説明

充分な抗菌性を有し、かつ保湿性に優れた化粧料

【課題】従来から化粧料において汎用されている抗菌剤を用いることなく充分な抗菌性を有し、かつ保湿性に優れ、皮膚に対する刺激が低く安全な化粧料を提供すること。
【解決手段】1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、及び1,2−オクタンジオールから選ばれる1種以上と、1,3−ブタンジオール及び/又は1,3−プロパンジオールを含有することを特徴とする抗菌性と保湿性が改良された化粧料、さらに保湿性を向上させるためにヘキソースおよびまたは酸性糖やアミノ糖の内、少なくとも1種類を構成単糖とし、フコースおよび/又はラムノースを側鎖に含む多糖類を併用する化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広範囲の微生物に対して抗菌性を有するとともに皮膚の保湿性能を向上させる保湿性抗菌組成物を用いた化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乳液、クリーム、化粧水、パック、シャンプー、リンス、洗浄剤等の化粧品や医薬部外品は、食品と同様に微生物汚染により、変敗、変色、異臭などが起こる可能性があり、微生物汚染を防止する目的で防腐殺菌剤が配合される。このような防腐殺菌剤としては、パラベン(パラオキシ安息香酸エステルの総称)やグルコン酸クロルヘキシジン、2−フェノキシエタノール等が広く使用されており、抗菌効果に優れ、製剤化もしやすいことから広く化粧料において使用されている。しかし、これらの防腐殺菌剤は、優れた抗菌性を有している反面、皮膚・粘膜等に対する刺激があり、まれには障害を引き起こすなどの副作用を発現するものが少なくなく、商品の安全性を重視する消費者の購買指向と相まって、これら従来の防腐殺菌剤の使用を必要最低限に抑えることができる抗菌性及び安全性に優れた代替組成物の開発が強く望まれていた。
【0003】
このような要望に対し、従来の防腐殺菌剤を排除或いは使用量を軽減することができ、しかも優れた鋼筋力を有する防腐殺菌剤として、炭素数4〜10の1,2−アルカンジオールからなることを特徴とする防腐殺菌剤(特許文献1を参照)が提案されており、更にその1,2−アルカンジオールとグリセリン脂肪酸モノエステル誘導体とを共に使用することにより、1,2−アルカンジオールが本来有する抗菌活性を増強することができる防腐殺菌剤(特許文献2を参照)も開示されている。一方、多価アルコール及び多価アルコールのアルキルエーテルより選ばれる1種又は2種以上と、銀杏内種皮の抽出物又は粉砕物を併用することを特徴とする、皮膚に対する刺激性や使用時の不快感が少ない抗菌性低刺激化粧料(特許文献3を参照)も開示されている。
【0004】
一方、上記の化粧品や医薬部外品を使用する皮膚は、皮膚組織内の適切な脂質と水分のバランスを保ち健全な皮膚組織構造を維持することによって、外部の刺激より生体を防御している。皮膚が乾燥し、このバランスが崩れると、皮膚は僅かな外部刺激にも反応しやすい敏感肌になると言われている。そのため、皮膚の保湿性を維持して皮膚の乾燥を防ぐことは、健全な皮膚の状態を維持するために極めて重要である。このような観点から、上記の化粧品や医薬部外品に配合される防腐殺菌剤には、皮膚への刺激性が小さいことに加えて、さらに保湿性能を有することが求められている。
【0005】
化粧料に用いられる保湿剤としては、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール及びジプロピレングリコール等の多価アルコール類が知られており、これらの多価アルコールと上記の防腐殺菌剤に用いられる1,2−アルカンジオール等を組み合わせることによって、皮膚への刺激性が小さく、且つ保湿性能を有する抗菌組成物が得られることが期待されるが、十分な抗菌性と保湿性を同時に得ようとすると配合濃度が高くなることにより皮膚刺激性が高くなり、また、抗菌性を重視する組合せでは、肌に対する十分な保湿性が確保できず、また、肌に対しての保湿性を重視した組合せでは、肌に対する刺激性が大きくなる、あるいは十分な抗菌性が得られないなど、抗菌性と保湿性の両方を満足させる組合せが得られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−322591号公報
【特許文献2】特開2005−15467号公報
【特許文献3】特開平10−194950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記背景技術に鑑み開発されたものであり、皮膚への刺激性が小さく、且つ保湿性能を有する新規な抗菌組成物(保湿性抗菌組成物)を見出し、該保湿性抗菌組成物を用いることにより、従来から化粧料において汎用されている防菌防黴剤を用いなくとも充分な抗菌防腐効果を有し、皮膚に対する刺激が低く且つ保湿力を向上させる化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、皮膚への刺激性が小さく、且つ保湿性能を有する新規な保湿性抗菌組成物について、鋭意研究を重ねた結果、保湿剤として知られている多価アルコールの中でも特に1,3−ブタンジオール及び/又は1,3−プロパンジオールを1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、及び1,2−オクタンジオールから選ばれる1種以上と組み合わせると、抗菌性においても、保湿性においても顕著な相乗効果が得られ、この組合せが抗菌性と保湿性の両方を満足させる組合せであることを見出し、また、この組合せを含有する化粧料は、パラベン類などこれまで汎用されていた防腐剤を使用しなくとも充分な抗菌防腐効果を有し、皮膚に対する刺激が低く且つ保湿力を向上させることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち請求項1にかかる発明は、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、及び1,2−オクタンジオールから選ばれる1種以上と、1,3−ブタンジオール及び/又は1,3−プロパンジオールを含有することを特徴とする抗菌性と保湿性が改良された化粧料である。
【0010】
一般に、1,2−アルカンジオールの抗菌活性は、1,2−アルカンジオールが微生物の細胞壁に付着し細胞壁表面の疎水−親水バランスを崩すことにより、その微生物機能を阻害することによると推測される。本発明者は、炭素数5から8の1,2−アルカンジオールで該阻害効果が高く、特に1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、及び1,2−オクタンジオールが好ましいことを見出した。
【0011】
本発明の化粧料に用いる、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール等は抗菌作用以外に保湿剤として用いられることも知られている。一方、同時に用いる1,3−ブタンジオール及び/又は1,3−プロパンジオールは、これら単独の抗菌作用および保湿作用は弱いものの、これらと1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、及び1,2−オクタンジオールから選ばれる1種以上を組み合わせた本発明の化粧料では、抗菌性および保湿性において他の組合せでは得られない強い相乗効果を示す。
【0012】
本発明において、化粧料とは、化粧品、医薬部外品、外用医薬品であり、製剤形態としては、乳液、クリーム、化粧水、パック、分散液、洗浄料、軟膏剤、クリーム剤、外用液剤等の皮膚外用剤や、シャンプー、ヘアトリートメント、ヘアコンディショナー、ヘアダイ、ヘアパック、ヘアクリーム、ヘアミスト、ヘアローション、ヘアフォーム、ヘアジェル、ヘアスプレー、ヘアワックス、ヘアポマード、育毛剤や養毛剤、マスカラ等の毛髪用外用剤のことを示す。
【0013】
本発明の化粧料において、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、及び1,2−オクタンジオールから選ばれる1種以上と、1,3−ブタンジオール及び/又は1,3−プロパンジオールとの強い相乗効果によって微生物の成育を阻害するとともに、その保湿作用により、皮膚に潤いを与え、皮膚バリア機能を強化し、外部からの刺激に対して抵抗力を高める作用を発揮するため、これらを配合した化粧料では、パラベン類などの従来の防腐剤に見られる一過性の刺激感の発現が極めて少ない。
【0014】
本発明の化粧料に於ける、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、及び1,2−オクタンジオールから選ばれる1種以上の好ましい含有量は、剤形により異なるが、通常は化粧料の全量に対して0.01〜10重量%であり、好ましくは、0.1〜5重量%であり、更に好ましくは0.3〜3重量%である。その含有量が0.01重量%より少ないと抗菌作用や、皮膚の保湿・保護作用を発揮しない場合があり、また、10重量%より多いと、化粧料の乳化構造やゲル構造を壊すなどの製剤安定性上好ましくない作用を発現させる場合がある。一方、1,3−ブタンジオール及び/又は1,3−プロパンジオールの好ましい含有量は、剤形により異なるが、通常は化粧料の全量に対して1〜20重量%であり、好ましくは1.5〜10重量%である。その含有量が1重量%より少ないと1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、及び1,2−オクタンジオールから選ばれる1種以上との相乗効果を発揮しない場合があり、20重量%より多いと化粧料の乳化安定性を損なう場合がある。
【0015】
請求項2にかかる発明は、ヘキソース及び酸性糖を構成単糖とし、フコース及び/又はラムノースを側鎖に含む多糖類を一種以上配合することを特徴とする、請求項1記載の化粧料である。
【0016】
一般的に、多糖類はその構造に水酸基を多く有しており、水素結合により水分子を固定することで優れた保水性能を有することは良く知られているが、そのように固定された水は結合水と呼ばれ、多糖類構造中に水を抱き込むため、例えば多糖類を配合した皮膚用化粧料から皮膚への水分補給は緩慢であり速やかに十分な保湿性が得られないという欠点がある。
【0017】
これに対し、本発明で用いる多糖類は、主鎖が親水性の強いへキソース、酸性糖で構成され、側鎖が疎水基を有するデオキシ糖であるフコース及び/又はラムノースを構成単糖として有するため、このような構造の多糖類は、各糖鎖においてデオキシ糖部位が絡みあい主鎖同士が反発する方向に伸びることで、水中においてデオキシ糖部分で交差した網目構造をとり、その網目構造の中に水を取り込むことによって、水を吸ったスポンジ状態となる。この網目構造に入った水は自由水であり、出入りが容易であるため、本発明で用いる多糖類は、皮膚に迅速かつ容易に潤いを与える自由水と、徐々に潤いを与える結合水と2つの形態の水を保持することが出来る。この特異な性質により、この多糖類を配合した化粧料は皮膚塗布時にすばやく潤いを与え、その状態を維持することが出来る。従って、該多糖類を含有することによって、化粧料の保湿性が更に向上する。
【0018】
本発明の多糖類の化粧料への配合量は0.01〜2重量%であり、好ましくは0.045〜0.1重量%である。0.01重量%より少ないと十分な網目構造を形成しないため、保湿性相乗効果を発揮しない場合があり、また、2重量%より多いと増粘し、塗布時の感触が重くなって、化粧品としての使用感が悪くなる。
【0019】
請求項3にかかる発明は、本発明で用いる多糖類が、少なくとも下記の一般式(化1)で表される多糖を含むことを特徴とする請求項2記載の化粧料である。
【0020】
請求項3にかかる発明に用いる多糖類の主鎖の構成単糖には、デオキシ糖であるラムノースがあり、網目構造の中の水に対する水素結合力を弱めることで自由水の割合が多くなるため、本発明の課題である皮膚の保湿性向上の達成が容易になる。
【化1】


上記式(化1)の多糖類は、アルカシーラン〔商品名、INCIname:Alcaligenes Polysacchaides、伯東(株)製〕として市販されている。
【0021】
本発明の化粧料の形態は特に限定されるものではなく、水溶液状、乳化溶液状、ペースト状、ゲル状、固体状、粉末状等、任意の形態で配合することができる。
【0022】
本発明の化粧料の調製は、特に限定されるものではなく、一般の化粧料と同様な方法で調製することができる。具体的に被乳化成分の油性剤、乳化剤としても作用する多糖類、水を主成分とする乳液の調製を例に説明する。
乳化剤としても作用する多糖類〔例えば「アルカシーラン」(伯東(株)製)〕を室温下、ディスパーザを用いて水に分散させ、これにグリセリン、1,3−プロパンジオール及び1,2−ヘキサンジオール等を混合し、均一な水分散液を調製する。一方、乳液の被乳化成分の油性剤、例えば、スクワラン、オリーブオイル、油溶性天然ビタミン、ステアリルアルコール等の高級アルコールを加温、撹拌して均一な被乳化成分を調製する。水分散液を所定温度に加温し、ホモジナイザー(あるいはホモミキサー)で8000rpmに攪拌しながら、被乳化成分を徐々に添加して乳化を行う。更に撹拌して乳化を熟成させた後、撹拌冷却し、本発明の乳液を得る。また、水相成分だけからなるローション(化粧水)は、水相に1,3−ブタンジオール及び1,2−ペンタンオール等を添加した後、70度以上に加温して均一溶液を作成し、冷却後に熱分解性成分等を添加し混合撹拌することにより得られる。
【0023】
本発明の化粧料に本発明の効果を損なわない範囲内で、薬品類、医薬部外品類、化粧品類などの製剤に使用される有用成分、例えば紫外線防止剤、美白剤、皮膚(細胞)賦活化剤、収れん剤、抗炎症(消炎)剤、酸化防止剤、保湿剤等を適宜、組み合わせて配合することができる。
【0024】
紫外線防止剤としては、有機化合物系の紫外線吸収剤と無機化合物系の紫外線散乱剤がある。
紫外線吸収剤には、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、ケイ皮酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等があげられる。紫外線吸収剤のパラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤には、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラアミノ安息香酸エチルジヒドロプロピル、パラジメチルパラアミノ安息香酸アミル、パラメチルパラアミノ安息香酸オクチル、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸イソブチル等があり、ケイ皮酸系紫外線吸収剤としては、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、ジイソプロピルケイ皮酸エステル、メトキシケイ皮酸オクチル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ2−エチルへキサン酸グリセリル等があり、サリチル酸系紫外線吸収剤としては、サリチル酸ホモメチル、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル、サリチル酸トリエタノールアミン、サリチル酸アミル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸p−tertブチルフェニル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸等があり、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、オキシベンゾン、オキシベンゾンスルホン酸、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシクロロベンゾフェノン、ジオキシベンゾン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’メチルベンゾフェノン、オクタベンゾン等があり、その他にもウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、4−tert−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、アントラニル酸等があげられる。
紫外線吸収剤の含有量は、紫外線吸収剤の種類により異なり、一律に決められないが、化粧料の全量に対して、通常0.1〜10重量%である。
紫外線散乱剤として用いられる無機化合物には、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄等があげられる。紫外線散乱剤の含有量は、紫外線散乱剤の種類により異なり、一律に決められないが、化粧料の全量に対して、通常1〜30重量%である。
【0025】
美白剤としては、チロシナーゼ阻害薬、エンドセリン拮抗薬、α−MSH阻害薬、グラブリジン、グラブレン、リクイリチン、イソリクイリチン、エラグ酸とその誘導体及びそれ等の塩、コウジ酸とその誘導体及びそれ等の塩、アルブチン等のハイドロキノンとその誘導体及びそれ等の塩、システインとその誘導体及びそれ等の塩、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、ステアリン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸リン酸マグネシウム等のビタミンC類及びそれ等の誘導体及びそれ等の塩、グルタチオンとその誘導体及びそれ等の塩、レゾルシンとその誘導体及びそれ等の塩、ネオアガロビオース、アガロースオリゴサッカライド、アスパラガス抽出物、アルテア抽出物、イブキトラノオ抽出物、インチンコウ抽出物、エンドウ豆抽出物、エイジツ抽出物、オウゴン抽出物、オノニス抽出物、海藻抽出物、火棘抽出物、カンゾウ抽出物、キイチゴ抽出物、クジン抽出物、黒砂糖抽出物、ケイケットウ抽出物、ゴカヒ抽出物、小麦胚芽抽出物、サイシン抽出物、サンザシ抽出物、サンペンズ抽出物、シャクヤク抽出物、シラユリ抽出物、センプクカ抽出物、ソウハクヒ抽出物、大豆抽出物、胎盤抽出物、タラノキ抽出物、茶抽出物、トウキ抽出物、糖蜜抽出物、ノイバラ抽出物、ビャクレン抽出物、ブドウ種子抽出物、ブナノキ抽出物、フローデマニータ抽出物、ホップ抽出物、マイカイカ抽出物、モッカ抽出物、ユキノシタ抽出物、ヨクイニン抽出物、及び羅漢果抽出物等を挙げることができ、その1種又は2種以上を適宜選択して配合される。美白剤成分の含有量は、美白剤成分の種類により異なり、一律に決められないが、化粧料の全量に対して、通常0.01〜10重量%である。植物抽出物等を抽出液のまま用いる場合は乾燥固形分換算の量である。
【0026】
皮膚(細胞)賦活化剤成分としては、デオキシリボ核酸及びその塩、アデノシン三リン酸、アデノシン一リン酸などのアデニル酸誘導体及びそれらの塩、リボ核酸及びその塩、サイクリックAMP、サイクリックGMP、フラビンアデニンヌクレオチド、グアニン、アデニン、シトシン、チミン、キサンチン及びそれらの誘導体であるカフェイン、テオフェリン並びにそれらの塩等の核酸関連物質、幼牛血液抽出液、血清除蛋白抽出物、脾臓抽出物、トリ等の卵成分、鶏冠抽出物、貝殻抽出物、貝肉抽出物、ローヤルゼリー、シルクプロテイン及びその分解物又はそれらの誘導体、ヘモグロビン又はその分解物、ラクトフェリン又はその分解物、イカスミ等の軟体動物抽出物、魚肉抽出物等、哺乳類、鳥類、貝類、昆虫類、魚類、軟体動物類、甲殻類等の動物由来の抽出物、酵母抽出物、乳酸菌抽出物、ビフィズス菌抽出物等の発酵代謝産物から選ばれる微生物由来の抽出物が挙げられる。更にレチノール及びその誘導体(パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール等)、レチナール及びその誘導体、デヒドロレチナール、カロチン等のカロチノイド等のビタミンA類、チアミン類(チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩)、リボフラビン類(リボフラビン、酢酸リボフラビン等)、ピリドキシン類(塩酸ピリドキシン、ピリドキシンジオクタノエート等)、フラビンアデニンヌクレオチド、シアノコバラミン、葉酸類、ニコチン酸類(ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等)、コリン類等のビタミンB類、ビタミンC群:アスコルビン酸及びその誘導体、ビタミンD群:エルゴカルシフェロール(ビタミンD2),コレカルシフェロール(ビタミンD3),ジヒドロタキステロール,ビタミンE群:トコフェロール及びその誘導体,ユビキノン類,ビタミンK群:フィトナジオン(ビタミンK1),メナキノン(ビタミンK2),メナジオン(ビタミンK3),メナジオール(ビタミンK4),その他,必須脂肪酸(ビタミンF),カルニチン,フェルラ酸,γ−オリザノール,オロット酸,ビタミンP類(ルチン,エリオシトリン,ヘスペリジン),ビタミンUなど。アンズ抽出物、イチョウ抽出物、オタネニンジン抽出物、オオムギ抽出物、オレンジ抽出物、キュウリ抽出物、キウイ抽出物、シイタケ抽出物、スギナ抽出物、センブリ抽出物、タイソウ抽出物、トウガラシ抽出物、ニンニク抽出物、ニンジン抽出物、ブクリョウ抽出物、モモ抽出物、レタス抽出物、レモン抽出物、霊芝抽出物、ローズマリー抽出物、ヒノキチオール、セファランチン等の植物由来の抽出物、α−及びγ−リノレン酸、エイコサペンタエン酸及びそれらの誘導体、エストラジオール及びその誘導体並びにそれらの塩、グリコール酸、コハク酸、乳酸、サリチル酸等の有機酸及びそれらの誘導体並びにそれらの塩等が挙げられる。これらの皮膚賦活化剤の1種又は2種以上を適宜選択して配合することができ、その配合量は、皮膚賦活化剤成分の種類により異なり、一律に決められないが、通常0.1〜20重量%である。
【0027】
収れん剤としては、スルホ石炭酸亜鉛、スルホ石炭酸ナトリム、各種植物抽出物等があげられる。例えば、アルニカ、サンザシ、キナ、サルビア、ボダイジュ、オタネニンジン、トショウ、マンネンロウ、オトギリソウ、イチョウ、メリッサ、オノニス、マロニエ、センブリ、ニンニク、カミツレ、サイム、ハッカ、イラクサ、トウガラシ、ショウガ、ホップ、西洋トチノキ、ラベンダー、ニンジン、カラシナ、ケイ、マツ、センキュウ、ニワトコ、ヤマゼリ、ハシリドコロ、ボタン、ヤマモモ、ドクダミ、コウホネ、シブガキ、トウキンセンカ、グビジンソウ、リンドウ、ブドウ、ハマボウフウ、ダイダイ、ユズ、ショウブ、ナツミカン、ハマメリス、メリーロート、ウイキョウ、サンショウ、シャクヤク、ユーカリ、ヨモギ、エンメイソウ、コメ、クララ、ショウキョウ、チョウジ、クルミの葉、オウゴン、セージ、ホップ、ローズマリー、何首鳥、黄連、黄柏、重薬、陳皮、トウシン、プロポリス、タクシア、タンニン、樺木タール、ローヤルゼリー、コウボエキス等が挙げられ、1種又は2種以上を合わせて使用することができ、通常0.01〜3重量%配合することが好ましい。
【0028】
抗炎症(消炎)剤としては、酸化亜鉛、イオウ及びその誘導体、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等のグリチルリチン酸及びその誘導体並びにそれらの塩、β−グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、3−サクシニルオキシグリチルレチン酸二ナトリウム等のグリチルレチン酸及びその誘導体並びにそれらの塩、トラネキサム酸、コンドロイチン硫酸、メフェナム酸、フェニルブタゾン、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロフェン、アラントイン、グアイアズレン及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、各種微生物及び動植物の抽出物等があげられ、1種又は2種以上を合わせて使用することができ、通常、化粧料の0.01〜1重量%配合することが好ましい。
【0029】
酸化防止剤としては、レチノール、デヒドロレチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、レチナール、レチノイン酸、ビタミンA油等のビタミンA類とそれ等の誘導体及びそれ等の塩、α−カロテン、β−カロテン、γ−カロテン、クリプトキサンチン、アスタキサンチン、フコキサンチン等のカロテノイド類及びその誘導体、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサール−5−リン酸エステル、ピリドキサミン等のビタミンB類とそれ等の誘導体及びそれ等の塩、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、ステアリン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸リン酸マグネシウム等のビタミンC類とそれ等の誘導体及びそれ等の塩、
エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、1、2、5−ジヒドロキシ−コレカルシフェロール等のビタミンD類とそれ等の誘導体及びそれ等の塩、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール等のビタミンE類とそれ等の誘導体及びそれ等の塩、トロロックスとその誘導体及びそれ等の塩、ジヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、α−リポ酸、デヒドロリポ酸、グルタチオンとその誘導体及びそれ等の塩、尿酸、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム等のエリソルビン酸塩、没食子酸、没食子酸プロピル等の没食子酸誘導体及びそれ等の塩、ルチン、α−グリコシル−ルチン等のルチン誘導体及びそれ等の塩、トリプトファンとその誘導体及びそれ等の塩、ヒスチジンとその誘導体及びそれ等の塩、N−アセチルシステイン、N−アセチルホモシステイン、N−オクタノイルシステイン、N−アセチルシステインメチルエステル等のシステイン誘導体及びそれ等の塩、N,N’−ジアセチルシスチンジメチルエステル、N,N’−ジオクタノイルシスチンジメチルエステル、N,N’−ジオクタノイルホモシスチンジメチルエステル等のシスチン誘導体及びそれ等の塩、カルノシン及びその誘導体及びそれ等の塩、ホモカルノシン及びその誘導体及びそれ等の塩、アンセリン及びその誘導体及びそれ等の塩、カルシニン及びその誘導体及びそれ等の塩、ヒスチジン及び/又はトリプトファン及び/又はヒスタミンを含むジペプチド又はトリペプチド誘導体及びそれ等の塩、フラバノン、フラボン、アントシアニン、アントシアニジン、フラボノール、クエルセチン、ケルシトリン、ミリセチン、フィセチン、ハマメリタンニン、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート等のフラボノイド類、タンニン酸、コーヒー酸、フェルラ酸、プロトカテク酸、カルコン、オリザノール、カルノソール、セサモール、セサミン、セサモリン、ジンゲロン、クルクミン、テトラヒドロクルクミン、クロバミド、デオキシクロバミド、ショウガオール、カプサイシン、バニリルアミド、エラグ酸、ブロムフェノール、フラボグラシン、メラノイジン、リボフラビン、リボフラビン酪酸エステル、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンヌクレオチド、ユビキノン、ユビキノール、マンニトール、ビリルビン、コレステロール、エブセレン、セレノメチオニン、セルロプラスミン、トランスフェリン、ラクトフェリン、アルブミン、ビリルビン、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、メタロチオネイン、O−ホスホノ−ピリドキシリデンローダミン、N−(2−ヒドロキシベンジル)アミノ酸とその誘導体及びそれ等の塩、及びN−(4−ピリドキシルメチレン)アミノ酸、並びにその誘導体及びそれ等の塩等を挙げることができ、酸化防止剤(抗酸化成分)の含有量は、抗酸化成分の種類により異なり、一律に決められないが、化粧料の全量に対して、通常0.1〜10重量%である。
【0030】
保湿剤は、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール等の多価アルコール、ピロリドンカルボン酸塩、乳酸塩等のNMF(自然保湿因子)の主成分、ヒアルロン酸塩、コンドロイチン硫酸、へパリン等のムコ多糖類、尿素、システイン、セリン等のアミノ酸、更には、各種植物抽出物等があげられ、その1種以上が用いられる。保湿剤の含有量は、保湿剤の種類により異なり、一律に決められないが、化粧料の全量に対して、通常0.1〜20重量%である。
【0031】
更に一般に、化粧料或いは皮膚外用剤に使用されている成分としては、香料、有機溶剤、油剤、顔料、界面活性剤、増粘剤、粉体物質、色素等を挙げることができる。
香料としては、天然香料や合成香料がある。天然香料の代表例は、バラ油、ジャスミン油、ネロリ油、ラベンダー油、チュベローズ油、イランイラン油、クラリセージ油、クローブ油、ペパーミント油、ゼラニウム油、パッチュリー油、サンダルウッド油、シンナモン油、コリアンダー油、ナツメグ油、パイン油、バニラ油、ペルーバルサム油、バナナ油、アップル油、フェンネル油、トンカビーンズ油、ペパー油、レモン油、オレンジ油、ベルガモット油、オポポナックス油、ベチバー油、オリス油、オークモス油、アニス油、ボアドローズ油などの植物性香料、ムスク油、シベット油、カストリウム油、アンバーグリス油などの動物性香料である。
【0032】
合成香料の代表例は、リモネン、β−カリオフィリンなどの炭化水素類、シス−3−ヘキセノール、リナロール、ファルネソール、β−フェニルエチルアルコール、ゲラニオール、シトロネロール、ターピネオール、メントール、サンタロール、バクダノール、ブラマノールなどのアルコール類、リラノール、リリアール、2,6−ノナジエナール、シトラール、α−ヘキシルシンナミックアルデヒドなどのアルデヒド類、β−イオノン、l−カルボン、シクロペンタデカノン、ダマスコン、メチルイオノン、イロン、イソイースーパー、アセチルセドレン、ムスコンなどのケトン類、ベンジルアセテート、メチルジヒド
ロジャスモネート、メチルジャスモネート、リナリルアセテート、ベンジルベンゾエートなどのエステル類、γ−ウンデカラクトン、ジャスミンラクトン、シクロペンタデカノリッド、エチレンブラシレートなどのラクトン類、ガラクソリッド、アンブロキサン、ローズオキサイドなどのオキサイド類、オイゲノールなどのフェノール類、インドールなどの含窒素化合物、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタールなどのアセタール類、オーランチオールなどのシッフ塩基類などである。香料は一般的に一種類単独で使用することは少なく、目的に応じて複数種を組み合わせた調合香料として用いられる。これらの香料は、通常、有機溶剤および油剤に溶解あるいは、共存して化粧料等に配合される。
【0033】
本発明で使用される有機溶剤は、エタノール、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ブタノール、プロパノールなどが挙げられ、これらの1種あるいは2種以上が用いられる。
【0034】
また、油剤としては、天然系油、合成油或いは固体、半固体、液体等の性状は問わず特に限定されるものではないが、例えば、炭化水素類、ロウ類、脂肪酸類、高級アルコール類、エステル油、シリコーン油類、フッ素系油類等のいずれの油剤も使用することができる。例えば、スクワラン、スクワレン、セレシン、パラフィン、パラフィンワックス、流動パラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等の炭化水素類;ホホバ油、ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、鯨ロウ等のロウ類;牛脂、牛脚脂、牛骨脂、硬化牛脂、硬化油、タートル油、豚脂、馬脂、ミンク油、肝油、卵黄油等の動物油;ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等のラノリン誘導体;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類が挙げられる。また、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2−デシルテトラデシノール、コレステロール、フィトステロール、シトステロール、ラノステロール、POEコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)等の高級アルコール;アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸−ジ−2−ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸−N−アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸−2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸−2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸−2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル油が挙げられる。更にアセトグリセライド、トリイソオクタン酸グリセライド、トリイソステアリン酸グリセライド、トリイソパルミチン酸グリセライド、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセライド、モノステアリン酸グリセライド、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、トリミリスチン酸グリセライド、ヒマシ油等のグリセライド油;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、ステアロキシシリコーン等の高級アルコキシ変性シリコーン;高級脂肪酸変性シリコーン、シリコーン樹脂、シリコンゴム、シリコーン油等のシリコーン系油剤;パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤が挙げられる。望ましくは、ホホバ油、ヒマシ油、流動パラフィン、スクワレン、ワセリン、ステアリン酸、オレイルアルコール等があげられ、その1種以上が使用される。
【0035】
本発明で使用される顔料は、通常、被着色物に真珠光沢、虹彩色、メタリック感等の特殊な光学的効果や彩色、被覆、紫外線予防あるいは分泌皮脂の吸着による化粧くずれの防止、さらっとした使用感の付与等の目的で使用されている化粧用粉体であり、口紅、アイカラー、チークカラー、ネイルカラーなどのメイクアップ化粧料、ヘアー用の化粧料に通常使用されているラメやパール光沢顔料である。これらには、真珠光沢顔料、金属光沢顔料、ガラスフレーク顔料、金属被覆無機顔料、樹脂顔料、レーキ顔料、有機顔料、着色顔料、白色顔料、体質顔料等の無機顔料、機能性顔料等があげられ、これらの1種以上が使用される。
【0036】
レーキ顔料には2つの種類があり、1つは水に溶けやすい染料をカルシウム等の塩として水に不溶化した顔料で、例えば赤色202号、204号、206号、207号、208号、220号等がある。他の1つは、硫酸アルミニウム、硫酸ジルコニウム等で水不溶性にしてアルミナに吸着させた顔料で黄色5号、赤色230号等である。
有機顔料は、分子構造内に親水性基を持たず、水、油や溶剤に溶解しない有色粉末であり、着色力、耐光性に優れている。アゾ系顔料の赤色228号、インジゴ系顔料の赤色226号、フタロシアニン系顔料の青色404号等があげられる。
【0037】
着色顔料は、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄等の色調の異なる酸化鉄、群青、紺青、酸化クロム、水酸化クロム、酸化マグネシウム、酸化コバルト、チタン酸コバルトカーボンブラック、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等があげられる。
【0038】
白色顔料は、着色や被覆等の目的で用いられ、ニ酸化チタンと酸化亜鉛があげられる。 体質顔料は、着色よりも製品の形状維持や伸展性、付着性、光沢等の調節、色調の調整(希釈剤)に用いられ、例えば雲母(マイカ)、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母等の雲母系顔料、セリサイト、タルク、カオリン、モンモリロナイト、ゼオライト等の粘度鉱物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、含硫ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の合成無機粉体等があげられる。
【0039】
ガラスフレーク顔料は、フレーク状ガラス表面を金属などで薄く被覆されたものである。金属被覆無機顔料は、無機系顔料を金属蒸着などにより金属および/あるいは金属酸化物で被覆させた顔料であり、例えば、酸化鉄被覆アルミニウム、酸化鉄被覆雲母、アルミニウム−マンガン被覆雲母状酸化鉄等があげられる。真珠光沢顔料は、被着色物に真珠光沢、虹彩色、メタリック感等の特殊な光学的効果を与えるために使用される顔料であり、雲母チタン、酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、オキシ塩化ビスマス等があげられる。その他、アルミニウム粉、金粉、銀粉、銅粉、錫粉、真鍮粉などの金属光沢顔料等があげられる。
【0040】
樹脂顔料は、樹脂フィルムを着色し、裁断した薄片状のものであり、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ポリエキレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末、ナイロンパウダーポリエステルフィルム末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末等があげられる。
機能性顔料としては、窒化ホウ素、合成フッ素金雲母、フォトクロミック顔料、複合化微粒子粉体等があげられる。
【0041】
本発明で使用される顔料の形態は、特に限定されるものではなく、粒状、板状、棒状等、目的および使用粉体により適宜、選択されれば良い。また、粉体の大きさは、特に限定されるものではなく、目的および使用粉体により適宜、選択されれば良く、粒状の粉体で有れば、通常、平均粒子径が0.01〜10μmのものが使用され、箔片状や棒状の粉体であれば、通常、長さが0.5〜10μmのものが使用されている。
本発明の顔料の配合量は、使用される顔料により一律に決めることはできず、適宜選択されるものであるが、化粧料の全量に対して、通常、0.01〜80重量%である。
【0042】
本発明で使用する界面活性剤は、特にその種類は限定するものではないが、親水性親油性比(HLB値)が10〜18である界面活性剤が好ましく用いられる。使用できる非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、ショ糖脂肪酸エステル類、エチレンオキシド・プロピレンオキシドブロック共重合体類などが挙げられる。
【0043】
具体的には、親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エルチヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α、α’−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等のグリセリン(またはポリグリセリン)脂肪酸エステル類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロビレングリコール脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0044】
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POEソルビタンモノオレエート(以下、ポリオキシエチレンを「POE」とする。)、POE−ソルビタンモノステアレート、POE−ソルビタンジオレート、POE−ソルビタンテトラオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POE−ソルビットモノラウレート、POE−ソルビットモノオレエート、POE−ソルビットペンタオレエート、POE−ソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類、POE−グリセリンモノステアレート、POE−グリセリンモノイソステアレート、POE−グリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類、POEモノオレエート、POEジステアレート、POEジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等のPOE脂肪酸エステル類、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POE−ステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE2−オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル類、POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類、POE・POPセチルエーテル(以下、ポリオキシプロピレンを「POP」とする。)、POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POPグリセリンエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類、POE・POPエチレンジアミン縮合物類、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOEヒマシ油(または硬化ヒマシ油)誘導体、POEソルビットミツロウ等のPOE、ミツロウ・ラノリン誘導体、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0045】
アニオン界面活性剤としては、例えば、セッケン用素地、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等の脂肪酸セッケン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、ラウロイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシン酸、N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、POEオレイルエーテルリン酸ナトリウム、POEステアリルエーテルリン酸等のリン酸エステル塩、ジー2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム酸のスルホコハク酸塩、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等の高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩、ロート油等の硫酸化油、POEアルキルエーテルカルボン酸、α−オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、二級アルコール硫酸エステル塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、N−パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン、カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0046】
カチオン界面活性剤としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化ポリ(N,N−ジメチル−3,5−メチレンピペリジニウム)、塩化セチルピリジニウム等のアルキルピリジニウム塩、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモリホニウム塩、POEアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、アクリル酸β−N−Nジメチル−N−エチルアンモニオエチル酸ビニルピロリドン共重合体、カチオンポリマー誘導体等が挙げられる。
【0047】
両性界面活性剤としては、例えば、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミタゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等の、イミダゾリン系両性界面活性剤、2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等のベタイン系界面活性剤等が挙げられる。
界面活性剤の配合割合は、通常、0.1〜10重量%(対化粧料全量)である。
【0048】
本発明で使用する増粘剤は、例えば、アルカシーラン(アルカリゲネス産生多糖体)、アラビアゴム、グアーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、フコイダン、クインシードガム、トラントガム、ローカストビーンガム、ガラクトマンナン、キサンタンガム、カードラン、ジェランガム、フコゲル、カゼイン、ゼラチン、デンプン、コラーゲンなどの天然高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステルなどの半合成高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキシドなどの合成高分子などであり、ベントナイト、ラポナイト、ヘクトライトなどの無機鉱物などを併用することもある。
【0049】
色素は、有機合成色素として、黄色5号、赤色505号などのアゾ系染料、赤色213号、赤色230号などのキサンテン系染料、黄色204号などのキノリン系染料、青色1号などのトリフェニルメテン系染料、緑色201号などのアンスラキノン系染料、インジゴ系染料などの染料、赤色202号、赤色208号などのレーキ顔料、赤色228号、赤色226号、青色404号などが、天然色素として、カロチン、カルサミン、コチニールなどがある。
【0050】
本発明の保湿性抗菌剤を配合して化粧料を調製する場合の製剤の形態(剤型)については特に制限されず、溶液状、ペースト状、ゲル状、固体状、粉末状等任意の剤型をとることができる。また、本発明の化粧料は、化粧品、医薬部外品、外用医薬品を含み、オイル、ローション、クリーム、乳液、ゲル、シャンプー、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、エナメル、ファンデーション、リップスティック、おしろい、パック、軟膏、錠剤、注射液、顆粒、カプセル、香水、パウダー、オーデコロン、歯磨、石鹸、エアゾル、クレンジングフォーム等の他、皮膚老化防止改善剤、皮膚炎症防止改善剤、浴用剤、養毛剤、皮膚美容液、日焼け防止剤、色素性乾皮症・日光蕁麻疹等の光線過敏症の防止改善剤、光アレルギーの防止改善剤、光免疫抑制の防止改善剤或いは、外傷・あかぎれ・ひびわれ等による肌荒れの防止改善剤等に用いることができる。
【実施例】
【0051】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0052】
実施例の2価アルコール
A−1 1,2−ペンタンジオール(商品名:ジオールPD、高級アルコール工業社製)
A−2 1,2−ヘキサンジオール(商品名:ジオールHD、高級アルコール工業社製)
A−3 1,2−オクタンジオール(商品名:1,2−オクタンジオール、東洋合成社製)
A−4 1,3−ブタンジオール(商品名:1,3−ブチレングリコール、協和発酵社製)
A−5 1,3−プロパンジオール(和光純薬社製試薬)

比較例の2価アルコール
A−6 1,2−ブタンジオール(関東化学社製試薬)
A−7 2,3−ブタンジオール(関東化学社製試薬)
A−8 1,4−ブタンジオール(関東化学社製試薬)
A−9 1,2−プロパンジオール(関東化学社製試薬)
A−10 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール
(商品名:オクタンジオール、協和発酵ケミカル社製)
A−11 2‐メチル‐2,4‐ペンタンジオール
(商品名:ヘキシレングリコール、ローデア日華社製)
【0053】
実施例の多糖類
B−1 アルカシーラン(商品名:伯東社製)
B−2 ウエランガム (商品名:ケルコ社製)
比較例の多糖類
B−3 キサンタンガム(商品名:ケルザン ケルコ社製)
【0054】
比較例の抗菌成分
C−1 メチルパラベン(化学名:パラオキシ安息香酸メチル)(商品名:メッキンスM、上野製薬社製)
【0055】
[抗菌性試験1]
供試サンプルの化粧料として表1に示す組成の乳液を用い、各種菌種を接種して一定時間後の生菌数を測定し、その抗菌性を評価した。結果を表2に示した。
【0056】
(供試サンプルの調製)
1.表1に示した区分aを70℃に加温後、ホモジナイザー(またはホモミキサー)で8000rpmに攪拌しながら、溶解する(混合液1)。
2.区分bの各成分を計量し、80℃にて加温溶解させる(混合液2)。
3.混合液1に、混合液2を徐々に添加した。添加後、更に10分間攪拌を行い、さらに室温まで冷却して供試サンプルの乳液を得た。
【0057】
【表1】


(*)表2に示す抗菌成分の配合量を加えた。

【0058】
(抗菌性評価)
(1) 供試菌株
(a) 細菌混合 接種菌数 4×10(CFU/g) 程度
・Staphylococcus aureus JCM 2151
・Escherichia coli NCIMB 8545 (ATCC8739)
・Pseudomonas aeruginosa JCM 5962
(b) 芽胞菌 4×10(CFU/g) 程度
Bacillus subtilis JCM1465
(c) 酵母 1×10(CFU/g) 程度
Candida albicans JCM2085
(d) カビ混合 1×10(CFU/g) 程度
・Aspergillus niger JCM10254
・Penicillum funiculosum JCM 5594
(2) 抗菌性評価方法
(a)細菌混合の場合
3種の細菌を各々の菌種ごとに下記の細菌用平板培地にて培養(30℃,2日間)した後、およそ同量の培養された3種の菌体を滅菌水中に分散して菌の分散液を得た。一定量の分散液を供試サンプルの乳液に接種し、接種後3日後に該乳液の一定量を採取して滅菌水で希釈した後、下記の細菌用平板培地を用いた平板塗抹法にて菌数測定し、その生菌数によって抗菌性を評価した。尚、接種時の菌数は接種量の分散液の菌数を測定した結果、乳液1ml当たり5×10個であった。
細菌用平板培地
グルコース 1.0 g(和光純薬社製試薬 特級)
ペプトン 5.0 g(日水製薬製 試薬)
イーストエキストラクト 2.5 g (日水製薬製 試薬)
寒天 18 g (和光純薬社製試薬 1級)
蒸留水 1L
pH:6.8
(b)芽胞菌の場合
芽胞菌を上記の細菌用平板培地にて培養(30℃,2日間)した後、菌体を滅菌水中に分散して菌の分散液を得た。一定量の分散液を供試サンプルの乳液に接種し、接種後7日後に該乳液の一定量を採取して滅菌水で希釈した後、上記の細菌用平板培地を用いた平板塗抹法にて菌数測定し、その生菌数によって抗菌性を評価した。尚、接種時の菌数は接種量の分散液の菌数を測定した結果、乳液1ml当たり2×10個であった。
(c)酵母の場合
酵母をPDA培地(田辺製薬製)にて平板培養(25℃,7日間)した後、培養された菌体を掻き集め、滅菌水中に分散して菌の分散液を得た。一定量の分散液を供試サンプルの乳液に接種し、接種後3日後に該乳液の一定量を採取してPDA培地を用いた平板塗抹法にて菌数測定し、その生菌数によって抗菌性を評価した。尚、接種時の菌数は接種量の分散液の菌数を測定した結果、乳液1ml当たり8×10個であった。
(d)カビ混合の場合
カビを各々の菌種ごとにPDA培地(田辺製薬製)にて平板培養(25℃,7日間)した後、培養された菌体を掻き集め、滅菌水中に分散して菌の分散液を得た。一定量の分散液を供試サンプルの乳液に接種し、接種後3日後に該乳液の一定量を採取してPDA培地を用いた平板塗抹法にて菌数測定し、その生菌数によって抗菌性を評価した。尚、接種時の菌数は接種量の分散液の菌数を測定した結果、乳液1ml当たり6×10個であった。
【0059】
抗菌性評価結果
【表2】

【0060】
1,2−ペンタンジオール(A−1)のみを用いた比較例1と、1,2−ペンタンジオールと1,3位以外に水酸基が結合したブタンジオールやプロパンジオールを組み合わせた比較例2〜5や1,2−ペンタンジオールとヘキサンジオール誘導体やペンタンジオール誘導体を組み合わせた比較例6、7の結果を比べると、1,2−ペンタンジオールに上記のブタンジオールやプロパンジオール等を併用した場合の相乗効果は認められない。一方、1,2−ペンタンジオール(A−1)、1,2−ヘキサンジオール(A−2)、及び1,2−オクタンジオール(A−3)に、1,3位に水酸基が結合したブタンジオールやプロパンジオール(A−4、A−5)を組み合わせた実施例1〜10では、その抗菌性に明確な相乗効果がみられた
【0061】
[肌(皮膚)の保湿性試験]
供試サンプルの化粧料として表3に示す組成の化粧水を用い、パネラーの肌(皮膚)にその化粧料を塗布する。一定時間後の肌の水分量を電気伝導度として測定し、その保湿性を評価した。結果を表4に示した。
【0062】
(供試サンプルの調製)
表3に示した全ての原料を70℃に加温後、ホモジナイザー(またはホモミキサー)で8000rpmに攪拌しながら溶解後、室温まで冷却して供試サンプルの化粧水を得た。尚、多糖類は配合量を常温にて精製水に溶解し、0.4%水溶液を調製した後、添加した。
【0063】
【表3】

(*) 表4に示す抗菌成分の配合量を加えた。
(**)表4に示す多糖類の配合量を加えた。

【0064】
(保湿性評価)
保湿性は下記の測定手順に従って、10名(20代―50代)のパネラーの肌の水分量変化によって評価した。肌の水分量は電気伝導度として測定し、その測定値が高いほど肌の水分含量が高く、保湿性能が高いことを示す。尚、試験期間中の環境は、気温22℃、湿度65%を保った。
1.10名(20代―50代)のパネラーの下腕部を石鹸でよく洗浄し、そのまま20分間放置する。
2.洗浄20分後に、肌(皮膚)の水分量をスキコン−200(アイ・ビー・エス社製)にて電気伝導度(μS/cm)として測定する。試験スタート時の電気伝導度である。
3.直ちに供試サンプルの化粧水0.05mlをパネラーの下腕部の2cm×2cmの面積に塗布する。
4.化粧水塗布から、20分後、40分後、60分後にそれぞれ肌(皮膚)の水分量をスキコン−200(アイ・ビー・エス社製)にて電気伝導度(μS/cm)として測定する。
尚、本試験において、コントロールは供試サンプルの化粧水の代わりに精製水を肌に塗布し、ブランクは表3の組成中の抗菌成分と多糖類を精製水に置き換えた組成の化粧料を肌に塗布した。
【0065】
保湿性評価結果
尚、電気伝導度各測定値は、パネラー10名の平均値である。
【表4】

【0066】
ブランクはコントロールより高い保湿性能を示しているが、これは供試サンプルの化粧水に配合されているグリセリンとジグリセリンの保湿作用による。比較例9は1,2−ヘキサンジオール(A−2)のみの配合であり、比較例10は1,3−プロパンジオール(A−5)のみの配合であり、いずれも、ブランクに比較して高い保湿性能を有し、1,2−ヘキサンジオール(A−2)、1,3−プロパンジオール(A−5)ともに保湿性を有することは前述の通りである。その1,2−ヘキサンジオール(A−2)と1,3−プロパンジオール(A−5)を組み合わせた実施例11の保湿性能は、比較例9、10と比較して例えば20分後の肌の水分量は約1.3〜1.4倍になるという大幅な保湿性能の向上が見られ、1,2−ヘキサンジオール(A−2)と1,3−プロパンジオール(A−5)の併用による相乗効果が認められる。実施例12と比較例11、12の比較においても、実施例12の1,2−ペンタンジオール(A−1)と1,3−ブタンジオール(A−4)の組合せに相乗効果が認められる。実施例11に多糖類を併用した実施例13〜15では、アルカシーラン(B−1)を併用した実施例13とウエランガム(B−2)を併用した実施例14において、実施例11に比較して保湿性能が更に向上することが認められたが、キサンタンガム(B−3)を併用した実施例15の保湿性能は実施例11と差が無く、キサンタンガム(B−3)の併用による保湿性向上効果は認められなかった。即ち、実施例11の組合せに更に特定の多糖類を併用することにより、保湿性がより向上することが判る。また、メチルパラベン(C−1)を配合した比較例13の測定値はブランクと変わらず、メチルパラベンには保湿性能を向上させる効果が無いことが判る。
【0067】
供試サンプルの化粧料として、実施例16〜19の種々の組成と剤型の化粧料を用い、抗菌性と実際の使用感を評価した。
【0068】
[実施例16(化粧水1)の調製]
実施例16(化粧水1)の組成を表5に示す。
【表5】

【0069】
1.区分bのアルカシーラン(B−1)を80℃に加温後、ディスパーザを用いて精製水に分散させた(分散液1)。
2.区分aの各成分を計量し、分散液1と均一に混合、80℃にて加温溶解した(分散液2)。
3.分散液2をホモジナイザー(またはホモミキサー)で8000rpmに攪拌しながら、更に10分間攪拌を行い、室温まで冷却して実施例16(化粧水1)を得た。
【0070】
[比較例14(化粧水2)の調製]
実施例16の1,3−プロパンジオール(A−5)を同量の1,4−ブタンジオール(A−8)に代え、実施例16と同様の方法で作成したものを比較例14(化粧水2)とした。
【0071】
[実施例17(乳液1)の調製]
実施例17(乳液1)の組成を表6に示す。
【表6】

【0072】
1.区分aの各成分を計量して混合し、80℃にて加温溶解した(混合液1)。
2.区分bの各成分を計量して混合し、80℃にて加温溶解させた(混合液2)。
3.混合液1をホモジナイザー(またはホモミキサー)で8000rpmに攪拌しながら、混合液2を徐々に添加した。添加後、更に10分間攪拌を行い、室温まで冷却して乳液1(実施例17)を得た。
【0073】
[比較例15(乳液2)の調製]
実施例17の1,2−ペンタンジオール(A−1)1.00%をメチルパラベン0.3%に代え、実施例17と同様の方法で作成したものを比較例15(乳液2)とした。
【0074】
[実施例18(クリーム1)の調製]
実施例18(クリーム1)の組成を表7に示す。
【表7】

【0075】
1.区分bのウエランガム(B−2)を80℃に加温後、ディスパーザを用いて水に分散させた(分散液1)。
2.区分aの各成分を計量し分散液1と均一に混合、80℃にて加温溶解した(分散液2)。
3.区分cの各成分を計量し、80℃にて加温溶解させた(混合液1) 。
4.分散液2をホモジナイザー(またはホモミキサー)で8000rpmに攪拌しながら、混合液1を徐々に添加した(分散液3)。
5.添加後10分間攪拌を行う。
6.区分dのハイビスワコー104、105を予めティスパーザを用いて水に分散させた(分散液4)。
7.区分eの各成分を均一に分散させた(分散液5)。
8.分散液3に分散液4を加えて均一混合した(分散液6)。
9.分散液6に分散液5を加えて均一混合後、室温まで冷却し実施例18(クリーム1)を得た。
【0076】
[比較例16(クリーム2)の調製]
実施例18の1.2−オクタンジオール(A−3)を同量のメチルパラベンに代え、実施例18と同様の方法で作成したものを比較例16(クリーム2)とした。
【0077】
[実施例19(サンスクリーン1)の調製]
実施例19(サンスクリーン1)の組成を表8に示す。
【表8】

(*)MT−01:水酸化アルミニウム・ステアリン酸によって表面処理された二酸化チタン
【0078】
1.区分dのアルカシーラン(B−1)を80℃にて加温後、ディスパーザを用いて水に分散させた(分散液1)。
2.区分aの各成分を計量し、均一混合し、80℃にて加温分散させた(分散液2)。
3.区分bの各成分を計量し、均一混合し、80℃にて加温分散させた(分散液3)。
4.80℃に保った分散液2を攪拌しながら分散液3を徐々に添加した(分散液4)。
5.区分cの各成分を計量し、均一混合し80℃にて加温分散させた(分散液5)。
6.分散液1をホモジナイザー(またはホモミキサー)で8000rpmに攪拌しながら、分散液5を徐々に添加した。次いで分散液4も徐々に添加した。
7.添加後、更に10分間攪拌を行い、室温まで冷却して実施例19(サンスクリーン1)を得た。
【0079】
[比較例17(サンスクリーン2)の調製]
実施例19の1,3−ブタンジオール(A−4)を同量の水に代え、実施例19と同様の方法で作成したものを比較例17(サンスクリーン2)とした。
【0080】
[抗菌性試験2]
抗菌性試験1と同様の方法にて、実施例16〜19の抗菌性を評価した。結果を表9に示した。尚、接種時の菌数は接種量の分散液の菌数を測定した結果、化粧料1ml当たり細菌混合では5×10個、芽胞菌では1×10個、酵母では7×10個、カビ混合では3×10個であった。
【表9】

【0081】
実施例16〜19においては、細菌、酵母、カビは3日後、芽胞菌も7日後には、接種した菌が10個/ml以下に減少し、優れた抗菌性が確認された。また、1,3−プロパンジオール(A−5)を同量の1,4−ブタンジオール(A−8)に代えた比較例14や1,3−ブタンジオール(A−4)を同量の水に代えた比較例17の抗菌性は実施例16〜19によりも劣り、1,3位に水酸基が結合したブタンジオールやプロパンジオール(A−4、A−5)を組み合わせることにより抗菌性能が向上することが判る。一方、メチルパラベンを配合した比較例15、16の場合は十分な防腐性能が得られた。
【0082】
[実際の使用感の評価]
(評価方法)
実施例16〜19の使用時の刺激の評価を行った。女性パネラー10名を1群とし、各群のパネラーに各供試サンプルの化粧料をそれぞれ両頬に塗布させ、塗布後1分後に感じるピリピリした感触およびヒリヒリとした感触を「刺激性」として評価した。また、化粧料を指でとり、二の腕の内側に着けて伸ばし、「保湿感」の官能評価を行なった。「刺激性」と「保湿感」の評価基準は、以下のようにした。結果を表10に示した。
(「刺激性」の評価基準)
○:10名中8名以上が、刺激を感じないと評価
△:10名中5〜7名が、刺激を感じないと評価
×:10名中4名以下が、刺激を感じないと評価

(「保湿感」の評価基準)
◎:10名中10名全員が、保湿性を感じると評価
○:10名中8名以上が、保湿性を感じると評価
△:10名中5〜7名が、保湿性を感じると評価
×:10名中4名以下が、保湿性を感じると評価

【0083】
【表10】

【0084】
実施例16〜19の化粧料には、刺激性はなく、保湿感も得られた。特に本発明の特定の多糖類を併用する実施例16、18、19では優れた保湿感が得られた。一方、比較例15、16のでは、メチルパラベンによる刺激性が発現された。また、保湿感に関しても、比較例14、16、17の結果から、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、及び1,2−オクタンジオールと、1,3−ブタンジオール又は1,3−プロパンジオールの組合せ以外の組合せやメチルパラベンの配合では、たとえ本発明の特定の多糖類を併用しても、満足な保湿感は得られないことが判る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、及び1,2−オクタンジオールから選ばれる1種以上と、1,3−ブタンジオール及び/又は1,3−プロパンジオールを含有することを特徴とする抗菌性と保湿性が改良された化粧料。
【請求項2】
ヘキソース及び酸性糖を構成単糖とし、フコース及び/又はラムノースを側鎖に含む多糖類を1種以上配合することを特徴とする、請求項1記載の化粧料。
【請求項3】
多糖類が、少なくとも下記の一般式(化1)で表される多糖を含むことを特徴とする請求項2記載の化粧料。
【化1】





【公開番号】特開2011−37786(P2011−37786A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187755(P2009−187755)
【出願日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(000234166)伯東株式会社 (135)
【Fターム(参考)】