から元素材料を電解採取するための装置が、原料化合物中に存在する又は電解質の他の構成成分中に元来からある不純物の実質的な排除を行いながら、ターゲット元素材料を生成するよう構成されている。図6及び7を参照すると、例示的な一態様で、不純物偏析電解採取システム210が、アノード220、生成カソード230及び予備カソード250を備えている。電極220、230及び250は、容器260中に収容された液体電解質240と電気的に接触しており、原料化合物を溶解させる。このシステム210によって生成させる候補のターゲット元素材料は、高カソード面積電解採取システム110(図4)について上で規定したものを含んでいてよい。
【0040】
電極220、230及び250は、各リード225、235及び255を通して容器260の外側に設けられたシステム210と接続されている。生成カソード230へのリード235及び予備カソード250へのリード255は、カソード30へのリード35(図1)について上述したのと同様であり、それぞれ撹拌モータ88を備えて構成されている。電解質240、生成カソード230、電源268及びアノード220が、生成回路265を形成する。生成回路265中の電源268は、電子を生成カソード230へ運搬し、電子をアノード220から受容するように構成されている。電解質240、予備カソード250、電源278及びアノード220は、予備回路275を形成する。予備回路275における電源278は、電子を予備カソード250に運搬し、電子をアノード220から受容するように構成されている。電源268及び278は、一定の制御された値のDC電圧を付与するように、又は一定の制御された値のDC電流を供給するように操作可能であってよい。
【0041】
容器260及び蓋部262は、容器60(図1)及び蓋部62について上述した考慮に鑑みて選択される特性及び機能を有する。システム210はさらに、シリコン電解採取システム10を参照して上述したのと同様に装備されていてよい。アノード220及び液体電解質240は、アノード20及び電解質40それぞれに関し上に挙げた考慮に鑑みて、ターゲット元素材料の電解採取において適性を有するよう構成されている。アノード220は、システム210の操作の際に電解によって起こる原料化合物の分解全体の一部である酸化反応を助成するよに構成されている。アノード220は、SOM−型アノードとして構成されていてよいし、又は別の形式で構成されていてもよい。アノード220は、電解質240と電気的に接触している表面223を有する。
【0042】
生成カソード230は、システム210の操作の際に電解によって起こる原料化合物の分解の要素である還元反応を助成し、比較的高い純度でターゲット元素材料の固体堆積物を蓄積するよう構成されている。したがって、電解前、生成カソード230は、固体表面233であって、ターゲット元素材料のその上での堆積を、例示的には電解質240中に存在する他の元素材料より優先的に導く固体表面233を有する。例えば、生成カソード230の組成は、ターゲット元素材料が、初期には、表面233において生成カソード230の50%、70%、90%又はそれを超える量を構成するようになっている。例示的には、カソード230は、約1〜3cmの直径及び30〜60cmのオーダーの長さを有するターゲット元素材料の円筒形状のロッドとして開始される。
【0043】
予備カソード250は、システム210の操作の際に電解によって起こる不純物含有の化合物の分解の一部である1つ以上の還元反応を助成し、固体堆積物を蓄積させ、それにより偏析させるよう構成されている。したがって、電解前、予備カソード250は、固体表面253であって、1つ以上の不純物元素材料のその上での堆積を、例示的にはターゲット元素材料より優先的に導く固体表面253を有する。例えば、予備カソード250の組成は、ターゲット元素材料が、初期には、その表面253において予備カソード250の50%又は70%以下を構成するようになっていてよい。
【0044】
予備カソード250は、高い濃度で、原料化合物中に含有する又は電解質240の他の構成成分によって導入された不純物元素材料の1つ以上を含む円筒形状のロッドであってよい。予備カソード250は、生成カソード230に類似の形状及び寸法を有していてよい。
【0045】
別態様では、予備カソード250は、より大きな速度での電解質240からの不純物捕捉を助成するよう構成されていてよい。例えば、予備カソード250上の表面253は、電解前、電解前の生成カソード230の表面233の数倍の面積に等しい面積を有し得る。電解質240と接触して大きな表面253を有することによって、予備カソード250における低い電流密度及びひいては薄い境界層が維持されながらも、許容可能な電解の速度が助成され得る。電解の際の予備カソード250に沿った電解質流れの顕著に垂直方向の構成成分を誘導する設計によって、電解質240の組成の均一性の改善を通じて、不純物の捕捉をさらに増大させることができる。
【0046】
図8を参照すると、不純物−偏析システム210における使用に適した、予備カソード250(図6)としての例示的な高捕捉予備カソード251は、長さ約30cmの円筒形状のスパイン(spine、脊椎様のロッド)254を有していてよい。前記スパイン254から延びる複数の羽根256a、256b及び256cは、全体として高表面積表面253を有する。羽根256a、256b及び256cの形状及びそれらのスパイン254の周面の周りでの分配は、スパイン254の長さに沿って異なっていてよく、例えばカソード251の方向89への回転時に羽根256a、256b及び256cによる電解質240の下方への流れを誘導するようになっていてよい。例えば、上部の羽根256aは、液体電解質240をスパインに向かって下方へ引き込むように輪郭形成されていてよい。中間の羽根256bは、スパイン254から実質的に放射状に延びていてよく、さらに液体電解質240を下方へと押し出すように構成されていてよい。下部の羽根256cは、液体電解質240を外側へ且つ下方へ押し出すように輪郭形成されていてよい。
【0047】
各羽根256bの遠位の端部257の軌跡は、例示的には、直径がほぼ等しい円筒であり、その直径は後述のターゲット元素材料生成物含有の生成カソード230の最終的な直径までになる。液体電解質240の粘性が約0.3ポイズのオーダーであるなら、羽根256a、256b及び256cは、約1〜2mmの厚み及び1〜2cmの幅を有していてよい。シリケート含有電解質における場合のように液体電解質240の粘性(図6)が3.0以上であるなら、羽根256a、256b及び256cは約3〜5mmの厚み及び3〜5cmの幅を有していてよい。例示的な高捕捉予備カソード251は、例えば焼流し鋳造又は粉体冶金技術によって製造することができる。
【0048】
システム210は、操作の際に電解質240とは接触していない生成カソード230又は予備カソード250を保持するよう操作可能であってよい。容器260は、例示的には、電解質240上の十分な上部空間が設けられているよう構成されており、それにより、システム210の操作時に、蓋部262を外すことなく、カソード230又は250の電解質240内への配置と、配置したカソード230又は250の部分的な又は完全な電解質240からの引戻しとを交番で行うことが可能となる。例えば、生成カソード230及び予備カソード250は、各リード235及び255をシール37を通して蓋部262に貫通させることによって、容器260内に独立して配置することができる。別の手法では、蓋部262は、容器260から電極230又は250を、蓋部262を全く妨害することなく除去できるよう構成されている。
【0049】
操作においては、システム210は、まず、予備カソード250上のターゲット元素材料よりも電気陰性の強い1つ以上の元素材料が電気堆積(電着)されるよう操作される。よって、生成物中で望ましくない電気陰性を有する不純物元素材料は、予備カソード250上に偏析され、電解質240から消費される。この消費後、電解質240は、還元可能な種を含有する不純物元素材料を、初期に電解質240中に存在していたものに対して例えば、20%、10%、5%、1%又は0.5%未満で含む。当該種を含有する不純物元素材料が、許容される程度に電解質240が消費されたら(電解質240から不純物元素材料が消費されたら)、システム210は、電解質240中に残存する原料化合物を電気分解し、生成カソード230上にターゲット元素材料を堆積するように操作される。よって、システム210は、電解質240中に初期に溶解していた原料化合物中の元素材料よりも高い純度でターゲット元素材料を生成する。
【0050】
図9は、例示的な電解採取システム210において、比較的高い純度でターゲット元素材料を含む生成物を生成カソード230上に堆積するための例示的なプロセス手順におけるステップを示す。図6及び7を続けて参照して、システム210の構成要素を上述のように組み立てる(ステップ301)。例示的には、電解質240は、当該プロセス手順の際に、堆積ステップ中、カソード230及び250の1つの又は両方の回転によって撹拌され、それにより、電解質240全体の組成の均一性が助成され、また電極230及び250を通る電流を決定する上での物質移動の効果の重要性も小さくなる。
【0051】
生成回路265が開いている場合には、予備回路275は、電子を予備カソード250へ提供して電子をアノード220から抽出するように操作され、それにより、電解質240中の1つ以上の化合物、例えば構成成分酸化物が電気分解される。化合物が含有している不純物元素材料が、予備カソード250上に堆積する(ステップ302)。同時に、電解質240からの種がアノード220で酸化される。図10を参照すると、電解質240中の、不純物を含有する種が予備カソード250で還元されると、固体材料282が、その上に表面253にわたって前進するカソード/電解質界面283を越えて得られ、その後、予備カソード250の一部として機能する。
【0052】
予備回路275内での堆積は、電解質240からターゲット元素材料生成物中の望ましくない不純物が十分に消費されるまで続く。十分な消費が得られるのは、電解質240中の構成成分酸化物材料の、例えば0.5%、1%、5%、10%、15%又は20%のオーダーが、予備カソード250上に堆積された時である。
【0053】
十分な不純物の消費があったところで、予備カソード250上のアクティブ電解堆積(アクティブ電着)を停止させる(ステップ303)。その後、電源278は、予備カソード250とアノード220との間でのサブ電解電圧(subelectrolysis voltage)が得られるよう操作することができ、それにより、固体材料282の正味の溶解が防止される。別態様では、予備回路275を開いたままにしておいてよい。
【0054】
生成回路265は、電子をアノード220から抽出し、電子を生成カソード230に供給するよう操作され、それにより、電解質240中の原料化合物が電気分解される。ターゲット元素材料が、生成カソード230上に堆積する(ステップ304)。図11を参照すると、固体材料292、つまりターゲット元素材料を含む生成物が、生成カソード230上に表面233にわたり、前進するカソード/電解質界面293を越えて得られ、その後、生成カソード230の一部として機能する。固体材料292は、ターゲット元素材料を所望の高い純度で含む。例示的には、ターゲット元素材料は、固体材料292の少なくとも99重量%、99.9重量%、99.99重量%、99.999重量%又は99.9999重量%を成す。ターゲット元素材料の堆積は、例えば、蓄積された固体材料292が十分な質量となるまで、ターゲット元素材料より電気陰性の小さい不純物が生成カソード230上に、許容できない速度で共堆積し始めるまで、又は電解質240が原料化合物を望ましくない低い濃度で含むまで、続けることができる。
【0055】
ターゲット元素材料の生成カソード230上への電気堆積は、例えば、生成回路265を開くことによって停止させる(ステップ305)。追加的なターゲット元素材料質量は、堆積された固体生成物292に追加されるべき場合には、化合物の追加的な増加を導入することによって、原料化合物を電解質240中へ補充する(ステップ306)。そして、例示的なプロセスを、ステップ302の最初から繰り返すことができる。初期には直径1〜3cmであった生成カソード230は、プロセス手順の最後までには、例えば、直径4〜30cmのオーダーまでに成長し得る。
【0056】
ステップ302の第2の繰り返しでは、第1の繰り返しで使用された予備カソード250を再使用することができる。別態様では、予備カソード250は、1回使用した後、ターゲット元素材料より優先的に不純物を取り込む能力がより大きい新鮮な表面253を有する新たな試料によって置き換えることができる。
【0057】
変形の態様では、ステップ302は、生成カソード230なしで電解質240から行われる。ステップ302の後、予備カソード250は、電解質240から引き抜かれ、ステップ304を開始する前に、生成カソード230が電解質240中に挿入される。そして、ステップ304を、電解質240から予備カソード250がない状態で実施する。
【0058】
ステップ302の際の予備回路275操作パラメータは、電解質240中の不純物元素材料及びターゲット元素材料の電気陰性度の類似性に依存し得る。電源278が、予備カソード250とアノード220との間にDC電圧を印加するよう操作される場合、印加される電圧の大きさは、理想的には、電気陰性の不純物の比較的急速な堆積を誘導するが、原料化合物の電解が得られないか又は極めて限定されるよう選択される。しかし、一般に、電気陰性の不純物の偏析は、電解質240中に含まれるターゲット元素材料のいくつかを犠牲にして、それを予備カソード250内に取り込むことによって起こる。電解質240が、ターゲット元素材料に対して同様な電気陰性を有する不純物を含有し、不純物及びターゲット金属の平衡電極/電解質電位の値Eeqの差が、例えば、0.10Vより小さい場合には、一定の電圧による堆積によって、予備カソード250上でのターゲット元素材料収率の分率を大きく減らすことなく、大きな速度で不純物を局所化させることは難しいであろう。
【0059】
それに代え、電源278が、一定のDC電流を予備回路275に提供し、経時的により小さな電気陰性を有する不純物が回路278を流れる電流に寄与するように予備カソード250とアノード220との間の電圧を変化させることが可能となるよう操作されてよい。回路278における電圧は、予備カソード250上でのターゲット元素材料の著しい損失が生じる前に予備回路278上の堆積を停止するために監視することができる(ステップ303)。
【0060】
ステップ304の際、電源268は、生成カソード230とアノード220との間に、ステップ302の際に予備カソード250とアノード220との間で電源278によって印加されたDC電圧と同一のDC電圧を印加することができる。別態様では、各ステップで必要とされる区別能力(discrimination capacities、ターゲット元素材料と不純物との区別能)が異なるので、ステップ304の際に、生成回路265において、ステップ302の際に予備回路275で用いたより大きな電圧を使用することができる。一般に、ステップ304でステップ302の2倍以上のより大きな電流密度を用いることで、不純物が許容される程度に偏析しながら、所望の生成物の堆積速度を提供することができる。いくつかの場合には、予備カソード250と電解質240との間の界面を横切る最適な電流密度は、生成カソード230と電解質240との間の界面を横切る電流密度の25%以下であってよい。
【0061】
ターゲット元素材料とより電気陰性の小さい不純物とのよりよい区別は、いくつかの場合では、一定の電流を提供する電源268を使用して影響を与えることができる。所与の元素材料では、平衡値に近い電極/電解質電位では、電圧に加えられる1%の変化が、電解速度の10%の変化をもたらし得る。したがって、電流を制御することによって、ターゲット元素材料に近い電気陰性を有する不純物の生成カソード230からの排除を得ることができる。
【0062】
例示的な一態様で、ターゲット元素材料はシリコンであり、システム210のアノード220、生成カソード230及び電解質240は、それぞれ、SOMアノード48(図1)、カソード30及び電解質40について上述したのと同様である。ステップ302の前には、シリコンは、例示的に、予備カソード250の50%以下をその表面233で成す。初期には、予備カソード250の表面253は、例示的には、鉄を少なくとも50%含む。予備回路275は、ステップ302の際に、予備カソード250と電解質240との間の界面を通して印加される電位Eが、シリコンをめっきするための平衡値Eeq(1.52V)より大きいが、電解質240中でシリコンより小さい最大の電気陰性を有する不純物をめっきするためのEeqより小さい、又は同等、又はそれよりあまり大きくならないよう操作することができる。シリコンの場合には、この不純物はチタンであってよく、印加される電位Eは、例示的には、チタンについてのEeq(1.60V)の値と等しくてよい。シリコンは、例示的には、固体材料282の1%、5%、10%又は20%以下より小さい量で、或いは固体材料282の50%、80%、90%以上で構成する。
【0063】
例示的には、ステップ302の際に、電解質240中の構成成分酸化物を1%より小さいオーダーで犠牲にした後、シリコンを、ステップ304の際に、生成カソード230上に99.9999%で堆積させることができる。生成回路265は例示的には、ステップ304の際に、生成物カソード250とアノード220との間の1.60Vに等しい電位Eに作用する電圧又は例えば1.75Vのオーダーのより高い電位を生じさせる電圧を供給するように、操作することができる。
【0064】
シリコンが堆積した生成カソード230上での、より電気陰性の小さい不純物の顕著なレベルでの存在は、約90%〜95%の酸化物の還元された時に電着を停止することによって、回避することができる。よって、図9に示したプロセス手順によって、電解質240中のシリコン酸化物原料の90%以上に相当するシリコンが、堆積された生成カソード230上で得ることができる。
【0065】
ホウ素の電気陰性はシリコンの電気陰性より小さいが、その値は近い。シリコンを、システム210において、ホウ素酸化物で汚染された二酸化シリコン原料から電解採取する場合、シリコンの最終用途で必要なら、ホウ素をステップ304の前に別個の手順で除去することができる。例えば、上で規定したように、電解質240がフッ化物ベースであるなら、システム210の操作温度で不活性気体を電解質240に通過させることにより、ホウ素を除去することができる。ホウ素は、ホウ素を除去するよう電解質240が処理された後には、生成カソード230上に堆積した固体材料292の0.01%又は0.001重量%より小さい量で構成していてよい。
【0066】
システム210におけるプロセス手順によって、予備カソード250上でのターゲット元素材料のより少ないの損失で、より低い操作温度でより良い不純物偏析を得ることができる。この要因は、シリコン電解採取システム10について述べた考慮に加えて、システム210の操作温度の選択に加えることができる。
【0067】
何らかの理論に束縛されることなく、ステップ302及び304についての操作パラメータ値の選択の情報の提供をする検討は、予備カソード250及び生成カソード230上での、ターゲット元素材料、シリコン及び各不純物の堆積によって与えられる各カソード電流を参照することによって理解され得る。ステップ302の際の元素材料の堆積に起因する予備回路275を流れる電流の組込みは、固体材料282中に蓄積し且つよって電解質240から除去された元素材料の量をもたらす。電解質240中に存在する全ての不純物の蓄積を回路275を流れる電流の関数として考慮することによって、予備カソード250上での十分な不純物の局所化が得られる点を決定することができる。この点において、生成回路265において、電解質240からターゲット元素材料を生成カソード230上で高純度で堆積させることができる。
【0068】
1つの元素材料のめっきが寄与するカソード電流は、当業者に知られたButler-Volmer等式
【0069】
を使用して分析的に記述することができる。この式は、電極−電解質界面を横切る平衡電位Eeqを有する電極反応による電流密度iの変動を記述している。この式中、電解質中の所与の種及びカソード上に堆積するそれに対応する元素材料について、Rは理想気体定数、Fはファラデー定数、i0はカチオンの交換電流密度、nはその原子価状態、αは対称性因子である。電極−電解質界面を横切って印加される温度T及び電位Eは、操作パラメータである。
【0070】
カソード堆積物の発生は、典型的な不純物Al2O3(0.156%)、CaO(0.070%)、Cr2O3(0.020%)、Cu2O(0.005%)、Fe2O3(0.079%)、MgO(0.006%)、Na2O(0.004%)、P2O5(0.042%)、TiO2(0.023%)、並びにそれぞれ0.010%である追加的な酸化物SnO2、NiO、K2O、ZnO、ZrO2及びB2O5を含むシリコン酸化物原料について、SiO2のトンの供給元によって提供される濃度関係を使用してシミュレーションした。要求される二酸化シリコン開始材料は、約99.6%の純度である。
【0071】
酸化物/元素材料の対それぞれについてのEeqは、1000℃での酸化物の生成自由エネルギーΔGから、ΔG=−nFEeqに基づいて計算される。Eeqの値を表1に列記する。
【0072】
【表1】
【0073】
前記の例示的なプロセス手順に従って、電解質が完全に混合され、各種についての交換電流密度i0が電解質中のモル分率に正比例し、元素材料がE>Eeqである場合にのみに堆積すると仮定した場合の堆積モデルを構築した。選択された操作温度T及び電位Eで、αについて0.5の値を使用して、シミュレーションされた電解質中の元素材料/酸化物の各対についてのButler-Volmer電流を、還元された全酸化物の分率に関しての可変ステップのオイラー前進アルゴリズム(variable-step forward-Euler algorithm)を使用して積分した。各積分ステップで、カソード上で得られる堆積物の組成が計算され、電解質の組成が再計算された。
【0074】
図12に、1000℃及びE=1.60Vにおいて還元された酸化物材料の分率の関数として計算された堆積物組成を示す。まずはリンが、続いてスズ、ニッケル、鉄、亜鉛、そしてシリコンより電気陰性の大きい最後の局所化されるべき不純物であるクロム又は銅がカソード上にめっきする。電気陰性のより大きい不純物のほとんどは、電解質中に存在する全ての酸化物物質の最初の0.6%の還元の際に析出する。ホウ素は、電気陰性の不純物の濃度が減少した後も、続けて堆積する。電気陰性のより小さい不純物であるチタン及びジルコニウムは、堆積物中に全く取り込まれない。
【0075】
これに対し、同じ温度でE=1.75Vでは、モデルによれば、シリコンは、図13に示すように数百倍より迅速に堆積物中に取り込まれることが分かる。比較的電気陰性の大きい不純物は、より遅く取り込まれる。例えば、銅は、全酸化物の約1%を超える量が還元された時点でも顕著に大きな速度で取り込まれる。ホウ素及びチタンは堆積する。堆積物中のチタンの濃度は経時的に増大する。
【0076】
図14及び15に、1100℃でE=1.60V及びE=1.75Vそれぞれで、還元された全酸化物の分率の関数として計算された堆積物の組成を示す。より高い温度での操作によって、構成成分元素材料間での差異はいくらかより小さくなる。E=1.60Vでは、電気陰性の不純物は、電解質中に存在する第1の全酸化物物質の最初の1%の還元が完了するまで、固体堆積物中に局所化されない。しかし、めっきは、1000℃でよりも急速に起こる。
【0077】
別の態様では、原料化合物からターゲット元素材料を電解採取するためのシステムは、最小限の多孔性又は電解質を取り入れることで、ターゲット元素材料の高密度堆積物を生成するよう構成されている。
【0078】
図16を参照すると、例示的な一態様で、高密度堆積物電解採取システム310は、アノード320と生成カソード330との間に介在された対向カソード370を備えている。電極320、330及び370は、容器360中に収容されている、原料化合物を溶解している液体電解質340と電気的接触している。
【0079】
電極320、330及び370は、各リード325、335及び374を介して容器360の外部のシステム310の構成要素に接続されている。電解質340、生成カソード330、DC電源368及びアノード320が、生成回路365を構成する。生成回路365内の電源368は、電子を生成カソード330に供給して電子をアノード320から受容するよう操作可能である。
【0080】
電解質340、生成カソード330、DC電源378及び対向カソード370は、溶解回路375を形成する。溶解回路375中のDC電源378は、電子を対向カソード370に供給して電子を生成カソード330から受容することと、溶解回路375をその逆に推進することとを交番して行うよう操作可能である。対向カソード370は、例示的には、生成回路365及び溶解回路375の各操作の際に、同様の対称の方向及び反対の方向の電界分布に作用するように、アノード320の近くに配置されている。
【0081】
リード335及び374のそれぞれは、カソード30へのリード35について上述したのと同様に、撹拌モータ88と共に構成されていてよい(図1)。容器360及び蓋部362は、容器60及び蓋部62について上述した考慮に鑑みて選択された特性及び機能を有する。或いは、システム310は、シリコン電解採取システム10を参照して上述したように装備されていてよい。アノード320、生成カソード330及び液体電解質340は、ターゲット元素材料を原料化合物から電解採取するために、アノード20(図1)、カソード30及び液体電解質40についてそれぞれ挙げた考慮に鑑みて構成されている。アノード320は例示的には、SOMアノード48について上述したように固体酸化物膜345内に収容されている。対向カソード370は、堆積させた材料を生成カソード320から電気溶解させる酸化反応をバランスする還元反応を助成するように構成されている。
【0082】
図17に、例示的な高密度堆積物電解採取システム310中の堆積−溶解サイクルを実施することによる、ターゲット元素材料の高密度堆積物を生成カソード330(図16)上に生成するための例示的なプロセス手順のステップを示す。続けて図16及び17を参照すると、システム310の構成要素を上述のように組み立てる(ステップ401)。例示的には、電解質340が、プロセス手順の間、プロセス時間インターバルの際に、生成カソード330及び対向カソード370の一方又は両方の回転によって撹拌される。
【0083】
溶解回路375が開いた状態で、生成回路365が、電子をアノード320から抽出して電子を生成カソード330に提供し、それにより原料化合物を電解するよう操作される。図18を参照すると、それにより、ターゲット元素材料は、生成カソード330上に表面333にわたり堆積する(ステップ402)。種を含有するターゲット元素材料は生成カソード330において還元され、固体材料392が、その上に得られ、その後、生成カソード330の一部として機能する。同時に、電解質340からの種は、アノード320において酸化され、容器360を離れる。変形態様では、ステップ402は、例えば対向カソード上への偶発的な堆積又は対向カソード370の運動を回避するように、対向カソード370が電解質340から除かれた状態で行うことができる。
【0084】
生成回路365における堆積は、堆積時間インターバルを通じて起こる。堆積時間インターバルの第1の部分の際に堆積した固体材料392は、均一なマイクロ構造及びターゲット元素材料の値の100%に近い密度を有していてよい。固体材料392は、生成カソード330上にエピタキシャル堆積物を構成していてよい。しかし、堆積時間インターバルの終わりに堆積した形態的に低品質の材料394は、界面の不安定さのため、多孔性、塩の取り込み、樹状突起又は他の望ましくない表面特徴を示し得る。低品質の材料394は、ターゲット元素材料生成物の一部として許容されるものではない。堆積時間インターバルの最後において、生成カソード330上へのアクティブ電気堆積を停止する(ステップ403)。その後、生成回路365を開いたままにし、アノード320を電気的に隔離する。
【0085】
生成回路365を開いた状態で、溶解回路375を、電子を生成カソード330から抽出して電子を対向カソード370に供給するよう操作する。低品質の材料394中の全てのターゲット元素材料を含む、堆積させたターゲット元素材料の一部は、生成カソード330から電気溶解する。同時に、図19を参照すると、ターゲット元素材料の原子は、対向カソード370上の材料372にカソード堆積する(ステップ404)。
【0086】
ステップ404の際、生成カソード330は、溶解回路378中のアノードとして機能する。対向カソード370は、それ以前にステップ402の際に生成カソード330上に堆積したターゲット元素材料原子の酸化を含む反応全体の一部である還元反応のためのサイトを提供する。ステップ402での生成カソード330上への堆積の際に、アノード320で形成された酸化反応生成物がシステム310を離れる。よって、生成回路365を逆に、堆積させた材料を生成カソード330から除去するように実施することは、その直後ではない。対向カソード370の存在によって、電源378による、低品質の材料394の溶解の外部の制御を可能にする。低品質の材料394の除去により、生成物の最終的な使用に適した、又は追加的な高品質の生成物がその上に堆積される界面が修復される。
【0087】
溶解回路375における溶解は、少なくとも低品質の材料394が生成カソード330から除去されるまで、溶解時間インターバルの間ずっと続けられる。例示的には、堆積時間インターバルは、溶解時間インターバルの2、10、100又は200倍のオーダーである。溶解時間インターバルの最後で、生成カソード330からの溶解を停止する(ステップ405)。溶解回路375はその後開いたままである。
【0088】
一般に、対向カソード370上の材料372は、ステップ404のさらなる繰り返しで、その効率を制限し得る粗い表面特徴373を有する。したがって、図20を参照すると、溶解回路375は、任意に、対向カソード370上の材料372からの原子を電気溶解し、それにより粗い表面特徴373が除去されることによって表面粗さを減少させるように、逆に操作することができる(ステップ405)。同時に、ターゲット元素材料を含む高密度材料の層395が、カソード堆積によって生成カソード330に固体材料392上にわたり追加され、ターゲット元素材料生成物に添加される。ステップ405はまた、著しい材料の蓄積及び生成カソード330でのターゲット元素材料全体のプロセス収率の減少から対向カソード370を保護する。
【0089】
ターゲット元素材料の追加的な質量が、生成物に、堆積させた固体材料392及び層395上にわたり追加される場合、プロセスを、ステップ402の最初から繰り返すことができる。低品質の材料394の周期的な除去によって、高密度堆積物電解採取システム310によって、生成カソード330上での高品質の生成物の顕著な蓄積が得られる。
【0090】
システム10(図1)、110(図4)、210(図6)及び310(図16)の2つ以上についての考慮又は観点は、より大きな生産性及び/又は生成物品質を得るために組み合わせることができる。続けて図6を参照すると、1つの手法では、不純物−偏析システム210は、複数の生成カソード230及び複数の予備カソード250(図8)と共に構成することができ、それにより、ターゲット元素材料を高純度で電解採取する際、システム110の高カソード面積の利点が達成される。このようなハイブリッドシステムにおける電解採取は、図9に示すように、いくつかのカソード上で同時に実施される。そのようなハイブリッドシステムにおける予備カソード250は、例示的には、図4に示されたアノード120の周りのカソード130の配置と同様に、アノード220の周りに配置される。生成カソード220は、例えば、ステップ302の際に予備カソード250によって占有される場所の各対の間の電解質中に設けることができる。予備回路275及び生成回路265は、同時に複数の予備カソード250及び生成カソード230のそれぞれを指定するように構成されている。
【0091】
同様に、高密度堆積物電解採取システム310(図16)は、複数の生成カソード330及び複数の対向カソード370を備えて構成されていてよく、それにより、図17に示されたプロセス手順によってターゲット元素材料を高密度で生成する、システム110の高カソード面積の利点が得られる。生成カソード330は例示的には、図4で示したアノード120の周りのカソード130の配置と同様に、アノード320の周りに配置される。図21を参照すると、対向カソード370は、ステップ405の際のアノード320の周りにリング状に配置されていてよい。対向カソード370の数は、生成カソード320の数に等しくてよい。
【0092】
さらに、システム10(図1)、110(図4)、210(図6)及び310(図16)の全ての特徴は、高密度で高純度の堆積物中の体積シリコンを生成するための電解採取システムにおいて組み合わせることができる。組み合わせられたシステムでは、電解質中の不純物が電気堆積によって偏析した後、高純度シリコンが、電気溶解による周期的な表面再生によって複数のカソード上に堆積する。
【0093】
このような組み合わせられたシステムは例示的には、各アノード48について、複数の予備カソード250、生成カソード230/330及び対向カソード370が装備されている。組合せシステムの操作は、不純物−偏析システム210について図9に示したように開始される。図6及び7を参照すると、シリコン生成物の最終使用と調和しない電気陰性の不純物が、まず、ステップ302と同様に複数の予備カソード250(図8)上に偏析する。
【0094】
ステップ304(図9)及びステップ402(図17)は、上述の不純物−偏析と高密度堆積物プロセス手順との間の橋渡しとして機能する。ステップ304でのように高純度シリコン生成物292(図10)を複数の生成カソード230上に堆積させることは、組合せプロセスにおいて、ステップ402において、高純度シリコン生成物392(図18)を複数の生成カソード330上に堆積させることを同等である。ステップ304/402の後、組み合わせられたプロセスを、図16〜20によって例示された手順で続ける。高純度シリコン生成物392上にわたる低品質の材料394は、ステップ404で述べたと同様の、同時に行われる複数の対向カソード370(図21)上へのシリコンの堆積と共に溶解される。ステップ402からステップ405の堆積−溶解サイクルは、生成カソード330上のシリコン生成物の質量が十分になるまで繰り返すことができる。原料二酸化シリコンは充填することができ(ステップ306、図9)、高純度、高密度、高体積のプロセスがステップ302の最初から繰り返される。
【0095】
特定の本発明の特徴がいくつかの態様に含まれおり、その他の態様には含まれていないが、個々の特徴は、本発明による他の任意の又は全ての特徴のと組合せ可能であってよいことに留意されたい。さらに、他の構成も、記載された特徴に適合可能である。例えば、高カソード面積システム110(図3)におけるn個のカソードゾーン115(図4)について、外部回路165は、同等にn個の電源として構成されていてもよいし、不純物−偏析システム210の回路265(図6)及び275は、別個の電源268及び278の代わりに単一の電源によって操作されるように構成されていてもよい。
【0096】
したがって、以上の記述は、元素材料、特に光起電装置に有用な高純度シリコンの高密度堆積物を原料化合物から電解採取するための極めて有利な手法を示していることが分かるであろう。ここで用いた用語及び表現は、説明の用語として使用されているのであって、制限のためではなく、また、そのような用語及び表現の使用において、示され、説明された特徴と同等の任意のもの又はその部分を排除する意図はない。様々な変更が本発明の範囲内で可能であることを認識されたい。
【背景技術】
【0001】
関連する出願の参照
本出願は、Adam Powell, IVらによる METHOD FOR PRIMARY PRODUCTION OF HIGH-PURITY METALS に係る2009年4月30日付け出願の米国特許仮出願第61/174、395号の利益を主張するものであり、当該出願は、参照によりここに援用される。
【0002】
技術分野
本発明は、原料化合物から元素材料(element、所定の元素からなる材料)を電解採取するためのシステムに関する。特に、本発明は、高密度且つ高純度の元素材料堆積物を生成する装置及び方法に関する。
【0003】
背景技術情報
シリコンベースの光起電技術(太陽光発電技術)の実施は、近年著しく成長し増加している。しかし、効率の高い太陽電池のために十分な純度、つまり少なくとも99.9999%の純度のシリコンを製造する経済的な手法については、今なお若干得ることは難しい。ソーラーグレードシリコンを得るには、慣例では、まず二酸化シリコンを炭素熱還元によって(carbothermically)還元し、98%のオーダーの純度の金属グレード(metallurgical-grade)シリコンを得る。次に、その金属グレードシリコンを、蒸留によって容易に精製することのできる揮発性シリコン化合物、例えばシラン、テトラクロロシラン又はトリクロロシランに変換する。シリコンは、精製された揮発性シリコン化合物から、当該精製された揮発性シリコン化合物を高温で固相シリコン基体に曝し、それにより化合物の分解及び高純度シリコンの基体上への堆積を引き起こすことによって回収される。この堆積させたシリコンは、ソーラーグレードのものより、典型的には99.9999%より高品質である。しかし、この精製の一連のプロセスはエネルギーを著しく消費するものであり、このプロセスにより、基本的な還元のために必要とされるエネルギーは10の数乗増加する。したがって、太陽光発電の用途のために最適な純度のシリコンを製造する、コスト効率のより高い方法が必要である。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、化合物から元素材料を電解採取する方法は、前記化合物が溶解されている液体電解質、並びに当該電解質と電気的に接触しているアノード及び第1のカソードを提供することを含む。電子は、アノードから抽出されて、第1のカソードに提供され、それにより、1つ以上の不純物を含む固体材料を電解質から第1のカソード上へ堆積させ、不純物を電解質から消費(deplete、枯渇)させる。第2のカソードは、電解質と電気的に接触して設けられている。電子は、アノードから抽出されて、第2のカソードへと提供され、それにより、少なくとも99%が元素材料である固体生成物が、(不純物を)消費させた電解質から第2のカソード上へ堆積する。
【0005】
別の態様では、二酸化シリコンからシリコンを電解採取する方法が、液体電解質であって、液体電解質の少なくとも60重量%を構成する少なくとも2つの金属フッ化物、二酸化シリコン及びアルミニウム酸化物からなるものを提供することを含む。酸素アニオンを案内可能な膜によって液体電解質から分離されているアノードが設けられ、カソードが液体電解質中に配置されている。電子は、アノードから抽出されて、カソードへと供給され、それにより、固体材料が電解質からカソード上に堆積する。シリコンは、堆積させた固体材料の50重量%超を構成する。
【0006】
別の態様では、化合物から元素材料を電解採取する方法は、化合物が溶解されている液体電解質を提供し、液体電解質と電気的に接触しているカソード、及び電解質からイオンを案内可能な膜によって液体電解質から分離されているアノードを提供することを含む。堆積−溶解サイクルが行われ、このサイクルは、少なくとも99%を元素材料が構成する固体生成物を、第1のインターバル(時間間隔)で、電子をアノードから抽出してその一方で電子をカソードへ供給することによってカソード上に堆積させ、堆積させた固体生成物の一部をカソードから電気溶解させ、元素材料を含む固体材料を、第2のインターバルで、アノードを電気的に隔離してその一方で電子をカソードから抽出して電子を対向カソードに供給することによって、液体電解質に接触する対向カソード上にめっきさせること(plating)を含む。
【0007】
さらに別の態様では、化合物から元素材料を電解採取する方法は、化合物が溶解されている液体電解質、並びに軸線、及び電解質と電気的に接触している表面を有するアノードを提供することを含む。アノードの周りには、複数のカソードが、アノードから同じ角度間隔で且つそれぞれ等しい距離をおいて配置されている。カソードは、各軸線、及び電解質と電気的に接触している各表面を有する。カソードの各表面積の合計は、アノードの表面積の少なくとも4倍である。アノード及びカソードはゾーンを画定する。液体電解質は、各カソードの周りで同時に撹拌され、その際、電子はアノードから抽出されて電子はカソードに供給され、それにより、元素材料を含む固体材料が各カソードの表面上に堆積する。
【0008】
以下の本発明の説明では、添付の図面を参照する。図面において、同一の参照番号は、同様の構造的な又は機能的な要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に適合するシリコン電解採取システムの概略図であり、容器が断面で示されている。
【図2】電解採取システムの蓋部に平行に沿った、図1に示されたカソードの断面図である。
【図3】本発明に適合する高カソード表面積電解採取システムの概略図であり、容器が断面で示されている。
【図4】蓋部に平行に沿った、図3に示されたシステムの電極の断面図である。
【図5】高カソード表面積の電解採取システムにおける複数のゾーンに配置されている電極の断面図である。
【図6】本発明に適合する高純度電解採取システムの概略図であって、容器が断面で示されている。
【図7】蓋部に平行に沿った、図6に示された電極の断面図である。
【図8】図6に示されたシステムに適合する、高捕捉式の予備カソードの斜視図である。
【図9】本発明に適合する、図6に示されたシステムにおける、ターゲット元素材料を高純度で堆積させるための例示的な一連の順序のフロー図である。
【図10】予備回路(preliminary circuit)の操作後の、図6に示されたシステムにおける電極の断面図である。
【図11】生成回路(production circuit)の操作後の、図6に示されたシステムにおける電極の断面図である。
【図12】1000℃及び1.60Vでの、仮想のシリコン酸化物試料中に存在する不純物元素材料のカソード堆積物への取込みを示すグラフである。
【図13】1000℃及び1.75Vでの、仮想のシリコン酸化物試料中に存在する不純物元素材料のカソード堆積物への取込みを示すグラフである。
【図14】1100℃及び1.60Vでの、仮想のシリコン酸化物試料中に存在する不純物元素材料のカソード堆積物への取込みを示すグラフである。
【図15】1100℃及び1.75Vでの、仮想のシリコン酸化物試料中に存在する不純物元素材料のカソード堆積物への取込みを示すグラフである。
【図16】本発明に適合する高密度堆積物電解採取システムの概略図であって、容器が断面で示されている。
【図17】図16に示されたシステムにおける、本発明に適合する、ターゲット元素材料の高密度堆積物を生成するための例示の一連の順序のフロー図である。
【図18】図16に示されたシステムにおける電極の、生成回路の操作後の、蓋部に平行に沿った断面図である。
【図19】図16に示されたシステムにおける電極の、溶解回路(dissolution circuit)の操作後の、蓋部に平行に沿った断面図である。
【図20】図16に示されたシステムにおける電極の、生成回路の逆操作後の、蓋部に平行に沿った断面図である。
【図21】複数のカソード及び対向カソードを備えている高密度堆積物電解採取システムにおける電極の断面図である。
【0010】
図面中の特徴は、大体が正しい縮尺で描かれていない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照する。例示的な一態様で、ターゲット元素材料であるシリコンを、原料化合物である二酸化シリコンから直接的に製造するために構成された電解採取システム10が、アノード20、カソード30、及び原料化合物が溶解している介在する液体電解質40を含む。アノード20は、イオン伝導性の膜45によって電解質40分離されている。電解質40は、蓋部62によって覆われた容器60によって収容されている。外部回路65は、システム10の操作の際に、電子をアノード20から受容して電子をカソード30へ運搬するように構成されている。電解質40並びに電極20及び30は、シリコンの融点(1414℃)未満の操作温度、例えば約900℃〜1300℃に維持されていてよい。
【0012】
外部回路65は、電解質40中の原料化合物の分解を生ぜしめるのに十分な電圧を、アノード20及びカソード30を通して印加するように操作可能な、DC電圧源であってよい電源68を備えている。別態様では、電源68は、所望の速度で原料化合物の電解を推進するよう操作可能なDC電源であってよい。
【0013】
アノード20は、システム10の操作の際に電解によって起こる原料化合物の分解全体の一部である酸化反応を助成するよう構成されている。したがって、アノード20は、その上で酸素を含有するアニオンが酸化されて気体酸素が形成するような材料、例えば液体銀又は多孔質の導電性酸化物、例えばランタンストロンチウムマンガナイトであってよい。別の手法では、アノード20は、金属、例えば液体スズであってよく、操作温度で酸素と反応する気体、例えば水素又は中性の気体をアノード20を介して気泡発生させるための装置(図示せず)を備えて構成されていてよい。アノードリード25は、アノードを外部回路65に接続する。
【0014】
膜45は、電解質40とアノード20との間でイオンを伝導可能なものであり、容器60内での電解の際にアノード20での酸化反応を助成する。膜45は、例えば、イットリア安定化ジルコニア(「YSZ」)又はいくつかの他の酸素アニオン導体である。アノード20及び酸化物膜45は共に、固体−酸化物膜(「SOM」)アノード48と呼ばれる。SOMアノード48の様々な態様は、米国特許第5、976、345号及び米国特許出願公開第2009/0000955号に記載されており、これらの両方のその全体が参照によりここで援用される。
【0015】
例示的には、SOMアノード48における膜45は、アノード20を保持する閉じた端部72を有する円筒形状のチューブとして構成されている。チューブは、蓋部62によってシールされており、この蓋部62は、容器60の外側に通気している開いた端部74を有し、これにより、陽極反応の気体生成物を逃すことができる。膜45は、アノード20を、融解した電解質40の攻撃的な化学的環境から遮蔽する役割を果たす。したがって、所定の範囲の炭素に対する非消耗物の代替物を、システム10におけるアノード20のために使用することができ、元素材料、例えばシリコンの炭素排出なしでの製造が可能となる。
【0016】
チューブを形成する膜45は、0.25cmのオーダーの厚みを有する。チューブは、約1〜3cmの直径及び20〜60cmのオーダーの長さを有していてよい。チューブの長さは、実際は、チューブの全長に沿って核生成する酸素気泡を、容器60内での電解の際に液体金属アノード20の過剰な分散なしで逃す必要があるために限定されている。そのような範囲での寸法を有するイットリア安定化ジルコニアチューブ内の液体銀アノードを有するSOMアノードは、アノード電流の流れを、融解塩環境中で約1A/cm2のオーダーで、気泡の運動によるオーミック加熱により生じる熱的負荷又は機械的負荷による劣化なしに助成可能であることが予測される。
【0017】
カソード30は、システム10内で電気的に生じるシリコン酸化物の分解全体の一部である還元反応を助成し、結果的として得られるシリコン生成物の蓄積を担うよう構成されている。したがって、初期には、つまり電解前は、カソード30は、固体表面33であって、シリコンのその上での堆積を、例えば電解質40中に存在する他の元素材料より優先的に導く固体表面33を有している。例えば、カソード30の組成は、シリコンが、初期に表面33で、カソード30の50%、70%、90%又はそれを超える量を構成するようになっている。カソード30は、固体シリコン本体、例えばチョクラルスキー成長させたシリコン単結晶であってよい。例示的には、カソード30は、初期の直径が約1〜3cmの円筒形状のロッドである。カソード30の長さは、30〜60cmのオーダーであってよい。カソードリード35は、カソード30を蓋部62を介して外部回路65に接続する。
【0018】
液体電解質40は、システム10の操作温度及びその他の特性において原料化合物を溶解するように構成されている。例えば、電解質40は、低い蒸気圧、適切な拡散率及び導電性を有するような低い導電性並びに十分なイオン移動度、並びに約1ポイズ未満の低い粘性を有するよう配合されていてよい。理想的には、電解質40は、システム110の他の構成要素、例えば膜45及び容器60と化学的に適合可能であり、ターゲット元素材料よりも電気陰性の大きい元素材料を含有する還元性種を含んでいない。
【0019】
例示的には、電解質40は、二酸化シリコン及び1つ以上の添加物と組み合わされた金属ハロゲン化物の混合物である。二酸化シリコンは、電解質40の5重量%、10重量%、15重量%又はそれを超える量を構成している。金属ハロゲン化物は、電解質40の少なくとも約60重量%を構成する。一態様では、金属ハロゲン化物は、2つ以上の金属フッ化物、例えばアルカリ土類金属フッ化物を含む。例えば、電解質40は、約1020℃で融解する約38重量%CaF2−62重量%BaF2の共晶混合物を含んでいてよい。別の態様では、電解質40は、約980℃で融解する約39重量%CaF2−61重量%MgF2の共晶混合物を含んでいていよい。さらに別の態様では、電解質40中の金属ハロゲン化物は、金属塩化物を含んでいてよい。
【0020】
金属ハロゲン化物溶融物中の、詳細にはフッ化物中のアルミニウム酸化物の存在によって、インサイトゥで形成されるシリコンハロゲン化物の蒸気圧が減少することが見出されている。例示的には、電解質40がアルミニウム酸化物を含み、それにより、操作温度での電解質40からのシリコンの蒸発損失が低減する。アルミニウム酸化物は、電解質40の約5重量%、7重量%、10重量%、12重量%又はそれを超える量を構成していてよい。
【0021】
操作温度は、アノード20、膜45、カソード30及び電解質40の性質を鑑みて選択される。システム10の構成要素における導電性を考慮すると、ターゲット元素材料、つまりシリコンの融点に近い温度での操作がより良好とされる。一方、電解質40中の揮発性元素材料、例えばSiF4は、900〜1300℃の範囲のより高い操作温度で、例えば1050℃より大きい温度での含有がより難しくなり得る。950℃〜1150℃の操作温度範囲であれば、電解質の化学的性質及び電極の導電性の因子間での実行可能な妥協を得ることができる。
【0022】
容器60及び蓋部62は、気体密の筐体を形成するよう構成されている。システム10は、電解質40上の上部空間を、不活性気体、例えばアルゴン又は窒素で充填する装置(図示せず)を備えていてよい。開口部を有するカバー、例えば蓋部62を備えている容器60のような容器内での、高い温度で溶融した塩及びその揮発物の閉じ込めを補助する技術及び材料、並びに融解した構成要素、例えば電解質40の操作温度を達成し維持するための技術は、当業者に知られている。
【0023】
容器60は、電解質40の化学的性質に適合可能な材料からなり、それにより、容器−電解質の相互作用による容器60の完全性の劣化又は電解質40の汚染は最小限となる。容器60は、導電性の材料からなっていてよい。ハロゲン化塩及び酸化物の電解質40を含有するために、ステンレス、又は好ましくは軟炭素鋼が実用的となり得る。しかし、カチオン、例えば鉄のカチオンは、鋼から電解質40内に浸出し、最終的には、カソード30上にターゲット元素材料と共に堆積し得る。DC電圧源90は、容器60を、アノード20と比較したカソード電位に維持し、それにより、容器60の内側表面上での有害なアノード反応を阻止するよう構成されている。
【0024】
システム10は、1つ以上の方法によって液体電解質40を撹拌し、それにより、液体中の成分の均一性を促進し、操作の際の容器60内の拡散効果を低減するように装備されていてよい。気体気泡81は、電解質40を通って、例えば、アノード20及びカソード30と整列された底部吹込み羽口(bottom-blowing tuyeres)82によって、押し出され得る。外部磁石85が、垂直方向に方向付けされたDC磁場86を印加するように配置されていてよく、当該磁場86は、アノード20からカソード30に流れる電流と相互作用し、磁気流体力学的な撹拌力を電解質40に誘導する。モータ88は、カソードリード35を、蓋部60における回転メカニカルシール37によって回転させ、それにより、電解質40中のカソード30が例えば毎秒約1〜30回転で回転するように構成されていてよい。気体密の筐体、例えば容器60内の液体、例えば電解質40を撹拌する方法は当業者に知られている。
【0025】
システム10内の二酸化シリコンからシリコンを電解採取する例示的なプロセス手順では、外部回路65がDC電圧源を備えている。システム10は、カソード30として直径3cmの円筒形状のシリコン単結晶、及びSOMアノード48として外直径3cmのYSZチューブ内の液体銀と共に構成されている。アノードリード25は、例示的には、貴金属例えばイリジウムのワイヤである。カソード30及びSOMアノード48はそれぞれ約30cmの長さを有する。電解質40は、約80重量%カルシウムフッ化物−マグネシウムフッ化物共晶、10重量%二酸化シリコン及び10重量%アルミニウム酸化物である。容器60の内側温度は約1000℃に維持されている。
【0026】
モータ88は、毎秒約10回転でカソード30を回転させるように操作される。電圧源90は、アノード20と容器60との間の保護DC電圧(protective DC voltage)を印加するように操作される。印加された保護電圧は、例示的には、電解質40からのカソード堆積を容器の内側に誘導するには小さいが、容器60の溶解及び電解質40の汚染をインサイトゥで阻止するには十分なものである。電圧源90は、任意に、まず電解質40からのシリコンのコーティングのカソード堆積物を容器62の内側上に生じさせ、その後、前記コーティングを維持するより小さな保護電圧を印加するよう操作される。
【0027】
外部回路65は、カソード30とアノード20との間にDC電圧を付与し、それにより、電解質40中の二酸化シリコンの電解を誘導するように操作される。酸素アニオンは、膜45を通ってアノード20へと拡散し、そこで気体酸素が形成され、電子が放出され、当該電子は外部回路65へと移動する。気体酸素は、チューブの開いた端部74を通って容器60を出て行く。同時に、電子は、カソード30へと、そして当該カソード30を通って電解質40との界面へと運搬される。図2を参照すると、電解質40中の種がそれにより還元されて、固体材料92、つまりシリコンを含む生成物が、カソード30上に表面33にわたって、移動する生成物−電解質界面93の向こうに堆積している。堆積した固体材料92はその後、カソード30の一部として機能する。
【0028】
カソード30のその軸線32を中心とした回転は、カソード30の軸線32から離れる方向への界面93の均一な前進を促進し、カソード30の元の円筒形状の対称性は、直径が増大しても維持される。電解質40の撹拌によって、電解質40中の生成物−電解質界面93と電解質40の他の領域との濃度差が減少し、堆積された固体材料92へ新たに還元された材料が高速で整然と取り込まれることが促進される。例示的には、堆積物92はエピタキシャルシリコンであって、堆積の最終段階では、カソード30はシリコンの単結晶である。エピタキシャル堆積物92の厚みは、電解の際、例えば75μm/時間、100μm/時間、250μm/時間、500μm/時間又はそれより大きい速度で大きくなり得る。堆積は、カソード30の直径が、例えば4〜30cmのオーダーとなるまで続けられてよい。カソード30上に堆積させた固体材料92中のシリコンは、その酸化物からの金属グレードシリコン従来の製造において炭素の不純物源によって導入されてしまう不純物を不含とすることができ、さらに、気相精製技術に必要なエネルギー消費なしで得ることができる。
【0029】
別の態様では、原料化合物からターゲット元素材料を電解採取するためのシステムは、操作時間当たり及び装填された電解質のバッチ当たり、より多くの堆積原子を運搬することによって高い生産性が得られるように構成されている。図3及び4を参照すると、例示的な一態様で、高カソード面積電解採取システム110が、原料化合物を溶解している液体電解質140と電気的に接触しているアノード120の周りに配置されている複数のカソード130を備えている。カソード130及びアノード120は共に、ゾーン115を画定している。外部回路165内の電源168は、アノード120からアノードリード125を通して電子を受容し、同時に各カソードリード135を通して各カソード130へ電子を運搬するようにに構成されている。各カソードリード135は、撹拌モータ88と共に、カソード30に設けられたリード35(図1)について記載したように構成されている。
【0030】
容器160、蓋部162、シール37及び外部回路165は、シリコン電解採取システム10(図1)においてその対応部品について上述した考慮に鑑みて選択される特性及び機能を有する。システム110は、追加的に又は別態様で、シリコン電解採取システム10の他の特徴を装備していてよい。
【0031】
アノード120、カソード130及び液体電解質140は、シリコン電解採取システム10におけるその対応部品20(図1)及び30に関し上で挙げた考慮に鑑みて、ターゲット元素材料の電解採取において適切であるように構成されている。アノード120は、SOM型アノードとして構成されていてもよいし、別の形式で構成されていてもよい。アノード120は、軸線122、及び電解質140と電気的に接触する表面123を有する。カソード130は、各軸線132、及び電解質140と接触する表面133を有する。表面133の全表面積は、初期に、つまり電解前で、アノード120の表面123の面積より大きい。例えば、電解質140と接触するカソード130の表面133の全表面積は、初期に、アノード120の表面123の表面積の2倍、3倍、4倍、5倍、10倍又はそれより大きくてよい。例示的には、カソード130は円筒形体を有し、数は8つである。
【0032】
変形態様では、アノード120を、カソード130の代わりに機能する単一の中空の円筒形状体(図示せず)の軸線に沿って設けることができる。この場合、円筒形状体の内側表面積は、アノード120の表面123より数倍大きい。撹拌装置は、円筒形状体をアノード120を中心に回転させ、電解質140を撹拌するように操作可能である。
【0033】
所与の数のカソードでは、カソード130は、例示的には、7回回転対称でアノードの周りに配置されており、それにより、カソードが、周りに等しい角度間隔で、全てアノード120から同じ間隔をおいて設けられている。撹拌モータ88は、図面に示されているように、カソード130が全て同じ方向89に回転するように構成されていてよい。別態様では、撹拌装置は、隣り合う位置にあるカソード130を反対の方向に回転するように操作することができる。
【0034】
システム110の操作では、撹拌モータ88は、全てのカソード130を同時に回転させるように操作される。撹拌が維持されている間、電源168が、アノード120での酸化及びカソード130での還元を同時に誘導することによって、電解質140中の原料化合物を電解により分解するように操作される。固体材料192、つまりターゲット元素材料を含む生成物は、各表面133上に同時に堆積し、各カソード130の一部となる。システム110の操作を続けていくと、より多くのターゲット元素材料が固体材料192内へと獲得され、それにより、生成物−電解質界面193が電解質140内へと前進する。
【0035】
システム110におけるカソードの合計の表面積が大きいことによって、アノード120の全電流容量が、そうでなければ単一のカソードを通ることになる望ましくない高いカソード電流密度なしで得られる。例えば、システム110では、カソード電流密度は、アノード電流密度の5%〜25%のオーダーであってよい。カソード電流密度がより小さいことによって、界面193の安定性が促進され、ひいては界面193における局所的な非均一性が増大する前に固体材料192のより厚い堆積物が得られる。また、より遅い堆積は、界面193において不純物偏析をより大きな程度で生じさせることを可能にする。したがって、大きな合計のカソード面積によって、ターゲット元素材料生成物を構成するより純粋な固体材料192のより遅く且つより整然とした成長が、システム全体にわたる大きな生産性をもって助成される。固体材料192は、エピタキシャル堆積物の形態であってよい。
【0036】
システム110によって固体相として生成する候補のターゲット元素材料は、例えば、シリコン、タンタル、ニオブ、モリブデン、タングステン、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ネオジム、プラセオジム、セリウム、ガドリニウム、ゲルマニウム及びベリリウムを含む。アノード120としてSOM−型アノードを組み込んだシステム110の構成は、酸化物化合物からターゲット元素材料を生成するために特に適している。
【0037】
例示的なプロセス手順では、高カソード面積システム110は、二酸化シリコンからシリコンを電解採取するように構成されている。電解質140は、約1000℃に維持された、フッ化物、二酸化シリコン及び酸化アルミニウムの混合物である。カソード130及びアノード120のそれぞれは、それぞれ、電解採取シリコンについての例示的なプロセス手順について上述したカソード30(図1)及びアノード20と同様に構成されている。モータ88は、全てのカソード130を同時に毎秒約10回転で回転するように操作される。外部回路165は、二酸化シリコンの分解を誘導し、それと同時にシリコンの堆積が各固体材料192中の全てのカソード130の表面133上に堆積するように操作される。
【0038】
変形態様で、図5を参照すると、高カソード面積電解採取システム110が、電解質140中で側面方向に外部から保護された(tiled laterally)いくつかの追加的なゾーン115を含む。システム110内の全てのゾーン115は、例示的には同一であり、それぞれ同一の外部回路と共に構成されている。ゾーン115は、ターゲット元素材料が全てのゾーン115における全てのカソード130上に堆積するように同時に操作可能である。マルチゾーン高カソード面積システムは、例えば、単一の容器160中に10、20又は30のゾーンを有していてよい。
【0039】
別の態様では、原料化合物から元素材料を電解採取するための装置が、原料化合物中に存在する又は電解質の他の構成成分中に元来からある不純物の実質的な排除を行いながら、ターゲット元素材料を生成するよう構成されている。図6及び7を参照すると、例示的な一態様で、不純物偏析電解採取システム210が、アノード220、生成カソード230及び予備カソード250を備えている。電極220、230及び250は、容器260中に収容された液体電解質240と電気的に接触しており、原料化合物を溶解させる。このシステム210によって生成させる候補のターゲット元素材料は、高カソード面積電解採取システム110(図4)について上で規定したものを含んでいてよい。
【0040】
電極220、230及び250は、各リード225、235及び255を通して容器260の外側に設けられたシステム210と接続されている。生成カソード230へのリード235及び予備カソード250へのリード255は、カソード30へのリード35(図1)について上述したのと同様であり、それぞれ撹拌モータ88を備えて構成されている。電解質240、生成カソード230、電源268及びアノード220が、生成回路265を形成する。生成回路265中の電源268は、電子を生成カソード230へ運搬し、電子をアノード220から受容するように構成されている。電解質240、予備カソード250、電源278及びアノード220は、予備回路275を形成する。予備回路275における電源278は、電子を予備カソード250に運搬し、電子をアノード220から受容するように構成されている。電源268及び278は、一定の制御された値のDC電圧を付与するように、又は一定の制御された値のDC電流を供給するように操作可能であってよい。
【0041】
容器260及び蓋部262は、容器60(図1)及び蓋部62について上述した考慮に鑑みて選択される特性及び機能を有する。システム210はさらに、シリコン電解採取システム10を参照して上述したのと同様に装備されていてよい。アノード220及び液体電解質240は、アノード20及び電解質40それぞれに関し上に挙げた考慮に鑑みて、ターゲット元素材料の電解採取において適性を有するよう構成されている。アノード220は、システム210の操作の際に電解によって起こる原料化合物の分解全体の一部である酸化反応を助成するよに構成されている。アノード220は、SOM−型アノードとして構成されていてよいし、又は別の形式で構成されていてもよい。アノード220は、電解質240と電気的に接触している表面223を有する。
【0042】
生成カソード230は、システム210の操作の際に電解によって起こる原料化合物の分解の要素である還元反応を助成し、比較的高い純度でターゲット元素材料の固体堆積物を蓄積するよう構成されている。したがって、電解前、生成カソード230は、固体表面233であって、ターゲット元素材料のその上での堆積を、例示的には電解質240中に存在する他の元素材料より優先的に導く固体表面233を有する。例えば、生成カソード230の組成は、ターゲット元素材料が、初期には、表面233において生成カソード230の50%、70%、90%又はそれを超える量を構成するようになっている。例示的には、カソード230は、約1〜3cmの直径及び30〜60cmのオーダーの長さを有するターゲット元素材料の円筒形状のロッドとして開始される。
【0043】
予備カソード250は、システム210の操作の際に電解によって起こる不純物含有の化合物の分解の一部である1つ以上の還元反応を助成し、固体堆積物を蓄積させ、それにより偏析させるよう構成されている。したがって、電解前、予備カソード250は、固体表面253であって、1つ以上の不純物元素材料のその上での堆積を、例示的にはターゲット元素材料より優先的に導く固体表面253を有する。例えば、予備カソード250の組成は、ターゲット元素材料が、初期には、その表面253において予備カソード250の50%又は70%以下を構成するようになっていてよい。
【0044】
予備カソード250は、高い濃度で、原料化合物中に含有する又は電解質240の他の構成成分によって導入された不純物元素材料の1つ以上を含む円筒形状のロッドであってよい。予備カソード250は、生成カソード230に類似の形状及び寸法を有していてよい。
【0045】
別態様では、予備カソード250は、より大きな速度での電解質240からの不純物捕捉を助成するよう構成されていてよい。例えば、予備カソード250上の表面253は、電解前、電解前の生成カソード230の表面233の数倍の面積に等しい面積を有し得る。電解質240と接触して大きな表面253を有することによって、予備カソード250における低い電流密度及びひいては薄い境界層が維持されながらも、許容可能な電解の速度が助成され得る。電解の際の予備カソード250に沿った電解質流れの顕著に垂直方向の構成成分を誘導する設計によって、電解質240の組成の均一性の改善を通じて、不純物の捕捉をさらに増大させることができる。
【0046】
図8を参照すると、不純物−偏析システム210における使用に適した、予備カソード250(図6)としての例示的な高捕捉予備カソード251は、長さ約30cmの円筒形状のスパイン(spine、脊椎様のロッド)254を有していてよい。前記スパイン254から延びる複数の羽根256a、256b及び256cは、全体として高表面積表面253を有する。羽根256a、256b及び256cの形状及びそれらのスパイン254の周面の周りでの分配は、スパイン254の長さに沿って異なっていてよく、例えばカソード251の方向89への回転時に羽根256a、256b及び256cによる電解質240の下方への流れを誘導するようになっていてよい。例えば、上部の羽根256aは、液体電解質240をスパインに向かって下方へ引き込むように輪郭形成されていてよい。中間の羽根256bは、スパイン254から実質的に放射状に延びていてよく、さらに液体電解質240を下方へと押し出すように構成されていてよい。下部の羽根256cは、液体電解質240を外側へ且つ下方へ押し出すように輪郭形成されていてよい。
【0047】
各羽根256bの遠位の端部257の軌跡は、例示的には、直径がほぼ等しい円筒であり、その直径は後述のターゲット元素材料生成物含有の生成カソード230の最終的な直径までになる。液体電解質240の粘性が約0.3ポイズのオーダーであるなら、羽根256a、256b及び256cは、約1〜2mmの厚み及び1〜2cmの幅を有していてよい。シリケート含有電解質における場合のように液体電解質240の粘性(図6)が3.0以上であるなら、羽根256a、256b及び256cは約3〜5mmの厚み及び3〜5cmの幅を有していてよい。例示的な高捕捉予備カソード251は、例えば焼流し鋳造又は粉体冶金技術によって製造することができる。
【0048】
システム210は、操作の際に電解質240とは接触していない生成カソード230又は予備カソード250を保持するよう操作可能であってよい。容器260は、例示的には、電解質240上の十分な上部空間が設けられているよう構成されており、それにより、システム210の操作時に、蓋部262を外すことなく、カソード230又は250の電解質240内への配置と、配置したカソード230又は250の部分的な又は完全な電解質240からの引戻しとを交番で行うことが可能となる。例えば、生成カソード230及び予備カソード250は、各リード235及び255をシール37を通して蓋部262に貫通させることによって、容器260内に独立して配置することができる。別の手法では、蓋部262は、容器260から電極230又は250を、蓋部262を全く妨害することなく除去できるよう構成されている。
【0049】
操作においては、システム210は、まず、予備カソード250上のターゲット元素材料よりも電気陰性の強い1つ以上の元素材料が電気堆積(電着)されるよう操作される。よって、生成物中で望ましくない電気陰性を有する不純物元素材料は、予備カソード250上に偏析され、電解質240から消費される。この消費後、電解質240は、還元可能な種を含有する不純物元素材料を、初期に電解質240中に存在していたものに対して例えば、20%、10%、5%、1%又は0.5%未満で含む。当該種を含有する不純物元素材料が、許容される程度に電解質240が消費されたら(電解質240から不純物元素材料が消費されたら)、システム210は、電解質240中に残存する原料化合物を電気分解し、生成カソード230上にターゲット元素材料を堆積するように操作される。よって、システム210は、電解質240中に初期に溶解していた原料化合物中の元素材料よりも高い純度でターゲット元素材料を生成する。
【0050】
図9は、例示的な電解採取システム210において、比較的高い純度でターゲット元素材料を含む生成物を生成カソード230上に堆積するための例示的なプロセス手順におけるステップを示す。図6及び7を続けて参照して、システム210の構成要素を上述のように組み立てる(ステップ301)。例示的には、電解質240は、当該プロセス手順の際に、堆積ステップ中、カソード230及び250の1つの又は両方の回転によって撹拌され、それにより、電解質240全体の組成の均一性が助成され、また電極230及び250を通る電流を決定する上での物質移動の効果の重要性も小さくなる。
【0051】
生成回路265が開いている場合には、予備回路275は、電子を予備カソード250へ提供して電子をアノード220から抽出するように操作され、それにより、電解質240中の1つ以上の化合物、例えば構成成分酸化物が電気分解される。化合物が含有している不純物元素材料が、予備カソード250上に堆積する(ステップ302)。同時に、電解質240からの種がアノード220で酸化される。図10を参照すると、電解質240中の、不純物を含有する種が予備カソード250で還元されると、固体材料282が、その上に表面253にわたって前進するカソード/電解質界面283を越えて得られ、その後、予備カソード250の一部として機能する。
【0052】
予備回路275内での堆積は、電解質240からターゲット元素材料生成物中の望ましくない不純物が十分に消費されるまで続く。十分な消費が得られるのは、電解質240中の構成成分酸化物材料の、例えば0.5%、1%、5%、10%、15%又は20%のオーダーが、予備カソード250上に堆積された時である。
【0053】
十分な不純物の消費があったところで、予備カソード250上のアクティブ電解堆積(アクティブ電着)を停止させる(ステップ303)。その後、電源278は、予備カソード250とアノード220との間でのサブ電解電圧(subelectrolysis voltage)が得られるよう操作することができ、それにより、固体材料282の正味の溶解が防止される。別態様では、予備回路275を開いたままにしておいてよい。
【0054】
生成回路265は、電子をアノード220から抽出し、電子を生成カソード230に供給するよう操作され、それにより、電解質240中の原料化合物が電気分解される。ターゲット元素材料が、生成カソード230上に堆積する(ステップ304)。図11を参照すると、固体材料292、つまりターゲット元素材料を含む生成物が、生成カソード230上に表面233にわたり、前進するカソード/電解質界面293を越えて得られ、その後、生成カソード230の一部として機能する。固体材料292は、ターゲット元素材料を所望の高い純度で含む。例示的には、ターゲット元素材料は、固体材料292の少なくとも99重量%、99.9重量%、99.99重量%、99.999重量%又は99.9999重量%を成す。ターゲット元素材料の堆積は、例えば、蓄積された固体材料292が十分な質量となるまで、ターゲット元素材料より電気陰性の小さい不純物が生成カソード230上に、許容できない速度で共堆積し始めるまで、又は電解質240が原料化合物を望ましくない低い濃度で含むまで、続けることができる。
【0055】
ターゲット元素材料の生成カソード230上への電気堆積は、例えば、生成回路265を開くことによって停止させる(ステップ305)。追加的なターゲット元素材料質量は、堆積された固体生成物292に追加されるべき場合には、化合物の追加的な増加を導入することによって、原料化合物を電解質240中へ補充する(ステップ306)。そして、例示的なプロセスを、ステップ302の最初から繰り返すことができる。初期には直径1〜3cmであった生成カソード230は、プロセス手順の最後までには、例えば、直径4〜30cmのオーダーまでに成長し得る。
【0056】
ステップ302の第2の繰り返しでは、第1の繰り返しで使用された予備カソード250を再使用することができる。別態様では、予備カソード250は、1回使用した後、ターゲット元素材料より優先的に不純物を取り込む能力がより大きい新鮮な表面253を有する新たな試料によって置き換えることができる。
【0057】
変形の態様では、ステップ302は、生成カソード230なしで電解質240から行われる。ステップ302の後、予備カソード250は、電解質240から引き抜かれ、ステップ304を開始する前に、生成カソード230が電解質240中に挿入される。そして、ステップ304を、電解質240から予備カソード250がない状態で実施する。
【0058】
ステップ302の際の予備回路275操作パラメータは、電解質240中の不純物元素材料及びターゲット元素材料の電気陰性度の類似性に依存し得る。電源278が、予備カソード250とアノード220との間にDC電圧を印加するよう操作される場合、印加される電圧の大きさは、理想的には、電気陰性の不純物の比較的急速な堆積を誘導するが、原料化合物の電解が得られないか又は極めて限定されるよう選択される。しかし、一般に、電気陰性の不純物の偏析は、電解質240中に含まれるターゲット元素材料のいくつかを犠牲にして、それを予備カソード250内に取り込むことによって起こる。電解質240が、ターゲット元素材料に対して同様な電気陰性を有する不純物を含有し、不純物及びターゲット金属の平衡電極/電解質電位の値Eeqの差が、例えば、0.10Vより小さい場合には、一定の電圧による堆積によって、予備カソード250上でのターゲット元素材料収率の分率を大きく減らすことなく、大きな速度で不純物を局所化させることは難しいであろう。
【0059】
それに代え、電源278が、一定のDC電流を予備回路275に提供し、経時的により小さな電気陰性を有する不純物が回路278を流れる電流に寄与するように予備カソード250とアノード220との間の電圧を変化させることが可能となるよう操作されてよい。回路278における電圧は、予備カソード250上でのターゲット元素材料の著しい損失が生じる前に予備回路278上の堆積を停止するために監視することができる(ステップ303)。
【0060】
ステップ304の際、電源268は、生成カソード230とアノード220との間に、ステップ302の際に予備カソード250とアノード220との間で電源278によって印加されたDC電圧と同一のDC電圧を印加することができる。別態様では、各ステップで必要とされる区別能力(discrimination capacities、ターゲット元素材料と不純物との区別能)が異なるので、ステップ304の際に、生成回路265において、ステップ302の際に予備回路275で用いたより大きな電圧を使用することができる。一般に、ステップ304でステップ302の2倍以上のより大きな電流密度を用いることで、不純物が許容される程度に偏析しながら、所望の生成物の堆積速度を提供することができる。いくつかの場合には、予備カソード250と電解質240との間の界面を横切る最適な電流密度は、生成カソード230と電解質240との間の界面を横切る電流密度の25%以下であってよい。
【0061】
ターゲット元素材料とより電気陰性の小さい不純物とのよりよい区別は、いくつかの場合では、一定の電流を提供する電源268を使用して影響を与えることができる。所与の元素材料では、平衡値に近い電極/電解質電位では、電圧に加えられる1%の変化が、電解速度の10%の変化をもたらし得る。したがって、電流を制御することによって、ターゲット元素材料に近い電気陰性を有する不純物の生成カソード230からの排除を得ることができる。
【0062】
例示的な一態様で、ターゲット元素材料はシリコンであり、システム210のアノード220、生成カソード230及び電解質240は、それぞれ、SOMアノード48(図1)、カソード30及び電解質40について上述したのと同様である。ステップ302の前には、シリコンは、例示的に、予備カソード250の50%以下をその表面233で成す。初期には、予備カソード250の表面253は、例示的には、鉄を少なくとも50%含む。予備回路275は、ステップ302の際に、予備カソード250と電解質240との間の界面を通して印加される電位Eが、シリコンをめっきするための平衡値Eeq(1.52V)より大きいが、電解質240中でシリコンより小さい最大の電気陰性を有する不純物をめっきするためのEeqより小さい、又は同等、又はそれよりあまり大きくならないよう操作することができる。シリコンの場合には、この不純物はチタンであってよく、印加される電位Eは、例示的には、チタンについてのEeq(1.60V)の値と等しくてよい。シリコンは、例示的には、固体材料282の1%、5%、10%又は20%以下より小さい量で、或いは固体材料282の50%、80%、90%以上で構成する。
【0063】
例示的には、ステップ302の際に、電解質240中の構成成分酸化物を1%より小さいオーダーで犠牲にした後、シリコンを、ステップ304の際に、生成カソード230上に99.9999%で堆積させることができる。生成回路265は例示的には、ステップ304の際に、生成物カソード250とアノード220との間の1.60Vに等しい電位Eに作用する電圧又は例えば1.75Vのオーダーのより高い電位を生じさせる電圧を供給するように、操作することができる。
【0064】
シリコンが堆積した生成カソード230上での、より電気陰性の小さい不純物の顕著なレベルでの存在は、約90%〜95%の酸化物の還元された時に電着を停止することによって、回避することができる。よって、図9に示したプロセス手順によって、電解質240中のシリコン酸化物原料の90%以上に相当するシリコンが、堆積された生成カソード230上で得ることができる。
【0065】
ホウ素の電気陰性はシリコンの電気陰性より小さいが、その値は近い。シリコンを、システム210において、ホウ素酸化物で汚染された二酸化シリコン原料から電解採取する場合、シリコンの最終用途で必要なら、ホウ素をステップ304の前に別個の手順で除去することができる。例えば、上で規定したように、電解質240がフッ化物ベースであるなら、システム210の操作温度で不活性気体を電解質240に通過させることにより、ホウ素を除去することができる。ホウ素は、ホウ素を除去するよう電解質240が処理された後には、生成カソード230上に堆積した固体材料292の0.01%又は0.001重量%より小さい量で構成していてよい。
【0066】
システム210におけるプロセス手順によって、予備カソード250上でのターゲット元素材料のより少ないの損失で、より低い操作温度でより良い不純物偏析を得ることができる。この要因は、シリコン電解採取システム10について述べた考慮に加えて、システム210の操作温度の選択に加えることができる。
【0067】
何らかの理論に束縛されることなく、ステップ302及び304についての操作パラメータ値の選択の情報の提供をする検討は、予備カソード250及び生成カソード230上での、ターゲット元素材料、シリコン及び各不純物の堆積によって与えられる各カソード電流を参照することによって理解され得る。ステップ302の際の元素材料の堆積に起因する予備回路275を流れる電流の組込みは、固体材料282中に蓄積し且つよって電解質240から除去された元素材料の量をもたらす。電解質240中に存在する全ての不純物の蓄積を回路275を流れる電流の関数として考慮することによって、予備カソード250上での十分な不純物の局所化が得られる点を決定することができる。この点において、生成回路265において、電解質240からターゲット元素材料を生成カソード230上で高純度で堆積させることができる。
【0068】
1つの元素材料のめっきが寄与するカソード電流は、当業者に知られたButler-Volmer等式
【0069】
を使用して分析的に記述することができる。この式は、電極−電解質界面を横切る平衡電位Eeqを有する電極反応による電流密度iの変動を記述している。この式中、電解質中の所与の種及びカソード上に堆積するそれに対応する元素材料について、Rは理想気体定数、Fはファラデー定数、i0はカチオンの交換電流密度、nはその原子価状態、αは対称性因子である。電極−電解質界面を横切って印加される温度T及び電位Eは、操作パラメータである。
【0070】
カソード堆積物の発生は、典型的な不純物Al2O3(0.156%)、CaO(0.070%)、Cr2O3(0.020%)、Cu2O(0.005%)、Fe2O3(0.079%)、MgO(0.006%)、Na2O(0.004%)、P2O5(0.042%)、TiO2(0.023%)、並びにそれぞれ0.010%である追加的な酸化物SnO2、NiO、K2O、ZnO、ZrO2及びB2O5を含むシリコン酸化物原料について、SiO2のトンの供給元によって提供される濃度関係を使用してシミュレーションした。要求される二酸化シリコン開始材料は、約99.6%の純度である。
【0071】
酸化物/元素材料の対それぞれについてのEeqは、1000℃での酸化物の生成自由エネルギーΔGから、ΔG=−nFEeqに基づいて計算される。Eeqの値を表1に列記する。
【0072】
【表1】
【0073】
前記の例示的なプロセス手順に従って、電解質が完全に混合され、各種についての交換電流密度i0が電解質中のモル分率に正比例し、元素材料がE>Eeqである場合にのみに堆積すると仮定した場合の堆積モデルを構築した。選択された操作温度T及び電位Eで、αについて0.5の値を使用して、シミュレーションされた電解質中の元素材料/酸化物の各対についてのButler-Volmer電流を、還元された全酸化物の分率に関しての可変ステップのオイラー前進アルゴリズム(variable-step forward-Euler algorithm)を使用して積分した。各積分ステップで、カソード上で得られる堆積物の組成が計算され、電解質の組成が再計算された。
【0074】
図12に、1000℃及びE=1.60Vにおいて還元された酸化物材料の分率の関数として計算された堆積物組成を示す。まずはリンが、続いてスズ、ニッケル、鉄、亜鉛、そしてシリコンより電気陰性の大きい最後の局所化されるべき不純物であるクロム又は銅がカソード上にめっきする。電気陰性のより大きい不純物のほとんどは、電解質中に存在する全ての酸化物物質の最初の0.6%の還元の際に析出する。ホウ素は、電気陰性の不純物の濃度が減少した後も、続けて堆積する。電気陰性のより小さい不純物であるチタン及びジルコニウムは、堆積物中に全く取り込まれない。
【0075】
これに対し、同じ温度でE=1.75Vでは、モデルによれば、シリコンは、図13に示すように数百倍より迅速に堆積物中に取り込まれることが分かる。比較的電気陰性の大きい不純物は、より遅く取り込まれる。例えば、銅は、全酸化物の約1%を超える量が還元された時点でも顕著に大きな速度で取り込まれる。ホウ素及びチタンは堆積する。堆積物中のチタンの濃度は経時的に増大する。
【0076】
図14及び15に、1100℃でE=1.60V及びE=1.75Vそれぞれで、還元された全酸化物の分率の関数として計算された堆積物の組成を示す。より高い温度での操作によって、構成成分元素材料間での差異はいくらかより小さくなる。E=1.60Vでは、電気陰性の不純物は、電解質中に存在する第1の全酸化物物質の最初の1%の還元が完了するまで、固体堆積物中に局所化されない。しかし、めっきは、1000℃でよりも急速に起こる。
【0077】
別の態様では、原料化合物からターゲット元素材料を電解採取するためのシステムは、最小限の多孔性又は電解質を取り入れることで、ターゲット元素材料の高密度堆積物を生成するよう構成されている。
【0078】
図16を参照すると、例示的な一態様で、高密度堆積物電解採取システム310は、アノード320と生成カソード330との間に介在された対向カソード370を備えている。電極320、330及び370は、容器360中に収容されている、原料化合物を溶解している液体電解質340と電気的接触している。
【0079】
電極320、330及び370は、各リード325、335及び374を介して容器360の外部のシステム310の構成要素に接続されている。電解質340、生成カソード330、DC電源368及びアノード320が、生成回路365を構成する。生成回路365内の電源368は、電子を生成カソード330に供給して電子をアノード320から受容するよう操作可能である。
【0080】
電解質340、生成カソード330、DC電源378及び対向カソード370は、溶解回路375を形成する。溶解回路375中のDC電源378は、電子を対向カソード370に供給して電子を生成カソード330から受容することと、溶解回路375をその逆に推進することとを交番して行うよう操作可能である。対向カソード370は、例示的には、生成回路365及び溶解回路375の各操作の際に、同様の対称の方向及び反対の方向の電界分布に作用するように、アノード320の近くに配置されている。
【0081】
リード335及び374のそれぞれは、カソード30へのリード35について上述したのと同様に、撹拌モータ88と共に構成されていてよい(図1)。容器360及び蓋部362は、容器60及び蓋部62について上述した考慮に鑑みて選択された特性及び機能を有する。或いは、システム310は、シリコン電解採取システム10を参照して上述したように装備されていてよい。アノード320、生成カソード330及び液体電解質340は、ターゲット元素材料を原料化合物から電解採取するために、アノード20(図1)、カソード30及び液体電解質40についてそれぞれ挙げた考慮に鑑みて構成されている。アノード320は例示的には、SOMアノード48について上述したように固体酸化物膜345内に収容されている。対向カソード370は、堆積させた材料を生成カソード320から電気溶解させる酸化反応をバランスする還元反応を助成するように構成されている。
【0082】
図17に、例示的な高密度堆積物電解採取システム310中の堆積−溶解サイクルを実施することによる、ターゲット元素材料の高密度堆積物を生成カソード330(図16)上に生成するための例示的なプロセス手順のステップを示す。続けて図16及び17を参照すると、システム310の構成要素を上述のように組み立てる(ステップ401)。例示的には、電解質340が、プロセス手順の間、プロセス時間インターバルの際に、生成カソード330及び対向カソード370の一方又は両方の回転によって撹拌される。
【0083】
溶解回路375が開いた状態で、生成回路365が、電子をアノード320から抽出して電子を生成カソード330に提供し、それにより原料化合物を電解するよう操作される。図18を参照すると、それにより、ターゲット元素材料は、生成カソード330上に表面333にわたり堆積する(ステップ402)。種を含有するターゲット元素材料は生成カソード330において還元され、固体材料392が、その上に得られ、その後、生成カソード330の一部として機能する。同時に、電解質340からの種は、アノード320において酸化され、容器360を離れる。変形態様では、ステップ402は、例えば対向カソード上への偶発的な堆積又は対向カソード370の運動を回避するように、対向カソード370が電解質340から除かれた状態で行うことができる。
【0084】
生成回路365における堆積は、堆積時間インターバルを通じて起こる。堆積時間インターバルの第1の部分の際に堆積した固体材料392は、均一なマイクロ構造及びターゲット元素材料の値の100%に近い密度を有していてよい。固体材料392は、生成カソード330上にエピタキシャル堆積物を構成していてよい。しかし、堆積時間インターバルの終わりに堆積した形態的に低品質の材料394は、界面の不安定さのため、多孔性、塩の取り込み、樹状突起又は他の望ましくない表面特徴を示し得る。低品質の材料394は、ターゲット元素材料生成物の一部として許容されるものではない。堆積時間インターバルの最後において、生成カソード330上へのアクティブ電気堆積を停止する(ステップ403)。その後、生成回路365を開いたままにし、アノード320を電気的に隔離する。
【0085】
生成回路365を開いた状態で、溶解回路375を、電子を生成カソード330から抽出して電子を対向カソード370に供給するよう操作する。低品質の材料394中の全てのターゲット元素材料を含む、堆積させたターゲット元素材料の一部は、生成カソード330から電気溶解する。同時に、図19を参照すると、ターゲット元素材料の原子は、対向カソード370上の材料372にカソード堆積する(ステップ404)。
【0086】
ステップ404の際、生成カソード330は、溶解回路378中のアノードとして機能する。対向カソード370は、それ以前にステップ402の際に生成カソード330上に堆積したターゲット元素材料原子の酸化を含む反応全体の一部である還元反応のためのサイトを提供する。ステップ402での生成カソード330上への堆積の際に、アノード320で形成された酸化反応生成物がシステム310を離れる。よって、生成回路365を逆に、堆積させた材料を生成カソード330から除去するように実施することは、その直後ではない。対向カソード370の存在によって、電源378による、低品質の材料394の溶解の外部の制御を可能にする。低品質の材料394の除去により、生成物の最終的な使用に適した、又は追加的な高品質の生成物がその上に堆積される界面が修復される。
【0087】
溶解回路375における溶解は、少なくとも低品質の材料394が生成カソード330から除去されるまで、溶解時間インターバルの間ずっと続けられる。例示的には、堆積時間インターバルは、溶解時間インターバルの2、10、100又は200倍のオーダーである。溶解時間インターバルの最後で、生成カソード330からの溶解を停止する(ステップ405)。溶解回路375はその後開いたままである。
【0088】
一般に、対向カソード370上の材料372は、ステップ404のさらなる繰り返しで、その効率を制限し得る粗い表面特徴373を有する。したがって、図20を参照すると、溶解回路375は、任意に、対向カソード370上の材料372からの原子を電気溶解し、それにより粗い表面特徴373が除去されることによって表面粗さを減少させるように、逆に操作することができる(ステップ405)。同時に、ターゲット元素材料を含む高密度材料の層395が、カソード堆積によって生成カソード330に固体材料392上にわたり追加され、ターゲット元素材料生成物に添加される。ステップ405はまた、著しい材料の蓄積及び生成カソード330でのターゲット元素材料全体のプロセス収率の減少から対向カソード370を保護する。
【0089】
ターゲット元素材料の追加的な質量が、生成物に、堆積させた固体材料392及び層395上にわたり追加される場合、プロセスを、ステップ402の最初から繰り返すことができる。低品質の材料394の周期的な除去によって、高密度堆積物電解採取システム310によって、生成カソード330上での高品質の生成物の顕著な蓄積が得られる。
【0090】
システム10(図1)、110(図4)、210(図6)及び310(図16)の2つ以上についての考慮又は観点は、より大きな生産性及び/又は生成物品質を得るために組み合わせることができる。続けて図6を参照すると、1つの手法では、不純物−偏析システム210は、複数の生成カソード230及び複数の予備カソード250(図8)と共に構成することができ、それにより、ターゲット元素材料を高純度で電解採取する際、システム110の高カソード面積の利点が達成される。このようなハイブリッドシステムにおける電解採取は、図9に示すように、いくつかのカソード上で同時に実施される。そのようなハイブリッドシステムにおける予備カソード250は、例示的には、図4に示されたアノード120の周りのカソード130の配置と同様に、アノード220の周りに配置される。生成カソード220は、例えば、ステップ302の際に予備カソード250によって占有される場所の各対の間の電解質中に設けることができる。予備回路275及び生成回路265は、同時に複数の予備カソード250及び生成カソード230のそれぞれを指定するように構成されている。
【0091】
同様に、高密度堆積物電解採取システム310(図16)は、複数の生成カソード330及び複数の対向カソード370を備えて構成されていてよく、それにより、図17に示されたプロセス手順によってターゲット元素材料を高密度で生成する、システム110の高カソード面積の利点が得られる。生成カソード330は例示的には、図4で示したアノード120の周りのカソード130の配置と同様に、アノード320の周りに配置される。図21を参照すると、対向カソード370は、ステップ405の際のアノード320の周りにリング状に配置されていてよい。対向カソード370の数は、生成カソード320の数に等しくてよい。
【0092】
さらに、システム10(図1)、110(図4)、210(図6)及び310(図16)の全ての特徴は、高密度で高純度の堆積物中の体積シリコンを生成するための電解採取システムにおいて組み合わせることができる。組み合わせられたシステムでは、電解質中の不純物が電気堆積によって偏析した後、高純度シリコンが、電気溶解による周期的な表面再生によって複数のカソード上に堆積する。
【0093】
このような組み合わせられたシステムは例示的には、各アノード48について、複数の予備カソード250、生成カソード230/330及び対向カソード370が装備されている。組合せシステムの操作は、不純物−偏析システム210について図9に示したように開始される。図6及び7を参照すると、シリコン生成物の最終使用と調和しない電気陰性の不純物が、まず、ステップ302と同様に複数の予備カソード250(図8)上に偏析する。
【0094】
ステップ304(図9)及びステップ402(図17)は、上述の不純物−偏析と高密度堆積物プロセス手順との間の橋渡しとして機能する。ステップ304でのように高純度シリコン生成物292(図10)を複数の生成カソード230上に堆積させることは、組合せプロセスにおいて、ステップ402において、高純度シリコン生成物392(図18)を複数の生成カソード330上に堆積させることを同等である。ステップ304/402の後、組み合わせられたプロセスを、図16〜20によって例示された手順で続ける。高純度シリコン生成物392上にわたる低品質の材料394は、ステップ404で述べたと同様の、同時に行われる複数の対向カソード370(図21)上へのシリコンの堆積と共に溶解される。ステップ402からステップ405の堆積−溶解サイクルは、生成カソード330上のシリコン生成物の質量が十分になるまで繰り返すことができる。原料二酸化シリコンは充填することができ(ステップ306、図9)、高純度、高密度、高体積のプロセスがステップ302の最初から繰り返される。
【0095】
特定の本発明の特徴がいくつかの態様に含まれおり、その他の態様には含まれていないが、個々の特徴は、本発明による他の任意の又は全ての特徴のと組合せ可能であってよいことに留意されたい。さらに、他の構成も、記載された特徴に適合可能である。例えば、高カソード面積システム110(図3)におけるn個のカソードゾーン115(図4)について、外部回路165は、同等にn個の電源として構成されていてもよいし、不純物−偏析システム210の回路265(図6)及び275は、別個の電源268及び278の代わりに単一の電源によって操作されるように構成されていてもよい。
【0096】
したがって、以上の記述は、元素材料、特に光起電装置に有用な高純度シリコンの高密度堆積物を原料化合物から電解採取するための極めて有利な手法を示していることが分かるであろう。ここで用いた用語及び表現は、説明の用語として使用されているのであって、制限のためではなく、また、そのような用語及び表現の使用において、示され、説明された特徴と同等の任意のもの又はその部分を排除する意図はない。様々な変更が本発明の範囲内で可能であることを認識されたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物から元素材料を電解採取する方法であって、
前記化合物が溶解している液体電解質を提供し、
前記電解質と電気的に接触する第1のカソードを提供し、
前記電解質と電気的に接触するアノード電解質を提供し、
電子を前記アノードから抽出して電子を前記第1のカソードに供給し、それにより、前記電解質からの不純物を含む固体材料を前記第1のカソード上へ堆積させ、それにより、前記不純物の前記電解質を消費させ、
前記電解質と電気的に接触する第2のカソードを提供し、
電子を前記アノードから抽出して電子を前記第2のカソードへ供給し、それにより、少なくとも99%が前記元素材料である固体生成物を、前記消費された電解質から前記第2のカソード上へ堆積させることを含む、方法。
【請求項2】
前記固体生成物を前記第2のカソード上へ堆積する際に、前記アノードと前記電解質との間に介在した膜が、アニオンを前記電解質から前記アノードへ運び、
さらに、電子を前記第2のカソードから抽出して電子を前記液体電解質と接触している対向カソードに提供する際に、前記アノードを電気的に隔離することを含み、それにより、前記堆積させた固体生成物の一部を前記第2のカソードから電気溶解し、前記元素材料を含む固体材料が対向カソード上にめっきすることを含む、方法。
【請求項3】
前記固体生成物が前記第2のカソード上へ堆積する前に、前記第1のカソード上への堆積を停止し、
物質が前記第1のカソードから溶解するか又は前記第1のカソード上に堆積するように、前記第1のカソードと前記アノードとの間で電位を加えることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記固体生成物を前記第2のカソード上に堆積させる前に、前記第1のカソードを前記電解質から取り除くことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記元素材料が、ニオブ、銅、タンタル、ネオジム及びプラセオジムのうちの1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記元素材料がシリコンである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
不純物を含む前記固体材料が、前記第1のカソード上に、所定の組成を有する表面にわたり堆積され、
前記固体生成物が、前記第2のカソード上に、所定の組成を有する表面にわたり堆積され、
前記第2のカソードの前記表面の前記組成が、前記第1のカソードの表面の前記組成と異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記元素材料が、不純物を含む前記固体材料が堆積される表面で、前記第1のカソードの50%未満を構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1及び第2のカソード上への各堆積の際に、前記アノードと前記電解質との間に介在する膜が、アニオンを前記電解質から前記アノードへと運ぶ、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記固体生成物を前記第2のカソード上に堆積させた後、
前記第2のカソード上への堆積を停止し、
前記電解質中の前記化合物の増分を溶解し、
不純物を含む固体材料の、前記第1のカソード上への堆積を再開することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
二酸化シリコンからシリコンを電解採取する方法であって、
少なくとも2つの金属フッ化物の液体電解質を提供し、当該金属フッ化物が、前記液体電解質、二酸化シリコン及びアルミニウム酸化物の少なくとも60重量%を構成し、
カソードを前記液体電解質中に配置し、
酸素アニオンを誘導可能な膜によって前記液体電解質から分離したアノードを提供し、
電子を前記アノードから抽出して電子を前記カソードへ供給し、それにより、固体材料を前記電解質から前記カソード上へ堆積させ、シリコンが前記固体材料の50重量%を超える量を成す、方法。
【請求項12】
二酸化シリコンが、前記液体電解質の5重量%〜15%を構成する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
アルミニウム酸化物が、前記液体電解質の10重量%を超える量を成す、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記カソードが予備カソードであり、前記固体材料が、シリコンより電気陰性の大きい不純物を含み、
前記予備カソード上への堆積を停止し、
生成カソードを前記液体電解質内に配置し、
電子を前記アノードから抽出して電子を前記生成カソードへ供給し、それにより、前記生成カソード上に前記固体生成物を形成し、シリコンが、前記固体生成物の少なくとも99.999重量%を成すことをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記液体電解質が構成成分酸化物を含み、前記固体材料の前記電解質からの前記予備カソード上への堆積において、前記構成成分酸化物の約1%までが電気分解される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記固体材料が、前記予備カソード上に50%以下のシリコンの組成を有する表面にわたり堆積され、前記固体生成物が、前記生成カソード上に、前記予備カソードの前記表面の前記組成とは異なる組成を有する表面にわたり堆積されている、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
不活性気体を前記電解質に通過させ、ホウ素化合物が、前記不活性気体により前記電解質を出て行き、ホウ素が、前記固体材料の0.001重量%未満を成すことをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記膜が、前記電解質から前記アノードへイオンを運び、
電子を前記カソードから抽出して電子を前記液体電解質と接触している対向カソードに供給する間、前記アノードを電気的に隔離し、それにより、前記堆積させた固体材料の一部を前記カソードから電気溶解し、シリコンを前記対向カソード上にめっきすることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
化合物から元素材料を電解採取する方法であって、
前記化合物が溶解している液体電解質を提供し、
前記液体電解質と接触するカソードを提供し、
イオンを前記電解質から誘導する膜によって前記液体電解質から隔離されているアノードを提供し、
堆積−溶解サイクルを実施することを含み、当該堆積−溶解サイクルが、
第1のインターバルの際に、電子を前記アノードから抽出して電子を前記カソードへ供給し、それにより、固体生成物を堆積させ、前記元素材料が、前記カソード上に堆積させた前記固体生成物の少なくとも99%を構成し、
第2のインターバルの際、電子を前記カソードから抽出して電子を前記液体電解質と接触している対向カソードへ供給する際に、前記アノードを電気的に隔離しており、それにより、前記堆積させた固体生成物の一部を前記カソードから電気溶解し、前記元素材料を前記対向カソード上に含む固体材料をめっきすることを含む、方法。
【請求項20】
前記第2のインターバルの際に、樹状突起が、前記カソード上に堆積させた前記固体生成物から除去される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記対向カソードが、前記カソードと前記膜との間に介在している、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
追加的な堆積−溶解サイクルを実施することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記追加的な堆積−溶解サイクルを実施する前に、前記対向カソードを、前記液体電解質との接触から取り除くことをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記堆積−溶解サイクルが、前記第2のインターバル後、前記カソードと前記対向カソードとの間に印加された前記電位差の前記極性を逆にし、それにより、めっきされた固体材料を前記対向カソードから電気溶解することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記第1のインターバルの長さが、前記第2のインターバルの長さの2〜200倍である、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
化合物から元素材料を電解採取する方法であって、
前記化合物が溶解している液体電解質を提供し、
軸線及び電解質と電気的に接触している表面を有するアノードを提供し、
複数のカソードを前記アノードの周りに、等しい角度間隔で且つそれぞれ前記アノードから等しい距離で配置し、この場合、
前記カソードが、各軸線及び電解質と電気的に接触している各表面を有し、
前記カソードの前記表面の前記各面積の合計が、前記アノードの前記表面の前記面積の少なくとも4倍であり、
前記アノード及びカソードがゾーンを画定しており、
前記液体電解質を前記各カソードの周りで同時に撹拌し、同時に電子を前記アノードから抽出して電子を前記カソードに提供し、それにより、前記元素材料を含む固体材料を各カソードの前記表面上に堆積させることを含む、方法。
【請求項27】
前記液体電解質を撹拌することが、前記カソードを、その各軸線の周りで回転させることによって達成される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記カソードが、それらの各軸線の周りを同時に毎秒1〜20回転する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記液体電解質を撹拌することが、前記カソードの周りで不活性気体を発泡させることによって達成される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記アノードと前記カソードとの間に複数の対向カソードを堆積し、前記対向カソードが、前記アノードの周りに等しい角度間隔で且つ前記アノードからのそれぞれ等しい距離で配置されており、
前記固体材料を前記カソード上に堆積させた後、電子を前記カソードから抽出して電子を前記対向カソードに供給する際に、前記アノードを電気的に隔離し、それにより、堆積させた物質を前記カソードから電気溶解させることをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記液体電解質を撹拌することが、前記アノードの前記軸線に平行なDC磁界によって達成される、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記元素材料が、第2のカソード上に堆積させた前記固体生成物の少なくとも99.99%を構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記電解質が、導電性の容器内に収容されており、前記第2のカソード上への堆積の際に、前記アノードと前記容器との間に電位を付与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記金属フッ化物が、フッ化アルカリ土類金属である、請求項11に記載の方法。
【請求項35】
前記電解質が、前記液体電解質及び二酸化シリコンの少なくとも60重量%を構成する少なくとも2つの金属ハロゲン化物を含み、前記アノードが、前記電解質から、酸素アニオンを誘導することができる膜によって隔離されている、請求項6に記載の方法。
【請求項36】
電子を前記アノードから抽出して電子を前記第1のカソードに提供することが、外部回路内において前記アノード及び前記第1のカソードを接続するDC定電流源によって達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
電子を前記第1のカソードに供給すると共に電子を前記アノードから抽出することが、外部回路における前記アノード及び前記第1のカソードを接続するDC定電圧源によって達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
前記電解質に溶解している前記化合物の少なくとも約90%が、固体生成物を前記生成物カソード上に堆積させる際に電気分解される、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記第1のカソードでの、その上での堆積の際の第1の電流密度が、前記第2のカソードでの、その上での堆積の際の第2の電流密度の25%以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
前記第1のカソードが、スパイン及び当該スパインから前記液体電解質内へ延びる羽根を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
前記固体生成物がエピタキシャル堆積物を形成する、請求項32に記載の方法。
【請求項1】
化合物から元素材料を電解採取する方法であって、
前記化合物が溶解している液体電解質を提供し、
前記電解質と電気的に接触する第1のカソードを提供し、
前記電解質と電気的に接触するアノード電解質を提供し、
電子を前記アノードから抽出して電子を前記第1のカソードに供給し、それにより、前記電解質からの不純物を含む固体材料を前記第1のカソード上へ堆積させ、それにより、前記不純物の前記電解質を消費させ、
前記電解質と電気的に接触する第2のカソードを提供し、
電子を前記アノードから抽出して電子を前記第2のカソードへ供給し、それにより、少なくとも99%が前記元素材料である固体生成物を、前記消費された電解質から前記第2のカソード上へ堆積させることを含む、方法。
【請求項2】
前記固体生成物を前記第2のカソード上へ堆積する際に、前記アノードと前記電解質との間に介在した膜が、アニオンを前記電解質から前記アノードへ運び、
さらに、電子を前記第2のカソードから抽出して電子を前記液体電解質と接触している対向カソードに提供する際に、前記アノードを電気的に隔離することを含み、それにより、前記堆積させた固体生成物の一部を前記第2のカソードから電気溶解し、前記元素材料を含む固体材料が対向カソード上にめっきすることを含む、方法。
【請求項3】
前記固体生成物が前記第2のカソード上へ堆積する前に、前記第1のカソード上への堆積を停止し、
物質が前記第1のカソードから溶解するか又は前記第1のカソード上に堆積するように、前記第1のカソードと前記アノードとの間で電位を加えることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記固体生成物を前記第2のカソード上に堆積させる前に、前記第1のカソードを前記電解質から取り除くことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記元素材料が、ニオブ、銅、タンタル、ネオジム及びプラセオジムのうちの1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記元素材料がシリコンである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
不純物を含む前記固体材料が、前記第1のカソード上に、所定の組成を有する表面にわたり堆積され、
前記固体生成物が、前記第2のカソード上に、所定の組成を有する表面にわたり堆積され、
前記第2のカソードの前記表面の前記組成が、前記第1のカソードの表面の前記組成と異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記元素材料が、不純物を含む前記固体材料が堆積される表面で、前記第1のカソードの50%未満を構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1及び第2のカソード上への各堆積の際に、前記アノードと前記電解質との間に介在する膜が、アニオンを前記電解質から前記アノードへと運ぶ、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記固体生成物を前記第2のカソード上に堆積させた後、
前記第2のカソード上への堆積を停止し、
前記電解質中の前記化合物の増分を溶解し、
不純物を含む固体材料の、前記第1のカソード上への堆積を再開することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
二酸化シリコンからシリコンを電解採取する方法であって、
少なくとも2つの金属フッ化物の液体電解質を提供し、当該金属フッ化物が、前記液体電解質、二酸化シリコン及びアルミニウム酸化物の少なくとも60重量%を構成し、
カソードを前記液体電解質中に配置し、
酸素アニオンを誘導可能な膜によって前記液体電解質から分離したアノードを提供し、
電子を前記アノードから抽出して電子を前記カソードへ供給し、それにより、固体材料を前記電解質から前記カソード上へ堆積させ、シリコンが前記固体材料の50重量%を超える量を成す、方法。
【請求項12】
二酸化シリコンが、前記液体電解質の5重量%〜15%を構成する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
アルミニウム酸化物が、前記液体電解質の10重量%を超える量を成す、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記カソードが予備カソードであり、前記固体材料が、シリコンより電気陰性の大きい不純物を含み、
前記予備カソード上への堆積を停止し、
生成カソードを前記液体電解質内に配置し、
電子を前記アノードから抽出して電子を前記生成カソードへ供給し、それにより、前記生成カソード上に前記固体生成物を形成し、シリコンが、前記固体生成物の少なくとも99.999重量%を成すことをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記液体電解質が構成成分酸化物を含み、前記固体材料の前記電解質からの前記予備カソード上への堆積において、前記構成成分酸化物の約1%までが電気分解される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記固体材料が、前記予備カソード上に50%以下のシリコンの組成を有する表面にわたり堆積され、前記固体生成物が、前記生成カソード上に、前記予備カソードの前記表面の前記組成とは異なる組成を有する表面にわたり堆積されている、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
不活性気体を前記電解質に通過させ、ホウ素化合物が、前記不活性気体により前記電解質を出て行き、ホウ素が、前記固体材料の0.001重量%未満を成すことをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記膜が、前記電解質から前記アノードへイオンを運び、
電子を前記カソードから抽出して電子を前記液体電解質と接触している対向カソードに供給する間、前記アノードを電気的に隔離し、それにより、前記堆積させた固体材料の一部を前記カソードから電気溶解し、シリコンを前記対向カソード上にめっきすることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
化合物から元素材料を電解採取する方法であって、
前記化合物が溶解している液体電解質を提供し、
前記液体電解質と接触するカソードを提供し、
イオンを前記電解質から誘導する膜によって前記液体電解質から隔離されているアノードを提供し、
堆積−溶解サイクルを実施することを含み、当該堆積−溶解サイクルが、
第1のインターバルの際に、電子を前記アノードから抽出して電子を前記カソードへ供給し、それにより、固体生成物を堆積させ、前記元素材料が、前記カソード上に堆積させた前記固体生成物の少なくとも99%を構成し、
第2のインターバルの際、電子を前記カソードから抽出して電子を前記液体電解質と接触している対向カソードへ供給する際に、前記アノードを電気的に隔離しており、それにより、前記堆積させた固体生成物の一部を前記カソードから電気溶解し、前記元素材料を前記対向カソード上に含む固体材料をめっきすることを含む、方法。
【請求項20】
前記第2のインターバルの際に、樹状突起が、前記カソード上に堆積させた前記固体生成物から除去される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記対向カソードが、前記カソードと前記膜との間に介在している、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
追加的な堆積−溶解サイクルを実施することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記追加的な堆積−溶解サイクルを実施する前に、前記対向カソードを、前記液体電解質との接触から取り除くことをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記堆積−溶解サイクルが、前記第2のインターバル後、前記カソードと前記対向カソードとの間に印加された前記電位差の前記極性を逆にし、それにより、めっきされた固体材料を前記対向カソードから電気溶解することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記第1のインターバルの長さが、前記第2のインターバルの長さの2〜200倍である、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
化合物から元素材料を電解採取する方法であって、
前記化合物が溶解している液体電解質を提供し、
軸線及び電解質と電気的に接触している表面を有するアノードを提供し、
複数のカソードを前記アノードの周りに、等しい角度間隔で且つそれぞれ前記アノードから等しい距離で配置し、この場合、
前記カソードが、各軸線及び電解質と電気的に接触している各表面を有し、
前記カソードの前記表面の前記各面積の合計が、前記アノードの前記表面の前記面積の少なくとも4倍であり、
前記アノード及びカソードがゾーンを画定しており、
前記液体電解質を前記各カソードの周りで同時に撹拌し、同時に電子を前記アノードから抽出して電子を前記カソードに提供し、それにより、前記元素材料を含む固体材料を各カソードの前記表面上に堆積させることを含む、方法。
【請求項27】
前記液体電解質を撹拌することが、前記カソードを、その各軸線の周りで回転させることによって達成される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記カソードが、それらの各軸線の周りを同時に毎秒1〜20回転する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記液体電解質を撹拌することが、前記カソードの周りで不活性気体を発泡させることによって達成される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記アノードと前記カソードとの間に複数の対向カソードを堆積し、前記対向カソードが、前記アノードの周りに等しい角度間隔で且つ前記アノードからのそれぞれ等しい距離で配置されており、
前記固体材料を前記カソード上に堆積させた後、電子を前記カソードから抽出して電子を前記対向カソードに供給する際に、前記アノードを電気的に隔離し、それにより、堆積させた物質を前記カソードから電気溶解させることをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記液体電解質を撹拌することが、前記アノードの前記軸線に平行なDC磁界によって達成される、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記元素材料が、第2のカソード上に堆積させた前記固体生成物の少なくとも99.99%を構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記電解質が、導電性の容器内に収容されており、前記第2のカソード上への堆積の際に、前記アノードと前記容器との間に電位を付与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記金属フッ化物が、フッ化アルカリ土類金属である、請求項11に記載の方法。
【請求項35】
前記電解質が、前記液体電解質及び二酸化シリコンの少なくとも60重量%を構成する少なくとも2つの金属ハロゲン化物を含み、前記アノードが、前記電解質から、酸素アニオンを誘導することができる膜によって隔離されている、請求項6に記載の方法。
【請求項36】
電子を前記アノードから抽出して電子を前記第1のカソードに提供することが、外部回路内において前記アノード及び前記第1のカソードを接続するDC定電流源によって達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
電子を前記第1のカソードに供給すると共に電子を前記アノードから抽出することが、外部回路における前記アノード及び前記第1のカソードを接続するDC定電圧源によって達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
前記電解質に溶解している前記化合物の少なくとも約90%が、固体生成物を前記生成物カソード上に堆積させる際に電気分解される、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記第1のカソードでの、その上での堆積の際の第1の電流密度が、前記第2のカソードでの、その上での堆積の際の第2の電流密度の25%以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
前記第1のカソードが、スパイン及び当該スパインから前記液体電解質内へ延びる羽根を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
前記固体生成物がエピタキシャル堆積物を形成する、請求項32に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2012−525502(P2012−525502A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508481(P2012−508481)
【出願日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/001263
【国際公開番号】WO2010/126597
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(511264180)メタル オキシジェン セパレーション テクノロジーズ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/001263
【国際公開番号】WO2010/126597
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(511264180)メタル オキシジェン セパレーション テクノロジーズ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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